食品産業景況感は持ち直し続く~日本公庫
日本公庫農林水産事業が、全国の食品関係企業を対象に1月1日時点で実施した「2010年下半期の食品産業動向調査」結果(有効回答数2625社)によると、食品産業(製造業、卸売業、小売業、飲食店)の景況動向指数(DI)は持ち直しが続き、2011年上半期も改善見通しとなった。しかし、食品産業の景況感は回復基調との判断にあるものの、設備投資、雇用判断にはまだ先行き懸念がうかがえる。
景況DIは、前回(2010年上半期)調査で下落に歯止めがかかり、景気回復の兆しがみえたが、今回は経常利益DI、資金繰りDIがともにやや悪化、売上高DIが13.5ポイント上昇し、全体平均で3.2ポイント上昇のマイナス15.8となり、マイナス幅がさらに縮小して持ち直しが続く結果となった。また、先行きの見通しは、景況DIとしてさらに3.3ポイント上昇しマイナス12.5まで改善する、となっている。
業種別景況DIでは、小売業が11.1ポイント、卸売業が11.0ポイント、飲食店が7.2ポイントの改善だったが、製造業は小幅ながら1.6ポイントの悪化。特に、糖類、油脂、パンなどの業種は下落幅が大きく、仕入価格の上昇が大きく影響した。販売数量DI、販売価格DIは、前回調査で数量、価格ともに上昇に転じ、今回も販売数量DIが7.0ポイント、販売価格DIも10.6ポイント上昇し、景気が持ち直しに向けた動きにある。
設備投資DI(2010年下半期時点での2011年設備投資見通し)は、前回調査時よりも6.0ポイント下落しマイナス10.5となっている。製造業、小売業での落ち込みが影響しており、設備投資環境の厳しさがうかがえる。雇用判断DIは、前回調査時よりも4.5ポイント上昇しマイナス4.8と雇用過剰感が和らいだ結果となった。2011年上半期見通しでは1.2ポイント減少となっており、雇用環境の先行き懸念がみられる。