国税(所得税)から地方税(住民税)への3兆円の税源移譲に伴い、所得税と住民税の税率が変わり、所得税は2007年分から減り、住民税は2007年度分から増えている。トータルでの税負担は変わらないとしているが、住宅ローン控除適用者で、所得税から控除しきれない税額がある場合は、申告により住民税から控除できる。この取扱いはよく知られているが、意外と知られていないのは「税源移譲に伴う住民税の還付」だ。
税源移譲に伴い、所得税率の変更による税負担の軽減の影響は受けずに、住民税率の変更による税負担の増加の影響のみを受ける納税者は、住んでいる市区町村へ申告すれば、すでに納付済みの2007年度分の住民税額から、税源移譲によって増額となった住民税相当額が還付される場合がある。対象者は、2006年分は所得税が課税される程度の所得があったが、2007年分は所得税が課税されない程度まで所得が減少した納税者だ。
例えば、年収500万円の夫婦が2006年(度)に所得税22万円、住民税13万円を納めていたケースでは、税源移譲後の2007年(度)は所得税12万2500円、住民税22万7500円でトータルの税金は35万円で変わらない。しかし、2007年(度)に収入がゼロの場合は、税源移譲前の税率を適用した住民税13万円と移譲後の税率を適用した住民税22万7500円との差額である9万7500円が還付される。
この所得変動に伴う住民税の還付を受けるためには、申告することが必要なので注意したい。申告期間は今年7月1日から31日までの1ヵ月間だ。なお、2007年中に亡くなった人や、海外などに転出して今年1月1日現在国内に居住していない人、また、寄附金控除などの人的控除(配偶者控除や扶養控除、基礎控除など)以外の控除額が増加したり、住宅ローン控除などによって所得税が課税されなくなった人は対象とならない。