経済産業省はこのほど2004年度版中小企業リーフレットを公表し、中小企業に対する経営面や金融面、税制面などの支援措置を紹介している。今回は、そのなから、中小企業税制を利用するにあたって、特に、内部留保の充実や事業承継円滑化のための多くの特別措置について、その概要をみてみたい。
内部留保の充実のために、資本金1億円以下の法人事業者は、法人税や法人事業税での税率軽減や外形標準課税の適用除外、法人住民税の均等割軽減等で税負担が軽減されていることはご存知であろう。ほかでは、1)留保金課税の適用の停止、2)欠損金の繰越控除・繰戻還付、3)資本金1億円以下の中小法人は、年400万円までの交際費支出額のうち90%を損金算入できる、などがある。
同族会社に課せられる留保金課税については、創業10年以内の中小企業や自己資本比率が50%以下の中小法人など一定要件のいずれかに該当すれば、適用が停止される。また、欠損金が生じた場合は、翌年度から7年間は順次繰越して控除(2001年4月以降開始事業年度から適用)することができる。設立5年以内の中小企業等は、当期の欠損と前年の所得を通算して、前年に納付した法人税の還付が受けられる。
一方、事業承継円滑化のための措置としては、まず、特定事業用宅地は400平方メートルまで、特定居住用宅地は240平方メートルまでの相続税の特例(80%減額)措置がある。また、相続で取得した取引相場のない自社株等が一定要件を満たす場合、株式総数の3分の2以内で、相続税評価額10億円以下の部分について、相続税の課税価格が10%軽減される。
そのほか、非上場株式の相続人が相続税の申告期限後3年以内にその株式を発行会社に譲渡した場合、みなし配当課税(最高50%の累進)ではなく、一律20%の譲渡益課税となる。これらの特別措置の詳細は専門家にお尋ねすることをお勧めする。なお、2004年度版中小企業リーフレットの「中小企業税制を利用したいとき」はこちらから。↓
http://www.chusho.meti.go.jp/leaflet/leaflet2004/04.pdf