税 務 関 連 情 報 |
2003年02月10日-002
外国からの情報提供要請のための調査を拡大
税務調査の質問検査権が拡大されそうだ。企業活動の国際化が進むなかで外国の税務当局から情報提供の要請があることも少なくないが、このような場合に、日本の税務当局が国内の企業や個人を調査できるような規定が設けられる。2003年度税制改正の一環として「租税条約の実施に伴う所得税法、法人税法及び地方税法の特例等に関する法律」(租税条約実施特例法)の改正で手当する。
日本の税務当局は現在、租税条約に基づき米・英など54ヵ国との間で税務情報の交換規定を設けている。それは、脱税防止等を目的とした、利子・配当等に係る資料の定期的な交換や、調査で入手した情報の自発的な相手国への提供、相手国からの情報提供依頼に基づく情報交換だ。ところが現行法では、外国からの情報提供の要請が新たに国内企業等の調査を必要とする場合は、応じることができない。
税務職員の質問検査権は現在、各税法に基づき申告漏れ防止など徴税に関する調査にしか与えられていないためだ。このため、今は外国税務当局からの情報提供要請に対しても、国内に関する法人税調査ではないことから、その日本企業を反面調査することができない。逆にいえば、日本の税務当局が、海外活動を展開している国内企業の調査に関連して、外国企業の情報を得ることも困難な状態にある。
今回の改正は、このような国内法の整備の遅れが、ますます進展する企業取引の国際化の中での調査の妨げになるとの判断から行われるもの。改正後は、その情報提供が国防上の機密や企業の特許権に関する情報など公益に反する場合を除き、税務当局が質問検査権に基づき日本企業を調査することができるようになる。
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