日本証券業協会(日証協)は、上場株式等の譲渡益・配当について、上限なしにすべて10%課税とし、確定申告を不要とする簡素な制度創設を柱とする2009年度税制改正に関する要望を公表した。日証協は、政府が進める「貯蓄から投資へ」の流れを加速・確実なものとするため、わが国の個人金融資産に占める投資商品の保有割合を、現在の約20%から欧米並みの30%に引き上げるという目標を掲げている。
現行の上場株式等の譲渡益・配当に対する10%(所得税7%、住民税3%)の軽減税率は、2009年1月以後本則税率20%(所得税15%、住民税5%)に戻すものの、円滑な移行のため2009・2010年の2年間に限り、500万円以下の譲渡益及び100万円以下の配当については、引き続き10%の軽減税率が適用されることになっている。ただし、この適用限度額を超える場合には確定申告が必要となる。
こうした制度の複雑化や、確定申告に伴い配当・譲渡益課税以外の追加負担(国民健康保険等の負担増)が生じ、軽減措置の意義が減殺されるばかりではなく、源泉分離課税で完結する預貯金利子等に比べて著しく不利な取扱いとなると指摘。「貯蓄から投資へ」の流れが減速することを回避し、投資家の安心と利便性を確保するため、上限なしに10%課税とし、確定申告を不要とする簡素な税制とすることを強く要望している。
そのほか、(1)英国の個人投資優遇制度(ISA)の日本版の創設、(2)拠出限度額の引上げなど確定拠出年金制度の拡充、(3)利子所得も含めた金融所得全般に対する一体化課税の促進、(4)株式及び株式投資信託の贈与・相続における評価額について、「現行制度の70%相当額」または「直近1年間のうちもっとも低い最終価格」のいずれか選択できる課税の軽減措置、などを税制改正要望事項として盛り込んでいる。
同要望の詳細は↓
http://www.jsda.or.jp/html/zeisei/pdf/0809zeisei.pdf