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法定耐用年数を390区分から55区分に簡素化

税務関連情報 - 2008年05月09日

 減価償却制度は昨年、約40年ぶりに抜本改正されたが、耐用年数については、ほとんど見直されず、使用実態を調査した上で、2008年に見直すこととされていた。2008年度税制改正では、 (1)法定耐用年数区分について、別表第二(機械及び装置)の資産区分を、日本標準産業分類の中分類単位に55区分に大括り化するとともに、使用実態等を踏まえて耐用年数を見直し、(2)短縮特例制度の手続き簡素化が行われた。

 改正前の法定耐用年数(別表第二)は、機械や装置の種類ごとに390区分に細分化されており、新技術や新製品が誕生するごとに適用する耐用年数等の問題が生じ得るとの指摘があった。また、アメリカ(業種ごとに48区分)やイギリス(償却率25%のみの1区分)、韓国(業種ごとに26区分)などに比べ複雑なことから、経済団体を中心に、国際競争力強化の観点からもその見直しを求める声が強かったものだ。

 見直し後の耐用年数は、使用実態調査の結果得られた耐用年数区分ごとの平均使用年数と一資産あたりの平均取得価額を使用し、加重平均の方法により算出されている。ただし、実使用年数が短いことなどから、新たな耐用年数をそのまま適用することが適当でない設備については、その中分類のなかで細目として特例枠を設け、新区分で定めた年数よりも短い期間で償却できるように配慮されている。

 法定耐用年数の見直しは、2008年4月1日以後に開始する事業年度について適用されるが、既存の減価償却資産についても適用されるので、実務的にも少なからぬ影響が出てくる。つまり、既存の減価償却資産についても、償却率をすべて変更しなければならないという事務負担がある。改正の主な対象が機械装置であるため、大規模な工場ではかなりの事務負担が発生することが予想されている。

 短縮特例制度については、納税者の事務負担に配慮し、一度、特例が承認された減価償却資産について軽微な変更があった場合や同一の他の減価償却資産を取得した場合などは、改めて承認申請をすることなく、変更点等の届出だけで適用できるようになった。同特例は、一定の事由によって、使用可能期間が法定耐用年数に比べておおむね10%以上短くなった場合には、耐用年数の短縮の承認申請ができるというもの。