消費税率引上げと公共料金増がダブルで~各種試算
消費税率の引上げを含む「社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律」案等6法案が6月26日、衆院本会議で賛成多数で可決、参院に送付された。参院で成立すれば、消費税率が2014年4月に8%、2015年10月から10%に引き上げられるが、第一生命経済研究所、大和総研などが消費税引上げ後の試算を行っている。
第一生命経済研究所が行った試算によると、夫婦どちらか一方が働き、子ども2人の4人家族で試算したところ、年収500万~550万円世帯の年間消費税負担額は税率8%で現行より7.2万円、10%で11.9万円増える。年収250万円未満の低所得世帯でも10%で最大7.6万円の負担増となる計算。政府は、現金給付など低所得者向けの負担軽減策を講じる方針だが、対象者などはまだ決まっていない。
一方、大和総研の試算では、40歳以上の片働き4人世帯で、税引き前世帯年収300万円で消費税引上げによる負担が10万6700円(実質可処分所得が2011年に比べ▲8.87%)、同500万円で16万7000円(同▲7.57%)、同800万円で24万9200円(同▲6.72%)、同1000万円で29万4000円(同▲8.03%)、同1500万円で41万9300円(同▲7.00%)、同2000万円で52万4900円(同▲7.41%)と試算している。
実質可処分所得の減少要因は、消費税負担増のほか、復興所得税、住民税均等割増税、所得税年少扶養控除廃止に伴う負担増、子ども手当て(児童手当)の減少と所得制限などがある。さらに、電気料金は、原子力発電所の稼働停止に伴う火力発電需要の急増で燃料費がかさみ、東京電力は現在、家庭向け電気料金の平均10.8%の値上げを経済産業省に申請中。原発の再稼働が進まなければ、他の電力会社も来夏には追随する可能性が高い。
また、7月1日からは、太陽光発電などの再生可能エネルギーの買取りを電力会社に義務付けた「固定価格買取制度」がスタートする。買取費用も電気料金に上乗せされるため、標準家庭(月使用量300キロワット時、電気料金7000円)の場合、8月以降の請求分から電気料金が全国平均で月87円上がる見通しとなっている。消費増税も合わせて、値上げラッシュとなる。