中小企業再生支援協議会は、各都道府県に1ヵ所づつ設置され、企業再生に関する知識と経験を持つ税理士等の専門家が常駐し、経営不振に陥った中小企業の経営再建を支援している。経済産業省がこのほど発表した同協議会の活動状況によると、2003年2月の発足以来、2008年9月末までに1万5741社からの窓口相談に応じ、1906社の再生計画の策定支援を完了した結果、11万8604名の雇用が確保された。
2008年度第2四半期(7~9月)の相談企業数は799社と、前年同期に比べ約1割増となった。一方、同期に再生計画の策定を完了した案件は78件と、前年同期に比べわずかに増加した。業種別では、「製造業」、「卸売・小売業」、「飲食業・宿泊業」、「建設業」の順に割合が高く、これを昨年度1年間のデータと比べると、これらの業種が上位を占める傾向に変わりはないが、「建設業」は、第1四半期に引き続き割合が増加している。
また、売上高別にみると、「5億円以下」の企業が全体の半数を占めており、昨年度1年間に比べ増加傾向が続いていることから、比較的売上高の小さい企業の占める割合が増加しつつあるといえる。また、従業員数では、「10名以下」が16.7%、「11~20名」が23.1%と、昨年度1年間と比べ4.0ポイント増、6.9ポイント増とともに増加しており、従業員数の点からも、比較的規模の小さな企業の占める割合が増加している。
完了案件の相談持込者では、「地方銀行」が24.4%、「信金・信組」が23.1%、「第二地銀」が21.8%となった。昨年度1年間と比べると、「地方銀行」が10.1ポイント減少する一方、「第二地銀」が9.4ポイント増、「信金・信組」が3.8ポイント増となっている。特に、「信金・信組」について、第1四半期に引き続いて割合が増加傾向にあることは、上記の比較的小規模な企業の割合が増加している背景の一つとなっていると考えられる。
金融支援の手法では、金融機関から債権放棄を受ける案件が全体の20.5%と約2割を占める。特に、再生計画の策定にあたり、金融機関と事前に合意の上、事業譲渡または会社分割を用いて新会社に事業を承継し、旧会社について特別清算方式を用いて実質的に債権放棄を受ける「第二会社方式」が、債権放棄案件の約7割を占めており、再生支援協議会の主要な再生手法として「第二会社方式」が定着しつつあるものといえる。
中小企業再生支援協議会の活動状況の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/20081105002/20081105002.pdf