2006年度税制改正関連法が3月27日の参議院本会議で成立した。役員賞与の損金算入などを盛り込んだ国税関係の所得税法等の一部改正法案、国から地方への3兆円の税源移譲を柱とする地方税等の一部改正法案は、ともに賛成134、反対132で可決・成立した。施行は4月1日。財政再建が本格化するなか、定率減税の廃止など増税基調の強い内容だが、企業関係では実務に影響する改正も少なくない。
具体的には、定時・定額で支給される役員賞与の損金算入が認められる一方で、一定の一人会社のオーナー役員給与に対する給与所得控除分が損金不算入とされ、該当企業は何らかの対応策が求められる。また、留保金課税の要件緩和や交際費等の範囲から1人あたり5千円以下の飲食費を除外、情報基盤強化税制の創設、30万円未満の減価償却資産の即時償却に300万円の上限規制といった留意すべき改正項目もある。
一方、個人関係の改正では、定率減税が2006年分をもって廃止されることが決まり、また、税源移譲に伴い、所得税の税率が5%から40%の6段階に細分化され、個人住民税は3段階から一律10%の税率に一本化された。土地・住宅税制では、住宅耐震改修費用の10%を控除する地震対策税制や最高5万円の地震保険料控除の創設、住宅取得資金に係る相続時精算課税制度の特例延長などがある。
ほかでは、物納不適格財産・手続きの明確化など物納制度の見直しや、申告納税環境の整備として、1)無申告加算税について、納付すべき税額が50万円を超える部分に対する割合を20%に引上げ、2)無申告加算税・不納付加算税の賦課の弾力化、3)法人事業概況説明書の提出の義務化、4)所得税、相続税、贈与税、法人税に係る公示制度の廃止など、2006年度税制改正における改正項目は多岐にわたる。