税 務 関 連 情 報 |
2002年11月01日-002
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(5)
前回は、課税の公平を確保するための方法として、記帳義務の強化を挙げたが、その成果への疑問と、記帳しない者は、その不利益を甘受すれば足りることを書いた。その不利益のひとつに推計課税がある。
所得・法人税法では実額課税を原則としながら、納税者が記帳義務を怠って実際の収入や経費がはっきりしないケースや、調査において納税者が請求書や領収書などの帳簿書類の提出を拒む場合には、同業・同規模・同地域の他事業者の所得から推計して課税することを認めている。
ただし、実務上は問題が少なくない。例えば、帳簿の不提示などで推計課税された納税者が訴訟を起こした場合、「私は帳簿を出す意思はあったが、調査官の態度が悪かったから」とかの納税者の主張に基づく調査の状況を客観的に認定することが困難なことがある。また、後から帳簿を出してきて「実額は推計よりも少ない」と反論する納税者も数多い。
提言では、実額課税が行えない納税者が有利にならないような推計課税制度の規定の整備・強化を求めている。実際の調査の現場では、調査官の横暴な態度に納税者が反発することでの調査拒否といった事態もある。しかし、基本的には推計しなければ所得を確定できない状況を招く納税者は、その不利益を甘んじて受けなければいけない制度の実効性を高めることは必要なことだ。
(以下次回に続く)
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