わが国の社会保障制度は、これまで個別的・断続的な改革が行われてきた結果、制度に対する国民の不信・懸念が広がっており、その払拭が最重要課題となっている。日本経済団体連合会は21日、社会保障、財政・税制の改革を一体的・整合的に進めるべきだとの提言をまとめ公表したが、そのなかで、社会保障・福祉制度および納税制度に共通の個人番号制度の導入を提案している。
これは、社会保障制度の適用面・負担面での不公正をなくすことを目的のひとつとするもので、例えば国保に加入、保険料を納付しているのに、国民年金には加入していないといった不公正をチェックするためのものと説明している。当面、基礎年金番号の拡充・活用が現実的としながらも、従基ネットにおける住民票コードとの連携(生存・死亡情報の突合)、将来的には納税者番号での活用も検討すべきだとの考えだ。
公的年金制度体系の長期的なあり方としては、税財源による定額給付の1階と保険料財源による所得比例給付の2階を組み合わせた2階建てを提案。1階は、食費・居住費など、高齢単身者の生活費のもっとも基本的部分に相当するよう設計し、2階部分は他の所得と合わせ高額となる場合は給付を制限する。財政方式は賦課方式とし、財政悪化が見通される場合は年金給付で調整を図る恒久的自動安定化措置を設けることを提案している。
また、負担の公平や年金制度の持続可能性を高めるために解決すべき課題として、1)被用者年金の一元化を図る、2)社会保障制度・納税制度などに共通の番号制度及び社会保障個人会計を導入する、3)自営業者等の所得補足・徴収を充実する、4)無・低所得者の扱いに関して、生活保護制度の水準の是正などにより、社会保障制度としての整合性を確保すること、などを例示している。
提言の詳細については↓
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2004/074/honbun.html