近年、食品に関する諸問題が相次いで発生し、消費者の「食の安全」に対する意識が高まるなか、消費者が食品の出所や流通経路などの情報を知ることができる「食品トレーサビリティ・システム」が注目されている。しかし、主婦層における「食品トレーサビリティ」という言葉の認知は29.8%と3割弱に過ぎないことが、三井物産戦略研究所が実施した「食品トレーサビリティに関する主婦の意識調査」で分かった。
調査結果(有効回答数2060人)によると、「食品トレーサビリティ」という言葉を認知している3割弱の内訳は、「意味は分からないが、言葉だけは知っている」が13.9%、「新聞やテレビなどで見て、なんとなく知っている」が12.5%と大半を占め、「制度や仕組みも含めて、よく知っている」はわずか3.3%だった。一方、70.2%の主婦が「初めて聞いた」と回答しており、食品トレーサビリティの認知度はかなり低い。
食品トレーサビリティを「利用したことがある」との回答は40.7%だったが、認知理解が深い人ほどよく利用しており、「制度や仕組みも含めてよく知っている」人のうち77.9%が「いつもまたは時々見るようにしている」と回答。食品トレーサビリティの利用理由(複数回答)は、「農薬や添加物に関する情報が分かる」(54.8%)、「生産者・製造者が分かる」(52.5%)、「生産日・製造日が分かる」(45.0%)などが上位に挙げられた。
回答者全員に尋ねた食品トレーサビリティを導入すべきと思う食品(5つまで回答)は、「牛肉・豚肉・鶏肉」(76.2%)、「生鮮野菜・果物」(62.1%)、「ひき肉・肉加工品(ハム・ソーセージなど)」(53.7%)、「生鮮魚介・海藻」(37.1%)、「鶏卵」(33.0%)の順に多い。なお、青果物の購入基準(3つまで回答)は、「新鮮さ」(67.2%)、「生産地(国・都道府県・市町村)」(60.2%)、「価格」(58.3%)の3つの回答が特に多かった。
同意識調査結果の概要は↓
http://mitsui.mgssi.com/issues/topics/t0711h.pdf