ゼイタックス

日税連、10年度税制改正へ26建議項目等を公表

税務関連情報 - 2009年07月03日

 税理士法では「税務行政その他租税または税理士に関する制度について、権限ある官公署に建議し、またはその諮問に答申することができる」と定めているが、日本税理士会連合会はこのほど、この規定に基づいて「2010年度・税制改正に関する建議書」を6月25日に開催された第1回理事会で決定し公表した。同建議書では26項目の税制改正建議項目のほか、中長期的な視点からの検討課題に対する基本的な考え方を表明した。

 建議項目のなかで企業関係では、(1)少額減価償却資産の取得価額基準の引上げ、(2)特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度の廃止、(3)交際費等の範囲を見直し、社会通念上必要な支出は原則損金算入するとともに、定額控除限度額内の10%課税制度を即時廃止、(4)受取配当等は全額を益金不算入、(5)同族会社等の行為計算否認規定における「税の負担を不当に減少させる結果」の意義を法令で明確化、などがある。

 建議項目以外では中長期的な視点からの検討課題として、「法人税の課税ベース拡大と税率引下げ」、「消費税の改正」、「納税者番号制度の導入」の3項目に対する基本的な考え方を示した。法人税の課税ベースの拡大の検討にあたっては、結果として中小企業への増税とならない配慮や、企業会計とは別に税務上の利益を算定するための帳簿作成や申告事務など企業での事務負担が増大し複雑な税制となることを十分考慮すべきとした。

 また、消費税の改正については、税率引上げは歳出の見直しや行政の合理化、税体系のあり方について慎重かつ十分な検討を行い、国民の理解を得た上で行う必要性を強調。税率引上げに伴う逆進性や軽減税率、インボイス方式の問題点を指摘した上で、消費税率引上げの際の税率構造と仕入れ税額控除方式については、さらなる慎重な議論が必要であり、少なくとも当面は単一税率を維持すべきとの意見を示した。

 同建議書の全文は↓
 http://www.nichizeiren.or.jp/guidance/pdf/kengisyo-H22.pdf