経済産業省は9月27日、中小企業基盤整備機構(中小機構)の「がんばれ!中小企業ファンド」の一形態として、「事業継続ファンド」を創設することを明らかにした。同ファンドは、後継者不在などの事業承継問題により新たな事業展開が困難になっている中小企業の事業継続を円滑化するとともに、新事業展開を通じた経営の向上を図ることを目的とするもの。
中小企業の事業承継については、中小企業経営者の高齢化が進展する中、特に親族内における後継者の確保がますます困難になっている。東京商工リサーチの調査(2003年)によると、20年以上前は9割を超えていた親族の事業承継が最近は約6割まで低下しており、中小企業の雇用や高度な技術の確保を図るためには、親族への承継に加え、後継者難に直面する中小企業の事業承継を円滑化することが一層重要な課題となっている。
事業承継ファンドの形態は、中小機構が、民間の投資機関や金融機関、事業会社などとともに投資ファンドを組成し、有限責任組合員として、ファンド総額の2分の1を上限に出資するというもの。投資対象は、優れた技術やノウハウを持っているが、後継者不在などの事業承継問題を抱え、新商品の開発や新事業の開拓など、新たな事業展開が困難になっている中小企業である。
これらの中小企業のオーナー等からの株式取得による経営権の取得、各種手法による事業資金の提供を行う。また、無限責任組合員による経営面での支援や各支部を活用した中小機構による各種支援等のハンズオン支援(密度の濃い経営支援)を行い、後継者不在等の問題の解決や中小企業の経営の向上につながる新たな事業展開を支援する。