社会経済生産性本部は、経営革新特別委員会による「日本型独創経営を考える」と題した提言を発表した。企業経営は、「価値を創造する」という主観の世界と、それを利益に結びつけるための客観的なロジックの世界の両方を常に俯瞰しながら最適解を求める姿こそその本質であると考え、経営者はゆるぎない信念を持って経営にあたるべきとの思いから「日本型独創経営」と名づけて提言したという。
提言によると、多くの日本企業の現状は、「質」よりも「量」、二律背反を乗り越える「弁証法」よりもどちらかひとつを選択する「ディベート(疑問に関するフォーマルな議論)」、「創造性」よりも「効率性」、「直感」よりも「分析」に傾きすぎていると思われる。効率性、安定性、合理性、説明責任を求められる企業経営の現実は、どうしてもそのような傾向があるとの考えを示している。
このために、楽しくない、閉塞感がある、個の潜在力を発揮できない、といった症状が表れているのではないかとの問題を提起。「量」、「ディベート」、「効率性」、「分析」だけでは十分でないと同時に、「質」、「弁証法」、「創造性」、「直感」だけでは効率性や安定性にかける。個の潜在力を生き生きと発揮させ、創造性のある組織、自己革新を続ける、しかも競争力ある組織は、これらの2つを同時追及できる組織だと指摘する。
そこで、1)企業が顧客に提供しているのは、突き詰めていえば、経験であり、人間の持つ「質感」であるという本質思考を徹底せよ、2)経営意思決定においては、直面する課題を2軸に両極化し、どちらか一方を切り捨てるのではなく、矛盾、対立する課題を弁証法的アプローチで乗り越えよ、3)創造性を発揮できる組織づくりのために、探索活動を仕組みとして確立せよ、4)分析症候群に陥らずに、高度な原体験の積み重ねによる真実に迫る直観力を磨き上げよ、と提言している。
提言の詳細は↓
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-top1.html