ストックオプション訴訟は、2月19日の東京高裁、同月25日の東京高裁、27日の東京地裁と立て続けに「利益は労務の対価で給与所得」との判断が示された。今年に入って1月の横浜地裁、2月の東京地裁に続く国側の勝訴。特に高裁では初判断だけに、今後の同種の訴訟に与える影響は大きそうだ。
米国の親会社から与えられたストックオプション(自社株購入権)で得た利益が「給与所得」なのか、税額がほぼ半分で済む「一時所得」にあたるのかが争われているのだが、2002年11月、2003年8月の両東京地裁では一時所得とされた後、国側が5回連続で勝訴したことになる。
昨年8月の東京地裁は「株価の推移や権利の行使時期という偶発的要因で左右される利益は労務の対価にはあたらない」として一時所得と判断したもの。東京高裁では「ストックオプションは、職務に精勤することの動機付けのために付与されるもので、労務の対価として支給されたもの」と指摘。国税当局の課税処分を適法と認めている。
今年1月末で95件にのぼる同種の訴訟だが、最終決着は最高裁まで持ち越されることになりそう。給与所得か一時所得かの判断とは別に、本欄でも何回か指摘したように、ストックオプションの利益を申告せずに争っているケースでの過少申告加算税の処分がどうなるのか注目される。
なお、今後のストックオプション訴訟の予定は、3月にはいって16日(地裁)、17日(地裁)、26日(地裁)、4月27日(高裁)となっている。