会計検査院は先日、決算検査報告を公表し、2007年度1年間に税金の徴収漏れが6億7千万円にのぼることを明らかにしたが、徴収漏れのなかに中小企業の設備投資に適用される税軽減制度の不適切な適用が原因だったものがあることから、国税庁に対し、同制度の対象資産に該当しないことを明確にすることにより、特別償却または税額控除の適用が適正なものとなるよう改善させたことが明らかになった。
中小企業者等が一定の資産を取得等した場合の特別償却・税額控除制度の適用対象資産の一つ「機械及び装置並び器具及び備品」は、「機械及び装置」と「器具及び備品」に区分され、「器具及び備品」のうち、適用対象資産となるものは、事務処理の効率化等に資するものに限定され、租税特別措置法施行規則において、電子計算機及びインターネットに接続されたデジタル複合機と規定されている。
ところが、会計検査院が納税者38人について検査したところ、医療機器は特別償却・税額控除制度の適用対象資産に該当しないのに、申告書に添付された明細書の名称欄に医療機器と思われる資産の名称を記載して税の軽減を受けていたり、医療機器を適用対象となる事務処理の効率化等に資する電子計算機等に該当するとして「器具及び備品」と記載していたり、明細書の記載内容が不適切だったものが見受けられた。
さらに、納税者が申告書を提出した際、税務署等において、医療機器が適用対象とならないことについて理解や認識が不足していたり、明細書に記載された適用対象資産についての審査が不十分だったりして、誤ったままにしていたことが判明した。この結果、誤って税の軽減が行われて、合計1億460万円が徴収不足となっていたとして、会計検査院が国税庁に対して改善の必要性を指摘した。
会計検査院の指摘を受けた国税庁は、2007年12月及び今年8月に、税務署等に対して、超音波診断装置などの医療機器の名称を例示して、これらのものが特別償却・税額控除制度の対象とならないことについて、研修・会議等を通じて職員への周知徹底を図るとともに、適用対象資産について十分に審査を行うことの周知徹底を図るなど、特別償却・税額控除制度の適用が適正となるような処置を講じている。