2003年06月13日-002
そろそろ簡易課税か実額計算かの選択を!
消費税の免税点が現行の3000万円から1000万円に引き下げられるのは、平成16年4月1日以後開始される課税期間から。個人事業者は平成17年分から、法人は平成17年3月決算分から適用される。この改正によって、法人48万1千社と個人事業者88万2千者が新たに課税事業者になると見込まれている(平成12年度の統計に基づく財務省の試算)。
まだ先のことと考えている事業者も多いと思われるが、課税売上高が1000万円を超えているかどうかを判定する基準期間は、個人事業者は適用年度の前々年、また、法人は適用事業年度の前々事業年度となる。つまり、個人事業者の平成17年分の基準期間は平成15年分、法人の平成17年分の基準期間は平成15年3月決算分だから、今年の課税売上高が関係してくるのだ。
一方、課税事業者となると、原則として課税売上に係る消費税額から、課税仕入れ等に係る消費税額を控除して納付税額を計算することになるが、この実額計算をせずに課税売上高のみから納付税額を計算する簡易課税制度というものがある。その課税期間における課税標準額に対する消費税額を基にして、仕入れ税額控除を計算する制度である。
具体的には、その課税期間における課税標準額に対する消費税額に、みなし仕入れ率(第一種事業(卸売業)90%、第二種事業(小売業)80%、第三種事業(製造業など)70%、第四種事業(その他の事業)60%、第五種事業(サービス業など)50%)をかけて計算した金額が仕入れ控除税額とみなされる。
国税庁のサンプル調査(平成12年度分)では、業種によって違いがあるが、簡易課税適用者の実際の課税仕入れ率はみなし仕入れ率よりも平均4~10%低く、実額で計算した本則適用者の課税仕入れ率はみなし仕入れ率よりも平均5~35%高くなっている。このように、簡易課税と実額計算のどちらが有利かは実際に試算してみないと分からないので、そろそろ選択のための準備をすることをお勧めしたい。
どちらが有利かを試算した上で、簡易課税制度を選択する場合は、その課税期間の始まる前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を税務署に提出する必要がある。これを忘れると、課税仕入れ等に係る消費税額の控除を受けるためには、課税仕入れ等の事実を記録・証明する帳簿と請求書の両方を保存するとともに、実額で計算しなければならないことになる。
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