国民生活金融公庫はこのほど、今年3月末までの1年間(2005年度)における「女性、若者/シニア起業家資金」(創業前や創業後おおむね5年以内)の融資実績が、2001年度の制度創設以来、過去最高の実績となったことを明らかにした。融資件数は前年度に比べ64.2%増の1万1117件、融資総額は同38.2%増の567億円と、件数・金額ともに大幅に増加した。
内訳は、「女性」が半数を占めて5583件(対前年度比21.7%増)、297億円(同12.1%増)、「シニア」が2842件(同30.3%増)、165億円(同14.0%増)、また、2005年4月から新たに融資対象に加わった30歳未満の「若者」については2692件、104億円となっている。女性は「サービス業」(23.0%)や「小売業」(22.6%)など、お客様と直接接触する機会が多く、女性ならではのきめ細かさを生かせる業種での創業が多くなっている。
国民公庫は、LLP(有限責任事業組合)を活用した女性起業家への融資事例を紹介している。事例は、ネイルアートやカラーコーディネートなどの資格を持ちながら、経験や資金などがネックとなって、その能力を発揮する機会に恵まれない女性を組織化し、スキルアップ、企画・宣伝など総合プロモーション事業を行うLLPを立ち上げたもの。組合員は、法人1社、個人8名が参加している。
LLPは、2005年8月から設立が認められた制度で、事業への貢献に応じた柔軟な利益配分ができる。事例は、組合員の多くが会社員であることから、2つの会社の正社員となることが難しいため、株式会社とせずLLPとした。LLPには法人格がないため、LLPは課税されず、出資者に直接課税される。企業同士が出資して行う共同事業や個人同士が出資して行うジョイントベンチャーに向いているといわれる。