今年度税制改正で導入された特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入措置は、いわゆる実質一人会社のオーナー給与の給与所得控除相当額を損金不算入とするものだが、自社が同制度の対象となるかはやはり関心が高く、財務省や国税当局への問合せも多いようだ。そこで財務省は、9月から同省ホームページ上に2006年度税制改正の解説を掲載しているなかに、特に同制度に関するQ&Aを強調して案内している。
そこでは、制度の対象となる実質的な一人会社(特殊支配同族会社)とは、オーナー及びその同族関係者等が株式等の90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占めている会社であると説明。また、業務を主宰する役員とは、通常は代表取締役や社長といわれる役員が該当すると考えられるが、実質的な関わりにより判定することになるため、例えば、役員給与の多寡などもその判断の一つの要素となると注意している。
そのほか、一部の納税者の間で、オーナーの家族に支払った給与についても、今回の制度により損金算入が認められないのではないかという疑問があることに対しても回答している。それによると、個人事業者において専従者給与が必要経費として認められていることを踏まえれば、オーナーの家族の職務に対して支払った給与については、今回の制度の対象にはならないという。
この実質一人会社規制に関するQ&Aは、基本的な質問6項目を解説したもので、すでに概要を理解している納税者にとっては目新しいものではないが、巻末に制度の対象の可否を判断するフローチャートが掲載されている。注目を集めている実質一人会社規制だが、意外に自社が適用対象となるのかを考えていない経営者が多い。そろそろ真剣なシミュレーションが必要と思われる。まずはこのフローチャートが参考になる。
財務省の一人会社規制に関するQ&Aは↓
http://www.mof.go.jp/jouhou/syuzei/tokusyu_qa.pdf