世界同時不況が進行するなか、2008年10月31日に始まった中小企業の資金繰りを支援する緊急保証制度は、5月29日時点で累計53万4000件、総額10兆8000億円に達するなど、同制度の利用が進んでいる。しかし、審査基準の厳格化により、申請企業の24%が融資を減額され、8%の企業は審査が通らないなど、3社に1社が申請どおりの結果を得られていないことが、帝国データバンクの調査で明らかになった。
調査結果(有効回答数1万781社)によると、緊急保証制度の利用を申請した3004社を対象に、信用保証協会が承諾した保証額の申請金額に占める割合を尋ねたところ、「10割」との回答が63.3%を占める一方で、「1~4割」程度が4.8%、「5~9割」程度が18.7%と、申請額どおりではなかった企業が23.5%だった。さらに「0割(審査が通らなかった)」(8.2%)を含めると、3社に1社が申請どおりの結果を得られていない。
また、1998年10月から2001年3月まで実施された特別保証制度を利用した2103社に対して、今回の緊急保証制度の審査の厳しさを尋ねたところ、緊急保証制度を利用している1288社のうち13.4%が「かなり厳しくなった」、23.8%が「やや厳しくなった」と回答。審査を通過した企業でも4割近くが審査基準がより厳しくなったと感じている。一方で、「易しくなった」と感じている企業は13.0%にとどまった。
このように、前回の特別保証制度では企業にモラルハザードを招いたとの批判を受けて審査が厳格化されたこともあり、今回の審査基準が厳しくなったと感じている企業は多い。なお、今回の緊急保証制度が企業の資金繰り支援策として「効果あり」と回答した企業は全体の46.2%に達した。特に緊急保証制度を利用した企業では73.5%が「効果あり」と回答しており、利用企業ほど高い効果を実感している様子がうかがえる。
同調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0905.pdf