景気の回復基調が長く続いているなか、雇用をめぐる状況も改善されてきているが、景気回復により大企業が人材採用を積極的に行い始める一方で、中小企業の人材獲得は逆に厳しくなっている。こうした中小企業をめぐる環境変化のなかで、中小企業の人材確保・育成のための方策として「自立型人材の育成」などを提案するのは、日本経団連が20日に発表したレポートである。
同レポートは、中小企業の人材確保・育成に関する問題点として、1)企業の知名度・ブランド力が弱いこと、2)就労条件に対するイメージが悪いこと、3)必要な人材が何であるかを絞りきれないこと、4)人材育成を別途行う時間や資金の余裕がないこと、を指摘している。そのうえで、それらを克服していくための方策として、まず、「自立型人材」の育成を勧めている。
多くの中小企業では、最初から世間一般で“優秀”と呼ばれる人材を採用することは難しい。そのため、中小企業は“普通の人材”のなかから、自社の社風に適応できる人材を採用して、自社にふさわしいように育成することを進めていかざるを得ないという。「自立型人材」とは、「自分でPDCA(計画-実行-評価-改善)というサイクルで進められる」、「自分自身の考えを確立している」という人材であると定義している。
またレポートは、人材を社内で育てる仕組みは多様であり、普遍的な「勝利の方程式」は存在しないとしたうえで、中小企業の人材確保・育成に対するスタンスとして、1)自社の人間は自社で育てるという意識が必要、2)人材を自社で育てられるか否かは、経営者が従業員に対して、自社の発展・成長に対する情熱を伝え、それを従業員と共有できるかがカギ、3)自社の情報発信を積極的に実施していく必要性、を挙げている。
同レポートの全文は↓
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/045.pdf