景況感が急速に悪化するなかで、徐々に金融機関の融資姿勢に変化が現れており、資金繰りの悪化による倒産の事例も増加しているという。帝国データバンクが8月下旬に実施した「融資姿勢及び資金調達に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万751社)によると、2008年に入ってから、金融機関による貸し渋り・貸し剥がしが「あった(ある)」と回答した企業が全体の7.8%と1割弱あった。
貸し渋り等があったとした企業を業界別にみると、「不動産」が25.7%と4社に1社に達し、特に「不動産売買業」では44.3%と半数近くにのぼる。次いで「建設」が11.4%で続き、景況感の急速な悪化に見舞われている両業界において、貸し渋りや貸し剥がしを受けた割合が特に高くなっている。規模別では、「大企業」の4.3%に対し、「中小企業」は8.7%と2倍以上の差になっており、企業規模による違いが現れる結果となった。
貸し渋り等があった企業の具体的な内容(複数回答)は、「新規融資の拒否」が59.7%でもっとも多く、次いで「融資の減額」(33.9%)、「貸出金利の引上げ」(28.4%)、「追加担保の要求」(26.3%)、「融資継続の打ち切り」(21.5%)となった。中小企業では、「新規融資の拒否」が61.0%と、大企業の50.5%を10.5ポイント上回っており、特に中小企業で新規融資が受けにくくなっている様子がうかがえる。
貸し渋り等の影響については、「多少経営を圧迫」が40.0%、「かなり経営を圧迫」が30.6%、「危機的状況に追い込まれている」が10.2%と、計80.8%が「経営を圧迫」していると回答。規模別では、大企業の75.2%が「経営を圧迫」と回答したのに対し、中小企業は81.6%と8割を超えた。特に中小企業では「危機的状況」が11.1%となり、金融機関への依存度が高い中小企業において、より深刻な実態が表れている。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0808.pdf