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暫定税率廃止・高速道路無料化はCO2急増と試算

税務関連情報 - 2009年08月21日

 自治体の環境政策に携わる環境自治体会議・環境政策研究所はこのほど、民主党が参院選のマニフェスト(政権公約)に掲げた自動車関連の暫定税率廃止と高速道路の無料化が実施されると、年間の二酸化炭素(CO2)の排出量が980万トン増えるとの試算を発表した。この増加量は、一般家庭の年間排出量に換算すると約180万世帯分に相当し、休日の高速道路「千円乗り放題」で増加が見込まれる年245万トンと比べても4倍になる。

 高速道路無料化・暫定税率廃止が実施されると、乗用車利用に関する費用が低減されるため、乗用車の交通手段分担率が増加する。この試算では、県境をまたぐ移動に新幹線や高速バスなど公共交通機関を使っていた人の一部が、自動車を利用するようになると仮定して算出したところ、自動車の輸送量が21%増えるのに対し、航空機は11%減、鉄道は36%減、バスは43%減と、公共交通機関は軒並み減少する。

 その結果、CO2排出量が少なくとも年間980万トン増加するとの試算だが、これは交通部門全体の排出量約2億5000万トン(2007年度)に対して4%程度にあたる。この試算では、地域内流動に関する分は推計していないので、それを加えると、国内全体では、影響はさらに2~3倍に拡大する可能性がある。そのほか、交通事故の増加(年間死者250人、負傷者4万2000人増加と試算)など社会的問題にもつながるという。

 今回の試算以外に、気候ネットワークほか環境NGO団体は今月5日、自動車関連諸税の暫定税率廃止・高速道路無料化は温暖化対策に逆行するとして、高速道路無料化・割引は撤回し、暫定税率は炭素税などにシフトするよう求める共同声明を発表している。今月30日の衆院選の結果次第だが、政権を担いそうな民主党のマニフェストだけに、各方面に大きな波紋を呼んでおり、今後の動向が注目されるところだ。