ゼイタックス

経営関連情報 (2008/01/18)

企業のケータイ活用が本格的な段階に

 携帯電話向けのWebサイトを開設する企業が増えている。富士通総研が実施した「ケータイASPベンダー調査」結果によると、ケータイASPベンダー11社の契約数合計は2007年9月末現在で1万7853件にのぼり、2004年6月の前回調査結果と比べ、この3年半で約7.5倍に成長した。ケータイASPサービスとは、携帯電話向けに、電子メール配信、会員登録、Webページ作成などの複数機能をASPで提供する有料サービス。

 ケータイASRサービス利用企業が増加した背景には、パケット定額制の普及によりパケット料金を気にしないケータイユーザーが増え、企業もケータイ活用に積極的に取り組み始めたことがある。契約数の多い業種は、前回調査同様、「流通・小売」や「飲食」が上位という傾向は変わらないが、前回少なかった「ファッション・アクセサリー」、「交通・レジャーサービス」の契約が増えており、活用業種にも広がりが出てきた。

 契約企業の主な利用目的は、「店舗への来店誘致」がもっとも多く、次いで「会員獲得・管理」が続いている。契約数の多かった流通や小売業などの業種で店舗と連携したマーケティングのツールとしてケータイASPサービスが利用されているようだ。「数百万規模の顧客リストを保有する企業の利用が増えている」と指摘するベンダーもあり、ケータイ活用は本格的な広がりをみせる段階に入っているとみられている。

 ケータイASP市場の契約数は順調に拡大を続けるが、ベンダーは厳しい環境に置かれている。前回調査対象企業23社のうち、同一会社で同じサービスを提供しているのは8社にとどまり、残りの15社では、サービス内容を変更したり、サービスを中止していた。携帯向けサービスは技術革新が早く、ASPサービスは常時開発して新機能を提供する必要があるので、PC向けのASPサービスとはビジネス構造と収益性が異なっているようだ。

 各ベンダーのサービス機能面だけで比較すると大きな差はないが、利用企業のASPベンダーの乗り換えも増えており、利用企業の目的に応じたサポートができるか否かでサービスが選択されている。ケータイASPベンダーにとっては、機能だけでなく、分析支援やコンサルティングも今後重要な提供サービスとなると予想されている。