税 務 関 連 情 報

2003年08月11日-002
「特別償却」と「税額控除」の違い

 2003年度税制改正で導入されたIT投資促進税制は、初めてソフトウェアも優遇税制の対象となったところが注目される。今年1月から2006年3月までの間に行うソフトウェアを含む一定のIT関連設備の取得に対し、50%の特別償却か10%の税額控除が認められる。この特別償却と税額控除との重複適用はできないので、どちらかを選択しなければならないが、どのような違いがあるのだろうか。

 特別償却制度は、「取得価額×50%」を、通常の減価償却費とは別枠で特別に償却できる制度である。例えば、3月決算の中小企業が200万円のIT関連設備を取得して今年12月から使い始めた。償却方法は定率法(36.9%/年)、耐用年数5年、償却前課税所得は800万円とする。当期の償却額は、普通償却額25万円(200万円×0.369×4/12(12月~3月))+特別償却額100万円(200万円×50%)で計125万円となる。

 一方、税額控除制度は、法人税額からさらに税額を控除することができる制度で、その分だけ納付税額が少なくなる。税額控除額はその期の法人税額の20%を限度とする。上記の中小企業の例でいけば、償却前課税所得800万円から普通償却額25万円を引いた775万円が課税所得になる。その22%の法人税額171万円から20万円(200万円×10%)を控除した151万円が納付税額となる。

 特別償却を選んだ場合の納付税額は、(800万円-125万円)×22%で149万円となるから、税額控除より税負担が軽減されている。しかし、個々の企業の個別事情によりどちらが有利とは一概にいえないので、選択にあたっては税理士などの専門家に相談することをお勧めしたい。なお、償却不足額や税額控除限度額を超過した分は、翌事業年度に限り繰り越すことができる。

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