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税務関連情報 (2005/06/24)

政府税調、今後の所得税改革の基本方向を提示

 政府税制調査会は21日、「個人所得課税に関する論点整理」と題した報告書を公表し、今後の個人所得課税の基本方向を提示した。累次の政策目的のための変更によって生じた様々な歪み、不公平を是正する取組みが、個人所得課税の本来果たすべき財源調達機能の回復にもつながるとの考えだ。具体的には、所得区分や所得計算の見直し、課税ベースと税率構造のあり方、納税環境の整備まで全般にわたる方向性を示した。

 所得区分や各種所得控除の見直し、納税者番号制度の検討など、ほとんどが中長期的な検討課題だが、当面2006年度においては、定率減税を廃止するとともに、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を行うことを明記した。個人住民税所得割は現行3段階(5・10・13%)の税率を10%にフラット化し、個人住民税の応益性などを明確にする。均等割りの税率引上げも検討される。

 個人住民税のフラット化に伴い、個々の納税者に係る国・地方を通じた税負担の変動を極力抑制するため、負担増となる層に対しては所得税の最低税率を10%から5%に引き下げ、減税となる層に対しては最高税率を37%から40%に引き上げる。所得税と個人住民税と合わせた最高税率は50%を維持する。個人住民税の各種控除の見直しでは、当面、生命保険料控除や損害保険料控除の廃止が焦点とみられる。

 各種所得の見直しでは、勤務費用の概算控除としては手厚すぎるとの批判が強い給与所得控除の見直しや、不動産所得・一時所得の廃止などが盛り込まれているが、来年度改正では、短期間勤務者に対し、給与を低く抑え、高額の退職金を支払って2分の1課税を適用して租税回避に使われている退職所得制度の見直しが議論となろう。ほかでは、ゴルフ会員権の分離課税化、給与所得との通算廃止が実現するか注目される。

 報告書の詳細は↓
 http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/170621.pdf