税 務 関 連 情 報 |
2001年12月17日-001
難しい判断を要求される連結納税制度
平成14年度改正の最大の焦点だった連結納税制度は、平成14年4月から導入されることが決定した。適用は、14年4月1日以降に開始し、15年3月31日以後に終了する事業年度からとなる。適用は選択制で、適用しようとする事業年度開始の日の前日から起算して6月前の日までに親会社と全ての100%子会社の連名で承認申請書を国税庁長官に提出し、承認を受ける必要がある。一旦選択した場合は継続して適用することとされ、連結グループから離脱した法人については、5年間再加入を認めないことから、制度適用には大変な判断が要求される。特に、2年間の時限措置とはいえ、制度適用企業グループには税率2%の連結付加税が導入されるわけだから、判断を誤ればかえって税負担が増すケースも出てくる。
制度導入の効果として、グループ経営の推進やベンチャー創業支援が考えられる。制度導入により、グループ経営の阻害要因となっている企業の組織再編成に伴う税負担の増加という現行税制上の問題が解消される。連結導入後であれば、同じ事業を企業内の一部門としている場合と、子会社で独立させた場合との税負担が同じになる。また、ベンチャー企業を創業するケースでは、創業赤字をグループ所得と通算することが可能になり、ベンチャー創業の促進に非常に大きな効果があるというわけだ。
このように、グループ経営に移行している企業の経済実態に対応した連結納税制度の創設により、グループ経営を促進し、企業の国際競争力を強化することが狙いだが、税負担の面からいえば、その効果を複雑にしているのが制度創設に伴う財源措置だ。約8,000億円の税収減に対して、1)2年間限りの措置だが、制度選択法人に対する税率2%の連結付加税の導入、2)初年度における新規子会社の加入制限や子会社の連結前繰越控除の持込制限など制度の仕組みの中での増収措置、3)退職給与引当金の廃止や受取配当の益金不算入措置の縮減、特別修繕引当金の取崩期間の短縮など課税ベースの見直しなどで賄うことが決まった。連結納税制度を選択しない企業にとっても十分な税負担増となる財源措置だけに、泣くに泣けない企業も少なくないだろう。
【ホームへ戻る】