国家公務員の再就職を各省庁が直接斡旋することを禁止し、一元管理する「官民人材交流センター」(新人材バンク)を新設する国家公務員法改正案が4月24日に閣議決定されたが、天下りの斡旋禁止や官製談合抑制につながるかどうかは不透明な部分もある。帝国データバンクが実施した「新人材バンクに関する企業の意識調査」では、新人材バンクに対し官製談合の抑制効果に疑問を持つ企業が多数を占めた。
調査結果(有効回答数9650社)によると、新人材バンクによる官製談合の抑制効果については、「効果あり」とする企業は12.9%にとどまり、54.3%の企業が「効果なし」と回答。抑制効果に否定的な理由(複数回答)は、「運用への懸念」が67.2%、次いで「制度設計への懸念」も46.9%と高水準だった。企業からは「新人材バンク自体にも権益が発生する。民間企業に運営を任せたほうがいい」との意見が出ている。
一方、天下りを受け入れている企業は全体の4.6%(445社)だったが、今後の受入れ方針については、「削減を検討」との企業が18.0%、「自粛を検討」が18.4%と、天下りの「削減・自粛を検討」する企業は計36.4%だった。業界別では、「建設」が53.3%と際立って多いが、「公共事業が減少傾向」や「脱談合で企業自体が変革を迫られている」などの企業の声に代表されるように、経営環境の変化が天下りにも影響を与えている。
天下りの「削減・自粛を検討」する理由(複数回答)のトップは、受け入れる企業にとって「メリットがない」で63.6%にのぼった。企業からは、「高い年俸(強制的)、適任の職種がない」、「中小企業では給与に見合うだけのメリットがない」といった意見があった。ほかの理由では、「社会的な風潮」(33.3%)や「雇用のミスマッチ」(21.0%)なども少なくなく、天下りへの否定的な見方が顕在化している様子がうかがえる。