東京商工会議所はこのほど、「中小企業施策に関する重点要望」を公表した。要望では、景気が緩やかに回復しているものの、企業規模や地域、業種によってばらつきがあり、多くの中小企業が景気回復を実感できない状況を踏まえ、中小企業が付加価値の高い技術、製品、サービスを生み出すイノベーションを進めるために、中小企業対策予算を飛躍的に拡充するとともに総合的な政策を講ずることが不可欠だとしている。
具体的な要望事項では、まず「中小企業金融の充実強化」について、信用補完制度の見直しにより、今年10月に導入される責任共有制度に係る小口零細企業保証制度の保証枠の拡大と従業員要件の緩和を求めている。また、政府系金融機関の再編に関して、新公庫が中小企業の資金ニーズに十分応えつつ、積極的にリスクを引き受けられるよう今国会で決議された新公庫法の附帯決議の着実な実施を求めている。
次に、「産業人材の確保・育成、職業教育の充実」については、中小企業において人材の確保難を訴える声が多いことから、人材確保・育成に要する経費の負担軽減措置や各種助成制度などの総合的な構築を求めたほか、技術者不足への対応として外国人技術者の活用に向けた環境整備と中小企業者に対するダイバーシティ・マネジメント(多様な人材を活用する人材管理手法)の教育を要望している。
また、「中小企業の成長を加速する施策の実施及び経営環境の整備」について、包括的な事業承継税制の確立や特殊支配同族会社の役員給与の損金算入措置の撤廃を求めてたほか、中小企業の底上げ戦略に係る生産性向上プロジェクトの着実な推進や下請取引等の適正化に向けた迅速かつ実効性ある対応、ワークバランス推進に向けた総合的支援などを要望。今後、これらの要望を、政府や政党、関係省庁等に強く働きかけるとしている。