公正取引委員会がこのほど公表した「大規模小売業者と納入業者との取引に関する実態調査」結果(有効回答数:納入業者1415社/大規模小売業者232社)によると、昨年4月以降、消費税の総額表示方式の実施を理由とする納入価格の引下げ要請の有無について、納入業者調査(有効回答数1142社)では、「要請があった」との回答が約36%あった。同調査は昨年10月に実施したもの。
百貨店やスーパーなどの大規模小売業者から納入価格の引下げ要請があった内容(複数回答あり)について、納入業者調査(有効回答数458社)によれば、「値ごろ感のある価格(98円、198円など)とするために納入価格の引下げを要請された」と「従来の税抜き価格とするために」との回答がいずれも約69%、「納入単価を内税化するために納入伝票の円未満端数の切捨てを要請された」が約35%となっている。
一方、小売業者調査(有効回答数33社)によれば、2004年4月以降、大規模小売業者の納入業者に対する消費税の総額表示方式の実施を理由とする仕入価格の引下げ要請の有無については、「要請したことがある」との回答は約15%だった。要請内容(複数回答あり)は、「値ごろ感のある価格とするため」が約76%ともっとも多く、次いで「仕入れ単価を内税化するため――」が約15%となっている。
納入価格の引下げ要請に関する協議の状況については、納入業者調査(有効回答数451社)によれば、「一応協議の機会は与えられたが、十分とはいえなかった」が約53%、「協議の機会を与えられなかった(一方的に要請された)」が約21%、「十分協議した」は約22%だった。一方、小売業調査(有効回答数32社)では「十分協議した」との回答社が約94%を占め、両者の認識の違いが際立つ結果となった。