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自己株式の受取配当の益金不算入と贈与の課税リスク

税務関連情報 - 2008年03月07日

 税法上、法人株主についての受取配当金は益金に含めないという「受取配当等の益金不算入」という規定がある。これは、配当金が、その配当を支払った法人の所得としてすでに課税されているため、配当を受けた法人の益金とすると二重課税となってしまうからだ。ところで、自己株式の取得・保有・処分は2001年度の商法改正で原則自由となったが、このような自己株式の保有による配当金はどうなるのかという問題がある。

 何らかの事情で自己株式を保有している中小企業は少なくない。例えば、取締役の退任にともない買い取った自己株式や、会社の役員や使用人等の名義で他法人の株式はもちろん自社の株式を保有しているケース(名義株式)がある。こうしたケースで株式配当金を会社自身が受け取ったときは、税法上は自社株式も一般の有価証券と同様に取り扱われることから、その株式の配当金については、益金不算入の規定が適用される。

 一方、よくありがちなのが自己株式を社長に贈与するケースだが、この場合、課税リスクがあることを覚悟する必要がある。例えば、自己株式を3万円で取得し、現在の価値が5万円だとする。この自己株式を社長に贈与した場合には、会社は社長に5万円の「寄附」を行ったことになり、寄付金課税の対象となる一方、社長自身は5万円の「役員賞与」をもらったことになる。

 ちなみに、このように臨時的にもらう役員賞与は、法人税法上、損金不算入となるので注意しなければならない。また、会社は、自己株式の取得価額と時価の差額の2万円を「資本金等」に加える処理が必要になること知っておきたい。併せて、受取配当等の益金不算入の規定は、確定申告書に、この規定を受ける金額を記載しなければならないという要件があることにも留意しておきたい。