景気は2004年の中ごろから減速して、踊り場が続いているといわれる。その景気の「踊り場」とはどういう状況なのかをわかりやすく解説しているのは、UFJ総研のレポートである。レポートは、「景気回復が続いているという実感がないが、景気は本当に回復しているのか」、「踊り場はいつまで続くのか」、「懸念材料もありそうだが、本当に踊り場を脱却するのか」といった疑問にも答えている。
まず「踊り場」だが、上り階段をずっと昇っていると途中に平らな部分、踊り場がある。ここで呼吸を整えたところでまた上り階段がはじまる。この階段を昇っていく状態を景気の回復と考えてみよう。踊り場にいるときは上に昇っていないから景気はよくなってはいない。しかし、上り階段の途中だから、景気の回復が途絶えたわけではない。景気の踊り場とは、回復途中で一時的に景気が中だるみしている状況といえる。
景気は2002年1月を谷にして回復を続けているというのが、政府の景気判断である。もっとも、景気回復といっても踊り場だから回復の実感はなかなか出てこないはずだ。また、一人ひとりが実感している景気とマクロの経済指標は必ずしも一致しない。経済が高い成長を遂げているときは、個々人の景気の実感と政府の景気判断との間にぶれはあまりないが、景気回復に力強さや広がりが欠けるときは、実感とのずれが出てくる。
今年度後半には、景気は踊り場を脱して回復力が強まってくるというのが政府や日銀の見方である。その要因としては、米国など世界経済が加速して日本からの輸出が拡大すること、デジタル関連財の在庫調整が終了して生産が持ち直してくることが挙げられる。また、企業の財務構造の改善や収益力の高まりが、景気の底堅さを増す要因となる。さらに、雇用所得環境の改善が個人消費にとってプラス材料となり、景気の足腰を強くする。
しかし、日本経済が踊り場を脱却するためには、まだいくつか障害になり得る懸念材料が残っている。米国など世界景気が減速する不安や国内の原材料価格上昇の影響などだが、ただ、構造問題を解消して収益力や財務体質を向上させてきた日本企業は、競争力の向上や新しいビジネスモデルの構築に向けて、積極的な経営姿勢を強めている。レポートは、踊り場脱却の可能性は高まってきているとみている。
同レポートの全文は↓
http://www.ufji.co.jp/publication/report/hayawakari/2005/20050721.pdf