2003年10月06日-002
私的整理にも法的整理と同様の税のメリットを要望
企業再生ファンドを活用した事業再生が増加している。再生ファンド増加の背景には、銀行主導型企業再建の限界や不良債権処理の進捗、企業の組織再編や再生手続きに関する法的整備の著しい進展などがある。日本総合研究所は3日に公表した企業再生ビジネス活性化に向けた課題と題したレポートのなかで、企業再生をさらに活性化するために残された問題点のひとつとして税制優遇措置の拡大を要望した。
レポートによると、企業再生ビジネス活性化のために残された課題のひとつとして、私的整理への税制優遇が法的整理に比べ少ない点を指摘している。現在、私的整理ガイドラインが制定されて、合理性がある場合には債権放棄による無税償却が認められている。しかし、ガイドラインを利用した場合であっても、資産評価損の計上や繰越欠損金の算入順序については、私的整理は法的整理に比べメリットが小さいとの指摘だ。
事業再生を目指す企業が資産の評価損を計上する場合、会社更生法や民事再生法では損金算入が認められるが、私的整理ガイドラインでは認められていない。また、債務免除益に対しては、会社更生法では期限切れ欠損金から算入できるが、民事再生法・私的整理では青色欠損金から算入する。会社更生法や民事再生法で認められる欠損金の繰戻還付請求においても、私的整理では認められない。
このように税制上の扱いに差がある私的整理については、恣意性がなく合理性が認められる場合には法的整理と同様に税制を認めるべきというのが日本総研レポートの提言である。
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