京都府と京都市を除く府内25市町村による「京都地方税機構」が8月19日に設立された。行政の枠を越えて税務事務を共同処理する全国で初めての広域連合だ。設立にあたり同日、連合長に山田啓二・京都府知事が選出された。同知事は「申告や納税窓口を一本化すれば、納税者の利便性が向上し、効果的・効率的な徴収体制が実現できる。力を合わせて成功させたい」との抱負を語っている。
2010年1月から府税と市町村税、国民健康保険料(税)の滞納処分など徴収事務をスタートさせるが、課税事務の共同化は2011年4月開始を目指す。地方税の賦課・徴収を一体的に共同化する組織の設立は全国でも初めての試み。府内での2007年度の市町村税の徴収率は平均93.4%だったが、共同化により98%程度に向上することが期待され、市町村で80億円、府で5億円の増収効果を見込んでいるという。
広域連合は、地方自治法に基づいて設置される独自の議会を持つ特別地方公共団体。事務の共同処理を行う一部事務組合より高い権能を有する。府と関係市町村は、徴収率の向上、税務事務の専門化・高度化、行政コストの縮減などを推進するため、2008年4月に「設立準備委員会」を立ち上げて、実務的な検討を進めていた。当面は各団体から移管を受けた滞納案件について、督促・催告をはじめ納税折衝・財産調査・滞納処分を実施する。
このほか、不服申立てに対する対応も行うとともに、納税証明書の発行窓口の拡大、クレジット納税の実施などによって納税者の利便性の向上を図り、インターネット公売によって収入増も目指す。また、中長期的には、課税資料の一括受付や課税データの一括作成によって事務処理をさらに効率化するほか、業務の標準化によって可能なかぎり課税業務の共同化を進めていきたい考えだ。