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税務関連情報 (2005/02/11)

贈与で取得したゴルフ会員権の名義書換料は取得費

 贈与により取得したゴルフ会員権の名義書換手数料はその会員権の取得費にあたるとして、最高裁第三小法廷(濱田邦夫裁判長)が納税者の主張を認める判決を下し話題となっている。原判決を破棄、第一審判決を取り消し、国側(国税当局)の敗訴が確定した。これまでの国税当局の取扱いを否定するものだけに、確定申告間近となって早急に対応が迫られる事態となっている。

 この事件は、1200万円で取得したゴルフ会員権を父親から贈与され名義書換手数料82万4000円を支払って会員となっていた納税者が、その後、会員権を譲渡してその名義書換手数料を取得費として申告した。納税者は、取得代金及び手数料の合計1282万4000円を資産の取得費、譲渡代金100万円を収入金額として長期譲渡所得の損失額を計算した。しかし、税務署が手数料の経費算入を認めなかったため訴訟に及んでいたもの。

 納税者の主張を退けた高裁判決では、所得税法60条1項は贈与等により資産を取得した者がその資産を譲渡した場合における譲渡所得の金額の計算において「その者が引き続きこれを所有していたものとみなす」旨を定めていることを挙げ、中間の贈与の事実はなかったものと扱うほかなく、受贈者が自己への所有権移転のために支払った費用があったとしても、無視せざるを得ない、と税務署の処分を認めた。これが従来の取扱いである。

 これに対して第三小法廷は、法60条1項の本旨は増加益に対する課税の繰延べにあると指摘。また、受贈者が贈与者から資産を取得するための付随費用は、受贈者の資産の保有期間に係る増加益の計算において「資産の取得に要した金額」として収入金額から控除されるべき性質のものである。そうすると、この付随費用は、法60条1項に基づく譲渡所得の金額の計算において「資産の取得に要した金額」にあたると解すべきだとしている。

 本件の贈与により取得したゴルフ会員権の名義書換手数料は、会員権を取得するための付随費用にあたるものであり、本件会員権の保有期間に係る増加益の計算において「資産の取得に要した金額」として収入金額から控除されるべき性質のものということができる。したがって、本件譲渡所得金額は、本件手数料が「資産の取得に要した金額」にあたるものとして、これを計算すべきだ、と判示している。