政府税制調査会は、2010年度税制改正における検討課題に「消費税の仕入控除税額の調整措置に係る適用の適正化」を盛り込んだ。これは、自動販売機を利用した消費税節税への「然るべき対処」を求めた会計検査院の要望を受けたもの。検査院は、2008年度において賃貸マンション等の事業者が飲料等の自動販売機などを使って不適切に消費税の還付を受けた額が全国40以上の税務署において6億円強にのぼると指摘していた。
この消費税節税は、賃貸住宅を取得して消費税課税事業者を選択するとともに、非課税の家賃収入が発生する前に敷地内に自動販売機を設置するなどして少額の課税売上を作っておいた上で、課税期間の課税売上割合が95%以上であれば、課税仕入れに係る消費税の全額を控除できる「95%ルール」を適用して、家賃は非課税売上であるため本来であれば受けられない賃貸住宅の建築費に係る消費税の還付を受けるものだ。
消費税法では、「95%ルール」を適用する一方で、建物など一定の固定資産を取得した場合の仕入税額控除は、その後の課税期間において課税売上割合が著しく変動することがあることなどから、その固定資産取得時から3年間の各課税期間の課税売上割合を通算した課税売上割合が、取得課税期間の課税売上割合より著しく変動した場合は、その3年間の課税期間の仕入税額控除において消費税額の調整を行うことになっている。
ところが、この消費税額の調整は、調整課税期間に、その事業者が免税事業者や簡易課税制度適用事業者になっている場合は適用されないため、上記の事業者は、免税事業者に戻ったり、簡易課税制度の適用を受けることにより調整を免れていたわけだ。そこで、政府税調は、課税選択をして、アパートなど一定の資産の取得年以後、3年間は課税選択を強制し、簡易課税の選択も認めないようにして、節税策を封じる考えだ。