中小企業金融公庫総研が、昨年11月中旬に実施した「2008年の中小企業景況見通し調査」結果(有効回答数562社)によると、2008年の業況見通しは、「改善」を見込む企業割合が24.4%と前年調査(2006年11月)に比べ低下する一方、「悪化」を見込む企業割合が15.5%と上昇した。この結果、業況見通しDI(「改善」-「悪化」)は8.9と、前年調査に比べ13.1ポイント減少し、3年ぶりの低下となった。
2008年の設備投資見通しDI(「増加」-「減少」)は▲7.8となり、前2年に比べて見通しは低いものとなっている。中小企業の設備投資は、見通し段階では計画が固まっていないなどの理由で低めの数字となり、実績見込みにかけ上方修正される傾向があるが、2007年の実績見込みDI(同)は▲2.9(見通し段階は▲6.2)と小幅な修正にとどまっている。中小企業の設備投資は2007年から2008年にかけて一服感が強まっている。
2008年に向けての経営上の不安要素(3つまで回答)は、「原材料価格・燃料コストの高騰」(73.6%)、「国内の消費低迷・販売不振」(60.8%)が昨年に引き続き上位を占めるとともに、前年調査に比べ若干幅のある上昇を示している。一方、「金融動向(金利上昇、調達難)」(30.7%)、「人材の不足・育成難」(28.7%)の2項目はここ数年上昇傾向が続いていたが、2008年見通しにおいては低下している。
経営基盤の強化に向けて注力する分野(3つまで回答)は、「営業・販売力の強化」(69.5%)、「販売価格引上げ・コストダウン」(48.8%)、「人材の確保・育成」(36.2%)などが昨年に引き続き上位。「販売価格引上げ・コストダウン」は前年調査から7.8ポイント上昇、原油価格の高騰などから原材料価格の高止まり懸念は一層強まっており、販売価格の見直しやコスト削減努力で対応しようとする企業の姿勢が目立つ結果となっている。