税 務 関 連 情 報

2003年10月10日-002
輸入に際し無償提供の製造用機械等費用も課税対象

 中小企業における海外取引も何ら珍しくない時代、製造用機械や原材料を無償提供して海外生産した商品を輸入することも少なくない。ところが、この無償提供した機械や原材料なども、商品を輸入する際の課税対象に含まれることを認識していない業者が多いようだ。ほかでは、ロイヤルティやインボイス上の決済金額以外の貨物代金の申告漏れなどが目立つという。

 これは、財務省関税局が9日に公表した輸入通関後の調査事績によって明らかになったもの。それによると、税関において、今年6月までの1年間に、申告内容が疑わしい輸入者5011者を対象に事後調査を行ったところ、このうち56.8%にあたる2845者から申告漏れ課税価格985億円を把握して、関税・消費税の追徴税額は78億円となった。

 主な申告漏れの事例を紹介すると、中国の輸出者からカップゼリーを輸入していた業者は、その商品の製造に必要な製造用機械や資材などを無償で輸入者に提供していたが、その費用を課税価格に含めて申告していなかった。申告漏れ課税価格は3400万円で、関税と消費税の追徴税額は1000万円だった。

 また、アメリカの輸出者からスポーツ関連商品を輸入していた業者は、輸入商品に付された商標権使用の対価(ロイヤルティ)をアメリカの商標権者に支払っていたものの、この費用を課税価格に含めて申告していなかった。申告漏れ課税価格は2億3600万円で、関税と消費税の追徴税額は3000万円にのぼった。

 輸入品は通関時に関税・消費税等が課税されるが、課税対象となるのは貨物代金に運賃や保険料を含めたシフ(CIF)価格だけでなく、仲介料や無償提供した物品などの費用、ロイヤリティなども課税価格に含めなければならない。例えば無償提供した製造用機械などは商品の生産計画に応じて按分して課税価格に含めることになる。余分な追徴税額を払うことにならないような基礎知識が必要だ。

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