成果主義に象徴される新賃金体系の導入の進展により、既存の賃金統計が実感の薄いものになりつつある。そこで、社会経済生産性本部では、従来の年功基準に代わる職種別の賃金情報の整備を目的に「能力・仕事別賃金実態調査」を2003年度に引き続き実施、ホワイトカラー18職種の職種別賃金を全国調査し、このほど2004年度版としてその調査結果(有効回答数739社)を発表した。
それによると、資格等級別の賃金相場は、小規模企業に比べ大規模企業のほうが賃金水準は高いが、上位の資格等級になるほど、その格差は拡大する傾向にある。「部長クラス」の平均賃金は55.9万円だが、「1000人以上」の大企業は69.2万円、「100人未満」の小企業は49.4万円とその格差は約20万円。「係長・主任クラス(一般職最上位)」の平均賃金は34.0万円で、大企業39.1万円に対し小企業30.8万円と格差は約8万円となっている。
職種別賃金相場は、資格等級に照らし、「営業職1(新規開拓)」は6.7等級相当、「事務アシスタント」は3.9等級などと位置付け、その結果を上記の資格等級別賃金相場と組み合わせることで、営業販売関連6職種、システムエンジニア関連6職種、事務企画関連6職種の計18職種の「職種別賃金相場」を導き出している。その結果、「事務職アシスタント」と「経営企画職」は企業規模に関係なく同一の賃金水準だが、その他の職種では企業規模が大きくなるほど賃金水準が高くなっている。
また、年功から能力・仕事基準の人事賃金制度への移行期の現状を把握するため、資格等級別の年齢構成を調査。その結果、例えば「一般職1」では平均年齢35.4歳だが、最高年齢50.7歳、最低年齢26.0歳など、同一資格等級に多様な年齢の社員が属していることから、年功的な昇格昇進管理は崩れていることがうかがえる。つまり、年齢ポイント別の平均賃金はもはや実感の持てない賃金情報ということができると指摘している。
調査の詳細は↓
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-top3.html