経済産業省はこのほど「中小企業のための知的資産経営マニュアル」を取りまとめ公表した。「知的資産」とは、企業等の競争力の源泉としての、人材・技術・技能・組織力・顧客とのネットワークなど、財務諸表には現れてこない無形資産の総称を指す。同マニュアルは、中小企業が「知的資産」を明確に認識し、それらを意識的に活用していくことで持続的な成長を目指す「知的資産経営」について解説するもの。
同マニュアルは、「知識編」・「実践編」・「モデル企業実例編」・「巻末」で構成される。「知識編」では、事例企業等の実態を踏まえ、中小企業の知的資産の現状と、「知的資産」や「知的資産経営」について、その意義や効果を解説するとともに、知的資産を効果的に活用している17社の事例を紹介。「実践編」では、知的資産経営の4つのステップ(知的資産のたな卸し→ストーリー化→見える化→見せる化)を解説する。
また、「モデル企業実例編」では、実際に4社の中小企業経営者が支援者とともに自社の「知的資産」を再認識し、その活用による価値創造シナリオを作成し、「知的資産経営報告書」としてまとめあげた事例を紹介。「巻末」では、税理士や商工会議所等の経営指導員など中小企業を直接指導している者が中小企業の知的資産経営報告書の作成を支援する際に、その一助となることを目的とした作成支援ガイドとなっている。
経産省は、知的資産経営の効果として、1)限られた経営資源を最適に活用でき、また、経営者自らが自社の強みについて新たな「気づき」を得るきっかけとなることもある、2)取引先、顧客からの信用度が高まる、3)従業員の意識や仕事に対するモチベーション、一体感が高まる、4)経営方針や事業戦略に共感する人材の確保につながる、5)金融機関などからの資金調達面で有利になる、などが期待できるとしている。
知的資産経営マニュアルは↓
http://www.meti.go.jp/press/20070330003/manual-p.r.pdf