最低賃金引上げの円滑な実施に向け厚労省調査
厚生労働省はこのほど、みずほ総合研究所に委託して行った「中小企業における最低賃金の引上げの円滑な実施のための調査」報告を公表した。今後の最低賃金引上げに向けた中小企業支援策の検討に役立てるため、最低賃金の引上げで影響を受けると考えられる地域や業種について、労働者の賃金実態の調査と、最低賃金引上げのための課題や国に期待する支援策の抽出を行ったもので、併せて引上げに伴う支援策の検討も行っている。
最低賃金の引上げについては、雇用戦略対話で、「できる限り早期に全国最低800円を確保し、景気状況に配慮しつつ、全国平均1000円を目指す」ことが、2020年までの目標として政労使間で合意された。その一方で、引上げは特に中小企業の経営や雇用に影響を及ぼすとの指摘もあることから、同調査を実施し、実情の把握を図ったもの。計1万5401事業所から回答を得て、うち89事業所にヒアリング調査を行った。
それによると、事業場の50.1%で、時給換算800円未満の労働者が就業している。このうち、「家計を主として支えている」労働者は17.4%と、2割弱。また、女性の比率が高い。最低賃金を時給換算800円に引き上げた場合に生じると考えられる課題については、「売上増加・利益率の向上、コストの削減が必要となる」を挙げた事業場が48.9%と最多、次いで「事業の先行きに不安が生じる」(22.9%)との2つの課題で約7割を占めた。
国に期待する支援策としては、「社会保険料負担等の軽減」(52.3%)を挙げる回答が最多、以下、「設備投資への支援」(35.1%)、「人材育成、教育への支援」(31.3%)、「販路の確保・拡大」(30.3%)などが挙げられた。なお、「社会保険料負担等の軽減」と回答した事業場は、時給換算800円未満の労働者がいない事業場でも47.0%と半数に近く、時給800円未満の労働者の有無にかかわらず期待する事業場が多かった。
同報告書の詳細は↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000zd6f-img/2r9852000000zd7w.pdf