大震災関連の倒産66社、阪神大震災当時の3倍に
今回の東日本大震災による直接、間接の影響を受けて倒産した企業が急増している。帝国データバンクが6日に発表した「東日本大震災関連倒産の動向調査」結果によると、大震災の影響を受けた倒産は、4月30日時点で66社判明し、負債総額は371億300万円に達したことが分かった。倒産企業数は、震災後約1ヵ月半で関連倒産が22社判明した1995年の阪神大震災当時に比べ、3倍に急増している。
倒産の要因をみると、会社建物や工場設備などに甚大な被害を受けたことによる「直接被害型」の倒産は6社にとどまっている。一方、直接の被害は受けなかったものの、自社の得意先や仕入先が被災した影響などによる「間接被害型」の倒産が60社にのぼり、全体の9割を超えた。阪神大震災当時は、震災後1年間の関連倒産194社のうち「直接被害型」が53.6%と過半を占めており、その状況とは明らかに異なる。
「間接被害型」倒産を細かくみると、「消費自粛のあおり」が20社(30.3%)で、消費手控えや自粛マインドの高まりを受けた倒産が目立つ。以下、「得意先被災等による売上減少」が16社(24.2%)、「仕入先被災等による調達難」が11社(16.7%)、「親会社に連鎖」が7社(10.6%)など。震災の影響度合いについては、以前から業績悪化が続くなか、震災による間接的な被害が引き金となったケースが48社と、全体の7割超を占めた。
業種別にみると、「旅館・ホテル」が8社(12.1%)で最多、震災後の全国的な自粛マインドの高まりや放射能問題などを受け、国内外の観光客の予約キャンセルが相次ぎ、先行き見通しが立たずに間接的影響で倒産に追い込まれたケースが大半を占めた。以下、「食品製造・販売」(7社)、「機械・金属製造」(6社)のほか、「広告・イベント」(5社)、「外食」(4社)、「旅行」(2社)など、消費自粛の影響を受けやすい業種が目立った。
帝国データバンクによると、阪神大震災後の3年間に発生した関連倒産は394社、負債総額1126億円だったが、今回は早期にこの数字を大きく上回る可能性が高いという。今後は全国の自動車関連の下請部品メーカーやレジャー・観光関連業者の倒産増を懸念し、また、甚大な被害を受けて経営者が事業意欲を喪失するケースや、先行き見通しが立たずに事業継続を断念するケースなどから、倒産や廃業のさらなる増加を予想している。
同動向調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110501.pdf