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税務関連情報 (2006/12/20)

相続税調査で3882億円の申告漏れ課税価格を把握

 国税庁がこのほど発表した2005事務年度分の相続税調査事績によると、今年6月までの1年間に2003年分及び2004年分の申告事案を中心に1万4218件の調査を実施し、うち85.2%にあたる1万2119件から総額3882億円の申告漏れ課税価格を把握した。前年度に比べ、調査件数は3.3%増え、申告漏れ件数も1.9%増加したが、申告漏れ課税価格は3.0%減少し、1件あたりの申告漏れ課税価格では4.8%減の3203万円となった。

 また、加算税121億円を含めた追徴税額は864億円(対前年度比6.5%減)で、申告漏れ1件あたりでは713万円(同8.2%減)となる。また、仮装・隠ぺいなど意図的な不正を行ったとして重加算税を賦課された件数は、申告漏れ件数の14.7%にあたる1781件(同5.4%増)で、その不正申告漏れ課税価格は698億円(同14.8%増)にのぼった。

 調査に基づく申告漏れ相続財産額の構成比は、「現金・預貯金等」が37.5%(1464億円)を占め、貸付金や生命保険金などの「その他」が25.0%(976億円)、「土地」が18.9%(738億円)、「有価証券」が16.7%(651億円)の順だった。申告漏れの手口としては、多額の現金や公社債を自宅などに隠していたケースや、預貯金が借名・仮名や家族名義だったことから申告除外するケースが相変わらず目立つという。

 例えば、不動産貸付業だった被相続人に係る調査をした結果、被相続人は生前、所得税の申告から除外した不動産収入を公表外金融機関において、仮名・借名預金や現物割引債券として運用していた事実が判明。相続人は、これらの財産が不正に蓄えられたことや、公表外金融機関での取引だったことから、税務当局には簡単に発見されないと考え、申告から除外していた。申告漏れ課税価格1億5千万円に対し税額3600万円が追徴された。