国土交通省が23日に公表した今年1月1日時点の公示地価は、全国平均で前年比▲6.2%と13年連続の下落となったが、下落幅は6年ぶりに0.2ポイント縮小した。また、東京都区部やその周辺地域では上昇・横ばいの地点が増え、下げ止まりの傾向が強まっている。前回の地価公示において、東京都区部を中心にみられた地価の下げ止まりの傾向が、他の圏域の中心としにも現れてきており、地価の動向に変化の兆しがみられる。
全国平均で住宅地は▲5.7%下がったが、下落幅は6年ぶりに前年比0.1ポイント縮小、商業地も▲7.4%下がったが、前年比0.6ポイント縮小と2年連続で下げ幅が縮まった。
三大都市圏では、住宅地(▲5.7%)・商業地(▲5.8%)とも下落幅は縮小した。一方、地方圏では、住宅地(▲5.7%)は下落幅が拡大し、商業地(▲8.7%)は横ばいとなっている。三大都市圏を中心に下落幅が縮小した背景には、景気回復の兆しがみられるなかで、マンションなどの住宅需要の都心回帰の動きが続いたこと、都市再開発により集客力が高められたことなどがあげられる。
東京都区部都心部では上昇や横ばいの地点が増加し、多摩地域の武蔵野市や三鷹市などでも横ばいやほぼ横ばいの地点が広がるとともに、千葉・浦安市など東京隣接地にも上昇地点が現れるなど、これらの地域では下げ止まり感の傾向が強まっている。
地方圏の住宅地は、商業地に比べ下落幅は小さいものの引き続き拡大しているなかで、札幌市や福岡市では、都心部へのアクセスのよい鉄道沿線の利便性や住環境のいいところでは上昇や横ばいの地点がみられた。商業地は昨年と同じ下落幅となったが、人口10万人以上の都市では、下落幅が縮小した。特にブロック中心都市である札幌市・福岡市の都心部の商業地では、都市再生や交通基盤整備を背景に、上昇や横ばい地点が広がった。
一方、中核都市以外の多くの地方都市の中心商業地では、地域経済が低迷するなかで、郊外型量販店の進出などもあり、これまで集客力の中核を担っていた商店街を構成する中小小売店舗や事務所の閉鎖の影響で、大きく下落している地点が多い。都心部と地方との格差が一段と広がっているようだ。