労務行政研究所がこのほど発表した「企業におけるメンタルヘルスの実態と対策に関する調査」結果(有効回答数250社)によると、メンタルヘルス不調で1ヵ月以上休職している社員が「いる」とする企業は62.7%で、3年前の前回調査(50.9%)に比べ約12ポイントも増加した。休職者の人数は1社平均9.5人で、前回調査(4.4人)から倍以上増えている。全従業員に対する比率は平均0.5%となった。
メンタルヘルス不調者が最近3年間で「増加している」とする企業は55.2%と半数以上にのぼる。従業員規模別にみると、規模が大きいほど「増加している」とする割合が高く、300人未満は32.5%と割合は低いが、前回調査からは約15ポイント増加している点が目立つ。特に増加が目立つ年代は「30代」がもっとも多く51.9%、次いで「20代」が41.2%の順で、「50代」は0.8%に過ぎない。「減少している」はわずか2.8%だった。
こうしたメンタルヘルス不調の増加に対して「何らかのメンタルヘルス対策を実施している」とする企業は79.2%と約8割を占めた。具体的な施策(複数回答)は、「電話やEメールによる相談窓口の設置」が56.0%でもっとも多く、次いで「心の健康対策を目的とするカウンセリング(相談制度)」(52.4%)、「管理職に対するメンタルヘルス教育」(43.6%)、「社内報、パンフレットなどによるPR」(35.2%)などが続いた。
また、メンタルヘルス不調で休職した社員のうち、完全復帰した割合は、「半分程度復職」とする企業が22.5%でもっとも多いが、「7~8割程度」が21.5%、「ほとんど(9割程度)」も20.4%ある。3者に「全員(復帰)」(7.3%)を加えると合計で71.7%と、7割超の企業で「半分程度」以上が完全復帰していた。規模が大きいほど復職割合が高く、大企業でのメンタルヘルス対策の充実の効果が、復帰割合に表れたものとみられる。
同調査結果の詳細は↓
https://www.rosei.or.jp/contents/detail/6125