経 営 関 連 情 報

2003年06月20日-004
出始めた?インターネットの紙媒体への影響

 一時、インターネットの普及でペーパレス化が進むとの予測があったが、手元において好きなときにじっくり読めるなど、紙の利点も捨てがたいなどから、それほど紙媒体が激減しているわけではない。しかし、こと通販業界のカタログ・チラシ印刷物などの紙媒体に限っていえば、電子媒体の影響が出てきているようだ、と指摘するのは日本印刷技術協会の分析リポートである。

 日本通信販売協会の調査報告書によると、通販業界での各種広告媒体利用度で最も高い媒体は「インターネット」で、75.2%の通販企業が広告にインターネットを使っている。次いで「DM」が65.0%、「カタログ」(58.8%)、「チラシ」(46.0%)などが続く。このようにインターネットの利用率は高いが、その売上に占める割合は5.0%とまだまだ低く、カタログ(34.9%)やDM(23.5%)といった紙媒体での売上が大きい。

 ただし、2001年度における通販業界全体の全広告費4731億円に占めるインターネット広告費の割合は1.2%、47億円で、例えばカタログを使った広告費用1016億円の20分の1に過ぎない。そこで、各媒体に使われた宣伝広告費に対する売上高の比率を計算してみると、「インターネット」が21.9とダントツに高い。ちなみに、カタログは7.1、チラシは3.8。インターネットの費用対効果は抜群に高いのである。

 だからといって、通販の広告媒体がインターネット一辺倒には当面はならないはずだ。それは、多くの消費者が情報には受動的なため、自らが情報をとりに行かなければならないWebのようなプル媒体を活用する人はまだ少ないからだ。カタログなどのこちらから情報を提供していくプッシュ媒体のほうが有効である。ただし、Eメールは、表現力はカタログに及ばないが、メディアの性格としてはプッシュメディアもある。

 このような背景のなかで、主要な通販企業のネット売上は二ケタ台で伸びている。一方、通販用のカタログ・チラシ印刷物の市場規模は1997年度の1809億円から年々減少し、2001年度の前年度比15.7%減という落込みは特に大きく、1394億円、対ピーク時の77%にまで減少した。このような状況からみて、少なくとも通販業界においては、電子媒体の紙媒体への影響が出始めたといえるのではないかという結論である。

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