税 務 関 連 情 報

2003年05月23日-001
皆年金制度の再構築へ基礎部分の税方式化を提言

 年金改正のたびに給付引下げ、支給開始年齢の引伸ばし、保険料の引上げなどが繰り返されてきたため、公的年金に対する国民の不信不安が高まっている。2004年の年金制度改革では、このような不信・不安を解消することが重要課題だが、労働組合の総本山、連合ではこのほど、皆年金制度の再構築のため基礎年金を税方式化する、などの制度改革に向けた基本的な考え方を明らかにした。

 基礎年金及び厚生年金の“空洞化”による皆年金制度の有名無実化は深刻な問題である。現在、自営業者などの第1号被保険者2154万人の約46%に当たる99万人が年金に未加入等で保険料を負担しておらず、基礎年金の“空洞化”が進行している。さらに、パート・派遣労働者など厚生年金の未適用者の増加、リストラなどによる失業者の増大などで、厚生年金の被保険者が減少するなど、「支え手」の減少傾向が進んでいる。

 一方、制度改革に向けて厚生労働省は、制度の体系を「社会保険方式に基づく現行体系を基本」としているが、これでは基礎年金の“空洞化”が一層進展し、皆年金制度が維持できないと連合は指摘する。そこで、基礎年金の“空洞化”現象を解消するため、基礎年金を税方式に転換することを提言したわけだ。

 そのため、2004年を待たずに早急に国庫負担を1/2に引き上げ、2009年の年金改革時には全額税方式への転換を図る。基礎年金の税財源は、1/2までは一般財源とし、1/3を年金目的間接税、1/6を事業主負担(社会保険料相当分)とする。年金目的間接税は、連合の試算によると、消費税率換算で2009年に2.5%程度、2025年で3%程度と推計している。

 なお、厚生労働省は、制度改革に向けて保険料固定方式などを盛り込んだ「方向性と論点」を昨年12月に公表しており、これをたたき台に年金部会などでの議論を経て、今秋に次の年金改革案の骨子をとりまとめ、2004年通常国会に改正法案を提出する予定だ。

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