日本商工会議所は19日、東京都内で開いた夏季政策懇談会において、「2011年度までの基礎的財政収支の均衡は、経済成長による税収の自然増と徹底的な歳出削減で、増税に頼ることなく実現可能」との提言をまとめた。潜在成長力をフルに発揮させれば、政府の基本方針に示されている名目経済成長率(3%程度)よりもかなり高い成長率の実現は、充分に可能だとみている。
また、昨年度の税収の当初見通しと実績との乖離からみても、成長に伴う税収増は、2011年度までは政府の想定する税収弾性値1.1よりもかなり高まると予想している。税収弾性値とは、名目成長率が1%上昇した場合の税収の伸び率のことだが、2004~2006年の弾性値は3程度であり、政府見込みは控えめだと指摘。2011年までに期待される税収の積み増し分は1.4~5.6兆円と試算している。
以上に加え、基本方針に示された歳出削減が着実に実行されれば、2011年度までの基礎的財政収支の均衡は、増税に頼ることなく実現が充分に可能だとみている。基本方針における歳出削減は、かなり踏み込んだ内容となっていると評価しているが、その着実な実施とさらなる削減の努力を要望している。歳出削減は、基本方針では11.4~14.3兆円だが、日商は14.3~16.5兆円とさらに徹底的な歳出削減を求めている。
具体的には、社会保障制度への総枠管理制度(名目成長率範囲内に給付抑制)の導入や人件費を5年で10%削減することなどを提言している。こうした徹底的な歳出削減と経済成長による税収の自然増により、増税をしなくても2011年度時点の基礎的財政収支の均衡化は可能だというのが日商の提言である。消費税率の引上げは2011年度以降の実施が望ましいとの考えだ。