ガソリン税など道路特定財源の暫定税率をめぐる与野党攻防のなかで、道路特定財源の無駄とともに、暫定税率廃止による地球温暖化への悪影響が議論されるようになってきた。そうしたなか、「環境・持続社会」研究センターをはじめNGOメンバー、税理士、企業人等で構成する炭素税研究会はこのほど、道路特定財源の課税と使途に関する見解を公表し、地球温暖化防止の観点から、暫定税率廃止ではなく、税率強化を求めた。
同研究会は、(1)ガソリン・軽油等の税率は維持すべきだ。税率を引き下げることは地球温暖化防止の観点から問題である、(2)道路特定財源は一般財源化すべきだ。巨額な財源を、クルマを有利にする道路整備関連にのみ使うのは問題である、(3)2009年度から炭素税(環境税)を導入すること。CO2 削減のためにガソリン・軽油等の化石燃料価格を上昇させることを求める、との見解を示している。
同研究会では、日本の2006年度の温室効果ガス排出量が基準年(1990年)比6.4%(速報値)も増加、政策強化が進まない一方で、温暖化防止に逆行する政策が提案されているとみている。政府与党は、税率維持の主張は理にかなっているが、自動車輸送量を増やしかねない道路建設に固執してきたことは、地球温暖化防止に逆行し、問題が大きいとし、福田首相の表明どおり、2009年度からの全額一般財源化の確実な実施を求めた。
民主党案についても、(1)無駄な道路予算の削減、(2)ガソリン税を含む道路特定財源諸税抜本改革など、理にかなっている面もあるが、暫定税率廃止でガソリン・軽油等の税率を引き下げることで、地球温暖化防止に逆行し、問題が大きい、と指摘。その上で、ガソリン・軽油等の税率を維持したまま道路特定財源は廃止して一般財源化し、その後すみやかにそれに上乗せする形で炭素税(環境税)を導入すべきだと主張している。