今年2月、金融庁が明治安田生命保険に対して行った行政処分によって、生命保険の「告知義務」に関するトラブルが注目された。このトラブルは、特定の保険会社だけにみられるものではなく、各社に適切な募集態勢及び厳正な経営管理体制の徹底が求められる。一方、消費者側も、生命保険における「告知義務」の重要性をきちんと理解し、トラブルに巻き込まれないための知識を習得しておく必要がある。
国民生活センターが集計した民間会社の生命保険に関する相談件数は、生命保険会社の経営破たんに関する相談が多かった2000年度の1万36件をピークに、以降は、01年度6148件、02年度5175件、03年度5584件、04年度5115件と、近年は減少傾向にある。だが、このうち「告知義務」に関する相談件数は、2000年度153件、01年度186件、02年度207件、03年度246件、04年度291件と増加傾向を示している。
国民生活センターでは、相談事例からみた問題点として、1)営業職員による告知義務違反の容認や教唆、2)告知義務違反をしても、2年を経過すれば無条件で保険金等が支払われると思わせた勧誘、3)告知書の内容がわかりにくい、答に窮する質問事項がある、4)保険会社の説明等の不足から、告知義務の重要性に関する消費者の認識が不十分と思われる、5)保険会社の一方的判断で解釈や告知義務違反を認定している、などの相談事例がみられたとしている。
同センターでは、消費者へのアドバイスとして、1)告知書などの質問には正確に答える、2)わからないこと、答に窮することは、自己流の解釈をしない、3)営業職員に口頭で告知しても、告知したことにならない、4)告知義務違反をしても2年経過すれば無条件で保険金等が支払われるとは限らない、5)納得できない場合は、消費者生活センターなどに相談すること、6)保険加入時の告知や調査などがないタイプの保険についても留意すべき点がある、などを掲げている。