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税務関連情報 (2006/01/30)

定率減税廃止はマイナスの効果が圧倒的~連合総研

 定率減税は今年から半減、2006年度税制改正では2007年1月から全廃される可能性が高くなっている。連合総研は24日、定率減税廃止の影響を分析したレポートを発表し、短期の範囲ではマイナスの効果が圧倒的であり、経済が依然としてデフレ下にあるなか、マイナス分を埋め合わせるような需要の拡大がないため、そのマイナスの影響は累積するとの考えを示した。連合総研の分析結果は以下の通り。

 定率減税は2004年度予算ベースで所得税が約2.5兆円、個人住民税が約0.8兆円の総額3.3兆円だが、これが個人所得からなくなるため、ストレートに消費に影響が出る。実質民間最終消費支出は、初年度の2006年度に0.5%程度、次年度の2007年度には1.0%程度ベースライン(定率減税が行われない場合)より低下する。家計所得の減少は、住宅投資にも影響し、実質民間住宅投資は06年度に0.6%、07年度に1.0%程度低下する。

 消費の減退は、生産の減退・稼働率の悪化などを通じて、利益の低下・設備投資の減少にもつながり、実質民間企業設備投資は06年度に0.3%、07年度に0.6%程度低下する。一方、プラスの効果だが、金利が高い経済では、増税により財政を再建すると、民間部門で消費が減るものの、金利低下により投資が増加するメカニズムが働く。しかし、現在のように金利が低い場合は、これが機能しない。

 この結果、マイナスの効果だけが顕在化し、定率減税撤廃は、乗数過程を経つつ数年間にわたり、毎年おおむね0.2~0.3%程度ずつ実質成長率を引き下げ、その負の影響が累積していく。このような結果、実質GDP(国内総生産)を、06年度は0.3%、07年度は0.6%、08年度は0.7%、09年度は0.8%、それぞれ引き下げることになるとの分析結果を示している。

 このように、連合総研の分析結果では、短期の範囲ではマイナスの効果が圧倒的というもの。経済が依然としてデフレ下にあるということが重要なポイントとなっている。インフレの緩和や金利の低下等を通じて、マイナス分を埋め合わせするような需要の拡大がないため、定率減税廃止のマイナスの影響は、波及効果も含めて累積してしまうという。なお、今回の試算でも、増収分は、基本的には財政赤字の補てんに廻されるとしている。

 レポートの詳細は↓
 http://www.rengo-soken.or.jp/houkoku/jousei/2006zouzei.pdf