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小企業は円高の影響より「個人消費の低迷」を懸念

経営関連情報 - 2011年02月02日

 日本政策金融公庫が昨年12月に実施した「円高の小企業への影響調査」結果(有効回答数6600社)によると、円高の事業への「マイナスの影響」があると回答した企業割合は16.8%と、急激な円高が進んだ1995年当時(21.1%)と比べて割合は低下している。業種別にみると、製造業では「マイナスの影響」が30.4%と最多だが、95年調査と比べると業種間のばらつきは縮小しており、マイナスの影響は幅広い業種に広がっている。

 円高によるマイナスの影響をみると、「企業のコスト意識や消費者の節約志向の高まり」が43.2%で最多、次いで「取引先からの値引き要請」(18.7%)、「取引先の海外移転や規模縮小、従業員の減少等」(10.2%)などの順。製造業では、「輸出量の減少」(18.1%、全体9.1%)、「取引先からの値引き要請」(30.9%)、「海外との競争激化」(13.5%、同9.2%)、「取引先の海外移転や規模縮小、従業員の減少等」(11.5%)が全体よりも多くなっている。

 製造業における今後の円高対策をみると、「特になし」との回答が37.5%でもっとも多く、次いで「国内にとどまり一層の合理化を進める」(20.5%)、「海外製品に負けない技術力を強化」(13.9%)、「規模縮小・廃業」(13.2%)など。従業者規模別にみると、規模が大きくなるほど「国内にとどまり一層の合理化を進める」(1~4人11.3%、10人以上32.1%)や「海外製品に負けない技術力を強化」(同7.6%、21.4%)が多くなっている。

 また、現在の不安要素をみると、全体では「個人消費の低迷」(68.2%)を挙げる企業割合がもっとも高い。「為替相場の変動」を選んだ企業割合は、製造業でも14.2%(全体は5.0%)にとどまっており、「個人消費の低迷」、「価格競争の激化」(50.5%)、「原材料価格の高騰」(21.4%)といった割合のほうが高くなっている。小企業は、円高以外に多様な不安要素を抱えていることが分かる。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jfc.go.jp/common/pdf/tokubetu_110127.pdf