経 営 関 連 情 報

2003年10月06日-003
改めて求められる顧客志向の経営への回帰

 今後の経営スタイルについては「顧客志向」が改めて機軸に据えられそうだ。三菱総合研究所がこのほど公表した有識者オピニオン調査結果(有効回答数458人)によると、今後の企業経営上のキーワード(2つ以内選択)として、「顧客満足/顧客志向」が46.3%で最も多く、以下、「選択と集中」(32.8%)、「人材育成」(32.5%)が続いた。

 また、日本企業の経営方針・経営目標の方向(2つ以内選択)についても、「顧客志向(消費者主義)の徹底」が53.1%で、「成果主義の徹底」(26.2%)や「グローバル経営の強化」(17.3%)など2位以下を大きく引き離してダントツのトップとなった。今後の企業評価の重要視点(〃)でも「製品やサービスに対する市場の評価」という顧客視点に立った回答が41.3%で最多、「トップマネジメントの経営理念・リーダーシップ」(39.7%)とともに重視されている。

 顧客志向という考え方自体は決して新しい視点ではない。これまでも「お客様第一主義」や「顧客満足度No.1」などを目指した様々な形での取組みがみられる。そもそも企業の戦略は顧客から見た価値を最大化するように練られるべきものであり、組織設計から日常の行動基準まで「顧客重視の○○」という枕詞で溢れている。問題は、実践段階でどの程度「顧客志向」が徹底されてきたかだが、現実には次のようなケースが少なくない。

 1)市場・顧客のデータは社内に溢れているが、その活用が思うように進まない、2)市場の声を重視した商品開発といいながら、実は市場から遠いところで企画・開発が進められている、3)クレーム情報に対する認識や反応が製造部門と営業部門とでは大きく異なるなどのケースが挙げられる。

 したがって、いま改めて求められている「顧客志向」とは、あくまで実践レベルの問題としてのマネジメント再設計といえる。具体的な成長戦略との関連でいえば、先端技術をいかにスピーディに商品化し魅力的な市場領域を創造していくのか、あるいはアジア・中国市場という新天地をどう取り込んでいくのか、といった戦略テーマに対して「顧客志向」の観点から総合的にマネジメントを作り変えていくことに他ならない。

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