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自社株式に係る贈与税の納税猶予制度の創設

税務関連情報 - 2009年01月26日

 2009年度税制改正では、中小企業経営承継円滑化法に基づき自社株式に係る80%納税猶予制度が導入される一方、親族に対する生前贈与の場合について贈与税の納税猶予制度が創設される。経営者の親族である後継者が、同円滑化法に基づく経済産業相の認定を受けた非上場会社を経営していた親族から、贈与によりその保有株式の全部を取得した場合には、猶予対象株式の贈与に係る贈与税の全額の納税を猶予する。

 猶予対象株式は、贈与前から後継者がすでに保有していた議決権株式等も含め発行済議決権株式等総数の3分の2に達するまでの部分を上限とする。贈与者の死亡時には、贈与税の猶予税額は免除され、引き続き保有する猶予対象株式等を相続により取得したものとみなして、贈与時の時価により他の相続財産と合算して相続税額が課税されるが、課税された相続税の納税猶予が適用される。

 贈与税の納税猶予の適用要件は、相続税の納税猶予制度と同様に、経済産業相の認定を受けることや、雇用確保を含む5年間の事業継続を行い、その後も株式を継続保有することが必要となる。また、贈与者の死亡時における相続税の納税猶予の適用は、認定要件のうち一定のものを満たすことについて経済産業相の確認を受けることや、5年間の事業継続は課されないが、株式の継続保有等の要件を満たすことが必要となる。

 また、後継者が、贈与税の納税猶予制度の適用を受けている場合であっても、後継者を含む推定相続人は相続時精算課税制度が利用できる。例えば、経営者が発行済議決権株式総数の3分の2を超える株式を所有している場合に、納税猶予の対象外となる株式を、相続時精算課税により贈与を受けることができる。なお、自社株式に係る贈与税の納税猶予制度は、2009年4月1日以後の贈与から適用される。