帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、3月の倒産件数は1127件となった、前月比は20.5%の増加、前年同月比も23.0%の増加となり、3ヵ月連続で前年同月を上回り、法的整理のみに集計対象を変更した2005年4月以降で最多となった。倒産件数は、一進一退を繰り返しながらも、確実にベースラインが上昇してきており、ここにきて増加基調を強めている。
一方、負債総額は4559億3400万円で、前月比は8.1%の減少、前年同月比も3.6%の減少、2ヵ月ぶりの前年同月比減少となった。これは、負債1億円未満の中小・零細企業の倒産が675件(構成比59.9%)発生し、前年同月比22.7%の大幅増加となったことにある。また、地場小売、建設業者を中心に中堅クラスの倒産も散発し、負債50億円以上100億円未満の倒産は14件(前月11件、前年同月14件)となった。
倒産件数が大幅に増加した背景には、各産業に原料高の影響が広がったことがある。具体的には、(1)公共工事削減、資材高などから業界環境の悪化が深刻な建設業の倒産が307件に急増(前年同月比27.4%増)、(2)サービス業(192件、前年同月比12.9%増)、製造業(169件、同21.6%増)の倒産が2005年4月以降最多、(3)原料高の影響による倒産が45件発生し、2ヵ月連続で過去最多を更新している。
また、資本金別にみると、個人経営(196件、前月比26.5%増、前年同月比21.0%増)、資本金1000万円未満(367件、同29.2%増、同33.5%増)の小規模企業の倒産が高水準で推移している。この要因・背景としては、(1)原料高で仕入価格上昇も、販売価格への転嫁が進まない中小・零細企業が増加、(2)大企業との価格競争が激化し、力尽きる中小小売業者の増加、などが挙げられている。