ゼイタックス

税務関連情報 (2006/11/13)

欠損金の繰越控除ができない買収した休眠欠損法人

 法人税法では、青色申告書を提出した事業年度の欠損金額を翌年以降7年間にわたり繰り越し、各事業年度の所得金額を限度に損金算入できる特例がある。そこで、繰越欠損金がある休眠会社を買収して、その欠損金の繰越控除を適用すれば、法人税を不当に軽減することができる。こうした租税回避行為を防止するため、2006年度税制改正において、企業買収による欠損金の繰越控除の適用に制限規定が設けられた。

 それは、欠損法人の50%超の株式を取得(買収)した日から5年以内に、1)休業法人だった欠損法人が買収後に事業を開始すること、2)旧事業を廃止し、かつ、その事業規模のおおむね5倍を超える事業資金を受け入れること、など一定の事由に該当したときは、その該当する事業年度前に生じた青色欠損金額について、欠損金の繰越控除制度が認められないこととされたものだ。

 つまり、上記の事由に該当する場合は、欠損法人の買収が繰越欠損金を利用した租税回避行為であると形式的に判断されるわけだ。また、その事業年度から3年間(買収した日から5年を限度)に生じる欠損法人の譲渡損失や評価損、貸倒損失、除却損失などについても、損金算入ができないこととされた。これらの改正は、2006年4月1日以後に保有された欠損法人について適用することとされている。

 改正前は、こうした租税回避が少なくなかったようで、これに有効な休眠欠損会社は、利用が可能な欠損金額の数%から10%程度で売買されていたという。欠損会社のなかには多額な負債を抱えていることも珍しくなく、都合よく欠損金額だけを利用できる休眠会社のお値段としては割安と思われるが、いずれにしても、今回の規制で、こうした休眠欠損会社の市場価値も大暴落したに違いない。