少子高齢化社会が進展するなかでの税体系の抜本改革を実現するための方向性が、11月8日に開かれた経済財政諮問会議において示された。民間議員が抜本改革実現のための課題や具体的な取組みを提示したものだが、税体系の抜本改革を実現するためには税制と社会保障制度を一体的に設計し、全体として簡素で効率のよい仕組みが必要であるとして、3つの課題とその課題克服のための具体的な提案を示している。
課題としては、1)「成長力強化」~高齢化に伴う負担増を小さくするためにも、生産性向上を促し成長力を強化すべき、2)「世代間・世代内の公平の確保」~税制が、社会保障とともに本来の再分配機能を果たし、世代間・世代内の公平を実現すべき、3)「社会保障を支える安定財源の確保」~人口減少・少子高齢化の下においても、社会保障を支える安定財源を確保する必要あること、という3点が提示された。
これらの課題克服に向けた具体的な取組みについて、「成長力強化」では、金融所得課税の一体化や配偶者控除など各種控除の見直しのほか、「法人の税負担水準について、常に国際的状況を念頭に置く」として将来的な法人税率の引下げの検討を示唆。「世代間・世代内の公平確保」では、公的年金等控除の見直しや、所得控除の一部を税額控除に改めること、資産課税(相続税)の見直しなどを提案している。
また、「社会保障を支える安定財源の確保」のためには、あらゆる世代で広く負担を分かち合うことができ、社会保障給付の安定的な財源として、景気変動に相対的に左右されにくい消費税の役割を高めていくことを検討すべきだとしている。今後は、今回示された税制の抜本改革に向けての課題や具体的な取組みを中心に、議論が進められていくと思われるが、特に中心となる消費税についての議論の遅れが気にかかるところだ。
民間議員が提示した「税体系の抜本改革について」の全文は↓
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2007/1108/item2.pdf