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世帯年収により大きな格差がある地震保険の加入率

経営関連情報 - 2009年02月13日

 野村総研が一般消費者を対象に実施した「地震保険に関する消費者意識調査」結果(有効回答数3381人)によると、地震保険の加入率は、世帯年収により大きな格差があることが分かった。まず、近い将来、大規模な地震が起こる可能性については、「起こると思う」が31.6%、「もしかしたら起こると思う」が47.9%と、持ち家世帯(2553世帯)の約8割が大地震に被災する可能性について危機意識を持っている。

 また、大規模な地震に被災する可能性について危機意識を持っている世帯(2030世帯)を対象に、自分が住んでいる居住用建物への被害の可能性を尋ねたところ、「居住不能となるほどの被害が出ると思う」が8.7%、「かなり被害が出ると思う」が40.0%、「多少の被害が出ると思う」が42.4%と、9割以上が現在住んでいる居住用建物に何らかの被害が出ると思っていることが分かった。

 しかし、居住用建物に何らかの被害が出ると思っている世帯(1850世帯)のうち、地震保険の加入率は33.8%にとどまり、66.2%は地震保険に加入していない。その理由(複数回答)は、「保険料が高いから」が51.1%でもっとも多く、次いで「地震保険では建物の再築ができないから」(23.4%)、「建物の耐震性は十分に高いから」(13.6%)、「共済に加入しているから」(12.7%)などが挙げられた。

 地震保険加入率を世帯年収別にみると、世帯年収が低いほど加入率は低く、「250万円未満」の世帯の加入率は11.6%で、「1000万円以上」の世帯の加入率(36.0%)の3分の1以下という結果となった。地震保険制度は、地震等による被災者の生活の安定に寄与することを目的としており、政府が損害保険会社の保険責任の一部を再保険により引き受けている。地震保険は、一般的な損害保険に比べて公共性の高い保険商品といえる。

 一方、地震の被災時には、世帯年収の低い世帯であるほど、住まいの再建や暮らしの維持に必要な資金調達が困難になるものとみられる。野村総研は、地震保険が政府関与の保障制度であることを考えると、自立再建が困難な低所得者層への普及拡大に向けた制度改革が求められるとしている。