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税務関連情報 (2007/06/25)

査察による実刑判決での平均懲役月数は16.4ヵ月

 査察、いわゆるマルサは、大口・悪質な脱税をしている疑いのある者に対し、犯罪捜査に準じた方法で行われる特別な調査。調査にあたる国税査察官には、裁判官の発する許可状を受けて事務所などの捜査をしたり、帳簿などの証拠物件を差し押さえたりする強制捜査を行う権限が与えられる。この査察調査は、単に免れた税金や重加算税などを納めさせるだけでなく、検察への告発を通じて刑罰を科すことを目的としている。

 刑罰とは懲役や罰金だが、実をいえば、以前は実刑判決がなかった。つまり、執行猶予と罰金刑で済んでいたのだが、懲りない面々に対し“一罰百戒”効果を高めるため、1980年に初めて実刑判決が出された。以降は毎年実刑判決が言い渡されている。2006年度版査察白書によると、2006年度中に一審判決が言い渡された160件のすべてに有罪判決が出され、うち14人に対し執行猶予がつかない実刑判決が言い渡された。

 平均の懲役月数は16.4ヵ月、罰金額は約2700万円だ。査察の対象選定は、脱税額1億円が目安といわれている。また、脱税額や悪質度合いの大きさが実刑判決につながる。査察で告発されると、社会的信用を失うだけでなく、巨額な罰金刑や実刑判決もありうるわけだ。ちなみに、刑罰は5年以下の懲役または500万円(脱税額が500万円を超える場合は脱税相当額)以下の罰金となるか、あるいは懲役と罰金の併科となる。

 2006年度査察白書によると、すでに着手した査察事案について、同年度中に検察庁への告発の可否を最終的に判断(処理)した件数は221件で、このうち検察庁に告発した件数は75.1%(告発率)にあたる166件と、2000年度以降最多となった。最近5年間の告発率はすべて70%台で推移している。つまり、査察の対象になると、約7割は実刑判決を含む刑事罰の対象となるということだ。くれぐれも甘い考えを起こさないでいただきたい。