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経営関連情報 (2004/04/09)

葬儀業界の商習慣を変えるインターネットの活用

 本格的な高齢化社会へ向かうことから、葬儀ビジネスが成長業種であることは確かだが、異業種が参入することは既存の商習慣という高い壁があって難しいのが実情だ。ところが、急速に普及するインターネットの活用がそのような商習慣を変える可能性がある、と指摘するのは、オンライン上で各種ビジネスレポートを配信するジャパン・ビジネス・ニュース社が発表した国内葬儀業界におけるネット活用動向を調査したレポートだ。

 葬儀業者にとっても“顧客”の獲得が悩ましい課題であることは他業種と変わりない。レポートによると、病院や警察の指定葬儀業者として顧客獲得に苦労していない業者はごく一部に過ぎない。また、国内の年間葬儀総数の約4割は互助会制度による契約だといわれているが、そのカラクリが業界の体質を鈍らせているとの指摘が多い。

 互助会制度で積み立てられた掛け金は葬儀費用の総額ではなく、利用者側は、積立金残高に実際の請求額を加えるという二段階で葬儀代金を支払うことになるため、葬儀費用がトータルで高いのか安いのかの判断基準が麻痺してしまうのだという。

 このような状況のなかで、消費者のネット利用が急増していることに対応、いち早くWebサイトを起ち上げて懇切丁寧な情報提供と顧客対応をする葬儀社が出てきた。東京・世田谷区の葬儀社は、2000年11月にホームページを開設。当時はホームページを運営している葬儀社が大手を除けばほとんどなかったこともあって、サイトを通じて相談してくるユーザーが日増しに増え、現在では全受注の8割をオンラインから獲得している。

 同社は、お客様の予算内でできる様々な選択肢をオンライン上で提案する。その主軸は「(予算内で)できる範囲でできること(内容)をやりましょう」ということだ。これが顧客の琴線に触れたとみている。インターネット社会の進展が、固定化した商習慣に風穴を開ける可能性は大いにありうる。それは、難しいとみられていた異業種の参入も可能にすることでもある。ネット活用の効果がいろいろな業種で現れてきているようだ。