2008年度地方税制改正において、地方税(都道府県税)である法人事業税の約半分にあたる2.6兆円が「地方法人特別税」として国税化され、その税収は「地方特別譲与税」として都道府県に譲与される制度が創設される。これは、地域間の税収格差が問題視されるなか、消費税を含む税体系の抜本的改革が行われる間の暫定措置として行われるもので、納税義務者である各法人の税負担は従前と変わらない。
地方法人特別税の課税標準は法人事業税(所得割・収入割)の税額(標準税率分)となることに伴い、2008年10月1日以降に開始する事業年度から法人事業税の標準税率が改正される。例えば、資本金等1億円以下の普通法人の所得割標準税率は、年400万円以下の所得は1.5%(改正前3.8%)、年400万円超800万円以下は2.2%(同5.5%)、年800万円超及び清算所得は2.9%(同7.2%)に、それぞれ引き下げられる。
法人事業税の税率を引き下げ、ほぼ同額が地方法人特別税という国税となり、2008年10月1日以降開始事業年度から、法人事業税(所得割・収入割)の納税義務者に対して課される。標準税率は、外形標準課税法人が「所得割額×148%」、所得割により事業税を課される法人が「所得割額×81%」、収入割額により事業税を課される法人が「収入割額×81%」となる。申告納付は、都道府県に対して、法人事業税と併せて行う。
地方法人特別税の税収は、地方特別譲与税として、また使途を特定しない一般財源として、2009年度以降国から都道府県に譲与される。譲与基準は、人口(1/2)及び従業者数(1/2)だが、今回の改正による減収額が、財源超過額の1/2を超える場合、減収額の1/2を限度として、その超える額を譲与額に加算する。いずれにせよ、各法人の税負担は変わらず、申告実務も特に煩雑になることはないとみられる。