政府は10日、「2007年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)を閣議決定した。同白書は、経済産業省、厚生労働省、文部科学省の3省共同で作成したものだが、派遣労働者の増加など、ものづくり現場の就業形態の多様化を指摘した上で、非正社員に対する教育訓練や技能の底上げ・キャリア展望の明確化、フリーター等に対する「ジョブ・カード制度」の活用の推進などを提言した。
白書によると、近年の動向として、需要変動、アジアとの競合・価格競争等に伴い、派遣労働者が増加するなど、ものづくり現場全体として就業形態が多様化している。そうしたなかで非正社員及び外部人材の仕事内容をみると、ごく短期間で対応できる仕事だけでなく、検査・試験、技能を取得するのに数年以上を要する仕事など、専門性・変化への対応を要し、製品自体の質を左右する分野にも従事していると指摘した。
一方、職業能力開発の現状をみると、非正社員の職業能力開発機会は正社員と比較して不足しており、教育訓練や技能の底上げ、キャリア展望の明確化が必要としている。また、非正社員の活用については、現場の評価から、業務量変化への対応、正社員の高度業務専念等の効果をもたらす一方、人事管理上の負担増大、ノウハウの蓄積・伝承への対応が求められているとの分析結果を示している。
高度技能者の育成については、在職者対象の職業訓練、技能継承の支援を推進。現場の中核となる実践的な人材育成については、企業学習と座学による職業訓練である「実践型人材養成システム」を普及させ、また、フリーター等に対しては、「ジョブ・カード制度」を推進し、正社員としての就業の促進など発展性のある働き方を実現するなど、ものづくり産業においてもフリーター等の活用推進を提言している。
ものづくり白書の概要は↓
http://www.meti.go.jp/press/20080610002/20080610002-2.pdf