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経営関連情報 (2005/10/17)

中小企業の取引範囲は地域から外へ拡大傾向

 信金中央金庫が実施した中小企業と地域経済との関わりを探るための特別調査結果(有効回答数1万4469社)によると、販売(受注)エリア、仕入(外注)エリアの範囲については、「本社のある市区町村まで」と「同・都道府県まで」を合わせた回答割合が、それぞれ59.6%、56.7%となった。一方、「ほぼ全国」と「海外を含む」を合わせた回答割合は、販売エリアで11.0%、仕入エリアで9.4%にとどまった。

 従業員1~4人の小規模企業では、「市区町村まで」の回答割合が販売エリアで51.2%、仕入エリアで38.3%に達しており、地域に密着した経営を実践していることがうかがわれる。一方で、「海外を含む」の回答割合は、販売エリアで0.9%、仕入エリアで1.9%となっており、少数ながら広域に展開しているところもある。

 5年前と比較した販売エリア、仕入エリアの範囲については、「ほぼ変わらず」の回答割合が販売エリアで64.1%、仕入エリアで74.8%に達した。ただ、販売エリア、仕入エリアを問わず、いずれの業種でも「広がった」と「やや広がった」を合わせた回答割合(販売26.8%、仕入20.2%)が「やや狭まった」と「狭まった」を合わせた回答割合(販売9.2%、仕入5.0%)を上回り、中小企業の取引範囲は地域から外へ拡大傾向にある。

 他方、従業員に占める地元(本社を置く市区町村内)居住者の比率については、「100%(すべての従業員が地元居住者)」の回答割合が52.9%と過半にのぼった。一方、地元に居住する従業員の比率が半分に満たない企業(「25%以上50%未満」(5.6%)と「25%未満」(3.4%)の合計)は9.0%にとどまった。中小企業の多くは、地元から人材を採用しており、“雇用機会の提供”といった面で地域に貢献しているといえる。

 また、地元経済の活性化のために必要な施策・対応(3つまで回答)については、「地域の基幹産業の振興」と回答した企業割合が58.1%ともっとも高く、以下、「まちづくりや商店街の振興」(43.6%)、「知事、市町村長主導による明確な地域将来ビジョンの提示」(41.0%)までの3つの回答が特に多く、「住宅・道路・文化福祉施設の整備」(24.7%)、「地域内資金循環の促進」(20.4%)などを大きく引き離している。