創業間もないベンチャー企業への投資を優遇するエンジェル税制は、2007年度税制改正において適用期限が2009年3月末まで2年間延長され、制度の対象となるベンチャー企業の要件も拡充される。中小企業者の設立後5年未満の企業要件に、「開発者が2人以上かつ全従業員の10%以上」などの要件が追加され、これまで製造業が中心だった対象企業が、サービス業等を行うベンチャー企業も対象になり、支援対象が広がる。
エンジェル税制は、投資家がベンチャー企業に投資した時点では投資額をその年の株式譲渡益から控除し、売却時点では株式譲渡益の課税額を半分にし、損失は他の株式譲渡益から翌年以降3年間に限り繰越控除できる。このうち、売却時点での譲渡益の2分の1圧縮のみが今年3月末で期限切れとなることから2年間延長される。また、対象となるベンチャー企業要件に、開発者要件や売上高成長率要件が追加される。
現行制度は、「研究者が2人以上」や「試験研究費等が売上高に占める割合」などだが、 そこに、設立経過年数が0~2年の企業は「開発者が2人以上かつ全従業員等の10%以上」、2~5年の企業は「売上高成長率25%以上」との要件が追加される。開発者とは、商品・サービス等の企画・開発者、マーケティング担当者などで、また、売上高成長率とは、前期と前々期の売上高の伸び率または第1期から前期までの売上高の平均伸び率だ。
これらの要件の追加によって、これまで支援対象は製造業が中心だったものが、サービス業や小売業などにも広がることが期待される。さらに、事前確認制度が導入され、これまでは、企業が投資を受けた後に優遇の対象となるかどうかを経済産業局に確認する必要があったが、今後は投資家に対し事前に対象企業となるとの情報を提供することから、エンジェル投資家の拡大にも資するとみられている。