この8月1日から施行されたLLP(有限責任事業組合)制度は、民法上の組合に有限責任を取り入れた新しい事業体の設立が可能になる制度として話題となっている。従来の民法組合は、事業体に法人課税をしないパススルーが認められる一方で、無限責任であることから出資者にとってはハイリスクな制度となっていた。LLPでは、出資額の範囲までしか責任を負う必要がないので、リスクの高い事業に取り組みやすくなる。
LLPは法人格を持たないことから構成員課税となる。構成員課税とは、組織段階では課税せず、出資者(組合員)に直接課税する仕組みである。その効果としては、LLPの事業で利益が出たときは、LLP段階で法人課税はされず、出資者への利益分配に直接課税されることが挙げられる。また、損失が出たときは、出資価額を基に定められる一定額範囲内で、出資者の他の所得と損益通算することができる。
構成員課税であることから、LLPの事業に係る税務申告は、各組合員が事業年度ごとに行う必要がある。組合の会計帳簿を作成した組合員は、組合の計算期間が終了する日が属する年の翌年1月末までに、各組合員の所得に関する計算書を税務署に提出しなければならないとされている。
なお、LLPでは、損益を分配しないで組合財産として内部留保しておくことは可能だ。ただし、組合財産として留保するかどうかにかかわらず、組合事業から生ずる損益はすべて組合員に帰属し、税務上もこれに応じて各組合員において課税されることになる。また、LLPでは、設立時に貸借対照表を作成し、毎事業年度ごとに、貸借対照表や損益計算書及びその附属明細書の作成が義務付けられている。