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経営関連情報 (2005/10/03)

2005年夏季賞与は大企業と中小企業とに格差

 景況の改善傾向を反映して今年の夏季賞与は前年に比べ増加したところが多いようだが、大企業と中小企業とでは格差があるようだ。2005年夏季賞与を分析したのはジェトロ(日本貿易振興機構)の「今月の注目指標」である。それによると、大企業の経営環境が強い改善傾向を示す一方で、中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しく、この差が2005年夏季賞与の結果に表れていると指摘している。

 大企業の夏季賞与に関する日本経団連(前年比3.6%増)や日本経済新聞社(同3.3%増)、労務行政研究所(同5.2%増)などの調査結果によると、2005年夏季賞与は前年比3~5%のレンジで増大した。企業業績改善の動きを反映して、すべての調査で前年同期比増となっている。

 一方、中小企業の状況をみると、大阪市信用金庫が取引先中小企業約1000社を対象としたアンケート調査結果では前年比0.5%増を記録。調査対象に多くの中小企業を含むその他の地域金融機関や地域経済研究機関の調査結果をみると、佐賀銀行の調査で同1.1%増、浜銀総研の調査で同1.1%増となっている。これらの調査結果から、2005年の中小企業の夏季賞与は前年比で微増か横ばいにとどまった可能性が高いと分析している。

 業績評価制度の導入が進むなか、賞与の位置づけが変わりつつある。日本経団連の調査(調査対象は大企業が中心)によると、賃金決定のあり方について「定昇を廃止し成果主義で決定」、「成果や業績をベアではなく賞与に反映すべき」と考えるトップマネジメントが全体の8割を占めた。ジェトロでは、「今後の賞与は企業間、企業規模間の格差だけでなく、個人間の格差にも注目が集まりそうだ」と予測している。