少子高齢化の進展、労働力減少のなかで高齢者を活用できるように65歳まで働ける雇用環境を整備するために改正された高齢者雇用安定法が1日に施行された。その柱となる定年の引上げや継続雇用制度の導入など65歳までの雇用の確保の義務化は2006年4月からの施行だが、「中高年齢者の再就職の促進」と「多様な就業機会の確保」については、この1日からの施行となる。
中高年齢者の再就職の促進では、1)労働者の募集・採用にあたって、事業主が上限年齢を設定する場合には、書面などにより、その理由を明示する、2)事業主都合で離職を余儀なくされる高年齢者に対して、その職務経歴や能力などを記載した書面を交付することが事業主に求められる。また、多様な就業機会の確保では、シルバー人材センターが臨時的・短期的なまたは軽易な業務にかかる労働者派遣事業を行う場合に、許可を届出とする特例が設けられた。
65歳までの雇用の確保においては、65歳までの定年の引上げ、継続雇用制度の導入などが求められる。ただし、労使協定により継続雇用制度の対象となる労働者にかかる基準を定めたときは、希望者全員を対象としない制度も可能とする。なお、当面、大企業は2009年末まで、中小企業は2011年3月末までは、労使協定ではなく就業規則等にその基準を定めることもできる。
定年の引上げや継続雇用制度の導入の年齢は、年金支給開始年齢の引上げに合わせ、2013年度までに段階的に引き上げる。このように、65歳までの雇用確保が現在の努力義務から、定年の引上げ、継続雇用制度の導入、定年の定めの廃止のいずれかの措置の実施義務とされることになる。