正社員・従業者(正規雇用)は減少傾向が続いているが、パート・アルバイトの増加幅が緩やかになる一方、派遣労働者が顕著に増加している。内閣府が13日に公表した分析レポートによると、派遣労働者の増減は、改正労働者派遣法施行の影響やアウトソーシングの拡大といった流れを受けて、04年第2、3四半期に増加幅を拡大している。これを年齢別にみると、特に15~34歳の若年層で増加が著しくなっている。
事業者が派遣労働者を雇用する理由をみると、「人件費の節約のため」という回答がもっとも高いが、非正社員全体と比べて「即戦力・能力のある人材を確保するため」といった理由を挙げる企業が多い。一方、働く側の理由をみると、「正社員として働ける会社がなかった」という理由がもっとも多い。厳しい若年層の就職環境を受けて、不本意ながら仕方なく派遣労働に従事する若年層が多いためと考えられる。
また、正規雇用から非正規雇用に移る確率は上昇傾向にあるが、非正規雇用から正規雇用に移る確率は緩やかな低下傾向にある。非正規雇用への流入は増加し、非正規雇用からの流出が減少しているため、結果的に非正規雇用が増加している。一度非正規雇用になると、そこから正規雇用への転換が難しく、特にキャリアの浅い若年層で非正規化が進むことは、職業能力の形成を妨げ雇用の二極化につながるおそれがある。
なお、賃金への影響をみると、従業上の地位別1月あたり平均賃金は、派遣労働者(20.0万円)はパート・アルバイト(9.0万円)の2倍程度だが、一般労働者(33.1万円)の3分の2程度(厚生労働省の毎月勤労統計調査など)であるため、派遣労働者が増加しても、一人あたり賃金の押上げ効果は限定的とみられている。