経済産業省は22日、日本企業の海外利益を国内に還流しやすくするため、海外子会社からの受取配当を非課税とする益金不算入制度の創設を要望する税制改正案を公表した。近年、わが国企業は、日本の高い法人税率を嫌って、海外子会社利益の多くを国内に資金還流せずに海外に留保する傾向がみられることから、海外に滞留する所得を国内に還流し、研究開発投資など国内投資を活性化させる狙いがある。
近年、わが国企業の海外生産比率は約3割強に上昇するとともに、海外子会社の利益は2001年と比べ4.2倍にまで大幅に増加している。ところが、わが国企業は、この海外利益の多くを国内に資金還流せずに海外に留保する傾向がみられ、海外での内部留保額が急増している。経産省の調査によると、毎年2~3兆円強が海外子会社に留保され、2006年度には約17兆円強の利益が内部留保されている。
こうした傾向の一因には、現行制度の下で海外子会社利益を日本に資金還流すると日本の高い法人実効税率(約40%)が適用されることがある。現行制度は、日本企業が稼得した所得であれば、国内国外を問わずすべてに日本の法人税率で課税する全世界所得方式を採用している。企業が国外で納めた税金を日本国内での法人税額から控除(外国税額控除)するが、日本の法人実効税率は主要国でもっとも高い水準にある。
そこで、海外子会社利益の国内還流に際しての税制上の障害を取り除くため、全世界所得方式の下での外国税額控除から、国外所得免除方式への移行を要望したわけだ。具体的には、原則出資比率25%以上の海外子会社から受け取った配当(株式保有期間は6ヵ月以上)を非課税とする。現行制度でも課税できていない海外留保所得を、非課税にしても税収に悪影響が出ないことから、財務省の理解も得やすいとみられている。