燃料価格高騰の影響が直撃して、道路貨物運送業は厳しい経営を強いられている。東京商工リサーチがこのほど発表した道路貨物運送業の倒産状況によると、2008年1月~8月における倒産件数は前年同期比25.1%増の304件となった。最近は、2004年が356件、2005年351件、2006年346件、2007年349件と推移し、2008年は5年ぶりに年間400件台に達する可能性が高いと推測されている。
負債総額は、前年同期比15.2%増の470億8000万円となった。負債10億円以上の大型倒産が同3件増の8件発生したことが影響したが、一方で、負債1億円未満の小規模倒産も同31.9%増の190件と増加。平均負債額は同8.3%減の1億5400万円にとどまった。形態別では、企業の解体・消滅である破産が同22.6%増の141件だった。また従業員規模別では、5人未満が同59.3%増の137件となり、小規模企業の倒産増加が目立つ。
地区別では、全国10地区すべてで倒産件数が前年同期を上回った。前年同期比増加率では、「中国」が133.3%増(3→7件)、「北陸」が66.6%増(3→5件)、「東北」が61.9%増(21→34件)、「近畿」が47.1%増(53→78件)、「九州」が25.0%増(20→25件)、「北海道」が22.7%増(22→27件)、「中国」が7.1%増(14→15件)、「関東」が6.2%増(80→85件)、「中部」が3.7%増(27→28件)の順になった。
東京商工リサーチは、トラック運送事業は1990年の法改正以降、規制緩和により新規参入が増加し、輸送需要が伸び悩むなかで事業者間の過当競争を招いたと分析。加えて、最近の急激な燃料価格上昇が経営環境を一層厳しいものにしており、このように業界が供給過剰で荷主優先の需給環境にあっては、運送費値上げは容易なことではない。中小トラック運送事業者が大半を占めるなかでの今後の収益悪化を懸念している。