平成16年分所得税の確定申告が始まっている。税務署では早期申告・自書申告のために、職員を総動員して相談に応じたり、タッチパネルの設置、身近な税情報を教えるタックスアンサー、インターネットを利用した「確定申告書等作成コーナー」など様々なサービスで納税者の申告を手助けしている。それでも、確定申告は納税者にとって年1回のことゆえ、いろいろな誤りがあるようだ。
国税当局では、所得税の確定申告の際に誤りが多く見受けられる事例として、以下の項目を挙げ、注意を促している。まず、「基礎控除の記載漏れ」である。基礎控除(38万円)はすべての人に適用されるので、必ず記載する必要がある。次に「定率減税の適用漏れや計算誤り」だ。定率減税は、1)「平成16年分の所得税額×0.2」と2)「25万円」のいずれか少ないほうの金額だ。
「老年者控除の適用漏れや適用誤り」も多い。申告する本人が1940(昭和15)年1月1日以前に生まれた人で、かつ、平成16年分の合計所得金額が1000万円以下の場合は、平成16年分の確定申告で「老年者控除」(50万円)が受けられる。昨年度税制改正で老年者控除が廃止されることになったが、廃止されるのは平成17年分、つまり今年の所得からだ。
「配偶者特別控除の適用誤り」も見受けられる。合計所得金額が1000万円を超えている場合は「配偶者特別控除」(38万円)を受けることができない。なお、平成16年分から配偶者特別控除の上乗せ部分が廃止されているので要注意だ。配偶者の合計所得金額が38万円以下の場合には、配偶者特別控除の適用を受けることができない。
そのほか、「医療費控除の計算誤り」も指摘されている。高額療養費、出産育児一時金や生命保険会社からの入院給付金などで補てんされる金額は、医療費の合計から差し引かなければならない。また、「一時所得の申告漏れ」にも注意したい。生命保険会社などから、満期金や一時金を受け取った場合は、その収入が一時所得として申告する必要がないか、生命保険会社などからの書類で、もう一度確認する必要がある。