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経営関連情報 (2005/09/14)

「中小企業知的財産戦略マニュアル」作成~特許庁

 わが国経済の発展を支える中小企業が革新的な技術を有していても、それを知的財産として保護・活用する意識が乏しい状況にある。そこで、特許庁では、中小・ベンチャー企業の経営に関わりを持つ人々に対し、知的財産を経営に役立てるための実践的な情報を提供することを目的とした「中小・ベンチャー企業知的財産戦略マニュアル2004」を作成した。経営戦略の一環として知的財産の戦略的活用に取り組む際の参考となろう。

 中小企業白書(2000年)によると、大手製造業の約7割が自社製品に関わる特許を取得している一方で、中小製造業の特許取得率はわずか5%程度に過ぎない。300人規模の中小企業であっても、その取得率は20%あまりに過ぎず、50人以下の中小企業では3%に満たない。また、東京都が2003年度に実施したアンケート調査では、知財担当者を設置していない中小企業が82%に及ぶという。

 東京都の同調査によれば、権利侵害に対して警告を行った中小企業は40%程度に過ぎず、全体の6割の企業は、権利侵害に関する情報を入手しても警告を発していないのである。中小企業の場合、取引先である大手企業に権利を侵害されるケースが非常に多く、こういった場合、中小企業は取引関係を重視する観点から権利侵害に目をつぶるケースが多い。また、人的な面から十分な対抗措置がとれない現状にあるとみられている。

 しかし、特許を取得し、他社へのライセンス供与等によって収益を確保している中小企業が徐々に増えつつある。東北経済産業局の調査(2001年)によれば、現在、ライセンス取引を行っている中小企業の約9割が、経済的メリットを感じている。全体からみれば、ライセンス取引実施企業は一部に過ぎないが、知的財産権を活用した新たな収益確保の手段としてライセンス供与等の手法が根付きつつあることは間違いないといえよう。

 「中小企業知的財産戦略マニュアル」には、知的財産を事業に活用している企業の事例から、知的関連のサービスを提供している事業者の連絡先に至るまで、中小企業が知的戦略を検討・実行するための情報が網羅的にまとめられている。特許庁では、中小企業の知財戦略の立案に同マニュアルが活用されることを期待している。

 「中小企業知的財産戦略マニュアル2004」は↓ http://www.jpo.go.jp/torikumi/chushou/pdf/manual_2004/manual_2004.pdf