財務省が公表した「2005事務年度国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価書」によると、2005事務年度における法人税の書面添付割合は4.9%で、前事務年度に比べ0.3ポイント増と微増ながら着実に上昇した。この実績値は、2005年7月から2006年6月末までの間に法人税の申告期限が到来し、申告書の提出があったものを対象としている。添付割合は、税理士の関与があった法人数のうち、書面添付がある割合。
書面添付制度は2002年4月施行の税理士法改正により導入されたもの。この制度は、税理士が申告書の作成に関し、計算・整理し相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添付することができ、この書面が添付されている申告書を提出した納税者について税務調査をしようとする場合には、その通知前に税務代理を行う税理士に対し意見を述べる機会を与えなければならない。意見聴取の結果、疑問点が解消されれば調査は省略される。
書面添付割合は、集計実績があるのは2001年度の2.9%からで、以降、2002年度4.0%、2003年度4.4%、2004年度4.6%、2005年度4.9%と、着実に伸びているという見方もできるが、いまひとつ伸び悩んでいるといったほうが適当だろうか。なお、法人税申告の税理士関与割合は、2002年度に前年度から5.5ポイント増の86.8%となって、2003年度は横ばい、2004年度は86.7%、2005年度は86.6%と推移している。
財務省では、書面添付制度は正確な申告書の作成・提出に資するとともに、税務行政の円滑化が図られ、ひいては信頼される税理士制度の確立に結びつくものであることから、今後も同制度について、記載内容の充実が図られるように税理士会との協議を行うとともに、書面や税理士に対する意見聴取の内容を調査事務に積極的に活用することを、国税庁に対し提言している。