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障害者の働く場に対する発注促進税制の創設

税務関連情報 - 2008年05月28日

 2008年度税制改正において「障害者の働く場に対する発注税制」が創設された。同税制は、授産施設等の障害者が「働く場」に対する発注額を前年度より増加させた企業について、企業が有する固定資産(減価償却資産)を割増して償却できるという、発注元の企業に対し法人税等を軽減するもの。発注には業務を下請した場合だけでなく、自家生産した商品を売買した場合なども含まれる。

 税制優遇の対象者は、青色申告者であるすべての法人・個人事業主。適用期間は、法人が2008年4月1日~2013年3月31日、個人事業主が2009年1月1日~2013年12月31日の5年間の各年度。割増して償却される限度額は、前年度からの発注増加額(対象となる固定資産の普通償却限度額の30%が限度)。前年度に発注がない場合は、当該年度の「発注額」がそのまま「発注増加額」となる。

 また、同税制による割増償却の対象となる資産は、1年以上の長期保有資産で取得価格20万円以上の現事業年度を含む3年以内に取得した資産に限られる。例えば、暖冷房設備や照明器具、エレベーターなどの建物及びその附属設備、工作機械や印刷機械、食料製造機械などの機械及び装置、自動車やフォークリフトなどの車輌及び運搬具、牛や馬、豚、りんご樹、ぶどう樹などの生物のほか、多くの資産が対象となる。

 実際の計算例では、企業の発注増加額が30万円、所得金額(利益)が600万円(減価償却計上前)、当該年度に車1台を購入(400万円・耐用年数4年、定額法による1年あたりの減価償却費は100万円)とすると、通常の場合、「500万円(所得金額600万円-減価償却費100万円)×30%(法人税率)」で150万円が法人税額だが、発注促進税制適用の場合、「470万円(600万円-130万円)×30%」で141万円に軽減される。

 なお、授産施設とは、心身上の理由や世帯の事情により就業の困難な者に、就労や技能修得のための機会を与え、自立を助長することを目的とする施設をいう。障害者が働くクリーニングや清掃、印刷、データ入力等のほか、弁当の販売などを扱う、障害者自立支援法に基づく事業所・施設が該当する。また、障害者を多数雇用している企業なども、発注促進税制の対象となる発注先に該当する。