ゼイタックス

税務関連情報 (2004/10/01)

財政赤字を減らす財源は「歳出削減」でが4割

 わが国の財政赤字は年々拡大傾向にある。2004年度末で、国及び地方の長期債務残高は719兆円程度(対GDP比で143.6%)、公債残高は483兆円程度(国民1人あたり約378万円、4人家族で約1512万円)になると見込まれている。財務省の財政制度等審議会は、このような財政の現状に対する意識調査を実施し28日に公表した。4月下旬から6月上旬にかけて実施し、会社員や自営業者、主婦など619人から回答を得た。

 調査結果によると、厳しい財政の現状に対して49%の回答者が「将来に不安を感じて消費を減らしたり(貯蓄を増やしたり)している」、また、46%は「不安を感じるが特に何もしていない」と回答している。

 2004年度予算においては、税収で賄われている国の歳出は50.8%と半分程度に過ぎず、44.6%が公債発行(借金)に頼っている。財政赤字を減らすための財源については、「歳出削減」との回答が42%でトップ、次いで「増税と歳出削減の両方」が31%、「景気が回復すれば自然増収で財政赤字を縮減できる」が24%で続く。「増税」でとの回答はわずか2%だった。

 また、財政出動による景気回復と財政赤字の縮減とどちらを優先的に取り組むべきかについては、「両方同時に取り組むべき」との回答が35%でもっとも多いが、「財政赤字の縮減」(33%)、「財政出動による景気の回復」(31%)も3割程度を占め、意見はほぼ拮抗している。

 赤字財政の立て直しのための財源が必要なだけでなく、少子高齢化社会のなかで膨れ上がる社会保障費用の財源の問題もある。消費税率の引上げや個人所得課税の見直しなどによる増税を受け入れざるを得ない情勢にあるが、一方で「歳出削減」を徹底的に行ってほしいというのが、国民の希望であろう。増税する前に、歳出削減の方法を明確な形・数字で国民に提示することが強く求められる。