被害者が後を絶たない“オレオレ詐欺”をはじめ架空請求事件などでは振込口座をたどれば犯人を捕まえることができそうに思う。だが、多数の仮名・借名口座の存在や安易に自分の講座を見知らぬ他人に売ってしまう人々がいるなどで思うようにはいかないらしい。とはいえ、仮名・借名口座の整理や、犯罪に関わっている預金口座を取り押さえるなどの不断の取組みは、常に求められるところだ。
金融庁は、昨年9月、預金口座を利用した悪質な事例が大きな社会問題となっていることから、当局がそのような不正利用に関する情報を受けた場合は、その口座が開設されている銀行や、警察当局に情報提供するように事務ガイドラインを改正している。同庁は、今年3月末までに、金融庁や全国の財務局などにおいて、3527件の預金口座の不正利用に係る情報提供を行ったことを2日、明らかにした。
また、これらの情報提供を受けた金融機関では、直ちに調査を行い、本人確認の徹底や必要に応じて預金取引停止、預金口座解約といった対応をとっている。その結果、3月末までに、1093件の預金取引停止、692件の預金口座解約を行ったことも明らかになった。調査中のものが1568件あることから、さらに処分件数は増えるものと思われる。なお、不審な点が見受けられなかった口座や口座がなかったものは174件に過ぎない。