ゼイタックス

税務関連情報 (2004/10/20)

相続調査の9割から申告漏れ課税価格3860億円

 相続税は資産デフレの影響で土地を中心とした相続財産の評価額が下がっており納税者の割合は4.5%と低水準だが、それでも申告漏れは少なくないようだ。国税庁が18日に公表した今年6月までの1年間の調査事績によると、調査した1万2791件(対前年度比12.2%増)のうち87.6%(同1.6ポイント減)と約9割にあたる1万1210件(同10.2%増)から申告漏れ課税価格3860億円を把握したことが明らかになった。

 同調査の対象は2001年分と2002年分の申告事案が中心。申告漏れ税額は840億円にのぼる。1件あたりの平均では、申告漏れ課税価格3444万円、税額では749万円となる。また、申告漏れ1万1210件のうち、仮装や隠ぺいなど意図的に税を逃れたとして重加算税を課されたのは16.9%にあたる1894件、その対象課税価格は672億円だった。

 調査に基づく申告漏れ財産額の種類別構成比をみると、相続財産では約6割を占める「土地」はやはり隠しづらく19.1%と、40.3%を占めた「現金・預貯金等」の半分に過ぎない。そのほか、「有価証券」が16.7%、「家屋」が1.7%、「その他」が22.3%となっている。申告漏れの形は、多額の現金や公社債を自宅などに隠すケースや預貯金が家族名義だったことから分かるまいと申告除外するケースが相変わらず目立っている。

 また、現金・預貯金などを中心に海外資産を申告から除外するケースが増えている。被相続人が生前に多額の国外送金をしていたにもかかわらず、海外までは調べられまいと考えて除外するなどだが、今回も海外関連資産での申告225件が調査されている。近年は税務当局も海外資産の状況には目を光らせており、海外送金資料をはじめ各種資料を収集し、被相続人の生前の所得を把握・分析して実態解明に努めているようだ。