ITバブル以降減少を続けていた1企業あたりのIT投資額が4年ぶりに増加に転じたことが、経済産業省が発表した2003年度情報処理実態調査結果(有効回答数4491社)によって明らかになった。2002年度における1企業あたりのIT投資額は9億2854万円で前年同期比15.6%増となり、99年度以来4年ぶりの増加となった。この背景には、2003年度税制改正で創設された「IT投資促進税制」の影響もあるようだ。
上記調査では、IT投資促進税制の自社IT投資への影響についても調べているが、調査時点が制度施行後の決算前の今年1月にもかかわらず、「すでに影響を与えていると思う」が15.8%、「現段階では影響を与えていないが、本税制の適用期限までには影響を与えると思う」が39.5%など、影響を与えると考えている企業が合計で55.3%と半数を超えていた。
38.6%の企業が「影響を与えていないと思う」と回答しているが、その主な理由として、「IT投資は中長期的計画により決定されている」(23.8%)に回答が集まった。特に従業員規模が大きい企業ほどその割合が高く、従業員規模の小さい企業では、「ほかに優先的に投資すべき事業がある」や「IT投資する資金的余裕がない」、「そもそもIT投資をする必要がない」との回答割合が高い。
確かにIT投資は数年後先を見越して計画を立てることから、本調査時点の1月ではその影響をみるには早すぎるが、それにもかかわらず、半数以上の企業に影響を与えている結果となった。それにも増して、現在の経営環境は、大企業だけでなく中小企業も好転しつつある。IT投資を活用した積極的な事業展開を目的に、IT投資促進税制の利用がさらに進む可能性は大きい。
なお、IT投資促進税制は、昨年1月から2006年3月末までの3年間内に購入したコンピュータやソフトなど一定のIT関連設備の購入費用について、取得価額の10%相当額の税額控除と取得価額の50%相当額の特別償却との選択適用を認めるもの。