税 務 関 連 情 報 |
2003年05月21日-002
精算課税では相続時を考慮した受贈が必要
2003年度税制改正で創設された相続時精算課税制度は生前贈与の促進策として期待されているが、同制度を選択して贈与を受けた財産は相続時点で思いもよらぬ問題が出てくるので注意が必要だ。問題点は物納と延納に係るもの。精算課税での受贈財産は物納できないことと延納で不利になることの2点だ。
一般の相続であれば、相続財産に現金がなくて相続税を金銭で納めることが困難な場合は、物納や延納が認められる。しかし、精算課税を適用して取得した財産は、物納の対象から除かれることが法律で明記されているのだ。それは、同制度の受贈財産は、贈与時の時価で相続財産にとりこむため、「昨今のようなデフレが続けば、課税価格よりも相続時の時価のほうが低くなる可能性がある」ためだ。
一方、延納は、精算課税を選択して生前贈与を受けた場合でも認められるが、ここで問題となるのは、相続財産に占める不動産等の割合によって認められる延納期間や利子税率に係る特例が適用されなくなる可能性が高くなることだ。不動産等の割合が50%以下の場合は延納期間が5年で利子税率は3.3%だが、不動産等の割合が50%以上であれば、延納期間は最大20年まで延長され、利子税率も2.0%となる(利子税率は2ヵ月前の公定歩合と連動して変わるので数字は現在の税率)。
ところが、相続時精算課税制度で生前贈与によって取得した土地・建物などの不動産は、延納における不動産等の割合を算定する場合には含めることができない公算が強い。そうなると、生前贈与によって不動産等の占める割合が低くなってしまい、最も不利な条件での延納しか認められなくなってしまうことになる。
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