中小企業は、大企業に比べ収益面の改善が遅れ気味だが、人材の確保・定着といった面からは待遇改善が課題となっている。大阪市信用金庫が府下一円の中小企業を対象に実施した「中小企業における2007年の賃上げ状況調査」結果(有効回答数1047社)によると、今年の賃上げ状況は、「据置き」とする企業が64.4%ともっとも多いものの、「賃上げ実施」企業が32.8%と、昨年に比べ2.0ポイント増加した。
賃上げ実施企業割合が前年を上回るのはこれで4年連続。一方、「賃下げ実施」企業は2.8%で、昨年に比べ0.7ポイント減少し、同データを取り始めた1998年以降で最低となった。「賃上げ実施」企業を業種別にみると、「サービス業」(39.4%)や「卸売業」(36.5%)が比較的多いのに対し、「小売業」(10.3%)が特に少ない。従業者規模別にみると、「10人未満」では24.2%に対し、「50人以上」では61.5%と、規模間の差異が大きい。
1人あたりの平均賃上げ率をみると、全企業ベースでは0.90%と、昨年に比べ0.11ポイント増加したが、全企業ベースで賃上げとなるのは2004年以降4年連続となる。また、賃上げ実施企業ベースの平均賃上げ率は3.12%で、昨年比では0.06ポイントの微増だった。業種別にみると、全企業ベースの平均賃上げ率は、「サービス業」が1.14%でもっとも高く、「小売業」(0.35%)がもっとも低い。
賃上げ実施の主な理由は、「実際に業績が向上したため、それに応じて」が58.1%、「業績は良くなったとはいえないが、人材の定着や士気高揚のため」が30.8%、「業績見通しが明るくなったので、それを先取りして」も11.1%あった。昨年調査と比べ「人材の定着や士気高揚のため」が4.7ポイント増加したが、大企業を中心に雇用拡大が進むなか、新卒者が減少傾向にあるなど人材確保が難しくなっていることが背景にある。