土地取引2年半ぶりに悪化を記録~国交省
国土交通省はこのほど、「土地取引動向調査(2011年9月調査)」を公表した。調査は、3月、9月の半年ごとに実施され、土地市場の動向に大きな影響を及ぼしうる主要な企業を対象に、土地取引に関する短期的な企業の意向を把握する「先行指標」の作成を目的としたもの。上場企業1749社及び非上場企業(資本金10億円以上)1751社の計3500社を対象に行われ、有効回答は1138社、有効回答率は32.5%だった。
土地取引状況の判断DI(「活発」-「不活発」)は、東京都23区内で▲47.5ポイントと前回3月調査から▲7.5ポイント低下。大阪府内も▲50.0ポイント(前回比▲1.8ポイント)、その他の地域は▲57.2ポイント(同▲4.2ポイント)と小幅な悪化にとどまったが、土地取引は2009年(3月調査)以来2年ぶりに悪化を記録。また、現在の地価水準の判断DIは、東京都23区内は3月調査から▲4.5ポイントの12.7ポイントと低下した。
一方、企業が想定する1年後の土地取引状況の判断DI(「活発」-「不活発」)は、東京都23区内は前回3月調査の▲19.7ポイントから▲34.2ポイントと大幅に悪化。大阪府内▲39.0ポイント(前回調査▲28.1ポイント)、その他の地域▲47.0ポイント(同▲38.9ポイント)と全地域で低下。1年後の地価DI(「高い」-「低い」)では、東京都23区内は前回3月調査の+9.1ポイントから▲15.9ポイントとマイナスに転化している。
今回調査では、東日本大震災の土地取引に対する影響が調査されている。「東日本大震災が土地の購入・売却意向に及ぼした影響」については、「影響があった」という回答は、全体で15.8%、東京都23区内で20.3%であり、全体の平均よりも東日本に位置する東京都23区内のほうが影響は大きかった。回答の中でも最も多かったのは、「特に影響を与えない」で、全体で71.2%、東京都23区内で65.9%を占めた。
「影響があった」という回答のうち、売却では「影響しない」という回答が多いのに対し、購入では「消極的になる」という回答が多かった。購入に対して企業は、慎重な姿勢を強めている。その理由(複数回答)として「今後発生しうる災害による資産価値の低下をリスクと考えたため」(26.1%)、「震災の影響による地価水準の下落を見込むため」(23.9%)、「震災の影響による地価水準の動向を見極めるため」(23.9%)などがあった。