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経営関連情報 (2005/04/18)

減る「管理職」、増える「専門・技術職」

 近年、就業人口は微減だが、就業者の職業構成が大きく変化しており、最近の労働市場は厳しさを増している。特に目立つのは「管理職」の大幅減少と「専門・技術職」の大幅な増加だ。景気が回復しても、専門性、技術を身に付けなければ職を確保することが難しい時代になったことを統計が示唆している、との指摘は、三菱総研・常勤顧問の尾原重男氏のコラムである。

 コラムによると、バブル経済の最終局面だった1990年を基準にして就業人口が減った職業群は、管理職、販売従事者、農林漁業、運輸通信従事者、製造・建設作業者であり、反対に増えたのは、専門・技術職、保安・サービス職、労務作業者だ。ここに、サービス経済化や事務及び生産活動の合理化の進展などの影響が読み取れるが、特に注目されるのは、管理職と専門・技術職の正反対の動きだ。

 管理職数は、ピークの92年の259万人から2004年の189万人まで70万人、27%の大幅減であるのに対し、専門・技術職は一貫して大幅な増加を続け、1990年の690万人から2004年の920万人へと230万人、33%も増加した。ITの活用などによる業務の合理化、人件費の節減策など企業の改革努力が管理職数を減らす一方、競争力強化や業務の高度化ニーズに対応して、第一線で価値を生み出す専門・技術職が大幅に増加している。

 厳しい競争環境下で、中間管理職もプロフェッショナル化、少数精鋭化が進み、真の管理職が選別される時代だ。能力重視の人選びという面では、4%台後半で高止まりしている失業者の内訳で、いわゆるミスマッチ失業が7割を占めており、労働市場は選別の厳しさを増している。高度な専門職業人が求められる時代、専門性、技術を身に付けなければ職を確保することが難しい時代になった、というのがコラムの指摘である。