国税庁はこのほど、造成宅地の災害防止工事のために支出した費用は雑損控除の適用を受けることができることを明らかにした。これは国土交通省の照会に回答したもので、同省は、都道府県知事等による造成宅地防災区域の指定または宅地造成工事規制区域内における勧告を受けた造成区域内において、その宅地所有者が行う滑動崩落工事費用が、災害関連支出として雑損控除の対象となるか問い合わせていた。
災害等により損失が生じた場合(その災害等に関連する一定のやむを得ない支出を含む)には、雑損控除として所定の金額を控除することができる。また、「災害によって住宅家財等につき現に被害が生じ、またはまさに被害が生じるおそれがあると見込まれる場合において、その住宅家財等に係る被害の拡大や発生を防止するために緊急に必要な措置を講ずるための支出」は、災害等に関連するやむを得ない支出とされている。
そこで、宅地造成等規制法施行令の基準に該当する造成宅地は、地震や集中豪雨などによって、盛土の滑ろうとする力とその抵抗力とのつりあいのバランスが崩れている危険な状態であるため、造成宅地防災区域の指定等を受けた宅地所有者は緊急に排水工やアンカー工の設置など滑動崩落防止工事を行う必要がある。したがって、そのために宅地所有者が支出する費用は、災害関連支出として雑損控除の対象となるわけだ。
ただし、その滑動崩落防止工事を行ったことにより宅地所有者に支給される補助金(原則その費用の2分の1)は、雑損控除額の計算上、保険金等により補てんされる金額として、その補助金の額を控除する必要がある。また、申告に際しては、その工事が造成宅地防災区域等の指定を受けて行ったものであること及び個人費用負担額の証明として、都道府県知事が発行する宅地改修証明書を添付・提示する必要がある。