葬儀業者の経営実態、約9割が黒字
近年、葬儀業に注目が集まっている。高齢化が進むなかで、死亡者数と葬儀件数はともに増加しており、今後も市場は右肩上がりで推移することが予想される。帝国データバンクが、2010年12月末時点での同社企業概要データベースから2009年度の売上高が判明した葬儀業者2190社を対象に実施した経営実態調査結果によると、売上高総額は、前年度比0.7%増の1兆3048億6900万円となった。
売上高を前期と比較すると、2009年度の「増収」業者は133社減少の551社(構成比25.2%)となる一方、「減収」業者は91社増の751社(同34.3%)となり、減収となった業者が増加している。また、決算が判明した業者の純利益をみると、2009年度の「黒字」業者は557社(構成比87.2%)となり、約9割と大半を占めた。厳しい不況にもかかわらず多くの業者が利益を出している。
こうした結果からは、葬儀業全体としてみれば、黒字は確保できているものの、売上を積み増すことが難しくなっている現状がみえてくる。市場が拡大する一方で、他業界からの新規参入が相次ぎ、顧客獲得競争が厳しくなってきている。一方で、葬儀の小規模化・簡素化の流れも進んでおり、葬儀1件あたりの単価が減少しているため、「減収」業者が増加する結果となったようだ。
葬儀業者を従業員規模別にみると、「10人未満」が59.7%と約6割を占めた。一方で、「300人以上」の大規模な業者は0.7%(16社)と全体の1%に満たず、大半を占めるのが家族経営の業者だった。売上高規模別では、「1億円以上5億円未満」の業者が48.9%、次いで「1億円未満」が32.0%となった。地域別では、「関東」が32.5%でトップだが、各地域に偏りなく存在しており、地域密着型で営業を行う業者が多い。
同調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110102.pdf