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税務関連情報 (2006/04/26)

税理士への業務侵害行為が「あった」は1.7%

 東京税理士会の業務侵害監視特別委員会が昨年11月に実施した業務侵害行為に関する実態調査結果(有効回答数2471人)によると、最近の2年間(2003/10~2005/9)に業務侵害行為が「あった」との回答は1.7%だった。前回2004年調査(3.3%)、前々回2003年調査(5.8%)に比べ大幅に減少している。業務侵害行為の主体者については、「税務退職者関係」と「法人・団体等関係」とあるが、今回は後者を対象に実施した。

 侵害行為者の内訳は、「金融機関・証券会社」が全体の33.0%を占めてもっとも多く、次いで「不動産業者」(13.7%)、「記帳代行会社」(9.8%)、「農協・漁協」(3.9%)などの順。無回答を含む「その他」が33.3%あるが、その3分の1は「税理士、税理士法人」である。資産運用などの関係から金融業者や不動産業者が係わるケースが目立つが、税理士や税理士法人が行う誘引行為に関する意見も少なくなかった。

 具体的な侵害行為の手法(複数回答)は、「資金繰りや設備投資(業務拡大)等とからめて他の税理士の関与を示唆」(17.7%)、対前年比5.5%増)、「不動産問題や相続問題とからめて他の税理士の関与を示唆」(16.1%、同8.0%増)、「より詳しい専門の税理士がいるからと強調して勧誘」(12.9%、同2.7%増)が増加して上位を占めた。前回23.5%を占めてトップだった「税理士より報酬が低廉だと強調して勧誘」(9.7%、同▲13.8%減)は大幅に減少した。

 金融機関の場合では、借入金の多い関与先に対して他の税理士を紹介するケースもみられ、全体的には金融機関等による融資や資産運用などに附随して他の税理士の受入れを示唆されたとの回答が多くみられた。ただし、今回の侵害行為の内容をみた限りでは、法令等に違反する内容というよりも、職業倫理に悖るような行為が見受けられたと東京会ではみている。

 こうした侵害行為への対応としては、「関与先と相談した」割合が47.5%と前回よりも10%以上増えてもっとも多いが、その結果、「顧問関係を維持した」のは35.7%、「顧問を即座に解約」(39.3%)と「ある期間後顧問を解約」(25.0%)を合わせ6割強が顧問を解約されており、この割合は前回よりほぼ倍増している。こうした侵害類似行為は自由競争のなかで増加しつつあり、税理士自身の関与先との信頼関係の強化が求められるようだ。