景気が急速に悪化するなか、企業は経費削減のため社員のタクシー利用を制限するところも多いようだ。しかし、タクシーチケットは、法人契約したタクシー会社に使用料金を月1回、後日一括で支払えばよく、部署・課ごとの利用内訳もわかることなどから、企業側も煩雑な事務処理が軽減されることなどもあって、相変わらず、取引先等の接待の際に社員に渡して使用させるところも少なくない。
ところで、このタクシーチケットの使用料金の税務処理には注意が必要である。一般的に、企業は、契約したタクシー会社が1月ごとに発行する請求書に基づき料金を支払っているが、その料金を一括して旅費・交通費等として損金に算入するような処理は、税務上認められない。タクシーの利用料金は、支払がタクシーチケットか現金かにかかわらず、その利用実態に応じた処理が求められる。
例えば、取引先などを接待した際に、自宅に送り届けるためにタクシーを使ったのであれば、その料金は交際費ということになる。こうしたタクシーチケットの利用内容まで税務当局にはいちいち分からないだろうと考える向きもあるようだが、乗車日時や乗車経路まで分かるシステムとなっており、ネオン街から乗車したものを交際費ではないと言い張っても認めてはくれないだろう。
もちろん、取引先等の接待など以外の会社の業務のために使用したり、残業した社員が終電後に帰宅するために使用した場合などには損金処理が認められることはいうまでもないが、社員が私用で使用したといったケースでは給与課税の問題まで出てくる可能性もある。なお、タクシーチケットの精算日と期末日がずれているようなときでも、支払ベースで処理してもいいこととされている。