政府税制調査会が11月28日に公表した2009年度税制改正に関する答申では、相続税の課税方式を遺産取得課税に改めることや、国際課税について、親子間の受取配当を非課税とする制度の導入を提言した。また、政府が打ち出した住宅ローン減税や中小企業対策税制などの当面の景気対策を容認する一方、年末までに策定予定の「中期プログラム」においては、消費税率引上げなど税制抜本改革の実施時期を明示することを強く求めた。
答申によると、相続税の課税方式について、現行の被相続人の遺産総額をもとに課税額を決める現行方式は、同じ額の財産を取得しても税額が異なる可能性がある(財産取得者の水平的公平性が損なわれる)ことや、一人の相続人等の申告漏れ等により他の共同相続人等にも追徴税額が発生するなどの問題があると指摘。各人が取得した財産に基づき課税額を算出する遺産取得課税方式に改めることを検討すべきであるとした。
また、国際化が進展するなかでわが国経済の活性化の観点から、わが国企業が海外市場で獲得する利益の国内還流に向けた環境整備が重要として、現行の間接外国税額控除制度に代えて、外国子会社からの配当について親会社の益金不算入とする制度の導入を提言。同制度導入によって、国内に還流する利益が、設備投資や研究開発、雇用等幅広く多様な分野でわが国経済の活力向上のため用いられることへの期待を示した。
なお、政府が年末までに策定する予定の「中期プログラム」については、その策定を通じて税制改革の道筋を明らかにすることは社会保障の安定財源確保と税制抜本改革の具体化に向けた第一歩として重要な意義を持つものと評価。政府税調は、その策定にあたり、消費税を社会保障の財源と位置づけ、引上げを提言した昨年の答申を十分に反映させるとともに、消費税引上げなど税制抜本改革の実施時期を明らかにすることを強く求めた。
政府税調の答申の全文は↓
http://www.cao.go.jp/zeicho/tosin/pdf/201128a.pdf