行方不明者の財産管理に不在者財産管理人制度
東日本大震災により未だに多数の行方不明者が出ているなかで、残された財産の管理が困難なケースも少なくない。このような状況において、従来の住所または居所を去り、容易に戻る見込みのない者(不在者)に財産管理人がいない場合に、家庭裁判所が、申立てにより、不在者自身や不在者の財産について利害関係を有する第三者の利益を保護するため、財産管理人選任等の処分を行うことができる。
このようにして選任された不在者財産管理人は、不在者の財産を管理、保存するほか、家庭裁判所の権限外行為許可を得た上で、不在者に代わって、遺産分割、不動産の売却等を行うことができる。家裁へ申立てができる申立人は、利害関係人(不在者の配偶者、相続人にあたる者、債権者等)または検察官で、不在者の従来の住所地の家庭裁判所へ申し立てる。申立てに必要な費用は、収入印紙800円分。
申立てに必要な書類は、(1)申立書、(2)標準的な申立添付書類(不在者の戸籍謄本(全部事項証明書)、不在者の戸籍附票、財産管理人候補者の住民票または戸籍附票、不在の事実を証する資料、不在者の財産に関する資料(不動産登記事項証明書、預貯金及び有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書等)等)、申立人の利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、賃貸借契約書写し、金銭消費貸借契約書写し等)。
もし、申立て前に入手が不可能な戸籍等がある場合は、その戸籍等は、申立後に追加提出することでも差し支えない。また、審理のために必要な場合は、追加書類の提出が必要な場合もある。財産管理人に資格は必要ないが、不在者の財産管理を行うため、職務を適切に行えることが必要。通常、不在者との関係や利害関係の有無などを考慮して適格性が判断されているようだ。弁護士、司法書士、税理士などの専門職が選ばれることもある。
この件の詳細は↓
http://www.courts.go.jp/saiban/syurui/kazi/kazi_06_05.html