ゼイタックス

経営関連情報 (2005/12/16)

ダメ教師が「増えていると思う」現場の教員37%

 内閣府が公表した「教育委員会・学校法人・教員アンケート調査」結果(有効回答数:教育委員会・学校法人等1084件、教員260人)によると、学校現場で指導力不足の教員はここ数年間で増えていると思うかを尋ねたところ、「増えていると思う」との回答が、都道府県教育委員会で21.3%、市区教育委員会で35.7%、学校法人で38.0%、教員で37.3%と現場のほうの自覚がより強い結果になった。

 指導力不足の教員が生まれる理由は、「保護者や生徒の教員を見る目が厳しくなったため」との回答が多く、都道府県教育委員会で61.7%、市区教育委員会で49.8%、学校法人で38.2%となった。これは、もともと指導不足の教員はいたのだが、以前は見る目が厳しくなかったので目立たなかったということなのか。次いで「教える内容が多様化し従来の教育ノウハウが通用しなくなっている」が教育委員会では50%前後を占めた。

 興味ぶかいのは、「教員として適性資質を欠く者は常に一定比率採用者の中に存在してしまうため」との回答が、全体を通して4割前後あったことだ。これは、どの世界でも見られることだが、ダメ教師とわかっても辞めさせにくい、条件附採用期間制度や分限免職制度が十分に機能していない証拠ともいえる。

 条件附採用期間の制度について、採用権者である都道府県教育委員会では「現在の制度はあまり機能していない」との回答が38.3%にのぼる。その理由は、「意見具申の判断を委ねられている校長が厳しい判断をしにくい」が66.7%で最多。一方、教員も、「条件附採用をした時点で本採用を前提とした運用なので、多少の適格性不足には目をつぶらざるを得ない」(53.1%)が上位に挙げられ、制度不全が明らかになっている。

 指導力不足教員に対する「分限免職」についても、条件附採用期間後の「採用不可」よりも「ハードルが高い」とする回答が、都道府県教育委員会で23.4%、市区教育委員会では31.4%あった。その理由は、都道府県教育委員会では「処分取消し訴訟になった際の対応を考えざるを得ないから」が83.3%ともっとも多い。いったん就職したらなかなか辞めさせられない構造が、ダメ教師を増やしているといえそうだ。

 同調査の概要は↓
 http://www.kisei-kaikaku.go.jp/publication/2005/1205/item051205_01.pdf