日本生産性本部が11日に発表した「生産性白書2009年版」によると、2008年度の日本の名目労働生産性は781万円と、7年ぶりに前年度水準を下回った。実質労働生産性上昇率は前年度比-2.6%と、1998年度以来10年ぶりのマイナスとなり、1995年度以降でみると最大の落込みとなった。輸出関連業種を中心とした生産活動の急激な縮小に伴い、昨年後半から今春にかけて大きく低下したことが影響したとみられている。
2008年度の東証一部上場企業平均の名目労働生産性水準は1829万円。名目ベースで前年度から17%低下し、2001年度以来の水準に落ち込んだ。労働生産性が前年度より低下した上場企業は、全体の約4分の3(76%)にのぼっている。労働生産性水準が上昇した企業の割合は、2002年度以降47~67%を占めていたが、2008年度に24%まで落ち込んだことが上場企業平均の労働生産性水準低下の大きな要因となった。
上場企業(東証一部・二部)を対象にアンケートを行った(2009年6~7月実施)結果によると、2008年度に労働生産性が伸びた要因(3つまで回答)としては、「従業員数や総労働時間の減少」が昨年より約2倍増の42.4%で1位となった。昨年度もっとも多かった「既成製品・サービスの売上増」は昨年の68.4%から33.3%へと半減し、アウトプット増加型の生産性向上手法は大きく後退した。
2009年度の日本の労働生産性の見通しについては、2008年度より「低くなる」との見通しが65.5%と過半数を占めた。特に非製造業では、「低くなる」が70.3%と、悲観的な見通しを持つ企業が多い。政府に求める政策的対応(3つまで回答)としては、製造業は「法人税率の引下げ」(50.5%)、「設備投資減税」(41.4%)、非製造業では「個人消費の刺激」(55.5%)、「法人税率の引下げ」(52.9%)が上位に挙げられた。
生産性白書2009年版の概要は↓
http://activity.jpc-net.jp/detail/01.data/activity000944/attached.pdf