2003年09月29日-002
東商、減損会計導入でデフレ加速の懸念など表明
固定資産の減損会計は2006年3月期からの導入が予定されており、8月1日には企業会計基準委員会がその会計基準の適用指針案を公表し、パブリックコメントを求めた。これを受けて東京商工会議所はこのほど、適用指針の詳細などについて再度検討した結果を要望書にまとめ、デフレ加速への懸念や税法との不一致を指摘し、経済に与える影響が非常に大きいことから慎重かつ多面的に検討すべきだとの考えを表明した。
要望書では、まず固定資産の評価方法としての妥当性への疑問を呈している。固定資産は中長期的に保有することで企業の多面的な事業活動を可能にする性質を持つ資産だが、指針案で提示された減損の兆候や減損損失の認識などの評価方法は、短期的要因や不確実性を前提としたもので、その妥当性に疑問を持つとしている。
他方、減損会計の導入は、土地などの不動産価格の下落を損失計上に直結させ、企業の損益に大きな影響を与えるため、結果として資産デフレのさらなる加速につながる可能性が高いとの懸念を示している。
また、現行の法人税法では減損会計の適用による減損損失の損金算入は認められていないと指摘。企業会計上、損失の計上が強制される一方で税負担は軽減されないとなると、税務会計と企業会計との二重計算による過度な実務負担の増加が懸念されるとしている。税制上は固定資産を売却して実現損失として損金算入をするほうが有利となり、企業は減損対象の固定資産の処分を急ぐ。買い手がほとんどいない現状では不動産市場が機能しなくなる恐れがあることも、減損会計導入を懸念する理由のひとつとして挙げている。
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