政府は3月6日、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援するための「企業年金制度等の整備を図るための確定拠出年金法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、同日国会に提出、現在衆院で審議中だ。同法案の柱は、企業が拠出する掛金を従業員が運用し、その運用成績によって将来の受取額が変わる企業年金である確定拠出年金制度を見直す確定拠出年金法の一部改正。
法案では、企業が従業員のために拠出する企業型確定拠出年金について、事業主拠出額を限度とし、かつ、事業主拠出と合計して拠出限度額の範囲内で従業員個人の拠出(いわゆるマッチング拠出)を認めることを明記。また、(1)企業型年金加入者は、毎月の掛金を翌月末日までに事業主を介して資産管理機関に納付、(2)事業主は掛金を控除したときは、その控除計算書を作成して控除額を従業員に通知、などが盛り込まれている。
同法施行令で定める拠出限度額についても、年功序列賃金に連動した掛金設定によって掛金が低くなっている若年者の掛金の引上げを目指すとともに、老後の所得保障として必要な額の確保のため、企業型のうち(1)厚生年金基金のような他の企業年金がない場合は月額5.1万円(改正前4.6万円)、(2)他の企業年金がある場合は月額2.55万円(同2.3万円)、個人型で企業年金がない場合は月額2.3万円(同1.8万円)にそれぞれ引き上げる。
これら改正法の施行日は、2010年1月1日とされている。一方、これを支援する税制面の措置としては、現在国会で審議中の2009年度税制改正法案で、マッチング拠出分に関しては小規模企業共済等掛金控除の対象とし、全額所得控除できることが盛り込まれている。今回の措置により、2008年11月現在で約1万1000社(約307万人)が加入しているといわれる企業型確定拠出年金の利用割合や企業年金加入者数の大幅増加が期待される。