税 務 関 連 情 報

2002年11月06日-002
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(6)

 所得捕捉率の不均衡を是正するための方法を探っている。税務職員の定員増がままならない現況においては、それ以外の方法を考える必要がある。国税労組の「税制に関する提言」を参考に、課税の公平確保の見地からの提案について検討している。前回は、「記帳義務の強化」と「推計課税制度の整備」を採り上げた。

 今回は「租税特別措置法の整理」である。措置法は、原則として特定の個人・企業の税負担を軽減することによって、特定の政策目的を実現するための政策手段として規定されており、税制本来の基本原則である公平性・中立性の観点からみて問題が大きく税制本来の姿を歪めているという。

 また、導入当初の役割を終えたものが既得権化して残されているものも少なくない。一方、簡素化の観点からいえば、個々の条文が長く、例外規定や注釈等が多いことから、一般の納税者にとって条文の理解が困難になっていると指摘する。したがって、措置法の整理・見直しに当たっては、廃止を含め以下の点について検討すべきだとする。

1)「公平・中立・簡素」の原則を著しく歪めるものであってはならない。
2)特定の政策目的の達成状況を常に検証し、役割が終えたものは、既得権化せず、積極的に廃止するなど現行制度をゼロベースから見直す。
3)恒久的に存続させる必要があるものは、それぞれの個別税法で規定する。
4)法案作成作業に当たっては、条文の簡素化を図るなど、一般の納税者が分かりやすいものにする。

 所得捕捉率の不均衡の是正という観点からは外れてしまったが、税務当局からいえば、措置法は少なければ少ないほど適正な税務行政ができる。不正な適用をされていないかのチェックは少ないほうがいい。役割が終えたものは早急に廃止することは、税務署の仕事を減らすことにもつながる。とはいえ、課税の公平といった観点からは意義あることだが、所得捕捉率の向上には影響は少ないようだ。

(次回へ続く)

 

 

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