2003年06月20日-001
12月・1月決算は一番調査機会が少ない?
国税関係者が教えてくれた話であるからまんざら冗談でもないのであろう。実は、法人の調査は12月と1月決算が一番調査する機会が少ないらしいのである。不公平じゃないか、といっても仕方がないのだ。それはどうも、国税当局の事業年度の関係や調査のサイクル、さらには先日(6月18日)お知らせした税務職員の勤務評価の対象期間が微妙にからんでくるようだ。
国税当局の事業年度は7月から翌年の6月である。1年決算の企業であれば1年に1回申告書を提出するが、これに対して国税当局は1事業年度内で必ずその申告内容を認めるかどうか判断しなければならないことになっている。一方、企業の申告は決算期終了後、原則2ヵ月以内である。提出された申告書は数ヵ月後に部内で内容を精査されるから、調査があればさらに数ヵ月後先となる。
このようなサイクルからいくと、新事業年度が始まる7月10日の国税職員の定期異動後に最初に申告書の処理をするのは2月決算法人からとなる。申告書の内容に疑問がなけあれば調査などで確認するが、ほとんどの企業は調査省略となって処理が終わる。するとどうしても後のほうの12月期と1月決算法人は、内部での申告内容の精査や調査する時間的な余裕がなくなるというわけだ。
一方で、税務職員の勤務評価に大きく影響するのは7月から12月(金の評価)という現実があるから、事業年度の後半にならざるを得ない12月や1月決算の処理に対する熱意は想像できるだろう。もちろん、申告内容がひどいものであれば、事業年度をまたいで処理を延長することもあり得る。特に、統括官が異動しない場合などは、事業年度内に無理して処理しないで延長処理することも少なくないという。
もっとも、こんなことを知っていても、わざわざ起業時に1月決算にするところも少ないようだ。1月決算法人は11月決算に次いで2番目に少ない(国税庁統計)。12月決算法人は3月決算、9月決算に次いで3番目に多いが、これとて新事業年度が1月から始まるという区切りのよさなどが要因だろう。では、決算期を変更して、なんて考えても、その結果については、もちろん責任は持てないのでご容赦を――。
【ホームへ戻る】
|