帝国データバンクが発表した全国企業の法的倒産(負債1千万円以上)状況によると、1月の倒産件数は730件で、前月比▲3.7%と2ヵ月ぶりに前月を下回ったものの、4ヵ月連続で700件を上回った。ここ数ヵ月は前月比で増減を繰り返しているが、以前の減少月(7月675件、9月671件、11月708件)を上回り、倒産件数のベースラインは少しずつ上昇。倒産は底打ちの段階にあり、緩やかな増加基調をみせている。
1月の負債総額は5165億1200万円で前月比45.7%増の大幅増加となり、2005年11月以来2ヵ月ぶりに5000億円を上回った。規模別では、負債100億円以上の倒産は11件発生し、2005年4月以降で最高となった。負債10億円以上の倒産は68件に達し、2005年4月以降で最高だった10月(80件)に次ぐ高水準。これは、特別清算により処理される大型案件が、3月期末に向けて増加していることが主因とみられる。
現在の倒産は、依然として業況不振の中小・零細企業が大きなボリュームゾーンとなっており、特に景気の地域間格差を反映して、地方での倒産が増えている。なかでも北海道、東北、中国の3地域では、2005年4月以降での最高を1月に記録するなど高水準で推移している。また、業容拡大に伴う資金難などの「好況型倒産」が都市部を中心に増えていることも最近の特徴的な変化である。
この背景には、設備投資の好調に表れている通り、景況感の回復から前向きな経営を志向する企業が増えていることがある。これを受けて「不況型倒産」の構成比は減少しており、全国での1月の構成比68.8%は2005年4月以降で初めて70%を下回った。さらに、東京都では、2005年9月には70.9%だったものが、1月には52.9%にまで低下するなど、不況型倒産の減退が顕著になっている。
今後は、業況不振の中小・零細企業を中心に、好況型の倒産が少しずつ上積みされ、倒産は一進一退を繰り返しながらも増加基調を保つものと予想。また、金融機関の不良債権の最終処理が進み、1月は複数グループの処理によって特別清算が増加したが、同様のケースは例年3月に増加する傾向を示しているため、年度末に向けて中堅クラスの企業グループに対してさらに処理が実施される可能性があり、注意が必要とみている。