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税務関連情報 (2007/02/13)

小規模宅地の特例は複数の宅地にも認められる?

 相続税の小規模宅地等の特例は、事業用や居住用の宅地の一定面積までの部分を通常よりも80%または50%の割合で減額するものだが、仮に被相続人が2つの住居を居住用として使っていて、その合計面積が特例の適用面積以下であれば、両方の宅地に特例が適用されるのか。納税者Aは両方の宅地に特例を適用して相続税の申告をしたが、税務署が認めなかったため、国税不服審判所に審査請求して判断を仰いだ事案がある。

 Aは、親の死亡に伴い住居として使っていた駅前のマンション(敷地約26平方メートル)と戸建住宅(同122平方メートル)を相続し、親は両方の宅地を居住用として使用していたことや、両方の宅地の合計敷地面積が特例の適用面積である200平方メートル以下(当時)であることから、両方の宅地に特例を適用して相続税の申告をした。しかし、税務署は、生活の拠点は戸建住宅であるとしてマンションへの特例適用は認めなかった。

 審判所は、「居住の用に供されていた宅地等」とは、相続の開始直前において、被相続人が現に居住していた宅地等を意味し、被相続人の死亡直前に現に生活の拠点として使用していたことが必要であり、具体的には、被相続人のその建物への入居目的、日常生活の状況、生活の拠点となるべき他の建物の有無その他の事実を総合勘案して、社会通念に照らして客観的に判断すべきであるとの解釈を示した。

 また、小規模宅地の特例は、居住用の宅地が一般的に相続人の生活基盤の維持のために欠くことができないものだから、相続税の課税上特別に配慮したものである、との特例の立法趣旨を説明。したがって、特例の対象となる居住用宅地は、被相続人が生前に居住用の宅地を複数保有していた場合であっても、まさに相続開始の直前において現に居住の用に供していた宅地の部分に限られるとの判断を示している。