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求められる法人税率の引下げ~第一生命経済研究所

税務関連情報 - 2008年06月25日

 法人税率▲5%の引下げで、実質GDPを3.8兆円押し上げるとの試算を示したのは、第一生命経済研究所がこのほど発表した「求められる法人税率の引下げ」と題したマクロ経済分析レポート。諸外国が軒並み税率引下げを実施するなかで、中長期的に国内経済を活性化するためには相対的に高すぎる法人税率は障害となるとして、法人税率引下げに向けて具体的な税率や課税ベースについて、早急に検討することを求めた。

 レポートは、企業が事業環境を選択する際に、税負担は重要な要因の一つであり、過度に高い負担率は事業立地としての魅力を減退させると指摘。法人税率の引下げは、資本コストの低下や企業のキャッシュフロー増加を通じて、設備投資を拡大させるとともに、対内直接投資を拡大し、資本の海外流出を抑制することで、国際競争力を高め、国内経済全般を活性化させるとの考えを示した。

 法人税率を現在の40.87%から35.87%に5%引き下げた場合、最終的に3.8兆円以上のGDP押上げ効果が期待できると試算。一方、税率引下げに伴う減収規模は1年目で1.06兆円となるが、企業のキャッシュフローが改善していくことで、2年目1.03兆円、……、6年目0.96兆円と徐々に減収規模は縮小していく。さらに、GDPの拡大効果による自然増収もあり、最終的に減収規模の7割程度を賄うことができると試算している。

 しかし、財政収支の推移をみると、6年目でも自然増収額の合計が減収額の合計を上回ることができないため、減収を賄うための増税策も併せて検討する必要があるとしている。税収減を賄うためには、消費税の引上げをもって対応すべきとの見方が強いが、現下の経済状況を勘案すれば、法人税率引下げと同時に消費税を引き上げることはためらいがあるとの考えを示した。

 そこで、まずは、法人税率の引下げにより経済を活性化させることが先決であり、増収策については、企業のキャッシュフローの増加や直接投資の拡大を通じて、個人消費にまで十分に影響が波及してから行うべきだと指摘。法人税率の引下げを行う上では、税収減に対する増収によってどの程度ペイするかを見極め、増税の時期や規模に関して明確な基準を定めた上での実施が望ましいとしている。

 同レポートの全文は↓
  http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban_index.html