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税務関連情報 (2004/09/06)

精算課税制度の導入で生前贈与1兆1621億円

 昨年1月から導入された生前贈与の促進を図る相続時精算課税制度の2003年の利用者は7万8254人で、親から子への資産移転額が1兆1621億円にのぼることが、財務省のまとめで明らかになった。同制度は、一般の生前贈与の基礎控除額年110万円に比べ、非課税枠が2500万円(住宅取得の場合は3500万円)と格段に大きく、生前の資産移転の促進、ひいては住宅取得の増加など経済活性化が期待されていた。

 財務省のまとめは、2003年分の確定申告での相続時精算課税制度の利用者を集計したもの。同制度が導入される前の2002年分の贈与税では約36万人が申告して資産移転が1兆2685億円だったことと比べると、7万8千人でほぼ同じぐらいの資産移転があったことになる。同制度では非課税枠を超えると20%の単一税率で課税されるが、3914人が総額206億円、1人あたり平均526万円の贈与税を納めている。

 非課税となる特別控除額は、資産移転額の約9割の1兆590億円、1人あたり平均1353万円だった。また、精算課税制度での贈与財産は現金・家屋・株式など何でもよく、非課税枠が3500万円と優遇された「住宅取得等資金」として利用したのは全体の33.7%にあたる2万6373人、「非上場株式等」が2.2%の1742人、「上場株式等」が0.9%の724人などだった。

 贈与を受けた財産を価額別にみると、もっとも多かったのは「1千万以上2千万円未満」で、2万5588人と利用者全体の32.7%を占めた。次いで「700万円以上1千万円未満」が1万6882人(構成比21.6%)、「400万円以上700万円未満」が1万1214人(同14.3%)の順。「1億円以上」の贈与を受けた人も240人(同0.3%)いた。なお、54.1%と半数の4万7517人が総額6288億円を現金・預貯金などで贈与されている。