東京都はこのほど、インターネット・オークションの公売システムを利用した新たな納税の手段として、東京型の「物納システム」を2007年度中に発足できるように準備を進めると発表した。物納は相続税で実施されているが、地方税では初めての試みとなる。都の物納システムは、納税者が、納税協力団体を通じて、インターネット公売と同様のオークションシステムに所有する財産を出品し、その売上代金を納税資金に充てるもの。
都では、2004年7月に全国で初めてインターネット公売を実施し、大きな成果を上げてきた。インターネット公売では、誰もがいつでも何度でも競り売りに参加できるため、入札者が大幅に増加し、滞納者から差し押さえた財産をより高値で売却できる。毎回、予想を上回る額の実績を確保できたことから、他の自治体も次々と参入し、現在では100を超える自治体がネット上での合同公売に踏み切っている。
これまでのインターネット公売では、自治体が滞納者の差押財産をネットオークションに出品し、その換価代金を滞納税に充てているが、都が導入する新物納システムは、反対に納税者が納税協力団体を通して所有財産をネット公売に出品し、その売上代金を納税資金に充てることになる。納税者にとっては、自分の財産を高額かつ有利に売却し納税資金を確保することで、期限内納税が可能になる。
都にとっても、滞納防止、ひいては税収の確保にもつながることが期待できる。当面2007年度からは、トライアルとして動産を対象に実施するが、将来的にはネット公売で実績のある不動産も対象に加えていく方針という。全国で先陣を切って導入したインターネット公売も3月で17回を重ね、他の自治体も次々に参入して成果を上げている。今回の新納税システムの今後の動向にも、他の自治体からの注目が集まること必至だ。