個人に対して、広告宣伝のための賞金を支払うときは、所得税を源泉徴収しなければならない。広告宣伝のための賞金とは、通常、1)懸賞クイズや大売出しの抽選の賞金・商品など、事業を営む個人や法人が製品や事業内容を広告宣伝するための賞金・商品、2)素人のクイズ番組や素人のど自慢大会の商品・賞金をいう。広告宣伝のために賞金を支払うケースは、テレビのクイズ番組に限らず、日常的にみられる。
こうした広告宣伝のために支払う賞金に対する源泉徴収すべき所得税額の算出方法は、賞金の額から50万円を差し引いた金額の10%である。つまり、支払う賞金額が50万円以下であれば、源泉徴収する必要はない。問題は、賞金を品物で支払う場合だ。この場合は、その品物を評価しなければならないが、その評価は、原則として、その品物の処分見込み価額となる。
例えば、貴金属や不動産などはその受けることとなった日の価額、株券などはその受けることとなった日の相場の価額、商品券やギフト券などはその券面価額となる。しかし、それ以外の普通の品物については、その品物の通常の販売価額の60%相当額が課税対象となる。源泉徴収した所得税額は、源泉所得税の納期の特例を受けている場合でも、支払った月の翌月10日までに納めなければならない。
なお、懸賞クイズや大売出しの抽選などで当選者等を旅行に招待する場合、旅行に代えて現金や品物を選ぶことができなければ、賞金には含まれないが、旅行に代えて賞金・品物を選択できるケースでは、その金品の価額が賞金額となる。また、交通安全の標語の賞金など、国や地方公共団体などが広報を目的として行うものは、この源泉徴収の対象となる賞金には含まれないこととされている。