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ネット取引調査で1件平均1440万円の申告漏れ把握

税務関連情報 - 2008年10月24日

 インターネットの急速な普及を背景に、オンラインショッピングやネット広告、出会い系サイトなどインターネット取引が増えている。なかには年間1億円を超す売上があるネット業者も珍しくない。しかし、多額の利益をあげながら、ネット上の売上は国税当局には把握されまいと考えて無申告・過少申告する業者が少なくない。そこで、国税当局はこの数年、インターネット取引調査にも力を入れている。

 今年6月までの1年間(2007事務年度)では、インターネット取引を行っている個人事業者などを対象に前年度比34%増の3122件を税務調査した結果、同19%増の1件平均1440万円の申告漏れ額が把握された。この申告漏れ額は、同時期の実地調査における特別調査・一般調査での1件平均965万円を大幅に上回る。また、全体の29%程度が無申告であり、ネット取引業者の申告面でのずさんさを浮き彫りにする結果となった。

 調査件数3122件を取引区分別にみると、事業主が商品を販売するためのホームページを開設し、消費者から直接受注する販売方法(オンラインショッピング)を行っている「ネット通販」が885件(1件あたり申告漏れ976万円)と28%を占める。また、電子画像や電子データの販売を行っている「シェアウェア」が28件(同1332万円)、ネット広告や出会い系サイトなど「その他のネット取引」が2209件(同1626万円)だった。

 調査では、インターネットを利用して会員へメール配信する広告業で多額の広告収入を得ていながら、無申告だったAの事例がある。Aは、ネットの運営サイトの責任者及び広告料受領口座などの名義を妻にして、形式上、経営者を妻にしていたが、調査時に把握したパソコン内の資料等を念査した結果、Aが実質経営者として、総額5000万円の所得を得ていたにもかかわらず、無申告だったことが判明している。