6月2日に成立した改正雇用対策法(2007年10月1日施行)では、留学生を始めとする「高度の専門的な知識・技術を有する」外国人労働者の就業促進を、国が講ずべき雇用対策として明確に位置づけた。しかし、厚生労働省によると、日本で就職を希望する外国人留学生は留学生卒業者約3万2千人のうち約4割と多いが、国内就職は約8千人(約25%)と、現状では必ずしもその希望は実現されていない。
そこで、企業側の採用状況をみると、労働政策研究・研修機構が実施した「外国人留学生の採用に関する調査」結果(有効回答数約3200社)では、過去3年間で外国人留学生を正社員や契約社員として採用した企業は1割(9.6%)にとどまった。業種別では、「情報通信業」(26.5%)と「一般機械製造業」(22.5%)が20%を超えた。また、正社員規模別では、「300人以上」の企業が36.3%と突出している。
外国人留学生を採用しなかったもっとも大きな理由は、「外国人の採用自体に消極的」(28.8%)や「(コミュニケーションの問題など)社内の受入れ体制が整っていない」(20.0%)などが多かった。一方、外国人留学生を採用した理由(複数回答)は、「国籍に関係なく優秀な人材を確保するため」(52.2%)、「職務上、外国語の使用が必要なため」(38.8%)、「事業の国際化に資するため」(32.4%)が上位に挙げられた。
また、外国人留学生を採用した企業の職場では、53.8%が「特に問題は生じていない」と回答。外国人留学生を採用した効果(複数回答)として、「職場が活性化した」(26.0%)、「社員が国際的視野を持つようになった」(24.7%)が多い。なお、外国人留学生の今後の採用見通しは、留学生を採用した企業では79.5%が「あると思う」と回答したが、採用しなかった企業では(今後も)「ないと思う」が77.7%を占めた。
同調査結果の概要は↓
http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/resume/070627/jilpt.pdf