税 務 関 連 情 報

2002年11月13日-001
「生活に通常必要でない資産」は客観的に所有目的を認定すべき

 所得税法上、不動産所得に係る損失は、「生活に通常必要でない資産」以外は他の所得と損益通算できる。この判定に当たっては、「主たる所有目的」が重視されるが、国税庁はこのほど、高裁レベルにおける初めての判断を示した裁判例として、仙台高裁平成13年4月24日の判決を明らかにした。

 この裁判は、A医師が、リゾート地にあるリゾートホテルの一室の貸付けから生じた損失を他の所得と通算して申告したことから始まる。税務署側は、この物件は「生活に通常必要でない資産」だとして損益通算を認めなかった。そこでAは、保養の目的ではなく、不動産所得を得るために取得したものだから、その損失は損益通算できると主張、処分の取消しを求める訴訟を起こした。

 第一審の盛岡地裁では「主たる所有目的が保養にあったと解することはできない」としてAの主張が認められたことから、税務署側が高裁の判断を仰いだもの。仙台高裁は、「主たる所有目的の認定に当たっては、諸般の事情を総合考慮して、所有者の主観を重視するのは相当ではなく、客観的に所有者の主たる所有目的を認定すべき」として事実関係を審議した。

 その結果、このリゾートホテルの一室について、1)リゾート地として、別荘等の分譲が行われているという立地条件、2)無料宿泊や隣接ゴルフ場などを利用する権利が与えられるオーナーが受ける利益、3)年4回以下というAの利用実績などから、Aに保養の目的があったと認めざるを得ないと判示して原審の判断を排斥している。

 

 

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