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経営関連情報 (2005/04/20)

安定的な利益確保に苦労する中小企業~商工中金

 日銀短観(3月調査)によると、経常利益の2004年度計画は、全産業全規模で前年度比+16.5%を見込み、大企業(+17.5%)、中小企業(+13.0%)とも前回9月計画より伸び率が上方修正された。商工中金が14日に発表した中小企業の動向(2005年春号)では、日銀短観の「経常利益好転悪化社数」を参考に、大企業、中小企業別に利益変動パターンを探り、個別中小企業の利益安定性を検討している。

 2004年度の経常利益前年比について好転企業数(増益、黒字転換、赤字縮小)と悪化企業数(減益、赤字転落、赤字拡大)の比率をみると、大企業は好転65.3%、悪化34.7%であるのに対し、中小企業は好転50.9%、悪化49.1%と増益、減益の比率が拮抗している。大企業と中小企業を比較すると、合計ベースの増益幅の差が示す以上に、個別企業では中小企業で増益、減益のばらつきが相対的に大きいことがわかる。

 2005年度の経常利益計画は、大企業が前年度比+0.2%とほぼ横ばいであるのに対し、中小企業は同11.3%と、2004年度に続いて二ケタ台を見込んでいる。2005年度は、中小企業の合計ベースの増益幅が大企業より大きいが、それでも好転企業数、悪化企業数の比率は、大企業が63.4%対36.6%、中小企業が59.4%対40.6%で、中小企業の利益のばらつきが大きい。

 2003年度以降の経常利益前年度比をみても、大企業では黒字企業の6割以上が翌年度も増益であるのに対し、中小企業は5割前後の企業しか増益を確保できず、赤字に転落する比率も大企業より高い。赤字企業については、2005年度予測を除き、大企業、中小企業とも翌年度約5割の企業が黒字転換しているが、黒字転換比率も大企業のほうがやや高い。

 以上のことを総合すると、個別企業の利益については、中小企業は大企業に比べ変動が激しく、中小企業は安定的な収益を確保することに大企業より苦労しているものとみられる。したがって、中小企業の利益をみる際、合計ベースの数字のみならず、個別企業の動向にも目を配ることが重要と指摘している。

 中小企業の動向(2005年春号)は↓
 http://www.shokochukin.go.jp/pdf/cb05other02.pdf