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足踏みが続く中小企業の業況DIの基調~日商調査

経営関連情報 - 2011年01月07日

 日本商工会議所が、昨年12月14日から20日にかけて実施した「商工会議所LOBO(早期景気観測)調査」結果によると、12月の中小企業の全産業合計の業況DI(前年同月比、「好転」-「悪化」)は、前月比2.5ポイント上昇の▲38.1と、2ヵ月ぶりにマイナス幅が縮小した。しかし、産業別にみると、卸売業を除くとほぼ横ばいで、業況の基調は、足踏み状態が続いている。

 円高の長期化で、取引先の海外移転に伴う受注の減少や、コストダウン要求が強まっており、経営環境は悪化している。また、低価格での受注競争の激化や消費者の節約志向など、収益確保の見通しは依然として厳しい。業種別では、「卸売業」(▲26.3)のマイナス幅が前月比15.0ポイント上昇と大幅に縮小した。また、「小売業」(▲39.1)は、年末セールの実施などで売上が増加したことから、業況が上向いた。

 「卸売業」のマイナス幅が大幅に縮小したのは、住宅エコポイントによる建材需要の増加や、猛暑により不作だった農産物の受給が緩和したにもかかわらず、価格が高止まりしていることなど、一部業種の好調が主要因となっている。一方、公共・民間工事とも受注が低迷している「建設業」(▲50.7)や、忘年会等の予約が例年に比べ少ない飲食店、旅館などの「サービス業」(▲45.0)は、厳しい状況が続いている。

 項目別にみると、仕入単価DI(前年同月比、「下落」-「上昇」)は円高による恩恵がみられるものの、主に海外産の農作物や原材料の価格が上昇・高止まりしている影響が大きく、全産業合計で前月比1.8ポイント悪化の▲16.3と、マイナス幅が拡大した。その他の項目は総じてマイナス幅が縮小したが、比較対象の前年同月が極めて低い水準だったことが主な要因で、業況が上向いているとの声は少ない。

 先行きの業況DIについては、▲40.7(前月比▲0.5ポイント)と前月からほぼ横ばいだが、年明け以降の仕事の確保が見込めないなどの声が目立っており、特に建設業は公共工事の減少が続くなど、厳しさを増している。また、円高の長期化により収益悪化の懸念が一層強まっている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jcci.or.jp/lobo/LOBO201012.pdf