野村総合研究所が、売上高30億円以上の酒類・飲料・加工食品メーカーの経営者を対象に実施した「国内食品業界における中長期的な展望に関する意識調査」結果(有効回答数137人)によると、今後5年程度の間に食品業界の再編が「必要」と感じている経営者が51.1%と半数を超えていることが分かった。「必要ない」との回答は16.0%にとどまっており、業界再編を予感する経営者が多いことがみてとれる。
一方で、業界再編を推進する上での障害(複数回答)については、50.4%が「オーナー企業が多い」、次いで「未上場企業が多い」(26.3%)、「将来への危機感のない企業が多い」(24.1%)、「業界内で、棲み分けができている」(20.4%)などが続いた。今後、食品業界再編を加速させる要因(複数回答)は、「国内食品業界の上位企業による業界内でのM&Aの活発化」が27.0%、次いで「経済環境の悪化」が25.5%などとなった。
現在の自社の経営課題(複数回答)では、62.0%が「安心・安全への対応」と回答、消費者の安心・安全への意識の高まりを、経営者が敏感に受け止めていることが推察できる。次いで、54.0%が「既存事業の競争優位の獲得」、43.1%が「原材料調達への対応」と、既存事業の強化・足元固めを優先する回答が多くあった。また、「将来の成長事業の育成」も39.4%と、既存事業以外に新たな事業の柱を構築することも重要な経営課題としている。
既存事業の競争優位獲得を目的としたM&Aの活用意向は、「必要であれば検討したい」と回答した経営者が32.5%いた。M&Aの活用を検討する理由(複数回答)としては、「販売チャネルの獲得」が57.9%で最多、次いで「短時間での実現」(52.6%)、「技術の獲得」(47.4%)、「工場・生産設備の獲得」(39.5%)、「人材の獲得」(34.2%)と続き、経営資源の獲得を目的としてM&Aを活用する意向が高いようだ。
一方、「M&Aの活用は必要ない」と回答した経営者(44.4%)の多くは、「自社内に十分に経営資源、ノウハウがある」(50.0%)、「時間をかければ自前でもできる」(34.6%)などを理由としている。
同意識調査結果の概要は↓
http://www.nri.co.jp/news/2009/090904.html