税 務 関 連 情 報

2002年06月17日-003
日商、9割以上の中小企業で増税と外形課税に絶対反対表明

 法人事業税への外形標準課税への導入に対し、「弱いところにしわ寄せがくる税制はやめてほしい」と、6月13日の記者会見で日本商工会議所の山口会頭が改めて絶対反対の姿勢を示した。日商では、仮に総務省案が通れば、黒字企業も含め9割以上の中小法人に3,000億円の増税になるとの試算をまとめている。

 総務省案は、企業の所得に対する税率を現行の9.6%から4.8%に半減して、資本金や人件費などの外形基準にも課税する。総務省は、外形標準課税導入で法人の所得に対する実効税率が3ポイント弱下がるとしている。政府税制調査会が6月14日に提示した税制改革の基本方針の中でも、外形課税の導入で法人所得課税の実効税率は下がると明記しているが、日商では、総務省案での実効税率は所得にかける税だけを計算し、人件費などにかかる分を除いているため、表面上の実効税率が下がるだけと反論している。

 また、法人企業はすでに所得の有無にかかわらず、行政サービスの対価として法人住民税均等割りや固定資産税、事業所税などの外形標準による税を負担していると指摘。その額は企業全体で6.4兆円だが、赤字企業はそのうち4.5兆円を負担しているとして、7割を占める赤字法人が税を全く払っていないかのような「税の空洞化」論を否定している。

 山口会頭は、「まずは国と地方の税財源配分の変更、景気回復による税収増と、徹底した行財政改革による歳出削減が先決」と述べ、税収不足から税目を増やすという安易な税制改革の方針を批判している。政府税調の基本方針にも早期導入が明記された外形標準課税だが、経済界の強硬な反対はもとより自民党税調内でも、厳しい経済情勢の中で多くの中小企業への負担増となることへの抵抗感が依然強いことから、今後の具体化へ向けての議論が注目されるところだ。

 

 

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