当たり前のことだが、所得があれば申告して税金を払う必要がある。商品先物取引の所得は、以前は雑所得として総合課税されていた。当時は、先物会社の税務調査で、ついでに大口投資家のチェックがある程度で、無申告が発見される確率はかなり低いといわれていた。ところが、2001年4月から、商品先物取引は申告分離課税となると同時に、売買データの提出が先物会社に義務付けられた。
つまり、先物投資家の取引データは税務署に把握されているといっていい。今年1月、朝日新聞紙上に「先物取引投資家、9割が申告せず。約380億円の申告漏れ!」とのニュースが流れた。東京・大阪・名古屋の3国税局が調査した結果、2001年4月から12月までの9ヵ月間で、5000人以上の投資家が無申告か過少申告だったことが判明。約380億円が申告漏れだったというのだ。
税収不足の折、加算税に延滞税が加わる無申告は絶好のターゲットとなる。今後は、2002年分、2003年分の先物取引の利益が追及されることは確実だ。たしかに、サラリーマンが商品先物取引を副業的に行っているケースでは、申告することなど思いもつかなかったのかもしれない。だが現在は取引データは税務署がすべて握っている。まだ申告していない方々は、いまからでも申告しておくべきだろう。
昨年度の税制改正では、申告分離課税が恒久化され税率が20%に引き下げられるとともに、それまで認められていなかった損失の繰越しが3年間できるようになった。申告していなければ、大きな利益が出たときに「実は昨年は損失がこれだけあったんです」と言っても救済してはくれない。損益に関係なく申告する習慣をつける必要がある。それにしても、商品先物取引で儲けている人っているんですね。