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税務関連情報 (2006/12/04)

減価償却制度の見直しなどを政府税調が答申

 首相の諮問機関である政府税制調査会(本間正明会長)は1日、2007年度税制改正に関する答申を安倍晋三首相に提出した。11月に委員を刷新しスタートしてから初めてとなる答申は、これまでの財政再建に向けた個人所得課税の強化など増税色の強い方針とは異なり、経済成長が財政健全化の牽引力になるという認識の下、わが国経済の国際競争力を強化するための法人課税の見直しが中心となっている。

 経済活性化に向けた税制改正の喫緊の課題として、わが国経済の国際競争力の強化を掲げ、1)減価償却制度について、企業の設備投資が全額損金算入できるように、償却可能限度額(取得価額の95%)や残存価額(10%)の廃止、2)同族会社の留保金課税制度の見直し、3)エンジェル税制の対象範囲の拡充、4)移転価格税制における適用基準の明確化などを提言した。法人課税の実効税率の引下げも将来の課題として明記した。

 また、新しい制度改革に対する税制上の対応として、会社法の施行により、来年5月から可能となる三角合併の税制上の対応としては、日本企業の株主が外国株式を受け取った時点では課税せず、売却時点まで課税を繰り延べるように提案。同時に、タックス・ヘイブンにある実体のない会社を利用した三角合併により、租税回避を容易にする組織実態を作り出せるという問題などへの対応を検討すべきことも提言した。

 一方、金融所得課税については、金融所得間の課税方式を均衡化し、損益通算の範囲の拡大を柱とする、金融所得課税の一体化を進めていくべきだとした上で、焦点となっていた証券税制の軽減税率(10%)については、期限切れとなる2007年(度)末をもって廃止すべきだと主張した。ただ、この軽減税率ついては、自民党税調では意見が別れており、12月中旬に公表予定の与党税調の税制改正大綱の結論が注目される。

 政府税調の2007年度税制改正答申は↓
 http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/181201a.pdf