経 営 関 連 情 報 |
2003年03月10日-003
海外生産はピッチ緩やかながら着実に増加の見込み
かなり以前から企業の海外進出による国内産業の空洞化が指摘されているが、商工中金が5日に発表した調査結果によると、中小製造業の見解も「時代の流れであり止むを得ない」とする『消極的な肯定派』が過半を占めた。今後も海外生産比率の増加ピッチは緩やかながら着実に増加が見込まれ、さらに空洞化が進むと国内の雇用や設備投資へのマイナスの影響が無視できない状況にある。
同調査は、商工中金取引先製造業3121社を対象に昨年11月行われ、海外進出企業428社、非海外進出企業942社の計1370社の有効回答を得た(回答率43.9%)。海外進出については、海外生産を実施中や具体的に計画・準備中及び検討中という「海外志向タイプ」の企業の67.0%が、また、海外生産の予定なし及び海外生産を撤退した「国内志向タイプ」の企業の51.2%が「止むを得ない」との考えを持っていた。
現在海外に進出している国(地域)では中国が41.3%と最も多く、次にASEAN4が28.1%、NIES4が13.9%、北米等が10.5%と続き、それ以外の地域の割合は極めて低い。特にここ1年間での進出状況では、中国への進出割合が61.7%と高く、海外進出を計画・検討している国(地域)でも中国が57.4%と大きな割合を占めるなど、今後も海外進出は中国シフトが続く見込だ。
海外への進出目的・理由は、全体では「安価で豊富な労働力」が78.4%で最も大きく、「現地市場の開拓」が35.8%、「安価な部品・原材料の調達」が34.4%、「受注量の確保」が24.6%などで続く。非海外進出企業のうち、海外生産を考えている企業は9.2%で1割に満たない。海外進出時には、様々な人材面での問題点(現地従業員の教育・労務管理や現地に派遣する国内本社の人材不足など)がネックとなっているケースが多い。
海外生産比率は、すでに海外生産している企業全体の単純平均値では現在31.3%だが、今後3年程度で40.8%に高まる見込だ。ただ、海外生産比率を層別にみると、現在は「1~10%」の企業層が34.6%と最も多い。今後3年程度の見込みについては、「1~10%」層が概ね半減する一方、「11~20%」層が20.2%と増加する見込み。海外生産比率の増加ピッチは緩やかではあるものの、着実な増加が見込まれている。
【ホームへ戻る】