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経営関連情報 (2004/07/21)

新規事業の開始等では「医療・福祉」が成長分野

 景気が上向きつつあるとはいえ、まだまだ雇用環境は厳しいものがあり、雇用機会の創出は重要な課題となっている。雇用の受け皿といった面からは、企業における新規事業の開始や展開、既存事業の拡大など、雇用機会を提供する事業活動の実態が注目される。そのような意味では、厚生労働省が15日に公表した2003年産業労働事情調査結果(有効回答数:従業員30人以上の民間1万9271事業所)が参考になる。

 調査結果によると、過去3年間に新規事業の開始・拡大等を行い、現在もその事業を行っている事業所割合は13.5%だった。その内容(複数回答)は、「既存の事業以外の事業への進出」(5.9%)がもっとも多く、次いで「生産・販売方法等を見直すことによる既存事業の拡大」(4.1%)、「新たな事業所として開設」(〃)の順となっている。

 これらの事業所割合を産業別にみると、「医療・福祉」(25.4%)、「電気・ガス・熱供給・水道業」(20.5%)、「情報通信業」(20.1%)などが高い。また、事業分野(複数回答)をみると、「医療・福祉関連分野」(2.2%)がもっとも高く、次いで「環境関連分野」(1.1%)、「流通・物流関連分野」(〃)などが続く。これらのことから、多くの企業が「医療・福祉」が成長分野のひとつと考えていたことが分かる。

 今後3年以内に新規事業の開始・拡大等を行う希望がある事業所割合は9.6%だったが、希望する事業分野(複数回答)をみると、ここでも「医療・福祉関連分野」(2.1%)がもっとも高く、「環境関連分野」(1.0%)、「流通・物流関連分野」(〃)、「情報・通信関連分野」(0.7%)の順。新規事業を考える企業はこれらの分野での可能性を探り、雇用面からみれば、これらの分野に合った人材育成政策などが求められるということになる。