広告業の倒産件数、5月に4ヵ月ぶりの増加
帝国データバンクがこのほど発表した「広告関連業者の倒産動向調査」結果によると、5月の広告関連業の倒産は前年同期比29.4%増の22件となり、4ヵ月ぶりに増加に転じた。東日本大震災に伴う、主だった広告主の出稿のキャンセルや出稿マインドの落込みによる減少が、業者の資金繰りに影響を与えるタイミングが5月以降であるためとみられている。帝国データは「今後の倒産動向を注意深く見守る必要がある」としている。
一方、5月の負債総額については、前年同期比78.7%減の11億8900万円と4ヵ月連続で大幅減少となった。これは、中小企業者の倒産が主だったためで、倒産した企業にとって、このたびの大震災はその引き金に過ぎず、本質的には受注減少や業績不振など、前提となる要因が存在しているケースが多いと分析。つまりは、体力のない中小の業者から震災の影響がより深刻に現れたことによるものとみている。
2010年の広告関連業の倒産件数は、過去最悪となった前年(258件)を8.5%下回る236件となった。6年ぶりに前年比減少となったが、リーマン・ショックが発生した2008年を境に大幅に倒産が増加しており、3年連続で200件超えとなった。一方で、負債総額は同1.2%増の373億9400万円となり、過去最大となった。前年に引き続き60億円を超える大型倒産が発生したことで全体を押し上げた。
業態別にみると、「広告代理店業」が104件で全体の44.1%を占め、次いで「広告制作業」が90件、「ディスプレイ業」が26件。「広告代理業」は、前年比で件数は7.1%減少しているものの、負債総額は同136.8%増の274億800万円と2倍以上の大幅増加。負債額76億8100万円で破産した中央宣興(東京都中央区)の影響が大きいが、これを差し引いても前年比7割増で、倒産の大型化傾向がうかがえるとしている。
同動向調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110604.pdf