自民党の財政改革研究会は21日、財政健全化の道筋を示す「中間とりまとめ案」と題する提言を公表し、国民が安心できる社会保障制度の構築と財政再建に向けて安定的な財源を確保するため、2010年代半ばに消費税率を10%程度に引き上げる必要性を示した。今回の提言は、近く本格的に始まる党税制調査会の議論に反映されることになるが、政府・与党内には増税路線に慎重な意見も強く、先行きは不透明な状況にある。
提言は、2011年度に達成を目指す基礎的財政収支の黒字化は「一里塚」に過ぎず、その後の財政収支均衡による2010年代半ばにおける債務残高対GDP比の安定的引下げの実現が重要と指摘。2009年度までの基礎年金国庫負担割合の引上げに要する財源を始め、少子高齢化に伴い増大する社会保障の安定財源の確保による社会保障制度の構築を、抜本的税財政改革の基本方針として掲げた。
また、社会保障を賄う財源として、現世代が広く負担し、景気変動に安定的な消費税が望ましいとして、社会保障給付のための財源と位置づけ、その趣旨を明確にすべく、現行の消費税を「社会保障税(仮称)」に改組する。さらに、財政の社会保障部門については給付に見合った負担を求め、給付と負担との間に国民からみて透明な相互関係の構築を、非社会保障部門の歳出には消費税以外の歳入を充てることを提言した。
以上を踏まえ、団塊世代が年金受給者となる2010年代半ばにおいて必要となる公費負担の規模は、少なくともGDP比5%程度(現行消費税の10%程度相当)との見込みを示し、社会保障給付に必要な税財源の確保を図ることを提言。まずは、2009年度までの基礎年金国庫負担の2分の1への引上げのための安定財源を確保するとして、2009年度と2010年代半ばの2段階で消費税率を引き上げるスケジュールを示唆している。