税務職員を装い「税金を還付する」などと持ちかけて、現金自動預け払い機(ATM)を操作させ振込みを行わせる「振り込め詐欺」が関東を中心に多発している。ほとんどの手口が「還付金があるから銀行のATMで手続きするように」との電話があり、ATMの前で指定されたフリーダイヤルなどの番号に電話すると、指示どおりにATMを操作するうちに、自分の口座から見知らぬ口座に現金を振り込んでしまうというもの。
例えば、栃木県小山市の無職男性(64)のケースでは、指示どおりにATMを操作したところ、送金先口座を入力した結果となり、「還付の手続きをするので、国税庁の暗証番号を入力してください」などとの指示に従い、暗証番号と同じ金額を3回にわたり計499万円送金してしまいだまし取られている。同様な手口の詐欺事件は、東京都や神奈川県、千葉県などでも発生しており、未遂も含めると1都3県で100件以上にのぼるという。
国税庁では、税務署や国税局では1)フリーダイヤルの電話は設置していない、2)還付金受取りのために金融機関等のATMの操作を求めることはない、3)国税の納税のために金融機関の口座を指定して振込みを求めることはない、として不審な電話があった場合は、指示された電話番号(フリーダイヤル)に連絡せずに、所轄の税務署まで電話で問い合わせるようにするなどの注意を呼びかけている。
また、東京都では、都税事務所の職員を装い、電話で納税者の口座番号等の個人情報を聞き出そうとする悪質な事例が発生していることから警戒を呼びかけている。都主税局によると、こうした事例が今年4月から8月にかけて34件発生しており、昨年同期間の11件に比べ3倍に増加している。不審な電話には即答せず、相手の氏名や所属する都税事務所名、電話番号を尋ねるなど、慎重な対応が必要だ。