ゼイタックス

経営関連情報 (2005/08/19)

7月倒産は前月比減少も倒産は底打ちの兆し

 帝国データバンクがこのほど発表した全国企業倒産(負債1千万円以上)によると、7月の法的整理による倒産は675件で、前月比で▲15.0%と大幅に減少した。これは、前月比で29.3%の大幅増となった6月からの反動的な要素が強く、今年4月以降の推移をみると基本的には増加基調にあるとして、長期的なスパンで倒産が底打ちを示している可能性は否定できないとみている。

 負債総額は4174億2400万円で、前月比では▲5.0%となった。平均負債額は6億1841億円となり、前月(5億5350万円)を6491万円上回った。負債1000億円以上の大型倒産は5ヵ月連続で発生せず、負債100億円以上は7件(前月9件)、同50億円以上は13件(同14件)、同10億円以上は52件(同54件)となり、いずれも前月を下回っている。

 倒産件数を負債額別にみると、「5000万円未満」が全体の38.1%を占める257件でもっとも多く、「1億円以上5億円未満」が同29.6%の200件で続く。また、資本金別では、「1000万円以上5000万円未満」が同49.8%とほぼ半数を占める336件、「100万円以上1000万円未満」が同37.3%の252件の順。このように、近年の倒産減少に寄与した中小・零細企業の反動がトレンドの変化を示唆しており、倒産は底打ちの兆しとみている。

 帝国データバンクでは、倒産が長く続いた減少傾向から脱しつつある理由として、景況感の回復を背景に、前向きの経営を志向する企業が増えていることを挙げている。企業部門の資金調達が改善した(2004年度資金循環統計)ことから、企業は設備・雇用・債務のいわゆる「3つの過剰」の解消にメドが立ったことで先行投資など前向きな活動を再開した。

 この結果、業容拡大に向けた積極策が裏目となり、資金手当てができず倒産するケースが散見されるようになったと指摘する。確かに、中小企業の業況は依然として厳しく、公的支援や各種再生メニューで延命している企業が多いと推測されるが、一方で倒産の傾向には“大きな流れの変化”が表れつつあるというのが、帝国データバンクの見方である。