2003年04月30日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(49)
『所得税における水平的公平性について』(10)
★給与所得者のほうが低い実効税率
業種・世帯業態による税負担への影響をみている。最後に、同じく標準世帯の事業所得者と給与所得者について、所得が増加したときに所得税の実効税率がどのようになるかである。ただし、問題は給与所得者における分母となる所得の定義である。一般に用いられる給与所得者の実効税率に関しては、分母は給与収入をとっているが、事業所得者と比較する上での給与所得者の所得は給与所得控除後の給与所得のはずである。
ここでは両方の概念を用いて比較した結果、どちらの概念を用いて算出しても、全ての所得階層において事業所得者のほうが給与所得者よりも実効税率が高くなっている。共稼ぎ世帯においても、その傾向は基本的に同じであり、事業所得者の所得分割の有無にかかわらず、給与所得者のほうが低い実効税率になっている。
ここで問題となった給与所得の定義のあいまいさの理由となるのが、給与所得控除が経費の概算控除なのか、それとも他の要素なのか、また、その内訳比率がどれぐらいなのかが不明確だからである。そこで、次回は、いよいよ給与所得控除と事業所得の必要経費について検証を加えることになる。
(続く)
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