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調査対象の国内企業の3分の2が後継者不在

経営関連情報 - 2011年12月28日

 中小企業の現役社長の平均年齢は59歳7ヵ月と30年連続で上昇が続いており、事業承継がスムーズにできていない現状がみられる。帝国データバンクが、後継者の実態について分析可能な企業40万8954社を対象に実施した「後継者不在企業の実態調査」結果によると、今回の調査対象のうち、65.9%に当たる26万9488社が後継者不在であり、国内企業の3分の2は現時点で後継者が決まっていないという実態が明らかになった。

 後継者不在企業を地域別に分析すると、最も不在率が高かったのは「北海道」の71.8%、次いで「中国」の71.3%と、この2地域が70%を超え、以下、「近畿」68.6%、「関東」67.9%などとなった。一方、同族継承の土壌が強いといわれる「四国」では、不在率49.0%と全地域中唯一50%を割っている。早い段階で子息を後継者として育成し、同族での継承を意識する傾向が強いためとみられている。

 後継者不在企業を都道府県別にみると、「沖縄県」が不在率84.1%と47都道府県で唯一8割を超えており、次位の「広島県」(不在率75.2%)を10ポイント近く上回るなど、事業承継への意識が特に低い傾向にあるとみることができる。とはいえ、同県の社長の平均年齢は57歳9ヵ月と全国最年少であり、事業承継をまだ視野に入れていない企業が多いという側面もある。

 一方、「秋田県」(不在率74.2%)や「島根県」(同74.0%)は社長の平均年齢も高いため(秋田:61歳0ヵ月、島根:60歳8ヵ月)、後継者難が深刻であるとみられる。また、不在率が最も低いのは「和歌山県」の37.3%、次いで「佐賀県」の40.7%だが、不在率84.1%の「沖縄県」から最低の「和歌山県」まで、47都道府県で50ポイント近い差があることからも、事業承継には地域差や県民性が大きくかかわっているといえそうだ。

 後継者不在企業を売上規模別にみると、年商「1億円未満」の零細企業が76.3%と、4社に3社が後継者が不在だ。最も件数のウエイトが大きい「1億円以上10億円未満」の不在率は66.5%となり、今回の対象企業全体の8割を占める年商10億円未満の中~小・零細企業では、7割の企業が後継者問題を抱えている。また、年商「1000億円以上」の大企業では不在率29.3%と、大企業とはいえ3割は後継者不在であることが分かった。

 同実態調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p111206.pdf