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2007年分確定申告に係る特定支出控除はわずか7人

税務関連情報 - 2009年03月13日

 特定支出控除は、サラリーマンにも確定申告の道を拓くものとして1987年に創設されたが、その適用者は毎年多くても十数人程度に過ぎず、形骸化しているとの声が強い。このほど財務省が衆議院予算委員会に提出した資料によると、昨年2007年分所得税の確定申告(2008年3月末現在)における特定支出控除適用者は、確定申告をした給与所得者約4543万人のうち、わずか7人だったことが明らかになった。

 特定支出控除は、給与所得者が特定の支出をした場合、その年の特定支出の合計額が給与所得控除額を超えるときは、その超える金額が給与所得控除後の金額から差し引けるというもの。特定支出は、(1)一般の通勤者として通常必要と認められる通勤費、(2)転勤に伴う転居のために通常必要な引っ越し費用等、(3)研修費、(4)職務の遂行に直接必要な一定の資格取得費、(5)単身赴任者の勤務地と自宅の往復旅費の5つ。

 ちなみに、2007年分の適用者7人の費用の内訳は、通勤費が6件、研修費が5件、転居費及び資格取得費と帰宅旅費が各1件の合計14件だった。このように、特定支出の合計額が給与所得控除額を超えることが少ないのは、わが国の給与所得控除の水準が相当に高いためと考えられる。この5年をみても、2003年分10人、2004年分9人、2005年分13人、2006年分9人に過ぎず、2007年分はもっとも少ない人数となった。

 なお、上記の5つの特定支出は、給与の支払者が証明したものに限られ、また、給与の支払者から補てんされる部分があり、かつ、その補てんされる部分が課税されていないときは、その部分は除かれる。また、確定申告の際には、特定支出に関する明細書や給与の支払者の証明書を申告書に添付し、搭乗・乗車・乗船に関する証明書、支出した金額を証する書類を申告書に添付または提示する必要がある。