経 営 関 連 情 報

2003年06月09日-004
店舗から集積へと進化を続ける小売業

 国内の小売店は、2002年までの3年間に141万店から130万店へと10万店以上も減った。その背景には、長引く不況があることは間違いないが、消費者が“パワーアップ”してきたこともある。そのような消費者の変質に応えることで、小売業は進化を繰り返し、取り残された店舗や企業は淘汰されてきたのだが、今や小売業の進化は店舗の進化から集積の進化へと移りつつある、との分析は未来経済研究室のリポートである。

 所得増に伴う購買力の向上、テレビ・マスコミ・インターネットの発達を背景とした情報力のアップ、自動車の普及による機動力などによる消費者の“パワーアップ”は、商品や店舗に対する要求水準の上昇に結びつく。品質の良さと安全性、リーズナブルな価格、買い物の便利さ、品揃えの奥行き、専門的な情報提供などなどに応えることで小売業は進化を繰り返す。

 80年代に入って人々のニーズが高度化・多様化してくると、かつての主役である総合量販店や総合スーパーといった「何でもある」店の中途半端な品揃えでは、集客力を失っていく。代わって主役となるのは、特定の領域に絞り込んで、奥行きのある品揃えと専門的な情報・サービスを提供する、コンビニや食品スーパー、家電量販店、ドラッグストア、ホームセンター、カジュアル衣料品店など、多彩な専門店チェーンである。

 また、これまでの小売の進化は、品揃えや販売手法といった個々の店舗の進化だったが、今目立っているのは、複数の店舗の集合体である「商業集積」の進化だ。古くからある総合量販店を核にしたタイプや駅ビルに加えて、多数の店舗に映画館などのアミューズメント施設を加えたタイプ、丸の内や六本木など都心の再開発地域のショッピングゾーン、郊外のアウトレットモールなど、様々なタイプが急速に広がりつつある。

 このような商業集積トータルでの集客力を最大化するためには、組み込む専門店のラインアップを考え、その配置や全体の雰囲気をコーディネートする役割が重要となる。例えば、アウトレットモール開発では不動産会社や専業の商業デベロッパーが、近隣型ショッピングセンターではその各店舗となる食品スーパーが活躍している。小売業の進化は他産業を巻き込み、さらに新しい段階を迎えることになる。

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