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税務関連情報 (2004/04/07)

エンジェル税制利用件数が2003年度1年間で大幅増

 個人投資家がベンチャー企業に投資する際に受けられる税制上の優遇措置、エンジェル税制が2004年度税制改正で拡充されたが、経済産業省が3月31日に公表したところによると、今年3月末までの1年間(2003年度)の同制度の利用実績が大幅に増加したことが分かった。

 同制度が創設されたのは1997年6月だが、以降2003年3月末までの約6年間の利用実績は278件、年平均47.4件に過ぎなかった。ところが、2003年度は1年間で748件と、これまでの年平均の15.7倍と急増している。

 この増加要因としては、2003年4月からベンチャー企業への投資に限って、株式譲渡益の範囲で特別控除できる制度が創設されたことがある。例えば、2003年度に株式譲渡益が500万円発生し、ベンチャー企業へ300万円投資したケースでは、200万円だけが申告すべき株式譲渡益となる。これに伴い、証券会社やベンチャーファンドを通じた制度利用が急増したとみられている。

 2004年度税制改正では、投資額分だけ控除される対象に日本証券業協会のベンチャー企業市場である「グリーンシート・エマージング」の登録企業と優良な投資ファンドが投資する企業が追加され、4月1日以後に取得する株式について適用される。また、証券会社や投資ファンドを通じた場合、投資先企業に係る適用要件のうち、試験研究や事業化に係る費用を一定以上支出することや外部資本が1/6以上などの要件が免除された。

 さらに、ベンチャー企業の株式公開後に得た譲渡益は半分が非課税となるが、その保有期間要件を、改正前の株式公開前3年超保有から「取得時から3年超保有」に見直された。これによって、M&Aなどによる未公開段階での株式譲渡益も圧縮特例が適用されることになる。

 中小企業庁では、このような適用要件・手続きの大幅な緩和によって、2003年度に大幅に伸びた利用件数がさらに増加するものと期待している。同庁では、投資家約6000名、投資額約70億円のリスクマネーが、ベンチャー企業約140社に対して毎年継続して供給されると見込んでいる。