2003年04月07日-003
退職金税制の見直しで公的年金財源の確保をと提案
世代間の不公平や財政破綻の危機にある公的年金制度を立て直すための議論として、主に給付額の引下げや保険料の引上げ、消費税の目的税化などが検討される方向にあるが、富士通総研がこのほど発表した研究レポートでは、現行の退職金に関する税制を、わが国の年金税制の方式である拠出時・運用時非課税、給付時課税に見直すことで公的年金財源が確保できるとの提案をしている。
研究レポートでは、1)拠出時非課税実現のために、適格年金と個人年金の所得控除を現行の生命保険料控除から社会保険料控除に変更、2)運用時非課税実現のために、特別法人税を廃止、3)給付時課税実現のために、租税優遇措置である公的年金等控除額と退職所得控除額の廃止・縮小を提案する。この提案を踏まえて、公的年金等控除額と退職所得控除額の廃止・縮小による税収増を試算する。
その結果、廃止の場合の試算額は1兆4554億円となる。これは、公的年金財源の国庫負担金割合が現状の3分の1から2分の1に代わる場合に厚生労働省が試算した1999年度時点2.2兆円の負担増のうち66%を賄う。さらに、2025年度で予測される負担増3.7兆円の約40%を賄うことができる。
一方、拠出時非課税実現のための適格年金の所得控除を社会保険料控除に移行する提案があるが、移行した場合を試算すると4179億2729万円の税収減となる。すると、税収増は差し引き1兆375億円となるが、これは1999年度時点での負担増2.2兆円の約47%を、2025年度に予測される負担増3.7兆円の約28%を賄うことができるとの計算となる。
これらを勘案すると、この試算額は公的年金の基礎部分の財源になり得るとして退職金に関する税制の見直しを提案している。 研究レポートの本文は↓
http://www.fri.fujitsu.com/open_knlg/reports/report157.pdf
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