日本の2003年度の経常収支黒字が前年度比で29%増加し過去最大の17兆2667億円となったことを内閣府が明らかにした。経常収支黒字の主な内訳は、貿易収支が13兆2779億円の黒字、所得収支が8兆4904億円の黒字、サービス収支が3兆7072億円の赤字だった。経常収支の伸び29%に対する寄与度をみると、貿易収支黒字の増加の寄与が13%、サービス収支赤字の減少の寄与が11%と大きい。
貿易・サービス収支黒字は、実質実効為替レートと米国経済に代表される海外経済動向と強い相関をもって増減を繰り返してきた。2001年後半からの貿易・サービス収支黒字の増加には、2000年から2002年にかけての実質実効為替レートの減価とともに米国・中国を中心とする好調な海外経済とが大きな働きをしたとみられている。
また、所得収支黒字が順調に伸びているが、その大部分は、海外資産からの収益により生み出される。所得収支黒字の堅調な伸びの背景には、これまでの経常収支黒字によって海外純資産が積みあがってきたことがある。
2002年から実質実効レートはさほど減価しておらず、また世界の景気は回復しているため、貿易・サービス収支黒字が大きく減少するとは考えにくいという。一方で海外純資産が積みあがっていることから所得収支黒字は引き続き増加基調と考えられ、今後も経常収支黒字は高水準で推移する可能性が高いだろう、というのが内閣府の見方だ。