経済産業省・中小企業庁はこのほど、中小企業経営円滑化法が来月10月1日から施行されることに伴い、同法に基づく認定等の申請のためのマニュアルを作成し公表した。同法は、(1)遺留分に関する民法の特例、(2)事業承継時の金融支援措置、(3)事業承継税制の基本的枠組み、を盛り込んだ事業承継円滑化に向けた総合的支援策の基礎となる法律であり、今年5月9日に通常国会において成立した。
施行日は10月1日だが、遺留分に関する民法の特例に係る規定については、制度整備と周知に必要な期間を考慮して、2009年3月1日から施行される。同マニュアルにおいては、経営承継円滑化法の概要・用語・申請方法を始め、遺留分に関する民法の特例制度、金融支援措置、事業承継税制のベースとなる要件における各種申請について、申請書の記載方法や添付書類等の解説を119ページにわたって行っている。
遺留分に関する民法の特例は、遺留分制度による制約を解決するため、後継者が先代経営者からの贈与等により取得した自社株式について、先代経営者の推定相続人全員の合意を前提として、(1)その価額を遺留分算定基礎財産に算入しないこと(「除外合意」)、(2)遺留分算定基礎財産に算入すべき価額をあらかじめ固定すること(「固定合意」)の2つの特例制度を創設している。
事業承継税制は、事業承継時の相続税負担の問題を抜本的に解決するため、非上場株式等に係る相続税の負担軽減措置について現行の10%減額から80%納税猶予に大幅拡充するとともに、その適用対象を中小企業基本上の中小企業全般に拡大することが決定された。同税制は、経営承継円滑化法に基づく経済産業相の認定を受けた中小企業者の株式等を後継者が相続等により取得した場合の相続税について適用される予定だ。
また、税法上の手当は、2009年度税制改正による税法の改正案によってなされ、経営承継円滑化法の施行日である10月1日以後に開始した相続に遡及適用される予定。あくまで、経営承継円滑化法の施行規則に定めているのは、事業承継税制のベースとなる要件であり、事業承継税制の具体的な要件は、2009年度税制改正による税法の改正法案に規定される予定であることに留意する必要がある。
同マニュアルの全文は↓
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/shoukei/download/shokei_manual.pdf