経 営 関 連 情 報

2003年06月11日-002
食品表示の信頼性回復にトレーサビリティ構築

 昨年1月に発覚した食肉の原産地偽装事件に端を発して、次々と食品の偽装表示が明るみに出たことで、食品の表示制度に対する消費者の信頼は大きく揺らいでいる。農林中金総合研究所はこのほど、食品表示の信頼性回復のためには、表示制度の見直しによる一層の充実・改善に加え、トレーサビリティシステムを構築していくことが有効との報告書をまとめた。

 トレーサビリティシステムとは、その食品がいつ、どこで、どのように生産・流通されたかが分かる仕組み。食品の表示を最終的に保証するもので、同システムの導入によって、各段階で食品とその情報を追跡し、また遡及できるようにすることによって、表示された情報の信頼性を向上させることが期待できるとの考えだ。

 一方、農水省と厚労省は昨年12月、「食品の表示に関する共同会議」を設置し、最優先課題として、期限表示の用語・定義の統一について検討してきた。現在、劣化速度が比較的緩慢な食品の期限表示については、「品質保持期限」と「賞味期限」の2つの用語が存在し、劣化速度が速い食品に対する「消費期限」については2つの定義が存在することから、消費者・食品事業者双方から分かりにくいとの指摘がある。

 上記共同会議が今年3月にまとめた報告書では、加工食品の期限表示を「賞味期限」に統一し、また「消費期限」の定義については、消費者や事業者の混乱を解消するため、統一を図るべきだとの考えを明らかにしている。

 このような見直しを通して、食品の表示制度が正しく機能すれば、国内の産地ブランドが確立し、国産品の振興に役立つ。国内の産地にとっては、トレーサビリティに取り組むことで、蓄積された情報を戦略的に産地の付加価値を高める目的で利用することが重要になる。これらの総合的な取組みが食品表示の信頼性回復への道のりとなる。

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