A社では、今年9月に創立20周年を迎えることから、従業員をはじめ元従業員及び関連会社等取引先の社員に対して記念品を支給することにした。記念品は、1)従業員がシャープペンシルと携帯用計算機(購入価額3千円)、2)元従業員が掛け時計(同1万円)、3)関連会社等取引先社員がシャープペンシルと携帯用計算機(同3千円)である。この場合、元従業員に対する経済的利益は非課税となる。
所得税基本通達では、課税しない経済的利益として、会社が役員や従業員に対して創業記念などに支給する記念品で、1)社会通念上記念品としてふさわしく、かつ、その価額が1万円以下のもの、2)創業後相当な期間(おおむね5年以上の期間)ごとに支給するものは、課税しなくて差し支えないと定めている。元従業員に対する経済的利益についても、従業員に対するものと同様に扱えることになる。
また、元従業員に支給する記念品の費用は、その記念品が一律に支給されるものであり、かつ、その価額も少額であるから、租税特別措置法関係通達(福利厚生費と交際費等との区分)に掲げる費用に準じて交際費等に含まれないと解して差し支えない。
同通達では、社内の行事に際して支出される金額等で、1)創立記念日などに際し従業員におおむね一律に社内において供与される通常の飲食費用、2)従業員(元従業員を含む)またはその親族などの慶弔、禍福に際し一定の基準に従って支給される金品に要する費用は、交際費等に含まれないものとされている。
このように、元従業員にいわば一律に支給される創業記念品については、従業員と同様に取り扱うことが認められる。ただし、関連会社等取引先の社員に支給する記念品に係る費用は、交際費等に含まれることになるので注意したい。