中小企業が設備投資を行った場合の優遇措置で代表的なものに、青色申告書を提出する中小企業者等を対象とする「中小企業投資促進税制」と「中小企業等基盤強化税制」がある。これらの税制はどちらかの選択適用で、特別償却(30%)または税額控除(7%)が認められる。ところが、中小企業者等と「特定中小企業者等」とでは、対象設備を取得した場合とリースの場合とで、特別償却と税額控除の取扱いが異なる。
税法上、「中小企業者等」とは、1)資本金が1億円以下の法人(大規模法人の子会社は除く)、2)資本金を有しない法人のうち、常時使用する従業員の数が1000人以下の法人、3)常時使用する従業員の数が1000人以下の個人、4)農業組合等、のいずれかに該当する法人・個人等をいう。一方、「特定中小企業者等」とは、資本金が3000万円を超える法人以外の法人・個人等をいう。
上記の優遇税制では、対象設備がリースの場合は、中小企業者等、特定中小企業者等ともに、特別償却制度は使えず、税額控除制度のみとなるが、対象設備を取得した場合は、特定中小企業者は特別償却、税額控除とも使えるのに対し、資本金が3000万円超の中小企業者等は特別償却しか使えない。つまり、同じ中小企業でも資本金3000万円以下の企業をより優遇しているわけだ。
ちなみに、法人税法における「中小企業」の範囲は、「資本金1億円以下の法人」をいうが、法律や制度によって範囲が異なる場合がある。例えば、中小企業基本法の定義では、「製造業その他」は資本金3億円以下または従業員数300人以下、「卸売業」は同1億円以下または100人以下、「小売業」は同5000万円以下または50人以下、「サービス業」は同5000万円以下、100人以下が中小企業となる。