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新卒者の採用内定取消しが昨年度の3.5倍の331人

経営関連情報 - 2008年12月01日

 雇用失業情勢が下降局面となるなか、来年4月就職予定の大学生や高校生などの新卒者で、企業から内定を取り消された者が、11月25日現在ですでに昨年度(94人)の3.5倍となる331人にのぼることが、厚生労働省が各ハローワークを通じて確認した人数の集計で明らかになった。同省は、新卒者の円滑な就職を強力に支援するため、大学生等からの採用内定取消し等に関する特別相談窓口を設置するなどの取組みを実施する。

 内定取消しの内訳は、大学生や短大生などが302人(昨年度37人)、高校生が29人(同57人)。内定を取り消した企業数は87社(同31社)だった。業種別にみると、「不動産業」が12社、84人、「サービス業」が23社、66人、「製造業」が17社、59人、「飲食店・宿泊業」が2社、49人など。事業所の規模別では、「300人以上」が24社、177人、「99人以下」が40社、81人、「100~299人」が23社、73人となっている。

全国10の地域別でみると、「南関東」(埼玉、千葉、神奈川、東京)が140人と全体の4割強を占めて突出して多く、次いで「九州」(沖縄を含む)が60人、「北陸」が37人、「中国」が24人、「東海」が21人などだが、「北海道」はゼロ人、「四国」は2人だった。また、取消しの理由は、倒産など「経営破たん」によるものが116人、「経営の悪化」によるものが212人、「不明」が3人だった。

その後11月28日には日本綜合地所が来春入社予定の大学生53人全員の内定を取り消したことが報じられており、今後も内定取消しが増える可能性があることから、厚労省は、全国47都道府県に特別相談窓口を設置するほか、企業に対し「新卒者の採用に関する指針」の一層の周知を図る。同指針には、採用内定の時点で労働契約が成立したとみられる場合には、合理的な理由がない限り取消しは無効とされることなどが盛り込まれている。