2005年05月19日-001
徒歩通勤者に支払った通勤手当は給与所得課税

 地方公務員に対する非常識な厚遇が次々と露見している。先日は、民間企業では到底あり得ない、徒歩での通勤者にも通勤手当を支給している自治体が274市町村あることが、総務省が今年1月1日時点で行った特別調査で明らかになった。税務上、給与所得者が支給を受ける通勤手当のうち一定額以下は非課税とされている。しかし、徒歩での通勤者に支払った通勤手当はどうなるのだろうか。

 結論からいえば、徒歩通勤者に支払った通勤手当は、交通費との名目で支給していたとしても、全額が給与所得として課税対象となる。というのも、所得税法では、通勤交通費の非課税限度額の範囲を電車やバスなどの交通機関利用者か自動車や自転車などの交通用具を使用する通勤者に限っているのだ。交通機関利用者であれば、その負担した運賃などが1ヵ月10万円を限度に非課税となる。

 また、自動車や自転車など交通用具を使って通勤する場合は、片道の通勤距離に応じて非課税限度額が定められているが、この場合も片道2キロ未満は除かれている。つまり、もっとも短い通勤距離でも片道「2キロ以上10キロ未満」で4100円が非課税となる。最高は「45キロ以上」で2万4500円が非課税。ただし、交通機関を利用したならば、これらの金額を超える場合は、10万円を限度に定期代相当額が非課税とされている。

 国家公務員の場合でも、原則、通勤距離が片道2キロ以上で、交通機関利用者や自動車・自転車などの利用者が対象とされている。ところが、上記の総務省の調査結果では、徒歩でも通勤手当を支給していた274市町村のうち、244市町村は通勤距離が2キロ未満でも支給していたのだ。通勤距離が2キロメートル未満でも支給していた自治体のうち、もっとも支給月額が多かったのは愛知県の「碧南市」で5750円だった。

 碧南市の場合、通勤手段に関係なく、1キロ未満は月4950円、1キロ以上2キロ未満は月5750円など距離に応じて8段階の通勤手当を支給していた。4月からは批判に配慮し、1キロ未満を2500円、2キロ未満を5000円に減額したというが(読売4/19)、それでも2キロ未満まで支給している。総務省は、「国家公務員に準じるように要請している」というが、碧南市をはじめ各市町村の“一般常識”には大きな疑問符が浮かんでいる。

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