非接触ICカードといえば「Suica」や「ICOCA」など交通系のものがお馴染みだが、今後はさまざまな分野での利用が期待されている。矢野経済研究所が実施した「非接触ICカードのユーザーニーズに関する調査」では、もっとも関心を持たれているアプリケーションは、「電子マネー」であることがわかった。この調査は、非接触ICカード市場の需要先である国内の潜在ユーザーを対象としたもの。
調査結果(有効回答数307社)によると、調査対象企業全体では20%の企業が「電子マネー」に対する関心を持っておりもっとも高かった。これは現状とはかけ離れた回答だが、「電子マネー」に対する潜在的な期待値の高さをうかがい知る結果となった。ついで、「ポイントカード」と「プリペイドカード」がともに14%、「乗車券」13%、「会員証」11%、「入退室」10%となっている。
分野別にみていくと、ID分野が「電子マネー」、「入退室」、「プリペイドカード」、「エリアコントロール」と、すでに一部先進的なオフィスなどで普及しはじめているシステム形態を押しひろげる形での関心が高まっている。いずれのアプリケーションもID分野の運用に沿ったものであり、無理のない展開が想定されている。
流通分野についても、関心が高いのは「会員証」、「電子マネー」、「ポイントカード」と、既存のシステムで運用していたアプリをステップアップさせるものである。交通分野は「定期券」と「乗車券」としての利用が過半数を占め、アミューズメント分野は「会員証」、「電子マネー」、「ポイントカード」、「プリペイドカード」などに「アーケードゲームカード」を加えた形で幅広く視野にいれている。
以上のように、各業種分野別の非接触ICカードのアプリケーションへの関心動向は、それぞれ既存の業務領域にのっとったものであることがうかがえるが、唯一既存のアプリケーションの範ちゅうにはいらないのは、全業種分野それぞれにおいて10%以上のシェアを占めていた「電子マネー」の存在だ。「電子マネー」は、「乗車券」に次ぐ非接触ICカードの期待度の高いアプリと認識されているものと判断できる。
同調査の詳細は↓
http://www.yanoresearch.jp/pdf/press/050823.pdf