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業績見通し、企業の32%が売上・利益とも下方修正

経営関連情報 - 2011年10月12日

 東日本大震災の発生から半年が経過し、復旧・復興による需要増加がみられる一方で、原発事故の長期化や電力不足、円高の進行など、経営環境は厳しさを増してきている。帝国データバンクがこのほど発表した「2011年度の業績見通しに対する企業の動向調査」結果(有効回答数1万1028社)によると、2011年度の業績見通しについては、企業の32.1%が売上・利益ともに下方修正することが分かった。

 2011年度の期初見通しと比較した通期の業績見通し(実績)について、売上では「下方修正」と回答した企業が36.8%、「上方修正」は13.5%。経常利益では、「下方修正」が39.2%、「上方修正」が12.2%となった。売上と経常利益ともに「下方修正」した企業は32.1%に達し、3社に1社が期初見通しよりも業績の悪化を見込んでいる。一方、ともに「上方修正」した企業は9.7%となっており、「下方修正」を22.4ポイントも下回っている。

 業績及び業績見通しに影響を与えた要因(複数回答)は、「内需不振」を挙げた企業が51.4%で最多、さらに「東日本大震災」(44.7%)が4割を超えたほか、「円高」(38.9%)や「デフレ」(23.3%)、「原材料価格の高止まり」(20.7%)、「公共事業の減少」(20.6%)が続いた。特に「円高」は、昨年9月の前回調査より17.1ポイント増加しており、最近の円高が業績見通しを見直す大きな要因となっていることがうかがえる。

 今後の不確定要素としての懸念材料(3つまで選択)については、「内需」を挙げた企業が49.3%で最多、次いで「為替動向」(42.6%)が続き、「国内政治」(39.9%)や「原料価格動向」(34.6%)も3割を超えた。低迷する内需に加えて、高水準が続く円高など外国為替レートの動きや政治情勢、原料価格動向などに対して、経済活動における懸念材料と考える企業が多いことがうかがえる。「電力供給不安」は15.7%と1割台にとどまった。

 政府や日銀に求める政策(複数回答)では、55.8%の企業が「円高対策」を挙げ、次いで「新たな消費喚起策の実施」(45.8%)が4割以上となったほか、「企業向け金融支援の拡充」(33.2%)、「減税」(30.6%)、「規制緩和」(26.5%)が続いた。特に「円高対策」は前回調査より5.8ポイント増加しており、今年に入り急速に進んだ円高による業績面の悪化や企業の海外移転の加速懸念などを含め、政府・日銀に対策を求める企業が増加している。

 同動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1109.pdf