2011年の経営見通し、2年連続改善も厳しさ続く
信金中央金庫が昨年12月に実施した「2011年の景気見通しに関する特別調査」結果(有効回答数1万3723社)によると、2011年のわが国の景気見通しについては、「良い」と回答する割合が3.5%、「悪い」が83.3%となった。この結果、DI(「良い」-「悪い」)は▲79.8と、1年前に比べて9.6ポイントの改善となった。改善は2年連続だが、依然として景気の見通しは厳しいとの回答が大勢を占めている。
こうした傾向は、地域別では大きな差はみられなかったが、従業員規模別では、「20人未満」の企業では軒並み▲80を下回ったのに対し、「100人以上」の企業では▲60台となっており、規模間でやや格差がみられた。また、2011年の自社の業況見通しを「良い-悪い」でみると、1年前の調査と比べて15.7ポイント改善して▲57.0となった。景気見通しと同様、2年連続の改善となったものの、全体としては厳しい状況が続いている。
2011年の自社の売上額見通し(伸び率)を「増加-減少」でみると、1年前の調査に比べて18.4ポイント改善の▲25.2%となった。従業員規模別にみると、前年と比べて全ての規模でマイナス幅が縮小。特に従業員「40人以上」の比較的大規模な企業では「増加」との回答企業が「減少」を上回るか拮抗しており、売上がほぼ下げ止まりつつあることがうかがえる。対照的に「4人以下」の小規模企業では、いまだに売上の見通しは厳しい。
自社の業況が上向く転換点については、「すでに上向いている」とする回答割合が7.1%と、前年から2.4ポイント上昇した。一方で、「業況改善の見通しは立たない」とする回答割合も前年から4.0ポイント上昇の29.9%となっており、業況の見通しが分かれる結果となった。従業員規模別では、昨年同様、規模が小さくなるほど「3年超」や「業況改善の見通しは立たない」といった、厳しい回答の割合が高い。
円高によって受ける影響としては、「いい影響が大きい」が7.6%、「悪い影響」が大きい」が38.4%。「いい影響が大きい」理由は、卸売業を中心に「仕入価格の低下」(6.2%)との回答が多く、対照的に「悪い影響が大きい」理由は、業種間を問わず「取引先の業況悪化による間接的な悪影響」(21.6%)との回答が多い。また、比較的規模の小さい企業や、小売、サービスなどの内需関連企業では「影響がない」とする企業が多くみられた。
同特別調査を含む全国中小企業景気動向調査結果は↓
http://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/release/release142.pdf