10月の円高倒産は15件で集計開始後最多
帝国データバンクがこのほど発表した「円高関連倒産の動向調査」によると、2011年10月の「円高関連倒産」は15件(前月10件、前年同月7件)に急増し、2010年12月の12件を上回り、集計を開始した2008年1月以降で月間最多を記録したことが分かった。2011年1~10月の合計も59件に達し、2008年以降で年間最多だった2010年(58件)をすでに上回っている。
倒産原因別にみると、「受注減少」が10件で最多、次いで「デリバティブ損失」が3件、「輸出不振」と「その他為替差損」が各1件。2008年以降の累計では、「受注減少」が54件と「デリバティブ損失」の63件を下回るが、2011年は24件と「デリバティブ損失」(22件)を上回り、「受注減少」が急増した。大企業の海外シフトの動きを受け、中小製造業を中心に受注減少から倒産に追い込まれるケースが、ここにきて増えてきている。
業種別にみると、10月は「製造業」が10件、「卸売業」が5件。「製造業」の内訳は、「プラスチック」が3件、「電子部品」、「金属」、「繊維」が各2件、「その他」が1件。2011年合計は、「製造業」と「卸売業」が25件で並んでおり、2008年以降の累計では、「卸売業」が75件と「製造業」(61件)を上回っている。円高関連倒産の累計では、業種別ではこの2業種が全体の8割強を占め、次いで「小売業」が17件、約1割を占めるに過ぎない。
円相場は10月下旬にかけて、1ドル=75円台の戦後最高値を連日更新するなど、歴史的な水準が続いている。同月31日の円売り介入で一時79円台半ばに戻したものの、円高の長期化は当面避けられそうにない。円高と東日本大震災の複合要因による倒産も8月以降6件発生(10月は2件)、年末から年度末にかけては、この夏からの円高局面による影響本格化も予想される中、円高倒産は引き続き高水準で推移する可能性が高いとみている。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p111103.pdf