経済産業省は4月28日、「研究開発促進税制に係る調査」結果を公表した。これは、2003年度に抜本的に拡充された研究開発促進税制の経済波及効果に関する調査をUFJ総研に委託していたもの。同税制は、2003年度税制改正において、従来の試験研究費が増加した場合に税額控除を認める制度に加えて、新たに総額の一定割合を税額控除する仕組みが選択性で導入されている。
制度の概要は、研究開発費に控除率をかけた金額を法人税額から控除するもの。控除額は法人税額の20%を上限とし、恒久的措置としての控除率は8~10%だが、3年間の時限措置として2%上乗せして10~12%としている。米国の約3倍(総額型控除制度の最高税率は3.75%)の控除率を設定し、1998年度以降、微増微減で推移していた企業の研究開発投資の抜本的拡大を図る目的で導入された。
経産省実施のアンケート調査によると、2004年度の民間研究開発投資は前年度に比べ7300億円増加する見込だが、実際に研究開発促進税制によって研究開発投資額を増やしたとする企業の研究開発投資増加額は約6000億円と推計される。UFJ総研では、この数字をベースに、研究開発促進税制の抜本的な拡充により誘発された短期的な需要創出効果及び中長期的にわが国の生産性を向上させることに伴う効果を試算した。
その結果、2003年度から3年間の減税によって、最初の3年間の合計で減税総額の約2倍にあたる3.4兆円の実質GDP押し上げ効果が、10年間の累計でみると、約7兆円の実質GDP押し上げ効果が発生する。また、2013年度までの10年間にわたり恒久的措置のみを継続した場合、実質GDP押し上げ効果は約15兆円、さらに2013年度まで控除率2%上乗せ措置を継続した場合、同約17兆円と試算している。
UFJ総研の調査報告書の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/20050428004/050428hontai.pdf