今年の個人事業者の消費税の確定申告は、2003年度税制改正において事業者免税点が従来の3千万円から1千万円に、また、簡易課税制度の課税売上高の上限が同5億円から5千万円にともに引き下げられて初めての申告となった。国税庁の集計によると、新規課税事業者は、同庁が2005年12月末に推測していた122万人の96.2%にあたる117万4千人となったことがわかった。
この結果、2005年分の消費税の申告件数は、前年分(41万6千件)の約4倍増となる157万6千件にのぼった。このうち納税額があった申告件数は同約4倍増となる152万7千件で、納税申告額もほぼ倍増の4901億円となった。また、還付申告件数も、3倍増の4万8千件となり、総額約158億円を還付している。申告件数の増加割合に比べ、納税申告額が低いのは、新規課税事業者のほとんどが小規模事業者であることを物語る。
それは、簡易課税制度の選択割合にも表れ、新規課税事業者の選択割合は71.5%と非常に高い割合だった。つまり、新規課税事業者の約7割の84万者は課税売上高が5千万円以下だったということだ。全体での簡易課税制度の選択割合は前年を7.7ポイント上回る63.1%となった。なお、国税庁では、現在、申告義務がありながら無申告と思われる事業者に対し、電話による確認を行っており、課税事業者に該当すれば申告を求めていく。
消費税の申告状況の推移をみると、申告書提出件数は、消費税が導入された1989年分の66万2千件が91年分の77万7千件をピークに漸減し、2004年分では41万6千件まで落ち込んでいた。また、納付税額も89年分の1276億円が、税率引上げのあった97年分(3970億円)からピークの翌98年分(3481億円)を経て04年分では2382億円まで減少していた。免税点引下げなどの増税効果がよくわかる2005年分の確定申告結果である。