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税務関連情報 (2005/01/14)

期限切れ欠損金の優先利用など企業再生の円滑化

 2005年度税制改正では、企業再生の円滑化を図るための税制が措置される。民事再生法等の法的整理に加え、これに準ずる一定の要件を満たす私的整理において債務免除が行われた際、債務者企業について、資産の評価損益の計上と期限切れ欠損金の優先利用が認められる。これによって、債務免除益への課税を回避することができ、資産売却による損の実現を待たなくても評価損の計上ができるため、迅速な事業再生が期待できる。

 現行制度における資産評価損は、災害など特別な事実が生じた場合を除き損金不算入、資産評価益は益金不算入とされている。また、通常所得との相殺期限(7年)が切れた期限切れ欠損金については、民事再生法等の場合に、債務免除を受けたときは、青色欠損金を控除した後で期限切れ欠損金の控除が債務免除益額を限度に認められている。

 改正後は、債務免除益の範囲内で期限切れ欠損金を青色欠損金に優先して控除できるため、再生期間中に発生する所得と相殺可能な青色欠損金を温存することができ、再建期間中の課税負担を抑え、早期の事業再生が可能となる。民事再生法等の法的整理や一定の私的整理の場合にも、現行の会社更生法と同様に、資産評価損益の計上と期限切れ欠損金の優先利用が認められることになる。

 一定の私的整理とは、1)一般に公表された債務処理の準則に従って計画が策定されている、2)適正な資産評価に基づく貸借対照表が作成されている、3)その貸借対照表に基づき債務免除額が決定されている、4)2以上の金融機関による債権放棄が行われていることなどが要件となる。私的整理のうち、整理回収機構や中小企業再生支援協議会が関与する私的整理及び私的整理ガイドラインに基づく私的整理が対象となる見込だ。