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緊急保証制度の承諾件数75.7万件、金額14.6兆円

経営関連情報 - 2009年11月20日

 中小企業向け資金繰り支援のため2008年10月31日から開始された「緊急保証制度」が実質1年を経過した。東京商工リサーチが全国52信用保証協会を対象に実施した「緊急保証制度の利用状況調査」結果によると、回答を得た「保証承諾件数」は75万7483件、「保証承諾額」は14兆6113億円だった。申告状況は大半の保証協会が非公開としたが、保証承諾や代位弁済の状況は9月末(3保証協会は10月末)の実績を回答した。

 地区別での保証承諾件数は、「関東」が27万5565件で最多、次いで「近畿」が13万7051件、対して最少は「四国」が2万1216件、次いで「北陸」が2万2222件だった。また保証承諾額は、「関東」が5兆6049億円で最多に対し、最少は「北陸」の3067億円だった。1件あたりの利用額は、全体平均1900万円に対し、「近畿」が約2200万円、「関東」が約2000万円、「中部」が約1900万円となっている。

 一方、倒産などで返済が不能となった企業への貸出金を保証協会が金融機関に弁財した「代位弁済件数」は2259件、代位弁済額は501億円だった。地区別では、最多が「関東」の734件、最少は「北陸」の35件。代位弁済額では、最多が「関東」の193億円に対し、最少は「北陸」の5億円だった。1件あたりの代位弁済額は全体平均が2200万円に対し、最大は「関東」の2600万円、最少は「四国」の1300万円だった。

 緊急保証制度は1年を経過したが、保証承諾額は保証枠30兆円の半分にとどまっている。この要因としては、業績不振から新たな借入は返済が難しくなることによる企業側の手控えと、急激な景気悪化で財務バランスを崩し審査で保証対象外となった企業が多いと推測されている。取扱期限の2010年3月31日まで残り半年だが、現在の利用状況では残りの保証枠15兆円のうち、10兆円以上を残す可能性も出てきている。

 東京商工リサーチは、依然として小規模企業の倒産が増勢を続けているなかで、「緊急保証制度」の保証枠30兆円の設定や運用に加え、「資金を貸し付ける」支援策の妥当性が、今後問われることになりそうだ、と指摘している。