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10年度の個別労働紛争相談、高水準の約24.7万件

経営関連情報 - 2011年05月30日

 個別労働紛争処理制度は、個々の労働者と事業主の紛争を、裁判に持ち込まず紛争当事者間で自主的かつ迅速な解決を図る制度。厚生労働省が25日に発表した2010年度における同制度の施行状況によると、民事上の個別労働紛争に係る相談件数は約24.7万件で、過去最多を記録した2009年度と同水準で高止まりしている。2001年10月の制度発足以降、件数は右肩上がりで増加してきたが、今年度はほぼ横ばいとなった。

 全国約300ヵ所に設けられた総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談は、2010年度1年間で前年度比0.9%減の113万234件。このうち、労働基準法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げなどの民事上の個別労働紛争に関するものは0.2%減の24万6907件と、過去最多だった前年度から微減となった。内容別では、「解雇」が21.2%でトップ、「いじめ・嫌がらせ」が13.9%、「労働条件の引下げ」が13.1%で続いている。

 また、自主的な紛争解決が難しい場合は、弁護士などの有識者で構成された紛争調整委員会にあっせんを申請できるが、2010年度のあっせん申請受理件数は前年度比18.3%減の6390件だった。一方、処理状況をみると、手続きを終了した6416件のうち、「合意が成立」したものが36.8%、申請者の都合による「申請取下げ」が6.1%、紛争当事者の一方が手続きに参加しないなどの理由による「あっせんの打ち切り」が56.6%だった。

 処理期間は、「1ヵ月以内」が56.9%、「1ヵ月超2ヵ月以内」が36.7%とおおむね迅速に処理されている。申請者は、労働者が98.0%と大半を占め、事業主からの申請は1.9%、労使双方からの申請も0.1%あった。労働者のうち49.4%は正社員だが、パート・アルバイトや期間契約社員等も36.5%を占める。事業所の規模は、「10~49人」が31.0%、「10人未満」が18.9%、「300人以上」が12.5%で、労働組合のない事業所の労働者が72.0%。

 あっせん例では、申請人は10年以上正社員として勤務していたが、仕事によるストレス性急性障害で入院。その1ヵ月後に復職したが、営業に異動させられ、さらに「営業は正社員ではないから、社会保険も今月で終わり」と突然のリストラ扱いをされた。申請人は正社員としての地位保全、不可能なら補償金を求めた。あっせん委員会が双方の主張をまとめ、当事者間の調整を行った結果、○○万円を支払うことで合意が成立した。

 2010年度個別労働紛争解決制度施行状況の詳細は↓
 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001clbk-att/2r9852000001clda.pdf