2007年11月に東京証券取引所有価証券上場規定の改正によって、上場内国株券の発行者に会計監査人の設置が義務づけられた。これは、昨年4月に公表された「上場制度総合整備プログラム2007」に基づく上場制度の整備の一環として行われたものだ。会計監査人とは、会社法上大会社に求められる会計監査を行う監査人のことで、計算書類及びその付属明細書、臨時計算書類、連結計算書類の監査を行い、会計監査報告を作成する。
会社法は、資本金5億円以上または負債総額200億円以上の大会社及び委員会設置会社に会計監査人の設置を求めている。したがって、上場会社のうち、大会社や委員会設置会社であれば会計監査人設置会社として会社法によって会計監査人が義務づけられるが、それ以外の会社については、会計監査人の設置は任意だった。しかし、上場規定の改正によって、東証の上場会社は、会計監査人を設置しなければならなくなる。
改正上場規定の主な内容は、(1)上場内国株券の発行者は、取締役会、監査役会または委員会、会計監査人を置くものとし、会計監査人を金融商品取引法上の監査を行う公認会計士等として選任するよう努めることとする、(2)上場内国会社は、会社法上の内部統制システムを整備することを決定するものとする、(3)上場会社の機関等に関する事項については、公表措置の前に勧告ができるものとする、などだ。
また、経過措置が設けられ、上記の上場会社の機関に関する事項は2007年11月から2008年10月までの1年間が猶予期間として認められ、この期間については設置しなくてもいいことになる。東証への上場準備会社については、上場を達成する期において会計監査人設置要件を満たさなければならないことから、経過措置の期間経過後は、会計監査人を選任し、申請期は会計監査人設置会社とすることが必要となる。