大手製造業を中心に好調な2004年度上半期の業績が確認され始めているが、帝国データバンクが実施した2004年度業績見通しに関する動向調査結果(有効回答数9796社)によると、売上高、経常利益とも、約4割が期初予想を下方修正、特に「建設」、「小売」で業績の伸び悩みが目立つことがわかった。
2004年度の売上高見通しについては、前年実績を上回る増収を見込む企業割合は40.7%、経常利益見通しについても、増益を見込む企業割合は35.4%となった。それぞれ、減収(31.3%)及び減益(33.0%)を見込む企業割合を上回っており、企業業績は前年度実績に比べ改善傾向にあることがうかがえる。
しかし、2004年度の期初予想と比較した売上高見通しについては、期初予想を上回り上方修正となる企業割合は16.7%である一方、下方修正となる企業は37.6%と約4割を占めた。経常利益見通しについても、上方修正は15.0%の企業であるのに対して、下方修正となる企業は40.8%と4割を超えた。
業種別では、多くの業種で経常利益のほうが売上高よりも下方修正を見込む企業の割合が高く、収益性の低下が懸念される状況になっている。特に、「建設」と「小売」では、売上高、経常利益ともに下方修正を見込む企業割合が50%前後と高水準で、業績の伸び悩みが目立っている。
経常利益の下方修正を見込む企業からは、「仕入価格の上昇に対し、販売価格への転嫁は容易ではない」との厳しい声が聞かれたという。2004年度の企業業績は、前年度実績よりは改善傾向にあることが確認されたものの、原油や素材価格の上昇、設備投資の減速などによる景気の腰折れ懸念の高まりによって、期初見通しに比べ下方修正を余儀なくされる実態が明らかになっている。