厚生労働省は2008年度、人口減少社会や就業多様化に対応した注目すべき助成金の創設・見直しを積極化している。そのなかでもっとも注目されるのが「中小企業雇用安定化奨励金」だ。この奨励金は、中小企業事業主が、契約社員やパートタイマーなどの期間を定めて雇用している従業員(有期契約労働者)を、新たに正社員として転換する制度を就業規則などに定めて、実際に正社員に転換させた場合に支給されるものだ。
同奨励金制度は、すでに4月1日からスタートしている。支給対象事業主は、資本金3億円以下か、常用労働者数300人以下(製造業・その他の業種の場合)の中小企業事業主(雇用保険の適用事業主)で、名称の如何を問わず、新たに有期契約労働者を正社員に転換させる制度を労働協約や就業規則に定め、かつ、その制度に基づいて1人以上を正社員に転換させた事業主であることとされている。
同制度を利用して、直接雇用する有期契約労働者を1人以上正社員として転換させた場合に、35万円が支給される。また、同制度導入した日から3年以内に、3人以上正社員へ転換した場合(転換促進事業主)には、対象労働者1人につき10万円が、10人を限度として助成される。対象労働者のいずれかが母子家庭の母などのときは、通常の適用者を含め2人以上転換させた場合、母子家庭の母等は1人について15万円の助成額となる。
支給申請期間は、転換制度導入事業主の場合は、対象労働者に通常の労働者としての1ヵ月分の基本給を支給した日の翌日から1ヵ月以内、転換促進事業主の場合は、対象労働者に通常の労働者としての6ヵ月分の基本給を支給した日の翌日から1ヵ月以内とされている。この4月から施行された改正パートタイム労働法でもパートの正社員転換が奨励されているが、奨励金制度の導入を機に正社員転換の検討をお勧めしたい。