自粛ムードからどう脱却するか?~リサーチ総研
災害時における個人消費の落ち込みは過去にも見られたことだが、東日本大震災発生後の今回は、特に消費マインドの低下に拍車をかけているのが「自粛ムード」。そんな消費者に「自分が消費することが結局は被災者のためになる」と実感できるようにするには、「寄附ブームで高まったソーシャル・マインドを消費活動にビルトインさせる必要がある」と、日本リサーチ総研の金融経済レポートが報じている。
震災後、メディアによる被災地の過酷な現状、日本各地で頻発する余震、そして原発事故による放射能の報道と計画停電などを受け、消費マインドは当然のごとく凍りついた。こうした異常事態の中では、生活必需品の需要が圧倒的に増加する一方、趣味やファッション、グルメにお金を使おうとする気持ちが萎えてくる。レポートは、「消費マインド低下に拍車をかける『自粛ムード』、怖いのは『自粛』ではなく『自粛ムード』」という。
今回特に消費マインドの低下に拍車をかけているのが社会全体を覆っている「自粛」と「不謹慎」のムード。震災後早々、浅草の三社祭や東京湾大華火祭の開催中止が発表され、花見シーズンの公園・行楽地でも花見宴会の自粛要望が相次いだ。自粛とは本来、「自らの意思で行動や態度を差し控える」ことで、「他からあらぬ批判を受けたくない」という周りの目を意識する行動が加わると、「自粛ムード」に発展、消費の下押し圧力が長期化する。
そして、今空前の寄附ブームが巻き起こっている。これは、「この大惨事を皆で支えあって乗り切るしかない」という「ソーシャル・マインド」が多くの日本人に芽生えた瞬間としている。しかし、現在高ぶっている国民感情も、復興段階に入ると徐々に冷め、支援活動のモチベーションも低下していく。この、今高まっている「ソーシャル・マインド」を消費活動にビルトインする仕組みを探ることが必要、とレポートは結んでいる。
同レポートの全文は↓
http://www.research-soken.or.jp/reports/economic/pdf/number28.pdf