「不況型倒産」は、販売不振・赤字累積・売掛金等回収難などを原因とする倒産。東京商工リサーチがこのほど発表したその動向調査結果によると、2003年の年間倒産のうち「不況型倒産」は1万2461件で、前年比11.3%(1594件)減ながら、6年連続で年間1万件を超える高水準だった。件数は過去最多だった2002年の1万4055件を下回ったものの、年間倒産に占める構成比は過去最悪の76.6%となった。
「不況型倒産」の構成比は、バブル経済崩壊前の1990年には43.0%と5割を下回っていたが、景気低迷とともに比率が上昇し、98年には64.3%となり、当時最悪だった84年の62.8%を上回った。その後も99年66.8%、2000年69.4%、2001年71.2%、2002年73.6%と年々過去最悪の記録を塗り替えている。
月次ベースの「不況型倒産」の構成比でも、2003年8月には過去最悪の78.3%を記録したほか、12月77.9%、2月77.3%、7月77.0%と高い比率を示した。これは、販売不振を原因とする倒産の比率が、2003年4月以降、常に60%を上回って推移したことが影響しており、厳しい経営環境を浮き彫りにしている。
2003年の倒産件数が1年を通して前年同月を下回るなかで、販売不振を中心とした「不況型倒産」の構成比は過去最悪となった。東京商工リサーチは、「景気の持ち直し機運が高まってきたが、不況型倒産の構成比が高率で推移している限り、先行きについて楽観できる状況にはない」とみている。