ゼイタックス

医療費控除、差し引く補てん金は対象の医療費ごと

税務関連情報 - 2009年03月06日

 所得税の確定申告においてポピュラーなのは還付申告、なかでも医療費控除である。医療費控除額は、「(支払った医療費-保険などで補てんされる金額)-10万円(所得金額の5%が低い場合は、その5%)」で計算する。基本的に年間10万円を超えた医療費が対象ということもあって、初めからあきらめている人も多いが、配偶者や子どもなど親族に係る医療費を支払った場合も適用されるのでもう一度寄せ集めてはいかがだろうか。

 国税庁によると、医療費を補てんする保険金などを差し引きしないで医療費控除を適用する例が多いそうだが、反対に支払った医療費を超える補てん金が支払われた場合でも適用があるケースがあるので注意したい。意外と知られていないのは、医療費控除額の差引計算は、その補てんの対象となる医療費ごとに行い、支払った医療費の金額を上回る部分の補てん金額は、他の医療費からは差し引かないということだ。

 例えば、同一年中に入院費と歯の治療費を支払った場合で、入院費の金額を超える金額の生命保険契約に基づく入院給付金の支払を受けたときは、その超える部分の金額は、歯の治療費からは差し引く必要はないのだ。また、本人が入院費10万円、配偶者が医療費10万円、子どもが医療費10万円をそれぞれ支払い、本人が補てん金30万円を受け取った場合では、本人以外の20万円はまるまる医療費の対象となるわけだ。

 なお、医療費から差し引かなければならない「補てんする保険金等」に該当しないものには、(1)死亡や身体障害者になったこと、あるいは療養のために働けなくなったことなどによって支払を受ける休業補償金、保険金、損害賠償金、(2)健康保険や共済組合から支給される傷病手当金、出産手当金、育児手当金、(3)会社や知人等から受ける見舞金などがあり、合わせて留意したい。