ゼイタックス

認知度低い上場株式の損益通算対象範囲の拡大

税務関連情報 - 2009年11月30日

日本証券業協会が個人投資家を対象に今年6月29日から7月13日にかけて実施した「個人投資家の証券投資に関する意識調査」結果(有効回答数1095人)によると、2009年度税制改正で創設された「上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当所得との間の損益通算の特例」により損益通算の対象範囲が拡大されたことについて、「知っている」との回答は19.4%に過ぎず、「知らない」(80.2%)が大きく上回った。

 金融商品間のさらなる損益通算の範囲の拡大については、「必要」(27.9%)が「必要ない」(16.1%)を上回ったものの、「わからない」が51.7%と過半を占めている。損益通算が必要と感じる金融商品(複数回答)は、「公社債投信の分配金や取引から生じる損益」(68.0%)と「公社債の利子や取引から生じる損益」(65.7%)が並んで高く、「預貯金の利子」(37.9%)、「デリバティブ取引の損益」(25.8%)と続く。

 幅広く損益通算するために確定申告が必要となった場合の対応としては、「確定申告を行う」が38.9%、「事務負担が小さければ行う」が30.1%で続く一方、「確定申告は行わない」は3.9%にとどまる。また、損失の繰越控除期間については、「現状の3年でよい」が23.7%である一方、「5年程度に延長すべき」が19.5%、「(法人税と同じ)7年に延長すべき」が11.1%、「無期限とすべき」が10.6%だった。

 なお、納税者番号制度の導入については、「わからない」が42.5%と多いものの、「導入すべき」が36.6%(前年調査比14.3ポイント増)となり、「導入すべきではない」(19.5%、同10.5ポイント減)を初めて上回った。導入すべき理由(複数回答)としては、「課税の公平性が保たれる」(80.8%)や「行政手続きの簡素化が期待できる」(52.9%)が多く、「新しい税制の恩恵が期待できる」(28.7%)などが続いた。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.jsda.or.jp/html/chousa/kojn_isiki/h21-2.pdf