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税務関連情報 (2005/12/07)

来年度改正では物納の許可基準を明確化

 2006年度税制改正では、相続税の物納制度について、許可基準の明確化や審査期間の短縮化など納税者が利用しやすい制度の見直しが行われる公算が強い。政府税制調査会の来年度改正に向けた答申は、納税環境整備の一環として物納制度については、物納の許可基準が明確でない、手続きに長期間を要するケースがあるなどの指摘を踏まえて、制度を整備するように提言した。

 相続税では、相続税額を金銭や延納によって納付することが難しい場合は、物納が納税の最後の手段となる。ところが、現行の相続税法では、物納したい不動産や株式などの相続財産が対象として認められるかどうかという許可基準が不明瞭だとの声が多い。現行法では、処分が不適当な財産については通達で規定されているが、必ずしも許可基準が明確とはいえないものもある。

 そこで来年度税制改正では、「質権、抵当権その他の担保権の目的となっている」、「所有権の帰属等について係争中である」、「共有財産になっている」などの「物納の対象外財産」を相続税法に明記し、それ以外の財産は原則として物納を認める方針だ。中小企業の相続人に多い非上場株式についても、物納要件を緩和し物納後の入札で売却することを条件に認める案も出ている。非上場株式は、2002年度の改正で買受け人がいることなどを要件に物納を認めているが、現実にはほとんど使われていない。

 また、物納手続きの期間短縮のため、審査期間に期限を設けることも検討される。2005年度の物納申請は3065件だったが、その約2.7倍の8217件が物納の審査中で、申請から許可されるまで数年に及ぶこともある状況だ。仮に却下されると、その間の延滞税が加算されることもあって、審査期間の短縮化を求める声も多かった。今月15日に公表予定の与党税制調査会の税制改正大綱で見直しの概要が明らかになろう。