日本の情報サービス産業は、海外アウトソーシングの増加に伴い、従業員の伸びが頭打ち傾向を示している。一方で、ソフトウェア業界は、コスト削減、新技術対応要員の養成、短期開発、品質向上といった市場の要請に迫られており、これらの課題の克服を目的に、海外へのソフトウェア・アウトソーシングを行う企業が増えている。その中小企業の取組みの現状と留意点をまとめたのは信金中央金庫のレポートである。
レポートによると、昨年7月に電子情報技術産業協会など業界3団体が実施した実態調査(有効回答数251社)では、海外へのアウトソーシングを活用している企業は23.1%にのぼるという。また、すでに海外アウトソーシングを活用している企業の海外発注は今後も引き続き拡大するものとみられ、国内受託開発業者は海外開発業者との価格競争にさらされる傾向が強まるものとみられている。
アウトソーシングの最大のメリットは、一言でいえば、日本と比べ非常に安価な労働力を大量に利用できる点にある。今日では、アジア諸国におけるIT技術の向上も手伝い、大手企業を中心に、米国シリコンバレーのIT産業を支えるともいわれるインドや、技術力の向上が著しく労働コストの安い中国などといった国々へのソフトウェア・アウトソーシングの流れは加速している。
一方で、海外へのアウトソーシングには、文化・習慣の違いや言語などコミュニケーションの難しさも伴い、納期や品質に関するトラブルも増加しているといわれる。レポートでは、中小企業が海外アウトソーシングに取り組むにあたって、アウトソーシングの1)基本的な理解、2)手順、3)アウトソーシングの委託者と受託者のコミュニケーションといった3つの視点から解説している。
海外アウトソーシングに関心のある社はぜひご一読をお勧めしたい。↓
http://www.scbri.jp/PDFtoubounnews/scb79h16ps0223.pdf