東京都はこのほど、11月から「本人確認」をより厳格な方法に変更することを明らかにした。本人になりすまして、不正な目的で公簿の閲覧や証明の申請を行うことを防止し、納税者の個人情報保護を図るためだ。納税証明などを求める納税者に対し、これまでの簡便な方法に代えて、窓口での受付であれば11月4日から、官公署が発行する顔写真付きの身分証明書等の提示を求めるなど、本人確認の取扱いを厳格化させる。
こうした本人確認の厳格化の背景には、近年、官公署が作成・発行する文書や証明をめぐる不正事件が多発していることがある。本人になりすまして不正にこれらを申請・取得したり、公簿を閲覧するなどして犯罪などに利用するケースが増えているという。こうした傾向に対処するため、全国の自治体では本人確認方法を厳格化させる動きが強まっており、東京都も追随する考えだ。
東京都の場合、これまでは運転免許証や健康保険証などの身分証明書を1種類提示させることで本人確認してきたが、今後は、運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなどの官公署が発行する顔写真付きの身分証明書であれば1種類、それ以外の身分証明書であれば2種類の提示を求める。顔写真のない国民年金手帳、国民健康保険証(被保険者証)などは、納税通知書やキャッシュカード、クレジットカードなどを併せて提示させる。
本人確認の対象となるのは、公簿関係では土地課税台帳、家屋課税台帳、償却資産課税台帳、土地・家屋名寄帳など、また、証明関係では納税(課税)証明(自動車税の継続検査用納税証明書を除く)、固定資産評価証明など。窓口で公簿の閲覧や証明の申請をする場合は申請者の「本人確認書類(原本)」の提示が必要となる。法人の社員等が申請者の場合は、併せて社員証等または委任状等(代表者印押印)の提示も必要だ。