高齢化社会を向かえて老後の親の世話というテーマがますます重要になってくる。子どもが当然面倒をみるという慣習が薄れ、政府や他人任せという風潮さえ芽生えつつあるなかで、義理の親の世話を引き受け懸命に努力する主婦もいる。そこで、これらの健気な主婦に対する相続での遺贈分に対する高率課税を軽減せよ、という主張は、税理士法人横須賀・久保田(東京・千代田区)の発行するメルマガ「FAX NEWS」である。
周知のように、親の死亡によって相続が発生すると、法定相続分にしたがって、原則として配偶者が2分の1、残りの2分の1を子どもたちが均等に相続する。相続人のなかには、親不孝の限りを尽くした子や、親が病気の間は面倒をみるどころか寄り付きもしない子もいるが、原則として平等である。一方、懸命に義理の親の老後を一身に背負って看護してきた長男・次男などの嫁(主婦)には、相続権が与えられていない。
生前贈与や遺贈によって報いるという方法もあるが、生前贈与の税率は異常に高く、相続人ではない長男の嫁の相続や遺贈分に対する税額は、親にそむいて不孝の限りを尽くした相続人よりも20%も割高(相続税額の2割加算)である。民法には、「被相続人の療養看護などで特別な寄与をした者は、その寄与分を認める」という規定があるが、この規定は相続人ではない嫁には適用されない。
同メルマガでは、このような“相続税の矛盾”について、義理の親を世話する健気な主婦が遺贈を受けた場合の課税を軽減せよと主張するわけだ。寄与分を子の嫁の夫(相続人)に与えるという方法も考えられるが、税制上で具体的に軽減措置を定めたほうが、その嫁の労苦をストレートに報いられる。親の老後の世話は少子高齢化が進むなかでの社会共通の課題であるだけに、その主張は一考に価する。
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