東京・豊島区は、2006年度からの導入を予定している「放置自転車等対策推進税」について、廃止を含めて検討することを明らかにした。同区の高野之夫区長が2月21日の区議会で、同税の納税義務者となるJR東日本など鉄道事業者5社が区の駐輪場整備計画に対して用地提供することを高く評価したうえで「区議会の意見も受けて放置自転車税条例の廃止も選択肢として考えていく」と発言した。
豊島区は全国有数のターミナル駅「池袋駅」を抱えていることから、主に鉄道利用の通勤・通学客による駅周辺の放置自転車対策に苦慮してきた。区では、各鉄道駅周辺に多くの自転車駐輪場を設置したり、放置自転車の撤去を強化してきたが、これらの費用は年間平均10億円以上にのぼっていた。そこで区は、2001年1月に放置自転車等対策推進税構想を発表、2005年4月に条例を施行し、実施を待つばかりだった。
法定外目的税である放置自転車税は、鉄道事業者を納税義務者として乗客1000人あたり740円を課税する。年間2億1100万円程度を見込む税収は、放置自転車等の撤去・保管・返還・処分などに要する経費、区立自転車駐輪場等の維持・整備経費、放置抑制啓発経費など、放置自転車等対策を推進するための費用に充てられることになっていた。放置自転車対策に悩む他の自治体も豊島区の成行きを注目していた。
なお、同時期に導入された法定外普通税「狭小住戸集合住宅税」、いわゆるワンルームマンション税は2004年6月から施行されている。同税は、国が定める2人用世帯の最低居住水準未満である床面積29平方メートル未満の住戸が9戸以上ある集合住宅を新築・増築する建築主を納税義務者として、1戸あたり50万円の税率で課税するもの。