ゼイタックス

経営関連情報 (2005/02/28)

従業員に浸透していない成果主義導入の理念

 日本能率協会がわが国主要企業1325社を対象に実施した「成果主義に関する調査」(有効回答数:人事部227社/部門トップ216社/従業員7413人)では、成果主義の導入が近年指摘されているほど組織風土に悪影響を与えていないことがわかった。その一方で、成果主義導入の理念が従業員に浸透しておらず、運用面では人事部の理想と現実に大きな差があるなど定着に向けての課題も浮き彫りになった。

 調査結果によると、人事部から回答のあった227社のうち、「成果主義的な人事制度を導入している」との回答企業は83.3%(227社)にのぼった。そのうち、成果主義導入後3~10年以下の企業に絞って、人事部・部門トップ(各89社)・従業員(3565人)別に「成果主義のビジネスの競争力や業務効率に対する効果の有無」を聞いた結果、人事部の51.6%、部門トップの47.2%が効果を認めており、否定的な回答は少なかった。

 一方、従業員は「効果あり」との回答は24.1%と人事部・部門トップの半数の割合にとどまり、否定回答が29.5%と肯定回答を上回った。同様に「社員の意欲向上に対する効果の有無」への質問の結果でも、肯定回答は、人事部が51.7%、部門トップが51.2%であるのに対し、従業員は22.5%と大きな差がみられた。

 また、成果主義導入後3~10年の企業の人事部において、成果主義導入の目的が全社員に「浸透している」と判断している割合は39.7%にとどまり、一方、従業員においては29.4%とさらに低く、否定回答(30.0%)と同水準となっている。また、人事部においても、「適材適所の配置」、「評価に温情的な考慮を入れない」や「降格人事の実施」など、人事部の運用に関して理想と現実の乖離に悩んでいる様子がうかがえる。

 同調査の詳細は↓
 http://www.jma.or.jp/release/data/pdf/20050223.pdf