税 務 関 連 情 報 |
2003年02月10日-001
推計課税事案での同業者比率の難しさ
異議申立ての推計課税事案が減っているという。この要因は、国税全体の調査件数が定員の減少に加え困難事案が増えていることから、どうしても高額事案にシフトし、比較的小規模なものが多い推計課税事案の調査件数に占める割合が減っていることにある。調査件数が少ないことに比例して異議申立ての件数も減少しているということなのだ。
これが異議申立て発生件数減少の一つの要因となっている。2002年度の発生件数は前年度を14%下回る4860件だった。一方、処理件数も約14%減少の5071件だったが、税務署の課税処分を全部または一部を取り消した取消割合は0.5ポイントながら上昇の14.9%だった。取消割合は最近上昇傾向にある。この理由のひとつに推計事案があるという。
推計課税は、帳簿がない人や帳簿の提出を拒む人に対して、同業者比率を使って所得を推計する。推計課税事案の取消割合が高いということは、その同業者比率を当てはめる難しさがあるということになる。例えば、八百屋さんであれば、なるべく同地域・同規模の八百屋さんを5例程度分析して当てはめていくわけだ。
しかし、八百屋さん一つとっても、実際には八百屋だけをやっているという人は少なくて、他の商売もやっているところが多い。全く違う他業種を複合的に経営している小売屋がたくさんある。異議申立ての処理段階できちんと見直してみて、比較した同業者がおかしい場合は、ほかの同業者比率を用いて計算し直す。それで一部取り消しということになるのである。
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