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税務関連情報 (2004/03/19)

消費税の簡易課税と実額計算、どちらが有利?

 4月1日以後開始する課税期間から消費税の事業者免税点が現行の3000万円から1000万円に引き下げられることによって、法人48万1千社と個人事業者88万2千者が新たに課税事業者になると見込まれている(2000年度統計に基づく財務省の試算)。個人事業者は2005年分から、法人は2005年3月末決算分から適用されるので、そろそろ準備する必要がある。

 実務上、最もポイントとなるのは当然ながら消費税額の計算だ。消費税額は原則、課税売上に係る消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除して納付税額を計算する。しかし、一定の要件を満たせば、この実額計算をせずに課税売上高のみから納付税額を計算する簡易課税制度が認められる。その要件のひとつである基準期間における課税売上高の上限も4月から5000万円(現行2億円)に引き下げられる。

 しかし、新たに課税事業者となる法人・個人は、ほとんどが簡易課税制度も選択できると思われる。簡易課税では、その課税期間における課税標準額に対する消費税額に、みなし仕入れ率を掛けて計算した金額が仕入れ税額控除とみなされる。みなし仕入れ率は、第一種事業(卸売業)90%、第二種事業(小売業)80%、第三種事業(製造業など)70%、第四種事業(その他の事業)60%、第五種事業(サービス業など)50%。

 一般的には、簡易課税のほうが実額控除より有利とされているが、実際には試算して確認しなければ分からない場合も多い。国税庁のサンプル調査(2000年度分)では、業種によって違いがあるが、簡易課税適用者の実際の課税仕入れ率はみなし仕入れ率よりも平均4~10%低く、実額で計算した本則適用者の課税仕入れ率はみなし仕入れ率よりも平均5~35%高くなっている。

 このように、業種によっても差があり、また、設備投資の状況によっても違い、一概に簡易課税のほうが有利とはいえないので、慎重な見極めが望まれる。