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税務関連情報 (2005/08/05)

2004年度物納申請は3065件で6年連続の減少

 国税は金銭による納付が原則だが、相続税については、財産課税という性格上、延納によっても金銭納付が難しい理由がある場合は、一定の相続財産による物納が認められている。国税庁が2日に公表した2004年度相続税の物納申請状況等によると、今年3月までの1年間の物納申請件数は3065件、金額では1288億円で、前年より件数で35.8%減、金額で44.5%減となり、ともにここ10年間ではもっとも低い数字となった。

 物納申請件数は、バブル崩壊後の1990年度以降、地価の下落や土地取引の停滞などを反映して著しく増加した。それまで年間500件前後に過ぎなかったものが、92年度には1万2千件台まで急増したが、99年度以降は減少しており、2004年度で6年連続の減少となった。2004年度の申請件数はピーク時92年度の約24%、金額では同じくピーク時92年度の約8%まで減少している。

 一方、2004年度の処理対象件数は前年度から引き継いだ処理未済件数8217件と同年度の申請件数3065件を合計した1万1282件だったが、このうち5314件を処理した。前年度に比べ15.1%(946件)の減少だったが、申請件数が大幅に減っていたことから、年度末での処理未済件数は、前年度より24.7%減の5968件、金額では27.0%減の4777億円となった。国税当局の効率的な処理促進が図られたといえる。

 2004年度の処理の内訳は、約69%にあたる3639件が許可されており、物納財産として不適格として24件が却下され、残りの1651件は納税者自らが物納申請を取り下げている。なお、物納に不適格な財産の例としては、質権・抵当権その他の担保権の目的となっている財産、所有権の帰属などについて係争中の財産、共有財産(共有者全員が持分の全部を物納する場合は除く)などが共通項目として挙げられる。