2003年09月29日-003
株券等の有価証券は個人保有金融資産の1割弱
「貯蓄から投資へ」との掛け声の下、証券市場活性化に向けて税制を始め様々な手当てが講じられているが、なかなか個人投資は上向かないようだ。金融広報中央委員会がこのほどまとめた家計の金融資産に関する世論調査によると、2003年の金融資産保有世帯における平均額は1460万円で過去最高額となったが、株式などの有価証券が占める割合は9.5%(139万円)で前年に比べ0.8ポイント減少した。
有価証券139万円の内訳は、株式が96万円(金融資産に占める割合6.6%)、投資信託22万円(同1.5%)、債券21万円(同1.4%)となっている。株券に限れば前年よりわずか2万円増えているが、株式投資促進のための証券税制の優遇措置の拡大効果はほとんどみられなかったことになる。この有価証券保有割合がアメリカ(2002年12月末)では株式14%、投資信託12%、債券17%となっており、いかにわが国の投資が少ないか分かる。
ちなみに平均金融資産1460万円のうち最も多いのは郵便貯金を除く預貯金で42.5%(621万円)を占め、次が郵便貯金の19.9%(291万円)、両者合計では前年を4.2ポイント上回る62.5%と6割強を占めている。また、貯蓄の有無については、21.8%の世帯が「貯蓄していない」と回答し、同調査が開始された1963年以来の高い水準となった。「貯蓄がある」世帯は95年には92.1%を占めていたが、今年は77.4%まで激減している。
ところで、金融資産保有額の平均値が1460万円と聞くと、多くの人が「自分はそんなに持っていないよ」と思われようが、これは平均値が少数の高額資産保有世帯によって引き上げられているため。そこで、調査対象世帯を保有額が少ない順(あるいは多い順)に並べたとき中位に位置する世帯の金融資産保有額である「中央値」でみると850万円となる。このほうがより多くの世帯の実感により近い数字といえるだろうか。
今回の調査は、全国6000世帯を対象に今年6月27日から7月7日にかけて行われ、4158世帯(69.3%)の回答を得たもの。
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