税 務 関 連 情 報

2003年07月04日-001
2002年度査察は大型化で検察への告発率も上昇

 脱税でも特に大口・悪質なものは検察当局に告発して刑事制裁を科す制度、それが査察、いわゆるマルサと呼ばれる制度である。近年はバブル崩壊後の景気低迷の影響から脱税額は小粒化傾向が続いていたが、国税庁が1日に公表した今年3月までの1年間の2002年度査察白書によると、査察で摘発した脱税総額は前年度を47億円上回る約356億円となって4年ぶりに350億円を超えたことが明らかになった。

 2002年度1年間に全国の国税局が査察に着手した件数は195件(前年度202件)、継続事案を含む196件(同212件)を処理し、うち74.0%にあたる145件(同151件)を検察庁に告発した。ここ数年70%前後で推移していた告発率は前年度から2.8ポイント上昇した。告発分1件あたりの脱税額は2億2900万円で前年度より4900万円も増えている。

 告発事件のうち、脱税額が3億円以上のものは前年と同じ26件だったが、5億円以上は5件増えて13件とやや大型事案が増加した。もっとも、脱税総額350億円は、ピークの1988年度(714億円)の約49%まで減少している。告発された事件で
脱税額が最も大きかったのは、法人では消費税などの不正還付を受けた高知市の水産会社と関連会社の約42億円。個人では相続税約4億円を脱税した埼玉県狭山市の無職の男性だった。

 告発事件の多かった業種は、「建設業」(10件)、「不動産業」(8件)、「性風俗業(特殊浴場を除く)」(6件)など。脱税の手口では、複数の国税局にまたがる広域的なものや海外取引にからむ架空損失の計上など、高度情報化・国際化・広域化の影響による手口の複雑・巧妙化が目立つ。脱税で得た現金などの隠し場所では、居宅応接間の床下金庫、自動車トランク内のスペアタイヤのなか、居宅軒下の地中、取引先名義で借りたセーフティールーム(トランクルーム)などが報告されている。

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