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労働者派遣業の倒産、過去最多ペースで推移

経営関連情報 - 2009年08月28日

 2009年1月~7月における労働者派遣業の倒産が前年同期に比べ56.6%増の47件となったことが、東京商工リサーチのまとめで明らかになった。最近の年次ベースでは、2000年25件、01年22件、02年23件、03年24件、04年21件、05年16件、06年32件、07年41件、08年56件と推移してきた。2009年は、このペースで推移すると4年連続で前年を上回り、過去最多となる可能性が高いとみられている。

 負債総額は、7月集計時点で前年同期比72.8%増の50億2200万円となった。負債額でみると、負債「10億円以上」の大型倒産は発生しなかったが、「1億円未満」が同54.5%増の34件と全体の7割強を占めて、負債が小規模な企業が目立つ。原因別では、「販売不振」が同192.3%増の38件と、増加が際立った。また形態別では、企業の解体・消滅である「破産」が同44.4%増の39件と全体の8割強を占め、厳しい状況を浮き彫りにした。

 (社)日本人材派遣協会がまとめた「労働者派遣事業統計調査の報告」によると、2008年の派遣スタッフの実稼動者数は、2002年の調査開始以来、初めて前年実績を割り込んだ。2009年4月~6月も前四半期に続き、全地域で対前年同期割れとなり、底が見えない厳しい状況が続いている。特に、製造業務の実稼動者数は、景気後退の影響をまともに受け大きく減少したという。

 アメリカの金融危機に端を発した未曾有の「世界同時不況」による企業業績の悪化から、派遣スタッフを整理する、いわゆる“派遣切り”が進み社会問題となった。これに伴い労働者派遣業者の倒産も増勢を続け、今後の動向が懸念されている。東京商工リサーチは、「さらに派遣市場の縮小傾向が続けば、多数の企業が参入した業界での淘汰と再編が避けられない」と予測している。