政府税制調査会は、9月下旬に取りまとめる予定だった中期答申を見送ることを決めたが、その代わりに12日の総会後、今後の税制改革に向けては「責任」、「安心」、「活力」の3つの基本的視点に留意した議論をすべきとする会長談話を公表した。会長談話は、「増加する社会保障費用をまかなう安定財源として、消費税を位置づけることについて検討する必要がある」との考えを示した。
会長談話が挙げた一つ目の視点は、将来世代に対する「責任」である。わが国の危機的な財政状況は、将来世代へ重い負担を先送りする深刻な問題だと指摘。行財政改革を進め、徹底した歳出の削減・効率化を図るとともに、景気変動によるその時々の税収の変動にとらわれない安定的な歳入構造を構築し、将来世代に対し責任ある対応をとらなければならないとした。
二つ目の視点は「安心」できる社会である。高齢化の進展に伴い社会保障制度の持続可能性に対し多くの国民が不安を抱いていると指摘。こうした不安を払拭し、国民が安心して暮らせる社会を作るため、社会保障給付のあり方を検討するとともに、2009年度における基礎年金国庫負担割合の引上げへの対応を含め、必要な安定財源の確保を目指し、消費税をその財源として位置づけることについて検討すべきだとした。
三つ目の視点は、経済社会の持続的な「活力」である。経済社会の活力を持続させるためには、個人や企業がその能力を最大限発揮できる環境を整備する必要があると指摘。税制における効果的な子育て世帯への支援や、“民間が担う公共”の支援、活力と個性のある地域社会の実現のため、地域のニーズに応じた行政サービスを適切に実施できるように、地方税を充実するなど、地方分権の一層の推進を図る必要があるとしている。
会長談話の全文は↓
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/danwa/180912a.pdf