ゼイタックス

経営関連情報 (2005/10/07)

改善傾向にある中堅・中小企業向け銀行貸出

 中堅・中小企業向けの銀行貸出の減少幅が縮小している。分析するのは内閣府のレポート。日銀の「貸出先別貸出金」によると、2003年10~12月期には前年同期比で▲7%台半ばだった中堅・中小向け貸出が、2005年4~6月期は同▲2%近くまで減少幅が縮小した。その要因として、レポートは、第一に大企業と同様に過剰債務の調整が一巡し、有利子負債圧縮の動きが一段落しつつあることを挙げている。

 中堅・中小企業の有利子負債キャッシュフロー比率は2003年度以降、バブル期以前の水準まで低下しており、資金需要も徐々にではあるが、回復傾向にある。財務省の「法人企業統計年次別調査」によると、中堅・中小企業の有利子負債キャッシュフロー比率(有利子負債÷キャッシュフロー)は98年の約18倍から03・04年は約11倍と、バブル期前の水準まで低下している。

 貸出の減少幅縮小の第二の要因として、不良債権問題の正常化による金融機関の貸出スタンスの改善を挙げている。中堅・中小企業の長期借入金は、97年末の金融危機を背景に金融機関の貸出態度が厳しくなると、大企業と比較して、大幅に減少した。銀行借入に代替する資金調達手段が限られている中堅・中小企業にとって、金融機関の貸出態度が大企業より強く影響しているとみている。

 日銀短観をみると、今回の貸出態度の回復局面において、中堅・中小企業に対する改善テンポは大企業と同様に確かなものとなっている。こうした状況下、内閣府の分析レポートは、「今後景気が着実に回復し設備投資の増加に伴って、中堅・中小向けを中心に銀行貸出が回復し、増加していくことが期待される」との見方を示している。