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税務関連情報 (2007/11/22)

税調答申、社会保障財源として消費税増税を明記

 政府税制調査会は20日、税制によって社会保障制度を支える安定的な歳入構造を確立することが喫緊の課題とし、安定的な財源を確保する上で消費税が重要な役割を果たすべきだとの考えを盛り込んだ答申を公表した。ただし、福田首相はすでに来年度の消費税率引上げを見送る考えを表明しており、答申も、税率の上げ幅や増税時期は明記していない。どうやら消費税率引上げは2009年度となる公算が強そうだ。

 今回の答申は「抜本的な税制改革に向けた基本的考え方」と題し、消費税は、1)社会保障の財政需要を賄えること、2)経済の動向や人口の構成に左右されにくいこと、3)世代間の不公平の是正に資すること、4)勤労世代など特定の者への負担が集中せず、貯蓄や投資を含む経済活動に与える歪みが小さいこと、などの特徴を挙げ、税制における社会保障財源の中核を担うにふさわしいとの考えを示した。

 また、消費税が所得に対して逆進的との批判に対しては、「社会保障を含む受益と負担を通じた全体で所得再分配に寄与する」として、消費税で社会保障の安定的な財源を確保することが再分配政策上も大きな意義があると反論。そのほか、軽減税率については、再分配政策としての効果が乏しく、制度の簡素化、経済に対する中立性、事業者の事務負担、税務執行コストを考慮すれば極力単一税率が望ましいとの否定的な見解を示した。

 政府税調は、改革が遅れれば遅れるほど、解決困難な課題が膨れ上がってしまうとして、抜本的税制改革の可能な限り速やかな実現を求めた。しかし、参院で与野党が逆転する“ねじれ国会”の影響から、抜本改革は先送りの状況にあり、答申に盛り込んだ個々の事項を2008年度以降に実施していくタイミングについては、「今後、政府において適切に判断されることを求めたい」として政治に下駄を預けた形だ。

 税調答申の全文は↓
 http://www.cao.go.jp/zeicho/tosin/pdf/191120a.pdf