食品産業の商品志向、「味」「地元産」「簡便」を重視
日本公庫が行った2010年下半期食品産業動向調査では、食品産業の商品志向は「安全」、「低価格」を優先しつも、「味」、「地元産」、「簡便」などの付加価値型商品を重視する志向が増加し、「低価格」、「国産」が減少する結果となった。食品産業は長引く経済低迷の中で低価格化への対応が厳しくなってきており、「味」、「地元産」、「簡便」などの商品志向を増加させ、商品戦略において“低価格から付加価値”への方向転換が鮮明となっている。
調査結果(有効回答数2625社)によると、現在の主力商品の志向として「味」とした企業割合が、2010年上半期の前回調査の26.3%から28.3%へと増加した。また、「地元産」は24.2 % から27.2%に、「簡便」が11.9 %から12.2%に、それぞれ増加。「健康・美容」志向も7.8%が8.2%に伸びている。一方、「低価格」が、前回調査の40.7% から39.3%に減少。また、「国産」も21.6%から20.1%に同じく減少が続いている。
これは、同時期に実施した消費者動向調査(2011年2月2日発表)で、「経済性」志向が減少傾向となり、「手作り」志向を重視するとの動きと一致した結果とみられている。消費者に“節約疲れ”が出てきたことを受けて、「低価格」競争が続いてきた食品産業に、「味」、「地元産」、「簡便」などを重視する“価格から質への方向転換”が強まった結果と考えられている。
また、先に行われた消費者動向調査も含めて、「健康」志向が40%前後と、常に高い水準にあるものの、食品産業における「健康・美容」志向については、今後に伸びる商品志向が15.4~25.2%で、消費者の志向とは大きなギャップがみられる。消費者の高い「健康」志向に対して、食品産業として今後どのように商品戦略につなげていくかが課題とみられている。なお、今回の調査時期は2010年12月上旬。