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税務関連情報 (2006/10/27)

社会通念上相当な社員慰安旅行の費用は非課税

 不況の間は中止していた社員慰安旅行を、業績の向上とともに復活する企業も多いようだ。日頃の仕事でのストレスを発散し、また、社員同士の親睦をさらに深めてもらうためにも、秋の行楽シーズンに向けて慰安旅行を計画する企業も少なくない。そこで、あらためて社員慰安旅行で会社が負担した費用が福利厚生費となり、従業員に対する経済的利益として給与課税されないためのポイントを押さえておきたい。

 社員慰安旅行の費用が福利厚生費となるポイントは、その旅行が「社会通念上相当」と認められるものであることだ。所得税基本通達では、1)その旅行に要する期間が4泊5日(目的地が海外の場合には、目的地における滞在日数)以内のもの、2)その旅行に参加する従業員等の数が全従業員等の50%以上であること、の2要件を満たしていれば、原則として給与所得課税しなくても差し支えないとしている。

 これは、旅行費用を会社が負担することによる経済的利益の額が少額であるから、少額不追求の趣旨から非課税とするものだ。したがって、会社の負担額が一般的にみて高額な場合は給与所得課税される場合もある。また、自己都合などで不参加となった人に対し、参加に代えて金銭を支給すると、参加者・不参加者の全員に、その不参加者に支給した金銭相当額の給与所得があったものとされるので注意が必要だ。

 なお、会社負担額が社会通念上相当かどうかの具体的な金額基準は通達に明示されているわけではないが、2002年の岐阜地裁における判決が参考になる。それは、産労総研の調査結果が証拠として採用され「会社負担額が従業員1人につき1年あたり10万円を超える社員旅行を行っている会社は見当たらない」というものだ。それ以来、この10万円以内が一つの目安とされているようだ。