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経営関連情報 (2006/03/10)

国内銀行の貸出残高回復傾向の背景分析~内閣府

 日銀が発表した1月の「貸出資金吸収動向」(速報)によると、国内銀行総貸出残高(平残)の前年比は▲0.0%と、近年の貸出減少傾向に歯止めがかかりつつある姿が確認できる。また、貸出債権流動化要因や為替変動要因などの特殊要因調整後では前年比プラス1.3%と、6ヵ月連続で増加している。そこで、国内銀行の貸出残高回復の現状を分析したのは内閣府が6日に発表したレポートである。

 レポートは、日銀の「貸出先別貸出金」から国内銀行貸出の内容を貸出先別(未残)に分析してみて、企業向け貸出はマイナスが続いているものの、中小企業向けが貸出減少幅を縮小していることに注目している。加えて、住宅ローンや地方公共団体向け貸出がプラスで推移し、国内銀行貸出残高の回復をけん引していると判断している。

 しかしながら、国内銀行・信用金庫・政府系金融機関を合計した貸出残高増加率は、政府金融改革による政策金融縮小の影響もあり、マイナス幅は縮小しているが、現時点ではまだマイナスで推移している。さらに、日銀の「貸出先別貸出金」から貸出残高増加率を金融機関別に寄与度分解してみて、政府系金融機関のなかでも、改革が先行している住宅金融公庫のマイナス寄与度が大きいことを示している。

 これは、住宅金融公庫が07年度以降、証券化支援業務を中心とする独立行政法人に移行することから、個人向け直接融資を段階的に縮小しており、この部分を民間銀行の住宅ローンが代替しているためとみている。そこで、国内銀行・信用金庫・住宅金融公庫の住宅ローンの残高増加率を寄与度分解して、02年度以降、住宅金融公庫の住宅ローン残高が減少しているのに対し、国内銀行はほぼ同規模で増加していることを示した。

 このように、国内銀行の貸出減少幅の縮小の背景について、レポートは、中小企業向けが回復基調にあるほか、住宅金融公庫改革に伴って民間銀行にとっての市場が拡大しており、住宅ローンがプラスで推移している点を挙げている。