中小企業金融公庫は、ベンチャー企業等向け融資「新事業育成資金」の2004年度融資実績が440社、205億円となり、社数・金額ともに年度実績として過去最高だったことを明らかにした。前年度に比べ融資社数は26%増、融資金額は35%増となっている。新事業育成資金は、高い成長が見込まれる新規事業に取り組むベンチャー企業等を支援するために創設されたもの。
新事業育成資金の実績が増加傾向にあるのは、1)「新事業への取組みなどにより付加価値向上を図らなければ生き残れない」との危機感のもと、中小企業の間に新規事業への取組みが広がってきていることに加え、2)地域金融機関とのリレーショナルバンキング連携の進展などが要因とみられている。同育成資金の累計融資実績は、制度が創設された2000年2月から2005年3月までで1314社、662億円に及ぶ。
新事業育成資金は、ベンチャーの円滑な資金調達を支援する観点から、事業見通しを考慮したうえで、1)申込企業が新たに発行する新株予約権を中小公庫が取得し、無担保資金を供給する仕組み(累計101社に適用)、2)所定の特約締結を条件に経営責任者の個人保証を免除する特例(2004年4月の取扱い開始以降17社に適用)などを適用し、担保や保証人に頼らない融資に取り組んでいる。
なお、融資企業のうち、すでに11社が株式公開を果たしている。中小公庫では、2005年度業務運営方針の重点取組み事項として「政策性の高い融資の推進」を掲げており、引き続き地域金融機関と連携して、新事業育成資金の融資に積極的に取り組み、地域中小企業の活性化、地域振興に貢献していく方針だという。