国土交通省がこのほど発表した全国のエコ通勤実施結果(コミュニケーション・アンケート)では、モビリティ・マネジメントによる「エコ通勤」の取組みでCO2排出量を年間11.6%削減するとの推計値が示された。モビリティ・マネジメントとは、多様な交通施策を活用し、個人や組織・地域のモビリティ(移動状況)が社会にも個人にも望ましい方向へ自発的に変化することを促す取組み。
モビリティ・マネジメントによる「エコ通勤」については、昨年3月に「モビリティ・マネジメントによる『エコ通勤』促進行動計画」(公共交通利用推進等マネジメント協議会決定)に基づいて公募が行われ、2008年度は840事業所の応募があり、エコ通勤の取組みが実施された。上記調査は、そのうち、国によるコミュニケーション・アンケートに参加した603事業所(従業員約2万9千人が参加)の取組み結果をまとめたもの。
調査結果によると、従業員のもっとも利用割合の多い通勤手段は、「クルマ」が63.0%でトップ、次いで「鉄道・バス」19.1%、「徒歩」7.9%、「自転車」4.4%、「オートバイ」3.6%、「クルマ(同乗)」2.0%の順。こうした通勤実態を踏まえ、クルマをやめてエコ通勤を実施した人の割合は28.3%だった。クルマの代わりの通勤手段は、「バス・鉄道」が51.2%、「自転車」が34.3%、「徒歩」が16.7%、「バイク」が15.3%などだった。
国交省は、今回のエコ通勤の取組みを1年間継続したと仮定したときのCO2排出削減量を3689トン/年と推計している。事前のCO2排出量1599トン/月がエコ通勤実施後は1413トン/月まで11.6%削減できるとしている。今回の取組みが普段の通勤手段を見直すきっかけになったかを尋ねたところ、「きっかけになった」(8.9%)と「少しきっかけになった」(35.4%)を合わせ全体の4割強の従業員がきっかけになったと回答した。
全体の37.0%の従業員が「まったくきっかけにならなかった」と回答しているが、その理由については、「通勤時間が増加するため」が42.2%でもっとも多く、次いで「会社までの鉄道・バスが走行していないため」(21.1%)、「通勤・帰宅時に鉄道やバスが走行していないため」(16.9%)、「勤務体制が不規則なため」(14.3)などが挙げられた。「すでにエコ通勤に取り組んでいたため」との理由を挙げた従業員も14.8%いた。
全国のエコ通勤実施結果は↓
http://www.mlit.go.jp/common/000042183.pdf