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経営関連情報 (2006/06/16)

顧客満足への第一歩は、小さな改善の積み重ね

 表題は、三菱総研の主任研究員・原野敏幸氏のコラムの主張である。ここ数年、多くの企業が、利用者ニーズへの対応、顧客満足(CS)の向上に積極的に取り組み始めている。顧客の声を集め、CS調査を行い、改善策を検討してきたが、今後は、その真価が問われることになる。お客様の声に応え自社の商品・サービスを改善していくことが、時代の変化に取り残されず進める一要因となる。

 コラムによると、顧客に自社の評価を問いかけておいて、CS調査の結果報告だけでは顧客の納得は得られない。また、寄せられた何千件もの顧客の声のなかから、年間2~3件の改善策のみでは物足りない。顧客からみて変化が実感できなければ、CSへの取組みが単なるポーズにしかうつらず、変化を期待して寄せられる声も徐々に減ってしまう。期待しているからこその声に応えられなければ、顧客の失望も大きい。

 そこで、CSへの取組みを軌道に乗せ、顧客の声を実現させていくためのポイントとして、社内での議論を活発化させ、改善策を積み上げていくことを提案している。その改善策は、値下げや営業時間の拡大、新商品の開発といったインパクトのあるものばかりを狙う必要はない。ちょっとした工夫や小さな改善でもよく、顧客の声に基づいて自社を変えていくことを習慣化することが重要なのだという。

 顧客と社内の視点がぶつかり、改善策の取りまとめに苦心するケースも多いが、そのような場合、年間300件以上の改善を実施している食品メーカーなど、顧客の声の活用が定着している企業の取組みを参考にすることを勧めている。パッケージの文字を大きくすることや高齢者に配慮したデザインなど、小さな改善であっても、そこには工夫した跡、知恵を絞った様子、顧客への気遣いをみてとることができる。

 小さな改善を積み重ねていくことによって、顧客には変化していることを実感してもらえ、社内においては顧客の声を起点とした業務の流れが根付き、社員の意識も変わっていく。顧客の声をもとに継続的に変化していける企業こそが、時代に取り残されずに、きめこまやかな顧客サービスを実現することができる、というのがコラムの結論である。日々の小さな改善の積み重ねこそが、顧客満足の第一歩なのである。