東京商工会議所はこのほど2009年度税制改正に関する要望を公表し、景気後退局面入りが明確になり、原材料価格の高騰にも耐え得る体質改善が求められるなか、(1)景気浮揚に向けた税制、(2)省エネ技術の開発・普及を後押しする税制、(3)「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」の確実な制度化を始めとする、中小企業の活性化・経営革新を促す税制の一層の拡充、などを求めた。
景気浮揚に向けた税制では、(1)法人実効税率(40.69%)の諸外国並みの水準(30%程度)までの引下げ、(2)期限切れを迎える住宅ローン減税の延長・拡充や高齢者層から現役世代への資産移転を促す贈与税の基礎控除(110万円)の引上げ、(3)わが国の金融・資本市場の強化のために、金融所得課税一体化の一層の加速や確定拠出年金の拠出限度枠の拡充、高齢者投資マル優制度の創設などを要望した。
原材料価格の高騰にも耐え得る体質への転換を図る観点からは、激変緩和措置として急激な価格高騰に対するエネルギー関係諸税の一時的な引下げも視野に対応するとともに、低炭素社会の実現に向けて、環境税のような新たな税負担を求めるのではなく、省エネ技術や新エネルギーに係る研究開発への減税や、省エネ商品への買換えを促す税制など、省エネや新エネ投資へのインセンティブを付与する税制を求めている。
中小企業の活性化を促す観点からは、法人税の軽減税率(22%)の引下げや適用所得金額(800万円)の引上げを始め、特殊支配同族会社の役員給与の損金算入制限措置の廃止や欠損金の繰戻還付措置の全面復活などを要望。さらに、事業承継問題については、来年度改正での創設が決定している「非上場株式に係る相続税の80%納税猶予制度」の確実な制度化と同制度が中小企業にとって使いやすい制度になるよう求めている。
同要望の詳細は↓
http://www.tokyo-cci.or.jp/kaito/teigen/2008/200911-3-1.pdf