厚生労働省が公表した監督指導による賃金不払残業の是正結果によると、今年3月までの1年間(2008年度)にサービス残業の支払いについて是正された企業は前年度に比べ10.1%減の1553社、その是正金額は同28.0%減の約196億円となった。これは、全国の労働基準監督署が割増賃金の支払いについて労働基準法違反として是正を指導した事案のうち、割増賃金の支払額が1企業あたり100万円以上となった事案を集計したもの。
それによると、2008年度1年間における是正企業数は1553社、残業代が未払いだった労働者数は前年度に比べ0.7%と微増の18万730人で、支払われた割増賃金の合計額は同約76億円少ない196億1351万円と大幅に減少した。企業平均では1263万円、労働者平均では11万円。1企業あたり1000万円以上の割増賃金が支払われたのは全体の15.5%の240社で、その支払総額は全体の80.8%を占める158億4914万円だった。
業種別の状況をみると、企業数では「製造業」が381社でトップ、次いで「商業」が364社、対象労働者数では「運輸交通業」が4万2930人、「商業」が3万1700人、是正支払額では「商業」が45億5613万円、「金融・広告業」が34億7111万円で続いた。1企業での最高支払額は、14億7482万円(道路貨物運送業)、次いで11億8405万円(銀行・信託業)、5億7894万円(建設コンサルタント業)の順だった。
なお、同集計を開始した2001年4月から2009年3月までの8年間における状況は、是正企業数が1万121社、対象労働者数が120万9751人、支払われた割増賃金の合計額が1547億3094万円。企業平均では1529万円、労働者平均では13万円。そのうち、1企業あたり1000万円以上の割増賃金が支払われた企業数は全体の18.4%の1867社で、支払われた割増賃金の合計額は全体の82.0%を占める1269億1775万円だった。