経 営 関 連 情 報 |
2003年07月04日-004
リストラ一服も、なお楽観できない雇用環境
5月の現金給与総額は前年比0.5%増と増加に転じ、特に、基本給にあたる所定内給与が0.3%増と23ヵ月ぶりに増加に転じた。企業のリストラに一服感があることが要因との指摘があるが、企業の人件費抑制姿勢は根強く、このような動きが持続的なものになるかは留意する必要がある、というのは新光総合研究所の国内経済リポートである。
5月の完全失業率は5.4%と3ヵ月連続で横ばいにとどまった。雇用者数は前年比31万人増と増加に転じ、非自発的離職者は前年比2万人増と小幅な増加にとどまり、引き続きリストラ圧力の緩和を示している。また、雇用の先行指標となる所定外労働時間(残業時間)や新規求人についても、国内景気が底堅く推移していることから、持ち直しの兆しを示しており、雇用環境は一段と悪化しているわけではない。
しかし、求職活動を断念した非労働力人口の増加が続いており、実態として雇用環境は依然厳しいといえる。ミスマッチの存在に大きな変化がない以上、このような現在就業を断念している層が求職活動を再開した際には、すぐに雇用増には結びつきづらい。失業率は潜在的な上昇圧力を抱える状況が続いていると考えられる。
また、1)今後、産業再生や不良債権処理が進めば、一時的には離職者の増加や賃金水準の低下が予想される、2)売上増が見込みづらいなかで、企業は人件費抑制の姿勢を続けるとみられる―などから、雇用・賃金とも一段の悪化には歯止めがかかりつつあるとはいえ、回復に向かうとまでは想定し難い。雇用環境は、なお厳しい状態が続くと見込まれる。
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