税 務 関 連 情 報

2003年04月11日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(44)

『所得税における水平的公平性について』(5)

 今回は、個人所得課税における給与所得者と事業所得者との間にある違いを詳細に眺めていく。

★現行所得税制の仕組み

 まず、事業所得や不動産所得の所得金額の算出方法は、「収入金額-必要経費」である。必要経費には、売上原価や販売費、一般管理費などが含まれ、家事関連費のうち事業をする上で必要なもの以外は経費から除かれる。また、支払い給与のうち、生計を一にする親族に対する給与は、専従者控除の規定があって、これに該当しないものは同じく必要経費から除かれる。

 一方、収入金額については、仕入れたたな卸資産を販売せず、家事で使ったり他人にあげてしまった分は自家消費分として収入金額に計上されるという調整を受ける。つまり、税法上は、恣意的ないい加減な所得金額の算定はできないことになるが、現実に事業所得者が法律の決まりを守っているかどうかは別問題であろう。これについては、後で検討されよう。

 給与所得者は、必要経費に代えて給与所得控除という、給与収入金額ごとに一律に定められた控除が認められており、「給与収入-給与所得控除額」として所得金額を算出する。給与以外に他の所得がない給与所得者には恣意性が入り込む余地はない。問題は、内閣府の報告書が主張するように、給与所得控除が概算経費控除として過大かどうかという点にある。これも、詳細な検討は後になる。

 基本的には所得金額を算出して以降の計算のプロセスでは、給与所得者と事業所得者の間でほとんど違いは出てこない。大きく異なってくるのは、源泉徴収と申告納税という納税形態である。納税者自らが所得金額・税額を確定して申告する申告納税制度については、正確な所得が申告されていないのではないかという給与所得者の懐疑がつきまとい、不公平感の一因となっている。

(続く)

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