携帯電話やインターネットなど読書に代わる娯楽メディアの普及や、ネット広告への移行による広告収入の減少など、出版業界を取り巻く経営環境は年々厳しさを増している。東京商工リサーチが発表した出版業の倒産状況によると、2009年1月~9月の出版業の倒産件数は、前年同期に比べ19.6%増の61件となった。このペースで推移すると、年次ベースでは平成最多だった1992年(67件)を上回る可能性が高くなった。
最近の出版業の倒産件数は、2000年が52件、2001年60件、2002年62件、2003年55件、2004年54件、2005年44件、2006年61件、2007年66件、2008年64件と推移してきた。ここ数年は、過去データからみて高水準の状況が続いている。また、今年9月までの負債総額は、前年同月比37.7%増の244億4500万円となり、9月時点で1992年(240億9600万円)以来17年ぶりに200億円を上回り高水準に推移している。
こうした出版業倒産の背景には、長期化する出版市場の低迷がある。出版科学研究所が発表した2008年の出版物販売金額(推計)は前年比3.2%減の2兆177億円となり、4年連続で前年を下回った。内訳は、書籍が同1.6%減の8878億円、雑誌が同4.5%減の1兆1299億円。雑誌は11年連続の減少で、このうち月刊誌の販売部数は同6.5%減の16億1141万冊で、減少幅が過去最大の落込みとなった。
今年の倒産を形態別にみると、企業の解体・消滅である「破産」が前年同期比51.5%増の50件で最多。これに対して再建型の「民事再生法」は3件に過ぎず、業績不振から経営再建が厳しい現状を物語った。原因別では、「販売不振」が同17.5%増の47件と約8割を占め、次に「事業場の失敗」と「他社倒産の余波」が各4件と続く。従業員別では「5人未満」が同31.0%増の38件で、同5.4ポイント上昇の62.2%を占めた。
同倒産状況の詳細は↓
http://www.tsr-net.co.jp/new/data/1190159_818.html