老人福祉事業者の整理・淘汰が加速している。帝国データバンクが発表した「老人福祉事業者の倒産動向調査」によると、2001年から2007年6月までの老人福祉事業者の倒産(法的整理のみ)は34件発生し、負債総額は166億9200万円となった。特に07年は6ヵ月間で13件発生し、01年以降で最悪の水準となった。01年から05年までは漸増傾向だったが、06年、07年と近年の倒産件数の増加が顕著となっている。
この背景には、2006年4月の改正介護保険法の施行により、介護報酬の引下げや人件費の増加など老人福祉事業者には負担が重くのしかかっていることがある。加えて、異業種からの参入が競争激化を招き、結果として、入居一時金の引下げや入居率の低下を招き、経営悪化につながっている。これまで“聖域”とされてきたが、高齢化がさらに加速するなか、体力のない事業者が淘汰されるとみられている。
2001年からの老人福祉事業者の倒産累計34件を倒産態様別にみると、「破産」が全体の9割近くとなる30件と圧倒的多数を占めた。倒産主因別では、「販売不振」が10件(構成比29.4%)でトップ、次いで、設立時の事業計画の甘さ、従業員・ホームヘルパーの過剰雇用、確保難などの「その他経営計画の失敗」の8件(同23.5%)、「放漫経営」の3件(同8.8%)などが続いている。
また、負債規模別にみると、「1000万円以上5000万円未満」が全体の41.2%を占める14件(負債総額3億1400万円)でもっとも多く、次いで「1億円以上5億円未満」が同23.5%の8件(同16億8400万円)、「5000万円以上1億円未満」が同17.6%の6件(同4億7600万円)となった。負債1億円未満の小口倒産が約6割(64.7%)を占める一方で、50億円以上の大型倒産は1件(同54億1000万円)にとどまっている。