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経営関連情報 (2004/05/24)

中小の賃上げ実施企業は3年ぶりに増加~大阪信金

 景気回復のすそ野がようやく中小企業にも広がりつつあるのか。大阪市信用金庫がこのほど発表した中小企業の2004年賃上げ状況調査結果(有効回答数1030社)によると、賃上げ実施企業割合は18.8%で昨年より8.3ポイント増えて3年ぶりの増加となった。ここ2年は特に厳しい状況にあった中小企業の賃上げ状況は、景況感の改善を反映し好転した。回答企業の55%は従業員「10人未満」で95%が「50人未満」の企業である。

 賃上げ実施企業はサービス業(27.6%)、卸売業(26.5%)で多くなっている。また、従業員規模が小さくなるほど少なくなっており、「50人以上」の31.4%に対し、「10人未満」は15.5%と半分以下だ。一方、賃下げ実施企業割合は8.0%と1割をきり、3年ぶりに賃上げ実施企業を下回った。賃下げ実施企業は2002年の18.4%をピークに減少している。据え置きとする企業割合は73.2%と多いが、前年比2.5ポイントの減少だ。

 全企業ベースの1人あたり平均賃上げ率は0.30%で3年ぶりにプラスとなった。賃上げ実施企業ベースでは前年比0.24ポイント増加の3.47%で、このデータを取り始めた97年以降8年間で最高の水準となっている。業種別にみると、全企業ベースの平均賃上げ率は「小売業」(▲0.09%)を除くすべての業種で前年を上回りプラスとなっており、「サービス業」の0.88%が最も高くなっている。

 なお、賃上げ率を決める基準については、「あくまでも自社業績のみ」が69.1%と7割近くを占め最も多い。次いで、「自社業績主体で世間相場も考慮」(26.1%)が4社に1社程度、「世間相場が主体」はわずか4.8%に過ぎない。「自社業績のみ」は年々増加しており、「賃上げは業績次第」という成果主義の姿勢が中小企業にも着実に強まっていることがうかがえる。