役員給与については、2006年度税制改正によって、損金算入できるのは原則、定期同格給与や事前確定届出給与等として整理されたが、2007年度税制改正においても見直しが行われた。まず、定期同額給与とされる改定に、役員の職制上の地位の変更、役員の職務内容の重大な変更その他これに類するやむを得ない事情(「臨時改定事由」)によりされた定期給与の額の改定が加えられた。
定期同額給与は、これまで事業年度の中途で定期給与の額を改定した場合であっても、その法人の経営状況の著しい悪化などの理由によりその改定がされた場合(減額した場合に限る)は損金算入が認められていた。こうした臨時改定事由に上記の理由が加えられたわけだが、国税庁では、すでに昨年12月に公表した質疑応答事例で、役員の分掌変更に伴う増額改定などを認めており、法律で明確化したということになろう。
また、役員賞与の損金算入が認められる事前確定届出給与は、その届出期限を株主総会の決議により役員の職務につきその定めをした決議の日から1月を経過する日(その日が役員の就任日の属する事業年度開始日から4月を経過する日以後の場合にはその4月を経過する日)とするとともに、臨時改定事由が生じた場合は、その生じた日から1月を経過した日が事前確定届出給与の届出期限とされた。
例えば、3月決算法人で、6月28日に株主総会が開催され役員の就任も同日とした場合での事前確定届出給与の提出期限は、改正前であれば、就任日と事業年度開始の日から3月を経過する日のいずれか早い日であるから、6月28日が提出期限となるが、改正後は、役員給与の決議をする株主総会等の日から1月を経過する日となるから、7月28日が提出期限となる。改正前より1ヵ月延長されるので、届出期間に余裕ができる。