経 営 関 連 情 報

2003年11月19日-004
日本版LLC制度導入に向けて経産省が報告書公表

 LLC(Limited Liability Company)とは、米国で活用が進んでいる株式会社制度と並ぶ新しい会社制度の一種である。外見は株式会社と同様、出資者が全員有限責任の法人でありながら、会社の内部ルールについては組合のように、法律で強制されずに出資比率に関係なく自由に決められるところに特徴がある。経済産業省は17日、日本版LLCの導入に向けた報告書をとりまとめ公表し、12月17日まで意見を募集している。

 米国でのLLCは、ノウハウのある人材が集まって事業を展開する高度な人的資産集約型産業、ソフトウェアなどの情報産業、投資顧問業や投資銀行などの金融産業、事業再生コンサルタントなどの経営支援サービス産業、共同研究開発事業などの分野で活用されており、ここ5年間で株式会社が60万社増加する一方、LLCも約60万社増加している。

 経産省が日本版LLC制度の導入を進める背景には、近年、他社との違いを生み出す高度な人的資産が組織の競争力の源となってきており、わが国においても、こうした人的資産のポテンシャルを最大限に活かせるような、LLC類似の新しい組織形態の創設に対するニーズが、経済界などにおいて高まっていることがある。

 報告書では、1)企業の競争力の源は「物的資産」から「人的資産」へとシフトしており、大規模な株式会社ではなく、人的な会社の発展可能性が高まっている、2)欧米では、株式会社と組合の利点を融合した新しい人的会社制度が整備されている、3)日本でも、有限責任の人的法人制度である日本版LLCの整備が望まれ、会社法、有限責任組合、企業組合などを改変することが考えられるなどとして、LLC制度の創設を提言している。

 経産省では法務省と協議して2005年の商法改正案に盛り込む方針。LLC制度が導入されれば、資金力のない技術者・研究者などが創業しやすくなり、また、倒産しても出資額以内の責任をとれば済み、利益や議決権の配分方法を自由に決められるなどの利点が多いことから、ベンチャーを中心とした起業・創業に拍車がかかるものと期待されている。なお、同制度は中小企業が主な対象であって、大企業などの組織変更は認められない。

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