先ごろの構造改革特区において、診療内容が限定的とはいえ株式会社病院の設立が認められ、医療業界の活性化が期待されることになった。しかし、矢野経済研究所がこのほど発表した調査結果(有効回答数165病院)では、病院経営の「民営化」に対し、58.2%と60%弱の病院が反対しており、賛成の32.1%を大きく上回った。
反対する理由は「採算の悪い重症患者や老人が取り残される」や「医療の質が低下する」などが多い。反対に、賛成意見で最も多かったのは「医療業界の活性化が期待できる」。このような意見を述べる病院は現在、病院の進歩を阻む原因は内部にあるとし、その改善のため他からの参入を容認するのではないかと推測される。
一方、現在の経済状況下では収入の増加は期待できず、また病院間競争も激しくなってきており、生き残りのためのコスト削減は各病院で重要課題となっている。特に材料費は全コストのなかでも大きな比率を占めることからその削減が求められ、ボリュームディスカウントを狙った共同購買が動き出し、有力病院の動向が注目されている。
病院の共同購買に対する検討状況は、「すでに実施」(20.6%)や「前向きに検討中」(22.4%)などの必要性を感じている意見を合計すると50%を超え、「必要がない」(31.5%)を大きく上回る。しかしながら、必要性を感じていても、実際に実行まで至る病院は必要性を感じている病院のうちの約40%(全体の約20%)となっており、医療法人の枠を越えたパートナーの選択に苦慮する場合が多いようだ。