労働政策研究・研修機構が実施した「経営環境の変化の下での人事戦略と勤労者生活に関する実態調査」結果(有効回答数1291社、従業員7168人)によると、過去3年間に賃金制度の見直しを「行った」とする企業は55.5%と6割弱を占めた。具体的な見直しの内容(複数回答)は、「職務遂行能力の重視」(28.7%)、「職務、職種などの仕事の内容の重視」(22.9%)、「会社の業績の重視」(22.0%)などの順だった。
見直しを行った理由(複数回答)については、「従業員の就業意欲を高めるため」(59.8%)がもっとも多く、次いで「これまでの賃金制度では従業員の貢献が賃金に反映されないから」(50.9%)、「従業員に自分の能力を高める意欲を持たせるため」(43.2%)などが続いた。見直しに対する評価は、「まだ評価が固まっていない」とする企業が54.7%ともっとも多いが、「うまくいった」とする企業は32.1%と3割強を占めた。
また、3年前と比べて企業が賃金の決定要素として重視するようになったもの(複数回答)は、一般社員では「個人の成果」(55.2%)、課長相当職以上では「会社・部門の業績」(課長相当職58.5%、部長相当職以上67.1%)がもっとも多い。一方、従業員がもっとも重視されていると感じているのは、一般社員では「勤続年数」(47.2%)、課長相当職では「年齢」(39.9%)、部長相当職以上では「職務経歴・経験」(34.8%)となっている。
一方、企業経営に関しては、3年前と比較して重視される経営課題(複数回答)として「人材の育成の強化」を挙げる企業が約7割(67.9%)でトップ、以下、「収益性の向上」(58.9%)、「顧客満足度の向上」(55.3%)、「コストの削減」(55.0%)など。重視する利害関係者(ステークホルダー)は、これまで、今後とも「顧客」と「従業員」が9割程度と高く、次いで「取引先の企業等」と「系列・協力企業」が8割前後で続く。
同実態調査結果の詳細は↓
http://www.jil.go.jp/press/documents/20070717.pdf