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上場株式等の譲渡損失と配当所得の損益通算可能に

税務関連情報 - 2008年05月26日

 2008年度税制改正における証券税制関連では、上場株式等の譲渡益の年間合計500万円以下と、上場株式等の配当金等の年間100万円以下の部分に限って、10%の軽減税率が2年間延長されたが、ほかでは上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との間の損益通算の特例が創設されたことも注目される。この改正は、2009年分以後の所得税及び2010年度分以後の住民税から適用される。

 同特例は、その年分の上場株式等の譲渡所得等の金額の計算上生じた損失があるとき、またはその年の前年以前3年以内に生じた上場株式等の譲渡損失の金額があるときは、これらの損失を上場株式等の配当所得の金額から控除できるというもの。損益通算では限度額は設けない。ただし、配当所得は申告分離課税を選択したものに限られるので、損益通算する場合は、申告分離課税を選択しておく必要がある。

 また、2009年分について損益通算の特例を適用するときは、取引内容を計算した上で確定申告しなければならない。2010年分以降は、源泉徴収選択口座に上場株式等の配当を受け入れると、その口座で行った上場株式等の譲渡損失と損益通算した上で源泉徴収され、確定申告不要制度の適用が受けられる。証券会社のシステム開発などの準備が整った段階で、早ければ2010年1月から適用が受けられる予定だ。

 このように、2009年からは、個人投資家が株式投資で損失を出したときは、配当所得から差し引いて所得税の額を減らすことができるようになるが、当面は申告が必要になること、損益通算の対象となる配当所得は申告分離課税を選択したものに限られることに留意しておきたい。なお、証券会社等は、2009年1月1日から特定口座の年間取引報告書を税務署に提出することが必要となる。