2003年05月28日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(55)
『所得税における水平的公平性について』(16)
★近年、所得捕捉率の格差は飛躍的に縮小
「各種所得の把握漏れの割合」があるかどうかを分析する推計の方法は、税務署によって把握されている所得を示す税務統計に対し、「真の所得」をより正確に表していると考えられるデータとして、国民所得統計を用いて比較することによって行う。その理由としては、国民所得統計が、生産・分配・支出の三面等価の原則によって作られており、国全体の経済活動をモノとカネ、ストックとフローの側面から総合的・包括的に捉えていると考えられることなどからだ。
さらに、上記の石弘光の研究(「課税所得捕捉率の業種間格差-クロヨンの一つの推計」)がその分野の代表的な研究として認識されており、それをベースに近年の数値まで時系列で追い、その増減について改めて検証することに一定の意義が認められるという点も考慮に入っている。
そこで、いきなり推計結果であるが、77年には給与所得者、自営業者、農業所得者の間に9対7対4に近い所得捕捉率の格差があったのに対し、その後20年間でその差は飛躍的に縮小し、97年の時点では10:9:8に近い比率になっており、大幅に改善していることがみてとれる、と報告書はいうのである。この結果を目にして不満に思う方も多いだろう。それは、推計方法がどのようなものか紹介していないためでもある。推計方法によって結果はどのようにでも変わる。推計方法の具体的計算方法は次回――。
(続く)
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