アメリカの金融危機に端を発した世界同時不況の大波が日本企業に押し寄せるなか、2009年の春季労使交渉がスタートした。産労総合研究所が、賃金交渉に先駆けて昨年11月中旬から12月上旬にかけて実施した「春季労使交渉にのぞむ経営側のスタンス調査」結果(有効回答数168社)によると、2009年に自社の賃上げを「実施する予定」と回答した企業割合は、2008年の約9割(85.5%)から6割(61.9%)に大きく減少した。
ただし、経営の先行きが見通せないせいか、「現時点(2008年12月)ではわからない」と回答した企業が、2008年の4.2%から25.0%に増加。今後の決断の行方が注目される。賃上げ実施予定企業の予想賃上げ率は、「2008年と同程度」が64.4%、予想賃上げ率は平均1.7%(2008年調査1.8%)。次いで「2008年を下回る」が2008年から22.2ポイント増の27.9%で、同1.5%となった。予想賃上げ率は1.5~1.7%が実情に近い。
賃上げ率1.5~1.7%は通常の定期昇給の範囲内に収まる水準だが、定昇制度が「ある」企業は75.6%で、うち「定昇のみ実施する予定」が57.5%、「現時点ではわからない」が33.9%、「定昇もベアも実施する予定」は2008年の16.1%から6.3%に激減した。また、2009年の賃金改定にあたって物価上昇に対する考慮は、「企業業績次第」と考える企業が50.0%と半数を占め、「特に考慮するつもりはない」が23.2%となった。
2009年の賃上げ相場については、72.0%が「2008年を下回る」と予測、「2008年と同程度」は13.7%のみと、景気の急激な悪化を背景に厳しい見方が広がっている。2009年の年間賞与額は、2008年に比べて「ほぼ同額」が26.2%、「減少する見通し」が39.3%、「増加する見通し」はわずか4.8%。また、業績向上による成果配分は、「賃上げよりも賞与原資に回したい」と考える企業が67.9%と、経営側の“賞与重視”傾向は変わらない。
同アンケート調査結果の詳細は↓
http://www.e-sanro.net/sri/ilibrary/pressrelease/press_files/sanro_p090210.pdf