少子高齢化や経済構造の変化が進展するなか、価値観の多様化や仕事と家庭の両立などのニーズに対応して、働き方やライフスタイルの見直しが急務となっており、多様な働き方の選択肢を広げる多様就業型ワークシェアリングの推進の必要性が高まっている。厚生労働省がこのほど公表した多様就業型ワークシェアリングに関する実態調査では、個人回答者の約4割が「短時間正社員」「在宅勤務」を希望していることが分かった。
調査結果(有効回答数2166人、646企業)によると、ライフステージ別にみて短時間正社員という働き方への希望が多いのは、「介護が必要とする家族がいる時期」や「高齢期」、「学習活動に取り組みたい時期」が7割台と多い。在宅勤務では、「介護を必要とする家族がいる時期」が75%、「高齢期」が69%、「子どもが未就学の時期」が67%となっている。
現時点で「短時間正社員」という働き方を希望する者は37%を占めるが、「30歳代」の女性が6割以上で最も多く、男性も「20歳代」で約4分の1が希望している。また、現時点で「在宅勤務」を希望する者は39%となっており、男女とも「30歳代」の希望が最も高くなっている。
一方、企業の導入状況をみると、正社員の所定労働時間を一時的に短くする「短時間正社員制度タイプA」は28%、所定労働時間をフルタイムの正社員より短く設定する「同タイプB」は7%、「在宅勤務制度」は3%という導入割合となっている。短時間正社員制度の対象者は、「タイプA」では「家庭内に要介護者を持つ正社員」と「未就学の子どもを持つ正社員」が8割弱と多く、その他の事由はほとんどない。
「タイプB」では、「未就学の子どもを持つ正社員」が54%、「家庭内に要介護者を持つ正社員」が44%と多いが、「理由を問わず短時間勤務を希望する正社員全員」「短時間正社員としての勤務を希望する新規採用者」「短時間正社員への転換を希望するパートなど非正社員」もそれぞれ1割程度ある。