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税務関連情報 (2005/01/14)

出資者に直接課税するLLP制度の創設

 経済産業省が有限責任事業組合(日本版LLP)制度の創設に向けて21日に開かれる通常国会に法案を提出する。日本版LLP(リミテッド・ライアビリティ・パートナーシップ)は、1)出資者の有限責任の確保、2)内部自治の徹底、3)LLP段階では課税せず、出資者に直接課税する(構成員課税)新しい制度。創業や事業再編、産学連携、高度サービスなど、企業や個人がリスクの高い共同事業に挑戦しやすくなる。

 LLP制度は、出資者全員が無限責任である民法組合の特例として、出資者全員が、出資金の範囲で責任を負う有限責任となる。その見返りとして、債権者を保護するため、有限責任であることを対外的に明らかにするための開示ルールや組合財産の保全などの措置を講じる。また、内部自治を徹底し、株主総会や取締役会を設ける必要がなく、組合員間の合意でスムーズな事業運営が可能になる。

 LLPにおける出資者間の損益分配は、原則出資比率に応じて行うものの、LLP法に基づき書面による特別な定めを行えば、労務やノウハウの提供による各自の事業への貢献度合いに応じて、出資比率と異なる柔軟な損益分配を行うことができる。LLPを活用すれば、例えば産学連携において、出資額が少ないが、ノウハウのある大学教授に対等の議決権や柔軟な利益を分配することができるわけだ。

 LLPの税制上の取扱いは構成員課税が導入される。LLP段階で課税しないことは、組合事業から生じる損失を利用した節税行為を抑止する。出資者に直接課税されるため、LLPで利益が出たときに、法人税が課されたうえに出資者への利益分配にも課税されるということがない。また、LLPで損失が出たときに、一定の範囲内で組合員の持つ他の所得と通算ができる。これらの税制上の措置は、2005年度税制改正に盛り込まれる予定だ。

 経済産業省が昨年12月に公表した「有限責任事業組合制度の創設の提案」は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20041217004/041217llp.pdf