三菱UFJリサーチ&コンサルティングがこのほど発表した調査レポート「2008年夏のボーナス見通し」によると、今夏のボーナスは、所定内給与は増加に転じているものの、企業収益が昨年夏以降、減益に転じていることを反映して、2年連続での減少が予想されている。民間企業(パートタイムを含む)の一人あたりの平均支給額は、前年に比べ2.9%減の39万6000円との見込みを示している。
レポートは、2008年夏のボーナスを取り巻く環境を分析。ボーナス算定のベースとなる基本給(所定内給与)は2006年半ばごろから前年比で減少が続いていたが、昨年11月から小幅ながら増加に転じている。一方、ボーナスの原資となる経常利益(法人企業ベース)は、2007年7~9月期に21四半期ぶりに前年比マイナスに転じた後、10~12月期も引き続き減益となったとしている。
この背景には、人件費などの固定費の増加や原油を始めとする原材料価格の高騰が企業収益を圧迫するようになってきたことがある。特に中小企業では原材料価格の上昇分を製品価格へ転嫁することが困難な状況にある。また、米国経済の先行きに不透明感が高まっており、企業の景況感は悪化。雇用環境についても、有効求人倍率が低下傾向、雇用者数の伸びも鈍化してきており、ボーナスを取り巻く環境は厳しいとしている。
こうした環境のなか、民間企業の一人あたりの平均支給額は前年比2.9%減の39万6000円と2年連続で減少し、減少幅は0.05ポイントと前年(0.03ポイント)よりも拡大する見込みだ。産業別では、製造業が49万5000円(前年比3.2%減)と6年ぶりに減少し、非製造業(調査産業計から製造業を除いて計算)でも37万円(同2.8%)と2年連続で減少すると見込んでいる。
また、支給労働者数割合は2006年度以降低下しているが、景気回復などを背景に常用労働者数が増えていることから、支給労働者数は3731万人と前年を1.1%上回り、5年連続して増加する見込みだ。しかし、支給労働者数は増加するものの、一人あたりの平均支給額が減少すると見込まれるため、夏の支給総額は、前年比1.8%減の14.8兆円と、前年を下回ると予想している。
同調査レポートの詳細は↓
http://www.murc.jp/report/research/bonus/2008/0780.pdf