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経営関連情報 (2004/08/25)

再設計の必要性が高まる役員退職慰労金

 先日の株主総会では役員退職慰労金を廃止する企業が急増して話題となった。3月期決算の上場企業のうち50社以上が何らかの形で役員退職慰労金を廃止し業績連動を強化している。日本総研の上席主任研究員/高橋敏浩氏のコラムは、役員の業績評価・報酬は一足先に導入された社員の年俸制や役割給とともに、再設計する必要性が高まっていると指摘する。

 日本能率協会が昨年12月に発表した「役員の指名・業績評価・報酬に関する実態調査」では、役員退職慰労金の廃止・減額の動向について、「予定はない」が前年の79.8%から63.5%に減少し、「検討中」が10.1%から25.4%に増加した。しかし、なお多数の企業が「役員の退職慰労金の廃止・減額の予定がない」と回答している。

 その理由は、「退職慰労金がインセンティブとして機能しているから」(58.9%)、「現在の税制では廃止・減額によって役員に不利益が発生するから」(46.6%)となっている。ところが、役員退職慰労金の算定基準については、「役員在任期間」が98.9%、「役職位」が83.9%に対し、「在任期間の業績」は35.5%なのだ。高橋氏は、「インセンティブとして機能している」といえるのかとの疑問を呈する。

 同氏のコラムでは、役員退職慰労金の一般的な課題のひとつとして、社員の報酬は成果主義に移行して自己責任が強化されているのに比べ、役員が年功の最後の砦と化していることを挙げている。さらに、社員が成果主義だから役員にも、というアプローチは本来逆であるとしたうえで、外圧によって切り崩される役員退職慰労金の見直しを契機として、役員の業績評価・報酬は再設計する必要性が高まっているとしている。

 高橋氏のコラム全文は↓
 http://www.jri.co.jp/consul/column/data/262-takahashi.html