4月から義務付けられた消費税の総額表示は、消費者に割高感を与える恐れがあることから、売上減少を懸念する小売業者も多かったようだ。日本チェーンストア協会が会員企業98社を対象に行った総額表示に係る影響度調査結果(回答企業61社)によると、「売上高は減少した」との回答が59%(36社)と約6割を占めた。「大きな変化はない」との回答は39%(24社)、「増加した」との回答はゼロだった。
これは、総額表示移行前と移行後1週間程度の販売状況を比べたもので、売上が減少したと回答した企業の減少割合は、「5%程度減」が23社で最も多かったものの、「10%程度減」が11社、「15%程度減」と「15%以上減」が各1社となっており、減少したスーパーの36%が二ケタの売上減少となっている。
来店客数については、「減少した」は28%(17社)で、59%(36社)は「変化はない」との回答だったが、買上点数では、51%と半数のスーパーが「減少した」としており、消費者が総額表示に割高感を覚えて買い控えたことがうかがえる。スーパーの多くでは、総額表示に伴う値札の付け替えなど店頭表示の変更作業での人員確保や作業時間に大きな負担を強いられたうえ売上減少だ。まさに踏んだり蹴ったりといえそうだ。
なお、総額表示実施の際に採用された表示方法については、「レシート上に税額明記」が82%(50社)を占め、「レシート上に明記なし」は10%(6社)、「外税方式による総額表示」は8%(5社)だった。また、売価設定の際の小数点以下の端数処理については、67%(42社)が「切り捨て」、「四捨五入」は25%(16社)、「切り上げ」は8%(5社)だった。