国税庁はこのほど、使用人から執行役員への就任に伴い退職手当として支給される一時金についての所得税基本通達の解説を公表し、併せて具体的な7事例をQ&A形式で示した。執行役員制度を導入する企業が増えているが、執行役員就任に伴い支給される一時金が、給与所得(賞与)か退職所得かが明確でなく、その所得区分次第では税額が大きく異なることから問題となるケースもあった。
執行役員とは、会社の業務執行に対して責任と権限を持つものとされている。しかし、法令上にその設置の根拠がなく導入企業によって任意に制度設計ができることから、その執行役員の位置づけは、役員に準じたものとされているものや使用人の最上級職とされるものなど様々となっている。そこで、国税庁は昨年6月、所得税基本通達を改正し、退職所得に該当する要件を明らかにしていた。
その改正通達は、(1)契約が委任契約またはこれに類するもので、かつ、使用人として再雇用が保障されていないこと、(2)報酬、福利厚生、服務規律は役員に準じたものであり、その任務に反する行為等により使用者に生じた損害について賠償責任を負うこと、という退職所得に該当する要件を示した。また、要件に該当しないものでも、単なる従前の勤務関係の延長とはみられないなど特別の事実関係があれば、退職手当とされた。
今回の解説では、この改正通達の具体的な趣旨説明を行い、併せて7事例を示して明確化を図ったものだ。事例では、執行役員との契約関係が雇用契約の場合は、会社との契約関係には変動がないこと、また、労働者としての保護を受けることから、一般的には勤務関係の性質、内容、労働条件などにおいて重大な変動が認められないことから、その執行役員就任時に支払われる退職手当は、原則として給与所得となることを明示している。
所得税基本通達の解説及びQ&Aの詳細は↓
http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/shotoku/shinkoku/071205/01.htm