2006年度税制改正に向け、これから各省庁や団体からの要望が出されるが、一足早く意見・要望書をまとめ公表したのは日本公認会計士協会である。同会計士協会はかねてより企業の会計と税制の調和を一貫して主張してきているが、今回の2006年度税制改正にあたっても、企業税制が企業会計の期間損益計算を大きく損ねることがないように配慮することを改めて求めたうえで、2006年度税制改正について提言している。
中小企業関連の重要要望項目としては、まず同族会社の留保金課税の全廃を求めた。その理由として、中小企業の内部留保を圧迫しており、しかも、繰越欠損金を充当し通常の法人税が課されない場合であっても、その所得に留保金課税がなされる場合があり、負担が加重になっていることを挙げている。次に、一般的に財務基盤が弱い中小企業を救済するために、繰越欠損金控除期間を10年(現行7年)に延長することを求めている。
また、試験研究費の税額控除制度の拡充を要望。技術開発型の中小企業は、研究開発段階では課税所得が発生しないことが多いため、同制度の恩恵を享受できるのは、研究開発が収益として実現している企業だけだと指摘。研究開発期間に課税所得がないため同制度が適用されない場合も、研究成果が収益として実現した後の一定期間について、同制度が活用できるように改正すべきだとしている。
そのほか、消費税の各種届出書について、納税者の利益を考慮して提出期日を適用課税期間の末日とすることを掲げている。現行では届出書の提出期日が課税期間の開始日の前日までとなっているものが多数あるため、課税期間においては課税方式などの変更ができず、結果として変更した場合よりも納税額が多大となるなど、納税者の混乱を招く事態がしばしば起こっているとして、届出書の提出期日の緩和を要望している。
同要望書の詳細は↓
http://www.jicpa.or.jp/technical_topics_reports/100/100-20050613-01-02.pdf