税 務 関 連 情 報

2002年07月17日-001
外形標準課税導入による法人事業税負担の変化

 法人事業税への外形標準課税導入が税制改革の焦点のひとつとなっている。昨年11月に総務省が示した導入具体案は、所得課税部分(所得割)と外形標準課税部分(企業の付加価値額への課税部分(付加価値割)+資本への課税部分(資本割))で構成される。所得課税部分は現行税率(9.6%)から半分(4.8%)に引き下げられるため減税になるが、外形標準課税部分は増税となる。外形標準課税を導入すると、企業の税負担は、付加価値額、資本の規模など企業の外形部分や所得によって大きく違ってくるわけだ。UFJ総合研究所はこのほど、このような外形標準課税導入による法人事業税負担の変化を調査したレポートを公表した。

 レポートによると、業種別に企業の人件費(付加価値額の約8割)、資本、法人所得の状況をみると、1社あたりの人件費、資本は、化学、鉄鋼金属、機械、運輸通信(含む電気ガス)といった装置産業において全産業平均に比べ大きく、外形標準課税導入によって税負担拡大の要因となる。しかし、化学、機械、運輸通信の1社あたりの法人所得は全産業平均に比べ大きく、税率引下げによる減税額を大きくする要因となる。このように、どの業種においても税負担拡大要因と縮小要因が混在している。

 利用可能な統計を用いて業種別に現行税額と外形標準課税導入による新税額を試算したところ、建設、繊維、鉄鋼金属、小売、サービスの新税額が、現行税額に比べ3割以上増加する結果となった。一方、卸売の新税額は現行税額とほぼ同額、化学の新税額は現行税額よりも小さくなる。なお、試算対象業種全体の新税額は現行税額に比べ約4,800億円(現行税比約16%)増加する結果となった。企業の収益状況が変化しないと仮定した場合、黒字企業が負担する税額は試算対象業種全体で現行税額より8.8%減少し、現在は法人事業税を負担していない赤字企業が約7,400億円と新税額全体の2割強を負担する。

 

 

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