2004年分の確定申告では、2003年1月から導入された相続時精算課税制度の2回目の申告となるが、国税庁のまとめによると、3月末日現在で、同制度の申告者数は昨年を6.6%(6千人)上回る8万4千人だった。うち、非課税枠を超えた納税人員は4千人、申告納税額は244億円、1人あたり平均納税額は587万円。昨年に比べ、納税人員は6.0%増、申告納税額は18.2%増、1人あたり平均納税額は11.5%増となっている。
相続時精算課税制度は、65歳以上の親(住宅取得資金の場合は年齢制限なし)から20歳以上の子どもへの贈与について、選択性によって、贈与時に軽減された贈与税を納め、相続時に相続税で精算する生前贈与の促進策として導入されたもの。贈与時の非課税枠は2500万円(住宅取得資金の場合は3500万円)で、非課税枠を超える部分については一律20%の税率で課税する。
今回のまとめをみると、相続時精算課税制度の申告者数8万4千人のうち、ほぼ3割にあたる3万7千人が住宅取得資金に係る特例を適用しており、住宅取得促進に寄与していることがわかる。他方、贈与財産の内訳では、同族会社株式などの非上場株が中心となっていることから、事業承継対策としても利用されており、同制度創設の趣旨に沿った活用がなされていることが明らかになっている。
また、非課税枠を超えた金額を贈与した人が4千人いて、総額244億円を納税したわけだから、20%の税率で単純に逆算すると、総課税所得が1220億円、1人あたり平均申告納税額が3050万円になる。つまり、非課税枠を考慮すると、税金を納めた人は、親から約5500万円から6500万円ぐらいの生前贈与を受けた計算になる。
なお、贈与税全体の申告者数は43万3千人で前年より0.5%(2千人)増、納税人員は27万4千人で同1.0%(3千人)増、申告納税額は985億円で同9.4%(85億円)増だった。1人あたりの平均申告納税額は36万円で同8.1%(3万円)増となる。贈与税全体でみれば昨年に比べすべての項目で増加しているが、これは相続時精算課税制度を選択した納税者の増加によるものということができる。