ゼイタックス

税務関連情報 (2006/06/26)

e-Tax普及には何らかの優遇措置が必要か?

 何度もお伝えしているように、国税の電子申告・納付システム(e-Tax)の普及が思うように進まない。国庫金電子納付の現状と課題のなかで、利用促進に向けた政府の取組みを紹介するとともに、納付率が高い諸外国の事例を示し、普及促進には何らなのインセンティブが必要と示唆するのは日本銀行業務局長の佐々木俊彦氏である(日本マルチペイメントネットワーク推進協議会総会における講演)。

 国庫金電子納付件数は、今年4月に初めて月間5万件を超えたが、口座振替除くベースの電子納付比率は4月で0.76%と、1%に満たない状況が続いている。その要因として佐々木氏は、1)電子納付に関する一般的な認知度が必ずしも高くない、2)電子納付の前提となる電子申請・申告等の手続きが煩瑣で利用者の使い勝手がよくない、3)金融機関の納付チャンネルと納付者のニーズとの間のミスマッチ、などを指摘している。

 今年に入り政府は、「申請・届出等手続きにおけるオンライン利用率を2010年度までに50%以上とする」との目標を掲げ、その実現に向けて、申請等の添付書類の電子化・省略・廃止などの具体的な取組みを示した。また、e-Taxに関しても、税理士関与の申告の本人認証の不要化やスキャナ読取データの送信の可能化、さらにインセンティブ措置として確定申告期間の24時間受付や還付申告の処理期間の短縮などが検討される。

 一方、佐々木氏が紹介する諸外国に目を向けると、韓国では、電子申告システムによる納付比率が、法人税約97%、個人所得税約75%、付加価値税約72%と高水準だが、利用者には、法人税と所得税で各2万ウォン(約2400円)、付加価値税で1万ウォン(約1200円)の割引がある。米国は1996年から電子納税システム(EFTPS)を導入済みだが、大手企業には電子納税が義務付けられている。

 また、シンガポールでは、税申告の68%が電子申告となっており、現在は実施していないが、数年前までは、1)電子申告をした者に抽選で賞金の当たるくじ(最高賞金約140万円)を与える、2)電子申告の方法を他に教えた者には、このくじを増やす、といった利用促進策が採用されていた。海外の事例をみると、“アメ”にしろ“ムチ”にしろ、インセンティブ付与が利用促進を図るうえで有効に使われていることを示している。

 佐々木氏の「電子納付の飛躍に向けて」と題した講演要旨は↓
 http://www.boj.or.jp/type/release/zuiji_new/kokko0606a.htm