日本政策金融公庫はこのほど、同公庫が創業期の企業に無担保・無保証人で融資する「新創業融資制度」の2008年度の融資実績が件数、金額とも過去最高の実績となったと発表した。「新創業融資制度」は、的確なビジネスプランを持ちながら、担保を提供することや保証人をたてることが困難なため、創業時に必要な資金調達に支障を来たしている起業志望者の支援を目的として、2001年7月に創設された制度である。
2008年度の新創業融資制度の融資実績は、件数が前年度に比べ4.7%増の1万4776件、金額が同3.8%増の503億円となり、制度創設以降、件数、金額ともに8年連続で増加している。2008年度までの累計では、件数が6万1587件、金額が2028億円にのぼる。融資限度額は、制度導入当初は150万円で取り扱い、その後、2002年1月から550万円、2004年4月から750万円、2007年4月から1000万円に引き上げられている。
新創業融資制度の対象者は、(1)新たに事業を始める人、または事業開始後税務申告を2期終えていない人という「創業要件」、(2)雇用創出、経済活性化、勤務経験または習得技能要件のいずれかに該当する人、(3)事業開始前、または事業開始後で税務申告を終えていない場合は、創業資金の3分の1以上の自己資金を確認できる人という「自己資金の要件」、の3要件のすべてに該当する人とされている。
(2)における勤務経験または修得技能要件は、(ア)現在勤める企業と同じ業種の事業を始める人で、現在の企業に継続して3年以上勤務か現在の企業と同じ業種に通算して3年以上勤務している人、(イ)大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上勤務している人で、その業種と密接に関連した業種の事業を始める人。すでに事業を始めている場合は、事業開始時に(2)の要件のいずれかに該当した人とされている。