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税務関連情報 (2005/09/14)

来年度改正に物納の許可基準の明確化が浮上

 政府は2006年度税制改正に物納の許可基準の明確化や審査期間の短縮化など納税者が利用しやすい制度の見直しを盛り込む方針で検討している。相続税の物納の申請件数は、バブル崩壊後の地価下落を背景に減少傾向にあるが、相続財産が不動産や自社株といった換金性のないものが多い相続人にとっては、延納によっても金銭納付が難しい場合は納税の最後の手段となる。

 ところが、現行の相続税法では、物納したい不動産や株式などの相続財産が対象として認められるかどうかという許可基準が不明瞭だとの声が多い。現行法では「管理・処分が不適当な財産は物納を却下できる」と定めているだけである。

 そこで今回の見直しでは、「質権、抵当権その他の担保権の目的となっている」、「所有権の帰属等について係争中である」、「共有財産になっている」などの「物納の対象外財産」を相続税法に明記し、それ以外の財産は原則として物納を認める方針だ。実現すれば、納税者は、物納できるかどうかを事前に判断しやすくなる。

 中小企業の相続人に多い非上場株式についても、物納要件を緩和し物納後の入札で売却することを条件に認めることも検討される。非上場株式は、2002年度の改正で買受け人がいることなどを要件に物納を認めているが、現実にはほとんど使われていない。

 また、物納申請の審査期間に期限を設けることも検討される。2005年度の物納申請は3065件だったが、その約2.7倍の8217件が物納の審査中で、申請から許可されるまで長期間かかる状況だ。仮に却下されると、その間の延滞税が加算されることもあって、審査期間の短縮化を求める声も多かった。審査期間に期限が設けられれば、納税者のメリットは大きくなる。