ゼイタックス |
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税務関連情報 (2004/01/19) | ||||||
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■ 試験研究費となる研究兼務者の範囲を明確化
試験研究費税額控除制度の対象となる試験研究費のうち、人件費については、実務家の間では、試験研究以外の業務と兼務しながら研究開発に取り組むケースは対象にならないといわれてきた。しかし、国税庁はこのほど、中小企業庁の照会に対する回答で、研究兼務者の人件費についても一定要件を満たせば税額控除の対象となり得ることを明らかにした。兼務者が多い中小企業には朗報といえる試験研究費の範囲の明確化である。 具体的には、1)その研究者が研究プロジェクトチームに参加し、全期間ではないが、担当業務が行われる期間、専属的に従事すること、2)担当業務が試験研究に欠かせないものであり、専門的知識がその担当業務に不可欠であること、3)従事期間がトータルとして相当期間(おおむね1ヵ月以上)あること、4)担当業務への従事状況が明確に区分され、担当業務に係る人件費が適正に計算されていること、のすべてを満たす研究兼務者は税額控除の対象となる。 試験研究費に占める割合が相当高い人件費は、税務上「専門的知識をもって試験研究の業務に専ら従事する者」という要件があって、実務上は、“専ら”とは8割程度の従事が必要とみられ、実態としてその適用を見送る例が多いといわれてきた。限られた人的資源のなかで試験研究に取り組まざるを得ない中小企業にとっては、研究兼務者の人件費が認められない試験研究費税額控除制度は名ばかりの優遇措置との不満が強かった。 そこで中小企業庁は、ここ数年、税制改正に向けた意見の中で「試験研究に専ら従事する者」とされる要件に研究兼務者の人件費も追加するように求めていたが、今回、同庁の照会に回答する形で研究兼務者の人件費も税額控除の対象となり得る範囲が明確化されたわけだ。この取扱いは、中小企業だけでなく、厳しいコスト削減で人的余裕が低下している大企業にとっても歓迎されるものといえる。 |
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