経 営 関 連 情 報

2003年11月21日-003
中小企業が4割を占めた「会社分割制度」利用企業

 「会社分割制度」は、会社の営業の全部または一部を既存会社や新設会社などほかの会社に承継させる再編法制で、「事業」単位の分割手続きが迅速かつ簡素化した。東京商工リサーチがこのほど公表した同制度の利用状況調査(官報公告ベース)によると、2003年度上半期(4~9月)の総利用事例件数(同一会社で重複利用)は前年同期比10.6%増の404件で、資本金5千万円未満の中小企業が全体の約4割を占めたことが分かった。

 また、2003年度に会社分割公告を官報に掲載した分割会社は302社で前年同期比6.1%減だった。東京商工リサーチは、この302社を同社の企業データベースと照合して271社を特定した。この271社を産業別でみてみると、「サービス業」が67社(構成比24.7%)で最も多く、以下、「製造業」(66社)、「卸売業」(42社)、「建設業」(34社)などの順となった。サービス業では、特にパチンコ店などで営業店舗の分社化が目立った。

 資本金別では、「100億円以上」が37社(構成比13.6%)、うち上場企業が27社だった。一方、「5千万円未満」は98社(同36.1%)で、うち「1千万円未満」の会社は32社(同11.8%)、「2千万円」の会社が15社(同5.5%)。「5千万円以上1億円未満」は40社(同14.7%)だった。このように、資本金規模の小さな中小企業においても、「会社分割制度」が積極的に活用されていることが分かる。

 「会社分割制度」は、会社の全事業が対象となる合併とは違って、特定事業の譲渡・買収ができること、また、営業譲渡などと比べて、分割手続きに伴う時間とコストの大幅な節約ができることがメリット。業歴が長く、肥大化した多角化部門を数多く抱える大企業にとっては、不採算部門を切り離す簡便な手段である。その際には当然、不採算部門の生き残り策を検討しなければならない。

 そこで資金力の乏しい中小ベンチャー企業が、こうした部門を買収する手段として会社分割制度を活用することができる。企業経営の多角化と連結決算制度の導入は、大企業だけでなく中小企業にも波及しようとしている。このような経営環境に適応するため制度活用する企業の姿がうかがえる。

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