経 営 関 連 情 報

2003年08月27日-001
産業人のメンタルヘルスに影響を与えるもの

 社会経済生産性本部がこのほど公表した「産業人メンタルヘルス白書」によると、63.5%の労働組合が「心の病」のために1ヵ月以上休んでいる組合員がいると回答している。組合員に最も多い疾患は、「うつ病」(82.2%)が圧倒的に多く、「神経症(ノイローゼ)」(10.4%)、「心身症」(5.4%)が少々みられる。同調査は、全国の単位労働組合873組合を対象に5月に実施、241組合(27.6%)から回答を得たもの。

 産業人のメンタルヘルスに影響を与えるものとしては、「賃金制度」から派生する「評価」がある。特に近年、雇用の流動化を背景に業績を中心とした成果主義賃金体系を導入する企業が増えているが、働く人々の「評価」に対する反応とそれが及ぼす心身の状態・職場適応・モラールへの影響がある。

 調査結果によると、「給与制度は合理的か」との質問に「はい」と回答したのは全体の45.4%、「いいえ」は53.5%で、半数弱が現状の給与制度自体については合理的と感じている。「自分の評価について納得できないことがよくあるか」との質問には、「はい」との回答が27.9%、「いいえ」が71.0%だった。また、「仕事の配分は能力・性格に応じて公平に行われているか」との質問には、「はい」が40.6%、「いいえ」が58.3%。職場レベルでの仕事配分の公平感については6割弱の人が何らかの不公平感を抱いている。

 メンタルヘルスへの影響度では、評価に「納得」していない人は特に大きく、以下、「公平」でない、「合理的」でない、と感じている人の順。評価に「納得」していない人は精神面・身体面に悪影響が出ており、仕事配分の「公平」さを感じていない人は職場適応や性格傾向に悪影響が出ている。つまり、産業人のメンタルヘルスの配慮からは、評価制度の合理的な改善だけでなく、制度運用の納得性の高さ、能力・性格に応じた仕事配分の公平性の確保が求められるようだ。

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