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コンピュータ・ウイルスに関する罪7月14日から施行

経営関連情報 - 2011年07月20日

 「情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律」が6月24日公布され、罰則部分については、一部を除き、7月14日から施行された。この法改正により、刑法に不正指令電磁的記録に関する罪(いわゆるコンピュータ・ウイルスに関する罪)が新設された。同法の施行に当たり政府が特段の配慮をすべき事項として、不正指令電磁的記録に関する罪の構成要件の意義を周知徹底することに努めるとされている。

 不正指令電磁的記録に関する罪は、いわゆるコンピュータ・ウイルスの作成、供用等を処罰対象とするもの。この罪は、電子計算機のプログラムが、「人が電子計算機を使用するに際してその意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせるべき不正な指令」を与えるものではないという、電子計算機のプログラムに対する社会一般の者の信頼を保護法益とする罪であり、文書偽造の罪などと同様としている。

 例えば、プログラムを、行政機関からの通知文書であるかのように装って、その旨の虚偽の説明を付すとともに、アイコンも偽装するなどして、事情を知らない第三者に電子メールで送り付け、その旨を誤信させて実行させ、ハードディスク内のファイルを全て消去させたというような場合には、そのプログラムの動作は、使用者の「意図に反する」、「不正な」ものに当たり、不正指令電磁的記録として処罰対象となり得る。

 ただし、いわゆるバグはプログラミングの過程で作成者も知らないうちに発生するプログラムの誤り、不具合をいい、コンピュータの使用者にはバグは不可避的なものとして許容されていると考えられ、「意図に沿うべき動作をさせず、またはその意図に反する動作をさせる」との要件も、「不正な」との要件も欠き、不正指令電磁的記録には当たらない。不正指令電磁的記録取得・保管罪の法定刑は、2年以下の懲役または30万円以下の罰金。

 この件の詳細は↓
 http://www.moj.go.jp/content/000076666.pdf

 サイバー刑法Q&Aは↓
 http://www.moj.go.jp/content/000073740.pdf