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大企業調査は調査件数減少も調査日数は増加

税務関連情報 - 2008年11月10日

 国税庁の発表によると、今年6月までの1年間(2007事務年度)における資本金1億円以上の大企業(調査課所管法人)に対する調査は、前年度に比べ14.8%減の4016件実施され、うち3419件(前年度比8.8%減)から8434億円(同5.8%減)の申告漏れを見つけ、加算税231億円を含む2036億円(同13.9%減)が追徴された。調査件数の減少は、1件あたりの調査日数を増加させる調査の実施などによるもの。

 1件あたりの申告漏れ所得金額は前年度比10.6%増の2億1124万円と、調査日数の増加の効果があった。また、故意に仮装・隠ぺいなどにより不正計算があった件数は、調査件数全体の17.9%(前年度比1.8ポイント増)の720件(同5.0%減)で、その不正脱漏所得金額は10.8%減の595億円だった。不正1件あたりの不正脱漏所得金額は6.1%減の8266万円となり、やや減少したとはいえ、不正の大口化は相変わらず続いているようだ。

 一方、大企業の海外取引に係る調査では、前年度比4.3%増の870件から同4.6%増の4177億円の申告漏れ所得が把握された。このうち、移転価格税制を適用して追徴課税した件数は同31.7%増の133件と3年連続で100件を突破し、その申告漏れ所得は同62.3%増の1696億円と大幅に増加した。なお、海外子会社との取引価格をあらかじめ国税当局に確認する事前確認を申し出たのは93件で、70件が承認され227件が繰り越されている。

 海外取引に係る調査事例では、海外に100%子会社などを数社所有し、工事用品の輸入販売を営む法人に対し実地調査が実施され、その海外子会社に係る決算資料等が綿密に検討された結果、子会社からの配当収入を海外に留保することにより除外し、新たに設立した海外子会社の出資金に充てていた事実が判明している。