一般市民も裁判への参加が義務づけられる「裁判員制度」が多方面で波紋を呼んでいるが、東京商工会議所が会員企業を対象に実施した「裁判員制度に関するアンケート調査」結果(有効回答数282社)によると、「拘束期間が3日程度であれば、国民の義務なのでやむを得ない」が52.1%、「国民の義務なので当然参加すべき」が22.0%と、拘束期間が3日程度であれば、7割超の企業が制度に参加する意向を示した。
この傾向は、従業員数「1~10人」の企業が78.6%、「11~20人」が74.5%、「21~50人」が68.6%となっており、従業員数が少ない企業ほど参加意向が強い。ただし、自由記入欄においては「拘束期間が3日程度で終わらないのであれば、参加することは難しい」という意見も7件あった。また、「現時点では判断できない」とする企業は16.7%、「3日程度であっても、参加させることは難しい」は5.0%だった。
社内における裁判員制度への対応状況については、「特に何もしていない」とする企業が71.7%となり、大半の企業が制度への対応について社内では検討していないことが判明している。「パンフレット等を従業員に配布している」は9.6%、「新しい休暇制度を検討している」は8.5%と、ともに1割に満たず、「裁判員制度の社内勉強会を実施している」とする企業はわずか0.7%(2社)だった。
なお、裁判員を辞退できる事由についての考えを自由記入形式で聞いたところ、「病気や事故など突然の事情を考慮してほしい」(42件)、「中小・零細企業は大企業と違い人員に余裕がないため、特に考慮してほしい」(17件)といった、人員が補充しにくい中小企業に一層の配慮を求める意見が多く寄せられている。また、「親族や友人などの冠婚葬祭を考慮してほしい」(5件)といった意見も寄せられたという。