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経営関連情報 (2005/03/18)

シニア市場に注目する中小企業の戦略と課題

 少子高齢化の進展に伴い、シニア人口の増加という市場環境の変化を活かした事業展開を実現している中小企業も少なくない。中小企業金融公庫がこのほど発表した標題のレポートでは、シニア市場の特性を整理したうえで、すでにシニア市場への取組みを進めている企業の事例から、マーケティング・プロセスや戦略を分析するとともに、中小企業のシニア市場参入へのあり方を考察している。

 レポートによると、大多数のシニアは、若いころと同じようにアクティブな暮らしを送りたいと意欲的な毎日を過ごしている。シニアは、経済状態や消費水準、嗜好などの面で、他の年代に比べ多様であり、商品・サービス購入の判断基準は千差万別だ。ただ、様々な商品・サービスを見比べたうえで、購入の可否を判断する慎重な姿勢はおおむねシニアに共通する要素といえる、との消費特性を分析している。

 中小企業25社と大企業5社の事例を分析し、1)製品戦略では、的確にターゲットとなる顧客ニーズを把握したうえで、ニーズに合った高品質な商品・サービスを提供することが重要、2)価格戦略では、低価格戦略か高価格戦略のいずれかを選択している企業が多く、商品の特性や強み、競合他社の状況を勘案したうえで立案することが重要、2)流通戦略では、有店舗販売の場合は、利用しやすさなどの確保と商品・サービスを試せることが重要、3)コミュニケーション戦略では、広告コスト、信頼性を高める効果ともにクチコミがもっとも高い効果を得られる、とのマーケティングのポイントを示している。

 シニア市場の可能性の考察では、シニア市場には「Aであれば必ず解はBとなる」という方程式はなく、試行錯誤を行うことが前提となると指摘。「方程式が成り立たないだけに、市場の細分化・差別化によって市場機会をうまく捉えることができれば、大企業に比べて企業体力には劣るものの、融通がきくという利点を持つ中小企業にとって、シニア市場は十分魅力的なマーケットとなり得る」との結論している。

 レポートの詳細は↓
 http://www.jasme.go.jp/jpn/result/c2_0403.pdf