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1~9月の飲食業倒産606件、震災発生後は二ケタ増

経営関連情報 - 2011年11月02日

 2011年1月~9月の飲食業の倒産が前年同期比5.3%増の606件だったことが、東京商工リサーチが発表した飲食業の倒産動向で分かった。特に震災発生前の1月~3月が同9.8%減だったのに対し、震災発生後の4月以降は、5ヵ月連続で前年同月を上回り、4月~9月では同15.0%増の405件と震災後の増勢ぶりが目立った。このペースで推移すると、年間ベースでは、過去20年間で最多だった2009年の789件に迫る勢いにある。

 一方、今年1月~9月の飲食業倒産の負債総額は、前年同期比35.1%減の375億900万円にとどまった。これは、負債10億円以上の大型倒産が6件にとどまる一方で、負債5千万円未満の小規模倒産が、同8.0%増の459件と増えたことが影響している。また形態別では、「破産」が同5.5%増の534件と、全体の約9割を占めて、厳しい経営環境を浮き彫りにした。

 業種別では、居酒屋を含む「酒場、ビヤホール」が前年同期比11.1%増の90件と増加が目立った。特に震災発生後は、宴会等の自粛に加え、“内食・中食志向”を背景に、外出を控えて自宅で食事や飲食を嗜む“家飲み需要”がより高まりをみせ、同27.6%増の60件と増勢が加速した。このほか、牛肉ユッケ食中毒事件や、国産牛肉のセシウム汚染問題が相次いで発生した影響もあって、「焼き肉店」が同78.5%増の25件と急増した。

 飲食業倒産の増加は、東日本大震災の発生が影響し、歓送迎会シーズンでの「宴会自粛」の広がりや、計画停電、営業時間短縮、節電対応による看板消灯などで、夜間の外出客が減少。また花火大会や夏祭りなどの各種イベントが自粛され、人が集まる機会が減ったことも響いたと分析。ただし、こうしたなか、一部企業のサマータイム導入を機に、「午後4時開店」、「飲み物半額」など、夕方早い時間帯の集客に注力しているところもみられた。

 業界全体では、大手飲食店チェーンなどは震災による急激な売上の落込みから回復傾向にあるものの、小規模な業態では依然として業績が低迷するなど、バラツキがあることから今後も厳しい状況が続くとみられている。