1人当たり教育研修費用3万6797円、前年比6%増
定期刊行誌「企業と人材」を刊行するシンクタンク機関の産労総合研究所は、1976年以降、ほぼ毎年「教育研修費用の実態調査」を実施しているが、20日、今回で35回目を数える調査結果を公表した(有効回答数79社)。それによると、従業員1人当たりの教育研修費用額は2010年度実績3万6797円、対前年度比で6.2%増加、職種・目的別研修では営業社員・販売員教育が昨年より10.6ポイントも増加したことが分かった。
景気動向に敏感に反応せざるを得ない企業の教育研修費用は、採用の最盛期だったバブル期の1991年には、1人当たりの最高額である4万3217円を記録したものの、景気の波を受け増減を繰り返して来た。今回の調査での企業の経営状況をみてみると、昨年は増収企業(「増収増益」と「増収減益」企業の合計)が23.8%だったのに対し、今回の調査では、58.9%と昨年よりも約2.5倍となっている。
これに比例するように、2010年度と2011年度の研修予算の増減状況について、「増加」と答えた企業が前回にくらべて26.7ポイントも増えている。ただし、1~3年先については「増加」はほぼ前年並みとなり、「現状維持」にとどまっていることから、将来に向けた積極的な教育投資を行えるほどには経営状況は回復してない、あるいは先の見通しがみえないという現状が読み取れる。
従業員1人当たりの教育研修費用額は、2010年度実績3万6797円で、対前年度比で6.2%増加。教育研修費用の面からも2008年のリーマンショックや2010年のギリシャ危機に端を発した経済危機もようやく回復の兆しが見え始めてきた。一方、階層別研修では、「新入社員向け研修」(83.3%)が、昨年に続き実施率第1位。職種・目的別研修では、「営業社員・販売員教育」(43.6%)が昨年より10.6ポイントも増加した。
同調査結果の概要は↓
http://www.e-sanro.net/sri/news/pr_1110/