2007年11月12日-003
みなし役員も職務執行期間の定めが必要

 役員の臨時的な給与(賞与)については、2006年度税制改正において「事前確定届出給与」として、事前に支給時期や支給額を税務当局に届け出ることを要件に損金算入が認められた。この事前届出は、常勤役員に対する臨時的な給与だけでなく、年に数回支給する非常勤役員に対する給与も必要なことは知られているが、特に注意が必要なのは「みなし役員」に対する賞与である。

 みなし役員は、たとえ使用人の地位にあっても、その法人が発行する株式を一定割合以上所有し、「会社経営に従事している」のであれば、役員そのものとみなされ、法人税法上は役員に該当するものである。例えば、役員ではない社長の妻などは、会社法上の役員でなくても、法人全体の管理事務を行ったり、従業員の採用や賞与の決定などに関与していれば、みなし役員とされる可能性が高い。

 一方、事前確定届出給与を損金算入するためには、株主総会等の決議によりその役員の職務につき「所定の時期に確定額を支給する旨の定め」をした場合におけるその決議日から1ヵ月を経過する日、あるいは職務執行を開始する日から1月を経過する日までに事前確定届出給与に係る届出を税務署に提出する必要がある。ところが、みなし役員は、会社法上の役員ではないことから、職務執行期間を定めていないケースが少なくない。

 上記のように、社長の妻などは、法人税法上は役員に該当するケースが多いが、会社法上の役員でないことから、職務執行期間は定めていないのがむしろ普通だろう。この場合、妻に支給した事前確定届出給与が損金算入の対象になるのかどうかが問題になるが、みなし役員も法人税法上の役員であることから、会社法上の役員同様、職務執行期間を定めておかなければ、事前確定届出給与の損金算入は認められないので留意したい。

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