2005年度に入っても長期化する原油や鉄鉱石などの価格高騰が、2004年度以上に企業の収益性を悪化させ、経営に深刻な影響を及ぼす一因になるとの懸念が高まっている。帝国データバンクが7日に発表した「原料・素材価格高騰による企業への影響調査」結果(有効回答数1万469社)によると、原油や鉄鉱石などの価格高騰を起因とした「仕入価格の値上がりが起こっている」と回答した企業は全体の56.7%だった。
その仕入価格の値上り分についての販売価格への転嫁状況は、「転嫁できていない」と回答した企業は全体の78.6%と約8割を占めた。このうち、「まったく転嫁できていない」企業が35.3%、「ほとんど転嫁できていない」企業が43.3%だった。規模別にみると、「まったく転嫁できていない」とした企業割合は、中小企業が37.0%と約4割あったのに対して、大企業は28.1%と規模の格差は8.9ポイントもあった。
業界別にみると、「転嫁できていない」との回答割合がもっとも高かったのは「運輸・倉庫」で92.3%と9割を超えた。「製造業」(86.8%)でも8割を大きく上回っていることから、流通過程や原料の仕入に関わる生産現場で、値上り分を販売価格に転嫁できない厳しい状況が浮き彫りになっている。
仕入価格の今後の動向については、「適正水準まで値下がりする」とした企業は0.7%と1%にも満たず、「引き続き高水準」との見方を示した企業が85.5%と多数を占めた。このうち、「現状程度の水準で推移」と考えている企業が49.2%と約半数にのぼり、「さらに値上り傾向となる」とした企業も36.4%と3社に1社を超え、先高感も強いことが明らかになっている。特に中小企業(38.0%)では大企業(29.4%)より懸念が大きい。
また、仕入価格の値上りが「企業経営を圧迫している」との回答企業は72.9%と7割を超えた。このうち、「多少経営を圧迫」と回答した企業が56.6%でもっとも多く、「かなり経営を圧迫」が15.8%、「危機的状況に追い込まれている」とした企業も0.5%あった。業界別では、「運輸・倉庫」(86.1%)や「製造」(80.3%)において「企業経営を圧迫している」との回答企業割合が高かった。