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経営関連情報 (2004/05/28)

増加傾向にある業暦30年以上の老舗倒産の構成比

 最近は倒産件数が減少傾向にあるが、それとは裏腹に倒産企業の高齢化が目立つ。東京商工リサーチがこのほど発表した2003年度業暦別倒産状況によると、業暦「10年以下」の倒産の構成比が前年度より0.5ポイント低下して21.5%(3263件)だったのに対し、業暦「30年以上」は同0.3ポイント上昇して26.9%(4164件)と4社に1社を占めた。負債額は5兆9495億円にのぼり、全体の約6割を占めている。

 2003年度の企業倒産件数は前年度比16.7%減だったが、倒産企業の平均業暦年数は前年度より3.8年延びて25.7年となった。最近の倒産企業の平均業暦年数は、99年度が19.5年、2000年度が20.5年、2001年度が21.4年、2002年度が21.9年と推移。2003年度は、前年の倒産件数が前年水準を下回るなかで、業暦のある企業の倒産が大きく比重を増している。

 産業別にみると、業暦30年以上のいわゆる「老舗企業」倒産の構成比が最も高かったのは、「農・林・漁・鉱業」の39.4%、以下、「製造業」(35.3%)、「運輸業」(32.1%)、「小売業」(30.9%)などが続く。最も低かったのは「情報通信業」の8.9%。これに対して、業暦10年以下のいわゆる「新興企業」倒産の構成比は、「情報通信業」の38.7%をトップに、「金融・保険業」(34.7%)、「運輸業」(27.9%)の順。

 企業倒産の高齢化の背景には、最近の企業開業率の低下を一部反映したことがある。さらに、一般的に業暦が長い企業は、新興企業に比べて担保資産を多く持っているが、資産デフレが進み、売上が伸び悩むなかで含み損を抱えて経営に苦慮する姿がうかがえる。また、規制緩和やIT技術の進展、価格破壊の流れなど、従来のビジネスモデルに固執していては対応できない経営環境の急激な変化が老舗企業の淘汰を促している。