地域経済は踊り場を経て再び緩やかな回復軌道に乗っているとの見方が広がっているが、懸念されるのは、原油価格の高騰に伴い、石油製品の価格上昇が続いていることである。農漁業や運輸業で用いられるA重油や軽油、灯油では04年1月に比べ、6割程度上昇した(日銀「企業物価指数」)。そこで、原油価格高騰が地域経済に与える影響を分析するのは内閣府のレポートである。
レポートによると、各地域の消費支出に占めるガソリン支出、灯油支出の割合は、都市圏では低く、地方圏では高いという傾向がみられる。特に北海道や東北、北陸といった寒冷地では、冬場の灯油の消費量が多く、全国平均を大きく上回っており、今後、個人消費への圧迫要因になることを懸念。また、消費者物価をみると、05年4~6月期では、自動車購入費やガソリン代などの自動車等関係費が全地域で消費者物価の上昇に寄与している。
景気ウォッチャー調査(内閣府)においても、「物流コストの値上りなどで、利幅は縮小しつづけている」や「冬に向けて暖房用の灯油や重油の高値が懸念される」など、製造業や輸送業、ガソリンスタンドを中心に多くの企業から原油高騰の影響や先行きを懸念するコメントが寄せられているという。
なお、ガソリン店頭価格の上昇には地域差がみられる(石油情報センター「給油所石油製品市況調査」)。ガソリン店頭価格は、各販売店の経営体力、輸送コスト、競争環境(店舗数)などによって左右されるが、原油価格の高騰によって価格競争の激しさに拍車がかかり、ばらつきは今後も広がる可能性があると予測。原油価格高騰の影響は、地域や業種によって差がみられるものの、今後とも地域経済への影響に注意が必要としている。