税 務 関 連 情 報

2002年12月02日-002
法人税率5%引下げで増税せず多年度中立達成との試算

 来年度税制改正ではどうやら法人税率の引下げは見送られる公算が強いが、第一生命経済研究所は11月29日、「法人税率の引下げは必要か」と題するレポートを公表し、法人税率を5%引き下げれば、最終的には3.7兆円の需要増の効果があり、10年目には自然増収額の合計が減税額の合計を上回ることから、増税をしなくても10年後には多年度税収中立を達成できるとの試算を明らかにした。

 レポートによると、法人税率の引下げは、企業のキャッシュフロー増に伴う設備投資を誘発する効果以外にも、対外直接投資を抑制し対内直接投資の増加を通じて、中長期的に経済活性化につながる可能性が高いとする。法人税率を5%引き下げた場合、わが国の資本コストを0.4%低下させることで、1年後の対外直接投資を2.1%抑制し、2年半後の対内直接投資を8.0%増加させる。

 これを受けて、雇用者数は約11万人増加し、失業率を0.2%ポイント引き下げる要因となる。また一方で、中長期的に設備投資を約2.4%程度、個人消費を0.6%程度押し上げる効果を持つ。この結果、最終的にはわが国のGDPを0.7%(3.7兆円)程度拡大させる効果があると試算している。

 このようなGDP拡大効果により、初年度0.4兆円……4年目1.5兆円……10年目1.9兆円の自然増収が見込めることになる。一方で、法人税率5%の引下げは毎年1.4~1.5兆円の法人所得税の減少要因となるため、ネットの収支でみれば4年目から自然増収が減税額を上回り、法人税率の引下げは、10年の歳月はかかるものの、増税をしなくても、多年度税収中立が達成できるというわけだ。

 レポートの本文は http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/#NEWS 。また、詳細は有料メルマガ「ゼイタックスα」、「タックスプレス」に掲載している。

 

 

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