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過大申告した税金も更正請求で還付される?

税務関連情報 - 2008年09月05日

 申告後に、計算誤りなどで納税額が多すぎたと気づいたときは、法定申告期限から1年以内であれば、税務署長に対し減額更正の請求ができる。更正の請求が認められれば、納めすぎた税金は還付される。しかし、この更正の請求による還付がすべてのケースで認められるわけではない。例えば、粉飾など仮装経理による過大申告の場合は認められない可能性が高いので注意したい。

 企業にとって黒字申告であることが経営上必要な場合がある。典型的なケースでは、官公庁の仕事を入札する際に法人税をきちんと納めたことを示す納税証明書の提出が義務付けられることが多い。また、銀行から融資を受けるためにも、黒字であるほうが有利となる。そこで、実際は赤字なのに、翌期分の売上を繰上計上などして所得を水増し、過大申告する企業も見受けられる。

 こうした企業のなかには、「後で更正の請求をして、納めすぎた税金を還付してもらえばいい」と考えるところもあるかもしれない。しかし、更正の請求を定めた国税通則法では、所得などの計算が法人税法の規定に従っていなかったことや、その計算に単純な誤りがあったことで過大申告となった場合のみに更正の請求を認めている。だから、仮装経理による過大申告は、更正の請求が認められない可能性が高いことになる。

 いずれにせよ、企業側も必要性があって過大申告するわけだから、納めすぎた税金は必要経費と考えて取り戻すなどと思わないほうがいいだろう。もっとも、官公庁発注の仕事を受けるために過大申告するケースでは、ほとんどの企業がはじめから少額の黒字申告にとどめているため、実際には面倒な更正の請求をしようとは端から考えてはいないようである。