税 務 関 連 情 報 |
2002年10月09日-002
三菱総研、企業努力が報われるシステムは法人税率の引下げだけ
日本経済の活性化のための重要課題のひとつは、企業や個人がリスクを取って新たなビジネス機会や収益機会を切り開くことだが、そのためには、成功に見合った報酬を十分に獲得できることが必要だ。そのようなシステムにするには、恒久的な税制構造の改革、すなわち法人税率引下げしかない、とは三菱総合研究所の「景気対策の中身を吟味する」と題したレポートでの税制改革に関しての主張である。
いま先行減税で提案されている研究開発減税や投資減税は、支出プログラムと性格が似ており、あらかじめ政府が決めた重点産業や重点活動にのみに利益配分するという性格は免れないとする。いまのような将来見通しの不安定期に投資減税型の減税を時限的に実施しても、すでに決めている投資案件を投資減税の実施期間に移すだけの効果となり、投資の変動を拡大するだけの結果に終わりかねないと指摘する。
結論として、企業努力によって収益を上げれば報われるシステムにするには、法人税率の引下げしかないという主張である。また、財政赤字の拡大を避けるには、恒久的な減税の財源となる増税も恒久的、つまり抜本的税制改革の一環でなければならないとする。減税財源は、消費税の増税と個人所得税の課税最低限引下げしかないが、同時に実施するのは危険が大きく、時間差で行うことは容認する。
しかし、この時間差作戦の実現性を不安にするものに97年度の消費税の引上げがある。この消費税の引上げは、94年の恒久減税と特別減税を行ったときに決めておいたものだが、それが97年末からの日本経済の戦後最大の不況の元凶だったとの一般の理解がある。レポートは、97年の橋本財政改革と日本経済悪化との関係を再度問い直すことの必要性を強調している。
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