情報処理推進機構(IPA)が6日に発表したコンピュータウイルスの届出状況によると、5月の届出件数は前月を13.1%上回る5021件となった。5千件を超える届出が寄せられたのは2004年11月以来6ヵ月ぶり。種別では、W32/Netskyが1128件となり、15ヵ月連続でトップの届出が寄せられた。続いてW32/Mytobが584件、W32/Mydoomが446件、W32/Bagleが336件で続いている。
5月に初めて検出されたW32/Wurmarkウイルス(47件)は、メールの添付ファイルを介して感染を拡大するウイルスであり、従来のウイルスと変わらない。しかし、感染するとキーボードからの入力を記録する「キーロガー」と呼ばれるプログラムを埋め込む。これにより、キーボードからの入力、記録された個人情報が外部に流出する可能性がある。
また、届出上位のW32/NetskyやW32/Mytobなどには、外部から侵入され、パソコン内の情報が盗まれる危険性がある。これらは、ターゲットのコンピュータに侵入するためのバックドア(裏口)を仕掛ける機能があるからだ。今までのウイルスは、感染してもウイルスを撒き散らしたり、パソコンの動作が遅くなったりするなどの被害だったが、最近のウイルスに感染すると、情報が漏えいする危険性が高まっている。
漏えいした情報を悪用されると、オンラインゲームに不正にログインされアイテムを売られてしまったり、ネット銀行で不正な取引をされたりと、金銭的な被害を受ける可能性もある。これらのウイルスによる被害を防ぐために、IPAでは、1)不審な添付ファイルは開かない、2)ウイルス対策ソフトを最新の状態で使用する、3)セキュリティホールを解消する、といった予防対策の実施を勧めている。