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経営関連情報 (2005/05/09)

経産省検討委が文書の電子保存で報告書公表

 情報技術の進展により、ほぼすべての文書が電子データとして作成・利用される運用が日常化している。この4月からは、書面に代えて電子化された文書による保存等を認めるe-文書法が施行され、文書の電子保存に取り組む企業も多い。経済産業省の「文書の電磁的保存等に関する検討委員会」は6日、文書の電子保存に今後取り組んでいくべき重要な課題について整理し、ガイドラインとしてとりまとめた報告書を公表した。

 報告書では、文書の電子保存により期待される効果として、先進事例を通じて、「業務コストの削減」、「企業競争力の強化」、「リスク管理」の3つを挙げた。例えば、業務コストの削減では、ある企業で、毎日1万件に及ぶ医療記録関連の文書処理の電子化を進めたところ、文書処理コストで450万円/月、処理期間を2週間から4日程度に短縮など、大幅な作業効率の向上と作業人件費・保管コストの削減が可能になったと例示している。

 また、電子文書の利点としては、保管コストの削減、迅速・低コストでの検索、交換・複製などが可能、過去の文書の再利用が容易になるなどを挙げた。その一方で、セキュリティや障害などへの対策が必要なことや、処理の有無や時刻などを認知することが困難といった留意点を指摘。文書の電子保存を進めるうえでの義務要件を、「見読性」、「安全性」、「機密性」、「検索性」の4つの観点から整理している。

 さらに、義務要件の精度や安全性に確実を期すため、ログやアクセスの管理、スキャナーの取扱い、システムの運用管理など、技術的・運用的事項などの7項目を努力基準として規定した。そのほか、将来の課題として、文字コード・フォーマットの標準化、記録管理に関する標準整備の必要性についても提言。経産省では、本報告書が、企業等における情報の戦略的な活用と管理の一助となることを期待している。

 報告書の概要は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20050506001/050506den1.pdf