事業承継税制は、2009年度税制改正において大幅に拡充される。非上場株式等に係る相続税の軽減措置について、現行の10%減額特例は3月末で廃止となり、代わって80%納税猶予制度が導入されるが、この納税猶予制度をさらに使いやすくするため、(1)納税猶予制度と小規模宅地特例との完全併用を可能とする、(2)利子税の本則は6.6%のところ、納税猶予の場合の利子税は特例で2.2%とする措置なども講じられる。
現行では、小規模宅地特例における事業用宅地の場合、400平方メートルまでの部分を上限として80%減額され、自社株式の減額特例では10億円を上限として10%減額される。例えば、200平方メートルの事業用宅地と自社株式を相続したケースでは、上限の2分の1である200平方メートルについて事業用宅地特例を適用し、自社株式のほうは上限の2分の1の5億円までの自社株式に特例が適用可能となっている。
改正後は、併用の範囲が拡大され、事業用宅地特例は上限の400平方メートルまで、自社株式の特例(納税猶予制度)は上限の発行済完全議決権株式総数の3分の2まで、それぞれ100%適用が可能となる。現行の部分併用から完全併用となるのだ。また、利子税については、納税猶予取消しの場合に猶予税額と併せて納付すべき利子税の税率が特例により2.2%(日銀の基準割引率0.5%の場合)とされる。
なお、現行の自社株式に係る相続税の10%減額特例は2009年3月末で廃止されるが、すでにこの特例の適用を受けるために、相続時精算課税により贈与された株式については、(1)贈与を受けた者が後継者で、適用要件を満たしている場合には、2010年度末までに届け出れば相続税の80%納税猶予を適用、(2)相続時に適用要件を満たしている場合には、10%減額特例を適用、といった経過措置が講じられる。