2003年11月10日-003
疑問のある税滞納保護者への助成金の保留
東京・荒川区は今年度から、高齢者家賃補助や区民住宅入居の許可などを、住民税や国民健康保険料を滞納している人については保留する措置をとった。私立幼稚園や外国人学校に子供を通わせる父母を対象にした助成金についても同じ措置を始めたという(アサヒ.コム:11月2日)。
税滞納や国保料未収問題に悩む自治体は多い。強行措置を実施する自治体が続きそうな気もするが、どうも弱者切捨てといった感がしないでもない。国保料の滞納世帯は400万を超え、その割合は2割になろうとしている。その原因は、長期不況のなかで勤め先の倒産やリストラなどで職を失い、健保組合から国民健保に移る人が増加していることにある。
払いたくても払えない人も少なくないと推測できる。所得がありながら保険料を払わない人が多いといわれる国民年金の空洞化問題とは違うのである。低所得者層をターゲットにする前に、所得が一定額以上ありながら優遇されているものが沢山ある。例えば、所得制限を超えていながら区民住宅に入居していることや、幼稚園の助成金にしても所得把握に疑問があるケースは多い。
さらにいえば、所得という基準は収入だけで判断しがちだが、土地や預貯金などの資産も含めて決めてもいいのではないか。厳しい財政を立て直すため、我々一人ひとりが“広く薄く”負担することは受け入れるとしても、資力に応じた負担増であるべきである。課税の公平、所得把握の公平さはその大きな要素となる。財政難を目先の安易な方法で場当たり的に解決しようというのではなく、大所・高所から見た対処を望みたい。
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