2005年の合計特殊出生率が過去最低の1.25となった。さらなる少子化対策、子育て支援策が喫緊の課題として求められる。三菱総研は15日、少子化対策のための経済的支援策についてそのあり方を考察し、児童税額控除の導入による子育て家族の負担軽減に関する試算を行ったレポートを発表した。年収600万円の4人家族では年間19.5万円の減額となるとの試算を示し、児童税額控除の導入の検討を提案している。
レポートによると、子どもが2人いる家族の子育て費用は年間200万円にも及ぶが、子どもがいない家族との税負担の差額(所得税・住民税)は30万円程度のとどまることから、さらなる税制面の支援が必要である。税制による支援策として扶養控除の拡大を望む声があるが、扶養控除の拡大は高所得者ほど減税額が大きくなる。そこで、中堅所得者層に手厚く減税するため、児童税額控除の新たな導入を提案したわけだ。
児童税額控除について、子ども1人あたり10万円の税額控除を所得税と住民税に導入するシナリオを想定し、試算を行ったところ、年収600万円で子どもが2人いる4人家族では、現行税制での年間納税額31.1万円が、児童税額控除の導入により11.7万円となり、19.5万円の減額となった。実効税率の低下は年収500~600万円において最大となり、児童税額控除が中堅所得者層を経済的に支援していく政策であるとしている。
また、児童税額控除の導入に際しての検討ポイントとして、1)児童手当との調整、2)国税と地方税のどちらに導入するのか、3)児童税額控除の適用額(アメリカは子ども1人10万円程度)、4)富裕層への適用は減額させるという高所得者への消失控除、5)税収中立の必要性などを挙げている。5)は、児童税額控除の導入に際しては、ほかの所得課税の負担を引き上げ、全体として税収中立を図ることを提案したもの。
ニュースリリースの全文は↓
http://www.mri.co.jp/PRESS/2006/pr060615_pec11.pdf