金融庁では、昨年11月7日に、「中小企業向け融資の貸出条件緩和が円滑に行われるための措置」として、各監督指針及び金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕を改定したが、このほど、2009年1~3月期の主要行等、地域銀行、信用金庫・信用組合による中小企業向け融資の貸出条件の緩和状況についての調査・集計結果を公表した。それによると、中小企業に対して貸出条件緩和を行った債権は、大幅に増加している。
今年1~3月に貸出条件緩和を行った債権は、件数では3万9117件に達し、上記措置前の昨年7~9月期に比べ37.9%増、金額では1兆8366億円、同52.5%増となり、件数・金額ともに大きく伸びた。このうち、同期に、経営改善の見込みがあるものとして不良債権にならなかったものは、条件緩和を行った債権数全体の37.1%を占める1万4502件、金額では45.7%を占める8398億円だった。
金融機関の態様別にみると、「地域銀行」が2万3338件(昨年7~9月期比45.3%増)、1兆616億円(同52.1%増)で件数・金額ともにトップ、「信用金庫・信用組合」が1万1598件(同27.5%増)、4337億円(同48.8%増)、「主要行等」が4181件(同29.8%増)、3413億円(同58.6%増)となっている。「主要行等」とは、主要行、新生銀、あおぞら銀、シティバンク銀、「地域銀行」とは、地方銀、第二地銀、埼玉りそな銀を指す。
なお、昨年11月の監督指針の改定では、中小企業は経営改善に時間がかかるとの特質を踏まえ、それまで、抜本的な経営再建計画について「概ね3年後の債務者区分が正常先となること」を要件として記載しているものを、「概ね3年」について企業の規模に応じた延長が認められる旨を、また、その具体的な取扱いは、金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕を参照にすべき旨を記載した。
その金融検査マニュアル別冊〔中小企業融資編〕の改定では、中小企業については、上記の「概ね3年後に正常先」を「概ね5年(5~10年で計画通りに進捗している場合を含む)後に正常先(計画終了後に自助努力により事業の継続性を確保できれば、要注意先であっても差し支えない)」に緩和している。