経済産業省は23日、日系企業が中国において知的財産権の侵害を受けている実態について、中国の司法・行政当局の対応に焦点を当てた初の調査を公表した。調査結果によると、回答企業134社のほぼ半数の68社が、中国で製造された海賊版・模倣品などが中国以外の第三国に流出する被害に遭っていることがわかった。被害地域はアジアだけでなく欧米など世界各地に及んでおり、中国の水際での取締強化を求める声が高まっている。
調査対象期間2003~2004年の間に、知的財産権の侵害を受けて行政・刑事・民事による救済手続きを利用した企業は半数の67社だった。合計で4263件の行政処分を要請し、うち94.5%にあたる4029件が処分の対象となった。処分の内容は、「模倣品の没収廃棄」が3043件でもっとも多く、より重い処分である「違法所得の没収」(317件)や「製造設備の廃棄没収」(145件)まで行われることは少なかった。
行政機関による救済手続きに比べ、刑事手続きや民事手続きを利用する企業は少なかった。この2年間で刑事告発した企業は29社、139件、民事訴訟を起こした企業は16社、53件でしかない。刑事告発139件に対し公安が立件したのは114件、実際に刑事罰が科されたのは33件でしかない。民事手続きについては、裁判が長期化する、勝訴しても損害賠償がなかなか取れないなどの理由からあまり利用されていない模様だ。
また、中国当局の救済手続きを利用した67社のうち40社から、制度面の不備や地方保護主義、中国当局・職員の対応の悪さなどで、不十分・不適切な執行が多く見受けられたとの回答があった。さらに、過半数を超える34社が一度摘発された業者による再犯に遭ったと回答。経産省は中国政府に対し、法制度の整備、刑事訴追の徹底など執行及び再犯防止策の強化など、知的財産権保護のための取組みを求めていく考えだ。
同調査の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/20050623001/chizaishinngai-set.pdf