ゼイタックス

医療充実の財源に消費税を含む税投入拡大の主張

税務関連情報 - 2008年04月09日

 日本医師会はこのほど「国民の医療と財源のあり方」と題した2007年度医療政策会議報告書を公表したが、そのなかで、医療保障制度充実のための財源として、消費税を含む一般財源からの投入拡大が不可避と主張した。同報告書は、医療費不足、医師不足など医療制度をめぐる多くの問題点、その原因を詳細に究明した上で、医師養成のあり方及び財源のあり方についての提言をまとめたもの。

 報告書は、小泉内閣登場以来、矢継ぎ早に打ち出されてきた社会保障改革は、「医療給付費を抑え、それ以上は患者が負担せよ」、「支払い能力による格差医療も当然」との主張に基づいていると批判。しかし、構造改革を標榜される医療給付費を抑制し、市場原理的要素(リスクに応じた負担)を強化する医療改革を国民は支持していない。国民が望んでいるのは「誰でもが必要に応じて医療サービスが受けられることだ」と指摘している。

 その上で、医療保障制度の充実を図るためのすべての財源を被保険者ならびに事業主負担の保険料増大に求めることは不可能であるから、「消費税を含む一般財源からの投入拡大は不可避」との考えを示した。また、政府税調が消費税の社会保障財源化を、自民党財政研が社会保障の国庫負担のための目的税化を打ち出していることを踏まえ、「適切な判断を下す必要がある」として、医療分野への租税の投入の実現を求めている。

 さらに、医療財源に関しては、医療政策を超えた総合的政策も不可欠であり、例えば、若年層の非正規労働状態を解決できなければ、医療保険も一部が空洞化する怖れがあることへの強い問題意識を持つことなども求めている。医療は社会システムの安定の影響を強く受けることから、医療財源を考える際は、医療分野や医療保険制度などの範囲を超えた広い視野も欠かせないことを強く指摘している。

 同報告書の全文は↓
 http://dl.med.or.jp/dl-med/teireikaiken/20080326_8.pdf