パート労働者に対する社会保険の適用対象範囲の拡大などを盛り込んだ「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律案」は13日に閣議決定、国会に提出された。法案の柱は、公務員や私学教職員の共済年金を厚生年金に一元化することだが、施行時期は2010年4月1日を原則とする。また、パート労働者に対する社会保険の適用拡大は同年9月1日から実施する。
パート労働者に対する社会保険の適用対象範囲の拡大は、「週所定労働時間が20時間以上(現行30時間以上)であること」、「賃金が月額9万8000円以上であること」、「勤務期間が1年以上であること」の3つの基準を満たすパート(学生を除く)については、新たに厚生年金保険の適用対象とする。ただし、従業員300人以下の中小零細事業所で働くパートについては、別に法律で定める日までの間、新基準の適用を猶予する。
厚生労働省の推計によると、適用基準を週20時間以上働くパートに広げると新たに約300万人が厚生年金の対象となるが、月収9万8000円以上という基準で約40万人に減り、さらに従業員300人以下の中小零細事業所で働くパートを除外したことで、対象者は約16万人まで減少する。経済界の猛反対を押し切って国会提出した法案だが、実質は大幅に譲歩した面があり、今後は中小零細事業所に対する猶予期間が焦点となろう。
年金制度一元化の主な内容は、被用者年金の大部分を占める厚生年金に、公務員や私学教職員も加入することとし、2階部分の年金は厚生年金に統一する。共済年金と厚生年金の制度的な差異については、基本的に厚生年金にそろえて解消する。共済年金の1・2階部分の保険料を引き上げ、厚生年金の保険料(上限18.3%)に統一する。事務組織については、効率的な事務処理を行う観点から、共済組合や私学事業団を活用するなどだ。
法律案の概要は↓
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/siryo/pdf/20070418.pdf