賃料の底は、東京ビジネス地区が2012年、大阪ビジネス地区が2014年で、その後賃料は上昇するとの予測が、オフィス市場動向研究会(日本不動産研究所と三鬼商事との共同研究会)がこのほど発表した「2009年オフィス賃料予測(東京・大阪)」で明らかになった。同研究会では、日本経済研究センターの中期経済予測のマクロ経済データを活用して、今後10年間の予測を毎年行っている。
東京ビジネス地区(都心5区)の予測結果によると、「短期予測(2009~2010年)」は、新規供給は過去5年間の平均程度の約3万坪/年だが、日本経済研究センターの予測で日本経済はマイナス成長になるなど景気が低迷することから、賃料は10%を超える下落が続くと予想され、空き室率も7%を超えて高くなる。「中期予測(2011~2013年)」では、日本経済研究センターの予測では経済状況が2011年から回復する。
そこで、2011~2012年の新規供給が過去5年の平均より大きくなると予想され、賃料の下落が続くが、下落率は小さくなる。2012年が賃料の底になり、最近で一番低くなった2004年と同じ水準まで低下し、2013年から上昇に転じる。空き室率は2011年に7.5%まで上昇し、その後6%台に低下する。「長期予測(2014~2018年)」は、2014年以降は空き室率は4%前後まで低下し、賃料も年率5%程度の上昇が続く。
一方、大阪地区の予測結果によると、「短期予測」は、2009年の新規供給は13万坪と1985年からの最高となり、2010年も過去5年間の平均より多いと予想され、近畿経済はマイナス成長になるなど景気が低迷することから、賃料は4~5%で下落が続き、空き室率は9%を超えて高くなる。「中期予測」では、近畿の経済は2011年から回復し、2011~2012年の新規供給は大阪北ヤード開発等かなりの量が計画されている。
しかし、オフィス市場が厳しくなるなか、すべてが竣工することは考えにくく、2011年は7.2万坪、2012年は10.8万坪と予測。この予測量でも過去5年平均の2倍前後の量になり、賃料は5%前後の下落が続き、空き室率は2012年に10.0%まで上昇する。「長期予測」は、2014年まで賃料の下落が続き、賃料の底は最近で一番低かった2004年と同水準まで低下。2015年から上昇に転じ、空き室率は6%前後まで低下すると予測している。
同オフィス賃料予測の詳細は↓
http://www.reinet.or.jp/up_pdf/1249285458-tinryouyosoku090804.pdf