経 営 関 連 情 報 |
2003年02月19日-002
ITはバラ色の未来をもたらすか?
ITが実現する社会を「便利で効率的」とみるか「味気ない」と感じるか、という疑問を呈するのは三菱総合研究所関西研究センターの新田啓之氏である。例えば、ネットショッピングでは「ネットで24時間どこからでも商品が買える。しかも、求めやすい値段で。お届けはご自宅に」と、そこには便利で楽しい社会が描かれ、成功した実業家が胸を張る。
だが、疑問が頭をよぎる。「友人ともしゃべらず、店員とも話をせずに、楽しい買い物ができるのか」「石鹸1個が自宅に届くのは便利だが、配送効率が悪く、ガソリンがいくらあっても足りないのでは」「24時間、人は買い物をしたがるだろうか」「一度も座ったことのない何十万円もする椅子をポンと買うのだろうか」などなど。
疑問を感じつつも、これだけITと騒がれると、IT化に伴って、知らないうちに今までの良さを捨て去ってしまう人も多いのではないか。「インターネットカフェ」から、携帯電話もメールも通じない「情報隔絶喫茶」へ、「WEBシステムの習得ではなく、掛け合いの話術を磨け」といった取組みは単なるIT社会へのアンチテーゼではない。
このような、IT化が進む中で一見逆行するかのような取組みは、むしろ必要になってくるのではないか。今後もITはますます普及していくだろう。だが、極めて人間的な何かが抜け落ちていないか。猛烈な勢いで広がっていくITのなかで、立ち止まって考え、人間的なものを大切にすることが、これからの街づくり・地域づくり、さらには日本の将来にとって重要であるはずだ。これがIT社会に対する新田氏の疑問である。
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