住宅ローン金利と住宅購入動向の関係を分析したのは内閣府のレポートである。3月の量的緩和の解除以降、金利が上昇傾向にあるなかで、住宅ローンの金利も上昇している。主要行の住宅ローンの基準金利は、今年3月から4月にかけて0.1~0.2%上昇となっている。金利の先高感が出てくるなかで、超長期固定金利商品である「フラット35」(住宅金融公庫と民間金融機関の提携商品)の申し込み件数が増加している。
そのフラット35の適用金利も前年に比べ上昇傾向にある。今回の金利上昇が住宅需要を抑えるという経済的な仕組みがある一方で、金利の先高感から住宅の買い急ぎが予想され、短期的には住宅需要にプラスに働くのではという効果の考えられる。そこでレポートは、過去の金利水準と住宅購入の推移を分析している。
住宅金融公庫の基準金利とマンションの契約件数の関係をみてみると、1999年付近を境として、以前は金利と契約件数は、ある程度の負の相関関係がみてとれるが、ここ数年はあまり相関性がないようにみてとれる。そこで期間を分けて、金利水準とマンション契約件数の関係を回帰分析してみると、1998年までは金利とマンション契約件数は負の相関があるが、1999年以降はあまりみられない。
1999年以降は、1999年3月にゼロ金利政策、2001年3月には量的緩和政策がスタート(2006年3月解除)し、長期金利はきわめて低い水準にあった。一方、住宅購入層にとって、購買決定要素は、金利以外にも、不動産価格動向や可処分所得、貯蓄残高、住宅ローン減税制度等にも影響される。この期間では、金利水準よりも、これら他の要素の影響が大きい可能性があるとみている。
ただし今後、金利がある程度の水準まで上昇してくると、住宅の購買需要に影響が現れてくる、とレポートは予測している。