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11年の“老舗”企業倒産は3404件、全体の3割強

経営関連情報 - 2012年02月22日

 東京商工リサーチが発表した「業歴30年以上の企業倒産調査」結果によると、2011年に倒産した業歴30年以上の“老舗”企業は3404件で、倒産件数全体の31.1%を占めた。構成比は2008年(31.2%)に次ぐ高水準で、前年比1.7ポイント増と3年ぶりに増加し、30%台に乗せた。一方、業歴10年未満は2566件で、構成比は同0.1ポイント増の23.5%となり、2007年から5年連続で上昇し、2年連続23%台で推移している。

 バブル景気前に設立された老舗企業は、バブル崩壊、リーマン・ショックなどの荒波を乗り越えてきたが、不動産など資産があるが故の過剰債務体質も老舗企業には多く、景気低迷で体力を消耗している。緊急保証や金融円滑化法など支援策で、資金繰りが一時的に緩和しても、2011年3月の東日本大震災、高止まりした円高など経営環境は一段と厳しさを増し、息切れする中小の老舗企業が多かったとみられている。

 倒産した老舗企業を資本金別にみると、「1千万円以上5千万円未満」の構成比は前年比0.8ポイント増の66.0%で最高。また、「100万円以上500万円未満」も同0.7ポイント増の13.4%に上昇した。一方、業歴10年未満の企業は、設立(創業)と相前後して景気低迷に直面し、事業基盤を構築する前に倒産に至るケースが多い。資本金別でみると、「100万円以上500万円未満」の構成比が46.1%と最も高く、前年から1.8ポイント上昇した。

 産業別の構成比は、老舗企業では、「農・林・漁・鉱業」が44.9%でトップ、「製造業」42.5%、「卸売業」36.4%、「運輸業」34.4%、「建設業」31.8%の順。これに対し、業歴10年未満の構成比は、「金融・保険業」が43.7%でトップ、「情報通信業」41.9%、「サービス業他」32.9%、「小売業」28.5%、「運輸業」26.2%と続く。老舗企業の倒産は第一次産業、第二次産業が中心、業歴10年未満では第三次産業が中心となっている。

 なお、2011年の倒産企業の平均寿命は23.0年(法人1万741件の平均寿命22.7年、個人企業448件の平均寿命30.4年)で、2008年(23.3年)以来、3年ぶりに23年台に戻した。大震災の影響が広範囲に及び、景気低迷も長引くなかで、金融円滑化法やセーフティ保証(5号)などの政策支援策が、企業の平均寿命を引き上げたとみている。

 同調査結果は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2012/1216679_2004.html