ゼイタックス

税務関連情報 (2006/11/10)

公益法人の申告漏れ所得は20%増の223億円

 国税庁が発表した2005事務年度における公益法人等の課税事績によると、公益法人等に対する実地調査は、今年6月までの1年間に調査必要度が高い1390件(前年度比5.3%増)に対して行われ、うち983件(同4.1%増)から総額222億5200万円(同19.8%増)の申告漏れ所得が把握され、本税額19億2600万円(同1.6%減)が追徴された。調査1件あたりの申告漏れ所得は1601万円(同13.7%増)となる。

 仮装、隠ぺいによる不正計算があったものは79件で、不正発見割合は5.7%、不正脱漏所得金額は8億4100万円、1件あたりの不正脱漏所得は1065万円だった。調査状況を組織区分別にみると、不正発見割合は「学校法人」(9.3%)、「宗教法人」(7.0%)が高く、また、調査1件あたりの申告漏れ所得は「財団・社団法人」(1406万円)、「学校法人」(1374万円)、不正申告1件あたりの不正脱漏所得では「学校法人」(928万円)が多い。

 調査事例をみると、物品販売業等の収益事業を行っている学校法人に対して実地調査を実施したところ、利益調整を目的に、期末棚卸商品を除外していた事実が判明したものがある。また、この学校法人は、部外者向け収益事業に該当するサービス業を営んでいたが、これに係る売上及び原価をすべて除外し、簿外で現金をプールしていた。申告漏れ所得3,000万円に対し900万円が追徴されている。

 なお、2005事務年度における公益法人等の法人税の処理件数は、前年度に比べ4.1%増の3万1507件だった。内訳は、「宗教法人」が1万2691件(前年度比0.7%増)、「財団・社団法人」が1万1028件(同1.8%増)、「社会福祉法人」が1034件(同11.5%増)、「学校法人」が1882件(同3.3%増)など。また、給与所得の源泉徴収義務者は、「宗教法人」5万209件など、前年度比0.2%増の15万7168件だった。