税 務 関 連 情 報 |
2002年12月20日-001
相続・贈与税の一体化措置は効果があるのか
与党三党の来年度税制改正が決定された12月13日の同日、日本総研が「相続税・贈与税の一体化措置の効果」と題したレポートを公表した。相続・贈与の一体化措置、相続時精算課税制度は、デフレ脱却、経済活性化に向けて、半数を高齢世代が保有する約1,400兆円というわが国金融資産を若い世代に早期に移転して、個人消費の拡大に結びつけることが期待されている。
制度の概要は、65歳以上の親から20歳以上の子への贈与が対象で、財産の種類、金額、贈与回数に制限はない。現行の贈与税制度との選択だが、一体化措置を選択した場合は、非課税枠が2,500万円(住宅取得資金は3,500万円)まであり、超えた部分は一律20%で課税される。そして、相続時に相続財産と過去の贈与財産を合計して相続税額を計算し、過去に払った贈与税額は控除される。控除し切れなければ還付される。
さて、肝心の経済活性化効果については、まず、すでに相続と贈与が一体化されているアメリカでは税引き後の相続と贈与の比率が96.2対3.8であるのに対し、現在の日本は99.0対1.0と試算している。その上で、一体化措置によって、日本で新たな贈与がどの程度発生するかは未定だが、仮に、アメリカ並みに贈与割合が上昇すると仮定すると、贈与額は税引き後で3.1兆円(名目GDP比0.6%)程度増加するとの試算だ。
このうち、需要創出に即効性があるとみられている現金・預金、有価証券といった流動性の高い資産が、1年間ですべて支出に回されるとすると、個人消費や住宅投資などの需要は1.5兆円(同0.3%)増加すると試算。新規需要が1年間で顕在化するかどうかは不確実ながら、景気刺激にそれなりに効果があるというのが日本総研の結論である。
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