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税務関連情報 (2007/02/21)

オルソケラトロジーの近視治療は医療費控除の対象

 オルソケラトロジー(角膜矯正療法)による近視治療をご存知だろうか。これは、特殊なコンタクトレンズを主に就寝中に装着して、角膜の表面の角度を矯正し、屈折率を正常化させて視力を回復させるもので、朝起きてレンズをはずした後も一定の期間視力は回復し、裸眼で好視力を維持して生活が送れる。メガネ、コンタクトレンズ、レーシックなどのレーザー手術と並ぶ第4の近視治療法と言われている。

 このオルソケラトロジーの費用は、初期診療、検査費、レンズ、レンズケア-費用を含め、およそ10~20万円ほどかかる。治療に使われる特殊なコンタクトレンズ(リテナーレレンズ)は、米国で作成を依頼するため、普通のコンタクトレンズより高額になってしまうようだ。現在、日本では自由診療となっており、健康保険の対象となっていないため、個々の眼科によって費用もかなり違うようだ。

 ところで、このオルソケラトロジーによる近視治療の費用は、医療費控除の対象となるのだろうか。国税当局は、同費用(リテナーレレンズの購入費用を含む)は角膜を矯正して視力を回復させる治療の対価として支払われるものなので、所得税法施行令第207条に定める「医師または歯科医師による診療または治療の対価」に該当し、医療費控除の対象となることを認めている。

 なお、近視等の眼の屈折異常を矯正するために眼鏡やコンタクトレンズを購入した場合のその費用や、眼の屈折検査、眼鏡やコンタクトレンズの処方の費用は、視力を回復させる治療の対価には該当しないので、医療費控除の対象とはならないことが、最高裁(1991年2月4日第三小法廷判決)で判断されている。