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「移転価格事務運営要領」の一部改正案を公表

税務関連情報 - 2008年06月09日

 国税庁はこのほど、「移転価格事務運営要領」(事務運営指針)等の一部改正案を公表した。7月4日までパブリックコメントを求めている。移転価格税制は、国外の関連企業(国外関連者)との取引を通じた海外への所得移転に対処し、適正な国際課税の実現を図る観点から、1986年度の税制改正で導入された制度で、現在、主要先進国をはじめ40ヵ国以上で導入されている。

 今回の主な改正点は、「第2章 調査」に関するものとして、(1)企業グループ内における役務提供の取扱いの明確化、(2)国外関連者に対する寄附金の検討に関する留意事項、(3)価格調整均等の取扱いの明確化がある。また、「第5章 事前確認手続き」に関するものとして、新規の事前確認の申出期限を、確認対象事業年度のうち最初の事業年度に係る確定申告書の提出期限から、当該最初の事業年度の開始の日の前日に変更したことがある。

 企業グループ内の役務の提供の取扱いの明確化では、法人が国外関連者に対して行う活動が役務の提供に該当するかどうかは、その国外関連者と同様の状況にある非関連者が他の非関連者からこれと同じ活動を受けた場合に対価を支払うかどうか、またはその国外関連者がその活動を受けなかった場合に、これと同じ活動を行う必要があると認められるかどうかで判断することが明記されている。

 また、寄附金の検討に関する留意事項では、移転価格調査において、金銭の贈与等、一定の事実が認められた場合には、租税特別措置法66条の4第3項《国外関連者に対する寄附金の損金不算入》の規定の適用があることに留意することが明記されている。なお、事務運営指針の別冊である「移転価格税制の適用に当たっての参考事例集」等に、上記「第2章 調査」に関するものの改正内容に関連する事例が設けられることになった。