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経営関連情報 (2005/01/07)

海外就業体験が若者のキャリア形成に与える影響

 厚生労働省が12月27日に発表した「海外就業体験と若年者のキャリア形成に関する調査」では、海外就業体験を通じて国際感覚・積極性・コミュニケーション能力を向上させる一方で、専門知識・技能の習得は十分でなく、帰国後の再就職は厳しい一面もあることが分かった。調査対象は、海外就業体験を行ってきた35歳以下の若年者約6400人で、1538人から回答を得た。

 海外就業体験者の81.0%は女性であり、海外就業体験の平均期間は4.95ヵ月。渡航先としては、「オーストラリア」(43.4%)、「ニュージーランド」(17.4%)、「カナダ」(16.8%)、「米国」(8.6%)の順で多い。

 海外就業体験の動機(複数回答)としては、「語学力の強化」(57.3%)、「日本で得られない知識・技能の習得」(36.7%)といったキャリア志向的な回答がある一方、「海外で生活したいと思っていた」(80.4%)、「現在の仕事から抜け出したかった」(26.4%)、「将来を考える時間がほしかった」(21.5%)といったモラトリアム的な傾向を含む回答をする人も多い。

 海外就業体験を通じて得たもの(複数回答)として、「国際感覚・異文化適応能力」(82.8%)、「積極性」(82.1%)、「コミュニケーション能力」(80.5%)などで高い自己評価を行う一方、「専門的な知識・技能」を得たとする人は24.2%にとどまっている。また、海外就業体験を通じて外国語学能力は大きく向上している。TOEIC受検者の平均点でみると、渡航前の557.5点から帰国後の666.9点と、109.4点の向上をみている。

 帰国後の主な過ごし方をみると、「正社員や自営業として働いていた」との回答は37.8%にとどまっており、「様々な一時的な仕事をしていた」(18.5%)や「求職中の期間が長かった」(6.3%)とする人が少なくない。調査時点での平均月収(学生や家事従事者を除く税込み月収平均)は18.7万円であり、渡航前の21.7万円から減少している。