税 務 関 連 情 報

2002年05月01日-003
個人所得課税の「税負担増は避けられない」と政府税調

 政府税制調査会は、4月26日に開かれた総会において、税制抜本改革に向けた「論点整理」を公表した。個人所得課税では「今後のあるべき個人所得課税についての税負担の増加は避けられない課題」と明記するなど、財政再建に主眼を置いた税制改革を進める基本路線を示し、経済活性化に重点をおく経済財政諮問会議との隔たりを鮮明にした。

 政府税調の最重要課題は「税の空洞化」の是正だ。累次の減税により就業者の約4分の1が非納税者となっていることや、全法人の約7割が赤字法人であることなどから、歪みがある税制構造を見直すことを最優先する。個人所得課税では、配偶者控除等の各種控除を見直すことで課税最低限を引き下げ課税範囲の拡大を図る。法人課税では、法人事業税の外形標準課税の導入で赤字法人にも税負担を求める。

 一方、経済財政諮問会議では、低迷する景気回復、経済活性化のための税制改正を最優先するが、政府税調は、そもそも「政策誘導の税制利用は限界がある」との懐疑的な姿勢が基本にある。今回の「論点整理」においても、経済活性化策のための税制として、企業の研究開発・設備投資減税などに言及しているが、「民間の研究開発に対しどのようなインセンティブが与えられるか」とか「現在の企業動向を踏まえると、一般的な投資減税の効果は疑問」と明記するなど、積極的な姿勢がみえない。

 財政再建も経済活性化も重要課題であることはいうまでもないが、政府税調と財政諮問会議の税制抜本改革に対する対立図式はどう考えればいいのか。双方の主張が抑止効果となって、現在のわが国の財政や経済状況の下で唯一採用でき得る税制改革のあるべき姿が見えてくる、と好意的に考えるのは楽天的過ぎるだろうか。とりあえずは、6月に予定されている政府税調と財政諮問会議それぞれの「論点整理」の内容が注目されるところだ。

 

 

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