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税務関連情報 (2004/10/06)

総務省、偽装温泉で徴収した入湯税の還付を指示

 世の温泉大好き人間にショックを与えた偽装温泉事件。長野県の白骨温泉で入浴剤を入れて天然温泉と偽っていたことが判明後、全国の温泉地でも同様の偽装が次々に発覚し、なかには名湯として知られる湯河原・伊香保・水上・長良川・鶴巻なども含まれたことから、温泉に対する信頼がすっかり揺らいでいる。そんななか、総務省は、偽装温泉の入湯客から徴収した入湯税の返還を市町村に求めていることが分かった。

 入湯税は、特定の費用に充てるために課される目的税で、地方税法により税目が法定されている法定目的税である。例えば、神奈川県の箱根町は、その日本一の入湯税収7億円強(2001年度)の半分近くを観光振興に充てているという。温泉を利用すれば、宿泊・日帰りを問わず課税される。温泉旅館などの浴場経営者が、市町村に代わって入湯客1人につき1日150円(標準税率)程度を徴収し、自治体に納めている。

 ところで、今回の偽装温泉騒動で総務省が入湯税の返還を市町村に求めたわけだが、該当する市町村では直接入湯客に返還することは不可能だ。市町村に代わって入湯税を徴収していた浴場経営者が返すことになる。しかし、宿泊客から徴収した入湯税は宿帳などから入湯客を特定することはできるが、日帰りで温泉を利用した入湯客まではほとんど分からない。市町村・浴場経営者は、世間が納得する返還方法に頭を抱えている。