東京商工リサーチが24日に発表したところによると、2009年1月から7月までの印刷業倒産は、前年同期比5.4%増の116件となったことが分かった。印刷業界は、業務IT化の進展により受注価格が低下傾向にあるなかで、経営合理化を進めてきたが、昨年の製紙メーカーの値上げやインク・フィルムなどの原材料価格の上昇が経営を直撃し、多くの企業は価格を転嫁できず、採算を悪化させたとみられている。
印刷用紙の値上げや急激な景気悪化による広告受注などの減少から、前年2008年(214件)は4年ぶりに200件を上回ったが、2009年は前年を上回るペースで推移している。負債額は、前年同期比10.1%増の426億1200万円となった。これは、負債50億円以上の大型企業の倒産が3件(前年同期0件)発生したことが要因。平均負債額は同4.5%増の3億6700万円となった。
倒産件数を原因別にみると、「販売不振」が前年同期比12.1%増の83件と全体の約7割を占めてもっとも多く、次いで「既往のシワ寄せ」が11件、「運転資金の欠乏」が9件と続いた。資本金別では、「1千万円未満」が同9.7%増の45件(構成比38.7%)でもっとも多く、次いで「1千万円以上5千万円未満」が同6.6%増の64件、「1億円以上」が同1件減の3件となっている。
形態別では、企業の解体・消滅である「破産」が前年同期比25.0%増の60件と全体の5割強を占め、次いで「銀行取引停止処分」が同6.6%増の48件。再建型の法的手続きである「民事再生法」は、同50.0%減の5件にとどまった。従業員数別では、「5人未満」が同28.5%増の63件と54.3%を占めた。また年商別でも、「1億円未満」が同22.2%増の66件と約6割を占め、「50億円以上」の中堅企業の倒産は3件(前年同期0件)発生した。
現在は、「緊急保証制度」などの金融支援もあって、資金繰りは一息ついているものの、景気は先行きの不透明感を払拭するまで回復していない。東京商工リサーチは「広告や印刷物などの受注がすぐに増加に転ずることは難しく、特に中小印刷業者にとっては当分厳しい経営環境が続く」と予測している。