高層マンションにリスク感~不動産市場アンケート
ニッセイ基礎研究所は、東日本大震災を受け、4月11日から18日にかけ、不動産分野の実務家・専門家等を対象に、「震災と不動産市場に関する緊急アンケート」を行った(有効回答数261人)。それによると、東日本大震災が今後、日本の不動産市場に与える影響の大きさは、「やや深刻(地域限定的だが長期的)」、「深刻(広域的だが短期的)」、「非常に深刻(広域的かつ長期的)」との回答が合わせて9割超にのぼった。
日本の不動産市場(住宅分譲市場、賃貸市場、投資市場)に与えるマイナスの影響では、「震災リスクや原発リスクなどから、海外の投資家が日本の不動産を忌避する動き」(58.6%)がもっとも多く、次いで、「経済成長率の低下に伴う、不動産需要の低迷」(51.0%)も半数を超えた。また、「不動産の顧客や利用者、投資家が震災リスクや原発リスクの高い地域や不動産を忌避する動き」(43.7%)がこれらに続く。
東日本大震災を契機に、顧客や利用者の選別が厳しくなる、あるいはニーズが弱まると思われる不動産タイプ(3つまで回答)で最も多かったのは「分譲マンション」(52.1%)で、半数を超えた。戸建住宅に比べて物理的な被害は小さかったが、消費マインド悪化に伴うマンション購入意欲の減退や高層マンションでのエレベータ停止リスク、マンションが林立する湾岸地域で多くみられた液状化現象などが意識されたものとみられている。
今後、日本経済が大規模な災害リスクと対峙していくために必要な考え方(2つまで回答)では、「建築・都市インフラの防災性能の大幅な強化」(58.2%)がトップ、次いで、「都市構造の東京一極集中から多極分散化」(41.0%)、「企業活動の国内分散、グローバル化」(37.2%)が多い。原発の是非が連日のように議論されているが、「エネルギーの原発依存度引下げ、代替電源開発」は34.5%で4位だった。
同調査結果は↓
http://www.nli-research.co.jp/report/misc/2011/fudo110419.pdf