東京商工リサーチがこのほど発表した「2009年上半期の主な上場企業の希望・早期退職者募集状況調査」結果によると、2009年上半期(1月~6月)に希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は、具体内容が確認できたもので145社に達したことが分かった。調査対象が公表ベースのため単純比較が難しいが、前年同期(情報公開企業39社)と比べて3.7倍(前年同期比271.7%増)と著しい増加となった。
同調査は、東京証券取引所や各証券取引所に上場する企業のうち、2009年上半期に希望・早期退職者募集の実施を公表し、具体的な内容が確認できたケースを抽出し、募集状況をまとめたもの。会社事情による時限的な希望退職者募集のほかに、早期退職優遇制度の適用年齢引下げや退職金の特別割増措置など、既存制度の拡充募集も含む。募集人数の合計は、公表している141社合計で1万5347人(前年同期4280人)にのぼる。
個別企業で募集人数(募集人数が不明の場合は応募人数を参照)がもっとも多かったのは、「メディセオ・パルタックホールディングス」(グループ会社を含む)の1000人、次に「セディナ」の600人、「USEN」(グループ会社を含む)の600人、「日東紡績」の応募人数460人、「NECトーキン」と「FDK」(グループ会社出向者を含む)のともに450人、「三井金属鉱業」の応募人数417人と続く。
募集または応募人数が100人以上になったのは51社となった。また、応募結果を公表した上場企業のうち応募人数が募集枠を上回った主なケースでは、「エン・ジャパン」の募集250人に対して応募321人、「NECトーキン」の募集450人に対して応募502人、「さいか屋」の募集150人に対して応募199人、「タチエス」の募集100人に対して応募131人などだった。
20099年に希望・早期退職者募集を実施した上場企業の直近決算をみると、145社のうち106社、全体の73.1%の企業で、減収減益(経常利益)だった。急激な「業績悪化」が希望・早期退職者募集の主因であることを浮き彫りにしている。東京商工リサーチは、先行き不透明感を払拭できないなかで、2009年は調査開始以来最多の200社を上回る可能性がきわめて高いと予測している。