経 営 関 連 情 報 |
2001年11月19日-001
2%台の安定成長軌道へ復帰可能との野村総研レポート
野村総合研究所は15日、日本経済は4~5年の雌伏期間を経て、2010年頃には2%台の安定成長軌道に復帰可能との「日本経済再生への道」と題するレポートを公表した。
それによると、日本経済の再生のためには企業部門における一段の効率化、特に生産性に見合う賃金体系への移行など人的資源の効率化が不可欠だとした。人的資源の効率化は、短期的には失業率を高める方向に作用するが、規制緩和が進み、またパートタイマーや女性の労働参加を促進する施策がとられるなら、中長期的にはかえって新しい雇用の創造が活性化し、労働需給は好転に向かうと分析。
大きな課題は、人的資源の効率化に伴う短期的な需要不足の緩和策だが、財政再建を棚上げしてしまうと完全失業率は7.2%まで悪化するなど、これまで以上に厳しい長期的停滞と混迷の時代に入る危険性が高いと警告する。そこで、個人消費の活性化に活路を見出すことを提案。日本の消費性向の近年低下の主要因は、30~40代世代の住宅ローンと教育費の負担による消費抑制と高齢者世代が老後の不安から高貯蓄を続けていることと指摘。これらの構造的消費抑制要因を軽減するために、‡@住宅ローンの利子控除の拡大、‡A女性の労働参加を促す税制改正、‡B一定の所得以下の後期高齢者(75歳以上)の社会保障の充実、‡C贈与税の大幅緩和や相続税の課税ベース拡大など税制改正を通じた世代間資産移転の促進などを掲げている。
このような施策が適切に講じられれば、人的資源の効率化が進む中でも、80~90年代の米英のように消費性向を高めていくことは可能であり、政策的には財政再建路線を堅持しつつ、規制緩和の推進と労働市場の多様化・弾力化を推進していけば、日本経済は4~5年の雌伏期間を経て、2010年ごろには2%台の安定成長軌道に復帰できるというのが、野村総研が描く日本経済再生のシナリオである。
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