ゼイタックス

税務関連情報 (2006/05/24)

人材投資促進税制における「教育訓練費の範囲」

 国税庁はこのほど、2005年度税制改正に伴う通達改正において新設された人材投資促進税制における「教育訓練費の範囲」の趣旨を明らかにした。新設項目においては、教育訓練費は、自社の使用人に対して行う教育訓練等の費用に限られるのだが、自社の使用人と同様に働く専属下請先などの使用人が含まれ、その数がきわめて少数のときは、その費用の全額を教育訓練費の額とすることができると定めている。

 これは、ひとつの教育訓練等の対象者のなかに、自社の工場や店舗などで自社の事業に従事する専属下請先などの従業員が含まれている場合であっても、その教育訓練等を行った効果は自社の事業に対して役に立つとの考えだ。このようなときの費用の全額を同制度の適用対象となる教育訓練費に含めたとしても、教育訓練費の額を増加させた企業を優遇する同制度の趣旨に反することにはならないと説明している。

 ところで、この「きわめて少数」かどうかの判断基準については、その教育訓練等の規模にかかわらず一律に「受講者全体の何%以下」として取り扱うと、その教育訓練等の規模が小さいと一人の対象者も含めることができないことになるので、その教育訓練等の規模によっては、その専属下請先などの従業員が数名程度であっても「きわめて少数」として取り扱っても差し支えないことを明らかにしている。

 また、「使用人」とは、通常、正社員や契約社員、パート・アルバイトなど自社と雇用関係にある者をいい、雇用関係にない派遣社員や請負労働者は適用対象とならないと考えられる。しかし、派遣先の企業と指揮命令関係にある派遣社員が、1)正社員等と同一の職務に従事し、2)その同一の職務に係る教育訓練等に参加している場合には、その派遣社員に要した教育訓練費を派遣先企業の教育訓練費に含めることを認めている。

 なお、請負労働者については、注文主との間で派遣社員のような指揮命令関係がないことから、派遣社員のような取扱いはなく、上記の通達本文の取扱いのように、その請負労働者の数が「きわめて少数」である場合に限り、同制度の適用対象となるとしている。