ゼイタックス

経営関連情報 (2007/08/31)

金利の上昇が家計の預金・借入行動に与える影響

 2006年7月にゼロ金利が解除され1年が経過したが、市場金利が緩やかに上昇するとともに、家計が直面する定期預金金利や住宅ローン金利も緩やかに上昇してきた。こうした金利の上昇が、家計の預金・借入行動にどのような影響を与えたかについて振り返ったのは、内閣府の分析レポートである。レポートはまず、国内銀行における預金全体の伸び率と金融商品ごとの寄与度をみている。

 それによると、ゼロ金利解除後、定期預金金利の上昇に伴い、普通預金から定期預金へのシフトが進んできたことがうかがえる。預金者別預金額の推移をみると、ゼロ金利解除後、個人は普通預金から定期預金へとシフトしているが、一般法人は、ゼロ金利解除前の量的緩和政策解除(2006年3月)を境に、定期預金へのシフトを進めており、一般法人のほうが金融環境への変化により敏感に反応している。

 また、定期預金を預入期間別にみると、「1ヵ月以上1年未満」、「1年以上2年未満」といった短期型の定期預金が増加している。一方で、「5年以上6年未満」といった長期型は減少しており、今後の金利上昇を見込んで、長期型で金利を固定することに慎重になっている様子がうかがえる。

 他方、住宅ローンの借入についてみると、2006年度上期の残高は、固定2年型や3年型が減少する一方で、固定10年型や全期間固定型といった長期型が増加している。借入においては、金利上昇を見込んで、低金利のもとで金利を固定しておきたいといった行動がみられる。

 このように、レポートは、家計は預金や借入をするにあたって、足下までの金利上昇だけでなく将来の金利上昇を見込んで、リスクを減少させリターンを増加させようと行動をとってきたことがうかがえるとしている。