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逓増定期保険の節税効果は2月28日から大幅縮小

税務関連情報 - 2008年03月03日

 国税庁は2月28日、中小企業が活用していた逓増定期保険の節税効果を大幅に縮小する内容の改正通達を公表した。改正通達の取扱いは、同日以後の契約に係る逓増定期保険の保険料について適用し、同日前の保険料については、従来どおりの取扱いとすることを明らかにした。逓増定期保険は、役員や従業員を被保険者とした掛捨ての定期保険で、中途解約すると先払いした部分が高額な解約返戻金として戻ってくるものだ。

 これまでは、保険期間満了時の被保険者の年齢が60歳を超えず、かつ、加入時の被保険者年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超えない場合は、保険料支払年度に全額損金算入を認めてきた。加入時の年齢が60歳であっても、保険期間が15年以下であれば全額損金算入の対象となった。保険料全額を損金算入できれば課税所得を圧縮できることから、節税効果を狙って加入する中小企業が多かった。

 ところが、今回の通達改正では、保険期間満了時の年齢を45歳まで大幅に引き下げ、その他の被保険者要件も見直している。その結果、保険満了時の年齢が45歳以上であれば全額損金算入できず、支払保険料の2分の1から4分の3に相当する金額を試算計上しなければならなくなった。例えば、加入年齢が25歳でも保険期間が20年までしか全額損金算入できないのだから、節税効果が大幅に縮小されたことは歴然としている。

 国税庁が昨年3月から課税見直しを検討することを明らかにしていたことから、生保各社は、その見直しを待って営業を自粛していたが、今回、新たな取扱いが定まったことによって販売を再開することになろう。しかし、これまでのような節税効果を強調した営業手法は見直しが迫られそうであり、「新しい取扱いに応じた新商品を開発するところが多いのではないか」(生保関係者)との見方もある。