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金融庁、金融資本市場の基盤整備等で税制改正要望

税務関連情報 - 2011年10月07日

 金融庁は2012年度税制改正に向けて、東日本大震災からの復興支援と金融資本市場の基盤整備に関して緊急に措置すべきものを柱とした要望項目を公表している。大震災からの復興支援では、(1)地方公共団体が委託者となる土地信託に係る登録免許税・不動産取得税等の非課税措置、(2)海外投資家が受ける「日本版レベニュー債」の利子を、一般の振替社債・民間国外債の利子と同様に非課税とすることを掲げている。

 「日本版レベニュー債」とは、公社等が発行する債券で、その利子が公社等の利益に連動するものをいう。住宅、水道、高速道路等のインフラを整備する資金を調達する目的で発行されることが想定されるが、現行、公社等が発行する「日本版レベニュー債」は、「利益連動債」に該当し非課税措置の対象外(15%課税)となることから、海外からの対日投資(復興資金等)が制約されるため、今回の要望となった。

 金融資本市場の基盤整備では、(1)金融商品に係る損益通算範囲の拡大、(2)少額株式投資非課税制度(日本版ISA)の利便性の向上・事務手続きの簡素化、(3)国際課税原則の見直しを挙げている。(1)については、金融商品について、商品間の損益通算の範囲が制限されており、投資家が多様な金融商品に投資しにくい状況にあることから、公社債等に対する課税方式の変更及び金融商品に係る損益通算範囲の拡大を求めた。

 また、日本版ISAに関しては、2011年度税制改正において上場株式等の軽減税率が2015年度末まで2年間延長されたことに伴い、導入時期が2014年1月からとなったが、今回は、緊急に措置すべきものの一つとして、非課税投資額(口座開設年に新規投資額で100万円が上限)にかかわらず、分配金の同一銘柄への継続債投資を可能にすることや、非課税口座の管理方法・開設時の手続きの簡素化を要望した。

 国際課税原則の見直しでは、わが国では外国法人が国内に恒久的施設(PE)を有する場合、PEに帰属しているか否かを問わず、全ての国内源泉所得について申告が必要という「総合主義」となっていることから、税制がグローバル・スタンダードからかい離しており、対内投資の阻害要因となっていると指摘。外国法人の申告対象を、OECD諸国と同様に、PEに帰属する所得に限定する帰属主義に変更するよう要望している。

 同税制改正要望項目は↓
 http://www.fsa.go.jp/news/23/sonota/20110930-9/01.pdf