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税務関連情報 (2004/07/09)

産業廃棄物税は政策全体のなかで導入を判断すべき

 産業廃棄物の適正処理の実現に向けて、法定外目的税として産業廃棄物税(産廃税)を導入する自治体が増えている。同税は、産業廃棄物処分時に最終処分業者などに税を課すものだが、その負担者は、法令を遵守し適正処理を行っている排出・処理事業者。不正処理を行う悪質な業者を徹底的に取り締まることで、“捨て得”を許さないことが必要だし、優良な業者には何らかのインセンティブを与え支援・育成していくことが重要だ。

 環境省の有識者会議「産業廃棄物行政と政策手段としての税の在り方に関する検討会」はこのほど、約1年半にわたって検討してきた産廃税のあり方に関する最終報告書をまとめ公表した。同検討会では、産廃税の現状を把握・評価し、産廃税を地方自治体が導入検討・運用段階で留意する事項をとりまとめ提言を行っている。

 今年4月1日現在、産廃税は、三重県・鳥取県など12団体ですでに導入され、宮城県と京都府で条例が制定されている。財政状況が極めて厳しいなかで、産業廃棄物の不法投棄を防ぎ適正処理をすすめるために必要な新たな財源を確保することを目的として、産廃税を導入する地方自治体が増加してきている。このような流れが加速するとみられることから、産廃税の検討・運用段階における留意事項の提言を行ったわけだ。

 具体的には、1)産廃税は、「税ありき」の姿勢ではなく、他の政策手段と税を組み合わせて、より効率的・効果的に政策目標を実現できるように、政策全体のなかで検討し導入を判断すべき、2)税負担者の理解を得るために、税負担者が応益性を実感できるような事業を中心とすべき、3)質の高い中間処理業者の育成などに資するような税制度の設計をすべき、などの事項を提言として掲げている。