日本公認会計士協会は25日、経営研究調査会より答申があった「事業承継マニュアル」が、今年2月17日の常務理事会で承認されたことを明らかにするとともに同マニュアルを公表した。この答申は、2007年12月5日付けの増田宏一会長からの諮問「企業の事業承継円滑化へ向けた経営・法務・税務の全般にわたる検討を行い、会員の事業承継サポート業務に資する方策等について提言されたい」に対するもの。
近年、中小企業経営者の間で事業承継問題の重要性の認識が浸透してきたが、その方策を経営者が独学でなし得ることはおよそ不可能であり、専門家の支援が不可欠なため、今後、そのアドバイスやコンサルティングの重要性がますます高まる。そのため、同研究報告は、会社法や民法等の法律面からも詳しく掘り下げ、改正予定の税制を考慮し、中小企業の支援業務に携わる公認会計士の一助にするため取りまとめた、としている。
同マニュアルは163ページにのぼり、大きくは第1章の「事業承継総論」と第2章の「各種の承継方法に対応した方策の検討」に分けられる。第1章では、「事業承継支援の必要性と進め方」において、事業承継の進め方や具体的な事業承継方法を選択するまでの流れを示すとともに、事業承継全般に共通する「事業価値源泉の把握と分析」、「事業承継環境の整備」、「後継者の選定」についての問題の検討を行っている。
引き続き第2章では、先代経営者と後継者の関係の属性に応じた、各種の事業承継の方法に応じて、「親族内承継」、「親族外の役員・従業員への承継」、「第三者への売却という選択」それぞれの対策の検討を行っている。さらに、付録として、「事業承継計画書(記載例)」を収録。これは、事業承継環境の現状分析を中心とした、専門家による「事業承継の基本方針と事業承継計画表」の作成例を示すものである。
「事業承継マニュアル」の全文は↓
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/2-3-36-2-20090325.pdf