国税庁がまとめた源泉所得税の課税事績によると、今年6月までの1年間(2003事務年度)における源泉所得税の税額は12兆9552億円で、前年度に比べ5.8%(7936億円)下回り、3年連続の減少となったことがわかった。これは、前年度に比べ、「給与所得」が2.1%(1992億円)減、利子所得等が37.3%(3915億円)減など全般的に前年度を下回ったことが要因。
利子所得等は、高金利時代に預けられていた郵便貯金定額預金の満期による集中払戻が1999年・2000年にピークを迎えたことの反動で大幅に減少したもの。また、2003年1月からスタートした「特定口座内保管上場株式等の譲渡所得等」は、前年が半年分(80億円)だったことから、前年度比358.5%増の367億円となった。なお、今年6月末現在の給与所得の源泉徴収義務者数は前年度に比べ0.6%減の388万3千件だった。
一方、源泉所得税の調査は、原則として法人税・消費税や所得税・消費税との同時調査として行われるが、2003年度中において源泉所得税に関して行った調査・指導件数は前年度より5.3%少ない17万3千件だった。このうち4万5千件(前年度比5.8%減)から何らかの非違を見つけ、加算税を含め684億円(同7.7%減)の税額を追徴した。追徴税額(本税のみ)の47%は認定賞与や現物給与といった「給与所得」(240億円)が占める。
また、これまで高水準だった海外芸能人等に支払った出演料の課税漏れなどの「非居住者等所得」は、前年度に比べ43%減少し95億円の追徴税額となったことが目立つ。ほかでは、「利子所得等」が同53.4%増の103億円、「報酬料金等所得」が同3.6%減の47億円、「配当所得」が874.5%増の26億円だった。