税 務 関 連 情 報 |
2003年03月03日-001
同友会、消費税を基幹税とした財政改革を提言
2010年度のプライマリーバランス回復と、世代間の受益と負担の格差是正に向けた財政構造改革を提言したのは、経済同友会が2月27日に公表した「国民の信頼の回復と若者たちの夢を支えるシステム改革を」と題した報告書である。そこでは、基礎年金の年金目的税化など、消費税を皆が広く薄く負担する社会の基幹税とする税制改革を提言している。
報告書では、歳出構造改革として、GDP比年3%ずつの歳出削減や公共事業のGDP比50%削減、8兆円の歳出削減、国庫補助金の3兆円削減の断行が、2010年度のプライマリーバランス均衡の前提とする。また、持続可能な社会保障制度の確立のために、基礎年金の税方式化、原則ひとり一律月7万円の基礎年金支給、厚生年金の報酬比例部分の私的年金への移行などの公的年金制度の改革を示した。
税制改革では、消費税を基幹税として拡充する。2010年度から基礎年金部分を年金目的税化することで、保険料がゼロとなり消費税9%相当に置き換わる。一方、地方行財政改革における地方への税源移譲により、現行の所得税等の国税が減税となると同時に地方消費税4%相当に置き換わり、地方消費税はトータルで5%となる。
この結果、2010年度での消費税率は現行の5%から16%(一般財源分は2%)に大幅アップするが、負担の形態が所得税額や年金保険料から消費税に置き換わるだけであり、国民負担は大幅に軽減されるとする。同友会が提言するのは、国民負担率を現在の30%程度に抑えたままで財政構造改革を実現するための方法である。
社会保障制度の確立を含む徹底的な歳出構造改革と、「小さな政府」の実現のため必要最低限の行政コストを皆で「広く薄く」負担する仕組み作りがカギを握る。報告書は、どのような方向に進むべきか直ちに決断し、相応しい社会システムを速やかに選択する必要があるが、もはや膨大な長期債務残高の根源である財政構造を放置したまま、選択を先送りする時間的な猶予はなくなっていると結んでいる。
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