経 営 関 連 情 報 |
2003年01月20日-004
銀行貸出減少で成長産業に回らない資金
銀行の企業向け貸出が減少を続けている。日銀の「貸出先別貸出金」調査によると、2002年9月末時点で、国内銀行の法人向け貸出は2001年9月の345兆円から315兆円へと実に30兆円(▲8.7%)も減少した。このような国内銀行の法人向け貸出減少は、その産業や業種の成長・好不況に関係なく続いている。
その結果、サービス業などの将来成長が見込まれる業種にも資金が回らない事態を招いている、と指摘するのは住友生命総合研究所のレポートである。レポートによると、貸出減少傾向は期間を10年間に伸ばしてもあまり変わらない。ほとんどの業種で前半5年間(93~97年)に大きく貸出が増え、後半5年間(98~02年)はそれに匹敵する、あるいはそれを上回る貸出の減少が生じている。
97年秋の山一・北拓など一連の金融機関の破綻が転機となったが、その後の「貸し渋り」や「貸し剥がし」は、その産業が成長産業か構造不況業種かといった価値判断とはあまり関係なく、業種を問わず進行しているといえそうだと分析している。
一方、9日の日銀短観にみる「資金繰り」、「金融機関の貸出態度」DIは、業種によってばらつきがみられるが、特に目に付くのはサービス業の数値の低さである。
この10年間、産業構造はそれなりに変化してきた。90年から00年にかけて、実質GDPベースでは、サービス業は17.0%から19.5%へと大きくシェアを伸ばし、製造・建設業の落込みをカバーしてきた。将来的にみても、少子高齢化の進展による介護サービス市場の拡大など、最も成長が期待される業種のひとつといってもいい。
資金効率を考えれば、本来もっと貸出しが増加してもよさそうだが、資金圧縮に終われる銀行にその余裕はなさそうだとの指摘。企業にとっては厳しい金融環境である。
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