2004年06月10日-002
デメリット大きい青色申告の承認取消

 青色申告には欠損金の繰越しや各種準備金、償却制度上の優遇措置など数多くの特典があるため、全法人の約90%にあたる261万1千法人、個人事業者の約55%にあたる106万4千事業者が青色申告の承認を受けている(2001年国税庁統計)。わが国に申告納税制度を定着させるためのインセンティブを納税者に与えてきた制度だが、帳簿書類の不備や取引の仮装・隠ぺいなど不正を行った場合は、承認が取り消されることになっている。

 青色申告の承認が取り消された場合は、各種特典が受けられなくなるだけでなく、その取消事由が生じた事業年度(年分)以降は白色申告を提出したものとして取り扱われる。例えば、積み立てていた準備金について、その全額の戻し入れ処理が求められることに伴い、課税所得が増加することから、過去の申告分について更正処分を受けるなどデメリットは大きい。税金は正直に納めたほうがいいようである。

 青色申告の承認取消の基準は、1)最終的に決定された申告額の50%を超える仮装・隠ぺいがある(不正金額が500万円未満の場合は除く)、2)帳簿書類の記録がずさんで国税当局が推計しなければ所得金額が把握できない、3)2回連続で期限後申告・無申告をした場合(法人のみに適用)、4)帳簿書類を備え付けていても税務職員の求めを拒否して提示しない、5)1)の基準ギリギリの不正所得を毎期繰り返す場合、などがある。

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