税 務 関 連 情 報

2002年12月02日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(16)

★導入最大の難関は「プライバシー」問題

 さて、納番制度が議論の俎上に上がると、いつも問題点、反対理由となるのが「プライバシー漏洩」である。中には、納番制度が導入されると、納税者一人ひとりのプライバシーが番号の下に全て集められ、蓄積されてしまうという怖れを反対理由とする極論まである。つまり、収入、預金、納税額、滞納額など税金に関わる情報は仕方がないにしても、結婚・離婚歴や交通違反などの犯罪歴、病歴、など、などまで分かってしまうというのだ。

 確かに、納番制度の導入によって、個人のプライバシーが丸裸にされる事態を招くとしたら、社会生活そのものが崩壊しかねないが、果たしてそのようなことが実現する可能性はあるのだろうか。この「プライバシー漏洩」に対する危惧を煽り立てたのは主に週刊誌などのマスコミだが、わたしたちは、そのマスコミ説を鵜呑みにせずに真剣に考えたことがあるのだろうか。

プライバシー漏洩という問題は、コンピュータによるネットワーク上の技術面・運用面からの問題と、漏れた情報もしくは意図的に集められた情報がデータベース化されて、国によって一元管理される恐れという2つの側面がある。もうひとつ忘れてならないのは、「プライバシーとは何か」という基本的な問題である。

 なんでもかんでも個人情報を一緒くたにして、「プライバシー」という“錦の御旗”で事の真相から目を背けていないだろうか。納番制度の導入を考える場合は、この「プライバシー」を改めて考えることがどうしても必要なのだ。単なる制度の可能性や感情論で反対するのではなく、一つひとつの言葉をよく吟味して議論に参加して欲しいのだ。その議論の舞台に、特に参加していただきたいのが、サラリーマン、給与所得者なのだ。給与所得者数4,510万人の力で大世論となることが期待されているのである。

(以下次回へ続く)

 

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