国税庁は、今年6月までの1年間(2006事務年度)に資本金1億円以上の大企業(調査課所管法人)に対する調査を4716件(前年度比4.6%増)実施し、うち3748件(同2.0%増)から9004億円(同0.3%増)の申告漏れを見つけ、加算税267億円を含む2365億円(同17.6%増)を追徴した。また、移転価格税制を適用して追徴課税した件数が101件と2年連続で100件を超えた。
調査した4716件のうちで故意に仮装・隠ぺいなどによる不正計算があった件数は、全体の16.1%(同1.4ポイント増)の758件(同14.2%増)で、その不正脱漏所得金額は667億円(同5.0%増)だった。1件あたりの申告漏れ所得金額は4.1%減の1億9092万円となった。また、不正1件あたりの不正脱漏所得金額も8.0%減の8800万円にのぼり、やや減少したとはいえ、不正の大口化は相変わらず続いているようだ。
大企業の海外取引に係る調査では、前年度比5.8%減の834件から同21.5%減の3992億円の申告漏れ所得を把握した。このうち、移転価格税制を適用して追徴課税した件数は同15.1%減の101件と昨年に引き続き100件を突破し、その申告漏れ所得は同62.9%減の1051億円となった。なお、海外子会社との取引価格をあらかじめ国税当局に確認する事前確認を申し出たのは92件で、72件が承認され224件が繰り越されている。
海外取引に係る調査事例では、印刷機械等の販売を営む法人に対して実地調査を実施したところ、海外子会社の清算に伴い、同社に対する債権が回収不能になったとして貸倒損失を計上していたが、同社の保有財産を簿外で処分して債権を回収し、その回収資金を海外の銀行口座に留保していた事案が報告されている。申告漏れ所得1億8000万円に対し、7000万円の税額が追徴されている。