信金中金総研が全国297信用金庫の取引先を対象に実施した「海外進出状況調査」結果によると、2005年9月1日現在におけるわが国中小企業の海外進出企業数は前回調査(2003年)に比べ17.0%減の1554社となった。進出地域は「アジア」が全体の89.1%と圧倒的多数を占め、最大の進出先「中国」は857社で、前回調査に比べ9.5%減少したものの、構成比では55.1%に達している。
このうち50%強が華東に進出しており、上海市が240社、江蘇省蘇州市が75社と両市に集中している。「東アジア」(225社、構成比14.5%、前回調査比25.2%減)と「アセアン」(290社、同18.7%、21.0%減)の構成比はやや低下した。また、海外進出企業1554社を業種別にみると、製造業が74.8%を占める。製造業の内訳は、「機械」27.4%、「繊維」12.1%、「化学」11.7%が上位に入る。
新規進出社(80社)の進出動機(複数回答)をみると、今回初めて「現地国および周辺国が有望」(41.3%)、「海外進出した販売先・親会社の受注確保」(40.0%)が第1位、第2位となった。全体では、「低廉豊富な労働力の確保」(59.6%)、「日本国内市場への製品供給」(54.8%)の順位に変動はない。現地企業の資本金は1000万円~1億円がほぼ半数を占めるが、資本金1億円超の比率も高まりつつある。
海外進出企業の問題点(複数回答)は、前回調査に続き「現地社員の教育」(42.9%)がもっとも多く、ほかに「為替変動」(24.5%)、「人件費の上昇」(23.0%)、「現地工場の生産性」(21.8%)、「文化・慣習の相違」(19.7%)などが多く指摘されている。撤去理由は、現地企業の事情によるものでは「事業形態変更」(21.3%)、「不採算・コスト高」(20.0%)、「業況不振」(18.7%)などが多かった。
同調査の詳細は、信金中金月報5月増刊号から↓
http://www.scbri.jp/PDFgeppou/2006/2006-05zoukan.pdf