ITバブル以降減少を続けていた1企業あたりのIT投資額が4年ぶりに増加に転じた。経済産業省がまとめた2003年情報処理実態調査結果(有効回答数4491社)によると、2002年度における1企業あたりのIT投資額は9億2854万円で1年前に比べ15.6%増えて、99年度以来4年ぶりの増加となった。また、事業収入に占めるIT投資額の割合も1.4%で前年度比0.1ポイント増となり、5年連続の上昇となった。
経産省では企業のIT投資が確実に拡大しているとみている。IT投資の内訳の構成比は、「ソフトウェア」関連費用が30.4%、「サービス」関連費用が23.0%、「ハードウェア」関連費用が19.4%となり、ソフトやサービスに対する投資がハードへの投資を上回っている。この傾向は2001年度より見受けられ、2003・2004年度においても、ハード関連費用はやや回復するものの、同様の傾向が続くと予測されている。
また、情報システムの提要範囲をみると、2002年度の特徴としては、戦略的な新規システムや設計・製造管理を中心に、全社共通の部署横断的なシステムへを構築する割合が55.2%と半数以上を超えたことがあげられる。その投資の伸びが、事業部ごとのシステムへのそれを上回るなど、現場主導のIT投資ではなく経営主導のIT投資が根付きつつあること、などが明らかになった。
さらに、企業の情報セキュリティ対策にも着実な進展がみられ、「システム等のダウンを経験した」企業割合は前年度より8.5ポイント減少の45.5%となった。ただし、対策の内容は、比較的実行しやすく効果も短期に表れる技術的な対策が中心となっており、組織の責任や人材育成などの面では、重要性について認識しているものの課題のままで進展していない部分が多いと指摘されている。