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経営関連情報 (2005/05/27)

民事上の個別労働紛争相談が過去最高の16万件

 個別労働紛争処理制度は、個々の労働者と事業主の紛争を、裁判に持ち込まず紛争当事者間で自主的かつ迅速な解決を図る制度。厚生労働省が23日に発表した2004年度における同制度の施行状況によると、民事上の個別労働紛争に係る相談件数が16万件を超え、過去最高となるなど同制度の利用が着実に増加していることがわかった。この背景には、個人での紛争解決を迫られるパートや派遣労働者の増加などがあるとみられている。

 全国約300ヵ所に設けられた総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談は、2004年度1年間で前年度比12.2%増の82万3864件だった。このうち、労働関係法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げなどのいわゆる民事上の個別労働紛争に関するものが過去最高の同13.7%増の16万166件に達した。内容は、「解雇」が27.1%でもっとも多く、「労働条件の引下げ」(16.0%)、「いじめ・嫌がらせ」(8.1%)と続く。

 また、自主的な紛争解決が難しい場合は、弁護士などの有識者で構成された紛争調整委員会にあっせんを申請できるが、2004年度の申請件数は前年度比12.4%増の6014件だった。処理状況をみると、「合意が成立」したものは2638件、申請者の都合による「申請取下げ」が480件、紛争当事者の一方が手続きに参加しないなどの理由による「あっせんの打ち切り」が2700件となっている。

 処理期間は、「1ヵ月以内」が66.4%、「1ヵ月超2ヵ月以内」が26.5%とおおむね迅速に処理されている。申請者は、労働者が5880件と大半を占めるが、事業主からの申請も113件、労使双方からの申請も3件あった。労働者のうち6割は正社員だが、パート・アルバイトや派遣労働者も3割を占める。事業所の規模は、「10~49人」が34.4%ともっとも多く、「10人未満」が21.8%、「50~99人」が10.7%となっている。

 あっせん例をみると、事業不振を理由に一方的に正社員からパートへの変更を打診された、労働条件引下げに係るものがある。申請者は、納得できずに退社したところ、退職とみなされ退職届の提出を迫られていたことから、正社員としての復職か職を失うことについての補償金の支払いを求め、あっせん申請を行ったもの。その結果、事業主側が和解金を支払うことで合意が成立している。

 2004年度個別労働紛争解決制度施行状況の詳細は↓
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/05/h0523-1.html