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日商、グループ法人税制による課税強化に断固反対

税務関連情報 - 2009年10月16日

 財務省と経済産業省は共同で今年7月、「資本に関係する取引等に係る税制についての勉強会」の論点を公表し、親会社及びその100%子会社をグループと捉え、一体的に税制措置を講じる「グループ法人税制」(仮称)の導入を提示した。日本商工会議所は、このほど発表した2010年度税制改正に関する要望のなかで、グループ法人税制導入による中小・中堅企業への課税強化には断固反対との考えを表明した。

 論点では、所得通算を行う選択制の「連結納税制度」の見直しの方向性とともに、所得通算を行わない強制適用の「グループ法人単体課税制度」(仮称)の方向性が示されている。グループ法人税制は、所得に関しては現行の単体企業ごとの納税方式を維持する一方、グループ企業間の取引については、連結納税制度と同様、1000万円以上の資産の譲渡取引の譲渡損益の繰延べや子会社からの受取配当は全額を益金不算入とする。

 併せて、親会社が資本金1億円超の場合は、子会社の中小特例(法人税の軽減税率、交際費の損金算入特例等)が不適用となる措置なども講じられる。こうした方向性に対し、日商は、(1)親会社が中小・中堅規模(資本金10億円以下)の企業の場合は、断固「選択性」とすべき、(2)親会社が中堅規模(資本金1億円超10億円以下)の企業の場合は、子会社の中小特例を、断固維持すべきことを強く要望している。

 日商は、中小・中堅企業は連結決算を行っていることは稀で大企業とはグループの事情が異なることや、「グループ法人単体課税制度」が「連結納税制度」より厳しい内容となるのは不適当であることから、「選択性」とすべきこと、また、子会社の中小特例の不適用は、子会社の財務基盤を徒に毀損し、投資や販路拡大、地域経済の活性化やわが国の経済発展の大きな障害となる、との反対理由を示している。

 日商の税制改正の要望の詳細は↓
 http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/091008zeisei.pdf