2004年版「パチンコ人材白書」を発表したのは矢野経済研究所。パチンコホール業界は、従来の新台入替え中心の遊技機への依存傾向が強い営業戦略から、多様なサービス提供を必要する差別化が求められており、それを実行する優秀な人材確保が大きな課題となってきている。経営資源の三大要素「ヒト・モノ・カネ」のうち、「ヒト」(人材)を主体とした経営戦略のあり方に注目が集まっている。
昨今では「接客」に力を入れているパチンコホールが増えているが、遊技者を対象にした調査結果(有効回答数1051人)によると、「接客サービスを重視する」との回答が82.2%にものぼった。こうした傾向を踏まえ、パチンコホールでは、フレッシュで活気ある若手スタッフの登用、接客マニュアルの整備・強化に力を入れているところが増えている。
優秀な人材確保のためには人事戦略も重要だ。パチンコホール経営企業に対する調査結果(有効回答数86社)によると、整備または見直していく必要がある制度・規程の回答比率は、「賃金規程」が41.9%で最も高く、次いで「就業規則」(29.0%)、「昇格・降格基準」(26.7%)となった。年功序列が永らく続いていた状況から一変、若年層の採用活動の活発化で人的構造変化が急激に進んだことから、規程そのものが古くなり、見直しの必要性に迫られていることがうかがえる。
また、ホール(店舗)に対する調査結果(有効回答数171店舗)によると、店長クラスの平均月収は44.6万円、年収は623万円で、給与水準は他業種とさほど変わらず、突出した水準ではない。社員とパート(アルバイト)の割合はほぼ1対1の割合で、店舗における労働力の多くを低コストかつ随時人員コントロールしやすいパートに依拠している様子がうかがえる。今後も人件費抑制策としてこの傾向は強まることから、パート処遇における社員並みの制度整備が必要になってくると指摘している。