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経営関連情報 (2004/09/10)

原油価格の上昇、継続すれば収益の悪化が懸念

 今年7月以降、原油価格が急速に上昇し、わが国経済に与える影響が懸念される。マクロ経済的にみれば、わが国経済に占める原油輸入の割合が低下していることもあり、過去と比べ影響は大きくないとの見方もある。しかし、個別の産業・企業ごとにみれば、その影響には違いがありうることから、経済産業省は実態調査を行い、その結果を7日に公表した。調査対象は主要業種及びエネルギー依存度が高い12業種・95社。

 調査結果によると、原油・石油製品の価格上昇の継続期間については、見通しが立たないとする企業が大半だが、回答が得られた企業では多くが6ヵ月程度は継続すると見通している。

 原油・石油製品の投入比率が小さい電気機械や自動車などの業種では、影響は小さいが、今後価格上昇が継続する場合には、電力・物流、原材料などの二次的コスト上昇が懸念されている。一方、原材料・燃料として多くの原油・石油製品を使用している化学、繊維、紙・パルプなどの業種では、一定の影響がみられるが、最近の景気回復のなかで、企業の業績が好調なことなどから、今のところ、影響は深刻なものとなっていない。しかし、市場における競争激化などから円滑な価格転嫁も困難な企業があるなか、今後価格上昇が継続する場合には、収益の悪化が懸念される。

 エネルギー関連業種のうち、電力・ガスについては、原油・石油製品の原価に占める比率が小さいうえ、燃料費調整制度があることから基本的に影響はない。他方、石油精製や石油製品では、一般消費者向けのガソリンなどでは価格転嫁が進んでいるが、事業者向けを中心に必ずしも価格転嫁が行われていないケースもあり、今後価格上昇が継続する場合の影響が懸念されている。

 総じてみれば、今のところ、原油価格の上昇は企業経営に対して深刻な影響を及ぼしていないが、このご価格上昇が継続する場合には、間接的・二次的影響を含めて収益の悪化が懸念される、というのが経産省の調査の結論である。

 具体的な業種別の実態など調査の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/policy/economic_industrial/press/0005556/0/040907genyukakaku.pdf