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無申告者の1人平均申告漏れは1573万円と高額

税務関連情報 - 2009年11月04日

 無申告は、申告納税制度の下で自発的に納税をしている納税者に強い不公平感をもたらすことになるため、適格かつ厳格な対応が求められる。こうした無申告者は、その存在自体の把握が難しいことから、国税当局は、さらなる資料情報の収集や活用を図り、的確な課税処理に努めている。国税庁が今年6月までの1年間(2008事務年度)に実施した高額・悪質と見込まれた無申告者に対する実地調査は、前年度比11.7%増の9245件行われた。

 2008事務年度は実地調査全体(特別・一般)が約6万件行われているから、約15%が無申告者に対する調査に充てられたことになる。無申告者に対する調査件数は増加傾向にある。無申告者の内訳は、個人事業者などの営業等に係るものが6343件と約7割を占め、その他が2902件、約3割となっている。2008年度に行われた実地調査の結果、総額で所得税171億円、消費税53億円を追徴している。

 1件あたりの申告漏れ所得金額は、前事務年度の1669万円からはやや減少したものの1573万円と高額であり、実地調査全体の1件あたり申告漏れ所得金額887万円を大きく上回っている。申告漏れ所得金額の総額は1454億円(前事務年度1381億円)にのぼる。こうした調査結果からいえることは、結構高額な所得がありながら、国税当局にはばれまいと高をくくっている納税者がいかに多いかということだ。

 例えば、事業者Aのケースでは、調査において、Aが所有するパソコン内のデータを確認したところ、本人口座及び複数の借名口座を開設しているネット銀行との取引が把握されたため、その入金取引について本人に説明を求めたところ、クレジットカードのショッピング枠と宅配便業者の代引き決済を利用した商品販売業を行っており、5年間で約4500万円の利益を得ていたにもかかわらず全く申告していなかったことが判明している。

 Aに対しては、重加算税を含め所得税700万円、消費税200万円が追徴されている。