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電子証明書不要となる?電子申告での所得税確定申告

税務関連情報 - 2009年07月08日

 政府のIT戦略本部がこのほどまとめた2008年度電子申請等手続きに関する意見の募集結果によると、「e-Taxでの所得税の確定申告の場合は、電子証明書を不要とし、ID、PW(パスワード)のみにすべき」との意見に対し、財務省もID、パスワード化を現在検討中と回答をしていたことが分かった。意見募集は、今年1月22日~2月13日までの間に行われ、30通(66件)の応募があった。

 このうち、e-Taxに関する意見は3つ。1つは「各種証明書取得時に、士業団体が認める電子証明書を利用する場合、本人の電子証明書を不要にして欲しい」というもので、これは対応済み。残る2つのうち1つは「e-Taxを365日24時間使えるようにして欲しい」というもの。財務省は、利用者ニーズと費用対効果の観点から検討を行っていきたいと回答。その対応は、直ちに採用はしないが、参考にするとの位置づけだ。

 一方、電子証明書を不要とする意見は、例えば、「給与・年金等を主な収入とする人の所得税の確定申告は犯罪の起こり得ない申告」であることから、電子証明書は不要とすることにより95%以上の利用率が期待できるというもの。無犯罪申告である所得税の確定申告は、電子証明書等の使用は必要なく、電子申告は事前登録をして、手続き窓口に「IDとパスワード」で申告するだけでいいのではないかという意見だ。

 この意見に対し財務省は、「この本人確認方法の見直しについては、現在、『オンライン利用拡大行動計画』(2008年9月12日IT戦略本部決定)に基づき、内閣官房を中心として、ID・PW方式などの新たな方式を検討しているところであり、当庁においてもこれを踏まえ検討することとしている」と回答しており、この意見の内容が現在検討中であることを明らかにしている。

 検討中のID・PW方式は、たとえば、利用者本人からオンライン申請が行われた場合であっても、行政側がその申請内容に電子官印を付して申請者本人に送り返し、本人がその内容を確認したうえで、問題がなければその旨の返信をしてもらうことで、現行の電子署名方式を利用しなくても足りるとするもの。手間と負担がかかる電子証明書の取得が不要となれば、e-Taxの利用率のさらなるアップが期待できそうだ。