経済産業省では2006年から、金型や鋳造・鍛造、めっきなどの基盤産業を中心に、独自の高い技術を持つ中小企業を「元気なモノ作り中小企業300社」として選定している。帝国データーバンクは、これらの2006~2008年の間に選定された企業(計899社)を対象にアンケート調査を実施したところ、6割超の企業が雇用創出で地域に貢献していることや、製造業界をけん引する選定企業の意識の高さがうかがえる結果となった。
調査結果(有効回答数450社)によると、技術・製品開発においての最重要項目は、「情報の収集・蓄積」を挙げた企業が29.8%、次いで「人材の育成」が22.0%となった。「ヒト・モノ・カネ・情報」の4要素のうち、「情報」と「ヒト」を最重要視する企業で半数を占めた。技術の進歩や環境の変化が目まぐるしい製造業の世界では、自社の位置づけや最新技術、顧客ニーズの把握などが欠かすことのできないファクターとなっている。
製品の販路開拓についてもっとも力となった点は、「直接営業」を選択した企業が45.1%と約5割、以下、「取引先や同業企業の協力」(23.3%)に次いで、「展示会出店」が16.9%で続いた。複雑な技術を含む製品を扱う製造業にとって、実際に製品に触れてもらうことができる展示会は、新規顧客開拓に有力な手段とされている。一方、急速に拡大している「ホームページ広告」は4.4%と、一手段としての位置づけにとどまった。
自社のものづくりが地域・自治体にもたらしているもの(複数回答)では、65.1%の企業が「雇用創出」を挙げ、また、「税収の増加」を選択した企業も44.2%と多かった。一方で、まだ自社が発展段階にあり、地域や自治体に貢献できるレベルにないという回答もみられた。そのほか、「地域資源の活用」は17.3%、「地場産業の競争力の回復」は20.2%と、地域ごとの特性がみられる選択肢を選んだ企業は2割前後にとどまった。
反対に、自社のものづくりにおいて地域・自治体から得ているもの(複数回答)では、補助金や優遇税制、研究施設の利用などを含む「支援施策」を挙げた企業が50.2%、次いで「人材」が34.9%だが、「特にない」とした企業も13.6%と二ケタにのぼった。「支援施策」の選択率では地域差がみられ、「中国地域」に属する企業が66.7%と最多だが、都市圏である「関東」・「東海」・「近畿」の3地域は全国平均50.2%を下回る結果となった。
同アンケート調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/k081001.pdf