税 務 関 連 情 報

2003年09月24日-002
包括的な事業承継税制の確立を求める日商

 中小企業の特性として個人事業形態あるいは法人であっても経営と資本が未分離の場合が多く、また同族的な色彩が強いことから、多くの場合、経営の承継は相続という形をとる。そこで事業用資産に対する相続税課税が軽減されないと事業承継が困難になる。かねてから事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立を主張してきた日本商工会議所は、2004年度税制改正への要望のなかで、改めて事業承継円滑化のための税制措置を求めた。

 要望では、そもそも事業用資産は、企業が継続的に活動していくための基本的な基盤であって、そこに一般的な相続財産と同様の担税力を見出して課税することは適当ではないと指摘。本来は非課税にすべきであるが、来年度税制改正にあたっては、少なくとも欧州諸国の例にみられるように、5年程度の事業継続を前提に課税対象額の5割を控除するといった制度を、現行制度との選択性のもとで創設することを求めている。

 また、中小企業の承継は、第三者が後継者として事業を引き継ぐなど相続によらない場合もある。この場合、事業承継は、経営権の譲渡、すなわち株式の譲渡によることになるが、このような事業承継の円滑化を図るため、非上場株式に係る譲渡益課税の税率を、上場株式と同様に10%に軽減することを要望。同時に、みなし配当とされる非上場株式の会社への売却についても、上場株式と同様に譲渡益課税とすべきことも求めている。

 さらに、取引相場のない株式については、評価の不安定性・蓋然性の観点から、会社の規模に応じ斟酌率に格差を設けて評価しているが、会社の評価に伴う各種のリスクと会社の規模の間には相関性はないと指摘。現行では大会社・中会社・小会社ごとに定められている斟酌率を小会社の0.5に合わせるなど、取引相場のない株式の評価のさらなる改善を図るべきだとしている。

ホームへ戻る