財務省は10月1日から、税関において仮装・隠ぺいなどによって不正に関税や消費税を免れる悪質な輸入業者に対する課税を強化する。これまでは10~15%の加算税しかかけられなかったが、35~40%の重加算税を上乗せする。また、関税法における一般的除斥期間を2年から3年に延長し、十分な事後調査の期間を確保した。いずれも2005年度税制改正において措置されたもの。
これまでも、税関においては、偽りその他不正の行為により関税や消費税を免れた輸入業者に対しては、通告処分や告発によって対処しているが、近年の貿易取引の複雑化・多様化によって、取引実態や課税標準となる取引価格の把握など違法行為の事実解明、刑事手続きを前提とした証拠収集などが困難化していた。限られた人員で増加する悪質事案に対応することが事実上難しくなっていた。
この結果、事実を仮装・隠ぺいして不正に適正な関税や消費税を納付しない悪質な輸入業者に対しても、過失などで適正な関税を納付しない輸入業者と同様に、10%の過少申告加算税か15%の無申告加算税の賦課しかできない事案が増加しつつあった。
このため、2005年度税制改正において、申告納税方式による関税等について納税申告された税額が適正額より少なかった場合や、無申告だった場合であって、かつ、仮装・隠ぺいなどによって故意に輸入金額等を少なく申告した場合は35%、まったく申告しなかった場合は40%の税率でそれぞれ重加算税を課す制度を10月1日から施行したわけだ。
一方、輸入申告件数が増加の一途をたどるなか、限られた人員で適正に処理するためには、輸入通関時においては麻薬などの社会悪物品等の不正輸入の審査・検査に重点を置き、適正な関税等の徴収確保に関しては、極力これを事後の調査に委ねる必要がある。このため、的確な事後調査の実施に十分な期間を確保する必要から、更正等の課税処分ができる期間や関税の徴収権の消滅時効が完成する一般的除斥期間を2年から3年間としている。