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経営関連情報 (2004/06/07)

倒産件数が減少傾向も減ったとの実感が乏しい理由

 2003年度の倒産件数1万5790件は、前年度に比べ16.7%減少し、1996年度(1万4859件)以来7年ぶりの低い水準となった。しかし、その割には倒産が減ったという実感に乏しい、という声も聞かれる。その理由を、最近の倒産件数の動向から分析したのは内閣府である。それによると、その理由のひとつとして、世に知られる企業の倒産件数が、依然、高い水準にあることを挙げている。目立つのである。

 2003年の業歴30年以上の老舗企業の倒産件数は、2002年に比べ減少したとはいえ、90年以降では3番目に高い水準になっている。老舗企業の倒産の増加は、経済における構造変化が進むなかで、変化に対応しきれない古い企業の倒産が増えていることも理由と考えられる。また、資本金1億円以上の企業の倒産件数も、過去3番目の水準となっている。

 しかし、大企業や老舗企業の倒産の場合、利害関係者間で存続価値が高いと認められる事業が多いため、民事再生法など再建型の倒産処理が合理的なケースも多い。再建型の倒産は大企業や老舗企業の割合が多いため、再建型の倒産件数も高い水準で推移している。96年度には1.3%(和議法を再建型とみた)を占めるに過ぎなかった再建型処理の割合は、2003年度は5.7%まで増えている。

 倒産件数が減少するなかで再建型処理が高い水準にあることは、先送りせずに事業選別を進めることによって企業部門の活性化が進んでいる証拠として、前向きに捉えることが可能だ、と内閣府は指摘している。