税 務 関 連 情 報

2002年10月21日-002
増える相続での現金・預貯金、海外資産の申告漏れ

 前回のニュース(10月18日付)でお伝えしたように、申告漏れ財産の内訳では、トップは5年連続で「現金・預貯金」が全体の37.5%を占め、財産額では1,306億円だった。バブル崩壊後の、株価低迷、地価の下落、低金利の影響などだが、調査事例をみても、無記名債券や遺産を現金化して隠していたケースが目立つ。

 例えば、相続人Aは、被相続人が亡くなる前に被相続人名義の預金を解約して現金化し、自宅の押入れや金庫に分散して隠していたケースが報告されている。また、現金化しないまでも、「郵便貯金は税務調査でもなかなか発見されない」という噂を耳にして、通帳や証書を自宅兼事務所の天井裏や台所などに隠していた会社役員の事例もある。

 一方、海外資産の申告漏れが増加していることから、国税当局は、海外送金資料や各種資料を収集し、被相続人の生前の所得を把握することで、実態の解明に努めている。その結果、外資系銀行の国内支店及び米国支店のプライベートバンク口座にあった預金や、ハワイの不動産・一戸建ての別荘といった被相続人の財産を申告除外していたケースなどが見つかっている。海外にある資産や外資系銀行の預金は容易に発見されないとの考えのようだ。

 なお、平成12年中に相続等で財産を取得した者について、平成13年10月末までに提出された申告書に係る平成12年分の申告事績によると、被相続人数(死亡者数)は96万1,653人で、このうち相続税の申告対象となった被相続人数は4万8,463人だった。つまり、相続税が発生したのはわずか5%に過ぎないということだ。

 

 

ホームへ戻る