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税務関連情報 (2007/06/27)

95%償却後の既存減価償却資産は6年で償却?

 周知のように、新減価償却制度では、2007年3月31日以前に取得した既存の減価償却資産についても、償却費の累積額が取得価額の95%相当額(従前の償却可能限度額)に達しているものについては、その到達した事業年度の翌事業年度以後の各事業年度において、最終的に残存簿価1円まで償却できるようになった。ただし、2007年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるので、早くとも来年3月期以後となる。

 ところで、これまで2007年度税制改正の党大綱や政府の要綱等では、償却可能限度額(取得価額の95%)まで償却した事業年度の翌事業年度以後5年間で均等償却できることとされ、一般的には“5年金等償却”と称されてきた。しかし、法律で規定された償却限度額の算式をみると、実質的には5年均等償却だが、帳簿上は6年目まで償却が続くことになることがわかった。

 償却限度額の算式は、「償却限度額=(取得価額-取得価額の95%相当額-1円)×償却を行う事業年度の月数/60」である。たとえば、取得価額100万円の資産の帳簿価額が5万円の場合、毎期の償却限度額は、「(5万-1円)×12月/60≒9999円」となる。この5期分は「9999円×5期=4万9995円」となり、未償却分の5円は、簿価1円を残して4円を6期目に償却することになる。

 つまり、この計算のポイントは、計算された各期の償却限度額の数字の端数を切捨てするのか切上げするのかということになる。もし、端数切上げがみとめられるのなら、毎期の償却限度額は1万円となり、文字通り5年で償却できるが、国税庁のQ&A(4月に公表された「法人の減価償却制度の改正に関するQ&A」)を見る限りでは、償却額は端数切捨てで計算しているため、5年では償却し切れないことになる。