経済産業省は、最近、個人事業者などを狙った電話機等リース訪問販売に係る苦情相談が増加しており、なかには悪質な事例も多数見受けられることから、その対応として特定商取引法の通達改正や業界団体への指導などを行ったことを明らかにした。通達改正では、事業者名による契約であっても、一定の事案については「クーリングオフ」など特定商取引法による救済が受けられることを明確にしている。
電話機等リース訪問販売では、事業者が、「今の電話機は使えなくなる」、「電話代が安くなる」などと事実でないことを告げて勧誘し、また実質的に廃業している者に屋号で契約させるなど、悪質な事例が見受けられるという。消費者契約の場合は特定商取引法が適用されてクーリングオフなどができるが、これまでは事業者とみなされれば、同法の適用による救済が難しかった。
そこで通達改正では、「販売業者等」の解釈の明確化を図り、例えばリース提携販売のように、一定の仕組みの上での複数の者による勧誘・販売等であるが、総合してみれば一つの訪問販売を形成しているような場合には、いずれも販売業者等に該当することを明示。また、一見事業者名で契約していても、事業用というよりも主として個人用・家庭用に使用するためのものであれば、原則、特定商取引法が適用されることを明示した。
また、業界団体への指導については、リース事業協会に対し、電話機等リースの審査強化、提携販売事業者の総点検及び取引停止を含めた管理強化、苦情相談体制の整備などの取組みを早急に講ずるように指導したほか、情報通信ネットワーク産業協会、日本訪問販売協会に対しても同様に、電話機等リース訪問販売に係るトラブルの未然防止、早期解決のための対応を早急に講ずるよう指導している。
なお、国民生活センターによると、電話機類のリースに関する苦情相談件数は、2000年度の2618件から年々増加し、2004年度には7132件に達している。2005年度に入っても11月24日現在で前年同期に比べ約40%増の3961件にのぼっている。