帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、4月の倒産件数は1013件となり、法的整理のみに集計対象を変更した2005年4月以降で最多となった前月を10.1%下回ったものの、前年同月比では24.0%の大幅増加となり、4ヵ月連続で前年同月を上回った。2005年4月以降で初めて2ヵ月連続で1000件を上回り、倒産件数は確実にベースラインが上昇し、増加基調を強めている。
一方、負債総額は7254億4100万円で、前月比は59.1%の大幅増、前年同月比も22.7%の増加となった。これは、旧・日本興業銀行系列の不動産会社、ケイアール不動産(負債1677億6300万円、東京都)が特別清算処理されるなど、負債100億円以上の大型倒産が10件(前月6件、前年同月9件)に増加したほか、負債10億円以上の倒産も84件(前月80件、前年同月81件)発生し、2005年4月以降で最多となったことなどによる。
また、倒産件数が大幅に増加した背景には、建設業、製造業の倒産件数が大幅増加したことがある。具体的には、(1)公共工事削減、脱談合、原料高に苦しむ建設業の倒産が前年同月比41.2%増の274件発生、(2)原料高による収益性低下が深刻な製造業が同50.0%増の161件発生、 (3)改正建築基準法関連の倒産が14件発生し、2007年10月の集計開始からの累計が66件になったことなどが挙げられている。
また、小規模倒産が高水準で推移、中堅クラスの倒産も散発。負債額別にみると、負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は585件(前年同月比23.2%増)で全体の約6割を占めた。一方で、上記のように負債10億円以上の中堅クラスの倒産も増加。資本金別では、個人経営(165件、前月比▲15.8%、前年同月比39.8%増)、資本金1000万円未満(294件、同▲19.9%、同9.7%増)の小規模企業の倒産が高水準で推移している。