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企業再生における私的整理の税制特例要件を緩和

税務関連情報 - 2008年05月23日

 一定の要件を満たす私的整理については、民事再生法と同様に、(1)資産の評価損益を損金・益金に算入できる、(2)期限切れ繰越欠損金を優先的に損金算入できる、という特例があるが、2008年度税制改正では、その特例の要件が緩和された。具体的には、一定の指摘整理要件の一つである「2以上の金融機関等が債務免除することが定められていること」における金融機関等の範囲に信用保証協会が追加された。

 改正前の法人税法では、「2以上の金融機関等の債務免除」の金融機関等の範囲として、(1)預金保険法第2条第1項各号に掲げる金融機関、(2)農水産業協同組合、(3)保険会社及び外国保険会社等と定められていた。預金のない信用保証協会は含まれていないが、2008年度改正では、中小企業の再生においても一定の私的整理の税制特例を活用しやすくするため、同特例の要件の金融機関等に信用保証協会を追加したものだ。

 これまで、取引銀行が1行しかない中小企業の場合は、「2以上の金融機関等」の債務免除を受けることができない場合が多く、中小企業は同特例を活用しにくいとの声が強かった。しかし、改正後は、銀行が融資を行う場合、信用保証協会の保証付というケースが多いことから、取引銀行1行しかない中小企業でも、信用保証協会が求償権を放棄することによって税制特例を活用することができるようになろう。

 なお、私的整理のうち「一定の私的整理」に該当するためには、その債務処理計画が、(1)一般に公表された債務処理を行うための手続きについての準則にしたがって策定、(2)資産評定を基礎とした貸借対照表を策定、(3)債務免除が定められていることの3要件に加え、 (4)2以上の金融機関等の債務免除か、(5)政府関係金融機関または協定銀行が債務免除することを定められていることのいずれかの要件を満たす必要がある。