減価償却制度については、2008年度税制改正において法定耐用年数の抜本的見直しが行われたが、忘れてはならないのが、250%定率法の導入や100%償却など昨年40年ぶりに大改正された新減価償却制度の実際の適用が、3月決算法人の決算整理の実務から始まっていることだ。なかでも、減価償却方法の選定や変更に関する取扱いは、目前の決算に大きく影響するので注意したいところだ。
減価償却方法は、新減価償却制度が施行された2007年4月1日以後に取得した新規資産だけでなく、施行前に取得した既存の資産についても、決算後2ヵ月の確定申告期限までに届け出れば選定・変更することができる。したがって、今期に限っては、決算状況を考慮しながら自由に償却方法を選ぶことができる。節税したいのなら償却率の高い定率法を、利益を確保したいなら定額法をと、自由に選択・変更できる。
まず、新減価償却制度施行後に取得した新規資産については、原則、その事業年度に係る確定申告の提出期限までに所轄税務署長に届け出た償却方法による償却が認められる。例えば、3月決算法人であれば、5月末までに償却方法を届け出ればいいことになる。したがって、新規取得資産について250%定率法によって償却するか、定額法によるかを決めかねている場合は、決算状況を見極めながら選択することができるわけだ。
また、既存資産の償却方法の変更については、従来、変更しようとする事業年度開始の前日までに所轄税務署長に届け出る必要があったが、2007年4月1日以後最初に終了する事業年度に限っては経過措置が設けられ、既存資産の償却方法を変更しようとする場合は、確定申告書の提出期限までに一定の事項を記載した償却方法の変更届出書を所轄税務署長に提出すれば、承認があったものとみなされることとされている。
もちろん、既存資産の償却方法を250%定率法などの新償却方法に変更することはできないが、旧定額法を旧定率法に変更できれば、多少なりとも早期償却が期待できる。逆に黒字を確保したいのであれば、旧定率法から旧定額法への変更も検討できる。ともあれ、償却方法の変更届出書の提出期限が確定申告期限までとされていることから、決算状況を見ながら減価償却費をどの程度計上するか自由に裁量できることを考慮したい。