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経営関連情報 (2004/04/21)

“普通”の人でも起業家になれる!?

 ベンチャー企業の社長というと皆個性的なイメージがあり、個性的なので起業家に向いていると思われがちだが、必ずしもそうとはいえない、というのは三菱総研ベンチャー支援事業部長・内海和夫氏のコラムである。

 起業家に必要な素質としてよくいわれるのは、決断力・積極性・粘り強さなど。また、成功している起業家、特に大きな規模の企業にまで育て上げた起業家が持っている素質としては、自分の志を周知・賛同させる能力、変化に対応する柔軟性、人を見極めてリーダーシップを分担できる能力などが挙げられるが、果たしてこれらは天性のものなのか、あるいは後から身に付けることができたものなのか…。

 内海氏は、海外経験の豊富なベンチャーキャピタリストの言葉を紹介する。「起業家の能力のうち、タレント的な要素は5%程度、残りは後天的な要素で培われる。したがって、起業家育成というのは、起業家精神を養うのではなく、成功(失敗)した起業家の行動パターンを学び、実行していくという要素を大きくすべきだ。基本的には、誰でもそのような行動パターンを取れるように自分を変えることができる。起業家育成の目的は、起業家の行動パターンを学ばせ、さらに擬似的に体験させることにより、起業してみようと思わせることにあるといってよい」

 起業家独特のタレントに秀でた天才的かつカリスマ的な起業家が注目されることは多いが、凡人が天才を真似しようとしてもできるものではない。それよりも、起業家独特の行動パターンを学び取り、自分に足りないものがあるときは、それを補完できる人材たちとチームを組むことを考えていけば、“起業家”はもっと身近なものになるに違いない、というのが内海氏の結論である。