日本公認会計士協会はこのほど2010年度税制改正意見・要望書を公表し、従来から主張している会計と税の調和の観点から、会計基準の国際的統一化への対応の必要性など7つの重要要望事項を掲げた。同協会では、法人税法の確定決算主義を前提として、会計と税との調和を一貫して主張しているが、いまだ企業会計と乖離した制度が存置・新設されていることから、今後も企業会計との調和に配慮した措置を強く要望した。
また、会計基準の国際的統一化が急速に進むなかで、会計と税との乖離の拡大を懸念している。特に損金経理要件が課されていることによる企業の税務メリットの放棄または逆に税務メリットを享受するがために企業会計を歪める逆基準性を問題視。これらの問題は、現在の法人税法における課税所得計算の基本原則である確定決算主義と密接に関連しているため、そのあり方について議論するべき時期が到来しているとしている。
そこで、今回の要望書では、重要要望事項として、会計基準の国際的統一化に対応し、損金経理要件を中心とする確定決算主義のあり方を弾力的に見直すことをトップに掲げている。そのほか、(1)財源確保を理由に税務上廃止された賞与引当金及び退職給付引当金を税務上も認めること、(2)特殊支配同族会社の役員に係る給与所得控除額相当額の損金不算入制度の廃止、(3)受取配当の全額益金不算入、などが主な重要要望事項だ。
(2)については、法人が計上する役員給与の額は資金流出を伴うものであり、担税力を喪失することになるにもかかわらず、その給与に係る給与所得控除額相当額をその法人の課税所得に加算することは、担税力の裏付けを伴った所得への課税を基本理念とする法人税制度と整合せず、しかも、同制度をいたずらに複雑化する点で好ましくないと指摘。会計と税を一致させる観点からも、速やかな廃止を要望している。
同要望書の詳細は↓
http://www.hp.jicpa.or.jp/specialized_field/pdf/4-2-0-2-20090619.pdf