終身雇用・年功序列型の人事制度の崩壊で、従業員の長期的なキャリアに対する関心度が高まっている。労働政策研究・研修機構がこのほど発表した「教育訓練とキャリア相談に関する調査」結果(有効回答数:民間企業103社、単組38組合、事業主団体51団体、産別24組織)によると、企業の61.1%、労組(単組)の55.2%が「ここ5年間で、従業員の長期的なキャリアに対する関心度が高まっている」と回答している。
ただし、企業の95.1%、労組(単組)の94.7%が「キャリア設計は、これまで以上に従業員自身で考えてほしい」と回答した。企業調査によれば、従業員に対するキャリアの相談やコンサルティング(キャリア・コンサルティング)について、3割弱が「できている」としているものの、「あまりできていない」(58.3%)、「まったくできていない」(12.6%)を合わせ約7割が「できていない」と回答している。
キャリア・コンサルティングの役割を主に誰が担っているか(複数回答)については、「現在」「将来」とも、「上司」(「現在」88.4%、「将来」82.5%)、「人事部門」(同60.2%、68.0%)とする答が多い。特徴的なのは、「将来」の社内外のコンサルティングの活用で、「社内の専門家」は、現在の5.8%に対し、将来は47.6%と非常に高く、「社外の専門家」も現在の1.9%に対して、将来は31.1%と高くなっている。
なお、企業調査で、教育訓練の責任が会社にあるか個人にあるかを尋ねた結果、「これまで」は、教育訓練の責任主体は企業と考えているのが約7割にのぼるが、「今後」については、企業の責任とする答が49.5%と「これまで」に比べ21.4ポイントも低下。個人の責任とする答が48.6%と20.5ポイント高くなって、企業責任と個人責任がほぼ拮抗している。