帝国データバンクがこのほど発表した全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、2004年の倒産件数は10年ぶりの1万4千件割れとなる1万3837件で、前年比16.8%減と2年連続の前年比減少となり、倒産は沈静化の傾向を強めた。借換保証などの公的支援メニューや再生メニューなどが倒産減少の要因と推測されるが、構造的不況に苦しむ企業は依然として多く、企業の自立的回復による倒産回避とは言いがたいとみている。
負債総額は7兆9273億円で、前年比32.6%減と4年連続の前年比減少、8年ぶりの10兆円割れとなった。これは、負債1000億円以上の倒産が4件にとどまり、96年以来8年ぶりに一ケタ台となるなど大型倒産が少なかったため。負債100億円以上はゴルフ場経営業を中心に146件発生したものの、6年ぶりに150件を下回り、負債10億円以上は853件で8年ぶりの1000件割れとなるなど、倒産企業規模の小型化が顕著になっている。
業種別の倒産動向は、すべての業種で前年比減少となった。また、主因別にみると、「販売不振」(9255件、前年比18.8%減)は2年連続の前年比減少となり、5年ぶりの1万件割れとなった。「放漫経営」(1002件、同12.6%減)、「業界不振」(613件、同26.1%減)、「売掛金回収難」(294件、同25.8%減)、「不良債権の累積」(161件、同27.1%減)は、それぞれ二ケタ台を超える減少率を記録した。
2004年は、粉飾、事件がらみの倒産や素材価格上昇、さらにはこのところ沈静化していた融通手形による倒産も目立ち始めるなど、今後の倒産傾向を示唆する動きもみられた。また、大手企業と中小企業、都市と地方、業種間などの二極化構造は解消されず、さらに公的信用保証の削減や金融機関の収益確保のための融資先への圧力などの不安要因を抱えており、今年も引き続き視界不良の年となると予測している。