2003年04月28日-002
認められる改正産業再生法での資産評価損の計上
国税庁はこのほど、経済産業省の照会に応え、改正産業再生法において債権放棄を含む計画が認定された場合の資産評価損の計上を認めることを明らかにした。4月に成立した改正産業再生法では、不良債権問題を重視し、産業界が抱える過剰債務構造の是正を重要課題のひとつとしている。そこで、企業が過剰債務を解消できずに債権放棄を受ける際に、処分予定の資産のうち含み損を抱えるものについては、会計上その評価損の計上が債権者保護の観点から必要となる。
法人税法では、資産の評価替えによる損失については原則として損金算入を認めていないが、災害による著しい損傷その他政令で定める事実によって、その資産の価額が帳簿価額を下回ることになった場合は資産評価損の計上を認めている。政令では、企業再建に係るものとして、会社更生法等の規定による更正手続きの開始決定や商法の規定による整理開始の命令、さらに、基本通達では、民事再生法の規定による再生手続き開始の決定があった場合は、たな卸資産・固定資産について評価損の計上ができるとしている。
民事再生法が会社更生法等と同様に扱われたのは、裁判所という公的機関の関与を含めた一連の手続きによって、評価損計上の任意性が排除されるという理由によるものと解釈される。そこで、経済産業省では、改正産業再生法においても、主務大臣の関与を含めた一連の手続きにより、債務者の財産の状況が明らかになった上で再建計画に基づく経理処理が行われているため、制度上、評価損計上の任意性を排除することになっていると指摘。改正産業再生法において債権放棄を含む計画が認定されたことで資産の評価替えが必要な場合は、民事再生法と同様に資産評価損の計上が認められるか国税庁に照会したものだ。
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