経 営 関 連 情 報

2003年05月23日-002
SARS、アジア進出日系企業の7割が「影響あり」

 感染した台湾医師の国内旅行で日本にも初めて爪あとを残したSARSだが、先行きが見えてこず、経済への影響が懸念される。日本貿易振興会(ジェトロ)が20日に公表した、アジア進出日系企業3071社を対象に5月8~14日にかけて実施した調査によると、回答企業2015社の69.3%に当たる1396社が「事業への影響あり」と答えている。

 国・地域別にみると、「中国」が86.2%で最も高く、以下、「香港」(84.9%)、「シンガポール」(84.3%)、「台湾」(78.8%)の順と、感染者が多い国・地域で企業への影響が大きくなっている。中国でも特に感染者が多い北京市を中心とした「華北地域」が94.9%と最も高く、感染者が比較的少ない「東北地域」では77.8%だった。一方、「タイ」(38.0%)や「インドネシア」(39.3%)では4割を下回った。

 具体的な影響(複数回答)については、「商談の滞り」が75.7%で最も多く、「技術者の移動制限による生産停滞」(32.1%)、「新規事業の遅れ」(18.4%)、「契約・予約キャンセル」(17.6%)などが続く。「その他」(17.4%)では、「消費者が人ごみを避けるため、来店客が減少」(シンガポール・商業)、「中国へのモデル移管が延期になった」(タイ・パソコン周辺機器メーカー)などが挙げられている。

 現在の生産・販売の増減は、「減少」が25.7%で、「増加」(8.5%)を大きく上回った(「不明」が65.8%)。また、SARSの影響が2~3ヵ月継続した場合の見込みは、「減少」が42.8%、「増加」が7.0%と、減少予測が大きく増加した(「不明」が50.2%)。なお、増加すると回答した企業の例としては、「衛生用品」「医薬品」関連の企業などが挙げられる。

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