消費税の総額表示義務化が4月1日からはじまるが、それに伴い印紙税の取扱い通達が改正された。印紙税は、領収書や契約書などの課税文書に記載された金額に応じて課税されるが、不動産の譲渡等に関する契約書(第1号文書)や請負に関する契約書(第2号文書)、売上代金に係る金銭または有価証券の受取書(第17号文書)については、消費税額等を区分記載してあれば消費税額等は記載金額に含めないものとされている。
改正前の通達では、「請負金額1000万円、消費税及び地方消費税50万円 計1050万円」、「請負金額1050万円、うち消費税及び地方消費税50万円」が例示されていた。つまり、改正前は、消費税等の具体的な金額が記載されていることが必要だった。しかし、改正後は、税込価格および税抜価格が記載されていることで、その取引に係る消費税額等が明らかな場合も、その消費税額等を記載金額に含めなくてもいいこととされた。
改正通達では、消費税額等を含む金額と含まない金額の両方を具体的に記載していることで、消費税額等が容易に計算できる場合として「請負金額1050万円、税抜価格1000万円」を例示している。今回の総額表示義務化で財務省は「総額表示のみ」「総額表示(税込)」なども表示方法として認めているが、印紙税ではうっかりこれらの表示方法で記載してしまうと消費税額等を含めた金額が課税標準となる。
例えば、上記の請負契約に関する契約書の場合であれば、課税標準が「500万円超1000万円以下」は1万円、「1000万円」を1円でも超えると2万円の印紙税がかかる。うっかりすると1万円も余分にかかることになる。この印紙税における消費税額等の取扱いはこれまでもあったものだが、総額表示の義務化を機に改めて注意したいもの。なお、この改正通達は4月1日から適用される。