30万円未満の少額減価償却資産の即時償却の特例は、2006年度税制改正において適用期限が2008年3月末まで2年間延長されたが、適用対象となる少額減価償却資産の取得価額の合計額について年間300万円という上限が設けられている。この限度額300万円については注意点が2点ある。それは、上限までの計算方法と個人事業者や4月が期中の場合の法人の限度額の判定である。
上限までの計算方法は、例えば、1台29万円のパソコンを11台購入した場合、総額は29万円×11台で319万円となるが、このケースでは、10台分の290万円のみが適用対象となる。300万円を超える19万円という金額ではなく、限度額を超えることになる残りの1台は即時償却ができない。改正前までは、中小企業者が購入した減価償却資産が30万円未満であればすべて即時償却を認めていたが、そこに総額の上限規制を加えたのだ。
また、この特例は4月1日以後に取得し事業の用に供された減価償却資産が適用対象となるが、個人事業者や4月が期中の法人は、限度額300万円を月数で按分する必要があるのだろうか。例えば、個人事業者の場合、4月から12月までの9ヵ月間だから、300万円×9÷12で225万円が限度額となるのかという疑問がある。結論をいえば、9ヵ月間でも限度額は300万円となる。
法人の場合でも、例えば4月決算法人であれば、適用対象後の事業年度は4月だけだが、その1ヵ月のみでも限度額は300万円となり、5月からはじまる新事業年度の1年間も総額300万円まで即時償却できる。ただし、事業年度が1年に満たない半期決算法人については、各事業年度について300万円が限度額ということではなく、あくまでも1年間での限度額が300万円ということになる。