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経営関連情報 (2004/10/20)

9月倒産1119件は21ヵ月連続の前年同月比減少

 帝国データバンクがまとめた全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、9月の倒産件数は1119件で、前月比では3.6%増となったものの、前年同月比では9.5%減と前年同月比では21ヵ月連続の減少となった。倒産減少の背景には、セーフティネット貸付制度などの政府による中小企業支援策の利用増加や、手形取引と不渡りの減少が倒産を抑制していることなどがあると推測されている。

 一方、負債総額は4177億6900万円で、前月比30.3%減、前年同月比63.0%減とともに大幅に下回った。この結果、6ヵ月連続の1兆円割れで、5000億円を下回るのは3ヵ月ぶりとなる。これは、月中、負債1000億円以上の倒産が2ヵ月連続して発生しなかったうえ、負債100億円以上は11件にとどまるなど、大型倒産が少なかったため。負債50億円以上は15件で6ヵ月連続して10件台にとどまった。

 また、破産(413件)と特別清算(17件)による「清算型の法的処理」の合計は430件で全体の3分の1以上(38.4%)を占め、事業継続を断念するケースは増加傾向にある。一方、任意整理(637件)は26ヵ月連続の前年同月比減少で、不渡りによる倒産の減少が顕著になっている。法的整理による倒産の増加傾向は、景気回復による倒産と簡単に結論づけられない理由のひとつだ。

 確かに、大企業を中心に企業業績は改善しているが、企業規模や地域によって回復感は格差があり、中小企業の資金繰りは根本的に窮屈なままで、政府の支援策によって一時的に繰り回しているに過ぎないとみられる。企業の自律的な回復による倒産危機の終焉とはいえず、帝国データバンクでは「原油・素材価格の高騰、ペイオフ解禁に向けた金融機関の不良債権処理加速など、不安材料は尽きない」と指摘している。