東京商工リサーチがこのほど発表した2007年豆腐・油揚製造業の倒産状況によると、2007年の同製造業の倒産件数は、平成最多の20件(前年比11.1%増)となったことが分かった。最近は、2000年が10件、01年19件、02年12件、03年14件、05年15件、06年18件と推移し、02年を底に増加傾向にある。また、負債総額は、前年比33.8%増の55億9600万円にのぼり、05年、03年に次ぐ平成3番目の金額となった。
一般の豆腐店では、米国産大豆と国内産大豆を混ぜたブレンド大豆を使用しているところがほとんどだが、大豆を含めて穀物の国際相場が高騰していることが、倒産増加の背景にある。その要因は、(1)世界的な異常気象で供給が極めて不安定、(2)高度経済成長を続ける中国が、食生活の向上から大豆などを大量輸入、(3)原油価格高騰でバイオ燃料が注目され、穀物からバイオエタノールを生産する非食用需要が増大、などだ。
米国など主要生産地ではトウモロコシへの転作が進み、大豆の生産量が減少。さらに、投資ファンドからの穀物相場への資金流入が価格高騰に拍車をかけ、事態を複雑にした。こうした要因をもとに原材料が高騰を続け、豆腐店の経営が圧迫されている。食用油、燃料、包装資材など関連コストも軒並み上昇を続けるなかで、もはや合理化努力では吸収できない状況にあるとの声が業界関係者から聞かれるという。
また、量販店との競合から容易に価格の製品転嫁に踏み切れないなかで、原材料高による経営環境悪化や高齢者不足などが重なり、倒産に到らないものの廃業を選ぶ豆腐店も多くなっている。なお、豆腐・油揚製造業の倒産を資本金別にみると、1千万円未満が10件、年商別では1億円未満が11件など、小規模企業が半数を占めた。原因別では、販売不振が前年比9件増の16件と、全体の8割を占めたことが目立つ。