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SaaSを利用している企業はわずか2%

経営関連情報 - 2009年07月17日

 矢野経済研究所が国内企業を対象に実施した「ITアウトソーシングの導入実態と利用意向に関する調査」結果(有効回答数677社)によると、オンラインサービスの提供形態別の利用状況は、「利用していない」が78.3%だが、「ASP」が13.7%、「共同利用型システム」が7.5%、「SaaS」は2.2%となった。近年話題性の高まっているSaaSだが、現実的にはSaaSを利用している企業はわずかという結果になった。

 今後のSaaSの利用意向では、83.9%の企業が「なし」と回答、「あり」は10.8%と1割程度にとどまった。多くのベンダーがSaaSへの取組みを開始しているものの、現状のままでは、今後のSaaSの普及には大きな期待はできそうにない。また、「あり」との回答企業をみると、企業規模が大きいほど利用意向が高く、中堅・中小企業をSaaSの提供先と想定しているITベンダーは、ターゲットを再考する必要がありそうだ。

 SaaSを利用しない理由としては、「コスト面のメリットを感じられないから」が30.4%でもっとも多い。SaaSは従量課金型の料金体系であり、使用した分にしか課金されないため、コスト削減効果があるといわれているが、同調査では、ユーザー企業の多くが、SaaSの導入によるコストメリットを感じないと回答した。そうであれば、提供ベンダー側は、ユーザーへの訴求方法を見直す必要がある。

 例えば、SaaSの利用料金そのものはさほど安くないにしても、SaaSを導入することで、ユーザーはIT管理コストを減らすことができ、その分、社内のリソース配分を最適化できる。このように、顧客企業のSaaS導入によるメリットは、表面的な利用料金に必ずしも表れていないことを理解してもらう必要があるなど、SaaSの提供事業者は、ユーザーに対する今後の訴求方法を再考する必要があると指摘している。