東京都が独自に課税する法定外目的税である宿泊税は、施行状況などを勘案して、5年ごとに条例について検討を加えることとされているが、今年10月で条例施行後5年を経過することから、都主税局はこのほど、都議会に対し「宿泊税5年間の実績と今後のあり方」と題した検討内容を報告した。そのなかで「宿泊税は現在の課税を継続していくことが適当」との都の基本的な考え方を示した。
宿泊税は、国際都市東京の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てる目的で2002年10月1日に導入。都内のホテルや旅館に宿泊した場合に、1人1泊の宿泊料金が1万円以上1万5000円未満の宿泊は100円、1万5000円以上には200円の税率で課税されている。1万円未満の宿泊料金の場合は課税されないが、この1万円という基準は、都内の平均的な宿泊料金等を参考に決められたという。
宿泊税の税収は、創設初年度は年度半ばからの課税のため4億9600万円だったが、平年度ベースでは12億円程度で安定的に推移し、2006年度までの合計は約53億円、また、課税人員は2005年度で約850万人、登録施設数は2006年度末時点で388施設となっている。これらの税収は、都内37施設の割引入場券付きウェルカムカードの発行や観光案内所の運営などの観光振興施策にその全額が充当されている。
今回の都議会への報告では、「宿泊税が安定した財源として着実に役割を果たしてきたこと、今後、都はさらに積極的に観光振興施策を展開していく方針であること、宿泊税が都税として十分に浸透し、円滑に実施されてきたことを踏まえれば、宿泊税は現在の課税方式を維持しつつ課税を継続していくことが適当と考えられる」として、今後も宿泊税を継続していく方針を表明している。