4月1日から商標登録制度に「地域団体商標制度」が導入され、同日からその商標登録出願の受付が開始されたが、特許庁は13日、4月10日までの10日間に受け付けた出願件数が累計で324件にのぼることを明らかにした。このうち、初日1日の出願は、土曜日にもかかわらず258件に達した。各地域の事業協同組合などが同制度の開始に満を持していたことがうかがえる。
地域団体商標制度は、地域ブランドを適切に保護することにより、地域経済の活性化に向けた取組みを応援するもの。地域名や商品名(サービス名)からなる商標について、一定の範囲内で知られている程度の知名度でも、文字のみの登録ができるようになった。これまでは、全国的な知名度がないと文字のみの登録が難しく、「夕張メロン」や「宇都宮餃子」など、全国でわずか11の登録にとどまっていた。
今回の受付では、食品分野の出願が目立っているほか、「輪島塗」、「豊岡鞄」、「常滑焼」、「美濃焼」、「飛騨春慶」、「京友禅」、「遠州灘天然とらふぐ」など、これまで中小企業庁のJAPANブランド育成事業に採択された地域の出願もみられた。出願を受付形態別にみると、郵送が165件、オンラインが156件、窓口が3件。また、地域別では、「近畿」が154件と全体の半数近くを占めた。
受け付けた出願は、出願の日から6~7ヵ月後に順次審査結果を出す予定となっている。今後は、一部の地域のみで知られている商品の文字のみの商標登録が可能になったことで、地域ブランドを全国の消費者に浸透させることが容易になる。そうなると、その商品の販路が拡大し、全国的に人気の高い商品に育つ例が出てくる可能性があるので、新制度は地域活性化としても期待されている。