今回の確定申告では相続時精算課税制度の届出書が初めて受け付けられているが、どれぐらいの人が同制度を選択したのか注目されている。特別控除額が2500万円(住宅取得の場合は3500万円)とこれまでの贈与税(暦年課税)の基礎控除額110万円に比べ格段に大きいことから、これを機に親から子への資産の早期移転が進むものと期待されている。
ところで、相続時精算課税制度をいったん選択して以降に注意が必要なのは、精算課税制度で贈与した親(特定贈与者)から、暦年課税の基礎控除額110万円以下の贈与を受けた場合であっても申告しなければいけないことだ。精算課税制度の届出書を提出した年分以降は、特定贈与者からの贈与によって得た財産については、その金額の多寡にかかわらず、すべて贈与税の申告をしなければならないとされている。
つまり、父親から贈与を受けて精算課税制度を選択したら、その後の父親からの贈与はすべて精算課税制度に取り込まれることになるのだ。これまでのように、110万円以下の贈与だから非課税の範囲だとうっかり思い込んで期限内までに贈与税の申告をしないと、精算課税での2500万円の特別控除が受けられない恐れがあるので要注意だ。
そこで、当面の2003年分の贈与について精算課税制度の適用を受ける財産がある場合には、ほかに暦年課税の基礎控除額110万円以下の贈与があったのであれば、その贈与された財産も申告書に記載しなければならない。よくあるケースだが、毎年基礎控除額の範囲内で、例えば100万円ずつ子供の銀行口座に振り込んでいるケースなどでは、昨年振り込んだ100万円は申告書への記載が必要なことになる。