政府・与党は10日、財政支出15兆4000億円、事業規模56兆8000億円とともに過去最大規模となる「経済危機対策」と題した追加経済対策を決定・公表した。対策には、(1)住宅取得のための時限的な贈与税の軽減、(2)中小企業の交際費課税の軽減、(3)研究開発税制の拡充、といった減税措置も盛り込まれた。減税規模は約1000億円となる。政府は、2009年度補正予算案及び関連法案を4月27日に国会に提出する予定だ。
2009年度税制改正においては住宅ローン減税が過去最大規模に拡充されたばかりだが、今回さらに、生前贈与の促進により、高齢者の資産を活用した住宅投資需要の創出を図るため、住宅取得に係る贈与税を軽減する。2010年末までの時限措置として、20歳以上の子供が、親や祖父母など直系尊属から居住用家屋の取得に充てるために金銭の贈与を受けた場合には、500万円まで贈与税を非課税とする。
この特例は、暦年課税や相続時精算課税の従来の非課税枠にあわせて適用可能とされる。したがって、暦年課課税であれば現行の年間非課税枠110万円をプラスして年610万円まで、相続時精算課税であれば現行の非課税枠3500万円をプラスして4000万円まで、それぞれ非課税枠が拡大される。特例は今年1月に遡って適用されるが、原則、贈与を受けた年の翌年の3月15日までに入居する必要がある。
また、中小企業の交際費等の損金不算入制度については、現行、資本金1億円以下の法人に限って、その交際費等の額が年間400万円以下の場合は「交際費等の額×10%」が損金不算入とされ、360万円を上限に損金算入できる。この定額控除限度額が600万円に引き上げられる。もっとも、10%損金不算入はそのままなので、損金算入限度額は540万円となる。適用は、今年4月以降終了する事業年度からとなる。
試験研究費の総額に係る税額控除制度は、現行、企業が年間に納めた法人税額の30%を上限に、研究開発費の一部が税額から控除され、控除しきれない場合は翌年度まで繰り越せる。これを、2009、2010年度において税額控除ができる限度額を、40%に時限的に引き上げ、同期間に生じる税額控除限度超過額を2011、2012年度に繰り越せることにする。つまり、現行の繰越期間1年が最長3年まで延長されることになる。