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税務関連情報 (2004/05/24)

国税庁の所得情報提供で国民年金空洞化を解消?!

 社会保障制度の抜本改革は、国民年金不払い・未納の国会議員が続出して議論の方向がそれた感があるが、国民保険加入者の4割近くが未納という“空洞化”問題を解消するための方策が緊急課題であることに変わりはない。19日に開かれた経済財政諮問会議では、民間議員から「国民の利便性向上、事業効率化に向けて、保険料の徴収体制を抜本的に見直し、税との一元徴収を検討すべきだ」との提案があった。

 社会保険庁と国税庁の組織の見直しも含めた改革が必要ではないかとの意見だが、省庁改革にもつながるだけに実現性は乏しいと思われる。財務省の林正和事務次官も20日の記者会見で「社会保障制度全体のあり方の議論の結果も踏まえて考えていくべき問題だ」として、現時点で税と社会保険料の一元徴収の実現は難しいと述べた。と同時に「現行制度で可能な協力関係を検討し対応していく」との考え方も示した。

 社保庁と国税庁の協力については、小泉首相が衆院予算委員会(3月16日)で「真剣に検討するように指示する」と答弁しているが、具体的には、国税庁が保有する所得情報の社保庁への提供などが検討されることになるとみられている。社保庁では、所得がありながら国民年金保険料を滞納する者の把握や、悪質な滞納者に厳正に対応するための財産差押えなどに所得情報が不可欠だからだ。

 現在は、滞納者に対して督促状の送付や戸別訪問で滞納保険料の納付を促しているが、それでも納付がない場合は財産差押えなどの強制徴収まで視野に入れた厳しい対応を辞さない方針だ。ところが、社保庁には所得情報がないため、財産調査に時間がかかることから、効率的な滞納整理を行うために国税庁に協力を仰ぎたいわけだ。税と保険料の一元徴収が現時点では難しいだけに、社保庁では国税庁との連携に空洞化解消の期待を抱く。