消費税の課税対象は、国内において事業者が事業として対価を得て行う資産の譲渡・貸付、役務の提供と輸入取引である。これにあたらない取引には消費税がかからず、これを一般的に「不課税取引」という。例えば、外国で行われる取引、サラリーマンなど一般の個人の間で行う取引や、寄附、単なる贈与、出資に対する配当など対価性がない取引がこれにあたる。
また、国内取引であっても消費に負担を求める税としての性質上や社会政策的配慮から消費税を課税しない取引がある。これを「非課税取引」という。例えば、課税対象になじまないものとしては、土地、有価証券、商品券などの譲渡、預貯金の利子、保険料などがあり、社会政策的な配慮に基づくものとしては、社会保険医療、出産費用、住宅の貸付けなどが挙げられる。
非課税取引と不課税取引では、課税売上割合の計算においてその取扱いが異なる。課税売上割合は、分母を総売上高(課税取引、非課税取引及び免税取引の合計額)とし、分母を課税売上高(課税取引及び免税取引の合計額)としたときの割合である。非課税取引は、原則として分母だけに算入するが、これに対して不課税取引は、そもそも消費税の適用対象にならない取引だから、分母にも分子にも算入しない。
消費税では、非課税取引、不課税取引のほかにも、課税されない「免税取引」がある。例えば、商品の輸出や国際輸送、外国にある事業者に対するサービスなどのいわゆる輸出類似取引などは、消費税が免除される。非課税と免税は、仕入税額控除をできるかどうかという点が異なる。非課税とされる取引には消費税が課税されないので、非課税のために行った仕入れについては、原則としてその仕入れにかかる消費税額を控除することができない。
これに対し、免税とされる輸出や輸出類似取引は、課税資産の譲渡等にあたるが、一定の要件が満たされる場合に、その売上について消費税が免除されるものだ。したがって、その輸出や輸出類似取引などのために行った仕入れについては、原則として仕入れにかかる消費税額を控除することができることになる。また、前記の課税売上割合の計算においては、分母、分子ともに算入する。