消費税率引上げ時期は、これまで予定されていた2009年から数年程度遅れることが確実な情勢となってきた。7月の参院選挙での与野党逆転で、与党幹部から年末の税制改革では、消費税を取り上げないとの発言が続いている。三菱総研が発表した「遠のいた消費税の引上げ」と題したコラム(白石浩介主任研究員)では、消費税率の引上げ時期は2011年以降となるとの予測を示している。
政府税制調査会の香西泰会長も11日、約1ヵ月ぶりに再開した会合後の記者会見で、消費税について「来年とか、再来年とか、必ず上げるとか、言い切れる段階にない」と語った。2009年4月には、基礎年金の国庫負担割合が3分の1から2分の1に引き上げられ、その財源3兆円弱を確保しなければならないが、消費税率引上げには1年程度の周知期間が必要だから、2008年前半に改正法を成立させる必要がある。
しかし、参院の与野党逆転に加え、香西会長発言の翌日12日には安倍晋三首相の電撃的な辞意表明があって、もはや消費税の議論どころではなくなってきており、予定されていた2009年の消費税率引上げが実現する情勢にない。三菱総研のコラムは、2009年の引上げが遠のいたことにより、消費税率引上げのスケジュールは混沌としてきたと指摘し、消費税率引上げ時期がいつになるかを推測している。
それによると、2010年引上げという早期シナリオは、来年中(2008年)に衆院選挙が実施されるなど政治面での地ならしが進むか、あるいは財政悪化への国際金融市場からの警告(円安や債券市場の混乱)が発せられる場合にしか実現しないとみている。したがって、議論が進まないまま2008年を過ごすと、消費税率引上げ時期はさらに遅れて、2011年以降になると予測している。
三菱総研のコラムの全文は↓
http://www.mri.co.jp/COLUMN/TODAY/SHIRAISHI/2007/0912SK.html