ガートナージャパンが実施した日本の企業ユーザーにおけるIT投資効果の実態調査結果(有効回答数1087社)によると、これまでのIT投資で、「期待通りの成功」をしたという企業はわずか6.6%であり、さらに「期待以上の成功」は0.6%と、IT投資で期待通りの効果をあげた企業は極めて少数であることが分かった。
調査では、IT投資の成果を「期待以上の成功」から「完全に失敗」までの7段階に分けて回答を求めた。その結果、「ある程度は成功」と回答した企業が61.8%で、「どちらでもない」(23.0%)や「(どちらかというと・完全に)失敗」(6.9%)と答えた企業は3割に満たず、全体としてはそれなりの効果をあげたと答えた企業が多いものの、それらの企業が得た効果は期待値よりも低かったということになる。
ガートナーでは、さらにIT投資で「期待通りの成功」をした企業とそうでない企業との間で、ITの運用体制にどのような違いがあるかについても調査。IT投資の効果を最大限に高めるには、経営者がITの経営戦略上の重要性を十分理解したうえで、次のような条件が必要不可欠であると分析している。
第一は、ITを先に考えるのではなく、まず経営目標を挙げ、その目標を達成するための経営戦略を考えたうえで、そのなかのひとつとしてIT戦略をとらえるべき。次に、経営目標達成のために、組織全体でITを利用する体制を整えることが必要。経営者の強力なリーダーシップの下、トップダウンで社員一人ひとりに経営目標を理解させ、その目標を意識しながらITを利用するように促すことが必要だという。
最後に、事前に設定した経営目標がIT導入によってどの程度達成されたかを検証するため、導入効果を継続的に測定することの必要性を挙げている。それによって、利用しているITの妥当性を把握でき、新たな投資のサイクルも明確になる。また、継続的な効果測定は、利用部門のIT利用に対するモチベーションにも大きく影響することになると分析。これらはすべて、経営者の強力なリーダーシップがなくては不可能だと結んでいる。