2006年度税制改正において所得税から個人住民税への3兆円規模の税源移譲が実施される。これに伴い、所得税率が引き下げられることから、住宅ローン控除適用者のなかには控除額が少なくなる者が出てくるが、その分は、税源移譲の前後で税負担が変わらないように、2008年度以降の個人住民税を減額して補てんすることになる。だが、そのためには、納税者自ら毎年住民税の申告が必要となる。
具体的には、2007年分以降の所得税において住宅ローン減税の適用がある納税者(1999年から2006年までに入居した者に限る)のうち、税源移譲のために控除額が減少する者は、翌年度分の個人住民税において、その減少相当額を減額する。この措置は、対象者の申請に基づき、市町村長が税務署長に照会して減額すべき金額を確認する方法で行う。これによって生ずる2008年度以降の個人住民税の減収額は、全額国費で補てんする。
これまでの国税での住宅ローン控除の適用は、初年度は確定申告する必要があったが、2年目以降は年末調整で還付されてきた。それが、住民税を減額してもらうためには、市町村民税の申告書に住宅ローン控除専用申告書を添付して市町村に毎年提出しなければならなくなるのだ。提出期限は、税務署の提出日を市町村の提出日とみなすことから3月15日までとなる。
納税者にとっては新たな事務負担となるが、これも税金を還付してもらうため、仕方がない面もあろう。おまけにこの減額措置には罰則規定がある。申告忘れは還付されないだけだが、税務署と市町村が納税者のデータを情報交換した結果、単なる計算ミスではなく虚偽の記載が見つかると、「1年以下の懲役または20万円以下の罰金」というものだ。変な考えを起こさないように肝に銘じたい。