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税務関連情報 (2006/02/22)

申告不要の株式配当も、申告で得するケースが…

 16日から始まっている2007年分所得税の確定申告では、昨年の株高から個人投資家の申告が増えそうだ。株式による配当所得は原則総合課税だが、特例として「確定申告不要」がある。その配当は、1)上場・非上場を問わず1銘柄1回の配当金額が5万円(年1回の場合は10万円)以下の少額配当及び2)上場株式で、2003年4月1日以降に支払いを受けた大口以外のもので、かつ1回の配当金額が5万円(10万円)超のものだ。

 大口のものとは、配当を支払った株式会社の発行株式の総数の5%以上を保有する者が、その株式会社から受ける配当である。以前は少額配当のみが申告不要とされていたが、2003年度改正で一定の上場株式等の配当については申告不要制度の上限5万円が撤廃された。つまり、現在は1回の支払いが高額な上場株式の配当であっても税率10%で源泉徴収され、非上場株式も少額配当は20%で源泉徴収されて、ともに申告不要となる。

 多くの個人投資家にとっては面倒な申告が省略されて便利な制度だが、一定のケースでは確定申告をしたほうが得な場合もある。それは、総合課税として申告すると、配当所得を計算する際、必要経費として負債利子が差し引け、さらに算出税額から配当所得の10%(特定の場合は5%)を配当控除として差し引くことができるからだ。ただし、配当控除は給与所得や課税総所得金額が1000万円以下の場合にしか適用されない。

 また、申告して得するケースは、所得税率が10%で収まる課税所得金額330万円以下の場合が目安といわれている。平均年収でいえば約600万円以下の場合だ。これらの所得層が確定申告すれば、すでに源泉徴収されている10%分の税金が戻ってくる。しかし、住民税は、課税所得が200万円超700万円以下の場合、税率は10%だが、配当控除が2.8%なので7.2%だけ税金が増える。結果、2.8%だけ税金が得することになる。

 住民税の課税所得が200万円以下の場合は、税率が5%なので、配当所得2.8%だから2.2%だけ税金が増え、「10%-2.2%」で7.8%分の税金が得になる計算だ。ともあれ、具体的な計算は税理士など専門家にお任せして、確定申告したほうが有利かどうかを判断したい。