最近、永年勤続表彰の際の副賞として、非課税となる記念品や旅行・観劇等の招待ではなく、現金や商品券などを贈る現金化の傾向がみられるようになった。たとえ給与課税を受けても現金支給を希望する従業員が増えており、企業側もこれに呼応しているようだ。産労総合研究所が実施した「永年勤続表彰制度に関する調査」結果(有効回答数366社)によると、同制度を実施している企業は79.2%と約8割を占めた。
興味深いのは、贈る副賞について、賞品(記念品)から賞金への移行が顕著になっていることである。表彰の方法をみると、副賞として「賞品(記念品)」を贈るが43.8%、「賞金(金一封)」が36.6%などだが、前回2003年調査と比べると、「賞品」が4.6ポイント減少したのに対し、「賞金」は13.3ポイント増加している。賞品の種類でも、商品券などが増えており、“現金化”への移行が進んでいる。
勤続20年と勤続30年の賞品をみると、「旅行クーポン」(それぞれ51.0%、66.0%)、「商品券・カタログギフト」(同25.0%、21.0%)が主流となり、かつて多かった「時計」は1割前後で、これ以外は数パーセントに過ぎない。社名入りの記念品などが敬遠され、自己選択の可能な賞品が主流となった。なお、賞品価格の平均は、勤続「10年」が3.6万円、「20年」が7.5万円、「30年」が13.2万円、「40年」が11.1万円などだ。
税務上、非課税とされる記念品は、通常、1)市場への売却性、換金性がなく、2)選択性も乏しく、3)その金額も多額となるものでないことなどが要件とされる。つまり、現金はもとより、換金可能な商品券や旅行クーポン、自由に品物を選択できるカタログギフトなどの賞品を贈ると、給与所得課税される。しかし、こうした“現金化”が大勢となれば、税制も非課税として扱ってもいいように思われるが、いかがだろうか…。
産労総研の調査結果の詳細は↓
http://www.e-sanro.net/sri/ilibrary/pressrelease/press_files/srip_061124.pdf