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譲渡所得調査では3442億円の申告漏れを把握

税務関連情報 - 2009年10月28日

 税務調査は年々、高額・悪質なものを選定して重点的に行われているのは周知のとおり。譲渡所得調査も、不動産等の売買情報など、あらゆる機会を利用して収集した各種資料情報を活用して、高額・悪質と見込まれるものを優先して行われる。国税庁のまとめによると、今年6月までの1年間(2008事務年度)の譲渡所得調査は6万9728件に対して行われ、うち65.2%にあたる4万5430件から3442億円の申告漏れを把握した。

 前年度に比べると、調査件数は12.2%減少、申告漏れ件数も12.3%減少したものの、申告漏れ所得金額は3.1%の増加となった。申告漏れ割合は前年度と横ばいで、調査した約3件に2件から申告漏れを見つけたことになる。調査1件あたりの申告漏れ額は494万円(前年度420万円)となるが、この額は、同事務年度の所得税調査における調査等で把握された1件あたり平均の申告漏れ額125万円を大きく上回る。

 調査の内訳をみると、株式等譲渡所得については、前年度比27.6%減の2万4182件の調査を実施。うち69.0%にあたる1万6683件(前年度比29.6%減)から総額792億円(同32.4%減)の申告漏れ所得を把握した。また、土地建物等については、前年度比1.1%減の4万5546件の調査を実施し、うち63.1%にあたる2万8747件(同2.2%増)から総額2649億円(同22.2%増)の申告漏れ所得を把握している。

 事例では、ダミー法人を介在させ虚偽の売買契約書を作成して申告除外していたケースがある。納税者Aは、不動産の売却益について確定申告を行っていたが、調査したところ、Aは、買受人との間で、無申告の休眠法人をダミーとして介在させ、段階的に売買が行われたかのように仮装した虚偽の売買契約書を作成することで、譲渡収入金額の一部1億3千万円を申告除外していたことが判明し、5300万円が追徴されている。