国税当局には納税者からの税務実務上の取扱いについての照会が数多く寄せられているが、国税庁はこのほど、これらの照会に対して回答した事例のうち、他の納税者にも参考になると思われるものを税目別に整理して、「質疑応答事例」として同庁ホームページ上に公表した。これらの事例は、一般の納税者が実務上生じた疑問や判断に迷ったものであるだけに、他の納税者にも参考になると思われる。
今回掲載された質疑応答事例は、所得税155、源泉所得税110、譲渡所得219、相続税・贈与税92、財産の評価113、法人税170、消費税183、印紙税216、酒税関係84の9分野計1342事例にのぼる。各事例はポイントがわかりやすいように、照会要旨、回答要旨及び理由をコンパクトにまとめており、事例に関連する法令の条文番号や通達番号も示している。
例えば、企業が行っている巡回バスによる健康診断において、同社の代理店の全従業員にも健康診断を受けさせた場合の負担費用について、交際費や寄付金以外の単純損金として差し支えないかとの照会があった。税務当局は、全従業員を対象とするものだから、特約店等の従業員を被保険者とする掛捨ての生命保険料を負担した場合と同様に、販売奨励金等として代理店等に金銭を交付する場合の費用に該当すると回答している。
実務上、何か疑問が生じた場合はこれらの質疑応答事例を参考にできるだろう。ただし、これらの事例はあくまでも個々の事実関係に基づくものであるから、そのまま適用されるものではない。今回の公表事例にも、その質疑応答事例を納税者が具体的な取引などに適用する場合には、その回答と異なる課税関係が生ずることがある旨の注記がされている。
質疑応答事例は↓
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/shitsugi/01.htm