2003年10月24日-001
改善しない景況感と高まる将来不安
今年に入って日本経済にも明るい兆しがみられるようになったが、老後を支える年金制度を始めとする将来不安もあって、暮し向きの実感は依然として改善されていない。NHK放送文化研究所が7月上旬に実施した「景気と暮らしの実感調査」結果(有効回答数1125人)によると、今の暮し向きについて「やや苦しい」(42%)と「とても苦しい」(10%)が計52%で、「ゆとりがある(十分+多少)」の46%を上回った。
1年前と比べた暮し向きについても、「楽になった(とても+多少)」は6%に過ぎず、「変わらない」が55%、「苦しくなった(少し+とても)」が38%にのぼった。企業決算は改善が目立ち、株価も回復基調、政府公表の実質経済成長率の四半期統計は6期連続のプラスとなっている。それにもかかわらず国民の実感が厳しいのは、大手製造業を中心とした民間企業の業績回復がまだ国民全体に波及しておらず、デフレ不況を克服するまでには至っていない現実を示しているようだ。
それとともに、将来不安が国民の景気への見方に影を落としている。老後を含めたこれからの暮し向きについては、「多少不安に思っている」(52%)と「とても不安」(33%)が計85%を占めた。前年の調査から4ポイント上昇し最も高い割合となった。特に40代では「とても不安」が42%にものぼった。
経済的な問題に絞った生活上で不安に思うもの(複数回答)では、「年金の受取額」が54%で最も多く、次いで「収入の低下」(44%)、「税金の支払」(21%)などとなっている。「年金の受取額」が不安との回答は前年から6ポイント増え、年齢別では40代で58%、50代で61%と特に高い。年金制度改革が大きな焦点となっているが、将来の年金給付に大きな不安を持つ高齢層と共に、保険料負担などの増加を懸念する若い世代に対しても年金制度の不信解消が急がれる。
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