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税務関連情報 (2007/03/23)

国税が還付されるのになぜ住民税は還付されない?

 所得税の確定申告が終了したが、年々還付申告が増えている。2000万人を超える確定申告提出枚数の半数以上を占める還付申告は、会社員にとっても馴染み深いものになってきた。ところで、還付申告をした人のなかには「どうして住民税には医療費控除がないのだろう」といった疑問を持つことが少なくない。実際に、市・区役所の住民税の窓口には「住民税でも医療費控除は受けられないのか」といった問合せがあるそうだ。

 確かに、住民税も課税所得が少なくなれば、納めすぎた税金を返してもらえると考えても不思議ではない。ところが残念なことに、住民税には医療費控除といった制度はない。とはいえ、実際には、所得税で医療費控除された分はしっかり反映される。国税で医療費控除が適用されれば、当然ながら課税所得は少なくなる。その少なくなった課税所得は住民税にも反映される。

 例えば、医療費控除で40万円の所得税の還付を受けた場合、住民税では、住民税率が10%だとすると、「40万円×10%」で4万円が減少することになる。ただ、住民税では、税金を現金で戻すということをせず、また、所得税に1年遅れで課税されるため、分かりずらいのだ。一般の会社員の場合、2006年分の所得に対する住民税は、今年の6月から来年の5月まで12ヵ月にわたって特別徴収される。

 したがって、上記の4万円も、このなかでほぼ12等分した額が減額されるわけだ。今年の6月からの住民税は、国税から地方税への税源移譲の関係で、ほとんどの人の税額が大幅にアップする。余計に医療費控除の反映分が見えなくなるようだ。ともあれ、所得税と住民税は、一般の人にとって最も馴染みの深い税金だが、両者の関係をきちんと理解している人は意外と少ないようだ。