税 務 関 連 情 報 |
2002年09月30日-003
みずほ総研、注目度が高まる二元的所得税
政府税調の石弘光会長が27日の記者会見で金融・証券税制の抜本的な見直しに来年1月から着手することを明らかにしたが、そこで注目度が高まるのは「二元的所得税」である。みずほ総合研究所がこのほど公表した金融税制をめぐる議論の動向に関するレポートでも二元的所得税を中心に取り上げている。金融商品ごとにばらばらで複雑な制度や投資リスクの軽減が不十分との批判への解決と、証券市場活性化を同時になし得る方法として「二元的所得税」に対する期待への高まりがあるとしている。
レポートでは、1)簡素で一般の投資家にも分かりやすい、2)すべての金融商品に一定税率が適用されることから商品選択に対して中立的、3)損益通算の範囲が拡大されることで投資リスクを取りやすくなる、4)金融商品に低税率を適用することで、国内金融資産の国外流出を防止する効果もあるなどのメリットを挙げている。一方、1)金融所得の税率を勤労所得よりも軽減することに社会的合意が得られるか、2)例えば、個人事業主などは事業収益を勤労所得と金融所得に区分することが難しく、恣意的に税負担を軽減する余地が生ずる、3)納税・徴税インフラの整備で、例えば納税者番号制度の導入などで官民双方に一時的な多大なコストや事務負担が発生する可能性があるなどの課題も示している。
このようなことから、実際の導入については、今後ある程度の時間をかけて慎重かつ十分に議論すべきであるとしている。しかし、証券市場の活性化は緊急課題であることから、中長期的には簡素・中立の観点から引き続き積極的な検討を進める一方で、短期的には、分かりやすく即効性のある追加措置を講じることを求めている。レポートでは、その具体的な措置を示していないが、分かりやすいということでは金融商品をひとまとめにして低税率で課税する二元的所得税や金融税制の一元化しかない。ただし、導入の前提となる納税者番号制度の整備には時間がかかる。来年1月からの政府税調の抜本的な見直しが注目されるが、当面の緊急措置にはまた場当たり的な特例措置を導入するしか解決策がないようにもみえる。
【ホームへ戻る】