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税務関連情報 (2006/06/19)

裁判等で納税者の主張が認められたのは13.8%

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する異議申立てや国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、さらには訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が16日に公表した不服の申立て及び訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2005年度)において納税者の主張が認められたのは全体の13.8%(1140件)だったことがわかった。

 税務署への異議申立ての発生件数は、徴収関係や消費税に係る事案が増加したことから、前年度から5.4%増加の4501件だった。処理件数は、「取下げ」910件、「却下」358件、「棄却」2663件、「一部取消」499件、「全部取消」119件の合計4549件だった。納税者の主張が一部でも認められたのは618件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を0.1ポイント上回る13.6%だった。

 税務署の処分を不服とする国税不服審判所への審査請求の発生件数は、申告所得税に係る事案が減少したことなどから、前年度より4.0%少ない2963件だった。処理件数は、「取下げ」478件、「却下」188件、「棄却」2031件、「一部取消」358件、「全部取消」112件の合計2235件だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は14.8%で、前年度より0.2ポイント増加している。

 訴訟となったのは、前年度を28.6%下回る394件だった。所得税に係る事件(ストックオプションや航空機リース事案)の大幅減少が要因。終結した559件は、「取下げ」110件、「却下」16件、「棄却」381件、「国の一部敗訴」31件、「同全部敗訴」21件。納税者の救済割合は9.3%と、前年度に比べ2.6ポイント低下したが、これは、内容が同一のストックオプション事件の敗訴判決が前年度の22件から6件に減少したことによるもの。

 これらの結果、2005年度中に異議申立て・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計8275件のうち1140件で、その割合は13.8%と、前年度と同水準だった。