ゼイタックス

07年度査察白書、目立った消費税・FX取引事案

税務関連情報 - 2008年06月27日

 先日国税庁が公表した2007年度査察白書では、218件から総額353億円にのぼる脱税が摘発され、大口・悪質な脱税者が後を絶たないことが明らかになったが、2007年度中の脱税事案で目立ったのは消費税や外国為替証拠金取引(FX取引)に係るものだった。検察庁に告発された消費税事案は前年度より7件多い30件、FX取引事案は同18件多い19件で、ともに過去最高の告発件数となった。

 消費税事案の脱税の手段・方法としては、架空の輸出免税売上とそれに見合う架空の課税仕入を計上したり、人材派遣業を中心に、本来課税仕入に該当しない人件費を課税仕入となる外注費に科目を仮装するなどの脱税が大幅に増加。例えば、人工ダイヤモンドをダイヤモンドと偽り、手持ちで輸出したとして架空輸出免税売上を計上、仕入税額控除額を過大に計上して3億円強を脱税し、不正に消費税の還付を受けていた事案があった。

 また、2007年度中に告発の多かった業種・取引(5件以上)では「商品・株式取引」が21件でトップだったが、うち19件がFX取引事案だった。例えば、自己・法人名義でFX取引を行い、多額の運用益を得ていたにもかかわらず、申告除外して約3億円を脱税し、その資金を他のFX取引に充てていた事例があった。ほとんどがこうした事案だが、所得・申告義務を認識していながら、一切申告しない単純無申告事案も1件あった。

 そのほか、相続税事案では、2007年度中は4件告発されており、最近3年間では計13件となる。事例では、被相続人の妻Aは、会社役員だった夫の死亡に伴う相続税の申告に際し、夫が自ら蓄え管理していた仮名預金等を、同人が病床に伏したことを機にすべて解約し、親族名義による関係会社への貸付金とするほか、多額の現金を居宅内に隠すなどして相続財産から除外して、総額50億円近い相続税を免れていたケースがあった。