ゼイタックス

税務関連情報 (2004/01/05)
不動産譲渡損失の損益通算や100万円特別控除が廃止

 増税色の濃い2004年度税制改正のなかで土地・建物などの不動産の譲渡益課税が軽減されたが、その陰に隠れて実務上大きな影響がありそうな改正がある。それは、不動産の譲渡損失の他の所得との損益通算や繰越控除ができなくなることと、長期譲渡所得の100万円控除が廃止されることだ。これらの改正は2004年分以後の所得税及び2005年分以後の個人住民税について適用される。

 これまで、不動産の譲渡損失は給与所得や事業所得などと損益通算することができたが、改正後は株式のように同じ所得以外の所得との損益通算ができなくなる。また、青色申告している場合に認められていた譲渡損失の翌年以降3年間の繰越も認められなくなる。含み損のある不動産を売却して、損失を実現させることで給与所得や事業所得と通算するという節税ができなくなる。

 一方、長期譲渡所得の100万円控除が廃止されると、長期譲渡所得の税率が26%から20%に引き下げられても、譲渡益が少ない場合には増税となるケースがでてくる。例えば、不動産の譲渡益が200万円の場合、現行では特別控除の100万円を差し引いた100万円に対し税率26%で26万円が課税されるが、改正後は200万円に対し税率20%で40万円が課税されることになる。譲渡益が約434万円以下であれば増税となる。