ゼイタックス

経営関連情報 (2004/08/09)

管理体制の整備による経営改善の成功事例~中小公庫

 中小企業を取り巻く経営環境は依然として厳しい状況にあるが、中小企業は生き残りをかけて、新たな事業への進出や事業転換、生産・販売体制の見直し、コスト削減、活性化に向けた組織の再編、遊休資産の処分による借入負担の軽減といった経営改善に取り組んでいる。ここでは、管理体制の整備による経営改善に成功した企業の事例を紹介する(中小企業金融公庫「経営情報」より)。

 業歴90余年の老舗の生菓子製造業者A社は、売上至上主義に基づく多店舗展開が裏目に出て不採算店を抱えたうえ、既存店舗も競争激化などから減収を余儀なくされた。また、経営体制は個人商店的体質を色濃く残し、採算管理も甘かったことから、ここ数年赤字状態が続いていた。このような状況下、取引金融機関の支援スタンスの変化を察知したA社は、人員削減を軸とする経営改善に取り組むことにした。

 経営改善に向けた具体的な取組みは、まず製造日報計画表を整備した。従来は、各店舗からの受注集計表をもとにベテラン工員が経験と勘を頼りに決めていたことから、過剰在庫やロスが発生していた。このため、作業指示書と原価管理資料を兼ねた製造日報計画表を新たに整備し、1)生産計画策定の徹底や2)本社管理部門と製造現場双方でのコスト意識の共有化などを図った。

 次に、A社では、大半の工員は自分の担当する工程のことしか知らなかったため、工員の多能工化を進め、一人の工員が複数工程を担当できる体制作りに着手。これらの取組みにより人員削減計画は明確化し、工場パートは取組み前に比べ約30人もの減員が可能となり、労務負担を大幅に削減した。このほか、仕入発注の一元化による製造コストの削減、不採算店の削減に加え、同業者の経営を参考に商品構成等の見直しなども行った。

 これらの経営改善取組みの結果、人員削減を中心とした固定費引下げなどにより、A社の収益体質は確実に改善してきている。また、金融機関に提出する経営改善計画書に、具体的な取組み事項とその実施状況を盛り込み、内容充実を図ったことが評価され、取引金融機関の支援姿勢も徐々に前向きに変化するなどの効果も得られたという。