総合人材サービスのマンパワー・ジャパンが実施した「マンパワー雇用予測調査・『人材不足』に関する追加調査」結果(有効回答数1044社)によると、「人材不足を感じている」企業の割合は、前年に比べ8ポイント減少の55%と、2006年の調査開始以来の最低値を記録した。ただ、世界33ヵ国・地域の約3万9千社を対象の調査結果によるグローバルの割合(30%)と比べ25ポイント高く、世界的にみれば、人材不足感はまだ強いといえる。
人材不足感が最低となった背景には、様々な要因が考えられるが、景気低迷に伴い、企業が、事業縮小による部門の統廃合や人員の配置転換などで、新たに人員を採用しなくても、必要な人材の補てんが可能になっていることが最大要因とみられている。企業の人材不足感が再び上昇に転じるのがいつであるかは不透明だが、この先の国内の景気動向に大きく左右されることが予測される。
2009年度に企業が人材不足を感じている職種は、1位「営業/販売職」、2位「事務/秘書」、3位「高スキルの職人(溶接工、大工、レンガ職人など)」、4位「IT関連技術者」5位「非熱錬工」、6位「ドライバー」、7位「看護士」、8位「管理職・役員」、9位「教師」、10位「エンジニア」。上位4位とエンジニアは、景気動向に左右されず、比較的人材の入れ替わりが早く、企業が恒常的に人材不足を感じている職種といえる。
また、2008年ではランク外だった、看護士、ドライバー、教師、管理職・役員といった職種が新たに10位以内に入り、より専門性の高い職種や、採用が難しい職種に関しては人材不足を感じている企業が増えてきていることが推測できる。特に、看護士や教師などの専門職は、給与の待遇面や職場環境などの課題も多く、雇用におけるミスマッチが起きている可能性がある。
一方、2008年に10位以内に入っていた「生産オペレータ」(昨年4位)、「マーケティング・広報」(同8位)、「機械工」(同9位)、「研究者」(同10位)が今年はランク外となったことも興味深い結果といえる。企業が積極的に営業活動や生産を行っていない現状を鑑みると、製造部門や間接部門で必要になる職種においては、企業がそれほど人材不足を感じていないことが分かり、国内の景気後退の影響が反映されているといえる。