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税務関連情報 (2006/09/08)

年間消費税負担は年収588万円4人世帯で12.7万円

 次期総理が確実な安部官房長官は消費税率引上げに慎重な姿勢だが、早晩、引上げの議論が本格化することは間違いない。ところで、意外と意識されていないのが、実際に各世帯が年間に負担する消費税の額であろう。ニッセイ基礎研究所が発表した「世帯ベースの消費税負担額」(篠原哲研究員)と題したレポートでは、年収588万円の4人世帯で約12.7万円という試算を示している。

 レポートは、総務省の「家計調査」を用いて、4人世帯における年間の消費税負担額を、5段階の所得階級ごとに試算。その結果、所得水準が中位の世帯では、年収587.9万円に対して年間約12.7万円の消費税負担となり、年収比では約2.2%となった。他の公的負担との比較では、所得税(14.0万円)と住民税(9.7万円)の中間程度の額であり、年金(34.4万円)や健康保険料(16.8万円)などの社会保険料よりは低い負担水準だ。

 他の所得階級の世帯においても、年収に対する消費税額の負担割合はほぼ2%前後となる。しかし、所得階級別の消費税額負担額をみると、所得階級が高くなるほど、年収に対する負担比率が低下する傾向にある。消費税はすべての所得階層に対して同率の税率が課せられるため、低所得者になるほど相対的に負担率が大きくなってしまう。このような「逆進性」が、消費税率引上げの議論では問題として指摘されている。

 政府税制調査会においても、こうした逆進性に配慮して、将来、消費税率が欧州諸国並みの二ケタ税率になった場合は、食料品などに対する軽減税率の採用の是非を検討すべきだとの意見が強い。しかし、レポートは、消費税の逆進性の問題を考える際には、消費税だけでなく家計が負担する税や社会保障制度を一体的に捉えたうえで、所得階層間の公平性の問題を論じ、制度改革を進めていくことも重要との考えを示している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/stp/nnet/nn060904.html