東京税理士会が発表した2006年度税務調査アンケート集計結果によると、回答した747会員が今年6月までの1年間に受けた調査件数は計2728件で、1人平均3.7件と前年度から0.7件増加した。しかし、調査日数は短縮傾向にあり、「1日」が21.2%、対前年度比1.4%増、「2日」が49.7%、同7.9%増となり、「1~2日」が合計で7割を超え、「3~4日」が18.7%、同5.0%減、「5日以上」が10.4%、同3.7%減となった。
調査日数が短縮傾向にあるのは、国税当局が数年前から導入した着眼調査が増えているためとみられている。着眼調査は、資料情報や事業実態の解明を通じて申告漏れ所得の把握を短期間で行うもので、実地調査ではあるが、特別調査・一般調査と簡易な接触の中間に位置づけられる。実地調査の対象としては不正度が少ないが、簡易な接触で済ますことはできない程度のものが対象となるため、必然的に調査日数は短くなる。
調査にあたって事前に通知があったものは95.5%で前年度より2.1%増加し、ここ数年で改善傾向がみられる。また、調査内容については、「帳簿・証ひょう」の調査を基本とする傾向が93.7%と、ますます顕著になっている。税理士の調査立会い件数は全体の98.7%を占めた。立ち会わなかった主な理由は、例年同様、調査が重なったことや事前に通知がなかったことなどのほか、電話での説明で解決したとの回答がみられた。
一方、調査結果をみると、「申告是認」が24.3%で、前年度から1.8%減少し、「更正」も3.9%で同0.6%減少した反面、「修正申告」は同2.4%増の71.8%と7割を超えた。修正申告のうち6.5%が「不満だった」と回答している。修正申告及び更正のうち重加算税処分となったものは、同3.3%減の21.5%だった。また、申告是認のうち、書面で通知があったものは11.6%にとどまり、前年度とほとんど変化がない。
なお、調査総件数における調査官の態度は、「よい」が41.2%(対前年度比1.6%増)、「悪い」が6.4%(同0.2%増)。よい例としては、法令に則った指摘で納得できた、効率がよかったなどであり、悪い例では逆に、法令解釈に無理がある、不要な資料を請求された、効率が悪く長期間の調査となった、ビジネスマナー(言葉づかい、挨拶、喫煙など)に欠けるなどが目立った。