住宅の平均築年数が上昇傾向にある。一戸建てでみると、平均築年数は1983年の17.2年から2003年には23.0年へ、共同住宅は12.0年から16.0年へと上昇した。築年数が23年を超える持ち家1145万戸の内訳をみると、木造一戸建てが989万戸と大半を占める(総務省「住宅・土地統計調査」2003年)。築年数の上昇傾向の背景を調べたうえで、住宅市場に与える影響を分析したのは日本総研のレポートである。
レポートによると、築年数の上昇は、住宅などの建替えが減少するなか、同じ持ち家に住み続ける世帯が増加したことが主因。建替えが減少した背景には、景気低迷による所得環境の悪化や、建て替え率が低い高齢者世帯のシェアが上昇したことなどがある。今後も、少子化によって新規取得の伸びが期待できないうえ、高齢化によって建替え需要のマイナスの影響も強まることから、築年数の上昇傾向は持続する公算が大だ。
こうした築年数の上昇により、リフォーム需要の拡大が予想される。一定の前提を置いて試算してみると、築年数が長い住宅の増加を背景に、リフォーム戸数は2003年から2013年までの10年間で9.3%増加するとの結果となった。内訳をみると、築年数の短い住宅のリフォーム戸数は低下傾向をたどるものの、築33年以上の古い住宅の急増がけん引役となる。地域別にみると、この増加の大半は大都市圏に集中する。
さらに、リフォーム予算額は、住宅の築年数が古くなるほど金額が大きくなるという特徴がある。これを適用して金額ベースの市場規模を試算してみると、2013年までの10年間で、築年数が長い住宅による押上げ効果が一段と高まることから、リフォーム市場規模は、戸数ベース(9.3%)を上回る12.7%の伸びとなる。また、戸数ベースでは減少が予想される地方でも、金額ベースでは市場拡大が見込まれるとみている。