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後継者不在で悩む経営者の半数は親族外承継に期待

経営関連情報 - 2008年05月09日

 少子高齢化社会の到来で、中小企業の事業承継問題が改めて重要な課題となっている。従来、中小企業では子どもなどの親族内承継が一般的だったが、近年、子どもなどの親族が承継を嫌うなど、親族外への承継の割合が増えてきている。そこで、中小企業基盤整備機構は、関東・東海・近畿地域で親族内の後継者が不在または後継者を決めていないと推測される中小企業を対象に「親族外承継に関するアンケート調査」を実施した。

 調査結果(有効回答数318社)によると、約8割の中小企業は、「ぜひ事業を承継したい」(45.8%)、「できれば事業を承継したい」(35.3%)と考えている。これらの中小企業の半数は、他社よりもコア技術・サービスが強く(「強い(9.2%)」、「やや強い(36.3%)」)、「3期連続資産超過」が50.2%と財務基盤も健全な企業が多い。ところが、ほとんどの経営者には、配偶者や子どももいるものの、「後継者が決まっている」は15.8%に過ぎない。

 「親族内に候補者はいるが、まだ決めていない」が10.6%、「親族外に候補者はいるが、まだ決めていない」が24.5%であり、後継者を決めかねている経営者は35.1%いる。他方、「後継者候補を探している」が31.6%、「後継者がいない」は17.4%で、後継者候補がまだ見つからない、いない経営者が約半数にのぼる。つまり、全体の84.2%と8割を超える経営者は、後継者問題で苦悩していることが分かる。

 後継者で悩む経営者は、「できれば親族内で承継」は10.0%で、ほかは「従業員・役員へ承継するつもり」が47.4%、「会社を売却したい」が15.7%、「外部から招聘」が6.1%となっており、後継者不在で悩む経営者の半数は、社内の従業員・役員へ事業を承継することを期待している。しかし、こうした親族外承継も、「後継者として育たない」、「事業承継に係る資金手当が困難など、円滑に承継が進まない企業が半数以上ある。

 事業承継について相談する相手は、「税理士・会計士・税理士事務所」が35.6%でトップ、次いで「家族」(27.4%)、「友人」(25.2%)などだが、「商工会議所・商工会」(3.0%)、「公的機関」(2.2%)などの公的機関の専門家への相談はわずか5.2%に過ぎない。事業承継問題は、企業経営と経営者個人の側面の問題が混在しており、相談者と相談される者との相互の信頼関係が構築されないと、相談しにくいと感じる経営者が多いといえる。

 「事業承継に関する親族外承継に関する研究」報告書の全文は↓
 http://www.smrj.go.jp/keiei/dbps_data/_material_/chushou/b_keiei/keieichosa/pdf/H19_shoukei1.pdf