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デリバティブ損失関連倒産、09年以降に急増

経営関連情報 - 2010年06月04日

 デリバティブ損失関連倒産が2009年以降急増している。帝国データバンクが発表した倒産動向調査結果によると、デリバティブ損失関連の倒産は、2003年~2008年にかけて7件だったものが、09年は9件へ増加、10年も4月までですでに8件発生した。07年までは資産運用的なデリバティブ取引から損失を計上するパターンだったが、08年後半からは為替取引に伴うデリバティブ取引で損失計上するケースが多発している。

 これは、為替取引のリスクヘッジのために、金融機関と契約した通貨オプション取引において、リーマン・ショック以降の急激な円高に伴い多額の損失を計上し、倒産に至ったもの。09年の9件中の6件、10年の8件中7件が、為替取引に伴うデリバティブ取引だ。これまでのデリバティブ損失関連倒産24件を業種別にみると、「水産関係」が8件でもっとも多く発生。特に10年の8件中6件が「水産関係」となっている。

 所在地別にみると、「東京都」が14件と圧倒的に多い。次いで「大阪府」と「北海道」がそれぞれ3件で続いているが、「北海道」の3件は全て水産関係だ。また、負債規模別にみると、「10億円以上50億円未満」が10件でもっとも多く、次いで「50億円以上100億円未満」が6件と続いており、主に中堅・中小クラスの企業がデリバティブ取引で損失を発生させ、行き詰まっている現状が浮き彫りとなった。

 中堅・中小企業で金融機関と契約したデリバティブ取引で損失が発生し、行き詰まっているパターンが多いことになるが、なかには金融機関との取引上、断り切れずに契約したケースもあるとみられている。帝国データバンクは、「昨今においても、欧州不安から円高基調で推移する可能性もあり、今後もデリバティブ損失の発生から行き詰まるケースが増える可能性がある」とみている。

 同倒産動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p100503.pdf