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株式の評価損の損金算入基準を明確化~国税庁

税務関連情報 - 2009年04月15日

 国税庁はこのほど、「上場有価証券の評価損に関するQ&A」を公表し、企業が所有する上場有価証券の時価が帳簿価額に比べて50%以上下落し、会計上減損処理が行われた場合において、税務上その評価損を損金算入するにあたっての取扱いの明確化を図った。税務上、株式の価額が著しく低下し、帳簿価額を下回る場合は、その帳簿価額と時価の差額を損金経理によって減額し、評価損を損金算入することが認められている。

 この場合の「著しく低下したこと」について、法人税基本通達では、(1)株式の期末の価額がその時の帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ること(形式基準)になり、かつ、(2)近い将来その価額の回復が見込まれないこと(実質基準)をいうものとされている。問題となるのは、(1)はさておき、(2)の株価の回復可能性の検証であって、どのような状況であれば、「近い将来回復が見込まれない」と言えるのかである。

 そこでQ&Aでは、株価の回復可能性がないことについて、法人の側から、過去の市場価格の推移や市場環境の動向、発行法人の業況等を総合的に勘案した合理的な判断基準が示される限りにおいては、税務上はその基準が尊重されることを明らかにしている。したがって、必ずしも株価が過去2年間にわたり帳簿価額の50%程度以上下落した状態でなければ損金算入が認められないものではないと説明している。

 さらに、株式発行法人に係る将来動向や株価の見通しについて、専門性を有する客観的な第三者の見解があれば、これを合理的な判断の根拠のひとつとすることを認めている。具体的には、専門性を有する第三者である証券アナリストなどによる個別銘柄別・業種別分析や業界動向に係る見通し、発行法人に関する企業情報などを用いて、その株価が近い将来回復しないことについての根拠が提示されれば、合理的な判断であると認められる。

 同Q&Aの詳細は↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/090400/index.htm