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経営関連情報 (2006/09/20)

緩やかな増加基調が続く企業倒産~8月倒産

 帝国データバンクが発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、8月の倒産件数は774件で、前月に比べ3.8%増と3ヵ月連続の増加、前年同月比でも2.7%増と2ヵ月連続の増加となった。ここ数ヵ月、倒産は増減を繰り返しているが、原油・素材価格高騰などの懸念材料が倒産推移を上ぶくれさせる不安もあり、当面は一進一退を繰り返しながらも現在の緩やかな増加基調が続くものと推測している。

 また、8月の負債総額は3609億3000万円で、前月比1.7%増、前年同月比10.0%増とともに増加となったものの、3ヵ月連続して4000億円を下回り、前月に次いで今年3番目の低水準となった。負債10億円以上の倒産は65件(前年同月57件)、同50億円以上の倒産が14件(同10件)発生。同100億円以上の倒産は5件(同5件)にとどまるなど、引き続き大型倒産は低水準で推移している。

 また最近の傾向として、原油・素材価格の高騰の影響による倒産が増えており、8月は16件(前月11件)にのぼり、このうち原油関連が14件(同6件)と急増している。燃料費の上昇に苦しむ運送業者をはじめ、非鉄金属などの素材購入に苦慮してコスト削減も限界に達した製造業者、それらの仕入価格を販売価格に転嫁できない卸売業者などが倒産に至っている。

 こうしたなか、貸金業者の上限金利を巡る規制強化の動きが、中小企業への資金供給を阻害するおそれや、政府系金融機関が一般貸付を縮小させる方向にあるなど、将来的に中小企業の経営環境を厳しくさせるリスクがある。今後の倒産動向については、原油・素材価格の高騰などの懸念材料が、倒産推移をさらに上ぶれさせる不安もあり、特にこれらの影響を受ける運輸業者、製造業者、卸売業者の動向には注意が必要とみている。