情報処理推進機構(IPA)が5日に公表した今年1~6月のコンピュータウイルス届出件数は、2003年の年間届出件数1万7425件を半年で超え、前年同期(7366件)の約3倍となる2万1957件となった。半期としては過去最多だが、1990年の集計開始以来、通年の届出件数の最高は2001年の2万4261件だから、通年でも過去最高を更新するのは確実となっている。
届出件数増加の要因としては、1月に「W32/Bagle」(今年1~6月の届出件数1647件)「W32/Mydoom」(同2106件)、2月に「W32/Netsky」(同7571件)が出現し、それぞれ複数の亜種が猛威を振るったことが挙げられている。これら3つのウイルスの届出が1万1324件と、全届出件数の半数以上を占める結果となった。
届出はウイルスを発見した段階のものだが、このうち実際に感染した件数は今年上半期の届出件数全体の1.8%と、前期の8.4%、前年同期の5.2%などに比べ大幅に低下している。IPAでは、ワクチンソフトの普及が感染件数を少なくしたとみている。
とはいえ、感染していることに気づかずにウイルスメールを発信しているユーザーがまだ多数いる可能性があることから、IPAでは、ワクチンソフトを利用してウイルスチェックを日頃から実施するように呼びかけている。
なお、届出者別の内訳をみると、今年上半期では、「一般法人ユーザー」が82.2%を占めてもっとも多く、「個人ユーザー」が9.6%、「教育研究機関」が8.2%となっている。個人ユーザーからの届出が少ないが、個人ユーザーのなかにはウイルス対策の意識が低いユーザーが多いとみられ、水面下でのウイルス被害はさらに拡大している可能性が大きい。