経 営 関 連 情 報

2003年05月19日-001
企業の研究開発での社外資源活用が活発化

 2003年度税制改正において研究開発減税が実施された。不透明な経営環境の中ではその効果が計り知れないところがあるが、急変する経営環境への対応として、企業は研究開発を重視している、とは富士通総研・安部忠彦氏による研究レポートの指摘だ。それも、近年の特徴として、社外支出研究開発費の急増など社外資源活用の活発化を挙げており、研究開発投資の波及効果も見込めるようだ。

 社外資源活用の活発化は、新製品開発のスピードアップや技術獲得が主目的だが、その背景には、企業の利益確保手段が、従来の生産設備・生産ノウハウ・販売・サービス網の保有・管理から、特許による製品・技術保護や製品の先行的な市場化競争にシフトしたことがある。ただ、ここ5年及び将来に向け、電気機械や精密機械のように利益確保手段が大きく変化した産業と、自動車や医薬品産業のようにあまり変化しない産業とに二極化していることには留意する必要がある。

 電気や精密機械産業の特徴は、製品のモデルチェンジ期間が大幅に短縮化したことだ。その背景には、両産業とも通信電子計測分野に研究開発費を多額に投じていることがある。同分野は、日本の研究開発費が最も投じられている分野だが、他分野に比べ研究開発が急速に進み、モデルチェンジ期間が短縮され、製品開発スピード競争が進み、社外資源活用が活発化しているわけだ。

 社外資源活用に関して企業はほぼ期待どおりの成果を上げ、今後も増加傾向にある。しかし、問題は、従来の自前主義を前提とした体制・姿勢からの転換が進んでいないため、必要な社外技術を見いだし獲得するマネジメント力やその評価不足・組織不足、社外技術の吸収力不足などである、との課題を指摘している。

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