ゼイタックス

経営関連情報 (2004/08/27)

緩やかに改善する個人消費

 個人消費が緩やかに増加している。先ごろ公表された2004年4~6月期のGDP速報をみると、民間最終消費支出は季節調整済前期比で0.6%増と、伸び率はやや鈍化したものの、5期連続での増加を続けている。その背景を分析するのは内閣府(「今週の指標」)である。 個人消費が堅調な背景には、実質雇用者所得が底堅く推移するなかで、失業率の低下など雇用情勢の改善によって消費者マインドが回復していることがある。

 そこで、消費の実体面での特徴として、まず、需要側の統計として家計調査をみると、財よりもサービス、基礎的な支出よりも選択的な支出が堅調に推移していることを挙げている。つまり、外食や旅行が堅調なほか、米や野菜など消費総額の変動に関わらず一定的に支出されるものよりも、英会話教室やパソコンなど消費者の嗜好にあわせて選択的に支出されるものが好調なのだ。

 次に、供給側の統計をみると、例えば百貨店販売額は趨勢的に下落傾向が続いており、こうした傾向が「景気回復の実感がない」といった一部の指摘にも現れていると考えられている。他方、コンビニや通信販売の市場規模は年々拡大しており、こうした業態では足元でも増加を続けている。このように、財の販売については、消費行動の多様化に伴って構造的な変化が生じつつあるとみている。

 7月の東京・大阪地区の百貨店売上高をみると、現時点で猛暑の影響について全体を大きく押し上げるといった効果は確認できない。個人消費の先行きについては、引き続き猛暑やオリンピックの影響、さらには10月以降の年金保険料引上げといった点に留意は必要だが、カギとなるのは所得の動向だと指摘。雇用情勢が引き続き改善している現状から、今後の所得の改善、個人消費の着実な増加への期待を示している。