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経営関連情報 (2007/09/03)

産業人の「信頼」低下が長期的に継続

 社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所が発表した2007年度版「産業人メンタルヘルス白書」では、産業人の「信頼」が低下しているが、それは世代交代が大きな要因であることを明らかにし、新しい信頼関係の確立が急務であると指摘している。同白書は、「心の病」が増加傾向にあるなかで、産業界におけるメンタルヘルスへの取組みの促進を図るため、2001年から毎年発表しているもの。

 産業人の「信頼」の経年変化についてみると、「会社の最高経営層に信頼感を持っている」との項目が最高の1982年度の55%と最低の1999・2002年度の33%では▲22%も落ちているのを始め、「職場の人はみんないい人だ」(▲17%)、「自分の思ったことはすなおに他人に話せる」(▲16%)など、信頼に関わる12質問項目からみた産業人の「信頼」は、1980年代に比べ低下してきている。

 すべての信頼項目が低下しているが、「信頼」はバブルのような時代の変化の影響を受けながらも、世代差を維持しながら推移している。時代の変化に世代差は堅牢であるといえる。世代が若くなるにつれて信頼は低下し、高信頼の世代が抜け、低信頼の世代が残ることで、産業界の平均的な信頼は低下している。団塊世代が一斉に大量退職する2007年問題により、さらなる「信頼」の低下が懸念される。

 同白書は、経営への信頼を高めるためには、経営が従業員の信頼にも社会の信頼にもしっかりと応えていくことが必要だと指摘。同時に、産業人が自己の信頼を高めるために、産業人の問題解決能力を育成することにより、問題山積の職場でも自己コントロール感をもって働くことができるようにすることを課題として挙げている。高信頼社会を取り戻すためには、新しい信頼関係の確立が急務といえる。

 同白書の概要は↓
 http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/mhr/activity000830/attached.pdf