中小企業の経営戦略の立案や中小企業の診断・助言などに役立つのは、中小企業庁が昨年から公表している「中小企業の財務指標」である。これは、国が中小企業の信用データベースとして構築したCRD(中小企業信用リスク情報データベース)のデータを活用して、今年公表したものは中小企業法人82万2407社の決算書(2004年1~12月決算期分)をもとに作成している。
今年公表された「中小企業の財務指標」によると、企業の収益性を分析する総合的な指標としては、総資本経常利益率(経常利益/総資本)があり、これはさらに、売上高経常利益率と総資本回転率という2つの視点に分けることができる(総資本経常利益率=売上高経常利益率×総資本回転率)。総資本経常利益率を業種別にみると、最高値は「情報通信業」の3.5%、最低値は「小売業」の0.7%となっている。
企業の安全性・信用リスクをみる自己資本比率は、「情報通信業」(21.3%)、「サービス業」(17.7%)において高く、「飲食・宿泊業」(1.4%)、「小売業」(7.4%)において低い。この自己資本比率を、創業年数別(創業期、中間期、老舗)でみると、「飲食・宿泊業」を除き、老舗が一番高い値となる。創業から老舗に至るまでの自己資本比率の改善幅をみると、「建設業」がトップで7.2ポイント、最低が「飲食・宿泊業」の▲2.6ポイントだ。
効率性をみると、売上債権回転期間は、「製造業」(66.7日)において大きく、「飲食・宿泊業」〈3.0日〉、「不動産業」(4.2日)において小さい。また、買入債務回転期間は、「卸売業」(42.6日)、「製造業」(28.1日)において大きく、「不動産業」(2.1日)、「飲食・宿泊業」(8.4日)において小さい。回転期間差(買入債務回転期間-売上債権回転期間)は、「情報通信業」(▲40.8日)、「製造業」(▲38.6日)はマイナス値が大きい。
「中小企業の財務指標」の概要版は↓
http://www.chusho.meti.go.jp/koukai/chousa/zaimu_sihyou/download/H18zaimu_sihyou_gaiyou.pdf