新潟県中越地震以降も全国各地で頻繁に地震が起こっている。このような状況下、住宅産業のなかで、新たなマーケットとして浮上し、かつ社会的意義が高い事業として戸建住宅の耐震化市場が注目されている。矢野経済研究所がこのほど発表した動向調査結果によると、2004年度の戸建住宅における耐震化市場は3517億円と見込まれ、今後も市場の成長が期待できる。成長のカギはリフォーム事業や中古住宅市場との融合だという。
同調査による推定では、戸建住宅の耐震化市場は2000年度ごろから小さいながらも堅調に成長を続けていたが、2004年度に入って、9月の紀伊半島南東沖地震を皮切りに、甚大な被害をもたらした新潟県中越地震、海外のスマトラ沖地震、福岡県西方沖地震と、立て続けに大地震が発生し、消費者の危機意識が喚起されて需要が急激に高まり、結果として前年度に比べ26.3%増の3517億円まで拡大した。
2004年度の市場規模を施行部位別にみると、「壁の新設・補強」が24.8%でもっとも高く、以下、「筋交いの設置」(18.1%)、「接合部の補強」(14.3%)、「基礎補強」(13.1%)と推定される。また、市場への参入事業者は、地場の中小工務店・ビルダー及び建築士が中心であり、大手の住宅メーカーでは積極的な姿勢があまり見られない。これは、大手は元来地震に比較的強い住宅を販売しているケースが多いためと考えられる。
全国には新耐震基準法施行以前の木造在来工法による住宅が約2400万戸あり、潜在需要は非常に大きいと考えられるが、低調な顕在需要を拡大するために可能性が高いのは、水周りを中心とした住宅リフォーム市場や中古住宅市場との融合だとしている。また、2005年度税制改正において、一定の耐震基準を満たす住宅が住宅ローン減税等の対象となったことで、今後の市場活性化への寄与が期待されるとみている。