日本酒の消費の減少が続いていることに伴い、清酒製造業者の減少にも歯止めがかからない。国税庁がこのほど公表した2003年10月1日時点(2002事業年度)での清酒製造業の実態調査結果(有効回答数1933者)によると、清酒製造業者数(共同びん詰法人を除く)は、1986事業年度の2425者から減少の一途をたどり、2002事業年度は1904者と1900台を割る水準まで減少している。
企業規模別にみると、資本金3億円を超えかつ従業員が300人超の大企業は8者に過ぎず、全体の99.6%、1896者が中小企業だ。内訳は、法人が1777者、個人が119者だ。また、製成数量規模別にみると、年間「100キロリットル以下」が全体の46.6%(887者)、次いで「100~200キロリットル以下」が12.6%(244者)をそれぞれ占める。清酒製造業者のほとんどが中小・零細であることがうかがわれる。
清酒製造業者数を都道府県別にみると、もっとも多いのは「兵庫県」の100者、次いで「新潟県」(96者)、「長野県」(90者)、「福島県」(83者)などが続く。反対に少ない県は、芋焼酎の本場「鹿児島県」がゼロ、次が泡盛で有名な「沖縄県」(1者)、「宮崎県」(2者)などが続く。国税局別では、やはり酒どころ新潟をかかえる「関東信越局」が357者でもっとも多く、次いで灘をかかえる「大阪局」の312者となっている。
興味深いのは販売先である。例えば、「京都府」は府内自身で消費する清酒は生産量全体の9.9%に過ぎず、大阪局管内でも14.5%で、75.6%を他の国税局管内で販売している。逆に「神奈川県」は96.8%を県内で消費し、他局向けはたった0.6%だ。また、製造業者数日本一の「新潟県」は54.3%を県内で、他局管内は36.2%、「長野県」は78.1%を県内で、他局管内が17.5%となっている。これらの県は酒飲みが多いということか…。