最近の企業向けサービス価格の動きをみると、国内企業物価が原油など素材価格の高騰により上昇しているのに対して、依然小幅な下落が続いている。だが、企業向けサービス価格は下落幅が縮まりつつあるとの指摘は内閣府のレポートである。レポートは、企業向けサービス価格の動きを業種別に寄与度分解してみる。すると、2つの要因が逆方向に効いていることがわかる。
まず、運輸が上昇に寄与している。これは、中国やブラジルなどの景気拡大により外航貨物運送の需給が引き締まっていることや、原油など素材原料への需要の高まりが船賃にも反映されていることにより、外洋貨物輸送が大幅に上昇しているためとの理由を挙げている。
一方、リース・レンタルが下落に寄与している。この理由について、リース対象であるパソコンの価格動向は国内企業物価指数を用いて計算しているが、パソコンの価格には品質調整が行われているため下落幅が大きく、こうしたことが反映されて電子計算機・同関連機器リースが大幅に下落しているためと分析。国内企業物価のパソコンにおいては、機能の向上を価格に反映させるヘドニック法と呼ばれる品質調整が行われている。
この電子計算機・同関連機器リースの動きについては、品質調整という統計技術的な要因が大きく寄与しているため、国内のサービス需要をより反映した動きをみるために、これを除いて企業向けサービス価格をみると、マイナス幅が着実に縮小してきていることがより明確に確認できる。こうしたことから、レポートは「企業向けサービス価格においてもデフレ傾向が徐々に弱まりつつあることをうかがわせる」との結論を示している。