新政府税制調査会の2010年度税制改正に向けた審議がスタートしているが、焦点の一つに租税特別措置をゼロベースから見直すための具体的方策の策定がある。同税調では、租税特別措置及び非課税等特別措置の見直しや透明化に関する論点整理を行うため、プロジェクトチーム(租特PT)を設け、租税特別措置等の適用実態を明確にし、その効果の検証に役立てる仕組み(租特透明化法)などを検討し、その結果を税調に報告する。
租税特別措置による国税の特例措置は、法人税関係92項目、所得税関係111項目など計310項目ある。これらの2009年度予算の増減収見込額は、減収が7兆3510億円、増収が2兆2300億円で差引き5兆1210億円の減収だ。このほか、地方税法による特例措置が、固定資産税・都市計画税関係135項目、不動産取得税関係80項目など計338項目ある。減収見込額が1兆3630億円、増収見込額が5780億円で差引き7850億円の減収となる。
政府は、これらの特例措置について、減税措置の適用状況や政策評価などを明らかにした上で、恒久化あるいは廃止の方向性を明確にする「租税特別措置透明化法」を制定する考えだが、当面は2009年度末に適用期限を迎える特例措置が俎上に上がる。国税では、中小企業投資促進税制や住宅取得等資金の贈与に係る相続時精算課税制度の特例、情報基盤強化税制など計47項目ある。
地方税では、新築住宅に係る特例措置(固定資産税)や居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例措置(個人住民税)など計76項目ある。増減収見込額は、国税が2660億円の減収、地方税が1880億円の減収。2010年度の一般会計予算が予想以上に膨れ上がりそうなだけに、どれだけ切り込めるのか注目される。なお、租特PTは、11月中旬を目処に租特見直しの論点整理を取りまとめる予定だ。