中小企業家同友会が会員企業を対象に3月に実施した「同友会景況調査」結果(有効回答数1077社)によると、2009年1~3月期は、前期(2008年10月~12月期)に続き、世界経済、日本経済の景気は急降下し、バブル崩壊後不況を超える最悪の事態を迎えた。業況判断DI(▲59)、業況水準DI(▲62)、売上高DI(▲53)、経常利益DI(▲53)の4指標がすべて同調査開始以降、最大のマイナス値となった。
こうしたなか、2009年1~3月期の経営上の問題点(3つまで回答)は、「民間需要の停滞」が前期よりさらに上昇して、猛烈なスピードで景気悪化が進行していることを示した。「民間需要の停滞」は、前期には12.6ポイントアップして59.2%と60%目前に迫っていたが、今期は64.5%と60%を突破して、同調査開始以来の最高値に近づきつつあるだけでなく、93年代後半のバブル崩壊後の底を突破したことになる。
対して、2008年7~9月期まで経営上の最大の問題点だった「仕入単価の上昇」は、08年4~6月期の53.8%をピークに下がり続け、今期には10%割れの9.4%と、「経営上の問題点」としても上位の問題点ではなくなった。このような民間需要停滞の深く急激な進行に対して、「販売先からの値下げ要請」(19.8%)、「同業者相互の価格競争の激化」(52.1%)の両項目の割合が高まっていることが今期の特徴となっている。
これらのことは、前期から明確になった「需要の減退の嵐」という深刻な不況局面がまだ進行し、底が見えてこないことを示している。「民間需要の停滞」が目立つのは、業種的には、「製造業」(69.1%)、「建設業」(74.6%)、地域的には、「中国・四国」(67.4%)、「近畿」(67.6%)、規模別では、「100人以上」(65.1%)、「20人以上50人未満」(69.5%)。業種的にも地域的にも規模的にも「民間需要の停滞」が広がりつつある。
経営上の力点(3つまで回答)では、「新規受注(顧客)の確保」(69.6%)、「付加価値の増大」(39.7%)、「社員教育」(34.1%)となった。4位には、「財務体質強化」(27.2%)を抜いて「人件費以外の経費削減」(28.2%)が上昇。また、「人件費節約」も19.4%に上昇した。記述回答でも「人件費節約」に関連する記述が増え、「中小企業緊急雇用安定助成金の申請」で15件、「ワークシェアリングの導入」で8件の記述があったという。