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税務関連情報 (2005/02/23)

業績連動型の経営者報酬目指す税制改正要望

 日本経営者協会は16日、「経営者報酬の指針」を発表し、わが国の役員報酬の特徴だった固定報酬と退職慰労金を中心とした比較的ローリスク・ローリターン型の報酬制度から、投資家・株主が負っている投資リスクを反映した業績連動型報酬制度への転換を求めた。そのため、税制面においても、業績連動報酬・賞与など不確定金額の法人税法上の損金算入が可能となるよう税制の見直しを要望した。

 指針によると、現行の退職慰労金は、計算方法が明確に提示されていないことが多く、算定基礎額は固定報酬を基礎に算定されているため、在職期間の長短によってのみ決定され、長期間在籍役員に対する慰労金は、在任中の業績にかかわらず、通算で高額になってしまう。また、従来型会社では、決定プロセスが取締役会一任といった形で決定され、透明性や客観性に欠けていると指摘。

 現在、退職慰労金の存続廃止に関する議論が高まっているが、指針では、退職後の生活を支える報酬支給は必要との観点に立ち、客観性と透明性の観点から、短期目標として、各社の退職慰労金に関しての開示を求めると同時に、退職慰労金にも一定の業績連動報酬の考え方を導入することを求めている。

 さらに、中長期目標として、1)各企業の競争力の相違が金額に反映される事態を想定し、現行の横並び的発想に基づく過大役員退職慰労金の損金不算入の見直し、2)退職後、一時金や年金で受け取った時点において給与所得と同等の扱いとする所得課税制度、3)役員退職慰労金の対象となる所得の適格要件の緩和、4)不確定金額の法人税法上の損金算入を可能とする、などの税制の見直しを要望している。

 「経営者報酬の指針」の全文は↓
 http://www.jacd.jp/report/050214_01report.pdf