経 営 関 連 情 報

2002年06月28日-004
長期的な関係を重視する日本型経済システムの限界

 財務省財務総合政策研究所は6月25日、90年代初期までは国際的にも高く評価されていた日本型経済システムの果たしてきた役割や利点、限界を明らかにし、システムのあり方を検討した「日本型経済システム:再訪」研究会の報告書を公表した。報告書は、日本型経済システムとは、ヒト、モノ、カネの全てにおいて長期的関係を重視する一体のシステムだが、90年代の停滞を通じ、長期的な関係は必ずしも望ましいものではないことが明らかになってきたと分析している。

 ヒトについては終身雇用、年功賃金、企業別労働組合の3種の神器として特徴付けられる日本型雇用慣行である。80年代には、高い生産性を達成可能にするための効率的な生産システムとして賞賛され、90年代初めにはその評価がピークに達した。しかし、90年代以降、日本経済が低成長へと移行し、少子高齢化の進展や産業構造・技術の変化が進展する中で、人件費の固定費化や転職コストの上昇という労使双方のデメリットが顕在化していると指摘している。

 また、モノについては日本型企業関係が、カネについてはメインバンク関係が日本型経済システムを支えてきた。それは、日本型企業の特徴である株式持合いによる株主安定化、企業・銀行間の長期的関係などのシステムだが、70年代までは経営の自由度や安定性を高め成長促進的に機能した。しかし、80年代以降、事業機会の縮小、企業内の余剰資金の形成など外部環境の変化に直面し、金融自由化によるメインバンクの経営規律機能の低下などシステムの負の側面が顕在化し、過剰投資や効率性の低下、必要な事業再組織化の遅れをもたらしたとしている。

 詳細は http://www.mof.go.jp/jouhou/soken/kenkyu/zk056.htm

 

 

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