新型インフルエンザは現在、パンデミック(世界的大流行)が直ちに発生する状況下にはないが、今の段階から経営層を中心とした危機意識を確立し早期に対策チームを結成することが、自社の事業と社員の生命を守る第一歩となる。三菱UFJリサーチ&コンサルティングが6日に発表した「中小企業における新型インフルエンザ対策調査」では、新型インフルエンザの具体的な対策はほとんど行われていないことが分かった。
調査結果(有効回答数185社)によると、新型インフルエンザ対策チームの結成状況については、「結成している」とする企業は8.1%、「年度内に結成予定」が7.0%で、「結成時期未定/翌年度以降」(13.5%)を含めても、結成もしくは結成に向けて準備を進めている企業は全体の約3割にとどまった。一方、現時点で約7割の企業が「予定はない」(53.0%)、「わからない」(18.4%)と回答している。
また、BCP(事業継続計画)の多くは地震などの自然災害を想定して作成されているケースが多く、物的被害よりも人的被害が重大な新型インフルエンザの場合は、既存のBCPはあまり役に立たない可能性がある。新型インフルエンザを想定したBCPの作成については、「すでに作成した」が2.7%、「年度内に作成」が10.3%で、「作成時期未定/翌年度以降」(28.6%)を含めても約4割にとどまっている。
新型インフルエンザ対策を行う上で障害となっていることは、「具体的に何をなすべきか分からない」と回答した企業が36.8%でもっとも多く、全体の4割近くを占める。また、「社内の認識が足りない」(23.8%)と「人手、時間不足」(19.5%)を挙げた企業はそれぞれ全体の2割前後を占めた。「特に障害はない」とする企業も15.7%を占め、多くの企業では新型インフルエンザの脅威が実感されていない様子がうかがわれる。