税 務 関 連 情 報

2003年01月27日-001
譲渡所得の申告漏れ1288億円で12年連続の減少

 国税庁が24日に公表した2002年4月までの1年間(2002事務年度)の譲渡所得の調査事績によると、調査は1万4265件(対前年度比35.3%減)に対して行われ、このうち64.7%にあたる9236件(同35.6%減)から申告漏れ1288億円(同25.5%減)を見つけた。申告漏れ額は、前事務年度に比べ442億円も減少しており、ピークだった89年の9914億円の約13%にまで落ち込んでいる。

 調査件数、申告漏れ件数、申告漏れ額がいずれも減少しているが、調査件数の減少は、ここ数年の傾向として調査事務量を相続税調査に移していることが要因。また、申告漏れ額の減少は、申告漏れ件数自体の減少もあるが、申告の9割が土地・建物であることから、バブル崩壊後の地価の下落による土地取引の減少に歯止めがかからないことも大きく影響している。

 申告漏れ件数のうち、仮想・隠ぺいなど故意に不正を行ったとして重加算税を課されたのは560件(対前年度比37.0%減)で、その不正所得金額は67億円(同15.2%減)だった。件数・所得とも減少しているが、これも地価の下落の影響が一因と言える。不正事例をみると、架空の譲渡損失・保証債務、架空経費の計上、各種特例の不正適用など、典型的な手口は相変わらず。

 例えば、会社役員のAは、ゴルフ会員権を譲渡して譲渡損失が出たとして申告を行い、所得税の還付を受けていた。しかし、譲受人がAの主宰法人であり、その取引内容に疑わしい点があったことから調査した結果、Aは、ゴルフ会員権を譲渡していないにもかかわらず、主宰法人を使って架空の売買契約書を作り、あたかもゴルフ会員権を譲渡したかのように仮装して、ゴルフ会員権の譲渡損失を他の所得と損益通算して、不正に所得税の還付を受けていた事実が分かった。

 

 

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