2003年03月07日-002
税額控除と特別償却、どちらが有利?
2003年度税制改正での企業向け先行減税で中心となるのは、何といっても研究開発・設備投資減税だが、両減税ともに税額控除か特別償却を選べる。例えば、IT投資促進税制では、取得資産の10%の税額控除か50%の特別償却の選択適用が認められる。そこで問題となるのは、企業はどちらを選べば有利になるのか、ということである。
税額控除の場合は、IT投資促進税制であれば、法人税額から取得価額の10%相当額が、当期の法人税額の20%を限度として税額控除される。特別償却では、取得価額の50%を通常の減価償却費に加えて経費として計上できる。どちらが有利かということになると、単純に考えれば税額控除のほうが節税効果があるということになる。
税額控除は法人税額が投資額の10%減るのに対して、特別償却は課税を繰り延べていることに過ぎない。特別償却は、償却した年度の税額は減っても、それと同額が翌年以降の税額で増えるため、繰延べしたことによる金利相当分のメリットしか生まれない。しかし、税額控除は払うべき税額があってこそ初めて節税効果が見込める。 では、黒字企業は税額控除、赤字企業は特別償却をそれぞれ選択すればいいのかといえば、そう簡単ではない。黒字企業の場合でも、今後の事業予測や資金繰りなど会社の実情によっては特別償却のほうが有利ということも十分に考えられる。税理士などの専門家に相談して、今後の事業計画・予測などに基づいて試算するなどが必要で、安易な選択はしないほうがいい。
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