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海外子会社配当の益金不算入制度の創設

税務関連情報 - 2009年01月16日

 2009年度税制改正においては、国際展開するわが国企業が獲得する海外子会社の利益について、税制に左右されずに、必要な時期に必要な金額を国内に戻すことができるように国際租税制度を整備する。その目玉は、海外子会社配当の益金不算入制度の創設だ。現行の(間接)外国税額控除制度では、海外子会社からの配当は税率約40%で課税されるが、それに代えて、同配当を益金不算入とする制度を恒久措置として創設する。

 同制度の対象子会社は、国内親会社の出資比率が25%以上の海外子会社(株式保有期間6ヵ月以上)だが、これで海外現地法人の95%以上がカバーできるとみられている。現行制度では、間接25%以上の出資比率の孫会社は対象となるなど、孫会社の選別が必要である上、適用対象となる孫会社ごとに外国税額及び所得を計算することとなり、煩雑だったが、改正後は孫会社の選別が不要となり、配当の原資を管理する必要もなくなる。

 国内親会社が海外子会社からの配当を益金不算入する場合は、その配当に係る費用に相当する金額として配当額の5%を控除する。つまり、海外子会社からの配当額の一律95%が益金不算入となる。この益金不算入割合は、フランスやドイツなどの95%と同じ割合となる。また、海外子会社からの配当に係る外国源泉税は、その国内親会社の各事業年度の所得の金額の計算上、損金算入せず、外国税額控除の対象としない。

 なお、租税回避防止策として、タックスヘイブン税制の適用を受ける海外子会社からの配当については、わが国親会社で益金不算入を認める一方、その海外子会社では課税を行う。ただし、その子会社(親会社からみると孫会社)から受ける配当は課税対象外となる。この海外子会社配当の益金不算入制度は、内国法人の2009年4月1日以後に開始する事業年度から適用することとされている。