経済広報センターが1月に実施した「生活者の“企業観”に関する調査」結果(有効回答数(2055人)によると、生活者の企業に対する信頼度は、「信頼できない」との回答が34%で、「信頼できる」(26%)を上回った。この1年間で企業に対する信頼度は、「高くなった」は4%に過ぎず、「特に変化はない」が50%となっている一方、「低くなった」との回答が昨年度より32ポイントと大幅に増え46%に達した。
多くの生活者の間で信頼度が下落しており、1997年度の調査開始以来、信頼度の下落幅が最大となった。2007年には「食の安全問題」や「偽装表示問題」などの企業不祥事が続出したことが影響した。信頼を勝ち得ていくための方策としては、「商品・サービスの高い質を維持する」と「企業倫理を確立し、不祥事を起こさない」がともに58%でトップとなった。本業の活動の重視とともに、「企業の倫理」の確立が強く望まれている。
企業不祥事の原因については、「経営者の姿勢(倫理観)や経営方針に問題」が69%とトップ、次いで「企業の一部に古い制度や慣習が残っていて、社会全体の変化に追いついていない」が56%で続いた。企業経営が企業を取り巻く環境変化に十分対応し切れていないとみられている。不祥事防止のための具体策では、「経営者が自ら先頭に立って倫理観の醸成、法令順守を徹底する」(68%)がトップとなった。
一方、企業を評価する際に「非常に重要」とする回答割合は、「商品・サービスの高い質を維持していること」では65%となり、他の項目を大きく引き離している。企業は本業に徹し、まず商品・サービスの「質」を充実させることが強く求められている。次いで「企業倫理が確立され、不祥事が起きていないこと」(57%)、「不測の事態が発生した際に、適格な情報を発信している」(53%)が5割を超えた。
また、企業にとって今後特に重視すべき関係者としては、「最終消費者」(75%)と「従業員」(74%)との回答が多い。続いて商品・サービスで直接かかわりのない「生活者(一般国民)」(50%)が続くが、「地域社会」や「ビジネスユーザー(取引先など)」への注目度合いは低下している。商品・サービスを購入する際に重視する点は、「商品・サービスの質を優先して決める」が前年より4ポイント低下したものの、74%と圧倒的に多い。
同調査結果の詳細は↓
http://www.kkc.or.jp/society/survey/enq_080424.pdf