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必要経費・損金となる連鎖倒産防止共済の掛け金

税務関連情報 - 2009年02月20日

 アメリカ発の金融危機の影響により企業業績が悪化するなか、企業倒産も増加傾向にある。こうした状況下、中小企業倒産防止共済制度、いわゆる連鎖倒産防止共済への加入が急増している。運営する中小企業基盤整備機構によると、2008年3月末で約29万件の加入があるが、2008年後半にかけて新規加入件数が急増しており、昨年12月には前年同月に比べ2倍を超える3500件以上の加入(見込み数)があったという。

 同共済は、中小企業者が取引先の倒産などで連鎖倒産しないようにあらかじめ毎月5千円から8万円の範囲内で掛け金を積み立てておき、取引先が倒産して売掛金などが回収困難となった場合に、掛け金の10倍の範囲内で貸付が受けられる。また、掛け金の納付月数が12ヵ月を超えれば、任意解約によって掛け金の納付月数に応じて掛け金総額の80%から100%に相当する額を、解約手当金として受け取ることができる。

 こうした連鎖倒産防止共済の掛け金は税務上、個人の場合は、各年の事業所得の金額の計算上、必要経費に、法人の場合は、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができる。前納の期間が1年以内である前納掛け金についても、支払った年または事業年度の必要経費または損金の額に算入することができる。また、解約手当金は税法上、受取時点で、個人の場合は事業所得の雑収入、法人の場合は益金となる。

 このように、連鎖倒産防止共済は、税務上メリットが大きいことも加入増加の要因となっている。なお、個人が掛け金を必要経費に算入する場合は、「中小企業倒産防止共済掛け金の必要経費算入に関する明細書」を作成し、確定申告書に添付する必要がある。法人が掛け金を損金に算入する場合は、「特定の基金に対する負担金等の損金算入に関する明細書」(別表十(六))に必要事項を記入し、確定申告書に添付する必要がある。