パート労働者に対しても厚生年金加入を義務化する方向で政府・与党が検討している。厚生年金の適用条件の拡大は、パート労働者だけでなく、事業者にも新たな負担増となる。日本チェーンストア協会や全国スーパーマーケット協会など流通・サービス業界17団体で構成する「短時間労働者への厚生年金等適用拡大反対協議会」は7日、「パート労働者等への厚生年金適用拡大に対する反対意見」を公表した。
反対意見では、1)短時間労働を選択しているパート労働者が本当に厚生年金加入を望んでいるのか検証されていない、2)パート労働者本人の給付の形が不透明のまま、保険料の負担ばかり議論されている、3)適用拡大を強行することは、パート労働者の多様な働き方を阻害し、雇用不安を招く、などの問題点を挙げ、事業者・パート労働者双方に重大な影響を与える施策を安易に強行することがないように要望している。
そのほか、国民年金の未加入・未納問題が依然として解消されていない上、厚生年金等の空洞化等の問題も十分に改善されておらず、年金制度に対する不信感は払拭されていないことを反対理由に挙げている。空洞化問題では、厚生年金適用事業所でありながら制度加入を違法に免れている事業者が多数存在するなどの問題解消も遅々として進まないなど、不公平感も増大している指摘している。
また、パートへの厚生年金適用拡大は、家計を圧迫し個人消費に影響を及ぼすとともに、過重な厚生年金保険料の事業者負担の増加が経営体力に深刻な打撃を与えることは明らかであり、拙速な議論の結果として、パート労働者を多く擁する流通・サービス業界のみに過重な負担を強いるような施策を容認することはできないとして、短時間労働者への厚生年金適用拡大に対し断固反対の考えを表明している。