高齢者向けの良質な住宅の供給を促進し、高齢者が安心して生活できる居住環境を実現することを目的とする改正高齢者居住安定確保法が、5月20日に公布された。5月13日に成立していたものだが、施行は公布の日から3ヵ月以内の政令で定める日とされ、8月後半の見込み。高齢者向け優良賃貸住宅(高優賃)の賃貸の対象は現在、高齢者個人となっているが、改正によって一定の社会福祉法人などへの賃貸が認められる。
高齢者居宅支援施設と一体型となっている高優賃について、例えば、マンションのように複数階ある高優賃の1階部分でデイサービスを行っている社会福祉法人に対し、賃貸人は高優賃として利用される2階や3階のフロアを貸し出すことができる。社会福祉法人は、その部分を利用して認知症グループホームなどが運営できることから、在宅介護サービス拠点を併設したケア付き住宅などの増加が期待される。
税務については、これまで高優賃の割増償却率は耐用年数が35年未満のものは28%、35年以上のものは40%だったが、2009年度税制改正において、 (1)改正高齢者居住安定確保法に規定する一定の認定支援施設と一体として整備が行われた高優賃の場合は、耐用年数が35年未満のものは40%、35年以上のものは55%、(2)それ以外の高優賃の場合は、同35年未満のものは20%、35年以上のものは28%に見直されている。
この改正は、改正高齢者居住安定確保法の施行の日から2011年3月31日までの間に新築された高齢者向け優良賃貸住宅を取得等した場合に適用される。なお、高齢者居住安定確保法は、これまで国土交通省の所管だったが、改正によって国土交通相と厚生労働相が高齢者向けの賃貸住宅や老人ホームの供給目標などについて基本方針を定めることになる。この基本方針に基づき、都道府県が「高齢者居住安定確保計画」を策定する。