経済同友会は先月28日、小さな政府と民間主体の活力ある経済社会の確立を目指し「行財政抜本改革と公平・公正な税制の構築」と題した提言をまとめ公表した。そのなかで、わが国税制に対する納税者の信頼欠如の要因は公平性が確保されていないことだと指摘。特に、長らく給与所得者が抱く不公平感の主因となってきた所得補足の不公平、いわゆるクロヨン問題の抜本的な解決を求めた。
提言では、具体的な解決策として、1)住民票コードを活用した納税者番号制度の確立、2)給与所得者の申告納税への制度整備の2つを掲げている。事業所得者等の収入の捕捉向上のため、住民票コードを活用した納税者番号制度を導入し、課税サイドでの事業所得者等の納税情報の一元管理を求めた。ただし、導入においては、強制ではなく、何らかの利用のインセンティブを設けたうえで選択性とすることが妥当だとしている。
また、納税者の大半を占める給与所得者の申告制度への制度整備は、納税者意識を高め、財政への国民的監視を強化することが狙い。源泉徴収制度を廃止し、申告納税制度への移行を求めているが、この場合、1)便宜的に企業が毎月の給与から所得税の概算額を預かること、または、2)予定納税制度の拡充、によって、申告時期に給与所得者の負担が集中しない工夫も必要だとの考えを示している。
そのほか、消費税では、1)インボイス制度の導入、2)免税点・簡易課税制度の全廃、3)消費税の毎月納付、を提案している。消費税導入からすでに15年が経過しており、中小・零細事業者の事務負担増はITを駆使して軽減すべきであって、事務負担増を免税点・簡易課税制度の存続理由とすることは妥当ではないとの意見だ。また、消費税率引上げに伴う逆進性緩和のため、食品などについて複数税率の導入を提案している。
提言の全文は↓
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2004/pdf/040428_01.pdf