人口減少・少子高齢化によって労働市場は構造的に変化してきており、今後、60歳以上の労働力人口が大幅に増加する一方、15~29歳の若年労働力人口は、引き続き減少することが見込まれる。こうしたなか、今後いかに人的資源を確保するかが、企業経営における重要課題の一つとなる。そこで、中小企業金融公庫総研が発表したレポート「中小企業における若年労働力とベテラン労働力の確保・活用戦略」を紹介したい。
同レポートによると、事例企業の取組みから、若年労働力の確保・活用については、1)企業の知名度向上への取組み(ターゲットをある程度絞った若年者との接点創出)、2)定着率向上の取組み(地域社会での位置づけや働きかけの明確化による従業員のモラールアップ)、3)職業人としての基礎教育の充実(地方自治体等との連携による効率化)、4)育成ノウハウの蓄積・体系化、5)中核的な人材の育成、を特徴として挙げた。
また、ベテラン労働力の確保・活用においては、1)外部の人材へのアプローチ開拓(新たなノウハウの吸収やネットワーク拡大に貢献)、2)他の従業員とのコミュニケーション強化(信頼関係構築による活用効果の促進)、3)ワークライフバランスへの配慮(雇用者の不安軽減による就業促進)、4)適切な活躍機会の提供によるモラールアップ(若年従業員の教育指導等がモラールを刺激)、に特徴がみられたとしている。
これらが、具体的な企業事例から浮き彫りになった、若年労働力及びベテラン労働力の確保・活用のポイントだが、レポートは、さらに、若年労働力とベテラン労働力の適切なミックスにより、取組み成果の期待は増すと指摘。労働力の確保・活用に取り組む中小企業にあっては、経営者自らが自社の位置づけや方向性を見極め、自社に適した具体的な方策を選び、持続的に実行することが重要となると結んでいる。