帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、3月の倒産件数は916件となり、法的整理のみに集計対象を変更した2005年4月以降では、これまで最多だった2006年12月(896件)を上回り、初の900件台となった。前月からは12.0%増、前年同月では68.6%増と大きく上回り、6ヵ月連続の前年同月比増加となった。
倒産件数の推移は一進一退を繰り返しながら、確実にベースラインが上昇してきており、年度末にかけて倒産の増加ペースが加速。業種別では建設、製造、サービス、規模別では負債1億円に満たない中小・零細企業の倒産増加が、全体の倒産件数を押し上げたとみている。一方、負債総額は4730億7600万円で、前月比では68.6%の大幅増加となったものの、前年同月比では0.2%減と、2ヵ月連続の前年同月比減少となった。
業種別にみると、「その他」を除く7業種中、「建設業」(241件、前年同月比7.1%増)、「製造業」(139件、同35.0%増)、「小売業」(166件、同8.5%増)、「サービス業」(170件、同27.8%増)など5業種で前年同月比増加。なかでも、製造業、サービス業は集計対象を変更した2005年4月以降最多となった。構成比でみると、上位は「建設業」(26.3%)、「サービス業」(18.6%)、「小売業」(18.1%)の順だった。
国内経済は、長期的な世界経済の拡大とともに順調な成長が見込まれているが、「脱談合」が加速し、個人消費も依然として盛り上がらないなかで、いまなお景気回復感の乏しい地場建設業者や下請け業者、小売業者は窮地に追い込まれている。帝国データバンクでは、業界・規模・地域間の業況格差のさらなる拡大が不可避な状況下、内需関連や中小・零細企業、地方圏の小口倒産が続発することは避けられないと予測している。