帝国データバンクがこのほど発表した全国企業の法的倒産(負債1千万円以上)状況によると、8月の倒産件数は754件で前月比11.7%(79件)増と2ケタの増加率を示した。6月(794件)以来2ヵ月ぶりの700件超えとなり、7月は同▲15.0%と減少となったものの、5月(前月比1.5%増)、6月(同29.3%増)と倒産は増加傾向にあり、帝国データバンクでは、「倒産は底打ちの兆しを見せている」と判断している。
8月の負債総額は3280億5300万円で、前月比では▲21.4%の減少となった。平均負債額は4億3508万円と5億円を割り込む低水準。月中、負債1000億円以上の大型倒産は発生せず、負債100億円以上は5件(前月7件)、同50億円以上は10件(同13件)となり、大型倒産の沈静化傾向がつづいている。件数では「5000万円未満」が285件、構成比37.8%でトップとなっている。
現在、景況感の回復を背景に前向きの経営を志向する企業が増えているなか、業容拡大に対応した資金手当てができずに倒産するケースが散見されるなど、倒産の質が不況期のものと比べて変化しつつあるとみている。帝国データバンクでは、「長期的なトレンドの変化を判断するには時期尚早であり、しばらく時間を要するものの、倒産は底打ちの兆しをみせている」との見方を示している。
また、倒産の内訳をみると、民事再生法が減少を続けているが、これには「大規模企業は私的整理、中小企業は破産処理」という実情が反映されていると指摘。不良債権処理が一巡して再生対象となる企業が減っていることも、民事再生法減少の大きな要因となっていることから、再建型の目立った大型倒産が発生していないが、一方で中小企業の破産による倒産は増加しているとみている。