帝国データバンクが集計したBSE(牛海綿状脳症、狂牛病)発生の影響による倒産状況によると、2001年9月に国内で初めてBSE感染牛が発見されて以降、消費者の牛肉離れによる需要減少によってBSE関連倒産が相次いで発生した。その多くは、業績不振など問題を抱えていた企業が急激な環境変化に耐え切れず倒産したケースで、倒産件数も高水準となった。2002年以降は沈静化し、2003年は大幅に減少した。
ところが、2003年12月に牛肉の大量輸出国であるアメリカでBSE感染牛が発見され、日本では米国国産牛が輸入禁止となって、再び倒産が増加。2005年12月にようやく輸入解禁となったが、今年1月の輸入牛肉に危険部位の混入があって、輸入再開からわずか1ヵ月あまりで再び輸入禁止措置がとられ、いまだ再開のメドは立っていない。期待が一転して失望に変わった関連業者の経営環境の悪化は避けられないとみられている。
帝国データバンクの集計結果によると、国内でBSE感染牛が見つかった2001年9月以降の法的整理によるBSE関連倒産は82件発生し、負債総額は802億8500万円にのぼる。うち2005年度(2005年4月~2006年1月)の倒産件数は16件(負債63億9900万円)。推移をみると、2003年以降はいったん沈静化したが、米国産牛肉が輸入禁止となった2004年以降、「焼肉店など飲食店経営業者」の倒産が増加している。
これは、国産牛から輸入牛に切り替えて急場をしのいできた飲食店などが再び苦境に立たされたため。2005年末には再び沈静化の兆しをみせていたが、いったん再開された米国産牛肉の輸入が今年1月に入って再び禁止となり、輸入再開に際してのセールや新メニューへ準備を進め、再起を図ってきた企業の投資損害が、資金繰りや財務内容をますます圧迫するとみられ、今後は3度目のBSE関連倒産の多発が危惧される。