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経営関連情報 (2005/11/14)

拡大するリート(REIT)市場

 リートとは、不動産を投資対象とする投資ファンドで、不動産投資信託と呼ばれる。2001年9月にわが国で最初のリートが東京証券取引所に上場され、現在、東証では25種類のリートが上場されており、その時価総額は2兆円を上回る(05年11月時点)。リート市場はこれまでおおむね上昇基調で推移しており、今後も拡大していくものと期待されている。そのリート市場を解説するのはUFJ総研の「けいざい早わかり」である。

 それによると、これまでリートが堅調だった理由について、まず、日本のリートはまだ歴史の浅い商品であることから、発行側がマーケットを育成するために、安定した賃料収入が見込まれる優良な物件を中心に商品を組成してきたことを挙げている。優良物件が建つ都心部の土地は地価の値下がりリスクもそれほど心配する必要がなく、リスクが小さいことから価格は堅調となる。

 また、リートの配当利回りが、他の金融商品に比べて高かったことも、堅調だった理由のひとつに挙げている。超低金利、株式も軟調な展開のなかで、安定的に高めの利回りを維持するリートは魅力的な商品となっていた。リートには、投資によって得られた配当可能所得の90%以上を社外配当にまわせば、法人税が免除されるという税制上の特典がある。このため、株式などに比べ高い配当をおこなうことが可能となっている。

 リートの残高が増えると、不動産・住宅マーケットに流れるお金の量が増え、マーケットを拡大させる。リートによるオフィスビル投資が活発な都心部では、地価は下げ止まりから上昇に転じている。9月に発表された基準地価によると、東京23区の商業地の地価は前年比0.6%上昇している。この要因のひとつとして、リート資金の流入があるとみている。また、最近の住宅着工の増加要因のひとつにもリートを挙げている。

 実は、7月以降、リート指数は軟調となり調整局面に入っているが、中長期的には景気回復に伴う賃料の上昇も見込まれるので、優良な物件を抱えるリートは、相応の利回り水準を維持できるものとみている。今後は、銘柄ごとの格差がこれまで以上に出てくるが、相応の利回りを維持する優良銘柄には資金が集まってくると予想しており、今後も拡大していくものとの期待を示している。

 UFJ総研の「けいざい早わかり」の全文は↓
 http://www.ufji.co.jp/publication/report/hayawakari/2005/20051109.pdf