帝国データバンクが発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、9月の倒産件数は667件で、前月に比べ13.8%減と4ヵ月ぶりに減少、前年同月比でも0.7%減少し、今年最低の記録となった。ここ数ヵ月、倒産は増減を繰り返しているが、長期的なスパンでみると、当面はこうした一進一退を繰り返しながらも現在の緩やかな増加基調が続くものと推測している。
また、9月の負債総額は3399億2000万円で、前月比5.8%減、前年同月比38.3%減とともに減少し、4ヵ月連続して4000億円を下回り、2月に次いで今年2番目の低水準となった。負債10億円以上の倒産は40件(前年同月64件)となり、今年最低を記録。同100億円以上の倒産も5件にとどまるなど、大型倒産は低水準で推移している。
業種別にみると、7業種すべてで前月比減少し、前年同月比では、「運輸・通信業」(16件、前月比23.8%減、前年同月比38.5%減)、「不動産業」(23件、同25.8%減、8.0%減)、「製造業」(91件、同19.5%減、7.1%減)、「サービス業」(108件、同19.4%減、4.4%減)の4業種で減少した。なかでも、「建設業」は今年1月以来8ヵ月ぶりの200件割れとなったほか、「運輸・通信業」は今年最低を記録した。
こうしたなか、現在は、原油先物相場(WTI、期近)が一時1バレル60ドルを割る水準まで下落するなど、原油高リスクは後退しつつあるが、依然として資源価格上昇分の価格転嫁が進まない企業が多く、特に、中小・零細企業については予断を許さない状況が続いている。帝国データバンクでは、今後の倒産動向について、当面は一進一退を繰り返しながらも、現在の緩やかな増加基調が持続すると予想している。