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09・10年の土地取得には譲渡益課税にメリット大

税務関連情報 - 2009年05月01日

 2009年度税制改正では、土地取引を活性化するため、2009年、2010年の2年間に土地を取得すれば、土地の譲渡益課税について大きなメリットを受けることができる2つの制度が創設された。一つ目は、個人または法人が、2009年、2010年中に取得した土地や土地の上に存する権利を、5年を超える期間保有した後に譲渡し、譲渡益が発生した際には、1000万円を控除する「1000万円特別控除」制度である。

 例えば、2年間に4000万円の土地を買って、5年超保有後5000万円で売却した場合、譲渡益はゼロとなる。同制度は、居住用資産の譲渡益に係る3000万円特別控除との併用はできないが、同特別控除の適用のない投資用マンションやセカンドハウス、別荘などの土地にも適用される。将来の課税が減免されるので、ビジネスに好機であり、オフィスや店舗用として買い時といったメリットがある。ただし、棚卸資産は対象とはならない。

 二つ目は、2009年、2010年中に土地や土地の上に存する権利を取得した法人または個人事業者については、その土地等の取得価額を限度として、その後10年間に他の土地等を売却して譲渡益が発生しても、その8割(この特例を受ける土地等が2010年取得分のみである場合は6割)に相当する金額の範囲内で圧縮記帳(圧縮額の損金算入)できる「2009年及び2010年に土地等の先行取得した場合の課税の特例」制度である。

 現行の事業用資産の買換え特例は、原則、同一事業年度での買換えのみが対象で、取得後1年以内に事業の用に供することが必要だが、土地等の先行取得特例制度は、取得価額に達するまで、10年間にわたり何度でも利用可能なので、中長期的な土地の売却に活用できる。また、購入する土地はすぐに事業の用に供する必要がないので、例えば、中長期的な再開発事業のための種地取得に活用できる、などのメリットがある。

 さらに、現行の買換え特例は、買換えにより土地等の面積が5倍を超えて拡大する場合には適用できないが、土地等の先行取得特例制度では、購入する土地・売却する土地の面積等に条件がないので、例えば、事業の拡大を予定して、地価のよりやすいところで大規模な工場用地や店舗用地を取得する際に活用できる。そのほか、自己の居住用として購入する土地も対象となるなど、現行の事業用資産の買換え特例と比べてメリットは多い。