経済産業省は3日、商工会や商工会議所の経営指導を受けた小規模着業者に対し、日本政策金融公庫が無担保・無保証人で融資を行う小規模事業者経営改善資金(マル経)融資制度について、このほど拡充することを発表した。中小・小規模企業を取り巻く環境は非常に厳しい状況であり、販売不振や在庫の長期化などを要因として、資金繰りについても一段と厳しいものとなっていることを踏まえ、措置するもの。
世界経済の減速に伴う輸出減少やわが国の景気後退の影響により、小規模企業を含めた中小企業の景況感は一段と悪化。中小企業景況調査(中小企業庁)における業況判断DI(前期比、「良い」-「悪い」)をみると、小規模企業の数値はここ2年ほどで20ポイント程度悪化し、▲42.2まで落ち込んでいる。また、中小企業の借入難度指数は2001年~2004年に比べてなお高い水準にはあるものの、2007年の年央辺りから弱含んでいる。
こうした状況を踏まえ、全国商工会連合会から要望がなされたマル経融資制度の拡充を実施することにしたものだ。具体的には、(1)返済期間について、運転資金は現行の5年から7年に、設備資金を現行の7年から10年にそれぞれ延長、(2)元本返済の据置期間について、現行6ヵ月から運転資金は1年、設備資金は2年にそれぞれ延長、(3)融資限度額は現行1000万円を1500万円に引き上げる。
経産省としては、拡充された新たな制度について、現在、政府・与党が検討している追加経済対策に盛り込み、財務当局と調整して速やかに実施できるよう取り組んでいく考えだ。なお、マル経融資制度は、最大1000万円までを金利2.0%で貸し付けるものだが、申込の要件に、経営指導を原則6ヵ月以上受けている、所得税、法人税等の義務納税額をすべて完納している、商工業者(最近1年以上事業を行っている者)、との3つがある。