労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会では、非正規労働者の増大や雇用失業情勢の急速な悪化を踏まえ、昨年11月から12月にかけて雇用保険制度の見直しについて検討してきたが、その結果を報告書として取りまとめ7日、同分科会に提出し了承を得た。報告書は、2009年度限りの失業給付等に係る雇用保険料率の引下げのほか、非正規労働者に対するセーフティネット機能の強化などを提言した。
保険料率の引下げについては、現在のように雇用失業情勢が急速に悪化しつつある時期には保険事故である失業の増加が容易に予想されるなかで、本来はこれを行うべきではないが、一方で、国民の負担軽減についての政府全体としての強い要請があることから、特例的に2009年度に限って、失業給付等に係る保険料について、弾力条項による引下げ幅を超えて0.4%引き下げることもやむを得ないとの考えを示した。
非正規労働者のセーフティネット機能の強化については、暫定的な措置(3年間)として、(1)雇止めされた場合の受給資格要件を「被保険者期間12ヵ月」から「6ヵ月」に緩和し、解雇等の場合と同じ扱いにする、(2)所定給付日数についても、暫定的により手厚い解雇等の離職者と同じ取扱いにする、(3)雇用保険の適用基準である「1年以上の雇用見込み」を「6ヵ月以上」に緩和し、適用範囲を拡大することなどを提案した。
また、所定給付日数が短い年齢層や雇用失業情勢の悪い地域等の求職者について、暫定的に個別に60日給付を延長するほか、安定した再就職に向けたインセンティブ強化として、所定給付日数を3分の1以上かつ45日以上残して再就職した場合に支給される再就職手当を、暫定的に「3分の1以上の残日数」のみに受給要件を緩和し、給付率も現行の30%を、残日数に応じて40%または50%に引き上げること、などを提案している。
厚生労働省は、同報告書の内容を踏まえ、雇用保険法等改正法案要綱を取りまとめ、同日、労働政策審議会に諮問した。
同報告書の詳細は↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/01/dl/h0107-1a.pdf