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経営関連情報 (2004/12/08)

人件費からみる地方公務員削減の動き

 今後の税制改革は財政健全化に向けた増税路線となり、広く国民のすべてに税負担増が余儀なくされるが、一方で徹底した歳出削減も求められる。内閣府が6日に発表した分析レポートは、人件費からみる地方公務員削減の動きである。地方自治体の歳出に占める割合が大きいのは普通建設事業費と並んで人件費だが、人件費は都道府県の歳出総額の約3割、市町村では約2割を占める。

 03年度の人件費は、都道府県が前年比▲1.8%、市町村が▲1.7%とともに抑制されている。人件費のうち、退職金を除いた職員給(基本給+その他手当+臨時職員給与)に注目すると、都道府県、市町村ともに減少している。人件費を抑制する方法には、賃金抑制と職員数抑制があるが、普通会計職員数(地方公営企業等を除く)をみると、都道府県・市町村ともにここ数年は減少傾向だ。特に、都道府県の一般行政職員数の減少が目立つ。

 これは、都道府県と市町村の職員構成の違いによるものだ。都道府県では教育関係、警察関係など特別行政職員が8割超を占めるが、こうした特別行政職員は、制度上、自治体が自主的かつ計画的に定員を適正化することが容易ではない。教員数は少子化にともなって緩やかに減る傾向にあるが、それ以上に切り詰めるのは難しい。警察については「地方警察1万人緊急増員計画」にみられるように増強する方向にある。

 このため、全体の20%に満たない一般行政職員の減少幅が大きくなっている。このように、人員面からの、さらなる人件費抑制は、現状では厳しいが、レポートは、「各自治体が歳出総額の削減を進めるなか、人件費についても、今後、人員面・賃金面を総合的に捉え、何らかの人件費抑制策を進める必要がある」として、さらなる歳出削減を求めている。“小さな政府”を目指すことが財政健全化への不可欠な道なのだ。