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経営関連情報 (2004/06/16)

「見栄消費」が盛り上がる中国は巨大市場

 かつて、低い人件費が武器の「世界の工場」中国の台頭は、脅威の競争相手の出現だった。しかし、飛躍的に成長する「世界の市場」中国を「自分の市場・巨大市場」として捉えることで中国との共生が可能と考える日本企業が増えつつある。東レ経営研究所がこのほど発表したレポート(増田貴司チーフエコノミスト)は、特に注目される中国高所得層の消費財市場の現状を概観し、日本企業のとるべき戦略について考察している。

 中国は2003年に経済成長率9.1%に達するなど高度成長を背景に、耐久消費財を中心に幅広い分野で消費ブームが盛り上がっている。特に中国都市部の消費者は平均収入では計れない購買力を持っている。その理由として、日用品や食費、住居費などの生活費が日本と比べ格段に安いことや、共働きが多くアルバイトなどの副収入が多い、国営企業の従業員の場合、給料以外の所得が手厚いことなどを推察している。

 日本企業のターゲットとなる市場は13億人ではない。細分化したマーケティングが必要だ。現実論としては、日本の主要ターゲットとして都市部の所得上位20%層8700万人程度と考えるのが適当だ。中国では、ここ数年、富裕層が激増している。猛スピードで成長・変化する国では、「見せびらかし消費」が活発化し、往々にして見栄を張り合う「見栄消費」につながる。

 日系企業が中国人の「見栄消費」を喚起するためには、価格を「当地の所得水準からすれば高いが、背伸びをすれば手が届く水準」に設定することが有効だ。プライドの高い消費者に受け入れられるには、世界で通用する一級品を投入する必要がある。また、現地にR&D(新製品の基礎研究と応用研究)を設け、現地の市場特性や消費構造の変化に対応した商品開発を行うことが、中国市場攻略のために有効である。