税 務 関 連 情 報

2003年09月01日-002
中企庁、中小企業の活力を引き出す税制改正要望

 国の2004年度予算案の概算要求は8月29日に締め切られ、各省庁の税制改正要望が出揃った。ここでは、中小企業関係税制の改正意見を提出した中小企業庁の改正要望の主な内容を紹介する。同庁の税制改正に向けた基本的視点は、1)中小企業の活力を引き出す、2)中小企業の事業承継の円滑化を図る、3)やる気と能力にあふれるベンチャー・中小企業が資金調達しやすい環境をつくる、の3点である。

 まず、活力を引き出す観点からは、欠損金の1年間繰戻還付を認めることや欠損金の繰越期間を5年から7年に延長すること、2004年3月末が適用期限がくる中小企業投資促進税制の延長を求めている。

 現行の繰越・繰戻還付制度は、極めて限定的で右肩上がりの経済を前提としたものであると指摘。現在の経済状況では中小企業が累積欠損を解消することが困難な一方、不良債権処理を加速した場合、解消しきれない累積欠損に苦しむ中小企業が真っ先に切り捨てられることになる。このため、将来ある中小企業が税制の歪みにより淘汰されるのを防ぐことから、欠損金制度の見直しを要望したものだ。

 一方、事業承継を支援するため、非上場株式の譲渡益に係る税率を現行の26%から20%に軽減することや、相続時の納税資金確保等のために金庫株を活用しても、みなし配当課税とせずに上場株式と同様に譲渡益課税とすることを求めている。

 相続人が会社へ自己株式を売却した場合はみなし配当とされ、最高50%の高税率で課税されるが、上場株式は譲渡益課税で現行10%である。相続税を納めようと努力している中小企業にさらに過重な税負担を課すことは不合理であり、このような不公平な課税は是正すべきであるとしている。

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