まず、訂正してお詫びしたい。6月末にお知らせした役員給与に関し「定期同額給与も不定期な増減額は全額損金不算入」との記事には誤りがあった。「月給である定期同額給与についても、不定期にある月だけ増額・減額した場合は、増額部分だけでなく全額損金不算入となる可能性が高い」と記した。ある月だけ一定額を上乗せ支給、または減額支給した場合は、定期同額給与とはいえなくなることが理由だった。
改めて、国税庁の法人税実務担当官に確認した内容をお伝えしたい。まず前提として、各月によって支給額が違うばらばらな支給形態は、そもそも定期同額給与とはいえないので全額損金不算入となる可能性があることから、ほとんどの月が同額のケースで少数月が不定期な増減額がどうなるかをみてみたい。そこで、ある月だけ増額した場合は、上乗せ部分だけが損金不算入となる。定額部分は損金算入できる。
問題は減額したケースである。担当官は「実際、そもそも事前に約束した給与を減額する企業があるのか」という疑問を呈していたが、資金繰りがひっ迫してある月だけ満額支給できない場合を想定しても、実務上の一般的な処理は、減額部分を未払金として期末に借入金処理をするので、問題とはならないとの見解である。つまり、増額は上乗せ部分が損金不算入だが、減額した場合の残りの部分は損金算入できる。
もちろん、こうした増減額の支給を何度も行った場合は、そもそもの「同額」部分がいくらなのかといった問題が発生し、同額部分が引き下げられて、それを超えた部分がすべて否認される可能性もある。個々の事実認定ということになろうが、上記のようにあまりにも恣意的な支給形態は全額否認ということもあり得る。当然のことだが、役員給与の決定にあたっては、事前の慎重な定めが必要ということになろう。