経 営 関 連 情 報

2003年06月11日-001
自動販売機による24時間無人店舗のコンビニ

 コンビニの既存店舗の商圏は競合が激しく、新規出店ができにくくなっている。そこで注目されてきたのが、オフィス・学校・工場・病院などのいわゆる「閉鎖商圏」である。ただし、狭い店舗スペースや限られた来客数の上限など特殊な立地条件であるため、一般商圏と同じ運営方法やサービスのままでは成功は覚束ない。野村総合研究所が紹介する事例は、オフィスビルで自動販売機による24時間営業の無人店舗を実現したコンビニである。

 同研究所が出店に際して、システム開発と業務支援を行ったのだが、この24時間稼動の自販機は約200アイテムを収容できる大規模なもので、ほかにホットフードを販売するための自販機を併設した。さらに、これまでの自販機では難しかった、ライフサイクルの短い新商品のタイムリーな投入や、既存のコンビニと同じ物流網で配送される新鮮なおにぎりやサンドイッチの販売もできるようにした。

 最大の特徴は、既存のコンビニの仕組みを自販機による店舗形態に最大限に活かすためのシステムを開発したことである。例えば、コンビニのPOSデータ分析のノウハウを活かして、時間帯別・商品別にきめ細かく仮説検証を行い、マーケットの限定された顧客嗜好に合わせた品揃えを実現している。

 また、自販機はバックヤードの店舗PCと接続され、さらに本部のサーバーへADSLで常時接続されているため、必要な情報はすべて本部のサーバーで管理できる。運営面でも、24時間専属の担当を置かなくて済むように、またビルの停電時や店舗PCのダウン時にもデータ欠落などを起こさないように、センター集中型のWeb技術を使ったシステムである。

 昨今は、都心での大規模オフィスビルのように大規模な建物ごとの商圏があちこちにできつつある。自社の得意な商品・サービスを中核としながら、情報技術とネットワークの資産・運用ノウハウを活用し、限られたマーケットに合わせて柔軟なサービスを提供できるシステムの構築が成功のカギといえる。新しいビジネス環境に、既存システムを変遷させることが重要だ。

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