横浜市が設置する横浜市税制研究会では、昨年8月以降、横浜市の緑の保全・創造に向けた課税自主権の活用をテーマに8回にわたり検討を行ってきたが、このほど、1年間の検討結果を整理し直し、市内の緑地保全の財源確保に向けて市民税均等割に超過課税を課す「緑新税」の創設を提唱する報告書(「緑の保全・創造に向けた課税自主権の活用に関する最終報告」)をとりまとめ、公表した。
人口約350万人を抱える全国最大都市である横浜市は、現在、生活環境を維持することなどを目的とする「横浜みどりアップ計画」(2009~2013年度)を策定し緑地の公有地化などを進めている。同計画で示された関連事業費は、09年度から13年度までの単年度平均で約120億円、08年度関連事業予算額との対比では85億円程度の増嵩となる。このうち一般財源として約38億円が新たに必要との見込が示された。
このように、大きな費用負担が伴うことから、報告書は個人・法人にそれぞれ応分の負担を求めることが必要とした。負担額は計画の関連事業費との見合いで決めるべきとし、必要とされる一般財源をすべて市民税均等割超過課税によってまかなうことと仮定した場合の試算として、個人は年間1300円、法人は事業規模等に応じて年間6500円~39万円を割超過課税するという考え方を示した。
課税期間は事業の計画期間である5ヵ年の時限措置とすることが適当としている。だが、市民にはすでに県の水源環境税(個人県民税均等割・所得割)や市の法人市民税法人税割の超過課税が課されている。この点について報告書は、新税に課税関係の重複や加重課税はないと結論づけ、すでに市民の森や緑地保全地区などの固定資産税・都市計画税は減免措置が講じられていることから、政策誘導を目的とした新税の創設だとしている。
同最終報告書の詳細は↓
http://www.city.yokohama.jp/me/gyousei/citytax/kenkyukai/pdf/saisyuhokoku.pdf