7月の小売販売額は前年比▲2.2%と2ヵ月連続の前年割れとなった(「商業販売統計」経済産業省)。第一生命経済研究所がこのほど発表した2007年7月の商業販売統計に関する分析レポートによると、7月は梅雨明けが遅れたことで全国的に曇りや雨の日が多く、気温も低かったため、衣料品を始め、エアコンや扇風機といった夏物商材の売行きが鈍く、7月の小売業は、どの業種も軒並み低迷した。
例えば、「織物・衣服・身の回り品小売業」は前年比▲9.7%、「機械器具小売業」は同▲4.7%、「各種商品小売業」は同▲3.4%と落ち込んだ。また、気温が上がらなかったことでビールなどの飲料も盛り上がりを欠き、「飲食料品小売業」は同▲0.7%となった。このほか、「燃料小売業」は同+0.3%と前年を上回ったものの、「自動車小売業」は引き続き国内の新車販売が振るわず、同▲4.7%と落ち込んでいる。
小売業の低迷についてレポートは、7月は上記のような梅雨明けの遅れのほか、連休中の台風の直撃で外出機会が奪われたこと、年金問題や定率減税の廃止、住民税負担の増加といった報道が繰り返されたことによる消費マインドの悪化、ガソリン価格の上昇による消費者の実質購買力の低下など、様々なマイナス要因が重なりあっていたと分析。こうした様々な要因が複合的に7月の個人消費を押し下げたとみている。
一方、大型小売店販売額についても、「百貨店」が前年比▲4.4%、「スーパー」が同▲3.4%、「コンビニエンスストア」が同▲0.2%などとなり、全体では同▲3.8%(既存店)と落込みがみられた。こうしたことから、7月の小売販売額は4~6月期対比で▲2.7%と大きく落ち込むこととなった。7~9月期の個人消費は弱めの動きとなる可能性が高まってきたと予測している。
ただし、7月は天候といった一時的な要因により個人消費が押し下げられた面も大きく、必ずしも消費に対して悲観的になる必要はないとの考えを示している。8月は、気温が上がらなかった7月とは一転して猛暑となったことから、夏物商材が盛り返してくる可能性もあると指摘。レポートは、8月の個人消費がどの程度持ち直してくるかが、先行きの消費を見極めるうえでのポイントとなるとみている。