内閣府が10月26日に発表した地域経済の動向を分析したレポート「地域の経済2005」は、04年秋口から05年半ばにかけて、地域経済においてもいわゆる景気の踊り場的な状況に陥ることになったが、夏ごろにその状態を脱却していることが確認され、05年秋口現在では、再び緩やかな回復軌道に乗っているとの見方を示した。しかし、いまだに回復の遅れている地域もみられ、地域間・地域内のばらつきを指摘している。
レポートによると、景気の踊り場をもたらした要因については、1)電子部品・デバイスの生産の減速、2)天候要因が影響した個人消費の低迷の2つを挙げている。また、緩やかな景気回復の背景として、1)設備投資が増加基調で推移し、05年度もおおむね全地域で前年を上回る計画、2)雇用情勢も改善が続き、失業率はおおむね全地域で前年を下回り、雇用過剰感も緩和、3)賃金も05年に入って持ち直しの動き、などを挙げている。
しかし、05年8月現在の各地域の景気判断をみると、東海が「力強く回復している」一方で、北海道や東北では「やや弱含み」とされ、いまだに残る地域間・地域内のばらつきを指摘している。生産面のばらつきは、過去2回の回復局面がほぼ一定ないし縮小傾向だったのに対し、むしろ拡大傾向にある。各地域の産業構成や輸出競争力の差異が基因とみられている。また、雇用面における有効求人倍率のばらつきも縮小していない。
地域経済の今後の見通しについては、原油価格の高騰に端を発したガソリンや灯油価格の家計への影響を懸念。ガソリンは地方圏、灯油は北海道、東北、北陸で家計支出に占める割合が高く、冬場を迎えるに際して、今後の動向に注視が必要だ。原油価格の高騰は企業収益にも影響を及ぼす。しかし、雇用情勢の改善が賃金の上昇を伴い、個人消費につながるという面からの下支え効果は今後も続くとみている。
レポートの全文は↓
http://www5.cao.go.jp/j-j/cr/cr05/chr05_index-pdf.html