法人関連の2006年度税制改正では、過去に景気対策として導入されたIT投資促進税制や研究開発促進税制の2%上乗せ部分などの時限措置が3月31日の適用期限をもって廃止された。代わりに高度な情報セキュリティ投資を優遇する「情報基盤強化税制」が創設されたが、従来のIT投資促進税制に比べ対象資産の範囲が限られている。そこで、あらためて注目されるのが中小企業投資促進税制の活用である。
中小企業投資促進税制も3月末で適用期限を迎えていたが、こちらは、対象資産にソフトウェア及びデジタル複合機を加えるとともに、電子計算機以外の器具・備品を除外したうえ、その適用期限が2008年3月31日まで2年間延長された。中小企業投資促進税制は、情報基盤強化税制に比べ、購入価額(リース総額)の基準も低いため、中小企業者にとってはより活用しやすい税制措置と思われる。
対象設備は、1)1台(1基)の取得価額が160万円以上の機械・装置(リースの場合は210万円以上)、2)同一種類の設備の複数台数の合計取得金額が120万円以上の器具・備品(電子計算機とデジタル複合機)(リースの場合は160万円以上)、3)取得価額が70万円以上の一定のソフトウェア(リースの場合は100万円以上)、4)貨物運送用の普通自動車で車両総重量が3.5トン以上のもの、5)内航海運業用の船舶、である。
これらの対象設備を取得して事業の用に供した場合は、取得価額の7%の税額控除または取得価額の30%の特別償却との選択適用が認められる。一定の要件を満たすリース契約により賃借するリース資産についても税額控除を適用する。なお、取得資産に対して税額控除と特別控除の選択適用ができるのは資本金3000万円以下の法人・個人であって、それ以外の資本金1億円以下の法人は特別償却のみの適用となる。