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税務関連情報 (2005/11/14)

連結納税の効果、黒字申告割合はなんと25%

 連結納税制度は、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる。そのメリットを裏付けたのは黒字申告割合の低さである。国税庁がまとめた連結納税に係る課税事績によると、今年6月までの1年間(2004事務年度)における連結法人の黒字申告割合は25.1%だった。大法人の黒字申告割合は52.3%、中小企業も含めた法人全体での31.5%と比べれば、そのメリットは歴然としている。

 今年6月末現在の連結法人数は、親法人537(前年度比40.9%増)、子法人5511(同23.2%増)の計6048法人(同24.6%増)だった。このうち、2004事務年度中に申告期限がきた331件の黒字申告割合は25.1%と低調だったが、それでも前年度に比べれば5.0ポイントも上昇している。申告所得金額は前年度に比べ333.5%増の2848億円と大幅に伸び、申告欠損金額も同73.9%減の7130億円と大幅に減少した。

 大企業を中心とした業績の回復によって申告所得は3倍以上に伸びているのだが、それでも黒字申告割合は25%にすぎない。ところが、連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数3777件のうち黒字分は67.2%にあたる2537件だった。連結納税でなければ、黒字申告割合は7割近くになる。総個別所得金額も1兆3501億円にのぼる。

 連結納税の効果は大きい。それでも申告漏れはある。2004事務年度は連結法人87件が実地調査され、うち82件から330億円の申告漏れを把握、約10億円が追徴された。調査1件あたりの申告漏れは3億8000万円だ。また、調査件数の26.4%にあたる23件は、仮装・隠蔽などによる不正計算があり、その不正脱漏所得金額は32億円、1件あたり1億4000万円だった。メリットの大きい連結納税、せめて申告だけは適正にしてほしいが…。