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税務関連情報 (2007/03/09)

2005年分申告に係る特定支出控除はわずか13人

 特定支出控除という制度をご存知だろうか。サラリーマンにも確定申告の道を拓くものとして1987年に創設されたが、その適用者は毎年多くても十数人程度に過ぎず、形骸化しているとの声が強い。このほど衆議院予算委員会に提出された資料によると、昨年2005年分所得税の確定申告(2006年3月末現在)における給与所得の特定支出控除適用者はわずか13人だったことが明らかになった。

 特定支出控除は、給与所得者が特定の支出をした場合、その年の特定支出の合計額が給与所得額を超えるときは、その超える金額が給与所得控除後の金額から差し引けるものだ。特定支出は、1)通勤費、2)転勤に伴う引っ越し費用等、3)研修費、4)一定の資格取得費、5)単身赴任者の勤務地と自宅の往復旅費の5つ。ちなみに、2005年分では、資格取得費6件、研修費5件、通勤費4件、転居費1件の合計16件だった。

 上記の5つの特定支出は、給与の支払者が証明したものに限られ、また、給与の支払者から補てんされる部分があり、かつ、その補てんされる部分が課税されていないときは、その部分は除かれる。確定申告の際には、特定支出に関する明細書や給与の支払者の証明書を申告書に添付し、搭乗・乗車・乗船に関する証明書、支出した金額を証する書類を申告書に添付または提示する必要がある。

 特定支出控除の適用が少ないのは、わが国の給与所得控除の水準が相当に高いためといわれている。そこで、現行の給与所得控除の「他の所得との負担調整」的部分を見直し、「勤務費用の概算控除」としての性格をより重視する方向で見直していけば、特定支出控除の選択的適用が増加するとの意見もある。今後の抜本的税制改革のなかでは、給与所得控除も含めたところでの特定支出控除の見直しが大きな課題の一つといえる。