ゼイタックス

税務関連情報 (2005/01/24)

少子化対策に税制は有効か

 世論調査によると、国民の8割が日本の少子化に危機感を抱いている。誰もが少子化対策は必要だと考えるが、いまだこれといった決め手は見出せない。しかし、少子化対策は緊急課題であるから何かしなければならないという試行錯誤の段階だろう。というより、暗中模索でもがくなかで有効な政策を見出せばいいのかもしれない。税制面から少子化対策の可能性に言及したのは三菱総研の主任研究員・白石浩介氏のコラムだ。

 現在の少子化対策は、生まれた子供の養育や母親の就業継続に対する支援が中心で、独身者や子供がいない夫婦への働きかけは排除されている。これは、結婚・出産は個人の選択であるから、子供の有無により、租税や社会保険料といった公的負担に差をつけるのは好ましくないという考え方に基づいているという。しかし、今後は税制からも少子化対策が要請されるのではないか、というのが白石氏の問題提起である。

 ところが税制の現状をみれば、わが国の個人所得課税は、課税ベースを拡大するために各種諸控除は見直しの方向にある。すでに配偶者特別控除の上乗せ部分や老年者控除は廃止され、子供があると課税所得が減額される扶養控除についても縮小論がある。白石氏は、扶養控除については、むしろ控除額を拡大させる方向に議論が変化するかもしれないと指摘する。それが、子育て家庭の課税最低限が引き上げられることになるからだ。

 白石氏の少子化対策税制への論及はここまでだが、税制はどうしても後手に回る。つまり、結婚して子供ができれば優遇しようということになるが、多少扶養控除が拡大されても、それが結婚、子供を作るインセンティブになるとは到底思えない。そのような意味では、税制は少子化対策には大きく寄与しないと考えられる。もちろん、子供がいる家庭への優遇税制は必要だが…。

 白石氏のコラムは↓
 http://www.mri.co.jp/COLUMN/TODAY/SHIRAISHI/2005/0119SK.html