今後2007~2010年にかけて「団塊の世代」が定年を迎えるが、その影響として、約6割(58%)の企業が「管理職への若手抜擢が進む」と考えていることが、社会経済生産性本部が9日に発表した日本的人事制度の変容に関する調査結果(有効回答数:上場企業253社)でわかった。そのほか、「技能伝承など社内ナレッジの継承がうまくいかなくなる」(40%)、「定年の延長が進む」(35%)が上位に挙げられた。
「管理職への若手抜擢が進む」と考えている企業がもっとも多かったわけだが、一方、すでに経営幹部の早期選抜・育成を実施している企業は26%と3割に満たず、40%の企業は検討中と回答している。実施企業では、選抜をはじめる時期として、管理職である「課長クラス」を対象とする企業が37%でもっとも多く、次いで管理職候補段階ともいえる「係長・主任クラス」が23%、「課長代理クラス」が14%となっている。
現時点での管理職への平均標準登用年齢は37.8歳、第一次選抜年齢は34.1歳となっており、いわゆるバブル入社組(1988~92年ごろまで)より若い世代から、第一次選抜が始まることになる。00年調査では標準38.4歳、第一次選抜37.1歳だったが、特に第一次選抜の登用年齢が3歳ほど早まってきている。また、今後(3~5年後)の予想される登用年齢は標準36.5歳、第一次選抜32.9歳となり、それぞれ1歳程度早まっている。
社長の就任年齢については、日本企業は欧米企業に比べ遅いといわれているが、今後の望ましい就任年齢は52.4歳となった。帝国データバンクの調査によると、2003年の全国企業の社長の平均年齢は58歳2ヵ月で、81年以降23年連続して上昇しており、現実と理想で大きなギャップがみられる。なお、60歳以降への定年延長をすでに実施している企業割合は、02年調査時点の2.0%から11.9%に大幅に増加している。