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税務関連情報 (2004/07/26)

海外渡航費の損金算入は業務遂行上の必要性で判断

 役員が海外出張に妻や子どもなど親族を同伴することは珍しくないが、これらの費用が法人の経費として認められる可能性は低い。損金算入できるかどうかは、法人の業務遂行のために必要な費用であるか否かで判断される。日用雑貨の輸出入販売業を営む会社の社長が海外出張する際、小学生で扶養親族の長男を同伴し、その費用を旅費交通費として損金処理した。もちろん税務当局はそれを否認している。

 そこで、社長は、海外出張の目的が、社長の会社が日本の総代理店となっている企業の経営陣や家族との信頼関係を築き次世代交流を図り、将来にわたって安定した継続取引を実現するものだと主張。この目的達成のためには次期社長である長男を同伴することが必要なのだとして、業務遂行上必要な費用だと反論した。

 さらに、法人税基本通達において、法人の役員が国際会議への出席などのため専業主婦を同伴した場合、その専業主婦が、会議にも出席せず、レセプションや会食に役員とともに出席するだけで、会議中は観光などで時間を過ごした場合でも、専業主婦の海外渡航費の損金算入を認めている例示を指摘。それに対して、長男の同伴は出張目的を果たすためのものであり、会議にも出席していると主張した。

 だが、国税当局は、通達に例示する専業主婦の同伴については、無条件に必要な支出と認められるものではなく、社会通念上、その同伴が要件となっている国際会議への出席などに限定して海外渡航の目的達成に必要と認められるもので、社長の長男はこの例外的な取扱いには該当しないとして、役員がその親族を海外渡航に同伴しその旅費を負担した場合の原則的な取扱いによって、社長に対する臨時的な給与(賞与)と認定している。