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医学生に貸与した修学等資金の債務免除の取扱い

税務関連情報 - 2010年12月01日

 医師の確保を図り地元自治体の医療の提供の充実に寄与することを目的に、「修学等資金貸与条例」及び「修学等資金貸与条例施行規則」を制定、将来、地元の病院に医師として勤務する意思を有している医学生、医師免許を有する大学院生等に、修学や研修に要する資金を無利息で貸与する制度を実施している場合の修学等資金の返還債務の免除による経済的利益等の帰属に対する照会に、大阪国税局がその取扱いを回答で示した。

 それによると、使用者が役員または使用人の資格等取得費用を負担する場合に、使用人等が受ける経済的利益は給与所得として課税対象となるが、所基通9-15により使用者の業務遂行上の必要に基づき行われ、使用人等としての職務に直接必要な資格等を取得させるために行われている場合には、使用者から使用人等に経済的利益を供与されているとは認め難いことから、適正なものに限り課税しないこととされる。

 しかし、照会の修学生等への修学等資金の貸与及び免除については、(1)医師の場合には、勤務医としてだけでなく、開業医として独立することも可能であるとともに、(2)享受することになる経済的利益の額も多額(医科大学在学の6年間で1200万円)で、上記通達の趣旨、範囲を大きく逸脱することになると考えられ、同通達の適用はなく修学等資金の返還債務を免除されたときに課税関係が生じることとなる。

 したがって、修学等資金の返還債務免除益の課税関係については、その免除を受けた理由により異なる。例えば、在職期間が貸与期間に相当する月数に達した場合は、貸与期間に相当する期間、常勤医師として勤務したことによるものと認められ給与所得に該当する。また、在職期間中に公務等により死亡した場合は、その死亡によって返還債務が免除されえるものだから、修学生等に対して所得税は課税されない。

 さらに、在職期間中に公務等に起因する心身の故障のため免職された場合は、市民病院を退職したことに基因して一時に受けるものと認められるので、退職所得となる。そのほか、市長の裁量により免除された場合で、修学生等が死亡した場合の債務免除益は、対価性のない一時の所得と認められるので、その返還債務を承継した相続人の一時所得となるなどとしている。

 大阪国税局の回答の全文は↓
 http://www.nta.go.jp/osaka/shiraberu/bunshokaito/shotoku/101018/index.htm