11年の本社移転企業は過去5年で最多の1万621社
2011年に本社移転(市郡を越えた移転)が判明した企業は1万621社で、前年比5.8%増加し、2009年の1万534社を上回り、過去5年で最多となったことが、帝国データバンクが実施した「本社移転企業の実態調査」で分かった。東日本大震災から1年が経過。企業活動にも多大な影響与えた今回の震災だが、震災後、リスク分散や電力不足対応などの観点から検討を進め、本社移転を実施した企業も少なくないようだ。
調査結果によると、2011年における全国の転入超過・転出超過企業数は、転入超過が東京都江東区(60社)や神奈川県横浜市(26社)など789地域に及び、全体の67.6%を占めた。転出超過は、大阪府大阪市(147社)や東京都中央区(108社)など378地域。転出超過の上位地域は各都道府県の中心地での転出が目立ち、各地にある“利便性・ステイタスが高い”といわれる土地からも、企業は活発に本社を移転していることが分かる。
2011年に判明した本社移転状況を業種別にみると、「ソフトウェア業」が613社(5.8%)でトップ、次いで、警備、人材派遣、コンテンツ事業などを含む「他の事業サービス」(472社、4.4%)が続き、「一般貨物自動車運送」(262社、2.5%)、「経営コンサルタント」(248社、2.3%)などが上位に入った。上位の業種をみると、サービス業や建設業を中心に、大規模な工場や施設といった固定設備をそれほど必要としない業種が目立った。
また、年商規模別にみると、「1億円未満」が4590社(43.2%)でトップ、次いで僅差で続いた「1億円以上10億円未満」(4429社、41.7%)と合わせ、年商10億円未満の中小企業が9091社(84.9%)を数え、全体の8割を超えた。他方、「100億円以上1000億円未満」(259社、2.4%)や「1000億円以上」(50社、0.5%)などの大企業は全体の約3%にとどまるが、毎年一定数の大企業が本社移転を実施している事実は特筆される。
同調査は本社移転に関する初めてのものだが、毎年1万社前後の企業が本社移転している実態が明らかになった。あくまで判明ベースの社数であり、実際にはさらに多くの企業が本社移転の動きを活発に行っていると推測される。大震災が発生した2011年は、過去5年間で最多の移転数となったが、これは、震災の直接的な被害の有無にかかわらず、事業継続計画の観点から本社機能を他に移す動きが例年以上に高まったためとみられている。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p120305.pdf