2010年倒産企業の財務データ分析、約6割が赤字
東京商工リサーチは8日、2010年の倒産企業のうち3期連続の財務データが入手できた784社(個人企業を含む)を抽出し、生存企業(10万5757社)データと比較・分析した「2010年倒産企業の財務データ分析調査」を発表した。調査結果によると、2010年に倒産した企業は、生存企業に比べ赤字企業率(当期損失を計上した企業数の比率)が高く、約4割が自己資本比率がマイナスだったことが分かった。
2010年に倒産した企業784社の赤字企業率は、前期比19.5ポイント上昇の55.9%と約6割が赤字だった。生存企業の赤字企業率の推移は、前々期22.2%→前期30.7%→最新期29.2%と30%をはさんだ水準にとどまり、経営の持直しがみられた。一方、倒産企業の赤字企業率は、前々期27.6%→前期36.4%→最新期55.9%と年々上昇を続け、いったん悪化に傾いた業績不振に歯止めがかからない苦境を浮き彫りにしている。
784社の自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)は、平均マイナス5.1%となった。生存企業が平均37.3%だったのと比べ、倒産企業の低率が際立った。自己資本比率は企業の基礎体力や安全性を示す指標だが、この比率が低いほど借入金等への依存度が高く、自己資本比率のマイナスは債務超過に陥った状態を示している。なお、784社のうち、最新決算期で自己資本比率がマイナスだったのは約4割の302社だった。
また、784社の有利子負債構成比率(総資産に占める有利子負債の割合)は平均76.5%で、生存企業が平均30.4%だったのに比べ、借入金などの過剰債務を浮き彫りにした。生存企業の有利子負債構成比率は、前々期30.1%→前期31.5%→最新期30.4%とほぼ平準化しているのに対し、倒産企業では前々期63.6%→前期68.7%→最新期76.5%と右肩上がりで推移しており、有利子負債が経営の重荷となっていることを裏付けた。
同調査結果の詳細は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2011/1209233_1903.html