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企業の4社に3社が産業の空洞化を懸念

経営関連情報 - 2011年08月08日

 帝国データバンクが7月下旬に実施した「産業空洞化に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万1006社)によると、今後の日本の産業空洞化に対する懸念が「ある」と回答した企業が76.5%と4社に3社となった。産業別にみると、「製造」が80.8%ともっとも多く、特に、精密機械や電気機械、自動車関連の業種で高かった。また、最少の「農・林・水産」(61.7%)でも6割を超えた。地域別では「東海」が81.7%で最多だった。

 また、今後の自地域からの企業流出状況については、「今後さらに流出は加速する」と考える企業は18.4%となり、「流出の動きは減速する」(2.0%)を16.4ポイントも上回った。一方、「あまり変わらない」は42.8%。業界別では、「製造」(25.2%)の4社に1社が「加速する」と考えていることが分かった。地域別では、自動車製造業などの多い「東海」が28.1%ともっとも高く、企業流出による地域経済の停滞が懸念されている。

 自地域からの流出先では、「海外」と回答した企業が35.2%、「国内」が35.1%とほぼ同水準となった。海外の流出先(複数回答)は、「中国」が56.9%で最多、さらに「インド」(10.9%)、「韓国」(8.3%)、「台湾」(5.8%)が続き、上位国はアジア各国で占められた。国内の流出先(複数回答)では、「近畿」が12.6%で最多、次いで「九州」(11.7%)、「東北」(10.0%)、「南関東」(9.7%)と続いた。一方、最少は「四国」(1.4%)だった。

 国内企業の海外流出が加速する懸念要因(複数回答)では、「円高」(49.2%)が約5割で最多、次いで「人件費が高いため」(39.5%)、「電力などエネルギーの供給問題」(37.9%)が4割近くとなった。以下、「税制(法人税や優遇税制など)」(28.3%)、「取引先企業の海外移転」(26.5%)が続いた。業界別にみると、「製造」は「円高」(55.0%)が5割を超え、「小売」は「人口の減少」(32.2%)が全体を大きく上回り業界別で最多となった。

 日本または地域の発展に重要な施策(複数回答)については、「早期の震災復興」が67.7%で最多。すべての地域で6割を超えており、被害が甚大だった地域が多い「東北」は80.3%と全体を12.6ポイント上回った。次いで「法人向け税制(法人税減税など)」(49.5%)が約半数の企業で重要施策と考えているほか、「デフレ対策」(36.8%)、「安定供給を実現するエネルギー政策」(30.5%)などが挙げられた。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1107.pdf