日本道路公団の橋りょう談合にからみ現職の副総裁・理事、元理事が逮捕されたことから、天下りに関する議論が湧き起こっている。そこで、帝国データバンクは、天下りや談合に関する企業の意識調査を実施したところ、天下りを受け入れている企業の4割近くが天下りの削減・自粛を検討していることがわかった。一方で「これまでと変わらず受け入れる」企業が約3割あった。
調査結果(有効回答数1万203社)によると、天下りを受け入れている企業は回答企業の3.6%にあたる369社だったが、これらの企業の今後の天下りの受入れ方針については、受入れの「削減を検討」との回答企業割合が18.2%、「自粛を検討」との回答企業割合が18.4%あった。天下りの削減・自粛を検討している企業は合計36.6%(135社)にのぼることが判明。一方、「今後も受け入れる」企業が29.0%あった。
また、すべての企業に対し、談合による税金の浪費についての責任の所在を聞いたところ、「民」との回答はわずか1.4%に過ぎず、「官」とした企業が37.6%、「官民両方」とした企業が48.6%と約半数を占めた。具体的には、「官民癒着構造が税金を浪費」や「すべては利権の及ぶ組織に天下りした役人の存在からくるもの」との厳しい声が目立ち、「民」よりも「官」の責任が重いとの見方が浮き彫りになっている。
日本経団連の奥田会長が天下りの受入れ停止を検討すると報道されたことに対しては、「賛成」との回答企業が73.2%と7割を超えた。一方、「反対」との企業は7.3%と1割に満たなかった。また、天下りが談合など企業の便益を図る温床となっているかとの質問には、83.3%の企業が「そう思う」と回答、「そうは思わない」とした企業は4.4%と5%に満たなかった。
談合の今後(2010年を目安)については、「なくならない」とした企業が全体の75.5%と多数を占め、「なくなる」との回答企業は5.8%に過ぎない。談合による税金の浪費や不公正競争に対し、企業は半ばあきらめに近い状態にあるが、「公務員の雇用制度改革による天下りの禁止」や「企業、役員及び個人への厳罰化」などが必要との前向きの声も聞かれ、談合阻止が不可欠な課題との認識も広がりつつあることがわかった。