ゼイタックス

中堅社員に求める役割は「後輩の育成」、実行は3割

経営関連情報 - 2009年06月01日

 産業能率大学総合研究所が、企業の人事・教育担当者などを対象に2月に実施した「企業における中堅社員の現状に関する調査」結果によると、中堅社員に求める役割として特に重要と思うもの(5つまで回答)は、「職場の後輩を計画的に指導・育成する(後輩の育成)」が72.5%でトップだった。同調査では、「中堅社員」とは入社5~10年、20代後半から30代前半の社員としている。

 「後輩の育成」に次いで「日常の業務を振り返り、主体的に効率化する(自業務の改善)」が56.5%、「目標達成に向けて、具体的に手段を考え、計画化する(シナリオ構築)」と「職場内のメンバーとの人間関係を円滑にし、職場の連帯感を向上させる(職場の活性化)」がともに55.1%で続き、「後輩から信頼され、仕事面以外でのよき相談役になる(メンター的振る舞い)」(49.3%)を求める声も5割弱ある。

 従来型の階層別組織での中堅社員は仕事のプロとしての業務遂行を中心に求められていたが、現在の中堅社員には非常に幅広い役割が求められており、「後輩の育成」が7割を超えている上、職場の活性化やメンター的な役割など、“人への働きかけ”に関する要求も高い。こうした役割の変化は、組織のフラット化や就職氷河期における採用絞込みの影響によるいびつな人員構成など、組織環境の変化も影響を及ぼしているようだ。

 併せて聞いた自社の中堅社員の役割の遂行状況の評価では、最重要な役割と考えられている「後輩の育成」を「遂行している」との評価はわずか2.9%、「やや遂行している」(31.9%)と合わせても3割強にとどまった。各項目の評価と求められる役割を併せてみると、仕事面では「仕事を処理する」ことは求めに対して遂行できている一方、改善や革新などはやや苦手、人への働きかけでは育成が求めに対しまったく遂行できていない。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/chuken.pdf