今年の2004年分の確定申告では国税電子申告・納税システム(e-Tax)が初めて全国で利用可能となったが、国税庁のまとめでは3月末現在で所得税申告が1万8694件、個人事業者の消費税申告が3030件の合計2万1724件だったことがわかった。昨年の確定申告で試行的に行われた名古屋国税局では、所得税申告が2482件、消費税申告が488件だったことに比べ、全国で利用可能となった割には物足りない数字といえる。
e-Taxを利用するためには税務署に開始届出書を提出して承認を受ける必要があるが、これまでの累計提出件数は5月12日現在で個人は4万8537件(法人は4万109件)だった。このうち、実際に所得税でe-Taxを利用した件数は5月2日現在で2万1223件と半数に過ぎない。電子申告開始届出書は提出したものの、様々な理由で利用を断念したケースが多いと推測できる。
現状のe-Taxに対する不満点として、「添付書類は郵送などで別送しなければならないため二度手間」や「利用時間が平日の午前9時から午後9時までに限られ受付終了時間が限られている」、「プログラムに問題があり実用的でない」などの意見がよく聞こえてくる。そこで、e-Tax普及のために「電子申告控除(例えば5万円控除)」など利用することのインセンティブを設けてはどうかとの声もある。
まだまだ不満は多いが、改善次第では普及が加速する可能性もある。それは、今年の確定申告において国税庁のホームページへのアクセス件数が、「確定申告書等作成コーナー」を中心に1024万件にのぼり、昨年から倍増したことだ。ブロードバンドの普及などでインターネット環境が大きく向上したことが、この大幅増加に結びついた。e-Taxが普及する背景は十分整っているといえる。あとは、利用者の要望に応える努力だろう。