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税務関連情報 (2004/12/22)

40年以上の歴史を持つ「税務援助」の見直しに着手

 確定申告期に税務署などの会場で税理士が申告相談などに応じる「税務援助」は、40年以上の歴史を持つ。税理士業務が社会的・公共的性格を持つことから、無償または著しく低い報酬で小規模零細納税者を対象に税務に関する諸々の援助業務を行ってきた。ところが、最近の確定申告相談をはじめとする税務援助業務では、還付申告者が大半を占め、税理士法が定める税務援助と乖離が生じているとの指摘があった。

 そこで、日本税理士会連合会では、現行の「税務援助」の見直しに着手。同会が検討を進めている「新時代における税務援助のあり方(案)」では、すべての税理士が税務支援に従事することを明記し、新しい事業の柱として「税務援助事業」と「税務指導事業」の2つに分けることとしている。今後、諸規定を整備し、来年の総会に諮ったうえで施行する予定だ。

 「税務援助事業」は、消費税法の改正に伴う課税事業者の大幅な増加に対応することが前提。税理士が関与していない小規模納税者が対象となり、前年分所得300万円以下を基準とする。これらの小規模納税者が消費税課税事業者である場合は、基準期間の課税売上高3千万円以下が基準となる。課税事業者は、帳簿などによって、課税売上高・課税仕入高・業種区分が明確に把握できることが必要だ。報酬は原則として無償とされている。

 一方、「税務指導事業」は、税務援助対象者以外の事業者・給与所得者・年金受給者などで、税理士会が地域の実情その他を考慮して税務指導を必要と認める者で、税理士が関与していない納税者が対象だ。報酬は原則として無償だが、税理士会が必要と認めれば、著しく低い報酬額にすることもできる。所得が高額な事案や複雑な事案については、納税者の意思を確認したうえで、税理士関与に移行させる。

 ほかでは、税務援助や税務指導への税理士の平均従事日数は、合計で1.5日を目安とすることなどが検討されている。