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全原発停止で標準家庭の電力料金月1049円アップ

経営関連情報 - 2011年06月17日

 (財)日本エネルギー経済研究所は、すべての原発が停止して火力発電で電力需要を賄う場合、燃料コストの増加により1ヵ月当たりの標準家庭の電気料金が、2012年度は18.2%、1049円増加するとの試算を公表した。同研究所では、「エネルギーベストミックスの観点から、安全性の確保を最重点課題としつつ、原子力発電の再稼働問題を真摯に検討することがわが国にとって喫緊の課題」としている。

 試算では、2012年夏期の電力需給は極めて厳しく、原子力発電の再稼働がない場合、東京電力・東北電力管内での15%節電を織り込んでも、全国総計で、長期停止火力発電所を除く電気事業者の総発電能力が最大電力を1.7%下回り、全国的に電力不足となる。電力安定供給のため、最低限5%程度の予備率確保が必要であることを勘案すると、さらなる大幅な節電が必要で、特に産業活動に甚大な影響が出る可能性もあると指摘。

 また、現実的には困難とも思われるほどの火力発電の高稼働で電力需給を満たす場合、原子力発電の再稼働がない場合には、2012年度の火力燃料消費量は劇的に増加し、その調達に必要な金額は石炭・LNG・石油合計で対2010年度比3.5兆円増加する。これに伴うCO2排出量も大幅に増加し、2012年度のCO2排出力量は12.6億トンと、1990年比18.7%増となる、としている。

 この燃料費の増加が単純に電気料金に上乗せされるとすれば、コストアップ分は3.7/kWhとなる。その場合に標準的な家庭の電力料金は1ヵ月当たり1049円(18.2%)増加する。また、そのコストアップ分は、2010年度の産業用電力料金(特別高圧)平均値10.22円に対して36%上昇に相当し、産業用の電力料金上昇を通して、わが国の産業競争力への極めて深刻な悪影響も懸念されると結論付けている。

 同電力需給分析の全容は↓
 http://eneken.ieej.or.jp/data/3880.pdf