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税務関連情報 (2005/02/28)

家屋と敷地の所有者が異なる場合の居住用財産特例

 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は2004年度税制改正で新たに創設された制度だが、その取扱いが通達によって公表された。同特例は、居住用財産の譲渡損失のうち、譲渡資産に係る住宅ローンの残高が譲渡価額を超える場合のその差額を限度に、譲渡損失の損益通算及び繰越控除を認めるというもの。ここでは、居住用家屋の所有者とその敷地の所有者が異なる場合の取扱いを紹介する。

 通達によると、譲渡家屋の所有者以外の者が、その譲渡家屋の敷地の用に供されている土地で譲渡の年の1月1日における所有期間が5年を越えている場合において、譲渡家屋と譲渡敷地の所有者の譲渡が一定要件のすべてを満たすときは、両所有者がともに特定居住用財産の特例の適用を受ける旨の申告をしたときに限り、特例の適用の申告が認められるとされている。

 一定の要件とは、1)譲渡敷地は、譲渡家屋とともに特定譲渡されていること、2)譲渡家屋は、その譲渡のときにおいてその家屋の所有者が譲渡敷地の所有者とともにその居住の用に供している家屋であること、3)譲渡家屋と譲渡敷地の所有者のそれぞれが、特定譲渡に係る契約を締結した日の前日において、その譲渡家屋・譲渡敷地に係る住宅借入金等の金額があること。これらの要件のすべてを満たす必要がある。

 なお、譲渡家屋の所有者がその家屋の譲渡について特例を適用しない場合には、譲渡敷地の所有者が特例を適用することはできない。ただし、その家屋の所有者が、特定居住用財産の譲渡損失の金額や通算後譲渡損失の金額がない場合、損益通算及び純損失の繰越控除に掲げる控除後において控除すべきその年の総所得金額等がないことになる場合、その年の合計所得金額が3000万円を超えるために特例の適用が受けられない場合を除く。

 また、譲渡敷地の所有者がその敷地の譲渡について特例の適用を受ける場合には、譲渡家屋の所有者のその家屋の譲渡については「居住用財産に係る課税の特例」(居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例、居住用財産の譲渡所得の特別控除など)の適用を受けることができないので注意が必要だ。