IT戦略本部(本部長:小泉首相)が1月に決定した「IT新改革戦略」においては、電子政府実現のため、国・地方公共団体に対する申請・届出手続きにおけるオンライン利用率を2010年度までに50%以上とすることを定めている。これを踏まえ、財務省は3月28日、国税関係のオンライン利用促進のための行動計画を策定し公表したが、注目されるのは国税電子申告・納税システム(e-Tax)の普及促進策だ。
e-Taxについては、2004年2月の導入以来、対象手続きや受付時間の拡大、利用開始(変更)届出のオンライン化など、機能・運用の改善を行い、積極的なPRを行ってきたが、なかなか利用が進まない。利用件数は、納税手続きも含めて2004年度で約7万件、2005年度は約18万件(2月28日現在)にとどまる。e-Taxを利用するための開始届出書の提出も、3月8日現在で約17万4千件という状況だ。
そこで、行動計画では、今後、1)第三者作成の添付書類のオンライン化、2)e-Taxソフトのダウンロード方式による配付、3)早期還付によるインセンティブ措置、4)確定申告期間における24時間受付、さらに、5)一部電子署名の省略など、利用拡大に向けて具体的に取り組み、公的個人認証など認証基盤の普及拡大にあわせ、e-Taxの利用促進を図る考えだ。
特に添付書類については、現在これの別途郵送が必要なことが電子申告普及の大きな阻害要因との声が多いことから、そのオンライン化で利用促進が期待できそうだが、いっそのこと、東京税理士会が2月に提言したように、税理士が電子申告を代理する場合は提出不要としたほうが効果が高いと思われる。また、電子申告税額控除などの実質的なインセンティブを与えることも検討すべきだと考えるが、いかがだろうか。