所有権移転外ファイナンス・リース取引に係る消費税の仕入税額控除については、リース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間に一括控除するのが原則だが、賃借人が賃貸借処理した場合には、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間の課税仕入とする処理(分割控除)も認められることを、先般国税庁が明らかにしている。それでは、リース資産ごとに一括控除と分割控除を併用することは可能だろうか。
例えば、大規模な機械装置であるA資産と少額なB資産を移転外リース取引により賃借している場合、賃借人は「リース取引に関する会計基準」等に従い、A資産は売買処理(通常の売買取引に係る方法に準じた会計処理)していることから、消費税の仕入税額控除に当たっては一括控除することとしている。一方、B資産については、複数契約をしている上、少額であることから賃貸借処理し、分割控除することとしている。
このように、会計基準に従って、賃借人が移転外リース取引について異なる経理処理を行った場合には、一括控除と分割控除が併用されることとなるが、結論としては、このような処理も認められる。移転外リース取引に係る賃借人の仕入税額控除については、一括控除するのが原則だが、少額または短期のリース資産であるか否かによって、賃借人における経理処理が異なることも予想される。
そこで、このような会計基準に基づいた経理処理を踏まえ、事業者の経理実務の簡便性という観点から、賃貸借処理した移転外リース取引に係る資産については分割控除することを認めることが相当とされているものである。したがって、上記のように売買処理したリース資産については一括控除し、賃貸借処理したリース資産については分割控除するといった処理を行ってもこの処理は認められることになる。