経 営 関 連 情 報

2003年10月27日-001
幹部社員必読!伸びる企業の組織・人材戦略

 企業にとって「組織と人材」の問題は永遠のテーマである。中小企業金融公庫の「経営情報」が紹介するのは、脱サラして独立した現社長がユニークな人材活用と組織戦略により、活力ある経営を実現し、わずか10年たらずで公開を果たした急成長企業(従業員数約100人)の事例だ。企業が健全に成長していくためには、企業規模・成長段階に応じた人材・組織戦略が欠かせないという点で参考になる事例である。

 まず、同社の求める人材は「よい習慣を身につけている人」。適応力は重視するが、知識やキャリアなどは考慮しない。重要なのは「時間が守れる」「約束が守れる」といったこと。また、余分な研修・教育コストをかけないためにも、どれだけ優秀な人材を採用できるかということが重要。そのためにも、採用時には社長自らが応募者全員に会い、事業にかける夢やビジョンを話し、よい人材を入社させる努力をしている。

 組織構造や人材活性化などへの工夫もユニークだ。特に、リーダーに求められる資質・能力を明確にするなどで透明度の高い評価制度が確立されている。例えば、役員だけでなく幹部社員の年俸も公開し、実力の伴わない幹部社員の出現を防いでいる。匿名での社員アンケートの実施、部下による上司の評価、部門長の自薦制度、社員の自主性を尊重し自主移動申告を認める制度などがある。これらを通して能力主義が自然と従業員に浸透し、効果的に運用されている点が注目される。

 その背景には、創業後まだ間もないことから、経営者が考えるとおりの企業風土を作り上げていることが挙げられる。求める人材像を明確にし、自社に合った人材を採用することで、様々な仕組みが自然に従業員の意欲向上のためのインセンティブとなるなど、この事例は、組織・人材戦略がまさに企業の成長に直結するという好循環を生み出している好例といえる。自社の目指すべき方向を明確にしたうえで、「組織と人材」を見直すことは、今後の経営を考えるうえで、極めて重要なことだ。

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