安倍新政権がスタートしていよいよ財政再建に向けた議論が本格化するなか、税制面では個人所得課税強化の流れが加速する。人的控除をはじめ各種の所得控除の見直しも焦点の一つだ。そうしたなか、生命保険協会は、全国生命保険労働組合連合会と共催で6月から7月にかけて「生命保険料控除制度に関するアンケート」を実施し、広く国民の意見を集めた。回答者数は123万9934人にのぼる。
調査結果によると、生命保険による自助努力を税制面から支援する生命保険料控除制度の必要性については、「必要」との意見が94.7%と大勢を占めた。税制支援が必要な補償範囲(複数回答)については、「遺族保障」が56.0%、「老後保障」が65.0%、「医療保障」が68.7%、「介護保障」が50.3%と、遺族・老後・医療・介護のすべての保障について、生命保険料控除制度による支援が必要と回答している。
また、現行制度では税負担の軽減額が最大1万7千円(税率10%のとき)とされている軽減水準については、「拡充してほしい」との回答が84.9%にのぼった。一方、現在、「生命保険料控除」と「個人年金保険料控除」と2つの制度があることについては、75.1%が「簡素で分かりやすいほうがいい」と回答し、生命保険商品が多様化・複合化しているなか、「簡素」で「分かりやすい」汎用的な制度になることを望んでいる。
政府税制調査会が昨年6月に公表した「個人所得課税に関する論点整理」において、各種の所得控除は見直しの対象とされ、特に、個人住民税の所得割の諸控除は国税の所得税とは独立して整理合理化を図る方針だ。なかでも、生命保険料控除は、損害保険料控除などとともに、政策誘導的な色彩が強い控除として、速やかに整理すべきだと明記されている。今回の調査による国民の声がどこまで届くのか注目される。
生保協会のアンケートの詳細は↓
http://www.seiho.or.jp/data/news/h18/PDF/060915enquete.pdf