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税務関連情報 (2005/07/22)

固資税評価誤りは一部取消で紛争早期解決~最高裁

 バブル崩壊以降の地価の急激な下落によって、一時は固定資産税評価額が実勢価格等を上回ることが少なくなかった。これを違法として、固定資産評価審査委員会の審査決定の取消を求めた訴訟で、最高裁は11日、評価額そのもの(全部)ではなく適正な時価を超える部分(一部)を取り消せば足りる、との初判断を下した。これによって、土地評価をめぐる紛争の早期解決が図られるとみられている。

 この事案は、固定資産税評価額を不服とした納税者が固定資産評価審査委員会に審査の申出をしたが、その審査決定が違法だとして提訴したもの。控訴審の東京高裁においては、納税者の主張は認められたが、「地方税法は、この価格を可分なものであるとして、審査の申出に対する審査委員会の決定の一部のみを取り消すことを予定していない」として、同審査委員会の決定処分の全部を取り消すべきだとしていた。

 最高裁では、裁判所がその土地の適正な時価を認定した場合には「その審査決定のうち時価を超える部分に限りこれを取り消すこととしても何ら不都合はなく、むしろ、このような審査決定の一部を取り消す判決をするほうが、その土地の価格をめぐる紛争を早期に解決することができる」と判示。納税者が、審査決定の全部取消か、一部取消を求めているかにかかわらず、適正な時価を超える部分だけを取り消せば足りるとしている。

 仮に、裁判で「全部取消」との判決が下されると、固定資産評価審査委員会に差し戻されて再度審査決定を行う必要があり、価格が決定されるまでかなりの時間と手続きを費やすことになる。今回の最高裁の初判断によって、同様の訴訟では今後、判決日をもって評価額が確定することになり、固定資産税評価額をめぐる紛争の早期解決が期待できることになる。