2004年度税制改正は現在国会で審議中だが、民主党が所得税法等改正案に対する修正案要綱を提出した。具体的な内容は、1)住宅ローン利子控除制度の創設、2)価格表示の内税化、いわゆる消費税の総額表示義務化の改正規定の削除、3)不動産譲渡所得に係る損益通算及び繰越控除制度の廃止時期の延期の3項目。
住宅ローン利子控除については、経済界などからも要望が出されていたものだが、現行の住宅ローン減税は2003年居住分までとし、新たに住宅等を取得するために借り入れた金額の利子相当額を各年分の所得から控除する制度の創設を求めたもの。今年1月1日以降から適用することとしている。
価格表示の内税化の規定の削除については、この4月から事業者が一般の消費者に商品等の価格表示をする場合は、消費税を含めた価格を表示しなければならなくなるが、この改正規定を削除する規定を設けることを求めている。総額表示を義務付けるのではなく、内税にするか外税にするかは事業者の判断に委ねるべきだということになる。
最後の3)は、2004年度税制改正案のなかで物議をかもした土地・建物等の譲渡損失の損益通算及び翌年以降の繰越し制度の廃止時期の遡及適用に対し、その適用時期の延期を求めたものだ。改正案では、今年1月1日にさかのぼって適用することとされているが、修正案では2年後の2006年1月1日以後に行う土地・建物等の譲渡から適用することを提案している。
国会では現在、鳥インフルエンザの被害拡大を防ぐための集中審議が入り込んで2004年度予算案の衆院通過は5日にずれ込む公算が強くなっており、2004年度税制改正法案も同日に衆院通過となる見込だ。民主党の修正案要綱は否決となる可能性が高いが、衆院通過に際して付帯決議に反映されるかどうかが注目されるところだ。