1998年7月から導入された電子帳簿保存法の承認件数が、今年6月末現在の累計で前事務年度に比べ23.5%増加し6万件を突破したことを国税庁が発表した。電子帳簿保存法は、それまで紙での保存が義務付けられていた国税関係の帳簿書類を、一定の要件のもとに磁気テープやCD-ROMなどに記録した電子データのままで保存することを認めたもの。帳簿書類の保存コストなどが軽減されることからそのメリットは大きい。
国税庁のまとめによると、2005事務年度末(6月末)における帳簿書類の電子保存法にかかる電子データによる保存等の承認件数は6万6125件で、前事務年度末に比べ1万2574件(23.5%)増加した。税目別の承認件数では、「法人税・消費税関係」が9687件(27.3%)、「源泉所得税関係」が1402件(12.1%)、「所得税・消費税関係」が1349件(27.5%)、「その他の国税関係」が136件(8.6%)の増加だった。
昨年4月からは改正電子帳簿保存法が施行され、それまで認められていなかった契約相手方が作成した「紙」による領収書や契約書なども記載金額が3万円未満のものはスキャナによる電子データ保存ができるようになった。改正前に電子保存できるのは、最初からパソコンなどで電子的に作成された帳簿書類だけだった。改正法の施行が、2005事務年度の承認件数の伸びにつながったともいえる。
電子帳簿保存法の改正によって電子データで保存できる帳簿書類の範囲が広がった。改正後も決算関係書類・帳簿と取引金額3万円以上の契約書・領収書は対象外となるが、それでも税務関係書類の50~90%近くを電子保存できると見込まれ、7年間も紙で保存するコストを考えれば、そのメリットは歴然としている。今後は、電素帳簿保存の承認申請もさらに増加することが見込まれている。