電子申告(e‐Tax)の普及に向けて、2007年度税制改正において電子申告に係る所得税額の特別控除制度が創設される。2007年分または2008年分の所得税の確定申告において、それぞれの年の申告期限までに自己の電子署名を添付して電子申告した場合、5000円を限度に所得税を控除する。それに先立ち、今年1月4日から、e-TAXで申告データを送信する際に必要だった電子署名や電子証明書が一部省略された。
これは、昨年12月27日の財務省令改正によるもので、「国税関係法令に係る行政手続等における情報通信の技術の利用に関する省令」5条1項に「ただし、当該電子署名が国税庁長官が定める者に係るものである場合には、当該申請等の情報に当該者に係る電子署名を行うこと及び当該電子署名に係る電子証明書を送信することを要しない」とするただし書きを加える改正が行われた。
一方、同日付の国税庁告示で、「国税庁長官が定める者」として、1)源泉所得税の徴収高計算書の送信を行う者、2)税理士等が依頼を受けて税務書類を作成し、依頼者に代わって電子情報処理組織により申請等を行う場合のその依頼者、が掲げられた。電子署名の省略は、財務省が昨年12月19日に公表した2007年度税制改正大綱に盛り込まれ、施行時期も明記されていたものだった。
また、同税制改正大綱では、電子署名や電子証明書の送信が不要な者として、税務署の端末を使用してe-TAXで申請等を行う者も挙げられたが、こちらは2008年1月4日以後の申請等に適用される。電子署名の取得には、時間や手間がかかることから、e-TAX利用を躊躇していた納税者も多いと思われる。納税者にとっては朗報だが、一方で税理士のe-TAXへの積極的な関与が求められる状況となっている。