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贈与税軽減など経済危機対策関連法案を国会提出

税務関連情報 - 2009年05月01日

 政府は4月27日、経済危機対策関連法案として「租税特別措置法の一部を改正する法律案」を臨時閣議で決定し、国会に提出した。同法案には、(1)住宅取得のための時限的な贈与税の軽減、(2)中小企業の交際費の損金算入特例の拡充、(3)研究開発税制(試験研究費の総額に係る税額控除制度等)の時限的拡充、といった税制面から需要不足に対処する景気浮揚策が盛り込まれている。

 住宅取得のための時限的な贈与税の軽減としては、今年1月1日から来年12月31日までの2年間に限定して、実父母や実祖父母などの直系尊属から居住用家屋の取得等に充てるために金銭の贈与を受けた場合には、その期間を通じて500万円まで贈与税を非課税とする制度を創設する。この特例は、暦年課税(非課税枠:年110万円)または相続時精算課税(同:住宅の場合3500万円)の従来の非課税枠と併用できる。

 中小企業の交際費の損金算入特例の拡充については、資本金1億円以下の法人の交際費に係る定額控除限度額が、現行の400万円から「600万円」に引き上げられる。中小法人は現在、交際費額のうち、定額控除限度額に達するまでの90%部分が損金算入できるので、改正後は最大540万円まで損金算入が可能となる。この改正は、今年4月1日以後に終了する事業年度分の法人税から適用される。

 研究開発税制の拡充策としては、2009年度・2010年度において税額控除できる限度額が、当期の法人税額の20%から「30%」に引き上げられるとともに、税額控除限度額を超過した額の繰越期間が、1年から最長「3年」(2012年度まで)に延長される。この結果、2009年度・2010年度に発生した税額控除限度額を超過した額を、2011年度・2012年度に活用する場合、同両年度の税額控除限度額が「30%」となる。

 いうまでもなく、これらの税制措置の適用は法案の成立が前提となる。政府・与党としては、この税制関連法案の今国会での成立を目指し、本格審議を5月の連休明けから行いたい考えだが、野党の審議拒否等も考えられることから、今国会の会期である6月3日までの成立は難しい状況にある。会期の大幅延長の可能性も高いとみられており、今後の国会での審議が注目されるところだ。