景気回復から企業の業績が上向くにつれ、人材ニーズも拡大している。経済産業省が15日に発表した「人材ニーズ調査」結果(有効回答数:本社5万7643社/5442事業所)によると、2004年の中途採用市場の人材ニーズは675万人と5年前の前回調査に比べ14.1%(84万人)増加した。他方、募集が行われた求人のうち、実際に雇用に至った割合は60%にとどまり、求人の約4割についてはミスマッチが生じている。
また、中途採用市場の人材ニーズの約9割(85.7%)が、従業員50人未満の中小企業で発生。職種別では「専門・技術職」の求人数が全体の34%、231万3千人でもっとも多く、前回調査から17.9%(35万1千人)増加した。雇用形態別では、「正社員」のニーズが56.2%から46.6%へ低下し、「パート」や「契約社員」などの多様な雇用形態へのニーズが拡大。特に「業務委託(個人)」は7.5%から10.8%へと大きな伸びがみられる。
ミスマッチの要因は、63.3%が「能力・経験・資格」といった「個人の実力・資質」であり、年齢や雇用形態などの「条件」は8.0%に過ぎない。ミスマッチの背景として、「専門・技術職」の伸びが大きい一方、充足率は51.4%と全業種中最低なこと、「実務経験」や「資格」を求める企業が増加したこと、「業務委託」へのニーズが51.1%増と大幅に拡大する一方、充足率は28.9%と非常に低いことなどが挙げられている。
50人未満の中小企業では、人材ニーズが高い一方で、その充足率は53.4%と極端に低く、規模が小さくなるほどその傾向が顕著だ。50人以上の企業(充足率ほぼ100%)と比較すると、大きな較差がある。中小企業ほど専門職・即戦力へのニーズが高く、人材確保が困難になっている現状がある。加えて、中小企業で新卒採用を行っている企業はわずか2.9%にとどまり、逆ピラミッド型の従業員年齢構成の企業の比率が高い。
中途採用のプロセスの現状では、「ハローワークの利用」(46.9%)を中心に限られた募集経路に頼っている企業が多い。また、全体の約3分の2の企業は採用面接1回のみと、採用プロセスに十分な時間と費用がかけられていない。他方、「必要とする人材像を明確にした」(30.9%)ことを採用成功の要件とした企業がもっとも多く、「募集方法(媒体)がよかった」(28.3%)など、採用プロセスの充実・改善も重要な要素となっている。
「人材ニーズ調査」の概要は↓
http://www.meti.go.jp/press/20050415002/050415jinzai.pdf
詳細(192ページ)は↓
http://www.cin.or.jp/needs2004/report/pdf/j_all.pdf