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税務関連情報 (2008/01/07)

節税効果は大幅縮小になる逓増定期保険

 国税庁は12月26日、中小企業が活用していた逓増定期保険の節税効果を大幅に縮小する内容の改正通達案を公表した。逓増定期保険は、法人が自己を契約者として役員や従業員を被保険者とした定期保険であり、掛捨て保険のため、期間満了となると満期返戻金はゼロだが、中途解約すると先払いした部分が高額な解約返戻金として戻ってくる。一定の条件をクリアすれば保険料が全額損金算入できるが、その条件が狭められる。

 現行の一定条件とは、保険期間(20~40年が多い)の経過に伴い保険金額が5倍以内の範囲で増加する定期保険で、その保険期間満了時の被保険者の年齢が60歳を超えていて、かつ、加入時の被保険者年齢に保険期間の2倍に相当する数を加えた数が90を超える場合、保険期間の最初の60%に相当する期間に支払う保険料は、2分の1を損金算入し、2分の1を前払保険料として資産計上するというものだ。

 改正案では、保険期間満了時の年齢を45歳まで引き下げ、その他の被保険者要件も見直す。保険期間満了時の年齢が70歳を超え、加入時の被保険者の年齢に保険期間の2倍の数を加えた数が95(現行105)を超える場合、最初の60%の期間は支払保険料の3分の2に相当する金額を前払保険料として資産計上する。同様に80歳を超え、かつ同120を超える場合、支払保険料の4分の3を資産計上する。

 上記の条件をクリアーすれば、保険料支払年度に全額損金算入できるが、その条件が狭められ、節税効果が大幅に縮小されたことになる。生保では、企業が解約返戻金を役員退職金などに充当できるように、一定期間が過ぎると解約時に企業が受け取れる返戻金が急増するタイプを増やすなど、その節税効果をうたって売り込んでいたが、国税庁は、昨年3月から課税見直しを検討することを明らかにしていた。

 この見直し案は、1月末まで一般から意見を募集した上で、早ければ2月中にも適用する。国税庁の見直しを待って営業を自粛していた生保各社も販売を再開することになるが、これまでのような節税効果を強調した営業手法は見直しが迫られそうだ。なお、それ以前の契約に係る逓増定期保険の保険料については、従来どおりの取扱いとなる。