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赤字法人調査のうちの約16%の7千件が黒字に転換

税務関連情報 - 2008年11月14日

 今年6月までの1年間(2007事務年度)における法人の黒字申告割合は32.3%となり、約7割の法人が赤字という状況は変わりない。ところが、このような状況に便乗して実際は黒字なのに赤字を装う企業が後を絶たない。2007事務年度中に法人税の実地調査をした14万7千件のうち約3割にあたる4万6千件は無所得申告法人の調査に充てられ、うち約16%の7千社が実際は黒字だったことが、国税庁のまとめで判明した。

 調査結果によると、実地調査した4万6千件のうち約72%にあたる3万3千件から総額5939億円にのぼる申告漏れ所得金額を見つけ、加算税額101億円を含む487億円の税額を追徴した。調査1件あたりの申告漏れ所得金額は1283万円となる。また、実施調査したうちの4件に1件(約25%)、1万1千件は仮装・隠ぺいなど故意に所得をごまかしており、その不正脱漏所得金額は1699億円にのぼった。

 2007事務年度の無所得申告法人調査は、前年度に比べ3.7%増の実地調査を行い、申告漏れ件数が4.0%増、不正計算のあった件数が1.6%増とともに増えている。この結果、黒字となった法人が7千社あったわけだが、調査で把握された1件あたりの申告漏れ所得1283万円は、前年度より9.1%減少したとはいえ、法人全体の平均1107万円を上回る。不正申告1件あたりの不正脱漏所得金額は1496万円とさらに高額だ。

 このように、赤字申告や無申告だった法人でも調査してみると、一般の実地調査よりも高額な申告漏れが把握されることも少なくない。国税当局は、7割が赤字申告という状況のなかで、近年、特に赤字法人を装う企業に目を光らせて調査対象としている。300万社にのぼる法人数を考えれば、「うちには調査は来ない」と高をくくりがちだが、国税調査は急所を押さえているといえそうだ。