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税務関連情報 (2006/05/22)

支給時期年数回の非常勤役員給与は事前届出が必要

 2006年度税制改正によって役員報酬の取扱いが大きく変わった。これまで損金不算入とされてきた役員賞与は税務署に事前届出をすれば、損金算入が認められる。また、毎月定額を支給している役員給与はこれまでどおり問題なく損金算入できる。しかし、これまで損金算入が認められてきた年に数回支給の非常勤役員の給与が、改正後は損金算入するためには事前届出が条件となるので要注意だ。

 それは、今回の改正によって損金算入できる役員給与が、1)定期同額給与(これまでも損金扱いだった定時定額給与)、2)事前確定届出給与(事前届出に基づき、所定の時期に確定額を支給する給与)、3)利益連動給与(同族会社は除かれる)の3つに整理され、損金算入範囲が明確化されたことによる。3)の利益連動給与は、一般の中小同族会社は関係ないので、実質的には役員給与の損金算入要件は2つだ。

 そこで、定期同額給与の要件は「支給時期が1月以下の一定期間ごとで、その各支給時期における支給額が同額である給与その他これに準ずるものとして政令で定める給与」とされている。そうすると、これまでは損金算入が認められていた2ヵ月に1回や3ヵ月に1回など支給時期が年に数回の1ヵ月を超える役員給与は、定期同額要件に該当しないことになる。

 したがって、年に数回支給の役員給与を損金経理するためには、2)の事前確定届出給与として支給する必要があるので、税務署への事前届出が必要になるわけだ。中小企業においては、妻や父母など親族を非常勤役員として年に数回定額の給与を支払っているケースは少なくない。ところが、その支給時期が毎月でない場合に損金算入するためには、税務署への事前届出が要件となったので留意したい。