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経営関連情報 (2007/10/22)

地域別にみる改正建築基準法の影響~内閣府

 耐震偽装の再発防止のため、建築確認の審査を厳しくした改正建築基準法が6月20日に施行され、申請手控えや審査の長期化など、現場の混乱が広がったといわれている。また、2005年以降125万戸前後の水準で推移してきた新設住宅着工件数は、7月の前年比▲23.4%の大幅減少に続き、8月も同▲43.3%の過去最大のマイナス幅となった(国土交通省の資料)。こうした改正建築基準法の影響を分析したのは、内閣府のレポートだ。

 それによると、7・8月の新設住宅着工件数は全地域で大幅に前年を下回っているが、特に沖縄の減少が目立つ。これは、前年の大幅増加の反動と、沖縄では建築確認審査に比較的時間がかかる鉄筋コンクリート造の割合が多いことが影響しているとみている。利用関係別でみると、全地域で「持家」、「貸家」が大きくマイナスに寄与し、南関東・近畿・中国・四国・九州では分譲マンションのマイナス寄与もみられる。

 今回の改正で、一定の高さ以上等の建築物(高さ20メートルを超える鉄筋コンクリート造の建築物など)に、第三者機関による構造審査が義務づけられた。比較的小型の建築物である分譲一戸建住宅に比べて、大型の建築物の多い貸家や分譲マンションのほうが、前年比の落込みが大きくなっている。また、建築着工床面積(非居住)をみると、6月の“駆け込み需要”から一転して、7・8月は全地域で大幅に前年を下回っている。

 9月の景気ウォッチャー調査(内閣府)では、建築基準法改正に伴う建築単価の上昇や建築確認の認可に時間がかかり、経営に影響しているという声が寄せられた。先行きについても、当分の間、着工作業に大幅な遅れが生じることを懸念するコメントがみられる。レポートは、改正建築基準法の周知が進めば、全体の状況は徐々に回復していくものとみているが、引き続き、今後の動向に注視する必要があるとしている。