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税務関連情報 (2004/11/26)

政府税調、定率減税の段階的廃止を答申に明記

 いよいよ財政健全化に向けた増税路線が動き始めた。政府税制調査会(石弘光会長)は25日、2005年度税制改正に関する答申を小泉首相に提出したが、危機的な状況にあるわが国財政の健全化のためには「税負担水準の引上げが必要」として、定率減税の廃止や消費税率の引上げの必要性を明確に打ち出した。定率減税は2006年度までに廃止すべきだとしたが、景気への配慮など慎重論も強く、実施は政治的判断に委ねている。

 1999年に景気対策のための特例措置として導入された定率減税は、当時に比べ経済情勢は著しく好転したとして、継続しておく必要性が著しく減少したと指摘。経済への影響を配慮して、2005年度税制改正で減税幅を半分に縮減(実施は2006年1月から)、2006年度に全廃する案を提示している。現在、所得税額の20%(上限25万円)、個人住民税額の15%(同4万円)を控除しており、廃止すると年間約3兆3千億円の増税となる。

 政府税調では、定率減税は個人所得課税体系を歪めているとの認識がある。その廃止は、国・地方の三位一体改革のなかで2006年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実施するための大前提と捉えている。そのうえで、個人所得課税は、課税ベースの拡大、税率構造、諸控除の見直しが進められることになる。

 消費税については、2010年初頭における基礎的財政収支(プライマリーバランス)の黒字化に向け、税率の引上げの必要性が明記された。将来、税率が二ケタ台になった場合の軽減税率採用の是非、極力単一税率が望ましいこと、インボイス方式の採用、基本的に一般財源とすべきことなど、今後の検討課題が示されたが、つまりは、いよいよ消費税率引上げに向けた本格的な議論が開始されるとの姿勢を鮮明にしたわけだ。

 そのほか、焦点のひとつとなっていた金融所得課税の一体化は、導入に伴うシステム構築に時間がかかることから、来年度の導入は見送られた。環境税についても、その果たすべき役割が具体的に検討されることが必要だとして、早急に検討するとはしたものの見送られている。また、第三のビールの登場で話題となった酒税については、税制を簡素化し、酒類間の税負担格差を縮小する方向で早急に見直すとしている。