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税務関連情報 (2005/03/14)

金銭債権の貸倒れ損失の損金算入に係る事前紹介

 金銭債権の貸倒れ損失が損金算入できるかどうかの判断は難しく、国税当局に否認されることが多い税務処理のひとつだ。国税庁はこのほど、金銭債権の貸倒れ損失をその事業年度に損金算入するための要件を判断した昨年12月の最高裁判決を踏まえ、各国税局で事前照会に応じることを明らかにした。東京・大阪の両国税局は審理課、それ以外の国税局は審理官(沖縄事務所は法人税課・調査課)が担当する。

 2004年12月24日の最高裁判決は、金銭債権の貸倒れ損失の損金算入について、「当該金銭債権の全額が回収不能であることを要すると解される。そして、その全額が回収不能であることは客観的に明らかでなければならない」と指摘。

 続いて、「そのことは、債務者の資産状況、支払能力等の債務者側の事情のみならず、債権回収に必要な労力、債務額と取立費用との比較衡量、債権回収を強行することによって生ずる他の債務者とのあつれきなどによる経営的損失等といった債権者側の事情、経済的環境等も踏まえ、社会通念にしたがって総合的に判断されるべきもの」と判示している。

 なお、税法上は、貸付金や売掛金などの債権の貸倒れ損失が損金算入できるケースとして、以下の事実が発生した場合を挙げている。

1)会社更生法・民事再生法等の規定による再生計画の認可の決定などや債権者集会等の協議決定で、債権の全部または一部が切り捨てられた場合、または債務超過状態が相当期間継続し、債務の弁済が受けられないと認められる場合

2)債務者の資産の状況、支払能力などからみて、貸金等の全額が回収できないことが明らかな場合

3)債務者との取引停止時と最後の弁済期または最後の弁済の時とのうち、もっとも遅い時以後1年以上経過した場合、または同一地域の債務者について有する売掛金等の総額がその取立費用に満たない場合において、その債務者が支払の督促に応じないとき