税 務 関 連 情 報

2001年12月10日-001
いよいよ大詰めを迎えた来年度税制改正

 来年度税制改正の審議は今週末14日の大綱決定に向け大詰めを迎えているが、今回の審議過程ほど右往左往、迷走したのも珍しい。まずは最大の焦点だった連結納税制度が、法案作成作業の遅れから導入を1年見送りから、一転して、来年5月連休明けに法案を国会提出、6月末までに成立させ4月に遡って遡及適用で、表面的には当初のスケジュールどおりで決着。また、発泡酒の税率引上げやたばこ税の増税、生命保険料控除の見直しなども、政・官・財の攻防が連日新聞紙上を賑わしたが、いずれも見送られる公算が強い。

 そんなところへ急浮上したのが、どちらもあまり話題にならなかった中小企業の事業承継に係る相続税負担の軽減策と高齢者マル優制度の廃止・縮小だ。事業承継への相続税負担軽減は、現行では事業用宅地に限っている相続財産の評価減特例を、宅地以外の土地・建物、機械・設備、非上場の自社株式などにまで拡充し、事業用資産全体で課税価格を実際の評価額の2分の1から3分の1程度に軽減するとの案が中心という。相続税負担が中小企業経営者の事業承継を困難にしているとの声に応えたもので、これはいわば“アメ”。

 一方、“むち”に当たるのが、高齢者向けの少額貯蓄非課税制度(マル優)の廃止・縮小。マル優は、65歳以上の高齢者や障害者等を対象に預貯金や国債、郵貯等の利子(税率20%)をそれぞれ350万円まで非課税にする制度。減収額は、平成13年度は郵貯の満期集中があって約6,010億円と多いが、郵貯集中満期分を除くと約1,130億円であり、約1,000億円が平年度ベースの減収額と見込まれている。廃止・縮小する背景には「この超低金利時代に、預貯金の利子を優遇してもその恩恵は大きくない」との意見が広がっていることだ。

 これらが来年度税制改正の主要改正項目で、小ぶりな内容となるが、何はともあれ、後は14日の税制改正大綱の決定を待つばかり。どのような中身になるのか注目されるところだ。

 

 

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