ゼイタックス

今春の新入社員、独立志向が1割下回る~産能大

経営関連情報 - 2008年07月09日

 産業能率大学が今春入社の新入社員を対象に実施した「2008年度新入社員の会社生活調査」結果(有効回答数740人)によると、「独立志向」のある人は8.9%と1割を下回り、2000年度調査で質問を開始して以来、初めて一ケタ台に落ち込んだことが分かった。また、「終身雇用」を望む人の割合も66.4%と2007年度に次ぐ高水準にあり、今春の新入社員からは「安定した会社生活」を望む声が目立つ結果となった。

 ワーク・ライフ・バランスについては、新入社員にとってはまだ馴染みがないことからか、この言葉を知っていたのは42.2%にとどまった。仕事と私生活のバランスについての希望は、「若手社員」のときは「仕事優先」が30.3%、「どちらかといえば仕事優先」が46.7%と、仕事優先派が77.0%を占める。しかし、「中堅社員になったら」では65.4%、「管理職」では55.4%と下がり、次第に生活を優先したいと考えているようだ。

 こうした背景には、自分の給料が「確実に上昇するとは限らない」(58.4%)といった考えや、35歳時点での理想の年収が過去最低の「749万円」、現実の年収の予想も05年と並ぶ最低額の「609万円」となるなど、収入面でのシビアな感覚の影響もあると推測される。また、「成果主義」を望む人が63.6%と高水準にあるが、「60歳で退職したい」という人が前年度より3.7ポイント増の32.6%となり、05年度から増加傾向にある。

 調査結果を概観すると、「仕事の成果はきちんと評価してもらいたいが、昇給はあまり望まず、将来の年収にも期待できない。かといって独立するつもりもない。それならば、安定した雇用のなかで、やがては仕事優先から生活優先へとシフトさせ、早めに定年を迎えたい」というような考えを持つ新入社員像が浮かぶ。産能大では、今年の新入社員の傾向を「組織のいいとこ取りを望む、すねかじり気質」と評している。