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脱税は社会公共の敵~査察調査

税務関連情報 - 2008年10月08日

 査察調査とは、大口・悪質な脱税をしている疑いのある者に対し、犯罪捜査に準じた方法で行われる特別な調査である。調査に当たる国税査察官には、裁判官の発する許可状を受けて事務所などの捜査や、帳簿などの証拠物件の差し押さえをする強制調査を行う権限が与えられている。この査察調査は、単に免れた税金や重加算税等を納めさせるだけでなく、検察官への告発を通じて懲役や罰金といった刑罰を科すことを目的とする。

 査察調査により脱税の事実が判明すると、刑事事件として検察官に告発する。そして、検察官によって裁判所に起訴され有罪が確定すると、懲役や罰金の刑罰が科される。この刑罰は、5年以下の懲役または500万円(脱税額が500万円を超える場合は、脱税相当額)以下の罰金となるか、あるいは懲役と罰金の併科となる。2007年度においては、220件の査察調査に着手し、158件を検察官に告発した。

 査察事件でも以前は執行猶予と罰金刑で済んでいたが、1980年(昭和58年)以降、“一罰百戒”効果を高めるため毎年実刑判決が言い渡されている。2008年度中に一審判決が言い渡された査察事件189件では、すべての事件において有罪判決が出され、執行猶予のつかない実刑判決は22人に出された。1件あたりの反則税額は1億2700万円、1人あたり懲役月数は16.1ヵ月、1人(社)あたり罰金額は3100万円となっている。

 所得税を脱税していた納税者A(脱漏所得16億8800万円)の場合を例にとると、追加負担は、国税本税が6億9800万円、加算税等が2億9500万、地方税が3億300万円、罰金(一審判決)が1億5000万円の上に、懲役(一審判決)2年(実刑)となる。国税当局は、「脱税は、いわば社会公共の敵というべきもの」として、今後も大口・悪質な脱税者に対しては査察調査により厳しく追求していく方針だ。