税務調査などを受けてその処分に納得がいかないときは、税務署への異議申立て、さらに国税不服審判所への審査請求とあらためて判断してもらう道があるが、最終的には裁判所に訴えることになる。だが、よく分からずに不安に思うのは弁護士費用である。特に2004年4月から弁護士会の「報酬基準」が廃止され、弁護士はそれぞれ自由に料金を決められるようになっており、不安はますます強くなっている。
そこで、日本弁護士連合会では、報酬規定廃止後の2005年2月に全国の弁護士を対象にアンケートを実施、その結果に基づいて「弁護士報酬の目安」を作成し、企業・国民が抱く弁護士費用に対する不安感を払拭しようとしている。「弁護士報酬の目安」は一般市民用と中小企業のためのものに分けて公表しているが、ここでは中小企業用のなかから、税務訴訟にかかる弁護士費用を紹介したい。
説例は、3人の店員とともにソバ店を営んでいる事業主が、申告所得額が少ないとして税務調査を受けた。修正申告に応じなかったら、3年分で3000万円を支払えとの更正処分が出された。事件の見通しとして、異議申立てや審査請求では言い分が認められる可能性が薄く、裁判所に取消訴訟を起こすことを視野に入れて受任した。その結果、訴訟で全面勝訴したというもの。
この説例では、弁護士費用における着手金は「50万円前後」を請求する弁護士が40%、「100万円前後」が34%、また、報酬金は「300万円前後」が58%、「200万円前後」が22%となった。着手金とは、弁護士が手続きを進めるために事件を受任するときに受け取るもので、手付金の意味ではない。報酬金は、弁護士が扱った事件の成功の程度に応じて受け取る成功報酬のことである。
説例の説明で、着手金や報酬金は、争いのある金額のほか、法令解釈の妥当性や行政内部の通達の存在、その合理性が争われるか否か、また納税者側の帳簿や原資料の存在と信用性が争われるか否かなどによって大きく異なってくるとしている。さらに、税理士など会計専門家の協力が不可欠になることも多く、そのときには別に費用が必要となると補足。当然のことだが、あらかじめ弁護士に確認することを勧めている。
アンケート結果にもとづく「中小企業のための弁護士費用の目安」は↓
http://www.nichibenren.or.jp/ja/attorneys_fee/data/meyasu_company.pdf