12月に入り年末調整の時期が近づいてきた。年末調整の準備というと、扶養控除等申告書や保険料控除申告書等が従業員から提出されているかどうかなど確認事項が多いが、そのなかでも確認漏れが多い項目に“認定賞与”がある。同族会社では、役員が個人的に使用している車の購入費用を会社が負担したり、役員に対する貸付金を免除したりなど、本来なら役員個人が負担すべき費用を会社が負担している場合が少なくない。
こうした個人費用の肩代わりが、税務調査で発覚した場合は、役員に対する賞与と認定され、損金に算入することができなくなる。認定賞与は、役員個人が会社から経済的利益を受けたものだから、会社にとって必要な経費とはみなされず損金不算入となる。役員の賞与となるわけだから、所得税の課税対象となって源泉課税も免れない。したがって、年末調整の対象にもなることになる。
認定賞与は、税務調査時に指摘され認定される場合が多いが、年末調整で認定賞与を加算することを忘れないためには、調査時など認定賞与の金額が確定した時点で、普通の賞与と同じように、その金額や徴収税額を1人別徴収簿に記入して、源泉徴収の対象としておくことである。そして、年末調整の際には総支給額及び徴収税額の合計額に加算し忘れないように注意することが必要だ。
なお、役員個人の経済的利益として認定賞与とされるものには色々あるが、主なものとしては、役員に対する会社の資産の贈与、会社資産の低額譲渡、役員からの資産の高額仕入、債務免除、債権放棄、債務の無償引受、無償・低利率での金銭貸付などが挙げられる。これらのうち、無償のものはその資産の価額が、また、低額または高額のものは、その資産の価額と実際に負担した額との差額が認定賞与の額とされる。