「確定申告?おれには関係ないよ」という方も多いが、1年間を振り返ってみると還付申告の材料はあるものである。還付申告というと医療費控除が代表的だが、意外と知られてないものに雑損控除がある。住宅や家財が火事・地震などの災害や盗難などで損害を受けた場合や、自分が災害などに関連してやむを得ない支出をした場合には、その資産の損失や支出のうち、一定額を本人の所得から控除してくれる。
その計算は、1)(損失額-保険金などで補てんされる金額)-年間合計所得金額×10%、2){(損失額-保険金などで補てんされる金額)のうち災害関連支出の金額}-5万円、のうちいずれか多い金額となる。家屋の被害額は、購入時の価格ではなく、使用した期間を考えた(減価償却分を差し引いた)合理的な現在の価格を見積もる必要がある。
雪国では雪下ろし費用が馬鹿にならないが、雪下ろしを依頼した人件費や機械などのリース費用、町内会で行った雪下ろし費用の分担金なども対象となる。そのほか、シロアリ駆除のための薬品散布といった、ほうっておくと家屋に大きな損害が出てしまうことを防ぐ費用も認められる。
ただし、対象となるのは「日常生活に必要なもの」に限られ、ダイヤの指輪などの高額な貴金属や骨董品が盗まれても対象とはならない。なお、合計所得金額が1000万円以下の人が火事などで、住居や家財について、その時価の50%以上の損害を受けた場合は、雑損控除に代えて、災害減免法による税額の軽減・免除が受けられるので、どちらが有利か試算しておくことも必要だ。