経 営 関 連 情 報

2002年05月27日-002
取締役・監査役の責任軽減のために定款変更するは少数

 5月1日に施行された「企業統治に関する商法等改正法」では、取締役・監査役の会社に対する賠償責任額が軽減され、代表取締役は報酬等の6年分まで、取締役は同4年分まで、社外取締役及び監査役については同2年分まで軽減可能とされた。また、5月22日に成立、来年4月施行予定の商法抜本改正では、社外取締役を積極的に活用した大会社に限り、監査役制度を廃止し、「指名委員会」や「監査委員会」、「報酬委員会」を設置することで、企業内で経営監視する米国式の経営が可能となった。

 (社)日本監査役協会ではこのほど、このような商法改正の動きに企業はどのように対応するのかについて、会員会社を対象にアンケート調査を実施した(回答社1,076社)。その結果によると、取締役・監査役の責任軽減のために定款変更を「行う」と回答した企業は10.8%と1割程度に過ぎず、「しない」との回答が47.8%と約半数を占めた。「しない」と回答した企業の理由としては、3%の株主による否決の可能性が高いという意見が最も多く(30%程度)、その他、責任軽減の手段としては株主総会特別決議を考えている(10%程度)、株主代表訴訟の提起があった際に判断する(同)、社外取締役の有効活用が難しくなる(同)、取締役の報酬開示につながるため避けたい(5%程度)などの意見があった。

 また、商法抜本改正が施行された場合、米国型の監査委員会制度を導入すると回答した企業は4社のみで1割に満たず、48.8%が既存の監査役制度を採用すると回答。監査役制度を選択した理由としては、監査委員会制度の導入によって監査機能の形骸化のおそれがある(20%程度)が最も多く、以下、社外中心の監査委員会制度では情報収集力が落ちる(15%程度)、自己監査に該当する(10%程度)などが続き、監査委員会制度は監査役制度よりも機能しないといった意見が多かった。

 

 

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