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税務関連情報 (2007/12/21)

相続税調査で4076億円の申告漏れ課税価格を把握

 国税庁がこのほど発表した2006事務年度分の相続税調査事績によると、今年6月までの1年間に2004年分及び2005年分の申告事案を中心に1万4061件の調査を実施し、うち85.8%にあたる1万2061件から総額4076億円の申告漏れ課税価格を把握した。前年度に比べ、調査件数は1.1%減り、申告漏れ件数も0.5%減少したが、申告漏れ課税価格は5.0%増加し、1件あたりの申告漏れ課税価格では5.5%増加の3380万円となった。

 また、加算税126億円を含めた追徴税額は939億円(対前年度比8.7%増)で、申告漏れ1件あたりでは779万円(同9.3%増)となる。一方、仮装・隠ぺいなど意図的な不正を行ったとして重加算税を賦課された件数は、申告漏れ件数の15.1%にあたる1820件(同2.2%増)で、その不正申告漏れ課税価格は674億円(同3.5%減)にのぼった。

 調査に基づく申告漏れ相続財産額の構成比は、「現金・預貯金等」が35.6%(1440億円)を占め、貸付金や生命保険金などの「その他」が24.9%(1009億円)、「土地」が16.7%(674億円)、「有価証券」が21.0%(848億円)の順だった。申告漏れの手口としては、多額の現金や公社債を自宅などに隠していたケースや、預貯金が借名・仮名や家族名義だったことから申告除外するケースが相変わらず目立つという。

 例えば、不動産貸付業を営んでいた被相続人に係る調査を実施したところ、被相続人は生前、公表外金融機関において借名預金を保有していたこと、さらに、その預金の原資は被相続人が所得税の申告から除外していた不動産収入であることも判明した。相続人は、これらの財産が被相続人の財産であることを十分認識していたが、自宅床下収納庫や貸金庫に隠し、総額約5億円相当を申告除外していた。2億円が追徴されている。