日本公認会計士協会、日本税理士会連合会、日本商工会議所、企業会計基準委員会が主体となって設置された「中小企業の会計指針作成検討委員会」はこのほど、「中小企業の会計に関する指針」の改正を行い、公表した。同指針は、中小企業が決算書など計算書類を作成するにあたり拠り所となる会計処理や注記などを示すもの。その適用状況を税理士が確認できれば、信用保証料が割り引かれるメリットなどもある。
今回の改正は、昨年4月27日の同指針改正後に企業会計基準委員会が公表した各種の企業会計基準等のうち、企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」及び同13号「リース取引に関する会計基準」に対応した会計処理の見直しを行ったほか、法人税法の改正及び金融商品取引法の施行などを踏まえた所要の修正を行った。改正にあたっては、検討結果を公開草案としてパブリックコメントに付した上で、分析・検討している。
リース取引については、この4月1日以降、これまで賃貸借として処理されてきた所有権移転外ファイナンス・リース取引が売買取引として処理されることから、同指針においてリース取引の項目を新設。そこでは、所有権移転外ファイナンス・リース取引を定義した上で、借手は、通常の売買取引に係る方法に準じて会計処理を行うが、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて行うこともできるとしている。
ただし、法人税法上は、すべての所有権移転外ファイナンス・リース取引は売買として取り扱われ、賃借人がリース料(賃借料)として経理した場合でも、その金額は償却費として経理したものとされることを留意点として示している。また、借手は、通常の賃貸借取引に係る方法に準じて会計処理した場合には、未経過リース料を注記するが、重要性がないリース取引については、注記を省略することができるとしている。
棚卸資産については、評価基準について、棚卸資産の期末における時価が帳簿価額より下落し、かつ、金額的重要性がある場合には、時価を持って貸借対照表価額とする。ここでいう時価とは、原則として正味売却価額(売却市場における時価から見積追加製造原価及び見積販売直接経費を控除した金額)をいうとしている。
同改正指針に関する新旧対照表は↓
http://www.jcci.or.jp/chushokaikei/080502kohyo/taisyouhyou.pdf