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税務関連情報 (2006/06/09)

来年度税制改正で見直される減価償却制度

 経済界などが強く要望していた減価償却制度の見直しが来年度税制改正で実現する可能性が高くなってきた。政府税制調査会の石弘光会長は2日の記者会見で、耐用年数が長すぎることや費用計上を95%までしか認めない現行制度は「国際的な基準から問題がある」との考えを示し、検討することを明らかにした。また、設備の種類ごとに388区分ある複雑な法定耐用年数区分も簡素化する方向で検討される。

 土地以外の有形固定資産は、使用することによって年々価値が減っていき、やがて使えないときがくる。固定資産を購入して使用を開始してから使えなくなるまでの使用可能であろう期間が耐用年数だ。減価償却制度は、固定資産の取得価額を使用期間に応じて費用配分する制度だ。具体的には、「取得価額-残存価額」の金額を耐用年数で割った金額を、その年の資産の減価とみなして費用に計上する。

 残存価額とは、使用できなくなった固定資産を売って得られるであろう処分価額のことで、わが国では取得価額の10%とされている。これが原則だが、実際には取得価額の5%まで償却が認められており、償却可能限度額は95%である。ところが、米・英・独・仏などの主要国は100%償却を認めており、残存価額もない。これらの国に比べると、100%費用計上できないわが国の企業は国際競争で不利となる。

 さらに、欧米各国に比べて長すぎる法定耐用年数も経済界の不満である。特に、技術革新の早いIT関連の機械装置の耐用年数が長いと、減価償却が資産の目減りに追いつかない可能性もある。耐用年数を短縮すれば、早めに費用計上でき、税負担が軽減されることから、手元資金も増えて、設備投資がさらに活発になるという期待もある。このような減価償却制度の見直しが来年度税制改正で実現する見通しとなってきた。