国民生活金融公庫は11日、2003年度の新規開業企業向け融資件数が過去最高の3万1541件となったことを明らかにした。前年度に比べ3.2%増加しており、この10年間で約2倍に増加している。融資件数を名寄せした融資先企業数でも過去最高の2万7218社となった。同公庫総研の調査では開業時の従業者数は平均4.2人であることから、11万人以上の雇用創出がなされたとみている。
新規開業企業向け融資が増加している要因としては、96年3月に専門セクションである「新規開業支援室」を開設したことで支店業務のサポートを強化したことをはじめ、2001年7月に無担保・無保証人の新創業融資制度を創設するなど、新規開業者の多様なニーズに応えてきたことを挙げている。
新創業融資制度の2003年度の融資件数は6061件で、前年度に比べ89.3%増と大幅に伸びている。同制度の累計は9590件だから、ほとんどが2003年度の融資ということになる。「担保・保証人はないものの、的確なビジネスプランを持っている新規開業者」の資金ニーズに一層応えるため、今年4月からは、融資限度額を550万円から750万円に引き上げている。
なお、新規開業企業向け融資の融資先の業種(大分類)は、「サービス業」が35.5%を占めて最も多く、次いで「飲食店」(19.2%)、「小売業」(16.6%)などが続く。
また、98年度比で増加率の高い業種(小分類、融資件数100件以上のもの)をみると、「介護サービス」(713件)が1426.0%、「経営コンサルタント業」(183件)が358.8%、「公認会計士・税理士事務所」(241件)が207.8%など。反対に減少率の高い業種では、「すし店」(111件)が57.5%、「コンビニ」(211件)が72.3%、「歯科技工士」(128件)が75.3%などとなっている。