政府税制調査会は、政府が2008年12月を目途に公益法人制度を抜本改革することを受けて、収益事業の範囲や軽減税率など課税を見直す方向で検討する。現在、財団・社団・宗教・学校法人などの公益法人は原則非課税だが、物品販売や旅館業、理容業など33業種に限定した収益事業については課税し、しかも営利法人(30%)に比べ低い22%の軽減税率を適用するなど優遇している。
公益法人制度の抜本改革は、主務官庁による許可制を廃止し、法人の設立と公益性の判断を分離する。第三者機関である公益認定等委員会の意見に基づき「公益性を有する非営利法人」である公益社団法人・公益財団法人を認定し、法人税は収益事業のみに課税する。公益性の認定を受けない非営利法人である一般社団法人・一般財団法人は登記のみで設立できるが、営利法人と同等に課税する仕組みとなる。
こうした動きに対応して政府税調は、非営利法人に対する課税を見直す。収益事業の範囲は1984年度以来見直されていないが、この間に公益法人の収益事業の多様化が進んでおり、スポーツクラブや英会話スクールなど対象外となっている業種で一般企業が競争上不利となっているケースも少なくない。そこで、収益事業の範囲を拡大するとともに、軽減税率も廃止することを検討する。
また、公益性を有する非営利法人は、税制上、基本的に寄附金優遇の対象法人として取り扱い、これに寄附する者についても寄附金控除等を拡充するなど、新公益法人法施行までに所要の税制措置を検討する方針だ。寄附金税制については、地方自治体の判断で寄附金控除を拡充できる仕組み(個人住民税)も検討される。なお、同窓会のように、会員のみの共益的活動を行う法人は、会費などを非課税とする方向で検討する。