2003年10月17日-004
動産・債権の担保活用に積極的な金融機関が増加
金融機関の融資はこれまで不動産の資産価値や個人保証が中心だったが、地価の下落などで不動産担保が不十分になってきたことなどを背景に、売掛債権や在庫などの動産を担保として活用したいと考える企業や金融機関が急増しているようだ。これは、経済産業省がこのほど公表した金融機関359社、一般企業1万5千社を対象とするアンケート調査で判明したもの(回答数:211金融機関・3161企業)。
調査結果によると、売掛金などの債権の担保活用を考える金融機関が、昨年7月調査の27%から81.7%に急増した。企業も同様に34%から68.5%に増加。また、在庫や機械設備などの動産の活用についても、昨年はわずか4%だった金融機関が51.9%まで上昇し、企業も35%から42.0%に増えた。ここ1年の間に、企業・金融機関ともに、動産や債権を担保として活用することに対して、積極的なスタンスに変化してきている。
特に金融機関は、昨年調査では在庫・たな卸資産を担保とした資金提供については80%が、また、集合債権を担保にした資金提供も62%がともに消極的だったが、今回の調査では「既存の融資手法で十分」とする金融機関が7.1%まで激減した。従来の不動産中心の融資から事業の収益性に着目した融資へと積極的な転換を図っている姿勢がうかがえる。
一方、債権や動産を担保として活用するためには関係省庁が連携して制度整備に取り組む必要がある。在庫などの動産については、実務上活用されている譲渡担保について、動産を譲渡したことを第三者に示す公示制度を創設することが必要だ。また、債権についても、債務者不特定の将来債権の譲渡についての公示制度整備によって、事業の収益性に着目した融資が可能となる。法務省は15日から始まった法制審議会で制度導入を検討し、来年度中に法案を作成し国会に提出する予定だ。
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