ゼイタックス

税務関連情報 (2005/01/28)

タンス株の特定口座への持込みを09年5月まで延長

 2004年12月末でタンス株を特定口座へ持ち込める期限が切れたが、2005年度税制改正において2005年4月1日から2009年5月31日まで延長される。株券不発行制度が成立したことに伴いタンス株のままでは不都合が生じることもあって、持込期限の延長は個人投資家にとって朗報といえる。ただし、これまでのように「みなし取得価額」での持込みはできなくなる。実際の取得価額がわかる株式しか持ち込めない。

 みなし取得価額とは、2001年9月30日以前に取得した株式を2003年1月1日から2010年12月31日までの間に譲渡した場合は、2001年10月1日の終値の80%を取得価額とすることもできる特例だ。また、特定口座制度は、そのなかでの株式の売買は、年間の売買損益を証券会社等が計算し、譲渡益があれば源泉徴収もしてくれることから申告不要となる制度だ。証券会社が作ってくれる年間取引報告書をもとに確定申告もできる。

 2003年度税制改正では、2003年4月から2004年12月末日まではその特定口座へタンス株も持ち込めた。その大きなメリットは、持ち込む株式の取得価額に取得時期にかかわらず「みなし取得価額」を認めたことだ。このため、一部の投資家が、下落した株式を購入してタンス株として持った後で特定口座に入れることで売却損をつくるという不公正な節税に利用している、との指摘があった。

 2005年4月以降は、取得価額がわからないタンス株の特定口座への持込みはできなくなって、“灰色”の節税もできなくなったわけだ。今回の持込期限延長の背景には株券不発行制度がある。いわゆる株券のペーパレス化といわれるものだが、タンス株のままでは、取引ができなかったり、最悪の場合は株主としての権利を失うおそれがある。その周知のために持込期限を延長する必要があるとの判断があったようだ。