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税務関連情報 (2006/07/07)

来年度税制改正に浮上した“サラリーマン増税”

 財政再建のための税収増策の中心は消費税率の引上げだ。当初実施時期は、小泉政権終了後の2007年度とみられていたが、どうやら大幅に遅れそうだ。自民党の中川秀直政調会長は、講演において「2009年度までに行う可能性が高い」との見通しを示したという(日経新聞7月1日)。代わりに浮上したのは個人所得課税の抜本的な見直し、一時世論を騒がせたいわゆる“サラリーマン増税”である。

 政府税制調査会が6月30日に開いた会合では、資産課税や納税環境整備とともに個人所得課税についてのこれまでの審議等を踏まえた主な論点整理が提示された。石弘光会長は会合後の記者会見で「所得課税は控除・税率・所得区分の見直しがポイント」と語った。扶養控除や配偶者控除など人的控除の見直し、勤務費用の概算控除としては手厚すぎるとの批判が強い給与所得控除などにメスが入れられる。

 人的控除は、できる限り簡素化することを基本とし、家族に関する控除等は基礎控除等に集約化する方向である。また、扶養控除の適用対象からニートやフリーターを除外することや、扶養控除等に代えて、子育てへの政策的支援のために税額控除の導入も検討する。給与所得控除は、被用者特有の事情を画一的にとらえて一律の控除を行う仕組みを見直し、経費が適切に反映されるような柔軟な仕組みとすべきとの意見が強い。

 税率構造についても、現行の税率の刻み数(6段階)を簡素化の観点から極力減らすことや、税の公平性と所得再配分機能を高めるために国税と地方税を合わせた最高税率50%を引き上げることも検討課題となる。しかし、最高税率の引上げには、勤労意欲や事業意欲を損なうとの批判もあり、慎重に検討する考えだ。個人住民税は、人的控除を始め各種の所得控除の整理合理化や、均等割の税率の引上げが検討課題となる。

 政府税調は、これらの個人所得課税の見直しを今秋にまとめる中期答申に盛り込む考えだが、定率減税の2007年からの廃止はすでに決まっており、給与所得者の負担がさらに重くなることから、またマスコミからの“サラリーマン増税”に対する集中砲火が一斉に浴びせられそうだ。