簡便法とは、耐用年数の見積もりが困難な中古資産について、(1)法定耐用年数の全部を経過した資産は「法定耐用年数×20%」、(2)法定耐用年数の一部を経過した資産は「法定耐用年数-経過年数+(経過年数×20%)」の区分に応じて算定した年数を耐用年数とするものだ。これらの計算により算出した年数に1年未満の端数があるときは、その端数を切り捨て、その年数が2年に満たない場合には2年とする。
また、法人が、中古資産を取得し、その耐用年数を簡便法により算定している場合、その後その資産に係る法定耐用年数が短縮されたときには、改正後の耐用年数省令の規定が適用される最初の事業年度において、改正後の法定耐用年数を基礎にその資産の耐用年数を簡便法により再計算することが認められている。今年度税制改正において機械・装置等を中心に法定耐用年数の見直しが行われたので、該当するケースも多いと思われる。
例えば、3月決算の企業が、2007年4月に取得時2年経過の中古のデジタル印刷システム設備(旧法定耐用年数10年)を取得した場合の簡便法での耐用年数は、「(10年-2年)+(2年×20%)=8.4年」で8年となる。今改正でこの設備の法定耐用年数は10年から4年に短縮されたので、最初の事業年度である2009年3月期において、簡便法により再計算(「(4年-2年)+(2年×20%)=2.4年」)した2年の耐用年数が適用される。
なお、中古資産の耐用年数の見積もりは、その中古資産を事業の用に供した事業年度においてすることができるものだから、その事業年度に見積もりをしなかったときは、その後の事業年度において耐用年数の見積もりをすることはできない。また、その中古資産の再取得価額(新品のものを取得した場合の価額)の50%を超える改良を行うなど一定の場合には、耐用年数の見積もりはできず、法定耐用年数を適用することになる。