印紙税が課税されるのは、印紙税法に定められた課税文書に限られる。この課税文書とは、1)印紙税法別表第一(課税物件表)に名前が掲げられている文書により、証明されるべき事項(課税事項)が記載されていること、2)当事者間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること、3)非課税文書でないこと、の3つのすべてに当てはまる文書をいうとされている。
課税文書に該当するかどうかは、その文書に記載されている内容に基づいて判断することになるが、当事者の約束によって文書の名称や文言はいろいろな意味に用いられている。その文書の内容判断にあたっては、その名称・呼称や記載されている文言により形式的に行うのではなく、その文書に記載されている文言、符号などの実質的な意味を汲み取って行う必要がある。
例えば、文書に取引金額そのものの記載はないが、文書に記載されている単価、数量、記号などにより、当事者間において取引金額が計算できる場合は、それを記載金額とし、また、売掛金の請求書に「済」や「了」と表示してあり、その「済」や「了」の表示や売掛金を領収したことの当事者間の了解事項であれば、その文書は、売上金の受領書(第17号の1文書)に該当することになる。
また、課税事項を証明するために作成された文書であるかどうかは、その文書の形式、内容などを社会一般の常識から判断して、客観的に行うものであって、作成者の恣意的な判断で行うものではないことに留意する必要がある。