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中小企業の業況感、厳しい状況続くもマイナス幅縮小

経営関連情報 - 2012年01月06日

 金融庁が12月28日に発表した「中小企業の業況等に関するアンケート調査」(2011年11月調査)結果によると、中小企業の業況感は、厳しい状況が続いている中、現状DI(「良い」-「悪い」の回答割合)は前回2011年8月調査と比べマイナス幅が縮小していることが分かった。同調査は、2011年11月中に全国の財務局等において各都道府県の商工会議所47先を対象に実施したもの。

 それによると、11月の現状DIは、前回8月調査からマイナス幅が12ポイント縮小し▲64となった。産業別にみると、「製造業」が同32ポイント縮小の▲47、「建設業」が同15ポイント縮小の▲66と大幅に改善したのが目立つ。悪化の要因(複数回答)としては、「需要の低迷による売上の低迷」の割合が49.1%と最も大きく、次いで「競争過多による販売価格の下落」(19.6%)、「その他震災等の影響」(13.2%)などが続いている。

 中小企業の資金繰りについては、厳しい状況が続いている中、11月の現状DIは前回8月調査から9ポイントマイナス幅が縮小して▲55となった。悪化の要因(複数回答)としては、「販売不振・在庫の長期化等、中小企業の営業要因」の割合が83.9%と圧倒的に多く、次いで「その他、東日本大震災や福島原発事故等の影響によるもの」(9.6%)、「金融機関の融資態度や融資条件等」(3.4%)が挙げられている。

 なお、東日本大震災に関連した業況感に関する主なコメントでは、「震災から8ヵ月が経過し、生産・供給体制等が復旧してきている」(製造業、福島県)、「震災被害に伴い生活必需品や衣料品等は買換え需要が旺盛」(小売業、宮城県)、「個人消費の回復による小売業の好調が影響し、概ね順調」(卸売業、宮城県)、「旅館・ホテルなどの宿泊客が戻ってきた感触がある」(サービス業、青森県)といった東北を中心とした明るい声がある。

 しかし一方で、「一部の食品製造業において、放射能汚染の風評被害の影響から輸出が苦戦し売上は減少」(製造業、沖縄県)、「米穀類については、風評被害により売上が減少、価格も低下傾向」(卸売業、茨城県)、「震災直後の材料調達難は解消されたが、原価率は上昇しているため収益力は脆弱」(建設業、熊本県)、「旅館業等は、震災後の外国人客減少が経営を圧迫」(サービス業、東京都)など、業況を懸念する声も多い。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.fsa.go.jp/news/23/ginkou/20111228-1.html