第89回全国高校野球選手権は49代表校が出揃って、8日から熱戦が繰り広げられている。高校野球ファンにとって優勝校が決まるまではテレビに釘付けの毎日となるが、特に出身校が出場している場合は、応援が一層熱いものとなろう。ところで、甲子園出場には旅費や滞在費など多額の費用がかかることから、母校が出場決定後や勝ち進むにつれOB・地元企業などへ寄附の依頼書が届くことになる。
こうしたケースで企業が支出する費用は、税務上の問題が発生する可能性があるので注意する必要がある。例えば、会社の社長が自分の出身高校に対して会社名で寄附を行ったような場合だ。こうしたケースでの寄附金は、本来は社長が個人的に負担すべきものであることから、これを会社が代わりに負担したことになり、社長に対する賞与と認定される可能性が高くなる。
ただし、地元企業として、その甲子園出場校に寄附を行っておくことに営業上メリットがあるようなときには、法人の寄附として認められる場合もある。例えば、その高校から毎年新入社員を大量に採用している場合や、その高校に制服や文房具・書籍、卒業アルバムなどを購入してもらっている場合、清掃サービスなど何らかのサービスを提供している場合などが考えられよう。
ちなみに、甲子園出場校に対する寄附金は、全額損金となる国等に対する寄附金や財務大臣が特に指定する寄附金と違って、一般の寄付金として一定の限度額までしか損金とならない。その限度額の計算は、「(資本等の金額×事業年度の月数/12×2.5/1000+所得金額×2.5/100)×1/2」の算式で求められる。また、実際に支出されなければならず、仮に未払寄附金として損金経理しても認められないことにも留意したい。