新規開業企業は経営基盤が不安定なことなどから、開業後一定期間を経過した企業に比べ事業継続率が低い傾向にある。そこで、大阪府立産業開発研究所は、府内に本社を置く2001年以降に開業した企業を対象に「新規開業企業の成長要因と支援施策に関する調査」を実施したうえで、経営基盤が不安定な開業時期を企業が生き残り成長するカギを示す「新規開業企業実態調査報告書」として取りまとめ公表した。
報告書は、調査結果を踏まえて開業期の企業における成長要因として、1)開業者の開業時の年齢が若いこと、2)企業経営の経験や斯業経験があること、3)異業種の経営者などのメンター(助言者、支援者)がいること、4)最大販売先が以前の勤務先など開業前からの関係先であること、5)開業時に自己資金(親族、友人を含む)が豊富であること、6)開業者の経験を活かせる分野で開業していること、と分析している。
こうした分析結果から、開業者に求められることとして、1)開業者が企業経営や斯業の経験が豊富な場合は順調に成長している傾向がみられたが、経験が不足する開業者は、実務経験を積むほか、業界紙や各種セミナーを通して知識の習得に努めること(「経営資源・経営知識の習得」)、2)開業者は、業種や世代に関係なく幅広い人脈を構築すること(「人的ネットワークの構築」)を挙げた。
さらに、3)開業者は、既存の人脈を活用して短期的な経営安定を確保すると同時に、市場の状況や自社の営業活動の内容などを十分に理解し、積極的に「新規顧客の獲得」を目指すこと、4)開業者は、円滑な資金調達のため、政府系金融機関などの制度融資について理解を深め、十分な準備を進めていくこと(「十分な資金の確保」)を、不安定な開業期を乗り切るためのカギとして求めている。
同報告書の概要は↓
http://www.pref.osaka.jp/aid/chosa/06-104/06-104-gaiyo.pdf