税 務 関 連 情 報 |
2002年02月20日-001
再燃するか特別土地保有税の廃止論
平成14年度の地方税制改正の中に特別土地保有税における徴収猶予制度の特例措置の要件緩和とその対象範囲の拡大があるが、同税については、土地投機を抑制するという本来の政策税制の役割は終わったとして、廃止・課税停止すべきだとの声が強い。
土地を譲渡した場合における特別土地保有税の徴収猶予制度の特例措置とは、事業計画を変更した場合に、その事業計画を変更した者に対し徴収猶予の継続及び納税義務の免除を認めるもの。今回の改正では、現行の平成13年4月1日現在で徴収猶予を受けている者に限るという時点要件を廃止し、その翌日以降に徴収猶予を受けた者も適用範囲に含める。また、事業計画変更の対象も、現行の住宅等だけでなく、オフィスビルや店舗等の建物、構築物まで拡大すると同時に、納税者自らが計画変更する場合だけでなく、対象土地を譲渡された者が変更する場合もその対象とされることになる。
今回の改正の目的は、資産デフレから脱却できないわが国の現状から、土地の有効利用の促進を図ることだが、そもそも特別土地保有税は、土地の投機的取引を抑制して宅地供給を促進するために昭和48年に創設されたものだ。政策税制であることから、土地を巡る情勢の変化に応じて見直しが行われた結果、土地利用計画に適合し、恒久的な建物や施設などに使われる予定の土地に係る徴収猶予及び納税義務の免除制度の創設などにより、ほとんどの土地については税負担が生じない仕組みとなっている。
したがって、政策目的が意味を失った今は、徴収猶予等に係る申請事務の煩雑化などがかえって土地の流動化・有効利用を妨げているとの指摘がある。昨年の税制改正論議の中でも、不動産取得税や新増設分に係る事業所税とともに廃止・課税停止が議論された経緯があるが、ひっ迫する地方財政から見送られた。今回の改正も、廃止論から免れるための小手先の見直しと勘ぐることもできなくはない。しかし、早晩、廃止・課税停止に向けた議論が再燃することは間違いない。
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