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税務関連情報 (2006/04/17)

相続税の物納不適格財産を限定列挙し明確化

 2006年度税制改正においては、不動産や自社株式の物納に係る許可基準を緩和するなど手続きが改善された。まず、これまで不明確だった物納不適格財産を政令で限定列挙し、明確化した。改正前における不適当財産は、譲渡に関して定款に制限がある場合や売却できる見込みのない場合など、基準を通達で規定していたが、改正後は、政省令で限定的に規定し、不適当要件に該当しなければすべて物納可能となった。

 物納できる財産から除かれる「管理処分不適格財産」については、不動産について12項目、株式について5項目を政令で示し、それぞれ省令で細かく列挙している。例えば、「担保権が設定されていることその他これに準ずる事情がある不動産として財務省令で定めるもの」として、財務省令では、抵当権目的や譲渡による担保の目的、差押さえ、買戻し特約付き、処分が制限されている不動産などを明示している。

 取引相場のない株式については、譲渡制限株式や質権その他の担保権の目的となっている株式、権利の帰属について争いがある株式など5項目が物納不適格とされ、それ以外の株式の物納は業績などを問わずに認める。また、物納の順位が優先される他の財産がある場合には物納に充てることができない「物納劣後財産」についても、地上権等が設定されている土地や法令に違反して建築された建物とその敷地など13項目が明示された。

 そのほか、物納許可に係る審査期間を原則3ヵ月以内と法定され、物納手続きについても、物納申請時に提出すべき添付書類が財産種類別に明確に定められた。このようなことから、今後の物納制度は、物納申請後に不適格とされることはなくなり、添付書類の不備で手続きが長期間かかる事態も大幅に減少するものと期待されている。これらの改正は、2006年4月以後に相続等で取得した財産に係る相続税について適用される。