上場企業の第2四半期の為替差損益合計は3009億円
欧米経済の先行き不透明感などを背景に歴史的な円高が続くなか、2012年3月期決算の第2四半期連結累計期間(2011年4月~9月)において、為替相場の変動などにより為替差損を営業外費用として計上した上場企業441社(3月本決算企業、11月4日現在判明分)では、為替差損の合計が前年同月比3.3%増の3009億1900万円にのぼったことが、東京商工リサーチの調査で明らかになった。
また、前年同期の為替差益計上から為替差損に転じた企業は21社を数えた。為替差損額は前年同期(合計2911億6800万円)を97億51000万円上回り、各企業は想定為替レートを高めに設定するなど円高対策を講じたが、予想を上回る円高の進行から差損が膨らんだ模様だ。為替差損を計上した上場企業441社のうち、差損金額が大きかったのは、「任天堂」の524億3300万円だった。
次に「日産自動車」(303億300万円)、「マツダ」(116億7200万円)、「信越化学工業」(107億5000万円)と続く。上位には、電気機器や自動車メーカーが占め、輸出産業を中心に歴史的な円高が業績に深刻な影響を及ぼしたことを示している。441社の業種別の為替差損額では、最多は「自動車・自動車部品」29社の591億9500万円、次に「サービス業」43社が586億3200万円、「電気機器」74社が499億7600万円と続く。
外貨建ての売掛金や現預金を為替レートで評価するときに円高が進んでいる場合や、輸出企業が外貨建ての売掛金を回収するときでも、販売時よりも円高が進行していると為替差損となる。また、急激な円高の進行は、売上高や営業利益を減らす要因ともなって、業績の下振れリスクとして企業活動の足を引っ張る。当面、円安に振れる要因が見当たらず、企業収益はさらに圧迫され、倒産件数の押上げや雇用悪化へのリスクが高まっている。
調査結果の詳細は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2011/1214637_1903.html