労働条件が悪化しており、十分な看護が提供できないなど、厳しい看護現場を浮き彫りにした調査結果が明らかになった。日本医療労働組合連合会がこのほど発表した「看護職員の労働実態調査」結果(有効回答数1万7108人)によると、「最近、看護業務量が増えた」との回答が62.1%に達し、「終業時間後の仕事時間が1時間以上」が5年前の33.5%から42.2%に増えるなど、看護現場がいっそう忙しくなり、労働条件が悪化している。
この結果、「十分な看護が提供できている」との回答はわずか8.6%と1割未満にとどまり、その理由(2つまで回答)としては、「人員が少なすぎる」(54.1%)や「業務が過密になっている」(53.4%)との回答が圧倒的に高くなっている。そして、「この3年間にミスやニアミスを起こしたことがある」が86.0%にも達し、医療事故の原因(3つまで回答)としては「医療現場の忙しさ」(83.7%)が高率で挙げられた。
また、回答者の看護職員は平均年齢35.8歳という比較的若い集団でありながら、64.8%が「健康に不安」、77.5%が「慢性疲労」を感じていると回答。仕事をやめたいと思うことは、「しばしば」(26.9%)、「ときどき」(25.9%)、「いつも」(19.7%)など、計72.5%にのぼる。その理由(2つまで回答)は、「仕事が忙しすぎる」(35.8%)、「仕事の達成感がない」(21.6%)、「本来の看護ができない」(16.4%)などが上位に挙げられた。
このように、調査結果の特徴として、1)看護現場の多忙化による労働条件の悪化、2)超過密労働の下で、患者のいのちと安全も脅かされていること、3)看護職員が疲れ果て、退職などバーンアウト(燃え尽き)が進行するという看護師不足の悪循環に陥っていることが挙げられている。日本医労連は、看護現場はまさに異常事態であり、配置人員の抜本改善をはじめとした緊急対策の必要性を訴えている。
同調査の詳細は↓
http://www.irouren.or.jp/pdf/051110.pdf