確定拠出年金の拠出限度額を引き上げる政令が、7月29日に公布されている。確定拠出年金には、掛金を企業が拠出する企業型と、確定給付型の年金制度や確定拠出年金の企業型も導入していない企業の従業員や自営業者など加入者個人が拠出する個人型がある。拠出限度額まではともに非課税扱いで、企業の掛金は全額損金算入、加入者個人の掛金は小規模企業共済等掛金として全額所得控除となる。
拠出限度額については、年功序列賃金に連動した掛金設定によって掛金が低くなっている若年者の掛金の引上げを目指すとともに、老後の所得保障として必要な額の確保のため、企業型のうち(1)厚生年金基金のような他の企業年金がない場合は月額5.1万円(現行4.6万円)、(2)他の企業年金がある場合は月額2.55万円(同2.3万円)、(3)個人型で企業年金がない場合は月額2.3万円(同1.8万円)にそれぞれ引き上げる。
自営業者の拠出限度額は変更しない。2010年1月1日から施行する。一方、これを支援する税制面の措置としては、2009年度税制改正において、企業型の確定拠出年金の掛金に従業員掛金拠出の上乗せを認める制度(いわゆるマッチング拠出)が導入されることに伴い、マッチング拠出分に関しては小規模企業共済等掛金控除の対象とし、全額所得控除できることが盛り込まれていた。
税制措置は税法ではなく、改正確定拠出年金法案の附則に税法を見直す規定が設けられていたが、審議未了による同法案の廃案によりマッチング拠出は今通常国会では実現しなかった。ただし、拠出限度額の引上げは、法改正とは直接連動しないことから、政令により改正された。今回の措置により、企業型確定拠出年金の利用割合や企業年金加入者数の大幅増加が期待されている。