ゼイタックス

企業における「心の病」増加傾向に歯止め

経営関連情報 - 2010年08月16日

 上場企業では、『最近3年間における「心の病」』が「増加傾向」と回答した企業は44.6%と、前回調査(2008年)の56.1%から減少し、半数を下回ったことが、日本生産性本部メンタル・ヘルス研究所が実施した「第5回メンタルヘルスの取組みに関する企業アンケート調査」結果(有効回答数:上場企業250社、新興市場企業72社)で分かった。「横ばい」と回答した企業は45.4%と、前回調査の32.0%から増加している。

 ここ3年間の「心の病」の増減傾向を、2002年から開始した過去5回の調査のトレンドでみると、上場企業では、2006年の61.5%をピークに、2008年56.1%、2010年44.6%と「増加傾向」が減少。「増加傾向」の数値としては、2010年の44.6%は過去最低の数値だ。2010年では「増加傾向」より「横ばい」が0.8%だが、多くなった。これらの結果を踏まえると、心の病の増加傾向に歯止めがかかったと言える。

 上場企業におけるメンタルヘルス施策の効果については、「どちらともいえない」との回答が33.5%と、前回調査の40.1%から減少し、「十分に効果が出ている」(1.2%)と「まずまず効果が出ている」(47.4%)を合わせると48.6%となり、前回調査の40.2%から増加した。「心の病」が「横ばい」になったことが、施策の効果へのこうした評価に結びついたとみられている。

 また、心の健康に問題を抱えた従業員の今後の増減傾向の予想について聞いたところ、上場企業では、「増加する」とみる企業が前回調査の49.1%から42.2%へと減少した。一方で、「ほぼ横ばい」とみる企業は前回調査の29.7%と比べて増加し、37.1%となっており、取組みの効果について、企業がある程度の自信を持ってきていることを裏付けていると考えられている。

 このように、メンタルヘルスへの企業の取組みが成果を上げている一方で、依然として企業は「心の病」を有する従業員を抱えている。調査結果では、上場企業で「心の病」がもっとも多い年齢層は「30代」であり、58.2%だった。次いで「40代」が22.3%、「10~20代」が13.9%、「50代以上」が1.2%となっている。

 同アンケート調査結果の概要は↓
 http://www.js-mental.org/images/03/20100806.pdf