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経営関連情報 (2007/10/10)

責任共有制度、7割超の企業が借入に懸念

 信用保証協会の保証付融資において、金融機関が保証割合の20%相当を負担する「責任共有制度」が10月1日から導入された。これによって、リスク負担を義務づけられた金融機関の貸出審査の厳格化や選別融資、貸し渋りなどが懸念される。帝国データバンクが実施した「責任共有制度の導入に対する企業への影響調査」結果(有効回答数9863社)によると、7割を超える企業が今後の借入を懸念していることが分かった。

 現在、信用保証協会の保証付融資を受けている(今後可能性がある)企業は全体の17.4%(1719社)だったが、これらの企業のうち今後の借入に「懸念がある」と回答したのは71.2%となった。これを資本金別にみると、小規模企業で借入への懸念が大きく、「資本金100万円以上1000万円未満」の企業では76.5%で「懸念がある」と回答。責任共有制度の導入は、今後、より小規模な企業の経営に悪影響を及ぼすことが懸念される。

 「懸念がある」とした企業の具体的な懸念(複数回答)は、「融資利率の上昇」が73.4%ともっとも大きいが、「融資額の縮小」も73.0%と高水準だった。また、「融資の打ち切り」を懸念する声が21.7%あった。具体的には、「貸し渋りが厳しくなる」(一般貨物自動車運送)、「赤字続きのため、交渉の余地がなくなるかもしれない」(機械販売)など、今後の企業経営が厳しい状況に追い込まれることを懸念する声が寄せられている。

 リスク負担を義務づけられる金融機関には中小企業への経営支援が期待されているが、そうした経営支援に対する「期待がある」との回答は15.0%にとどまる一方、「期待はない」が56.7%と過半数に達しており、制度の導入による中小企業の業況改善効果には懐疑的な見方が大勢を占めている。具体的には、「金融機関がリスクをとってまで経営支援することは考えられない」(機械製造)との見解が目立ったという。

 同影響調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0709.pdf