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08年度不適切な会計処理発覚企業は過去最多の22社

経営関連情報 - 2009年05月08日

 米エンロンやカネボウ粉飾事件を受けて2003年と08年の2度にわたって公認会計士法が改正され、会計監査の厳格化が進んでいる。帝国データバンクがこのほど発表した「不適切な会計処理が発覚した上場企業の動向調査」結果によると、04年度以降の5年間で不適切な会計処理が発覚した企業は72社で、06年度以降急増しており、08年度は前年度から2社増の22社と、04年度以降最多となったことが分かった。

 04年度以降の72社の業種をみると、「製造業」が20社で最多、以下、「サービス業」(15社)、「卸売業」(12社)、「建設業」(11社)が続く。サービス業15社のうち10社が「情報サービス業」だった。上場市場別では、「東証1部」が29社で全体の4割を占めてトップ、次いで「ジャスダック」(15社)、「東証2部」、「東証マザーズ」、「大証ヘラクレス」が各6社の順。ジャスダックや東証マザーズなどの新興市場は計28社だった。

 不適切な会計処理の内容については、「売上・資産等の水増し」が59社と全体の8割強を占めてもっとも多く、次いで「経費・負債等の圧縮」が18社、「循環取引」が16社、「子会社によるもの」が13社となっている。特に、架空を含む「循環取引」は08年度に8社と急増した。また、04年度以降の72社中、倒産した企業は13社に及び、上場廃止(合併や倒産した企業を含む)は29社と全体の4割に達した。

 4月9日の企業会計審議会では、企業継続の可能性の掲載基準の見直しが承認され、企業の財務状況や業績を示す会計基準を緩和する動きが強まっている。しかし、明らかな粉飾決算などを追及する監査の厳格化は時代の要請である一方、世界的不況から企業業績の落込みが続くなか、企業が破綻回避や上場維持のために不適切な会計処理に走る誘惑は少なからず存在し、今後も発覚するケースが増える可能性もあるとみられている。