産業能率大学は、新入社員の働く意欲や新社会人としての意識、将来の目標などに関するアンケートを実施し「2009年度新入社員の会社生活調査」としてまとめたが、今年度の新入社員は、不況のためか、理想や現実を予想した年収(35歳時)が過去最低、さらに経済的理由で副業を望む声があるなど、収入面の先行きに不安を隠せないようだ。また、終身雇用制度を望む回答や管理職志向が過去最高を記録した。
調査結果(有効回答数589人)によると、35歳時点での理想の年収の加重平均は、過去最低となった昨年度の749万円をさらに下回って731万円となった。さらに現実を予想した年収でも、初めて600万円を切り、596万円だった。自分の給料についても「下がる可能性が考えられる」が昨年度から倍増の18.4%となり、副業も「経済的に必要なら行いたい」(44.7%)など、肯定派が約7割にのぼった。
一方、終身雇用制度を「望む」との回答が73.5%と、1995年度の調査開始以来初めて7割台に乗せ、過去最高。将来の進路の方向性についても、「管理職として部下を動かし、部門の業績向上の指揮を執る」という管理職志向が過去最高の40.5%となった。これから働く上での意気込みも、49.0%が「地道にコツコツ働きたい」と回答。安定志向の高まりと併せて、雇用調整が進む昨今にあって、会社への依存意識が高まっている。
新入社員は“打たれ弱い”といわれがちだが、自分はどのようにされると伸びるタイプかを尋ねたところ、「褒められて伸びるタイプ」が63.5%と、「怒られて伸びるタイプ」(12.3%)を大きく引き離した。新入社員のうちから責任のある仕事を任せられることについては、「不安である」が56.9%と半数を超えたほか、出世のイメージは「責任の増大」という回答が増えるなど、打たれ弱さを象徴するような、やや寂しい結果が出ている。
同会社生活意識調査結果の詳細は↓
http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/fresh2009.pdf