企業の利益還元の配分ウエイトが給与からボーナスへ移りつつあるが、今夏のボーナスも経営環境が総じて改善していることを受けて明るい見通しとなっている。第一生命経済研究所が発表したレポート(「今年の夏のボーナス見通し」)によると、民間企業一人あたり平均支給額(パート含む)は、前年比2.4%増の41万5000円で、夏季ボーナスとしては2年ぶりの増加を予測している。
レポートは、この背景に、1)雇用リストラの進展と利益水準の回復から、企業に従業員に対する利益還元を行う余裕が生じつつあること、2)企業の正社員に対する需要が回復をはじめ、パート化の流れに歯止めがかかりつつあること、などがあると指摘。2004年冬季ボーナスから民間企業は従業員への利益還元を始めており、今夏ボーナスでは、この傾向が一段と明確になると予想している。
一方、公務員一人あたり平均支給額も60万4000円(国家公務員、地方公務員平均)と前年比1.4%増を予測。2005年夏季ボーナスは、民間企業・公務員とも前年比増加となる見通しだ。ボーナス増加を受けて、2005年度には家計の所得回復の傾向が明確になり、個人消費の回復を後押しするとみている。これは、景気の先行きを考えるうえでも好ましい材料となる。
もっとも、ボーナス支給額はピークの97年に比べると1割以上低い水準にとどまる。また、業種別・規模別にみると、人件費抑制圧力が残っている企業もあり、すべての家計がボーナス増加の恩恵を受けられるわけではないとの留意点を挙げ、今後の追加的な公的負担等については、所得水準の回復を待つ必要があるとの考えを示している。来年1月からの定率減税の1/2縮減は時期尚早との見方である。