ゼイタックス

税務関連情報 (2005/11/18)

酒税の落込みで「第3のビール」への増税加速か

 2006年度税制改正のなかで浮上している「第3のビール」へ増税する議論が加速しそうだ。財務省が今月1日に発表した9月の税収実績において、景気回復を背景に所得税が前年同月比26.7%増、法人税が同23.5%増、消費税が同16.1%増と順調に伸びるなかで、酒税は7ヵ月連続の減収となる同13.8%減と落ち込んだ。その要因として挙げられるのが、低税率の「第3のビール」の台頭によるビール・発泡酒の販売不振だ。

 ビール類への課税は、原材料のなかの麦芽比率などによって4段階に分けており、「ビール」は麦芽比率67%以上のもので、税率は350ミリリットル缶で77.7円だが、麦芽比率が25%未満の「発泡酒」は税率がもっとも低く同46.99円だ。そこへ、原材料や製法を工夫して酒税を低く抑えたビール風飲料「第3のビール」が登場して、ビールや発泡酒の販売市場に大きく侵食しはじめたわけだ。

 例えば、サッポロのドラフトワンは、原料に麦芽を一切使わず、エンドウ豆から抽出した「エンドウたんぱく」を使ってビール酵母を発酵させ、酒税上の区分は「その他の雑種」として、税率は350ミリリットル缶で24.2円にすぎない。350ミリリットル缶の標準的なビールの希望小売価格(消費税抜き)が218円、発泡酒が145円であるのに対し、第3のビールは125円と低価格を実現し消費者の支持を集めつつある。

 税率が発泡酒のほぼ半分にすぎない第3のビールが台頭すれば税収が減るのは当然のこと。政府税調は、原料や製法によって細かく税率を決めている現行税制を簡素化して、酒類ごとの税率格差を縮小する考えだ。だが、業界の猛反発は必至。2003年度税制改正で発泡酒の税率引上げに涙をのんだだけに、増税阻止の動きは早い。企業努力を無にする増税には世論の批判も強いだけに、最終判断する与党税調も判断に迷うところだろう。