融資枠(コミットメントライン)契約(リボルビング・クレジットなど)とは、金融機関とあらかじめ合意した一定期間と一定の融資限度額の範囲内で、企業などの借入人がお金を借りられる契約である。契約方法は、借入人と金融機関が個別に契約を結ぶ相対型と、1通の契約書により、借入人と複数の金融機関が同一の契約書で契約を結び、かつ、各金融機関がエージェントに契約に係る事務を委託するシンジケート型がある。
こうした融資枠契約の基本契約書に係る印紙税は、相対型の場合、「消費貸借に関する契約書」として1通あたり200円の印紙税が、シンジケート型の場合、「継続的取引の基本となる契約書」として1通あたり4000円の印紙税が必要となる。また、基本契約に基づき借入人が個別の貸付の実行を希望する場合に金融機関に対して提出する「請求書」や「借入申込書」は、「消費貸借に関する契約書」に該当し印紙税が課税される。
さらに、個別の貸付が実行された際に借入人から金融機関に交付する「領収書」は、借入金の受領事実のみを記載したものは「売上代金以外の金銭の受取書」に該当する一方、借入金の受領事実と併せて、その返還事実や返還方法、利率などを記載証明するものは「消費貸借に関する契約書」に該当し、ともに印紙税が必要になる。
ところで、こうした請求書や借入申込書、領収書をFAXや電子メールで金融機関に送信する場合があるが、こうしたケースでは実際に文書が交付されないので、課税物件は存在しないことになり、印紙税の課税原因は発生せず非課税となる。FAXや電子メールを受信した金融機関がプリントアウトした文書についても、コピーした文書と同じものであることから、課税文書としては取り扱われない。
ただし、FAXや電子メールで送信後にあらためて文書を持参するなどにより正本となる文書を金融機関に交付する場合には、その正本となる文書はそれぞれ印紙税の課税文書となるので注意したい。また、借入人が保管するFAX送信用等の文書の原本は、それ自体が貸付人に交付されるものではないので、課税文書には該当しないことになる。