世界金融危機による景気の低迷で雇用環境の悪化が懸念されるなか、“日雇い派遣の原則禁止”を柱とする労働者派遣法の改正案が国会に提出された。総合人材サービスを展開するパソナグループが、同社の派遣社員として働く女性を対象に実施した「派遣社員の就労意識調査」結果(有効回答数1182人)によると、派遣法改正の議論については、「よく知っていた」が10.6%、「少し知っていた」が50.5%と半数以上が知っていた。
規制強化の賛否については、「賛成」が11.0%、「反対」が16.6%で、「どちらともいえない」(56.7%)と「わからない」(12.2%)が合計7割近くを占め、考えを保留していることがうかがえる。また、規制強化についての意見(複数回答)は、「日雇い派遣とオフィス派遣は別に考えるべき」(54.8%)との回答が過半を占め、「都合に合わせて月に数日間でも働ける仕組みは残してほしい」(44.5%)との意見が続いた。
以下、「働き方の選択肢が減り、働く人がかえって困ると思う」(35.5%)、「人材派遣という働き方は必要だと思う」(35.4%)などの意見が挙げられており、今回議論されている規制強化は、軽作業などの“日雇い派遣”が中心になっているとはいえ、オフィス勤務で就労する派遣社員にとっても、規制強化により働き方の選択肢が狭くなることを懸念する意見が多かった。
なお、派遣就労を選んだ理由は、「自分の都合に合わせて働くことができる」や「会社や勤務地を選ぶことができる」との回答が多く、自分の環境や希望に応じて仕事を選びたいために派遣就労していることがうかがえ、仕事とプライベートの両立を人材派遣での就労を通じて実現しようとしている人が多い。また、会社(正社員)を辞めた理由では、29.0%が「やりたい仕事やキャリアアップ」を目的に正社員を辞めている。
以上の結果から、残業や休日出勤のある正社員勤務は、家庭環境等との両立が難しいことがうかがえる。時短勤務やフレックス制度など、勤務時間を柔軟にした人事制度を取り入れている企業は増えているものの、実際には大手企業等の一部にとどまっていることから、仕事と家庭の両立を図りたい女性にとって、正社員の勤務は容易ではないといえる。また、仕事経験の幅やキャリアアップの少ないことも、退職の理由になっている。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.pasonagroup.co.jp/company/koyou/pdf/report26.pdf