原油価格の高騰によって各地でガソリン・灯油の値上がりが加速している。こうした状況が長引けば今後の景気に悪影響を及ぼす懸念があるが、冬季期間(12~2月)において、ガソリン・灯油の値上げが地域の消費支出にどれほどの影響を与えるかを試算したのは内閣府のレポートだ。試算の結果、ガソリンの値上げによる負担額は、昨年の冬と比べ、全国平均で3ヵ月2333円もの増加となった。
2006年の家計調査報告によると、一世帯あたりでガソリンと灯油を合わせた年間消費額は、平均で全支出の2.6%となっている。北海道や東北、北陸などの寒冷地では灯油への支出割合が高く、関東、近畿の大都市圏ではガソリンの支出割合が低いといった特徴がみられる。また、ガソリン、灯油価格の推移をみると、全国平均では昨年11月に比べてガソリンは1リットルあたり13円、灯油は18リットルあたりで180円上昇している。
レポートは、ガソリン・灯油価格の上昇が、冬季期間(12~2月)において家計に与える影響を試算。その結果、ガソリンの値上げによる負担額について、現在の価格(07年11月価格)で昨年と同じ量を使用した場合の負担増額を計算すると、全国平均では3ヵ月で2333円の増額となった。もっとも負担増額の多い北陸では3840円(1ヵ月あたり1280円)の増額、もっとも負担増額の少ない近畿でも1775円の増額となる。
同様に、灯油についての試算では、灯油の使用量は気温によって大きく変わるため、一昨年の厳冬、昨年の暖冬のときの灯油使用量に現在の価格を掛け合わせ、昨年の支出と比較した結果、全国平均の3ヵ月での負担増は、暖冬の場合1704円(最高は北海道の5074円)、厳冬の場合4435円(同北陸の1万2534円)となり、暖冬、厳冬の違いにより、ほとんどの地域で負担額が2倍以上も変わってくる。
景気ウォッチャー調査では、ガソリン・灯油価格の上昇が消費者マインドを低下させているといったコメントがこのところ数多くみられるという。レポートは、「マインドの低下が実際の消費行動に影響するかどうか、注視が必要だ」と結んでいる。