地方公共団体から借入れを受けている企業や中小企業にとって、企業再生税制が適用できない場面も多く、再生の障害となっているケースがある。そこで、2009年度税制改正においては、中小規模再生特例の創設(資産評価差額の最低限度を引下げ、専門家関与要件の緩和)や企業再生税制の適用要件を緩和し、企業再生税制の使い勝手を良くして、景気下ブレが本格化するなかで、企業再生の加速化を図る。
企業再生税制の現状は、法的整理(民事再生等)に準ずる私的整理のうち、一定の要件を満たし、2行以上の金融機関等が債務免除を行った場合、その債務者である法人について、(1)資産の評価益の額または評価損の額を益金の額または損金の額に算入する措置、(2)上記の適用を受ける場合に、繰越欠損金額の損金算入について青色欠損金額等以外の欠損金額を優先する措置、が講じられている。
有利子負債の額が10億円未満の企業を再生する中小規模再生特例の創設は、評価損益の計上対象資産について、資産の評価差額の最低限度を1000万円から100万円に引き下げ、専門家関与要件について、人数の最低限度を現行の3名から2名に緩和する。また、適用要件を緩和し、債務免除を行う者の対象範囲に「地方公共団体」を加え、「一以上の金融機関と地方公共団体が債務の免除をすること」を要件に加える。
さらに、債務の免除要件を緩和し、自己に対する債権の現物出資を受ける場合にも債務免除があった場合と同様の取扱いとする(適用手法にDES(債務の株式化)を追加する)。そのほか、企業再生関係税制の拡充以外に、金銭債権を評価損計上対象資産に追加することや、仮装経理に基づく過大申告の場合の減額更正額について、一定の企業再生事由が生じた場合は、繰越控除制度の適用を終了し、控除未済額を還付する。