ゼイタックス

税務関連情報 (2003/12/26)
エンジェル税制の優遇措置の対象を拡大

 個人投資家がベンチャー企業に投資する際に受けられる税制上の優遇措置、エンジェル税制が2004年度税制改正で拡充される。投資家は年間の株式譲渡益を経済産業省認定のベンチャー企業への投資額分だけ控除されるが、その対象に日本証券業協会のベンチャー企業市場である「グリーンシート・エマージング」の登録企業と優良な投資ファンドが投資する企業を加える。来年4月1日以後に取得する株式について適用される。

 証券会社や投資ファンドを通じた場合、投資先企業に係る適用要件のうち、設立10年以内の中小企業者、大規模会社の子会社でないこと、未上場・未登録会社などの要件はそのままだが、試験研究や事業化に係る費用を一定以上支出することや外部資本が1/6以上などの要件を免除する。

 また、ベンチャー企業の株式公開後に得た譲渡益は半分が非課税となるが、その保有期間要件を、現行の株式公開前3年超保有から「取得時から3年超保有」に見直す。これによって、M&Aなどによる未公開段階での株式譲渡益も圧縮特例が適用されることになる。来年度改正では、非上場株式の譲渡益課税の税率が26%から20%に引き下げられるから投資家のメリットは大きい。2003年4月1日以後の株式譲渡に適用される。

 エンジェル税制は、制度創設以降6年間で利用投資家384名、投資先企業24社、投資額5.4億円にとどまっていたが、中小企業庁では、今回の改正によって、投資家約6000名、投資額約70億円のリスクマネーが、ベンチャー企業約140社に対して毎年継続して供給されると見込んでいる。