厚生労働省は、少子化対策の観点から仕事と子育ての両立支援等を一層進めるため、育児・介護休業改正法案を4月21日に今通常国会に提出、現在審議中だ。改正法は、3歳までの子を養育する労働者について短時間勤務制度(1日6時間)を設けることを事業主の義務とし、労働者からの請求に基づく所定外労働の免除を制度化する。実効性の確保のため、改善勧告に従わない企業の公表制度や、虚偽報告に対する過料も創設する。
短時間勤務制度については、3歳までの子を養育する労働者に対する事業主による措置義務とし、業務の性質や事業場の実態により短時間勤務が困難な労働者については、労使協定で対象外とすることができる。対象外となった労働者に対しては、フレックスタイムや始業・終業時刻の繰下げ・繰上げなどの代替措置の適用を義務付ける。所定外労働の免除は、同じく3歳までの子を養育する労働者の請求に基づき、適用する。
子育て・介護の状況に応じた両立支援策としては、子の看護休暇を拡充し、短期の介護休暇も新設した。子の看護休暇は、現行は小学校就学前の子がいれば一律年5日だが、改正後は小学校就学前の子が1人であれば年5日、2人以上であれば年10日へと付与日数を拡大する。また、家族の介護・看護のための休暇も同様に、要介護状態にある家族が1人のときは年5日、2人以上であれば年10日とする短期の休暇制度を創設する。
子育て期間中の働き方の見直しでは、現在、7つの「勤務時間短縮等の措置」からいずれかの措置を選択して実施することを義務づけているが、改正案では、短時間勤務と所定外労働免除の2つの措置の適用を義務化し、残りの(1)フレックスタイム、(2)始業・終業時刻の繰上げ下げ、(3)託児施設の設置運営、(4)(3)に準ずる便宜の供与、(5)育児休業に準ずる制度、の5つの措置は、原則として努力義務としている。
改正法の施行は、準備期間を考慮し公布から1年(一部の規定は、常時100人以下の労働者を雇用する中小企業事業主については3年)以内の政令で定める日とされている。