経 営 関 連 情 報

2003年05月12日-004
ネット商売の原点を見直せ!

 インターネットの急速な普及で多くの企業がEC事業に参入しているが、芳しい業績を上げるところは少ないようだ。その要因は、「人はなぜネットで買い物をするのか」というネットの商売の原点がぼやけてしまったことだと指摘するのはジャパン・インターネット・コムに掲載された三石玲子氏の分析レポートである。

 氏によれば、ネット商売が始まった10年前ごろ強調されたのは、「24時間いつでも買い物ができる」「家にいながら海外の店でも買い物ができる」といったことだった。しかし、これではあまりに能がないということで、次に価格メリットが強調され始めた。最良価格を選択できる、価格比較が可能、低価格商品の調達が容易といったことだ。

 その後、次第に「付加価値路線」が重視されていく。「深い情報」「リッチなコンテンツ」「卓越したサービス」といったものだ。さらに、ネットの商売とは実店舗や実営業のプレッシャーやストレスから開放されるもの、という視点が定着。結果的にネットの店は実店舗やカタログに比べてもはるかに顧客満足度が高いといった評価が定着する。ことに日本の中小オンラインショップはその典型だった。

 「これはこれで結構なことだ」と三石氏は考えるが、改めて「原点とは何だろう」と問い掛けている。アメリカの様々な調査結果をみると、第1位はいつも決まって「便利だから利用する」である。中身はといえば、「好きな時間に利用可能」「省時間」「チェックアウトに時間を取られない」「並ばずに買える」「店員の押し付け販売から開放される」といったものだ。

 この視点から日本の店を見直すと、そんなに卓越した利便性は提供していない。「付加価値路線」にこだわるあまり、原点が見失われている店が増えていると指摘する。店内での滞留時間を高めることも確かに重要だが、「とっとと用事を済ませ、さっさと帰る」ことを重視する人には無駄なデザイン・コンテンツが多い。ネットでの消費者は性急で移り気だ。ネットの商売の原点「利便性」を見直すことが、実店舗を含めた「業態間競争激化時代」の生き残り策となるだろう、というのが三石氏の結論である。

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