原油価格高騰の影響から様々な業界で収益率の低下が問題となっているが、もっとも直接的な影響を受けているのが運輸業者だ。燃料価格は一向に下がる気配がない。帝国データバンクがこのほど発表した「運輸業者の倒産動向調査」結果によると、2008年上半期(1月~6月)の運輸業者の倒産件数は209件にのぼり、倒産件数は、半期ベースで3期連続して前期比、前年同期比ともに増加し、倒産増加傾向が鮮明となった。
今年に入ってから1ヵ月平均34.8件の倒産が発生しており、このペースのまま推移すると、2008年の倒産件数は前年(359件)を大きく上回り400件を突破する可能性が高いとみられている。上半期に倒産した運輸業者を業態別にみると、「道路貨物運送業」が140件で最多、次いで「運輸附帯サービス」が48件、「道路旅客運送業」が15件と続く。「道路貨物運送業」は前期比22.8%増、前年同期比25.0%増と倒産増加が著しい。
一方、負債総額は516億1500万円で、前期を19.4%上回ったものの、前年同期比では68.7%下回った。07年上半期は負債1097億円で破産手続き開始決定を受けた海運業のシーコムが水準を大きく引き上げ、負債総額が突出している。負債「10億円以上」の大型倒産は10件発生し、前期(7件)、前年同期(9件)と比べ微増となった。負債100億円以上の大型倒産は、今年に入ってからは発生していない。
上半期に倒産した運輸業者の負債を規模別にみると、負債「1000万円以上5000万円未満」が81件(前期比37.3%増、前年同期比14.1%増)でトップ、以下、「1億円以上5億円未満」が58件(同6.5%減、同16.0%増)、「5000万円以上1億円未満」が47件(同2.1%減、同34.3%増)と続く。「1000万円以上5000万円未満」、「10億円以上50億円未満」、「50億円以上100億円未満」で、前期比、前年同期比ともに増加した。
なお、主にトラックの燃料となる軽油の卸価格は、近年では上昇の一途を辿り、今年5月には全国平均が1リットルあたり90.2円と、1年前(2007年5月67.0円)の約1.3倍、5年前(2003年5月37.5円)の約2.4倍まで上昇。こうした軽油価格の上昇とともに、運輸業者の倒産件数は増加している。