厳しいわが国の財政事情のなかで、バブル崩壊によって急増した相続税物納財産の売却促進は最重要課題のひとつに位置付けられるが、2003年度における国有財産売却額は、前年度を23%上回る3669億円で当初の目標額(3049億円)を大幅に上回り過去最高額を達成した。その要因としては、一般競争入札の実施件数の増加のほか、昨年5月からすべての物納財産について最低売却額を公表したことなどが挙げられる。
2003年度の一般競争入札の落札率は、最低売却額を公表した結果、首都圏では前年度から13.8ポイント上昇の71.6%、地方では同10.7ポイント上昇の60.7%とともに大幅にアップし、全体では70.5%と7割を超えるに至った。また、成約率についても、全国・地方を合わせた昨年5月末の77.6%から今年5月末では82.1%と上昇傾向にあり、売却価格を公表したことで購入希望者の探索業務の軽減や事務効率の向上が図られたとみている。
毎年度、全国の物納不動産(土地)の7割前後を引き受けている関東財務局では、2003年度は前年度売却実施件数の約1.6倍となる4052件の一般競争入札を実施。このうち、一般会計における一般競争入札は、前年度比79%増の3865件を実施し、その売却額は同28%増の2687億円に達し、当初の目標額を16.7%上回って過去最高の達成が見込まれている。
同局では、2004年度も引き続き売却促進に積極的に取り組む方針で、2003年度と同水準の約4100件の一般競争入札による売却を計画。売却を効率的に進めるため、首都圏のほか茨城・栃木・群馬の北関東3県に所在する物件や、リゾート地として人気の高い軽井沢の物件についても、関東財務局で一括して入札を実施する。また、入札対象物件や売却スケジュールなどのインターネットによる情報提供の充実化を図っている。