環境省は12日、来年度税制改正で創設を要望していた地球温暖化対策税(環境税)の具体案を公表した。課税の仕組みは、原油、石油製品(ガソリン、軽油、重油、灯油、航空機燃料)、ガス状炭化水素(天然ガス、LPG等)、石炭を対象に、輸入者、採取者の段階で課税(石油石炭税の納税システムを活用)することに加え、ガソリンについては、ガソリン製造者等の段階で課税(揮発油税の納税システムを活用)するもの。
税率は、原油、石油製品が1キロリットルあたり2780円、ガス状炭化水素が1トンあたり2870円、石炭が1トンあたり2740円、ガソリン(製造者等)が1キロリットルあたり1万7320円。ただし、製品原料としての化石燃料(ナフサ)、鉄鋼製造用の石炭・コークス、セメントの製造に使用する石炭、農林漁業用A重油については免税とする。来年4月から実施し、総額約2兆円の税収を見込んでいる。
環境省は、地球温暖化対策税導入による年間世帯あたりの直接の税負担額の変化について、現行の4万844円(月額3404円)から4万1971円(同3498円)へと1127円(同94円)の負担増となると試算している。地球温暖化対策税創設による負担増が1万6728円、軽油への追加的な課税による負担増が493円である一方、暫定税率廃止による負担減が1万6728円で、差し引き1127円の負担増となる計算だ。
環境税創設は環境省の長年の悲願だが、これまでは産業界の強い反発などから実現できなかった。しかし今回は、新政権が温暖化ガス25%削減の目標を掲げたこともあって、実現の可能性が高まっている。こうした動きに対し、日本経団連は「企業活動の活力をそぎかねない」として慎重な対応を求めており、鳩山首相も暫定税率は廃止する意向を表明する一方で環境税導入には慎重な姿勢を示しており、先行きはいまだ不透明だ。