東京商工会議所は15日、中小企業関係税制等の是正・拡充から土地・住宅税制の見直し、個人所得課税の見直し、納税環境の整備などまで幅広い範囲に関して、2005年度税制改正に向けた要望をまとめ発表した。特に事業承継税制については、かねてより中小企業の事業承継円滑化のための税制措置の実現を求めてきたところだが、依然として、企業の継続的な発展を阻害する要因となっているとして、改めて重点的に要望している。
具体的な要望事項として、1)事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立、2)取引相場のない株式の評価方法の改善、3)物納基準の緩和による円滑な相続税の納税環境の実現、の3つを掲げた。
まず、事業用資産については本来非課税とすべきだが、当面は欧州諸国のように、5年程度の事業継続を前提に課税対象額の5割を控除する制度の創設などを求めた。現在は、事業用資産について一般の財産と区別なく課税しているため、円滑な事業承継が阻害され、経営ノウハウや技術、さらには雇用機会の喪失を招き、わが国経済に大きなマイナスとなる、との包括的な事業承継税制の確立を図るべき必要性を示した。
また、取引相場のない株式については、会社規模により斟酌率に格差を設けて評価しているが、本来、会社の規模に応じて、その会社の評価に伴う各種のリスクが変わってくるわけではないと指摘。類似業種比準方式の評価において、大会社0.7、中会社0.6、小会社0.5と会社規模により異なる斟酌率について、一律、小会社の0.5にあわせるなど、取引相場のない株式の評価のさらなる改善を求めた。
取引相場のない株式の物納については、事実上は買戻し条件がなければ認められないなど、厳しい要件が課されている。しかし、非上場株式については、相続税の課税対象として評価し納税を求める一方で、種々の要件を満たさなければ物納を認めないのは、取扱いに一貫性を欠く。非上場株式について課税対象として評価する以上、物納基準の緩和措置を講じ、円滑な相続税の納税環境を実現すべきだと主張している。
東商の税制改正要望の詳細は↓
http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/040915zeisei/040915zeisei.html