連結納税制度は、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる。そのメリットを裏付けたのは黒字申告割合の低さである。国税庁がまとめた連結納税に係る課税事績によると、今年6月までの1年間(2006事務年度)における連結法人の黒字申告割合は41.5%だった。連結グループの親法人はほとんどが大法人だが、大法人の黒字申告割合は53.7%、そのメリットは歴然としている。
今年6月末現在の連結法人数は、親法人724(前年度比15.1%増)、子法人6463(同6.9%増)の計7187法人(同7.7%増)だった。このうち、2006事務年度中に申告期限がきた581件(同24.4%増)の黒字申告割合は、前年度に比べ3.6ポイント上昇の41.5%だった。申告所得金額は同82.8%増の3兆3791億円と大幅に伸びた。申告欠損金額は同46.8%増の1兆3498億円だった。
大企業を中心とした景気拡大によって申告所得は2倍近くに増加しているのだが、それでも黒字申告割合は約42%にすぎない。ところが、連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数6164件のうち黒字分は64.1%にあたる3950件だった。連結納税でなければ、黒字申告割合は6割を超えることになる。総個別所得金額も4兆9171億円にのぼる。
連結納税の効果は大きい。それでも申告漏れはある。2006事務年度は連結親法人80件が実地調査され、うち76件から508億円の申告漏れを把握、約137億円が追徴された。前年度に比べ調査件数は25.0%増加し、追徴税額は181.4%増加した。また、調査件数の35.0%の28件は、仮装・隠蔽などによる不正計算があり、その不正脱漏所得金額は64億円だった。メリットの大きい連結納税、せめて申告だけは適正にしてほしいものだ。