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2月初めで50社に達した希望等退職者募集実施企業

経営関連情報 - 2009年02月25日

 米国発金融危機の影響による景気の悪化で雇用調整も加速している。東京商工リサーチの緊急調査によると、2009年に希望・早期退職者募集の実施を公表した主な上場企業は、2月初めまでに具体的な内容を確認できたもので、すでに50社に達した。調査対象が公表ベースのため単純比較が難しいものの、前年が年間68社だったのと比べ、その急増ぶりが際立ち、企業経営環境の急激な悪化を浮き彫りにしている。

 雇用調整は、派遣社員や契約社員を中心に急速に進んでいるが、その波は正社員にも及びつつある。調査資料は原則として、会社情報適時開示の「会社情報に関する公開資料」の2009年2月5日公表分までに基づくもの。また、同調査には、会社事情による時限的な希望退職者募集のほかに、早期退職優遇制度の適用年齢引下げや退職金の特別割増措置など、既存制度の拡充募集も含んでいる。

 各企業の退職者募集人数をみると、「NECトーキン」の450人が最多、次いで「ジェイエイシージャパン」の300人(応募299人)、「三井住友建設」の250人、「エス・イー・エス」(募集後に民事再生手続申立)の200人、「みずほインベスターズ証券」の200人(応募148人)、「東光」の180人、「コマーシャル・アールイー」、「さいか屋」、「新電元工業」の各150人と続く。応募人数が100人以上となった企業は18社にのぼった。

 希望・早期退職者募集実施企業数の急増は、米国サブプライムローン問題に端を発した世界的金融危機の影響によって、経営環境の急速な悪化から上場企業の業績の下方修正が相次ぎ、こうした状況を反映した形だ。まだ、1年が始まったばかりだが、今年は2003年(126社)以来6年ぶりに希望・早期退職者募集を実施する上場企業が年間で100社を突破する勢いにある。