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税務関連情報 (2006/12/25)

実質一人会社規制の適用除外基準所得金額が倍増

 特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入制度、いわゆる実質一人会社規制は2006年度税制改正で導入されたものだが、2007年度税制改正では、適用除外となる基準所得金額が800万円以下から1600万円以下に引き上げられる。また、特殊支配同族会社の判定要素である「業務主宰役員」、「常務に従事する役員」の定義、持株等の判定における「同一内容の議決権行使に同意している者」について、国税庁の通達等で明確化する。

 実質一人会社規制の対象法人は、同族関係者(同一内容の議決権行使に同意している者を含む)1グループで株式等90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員のうち、同族関係者が過半数を占める会社とされている。また、損金算入制限措置は、オーナー役員(業務主宰役員)給与につき、個人段階で利用可能な給与所得控除額相当分の金額を法人段階で損金不算入とするものだ。

 税理士業界では、同制度が唐突に盛り込まれた中小企業への増税措置であることから、見直しを強く要望。これを受けて自民党の税理士制度改革推進議員連盟(森喜朗会長)も、大綱が決まる前々日の12日に「適用事業年度が終了しようとしている現在においても、法解釈や取扱いが明確にされておらず、無用の混乱を生じている」として「大幅な見直しがされない限り、当分の間適用を停止する」との決議をしていた経緯がある。

 改正されれば、適用除外となる企業は、基準所得(課税所得+オーナー役員給与)が800万円以下から1600万円以下となり、多くの中小企業にとって朗報となる。また、1600万円を超えても基準所得が3000万円以下でかつオーナー役員給与が基準所得の50%以下の企業も対象外となる。ただし、適用は2007年4月1日以後に開始する事業年度からとされており、今事業年度の適用除外基準所得は800万円以下となるので注意が必要だ。