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経営関連情報 (2004/10/22)

役員賞与金計上企業は16.9%増で約6割を占める

 役員賞与金は、会社に利益が生じたことを前提とする点で役員報酬とは異なり、業績に連動して金額が変動する傾向が強いことから、会社の経営状況や経済情勢を映し出すひとつのバロメータといえる。東京商工リサーチがまとめた「東証一部・二部上場企業役員賞与金調査」結果によると、役員賞与金計上企業が前年同期比16.9%増の991社で、調査対象1672社の59.3%を占めたことがわかった。

 単独決算ベースで役員賞与金を利益処分または発生時に費用処理した企業は約6割を占めたが、このうち、前年同期より金額が増加した企業が362社(構成比21.7%)、減少した企業が225社(同13.5%)、増減なしの企業が213社(同12.7%)となっている。また、前年同期には役員賞与金を利益処分しなかったが、3月期には役員賞与金を計上した企業は191社(同11.4%)だった。

 商工リサーチでは、約6割の企業が役員賞与金を計上したことについて、大手企業の業績改善を裏付けたとみている。上場企業の2004年3月期決算では、総じて中国などの外需拡大とデジタル関連の活況を受けて、経常利益の増益企業が目立った。企業業績の回復が、リストラ効果から、外需とデジタル関連などの活況による増収に質的に転換したのがみてとれると判断している。

 また、日本企業の役員報酬は一般に欧米諸国に比べ低水準だが、日本でも退職慰労金は廃止の流れにあり、単年度ごとに役員の実績が評価され、役職期間よりも業績への貢献を求められる方向に変わりつつあると指摘。そうしたなかで役員賞与金の計上企業が増えたことは、退任時の「後払い」ではなく、「その都度」実績と企業業績に応じて賞与を支払う、成果主義の考え方が役員報酬にも適用されつつあるとみている。