全体の倒産件数が減少するなか、2005年度の書店倒産は、前年度に比べ50%増の45件とその増加が目立ったことが東京商工リサーチの調査でわかった。倒産の原因別では、「販売不振」が同59%増の35件と全体の約8割を占め、形態別では「破産」が31件で最多。企業規模別では、「従業員5人未満」が同76%増の37件、「負債1億円未満」が同74%増の33件と、個人経営を含めた小規模企業の倒産増加が目に付いた。
こうした背景について、東京商工リサーチは次のように分析している。これまで書店は、出版社が個々の出版物の小売価格を決めて、書店で定価販売する「再販売価格維持制度」と、出版社が取次ぎを通して書店に出版物の販売を一定期間委託し、委託期間内であれば売れ残った出版物を取次店経由で出版社に返却できるシステムである「委託販売制度」の両制度により、小資本による運営を可能にしてきた。
しかし最近は、大型書店の相次ぐ出店に加えて、キヨスク・コンビニ・インターネット書店などの書籍流通経路の拡大や、新型古書店・マンガ喫茶などの二次流通市場の広がりにより、従来型書店は、業績低迷や後継者不在から転廃業するところが増えている。業界団体の日本書店商業組合連合会の所属組合員数は、4月1日現在で6683店と過去最少となり、ピークの1986年(1万2935店)以降、減少が続いている。
東京商工リサーチでは、インターネット通販での本の購読が定着し、書店の位置付けは「実際の購入の場」から、いわば「カタログ閲覧の場」へと変化していると指摘。そのため、多くの種類の書籍を配置するスペースや、読者と著作者とのサイン会やイベントを通じた交流スペースを確保する大型店が消費者ニーズに合致し、従来型の中小書店の存在意義が人口減少や他メディアとの競合から薄れつつあるとみている。