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円高で7割強の企業で既に収益に影響、大半が悪影響

経営関連情報 - 2011年08月19日

 大阪商工会議所はこのほど、「円高が企業経営に及ぼす影響に関する緊急調査」の中間集計結果を公表した。世界経済が急激な収縮傾向をみせるなか、米国国債の格付けが「AAA」から「AA+」に引き下げられ、ドル安・円高傾向が顕著になっているが、7割以上の企業が「既に影響が出ている」と回答。大商会員で「貿易関係証明」に登録している1972社に聞いた(有効回答率10.1%)。

 現在の円高による自社の収益への影響については、72.5%の企業が「既に影響が出ている」と回答。また、現在の円高水準が今後1ヵ月~6ヵ月続けば、90.5%の企業が影響を受けると予想した。その影響の種類については、60.2%が「ほぼマイナスの影響のみを受けている(受けると予想している)」と回答。「マイナスの影響のほうが大きい」(28.2%)と合わせた88.4%と9割近くがマイナスの影響を予想している。

 為替採算レートについては43.5%の企業が依然として「1ドル=85円以上の円安」と回答。次いで、「80円台」としている企業も4社に1社、24.5%にのぼる。他方、「80円未満」の円高を採算レートとしている企業は合計4.5%にとどまっている。1ドル=80円を超える円高水準が続いた場合、66.5%が2012年3月期決算で当初予想に比べ減益になると予想。うち20.0%が「3割以上の減益」になるとしている。

 影響緩和のための対策については、「海外からの部材調達比率の拡大」(28.0%)、「海外生産の実施・拡大」(17.0%)、「国内生産の縮小」(7.5%)が合計52.5%にのぼり、国内産業の空洞化加速が懸念される。政府・日銀に望む政策としては、「為替介入による円高抑止・為替相場の安定」(68.0%)や「金融緩和策の強化による円高抑止・為替相場の安定」(58.5%)に加え、「法人実効税率の早期引下げ」(33.5%)など、幅広い改善策が挙げられた。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/Iken_Youbou/k230809ydk.pdf