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税務関連情報 (2004/05/19)

なぜ国税の広報の税率表示は地方税分を含めないのか

 どうして国税当局は一般納税者に対するパンフレットなどでの広報時の税率表示に地方税を考慮した記述をしないのか。12日に国税庁のホームページに個人の土地・株式の譲渡所得の改正点のあらましが掲載されたが、主な改正事項として下記のように税率が太字で記されていた。

○土地、建物等を譲渡した場合の税率

 長期 一律20% ⇒ 一律15%
 短期 最低40% ⇒ 一律30%

 この税率は、国税における所得税のものであって、地方税も含めた全体でいえば、所有期間が5年を超える長期譲渡では改正前26%(所得税20%、住民税6%)が20%(所得税15%、住民税5%)に、また短期では、改正前52%(所得税40%、住民税12%)が39%(所得税30%、住民税9%)にそれぞれ引き下げられたわけである。

 税理士さんなど専門家にとってみれば上記の数字は国税だけなのは常識だろうが、一般納税者にとってはそうではない。一般納税者にとってみれば、土地を売ったら国税・地方税全体でいくら税金がかかるかが重要なのである。であれば、一般納税者に対する広報なんだから、もう少し親切に、何らかの形で地方税分があることを説明すべきだろう。

 例えば、長期譲渡の税率であれば「一律15%」の後ろにカッコ書きで「ほかに住民税5%」と記せば済むこと。何も説明がなければ、15%で済むんだといった間違った理解をしかねない。国民に税金の正しい知識を知ってもらうことが目的なんだから、住民税は総務省の管轄だなんて言わずにちょっとした配慮をお願いしたいと思うのだ。