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経営関連情報 (2005/10/12)

今後最重視する経営課題は「人材強化」を強く認識

 日本能率協会が6~7月にかけて、わが国主要企業の経営者を対象に実施した「2005年度当面する企業経営課題に関する調査」結果(有効回答数1054社)によると、日本企業の当面する経営課題は、「収益性の向上」(57.1%)が2位以下を大きく引き離してトップとなった。2位には「売上・シェア拡大」(39.0%)となり、強い事業拡大意欲がうかがわれる。3位には「人材強化」が入り、29.9%を占めた。

 また、将来(2008年度頃)の課題としては、「収益性の向上」(40.6%)に続いて「人材強化」(36.2%)が2位となっており、事業拡大の機運が高まるなか、人材力の強化が重視されているものとみられる。「人材重視」は投資の傾向にもみられる。今年度の優先順位の高い投資・利益処分項目(3つまで回答)では、「人材投資」(45.2%)が1位に挙げられ、特に従業員「1千人未満の企業」(51.3%)ではその傾向が強い。

 将来の課題の3位は「新製品・新サービス・新事業開発」(28.9%)、以下、「売上・シェア拡大」(27.6%)、「株主価値向上」(19.5%)などの順。優先順位の高い投資・利益処分の対象の2位は「生産能力の増強」(35.1%)、「研究・開発力の強化」(34.5%)、「新事業開発」(29.0%)、「合理化・省力化投資」(28.5%)、「有利子負債の削減」(23.3%)などが続く。「有利子負債の削減」は「1万人以上の企業」(36.2%)で特に高い。

 一方、ミドルマネージャー層(部下を持つ30代後半から40代前半までの課長層)に期待される役割の達成度についての評価は、全体でみると、「やや期待を下回っている」が60.5%、「かなり期待を下回っている」が6.5%で、これらを合計すると67.0%と7割近くが現在のミドルマネージャー層に不満を感じている結果となった。特に企業規模が小さくなるほどその評価は厳しくなっている。

 ミドルマネージャー層への期待項目のなかで、10年前と比べてもっとも上昇した項目は「現状にとらわれずに変革を推進する」(67.5%)だが、期待に対する充足度は、「(やや・かなり)期待を下回っている」が70.4%を占めてもっとも低い。

 逆に充足度がもっとも高い項目は「日々の業務に、ひたむきに取り組む」(「やや・かなり期待を上回っている」が71.3%)だが、その重要度はもっとも低い位置づけ(「10年前より重要度下降」が67.6%)だ。日本能率協会は、「全体的にリーダーとしての側面に対する期待充足度が低く、日本企業の今後にも重大な影響を及ぼす可能性がある」と指摘している。

 同調査の詳細は↓
 http://www.jma.or.jp/bin/jma/release/release.cgi?type=contents_20051004