全国法人会総連合がこのほど発表した「2010年度税制に関する提言」では、少子高齢化、グローバル化など経済社会の構造変化に対応した税制の構築が急務であり、特に、外需に過度に依存する経済構造から脱却するためには、地域経済の担い手である中小企業の活性化に資する税制は欠かせないとして、法人税率(軽減税率を含む)の引下げと事業承継税制の確立を最重要課題として提示している。
具体的な要望では、2009年度税制改正で2年間の措置として22%から18%に引き下げられた中小企業等に係る法人税の軽減税率について、現在の厳しい経営環境や中小企業の担税力を考慮し、中小企業に適用される軽減税率の恒久化及び一層の税率引下げとともに、1981年から課税所得800万円以下に据え置かれている軽減税率の適用課税所得金額を少なくとも1500万円程度に引き上げることを求めた。
また、新会社法施行に伴う課税逃れの防止策として創設された特殊支配同族会社に対する役員給与の損金算入制限に対して、「この課税制度は、法人税・所得税という税制の根幹に関わる問題に抵触しており、制度そのものが合理性を欠いている。要件操作によって課税対象から外れることが可能であり、中小企業の間で新たな課税の不公平を生んでいる」などと指摘し、制度の即刻廃止を求めている。
そのほか、(1)交際費の損金算入限度額のさらなる引上げ、損金不算入割合の撤廃、(2)相続時精算課税制度の非課税枠の拡大と65歳から60歳への年齢制限の引下げ、(3)事業承継税制の適用要件の緩和と引き続き欧米並みの本格的な事業承継税制の確立、(4)国税電子申告(e-Tax)については、地方税の電子申告との一体化の検討、法人・個人に対する恒久的な税額控除制度の創設、などを要望事項として掲げている。
同提言の詳細は↓
http://www.zenkokuhojinkai.or.jp/zei/youbou_2009/youbou_2009.htm