情報処理推進機構が27日に公表したコンピュータウイルス被害状況調査によると、2003年1年間の国内企業(自治体を含む)のウイルス感染による被害総額は推計値で約3025億円と、前年より1375億円(31.2%)減少した。大幅に減少した要因は企業のウイルス対策が進んだためとみられるが、1事業所あたりの被害額は約28万円とまだまだ高水準だ。
調査結果によると、回答者(663事業所、465自治体)のうち、昨年1年間に一度でもウイルスに感染したことがある事業所等は全体の22.2%を占めた。感染までには至らなかったものの、47.4%と半数近くの事業所等が感染する前にウイルスを発見している。感染・発見したウイルスの種類(複数回答)は、「w32/Klez」が52.0%で最も多く、「w32/MSBlaster」(40.4%)、「XM/Laroux」(31.5%)、「w32/Nimda」(30.8%)などが続く。
また、クライアントPCへのウイルス対策ソフトの導入状況については、「9割以上のPCに導入済み」が70.4%、「半数以上のPCに導入」が7.5%、「半数未満のPCに導入」が10.3%だが、「導入していない」との回答もまだ8.0%あった。民間企業と自治体を比較すると、自治体では「9割以上のPCに導入」の割合が89.4%とほぼ9割に達し、民間企業(56.8%)より32.6ポイントも高くなっている。
ウイルスの発見経緯は、「ウイルス対策ソフト」が74.3%で最も多く、感染経路は「電子メール」が51.9%で最も多い。発見に使用されたソフトは、「ウイルスバスター」(45.7%)や「Norton AntiVirus」(32.1%)が高い比率を占めている。クライアントマシーン、ネットワークサーバー、ローカルサーバーのいずれもウイルス対策ソフト導入率が高いほど、「感染はないが、発見したことはある」との比率が高く、ソフト導入の重要性が分かる。