2003年09月22日-003
税理士作成のチェック・リストで中小融資優遇
多くの中小企業が債務超過で資金繰りに苦慮している中、融資審査の際に、税理士が作成した「中小企業会計基準適用に関するチェック・リスト」を提出すれば、債務超過の中小企業でも融資が受けられる可能性が出てきた。それは、三井住友銀行が8月から発売している中小企業向け融資商品「クライアントサポートローン」である。同行が従来から発売している融資商品「ビジネスセレクトローン」を拡充したものだ。
日税連では昨年12月に、中小企業が経営実態の情報を開示するための「中小企業会計基準」を公表したが、その社会的浸透・定着を図るため、金融機関等に対し、計算書類の作成に税理士が関与したことを証明する中小企業会計基準適用に関するチェック・リストの積極的な活用を働きかけてきた。その結実のひとつが三井住友銀行のクライアントサポートローンである。
この商品は、チェック・リストの提出を条件に、1)融資申込みの事務手数料の免除、2)無担保融資期間を5年に延長、3)債務超過の申込みを可能とするなどが特長である。対象企業は、業歴2年以上で同行の取扱い拠点で取引可能なこと、申込時点で税金の未納がないことが条件となる。借入金額は5000万円以下、借入期間は最長5年、借入利率は2.75%から、担保・第三者保証は不要など。
政府は、顧客との間で親密な関係を長く維持することで顧客に関する情報を蓄え、これを基に貸出などの金融サービスの提供を行うことで展開するビジネスモデルであるリレーションシップバンキングへの積極的な取組みを求めている。中小企業は物的担保や連帯保証人に過度に依存しない融資を求めているが、この税理士の関与を保証とした新商品もリレーションシップバンキングの一形態といえる。今後の中小企業の活用の度合いが注目される。
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