社会経済生産性本部がこのほど発表した「新社会人白書」によると、1969年以来、日本経済青年協議会と共同実施してきた「新入社員『働くことの意識』調査」結果から、この40年間でもっとも明瞭な変化を示したのが「就社」から「就職」への流れであることがわかった。会社を選ぶ際に重視した要因について、1971年には27%でトップだった「会社の将来性」が2005年には8%で第4位と大きく後退したことにうかがえる。
反対に、「自分の能力、個性が生かせるから」が71年の19%から05年は31%へ、「仕事がおもしろいから」が同16%から21%へ、「技術が覚えられるから」が同7%から13%へとそれぞれ増加した。終身雇用制のもとの“寄らば大樹”的な考え方を、企業側がもたなくなっただけでなく、新入社員の側でもあまり会社を“あて”にしていないことが明瞭となっている。
また、就職において一体何が問われているのか(有利な材料は何か)という点にも時代の流れを明瞭に反映している。91年調査から質問に追加した「(就職の)合否に一番影響があるのは何か?」については、「学校の成績」という回答が91年には15%だったが、05年には7%に減少。逆に、「他の人にはない特技がある」が、同15%から29%へとほぼ倍増したのが目立つ。
就労意識に関する設問の05年のデータから肯定的反応(「そう思う」と「ややそう思う」)を示した比率の合計をみると、「仕事を通じて人間関係を広げていきたい」(95.2%)がトップ。不透明な時代を個人としていかにサバイバルするか、という課題を強く意識する彼らにとって、「仕事上の人間関係」のイメージは、職場の人間関係というよりは将来の仕事に役立つ人脈と推察できる。
そのほか、「社会や人から感謝される仕事をしたい」(93.1%)、「どこでも通用する専門技能を身につけたい」(93.0%)、「これからの時代は終身雇用ではないので、会社に甘える生活はできない」(86.5%)などポジティブで前向きな項目が上位を占め、「職場の同僚や上司などとは勤務時間以外は付き合いたくない」(19.9%)などネガティブで消極的な項目が下位を占める傾向がある。
「新社会人白書」の概要は↓
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20060316-2.html