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税務関連情報 (2004/02/13)

社員の発明対価の所得区分は

 1月30日、産業界に大激震がはしった。青色ダイオード(LED)訴訟での200億円という巨額な発明対価の支払いを求める判決である。特許の帰属と発明の対価の支払いを求めていた中村氏は、在職中、発明の報奨金として日亜化学工業からわずか2万円を受け取っていたに過ぎないという。

 税法上、社員の発明にかかる報奨金の所得区分について、社員が職務上有益な発明をして特許を受ける権利を会社に譲り渡すことで一時に支払われるものは譲渡所得、その後特許権から生じる利益に応じて継続して支払いを受けるものは雑所得と規定している。

 特許を受けるまでには至らない事務や作業の合理化、経費の節約などに役立つ工夫・考案などをした社員に支払われる報奨金は、その工夫などが通常の職務の範囲内でのものであれば給与所得、通常の職務としていない社員がたまたま工夫して受ける場合は、一時に支払われるときは一時所得、継続的に支払われるものは雑所得とされている。

 中村氏の場合、当時受けた2万円を企業側がどのように経理処理したか興味深いところだが、多分、額からいけば給与所得とした公算が大。ということは、会社は特許を受けるまでには至らない工夫と同列で考えていたわけだから、その後の企業の成長に大きく寄与したことを考えれば、今回の訴訟結果は致し方ないということにはならないだろうか。