事業規模23.6兆円の総合円高対策を閣議決定
政府は21日、「円高への総合的対応策~リスクに強靭な経済の構築を目指して~」を閣議決定した。そのなかで、(1)円高による「痛み」の緩和、(2)リスクに負けない強靭な経済の構築、(3)円高メリットの徹底活用、により、実質GDP押上げ効果0.5%程度、雇用創出・下支え30万人程度を見込む。また、同対策に投入する国費は2兆円程度、事業費は23.6兆円と見込んでいる。
円高による「痛み」の緩和では、重点分野雇用創造事業の基金を2000億円積み増し、事業期間を2013年度末まで延長、全国約10万人の雇用創出を目指す。また、卒業後3年以内の既卒者等を正規雇用する事業主奨励金(1人当たり100万円、被災者120万円)やトライアル雇用を経て正規雇用する事業主奨励金(同最大80万円、被災者最大90万円)の対象期間を延長、ジョブサポーターを100人増員し約2200人体制とする。
震災からの復興自体が大規模な需要追加であるとし、災害廃棄物処理を加速し、全ての災害廃棄物を今年度末までを目途に撤去(仮置場へ移動)、2013年度末までを目途に最終処分するとの目標を迅速・確実に達成する。さらに、地域の復興計画の早期かつ円滑な策定に最大限協力する。これらにより、復興需要の早期発現を図る。なお、2011年度予算公共事業・施設費の5%相当分の執行留保については解除する。
リスクに負けない強靭な経済の構築では、産業空洞化懸念へ対処、サプライチェーンに不可欠な部品・材料分野及び高付加価値分野の生産・研究開発拠点の立地に対し5000億円規模の補助を実施。これらにより、予算額の3倍程度の設備投資の喚起を目指す。さらに2011年度税制改正法案に盛り込まれた法人実効税率の引下げを2012年度から実施、同時に復興のための法人税付加税の終了する3年後以降、企業の税負担軽減を実現する。
円高メリットの徹底活用では、現在1000億ドル(約8兆円)とされている外国為替資金特別会計から国際協力銀行(JBIC)への融資枠を約2兆円追加、10兆円規模に拡大する。さらに、石油天然ガス・金属鉱物資源機構(JOGMEC)への出資の拡充を通じ、レアアース等の鉱山権益取得、天然ガス田買収を支援するとともに、産業革新機構の政府保証枠の1.8兆円への拡充等を通じて、海外M&Aを促進する。
総合円高対策の全容は↓
http://www5.cao.go.jp/keizai1/keizaitaisaku/2011/1021_endaka_saishu.pdf