ゼイタックス

役職・勤続年数の違い大きい男女間賃金格差の要因

経営関連情報 - 2008年09月26日

 労働者が性別により差別されることなく、その能力を十分に発揮できる雇用環境を整備することは重要な課題であり、男女雇用機会均等法の施行により制度面の男女均等取扱いは着実に浸透しつつあるが、事実上の男女間格差はいまだ存在する。特に、賃金面については、依然として大きな格差が存在するが、その要因として役職・勤続年数の違いによる影響が大きいと指摘するのは、厚生労働省の「男女間の賃金格差レポート」だ。

 レポートは、男女間の賃金格差をもたらす最大の要因として、部長、課長、係長などの上位の「職階」についている女性割合が男性に比べ低いと分析する。男女間賃金格差をみると、職階における「調整前(原数値)」(男性100に対する実際の女性の賃金)は69.1だが、女性の各要因の労働者構成が男性と同じと仮定した場合の「調整後」の賃金水準は80.9となり、男女間格差縮小の程度が11.8と他の要因に比べ最大となる。

 職階に次いで、勤続年数の違いによる影響が大きい。勤続年数では、調整前(原数値)の男女間賃金格差は66.9だが、調整後は72.4となり、男女間格差縮小の程度は5.5となる。このほか、「学歴」の違いによる影響(男女間格差縮小の程度は1.5)の効果もあるが、「年齢」(同1.2)、「労働時間」(同1.2)、「企業規模」(同0.6)の違いによる影響は小さい。「産業」(同-2.6)による違いは格差を拡大する方向に動いていないとみられる。

 なお、厚労省の「賃金構造基本統計調査」によると、男性一般労働者の平均賃金水準を100.0としたときに、2007年における女性の平均水準は66.9であり、長期的にみると格差は縮小している。また、勤続年数階級別男女別一般労働者全体に占める管理職比率(企業規模100人以上)は、勤続30年以上では女性部長1.9%に対し男性部長10.3%、女性課長4.9%に対し男性課長14.3%となっている。

 「男女間の賃金格差レポート」の全文は↓
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/koyoukintou/seisaku09/pdf/01.pdf