空売り規制・自己株式取得に係る時限措置を延長
信用取引で証券会社から株式を借りて「売り」から取引を始めることを「空売り」という。相場下降局面を逆に収益のチャンスに変えることが可能になる。この空売りでは株価が下がれば下がるほど利益が大きくなるため、相場環境が悪いときに効果を発揮する。空売りを利用して売り崩しが行われたり、相場の下げ歩調を促進したりするおそれがあるため時限的規制がかけられているが、金融庁は24日、時限措置を2012年4月30日まで延長することを決めた。
我が国における上場株式に係る空売り規制については、これまで次のような措置が講じられている。(1)原則として直前の価格以下での空売りを禁止した価格規制、(2)売付けが空売りであるか否かの別の明示・確認を取引者等に義務付ける明示・確認義務、(3)各取引所における、全銘柄合計及び業種別の空売り状況の日次公表(2008年10月14日以降、順次公表)。
これに加えて、2008年10月30日以降、当面、本年10月31日までの時限的な措置として、以下の措置を講じられている。(1)売付けの際に株の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)の禁止、(2)一定規模(発行済株式総数の原則0.25%)以上の空売りポジションの保有者に対する、証券会社を通じた取引所への報告の義務付け、取引所によるその情報の公表。
また、上場企業の自己株式取得については、我が国株式市場の状況から、2008年10月14日以降、本年10月31日までの時限的措置として、次のとおり規制を緩和していた。(1)1日の買付数量の上限:直近4週間の1日当たり平均売買高の25%→100%、(2)買付時間:取引終了時刻の直前30分は禁止→適用せず。これらの時限的な措置につき2012年4月30日まで延長し、このための内閣府令・告示を本年10月末までに公布する予定だ。