経 営 関 連 情 報 |
2003年06月25日-003
わが国製造業の課題は日本とアジアの棲み分け
わが国製造業の現状は厳しい。製造業の出荷額(名目)は、ピークの1991年度から2001年度の10年間で、324兆円から276兆円に14.3%減少した。また、就業者数は、ピークの92年から2002年の10年間で、1569万人から1222万人に22%減少している。このようなわが国製造業の課題と対応についての分析リポートを公表したのは経済産業省だ。
リポートによると、製造業の設備投資は、需要の低迷と設備の過剰を背景に91年のピーク以降、減少基調で推移し、2001年度には、ピーク時の約5割の水準に低迷している。この結果、設備の平均年齢は、91年の9.3年から2002年には12.0年へと29%上昇し、生産性の低下が懸念される。また、バブル崩壊後の設備投資は、キャッシュフローを大幅に下回る水準で推移し、企業は設備投資を抑制、借入金の返済に充てている状況にある。
一方、わが国からの製造業関連直接投資は拡大傾向にある。2001年度では対アセアンが2221億円、対中国が1590億円だが、対中国投資は今後、毎年2400~3000億円規模で進む見通しだ。また、中国の製造業は、今や多くの品目で高い世界生産シェアを獲得するに至っている。わが国製造業が中国・アセアン等に進出し、アジアにおける生産のコスト優位性を取り込み、成長する現地市場へのアクセスを確保することは重要だ。
しかし、わが国製造業が、その活力を維持し、日本経済を牽引していくためには、海外政策と併せて、技術開発などを通じた国内立地製造業の競争力の維持・強化も不可欠だ。双方の取組みが両輪となって初めて、日本とアジアの棲み分けによる好循環の実現が可能になるとして、リポートは今後取り組むべき以下の6つの課題を挙げている。
それは、1)実用化を視野に入れた技術開発の推進による競争力の強化、2)IT(情報技術)、BT(バイオテクノロジー)、NT(ナノテクノロジー)、環境技術、デザインを各産業が装備することによる競争力の強化、3)知的財産・技術管理の強化、4)わが国の高コスト構造の是正、対日投資環境の整備、為替レートの問題、5)アジア戦略、6)産業再編―の6つの柱である。
詳細は http://www.meti.go.jp/
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