経済産業省では、企業が職場で求める能力(社会人基礎力)の明確化を図るとともに、企業の人材ニーズを把握するため、昨年10月にアンケート調査を実施し、企業が採用や人材育成において重視する能力について調査分析を行った。経産省の「社会人基礎力研究会」では、社会人基礎力とは、「職場や地域社会のなかで多様な人々とともに仕事を行っていくうえで必要な基礎的な能力」と定義している。
調査結果(有効回答数:東証一部上場企業194社、中堅・中小企業490社)によると、上場企業の97.4%、中堅・中小企業の93.2%と9割を超える企業が、新卒社員の採用プロセスや入社後の人材育成において「社会人基礎力」を重視していることが分かった。しかし、「求める人材像」の明示については、上場企業の約7割超(72.7%)が実施しているのに対し、中堅・中小企業では35.5%と4割に満たなかった。
また、企業が求める人材像について、社会人基礎力(12の能力要素)との関係でみると、「実行力」(70.8%)、「主体性」(68.7%)、「課題発見力」(65.8%)、「計画力」(64.5%)、「状況把握力」(62.8%)などの能力が高い割合で求められている。他方、若手社員に不足が見られる能力要素としては、「主体性」(48.2%)、「課題発見力」(44.4%)、「創造力」(44.2%)などが指摘され、企業側のニーズと現実のギャップがあることがうかがえる。
なお、経産省の研究会では、社会人基礎力の12の能力要素を、主体性や実行力など「前に踏み出す力(アクション)」、課題発見力や計画力など「考え抜く力(シンキング)」、発進力や柔軟性など「チームで働く力(チームワーク)」の3つの能力に分類しているが、求める人材像との関係では、全体では「前に踏み出す力」との関係が深く、上場企業と比較して、中堅・中小企業では「チームで働く力」を求める傾向が強い。
同調査結果の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/20070312001/jinzaizoutyousa.p-r.pdf