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経産省、海外からの投資資金を呼び込む税制等要望

税務関連情報 - 2008年09月01日

 経済産業省はこのほど、ファンドを通じた海外からの投資資金をベンチャー育成や事業再生等に呼び込むファンド税制の創設や、海外子会社利益の国内還流の障害を取り除く国際租税改革などを盛り込んだ2009年度税制改正に向けての同省の意見を公表した。中小企業関連では、相続人の死亡以外で猶予税額が免除される場合の具体化など、事業承継税制の確実な制度化を求めた。

 ファンド税制については、現行法上、海外投資家が日本に拠点をおくファンドを通じて日本企業に出資した場合、非居住者であるにもかかわらず、一定条件を満たさないとその運用益に対して課税され、居住国と日本での二重課税となるおそれがある。米英などでは単に出資のみを行っている海外投資家が得た運用益は非課税としていることから、わが国でも同様の制度とし、海外からの投資の制約を取り除く考えだ。

 また、海外投資家がファンドを通じて日本企業の25%以上の株式を保有し、その5%以上の株式を譲渡する場合は、譲渡所得に課税する「事業譲渡類似課税」がある。2005年度改正で25%保有の判定を、各組合員単位での判定から、組合単位での判定に強化したため、租税条約を結んでいない国の投資家を中心に新たに課税が及ぶことになった。そこで、事業譲渡類似課税を非課税または判定単位を組合員単位とすることを求めている。

 海外子会社利益の国内還流では、近年日本企業は、急増する海外子会社利益の多くを国内に資金還流せずに海外に留保する傾向があることから、その障害とみられる税制の見直しを要望。海外子会社の配当について、多くの先進国と同様に、外国税額控除制度から国外所得免除方式へ移行し、日本の企業の課税対象を原則国内所得に限定し、海外子会社からの受取配当等は非課税とするよう提案している。