これまで、酒類に梅や糖類など他の物品を混和する場合には、原則として新たな酒類を製造したものとみなされ酒類の製造免許が必要だったことから、酒場や料理店では自家製梅酒をお店で出すことはできなかった。しかし、2008年度税制改正において特例措置が新たに設けられ、この4月30日から、一定の要件の下で製造免許を必要とせず、自家製梅酒等を提供することができるようになった。
この特例措置の適用対象者は、酒場、料理店の経営者のほか、例えば、民宿や旅館、飲食店等など「酒類を専ら自己の営業場において飲用に供する業」を営む者とされている。特例措置の適用要件は、(1)酒場、料理店等の自己の営業場において飲用に供することを目的とすること、2)飲用に供する営業場内において混和を行うこと、3)一定の蒸留酒類とその他の物品の混和であること、とされている。
つまり、自家製梅酒等を造ったお店内でお客に提供する場合に限られるので、テイクアウト品やお土産品など、お店以外の場所で飲むための譲り渡し(有償・無償は問わない)や製造したお店以外の他店で提供することはできない。したがって、チェーン店の経営者が1ヵ所で自家製梅酒を作って各店で提供するといったことはできないわけだ。あくまでも、各店ごとに作った自家製梅酒を、自分の店で出すということになる。
使用できる酒類は、しょうちゅうやウイスキー、ブランデーなどの蒸留酒でアルコール分20度以上のもの、かつ、酒税が課税済みのものとされる。また、使用できる物品は、糖類や梅のほか「使用が禁止されている物品」以外のものとされている。使用が禁止されている物品には、例えば、(1)米、麦、あわ、とうもろこし等、(2)ぶどう(やまぶどうを含む)、(3)アミノ酸・その塩類、ビタミン類等、(4)酒類、などがある。
混和に使用できる蒸留酒類の数量は、営業場ごとに年間(4月1日から翌年3月31日の間)1キロリットル以内という上限がある。また、新たに混和しようとする場合には、混和を開始する日の前日までに営業場の所在地を管轄する所轄税務署長に対して「特例適用混和の開始申告書」を提出する必要があり、混和を1年以上休止する場合や終了する場合にも申告する必要がある。