6月から国家公務員を中心に官公庁において夏の軽装を推進するクールビズが始まった。日本商工会議所が商工会議所会頭を対象とした調査では半数の企業が取り組むなど民間にも広まりつつある。この運動によりシャツや紳士用ズボンなどの需要が期待されていたが、クールビズによる消費押上げ効果を分析した内閣府のレポートでは、実際にも消費に影響を与えていることが明らかになった。
例えば、総務省の6月の「家計調査」(勤労者世帯結果)をみると、「被服及び履物」は前年同月比5.4%増となった。また、6月の商業販売統計でも、百貨店(既存店)では「紳士服・用品」が16ヵ月ぶりに前年同月比増となった。内閣府のレポートは、さらに細かくクールビズが消費にどのような影響を与えたかを分析している。
まず、家計調査の品目分類のなかから、クールビズが影響を与えたと思われる品目を取り出している。それらは、男子用上着、男子用ズボン、ワイシャツ、他の男子用シャツ、男子用下着、男子用靴下、男子靴、背広服、ネクタイだが、その結果をみると、これまで2年連続で減少していた6月の関連品目支出額が、本年6月には前年比で増加に転じている。
さらに、「被服及び履物」全体への寄与をみると、クールビズ関連項目もその他の品目もともに増加に寄与しているが、特にクールビズ関連品目のほうが大きく寄与している。クールビズ関連品目に対する各品目の寄与をみると、特に「他の男子用シャツ」及び「ワイシャツ」が大きく寄与。一方、背広やネクタイに対する支出はクールビズにより減少するとの見方もあったが、ネクタイは前年に比べ若干減少したものの、背広はほぼ前年並みとなった。
また、世帯主の職業別にみた場合、「ワイシャツ」などを含む「男子用シャツ・セーター類」の伸び率は、勤労者世帯及び民間職員に比べ、官公職員で非常に高い結果となっている。レポートは、今後、(民間へのクールビズ運動の広がりなど)夏の軽装化の普及が進めば、さらにクールビズ関連支出の増加が期待できるとみている。