2006年度税制改正で創設された耐震改修創設税制は、住宅の耐震化率を今後10年間で90%まで引き上げることを目標とするものだが、同税制の適用が受けられるのは、自治体が耐震改修についての補助制度を設けた一定の計画区域に限定されている。ところが、自治体による耐震改修促進計画の整備が遅れていることから、せっかく耐震改修したのに税制の適用が受けられない事態となるおそれがあり、問題となっている。
国土交通省のまとめによると、今年7月1日現在で、耐震改修促進計画を策定し、耐震改修に対する補助制度を設けている市区町村は、戸建住宅が全体の24.3%(448自治体)、マンションに至ってはわずか3.7%(69自治体)に過ぎない。今後、耐震改修促進計画を策定する予定がある市区町村が22.8%(420自治体)あるものの、ほとんどの納税者が現在のところは耐震改修促進税制を受けることができないわけだ。
耐震改修促進税制は、住宅(1981年5月31日以前に建築された家屋)を耐震改修した場合、改修費用の10%相当額(最高20万円)を所得税額から控除するもの。耐震改修予定がある納税者は、現在居住している市区町村が、耐震改修促進計画を策定し、耐震改修に対する補助制度を設けているかを、住宅所在地の都道府県・市区町村の建築部局や住宅部局に個別に事前確認する必要がある。
今後、各自治体による早急な耐震改修促進計画の整備が望まれるが、同制度は、2006年4月1日から2008年12月31日までの時限措置である。上記の耐震改修促進計画の策定を予定している自治体でも、約7割(299自治体)は2008年3月までに策定する予定という。策定後でなければ耐震改修しても税制の優遇は“画餅に帰す”こととなる。それにしても、縦割り行政の弊害の典型例にはあきれるばかりである。