年功序列型から成果主義への人事制度が大きな流れとなっているが、成果主義によって職場の士気が低下し、うつになった人もいるとの調査が明らかにされた。日経PBが実施したアンケート調査結果(有効回答数2618人:9割が男性)によると、職場で成果主義を「導入済み」との回答者が78.7%にものぼった。成果主義が急速に浸透していることがうかがえる。
成果主義が職場の人間関係に与えた影響については、職場の士気が「向上した」との回答21.8%に対し、「低下した」が36.7%と、マイナス評価がプラス評価を大きく上回った。「低下した」との回答は、「特に影響はない」(35.2%)も上回っている。ただ、60代に限っては「士気の向上」(48.4%)が「低下」(16.8%)を大幅に上回っており、経営者や役員の多い年齢層と、50代以下の現場世代との認識ギャップが鮮明になっている。
また、回答者本人や周囲に成果主義が主な原因でうつになったとみられる人がいるかでは、「自分」がなったとの回答が12.0%、「自分以外(上司・同僚・部下・友人など)」が29.6%で、約4割が自分や周囲にうつになった人がいるとの結果になった。「暴言を受け、心の病に苦しんでいる」や「心労が重なり病気療養中」など痛切な声もあった。成果主義の導入が、働く人々の精神面に深刻な圧力を及ぼしている事態が浮き彫りになった。
うつになった原因(複数回答)については、本人では「特定の人との人間関係」(44.7%)、「自分のやりたい仕事と会社から指示された仕事のズレ」(43.5%)、「業績が正当に評価されていないと思ったため」(38.0%)などが続く。周囲の人の原因についても上位2つは同じだが、「業績不振や業務での失敗」(37.7%)や「精神力が劣っていたから」(31.0%)も多く、うつになった人への周囲の評価には厳しいものがあるようだ。