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税務関連情報 (2007/10/01)

わが国と諸外国における事業承継税制の制度を比較

 中小企業では、経営者の高齢化の進展により事業承継問題への関心が高まっており、事業承継税制の確立を望む声は強い。2008年度税制改正では事業承継円滑化のための税制措置が大きな焦点となりそうだが、全国法人会総連合はこのほど、「わが国と諸外国における事業承継税制の制度比較」と題した調査報告を公表し、事業承継税制が整備された欧米各国の制度を踏まえたより包括的な事業承継支援制度の構築を要望した。

 同調査報告によると、事業用資産についての相続税軽減措置としてもっとも手厚いといえるのはイギリスである。一部例外もあるが、基本的に事業用資産・株式の相続に関しては100%控除、すなわち非課税だ。また、ドイツにおいても、事業用資産の課税額の10%を毎年免除し、10年間延納の後全額免除となる特例がある。これは、相続後10年間事業を継続すれば、相続税は非課税となるということだ。

 フランスの場合は、事業用資産・株式の75%控除とする制度となっている。特例の適用には、事業用資産・株式を相続後6年以上継続保有し、5年以上事業に従事するという要件を満たす必要がある。アメリカの場合は、基本的には相続税の基礎控除額67万5000ドルに対し、事業用資産の場合は130万ドルまで控除対象となる。特例の適用には、相続後10年間のうち、5年以上事業に従事するという要件を満たす必要がある。

 一方、わが国の場合は、宅地や非上場株式について相続税の軽減特例はあるが、事業用資産全体は対象となっていない。また、宅地と非上場株式の特例も併用には制限があるなど、かなり限定的なものといえる。対して調査各国は、事業承継を相続税に優先させるという考え方は共通しており、特例や優遇措置が整備されている。全法連は、「今後、わが国においても、各国の制度を踏まえたより包括的な支援制度の構築が望まれる」としている。

 同調査報告の詳細は↓
 http://www.zenkokuhojinkai.or.jp/images/jigyousyoukei.pdf