帝国データバンクがこのほど発表した2004年度の全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、今年3月までの1年間の倒産件数は1万3276件で、1991年度以来13年ぶりの1万4000件割れとなった。前年度比では15.9%減で3年連続の減少。2003年度と同様にすべての月で前年同月比減少となり、3月までに27ヵ月連続して前年同月比で減少するなど、倒産件数の減少傾向が鮮明になっている。
また、すべての業種、地域で前年度比減少となり、不況型倒産は9888件と96年度以来8年ぶりの1万件割れとなった。構成比は74.5%で、5年ぶりに75%を下回る。このような倒産減少の主な要因として、1)政府による中小企業金融セーフティネットの充実、2)各種再生メニューの充実、3)手形を使用しない商慣行の拡大、4)リスク回避志向や債務最小化志向による先行投資の抑制、などが挙げられている。
一方、負債総額は7兆428億6800万円で、94年度以来10年ぶりの8兆円割れとなった。前年度比では34.1%減、4年連続の減少。2004年度の倒産は、過剰債務によるバブル型から本業の不振による構造不況型へと倒産の主流が移行するなか、負債規模こそ大きくはないものの、地場大手のほか、粉飾決算、事件がらみの倒産や、このところ沈静化していた融通手形による倒産が目立ち始めた。
さらに、業歴30年以上の老舗倒産の構成比が過去最高の27.5%を記録、事業承継を断念する破産などの清算処理のウエイトが4割にまで上昇するなど、依然として厳しい実態もある。大手企業と中小企業、都市と地方、業種間などの二極化構造はいまだ解消されず、加えて原油価格の高騰や企業業績の減速懸念などの不透明要因も抱えている。
倒産抑制によって多くの企業が供給サイドに居座りつづけ、消耗戦が激化するなど、事業環境の悪化に歯止めがかからない状況に変わりはない。帝国データバンクは、「倒産は、中小企業救済策などの減少要因が継続されることからも、しばらくは低水準で推移することになろうが、水面下では破綻予備軍が増殖しており、それに伴う信用リスクも決して解消されていない」との見方を示している。