政府税制調査会は4日に会合を開き、これまでの審議等を踏まえた法人課税、消費税などの主な論点を提示した。先週開いた会合では、個人所得課税や資産課税の主な論点が提示されており、これで政府税調が検討している中長期の税制改正の方向性を示す中期答申に盛り込む論点が出そろったことになる。当面の来年度税制改正においては、企業の活性化の観点から減価償却制度の見直しが盛り込まれる可能性が高くなっている。
減価償却制度は、期間損益を適正に計算する観点から償却資産の取得価格を使用期間にわたって費用配分するものだが、100%まで認めている米・英・独などの諸外国に比べ、わが国の償却可能限度額は95%と低い。国際的整合性の観点からは、耐用年数経過後も使用している場合には備忘価額に達するまで償却を認めるべきとの意見が強い。また、諸外国に比べ長い法定耐用年数や設備種類(現行388区分)の簡素化も検討課題となる。
経済界などから引下げの要望が強い法人税率については、現行40.69%という実効税率の水準については「国際的な動向をみて慎重に議論すべき」(石弘光会長)との考えで、当面は引下げの可能性はない。現行でもっともわが国の実効税率に近い「米国」(40.75%)や「ドイツ」(39.9%)の動き次第となる。地方法人課税では、外形標準課税に関し、減資による租税回避がみられることから、対象範囲の拡大も検討される。
消費税について、税率の引上げ幅や引上げ時期については「国民の付託を受けた政治家が決着すべき」(石弘光会長)として、中期答申には明記しない。政府税調としては、消費税率が欧州諸国並みの二ケタ税率になった場合には食料品などに対する軽減税率の採用を検討することや、制度の信頼性・透明性を高めるための「インボイス方式」導入の検討、社会保障目的税化を含めた消費税の使途について議論していく方向性を示した。