防災マニュアル従業員299人以下では策定済み52.1%
定期刊行誌「労務事情」を刊行するシンクタンク機関の産労総合研究所はこのほど、「地震・防災対策と従業員支援等に関する実態調査」(6月実施、回答188社)を行い、その結果を公表した。東日本大震災によって、約8割の企業が何らかの被害を受けたと回答。被害状況(複数回答)の内訳は、「事業所等への直接的な被害」が43.1%、「取引先等の被災による影響」が39.9%、「計画停電等による間接的な被害」が27.1%だった。
このような現状のなかで、震災後に被災事業所・従業員に対して実施した支援策(複数回答)をみると、実施率が高かったのは、「救援物資を供給した」57.4%、「社内有志による支援金を募った」46.3%、「災害見舞金を支給した」42.6%、「社内から応援チームを派遣した」26.6%、「家族の安否確認を支援した」18.1%、「社宅・独身寮等の空室をあっ旋した」12.2%となっている。
1995年の阪神・淡路大震災を経て、企業における防災マニュアル・計画等を策定・整備する必要性が強く認識されることになった。その後も、新潟県中越地震等を受け、防災マニュアル・計画等の見直し等が進められてきたが、東日本大震災以前に防災マニュアル・計画等を策定していた企業は63.3%にのぼっている。特に1000人以上企業では91.4%がすでに策定済みであったが、299人以下企業では52.1%にとどまっている。
その防災マニュアル・計画等の項目(複数回答)は、「社内防災委員会等の組織の設置」86.6%、「防災教育と防災訓練の実施」86.6%、「非常時の社内連絡・広報体制の確立」86.6%、「非常時における従業員の安否確認体制の確立」76.5%、「消火活動体制の確立」64.7%、「非常食・飲料水の社内常備」63.9%。実際に十分に機能した項目は、「社内防災委員会等の組織の設置」35.3%、「非常食・飲料水の社内常備」30.3%などだった。