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税務関連情報 (2005/03/04)

増税路線の強行の前に公的部門のリストラを

 2005年度税制改正は増税基調が濃厚だが、数年先には消費税率の引上げも不可避との既定路線がある。その増税路線の強行の前に、前提としての公的部門のリストラの推進を要望するのは、ちばぎん総研・額賀信社長の「増税路線への懸念」と題したコラムである。多くの国民が、増税を受け入れるの前提として徹底的な歳出削減を望んでいるのだが、なかなかそれが見えてこないことにいらだっている。その集約的意見だ。

 政府の増税路線は、昨年10月以降、厚生年金保険料の引上げ、配偶者特別控除の上乗せ部分と老年者控除の廃止などによって推進されてきた。さらに、定率減税の縮減・廃止、消費税率引上げと続く。破綻寸前のわが国の財政事情を考えれば、多くの国民が、国民負担の増大は避けがたいとして受け入れるだろうが、問題は、その前提としての公的部門のリストラを中心とした徹底的な歳出削減である。

 コラムが指摘するのは、民間部門の血がにじみ出るようなリストラ努力に比べ、きわめて遅々として進まない公的部門のリストラの動きだ。今回の景気回復が長く続いてきた背景には、輸出企業が厳しいリストラと市場適応力努力によって国際競争力を回復し、リストラによって回復した収益力が民間設備投資を支え、さらにリストラで賃金は低下したが、雇用確保の目安が立って、消費が維持されたことがある。

 対して、公的部門における経費削減や仕事の効率化への思い切った取組みが見えてこない。こうした状況のまま増税路線を強めると、民間部門によるリストラ努力の果実を、単に公的部門に移転するだけに終わってしまう可能性が高いと、悪影響を懸念。景気が息長く回復を続けるためには、民間部門だけでなく公的部門も汗をかく連帯感が必要だとコラムは指摘する。

 そうした連帯感が乏しいまま増税路線が強行されると、国民の不満や失望は、増税によって吸い取られる購買力以上に景気に対して悪影響を与えるとの懸念を示し、「公的部門の改革なくして景気回復なし」と、まずは公的部門のリストラ推進の必要性を強調する。これが、額賀氏の主張である。