“欠陥住宅”といった言葉が象徴するように、消費者が日本の住宅建築に性能や価格面などで少なからぬ不安・不信を抱いているのは周知の事実だが、それは、日本の住宅産業が抱える構造問題と深く関わっていると指摘するのは、富士通総研の米山秀隆氏のレポートである。氏は、住宅産業の問題点を分析しつつ、工務店のネットワーク化という最近の動きに目を向け、今後の課題を提示する。
レポートでは、日本の住宅産業が抱える構造問題として、不透明な積算や重層的な請負方式、工程管理や調達・物流の非効率性などを挙げる。このほかの問題点として、中小工務店が経営不振にあえいでいるという点、国内の森林資源が豊富であるにもかかわらず輸入材への依存度が高い点などを挙げ、これらの問題は、戦後住宅建設が急増し、杜撰な請負が横行するなかで深まってきたと指摘している。
しかし、と最近の動きに目を向け、住宅業界全体の経営環境が厳しくなるなか、生き残りのため、全国各地で新しい住宅供給モデルが現れるようになっているという。その代表として、価格や請負構造を透明化し、中小工務店をネットワーク化することで、住宅建設のプロセスを合理化し、低価格・高性能の住宅供給を実現しようとする、アキュラネットや鹿児島建築市場などを例示している。
そして、こうした先進的なモデルをより一層普及させるためには、住宅の性能や保守・修繕などの全履歴データを登録するデータベースを構築することが有効との考えを示している。また、住宅表示制度の活用を促すために、制度を利用した場合の借入条件の優遇や住宅減税の拡大などを検討することを要望している。
レポートの全文(45ページ)は↓
http://www.fri.fujitsu.com/jp/modules/COMMON_LIST_VIEW/uploads/10465/report224.pdf
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