2003年09月17日-001
実用化に向けて動き出した電子タグ
様々な分野での活用が期待される電子タグが実用化に向けて動き出した。電子タグは、その名の通り、タグ(荷札)として個々の物に取り付けられ、電子タグ内のメモリには個々の物を識別するIDや、その物に関する情報などを保持することができる。電子タグについてリポートするのは富士総合研究所の主任研究員の小笠原文夫氏である。
電子タグの特長は、非接触というその特性から、例えば電子タグを取り付けた製品をダンボール箱に入れたまま中の製品情報を全部読み込むことができるといった、人の手を介さずに離れた場所から複数の情報を一度に読み取ることができる点である。ほかに、汚れ・振動・衝撃に強い、ICチップへの書き換えが可能、移動していても認識できることなどが挙げられる。
電子タグは、例えば、現在のバーコードの代替手段として、生産から消費までの物と情報の流れをインターネットと融合させることにより、SCM(サプライ・チェーン・マネジメント)の高度化を図る手段として、あるいは、BSEなどの問題が起きた場合の流通の流れ、生産地等を特定するための履歴管理、いわゆるトレーサビリティへの適用など多くの分野での活用が期待されている。
しかし、実証実験が進むにつれていくつかの課題が出てきている。それは、1)電子タグに書き込むコード体系の問題(国・業界・メーカーの垣根を越えて共通に使える標準化)、2)電波法における周波数の問題、3)コストの問題(現在は単価が50~100円以上だが、実用化のためには1~10円ぐらいが望ましい)、4)個人のプライバシーの問題(暗号化などの対策が必要)などである。
電子タグの活用事例の中には回転寿司店もある。皿に電子タグを埋め込み、食後精算時に皿を重ねたまま専用の読取機で一括して読み取ることで、価格帯ごとの皿の枚数、合計金額を計算することで、レジでの処理時間を短縮することに成功している。このような活用事例は幅広い分野に及ぶが、より実用化を進めるためには、上記の課題の早期解決が求められる、といった状況のようだ。
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