公正取引委員会が5月27日に発表した2008年度における下請法の運用状況によると、下請業者に支払うべき代金を発注者側が不当に減らしていたとして下請法違反で2008年度に返還させた金額が前年度に比べ2.7倍増の総額29億5133万円にのぼったことが分かった。この返還の年度総額は、2004年4月の改正下請法施行以降最高額となる。是正勧告も同2件増の15件となり最多となっている。
公取委が是正勧告を行った15件のうち14件は下請代金の減額事件で、残る1件は下請業者に商品購入を強制した購入強制事件として初めての勧告となった。下請代金の不当減額については、警告措置にとどまった発注者側も含め計50社が下請事業者2022社に対し29億5133万円を返還した。46社が下請事業者3736社に対し10億8804億円を返還した2007年度の金額を大きく上回った。
下請代金の不当減額に係る勧告事件をみると、2008年5月に井関農機の子会社3社がその下請事業者延べ67社に対し、過去最高となる総額10億9223万円を減額していたと認定したことや、同年6月にマツダがその下請事業者58社に対し、過去2番目となる総額7億7864万円を減額していたと認定。2008年度はこれら1件あたりで上位4番目までを占める大型案件が相次いだことから、返還の年度総額を押し上げた。
なお、公取委では、下請取引の性格上、下請事業者からの下請法違反被疑事実についての申告が期待できないことから、親事業者及びその下請事業者を対象に書面調査を実施するなどして、違反行為の発見に努めてきている。2008年度は、資本金1000万円超の親事業者3万4181社及びその下請事業者16万230社を対象に実施。同年度に新規に着手した下請法違反被疑事件3324件のうち、書面調査によるものが3168件を占めた。
2008年度における下請法の運用状況等の概要は↓
http://www.jftc.go.jp/pressrelease/09.may/09052701.pdf