酒類の消費量が伸び悩むなかで、焼酎は、2003年度に清酒の課税数量を抜いて以降、高位安定状態にある。ただし、すべてのジャンルがおしなべて順調というわけではないようだ。帝国データバンクが実施した「焼酎業界の動向調査」結果によると、全国の酒類卸に対して尋ねたこの3年間の焼酎の取扱数量については、全体の73.5%と7割強が「増加した(「大幅増加」8.2%、「増加」65.3%)」と回答した。
ジャンル別にみると、芋焼酎については全体の83.7%が「増加した」と回答したが、麦焼酎については「増加した」との回答は51.0%にとどまった。また、米焼酎と甲類焼酎については、「減少した」がそれぞれ24.5%、46.9%のほか、「大幅に減少した」もそれぞれ2.0%、6.1%と少数ながら見受けられ、ジャンルによって好不調が鮮明となっている。泡盛は「増加した」が22.5%、「減少した」(18.4%)をやや上回った。
一方、消費者に尋ねた日常よく飲む酒類(複数回答)は、焼酎は51.1%が「よく飲む」と回答し、ビール(83.8%)に次いで2番人気となった。よく飲む焼酎のジャンル(複数回答)は、「麦焼酎」が68.2%、「芋焼酎」が65.3%と人気が拮抗する結果となった。また、焼酎蔵元に尋ねた焼酎の販売先(地域)は、やはり産地である「九州」(72.6%)が多いが、大消費地である「関東」(75.8%)や「近畿」(72.6%)にも販路を持っている。
酒類卸と酒小売に尋ねた今後3年間の取扱数量については、酒類卸では51.0%が「横ばい」を見込んでいる。しかし、種別にみると、甲類焼酎については「大幅に減少する」という回答が酒類卸、酒小売ともに見受けられた。甲類焼酎は、本格焼酎が九州の“地酒”からブームとともに全国に台頭したことによって、今後、需要が減少する可能性が高いとみられている。
また、焼酎蔵元に尋ねた今後の焼酎市場については、「拡大する」(9.7%)、「若干拡大する」(19.4%)との回答が合計で全体の29.1%になった。一方、「若干縮小する」(31.9%)、「縮小する」(4.2%)との回答は計36.1%だった。飲酒運転の厳罰化や少子高齢化、若年層の飲酒離れなどが、酒類業界全体の需要を押し下げているが、そのなかでも約6割が「拡大する」か「現状維持」(30.6%)を見込んでいる。
同動向調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/k080301.pdf