日本経済回復のカギは「福島第一原発事故の収束」
経済同友会が実施した景気定点観測アンケート調査結果(有効回答数260人)のトピックスによると、被災地にある自社拠点やサプライチェーンにある企業が被災したために影響を受けた事業活動の回復の状況・見通しについて、「回復済み」(33.6%)と「1ヵ月以内~4ヵ月後までに回復」(26.4%)を合わせると60%、さらに「事業活動への影響はなかった」(21.0%)を加えると、81%が震災の影響がなかったか、既に立ち直っている。
しかし、日本経済の回復について、現時点で不確実性が高いと考えられることは、「福島第一原発の事故の収束」(88.7%)、「電力供給体制の改善」(77.0%)の割合が大きい。一方、東京電力、東北電力管内でピーク時の消費電力を前年比15%削減する政府目標については「既に達成の目途がついている」が61.0%、目標達成による生産量または売上げへの影響ついては「変わらない」が70.1%だった。
電力供給の安定化のために今後取り組むべきこと(2つまで回答)では、「太陽光発電などの代替エネルギーの利用拡大」(50.2%)がトップとなったものの、「原子力発電所の安全性基準を強化した上での稼動継続」が48.6%を占め、地球温暖化対策を含め多くの経営者が現実的対応を求めていることが分かる。この他の対策としては、「東日本と西日本との電力融通を容易にする周波数の統一」が30.5%あった。
震災復興に向けて政府が迅速に取り組むべき重要課題(2つまで回答)は、「早期の復興計画策定とそれを踏まえた第二次補正予算の編成」(79.1%)、「福島第一原発の事故の収束」(70.1%)が、また、日本経済を成長軌道に乗せるために優先すべき政策課題(同)では、「税と社会保障の一体改革」(65.9%)、「TPPの交渉への参加、EPA・FTAの締結、WTOドーハ・ラウンド交渉の並行的推進」(61.2%)の割合が大きかった。
同調査結果の詳細は↓
http://www.doyukai.or.jp/bizactivity/articles/2011/pdf/110614.pdf