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税務関連情報 (2005/06/15)

4~6月の税務調査は力が入らない?

 税務調査は、2~3月の個人の確定申告期間中は納税者に立ち会う税理士が忙しいため、国税当局も原則遠慮する。4月からはまた調査が再開されているが、4~6月の調査は税務職員の熱意がいまひとつ上がらないといわれる。それは、税務職員の勤務評価にあまり反映しない期間であることが要因らしいのだ。税務職員の定期異動は毎年7月10日と法律で決まっていることから、期間によって勤務評価の反映に濃淡が出てくるのだ。

 定期異動では全国で約5万6千人の税務職員が異動の対象となる。もちろんすべての職員が1年で異動するわけではないが、例えば税務署では、地域との馴れ合いによる不正を防ぐためという名目で、最長でも3年程度で別の税務署に異動する。すると、毎年6万人近い職員の3~4割が異動することになるから、それなりの準備期間が必要になる。そこで、一般職員の勤務評価に基づく昇進・異動は大体4月の終盤には終了する。

 すると、4~6月の仕事の実績はあまり勤務評価に反映しないことになる。ちなみに、税務内部ではこの期間の評価を「銅の評価」というそうである。勤務評価にもっとも反映するのは定期異動後7~12月の仕事の実績で、この期間を「金の評価」、続く1~3月を「銀の評価」と称しているらしい。評価に関係なく1年中仕事をしてほしいが、税務職員も人の子、評価に反映しない期間に力が入らないのも仕方がないではないか。

 個人の調査でいえば、2~3月の確定申告が終わり、その後、申告内容を税務署内部でチェックする机上調査を経て、調査対象者が選定される。というわけで、本格的な調査は異動後、夏休みが明けてからとなる。ただ、4~6月の法人の調査が安心だというわけではない。申告内容がひどいものであれば、事業年度をまたいで処理を延長することもありうる。やはり、正しい申告を心がけたほうが無難なのはいうまでもない。