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新入社員、「売り手市場」も就職活動は大変だった?

経営関連情報 - 2008年06月06日

 1990年ごろの新卒採用はバブルを受けて「売り手市場」真っ盛りだったが、1993年以降徐々に採用が減少し「就職氷河期」に入る。2005年ごろから、景気回復とともに、団塊世代の一斉退職への備えなどから、新卒採用枠が拡大し、昨今は再び「売り手市場」だといわる。ところが、産業能率大学が実施した「2008年度新入社員の売り手市場度調査」結果(有効回答数750人)によると、思いのほか大変だった就職活動が浮き彫りになった。

 2008年度新入社員の就職活動の感想は、「思ったより大変だった」との回答が41.4%を占め、あらゆる場で売り手市場といわれるなか、実際には想像以上に大変だった様子がうかがえる。興味深いのは、「かなり大変だった」が今年は22.7%だが、これはバブル期(11.1%)の倍以上で、就職氷河期(24.1%)とも僅差。一方、バブル期に30.6%を占めた「かなり楽だった」が、今年は氷河期(8.7%)をさらに下回る5.8%に落ち込んだ。

 内定(内々定)数は、「1社だけ」との回答が今年は50.7%と約半数だが、バブル期は61.5%、氷河期では63.2%と、どちらも6割を超えていた。内定を複数もらう人の割合が、空前の売り手市場といわれたバブル期よりもさらに増えていることが分かる。また、内定を複数もらうことに「優越感がある」との回答は、バブル期の19.0%に対し、今年は25.2%に上昇。「罪悪感がある」は、バブル期の35.9%から今年は28.6%に低下している。

 売り手市場を実感するような採用側の囲い込み策の経験は、内定前では「訪問の際に交通費が出た」(33.5%)や「製品やグッズ等おみやげをもらった」(31.3%)などが目立つ。一方、内定後では、「内定式の開催」が4割、「同期や先輩社員との懇親会」、「会社に何度か呼ばれた」が3割を超え、「内定研修」も2割の人があったと回答。内定後のほうが総じてポイントが高く、採用側は内定辞退の防止に様々な手を講じていたようだ。