日本経済研究センターが実施した「経済政策と投票行動に関する調査」結果(有効回答数1194人)によると、民主党が圧勝した事実を踏まえ、看板政策である「子ども手当」について賛否を聞いたところ、全体での「賛成」は30.1%にとどまっている上、民主党投票者(回答者の40.5%)の間でも43.4%だった。少子化対策としての子ども手当の趣旨には賛成しても、「財源が不明確」とする回答が39.0%ともっとも多い。
子ども手当に関しては、年間5兆5000億円となる財源を恒久的にどのように確保するのかが明確になっていない。子ども手当の趣旨には賛成でも、増税による財源確保には拒否感があることをうかがわせる。ただ、扶養する子どもがいる世帯(回答者の14.1%)に限ると、結果は際立って異なり、「賛成」が54.8%と「反対」(43.4%)を上回り、子ども1人あたり月額2万6000円が支給されることにストレートな賛意が多い。
投票に際し最重視したことでは、「マニフェストの政策」(30.2%)、「各政党の仕事ぶり・実績」(14.7%)、「政権選択(誰を首相にしたいか)」(13.2%)などの順となった。2005年の総選挙で与党に投票し、今回民主党に投票した層(回答者の13.8%)は「マニフェスト」(46.9%)を重視。財政拡大には警戒感を示しつつも、格差是正や家計支援、官僚主導ではなく政治主導といった民主党の政策の大枠への期待が高いことがうかがえる。
自民党・民主党に対する信頼度については、民主党は、「どちらかといえば」を含め「信頼できる」との回答が46.3%と自民党(26.1%)より多いが、「あまり信頼できない」(42.1%)、「全く信頼できない」(11.6%)を合わせて「信頼できない」が過半を占めている。民主党への信頼というより、自民党の不信任(「信頼できない」は計73.9%)の裏返しとして、消去法的に選ばれたケースが多いことが推測できる。
民主への投票者が投票に際して重視した政策分野(3つまで回答)は、「景気」(54.5%)、「社会保障」(43.0%)、「財政再建」(39.3%)、「少子化・子育て」(27.1%)となった。現実には財政規律を保ちながら、景気浮揚を図り、しかも福祉の充実に努めることは難しい。ひとまず民主党は旧与党に代わり政権をとったが、政治にあれもこれも求める有権者を満足させていくのは容易ではないことが、この回答結果からうかがえる。
同調査結果の詳細は↓
http://www.jcer.or.jp/policy/pdf/questionnaire090830.pdf