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経営関連情報 (2006/06/09)

円高が及ぼす日本経済への悪影響とは何?

 円相場は、円に対する需要が強くなると上昇する。日本の製品や株などの資産が魅力的であれば、円高になりやすい。つまり、変動相場制以後の円高は日本経済の良好な状況の現れといえる。こうした円高が日本経済に及ぼす影響を分かりやすく解説した三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポート(「けいざい早わかり」)によると、円高は問題ないはずだが、あまり評価が高すぎると、それが重荷になる分野も出てくる。

 まず、ドル建てで輸出している企業にとっては、円高は輸出金額が目減りしてしまうことを意味する。2005年度の日本の輸出金額は68兆円あったが、このうち、4割が円建て、5割がドル建て、残りの1割がユーロなど他通貨建てだった。6割が外貨建てで取引されているので、円高が10%進むと、約4兆円の為替差損が発生する計算になる。

 このほかにも、円建てで輸出している場合は、外貨建て価格が上昇するので海外における価格競争力が低下する。また、2005年末時点で506兆円ある対外資産の評価額も、円建てでは目減りする。さらに、円建てでみると、輸入品の価格が下落するため、輸入品と競合する商品を生産している国内企業も打撃を受ける。こうしたことから、急に円高が進むと、政府が為替レートの水準を円安方向に誘導しようと動くこともある。

 では、円が安いほうがいいのかというと、必ずしもそうではない。ドル建てで価格が決まることが多い一次産品などの輸入企業にとってみれば、円高になったほうが輸入価格を抑制できる。また、消費者にとっても、輸入品が安く手に入り、海外旅行も手軽になるため、円高にもメリットがあるといえる。一般に、円安のメリットは、世界に製品を提供するような輸出企業や大企業に集中する傾向がある。

 同レポートの全文は↓
 http://www.murc.jp/report/research/hayawakari/2006/20060530.pdf