帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、5月の倒産件数は994件で、前月比は1.9%減、前年同月比も2.2%減となった。5ヵ月ぶりに前年同月比減少となったものの、依然として1000件に迫る高水準となっており、最近の増加基調に変化はみられない。この背景として、内需関連業種の倒産が増加していることがある。
具体的には、(1)公共工事削減、脱談合、原料高による不振が続き、建設業の倒産(271件、前年同月比13.4%増)が増加、(2)改正建築基準法関連の倒産が15件発生、2007年10月の集計開始からの累計が81件に、(3)国内景気の減速により、ホテル・旅館経営業者などサービス産業の倒産(179件、同1.7%増)が増加、(4)原油高の加速が中小運送業の収益を圧迫し、運輸・通信業の倒産(37件、同8.8%増)が増加、などが挙げられている。
一方、負債総額は4810億7300万円で、前月比は33.7%の減少となったものの、前年同月比は39.7%の大幅増加となった。これは、マンション分譲の近藤産業(負債322億5800万円、大阪府)や商業施設企画・開発のミキシング(同186億円、大阪府)など、負債100億円以上の大型倒産が前月に続き10件と高水準だったほか、負債10億円以上の倒産も74件(前月84件、前年同月57件)発生したことによる。
また、小規模倒産が高水準で推移推移している。負債額別にみると、負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は602件(前年同月比1.1%減)で全体の60.6%を占め、4ヵ月ぶりに構成比で60%を上回った。資本金別では、資本金1000万円未満(356件、前月比21.1%増、前年同月比6.6%増)の小規模企業の倒産が高水準で推移している。一段と原油高が進行するも、価格転嫁できない中小・零細企業の経営が悪化している。