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経営関連情報 (2004/05/26)

監査人交代の理由は「監査人の統一」「監査リスク」

 近頃、監査リスクの増大などに伴い監査人が契約任期途中で交代するケースが増えている。なかには監査人交代後間もなく会社が倒産するケースもある。そこで、公認会計士協会は監査人交代の経緯等に関する実態調査を行いこのほど公表した。調査対象は、昨年1月から10月までの間に監査人が交代した107社の前任監査人113人と後任監査人112人。

 調査結果によると、監査人交代は会社側からの通知が7割強(73.3%)を占めた。その理由は、「親会社等の意向による監査人の統一」が54.1%で最も多く、連結財務諸表監査の効率化を目的とした監査人(監査法人)の統一が多いことが分かる。以下は「監査報酬に関するもの」(18.9%)、「会社と監査人の意見の相違」(6.8%)など。一方、監査人側から契約を解除した理由は、「監査リスクが高くなった」が55.6%で最多だった。

 監査人の交代の時期については、「任期満了によるもの」が78.3%を占めたが、「事業年度途中の交代」も19.1%と2割近くある。監査契約途中で交代した理由は、会社側からの要請では「親会社と監査人の統一」が、監査人からの辞任では「監査リスクから判断」が最も多い。また、監査業務の引継ぎについてはほぼ8割が実施しているが、残りの未実施のうち後任監査人が引継ぎを求めなかったものが14.0%あった。

 会計士協会では、今回の調査によって、1)監査時間・報酬に関して、監査人交代後の監査時間・報酬が低下しているケースが散見される、2)会社との意見相違による監査人交代においてオピニオンショッピング(会社が複数の監査人候補者のなかから自らの意に沿った監査意見を表明する者を選択)の疑問が存在する、3)監査人交代において監査委嘱リスクを低く評価している傾向がうかがえることなどを指摘している。