2008年分所得税等の確定申告では、所得税の申告書提出件数が2369万3千件にのぼり10年連続で過去最高を更新、うち、還付申告者数は1283万6千人と4年連続で過去最高を更新するなど、納税者が増加傾向にある。こうした年々増加する納税者数への対応として国税庁は、確定申告の基本方針として「自書申告」を推進しており、そのためのIT(情報技術)を活用した施策に積極的に取り組んでいる。
国税庁のホームページ上で申告書が作成できる「確定申告書等作成コーナー」やe-Taxなど、ITを利用した所得税の確定申告書の提出人員は807万7千人にのぼり、2007年分より34.6%増加し、所得税の確定申告書の提出人員(2369万3千人)に占める割合は34.1%にまで上昇している。2007年分からは税務署に訪れる納税者にも利用できるように、相談会場にパソコンを設置したことが、IT利用を促進させた。
署でのIT利用は、パソコンで申告書を作成して「e-Tax」が331万人、同「書面での提出」が49万8千人の計380万8千人と前年度に比べ37.7%増。また、自宅などでのIT利用は、「HP作成コーナーで申告書を作成して書面での提出」が197万7千人、「同e-Tax」が35万9千人、「民間の会計ソフトで申告書を作成してe-Tax」が193万3千人の計426万9千人と同32.0%増となり、ともに大幅に増加した。
一方、全国拡大後5回目の確定申告となるe-Tax(国税電子申告・納税システム)は、(1)最高5000円の税額控除、(2)添付書類の提出省略、(3)書面提出に比べ還付金を早期還付、などのメリットを積極的に広報するなどの普及拡大に努めた結果、所得税の申告件数が前年の363万4千件から560万2千件へと54.2%の大幅増加となった。これは、所得税の確定申告書の提出人員全体の23.6%にあたる。
このように、ITを活用した施策を推進する一方で、今年で6回目となる閉庁日における申告相談を2月22日と3月1日の日曜日に、228税務署を対象に、税務署のほか合同会場や広域センターにおいて実施。これらの会場における両日の相談件数は前年比4.7%減の17万8千件、申告書収受件数は0.8%減の25万6千件と、ともにやや減少したものの、高水準を保っており、閉庁日対応の効果がうかがえる結果となった。