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地域別に女性の就業率にバラつきがある原因は…

経営関連情報 - 2008年08月22日

 少子高齢化が進むわが国では、労働力として女性や高齢者等の活用を高めることが必要だ。そこで、女性の就業について地域別にみていった結果、地域別にバラつきがある原因は、女性が働きやすい環境整備の差だと分析するのは、内閣府のレポートである。レポートは、2007年の就業構造基本調査から、女性の就業率は5年前に比べ、全地域で上昇しているものの、その水準は地域ごとにバラつきがみられると指摘する。

 女性の就業率について、水準の高い北陸と下位の近畿を年齢階級別にみると、北陸は世界的に女性の就業率が高いスウェーデンと近い水準で推移しているのに対し、近畿の曲線は25~29歳あたりから北陸との乖離がみられ、30~44歳あたりにかけて17~19%ポイント程度の乖離幅となる。この年齢層は一般的に女性の育児期と重なる。さらに、北陸と近畿の年齢階級別就業率を「配偶者なし」と「配偶者あり」で比較している。

 その結果、「配偶者なし」では北陸と近畿に大きな乖離はないものの、「配偶者あり」では各年齢階級で乖離がみられ、特に25~44歳の階級では20~24%ポイント程度の乖離となっている。全国的に25~44歳の女性無業者の約6割が就業を希望しない理由として「育児」を挙げていることを踏まえると、北陸に比べて近畿では、育児期の女性が就業することが難しい状況にあることがうかがえる。

 育児期の女性が就業するためには、親族等が預かってくれる場合を除き、多くは保育所に子どもを預けることになる。そこで、祖父母などからの保育支援を受けにくい「夫婦と子ども(末子が6歳未満=乳幼児)からなる世帯」、いわゆる核家族で乳幼児を持つ女性と、その女性1人あたり保育所定員数の相関を都道府県別にみると、保育所定員数が多い都道府県ほど乳幼児を持つ女性の就業率が高いという関係があると分析している。

 近畿(2府4県)は保育所定員数、乳幼児を持つ女性の就業率ともに低いところに位置している。人口減少に伴う労働力人口の減少は、わが国の経済成長にマイナスに働く可能性があることから、レポートは、「今後、女性が育児や家事等と仕事を両立しやすい社会に向けた環境整備が進み、労働力の維持・向上が達成されることを期待したい」としている。