改正消費税法による免税点の引下げで今年から新たに課税事業者となる個人事業者は128万人と見込まれる(国税庁の推計)。課税事業者が簡易課税制度を選択する場合は、本来、課税期間開始前に選択届出書を提出しなければならないが、今年からの新規課税事業者が簡易課税を選択する場合は、今年末までに提出すればいいという経過措置がある。とはいえ、12月はもう間近、早急に簡易課税の適否を判断する必要がある。
消費税の納付税額は、課税売上に係る消費税額から課税仕入れ等に係る消費税額を控除して計算するのが原則。だが、基準期間の課税売上高が5000万円以下の事業者は、実際の課税仕入れ等に係る消費税額を計算せずに、課税売上に係る消費税額に事業に応じた一定のみなし仕入率を乗じた金額を課税仕入れ等に係る消費税額とみなして納付税額を計算する「簡易課税制度」を選択することができる。
簡易課税制度の適用を受けようとする場合は、原則、適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を納税地の所轄税務署に提出する必要がある。したがって、来年分について簡易課税を選択する場合は、今年の12月末までに提出する必要があるが、今年から新たに課税事業者となった場合は、経過措置によって、今年の分についても、本年12月までに提出すれば認められる。
つまり、1)2005年に新たに課税事業者となった人が2005年ぶんについて簡易課税の適用を受ける場合、2)2006年において課税事業者である人が2006年分から簡易課税の適用を受けようとする場合、のいずれの場合も今年12月31日までに選択届出書を提出する必要があることになる。
なお、簡易課税制度は、「みなし仕入率」によって納付税額を計算するので、多額の設備投資を行った場合など実額で計算すれば還付になるような場合でも、還付を受けることはできない。また、いったん簡易課税制度を選択すると、2年間以上継続した後でなければ選択を止めることはできない。選択にあたっては、今年だけでなく来年の設備投資などの予定も考慮した慎重な判断が求められる所以である。