東京税理士会はこのほど、「2010年度税制及び税務行政に関する意見書」をまとめ、日本税理士会連合会に提出した。例年にならい、同会関係役員等からの意見聴取による意見(18件)、46支部からの改正要望意見(278件)を参考としつつ、「所得税に関する事項」17件や「法人税に関する事項」9件など、計67件+13項目(1件の中に複数項目あるものの合計)の要望意見をとりまとめている。
また、2010年度税制等に関する意見書では、新規要望が2件あったものの、2009年度意見書から11件が削除されている。新規要望は、(1)所得税に関する事項において、公的年金等以外に収入のない者について、納税手続きを簡素化するべきこと、(2)消費税に関する事項において、基準期間の課税売上高算定においては非経常的売上高を除くべきであること、の2項目となっている。
(1)の公的年金等以外に収入のない者についての納税手続きの簡素化は、長寿社会において、高齢者の確定申告手続きは年金受給者による申告がほとんどと指摘。給与所得者は年末調整により課税関係が完結することと比べると、年金受給者の事務負担は重くなっていることから、負担の少ない制度にするため、扶養控除等申告者の提出により年末調整に準ずる措置を講じ、できるだけ納税手続きを簡素化すべきとしている。
また、(2)の基準期間の課税売上高算定における非経常的売上高の除外については、小規模事業者の判定は経常的売上高のみで判定すべきことを求めたもの。固定資産の売却額など非経常的売上高を含めて判定すると、適正な小規模事業者判定ができないおそれがある。この結果、事務能力の乏しい事業者が課税事業者となったり、簡易課税制度を選択できなくなる弊害を生じかねない、との改正を求める理由を示している。
一方、同会では、早急に改正を必要とする要望事項として、(1) 印紙税の廃止、(2)土地建物等の譲渡所得に対する課税の見直し並びに譲渡損失の損益通算不可の撤廃、(3)年金受給者の確定申告手続きの簡素化(前出)、(4)特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入措置の廃止、(5)賞与引当金制度及び退職給付引当金制度の復活、(6)役員給与の損金不算入規定の見直し、(7)交際費課税の10%課税の廃止など、17項目を掲げている。