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役員退職慰労金制度を持たない上場企業が約6割

経営関連情報 - 2008年12月05日

 野村総研が、今年9月から10月にかけて東証一部・二部上場企業を対象に実施した「日本企業の役員処遇(報酬・評価・能力開発)に関するアンケート調査」結果(有効回答数152社)によると、役員退職慰労金制度を「最近廃止した」(54.6%)または「制度がない」(5.3%)と回答した企業が計59.9%となった。さらに、制度を維持している約4割の企業でも、4.9%が「制度改訂を予定」、49.2%が「検討している」と回答している。

 業績連動型報酬制度の有無については、54.6%の企業が「全役員または一部の役員を対象とした仕組みがある」と回答。2004~2006年度から一転減少した2007年度(49.5%)と比較すると、5.1ポイントの増加となった。これは、役員の利益処分賞与が廃止されたことによって、いったんは業績連動型報酬が制度上は減少したものの、その後、報酬総額内に業績連動部分を含めて支給する方式が増えつつあるためとみられている。

 役員を対象とする長期インセンティブ制度については、導入企業は28.3%にとどまった。同制度の導入率は、調査開始の2004年度以降は3~4割程度で推移している。役員は、短期だけでなく中長期の持続的な企業価値向上を担っているが、その成果に対して報いるための処遇制度の導入は意外と進んでいないといえる。導入している企業の主な長期インセンティブの内容は、「ストックオプション」が69.8%と突出して多い。

 役員候補人材の計画的な育成の仕組みや取組みについては、「すでに導入して継続運用している」と回答した企業は19.7%、「導入していないが、今後、導入を検討する予定(現在検討中)」が40.8%となった。一方で、役員を対象とした能力開発のプログラムについては、「すでに持っている」とする企業は18.4%で、プログラムを有していると回答した企業のその主流は「外部セミナーへの参加」(複数回答で60.7%)となっている。

 同アンケート調査結果の概要は↓
 http://www.nri.co.jp/news/2008/081201_2.html