社員の不祥事に対し、例えば、横領(売上金100万円を使い込んだ)した社員に対しては、7割以上の企業が懲戒処分でもっとも重い「懲戒解雇」を適用し、退職金も「全額不支給」とすることが、労務行政研究所が実施した「懲戒制度に関する実態調査」で分かった。同調査は、30のモデルケースを設定し、もしもそのような不祥事が起こった場合にはどの程度の処分内容になるのかを、過去のケース等から判断してもらった。
調査結果(有効回答数121社)によると、近年社会問題化している社員の問題行動については、「懲戒解雇」を適用している割合が多く、特に、横領では70.6%の企業が、また、(2週間に及んだ)無断欠勤では68.8%の企業が、懲戒解雇を適用。そのほか、酒酔い運転では40.4%の企業が、情報漏えい(社外秘の重要機密事項を漏えいさせた)した社員に対しては54.1%の企業がそれぞれ懲戒解雇としている。
一方、解雇の場合の退職金については、論旨解雇では「全額支給」とする企業が38.4%ともっとも多く、「一部支給」(23.3%)と合わせると、何らかの支給を行う企業が6割を超え、「全額支給しない」は5.8%と少数の企業にとどまった。これに対し、懲戒解雇では「全額支給しない」が75.0%と、論旨解雇とは一転、厳しい内容となっている。「全額支給」は3.3%、「一部支給」は2.5%で、両者合わせても約6%にとどまっている
なお、調査企業における最近1年間の懲戒の段階別発生件数は、もっとも軽い段階の処分である「譴責」(注意処分、訓告、始末書等も含む)が16社の合計で57件、「減給」が14社の合計で30件、「出勤停止」が12社合計で21件、「降格」が6社の合計で9件だが、「論旨解雇」は7社の合計で16件、もっとも重い処分である「懲戒解雇」は12社の合計で17件、それぞれ発生している。
同実態調査結果の概要は↓
https://www.rosei.or.jp/contents/detail/2726