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経営関連情報 (2007/01/26)

ノロウイルスの流行により広がる被害~内閣府

 内閣府が公表したノロウイルスによる被害を分析したレポートによると、昨年11月1日から12月18日の間における、ノロウイルスを原因とする食中毒感染者数は9650人で前年同期の1737人を大幅に上回った。また、ノロウイルスを中心とする感染性胃腸炎の疾病報告件数は前年より立ち上がりが早く、大きく上回る勢いで増加し、12月第2週にピークに達している(厚生労働省国立感染症研究所の調査)。

 他方、ノロウイルス流行による風評被害が広がっており、その影響は消費にも及んでいる。風評被害による消費の落込みにより、感染性胃腸炎疾病の報告件数ピーク直後である12月第3週、国内主要産地である広島産、三陸産養殖カキの卸売価格は、前年同期比で6割前後も下落した。また、数量も生鮮魚類全体がほぼ横ばいで推移するなか、消費の低迷や養殖業者の出荷自粛などで、12月第4週には前年同期比で4割減少した。

 内閣府の景気ウォッチャーのコメントをみても、ノロウイルスによる食中毒のまん延が、カキの生産者や販売業者、外食産業など幅広い業種に大きな影響を及ぼしていることが分かる。また、新聞報道等によると、オイスター・バーを全国展開する企業では、12月の売上が目標を1割以上下回り、大手スーパーへのヒアリングによると、12月の売上は、水産品全体ではほぼ前年並みのなか、貝類の売上は前年同期を1割程度下回っている。

 一方、自治体や政府系金融機関、地方銀行などでは、ノロウイルスや風評による被害を受けた中小企業者等に対して、相談窓口の設置や低利融資を行うなど、支援の動きが広がっている。こうしたなか、今年の初売りでも、カキ入荷数量は前年比35%減と相変わらず風評の影響がみられ、関連業者を取り巻く環境は相変わらず厳しいと考えられるが、その後、1月第1週の取引では、数量、価格ともに改善傾向がみられるという。