日本経営協会が昨年秋に実施した「日本の中間管理職調査」結果(有効回答数546人)によると、管理職に求められる役割は、「部下・後輩の育成」が85.0%となり、「部門目標の達成」(74.2%)に10ポイント以上の差をつけてトップに立った。差は前回2005年調査以上に広がった。日ごろ心がけているテーマでも、「部下の能力向上」と「所属部署の業績アップ」が5割を超えている。
仕事全般に対する取組み姿勢は、「組織方針に従って」が47.6%、「担当業務に限らず時代を先取りする気持ちで」が40.7%だが、前者は中小規模企業に多く、後者は大企業に多いという傾向が現れた。また、経営方針や経営情報の伝達は、「まずまず行われている」51.1%、「迅速・適切」31.1%と、合わせて82.2%が上司に対して肯定的な受け止め方をしている。小規模企業クラスにおいては、未整備で問題があるという側面も読み取れた。
人事考課のあり方については、「成果主義は欠点もあるので修正して実施すべき」が53.8%とトップ、次いで「年功序列などの日本的経営と成果主義を折衷すべき」が24.0%、「成果主義は時代の要請などで実施すべき」が18.7%となった。部下の考課方法は、「成果と姿勢の両面から」が83.7%と、事実上の一極集中となった。「普段の勤務態度中心に」や「成果中心に」、「姿勢中心に」など、ほかの項目は5%に達していない。
管理職に求められる能力・資質は、「判断力」(58.4%)、「指導力」(48.7%)、「管理統率力」(40.7%)の順。また、部署管理上の問題・悩みについては、「業務能力の低い部下がいる」(32.8%)、「部署内に活気がない」(16.1%)、「コミュニケーションが悪い」(15.4%)などの順となった。部下の能力は管理者の悩みの種だが、「年上の部下の扱いが難しい」も比率が大幅に上がっている。