2005年度税制改正の焦点となる金融所得課税の一体化について、金融庁の金融審議会は10日、金融税制スタディグループにおける今年3月から6回にわたる議論の経過メモを公表した。今後の議論に向けたたたき台として、これまでの議論の経過を整理したもの。そのなかで、「貯蓄から投資へ」という政策上の課題を推し進めるためには、中立的な税制を超えてリスク資産保有を優遇する必要があるとの考えを示した。
経過メモによると、基本的な考え方は、投資家の立場に立って簡素で分かりやすいものであると同時に、金融取引に対して中立的であることが望ましい点をベースラインに、「実務的」、「政策的」な観点も加味されて、現実の税制が構築されることである。そこで、金融商品からの収益への一律課税は、特定の金融取引を税引き後において有利不利にすることは少なくなることから、中立化するうえで有効な方策だとしている。
ただし、税制の現状を踏まえると、リスク資産に関する損益通算は、現実的には不完全だから、金融税制自体がリスク資産の市場価格を相対的に引き下げる効果を持っていると指摘。このような引下げ効果を減殺するために、リスク資産に対する税負担をある程度軽減することを、中立的な金融税制に近づくという意味で、是認している。
また、政策的な配慮から、現下の情勢では、「貯蓄から投資へ」の流れを作り出すためには、中立的な税制を超えて、リスク資産保有を優遇する必要があるとしている。なお、納税者番号制度については、多くの論点を含む問題であるため、その検討状況を注視したいというにとどまり、選択的納税者番号制度についても、投資家の利便性が何かについてユーザーサイドの視点に立った検討が必要との考えを示したに過ぎない。
議論の経過メモの詳細は↓
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/singi/f-20040810-2.pdf