ゼイタックス

経営関連情報 (2004/10/22)

社保料負担20%上昇で9割以上が企業行動に影響

 社会保険料の引上げは従業員と折半して負担する企業にも大きな影響を与える。経済産業省が18日に公表した企業活動と公的負担に関する緊急調査によると、保険料の負担が現状より20%程度上昇した場合は、大手・中小を問わず9割以上の企業が賃金調整など企業行動に変更を生じざるを得ないと回答した。同調査は、9月下旬から10月上旬にかけて実施、大手企業89社、日商会員の中堅・中小企業252社から回答を得たもの。

 調査結果によると、社会保険料に対する不満(複数回答)については、もっとも多かったのが「保険料がたびたび上がり、先止まり感がない」で大手の81.6%、中堅・中小の72.6%を占めた。次いで「社会保険料が高い」も大手の54.0%、中堅・中小の67.5%にのぼる。

 保険料負担が現状よりも少しでも上がれば大手の14.9%、中小企業の22.0%が、また、潜在的国民負担率が50%を超える水準に相当する20%程度上昇するとした場合は、大手の98.6%、中堅・中小の97.9%が企業行動に変更を生じざるを得ないと回答した。

 具体的な対応(複数回答)は、「非正規雇用、請負形態等への切替え」がもっとも多く、大手の75.7%、中堅・中小の62.1%、次いで「賃金調整を行う」(大手43.2%、中堅・中小47.7%)だった。「海外活動の比重を高める」は中堅・中小では3.3%だが、大手は3番目に多い41.9%で、国内産業の空洞化への影響が懸念される回答となった。ほかでは「従業員の調整を行う」(大手39.2%、中堅・中小41.2%)が上位だった。

 なお、今後高齢化に伴い増加が見込まれる費用を賄う負担構成については、年金・医療・介護ともに「間接税(例えば消費税)の引上げを中心に賄う」との意見が大勢を占めた。次いで「民間活力を活用し、民間保険や自助努力によって賄う」が各分野ともに第2位の回答となったが、トップとの差は大きく、将来的な消費税率の引上げを容認する姿勢がうかがわれる結果となった。