周知のように消費税法が改正され、基準期間における課税売上高が1000万円を超える事業者は新たに消費税の申告と納税が必要になった。国税庁の推計(2004年12月末)では、個人事業者が既存の課税事業者44万人に加え128万人が、また、法人は同163社に加え53万社が新規課税事業者となる見込だ。新規課税事業者が181万事業者増え、改正後の課税事業者数は合計で388万事業者にのぼる。
そこで、新規課税事業者にとってもっとも留意すべきことは納税資金の手当である。これまではまったく気にもかけなかった消費税という税金が新たに必要になるのだ。ほとんどの新規課税事業者は簡易課税制度が適用されると思われるが、それでも年間の消費税額は結構な額になる。例えば、みなし仕入率80%の小売業(第2種事業)で課税売上高が2000万円の場合、月1万7000円、年間では20万円が目安となる。
また、みなし仕入率が50%の不動産業やサービス業など(第5種事業)で課税売上高が2000万円の場合は、月4万2000円、年間では50万円が消費税の目安となる。これまではゼロだったのに、これだけの金額を納める必要があるのだから、日ごろから納税資金を積み立てるなりある程度留意しておく必要があるわけだ。期限内に納付しないと、延滞税を負担するだけでなく、財産の差押さえなどの滞納処分を受ける場合もある。
なお、納税には振替納税という手もある。申告所得税や個人事業者の消費税は、銀行や税務署などの窓口での納付以外に、金融機関の預貯金口座から納付できる振替納税が利用できる。振替納税を希望する場合は、「納付書送付依頼書・預貯金口座振替依頼書」に住所・氏名、取引金融機関名、預貯金口座番号など必要事項を記入し、金融機関への届出印鑑を押印のうえ、税務署や金融機関に提出すればいい。