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税務関連情報 (2005/01/07)

住宅ローン減税の対象に耐震性のある中古を追加

 増税色の強い2005年度税制改正のなかでの減税項目のひとつは、住宅税制における中古住宅に係る特例措置の対象範囲の拡大である。例えば、現行の住宅ローン減税の対象となる中古住宅の取得には、床面積50平方メートル以上、マンションなどの耐火建築物は築後25年以内、それ以外の木造住宅などの建築物は築後20年以内という要件があるが、改正後は一定の耐震性能を満たしたものは築年数に関係なく対象に加えられる。

 この中古住宅に係る特例措置の対象範囲の拡大は、住宅ローン減税だけでなく、1)特定の居住用財産の買換え等の場合の長期譲渡所得の課税の特例、2)住宅取得等資金に係る相続時精算課税制度の特例、3)住宅用家屋の所有権の移転登記の税率の軽減措置、4)住宅取得資金の貸付け等に係る抵当権の設定登記の税率の軽減措置においても適用される。いずれも、2005年4月1日以後に取得する中古住宅からの適用となる。

★減税効果には疑問の声も

 耐震性能のある住宅が税制上優遇されるのは好ましい流れだが、今回の減税の恩恵を受ける範囲に疑問を持つ実務家は少なくない。例えば住宅ローン減税でいえば、大阪の今村仁税理士は「今回の税制改正の恩恵を受けられるのは1000人もいない」と指摘する。というのも、1年間に新たに住宅を購入するのは、マンション・戸建てなど約70~80万戸といわれ、このうち中古住宅は多めにみても約10万戸というのが現状だという。

 そのうえ、中古住宅の売りの現場では10~15年の築年数が主流だから、実際改正の恩恵を受ける可能性があるのは、上記約10万戸のうち1万戸もない。さらに、住宅取得資金は、全額自己資金ではなく、ローンで手当する必要があり、また、自分が住まないとならず、投資目的などは恩恵が受けられない。となると、「恩恵を受けられるのは1000人もいない」と推測するのだ。名ばかりの減税項目ということになるまいか。

 今村氏のコラム「税制改正は使えるか?」は、同氏が運営者のひとりでもあるホームページ「マンションってどうよ」のなかの12月23日付のブログから↓
 http://diary.m-douyo.jp/archives/2004_12.html