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税務関連情報 (2005/01/19)

時代の変革に対応した所得区分・課税方式を提言

 わが国の現行所得税法は10種類の所得区分を設け、総合課税を建て前としながら譲渡所得などには分離課税方式が採用されている。一方、雇用慣行やライフスタイルの多様化、少子高齢化の進行など経済社会構造が大きく変わりつつあり、現行税制に様々な問題や疑問が生じている。このような状況下、「所得税制の所得区分と課税方式のあり方」を公表したのは日本税理士会連合会の税制審議会(会長の諮問機関)である。

 同審議会は、総合課税方式をベースとする所得税制を維持すべきであり、この場合の所得区分は、所得の種類と性質に応じた適切な課税が実現できるとともに、社会経済の変革によって多様化する所得の稼得形態に即応したものでなければならない、との基本的考え方を示した。このような観点からみると、現行の所得区分は今日の経済実態から遊離した部分が少なくないと指摘する。

 そこで、所得区分については、1)不動産所得と事業所得は必要経費の控除制度を見直したうえで「事業所得」として統合し、一の所得区分とすること、2)公的年金に係る所得は「公的年金所得」として独立した所得区分とすること、3)一時所得は特別控除制度と2分の1課税制度を廃止したうえで、「その他所得」として雑所得とあわせて同一の所得区分にすること、などを提言している。

 また、課税方式については、1)できる限り総合課税とすること、2)退職所得や譲渡所得のように課税の平準化が必要なものは、勤続年数や資産の保有期間に応じた「N分N乗方式」によること、3)損益通算については、原則としてすべての所得の間で適用すべきであり、損失の繰越控除は執行上可能な期間において認めるべきであること、などを提言している。