ゼイタックス

税務関連情報 (2005/12/26)

海外の現金・預貯金などの相続財産もアウト!

 相続財産が現金や無記名の公社債、家族名義の預貯金などの場合は、税務署には把握されまいと考えて申告漏れとなるケースが多い。ましてや、海外資産であった場合は申告除外する誘惑に負けそうである。だが、税務調査の網からはのがれられないようだ。今年6月までの1年間の相続税調査では、255件の海外関連事案の調査が実施され、うち197件から129億円にのぼる申告漏れ課税価格が把握された。

 前年度に比べ、調査件数は同じで申告漏れ件数は7.1%減少したが、申告漏れ課税価格は42.3%増と大幅に増え、申告漏れ1件あたりの課税価格も6529万円で53.2%増加している。国際化のなかで海外の不動産などを購入することが珍しくなくなったことから、税務当局も常々情報収集には力を入れており、海外の資産だから申告しなくてもばれないだろうといった都合のいい考えは通用しないようだ。

 相続税の申告で疑われる典型パターンは、被相続人の生前の収入に比べ申告財産が少ないのではないかと想定されるケース。例えば、被相続人が元開業医だった事案がそうで、銀行調査によって、外貨預金口座からハワイの公表外銀行に送金している事実が判明。さらに綿密な銀行調査が行われとところ、公表外のカリフォルニアやハワイ、国内金融機関の預貯金が申告漏れとなっていた。相続人は、相続開始後にそれらの預貯金を解約し、海外送金や名義変更などの隠ぺい工作を行い、申告除外していたことが明らかになった。

 また、被相続人が会社役員だった相続事案では、資料情報からハワイへの送金事実が把握され、海外資産の申告漏れが想定されたため調査対象となった。相続人は海外資産については関知していないとの申立てに終始したが、調査の結果、相続人が留学中に住居に使っていたハワイのコンドミニアムについて、海外資産は税務当局に容易には発見されないと考えて、相続開始後に名義変更などの隠ぺい工作をして申告除外していたことが判明している。