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ファンド経由の対日投資は株式譲渡益を非課税に

税務関連情報 - 2009年01月16日

 2009年度税制改正では、ベンチャーや再生企業などにファンドを通じた対日投資を促進するため、投資事業有限責任組合やこれに類する外国組合(LPS等)に出資を行う、特定の非居住者・外国法人などの海外投資家に対し、課税の特例を創設する。現行は、日本国内に事業所等を有するファンドを経由して日本企業に投資する海外投資家は、その株式譲渡益に対して、その居住地国での課税に加え、日本においても課税される。

 海外企業であれば実効税率約40%の高い法人税が課されるため、対日投資の障害とみられている。そこで、2009年度税制改正では、(1)LPS等の有限責任組合員、(2)投資組合の業務を執行しない、(3)組合持分が25%未満、(4)国内に投資組合の事業以外の事業に係る恒久施設を有しないことなど、一定の要件を満たす非居住者・外国法人(特定外国組合員)は、国内に恒久的施設を有しないものとし、株式譲渡益を非課税とする。

 また、日本に事業所等を有しない組合を経由して日本企業に投資する非居住者・外国法人組合員を対象とする事業譲渡類似課税の判定についても、現行の「組合単位」から「組合員単位」とする。現行では、企業の25%以上の株式を保有する者が5%以上の株式を譲渡する場合は課税されるが、組合経由の投資は「組合単位」で判定され、投資家単位では持分が25%未満でも、ファンド単位で持分が25%以上であれば課税される。

 改正後は、特定外国組合員等による1年以上の長期保有株式等(公的資金が注入された破たん金融機関の株式を除く)の譲渡については、「組合員単位」で事業譲渡類似株式の譲渡に該当するかどうかを判定し、持分が25%未満であれば、その株式の譲渡益は非課税とする。日本に拠点がない既存ファンド経由の投資も優遇するわけだ。この改正は、2009年4月1日以後に行われる株式の譲渡について適用される。