税 務 関 連 情 報

2003年08月20日-001
発生時に損金処理できるソフト研究開発費とは?

 2003年度税制改正で創設されたIT投資促進税制では、ソフトウェアが対象となったことが注目されるが、複写して販売するための原本や研究開発用のものは対象から除かれる。複写して販売するための原本、つまり、それを複写して販売するためのマスターソフトを製作するためにかかった費用は、無形固定資産として資産に計上して3年で減価償却することになる。

 ということであれば、ソフトウェアの開発に携わった者の人件費も含めて、ソフトウェア完成後3年間で減価償却を通じて措音金処理することになる。ところが、税法上は、「研究開発費の額」は資産に含めないで、発生時に損金処理しても構わないと規定している。研究開発費とは、人件費や原材料、外注費、固定資産の減価償却費、その他研究開発のために使われたすべての費用をいう。

 ソフトウェアの開発費用はほとんどが人件費だろうから、企業にとっては、人件費を研究開発費に含めて早めに損金処理できれば節税効果が高いことになる。ところがここでも問題がある。それは、販売するためのソフトウェアを製作する過程で、どこまでが研究開発費として認められるのか税務上の基準が明確ではないことにある。

 会計上は「最初に製品化された製品マスターの完成までが研究開発の費用」と定められているが、そうなるとほとんどの費用が研究開発費用となる。しかし、税務上、研究開発費として認めているのは製品開発化意思決定前の費用だけであるようだ。つまり、企画段階等の費用のみで、プログラム開発など工業化研究に係るものは固定資産に含めなければいけないことになる。いずれにしろ、税務上は微妙な点があるので専門家に相談することをお勧めする。

ホームへ戻る