日本政策金融公庫総合研究所が実施した「小企業の地域貢献に関する実態調査」結果(有効回答数3065社)によると、小企業の44.6%が地域貢献活動に「取り組んでいる」と回答した。企業業績との関連をみると、最近の売上高が減少傾向にある企業(全体の45.0%)でも44.5%が、採算が赤字基調にある企業(同47.0%)でも44.3%の企業がそれぞれ地域貢献活動に取り組んでおり、業績による差異はみられない。
企業として取り組んでいる地域活動の分野(複数回答)をみると、「文化・環境に関する活動」(34.2%)、「治安・安全・防災に関する活動」(20.3%)、「経済の振興に関する活動」(17.6%)の順に多い。各分野をさらに細かくみると、「祭り・伝統行事の開催や維持」(26.6%)や「商店街の活性化」(10.3%)など、従来からみられる活動が多い一方、「職場体験・インターシップの受入れ」(6.9%)といった今日的な活動も存在する。
地域貢献活動に取り組む企業のうち、複数の活動に取り組んでいる企業は72.1%を占めた。もっとも力を入れている活動は、「祭り・伝統行事の開催や維持」(23.9%)、「商店街の活性化」(10.4%)、「地域における文化やスポーツの振興」(8.5%)の順。これらの活動を始めた理由は、「地域の企業として当然」が51.1%と突出して多い一方で、「企業の業績向上に直結するから」(6.4%)など、企業の利益を求めて始めるケースは少ない。
もっとも力を入れている活動の成果については、「予想通りの成果を上げている」(48.8%)、「予想以上の成果を上げている」(5.4%)との企業が54.2%となった。また、活動に当たっての問題点(複数回答)をみると、「資金不足」(63.3%)、「人手不足」(52.3%)、「適格なマネージャーがいない」(42.7%)と回答した企業が4割を超えており、小企業が地域貢献活動を展開する上で、資金や人材の不足が問題となっている現状がうかがえる。
同実態調査結果の詳細は↓
http://www.jfc.go.jp/common/pdf/sme_findings2.pdf