ゼイタックス

今冬のボーナスは2年連続で減少の見込み

経営関連情報 - 2008年11月10日

 第一生命経済研究所がこのほど発表した分析レポート「冬のボーナス予測」によると、2008年の冬のボーナスの民間企業1人あたり支給額は、前年比▲4.0%(支給額40万1千円)と予想している。冬のボーナスとしては昨年(前年比▲2.8%)に続いて2年連続の減少となり、マイナス幅も拡大する見込みだ。また、前年比▲0.4%と微減に終わった2008年夏のボーナスからも減少幅が大きく拡大することになる。

 ボーナス減少の最大の要因は、世界的な金融危機拡大のなか、国内景気が一段と後退し、企業収益が大幅に悪化していることがある。冬のボーナスと年度上期の企業業績はかなり連動する傾向があるが、日銀短観(9月調査)の2008年度上期経常利益計画は前年比▲16.4%と大幅減となっており、ボーナスの大幅減少が示唆される。加えて、失業率の緩やかな上昇など、足元で労働需給が緩和していることも抑制要因とみられている。

 日本経団連の「2008年年末賞与・一時金 大手企業業種別妥結状況(第一次集計)」でも、冬のボーナスは前年比▲0.03%と、2007年の同0.9%増から伸びが低下する低調な結果だった。同調査は、東証一部上場の大企業が中心のため、収益環境がより厳しい中小企業を含めれば、減少幅はさらに大きくなると予測している。なお、公務員の1人あたり支給額は、前年比▲1.1%(支給額65.8万円)と予想している。

 原油価格急落の影響を受け、08年10~12月期の消費者物価指数上昇率は1.3%増と、前期から1.1ポイント縮小と予想。しかし、冬のボーナスの減少によって、10~12月期の雇用者報酬は前年比で▲1.2%押し下げられ、物価面でのプラス効果は完全に打ち消されてしまう。また、生産活動の落込みによる残業代の減少なども踏まえれば、10~12月期の実質所得の伸びが悪化する可能性は高く、個人消費停滞は避けられないと予想している。