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税務関連情報 (2004/06/18)

抜本強化された研究開発税制で開発投資が積極化

 研究開発投資税制は、2003年度税制改正において試験研究費が増加した場合に税額控除を認める制度に加えて、新たに総額の一定割合を税額控除する仕組みが選択制で導入された。経済産業省が15日に公表した同税制に係る調査結果によると、2004年度の研究開発投資見込み額は対前年度比6.2%増となった。回答企業は、製造業を中心とした主要400社で、その研究開発費がわが国研究開発投資総額に占める割合は約41%。

 回答400社の研究開発費の2003年度実績は対前年度比2.7%増の5兆6410億円、2004年度見込み額は同6.2%増の5兆9880億円となっている。増加見込み額は約3500億円となり、これを基にわが国研究開発投資総額を推計すると2004年度増加額は約8500億円に達する見込みだ。研究開発税制が抜本強化された2003年度以降、企業の研究開発投資が積極化している。

 業種別に2003年度から2004年度の増加率をみると、「精密機械工業」「機械工業」「電気機械工業」「医薬品業」は、研究開発費が全業種の平均伸び率6.2%を上回っている。特に「精密機械工業」の伸び率が顕著で13.5%増、次いで「医薬品業」が7.9%増となっている。研究開発税制は、売上高に対する研究開発費の比率が高い企業によりインセンティブのある制度設計となっており、その一定の効果が現れているようだ。

 なお、同時に行われた研究開発税制の効果についてのアンケート結果(有効回答数493社)によると、「増加型では税額控除が受けられなかったが、新税制により税額控除が受けられるので、インセンティブとして機能する」(31%)、「試験研究費が発生すれば、必ず一定の税額控除を受けられるので、中長期的な研究開発計画に加味しやすい」(28%)との回答が多数を占めた。総額型の税制に抜本強化された効果がうかがわれる。