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オーナー企業の継続的発展に向けた経営課題

経営関連情報 - 2008年02月18日

 みずほ総研はこのほど、「オーナー企業の継続的発展に向けて」と題したレポートを発表し、同社が昨年10月に実施した「企業経営の継続的発展に関するアンケート調査」に基づくオーナー企業の経営課題を示した。同調査は、創業者一族が経営の支配権を握るオーナー企業の経営の継続性に関連する要素として、内部ガバナンスと事業承継に環境適応力を加えた3点に着目し、各社における取組み状況や経営者の認識などを探ったもの。

 レポートによると、環境適応力とは、時代の流れや消費者ニーズの変化に応じて商品・サービスの革新を続ける姿勢や能力のことで、企業競争力の維持・強化に不可欠な要素だ。調査結果によると、自社の伝統を守りながらも新しい商品・サービスを積極的に開発してきたオーナー企業が全体の4分の3を占め、このような企業は成長性のパフォーマンスが相対的に高いという傾向がみられたとしている。

 内部ガバナンスについては、同調査対象が一定規模以上で信用力も低くない企業に限定されているためか、内部ガバナンスが相応に整っている企業が総じて多かったと指摘。また、例えば、取締役会などの合議で経営者がリーダーシップを発揮している企業や、経営者を補佐する右腕・番頭が存在する企業では、相対的に成長性のパフォーマンスが高いという、内部ガバナンスとパフォーマンスとの関係性を示唆する結果が得られたという。

 一方、先代経営者からの事業承継が円滑に行われたとするオーナー企業は9割に達し、こうした企業ではパフォーマンスも相対的に高いと指摘。今後の事業承継については、親族関係者に継いでほしいと望むオーナー経営者は50%強にとどまり、残りの半分近くは実力本位で後継者を選ぶ姿勢を見せている。また、過去に事業承継の経験がある二代目以降の経営者は、事業承継を計画的に進めようとする意向の強さがうかがえるとしている。

 レポートは、今回の調査結果から、オーナー企業が長期的な競争力を維持・強化する上で、環境適応力、内部ガバナンスの整備度、事業承継の円滑さという3要素が一定の関係性を持っていることを示唆している、との考えを示している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/report/report08-0213.pdf