帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、5月の倒産件数は1057件で、前月比は9.6%減となったものの、前年同月比は6.3%の増加となり、12ヵ月連続で前年同月を上回った。しかし、二ケタの増加率が続いていた昨年後半のような勢いはなく、前月比では2ヵ月連続の減少となるなど、ここにきて増加ペースに歯止めがかかりつつある。
一方、5月の負債総額は5115億9000万円で、前月比は0.8%の増加、前年同月比でも6.3%の増加となり、2ヵ月ぶりに前年同月を上回った。しかし、負債10億円以上の倒産が58件(前月81件、前年同月74件)と1年6ヵ月ぶりに50件台にとどまり、東証一部上場の新興デベロッパー、ジョイント・コーポレーションなど2社の負債1680億円が全体の3割を超えるなど、全体の負債総額は前月に引き続き低水準となった。
負債額別にみると、負債5000万円未満の小規模倒産が457件発生、構成比43.2%を占めた。一方、負債100億円以上の大型倒産も6件と、6ヵ月ぶりの一ケタ台となった。資本金別でも、個人経営と資本金1000万円未満の小規模企業が484件発生、構成比は45.8%を占めた。従業員別では、10人未満が823件、構成比77.9%を占めるなど小規模倒産が目立ち、従業員数合計は9178人と、11ヵ月ぶりに1万人を下回った。
今後は、6月に入って、株価も年初来高値を更新するなど景気は最悪期を脱しつつあるが、企業規模を問わず、需要不足による本業悪化と供給過剰という構造的な問題が解消されたわけではない。当面、国内景気は踊り場局面が続くとみられるうえ、仮に回復に向かったとしても、その過程で再び資金繰りに窮する中小企業が相次ぐおそれもあり、しばらくは厳しい経営環境が続きそうとみられている。