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実質賃金、「ほぼベアゼロ」状態が続く~産労総研

経営関連情報 - 2011年11月21日

 定期刊行誌「賃金事情」を刊行するシンクタンク機関の(株)産労総合研究所はこのほど、「モデル賃金・モデル年間賃調査」結果をまとめた。毎年、春季賃金交渉後の賃金実態を把握し、来期の賃金交渉のための基礎資料とするため、全国の100人以上企業を対象に行っている。全国1・2部上場企業及び過去に回答のあった当社会員企業から任意に抽出した約3000社に実施、9月初旬までに回答のあった201社について集計した。

 調査結果によると、「大学卒・総合職・所定内賃金」の上昇率は、今回も全年齢ポイントで上昇率が1%未満となっている。これは1998年度調査以降、長期にわたって続いている傾向であるが、特に前回は、25歳ポイントが0.3%だったほかはすべて0.1~0.2%にとどまっていた。2011年度は前回からはわずかに上向いたものの、実質的には「ほぼベアゼロ」状態が続いている。

 モデル賃金の年齢間格差は非常に長く縮小傾向が続き、上昇率の低迷とともに、モデル賃金調査における長期トレンドとなっている。まず、おおよそこの25年間で、大学卒・総合職の年齢間格差がどう推移してきたかをみると、1985年度の55歳の平均所定内賃金は22歳時の3.38倍あったのだが、2011年度には2.7倍まで縮まってきている。85年度以降で考えれば約20%の縮小となる。

 諸手当に関しては、今年度は役付手当及び家族手当についてのみ調査を行っている。職位と手当額が明瞭な役付手当を集計した結果をみると、主任手当は1万3236円(前回1万4042円)、係長手当は2万2115円(同2万3115円)、課長手当は5万3643円(同5万3412円)、次長手当は7万559円(同6万5983円)、部長手当は8万4779円(同8万2977円)と、課長手当を除きわずかに上昇している。

 2011年度の賞与・一時金の支給状況では、前回調査と単純に比較すると、年末は6049円、0.02ヵ月の、夏季は2万1620円、0.03ヵ月の増加となっている。また同調査では、毎年、前年度比の増減率について回答があったところだけを抽出して集計しているが、2009年夏季から同年年末にかけて、賞与・一時金の増減率は大きく落ち込んでいる。賃上げ実施企業の割合と同じ傾向であるが、減少幅は賞与・一時金のほうが大きかった。

 同調査結果は↓
 http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_11113-1444/