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経営関連情報 (2006/01/13)

寒波が実質GDPを約6567億円押上げ

 今年の冬は全国各地が例年に比べ厳しい寒さに襲われているが、第一生命経済研究所は5日、今冬が1985年度並みの厳冬となれば、短期的に実質GDPを6567億円程度押し上げるとの試算を発表した。気象庁の予報によれば、今年度の寒波は1月半ばまで続く見込であり、1985年度の冬以来20年ぶりの厳しさとなりそうだが、回復感が漂う日本経済に短期的に思わぬ追い風をもたらす可能性があるとのレポートである。

 レポートは、85年度の厳冬の経験から、主な影響として、1)暖房器具や冬物衣料など季節性の高い商品の売行きの盛上がり、2)暖房器具の使用量増加などを通じた光熱費の増加、3)外出が控えられることなどを通じた交通費の減少、などを指摘している。20年前の寒波を振り返れば、その寒波の影響は主にこうした3つの経路を通じて家計の消費に影響を及ぼすことが想定されるという。

 そこでレポートは、今年度12~1月が85年度並みの寒波(東京・大阪の平均気温が5.7度)となれば、気温が平年並みになる場合に比べて同時期の平均気温が▲1.4度低下するため、最終的にGDPを3792億円押し上げると試算。さらに、前年同期の気温が8.1度の暖冬だった反動もあり、同時期の平均気温が前年比▲2.4度低下することを通じて、最終的に実質GDPを6567億円押し上げる可能性があるとみている。

 もっとも、こうした寒波による追加消費は所得見合いで一時的に過剰消費となり、所得を制約することを通してその後の個人消費にはむしろマイナスの影響を及ぼすリスクがあることも指摘する。しかし、寒波が訪れる時期に限ってみれば、足元で雇用所得環境の改善や株価の上昇といったプラス材料が目立つ日本経済に、寒波の到来が短期的に思わぬ追い風をもたらす可能性があると推測している。

 同レポートの詳細は↓
 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/news_index.html