10年度の休廃業・解散は2万5千件、倒産の2.2倍
2010年度の倒産は1万1496件と、各種政策効果で前年度比10.6%減と二ケタ減少となったが、こうした倒産にはカウントされない「企業活動の停止や消滅」も水面下で進行している。帝国データバンクがこのほど発表した「休廃業・解散動向調査」によると、2010年度の休廃業・解散件数は前年度比2.5%減の2万5138件だった。2年連続で前年度を下回ったが、依然として、倒産件数に比べて「約2.2倍」の発生件数が続いている。
種類別にみると、「休廃業」は、前年度比8.0%減の1万5523件と全体の6割強を占め、2年連続で減少したが、「解散」は同8.0%増の9615件となり、2年ぶりに前年度を上回った。「休廃業」は、官公庁等に「廃業届」を提出して企業活動を終えるケースのほか、いわゆる夜逃げ状態にある企業も含んでいる。また、「解散」は、主に商業登記等で解散が確認されたケースを集計している。
業種別にみると、「その他」を除く7業種中4業種で前年度を下回った。全体的に減少傾向となるなか、「サービス業」(4048件)が前年度を10.3%上回り、増加が際立った。また、全体の3割以上を占める「建設業」(8593件)も同1.6%増加した。製造、卸売、小売などが政策効果と外需の恩恵で減少したのに対し、建設業は公共工事の削減が続き、依然として厳しい事業環境を強いられていることが背景にあるとみられている。
地域別にみると、全9地域中7地域で前年度を下回った。件数トップは「関東」の7839件(前年度比1.3%減)、以下、「近畿」の3753件(同2.1%減)、「中部」の3503件(同3.5%減)、「九州」の2799件(同4.3%減)の順。減少率トップは「北海道」(1340件)の前年度比7.6%減、以下、「中国」(1802件)の同5.3%減、「九州」と「東北」(1737件)の同4.3%減の順となり、地方圏の減少が目立った。
今回の調査結果には、東日本大震災による影響は反映されていない。しかし、被災地には津波の影響で会社や店舗、工場などがすべて流された企業は相当数にのぼる。甚大な被害を受けて事業意欲を喪失した多数の経営者が、企業活動の停止を意味する「休廃業」や「解散」を選択する可能性は高く、2011年度は、これらの件数が急増するおそれも十分あるとみられている。
同調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110505.pdf