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税務関連情報 (2007/03/07)

2008年度から都独自の住民税軽減措置を実施

 東京都は2日、生活保護の対象となる程度の収入しかない低所得者の税負担に配慮するとともに、都財政再建の成果の一部を還元するため、2008年度から都独自の個人住民税(所得割)の軽減措置を実施する方針を決定した。都によると、対象となるのは納税者の約1割にあたる約60万人で、定額負担分(1000円)を除いて個人住民税所得割の全額が軽減される。この措置により年50億円程度の減税となる見通し。

 低所得者に対する住民税の軽減は、川崎市や大阪市で例があるが都道府県では初めての措置。この背景には、国から地方へ税源移譲する三位一体改革の影響で、今年6月から住民税の負担が増えることがある。所得割の税率はこれまでの5・10・13%の3段階から一律10%に一本化され、低所得層の負担が増えることから、仕事や年金による収入が、住民税が免除されている生活保護の受給者と同程度の都民を救済する。

 都の試算によると、生活保護基準と同程度の年収166万円の単身者の場合、個人住民税4万7600円のうち市区町村民税を除く都民税1万9000円が免除され、また、年収270万円の母子2人の場合は、住民税4万6300円のうち都民税1万8500円が免除されることになるという。ちなみに、生活保護を受けている都民は2005年現在で約19万人おり、10年間で2倍近くに増えている。

 こうした都独自の住民税の軽減措置は、低所得の都民にとっては朗報となる一方で、財政力が豊富な東京に対する反発を招き、東京から地方へ税財源を移すべきだとの議論が高まりそうだ。また、4月の都知事選へ向け、石原慎太郎知事の対立候補からは選挙目当てとの批判も強まることは確実だ。ともあれ、都は、住民税軽減措置の実現に向け、2007年度中に都議会へ条例改正案を提出する予定だ。