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07年度国の債務超過額は3.8兆円増の282.9兆円

税務関連情報 - 2009年08月07日

 財務省がこのほど発表した2007年度の国の資産と負債の状況を示した貸借対照表によると、一般会計と特別会計を合算した結果、負債が資産を上回る債務超過額は、2006年度と比べ3兆8千億円悪化の282兆9千億円となった。2007年度の資産は同9兆6千億円減少の694兆9千億円、負債は同5兆8千億円減少の977兆8千億円(うち普通国債543兆7千億円)となった結果、資産と負債の差額は3兆8千億円の悪化となった。

 2007年度の資産は、寄託による公的年金の運用額の増加(16.1兆円)や外貨証券・日本郵政などの有価証券の保有額が増加(13.5兆円)するも、財政投融資改革での財務省の政策金融機関への貸付額の27兆円減少などで差引9兆6千億円減少。一方負債は、郵便貯金による預託金が大きく減少(31.9兆円)するも、新規国債や政府短期証券の残高が計31兆8千億円に膨らみ、差引5兆8千億円の減少にとどまった。

 また、国と関係が深い独立行政法人や特殊法人など214法人を対象に加えた連結ベースの貸借対照表によると、資産は2006年度に比べ134兆5千億円増の829兆4千億円だったのに対し、負債は同122兆7千億円増の1100兆5千億円で、債務超過額は同11兆8千億円減少の271兆1千億円となった。連結でみた場合も、債務超過額がやや改善されたとはいえ、厳しい財政状況であることに変わりはない。

 2007年度の行政コスト(業務費用)については、2006年度に比べ3兆9千億円減少の118兆4千億円となった。年金給付費や利払費は計1兆4千億円増加したものの、国から地方への税源委譲に伴う所得譲与税譲与金の減少など地方交付税交付金等が減少(4.3兆円)するなど、差引計3兆9千億円減少した。ただし、財源は106兆5千億円であり、財源不足額は、3兆円縮小したものの、11兆9千億円にのぼった。

 なお、2007年度の財源106兆5千億円の内訳は、租税等が2006年度比1兆4千億円減少の52兆7千億円、社会保険料が同8千億円増加の37兆7千億円、その他(運用益等)が同3千億円減少の16兆1千億円だった。業務費用が財源を超過している状態(財源不足=企業会計上の当期純損失に相当)が継続している。財源不足は、将来への負担の先送りを示しており、資産・負債差額の悪化につながっている。

 2007年度国の財務書類のポイントは↓
 http://www.mof.go.jp/jouhou/syukei/fs/2009_03.pdf