日本商工会議所は20日、2007年度税制改正にあたり、特に事業承継円滑化のための税制措置の実現について要望した。具体的には、事業用資産については、事業を継続することを前提として非課税とすべきであり、まずは、後継者が非上場の自社株式を保有している間は、相続税の課税を猶予(売却時に課税)するなど、事業を承継する者の相続税負担の軽減を図る包括的な事業承継税制の確立を求めた。
次に、5月の会社法の施行により、完全無議決権株式や譲渡制限株式など種類株式の活用が容易となり、中小企業の事業承継に向けた活用が期待されるが、現在は種類株式に関する評価法が明確になっていないことから、相続の際の株式評価額を予見することが困難であり、その活用の阻害要因になっている。このため、財産評価基本通達における種類株式の評価方法を明確化することを要望している。
また、親から子への生前贈与を促進する相続時精算課税制度については、同制度選択者の中で非上場株式の贈与者の割合は数%にとどまり、事業承継目的での活用が不十分だ。円滑な事業承継を促進する観点からは、早い時期から事業承継を意識し十分な準備を計画的に進める必要があることから、現行制度における贈与者の年齢要件(65歳以上)の緩和や非課税枠(2500万円)の大幅な拡充などの見直しを要望した。
そのほか、取引相場のない株式の評価方法についても、2000年度税制改正において、類似業種比準価額方式による評価方法について収益性が加味された結果、事業拡大に伴い収益が拡大するほど、換金性がないにもかかわらず、株価だけが高い評価を受け、事業者の意欲を阻害する要因となっている。こうした企業や後継者のやる気を削ぐことがないように、取引相場のない株式の評価を見直すことも要望として盛り込んでいる。
日商の「2007年度税制改正に関する要望」の詳細は↓
http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/060920zeisei.pdf