ゼイタックス

経営関連情報 (2007/10/31)

個人情報保護への取組みは大幅前進も依然残る課題

 個人情報保護法が2005年4月に全面施行となって2年が経過したが、法律に準じた企業の取組みは進展しているものの、依然課題は残されているようだ。労働政策研究・研修機構が今年4月に実施した「個人情報保護法に対する企業の取組みに関する調査」結果(有効回答数78社)によると、企業の個人情報保護方針にあたる「プライバシーポリシー」を策定、公表している企業は05年3月の前回調査の58.3%から85.9%となった。

 また、社内の情報管理を定めた「何らかの規定がある」とした企業は前回の46.9%からほぼ倍増の94.9%へと大きく伸びた。こうした制度面の取組みに加えて、従業員向けの個人情報保護に関する教育・研修を「すでに実施している」企業が前回調査から19.8ポイント増の83.3%となった。一方で、「今後、実施を検討」が同18.7ポイント低下の11.5%となったことから、実施に踏み切った企業が多かったことがうかがえる。

 現在行っている情報漏えいの防止策(複数回答)では、前回調査でトップだった「個人データへのアクセス制限・権限の明確化」が83.3%から64.1%に低下して6位となり、代わって「ノートPCなどOA機器の持ち出し制限」(82.1%)が1位になった。そのほか、業務請負での委託契約等においても「ほとんどの契約書に個人情報保護を含む情報管理ルールが入っている」(64.1%)との回答企業が前回から15.1ポイント増えた。

 このように、個人情報保護法施行後2年経過した時点での企業の取組みが大きく進んでいることが浮き彫りとなった。しかし、その一方で、内閣府の調査によると、2005年度1年間に地方公共団体や国民生活センターに寄せられた苦情相談は約1万4000件、企業側が公表した個人情報の漏えい事案は1556件にのぼった。個人情報保護に対する取組みは、今後とも企業にとって重要度の高い課題だといえる。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/bn/2007-09/54-57.pdf