ゼイタックス

税務関連情報 (2004/06/09)

伸び悩む電子申告の普及に電子申告控除はどうか

 6月1日から全国での利用が可能になった電子申告・納税システム(e-Tax)の開始届出書の提出数が、5月13日現在で1万5133件と伸び悩んでいる。先行した名古屋国税局管内が8555件と半数以上を占めているのだから、全国への本格的な普及には時間がかかりそうだ。そんななかで、税理士などから「普及のために電子申告者には所得控除などのインセンティブを与えたらどうか」という声が挙がっている。

 名古屋青年税理士連盟が名古屋国税局管内の税理士を対象に確定申告後に実施した電子申告アンケート調査結果(有効回答数364人)によると、電子申告開始届出書は83%(268人)が提出していたが、そのうち実際に電子申告したのは25%(67人)に過ぎなかった。残りの75%(201人)が電子申告をしなかった理由(複数回答)は、「もともとする気がなかった」が44%を占めて最も多かったが、「試してみたがうまくいかなかった」との断念組みが9%いた。

 具体的な意見としては、「添付書類は郵送などで別送しなければならないため二度手間になる」や「利用時間が平日の午前10時から午後9時までに限られ受付終了時間が早い」、「プログラムに問題があるe-Taxソフトは使いたくない」などのデメリットを指摘する意見が多かった。この結果、電子申告の評価については、「実用的でない」(43%)や「不満な点がある」(37%)など否定的な意見が8割を占めた。

 現状の電子申告に満足していない人に改善点(複数回答)を聞いたところ、「添付書類別送の不用」(79%)、「利用時間の拡大」(65%)が多く、「電子申告控除の設置(例えば5万円控除など)」を求める意見が59%あった。ほかでは、「セキュリティの強化」(56%)、「地方税の電子申告対応」(42%)などが目立つ。不満が多いが、改善次第では普及の可能性もある。特に何らかのインセンティブは効果的と思えるが、いかがだろう。