ショッピングセンター(SC)の出店が全国的に相次いでいる。SCとは、デベロッパーと呼ばれる経営主体が開発し、小売店や飲食店、サービス業などが入り、様々な商品やサービスを提供する商業施設のこと。一ヵ所で買い物を済ませられる利便性、広い駐車場の完備や家族連れで楽しめる空間形成などの快適性を武器に、集客を拡大している。そのSCの動向を分析するのは内閣府のレポートである。
まずレポートは、SCの規模をみるために、全小売業の売上と比較。約10年前と比べ、百貨店のシェアは減少しているが、SCとスーパーは増加している。ともに近年の著しい出店が要因ともしている。昨年のSCと百貨店の既存店年間売上を比較すると、百貨店の売上はここ10年連続で前年割れしているのに対し、SCは2年連続で前年を上回っている。さらに地域別にみると、ほとんどの地域でSCが上回っている。
また、SCの地域別立地状況をみると、2005年末までの累計で全国2704店のSCのうち、50.9%にあたる1377店が、広大な土地を確保しやすい郊外地域に出店しており、商業機能が集積した中心地域は26.1%(707店)、中心地域に隣接した周辺地域は23.0%(620店)と、SCの立地は郊外地域に偏在している。2006年の新規出店をみても、79店のうち約7割の55店が郊外地域となっている。
一方で最近、中心市街地に、商工業施設跡地を利用したり、再開発による集客を見込んでSCが出店するケースも増えている。今年11月には、延べ床面積1万平方メートル超の大規模集客施設の郊外立地を規制する「改正都市計画法」が全面施行される予定であり、中心地へ回帰する動きがさらに進む可能性も考えられる。個人の消費動向に大きな影響を与えるSCの今後の動きが注目されるところだ。