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経営関連情報 (2006/06/12)

円高懸念企業の期初想定レートは1ドル110円80銭

 5月、米国の利上げ打ち止めと国内のゼロ金利解除観測の高まりによって、為替は2005年12月の1ドル118円台から一時109円台に突入した。原油や素材価格の高騰、ゼロ金利解除後の金利上昇懸念が高まるなか、円高による輸出型企業への悪影響が懸念され始めている。帝国データバンクが7日に発表した「為替(円高)に対する企業の動向調査」では、円高懸念企業の期初想定レートは1ドル110円80銭となった。

 調査結果(有効回答数9908社)によると、円高が2006年度の期初業績見通しに与える影響は、「悪影響を与える」との回答企業が11.2%、一層の円高は悪影響となるが「まだ悪影響は与えない」が4.2%で、円高による悪影響を懸念される企業は合計15.4%だった。これを上場区分でみると、「悪影響を与える」と回答した企業割合は、非上場企業(構成比73.2%)が上場企業(同63.2%)を10ポイント上回った。

 非上場企業は円高への抵抗力が脆弱なことが浮き彫りとなったが、企業からは、「今後は、受注先からのコストダウン要請が強まる」(繊維製品製造、三重県)といった懸念の声が聞かれたという。また、悪影響が懸念される15.4%の企業に対し、2006年度業績見通しの前提となっている想定レートを尋ねた結果、平均1ドル110円80銭となった。この水準が業績見通しに大きな悪影響を及ぼすか否かの防衛ラインといえる。

 今後、2006年度内に予想される円高(または円安)の最高水準については、調査期間(5月23~31日)における平均値1ドル112円台(現水準)を超えた円高を見込む企業が上記15.4%の企業の4割強(43.5%)を占めた。最高水準としてもっとも多かったのは「105円」との回答で約3割(27.8%)を占めており、円高への見方が根強いことを示している。また、予想される為替水準を平均すると1ドル106円30銭となった。

 これは、2006年度業績見通しの期初想定レート(1ドル110円80銭)を4円以上上回る水準となっており、現水準(1ドル112円台)では悪影響を受けない企業でも、今後、大きな悪影響を及ぼすことが懸念される。帝国データバンクでは、原油・素材価格の高騰や金利上昇リスク、税負担の拡大に加え、一層の円高は企業業績に多大な悪影響を及ぼす可能性があることから、景気回復の腰折れ懸念が徐々に高まっているとみている。