税 務 関 連 情 報

2003年06月09日-001
国税不服審判所が最新の裁決44事例をHPに公表

 税務調査による処分に不服がある場合は、まず税務署長に対し「異議申立て」を行い、それでも納得がいかないときは国税不服審判所長に「審査請求」するという、納税者の権利が不当に損なわれないように不服申立制度が設けられている。
 同審判所では、そのような納税者からの審査請求を調査・審理して裁決を下すわけだが、毎年2回、先例となるような裁決を小冊子にまとめて発行し、ホームページ上でも公開している。

 このほどホームページ上に掲載されたのは、2002年上期(1~6月)に行われた裁決から44事例をまとめた最新の「裁決事例集NO.63」。ホームページには、1970年以降の裁決事例のなかから参考となるものの要旨を「公表裁決事例要旨」として、また、96年以降に発行した裁決事例集の裁決事例全文を「公表裁決事例」として紹介しており、NO.63もそこに追加されている。

 今回公表された裁決事例では、「相続税の申告後、税務署の調査担当者の電話による質問の後に提出された修正申告書が、過少申告加算税を賦課する理由となる、更正があるべきことを予知して提出されたものかどうか」が争われた事案が
ある。審判所は、「納税者の関与税理士に対して、電話により質問及び指摘しており、その後に修正申告書が提出されていることからすれば、調査があったことにより更正があるべきことを予知してされたというべきだ」と判断し、納税者の主張を斥けている。

 その他では、「入退院を繰り返していた取締役会長に対する役員報酬・役員退職給与には、不相当に高額な部分の金額が含まれているとはいえない」として、納税者の主張を全部認めた事例や、「旅行業を営む納税者が、その主催旅行のバス乗務員に支払った心付けは、旅行者からの預り金の支払いではなく、交際費等にあたる」として、税務署の処分を支持した事例などがある。

 これらの裁決事例は実務上参考になる事例が多いだけに、実務家はもちろんのこと、一般の納税者も税務処理などに迷ったときは、類似の事例を探してみると役立つこともある。

国税不服審判所のホームページは↓
http://www.kfs.go.jp/index.html
今回公表された裁決事例NO.63の要旨と全文は↓
http://www.kfs.go.jp/service/JP/63/index.htm

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