2003年09月19日-002
役員賞与見送り企業が過半の東証3月決算企業
役員賞与は会社の経営状況や経済情勢を映し出すバロメーターのひとつといわれる。それは、利益の有無に関係なく職務遂行の対価として支払われる役員報酬と違って、会社に利益が生じたことを前提に、業績に連動して金額が変動する側面が強いからだ。東京商工リサーチがこのほど公表した東証上場企業役員賞与金調査によると、2003年3月期決算企業は役員賞与の利益処分を見送った企業がわずかながらも過半数を占めたことが明らかになった。
東証上場の2003年3月期決算企業1669社のうち、単独決算ベースで役員賞与金を利益処分した企業は833社で全体の49.9%を占め、前年同期に比べ26社(3.2%)増えた。しかし、利益処分を見送った企業は836社で50.1%を占め、わずかながらも利益処分企業数を上回った。利益処分を見送った企業836社のうち、87.7%と約9割の733社が前年同期から2期連続で利益処分を見送っている。
2003年3月期決算企業では、大幅な売上増がない中で、人件費抑制をはじめとするコスト削減の継続によるリストラ効果で利益を捻出したところが目立ったという。企業の業績向上に貢献するのは、1)リストラ効果、2)新規市場の開拓及び需要拡大、3)営業外及び特別利益の3点だが、2003年3月期の業績をみると、1)に基因するものが多い。経済成長に伴う2)に基因するのは外需型産業中心であり、内需型産業には役員賞与見送りが多くみられた。
また、同一業種の中でも、電気機器では役員賞与計上企業の増加が目立った反面、東芝・日本電気・富士通など大手を含めて2期連続の役員賞与見送り企業数がほぼ半数を占めた。業績向上の原因を2)に求めることができるかが、中長期的な競争力につながることはいうまでもない。東京商工リサーチは、「新規市場の開拓等による業績回復が明らかになったとき、本格的な景気回復になるだろう」と指摘している。
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