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税務関連情報 (2006/11/29)

申告を任せた第三者の不正でも納税者本人の責任

 申告手続きを任せた第三者が作成した申告書が不正な還付請求だった場合、その不正行為に基づく重加算税は納税者本人に課されるという判断が下された。これは、国税不服審判所の裁決だが、第三者に申告手続きの代行を任せた場合には、第三者が行った確定申告に係る行為は、納税者の行為と同一視される。「税金が安くなるから」などといった甘い言葉に惑わされないように注意したい。

 納税者Aは、友人から、知り合いの税務職員に源泉徴収票を渡せば、申告手続きの代行をしてくれた上、税金が戻ってくるという話を聞き、申告手続きの代行を任せた。ところが、この税務職員は、事業所得に多額の損失があったかのように仮装して確定申告書を提出し、不正な還付請求をしたことから、税務署はAに対して重加算税を課した。Aは、その処分に納得できず、国税不服審判所の判断を仰いだ。

 裁決は、納税者が申告を第三者に委任した場合に、その第三者が行った不正計算に基づく申告の責任を納税者がどこまで負うかは、納税者とその第三者の関係、その行為に対する納税者の認識・可能性、黙認の有無、払った注意の程度などに照らして、個別・具体的に判断すべきであると指摘。納税者が、第三者に対する選任、監督上の注意義務を尽くさずに、不正行為の防止を怠った場合は、納税者に重加算税を賦課できるとした。

 その上でAの場合をみると、Aは申告手続きを任せる際に、どのような理由で税金が戻ってくるのかという肝心な点について確認しておらず、また、自ら予定する申告内容を具体的に指示することなく、税務職員に包括的に一任している。したがって、Aは、第三者に対する選任、監督上の注意義務を尽くさなかったと認められるから、第三者の不正行為はAの行為と同一視でき、Aに重加算税を賦課できるとの判断を下している。