日本経団連が20日に発表した「2004年度・新卒者採用に関するアンケート調査」結果(有効回答数775社)によると、新卒者の採用実施企業・採用人数がともに2年連続で増加した。採用実施企業は前年度より1.9ポイント増の87.6%。このうち、採用人数を「増加した」企業が前年度より15.9ポイント増の51.0%となった。反対に、「減少した」企業は18.9%で前年度に比べ7.5ポイント減少している。
採用人数を増加した理由としては、「事業拡大のための人材確保」がもっとも多く、次いで「人員構成のバランスを保つため」となっている。企業業績の回復に伴い、採用人数を増加する傾向がみられる反面、採用内定者に対する評価は、「よい人材が採用できた」が58.9%と、前年度に比べ4.2ポイント減少した。採用担当者からは、学生の就職意識の低下といった問題点が指摘されている。
採用形態については春季一括採用以外の方法が増えている。ここ数年、「説明会・選考会の複数開催」(85.0%)、「オープンエントリー(公募制)」(73.3%)などの特徴ある採用形態・手法を導入する企業が増えるなか、通年採用を実施した企業が29.7%にのぼった。このうち、「年間を通しての随時採用」は前年度に比べ16.5ポイント減の47.3%だったが、「春季一括採用に秋季採用を追加」した企業が同18.4ポイント増の46.8%となった。
採用選考時に重視する要素(複数回答)は、昨年同様「コミュニケーション能力」(75.0%)がトップ、以下、「チャレンジ精神」(56.6%)、「主体性」(50.4%)、「協調性」(45.4%)、「誠実性」(34.3%)などが続く。一方、採用内定学生の意識面・行動面などで特徴がみられたと回答した企業が20.4%で、前年度より3.2ポイント増加した。「意識の高い学生とそうでない学生の二極化がさらに進んだ」との指摘が多くなっている。