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経営関連情報 (2004/11/19)

上昇傾向が鈍化しているパート比率

 毎月勤労統計調査(厚生労働省)によると、常用労働者数は景気回復を受けて前年同月比で4月以降6ヵ月連続の増加を続けているが、正社員などの一般労働者は82ヵ月連続で減りつづけており、パート労働者は9年5ヵ月連続で増加している。ただし、本年夏以降、一般労働者は上昇傾向、パート労働者は減少傾向となっている。上昇傾向が鈍化しているパート比率を分析するのは内閣府のレポートである。

 常用労働者に占めるパート労働者比率であるパート比率を産業別にみると、2業種でパート労働者の8割強を締めている卸売・小売業とサービス業のパート比率が低下している。また、これまでのパート比率の上昇により、定期給与でみた賃金は、99年第4四半期以降1%程度押し下げられていたが、04年第3四半期には、押し下げ分が縮小(0.6%程度の押し下げ要因)している。

 内閣府の企業行動アンケート調査(04年1月時点)によると、企業の雇用動向は、今後3年間は正社員の減少幅が縮小する一方、パート・派遣労働者の増加率は横ばいとなっている。特に、パート比率が高い卸売・小売業、サービス業でパート等の増加幅は縮小、正社員は増加に転じ(増加幅が拡大し)ており、これらの産業では今後パート比率の上昇が鈍化すると見込んでいる。

 また、景気回復を受けてこのところ増加している増収増益企業においてパート等の増加幅は縮小、正社員は増加すると見込まれ、足元で企業が正社員を増加させる動きが続いていく可能性がある。一方で、04年前半までの大幅なパート労働者の採用増加を経て、一時的に採用を手控えている可能性もある。いずれにせよ、景気回復の動きが、一般労働者の雇用増を通じて、所得面でも家計部門へ波及していくことが期待されている。