経 営 関 連 情 報

2002年07月05日-002
日本総研、外需の牽引力による2つの景気シナリオを提示

 わが国の景気の行方は外需の動向が大きく左右し、外需の牽引力により2つの展望が可能だとするのは、日本総合研究所が7月3日に公表した経済見通し「2002~2003年度の展望」。標準シナリオは、2002年度は国内民需の回復力が緩やかにとどまるものの、アメリカ景気の回復を前提とすれば、外需にけん引されて緩やかな回復傾向が持続する。2003年度以降は企業収益の回復が設備投資・雇用者所得にも多少は波及していくことから、国内民需の回復ペースがやや高まる。もっとも、2003年度上期には、輸出の減速、企業収益の増勢鈍化から、景気に減速感が出るというもの。

 一方、サブシナリオのほうは、アメリカ景気が早期に失速した場合、唯一の牽引力である輸出が減少するだけでなく、株価下落・マインド悪化を通じて国内民需の減少傾向も続き、2002年度後半に景気は二番底となる可能性もあり、2003年度まで3年連続のマイナス成長を余儀なくされるというもの。カギを握るアメリカ経済については、2002年中は減速しながらも循環的な回復傾向を続けるが、2003年に入り、在庫の積み上がり、資産効果剥落などを背景に、減速傾向を続けると見通している。ただし、会計不信等を背景とする米国株価下落による逆資産効果が、年内に景気の腰を折るというリスクに注意を促している。

 また、わが国経済は、循環的な回復局面に入ったものの、1)従来型産業は後ろ向きの構造調整から脱していない、2)国際競争力の低下、海外生産シフトの加速などを背景に、経済ファンダメンタルズはむしろ右肩下がりのトレンドに入った恐れもある。このように、抜本的な構造改革が求められている状況にもかかわらず、税制改革では経済活性化よりも税収中立が重視されているほか、規制・行政・社会保障制度・財政構造などの重要分野での改革の具体化が遅れていると指摘。政策のプライオリティを「財政再建」から「イノベーション喚起」にシフトし、政策運営のあり方を抜本的に組みなおすべきことを求めている。

 

 

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