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経営関連情報 (2006/01/23)

減少傾向から増加基調に転じた2005年の企業倒産

 帝国データバンクがまとめた全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、2005年1年間の法的整理による倒産は参考値ながら7905件となった。昨年5月の集計から、任意整理を除外し、会社更生法や民事再生法など倒産5法による法的整理のみに集計対象を変更したため参考値となる。月別でみていくと、倒産件数がもっとも多かったのは10月の825件、続いて6月の794件、12月の758件だった。

 また、四半期ベースでみると、第2四半期(2013件)から第3四半期(2100件、前期比4.3%増)、第4四半期(2291件、同9.1%増)にかけて、倒産件数は一貫して増加しており、倒産のトレンドは、近年続いていた減少傾向から、2005年には底を打ち増加基調に転じたとみている。この背景には、設備投資の活況に表れているように、景況感の回復を受けて、前向きの経営を志向する企業が増えていることがある。

 業容拡大に対応するための資金手当ができずに倒産するケースや、不振企業が打開策として新規事業や拠点拡大などに着手したものの、奏功せず倒産に至る事例などがみられたという。このように、業容拡大への対応過程で倒産に至る“好況型倒産”がみられることは、景気回復期の特徴である。金融機関の融資が積極的になりつつあるなかで、こうしたケースや放漫経営による倒産が上積みされると予測している。

 2005年の負債総額は参考値ながら6兆1163億7200万円となった。大型倒産の減少から負債総額は伸びず、年間を通じて1兆円を上回った月はなく、最多の月でも7000億円台にとどまった。全体的には大型倒産の少ない年だったが、IT・通信関連では過去最大の倒産となった「平成電電」や、耐震強度偽装関連の「木村建設」、「平成設計」など、話題性の高い倒産は多く、各倒産の与えた影響は決して小さくない。

 今後について、帝国データバンクは、増税などの財政再建が景気に与える影響や、資金需要と資金調達環境の変化などに左右されるが、業況不振の中小・零細企業の倒産をベースに、業容拡大や放漫経営による“好況型倒産”が加わり、倒産は一進一退を繰り返しながらも増加していくと予想している。