2008年01月28日-3
税務上問題となる「見せ金」による資本金

 2006年5月の会社法施行によって「株式会社1000万円以上、有限会社300万円以上」という最低資本金規制は撤廃され、「資本金1円」による会社の設立が可能となった。しかし、会社設立後には、ある程度の設備資金や運転資金が必要なことや、対外的な信用を考慮するなどして、かつての株式会社の最低資本金の1000万円で会社をスタートさせたいと考える創業者も多いようだ。

 ところが、自分では1000万円全額の資金調達ができず、例えば500万円を第三者から借りてきて銀行に払い込み、会社設立後、すぐにその借入金を引き出して返済してしまうような「見せ金」によって資本金を作るケースがみられる。こうした「見せ金」を安易に考えている起業家も少なくないようだが、会社法上の是非はともかくとして、この場合、税務署から何らかの指摘を受ける可能性が高いことに留意したい。

 資本金1000万円を銀行に払い込み、半分の500万円を何の名目もなしに引き出せば、会社の貸借対照表上は、資本金500万円分穴が開いてしまうことになる。もしこれを会社社長への「仮払金」として処理して放置しておけば、法人税法上は「役員賞与」として課税を受ける。そこで、こうした見せ金の会社の経理処理としては、通常、社長への貸付金として処理することが多いようだ。

 貸付金には通常取得すべき利率による受取利息を計上しなければならないが、利息を計上しないと、利息分相当の経済的利益の認定利息とされ、社長であれば貸付金自体が否認されて認定賞与とされて、所得税が課税される可能性がある。また、利率が低すぎる場合も問題となる。つまり、社長への「貸付金」として処理した場合には、社長は会社に対し相応の「利息」を支払う必要が出てくるわけだ。

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