国税庁がまとめた今年6月までの1年間(2003事務年度)における法人税の課税事績では黒字申告割合が30.8%で3年ぶりに上昇したが、そのうち資本金1億円以上の大企業(調査課所管法人)の集計でも前年度に比べ1.7ポイント増の50.0%となった。大企業中心の景気回復が申告面からも裏打ちされた結果となった。
今年6月末現在の調査課所管法人数は、前年度に比べ0.8%増の3万6621法人だった。2003事務年度中に申告期限が来たもののうち、申告があったのは3万7056件で1.1%減少したが、黒字申告割合は1.7ポイント増の50.0%と上昇した。申告所得金額は14.8%増の25兆9342億円にのぼり、黒字申告1件あたりでは11.7%増の13億9050万円となった。申告税額は7.7%増の6兆4408億円だった。
このように黒字申告法人の申告内容は大幅な改善となったが、赤字申告法人の申告欠損金額も14.6%減の16兆9289億円と大幅に減少した。赤字申告1件あたりでは10.3%減の9億191万円となる。前年度の申告欠損金額は統計をとりはじめた76年以降過去最大の19兆8190億円にのぼったことを考えると、企業業績の回復が急ピッチで進んでいることがうかがえる。
一方、同事務年度中の大企業に対する調査は4429件(前年度比9.2%減)に対して行われ、うち3657件(同9.0%減)から6091億円(27.4%減)の申告漏れ所得を見つけ、加算税157億円(同44.3%減)を含む1303億円(同42.3%減)を追徴した。調査したうちで故意に仮装・隠ぺいによって不正計算した件数は、全体の16.9%(同1.5ポイント減)の748件(同16.8%減)で不正脱漏所得金額は579億円(同10.5%減)だった。
このように調査においては、全体の件数や申告漏れ所得などがかなり減少しているが、唯一前年度を上回ったのは、不正1件あたりの不正脱漏所得金額で、7.6%増の7742万円にのぼった。つまり、不正の大口化は相変わらず続いているということになろうか。