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税務関連情報 (2007/05/02)

明確化を図る執行役員就任に伴う退職手当の取扱い

 国税庁は4月27日、使用人から執行役員への就任に伴い退職手当等として支給される一時金の取扱いの明確化を図るため、所得税基本通達等の一部改正案を公表し、同日から5月28日まで広く意見を公募している。執行役員制度については、法令上にその設置の根拠がなく導入企業によって任意に制度設計ができることから、権限や義務の有無が必ずしも明確でないなどその法的な位置づけがばらばらとなっている状況にある。

 こうした中、国税庁は、これらの執行役員制度導入企業において、使用人が執行役員に就任する際にその者に対し退職手当等として一時金を支給するケースが見受けられることから、その一時金について、所得税基本通達の改正により退職所得として認められるものを例示し、取扱いの明確化を図ることとしたものだ。

 改正案によると、使用人からいわゆる執行役員に就任した者に対し、その就任前の勤務期間に係る退職手当等として一時に支払われる給与(その給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上、その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われる給与に限る)のうち、例えば、一定要件のいずれにも該当する執行役員制度の下で支払われるものは、退職手当等に該当するとしている。

 一定要件は、1)執行役員との契約は、委任契約またはこれに類するもの(雇用契約等は含まない)であり、かつ、執行役員退任後の使用人としての再雇用が保証されているものではないこと、2)執行役員に対する報酬、福利厚生、服務規律等は役員に準じたものであり、執行役員は、その任務に反する行為または執行役員に関する規程に反する行為により使用者に生じた損害について賠償責任を負うこと、である。

 なお、この例示以外の執行役員制度の下で支払われるものであっても、個々の事例の内容から判断して、使用人から執行役員に就任したことについて、勤務関係の性質、内容、労働条件などにおいて重大な変動があって、形式的には継続している勤務関係が実質的には単なる従前の勤務関係の延長とはみられないなどの特別の事実関係があると認められる場合には、退職手当等に該当することに留意する、としている。