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“地ビール”メーカー、震災後に出荷量を伸ばす

経営関連情報 - 2011年09月26日

 今夏の天候は昨年の記録的な猛暑から一転、不順が続き、夏場の需要拡大を見込んだ大手ビールメーカー5社は、8月の出荷量が過去最低を記録、東日本大震災と天候不順に振り回された格好になった。しかし、国内の主な地ビールメーカー56社の出荷量は、震災後の4月から7月まで前年同月比で二ケタ増と好調を持続し、8月も8.6%増と順調に出荷量を伸ばし、好対照の動きをみせたことが、東京商工リサーチの調査で分かった。

 同社が実施した「“地ビール”メーカー動向調査」結果(有効回答数69社)によると、2011年1月~8月の出荷量を前年同期と比較可能な56社でみると4992キロリットルで2010年同期の4571キロリットルから9.2%増加した。社数別でみても、「増加」は34社と「減少」の21社を13社上回った。「横ばい」は1社。また、56社以外で出荷量が未公表の13社では、「増加」が3社、「横ばい」2社、「減少」8社となった。

 出荷量が判明した56社の出荷量を月別にみると、1月、2月は前年とほぼ同水準で推移していたが、3月は震災の影響から前年同月比5.0%落ち込んだ。しかし、4月以降は大手メーカー工場の被災に伴う供給不足もあって、4月20.1%増、5月16.7%増、6月12.2%増、7月12.5%増と大幅な伸びをみせた。8月は大手メーカーの出荷量が回復するにつれて伸び率は8.6%増と鈍化したが、猛暑で好調だった前年を上回る状況で推移している。

 出荷量が判明した56社と未公表の13社の合計69社では、出荷量が「増加」は37社で全体の53.6%と半数を占めた。増加した要因は、「観光客増」(6社)、「営業・販売努力」(5社)、「ビアコンテスト入賞等による宣伝効果」と「震災による需要」(各4社)の順。原発事故の影響で全国的に電力不足が広がり、震災後の消費自粛も各方面に影響したが、その反動で観光地に足を運んだ観光客を取り込んだことが寄与したとみられている。

 一方、出荷量が「減少」したのは29社だったが、その要因のトップは「震災の影響」(18社)で6割を占めた。次いで「観光客減」(9社)。具体的な震災影響としては、「取引先の休業等による販売機会の喪失」(10社)、「醸造所の損壊等、設備の被害」(4社)、「原発風評」(同)、原材料入手難等「その他」が9社だった。出荷増の要因にも挙げられた「震災」だが、多くの地ビールメーカーにはマイナスにも作用していることが分かった。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2011/1213482_1903.html