中小企業庁が8月中旬から9月上旬にかけて原油価格上昇による中小企業への影響を緊急調査した結果、原油・石油製品価格コスト上昇分について、自社の製品・サービス等へ「まったく転嫁できていない」企業が約7割(72.1%)、コスト上昇分の「20%以下しか転嫁できていない」企業が約2割(17.6%)と、9割近く(89.7%)の企業で転嫁が困難な状況となっていることがわかった。
同調査は、製造業、建設業、卸・小売業、サービス業に属する中小企業1113社を対象に実施したもの。価格転嫁ができていない企業の割合は、前回7月調査に比べ増加しており、特に、「まったく転嫁できていない」と回答した企業の割合は10.5ポイントも増えている。今後の転嫁の見通しについても、「転嫁は困難」が69.9%、「やや困難」が22.8%と、9割以上(92.7%)の企業が転嫁に困難性を感じている。
自社の費用全体に占める原油・石油製品関連費用の割合は、全企業平均で2ヵ月前(7月)の12.7%から現時点(9月)では13.9%に上昇。業種別にみると、「石油製品(潤滑油・グリース等)製造業」が52.4%、「プラスチック製品製造業」が41.8%、「窯業・土石製品製造業」が21.0%、「クリーニング業」が17.8%と高い。自社で使用する原油・石油製品の仕入価格が「上昇している」と回答した企業割合は76.9%にのぼる。
こうした状況下、収益が「大きく圧迫されている」企業は17.2%、「やや圧迫されている」企業は45.2%と、約6割の企業が収益面で影響を受けている。収益に影響が現れている具体的な面(複数回答可)は、「原材料・資材費」が65.7%ともっとも多く、以下、「資材調達・納入時等の輸送コスト」(43.5%)、「製造工程や自家発電等の燃料費」(32.1%)、「その他の管理費用」(12.3%)となっている。