ゼイタックス

税務関連情報 (2006/11/06)

株式譲渡益の優遇措置の終了はマイナスの影響大

 2007年度税制改正に向けた議論のなかでの焦点の一つが上場株式等の譲渡益に対する軽減措置である。現行の証券税制は譲渡益に対する課税を本則20%のところ半分の10%に軽減しているが、この優遇措置は2007年12月末に適用期限を迎える。日本証券業協会が実施した「個人投資家の証券税制に関する意識調査」では、優遇措置の終了は、個人投資家の投資行動に大きなマイナスのインパクトを与えることを示した。

 調査結果(有効回答数1099人)によると、譲渡益に対する優遇措置の終了については、「投資方針にマイナスの影響があると思う」との回答が54.5%と過半を占めた。具体的なマイナスの影響(複数回答)としては、「2008年以降新たな投資は慎重になる」が32.2%、「2007年末までに評価損益次第では売却する」(26.8%)、「2008年以降投資をやめるかまたは減らす」(16.1%)などの意見が挙げられた。

 上場株式等の税率10%の優遇措置については、「延長すべき」が47.3%、「何らかの優遇措置は必要」が23.8%と、約7割強の個人投資家が優遇措置の延長を望んでいる。また、金融商品の損益通算の範囲についても、37.1%が「株式や投資信託の売買損益以外にも必要」と回答。具体的には、「株式の配当金や株式投資信託の分配金」(70.3%)や「国債・社債の利子や取引から生じる損益」(48.0%)などへの拡大を望んでいる。

 なお、現状の株式の投資方針については、「長期だが、ある程度値上がり益があれば売却」が63.7%、「値上がり益重視であり、短期間に売却する」が10.0%だった。日本証券業協会は、多くの個人投資家が長期保有を投資方針としており、今後の本格的な超高齢化社会では、こうした個人投資家が株式を長期にわたって保有し、その利益を長期間享受できる税制措置が必要だとして、優遇措置の延長を要望している。