帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、10月の倒産件数は1070件発生し、1年4ヵ月ぶりに1000件を割って今年最低だった前月(946件)を13.1%上回ったものの、集計基準を法的整理のみに変更した2005年4月後で最多(当時)だった前年同月と比べ13.1%下回り、2ヶ月連続の前年同月比減少となった。
例年10月は1年を通じてもっとも倒産が多い月だが、今年は、緊急保証制度や前政権からの消費喚起策の効果のほか、(1)集計基準変更後で初めて全業種が前年同月比減少となったこと、(2)九州が53件で前年同月比55.1%の大幅減少となるなど、地方圏が総じて低水準だったこと、などが背景にある。ただし、負債5000万円未満の小規模倒産は491件発生し、前月比15.8%の増加するなど、中小企業の資金繰りは依然として厳しい状況にある。
一方、10月の負債総額は2513億9400万円で、前月比は29.8%、前年同月比でも74.3%の大幅減少となり、8月の2753億4400万円を下回り今年最少、集計基準変更以降でも最少を記録した。倒産1件あたりの平均負債額は2億3500万円と、8月の2億6400万円を下回り最低を更新するなど、負債総額は縮小傾向が続いた。負債100億円以上の倒産も基準変更後で最低の1件にとどまり、大型倒産は沈静化が続いた。
負債額別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産は491件発生し、構成比は45.9%を占めた。一方、負債100億円以上の倒産は1件にとどまり、6ヵ月連続の一ケタとなった。資本金別でも、個人経営と資本金1000万円未満の小規模企業が541件、構成比は50.6%を占めた。また、小規模企業は933件と構成比87.2%を占め、構成比は集計基準変更後で最高を記録するなど、小規模企業倒産が依然として高水準で推移している。