新興市場の新規上場基準、「緩和すべき」が約4割
2010年の新規株式上場(IPO)数は、前年比3社増の22社だった。前年比での増加は3年ぶりだが、3年連続で50社を割り込むなど低水準が継続した。こうしたなか、帝国データバンクが株式上場の意向を持つとみられる企業を対象に2月に実施した「新規株式上場意向に関するアンケート調査」では、新規上場基準の緩和・強化については、「緩和すべき」と回答した企業が38.3%と約4割を占めたことが分かった。
調査結果(有効回答数1213社)によると、回答のあった1213社のうち、「IPOの意向がある」と回答した株式上場予備軍企業は566社だった。これらの企業の上場予定時期は、「未定」とした企業が257社(選択率45.4%)と約半数を占め、上場時期を見極められない企業が多いことがうかがえる。具体的な上場時期では、「2014年」が69社(同12.2%)で最多、次いで「2013年」が59社、「2015年」が48社などだった。
上場を目指す理由(複数回答)については、「知名度や信用度の向上」(74.9%)、「資金調達力の向上」(58.7%)、「人材の確保」(40.5%)、「社内管理体制の強化」(24.7%)、「従業員のモラル向上」(23.1%)、「売上の拡大」(21.6%)の順に多かった。株式低迷による資金調達メリットの低下が叫ばれるなかでも、「資金調達力の向上」を挙げる企業は多い。IPO活性化には株価の回復が欠かせないといえる。
株式上場予備軍企業の上場予定市場(複数回答)については、「東証マザーズ」が37.6%でもっとも多く、以下、大証ヘラクレスとJASDAQ、NEOの3市場が2010年10月に統合して誕生した「大証JASDAQ」(35.0%)、「東証2部」(8.1%)と続いた。一方、「海外市場」を選択した企業は4.8%と東証2部に次ぐ結果となった。具体的な回答をみてみると、香港や台湾、韓国などアジア市場に人気が集まっている。
株式上場予備軍企業に対し、新規上場基準をどうすべきかを聞いたところ、「(現状より)緩和すべき」とした企業が38.3%、「現状のままでよい」が27.2%、「(現状より)強化すべき」が4.8%などとなった。「緩和すべき」が約4割であり、東京証券取引所などが進めている新興市場の新規上場基準を緩和するという方向性におおむね賛成の企業が多い。具体的な意見では、内部統制などにかかるコストを負担に感じている企業が多かった。
同アンケート調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110404.pdf