~キャッシュフロー計算書は、どのように取り扱うか?
商法上、キャッシュフロー計算書の作成は義務としては求められていない。しかし、日常の資金繰りの成否は重大な経営問題に直結している。そのため、自社の経営の把握、経営判断の基礎として、また、金融機関の信頼を醸成するために、キャッシュフロー計算書を作成することが望ましい。
キャッシュフロー計算書を見ての財務診断のポイントとなるのは「フリーキャッシュフロー」である。これは、文字通り会社が自由に使うことができるキャッシュのこと。つまり、会社が通常の経営活動のなかで、外部から依存せずに自ら調達したキャッシュ(内部資金調達額)である。
具体的には、3つのキャッシュフローのうち、本業の営業活動で稼いだお金である「営業キャッシュフロー」と事業の維持や投資に使ったお金である「投資キャッシュフロー」の合計をいう。これがプラスであれば、本業の拡大や借入金の返済、設備投資の元手、試験研究の推進費用などになり、経営の自由度を高めるものとなる。
逆に、フリーキャッシュフローがマイナスであれば、会社は金融機関に借入金を返すことができず、その状態が続くといつかは破綻してしまうことになる。最近は金融機関も、担保だけでなく、このフリーキャッシュフローを重視する傾向になっている。キャッシュフロー計算書を作成することが望ましい理由がお分かりいただけたろうか。
(続く)