中小企業金融公庫が昨年末に発表した2005年の中小企業景況見通しによると、今年の業況見通しDI(「改善」-「悪化」)は8.2と前年調査(18.5)に比べてDIのプラス幅が縮小し、減速感がみられるものの、すべての業種グループで「改善」が「悪化」を上回っており、改善の動きが続く見通しだ。業種グループ別では、2004年における景気のけん引役だった「機械金属関連製造業」で減速感(26.6→9.4)が目立つ。
また、販売価格見通しDI(「上昇」-「低下」)は1.1と小幅プラスにとどまる一方、仕入価格見通しDI(〃)は46.8と「上昇」超幅が50近くになっている。こうした取引条件の悪化を背景に、利益額見通しDI(「増加」-「減少」)は8.6と低い水準になっている。とりわけ、「機械金属関連製造業」では取引条件の悪化が著しく、採算的に厳しい見通しとなっている。
設備投資見通しDI(「増加」-「減少」)は▲0.7(前年9.0)と抑制傾向が強まっており、とりわけ「内需関連製造業」(▲4.1)や「非製造業」(▲5.2)で慎重となっている。雇用見通しDI(「増員」-「減員」)は5.6で、すべての業種グループのDIが前年調査を上回ってプラスとなっており、改善が続く見通し。資金繰り見通しDI(「改善」-「悪化」)やメイン金融機関の貸出態度見通しDI(「緩和」-「厳格化」)は、すべての業種グループでプラスとなっており、金融環境も緩和傾向が続く見通しだ。
一方、2005年に向けての不安要素(最大3つまで回答)としては、「国内の消費低迷・販売不振」、「原材料高・外注コスト高」、「人材の不足・育成難」などが上位を占めた。前年調査と比べると、「原材料高・外注コスト高」、「海外経済の減速」を挙げる企業割合が高まっている。また、2005年に注力する分野(〃)は、「営業・販売力の強化」、「販売価格の引上げ、コストダウン等」が上位を占める。