税 務 関 連 情 報

2003年07月04日-002
たばこ増税でも半数以上は「吸う本数変わらず」

 「手前共不潔なる『煙草呑み族』にとって、いよいよ多難の時世がやってまいりました」とやや自嘲気味に嘆いたのは高島俊男氏だが、これは「受動喫煙」を防ごうという健康増進法の施行をテーマにしたエッセイの冒頭の文である(週刊文春7月3日号)。本当に喫煙者には肩身の狭い世の中になってきた。東京・千代田区のように路上喫煙を禁止する自治体も増えている。飛行機は全席禁煙、新幹線も喫煙車はたった1車両。駅ではホームの端っこの「喫煙コーナー」で隔離されて淋しくたばこを吸っている。

 もう犯罪者の心境に近い『煙草呑み族』に追い討ちをかけるように、7月1日からたばこ税率が引き上げられ、一部銘柄を除き1箱20円の値上げである。「もうたばこを止めようか」と決心する人がいてもおかしくない、と思うのだが…。インターネット総合ポータルサイトの「インフォシーク」が実施したアンケート調査によると、回答者798人の41.6%が現喫煙者だったが、今回の値上げで「たばこを止める」と回答したのは12.3%の人に過ぎなかった。

 「吸う本数を減らす」との回答者が35.8%いたものの、51.8%は「今まで通りの本数を吸う」と回答。たばこが値上がりしても喫煙は止められないのである。給料・ボーナスは上がらず、総報酬制で目減りしているサラリーマンは、やりくりが苦しい家計に「これを機会にたばこを止めたら」とかみさんから脅迫されているに違いない。ビールは誕生日だけとあきらめて毎日発泡酒だけで我慢していたのに、5月からはその発泡酒も値上げされているのである。

 本当に“取りやすいところから取る”というお上の姿勢には納得いかないが、これもお国のためと耐え忍んでいるのだ。でも、いつまで我慢すればいいのだろう。小泉首相は消費税率を引き上げる前に歳出削減を徹底するというが、なかなか国民にはその具体的な成果が見えてこない。万が一、構造改革が成功した暁には、“恩赦”でたばこ税と酒税を引き下げてほしい、というのが庶民?の“ささやか”な願いである。

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