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税務関連情報 (2005/09/23)

中国、企業所得税の統一に外資優遇税制撤廃の動き

 中国に企業所得税(法人税)の統一に向けた外資優遇税制撤廃の動きがあると伝えるのは、内閣府がこのほど発表した分析レポートである。同レポートによると、2003年のSARSの影響を除けば二ケタの成長を続けていた対中直接投資額は、2005年4月以降、前年同月比で二ケタの減少がつづいており、4~6月期は前年同期比で12.1%減の151億7500万ドルとなった。

 これまで台湾、米国、香港などが主要な資本の出し手だったが、これらの国・地域からの投資が総じて減少しているという。この対中投資の減少要因のひとつとして、レポートは、中国に外資優遇税制撤廃の動きがみられると指摘する。現在、中国の企業所得税は、国内企業に対して33%の基本税率が適用されている。外資系企業に対しても同様に33%であるが、実態は大幅な隔週優遇税制が行われている。

 それは、会社設立後、黒字に転換してから2年間は免税、その後3年間は法定税率の半額という「二免三減」や、経済特区内に設立されたハイテク等特定企業に対する減税などだ。その結果、実際に外資企業に適用されている平均税率は15%となっている。こうした優遇措置は、中国が国家政策として進めた外資誘致策や特定地域の発展加速政策の大きな柱だった。

 しかし、現在では、国内企業の育成方針やWTO加盟を背景とした内外無差別の原則に反するとして、外資企業に対する優遇税制の縮小によって、内外の企業所得税を統一する方向で検討、と報じられている。具体的な時期や税率については未定という。

 なお、対中投資の減少要因として、そのほか、1)労働力不足およびそれに伴う賃金の上昇、2)電力や水などインフラ不足、3)投資や国内需要の一巡、4)知的財産権保護など制度面の未整備、5)為替リスクの拡大などを挙げている。また、契約ベースの金額は足元では高い伸びを示していることから、こうした直接投資の減少傾向がつづくか否かを見極めるには、もう少し時間を要するとみている。