日本総研は、この4月から始まった「エコカー減税」によって年間50~99万台の押上げ効果が見込まれるとの試算を明らかにした。4月1日から、低燃費・低排気ガス自動車を対象に、自動車重量税・自動車取得税を50~100%免税、さらに、4月10日から、車齢13年以上の廃車を伴う購入に対し最大25万円、廃車を伴わない場合でも最大10万円を助成する。これらを合計すれば、環境対応車の購入価格は7~17%低下する。
一方、日本自動車販売協会連合会によると、5月の登録車(排気量660cc超)の販売台数は前年同月比▲19.4%の17万8503台となり、4月の▲28.6%に比べマイナス幅は9.2ポイント縮小した。しかし、5月の登録車の販売台数としては1968年の統計開始以来、過去最低であり、ピークの1990年(44万4038台)に比べ約4割の水準まで減少している。そこで、今回始まったエコカー減税の効果が期待されるわけだ。
日本総研の試算は、減税のインパクトを「価格下落率×価格弾力性×環境対応車の販売台数」により求める。まず、販売台数を価格要因、所得要因、マインド要因で回帰した推計式に基づけば、価格が1%下落したとき、販売台数は3.7%増加するという関係がある。一方、2008年度国土交通白書によると、低公害車(排ガス性能☆4つ+燃費基準+10%以上達成車)の割合は登録販売台数の49%(2007年度)となっている。
価格下落率は車種や購入方法により異なるため、幅を持って試算すると、今回の減税によって2009年度の自動車販売台数は50~99万台押し上げられる見込みだという。以上の試算を踏まえると、当面、自動車販売は改善傾向が続く公算が強く、2009年度全体でみても、平均購入価格を200万円とすれば、GDPを1.0~2.0兆円、0.18~0.37%押し上げるインパクトがあり、生産波及を通じて8.3~16.7万人の雇用を創出すると予測している。