国税庁が発表した2007事務年度における公益法人等の課税事績によると、公益法人等に対する実地調査は、今年6月までの1年間に調査必要度が高い1263件(前年度比6.6%減)に対して行われ、うち853件(同10.0%減)から前年度に比べ37.9%減の総額230億7100万円の申告漏れ所得が把握され、本税額16億3800万円(同74.2%減)が追徴された。調査1件あたりの申告漏れ所得は1827万円(同33.6%減)となる。
仮装、隠ぺいによる不正計算があったものは59件で、不正発見割合は4.7%、不正脱漏所得金額は10億6800万円、1件あたりの不正脱漏所得は1801万円だった。調査状況を組織区分別にみると、不正発見割合は「宗教法人」(6.3%)、「学校法人」(5.4%)が高く、また、調査1件あたりの申告漏れ所得は「財団・社団法人」(2603万円)、不正申告1件あたりの不正脱漏所得でも「財団・社団法人」(4169万円)が多い。
調査事例をみると、土地の賃貸料の半分を寄附金名目で受け取って収益事業に係る所得を免れていた事案が公表されている。収益事業を行っている財団法人に対して実地調査を実施したところ、収益事業である土地の賃貸料について、貸付先と通謀し、その50%相当額を毎月の賃貸料とは別に収益事業に該当しない寄附金名目で年2回の振込みとさせ、収益事業に係る所得を圧縮していた事実が判明している。
なお、2007事務年度における公益法人等の法人税の処理件数は、前年度に比べ1.7%増の3万2978件だった。内訳は、「宗教法人」が1万2907件(前年度比0.6%増)、「財団・社団法人」が1万1306件(同1.7%増)、「社会福祉法人」が1275件(同12.1%増)、「学校法人」が2005件(同2.8%増)など。また、給与所得の源泉徴収義務者は、「宗教法人」5万764件など、前年度比0.2%増の15万8861件だった。