内閣府がこのほど発表した「最近の非正規雇用の動向について」と題した分析レポートによると、総務省の「就業構造基本調査」を参照にした上で、いわゆる「就職氷河期」世代(おおむね1970年代前半から1980年代初頭生まれ)を含む25~39歳の世代では、他の世代と比べて非正規雇用比率が特に高いわけではないが、過去5年間においては、男女を問わず契約社員や派遣社員の増加が目立っていると指摘している。
レポートによると、非正規雇用比率(パート、アルバイト、派遣社員等が雇用者(役員を除く)に占める割合)は1980年代後半以降緩やかな上昇傾向を続けており、2007年には35.5%に達した。男女別にみると、男性が19.9%、女性が55.2%と女性が高い比率となっている。また雇用形態別の内訳をみると、男性はアルバイト、契約社員の比率が高いのに対して、女性は33.7%と3分の1がパートとなっている。
この構成を年齢別に詳しくみると、(1)24歳以下の年齢層では男女とも「アルバイト」が高い割合、(2)女性は高齢になるほど「パート」の割合が高まり、非正規雇用比率を押し上げ、(3)男性は25~39歳では非正規雇用比率はそれほど高くはないが、定年年齢の60歳を超えると急激に上昇、などの特徴がみられる。特に60歳以上の男性では、定年退職後の継続・再雇用において、「嘱託」や「契約社員」など正規以外の形態が主である。
一方、いわゆる「就職氷河期」世代を含む25~39歳の世代では、他の世代と比べて非正規雇用比率が特に高いわけではないが、過去5年間においては、男女を問わず契約社員や派遣社員の増加が目立っている。以上のような非正規雇用者の賃金カーブをみると、正社員が50歳代前半まで上昇トレンドにあるのに対して、加齢による賃金の上昇がほとんどなく、ほぼフラットな形状となっており、正社員との差が拡大する形となっている。
また、この世代の所得分布をみると、契約・派遣社員と正社員の間には大きな差がみられる。このように、賃金において厳しい面があるのに加え、転職後の雇用形態をみると、派遣社員や契約社員の場合は、正社員として働く割合が正社員の場合よりも低い傾向がみられる。レポートは、今後の雇用情勢をみる上で、このような比較的若い世代の非正規雇用をめぐる構造上の特徴について、十分留意する必要があるとしている。