ゼイタックス

08年度査察白書、目立った国際取引・無申告事案

税務関連情報 - 2009年06月26日

 先日国税庁が公表した2008年度査察白書では、208件から総額351億円にのぼる脱税が摘発され、大口・悪質な脱税者が後を絶たないことが明らかになったが、2008年度中の脱税事案で目立ったのは、国際取引事案や無申告事案など、最近の社会・経済状況を反映したものだった。検察庁に告発された国際取引事案は前年度より10件少ないものの24件と高水準、無申告事案は同5件多い18件となった。

 国際取引事案では、海外の仕入先と通謀の上、仕入代金を水増しして送金し、水増し分の金額については、代表者が海外へ行った際に現金で回収していたA社のケースや、海外の自社工場において製造過程で発生した鉄くずなどの副産物の売上代金を除外するとともに、その代金を海外の金融機関の預金口座で管理するほか、海外の不動産の取得費用に充てていたB社のケースなどが明らかにされている。

 また、無申告事案では、インターネットにより、パチンコ攻略法の情報提供を行い多額の利益を得ていながら、事業実態のない会社名義を利用して、その会社の所得であるように装い、自ら得ていた所得を一切申告していなかったCのケースや、国内に居住しているにもかかわらず、海外に移住したかのように装い、国内での株式取引により得た利益を一切申告していなかったDのケースが報告されている。

 そのほか、金融・証券関連事案(08年度は14件減の15件)では、株取引により多額の利益を得ていたが、自らが経営する小売店の所得のみを申告し、株取引については一切申告していなかったEのケースや、勤務していた会社の親会社から付与されたストックオプションの権利を行使し株式を取得したことにより、多額の利益(給与所得)を得ていたにもかかわらず、利益の一部しか申告していなかったFのケースなどがあった。