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特例を引き継げない相続した1000万円控除適用土地

税務関連情報 - 2009年06月08日

 2009年度税制改正で創設された「特定の土地等の長期譲渡所得の1000万円特別控除」の適用にあたっては疑問点が少なくない。例えば、相続の場合、長期譲渡所得の課税の特例は取得価額や取得時期を引き継ぐのが一般的な考え方だが、2009年・2010年中に土地等を取得して1000万円特別控除を適用した父親が亡くなって相続が発生した場合、その土地等を相続した者がこの特例を引き継げるのかという実務上の疑問がある。

 相続人が5年後の2015年以降にその土地等を売却した場合に1000万円控除が認められるのかという疑問だ。この1000万円特別控除は措置法31条の長期譲渡所得の課税の特例を踏まえたもので、長期譲渡所得は15%相当額の所得税が課されるのが現行の規定だが、1000万円特別控除は措置法31条の長期譲渡所得金額を読み替えて、その長期譲渡所得金額から1000万円を控除した後の金額に15%相当額の所得税を課すという形になっている。

 一方、措置法31条の長期譲渡所得の期間については、相続・贈与、譲渡等によって取得した土地等についてはそれぞれ被相続人、贈与者、譲渡者がその土地等を取得した日から計算するという取扱いになっており、取得価額や取得時期が原則引き継がれることになる。そこで、1000万円特別控除の場合も、取得時期や取得価額が引き継がれ1000万円控除が適用できると考える向きもあろう。

 ところが、これについて政令では一定の規制をかけており、1000万円特別控除には引継ぎ規定を適用しないことを明示しているのだ。長期譲渡所得の対象となる所有期間については、その個人が2009年・2010年の間に土地等を取得した日の翌日から引き続き所有していた期間とする旨を改めて明示した上で、各ケース別の取得時期を定めている措置法施行令20条2項の規定は適用しないことを明示している。

 措置法施行令20条2項は、交換、贈与・相続・遺贈、譲渡によって土地等を取得した場合の取得時期や取得価額の引継ぎを定めているが、1000万円特別控除は同規定を適用しないとされたことから、すべてのケースで引継ぎが認められないことになるわけだ。