急速に高まる物価上昇懸念~2月消費者心理調査
消費者による今後1年間の見通し判断を調査した日本リサーチ総合研究所のCSI(2月調査)によれば、雇用、収入の改善と景況感の持ち直しがうかがわれるものの、物価上昇懸念から消費者心理は小幅な悪化となった。2月の生活不安度指数は138となり、前回12月(136)から2ポイント上昇、小幅な悪化となった。悪化は2010年10月調査(142)以来2調査ぶりも、依然140を下回る水準を維持している。
同指数は、過去最悪となった2008年12月(165)以降改善に転じ、2009年6月には135まで低下したものの、以降は8月(140)、10月(142)と連続で上昇、前回12月は再び改善に向かい、130台の水準を回復した。消費者の先行きの景況感は、2月は、「良くなる」との回答割合は11.2%、「悪くなる」は48.3%。その結果、この回答割合を指数化した2月の「国内景気見通し指数」は36となり、12月(34)から2ポイント上昇した。
さらに、2月の物価の先行き見通しでは、「上昇」見通しの人は55.9%、「変わらない」は25.8%、「下がる」は6.4%となった。物価「上昇」見通しは、12月から大きく増加(同37.6%→同55.9%)し、2008年12月(65.1%)以来2年2ヵ月ぶりに50%を上回る結果となった。一方、物価「下落」見通し(同7.7%→同6.4%)は、12月からわずかに減少し、ピークの2009年12月(23.7%)の4分の1近くまで減少している。
2月は、消費者の雇用・収入の先行き見通しに緩やかな回復が認められたことに加え、景気の先行き見通しも小幅ではあるが、4調査ぶりの改善を示した。しかし、3月11日に発生、東日本地域に甚大な被害をもたらした東日本大地震とこの地震に伴う原子力発電所の事故が、消費者及び企業活動に及ぼす影響は計り知れず、先行きは極めて不透明な様相となっているとの見方を示している。
同調査結果の全文は↓
http://www.research-soken.or.jp/reports/csi/194.html