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「財務会計士なる資格」創設に疑問呈する日税連

税務関連情報 - 2010年09月24日

 「公認会計士制度に関する懇談会」中間報告書に対し、日本税理士会連合会(池田隼啓会長)が意見を呈し、報告書の中にある「財務会計士」の創設に対し、「公認会計士資格を得るまでの過程において、財務会計士なる資格を新たに創設し、第2段階目の試験合格者にこれを付与することに合理性があるのか疑問」として、ただ単に待機合格者問題のすり替えであり短絡的対処療法に過ぎないとした。

 そもそも、会計の専門家を、監査の専門家である公認会計士制度の中で制度設計することに無理があるとし、「新たな会計の専門家制度を構築するのであれば、日商簿記検定1級等の既存の会計関連資格や公認会計士と隣接する国家資格との関係も考慮しつつ検討を行うべきで、本来自由業務である会計業務を扱う会計専門家を新たな国家資格として公認会計士法上位置付けることは、新たな規制を創ることになると指摘している。

 また、いわゆる待機合格者問題については、むしろ受入先である監査法人等業界全体の責任感の欠如と見込みの甘さが原因であり、この政策判断のミスにより、結局被害を受けるのは公認会計士試験受験者であると厳しく糾弾。2006年から新試験制度に移行されて間もないのに、さらに根本的に試験制度を変更することは、いたずらに国家資格の信頼性を損なうことになるとしている。

 「税務に関する資質の検証」では、短答試験で法人税法を必須科目若しくは選択科目にするという案があることにつき、「会計分野のプロフェッショナルを目指すのであれば、一段階目の試験に法人税法を取り入れる必要はなく、二段階目で採用する場合にも、会計の専門家に必要とされる程度の基礎知識の習得を判定する試験とすべき」と指摘した上で、「税務に関する資質は、税理士制度の中においてこそ判定されるべき」としている。