経済産業省が3日に発表した「2006年度大学発ベンチャーに関する基礎調査」報告書によると、今年3月末時点における大学発ベンチャー数は、前年度を7.7%(113社)上回る1590社となり、2001年度から2006年度までの5年間で2.7倍となったことが分かった。これによる経済効果は、売上高が約2800億円(前年度比25.3%増)、雇用者数で約1.8万人(同12.5%増)と推計している。
大学発ベンチャーの事業ステージの動向をみると、製品化に目途が立った段階までの「研究開発段階」が約49%、販売開始以降の「事業段階」が約51%と、2002年度の同調査開始以来初めて「事業段階」が半数を上回った。また、「単年度黒字・累積損失なし」は約2割(18.8%)と前年度とほぼ同じ程度。業種別には、「IT系」で約3割(31.9%)、「バイオ系」では約1割(9.8%)がこの段階にある。
大学発ベンチャーが直面する課題としては、「人材の確保・育成」がもっとも多く、次いで「販路開拓・顧客の確保」、「資金調達の確保」となった。これらの課題が発生する要因は、大学発ベンチャーの特性である「技術に起因する脆弱性」(新規制の高く、シード近い研究成果を基に事業を行う)、「人材に起因する脆弱性」(大学教員等の経営経験の乏しい者が経営者に就く機会が多い)によるところが大きいとみられている。
なお、地方圏に所在する大学発ベンチャー数は、2001年度の259社から2006年度は819社と、5年間で3.2倍になるなど近年地方において増加。経産省は、大学発ベンチャーは高度な教育を受けた人材を地域に惹きつけることや大学の知的財産の活用による社会貢献などの面から、地域における大学発ベンチャーに対する期待は、より高まってきている、として、地域経済における重要性を考慮した環境整備等が必要との考えを示した。
同報告書の概要は↓
http://www.meti.go.jp/press/20070903003/daigakuventure-gaiyo.pdf