青色欠損金等の繰越控除制度は、特定の期に税務上の欠損金が発生した場合、その欠損金を7年間繰り越し、翌期以降の課税所得との相殺で税負担が軽減される。同制度は、青色申告書を提出しなかった事業年度で生じた欠損金額のうち震災、風水害、火災等の災害により棚卸資産、固定資産及び繰延資産について生じた損失の金額にも適用できるが、2011年度税制改正で、繰り越せる欠損金額が繰越控除前の所得金額の80%とされる予定だ。
青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除制度及び青色申告書を提出しなかった事業年度の災害による損失金の繰越控除制度における控除限度額が、繰越控除をする事業年度のその繰越控除前の所得の金額の100分の80相当額となる。また、連結欠損金の繰越控除制度の控除限度額については、その繰越控除をする連結事業年度の連結所得の金額の100分の80相当額となる。
例えば、欠損金発生年(欠損額200万円)で、翌期以降所得金額が100万円発生した場合、これまでは繰り越した欠損金200万円のうち100万円を翌期の所得100万円と相殺し、残り100万円を2年目に繰り越すことができたが、改正により翌期に生じた所得100万円の80%、80万円と相殺し、20万円の課税所得が生じることになる。このようにして、2年目には欠損金残高120万円を繰り越し(80万円を相殺、欠損金残高40万円)ていく。
ただし、中小法人については、現行の控除限度額が存置されることとなっている。同制度の適用を受ける中小法人の範囲は、(1)普通法人のうち、各事業年度終了の時において資本金の額若しくは出資金の額が1億円以下であるもの(資本金の額が5億円以上の法人による完全支配関係がある法人を除く)、(2)公益法人等、(3)協同組合等、(4)人格のない社団等。なお、同改正法案は、現在国会に上程中だ。