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堅調に推移する公共投資~内閣府レポート

経営関連情報 - 2009年08月21日

 景気後退を受け、数次にわたり策定された経済対策の効果により、公共投資はこのところ堅調に推移している、と指摘するのは内閣府のレポート。それによると、公共工事の発注状況を示す公共工事請負金額は、2009年3月から5ヵ月連続で前年を上回っている。また、公共工事の進捗状況を示す公共工事出来高も、2008年12月から7ヵ月連続で増加しており、2000年以降抑制が続いてきた公共投資の基調は大きく変化している。

 公共投資関連の予算を確認してみると、国の2009年度当初予算は道路特定財源の一般財源化に伴う特殊要因(公共事業関係費は見かけ上、前年度比5.0%の増加となった)を除けば5.2%の減少(公共事業関係費)となった。しかし、2009年5月29日に防災・安全対策等公共投資関連を含む補正予算が成立したことから、補正後予算ベースでは前年度に比べ19.9%と大幅に増加している。

 過去の公共投資増加局面である1998年から99年と今回の増加局面について公共工事請負金額を用いて比較すると、まず、98~99年は2月及び3月に増加が集中しているのに対し、今回は09年3月以降7月まで増加が続いている。また、工事目的別寄与度を見ると、98~99年は道路や治山治水といった分野の工事が増加していたのに対して、2008~2009年は道路と並んで教育関連の工事が増加に寄与しているのが今回の特徴である。

 今回の経済対策には公共施設耐震化等の防災対策が盛り込まれており、学校の耐震化工事等が重点的に実施されているものと考えられる。また、公共工事の執行状況を確認するために、国の予算額に対する毎月の執行率を推計し、過去5年間の平均執行率との乖離率を調べた結果、2009年度はこれまでのところ平均を上回るペースで執行されており、7月の執行率はこの5年間で最も高くなっている。

 この推計値には2008年度補正予算分が含まれている可能性はあるが、2009年4月の「経済危機対策」には、公共事業等の過去最大規模での前倒し執行が掲げられており、公共工事の発注が早期化していることがうかがえる。レポートは、「今年の夏以降補正予算の執行が本格化し、公共投資は当面増加傾向が続く可能性が高い」との考えを示している。