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税務関連情報 (2006/03/27)

プライマリー収支黒字化の条件は何か~みずほ総研

 財政再建に向けた議論が本格化している。経済財政諮問会議は、6月には歳出削減と消費税増税を組み合わせた複数の選択肢と工程表を提示する予定だが、みずほ総研はこのほど、国と地方の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化させるための条件は何かを分析したレポートを発表した。そこでは、これまでの財政試算においてあまり考慮されなかった税収予測と国債利払費の計算をポイントにおいている。

 レポートによると、まず、税収については、ここ数年、企業収益の低迷やデフレ傾向により税収が落ち込んだことから、控えめな予測が多いが、今後は景気回復と過度な減税の廃止によって、税収の対GDP比が安定するとの考えから、2.5%程度の名目成長率が続けば、2013年度には60兆円を超える税収が期待できるとみる。また、国債利払費が財政再建に及ぼす影響は低いと分析する。

 国債利払費については、高い名目成長率が実現されても金利が上昇し利払費が増大するため、財政再建は難しいとの見方に対し、こうした議論は、利払費に直接影響するのは10年国債金利ではなく、「利払費率(国債平均金利)」であることを踏まえていないと反論。「利払費率」は、10年国債金利に遅れて上昇するため、少なくとも2010年代初頭までの範囲であれば、金利上昇が財政再建を阻む可能性は少ないとの考えを示す。

 以上の税収と「利払費率」の予測手法を前提に2013年度までに一般会計のプライマリー収支を黒字化させるための財政試算を行った結果、税収増だけでは難しとの結論が得られ、黒字化実現のためには、2008年度に3%の消費税率引上げを行うか、相当程度の歳出削減を行う必要がある。もしくは2%の消費税率引上げに加えて、公共事業費やその他一般歳出の5%削減の継続が求められるとしている。

 しかし、同試算よりも名目成長率が約0.5%高い経済財政諮問会議の「中期展望」の前提値を用いて同様の計算を行ったところ、2011年度の一般会計のプライマリー収支が▲3兆円と、「中期展望」自身のプライマリー収支の計算よりも楽観的な結果が得られた。国・地方を合わせたベースでみれば、自然増収増と歳出削減だけで早ければ2010年度にはプライマリー収支の黒字化を達成できるという計算結果を示している。

 同レポートの詳細は↓
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/japan-insight/NKI060316.pdf