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経営関連情報 (2004/12/24)

税理士からみた経済実態診断も景気回復を裏付け

 経営者の景気実感を税理士の目を通して総合的に浮き彫りにする「税理士からみた経済実態診断」の第17回目の調査結果(有効回答数585人)がこのほど日本税理士会連合会から発表された。景況感は、製造業を中心に、昨年10月の前回調査に比べ、急激な回復振りを示し、中小企業にも明るさが広がっていることを改めて裏付けた。全業種とも絶対的な水準はマイナスだが、本格的な景気回復を期待できる状況になってきたようだ。

 業種別の景況判断DI(「よい」-「悪い」)をみると、「製造業」は▲13.0で、前回から40.1ポイント上昇という急回復を示し、これで3年連続の改善となった。「卸・小売業」は10.4ポイント改善の▲66.8、「サービス業」も14.2ポイント改善の▲35.4と、いずれも製造業には及ばないが、二ケタの改善となった。深刻な状況が続く「建設・不動産業」も、8.0ポイント上昇の▲80.6となった。

 経営上の悩み(3つまで回答)は、「資金繰り」(68.2%)、「国内販売不振」(64.8%)、「販売価格ダウン」(56.1%)の“御三家”が引き続き上位を占めたが、いずれも前回より絶対的な水準は下がっており、この点でも景気回復傾向を裏付けている。今回の特徴は、「原材料高」が前回の2.1%から14.7%に跳ね上がったこと。原油や素材価格の上昇が中小企業の経営を脅かし始めたことを示している。

 また、「人件費アップ」が13.8%(前回11.6%)に増えたが、「人手不足」も0.9%(同0.1%)とわずかに上がり、「人手過剰」が6.8%(同9.1%)に減った。リストラで人員削減を進めたところに、景気回復で仕事が増え、労働受給がしまるという傾向が、まだ限られた部分とはいえ、現れ始めているといえる。全体に景気後退期特有の悩み一色の状況から、徐々に上昇期らしい悩みが散見できる状態になっている。

 経営上の悩み解決法(3つまで回答)は、「賃金の抑制」(67.7%)、「人員削減」(44.6%)が引き続き1、2位を占めたが、数字はそれぞれ7ポイント強も落ちた。代わって、「販売強化」(40.0%)や「新製品・新技術の開発」(17.3%)などがアップした。総じて、最大のコストである人件費を切り詰めるというスタンスは変わらないが、そのなかでも“前向き”に売上を伸ばそうという意欲が、ある程度高まっているとみている。