世界的な経済危機が深刻化するなか、2009年1月の有効求人倍率は0.67倍と13ヵ月連続で1倍を下回り、雇用環境が急速に悪化している。帝国データバンクが2月に実施した「2009年度の雇用動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万658社)によると、2009年度の正社員(新卒・中途採用)の採用は、「増加する(見込み含む)」と回答した企業は11.2%と全体の1割強にとどまった。
業界別では、「サービス」(15.3%)や「小売」(15.3%)、「建設」(13.1%)が全体平均を上回り、内需を中心とする業界で正社員の採用意欲が高い。また、地域別では、「九州」(13.1%)や「北関東」(12.2%)で採用増の割合が高かった一方、10地域中でもっとも低い「東北」でも8.7%と、地域格差は4.4ポイントにとどまり、正社員の採用意欲は全国的に抑制傾向が表面化する結果となった。
一方、「採用予定なし」は45.9%と5割に迫っており、企業の経営環境が急速に悪化するなかで、採用意欲は大幅に低下した。2005年から始まった過去4回の調査を通してみると、雇用環境の改善が続いていた2005年度が21.2%、2006年度が25.5%、2007年度が25.2%だった。しかし、サブプライム問題の表面化後、2008年度は30.4%へと増加、2009年度は前年度より15.5ポイント増加した。
業界別では、「不動産」(59.6%)や「卸売」(52.7%)が高く、特に「不動産」は前年度より19.9ポイント増加しており、正社員採用の厳しさが際立った。企業からは、「現在の経済情勢下で、正社員の新規雇用はリスクが多すぎる」、「業績見通しが立たない段階での新規採用は考えられない」など、急激な景気悪化で業績の先行きが見えないことにより採用を抑制しているという声が多く挙がったという。
なお、2009年度の非正社員(派遣社員、パート・アルバイトなど)の採用状況については、「増加する(見込み含む)」とした企業は3.9%と、2008年度から6.0ポイント減少し低下傾向が続いた。一方、「採用予定はない」は58.6%と6割近くにのぼり、2008年度の39.0%から19.6ポイント増加した。仕事量が減少するなか、従来、非正社員に委託していた業務を正社員にシフトすることで非正社員の雇用を抑制する企業が多い。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0902.pdf