環境税は、来年度の税制改正においては検討事項として見送りとなったが、経済同友会は11日、炭素含有量に基づくエネルギー課税である炭素税の導入を提案する「環境配慮型の税体系を考える」と題した提言を公表した。地球温暖化対策として温室効果ガス、中でもCO2の排出を抑制するのであれば、CO2排出の最大要因である化石燃料の使用に対して課税することが有効だと指摘している。
環境省案の環境税については、財源確保を主目的とした単純増税であり、既存のエネルギー税の見直しにまったく踏み込んでいないことなどから、あらためて反対の立場を表明した。ただし、税は、アナウンスメント効果とインセンティブ効果により、化石燃料や電力の消費を節約するなどの環境配慮行動へのきっかけを与え、結果としてCO2排出の抑制に結びつく効果があるとの考えを示している。
提言では、安易な増税論を持ち出すことなく、徹底した歳出削減を行い、将来的な税の導入条件として、既存エネルギー税制を含めた現行税体系の抜本的改革が大前提であることを強調。そのうえで、素材としての化石燃料である石油、石炭、ガスのほか、火力発電に基因する電気などに対し炭素含有量に基づくエネルギー課税を導入すること、また、歳出の硬直化・特定権益化を防止するため、税収を一般財源化することを提案した。
わが国のCO2排出量の伸びは、工場など産業部門では抑制されているのに対して、家庭やオフィスビル等で増加が続いていることが問題であると指摘。炭素税を導入することによって、消費者に化石燃料や電力の消費を節約するなどの環境配慮行動へのきっかけを与え、省エネ製品の購入を促すなどにより、結果として特に家庭部門におけるCO2排出の抑制に結びつく効果があるとしている。
同提言の詳細は↓
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2005/pdf/060111a.pdf