商工中金が昨年11月に実施した「中小企業の事業承継に関する調査」結果(有効回答数3428社)によると、「後継者を決定済み」の企業は全体の42.3%、「後継者はいるが、決定していない」は39.1%、「候補者がいない」は6.0%、「後継者について考えていない」は12.5%となった。また、後継者を決定済み企業の82.4%が後継者を「経営者の息子・娘」としており、「その他の親族」(9.8%)を含めると、親族への承継が9割を超える。
事業承継について「相談している」企業は42.6%であり、相談相手は「税理士」が43.4%、「役員、従業員」が36.5%、「公認会計士」が21.9%などだった。また、事業承継の準備状況をみると、「十分に準備している」企業は10.8%、「十分でないが、準備している」が43.3%、「準備の必要性は感じているが、未実施」が35.1%と、約9割の企業が準備の必要性を感じているが、事業承継に対する準備が遅れている中小企業も3割を超え少なくない。
事業承継の具体的な準備内容(複数回答)については、「後継者に自社勤務をさせ、経営に必要な経験を積ませる」(58.2%)、「後継者への段階的な権限委譲」(52.7%)が過半となったが、相続財産の把握など、資産の承継に対する準備は上位には入っていない。中小企業の事業承継は経営者の子どもへと引き継がれることが多いが、準備段階では後継者としての育成や社内外への周知・理解など、経営の承継に重点が置かれている。
事業承継の際の問題点(複数回答)は、「事業の将来性が不安」が39.5%、次いで「会社を経営するのに十分な力量がない」が35.8%、「相続税などの税金の負担が重い」が35.5%、「借入に対する先代の個人保証の承継負担が重い」が30.1%だった。一方、「承継で自社株が分散し、経営権を集中できなくなる」は6.0%、「承継で事業用不動産が分散し、事業に使えなくなる」は1.8%と、資産の承継に関する問題点を挙げる企業は少なかった。
後継者の有無別にみると、「後継者を決定済み」の企業では「相続税などの税金の負担が重い」が43.2%ともっとも多く、一方で「会社を経営するのに十分な力量がない」は24.6%と平均を大きく下回っている。また、「候補者がいない」、「候補者はいるが、決定していない」とした企業では、「会社を経営するのに十分な力量がない」がそれぞれ56.7%、42.7%ともっとも多く、平均を大きく上回る。
同調査結果の詳細は↓
http://www.shokochukin.co.jp/report/tokubetsu/pdf/cb09other02_01.pdf