全国法人会総連合はこのほど2007年度税制改正に関する提言を公表し、法人税基本税率・中小企業軽減税率の引下げ、減価償却の見直しをはじめ税制全般にわたる改正要望を明らかにしている。そのなかで注目されるのは、2006年度改正で導入された特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限、いわゆる実質一人会社規制について、早急に廃止あるいは抜本的見直しを求めていることだ。
財務省は、同制度導入の理由を、実質的な一人会社においては、1)オーナーが自らへの役員給与を法人段階で経費計上し損金算入する一方で、2)その役員給与について個人段階で給与所得控除を受けることが可能となっていることから、個人事業者との課税上の不公平をなくすことだと説明。また、5月の会社法の制定により法人の設立が容易になったことから、個人事業者の租税回避を目的とした法人成りを防ぐことだとしている。
しかし、全法連は、一般的に認められる給与所得控除を法人段階で否認するというのは、租税理論を無視したもので合理性に欠けると反論。また、課税の三原則は公平・中立・簡素といわれるが、今回の措置は同族会社だけを狙い撃ちにしたという点で公平性に欠け、中小企業の経済活動を歪めるという観点から中立性原則に反し、さらに手続きの複雑化を招くという点から簡素性の原則にも反すると真っ向から否定している。
また、要件操作によっては特殊支配同族会社(会社のオーナーとその同族関係者が発行済株式総数の90%以上を所有し、かつ、オーナー及び同族関連者で常勤役員の過半数を占める会社)から外れることも可能であり、中小企業間で新たな不公平を生む可能性があり、さらに申告手続きが複雑で中小企業に負担増を求めるなど、中小企業に新たな混乱を招く税制は、早急に廃止あるいは抜本的に見直すべきだと要望している。
全法連の税制改正に関する提言の詳細は↓
http://www.zenkokuhojinkai.or.jp/zei/youbou_2006/youbou_2006.htm