産業能率大学は、人事担当者に対して、リーマンショック前後での組織の変化や、今回の不況への対応策の実施状況、バブル崩壊後の不況とリーマンショック後の今回の不況の比較などを調査した。調査結果(有効回答数329人)によると、まず、組織全体の傾向として今回の不況を契機によくなったことがあるかを聞いたところ、「ない」は約36%にとどまり、約64%は「何らかのことがよくなった」と回答していた。
具体的にみると、「残業せずに早く帰りやすくなった」(28.3%)、「ワークライフバランスが取りやすくなった」(19.5%)と労働時間に関するものが1位と2位を占め、これに「メンバーが切実感を持って仕事をするようになった」(18.5%)、「より効率よく仕事を片付ける人が増えた」(14.6%)、「職場の変革が進められた」(同)が続いた。不況で労働時間を減少させたことで、仕事の生産性への意識が高まる契機になっているかもしれない。
今回の不況で実施した対応策(複数回答)については、「人員配置の見直し」が42.6%でもっとも多く、次いで「経営戦略の見直し」(41.6%)、「給与・賞与の一時カット」(36.2%)が続く。人員のリストラは「非正社員」で33.4%、「正社員」で25.2%あった。傾向としては、「制度」の見直しまで踏み込むのではなく、諸費用の削減によって乗り越えようとしているように見受けられる。
バブル後の不況と今回の不況において、給与・賞与や福利厚生費、教育費など6項目の変動状況は、バブル後の不況より「今回の不況のほうが削減の変動が大きい」とする回答は各項目ともおおよそ25%前後、一方で「バブル後のほうが大きい」とする回答はおおよそ15%程度だった。特に製造業は今回の不況のインパクトが強かったようで、各項目とも30%~40%が「今回の不況のほうが変動が大きかった」と回答している。
同調査結果の詳細は↓
http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/jinji2009.pdf