国民負担率とは、国民所得に対する税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)の負担割合。財務省の試算によると、2006年度の国民負担率は2005年度補正後の実績見込みに比べ0.1ポイント減の37.7%と3年ぶりに減少する見通し。租税負担は実額で1.8%増えるが、景気回復で国民所得が2.1%増えるため、租税負担率は前年度より0.1ポイント低下の23.0%となる。社会保障負担は医療制度改革などで横ばいの14.7%。
諸外国(2003年実績)と比べた場合、アメリカ(31.8%)よりは高いが、スウェーデン(71.0%)、フランス(60.9%)、ドイツ(53.3%)、イギリス(47.1%)などほとんどの国より低い。経済協力開発機構(OECD)加盟国のうち比較可能な27ヵ国中では23番目と、日本より低い国は4ヵ国しかない。わが国の国民負担率が諸外国に比べ低いことが、税制改正の議論のたびに増税の理由とされるが、確かに低い。
真の負担率は、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を加える必要がある。財務省によると、2006年度の国民所得に対する財政赤字の割合は前年度より1.2ポイント低下の6.1%となる見通しだ。2006年度予算案では、新規国債発行額が5年ぶりに30兆円を下回ることなどが要因だ。この結果、国民負担率に財政赤字を加えた「潜在的な国民負担率」は前年度比1.2ポイント低下の43.9%と、4年連続で改善する。
なお、租税負担率の過去の経緯をみると、戦前の1934~36年度は13%程度だったが、戦後は45年代前半の混乱期を除いて20%前後で推移してきた。しかし76年度以降、次第に上昇し始め、89・90年度の27.6%をピークに、その後はほぼ20%台前半で推移している。累次の法人税率の引下げや所得税減税、低成長による税収減などの影響だ。しかし、今後は定率減税の廃止や消費税率の引上げなど予定されており、再度上昇する見通しだ。