10年自販機の普及台数は0.6%減の518万6950台
石原東京都知事が節電にからみパチンコ店とともに自動販売機を電気浪費の典型例として槍玉に挙げたのは記憶に新しいところだが、矢野経済研究所がこのほど発表した「自動販売機に関する調査」結果によると、2010年の自販機の普及台数は、前年比0.6%減の518万6950台の見込みであることが分かった。また、2011年の同市場規模は、前年比0.7%減の514万9850台と予測し、今後も減少傾向が続くとの見通しを示している。
飲料自販機が市場構成比の4割を占めているが、その最大のボリュームを占める清涼飲料自販機は、すでに設置ロケーションが飽和状態といわれており、市場全体からみるとパイの奪い合いの様相を呈している。加えて、たばこ自販機や酒類自販機も年々台数を減らしている。また、自販機で購入できるものは量販店やコンビにでも購入できるため、利便性や価格に勝るチャンネルに対する競争力は必然的に弱くなっている。
一方で、これまで自販機は定価販売が一般的だったが、昨今は1本100円や80円といった低価格で販売する自販機も増えている。こうした低価格自販機は当初関西エリアを中心に広がっていたが、最近は関東にも広がってきており、大手飲料メーカーの脅威となっている。その背景には、多チャンネルとの競合激化や、仕入ルートや価格に縛られない独立系の自販機オペレータの登場などがあるとみている。
さらに自販機各社は、多チャンネルとの差別化やCSRを強化し企業イメージを向上させるため、社会貢献型の自販機や環境に配慮した自販機の導入に注力している。こうした機種の積極的投入は、消費者の企業に対するイメージの向上につながり、商品選択の可能性が高まるとみられる。自販機を設置するオーナーも売れる機種を選択することから、今後もこうした環境対応型・地域貢献型自販機の設置台数は増加していくと予測している。
同調査結果の概要は↓
http://www.yano.co.jp/press/pdf/764.pdf