政府は公益法人制度の抜本的改革を目指し、昨年12月、現行の主務官庁による設立許可制度を廃止し、登記するだけで設立できる「非営利法人制度」の創設を閣議決定した。同制度では、税制上優遇する公益性の判断を、主務官庁から民間の有識者からなる委員会に委ねる仕組みとなるが、政府税制調査会では「非常に透明性が高まる」と高く評価、この第三者機関に税制優遇を判断させることを2006年度税制改正に盛り込む考えだ。
課税上の基本的な考え方は、民間の有識者委で公益性が認められれば、公益活動に対しては非課税、収益事業に対しては非課税ということで従来と変わりない。公益性がないと判断された場合は、法人の態様や共益性の有無などからいろいろな課税の範囲が検討される。ただ、現行で収益事業とされる33業種のリストは、「非常に古い職業のカテゴリーで決められている」(石会長)ことから、大幅に見直される方向にある。
また、収益事業に対する税率は、一般の法人税率が30%のところ、中小企業と同様の22%という軽減税率が適用されているが、この税率格差を認めるかどうかも議論される。公益法人に対しては、収益事業のうち20%を非課税となる非収益部門に入れられるみなし寄附金制度が認められている。ということは、22%でも8掛けであり、表面的な税率以上に優遇されているとの意見があるからだ。
そのほか、今回の非営利法人制度は社団法人・財団法人、同業者団体などの中間法人が対象となることから、対象外の学校法人や宗教法人、社会福祉法人、NPO法人などの既存の公益法人との税負担とのバランスも考慮されることになる。なお、NPO法人については、国税庁が審査・判断して認定NPO法人として税制上優遇する現行の仕組みはそのまま残る。