ゼイタックス

税務関連情報 (2004/10/08)

電子納税の利用は電子申告のわずか5%

 9月から、電子申告・納税システム(e-Tax)における利用可能な申請・届出等の手続きが、それまでの124手続きから882手続きへと大幅に拡大された。e-Taxのさらなる普及が期待されているが、国税庁によると、8月31日現在のe-Taxの総利用件数は1万5225件だった。現在は法人の申告などが中心だろうが、決して多い数字とはいえないようだ。

 総利用件数1万5225件の内訳は、「法人税申告」が42%を占める6337件でもっとも多く、以下、「法人の消費税申告」が28%、4282件、「所得税申告」が17%、2515件、「個人の消費税申告」が4%、538件、「申請・届出等」が6%、921件、「納税」が4%、632件となっている。総利用件数の9割(1万3672件)が何らかの申告となっている。

 ここで疑問に思うのはe-Taxを「納税」で利用した件数、電子納税件数の少なさだ。申告すれば納税が伴うのは当然である。もっとも、法人の7割が赤字という状況だから、すべての申告に納税が必要とはいえないが、それにしてもたった632件である。総申告件数に占める「納税」の割合は5%にすぎないのだ。

 電子納税の利用が伸びない要因は、e-Taxで納税を行うためのマルチ・ペイメント・ネットワークを稼動していない金融機関が多いからだ、との声が実務家の間である。同ネットワークは、収納企業(国税庁)と金融機関との間をネットワークで結ぶことで、利用者(納税者)はパソコンやATMなどから公共料金等の支払い(納税)ができるシステムだ。

 ところが、そのネットワークに参加していても実際には稼動していない金融機関が少なくないというのだ。これでは、納税者が電子納税をしたくてもできないことになる。原因はこれだけではないだろうが、それはさておき、納税者の電子納税への意思に関係なく、電子納税ができるインフラを完全に整備しておくことは当然のことではないのか。e-Taxの普及が思いやられる一例でもある。