9月の円高倒産、2ヵ月連続で今年最多を更新
2011年9月の「円高関連倒産」は10件判明し、8月の8件を上回り、2ヵ月連続で今年最多を更新したことが、帝国データバンクがこのほど発表した「円高関連倒産の動向調査」結果で分かった。これで2011年の累計は44件(前年同期33件)に達し、前年同期比33.3%の大幅増加となった。年間合計は、同集計を開始した2008年以降で最多だった2010年の58件を上回るのはほぼ確実とみられている。
倒産原因別にみると、9月はこれまで多発していた「デリバティブ損失」(2件)に代わって「受注減少」(6件)と「輸出不振」(2件)が目立った。本業外でのデリバティブ損失の発生とともに、歴史的な円高はここにきて本業面にも広く影響を及ぼし始めている。また、業種別では、9月は「製造業」が6件でトップ。内訳は、金型、部品製造の「自動車」が2件、「繊維」が2件、「電子部品」と「プラスチック」が各1件だった。
帝国データバンクでは、「大企業や中堅の優良企業が着々と海外シフトを進める一方、これに対応できない中小企業の業況は厳しさを増している。欧州の経済危機や米国の景気悪化が日本に飛び火すれば、国内大手を含めた輸出企業が一気に落ち込む可能性があり、2万社を超える輸出関連の中小下請け企業の体力は限界に達しつつあり、年末にかけての関連倒産も現実味を帯びる」との危機感を示している。
さらに、「急速な円高で損失が膨らむ、為替デリバティブの問題も放置できない」と指摘。金融庁によると、昨年9月末時点でデリバティブ契約を保持する企業数は約1万9000社。対して、デリバティブ損失による倒産は累計で60件にとどまる。未だ損失負担が重荷となるケースも少なくなく、解約時に借入を増やした企業もあり、引き続き中小のデリバティブ倒産は高水準で発生する、との見通しを示している。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p111003.pdf