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税務関連情報 (2004/04/21)

一律7年となった帳簿書類の保存期間に注意!

 2004年度改正では不動産の譲渡所得課税の税率を下げる一方で譲渡損失の損益通算を廃止するという“あめとムチ”的な改正があった。もっともムチがひどすぎると批判が強いが、“あめとムチ”的な改正のひとつに欠損金の繰越控除期間の延長がある。法人の青色欠損金の繰越期間が5年から7年に延長された。延長の対象は、新規発生の欠損金だけでなく、2001年度以後に発生した既存の欠損金についても適用される。

 これまでは、欠損発生後、5年間で失効していた欠損金を6年目、7年目の所得と相殺できるのだから企業にとっては大歓迎の改正である。ところが、この繰越期間の延長に伴い、帳簿書類の保存期間が一律7年に、また、欠損金額にかかる更正の期間制限が5年から7年に延長され、脱税以外の場合の過少申告に係る更正の期間制限も3年から5年に延長されているのだ。

 長期間にわたって更正決定の対象となりうるわけだから、結構厳しい改正だが、正しい申告を心がけている納税者にはとってはなんということはないものだ。しかし、帳簿書類の保存期間の延長はかなりの負担となる。繰越期間の延長が2001年度以後にさかのぼって適用されることから、2001年4月1日以後に開始した事業年度に係る帳簿書類から一律7年の保存期間が求められる。

 これまで、5年間保存すればよかった契約書・請求書・注文申込書・見積書など(大法人は従来も7年)や、棚卸資産関係の納品書・送り状・貨物受領書などの保存期間が7年間となる。注意が必要なのは、今年4月以後に開始する事業年度に係る帳簿書類からではなく、上記のように2001年度にさかのぼって適用されることだ。なお、過少申告に係る更正の期間制限の延長は2004年4月1日以後に法定申告期限等が到来する法人税についての適用となるので、ご安心?を――。