未曾有の“上場企業倒産ラッシュ”となった2008年に続き、2009年も国内不動産市場の長期低迷や景気の急速な悪化を受け、上場企業の倒産が散発した。帝国データバンクが実施した「2009年上半期(1~6月)上場企業倒産の動向調査」結果によると、2009年上半期の倒産は18件発生し、上半期としては2002年の22件に次ぐ過去2番目の水準となった。しかし、半期ベースで過去最多となった2008年下半期の27件からは減少した。
2009年の月別推移をみても、2月の7件をピークに、3月3件、4月2件、5月と6月が1件と落ち着いてきた。背景には、(1)今年1~3月期を境に景気の底入れの兆しがみえてきた、(2)政府による一連の緊急支援策の効果が中堅企業にも徐々に行き届き始めた、(3)「事業再生ADR」などの法的整理回避のための選択肢がさらに広がったことなどがあり、足下では2008年下半期から続いた上場企業の倒産ラッシュは終息に向かいつつある。
業種別にみると、「不動産業」が10件と全体の55.6%を占めた。不動産業の倒産は2008年上半期の1件から同年下半期は13件に急増、2009年上半期も依然として同業界の倒産多発が目立った。倒産主因別にみると、「販売不振」が11件と61.1%を占め、「業界不振」が5件で続いた。前期と同様に、これら経済環境の悪化などの外部的な要因により倒産に追い込まれた上場企業が8割を超えたことが分かる。
倒産前の直近本決算をみると、増収、黒字企業が過半数を占めた前期の状況から一変し、減収が12件(構成比66.7%)、赤字が13件(同72.2%)とそれぞれ全体の約7割を占めた。また、営業キャッシュフローが赤字の企業は13件と7割を超え、多発状況が続いた。「継続企業の前提に関する注記」については、18件中11件、61.1%の企業が倒産前に開示しており、前期(10件、構成比37.0%)を件数、構成比ともに上回っている。
同動向調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p090701.pdf