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2010年末までに06年開業企業の15%が廃業

経営関連情報 - 2011年10月21日

 日本政策金融公庫総研が、2006年に開業した同公庫取引先企業2897社を対象に実施した「新規開業パネル調査」結果によると、開業5年目の年末である2010年末まで存続した企業の割合は83.3%、同時点までに廃業した企業の割合は15.2%だったことが分かった。業種別に廃業した企業の割合をみると、「飲食店・宿泊業」が23.2%ともっとも高く、「情報通信業」(20.5%)、「小売業」(19.0%)、「教育、学習支援業」(17.7%)が続く。

 月商の増減状況をみると、2007年末には前年末と比べて月商が増加した企業の割合は67.7%、減少は16.7%。その後2009年末までに増加企業の割合は低下、減少企業の割合は上昇したが、いずれの年についても「増加」は「減少」を上回っている。採算状況は、リーマンショック後の2008年末、2009年末にやや悪化したが、おおむね3社に2社が黒字基調となっており、2006年の開業以降、新規開業企業の業績は総じて堅調に推移した。

 雇用の状況については、2008年以降日本では就業者数が大きく減少したが、一方、新規開業企業を対象とした本調査では、従業者数(1企業当たり)をみると、開業時の3.7人から2010年末には4.7人と、廃業による雇用喪失を勘案しても、1.0人増加している。集計対象企業878社全体でみると、開業時から2010年末にかけて3268人から4129人へと861人、率にして26.3%増加している。

 また、借入の状況については、借入残高(1企業当たり)をみると、開業時の828.0万円から2010年末には1272.5万円へと増加。内訳をみると、当公庫が560.2万円から498.6万円へと減少する一方、民間金融機関が243.9万円から553.0万円へと当公庫を上回る水準に増加した。地方自治体(制度融資)から借入がある企業の割合も徐々に高まっており、開業後借入により資金を調達した企業の多くが、公的支援策を活用したことがうかがえる。

 同パネル調査結果の詳細は↓
 http://www.jfc.go.jp/common/pdf/topics_111018_2.pdf