厚生労働省は2008年度において「中小企業定年引上げ等奨励金」を大幅拡充し、70歳以上の雇用拡大をさらに積極化する方針だ。同奨励金は、65歳以上への定年の引上げや定年の定めの廃止を実施した事業主に対して、企業規模に応じて40~80万円を1回に限り支給するものだが、希望者全員を対象とする70歳以上の継続雇用制度を設けた場合もさらに最高80万円を支給する考えだ。
厚労省は、定年引上げや定年の定めの廃止に限り助成していた同奨励金に、導入しやすい継続雇用制度も対象に加えるほか、70歳まで働ける新たな職域を開拓する企業100社を選定して、モデル企業助成金(上限500万円)を支給する考えだ。2006年12月に決定した政府の「再チャレンジ支援総合プランの個別行動計画」では、「2010年度までに65歳定年企業を50%、70歳まで働ける企業を20%」に引き上げることが目標となっている。
同奨励金ではこの目標を達成するため、65歳未満の定年を定めている企業が、就業規則などを見直して65歳以上へ引き上げたり、定年自体を廃止した場合に、従業員規模に応じて40~160万円を支給している。しかし、2006年6月時点で行った改正高年齢者雇用安定法への対応調査によると、定年廃止によるものが1.2%、同引上げが12.9%にとどまっているのに対し、継続雇用制殿導入が85.9%と一般的になっている。
そこで、厚労省では、2008年度の予算要求方針において、同奨励金を大幅に拡充し、現在65歳の定年を定めている企業が、就業規則などを見直して希望者全員を対象とする70歳以上の継続雇用制度を設けた場合にも、従業員9人以下の企業に40万円、10人以上99人以下の企業に60万円、100人以上300人以下の企業に80万円を、それぞれ支給する考えを明らかにしている。