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健康投資のすすめ~健康会計で計測する健康投資効果

経営関連情報 - 2008年07月14日

 近年、企業には教育投資や能力開発投資を積極的に進めていく姿勢がうかがえるが、教育投資と同様に外部経済効果の大きなものとして「健康投資」を勧めるのは、日本経済研究所の高橋啓氏のコラムである。コラムによると、「健康投資」とは、企業が従業員の健康管理のために支出した費用や健康増進のために支出した費用を、従業員という「人財」への「投資」としてとらえるものと定義している。

 従業員が心身ともに健康に活動できる環境の整備により、生産性の向上や事業リスクの低減などを通じて企業収益も確保できる。同時に、従業員の満足度は向上し、企業の社会的評価が高まるので、企業はより積極的に健康増進活動を行う必要性がある。法律に基づく義務を越えて、より積極的な健康投資が、企業の経営資源の強化と企業価値の向上に役立つものとして、その必要性はますます高まっているとみている。

 コラムは、経済産業省が組織する「健康資本増進グランドデザインに関する研究会」の検討内容を紹介している。同研究会は、健康資本増進のために必要な環境整備として「健康会計(仮称)」を導入し、「頑張る企業」の取組みを支援し、健康関連投資の「可視化」を通じて健康関連投資の促進を図ることを検討している。

 研究会の座長である慶應義塾大学の田中滋教授によると、「健康会計」は「環境会計」を参考に考案したもので、第1段階として、「従業員の健康に対する取組みにかけた費用や、その他定性的事項について、健康報告書等の形で記載する」ことから始め、第2段階では、「費用対効果等、定量的な事項も記載」することにより、企業等と国民の健康増進への取組みのきっかけとしたいとしているという。

 企業活動は「ヒト、モノ、カネ」とよくいわれるが、「カネ」に関する財務会計はすべての企業が整備しており、「モノ」に関する環境会計も企業社会に着実に浸透している。「ヒト」に関する健康会計も数年後には、財務会計・環境会計と並んで、企業活動把握の重要なツールとなるとみている。コラムは、多くの企業が、財務会計・環境会計・健康会計の三位一体整備を進め、より積極的に「人財」に投資することを望んでいる。

 同コラムの全文は↓
 http://www.jeri.or.jp/6_report/pdf/keiei_0805.pdf