中小企業庁が公表した「地域中小企業金融ヒアリング調査」結果によると、中小企業の景況感は、全体としては底止まり感がみられる一方、好景気との実感は十分に広がっていない。また、業種間の景況感の格差や企業間の二極化がより鮮明になってきており、これが、地域間格差にも反映している。同調査は、9月に中小企業庁の職員が道府県に出張し、地銀・信金などの地域金融機関や中小企業等からヒアリングしたもの。
景況が「改善した」地域は、自動車業、機械製造業等の製造業が他産業をけん引しているケースが目立つ。一方で「決していいとは言えない」地域では、建設業及び関連産業が主な産業となっている。特に、公共事業依存型の地域では疲弊感が強い。景況がよいとする地域でも、好景気が大企業の周辺のみで感じられており、中小企業には実感がないとする声、大企業のコストダウン圧力のしわ寄せが来ているとする声があった。
原油高の高騰は、大半の地域において、運輸、製紙、印刷など幅広い業種の中小企業に影響を及ぼしており、価格転嫁も進んでいないため収益圧迫原因となっている。資金需要の動向は、全国的に民間金融機関の融資残高は増加基調にあり、優良中小企業に対しては積極的な融資攻勢を展開している。資金需要が旺盛な分野としては、製造業を中心とした設備投資やサービス業が挙げられるが、中小企業への波及効果は大きくない。
一方、売掛債権担保融資保証制度の利用が伸び悩んでいるが、その理由としては、手続きの煩雑性(必要書類が多い、登記が東京でしかできないなど)、風評リスク、譲渡禁止特約の存在などの内在的問題のほか、金融環境の改善という外在的な要因も挙げられた。動産担保融資制度は、流動資産の範囲、在庫評価者、適格担保の問題など、実施にあたっての課題は指摘されているが、流動資産担保への興味・関心は高い。
同調査結果の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/20061115002/hearing%20kekka-set.pdf