東京商工リサーチがまとめた2004年度ガソリンスタンド経営会社の倒産状況によると、倒産の沈静化が鮮明になるなか、今年3月末までの1年間のガソリンスタンド経営会社の倒産件数は前年度を7.8%上回る69件となった。最近5年間の年度ベースの倒産件数は、2000年度66件、2001年度61件、2002年度75件、2003年度64件と推移。一方、2004年度の平均負債額は前年度比26.1%減の2億4800万円と、小規模倒産が目立つ。
倒産件数を資本金別にみると、「500万円未満」が前年度比47.3%増と大幅増加して34件となり、全体の49.2%を占めた。また、従業員数別では、「5人未満」が同15.0%増の46件で全体の66.6%を占めるなど、小規模倒産が増えている。なお、原因別では、「販売不振」が同7.5%増の43件で全体の62.3%を占めてトップ、以下、「連鎖倒産」8件、「赤字累積」6件などとなっている。
ガソリンスタンド会社倒産の背景には、特石法廃止などの規制緩和による異業種からの新規参入が増加したことに加え、消防法改正によるセルフ給油所の解禁もあって企業間競争が促進されたことがある。こうした一方で、競争激化に伴うガソリン価格の安売り競争が販売店の採算悪化を招き、先行きの見通し難から転廃業する業者が増え、全国の給油所数は減少を続けているとみられている。
また、最近の原油高は、ガソリン店頭価格に反映され、集客の目玉だった安売りができにくい状況となっている。このためガソリンスタンドでは、洗車や車検などガソリン販売以外での安定収入源の確保や、コンビニエンスストアの併設など、燃料油販売だけに頼らない経営を模索している。いずれにしても、厳しい経営環境のなかで、今後も不採算ガソリンスタンドの淘汰が進む、と商工リサーチでは予測している。