行政の縦割りや監督を超えて、自由に自立的に活動する民間の非営利団体であるNPO法人の役割が重要となっている。そのような状況下、税制上の優遇措置が受けられる認定NPO法人制度の認定要件の緩和が求められており、毎年何らかの見直しは行われるものの、認定NPO法人数はあまり増えていない。制度が施行されたのは2001年10月だが、今年1月28日現在で認定を受けたのは29法人に過ぎない。
2005年度税制改正においても認定NPO法人制度の認定要件の見直しが行われる。まず、いわゆるパブリック・サポート・テスト(総収入金額のうちに寄附金総額の占める割合が5分の1以上であること)について、2事業年度連続満たすという要件が、直前2事業年度の平均で満たしていればいいこととされる(ただし、各事業年度の割合が10分の1以上である場合に限る)。
次に、事業活動のうちに共益的な活動の占める割合が50%未満であることという共益的な活動に係る制限要件について、1)会員等の範囲から単なる顧客を除外、2)ネットワーク型NPO法人の共益的活動から、特定公益増進法人または認定NPO法人が参加する事業に対する助成を除外、3)直前2事業年度等の平均により算定、などの見直しが行われる。
そのほか、1)役員や社員のうちにその親族が占める割合が3分の1以下であることという要件について、親族の範囲を「6親等以内の血族と3親等以内の姻族」から「配偶者及び3親等以内の親族」に限定、2)事業費総額のうちに特定非営利活動事業費の占める割合要件(80%以上)について、直前2事業年度の平均により算定、3)認定NPO法人の申請書の添付書類及び各事業年度の報告書類を簡素化など。
認定要件のなかで最大の問題とされてきたパブリック・サポート・テストの計算式の改正については、来年の検討課題として先送りされた。認定を希望する法人の約9割は、このパブリック・サポート・テストの要件が満たせなくて申請を見送っているという。ここを改正しない限り実効性のある改正とはならない、との声が強い。今年も認定NPO法人の設立は、遅々とした歩みとなりそうだ。