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円高、企業の35.5%が売上に「悪影響」と回答

経営関連情報 - 2011年09月09日

 為替レートは、一時1ドル=75円台に突入するなど、過去最高の水準が続いており、日本経済への影響が懸念される。帝国データバンクが8月下旬に実施した「円高に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1070社)によると、円高が自社の売上に与える影響は、「悪影響」とした企業が35.5%と3社に1社となった。ただし、2010年8月調査とほぼ同じ水準であり、企業は継続する円高に対して様々な努力を続けているようだ。

 海外企業との輸出入や海外生産など、海外取引の有無は、30.9%の企業が「ある」と回答。業界別にみると、「製造」(45.0%)と「卸売」(41.5%)では4割以上の企業が海外と取引を行っている。特に、「繊維・繊維製品・服飾品卸売」(79.4%)や「精密機械、医療機械・器具製造」(69.7%)などで多い。海外取引のある企業の事業内容(複数回答)は、「輸出」が56.8%、「輸入」が80.4%、「海外生産」をしている企業は36.3%となった。

 円高への対応策(複数回答)では、海外取引のある企業のうち、「海外調達を増やす」が23.4%で最多、次いで「輸入を拡大する」(19.3%)や「円価格を維持する(外貨建て輸出価格の引上げ)(16.7%)が続いた。「輸出」を行っている企業では、「円価格の維持」が25.4%のほか、「海外生産拠点の拡充・新設」(12.6%)や「海外生産比率を上げる」(12.0%)など、1割超の輸出企業が海外での生産を広げていくと考えていることが分かった。

 円高基調から円安基調への反転を期待できる時期については、25.8%の企業が「長期的に反転は期待できない」と考えており、円高基調からの反転は望めないとする企業が最多となった。一方、「2012年度内の反転が期待できる」は24.7%と4社に1社、また、「2011年度内の反転が期待できる」は13.0%にとどまり、多くの企業が近い将来に円高基調から反転するとは考えていないことが明らかになっている。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1108.pdf