税 務 関 連 情 報 |
2001年11月12日-002
未分割相続財産の銀行預金の法定相続分払戻は配偶者の軽減対象に
平成12年度中に行われた国税不服審判所の裁決事例の中で注目されるものがあった。それは、被相続人の配偶者が未分割の相続財産である銀行預金の法定相続分の払戻を受けた場合、それが「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用対象となるか否かが争われた事例。相続税法第19条の2第1項では、分割されている相続財産を対象に「配偶者に対する相続税額の軽減」が適用できるが、同条2項では、未分割の財産には適用されない旨の規定がある。そこで税務署では、その払戻を受けた金銭は「分割された財産」ではないとして税額軽減を認めなかったことから、配偶者が審査請求したもの。
審判所は、まず「分割されていない財産」を税額軽減の対象としていないのは、配偶者が実際に取得した財産に限り、その対象とする趣旨であるとする。また、法律上当然に分割され分割の対象とならない可分債権(銀行預金等)であっても、相続人全員が合意した場合には、遺産分割の対象としている取扱いが定着していることが認められるから、可分債権であることをもって分割の対象とならないとみることは相当ではなく、配偶者が現実に取得していない段階では「分割されていない財産」に含まれ、税額軽減の対象とならないと解するのが相当とする。しかし、預金債権についてみた場合、未分割であっても、配偶者がその法定相続分相当の払戻を受けたときには、配偶者はその金銭を実効支配するに至ったことから、その払戻を受けた預金は「分割されていない財産」から除外され、税額軽減の対象となると解するのが相当と裁決、納税者の主張を認めている(平成12年6月30日裁決)。
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