全国の税理士を会員とする日本税理士会連合会(日税連)は、2006年度税制改正で創設された事前確定給与の届出期限を延長するよう、6月29日付けで緊急要望を行ったことが分かった。役員賞与の損金算入を認める事前確定届出給与の届出期限は、会計年度開始の日から3ヵ月を経過する日とその給与に係る職務の執行を開始する日のいずれか早い日とされている。これを、例えば定時株主総会の日から1ヵ月以内とするなど、延長について見直すべきだと要望している。
現行の法律の規定によれば、届出期限が定時株主総会の開催日となり、実務上の対応が困難となるため、納税者の利便性や合理的な事務負担の見地から、届出期限延長を要望したもの。緊急要望は、届出期限を定めた法人税法施行令の早急な改正が困難な場合における弾力的な運用についても要望している。同緊急要望書は、6月29日付けで国税庁長官及び財務省主税局長に提出されている。
また、日税連は「2007年度税制改正に関する建議書」を決定し、法人税関係の建議のなかで、「特殊支配同族会社の役員給与にかかる損金不算入制度を見直すこと」を掲げている。同制度は、個人事業者の法人成りによる節税メリットを抑制し、会社の経費の適正化が目的と説明されている。しかし、役員給与はすでに会社から資金流出しているにもかかわらず、さらに会社に課税され、また、節税目的で設立された会社以外の会社や既存の会社も適用を受けることになり制度的に問題だとしている。
そのため、当面の措置として、法律の適用停止も含め、対象会社・適用除外要件の大幅な見直しを求める内容である。
この税制改正に対する建議は税理士法に基づいて毎年行っているもので、同法は、日税連に対し、税務行政その他租税及び税理士に関する制度について権限のある官公署に建議することを求めている。今回は、全国の各税理士会がまとめた458項目に及ぶ意見を参考に、日税連が全61項目からなる建議書にまとめたもの。同建議書は19日、財務大臣、財務省主税局長、国税庁長官、総務大臣など関係機関に提出された。