法人税率の5%引下げにより1.4兆~2.1兆円の税収減が見込まれているが、果たして企業は、減税分を雇用や設備投資に振り向けてくれるのかは大いなる疑問。そうしたなか、政府は日本経団連及び連合と減税による企業収益改善分を国内投資や雇用創出に確実に結びつくよう政労使合意を結ぶ検討に入っているが、経済産業省も9日の税制調査会に資料を提出、先の「国内投資促進円卓会議」における産業界の投資行動目標を示した。
日本経団連は、政府が、(1)実質的な税負担の軽減を伴う法人税減税、(2)研究開発支援、(3)EPA(経済連携協定)の推進を講じた場合には、産業界は自己資本比率の向上など財務体質の改善に目途がたったことを踏まえ、「攻め」の経営に転換し、積極的に国内投資や雇用創出に取り組むことにより、「5年後に民間設備投資約84兆円、10年後に同約104兆円(2009年度実績約63億円)を目指すとの目標を示している。
そこで、円卓会議に参加する団体の投資行動目標をみると、日本自動車工業会は、ビジネス環境が改善し、諸外国とのイコールフッティングが図られれば、可能な限りの設備投資の維持・強化を図る(2009年度実績6600億円)、日本鉄鋼連盟は、競争条件のイコールフッティングが実現し、成長戦略が着実に実行されれば、可能な限り投資規模の継続・強化を目指したい(2009年度実績7500億円)と、設備投資の拡大を標榜している。
そのほか、日本製薬工業協会(研究開発投資を2015年に1.9兆円、2020年2.5兆円に拡大)、電気事業連合会(今後2年間で累計約4.8兆円の設備投資)、電気通信事業者協会(毎年3兆円規模の投資を続けており、さらに加速)、情報サービス産業協会(今後5年間のうちに累計2.8兆円のIT投資の増加、6000人の雇用創出を目指す)など、各団体ともバラ色の未来を描いている。その成り行きに注目だ。
経済産業省の提出資料は↓
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen19kai3.pdf