いったん消費税の簡易課税制度を選択した場合は2年以上継続した後でなければ取りやめることができないが、2006年度税制改正では、災害に伴うやむを得ない事情があれば変更可能となることになった。これまでは、地震や雪害などの災害で事業用の家屋や機械設備などが損壊して多額の投資が見込まれるケースでも、中途での簡易課税の選択の変更はできなかったのだから、被災に遭った事業者にとっては朗報となろう。
税制改正大綱では「災害に伴うやむを得ない事情により消費税の簡易課税の選択を変更する必要が生じた課税期間については、当該災害のやんだ日から2月以内に、簡易課税の選択を変更する必要が生じた旨の申請書を税務署長に提出し、承認を受けた場合には、その選択の変更を認める等の所要の措置を講ずる」とされた。この措置は、災害がやんだ日が2006年4月1日以後に到来する災害について適用される。
制度の対象となる災害の具体的内容は法案成立後の政省令等の公表をまたねばならないが、所得税法や災害減免法などに準ずれば、地震、火災、風水害、雪害などによる災害や、それらの災害に準ずるような状況または事業者の責めに帰することができない状態が生じた場合などが想定される。「災害がやんだ日」については当局の判断次第となろうが、場合によっては2005年分の簡易課税についても該当するケースも出てこよう。
例えば、新潟県中越地震での被災者は2005年分の消費税の申告期限が延長されているが、その災害が2006年4月1日以降にやんだと認められれば、2005年分の消費税の簡易課税の選択変更が認められることになる。また、世間を騒がせている耐震強度偽装事件の被害者についても国税庁は「人為による異常な災害」と認定しており、こちらも適用される可能性が強くなった。詳細の規定が注目されるところだ。