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経営関連情報 (2004/07/14)

賃金カットを就業規則に定める場合の留意点

 年功序列型から成果主義人事への流れが加速しつつあるが、従業員にはかなりの不利益を強いる内容となる。昇給・賞与格差の拡大や降給・降格ルールの確立、全従業員の賃金カット、人事考課結果劣悪者に対する合法的退職勧奨ルールの設定などがある。特に議論が多い全従業員の賃金カットについて、合法的かつ事後の紛争を防ぐ留意点を語るのは、日本総研の加古栄一氏のコラムである。

 コラムによると、賃金カットは、全従業員が同意すれば法律上有効だが、従業員数が多くなると個々の同意を得ることは至難の業だ。そこで、個々の同意を得ずに賃金カットを可能にする方法として、就業規則の不利益変更法理を用いる方法がある。これは、企業が従業員の同意を得ずに、就業規則を変更・新たに制定したりして従業員の労働条件を現在よりも不利益に変更するものである。

 ただし、変更された就業規則が合理的なものでないと、賃金カットの拘束力は及ばない。合理性があるか否かは、就業規則の作成・変更の必要性・内容と、それによって従業員が被る不利益の程度を比較考量して判断される。特に金銭など重要な労働条件について不利益を及ぼす場合は、高度の必要性に基づいた合理性が求められる、加古氏は、その合理性の判断要素を7項目掲げている。

 例えば、賃金カット前とカット後を比べて、そのカット率が何%になるかといった従業員の被る不利益の程度である。また、企業側の変更の必要性の内容・程度が、法律の要求に伴うものや合併による労働条件統一に伴うもの、企業経営が破綻状態にある場合などは合理性が認められやすい。変更後の就業規則の内容自体の相当性については、いわゆる狙い撃ちなど不公平な適用は行わない、移行措置を設けるなどの注意点がある。

 そのほかの留意点などコラムの詳細は↓
 http://www.jri.co.jp/consul/column/data/251-kako.html