1992年までの不動産税制はバブルの地価高騰を抑制することを基本とし、1992~2004年の土地税制は、「土地神話」が崩壊する12年に及ぶ地価下落にともない徐々に緩和されてきた。現在は、土地税制の位置づけを考え直す時期にきている。土地にかかわる税制は総合的な過疎化対策の一環として再構築すべきだ、との主張は、野村総研の中村実氏の「不動産税制の歩みと展望」と題したレポートである。
レポートによると、税制改正においては、土地のキャピタルゲイン税の引下げと同時に土地売却損の損益通算が廃止されるなど、危機的な状況にある財政とのかかわりが意識されるようになってきた。住宅ローン減税は縮小の方向にあり、固定資産税負担の引下げを望む声もあるが、地方財政も厳しく順調には進みそうにない。土地税制については、財政悪化の状況下では負担を軽減することが難しいものが多い。
今、土地税制に求められているのは、2006年ごろには表面化してくる人口減社会への対応である。土地税制の課題は、以前は三大都市圏の地価上昇を押さえることだったが、今後は地方の過疎化対策だ。都市に集中していた人口を地方に導き、地方社会の人口と雇用機会を確保するためには、社会保険、地方税、そして資産税を過疎化対策として再編する必要がある、というのが中村氏の主張だ。
レポートの詳細は↓
http://www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2004/pdf/cs20041006.pdf