中小企業の景況は改善傾向にあるが、そのけん引役は製造業、なかでも精密機械においてその傾向が顕著。この精密機械の業況改善の背景を探ったのは、信金中金総研のレポートである。元来、精密機械製造業は、その蓄積技術の応用によって、他の業種との相対比較では事業の多角化が図りやすい業種だが、近年は機械と電気がクロスオーバーするなかで、全体像が捉えにくくなっていることから、関連性が高いと思われる電気機械器具製造業など周辺業務も含め、調査・分析した。
その結果、工業統計表による「精密機械器具製造業」は計測機器、医療用機器、光学機器・レンズなどが主なものだが、電気計測器や、近年需要拡大が顕著なデジタルカメラなど、既存の精密機械の範ちゅうではくくりきれない周辺分野が比較的活況を呈していることが確認されている。
精密機械を構成する主な個別業界をみると、1)計測機器分野における半導体・IC測定器など電気計測器の回復、2)光学機器(カメラ)分野におけるデジタルカメラ市場の拡大、3)事務用機器の主力である複写機分野においてアナログ機からデジタル機、カラー機へのシフトが顕著、などのデジタル技術革新を背景とした大きな変化がみられる。
今後の精密機械業界では、1)特定分野で独自技術を発揮しやすい計測機器など独立型中小企業においては、最終ユーザーのニーズ変化に対応し、周辺技術の習得、自社技術で補完するためのネットワークの活用、アウトソーシングなどが重要になっていく一方で、2)下請型企業においては、親企業の事業多角化の進展による受注の多様化がそのままビジネスチャンスの拡大であり、これに積極的に対応していくことが必要としている。
そのほか、好調企業の取組事例などレポートの詳細は↓
http://www.scbri.jp/PDFsangyoukigyou/scb79h16F05.pdf