ゼイタックス

税務関連情報 (2004/06/18)

政府税調、金融所得課税一体化に向け報告書公表

 政府税制調査会は15日、「貯蓄から投資へ」の旗印の下、金融取引に伴う個人所得を一体で課税する金融所得課税の一体化について検討した結果をまとめ報告書を公表した。一般の個人投資家が投資判断するためには簡素で分かりやすい税制及び投資リスクの軽減を図ることが必要との考えから金融税制を抜本的に見直す。柱は、金融所得の間での課税方式の均衡化と損益通算の範囲を拡大することにある。

 課税方式については、現行は金融商品によって源泉分離、申告分離、総合課税などバラバラだが、将来は原則、分離方式に一本化して分かりやすくする。配当所得は分離課税とするが、大口株主については事業参加的側面が強いことから総合課税を維持する。また、現行非課税とされている公社債譲渡益は課税対象に取り込まれ譲渡損失も認められる。雑所得として総合課税されている外貨預金の為替差益や一部の保険についても分離課税の対象とする。

 損益通算の範囲については、現行では株式や株式投信の譲渡損益に限られていたが、公社債や配当所得、利子所得なども対象に加える。ただし、分離課税される所得と総合課税される所得との損益通算や、分離課税でも税率の異なる所得間の損益通算は認めない。ゴルフ会員権や投資不動産などは対象外となる。また、金持ち優遇税制との批判をかわすため、損益通算について算入できる損失額に一定の制限を設ける方向だ。

 注目されていた損益通算の真実性を担保するための制度については、何らかの番号制度を選択性で導入することが明記された。損益通算を行うための申告が行われると、税務当局において納税者の申告する損益をチェックする必要があるためだ。損益通算を利用したい人が選択制で利用することから、全国民を対象とした全国一連の番号である必要はなく、実効性の確保やコストなどの負担面を考慮した独自の番号制度が導入されそうだ。

 報告書の詳細は↓
 http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/160615a.pdf