思うように普及しない国税の電子申告・納税システム(e-Tax)だが、最近、政府が本腰を入れて普及を図るとの報道がされている。利用者に税額控除などのインセンティブを与えて、現在の申告に占める割合0.4%程度を2010年度には50%にしたい考えだ。そのカギを握るのは税理士とみる関係者が少なくない。多くの法人・個人の顧問先の申告を代行する税理士がe-Taxを利用すれば、必然的に利用率はアップする。
ところが、現在のe-Taxに対する税理士の姿勢は、とても積極的とは言いがたいようだ。中国税理士会が昨年11月に実施した「電子申告等に関する実態調査」結果(有効回答数1215税理士)によると、e-Taxの利用に関する今後の方針(複数回答)では、全体の45%と半数近くが「しばらく様子をみてから考える」と回答、「顧問先からの要望があれば考える」(24%)、「利便性が向上すれば利用したい」(22%)などが続いた。
「顧問先の要望があれば」といっても、申告をお任せしている顧問先にとってみれば、申告の方法は郵送だろうが持参だろうが何でもいいわけだ。電子納税は直接納税者に関係するが、ほとんどの中小企業が年に1~数回程度の納税に、わざわざ手続きが煩雑なe-Taxを利用するニーズがあるとは思えない。結局のところ、e-Taxの利用は現在様子見が多い税理士の考え方次第になろう。
e-Tax全体で改善してほしい事項(複数回答)については、「利用時間の延長及び土日祝祭日の受付」(35%)がもっとも多く、次いで「紙での収受印のある申告書控に相当するもの(の交付)」(26%)、「別途添付書類の縮小・廃止」(24%)、「(ICカードリーダ・リーダライタ・暗証番号など)税理士の電子署名の改善」(21%)などが続いた。「セキュリティ面の信頼性」(8%)との改善要望は意外に少ない。
今後のe-Tax普及に向けて取り組んでほしい要望事項(複数回答)は、「電子申告特別控除のようなインセンティブ」(29%)がトップ、以下、「税理士に対する電子申告に関する各種研修会の充実」(25%)、「地方税の電子申告(電子納税を含む)対応開始」(17%)、「一般納税者への積極的な広報活動」(16%)などが上位に並んだ。こうした税理士の声に耳を傾けることがe-Tax普及の早道ではないか。