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税務関連情報 (2004/07/23)

消費税引上げは顕著な財政改善の有効策~三菱総研

 5月に財政制度等審議会が「平成17年度予算編成の基本的な考え方について」を建議、6月には経済財政諮問会議が「骨太の方針2004」を公表した。これらに基づきつつ、2005年度予算編成作業がいよいよ本格化する。三菱総研では、2005年度予算について、そのあり方に関する考察や財政シミュレーションを行ったが、そのなかで消費税引上げは顕著な財政改善をもたらすとの結果を示した。

 社会保障改革については、年金(2004年)、介護(2005年)、医療(2006年)と見直し検討が目白押しであり、制度全般にわたる一体的な見直しが開始される予定だが、少子高齢化の進展は社会保障負担を確実に増加させる。公費負担の増大が予想されるなかで、その財源としての税制改革に言及すべきだとしている。増税は避けられないと考えるべきで、消費税率の引上げ、定率減税の廃止や各種所得控除の見直しなどの検討を期待している。

 財政シミュレーションについては、政府試算(今年1月)を基本シナリオとして、長期金利が2%上回る「金利上昇」、名目成長率が1%下回る「低成長」、社会保障費の上昇率が1%上回る「社会保障費増大」、2010年時点での消費税率を10%とする「消費税引上げ」という4つのシナリオを新たに推計した。今後改善が予想される国財政のリスク要因として、金利上昇、名目GDP成長率の低迷が挙げられるが、この場合には、財政赤字が横ばいないし拡大傾向をたどる。

 一方、消費税率の10%への引上げ(うち国税分は8%)は、国財政を顕著に改善させ、国の一般会計は2010年時点において、ほぼ基礎的財政収支(プライマリー・バランス)が▲0.6とほぼ黒字に到達する。改善効果は、他のリスクシナリオにおける悪化の程度をほぼ解消する規模にある。このことから、消費税増税は、財政改善の有効方策であることが示唆された、とシミュレーション結果を分析している。