日銀が2006年度内に再利上げを実施するかどうかが大きな話題となっていた。ただ、個人消費に力強さがみられないことから消費関連業種の景況感は悪化しており、日銀は18日、12月発表の生産や物価に関する各経済指標や年末年始商戦の動向を確認した上で、再利上げを見送ることを決めた。しかし、今後の経済・物価情勢の変化次第では、再び再利上げが検討事項となることは確実だ。
帝国データバンクが実施した「2006年度内の再利上げに対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万社)によると、2006年度内の再利上げは「時期尚早」と回答した企業が60.6%にのぼった。地域別にみると、「四国」(67.9%)や「北陸」(66.9%)などで「時期尚早」と回答した企業が多い一方、これまで景気回復をけん引してきた「東海」や「南関東」ではともに58.6%と少なかった。
業界別では、「運輸・倉庫」(66.0%)や「建設」(65.4%)が高水準だったのに対し、「不動産」(59.9%)や「金融」(51.2%)などが少なく、規模別でも景況感の改善が遅れている「中小企業」(62.0%)が「大企業」(56.1%)を5.9ポイント上回った。一方、2006年度内の再利上げを「妥当」とする企業は16.1%にとどまったが、「妥当」とする企業においても、再利上げは地方や中小企業への影響が無視できないとの見方が目立っている。
また、再利上げ実施により回復基調が「腰折れする」との回答が48.5%と、「持続する」(21.1%)の2倍以上となった。再利上げ時期の判断と同様に、地方圏や「中小企業」(50.1%)、「建設」(53.8%)、「運輸・倉庫」(53.4%)などで懸念が高い。景気回復はまだら模様で、依然として地域・業界・規模間格差は縮小していない。企業の間では一段の金融引締めに否定的で、再利上げによる景気への影響も大きいとの見方が広がっている。
同意識調査の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0612.pdf