近年の税制改正において個人向けの減税を行うことは困難な状況にあるが、2007年度は住宅・土地税制関連において、税源移譲により影響を受ける中低所得者層への配慮として、住宅ローン減税の効果を確保するため、2007年及び2008年入居者に限り、現行制度との選択制で所得税の控除額の特例措置を創設する。最高控除額は現行の200万円と同じだが、控除期間を15年まで延長する。
現行制度は、2007年居住分についてはローン残高2500万円までの部分に対し、1~6年目1.0%、7~10年目0.5%を控除し、最高控除額は200万円。2008年居住分は、ローン残高2000万円までの部分に対して同様の控除期間、控除率となるため最高控除額は160万円となる。現行制度は、2004年度税制改正において対象ローン残高や控除率が段階的に縮小されることが決まったもので、2008年居住分はその最終段階にあたる。
各年の控除税額はその年分の所得税額が限度となるため、所得税から住民税への税源移譲が行われると、国税では中低所得者層を中心に控除しきれない事態が生じる。そこで、2007年分以降の所得税において住宅ローン減税の適用がある納税者(1999年から2006年までに入居した者に限る)のうち、税源移譲のために控除額が減少する者は、翌年度分の個人住民税において、その減少相当額を減額することが決まっている。
今回の特例措置の創設は、2007年及び2008年入居者に対するもので、控除しきれない分を個人住民税で減額するのではなく、初めから控除率を低くして控除期間を伸ばし、長期間で住宅ローン減税の効果を確保しようというものだ。具体的には、控除率を1~10年目0.6%、10~15年目0.4%とし、2007年居住分、2008年居住分とも合計での最高控除額はそれぞれ200万円、160万円と現行制度と変わらないものとなる。