放置自転車対策で話題となっている東京・豊島区の法定外目的税「放置自転車等対策推進税」は、先月9月に総務省が正式同意した。しかし、豊島区と納税者である鉄道事業者5社が全面対決したままであることから「鉄道事業者の理解を得るよう努力すべき」という異例の意見書を付けた同意だった。鉄道事業者は訴訟まで視野に入れて強行に反発しており、実施までにはまだ予断を許さない状況にある。
その自転車放置税について、政府税制調査会の石弘光会長が批判した。5日の政府税調総会後の記者会見で、同税について「結局、話し合いができなくて税に訴えた、ある意味で税を手段に使って事柄を解決しなければならない状況が問題で、ベストな解決ではない」との感想を述べている。税を持ち出すのではなく、本来は有料の地下駐輪場を設けるなどの方法で解決すべき問題だという意見だ。
さらに、個人的にはと断りを入れたうえで、「税を本来使うべきところでないのに使ったというイメージ。払うべき人と納税者の間の因果関係がはっきりしないし、税としての出来上がりもよくない」との印象を語っている。放置自転車問題を抱える自治体は多い。豊島区の自転車放置税が実施されることになると、かなり波及効果も大きくなることから、このまま実施される方向でいいのかとの疑問も呈している。
また、これは、法定外目的税を新設する仕組みも問題だと指摘。新設には総務大臣の同意が必要だ。法定外税の検討に際しては、1)税以外の適切な手段がないか十分な検討が望ましい、2)特定・少数の納税者へ課税する場合は、納税者の理解を得るよう努めることが必要との留意事項がある。そのような制度がありながら話がこじれてしまったことを問題視しているわけだ。今後、法定外目的税を認める仕組みは見直される方向にある。