厚生労働省は、厚生労働大臣の諮問機関・医道審議会の答申を受けて、殺人事件などで有罪が確定した4人の医師の免許を取り消したほか、犯罪や不正行為を行った医師と歯科医師計62人を4年から1ヵ月の医業停止とする行政処分を決定した。行政処分の効力発効は3月14日から。今回の行政処分の対象となった医師(歯科医師)のなかには、税法違反(脱税)によるものが6人いた。
例えば、Uクリニックグループとして全国各地に16診療所を開設していた東京都のA医師は、公認会計士や税理士と共謀して、架空外注費等を計上するなどによって所得を隠した上、虚偽の確定申告書を提出して、3年間で所得税約1億1202万円を脱税していた。A医師は、東京地裁から懲役1年2月・執行猶予3年、罰金2800 万円の判決を受けたことから、医業停止1年の行政処分となった。
また、同じく東京都のB医師は、診療所や老人保健施設を経営する医療法人の理事長として、その業務全般を統括していたが、法人税を免れようと企て、医薬品仕入高、雑費等の経費を架空計上するなどで所得を隠した上、虚偽の法人税確定申告書提出し、3年間で法人税約7464万円を脱税していた。B医師は、東京地裁で懲役1年・執行猶予3年の判決を受けたことから、医業停止1年の処分となった。
ほかでは、所得税約2821万円を脱税したとして、東京地裁で懲役1年・執行猶予3年、罰金600万円の判決を受け、医業停止1年となった東京都のC医師がいるが、このケースでは、同医師の脱税を幇助して東京簡裁から罰金50万円の刑罰を受けた東京都のD歯科医師も1ヵ月の歯科医業停止の処分を受けている。なお、今回行政処分となった人数の66人は過去最多だった。