会計検査院がこのほど公表した2004年度決算検査報告のなかで、国税庁に対し、給与所得に係る源泉徴収義務者に対する納付指導を効率的におこなうように指摘していたことが明らかになった。会計検査院は、源泉所得税の未納の早期処理や源泉徴収票等の法定調書合計表のデータの有効活用、定期的な納期の特例の承認の見直しなどを求めており、今後の税務当局の納付指導がより厳しくなる可能性がでてきた。
会計検査院は、2004年度中に全国の95税務署が作成した未納者リスト記載の11万3184人の源泉徴収義務者のうち、2003年分以前の源泉所得税に未納があるなどの685人(推定未納税額10億496万円)を抽出するなどして検査した。その結果、未納者に対する納付指導が効率的におこなわれていないことや、納付指導に合計表のデータが十分に活用できていないことなどがわかった。
合計表のデータは、活用が図られるようにKSK(国税総合管理)システムに入力されているが、税務署の源泉担当職員の端末機では確認できないシステムとなっていた。また、社員が常時10人未満の源泉徴収義務者は年2回にまとめて納付できる納期の特例が適用されるが、上記の685人のうち納期の特例の承認を受けている498人の管理資料を検査したところ、社員が10人以上と記載されている徴収義務者が59人いた。一方、96税務署における2001~2003年に納期の特例の承認を取消したものは22人にすぎなかった。
国税庁は、会計検査院の指摘に基づき、1)納付事務の効率化を図り、未納が長期間滞留することがないように未納の早期処理に努める、2)合計表のデータが有効活用できるように、源泉所得税担当の端末機でデータを確認できるシステムとする、3)納期の特例を受けている徴収義務者のうち、前年以前分から未納があるなどの者については、定期的に納期の特例の承認の見直しをおこなう、などを今年9月に各税務署へ通知している。