15年ぶりの自治体倒産となった夕張市を分析したのは、東京商工リサーチのデータ解析特別記事である。それによると、炭鉱の閉鎖からピーク時12万人の人口が1万3千人に激減した夕張市は、第三セクター方式で観光事業への転換を図り、市が業務委託という形で資金援助を続けてきた。しかし、市の負債は600億円まで膨れ上がり、銀行からの一時借入金で表面化を回避してきたものの、見通しが立たず自力再建を断念した。
自治体の一時借入金は通常一般会計額の20%程度とされているが、夕張市は151%、財政の硬直度合を示す経常収支比率も全国の市町村のなかでワースト8の116.3%に達していた。年間20億円もの収支不足を決算に現れない一時借入金で処理していたため、単年度決算は黒字になっており、財政再建団体の要件に該当しないことから、指定は来年の出納整理期間(5月末)以降になる見通しだ。
財政再建団体は、1992年に申請した旧炭鉱町の福岡県赤池町(現・福智町)以来15年ぶりとなる。財政再建団体指定の要件は、赤字額が標準財政規模の一定額(都道府県5%、市町村20%)を超えること。夕張市の標準財政規模は45億円、赤字額の詳細は調査中だが、一時借入金(292億円)が赤字相当額だとすれば648%となり、要件をはるかにオーバーする。
昨年12月に竹中総務相が「地方分権21世紀ビジョン懇談会」を設置、地方自治体の破綻法制新設など6項目の方針を明らかにした。会社更生法の自治体版である新法は、自治体に自由に起債する権限を与えるとともに、デフォルトに陥っても国は保証しない、金融機関に対しても債権放棄を求め、首長の責任も問う、といったものである。
これまでは、自治体が倒産しても債務の支払を国が責任持つことから、金融機関は安心して自治体に融資してきたが、そうした安易な資金調達が自治体の財政規律を損なっているという見方もある。自治体の最大の課題である土地開発公社の塩漬け土地は、公社の破綻、自治体の破綻へつながる怖れがある。団塊世代の退職金支払や金利の上昇など自治体財政は厳しさを増す一方であり、東京商工リサーチは、自治体倒産法制がきわめて現実味を帯びてきたと指摘している。