日本税理士会連合会はこのほど、所有権移転外ファイナンス・リース取引において賃借人が賃貸借処理した場合の消費税の取扱いについてのQ&Aをホームページ上に公開した。周知のように、移転外リース取引は、今年4月1日以後のリース契約締結分から、資産の売買があったものとして、賃借人における消費税の課税仕入れ等の税額控除の時期はリース資産の引渡しを受けた日の属する課税期間に一括控除することとされた。
しかし、「リース取引に関する会計基準」等では、少額または短期の移転外リース取引として重要性が乏しい場合には例外的に賃貸借処理が認められ、「中小企業の会計指針」においては、すべての移転外リース取引について賃貸借処理を行うこともできるとされている。また、法人税法においては、売買でありながら賃借人が賃貸借処理することをベースとして償却の方法が認められ、事実上改正前の取扱いが維持されている状況にある。
こうしたことから日税連は、実務上の混乱を防止する観点から、賃借人が賃貸処理している場合には、そのリース料について支払うべき日の属する課税期間の課税仕入とする処理(分割控除)も認めるよう税制建議してきたが、このほど国税庁より、「分割控除で消費税の申告をしているときは、それによって差し支えない」旨の見解が示された。そこで、その取扱いについて、国税庁の指導も得ながらQ&Aを作成したものだ。
Q&Aは、(1)賃貸借処理している場合の仕入税額控除の時期、(2)リース資産ごとに一括控除と分割控除を併用することの可否、(3)仕入税額控除の時期を変更することの可否、(4)賃貸借処理に基づいて仕入税額控除した場合の更正の請求の可否、(5)簡易課税から原則課税に移行した場合等の取扱いの5問について、その回答を掲載している。実務家としては、一度は目を通しておきたいところだ。