使用人兼務役員とは、役員のうち部長や課長、その他法人の使用人としての職制上の地位を有し、かつ、常時使用人としての職務に従事する者をいう。2006年度税制改正において、これまで損金不算入とされていた役員賞与について、支給額・支給時期を事前に税務署に届け出れば「事前確定届出給与」として損金算入が認められることになったが、使用人兼務役員の使用人分の賞与は、事前届出を要せずに損金算入できる。
税務上、使用人兼務役員は一般の役員とは異なる取扱いをしているわけだが、次のような役員は、使用人兼務役員とはなれないとされている。1)代表取締役、代表執行役、代表理事及び清算人、2)副社長、専務、常務その他これらに準ずる職制上の地位を有する役員、3)合名会社、合資会社及び合同会社の業務執行社員、4)取締役(委員会設置会社の取締役に限る)、会計参与及び監査役、監事。
さらに、同族会社の役員のうち、その会社の株主グループにつき、その所有割合が大きいものから順位をつけ、第1順位の所有割合が50%超である場合のその第1順位の株主グループや、第1順位と第2順位または第1順位から第3順位までの所有割合を合計した場合にその所有割合が初めて50%超となるときのそれぞれの株主グループに属している者、などは使用人兼務役員とはなれない。
なお、専務取締役や常務取締役については、営業上有利になるように対外的に「専務」や「常務」といった肩書きをつける会社も少なくない。この場合、定款などの規定や株主総会・取締役会の決議によって、正式に職制上の地位が与えられたものでなければ、実質的な仕事の内容での判断や経営に参画していないことを前提に、税法上、使用人兼務役員として認めることができる。