税務関連情報 (2007/06/20)
■ 国際取引・無申告事案が目立つ査察事案
2006年度査察白書によると、検察庁に告発した件数が166件と、2000年度以降で最多となったが、脱税の手口では、人材派遣業を中心に人件費を外注費に科目仮装することによる消費税の脱税や所得を全く申告しない無申告が大幅に増加した。また、海外取引に関連した脱税や複数の国税局にまたがる広域的な脱税や、売上除外、架空経費の計上、適当過少な所得によるつまみ申告がみられたという。
特に最近は、国際取引事案や無申告事案に関連した告発件数の増加が目立つ。国際取引事案の最近3年間の告発件数をみると、04年度28件、05年度32件、06年度19件と合計79件にのぼる。例えば、Aは、海外の投資会社において、個人名義や海外に設立した法人名義でFX取引(外国為替証拠金取引)などの運用を行い、多額の運用益を得ていたにもかかわらず、その運用益を申告せずに除外していた。
また、無申告事案も04年度11件、05年度13件、06年20件の合計44件に達し増加傾向にある。事例では、キャバクラ2店舗を経営するBは、風営法や食品衛生法に基づく許可申請を親族や従業員などの名義で行うとともに、キャバクラ経営で得た所得をその親族名義などの預貯金口座に入金するなどの方法により所得を隠した上で、所得税の確定申告を行わなかったものがある。Cは、不正資金を現金で留保していた。
なお、脱税で得た現金・割引債などや脱税工作に使った印鑑・金庫の鍵などの隠し場所は、居宅納戸内のカラーボックスの裏に隠されていた埋め込み式の金庫や、事務所に置かれたパソコン机脚部の配線スペース、親族居宅の掘り炬燵、居宅浴室の天井裏、親族経営の会社の倉庫、居宅電話代の隠しスペース、遠隔地にある金融機関の親族名義の貸金庫、居宅納戸内に無造作に置かれた段ボール箱など、様々な事例が報告されている。