社会保険庁は、今年4月から始まる離婚時の厚生年金の分割制度の相談件数が、昨年12月までの3ヵ月間で約1万5千件だったと発表した。同制度は、4月以降に離婚して、離婚した当事者間の合意や裁判手続きにより按分割合を定めたときに、その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間の保険料納付記録を当事者間で分割することができる制度。分割の効果は厚生年金や共済年金の報酬比例部分(「2階部分」)に限られる。
社保庁では、同制度の開始に備えて、昨年10月から、全国の社会保険事務所などにおいて、離婚時の厚生年金の分割の請求を行うために必要な情報を提供するなど、同制度に関する年金相談を受けている。提供される情報は、按分割合を定めるために必要な、分割の対象となる期間(婚姻期間など)やその期間における当事者それぞれの保険料納付記録の額の総額(対象期間標準報酬総額)、分割の割合の範囲などだ。
社保庁のまとめによると、受けた相談件数は、10月が6283件、11月が4837件、12月が3644件で、合計1万4764件にのぼった。このうち、ほぼ半数の7780件が来訪相談だが、8割の6307件を女性が占めて圧倒的に多かった。また、都道府県別にみると、相談件数は「神奈川」(1619件)、「東京」(1551件)、「大阪」(1515件)の順に多く、「島根」(18件)や「鳥取」(24件)などは少なかった。
なお、来年4月からは、離婚時の第3号被保険者期間の厚生年金の分割制度が始まる。第3号被保険者とは、厚生年金や共済年金の加入者(第2号被保険者)に扶養される配偶者だが、来年4月以降の第3号被保険者期間については、離婚した場合に、当事者一方からの請求により、第2号被保険者の厚生年金の保険料納付記録を自動的に2分の1に分割することができる。こちらの制度の情報提供は今年10月から開始される。
離婚時の厚生年金の分割制度の詳細については↓
http://www.sia.go.jp/topics/2006/n1003.html