税 務 関 連 情 報

2003年05月30日-001
既定路線となった将来的な消費税率の引上げ

 どうやら消費税率の引上げが今後の既定路線となったようだ。政府税制調査会は27日に総会を開き、6月にまとめる中期答申に向けて、これまでの小委員会における議論の論点整理を行った。それによると、今後の税制改革の基本方向は、厳しい経済・財政の現状と急速な少子・高齢化の進展に対応して、国民に負担を求める内容となる。

 最も注目されるのは、財政面や社会保障支出の増大を支えるために、将来の消費税率の引上げが初めて明記されることだ。諮問者である小泉首相が任期中の引上げを否定していることから、具体的な上げ幅や実施時期は明示しないが、税率が二ケタ台になった場合の軽減税率の採用を検討課題として示すなど、言外に大きな上げ幅を匂わせている。

 仮に消費税率を二ケタ台に引き上げた場合は、低所得者層の負担が大きくなることから逆進性への配慮が必要になる。食料品などの生活必需品に対する軽減税率を採用することで消費税は複数税率となる。複数税率のもとで仕入れ税額控除を行う場合は、「インボイス(税額が記載された請求書等)方式」の採用が検討課題となってくる。

 制度の信頼性・透明性を支えるためには、仕入れ税額の計算が適正であることを担保する仕組みが求められるのだ。国民が“広く薄く”負担するだけでなく、事業者の事務負担も大きくなる。また、インボイスを発行できない免税事業者は事業者間取引から排除されるなどの問題点も指摘されており、二ケタ台の税率引上げの検討課題は多い。

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