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経営関連情報 (2007/05/16)

事業用資産の承継が重要~中小企業白書

 2007年版中小企業白書によると、円滑な事業承継を進めるためには、経営者個人の事業用資産を円滑に後継者に引き継ぐことが重要だと指摘している。中小企業経営者の個人資産に占める事業用資産の割合をみると、法人、個人ともに事業用資産が金額ベースで約3分の2を占めている。事業用資産の内訳は、事業用資産が約31%、自社の株式が約27%を占めている。

 事業承継に際しては、これらの事業用資産を後継者になるべく集中することが望ましい。親族内承継では、生前贈与や遺言などで、ある程度資産集中が可能だが、遺留分など民法上の制約が障害となるケースも多い。また、従業員などへの承継の場合には、さらに課題も多く、特に株式については、経営安定化のためにも後継者に一定程度集中させることが必要だが、資力等の問題もあり、親族外の後継者に十分な株式を取得させることは難しい。

 後継者への株式の集中を円滑に進めるためには、給与を増額するなどして、後継者による株式買取りを少しずつ進めていくことのほか、1)会社による自社株式の取得を行い後継者の持株比率を上げる、2)後継者以外の人に相続する予定の株式を譲渡制限株式にしておくなど、会社法を活用した対策も考えられる。また、経営上必要な不動産に関しては、あらかじめ会社が購入し、会社所有とするなどの対策が必要となるケースもある。

 一方、親族内承継で、事業用資産を相続できるケースでも、相続税などの税負担が問題となってくる。会社に貸し付けている宅地については、面積要件を満たせば、相続税評価額を80%軽減する措置が受けられ、非上場株式については、相続税評価額の10%軽減措置があるが、会社の収益に応じて税負担が高額となる傾向にあり、白書では、事前に十分な準備を行うことが重要とアドバイスしている。