日本商工会議所は7月25日、首相官邸に小泉首相を訪ね、同月20日に決議した財政再建路線の見直しなど5項目の要望を盛り込んだ「政策アピール」を提出した。財政再建については、その重要性は認めつつも、経済成長の芽を摘んでは元も子もないことから、まずは、社会保障制度も含め、聖域のない徹底した行財政改革の断行を求め、“まず増税ありき”の姿勢に異を唱えた。
政策アピールは、国・地方とも厳しい財政状況にあるなかで、財政再建のための歳入増、特に消費税をはじめとする増税議論ばかりが先行していると指摘。納税者である国民や企業の理解を得るためには、まず国及び地方が「真に小さくて効率的な政府」の実現を目指し、聖域を設けない歳出削減をはじめ、徹底した行財政改革を断行しなければならないことを強調した。
このため、今後の財政や国民負担に特に影響を及ぼす社会保障制度について、給付水準の引下げを含め、整合性のとれた制度改革が必要だとして、特に著しい伸びを示している医療費の総額について、伸び率を名目成長率の範囲内に抑制する目標の設定、医療に関する情報化の推進、包括払い方式の導入、高齢者医療における自己負担の増額や終末医療の見直しなどを図ることを通して、その抑制に努めることを提言した。
公務員数についても、「小さな政府」に立脚して業務の要・不要を厳しく見直し、また、市場化テストなど民間開放や規制改革を推進し、今後5年間で国・地方それぞれ10%を大幅に上回る純減の実現を求めた。それとともに、地方公務員給与の地域の官民格差是正などにより、その人件費を大幅に削減すべきだとしている。
歳入改革については、経済の潜在成長力を十分に発揮させることを第一義とし、経済活力を損なわないように配慮しつつ、税負担の公平な配分を旨とした見直しを行うことを要望。国民の負担増は、経済活力だけでなく景気に悪影響を及ぼすため、経済情勢の推移を慎重に見極めるなど、タイミングを計ることの重要性を強調した。今後予想される定率減税の全廃など増税路線の実施時期や安易な消費税率の引上げに注文をだしたと思われる。
そのほかの要望項目など日商の「政策アピール」の全文は↓
http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/050720kakiseisaku.pdf