企業の社会的責任(CSR)に対する関心が盛り上がりつつあり、その枠組みのなかで、社会貢献活動のあり方を再検討する企業も出てきた。日本経団連が実施した「2003年度社会貢献活動実績調査」結果(有効回答数388社)によると、2003年度社会貢献活動支出総額は1219億円で前年度比2.4%増と微増だった。同調査における社会貢献活動支出額とは、1)寄附金総額、2)社会貢献を目的とした自主プログラムに関する支出額の合計。
1社平均の社会貢献活動支出額は3億3千万円で、前年度比12.2%の減少となった。全体の平均支出額が減少した一因として、前年度比16.8%増となった回答社数の増加を挙げている。なかでも、今回初めて回答した企業が58社と、前年度(19社)の3倍以上となっていることに注目。日本経団連では、「これらの企業の支出額は少ないものの、社会貢献活動の裾野が広がりつつあることを示唆している」とみている。
社会貢献活動支出額の売上高比率は0.14%で前年度比0.01ポイント増と微増。経常利益比率(単純平均)は1.54%で同0.85ポイント下降した。また、分野別の社会貢献活動支出比率をみると、「文化・芸術」(17.6%)がもっとも多く、次いで「学術・研究」(13.7%)、「環境」(13.1%)、「教育・社会教育」(10.1%)、「地域社会の活動」(8.8%)などが続く。前年度に比べると「環境」の3.6ポイント増が目立つ。
社会貢献活動推進のための社内体制・制度導入状況は、「基本方針の明文化」(55.4%)を挙げた企業がもっとも多く、以下、「専門部署または担当者の設置」(47.7%)、「予算制度の導入」(26.5%)、「社内横断組織の設置」(23.5%)など。また、推進するための独立した部署は「広報・コーポレートコミュニケーション部門」に設置が31.6%と最多だが、専任担当者は「総務部門」に属している場合が34.1%でもっとも多い。