中小企業も貸借対照表や損益計算書などの計算書類を公開することで、金融機関や取引先の信頼性を高める必要性が求められている。そのようななかで、会社法制の現代化を審議している法制審議会会社法部会は、株式会社の計算書類の信頼性を高める目的で会計参与(仮称)制度を創設することを検討している。法案は、2005年度通常総会に提出し、2006年4月1日施行を目指している。
会計参与制度は、株式会社であれば定款で設置でき、取締役と共同で計算書類を作成し、取締役・執行役とは別に計算書類を保存、株主・会社債権者に開示することで、計算書類の記載の正確さに対する信頼性を高める機能を持つ。会計参与は税理士(税理士法人)、公認会計士(監査法人)でなければならず、株主総会で選任される。会社・子会社の取締役や執行役、監査役、会計監査人などとの兼任はできない。
会計参与は、株主総会において、計算書類に関する株主からの質問事項に対する説明責任があり、計算書類を5年間保存しなければならない。また、株主・会社債権者は、会計参与に対して、いつでも計算書類の閲覧等を請求できる。このように、会計の専門家が計算書類の作成・保存・開示に一貫してかかわることで、取締役・執行役の虚偽記載や改ざんを防ぎ、計算書類の信頼性を高めることが狙いだ。
なお、会社法制の現代化では、そのほか、株式会社設立時の最低資本金規制の撤廃や、株式会社と有限会社を一本化することなども検討されている。