地方分権の確立に向け、国庫補助負担金の改革、地方交付税の改革、税源移譲を含む税源配分の見直しからなる、いわゆる三位一体改革が推進される。2004年11月26日の政府・与党協議会の合意などに基づき、2006年度税制改正において、所得税から個人住民税への本格的な税源移譲を実現することが基本方針だ。2005年度においては、暫定措置として、所得譲与税により1兆1159億円の税源移譲を行う。
この税源移譲は、2004年度に所得譲与税及び税源移譲予定特例交付金として措置した4249億円を含め、約3兆円規模を目指す。2005年度の所得譲与税の内訳は、60%の6695億円が都道府県分で残りの40%の4464億円が市町村分となる。各団体へは人口比例で譲与する。前提となる廃止補助金には、国民健康保険や義務教育費、公立保育所運営費、養護老人ホーム、公営住宅家賃収入補助、介護保険事務費などがある。
一方、税源移譲により極めて大きな額が大都市に流れ、地方自治体間の財政力格差が広がる懸念に対し、個人住民税所得割の10%比例税率化や法人事業税の分割基準の見直しが行われる。分割基準とは、複数の都道府県に所在する企業が各県に対して納税する額を決める基準のこと。東京などの大都市に集中する法人事業税の税収を他の道府県に分散させることが狙いだ。
2005年度税制改正では、サービスなどの非製造業(鉄道事業・軌道事業、ガス供給業・倉庫業及び電気供給業を除く)の分割基準について、課税標準の2分の1を事業所数により、2分の1を従業者数によって所在都道府県に分割する方式に変更する。また、本社管理部門の従業者数を2分の1に割り落とす措置を廃止する。新分割基準は、2005年4月1日以後に開始する事業年度から適用される予定。