会社が殺風景な社長室や応接室を絵で飾ったり工芸品を置物にしたりすることは良くあることだが、こうした場合の絵画や工芸品などの購入費用は無条件に必要経費とすることはできないので注意したい。税務上、購入した絵画等が「書画骨董」に該当するかどうかで処理が異なってくる。書画骨董に該当すると、時の経過によってもその価値は減少しないものとして、減価償却資産とはならないことになる。
税法では、(1)古美術品、古文書、出土品、遺物等のように歴史的価値または希少価値を有し、代替性のないもの、(2)美術関係の年鑑等に登載されている作者の製作に係る書画、彫刻、工芸品等、は書画骨董に該当し、非減価償却資産とされている。ただし、書画骨董に該当するかどうか明らかでない場合は、1点の価格が20万円(絵画については号2万円)未満のものは書画骨董に該当せず、減価償却資産として扱われる。
このように、オフィス内の装飾目的で購入した絵画等であっても、書画骨董に該当すると、その購入費用を必要経費にはできないわけだ。もっとも、セザンヌやゴッホなどの有名作家のものであっても、複製画のように単に装飾目的にのみ使用されるものは、時の経過により価値が減少するものと考えられ、減価償却資産として、価格が10万円未満のものや、青色申告法人であれば30万円未満のものは一括損金経理することができる。