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経営関連情報 (2007/10/29)

景況感の弱さが続く中小企業~内閣府

 今月公表の日銀短観では、大企業と中堅・中小企業の景況感の差が拡大するといった結果が出ており、「中小企業景況調査」(中小企業基盤整備機構)の今年7~9月期調査においても、中小企業の業況判断DI(前期比、「好転」-「悪化」)は6期連続でマイナス幅が拡大し、7~9月期は▲23.6と05年同期以来の低い水準となった。こうした景況感の弱さが続く中小企業の状況を分析したのは内閣府のレポートである。

 それによると、7~9月期の中小企業の業況判断は多くの地域で前期に比べ景況感が悪化する結果となった。全国データでマイナス幅の拡大が続いている製造業(06年10~12月期からマイナス幅が拡大)について地域別にみると、7~9月期は前期に比べ、中国、四国で低下するほか、マイナス幅が相対的に小さい中部、近畿での悪化が目立っていることから、今後の動きに注意を促している。

 中小企業の景況感が悪化している背景としては、原材料価格の上昇を販売価格に転嫁しにくい点が考えられるが、上記の中小企業景況調査においても、原材料仕入単価DIの上昇テンポに比べ、売上単価DIのマイナス幅縮小のテンポは緩やかであり、両者の乖離幅は今次景気回復局面において最大となった。中小企業(製造業)が経営上の問題点として挙げる項目でも、4~6月期調査は「原材料価格の上昇」がトップとなっている。

 また、内閣府の景気ウォッチャー調査におけるコメントをみると、「原材料は値上げされたが、販売価格に転嫁できず、受注量、販売量ともに増加していない」(東海、パルプ・紙・紙加工品製造業)、「綿糸などの原材料や外注加工費が高騰しており、収益環境はより厳しくなっている。販売価格への転嫁が必要不可欠だが、容易ではない」(近畿、繊維工業)など、価格転嫁の難しさを挙げる声が散見されたという。