税 務 関 連 情 報

2002年08月21日-001
生前贈与の継続管理に「年金番号」活用?

 税制改革の議論がいよいよ具体的になる時期。政府は1兆円超の先行減税を決めたようだが、法人課税減税とともに浮上しているのが相続・贈与税の一体課税である。高齢者の保有する資産をできるだけ早い時期に若い世代へ移転することで、経済活性化を図ることが目的だが、問題は、親から子への生前贈与を的確に継続把握するための方法である。

 8月5日に住民基本台帳ネットワークシステムがスタートした。6市区町が不参加を表明するなど波乱のスタートだが、何はともあれ法律が施行されたことが重要である。この住基ネットの延長線上にあるのが納税者番号制度だと指摘する声は少なくない。しかし、住基ネットは、他への利用を法律で限定している上、納番制度では絶対に必要な民間による利用も禁止している。また、プライバシー漏洩に対する根強い懸念もあり、納番制度は早急に導入できる状況にはない。

 そこで、出てきたのが「基礎年金番号」の活用だ。「財務省は、生前贈与の的確な把握に『基礎年金番号』の活用を検討している」(8月19日付:日経朝刊)そうだ。1997年1月に導入された基礎年金番号制度は、番号と氏名、生年月日、性別、住所などの情報を持ち、公的年金加入者を管理するもの。現在は、公的年金制度運営にしか使用されていないが、民間での利用は禁止しておらず、年金番号を税務当局と納税者との間で生前贈与の継続管理のみのために使うことから、プライバシーの侵害もないと財務省はみている。

 財務省では、政府税調で11月までに詳細を詰めるとしているが、この「年金番号」の活用がうまくいかなかったら相続・贈与一体課税はどうなるのか。また、「年金番号」の転用が認められれば、今度は納番制度への転用が取りざたされることは必至。いずれにしても、今後の議論の行方が注目されるところだ。

 

 

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