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サービス消費にみる家計の節約志向

経営関連情報 - 2008年09月29日

 ニッセイ基礎研究所が発表した標題の特別レポートによると、ガソリン、食料品を中心とした物価上昇の加速に伴い、家計の実質購買力は急速に低下し、消費者マインドも大幅な悪化が続いている。こうしたなか、2007年中は比較的底堅く推移してきた個人消費は、ここにきて停滞色を強めている。特にサービス消費の代表ともいえる外食産業売上高や旅行取扱額などの落込みが顕著となっている。

 サービス消費は、選択的支出の割合が高いため、所得、物価など環境の変化に応じて購入量を比較的柔軟に調整しやすい性質がある。選択的支出の代表例はパソコンや飲酒代、月謝、宿泊費、外国パック旅行などだが、消費を取り巻く環境が悪化するなか、家計は比較的節約しやすいサービス消費を中心に抑制し始めている可能性が高い。足元のサービス消費の低迷は、家計の節約志向を反映したものと考えられる。

 家計調査の外食費はこのところ伸び悩んでいるが、中身をみると外食の回数が減っていることに加え、外食の物価上昇率が高まるなかでも外食の平均単価はほぼ横ばいにとどまっている。また、タクシー料金は昨年値上げされたが、タクシー代の平均単価はほとんど上がっておらず、その一方でバス代の平均単価は上がっている。これまでタクシーを利用していた人の一部が節約のためバスを利用するようになっている可能性がある。

 7月の消費者物価(生鮮食品を除く)は前年比2.4%と、ほぼ10年ぶりの高い伸びとなった。物価上昇による実質購買力の低下が一段と進んでいることに加え、企業業績の悪化を反映したボーナスの減少、景気低迷に伴う残業代の減少などから、名目賃金の伸びも今後マイナスとなる可能性が高い。4~6月期の個人消費(GDPベース)は7四半期ぶりに前期比で減少となったが、今後さらに落ち込む怖れもあるとみている。