潜在的な国民負担率とは、現在国民が支払っている税金や社会保険料(年金・医療費などの保険料)に加えて、財政赤字という形で将来世代へ先送りしている負担額を合計したものが、国民所得の何%にあたるかを表したもの。国民が所得のうち、どれだけ公的負担として支払わなければならないかを示す一つの目安となる。少子高齢化が進むなか、財政再建や社会保障制度再構築のため、この潜在的国民負担率は上昇せざるを得ない。
2004年度における潜在的な国民負担率は約45%(うち租税負担21.4%、社会保険料14.2%、財政赤字9.5%:国民一人あたり約132万円)となる見込み。ところが、政府の試算では、高齢化によって年金や医療・介護費が増えつづけると、他の支出の伸びをゼロと仮定しても、その費用を賄うために、2025年度には約56%程度(うち租税負担28%、社会保険料18%、財政赤字9.5%:同約243万円)になると見込まれている。
政府は、この潜在的な国民負担率を高齢化のピーク時でも50%程度に抑えることを目指している。そのためには、公共サービスなどの受益と負担のバランスが重要になる。例えば、年金・医療・介護等の社会保障給付、教育・防衛・警察等の公共サービス、道路・防災施設・公園建設等の公共事業などの政府支出に対し、どの程度の負担増を許容するかということについて、国民一人ひとりに選択が求められる。
内閣府が実施した国民負担に関する意識調査結果では、現在の潜在的な国民負担率が約45%であることを「知っていた」人は16.9%、将来50%台後半まで上昇する見通しなのを「知っていた」人は17.7%と、ともに2割未満だった。好むと好まざるとにかかわらず、国民の一人ひとりが負担増を引き受けざるを得ない状況にある。だからこそ、このような公的負担や税金に今まで以上に関心を持つ必要があるのではないか…。