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税務関連情報 (2006/12/22)

約40年ぶりに抜本的に見直す減価償却制度

 2007年度税制改正は、わが国経済の活性化に向けて企業の国際競争力・成長力の強化を図るものとなったが、その柱は、1918(大正7)年の制度創設以来約40年ぶりの抜本的改正となる減価償却制度の見直しだ。減価償却制度について、国際的なイコールフッティングを確保し、企業の国際競争力を強化するため、償却に要する年数を欧米や韓国等に劣らないものとし、設備投資額の全額を損金算入できるように制度を改める。

 具体的には、今後(2007年4月1日以後)取得する資産について、残存価額(10%)を廃止し、法定耐用年数経過時点で100%まで償却可能な制度とする。また、現行制度では、資産を除却しない限り、償却可能限度額(取得資産の95%)までしか償却できないが、この償却可能限度額も撤廃する。現行制度で95%まで償却が進んだ資産については、事後5年間で全額(100%)まで均等償却できることとする。

 また、技術進歩が著しいIT分野の法定耐用年数を短縮する。対象設備は、液晶・プラズマテレビなどに使う画像表示装置であるフラットパネルディスプレイの製造設備(現行10年)や、そのカラーフィルターや偏光版であるフラットパネル用フィルム材料の製造設備(同10年)、半導体基板上に回路を焼き付けるための液体材料である半導体用フォトレジスト製造設備(同8年)で、これら3設備の法定耐用年数を一律5年に短縮する。

 こうした減価償却制度の抜本的な見直しによって、設備投資の費用を早期に回収(償却)することが可能になるため、1)資本コストが低下するとともに、2)減価償却費の増加によって、企業のキャッシュフローが増加し、その結果、企業による最先端設備の導入などの新規設備投資が促進されると期待されている。経済産業省では、設備投資が約7000億円、GDPが約1兆円増加すると試算している。