今年4月から始まった離婚時の厚生年金の分割制度の請求件数が、4月1ヵ月間で293件だったことが社会保険庁の調査で明らかになった。同制度は、4月以降に離婚して、離婚した当事者間の合意や裁判手続きにより按分割合を定めたときに、その当事者の一方からの請求によって、婚姻期間の保険料納付記録を当事者間で分割することができる制度。分割の効果は厚生年金や共済年金の報酬比例部分(「2階部分」)に限られる。
年金分割請求のあった293件の内訳は、男性が75件、女性が218件。離婚当事者双方が同時に年金分割を請求した場合の件数は、「男性1件、女性1件、計2件」となるので、制度を利用した元夫婦の数とは一致しない。都道府県別にみると、「東京」が36件でトップ、以下、「大阪」27件、「神奈川」24件、「愛知」と「北海道」が23件と続く。ゼロだったのは、「山形」、「鳥取」、「島根」、「高知」、「佐賀」、「沖縄」の6県。
一方、年金分割の請求を行うために必要な情報提供を請求した件数は、4月は3116件と3月に比べ約60%も増加した。うち約84%(2625人)が女性からの請求。昨年10月からの累計では1万1162件となる。また、年金分割に関する相談件数も4月は3月比で約66%増の1万1957件と急増。半数の6472件が来訪相談で、うち約82%(5277件)が女性からの相談。昨年10月からの相談件数の累計は4万3653件にのぼった。
なお、来年4月からは、離婚時の第3号被保険者期間の厚生年金の分割制度が始まる。第3号被保険者とは、厚生年金や共済年金の加入者(第2号被保険者)に扶養される配偶者だが、来年4月以降の第3号被保険者期間については、離婚した場合に、当事者一方からの請求により、第2号被保険者の厚生年金の保険料納付記録を自動的に2分の1に分割することができる。こちらの制度の情報提供は今年10月から開始される。