会社法において、会社の新たな機関として会計参与が規定された。会計参与制度は、株式会社であれば定款で設置でき、取締役と共同で計算書類を作成し、取締役や執行役とは別に計算書類を保存し株主・会社債権者に開示することで、計算書類の記載の正確さに対する信頼性を高める機能を持つ。会計参与は税理士(税理士法人)、公認会計士(監査法人)でなければならず、株主総会で選任される。
5月1日予定の会社法施行を前に、日本税理士会連合会と日本公認会計士協会は24日、「会計参与の行動指針」(公開草案)を公開し、3月16日を期限に広く関係者からの意見を求めている。同行動指針は、文字通り会計参与がその職務を遂行するにあたっての指針となるもので、会計参与制度の概要や会計参与の行動指針を示すとともに、会計参与報告記載例など参考資料も掲載している。
例えば、会計参与就任にあたっての行動指針では、1)税務顧問等の業務上の関係の有無にかかわらず、十分な情報収集を実施し、必要な会社の状況等を追加的に把握し、就任可能であるか否かについて判断する、2)定款に責任限定の定めがあるか否か、会計参与設置会社であることの登記がされていることを確かめる、3)書面により会計参与契約を締結することなどを掲げている。
また、計算書類作成行動指針・一般事項においては、1)会社の事業及び営業取引の内容、業界の状況等の一般的知識を取締役等に質問し回答を得る、2)一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行、例えば中小企業にあっては「中小企業の会計に関する指針」に準拠して作成されているか取締役等に質問しまたは会計帳簿等を閲覧する、3)会計帳簿等に誤りがある場合、会計参与は訂正を要求することなどを求めている。
そのほか、計算関係書類の勘定科目の残高が、総勘定元帳残高と一致することを取締役等に質問しまたは総勘定元帳を閲覧して確かめることなど「計算書類作成行動指針・個別事項」や、「会計参与報告作成にあたっての行動指針」、各事業年度に係る計算書類、附属明細書、会計参与報告は定時株主総会の日の1週間前の日から5年間備え置くなど「備置き、開示にあたっての行動指針」などが示されている。