昨今の新入社員は成果主義的なシステムに対応した意識に変化していることが、社会経済生産性本部が実施した「2006年度新入社員の『働くことの意識』調査」で分かった。調査結果(有効回答数3937人)によると、会社を選ぶ際に最重視した要因は、「自分の能力・個性が活かせるから」(30.2%)、「仕事がおもしろいから」(21.6%)、「技術が覚えられるから」(14.5%)が上位を占めた。
こうした個人の能力や技能、興味に関連する項目に比べ、勤務先の企業に関連する項目、「経営者に魅力を感じて」(4.3%)、「一流会社だから」(4.3%)、「福利厚生施設が充実している」(2.0%)などは5%に満たない数値だった。終身雇用制の後退を背景とする、昨今の「就社」より「就職」という傾向を反映しているものとみられている。
会社選択の要因で興味深いのは35年前(1971年度)には27%でトップに挙げられていた「会社の将来性」が7%台に落ち込んでいること。代わりに「自分の個性・能力が活かせる」、「仕事がおもしろい」といった項目が上位を占め、“寄らば大樹”的な思考がすたれ、個々人の技能や能力が問われる成果主義的なシステムに対応した意識に変化したことを物語っている。
また、就労意識については、「仕事を通じて人間関係を広げていきたい」(95.9%)、「社会や人から感謝される仕事がしたい」(93.8%)、「どこでも通用する専門技能を身につけたい」(93.3%)が上位に並んだ。昨年との比較では、「リストラへの不安」が38.7%から35.9%へとやや減少、「会社の倒産や破綻への不安」が22.0%から21.6%へと微減した。いずれも昨今の景気の回復傾向の反映とみられている。
仕事中心か生活中心化については、「仕事と生活の両立」との回答が81.2%と大多数を占め、「仕事中心」(9.7%)、「生活中心」(9.0%)を大きく上回った。この項目の経年変化をみると、「両立」派が大多数であることに変わりはないが、「生活中心」派はバブル期をピーク(1991年度23%)に年々減少し始め、反対に「仕事中心」派はバブル期をボトム(同5%)に増加しつつある。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20060621-1.html