青色申告を行っている個人事業者が、太陽光発電設備を取得し、店舗兼自宅(事業用割合60%)に設置した。同設備は、エネルギー需給構造改革推進設備を取得した場合の特別償却または所得税額の特別控除の規定の適用対象となっている。この場合、事業の用に供されている部分を限度として、特別税額控除の対象となり、計算に当たっては、基準取得価額の7%相当額に事業用割合を乗ずることとなる。
事業の用に供される減価償却資産は、定額法等一定の償却の方法により計算した金額を、減価償却費として必要経費に算入することができるが、その減価償却資産が家事兼用資産である場合には、減価償却費として計算される全額が必要経費に算入できるのではなく、「業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合」に、その部分に相当する金額を必要経費に算入することとされている。
上記のエネルギー需給構造改革推進設備である家事兼用資産(太陽光発電設備)について、特別償却を選択した場合は、通常の減価償却費と特別償却費の合計額に事業用割合を乗じた金額をその年分の必要経費に算入することになる。ところが、特別税額控除には、あん分計算を行うための規定が置かれていないことから、どのようにして税額控除限度額を計算するのかが問題となる。
この点について、租税特別措置法では対象となる設備は事業の用に供されていることを要件としており、事業の用に供されていない部分は、特別税額控除の対象となる設備に該当しないものとされている。また、税額控除限度額が、事業所得の金額に係る所得税額の20%に相当する金額を限度としていることからも、特別税額控除の対象となるのは事業の用に供されている部分に限られると解されるている。
したがって、取得した家事兼用資産については、事業の用に供されている部分を限度として、特別税額控除の対象となる設備に該当することとなる。なお、事業用割合をどの段階で乗ずるのかについては、特別償却と平仄を図る観点から、基準取得価額の7%相当額に事業用割合を乗ずることが相当とされている。