社会経済生産性本部が実施した「労働組合のメンタルヘルスの取組みに関するアンケート調査」結果(有効回答数543組合)によると、組合員の「心の病」については、ここ3年間で「増加傾向にある」との回答が68.7%と約7割を占めた。「心の病」が多い年齢層は、「30代」(49.9%)とする労組がもっとも多く、「心の病」のため1ヵ月以上休業している組合員がいる労組も68.1%と高水準だった。
「心の病」の原因としては、「職場の人間関係」(30.4%)を挙げた労組がもっとも多く、次いで「仕事の問題」(18.6%)、「職場環境の問題」(12.7%)となっている。また、職場のメンタルヘルスを低下させる要因としてもっとも影響が大きいものとして、「コミュニケーションの希薄化」(49.9%)を挙げる労組がもっとも多く、職場でのつながりや信頼関係が薄れていることが背景にあるとみられている。
現在の運動方針にメンタルヘルスへの取組みを「入れている」労組は65.4%で、「検討中」(15.3%)を含めると8割に達する。「入れている」割合は2003年の前回調査から7.3ポイント増加し、労組の関心の高まりがみえる。具体的な施策としては、「組合幹部向けの教育」(36.6%)、「組合報・小冊子によるPR」(33.3%)、「組合員へのメンタルヘルス講習会」(25.2%)などと、教育・広報に関する施策が上位を占める。
メンタルヘルス対策として、執行委員や職場委員に「相談しやすい環境づくり」、「組合員の不満の聞き取り」という「コミュニケーション・日常の世話活動」を重視している労組では、「心の病」の増加傾向が抑えられている。日ごろから相談しやすい雰囲気づくりに努めている労組は、メンタルヘルス対策でも「心の病」の芽を事前に摘み取る予防活動として功を奏している結果となっている。
同調査の詳細は↓
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20050715-1.html