ゼイタックス

税務関連情報 (2007/12/26)

海外資産関連相続財産の申告漏れ、148億円を把握

 相続財産が海外資産の場合は、税務署には簡単には発見されまいと考えて、申告除外する誘惑に負けそうである。だが、税務調査の網からはのがれられないようだ。今年6月までの1年間の相続税調査では、海外資産関連の調査は364件(前年度比22.6%増)実施され、うち292件(同23.2%増)から国内資産も含めた申告漏れ課税価格148億円(同9.4%増)が把握された。申告漏れ1件あたりの課税価格では5075万円(同11.2%減)。

 また、申告漏れがあったうち、仮装・隠ぺいなど不正計算があったことから重加算税を課されたのは46件(前年度比31.4%増)で、重加算税総額は29億円(同24.5%減)となった。国際化のなかで海外の不動産などを購入することが珍しくなくなったことから、税務当局も常々情報収集には力を入れており、海外の資産だから申告しなくてもばれないだろうといった都合のいい考えは通用しないようだ。

 海外資産を申告除外した事例では、医師だった被相続人に係る調査を実施したところ、被相続人は生前、国内投資運用会社を通じ海外投資信託を購入、また、国内で大量の金(インゴット)やウィーン金貨などを購入していたことが分かった。しかし、相続人は、被相続人から相続申告の必要はないとの指示を受けていたことから、自宅階段下の隠し金庫に隠匿し、総額3億9400万円相当を申告除外していた。追徴税額は1億2700万円。

 また、会社役員だった被相続人に係る調査では、被相続人が、スイスのプライベートバンクにおいて多額の債権等を運用していたことや同行口座から国内の公表外銀行に国外送金等調書の提出対象とならない200万円以下の送金をたびたび行い蓄財していた事実が判明。相続人は、一連の取引が海外だったことなどから、税務当局には容易に発見されまいと考え、総額6億3200万円相当を申告除外していた。追徴税額は2億1800万円。