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10年外食倒産は3年連続600件超の623件と高水準

経営関連情報 - 2011年02月21日

 日本フードサービス協会によると、2010年の外食産業の売上高は前年比0.9%増と2年ぶりに前年を上回ったが、客単価は2.1%減と、消費者の低価格志向が顕著となった。そうしたなか、帝国データバンクが発表した「2010年外食産業の倒産動向調査」では、昨年1年間の外食産業の倒産は623件発生し、前年比3.6%の減少となったものの、3年連続で600件を超える高水準となった。月ベースでは2010年3月に最多の75件発生した。

 こうした背景には、ガソリン価格の高騰や“巣ごもり消費”の浸透などによる外食頻度の減少や原材料高の影響から、倒産は2006年より増加基調が続き、さらに2008年以降はリーマン・ショック後の不況を受け、売上不振が長期化していることがある。一方、負債総額は前年比2.4%減の614億9600万円となり、大型倒産が減少した影響から2年連続で前年を下回った。

 業態別にみると、「居酒屋」(201件、前年比4.1%増)が全体の3割強を占め、過去10年間で最多。2007年9月の飲酒運転に対する罰則強化や、大手チェーンとの低価格競争などが影響し、倒産は高水準が続いている。また、「西洋料理」(71件、同34.0%増)と「中華料理店」(88件、同20.5%増)も増加が目立ち、最多を記録した。一方、「日本料理店」(79件、同▲3.7%)や「すし店」(22件、同▲26.7%)など5業態は前年を下回った。

 主因別にみると、売上不振や業界不振などを主な原因とする「不況型」が521件発生。構成比は83.6%となり、初めて80%を超えた。不況により客数と客単価が減少したため、店舗賃料や出店・改装に伴う借入などが負担となり倒産するケースが多いという。高水準を続ける「不況型」の推移が、業界環境の厳しさを表しているといえよう。その他、「放漫経営」が10件、「設備投資の失敗」が9件などとなっている。

 また、負債規模別にみると、「5000万円未満」が449件と、小規模倒産が72.1%を占めた。次いで「5000万~1億円未満」が79件(構成比12.7%)だった。資本金別にみても、「個人」が232件(同37.2%)、「1000万円未満」が268件(同43.0%)と、零細業者が全体の8割を占めた。なお、態様別では、「破産」が574件と92.1%を占め、「特別清算」の17件と合わせ、事業継続を前提としない「清算型」の倒産が大半を占めた。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110202.pdf