経 営 関 連 情 報 |
2002年07月15日-003
注目浴びる「調達物流」の改革、「取りに行く物流」とは
昨今の景気低迷期に企業は各業務でコスト削減を図っているが、物流部門に関していえば、多くの企業が「目に見える物流コスト」の削減努力を続けてきたことから、現在は「目に見えない物流コスト」として「調達物流」が注目されている。調達物流とは、生産や販売に必要な財の仕入に伴い発生する物流である。この調達物流の一事例として、主に組み立て加工メーカーからみた「取りに行く物流」を紹介しているのが「あおぞら銀行」のレポートである。
レポートのよると、調達物流では一般的に売り手が輸送事業者を使って部品を輸送するが、これを買い手が輸送事業者を使って部品を低額で輸送することで物流コストの削減を図る。これが「取りに行く物流」である。これによって、競争購買の導入と大量化の原理が働き、買い手にとって物流コストを低額に抑えることが可能になる。特に、大量化の一要因である「荷量のとりまとめ」はその効果が大きい。そこで買い手は、「デポの設置」や「ミルクラン」などの荷量を取りまとめる手法で「取りに行く物流」を実施している。
「デポの設置」とは、買い手が集配センターを設置して、一旦そこに納品された部品をまとめて大型トラックで買い手の工場に納品する手法だ。「ミルクラン」とは、買い手が仕立てた輸送業者が売り手の出荷地を巡回し部品を集荷する輸送方式。牛乳メーカーが牧場を回って原料となるミルクを集荷する姿に似ていることから、このように名づけられた。
この「取りに行く物流」の導入には、売り手を始めとした関係者の理解が必要であることは言うまでもない。また、導入企業の社内においても、物流部門と資材部門による部門を越えた連携が必要になる。運営上の課題としては、対象部品の設定や物流費の分離方法などが挙げられる。このレポートでは組み立て加工メーカーの事例だが、あおぞら銀行では「この手法は、他の業界でも活用できる拡張性の高いものと考えられる」としている。
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