消費者の購買行動に影響を与えた原発事故
日本政策金融公庫が全国の20歳代から70歳代までの男女を対象7月上旬に実施した「消費者動向調査」結果(有効回答数2000人)によると、東京電力福島第一原子力発電所事故の影響があると考える地域の食品を「買わない」消費者が4割(37.0%)と、「買う」及び「気にならない」の計3割(28.2%)を上回り、原発事故が消費者の購買行動に影響を与えていることが明らかになった。
震災後の食品の購入行動をみると、生鮮食品の購入時に重視する項目(複数回答)は、「産地」が30.4%と高く、「鮮度」(12.9%)、「低価格」(8.8%)と続く。これに対し、加工食品では、「原材料産地」が16.9%と一定の割合があるが、重視する項目は「特にない」との回答が42.9%を占める。原材料産地に続き、「低価格」(9.6%)や「賞味・消費期限」(8.5%)も重視する傾向にある。
震災後の購入量は、消費自粛や物流の混乱などの影響により、生鮮食品・加工食品ともに、全体としては「購入量を減らした」と回答した消費者が多い。特に「花(観賞用)」(21.6%)や「菓子」(15.2%)といった嗜好品は、消費を控えた人が多い。その一方で、「めん類」(9.3%)や「冷凍食品」(8.1%)といった保存食や、「ミネラルウォーター」(17.7%)や「飲料」(11.0%)は、家庭内備蓄・被災地等への送付需要により購入量が増えている。
購入先は、「震災前と変わらない」人が生鮮食品・加工食品ともに9割近くを占め、いつもの購入先で何を買うか吟味することで食品の安全性を確保しているようだ。また、食品備蓄の必要性を「認識している」人が68.8%と高い水準だが、必要と考える備蓄量は、「3日分ぐらい」が32.3%で最多、3日分から7日分までと回答した人を合わせると8割を占め、「買いだめ」には陥らず、計画的にこまめに消費しようとする意識がうかがえる。
同調査結果の詳細は↓
http://www.jfc.go.jp/a/topics/pdf/topics_110905_2.pdf