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定期同額給与には該当しない役員に対する歩合給

税務関連情報 - 2009年12月25日

 運送業を営むA社の専務取締役Yは、役員としての職務のほか、使用人と同様に配送業務にも従事している。A社は、Yに対し、月額の固定給のほか、月々の各人別の運送収入に応じた歩合給を支給することとしているが、この歩合給は法人税の「役員給与の損金不算入」に規定する定期同額給与に該当するだろうか。なお、Yに対する歩合給の支給基準は、使用人に対する支給基準と同一である。

 結論からいうと、この歩合給は定期同額給与に該当しない。役員に対して支給する定期給与のうち、(1)その事業年度の各支給時期における支給額が同額のもの、(2)一定の改定がされた場合におけるその事業年度開始の日または給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日またはその事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるものは、定期同額給与とされ、損金算入できる。

 このように、損金算入の対象となる定期同額給与は、定期給与のうちその事業年度の各支給時期(一定の改定があった場合には改定前の各支給時期及び改定後の各支給時期)における支給額が同額である給与をいうから、たとえ一定の算定基準に基づき、規則的に継続して支給されるものであっても、その支給額が同額でない給与は、定期同額給与には該当しないこととなる。

 したがって、各月の支給額が異なることとなる歩合給や能率給等は、法人税法の「役員給与の損金不算入」に規定する利益連動給与のうち一定の要件を満たすものに該当するものを除き、損金の額に算入されない。なお、固定給の部分と歩合給の部分とがあらかじめ明らかとなっている場合は、固定給の部分については、定期同額給与の要件を満たす限り、損金の額に算入される。