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税務関連情報 (2004/08/25)

千葉・市川市、納税者が選ぶ市民活動支援制を導入

 千葉県市川市では、ボランティア団体やNPOなどの団体に、納税者の選択で個人市民税の納税額の1%相当額を支援することができる「市民活動支援制度」を導入することで検討を進めている。実現すれば全国初の試みとなる。同制度は、市民活動の活性化と納税者意識の高揚を目的とするもので、早ければ12月市議会に条例議案を提案し、来年4月から実施したい考えだ。

 支援対象となる市民団体の活動は、福祉・環境・文化・スポーツ・青少年育成など、営利を目的としない公益的な活動に限られる。納税者は、市の広報やホームページなどから、支援したい団体をひとつ選び、市の広報特集号に印刷されている返信用封書に所定事項を記入して、個人市民税納税通知書(特別徴収の場合は税額通知書)のコピーを同封して送付する。

 市では、納税者から返送された結果を集計し、納税者が支援したいと選んだ団体には、それらの納税者の個人市民税額の1%相当額が累積されて支援金として交付される。ただし、団体に交付される支援金総額の上限は、その活動にかかる事業費の2分の1を限度としている。支援金は、学識経験者や公募市民からなる「市民活動支援制度審査会」において、納税者の選択結果に基づく支援金の可否の審査を経て交付される。

 市川市の人口は約46万人、個人市民税の納税者は22万人で、年間の市民税総額は298億円にのぼる。すべての納税者が支援団体を指定すれば3億円近い配分額となるが、来年度の予算編成は同制度施行前の3月議会で決まるため、実際にはその予算額を限度に市民団体に配分されることになりそうだ。

 同制度は、ハンガリーが96年に制定した、所得税の1%を納税者が選んだNPOなどに配分する「1%法」を参考にした仕組み。市川市以外にも、長野県や東京都足立区が検討中だが、実施されてはいない。