帝国データバンクが19日に発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、昨年12月の倒産件数は896件で、法的整理のみに集計対象を変更した2005年4月以降では過去最高となった。前月比では18.8%増、前年同月比では18.2%の増加。個人消費の伸び悩みなどを背景に、建設・小売・サービスといった内需関連業界の倒産が増加しており、倒産件数の推移は緩やかな増加基調が続いている。
12月の負債総額は4630億900万円で、前月比21.1%増、前年同月比30.6%増とともに大幅増加となった。前年同月比増加は4ヵ月ぶり。負債総額が膨らんだのは、三井石炭鉱業(負債1000億円)が親会社である三井鉱山(東証1部)の再生計画に伴い、多額の負債を抱えて特別清算処理されたため。負債1000億円以上の倒産は7ヵ月ぶりの発生となったが、三井石炭鉱業を除けば、総じて大型倒産は低水準で推移している。
倒産件数を業種別にみると、7業種中、建設業(232件、前年同月比7.4%増)、小売業(174件、同43.8%増)、サービス業(167件、同63.7%増)、卸売業(136件、同7.1%増)など6業種で前年同月比増加となった。このうち、小売業とサービス業は、2005年4月以降で最高となった。個人消費の伸び悩みなどを背景として、建設・小売・サービスといった内需関連業界の倒産が増加し、倒産件数の全体を押し上げている。
今回の景気回復期間は昨年11月に「いざなぎ景気」の57ヵ月を超えて戦後最長となり、国内経済は長期的な世界経済の拡大とともに潜在成長率並みの成長が持続するといわれている。しかし、規模・業界・地域間の格差拡大が不可避な状況下、小口倒産増加による「倒産件数増、負債総額減」の傾向は当面変わらないとみられ、2005年を底に増加に転じた倒産のトレンドは今後も継続し、緩やかな増加基調をたどるものとみられている。