帝国データバンクが発表した全国企業の法的倒産(負債1千万円超)状況によると、11月の倒産件数708件は、前月比▲14.2%で2ヵ月ぶりの減少となったものの、2ヵ月連続の700件超えとなる高水準となった。月別推移をみると、11月の倒産件数は以前の減少月(7月675件、9月671件)を上回っており、一進一退ながらもベースラインは少しづつ上昇しており、倒産は増加基調が続いているとみている。
この背景について同社は、景気回復を受けて前向きの経営を志向する企業が増えていることを挙げている。例えば、配線コード製造の「サンデン」は、取引先からの受注に対応するため設備投資に踏み切り、それに伴う借入負担などが原因で倒産した。このように、業容拡大への対応課程で倒産に至るケースがみられることは、景気回復気の特徴だと指摘している。
11月の負債総額は7603億5900万円で前月に比べ15.1%増と、3ヵ月連続の5000億円超えとなった。4月以降では前月(6605億7600万円)を上回って最高を更新したが、今年最大の倒産となった「エー・シー・リアルアステート」(旧フジタ)が3526億円を占めており、11月の負債規模は小さいとみている。負債10億円以上の倒産は50件にとどまり、7月(52件)を下回り4月以降では最低となった。
このように負債10億円以上の倒産減少が目立ち、なかでもサービス業と不動産業で中堅クラスの倒産が減っている。しかし、不動産業については、耐震強度偽造問題や土地の仕入難などの影響が懸念されており、高水準の倒産が続く建設業とともに、倒産増加リスクに注意する必要があるとしている。
また、今後については、業況不振の中小・零細企業の倒産をベースに、業容拡大に資金手当ができない好況型の倒産が上乗せされ、ゴルフ・レジャー関連などの旧債処理型の法的整理も引き続き散発し、倒産は増加基調を保つと、帝国データバンクでは予想している。