県民所得は、雇用者報酬、利子や配当などの財産報酬、企業の内部留保などを示す企業所得を合計したもの。内閣府がこのほど公表した県民経済計算によると、2005年度の県民所得は、雇用者報酬が減少したものの、財産所得、企業者所得が大きく伸びたことから04年度に引き続き2年連続で増加した。そこで、1人あたりの県民所得の変動要因を分析したのは、内閣府のレポートである。
それによると、県民所得は34の都道府県で増加しており、項目別にみると、財産所得が全都道府県で、企業所得は35都道府県で増加している一方、雇用者報酬は34都道府県で減少している。なかでも東京都の財産所得の伸びは突出して高く、県民所得の押し上げに大きく寄与している。また、1人あたり県民所得をみると、40の都道府県で増加しているなかで、県民所得の格差を示す変動係数(ばらつき)は4年連続で上昇している。
一方で、東京都を除く46道府県の1人あたり県民所得の変動係数を試算してみると、02年度以降上昇しているものの、全都道府県の変動係数に比べ伸びは緩やかであり、水準も低い。この要因は、東京都の財産所得の伸びの高さによるものとみられる。財産所得のなかには株式など有価証券の配当所得が含まれるが、例えば東京都の配当所得額の推移をみると、02年からの景気回復局面において株価が上昇し、配当所得が大きく伸びている。
さらに、配当所得全体に占める東京都の割合をみると、01年から05年にかけてシェアが伸びており、直近では全国の約3割を占めるまでになっている。このように、1人あたりの県民所得の変動の要因は、好調な製造業が立地しているかどうかなど様々なものがあるが、東京都の株式配当などに示されるように、財産所得の増加も一因として考えられると、レポートは分析している。