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税務関連情報 (2005/12/05)

来年度改正で廃止の公算が強くなった公示制度

 所得税の公示制度、いわゆる長者番付が2006年度税制改正でいよいよ廃止される公算が強くなった。1950年に第三者によるチェックという脱税けん制効果を狙い導入されたものだが、近年はプライバシー侵害などの問題から廃止・見直しを求める声が根強かった。また、4年前には大物国税OBによる“公示逃れ”も発覚し、制度の形骸化も指摘されるなど、ここ数年は税制改正のたびに廃止の噂が絶えなかった。

 政府税制調査会の2006年度税制改正に向けた答申は、納税環境整備の一環として公示制度は廃止すべきだと明記した。公示制度については、所期の目的外に利用されている面があることや犯罪や嫌がらせの誘発原因となっているなど、種々の指摘に加えて、個人情報保護の施行を契機に、国の行政機関が保有する情報について一層適正な取扱いが求められていることなどの諸事情を踏まえれば、廃止すべきだと提言している。

 所得税の公示制度は、税額1000万円以上の納税者の氏名・住所・所得税額を各税務署で毎年5月に掲示するもので、2004年分の公示対象者は約7万5千人だった。所得税以外に、法人税では所得金額4000万円超の企業が、また、相続税では課税価格2億円超、遺産総額5億円超、贈与税では課税価格4000万円超の納税者が公示される。政府税調は、これらの公示制度を一括して廃止する方向で意見が一致したとしている。