不服申立て制度は、納税者が国税当局の処分に不満があるときに、税務署等に対し異議申立て、国税不服審判所に対し審査請求を行うという行政上の救済制度だ。この不服申立て制度が、行政不服審査法(行審法)の見直しに伴い、2008年度税制改正において改正される。具体的には、(1)「異議申立て」を「再調査請求(仮称)」に名称変更、(2)不服申立て期間を処分があったことを知った日から3月(現行2月)以内に延長などだ。
現行では、異議申立てと審査請求との2つの不服申立て制度があり、審査請求に際しては、青色申告に係る更正に不服がある場合など、所定の場合以外には、原則として、異議申立てを経ずには審査請求をすることができない。そこで、簡易迅速な手続きにより納税者の権利利益の救済を図るために、現行の異議申立て制度は廃止し、原則として審査請求に一元化する考えだ。
しかしながら、現行制度では、異議申立ての段階において、権利救済が行われる場合や納税者が課税処分に納得する場合もあり、異議申立てが権利救済の手段として機能している面もあることから、不服申立ての基本構造の例外として、新たに「再調査請求(仮称)」を創設する。改正案では、再調査請求についての決定を経ずに審査請求することができる期間を2月として、現行制度の3月から短縮する。
昨年7月、行政不服審査制度検討会が行審法等見直しの最終報告を公表し、今月18日から始まった通常国会において、同報告に基づき行審法の改正案が審議される。今通常国会で成立した場合でも、同報告では施行日について「改正行審法の公布から施行まで、少なくとも2年以上の十分な準備期間が必要」としているため、行審法の見直しに伴い改正される不服申立て制度を規定する国税通則法の施行日も、同様の規定となる模様だ。