帝国データバンクがこのほど公表した全国企業倒産(負債1千万円以上)によると、1月の倒産件数1205件は前月を2.6%上回って3ヵ月ぶりの1200件超えとなったものの、前年同月比では16.1%減の大幅減少となり、13ヵ月連続の前年同月比減少で、倒産件数の減少傾向が鮮明となった。上場企業の倒産も13ヵ月ぶりに発生せず、首都圏での大型倒産もなりを潜めている。
しかし、倒産が抑制されているのは、中小・零細企業が、保証付き私募債の発行や公的な救済策によって日々の資金繰りをしのぎ倒産の危機を逃れているためとみられている。銀行は、総体としては取引先の見直しや切捨ての動きが加速しているのが実情であり、一方で多くの中小企業は新規投資を見送り借入れ圧縮を優先させるなど、資金繰り状況は改善どころか後退の一途をたどっている。
当面は、これまでの倒産の抑制・先送りは続くとみられている。しかし、中堅・中小企業の不良債権問題がクローズアップされることや、地域経済再生と不良債権処理という二律背反のジレンマを抱えた地域金融機関の淘汰による地場企業への影響、金融庁の特別検査を巡る混乱、3月決算に向けての中規模の上場企業倒産ラッシュへの懸念など、潜在的なリスクは確実に膨らんでいるとみられている。
なお、1月の負債総額4535億5200万円は、2ヵ月連続の5000億円割れで、前月を0.1%増とわずかに上回ったものの、前年同月を62.8%減と大幅に下回った。不況型倒産(900件)の構成比は74.7%の高水準。不況要因によって倒産に追い込まれた企業が全体の4分の3を占めており、経営環境は依然として改善されていない。また、業歴30年以上の「老舗倒産」は317件で、その構成比26.3%は相変わらずの高水準。