中小企業の業況は回復基調にあるが、輸出動向はどうなっているのか。中小企業庁の「規模別輸出額」を基に中小企業の製品の輸出動向を探ったのは商工中金がまとめた中小企業の動向(2004年夏号)のトピックスである。同庁では、出荷額の70%以上を中小企業が占める品目を「中小企業性製品」、70%以上を大企業が占める製品を「大企業性製品」、いずれにも該当しない品目を共存種製品として、その輸出額を算出している。
典型的な「中小企業性製品」としては、繊維製品、木材・木製品、家具・装備品、皮革製品、金属製品、プラスチック製品などがある。機械でも、金属工作機械の一部などで個別に中小企業性の強い品目が存在する。一方、「大企業性製品」としては、化学、石油製品、輸送用機器、電気機器などが挙げられる。
中小企業性製品の輸出は2002年度第2四半期以降前年比プラスに転じており、金属製品、プラスチックなどを中心に徐々に伸び率が高まっている。一方、大企業性製品は2002年第3四半期までは高い伸びが続いていたが、その後は伸びが鈍化し、前年比では一進一退の推移となっている。2003年度は中国などアジア中心に機械、素材などの輸出が増加したが、中小輸出企業もこの輸出増の恩恵を受けたものとみられる。
しかし、中小企業庁の「平成12年度規模別産業連関表」によると、中小製造業の生産に占める輸出の比率は9.3%と、大企業の19.1%に比べ低く、間接的な波及効果を考慮しても、中小企業全体に輸出増の好影響が及んだとは考えにくい。今後は、中小製造業のなかでも、輸出及び大企業を中心に回復傾向が目立つ設備投資の恩恵を受ける企業と、そうでない企業との間で業況格差が開く可能性がある、とトッピックスは予測している。