緩やかに回復してきている最近の消費動向を分析したのは第一生命経済研究所のレポートだ。それによると、総務省の家計調査では、総世帯の1~3月の消費支出・前年比は名目1.0%、実質1.0%と前期10~12月(名目▲1.9%、実質▲2.4%)よりも拡大方向にある。これは、家計調査だけでなく、百貨店売上高や商業販売統計・小売といった供給側の統計でも確認できる変化であり、今年に入って消費拡大が緩やかに進んでいる。
この消費堅調の内訳を家計調査に基づき分解してみると、1)被服・履物、2)娯楽サービス、3)食品(一般外食、飲料・酒類)の寄与が目立つ。これらの消費費目に共通するのは、いずれも「アウトドア」志向の消費内容である点だ。経済産業省の「第三次産業活動指数」によって、供給側の消費支出を確認すると、同様に飲食店、対個人サービスなど娯楽サービスに関連した分野の好調が目立つ。
アウトドア消費が好調な背景には、気温といった天候要因の作用が大きいのだろうが、所得階層別にみると雇用拡大が低所得者層まで浸透している効果もあると推測。家計調査を分析すると、最近は、勤労世帯の所得階層別下位20%(年収318万円以下)、下位40%(年収450万円以下)の消費支出が増えている。ここから、雇用情勢が改善して、下位の所得層まで労働需給改善の恩恵を受けやすくなったと示唆している。
さらに、サービス消費拡大の背景要因として、団塊世代効果を挙げている。団塊世代の消費は一時的な効果かもしれないが、それでも団塊世代の退職直後は、一時的な消費増の要因としてマクロの消費拡大にも寄与していく可能性はある。退職した人々が、これまで労働時間に縛られてできなかったサービス支出に消費をシフトさせている効果が、アウトドア消費に反映している可能性はある、とレポートは分析している。
同レポートの全文は↓
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/kuma/pdf/k_0705c.pdf