アメリカはクレジット社会といわれるが、わが国でも、買い物や飲食などでお客がクレジットカードで代金を支払うケースが増えている。こうした場合、クレジットカードで代金を受け取った小売店や飲食店などのお店側は、その代金の債権をクレジット会社に譲渡し、クレジット会社は消費者から代金を回収し、回収手数料を差し引いて一括してお店に支払うことになる。また、消費者に対しては請求明細書が送られる。
そこで、消費税の取扱いだが、この売掛代金の譲渡(金銭債権譲渡)は、税の性格から課税対象とすることになじまないものの一つとして、消費税法では非課税とされている。それに伴う実質的回収手数料は非課税の売上に係る金融費用(この場合は金利)として、非課税とされる。したがって、小売店や飲食店がクレジット会社に支払う回収手数料は、消費税の仕入税額控除はできないので注意が必要だ。
一方で、飲食店で接待などをしてクレジットカードで支払った側は、後日クレジット会社から請求明細書等が送られてくる。そこで、注意したいのは、この請求明細書には利用した相手先は記載されているが、内容までは書かれていないので、この請求明細書は消費税法の「請求書等」には該当しないことだ。飲食等に係る消費税を仕入税額控除するための要件を満たさないことになる。
そこで、クレジットカード利用の際にそのお店が発行した「ご利用明細書」等が消費税法の請求書等に該当するので、仕入税額控除するためには、この「ご利用明細書」等を保管しておく必要がある。また、この「ご利用明細書」等に「請求書等」の記載要件が正しく記載されているかを確認しておくことも大切だ。なお、クレジットカードで支払った3万円以上の領収書でも、カード利用と明記されていれば、印紙は不要となる。