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税務関連情報 (2006/12/08)

一定の要件を満たす農地転用決済金等は譲渡費用に

 土地や建物を譲渡した場合の譲渡所得の計算は、これらの資産の譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて行う。ところで、土地改良区内にある農地を農地以外に転用して譲渡する場合、土地改良区への農地転用決済金や協力金等の支払義務が生じることがある。そして、これまでは、この農地転用決済金等は、譲渡所得の金額の計算上、譲渡費用にあたらないとされてきた

 ところがこのほど、譲渡費用にあたるとする最高裁・東京高裁の判決があったことから、国税庁は、一定の要件を満たす農地転用決済金等については、譲渡費用とするよう取扱いを改めることを明らかにした。過去の同様事案についても、この取扱いの変更を知った日の翌日から2月以内に更正の請求をすることができる。ただし、法定申告期限から5年を経過している年分の所得税については減額できないとしている。

 農地転用決済金・協力金等が譲渡費用となる要件は、1)売買契約で農地転用許可等が停止条件とされているなど、売買契約において、土地改良区内の農地を転用して売買することが契約の内容になっていたもの、2)土地改良区の規定により、土地改良区に支払うことが義務付けられている償還金、事業費等(協力金等の場合は、協力金、負担金等)であること、3)転用目的での譲渡に際して土地改良区に支払われたもの。

 以上の要件のほかに、農地転用決済金の場合は、4)決済の時点ですでに支払義務が発生していた決済年度以前の年度に係る賦課金等の未納入金でないこと、協力金等の場合は、4)転用された土地のために土地改良施設(農業用排水施設、農業用道路その他農用地の保全または利用上必要な施設)を将来にわたって使用することを目的としたもの、をそれぞれ加えた4要件のすべてを満たすものが譲渡費用となる。