税 務 関 連 情 報

2003年06月11日-002
財政赤字は増税と歳出削減の両方で対応が47%

 わが国の財政事情が危機的状況にあるのはご存知の通り。2003年度末で国及び地方の長期債務残高は686兆円程度、公債残高は450兆円程度になると見込まれている。6月9日に開かれた財政制度等審議会(財務相の諮問機関)では、去る5月25日に北九州市で開催された第1回地方公聴会で行われたアンケート結果(回答数121人)が報告された。

 アンケート結果によると、わが国の財政の現状について、「問題であり、今すぐ財政赤字の縮減に取り組む必要がある」との回答が78%を占め、「問題はあるが、景気が悪い間は仕方がない」の22%を大きく上回った。興味深いのは、回答者を職業別にみると、公務員は「今すぐ取り組め」が57.1%で「仕方ない」が42.9%に跳ね上がった。回答者数が少ないので判断が難しいが、公務員の現状認識は無責任すぎるような気がしないでもない。

 財政赤字を減らすための財源捻出については、「増税と歳出削減の両方」との回答が47%、「歳出削減」が44%と拮抗している。財政再建のためにはある程度の増税も仕方がないと考える人が増えているようだが、歳出削減も徹底してほしいとの要望は明らかだ。自営業者は「歳出削減」のみが66.7%を占め、増税には抵抗感があるようだ。

 また、当日の地方公聴会では出席委員のコメントがあったが、塩川財務相の発言が注目される。(任期中は消費税率を引き上げないという)小泉首相が9月に再選されれば任期が後3年になるが、「次の総裁に代わる平成19年から消費税を上げるなら、18年度中に法律を決める。そうなると、16・17年は歳出削減に重点が置かれる。消費税に頼る前に、削るところがたくさんあり、中身を検討する必要がある」と発言した。

 4年後の2007年から消費税率を引き上げるとの方針を表明したことになる。その前提として、来年・再来年は歳出削減を徹底するというが、これまでも歳出削減は何度聞いたか分からない“ミミタコ”である。増税だけが先行することになりかねないだけに、今後の政府の歳出削減への取組みを注視すべきことはいうまでもない。また、「景気が悪い間は仕方がない」と考える公務員が歳出削減に真剣に取り組めるのか気がかりではある。

ホームへ戻る

 

Copyright(C) 2001-2003 TAXCOM Co.,Ltd. All rights reserved.