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誤りが多い敷金の経理処理

税務関連情報 - 2009年12月02日

 日本の不動産の賃貸契約に際しては、前家賃の支払いとともに礼金、敷金の授受が伴うのが通常だが、貸し主においては、これらの金銭の経理処理を誤っているケースが少なくない。礼金は権利金そのものだから、貸し主としては、受け取った年の収入に収益計上しなければならないのは当然として、誤りが多いのが敷金の処理だ。敷金とは、本来、賃貸契約終了後に借り主に返還される性格のものだ。

 このため、貸し主側は、敷金金額を“預り金”として処理するケースが少なくない。しかし、例えば「明渡しに際しては、月額賃料3ヵ月分の敷金のうち1ヵ月分については、現状回復費用等として返還しない」などとしているケースがある。このように、敷金のうち返還しないことが確実な部分ある場合には、礼金と同様に、この部分の金額は収受した事業年度の収益に計上する必要がある。

 これに対し、例えば「原状回復に要した費用は返還しないこととする」など、その額が、契約当初は確定しておらず、返還する金額があいまいになっている場合には、預かり金処理でよいだろう。この場合、賃貸契約終了時に、その現状回復費用相当額を収益計上すればよい。この収益計上時期については、依然としてトラブルの発生するケースが少なくないことから、注意が必要だ。

 なお、借り主側からみれば、この当初から返還を要しない額については、敷金に含めて預け金として処理し、解約時の損金とするのではなく、礼金と同様に、「資産を賃借するための権利金」として、繰延資産処理をしておくほうが有利であることはいうまでもない。