震災時は通信手段の確保、IDカードの携行が急務
高度情報化社会の実現に向け、中長期的視野から官・民・生活者が一体となって国民的合意形成を図る活動を展開している情報化推進国民会議は、「東日本大震災に学ぶ今後のICT活用のあり方」に関する調査報告を発表した。東日本大震災の発生で起きた事象を時間の経過で区分し、「実際に起こった事象の確認」→「得られた教訓の整理」→「改善に向けた視点の検討」という流れで整理している。
災害発生時は、災害警報、津波警報の迅速・確実な伝達、被災者の救援のために、通信手段の確保が何よりも優先される。そのためには電源の維持・確保は最重要課題。情報伝達のためには電源が確保されなければならない。必要な機能が維持できるよう、行政機関には発動発電機等の整備強化が求められる。また、各戸には、バッテリーでも動作するテレビやラジオの常備、将来的には夜間電力を活用した家庭内蓄電器の普及・活用を期待。
災害発生直後では、地震発生時には固定回線は寸断される。行政の早期出動を支えるためには、無線ネットワークや地域衛星通信ネットワークの拡充が求められる。行政機関の多くは本庁・支所間の通信手段の確保に手間取り、避難所との通信環境も弱体だった。本庁-支所-避難所間など重要施設で、簡易無線等による臨時回線を優先的かつ迅速に設置するなど、地域衛星通信ネットワークの拡充及び平常業務での利用推進が求められる。
復旧期では、国民IDカードを全ての国民が保持することで、確実で速やかな本人確認が可能になる。被災者は分散して避難した家族等の安否確認のため、各避難所に貼り出された避難者リストを確認する必要があった。IT戦略本部が昨年6月に発表した「新たな情報通信技術戦略行程表」に示した国民IDカードを全ての国民が携行すれば、氏名・住所・年齢・性別などの基本情報をカードリーダを用いて迅速に登録することが可能になる。
同調査報告の全容は↓
http://activity.jpc-net.jp/detail/isd/activity001044/attached.pdf