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納税者番号制度の早期導入を提言~東京財団

税務関連情報 - 2009年06月26日

 納税者番号制度の導入については過去に何度も検討課題として政府税制調査会などで議論されてきたが、プライバシー問題などがネックとなって実現に至っていない。しかし、最近では、2009年度与党税制改正大綱(08年12月)や民主党税制抜本改革アクションプログラム(08年12月)などにも早急の導入が明記されるなど、納税者番号導入の機運がかつてとは比較にならないほど高まっている。

 こうしたなか、民間シンクタンクの東京財団はこのほど、納税者の立場から納税者番号制度の早期導入を求める提言をまとめ公表した。東京財団では、従来の納税者番号制度をめぐる議論は「適正・公平な課税の実現」といった徴税側の理由ばかりが主張されてきたと指摘した上で、納税者番号制度が「国民にとってメリットとなる新たな政策」を提供するという視点から制度の導入を提言したとしている。

 提言は、現在わが国では「世帯単位の所得を合算して、一定の所得未満(所得制限)の家庭に給付を行うこと」は困難だったが、納税者番号制度の導入によって可能となるほか、(1)給付付き税額控除~税制と社会保障の一体改革、(2)金融所得一体課税と資産形成支援税制の導入、(3)記入済み申告制度の導入、(4)e-Taxと組み合わせた(選択的)自主申告制度の導入、といった新たな政策の導入が可能となるとのメリットを挙げた。

 給付付き税額控除は、一定の所得以上の勤労所得のある個人や世帯に対して一定額の税額控除を与え、控除し切れない額は還付(社会保障給付)する仕組み。また、記入済み申告制度は、税務当局が番号を通じてあらかじめ把握している資料情報を、納税者の申告書に記載し、納税者がその内容を確認することで申告を終了させる仕組み。納税者の申告書作成負担を緩和し、間違いや申告漏れを防ぎコンプライアンスの向上が図れる。

 一方、プライバシー問題については、「情報プライバシー権」の内容を基本法で明らかにし、人権として確立することを始め、プライバシー情報の検査権を付与した公的機関を設置するなど、実行性を担保する政策対応を包括的に実施することを提案。前向きな国民的議論により、プライバシーの対応を考えるとともに、納税者の利便に立った番号制度について具体論を進めていくべき時期に来ていると指摘している。

 同提言の概要は↓
 http://www.tkfd.or.jp/admin/files/2009-02-2.pdf