西武グループの中核会社だった旧コクド(プリンスホテルに吸収合併)が、東京国税局から同族会社と認定され、2003年3月期までの4年間で総額十数億円にのぼる留保金課税がされたことが話題となった。また、今年度から導入された役員給与の給与所得控除相当分の損金不算入における実質一人会社の判定の一つに、同族関係者で株式の90%以上を保有するというものがある。同族会社かどうかは税務上の取扱いに大きく影響する。
同族会社とは、税務上、会社の上位3株主グループが、その会社の発行済株式の総数または出資金額の50%を超える数の株式または出資金額(その会社が有する自己の株式または出資を除く)を有する場合におけるその会社をいう。この同族会社の範囲に加え、2006年度税制改正では、5月から施行された会社法の制定に伴い、「議決権の数」による判定と「社員の数」による判定が追加された。
議決権の数による判定は、会社の上位3株主グループが、その会社の次の議決権のいずれかにつき、その総数の50%を超える数を有する場合には、同族会社に該当することとされた。
それは、1)事業の全部もしくは重要な部分の譲渡、解散、継続、合併、分割、株式交換、株式移転または現物出資に関する決議に係る議決権、2)役員の選任及び解任に関する決議に係る議決権、3)役員の報酬、賞与その他職務執行の対価として会社が供与する財産上の利益に関する事項についての決議に係る議決権、4)剰余金の配当または利益の配当に関する決議に係る議決権、の4つである。
また、社員の数による判定では、会社(合名会社、合資会社、合同会社に限る)の上位3株主グループが、その社員の総数の半数を超える数を占める場合には、同族会社に該当することとされた。これらの改正の適用時期については、2006年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税について適用され、同日前に開始した事業年度分の法人税については、改正前の規定が適用される。