会計検査院が10日に公表した2005年度決算検査報告によると、各省庁や政府関係機関などの税金のムダ遣いや不正支出、経理処理の不適切などを指摘したのは473件、452億9727万円にのぼった。前年度(約937億円)からは半減したが、これは、前年度が国立大学の法人化に伴う資産算定ミス約404億円という特殊要因があったためで、2005年度の金額はデータ比較が可能な1978年度以降で3番目に高い数字だった。
財務省に対しては、税金の徴収額の過不足5億1574万円が指摘された。指摘されたのは109税務署で、納税者182人から税金を徴収するにあたり、徴収額が不足していたものが173事項4億8558万円、徴収額が多すぎたものが9事項3016万円だった。前年度は、101署において徴収不足が185事項、5億9358万円、徴収過大が14事項、3418万円だったので、徴収不足は1億円ほど減少したことになる。
徴収が過不足だった182事項を税目別にみると、「法人税」が64事項(うち徴収過大2事項)でもっとも多く、以下、「申告所得税」58事項(同1事項)、「消費税」25事項(同1事項)、「相続・贈与税」22事項(同5事項)、「源泉所得税」4事項となっている。これらの徴収不足額や徴収過大額があった182事項については、会計検査院の指摘後、すべて徴収決定または支払決定の措置がとられている。
会計検査院の報告では、相続税に係る連帯納付義務者の財産調査が不十分だったことから、租税債権688万円が消滅した事例がある。滞納者Aは被相続人Bの相続(相続人はAのほか、Bの妻C及び子3人)により現金4000万円を得たが、借入金の返済に充てたため、相続税688万円全額を滞納していた。税務署は、Aにはわずかな銀行預金のほか差押さえ可能な財産がないことから滞納処分を執行停止し、3年後に租税債権は消滅していた。
ところが、連帯納付義務があるCは、税務署に提出された所得税の確定申告書等によると、連帯納付義務の履行が可能な財産があると認められた。したがって、税務署はそれを容易に把握できる状況にあったにもかかわらず、Cに履行を求めるなどすることなく、滞納処分の執行停止をしたことは適当ではなく、その状態が3年継続したことで滞納者Aに対する租税債権688万円が消滅したことは、不当だと指摘している。