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税務関連情報 (2004/12/10)

社会保険料控除に納付証明書の添付を義務付け

 社会保険庁と財務省は、社会保険料控除の適用を受けるための条件として国民年金保険料の納付証明書の添付を義務づける方針を固めた(日経8日朝刊)。国民年金保険料の未納率が4割近くにのぼるなかで、保険料を納めていないにもかかわらず控除を受けている不正な控除適用を防ぐことが狙い。来年の通常国会に提出する所得税改正法案に盛り込み、2005年分の申告からの実施を目指す。

 一般の会社員の場合は、給与から天引きされた厚生年金保険料が年末調整で自動的に控除されるため、ほぼガラス張りだ。しかし、個人事業者などは、証明するものがなくても、申告書に国民年金を1年分納めたと記載すれば控除が受けられたことから、不正に控除を適用する未納者が多いとの指摘があり、その対策が関係省庁間で検討されていた。

 3日に閉幕となった臨時国会でも、未納者には社会保険料控除を適用させない規定を盛り込んだ国民年金法改正案が継続審議されたが、未成立となった。一方、社保庁・国税庁・総務省の3省庁は、小泉首相の指示を受け、国民年金保険料の未納者対策を検討し、2004年度の取組みとして、税務署及び市町村は、社会保険事務所から国民年金保険料の納付状況の提供を受け、連携して社会保険料控除の適正化を図ることなどで合意している。

 また、2005年度以降の対策として、社会保険庁が、国民年金保険料の納付を証明する書類を保険料納付者に発行し、所得税の確定申告においてその書類の添付を義務付けることを内容とした事務処理を検討していた経緯がある。このような流れのなかで、社会保険料控除を適用するための納付証明書の義務づけが法律化される公算が強くなったわけだが、不正適用の根絶以上に、年金未納対策の強化につながるとの期待も大きいようだ。