最低資本金規制特例制度を利用して設立された会社が、1月21日付けで2万社を突破し、このうち資本金1円で設立された会社が927社あったことを、経済産業省が24日、公表した。最低資本金特例制度は、株式会社が1千万円、有限会社が300万円という最低資本金規制を適用せずに1円でも会社が設立できるというもの。2003年2月に導入され2008年3月末までの会社設立に適用される。
経産省のまとめによると、2003年2月1日から2005年1月21日までの実績は、確認申請件数が2万4639件(うち1円会社が1172件)、成立届出件数が2万211件(同927件)と2万社を突破した。また、会社設立後、資本金を最低資本金以上に増資した卒業件数(14日現在)は、株式445社、有限839社の合計1284社にのぼった。一方、破産や合併による解散などで株式47社、有限70社の合計117社が消滅している。
最低資本金特例制度の導入までは、ベンチャーなどにとって資本金確保が会社設立時の大きなハードルとなっていたが、学生やサラリーマン・主婦など個人の起業チャンスが広がり、新設法人が増えることで、雇用の確保などへの寄与も大だ。反面、特例利用企業は、設立から5年以内に最低資本金を満たさないと解散ということになることから、起業後は増資資金の確保が大きな課題となっていた。
しかし、この課題も解消されそうだ。というのも、法制審議会がまとめた「会社法制の現代化」のなかで、有限会社制度を廃止し株式会社に統合する案などとともに、会社設立に必要な出資額の下限額を撤廃する案が盛り込まれているからだ。法案は、3月に今通常国会に提出され、2006年4月からの施行を目指している。90年改正で設けられた最低資本金制度は廃止となり、「1円起業」が恒久化されることになる。