税 務 関 連 情 報

2001年12月12日-001
なぜ今ごろになって交際費減税?

 大詰めを迎えた来年度税制改正の議論に突然浮上したのが企業の交際費非課税枠の拡大だ。現行の交際費の税務上の取扱いは、資本金1,000万円以下の企業は400万円まで、資本金1,000万円超5,000万円以下の企業は300万円までの交際費について、その8割が損金算入でき、資本金5,000万円超の企業は全額課税となっている。自民党税調案では、資本金5,000万円以下の中小企業については非課税枠を100万~200万円引き上げ、資本金5,000万円超の企業についても何らかの非課税枠を設けるという。

 交際費の非課税枠は、企業の過剰接待が汚職などの温床として社会問題化したこと等を背景に設けられたものだが、一面、飲食店などを中心に消費拡大に寄与していた面も否定はできない。だから、「交際費の非課税枠を拡大すれば、消費拡大につながり景気刺激効果となる」との連立与党の思惑も肯けないこともない。しかし、待てよ、それなら何故もっと早く実施しなかったのか。長引く不況で青息吐息の企業がほとんどという状況の中で、交際費が減税になったからといって、目一杯使おうなどと考える企業経営者がどこにいるのか。まさに“猫に小判”状態ではないか。交際費減税が実現すれば街の飲食店などの期待は膨れようが、その消費拡大効果には疑問が残る厳しい経済環境がある。

 では何故、政府与党が税制改正大綱の決定間際になって交際費減税という“甘いアメ”を持ち出したかといえば、結局のところ、高齢者マル優制度の廃止・縮小や1本当たり1円上げれば2,000億円前後の増収となるたばこ税の増税、公算は薄いが、財務省が手を変え品を変え諦めきれずに増税を狙う発泡酒の税率引上げなど、一連の増収策の“つじつま合わせ”と勘ぐれないこともない。一旦増税したものはいつまでも残り、減税はいつでも止められる、それがわが国の税制改正なのだ。

 

 

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