年次倒産に占める破産の構成比が過去最高の71.9%
2010年の企業倒産は2年連続で前年を下回った。しかし、企業の解体・消滅である破産件数は、年次倒産に占める構成比が過去最高を記録したことが、東京商工リサーチが発表した「2010年企業倒産における破産動向調査」で分かった。破産を申請した企業は、負債5000万円未満、従業員数5人未満が中心で、業績不振や過剰債務で事業継続の見通しが難しい小・零細規模の企業が破産を選択するケースが多いようだ。
2010年の破産件数は前年比5.0%減の9579件だったが、過去最高だった前年(1万90件)に次ぐ過去2番目の高水準となった。この結果、年次倒産に占める構成比は前年より6.7ポイント上昇、過去最高の71.9%に達し、倒産全体の7割を占めた。これは、2000年12月に東京地裁が企業の破産手続きを大幅に簡素化した「法人少額管財手続き」が、全国の地裁でも実施されるようになったことが大きいとみられている。
2010年の倒産のうち、破産の負債総額は前年比23.0%減の約1兆6893億円。負債10億円以上の大型倒産が同27.6%減の257件と、最近10年間で最少だったことが影響した。対して、負債5000万円未満は同2.0%増の5228件で、年次倒産に占める構成比は39.2%を占めた。また、従業員別では、5人未満が同0.3%減の6799件ながら、構成比は51.0%を占め、負債や従業員数でも破産申請企業は小・零細規模が多いことを裏付けた。
2010年の破産件数は高水準で推移した。民事再生法等の再建型の法的手続きは前年比二ケタ減少の一方で、事業再建を断念する企業が多いことが浮き彫りとなった。破産企業の従業員は失業に直結するだけに、破産の情勢は地域経済や景況マインドへの影響が大きい。現状は、小・零細規模企業が中心だが、景気回復の展開次第では中堅クラスまで広がる可能性も否定できず、事業再生に向けた弾力的な支援策が早急な過大となっている。