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経営関連情報 (2006/03/13)

正社員の雇用、規模・地域間格差が拡大

 企業業績の回復から雇用情勢にも改善がみられる一方で、都市部と地方、大企業と中小企業などの格差拡大や二極化が今回の景気回復の特徴と分析するのは、帝国データバンクが実施した「2006年度の雇用に関する動向調査」である。調査結果(有効回答数9762社)によると、2006年度の正社員(新卒社員、中途社員)の雇用状況は、「増加する(見込み)」との回答企業割合が全体の27.0%だった。

 規模別にみると、「大企業」が31.2%、「中小企業」が25.7%と、格差は5.5ポイントとなっており、業績回復が顕著な大企業のほうが正社員の雇用を増加させる企業が多い。また、地域別では、もっとも高かった「南関東」が29.7%、もっとも低かった「北海道」が19.4%と、両地域の間には10.3ポイントの格差が生じており、景気回復が進む都市部のほうが地方よりも雇用を増加させる割合が高いことを裏付けた。

 これらを2005年度の結果と比べてみると、規模間格差は2005年度の3.3ポイントから5.5ポイントへと2.2ポイント拡大し、また、地域間格差も同7.0ポイント(「南関東」30.2%、「東北」23.2%)から10.3ポイントへと3.3ポイント拡大している。正社員の雇用格差の拡大は、企業業績の二極化が進み、中小零細企業や地方企業では依然として景気回復の実感が持てない企業が多数あることを浮き彫りにしている。

 2006年度の正社員比率が2005年度に比べ「上昇する(見込み)」との回答企業割合は17.2%で、「低下する(見込み)」(10.1%)を上回った。「変わらない(見込み)」が65.5%だが、正社員比率は全体として上昇傾向にある。正社員比率が上昇する要因(複数回答)は、「業容拡大への対応」が65.5%でもっとも多く、また、団塊世代が大量定年退職を迎える「2007年問題への対応」は19.5%と約2割を占めた。

 帝国データバンクは、「企業が正社員比率を向上させる背景には、景気回復による営業力の増強や事業領域の拡大のほか、今後見込まれる定年退職者の増加も一定の影響を及ぼしている」と分析。これまで景気低迷下ではリストラによる正社員削減の動きが激しかったが、雇用の改善が進むなかで、企業は、優秀な人材を確保、または育成することで経営基盤の強化を図ろうとしている姿が浮き彫りになったとみている。