帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、2月の倒産件数は818件で、前月を2.9%下回ったものの、前年同月比では5.3%の増加となり、5ヵ月連続の前年同月比増加となった。3ヵ月連続して800件台の高水準。倒産件数の推移は、一進一退を繰り返しながらも、確実にベースラインが上昇してきており、緩やかな増加基調が継続している。
負債総額は2805億9700万円で、法的整理のみに集計対象を変更した2005年4月以降で最低となり、これまで最低だった2006年2月を13.7%(446億8600万円)下回った。前月比では48.7%の大幅減少、前年同月比でも13.7%の減少で、ともに3ヵ月ぶりの減少となっている。負債100億円以上の倒産も3件(前月7件)にとどまるなど、大型倒産は沈静化傾向が続いている。
一方で、負債1億円未満の倒産は471件と前年同月比14.9%増加し、全体の57.6%を占める。また、いざなぎ景気を超える景気回復期間となるなかでも、「不況型倒産」の割合が76.3%と依然として7割を大きく上回る。これは、景気回復が遅れる地方の中小・零細企業や内需関連企業が業績不振で力尽きていることに起因しており、「倒産件数増、負債総額減」という現象も、倒産の二極化構造の深化によるものとみられている。
2月末には株価が世界的に急落し、世界経済の先行きに不透明感が増幅する可能性がある一方、国内においても、個人消費の回復遅れが顕著で暖冬の影響も広がりつつあり、利上げによる影響が過剰債務にあえぐ地方圏、中小・零細企業などへ波及していくことは避けられない。業界・規模・地域間での業況格差の拡大とともに、地方圏の中小小売・サービス業者や地場建設会社等を中心に倒産は増発する公算が大と予測されている。