国税庁がまとめた2008事務年度における源泉所得税の課税事績によると、今年6月までの1年間の源泉所得税額は14兆811億円で、前年度に比べ6.1%(9116億円)減と、4年ぶりに減少した前年度に引き続き2年連続で減少したことが分かった。これは、主に給与所得の税額が4.2%(4108億円)、配当所得の税額が9.7%(2214億円)、それぞれ減少したことによるもの。
源泉所得税全体の約67%を占める給与所得は前年度に比べ4.2%減少し9兆4783億円となったほか、「配当所得」が同9.7%減の2兆718億円、「報酬料金等所得」は同2.3%減の1兆1610億円、「利子所得」は同4.8%減の7215億円、「非居住者等所得」は同12.1%減の3388億円、「退職所得」は同3.2%減の2603億円と、軒並み減少した。今年6月末現在の給与所得の源泉徴収義務者数は前年度に比べ1.7%減の374万6千件だった。
一方、2008年度中の源泉所得税の調査は、前年度比1.3%減の19万7千件に対して行われ、うち5万5千件(前年度比2.7%減)から何らかの非違を見つけ、加算税41億円を含め423億円(同10.2%減)を追徴した。なお、国税庁では、経済取引の進展・拡大に伴い、非居住者に対する給与や外国法人に対する特許権の支払いといった国際取引に係る源泉所得税(非居住者等所得)について、深度ある調査に取り組んでいる。
その結果、国際取引に係る源泉所得税について1719件から379億円の課税漏れ支払い金額を把握し、59億円を追徴。誤りの内容では、非居住者に対する「給与・報酬」の課税漏れが最多、次いで「特許権・著作権等の使用料」の課税漏れが多い。例えば、機械器具の製造等を営む法人は、外国法人へ支払った特許権の使用料について、源泉徴収が不要となる日米租税条約が適用になると誤認して、源泉徴収を行っていなかったケースがあった。