特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入措置は、いわゆる実質一人会社のオーナー給与の給与所得控除相当額を損金不算入とするもの。2006年度税制改正で創設され2006年4月1日以後に開始する事業年度から適用されたが、2年目となる2007年度分の対象法人数は5万6千社にのぼることが、昨年暮れの牧義夫民主党衆議院議員の質問に対する国会答弁書で明らかになった。
実質的な一人会社(特殊支配同族会社)とは、オーナー及びその同族関係者等が株式等の90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占めている会社である。ただし当初は、基準所得金額が800万円以下の事業年度と、同800万円を超えても3000万円までは、基準期間(前3年以内に開始した事業年度)におけるオーナーの平均給与の占める割合が50%以下であれば、実質一人会社規制の対象外とされていた。
財務省の試算では当初、全国の同族会社に占める課税対象社数を5万社程度(約2%)とみられていたが、フタを開けると対象会社数は試算の2倍強となる約11万7千社(約4.8 %)に達したことから、各業界団体等から廃止を含めた見直しを求める声が高まった。こうした要望等を踏まえて、2007年度税制改正において適用除外基準である基準所得金額が800 万円から1600 万円へと2倍に引き上げられた。
上記の国会答弁書によると、2008年3月決算法人に関して行ったサンプル調査結果では、同族会社数に占める同制度の適用対象法人数の割合は約2.3 %と適用初年度に比べ2.5ポイント減少し、この割合を基に2007年度分適用対象法人の総数を機械的に推計すると約5万6千社となっており、適用除外基準額が2倍に引き上げられたことから対象法人数は半分以下に減少したことになる。
なお、昨年末に出された与党の2009年度税制改正大綱では、中小企業対策のなかで同制度について「引き続き適用状況を注視する」との文言が付されており、気は早いが2010年度税制改正での見直しが行われるのかが注目されるところだ。