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経営関連情報 (2004/04/26)

中小も加速する賃金制度の成果主義重視への動き

 年功序列型から成果主義への賃金制度の移行は、大企業だけでなく中小企業でも急速に加速しつつあるようだ。商工中金がこのほど発表した中小企業の賃金制度に関する調査結果(有効回答数3013社)によると、中小企業でも今後人事制度を成果主義へと移行すべきだと「思う」企業が85.6%を占めた。ただ、成果主義の給与体系を導入済みの企業でも、評価や運用方法に課題が多い。

 現在の人事制度が年功序列型であると「思う」企業は57.9%であり、「思わない」企業の19.2%を大きく上回っている。特に業況が悪い企業ほど年功序列的だと考える割合が高く、年功序列の賃金体系が収益圧迫の一要因である可能性も考えられる。また、すでに成果主義の給与体系を導入している企業でも、運用上は従来の属人給的な要素が残っており、大多数の企業で、さらなる成果主義への移行を考えている。

 現在の賃金制度・給与体系に対する満足度は、「必ずしも満足していないが、やむを得ない」が69.5%を占め、「満足」(17.3%)、「不満」(13.2%)となった。満足していない理由は「評価方法が難しい」(46.8%)が、また、「必ずしも満足していないが、やむを得ない」理由は「新たな対応策が思いつかない」(47.4%)が最も高い。

 仕事給など成果主義の給与体系を採用する企業が増加する一方で、多くの企業で評価するための制度や運用方法の確立が遅れており、制度を変更したものの十分な満足は得られていないことが分かる。なお、現在の制度に満足している理由は、「社員のモラルが向上している」が38.7%と最も高く、「従業員の定着率が高まっている」(29.1%)、「人件費の削減・抑制ができている」(〃)などが続く。

 今後変更する場合に適用したい賃金制度は、「定額制+出来高給」が33.3%で最も多く、また、給与体系は「仕事給」が50.0%で最も高い。給与体系において最も重視したい要素は、「個人の業績(考課)」(54.6%)、「個人の能力・技能」(23.6%)など。中小企業の賃金制度・給与体系は、成果主義重視への動きが一段と加速する可能性があるようだ。