昨夏の猛暑の影響により、今春は花粉が大量飛散する可能性が出てきている。花粉症は日本人に5人に1人が患者といわれ、いまや“国民病”と呼べる存在であり、花粉が大量飛散すれば、花粉症患者を中心に外出が控えられ、日本経済全般への悪影響が懸念される、と指摘するのは第一生命経済研究所(永濱利廣氏)のレポートである。
レポートによると、過去のデータから、7~9月の平均気温が+1度上昇すると翌1~3月の家計消費支出が約▲0.6%減少する関係があり、花粉の飛散量と春先の個人消費には関係があることがうかがえる。また、花粉大量飛散の影響として、外食を含む食料費、レジャー関連を含む教養娯楽費、買い物に出かける頻度の影響を受ける被服履き物などを中心に家計の消費支出が減少するという。
昨夏の平均気温は平年を+1.45度上回ったので、今年1~3月期の実質個人消費は平年に比べ▲0.7%、金額にして▲5339億円押し下げられる可能性がある。また、昨夏の平均気温が前年を+2.05度上回ったので、今年1~3月期の実質個人消費は前年比で▲1.0%、▲7549億円の押し下げに拡大し、花粉の大量飛散により、今年1~3月期の実質GDP成長率が前年同期比で▲0.6%ポイント程度押し下げられる可能性があると分析する。
加えて、今春の花粉大量飛散により花粉症患者が増加すれば、悪影響はさらに拡大する可能性もある。今後の動向次第では、足元で景気の減速感が漂う日本経済に、花粉の大量飛散が思わぬダメージを与える可能性も否定できない、との懸念を示している。