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「資本的借入金」を用いた再生手法の活用を発表

経営関連情報 - 2008年10月03日

 中小企業の再生を図るうえで、既存の融資を劣後ローンに切り替える手法(DDS)は厳しい経営環境にある中小企業の体力強化や財務体質の改善のために有効な手法の一つ。中小企業庁は3日、同日金融庁が金融検査において資本とみなすことができるDDSの要件を金融検査マニュアル等で明確化したことを受けて、中小企業再生支援機構の再生計画策定支援において、「資本的借入金」を用いた再生支援手法を今後活用すると発表した。

 金融庁は、「金融検査マニュアル」等を改訂し、一定の要件を満たしたDDSを通じて生じる劣後ローンについては同庁における検査において「十分な資本的性質が認められる借入金」として自己資本とみなすことができるとの見解を示した。一方、協議会が再生計画策定支援をした中小企業に対する民間金融機関の融資に関しては、貸出期間・適用金利・償還順位などの一定の条件を満たせば、資本的借入金に該当する。

 一定の条件とは、(1)貸出期間は15年一括償還とし、原則として当初10年間は期限前弁済を禁止する、(2)適用金利は年0.4%程度で、当初5年間は固定金利とする、(3)償還順位は、法的倒産の開始決定時に、他のすべての債権(本資本的借入金と同条件のものを除く)に劣後、他のすべての債権が弁済された段階で償還請求権が発生する、など。その他、金融機関と債務者の間で双方合意のうえ締結されていることなどがある。

 協議会は、この協議会版「資本的借入金」を必要に応じて再生計画案に盛り込むことで、金融機関等の債権者に対する支援要請のひとつの手法として活用する考えだ。民間金融機関が既存の融資を資本的劣後ローンに転換することにより、過大な債務で苦しむ中小企業の体力を強化し、再生支援を図ることができるようになることから、今後、協議会による中小企業再生支援業務において、広く活用されることが期待される。