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経営関連情報 (2004/03/17)

中小企業の再生は信用力のある決算書類の開示から

 近年、経済産業省や日本税理士会連合会など官民挙げて中小企業の会計の重要性を啓蒙している。正確な決算書類を開示することで、金融機関や取引先の信用を高め、資金調達や受注拡大、さらには自社の経営の現状や課題を分析して経営力の強化が期待できる。中小企業が正確な決算書類を作ることの重要性を説くのは、ちばぎん総合研究所主任研究員の滝本哲哉氏のレポートである。

 金融機関は、不動産担保や保証人に過度に依存した従来の貸出しモデルからの脱却を求められているが、滝本氏は、中小企業としても財務の透明性の向上が重要となっていると指摘する。金融機関の立場からみれば、中小企業は財務情報の開示が不十分なため、信用リスクの正確な把握が難しく、結果的に融資条件が、その企業本来の信用力以上に厳しくなっている場合が多いという。

 また、中小企業は、所有と経営が一体となっており、法人である企業の資産負債と経営者個人の資産の区分が不明確な場合が多く、(毎期の一般的な)決算書類だけでは信用力を正確に把握できないことも指摘する。

 中小企業が資金調達力を高めるためには、まず経営者自信が会計の重要性を認識し、経営実態に合致した決算書類を作成する。そのうえで、その決算書類に基づいて、経営者が自社の収益力の源泉、他社にはない強み、事業計画などを金融機関や取引先に対して明確に説明することが重要だという。

 そうすれば、金融機関は信用リスクの把握が可能になり、実態以上に厳しい評価を受けていた中小企業は金利・融資金額などでメリットを享受できるはずだとの主張である。「何よりも正確な決算書類の作成・開示を心がける。それが金融機関や取引先の信頼を高め、経営基盤を強化する第一歩となる」というのが滝本氏の結論である。

 レポートの全文は↓
 http://www.crinet.co.jp/contents/tokushu/letter/188.html