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税務関連情報 (2005/06/27)

地方税を中心に拡大される寄附金控除

 公益法人やNPO法人などによる民間非営利活動の重要性が高まるなかで、寄附金控除制度が拡充される方向にある。政府税制調査会が17日に公表した新たな非営利法人制度に係る税制見直しに関する報告書のなかでは、民間の公益的な非営利法人を資金面で支援するため、寄附金税制を抜本的に見直し、特に、所得税と比べ対象範囲が限定されている地方税(個人住民税)を中心に寄附金控除を拡大する方針が示された。

 国税における寄附金税制については、「公益性を有する非営利法人」を寄附金優遇対象法人に加える。寄附金控除については、所得税の現行1万円という適用限度額の引下げや、法人税における公益目的の寄附金に係る損金算入枠を拡充する方向で見直す。他方、一般寄附金については損金算入枠を縮小する。その際、損金算入対象の範囲を限定するか、一定限度内であっても一部を認めないなど、利用実態を踏まえ見直す考えだ。

 一方、個人住民税については、「地域社会の会費」であり広く負担を分任するという性格などを踏まえ、1989年までは寄附金控除の仕組みは設けられていなかった。現在でも、住所地の都道府県共同募金会・日本赤十字社支部、都道府県・市区町村に限定されており、公益法人や認定NPO法人に対する寄附は対象外だ。また、適用下限額が10万円、控除限度額が25%と、所得税とは大きく異なる制度となっている。

 しかし、近年、非営利法人などのなかには地域に密着した活動を行うものが多くなってきていることから、これらの非営利法人等については、歳出などによる支援のほか、地方税においても寄附金控除が可能になるよう見直していく。10万円の適用下限額も大幅に引き下げる。ただ、寄附金控除の仕組みについては、基本的には条例などにより地方の事情に合わせ独自に構築されるべきだとして、地方の裁量に任せる方針だ。