道路特定財源の暫定税率の存廃をめぐり大混乱となった今通常国会では税制改正法案の成立が異例の1ヵ月遅れとなった。今国会は6月21日に終了したが、ねじれ国会を反映して成立しなかった内閣提出法案が例年に比べ多かった。今国会では、政府提出法案の80本のうち63本が成立したが、衆院では51法案が継続審議となり、参院では未成立の25法案がすべて廃案となった。継続審議となったなかには税制改正関連2法案もあった。
その一つが、住宅の長寿命化(200年住宅)を促進するための「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」だ。200年住宅に該当すれば、登録免許税、不動産取得税、固定資産税の特例措置が受けられる。附則には租税特別措置法の改正が規定されている。ただし、法案は2月26日に国会に提出されたものの、衆院国土交通委員会に付託されたのは6月10日で審議日程がほとんどなかった。
これ以上に審議日程がなかったのが、行政不服審査法関連3法案。同審査法案は、45年ぶりの改正で注目されていたが、4月11日に国会に提出されたものの、衆院総務委員会に付託されたのは国会終了間際の6月18日だった。関連3法案のうちの「整備法案」では、行政不服審査法の見直しに伴い、国税の不服申立て制度の見直しを盛り込んだ国税通則法の改正が規定されている。
不服申立て制度は、納税者が国税当局の処分に不満があるときに、税務署等に対し異議申立て、国税不服審判所に対し審査請求を行うという行政上の救済制度だ。この不服申立て制度が、行政不服審査法の見直しに伴い、2008年度税制改正において改正される予定だった。具体的には、(1)「異議申立て」を「再調査請求(仮称)」に名称変更、(2)不服申立て期間を処分があったことを知った日から3月(現行2月)以内に延長などだ。
両法案ともに閉会中審査、つまり継続審議となり、次の国会に先送りされた。ともに税制措置が法案そのものに規定されていることから、今国会で成立した2008年度税制改正法には規定されていない。