全国知事会はこのほど、住民サービス確保のための地方税引上げに向けた提言を公表し、今後、社会保障をはじめ、教育、警察、消防といった住民生活に必須の行政サービスを安定的に提供していくためには、その財源として、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方消費税を引き上げるべきであるとの考えを示した。地方消費税の引上げは、消費税を含む税制の抜本改革のなかで実現を図るべきだとした。
提言によると、バブル崩壊後、国と地方の債務残高は大幅に増大し、構造的な危機に直面している。地方は、2009年度の地方財政対策により、かろうじて予算編成ができたものの、歳出に対して歳入が絶対的に不足する事態は改善されていない。全国知事会の試算によると、地方の財源不足は、2012年度には最大13.1兆円に拡大し、財政調整基金も枯渇に至るなど、地方財政は破綻の危機に追い込まれるとの懸念を示した。
こうしたことから、不断の行革努力は当然だが、根本的な解決のためには、国・地方を通じた歳入増加策が不可避であり、地方においては、少子高齢化や地方分権の進展の下で、住民が安心して暮らすことができる行政サービスを支えるための確かな財源が不可欠と訴えている。そこで、今後の行政サービス需要を賄える水準を、地方消費税の引上げで確保することを提言したわけだ。
全国知事会は、「都道府県知事は、市町村長とも連携して、国・地方がおかれている状況を分かりやすく説明し、消費税・地方消費税の引上げを含む税制の抜本改革の実現に向けて、国民の理解を得ていく運動を推進する」との決意を示した。国政においても、真摯な議論を行うとともに、国・地方を通じた税財政構造の再建に責任ある対応と展望を示すことを求めている。