ゼイタックス

経営関連情報 (2005/08/26)

多様化しつつある家計の金融取引

 2004年度末の家計の金融資産残高は1416兆円(前年度比5兆円増)となった。最大の運用資産である「現金・預金」は現行の統計による遡及が可能な1979年以降で初めて減少する一方、「株式」や「投資信託等」、「債券」といった価格変動の影響を受ける資産が2年連続で増加した(日銀「資金循環」)。このような多様化しつつある家計の金融取引を分析したのは内閣府のレポートである。

 レポートは、金融資産残高の変動を、株価等の価格変動要因と金融取引(フロー要因)に分けてみて、価格変動要因も大きく寄与していると指摘。また、90年代には「現金・預金」や「保険・年金準備金」などの金融取引の増加が継続的に金融資産残高の増加に寄与していたが、近年はこうした要因は剥落しており、2000年度以降、金融要因は横ばいで推移していることを示している。

 こうしたなか、2000年度以降の金融取引の変動の内訳から、04年度には「投資信託等」や「債券」を中心に、金融取引の増加要因となっていると判断。それは、「投資信託等」の金融取引の増加は98年12月に解禁された投資信託の銀行窓販による販売額が増加していること、中高年層を中心に外債等の金融資産における保有割合が高まっていることなどにも表れている。また、「債券」の増加には、03年3月以降に販売された個人向け国債の販売額が適用利率の上昇とともに好調に推移していることなどが寄与していると分析している。

 このように、これまでの預金等を中心とした家計の金融資産の保有形態が、低金利の持続やペイオフ解禁の流れのなかで、変化がみられるようになったとみる。今後、家計の所得環境の着実な改善が期待されるなか、金利の動向や家計のリスク選好の多様化(ローリスク・ローリターン選好に加えてハイリスク・ハイリターン選好の併存)、金融機関の提供する商品の多様化に応じて、家計の金融取引における選好は広がっていくと予測している。