税 務 関 連 情 報 |
2002年05月22日-002
都が銀行外形訴訟にかかる控訴理由書の概要を公表
東京都は5月20日、東京都外形標準課税条例無効確認等請求控訴事件にかかる5月17日に提出した控訴理由書の概要を明らかにした。東京都が大手銀行を対象として独自に外形標準課税を導入した、いわゆる「銀行税」は、3月26日の東京地裁で違法とする判決が下され、これを不服とした都は同月29日に東京高裁に提訴している。
控訴理由書において都は、1)原判決が応能課税とした事業税の性格は、立法当時の国会答弁、政府税調の見解でも明らかなように応益課税である、2)原判決は地方税法第72条の19「事業の情況に応じ」の適用の余地を極めて限定的に解釈しているが、いかなる場合にこの規定を発動するかは、応益原則と公平原則に基づく地方団体の裁量による、3)原判決は、貸倒れを控除しない業務粗利益は売上総利益に相当しないとするが、貸倒れを計算上控除しないのは業務粗利益も売上総利益も同じである、などの原判決に対する控訴理由を示している。
また、「事業の情況に応じ」立法裁量によって外形標準で課税する理由について、銀行業は、多額の業務粗利益をあげながら、その事業規模に比べ税負担が著しく低いことが常態であり、一定期間の所得を課税標準として、行政サービスの受益に相応する事業負担を求めることが難しいことを挙げている。さらに、原判決は、事業税も性格を誤り、地方税法の関係規定の一体的解釈を怠った結果、「事業の情況に応じ」の解釈を誤り、その適用を誤るという違法を犯していると指摘している。
なお、都に続いて「銀行税」を導入した大阪府では、本日22日から始まる府議会に、銀行税の課税先送りを提案する予定。銀行税が違法と確定した場合の巨額の還付加算金や賠償金の支払いリスクを回避するためだ。大阪府としては、6月16日が第1回目となる都の東京高裁の控訴審の行方が気になるところだろう。
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