経 営 関 連 情 報 |
2003年04月14日-003
デジカメに学ぶ高付加価値化の新規需要の発掘
失業率はなかなか改善せず、勤労者の収入も厳しい状況が続いている。今年1月のサラリーマン世帯の実質消費支出は前年比▲2%で4ヵ月連続の減少となった。消費者向け商品の多くは売上不振に直面しているが、このような環境下にあっても好調を維持している商品がある。そのひとつがデジタル・カメラ(デジカメ)である。このデジカメ市場を分析したのは住友生命総合研究所のレポートだ。
デジカメが爆発的に普及したのは、周知のように、1)プリントせずに結果が確認できる、2)パソコンで加工できる、3)フイルム代が不要、などの付加価値が市場に受け入れられた結果だと分析する。デジカメの台頭によって、最近は、普通のフィルムカメラを「銀塩カメラ」と呼ぶそうだ(知らなかった…)。
カメラ映像機器工業会によると、その銀塩カメラの国内出荷台数をデジカメが超えたのが2001年だ。翌2002年になると、デジカメの国内出荷台数655万台(前年比35.6%増)に対し、銀塩カメラは223万台(同▲25.7%)と、その差はさらに拡大する。同会によれば、2003年もデジカメの国内出荷は増加し、市場に占めるデジカメの割合は5台中4台に達する見通しという。
このように、デジカメの市場浸透は驚異的な速さだが、注目すべき点は、デジカメ・銀塩を合わせた国内カメラ市場全体の規模拡大である。デジカメが銀塩カメラの需要を減少させているのは事実だが、2001年前年比20%増、2002年同12%増というように、カメラ全体の国内出荷台数は前年比で増加している。
つまり、カメラのようにすでに成熟している商品でも、新たな付加価値を付けることで市場全体が活性化し、需要を底上げする結果となった。市場を見渡せば、ハードディスクビデオやDVDレコーダーなど、大きな可能性を秘めた商品群が多数ある。飽和状態といわれる日本国内市場であっても、高付加価値化による新規需要の発掘は、まだまだ可能といえるというのが、レポートの結論だ。
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