2003年の注文住宅マーケットは、前年比1.3%増の37万2652戸と4年ぶりに増加した。低迷が続いていた戸建て需要は、景況感の改善や人口の多い団塊ジュニアが建築時期に入っていたことなどの影響で、回復の兆しが見えてきたようだ。その要因のひとつとして、税制の影響・効果を指摘するのは、リクルート発行の月刊『HOUSING』が実施した注文住宅等に関する動向調査結果(有効回答数905世帯)である。
昨年度税制改正では生前贈与を促進する相続時精算課税制度が創設され、住宅取得資金の贈与の場合の非課税枠は一般贈与に1000万円上乗せされた3500万円まで税金がかからない。昨年1月以降の贈与から適用されたが、調査結果では、親からの援助額平均が前年に比べ84.5万円(13%)増え733.1万円となった。特に「1000万円以上」の割合が前年の23.5%から31.1%へと大きく伸びた。
また、住宅ローン控除制度については、最大年50万円ずつ10年間で500万円を控除する制度が2004年には最大年25万円ずつ6年間で150万円の所得控除と大幅に縮小され、2005年には制度そのものが廃止されることになっていた。結局、2004年度税制改正で、1年だけ現行制度を維持し4年間で段階的に縮小することになりそうだが、昨年は制度延長の不透明感に伴う駆け込み需要があったとみている。
調査結果によると、新居建築のきっかけ(複数回答)は、「いつかは一戸建に住みたいと思っていた」が45.7%で前年同様トップだったが、「税制が有利だから(住宅ローン減税)」との理由が、前年の18.1%から24.6%へと6.6ポイント増えた。この増加幅は23項目あるきっかけのなかで最も大きくなっている。
さらに、新居の完成時期別にみると、「4月~6月」が20.0%できっかけランクの第6位、「7月~9月」が25.2%で5位、「10月~12月」が36.0%で3位と、年末が近づくにつれポイント数が高くなった。これは、住宅ローン減税の意識が高まり、年内入居の駆け込み需要につながった表れと考えられている。