ゼイタックス

税務関連情報 (2006/10/25)

譲渡所得調査では946億円の申告漏れを把握

 税務調査は年々、高額・悪質なものを選定して重点的に行われているのは周知のとおり。譲渡所得調査も、不動産等の売買情報など、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用して、高額・悪質と見込まれるものを優先して行われる。国税庁のまとめによると、今年6月までの1年間(2005事務年度)の譲渡所得調査は1万2465件に対して行われ、うち66.0%にあたる8230件から946億円の申告漏れを把握した。

 前年度に比べると、調査件数は7.3%増、申告漏れ件数は6.1%増とともに増加し、申告漏れ所得金額も6.7%増加した。収集した資料情報の活用により深度ある調査が展開されたことがうかがえる。調査1件あたりの申告漏れは759万円(前年度763万円)となるが、この額は、同事務年度の所得税調査において特別調査・一般調査(実地調査)で把握された1件あたり平均の申告漏れ835万円と比較しても遜色ない数字だ。

 2005事務年度の調査で目立ったのは株式等譲渡所得の申告漏れだ。調査件数1787件のうち68.5%にあたる1224件から総額236億円の申告漏れ所得を把握した。申告漏れ所得は前事務年度の87億円から2.7倍に増加した。また、調査1件あたりの申告漏れ所得は1323万円にのぼり、前事務年度の605万円から2倍強に増えている。調査対象は、国内の株式売買だけでなく海外での取引にも及んでいる。

 例えば、会社役員のAのケースでは、Aは不動産や給与所得などの申告を行っていたが、Aに係る資料情報によって、海外の証券会社で株式を譲渡していることが想定された。調査したところ、Aは所有していた海外の会社の株式を現地の証券会社で譲渡したにもかかわらず、株式の譲渡所得約9千万円が申告漏れだったことが判明した。このように、海外の不動産や有価証券などの海外関連資産に対する調査も強化されている。