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税務関連情報 (2007/11/09)

源泉所得税の税額は3期連続の増加

 国税庁がまとめた源泉所得税の課税事績によると、今年6月までの1年間(2006事務年度)における源泉所得税の税額は16兆500億円で、前年度に比べ1.9%(3030億円)増加し、3期連続の増加となったことが分かった。これは、順調な景気回復の影響などにより、給与所得が前年度に比べて2.3%(2420億円)増、配当所得が同3.4%(837億円)増と、ともに順調に増加したことが要因となっている。

 源泉所得税全体のほぼ7割近くを占める給与所得は前年度に比べ2.3%増加し10兆7827億円となったほか、「配当所得」が同3.4%増の2兆5803億円、「利子所得」が同6.9%増の5214億円、「非居住者等所得」が同14.6%増の3622億円などと伸びたが、「報酬料金等所得」は同4.1%減の1兆2857億円と減少した。なお、今年6月末現在の給与所得の源泉徴収義務者数は前年度に比べ0.4%減の384万6千件だった。

 一方、源泉所得税の調査は、原則として法人税・消費税や所得税・消費税との同時調査として行われるが、2006年度中に源泉所得税に関して行った調査・指導件数は前年度比3.9%増の20万2千件だった。うち5万6千件(前年度比6.3%増)から何らかの非違を見つけ、加算税を含め635億円(同9.4%増)の税額を追徴した。追徴税額(本税のみ)の約56%は認定賞与や現物給与といった「給与所得」(271億円)が占める。

 調査事例では、大学等を運営する学校法人に対して実地調査を実施したところ、多額の商品券等を購入し、これを交際費等として費用計上していたが、その商品券等を贈答した事実はなく、チケットショップで換金し、理事長の個人的蓄財や遊興費などに充てていた事案が報告されている。この資金は約6000万円にのぼり、理事長に対する簿外給与と認定し、約3000万円が追徴課税されている。