2007年に偽ブランド品や海賊版などの知的財産権を侵害する物品の輸入を税関が差し止めた件数が、前年に比べ15.7%増の2万2661件と、初めて2万件を超え、6年連続で過去最高を更新したことが、財務省がまとめた「2007年の知的財産侵害物品の差止状況」で明らかになった。輸入が差し止められた知的財産侵害物品の総額について正規品価格を参考に推計したところ、2007年の総額は約385億円となった。
一方、輸入差止点数については約104万点で、前年に比べ6.1%増の微増にとどまり、1件あたりの平均輸入差止点数は46点と前年(50点)に比べ8%減少し、知的財産侵害物品の輸入の小口化が進んでいることを示した。これは、インターネットによる注文を通じ、郵便物等により少量の偽ブランド品等を輸入する手口が多いことが背景にある。また、2007年には、知的財産侵害物品の輸出が初めて差し止められた(3件、481点)。
地域別に輸入差止件数をみると、「中国」が1万6116件で全体の71.1%を占め、次いで「韓国」が4527件(構成比20.0%)で続き、この両国で全体の9割を占めた。そのほか「香港」が735件(同3.2%)。前年と比べると、中国が70.7%増、香港が73.3%増と大幅に増加する一方で、韓国は48.1%も減少した。これは、韓国税関が仁川空港などにおいて、不法輸出の取締りを強化していることが大きな要因とみられている。
品目別に輸入差止件数をみると、ハンドバッグや財布などの「バッグ類」が1万6959件と全体の59.6%を占め、次いでTシャツやジャケット、ズボンなどの「衣類」が2656件(構成比9.3%)、「キーケース類」が2476件(同8.7%)となった。また、差止点数は、「バッグ類」が約26万点と全体の25.0%を占め、次いでファスナーや衣類用ひも止め具などの「衣類付属品」、「医薬品」がともに約10万点(構成比9.8%)となった。
差止点数を前年と比べると、「医薬品」が2192.7%増、玩具類が256.5%増と大幅に増加した一方で、衣類付属品は52.9%減少した。医薬品は、昨年の約4千点から約22倍も急増したが、これは、2006年以降、「バイアグラ」などの商標権をもつ企業など複数の権利者から医薬品に関する輸入差止申立てを受理し取締りを強化したことが、差止点数の大幅増加につながったとみられている。
2007年における知的財産侵害物品の差止状況の詳細は↓
http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/ka200305a.htm