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経営関連情報 (2004/02/06)

いまだ不十分な過重労働による健康障害の防止

 リストラなどによる人手不足が従業員の過重労働になっており、それによる健康障害の防止が求められている。しかし、東京労働局が実施した調査では、企業の労働時間管理・健康管理などがいまだ不十分な状況が分かった。同調査は、都内に本社がある従業員300人以上の会社に対し昨年11~12月にかけて実施し、1106社から回答を得た。

 1ヵ月に100時間または2~6ヵ月間に平均80時間を超える残業や休日労働を行うと、脳・心臓疾患の発症の確率が高くなるとされているが、調査結果によると、54.0%の企業が「行っている・今後行う可能性がある」と回答している。その割合は昨年度調査から6.3ポイント増えた。

 一方、脳・心臓疾患発症の懸念があるとした企業は35.3%で、昨年度調査より5.2ポイント増えており、過重労働による健康障害に関する認識は高まってきているとみられている。ただ、上記の長時間労働などを行っている(可能性がある)企業割合54.0%をみると、過重労働の影響に対する認識はいまだ不十分だといえる。

 また、過重労働による健康障害の予防措置として、長時間の時間外労働従事者に対する産業医などの面接による保健指導を行う制度があるとする企業は32.8%で、昨年度調査より12.1ポイント増加し、対策の進展は認められるが、なお低調だとしている。

 東京労働局では、今回の調査結果を踏まえ、監督指導・個別指導の実施により、労働時間管理の適正化や健康管理の徹底を推進し、企業における過重労働による健康生涯の防止対策の強化を図っていくこととしている。コスト削減など企業側の余儀ない事情はあって分かっていながら改善できないのだろうが、企業は結局“ヒト”が命。ヒトを大切にしない企業は生き残れない。