ブラジル、メキシコの景況感、インド、中国を上回る
ジェトロ(日本貿易振興機構)はこのほど、中南米に進出している日本企業の経営実態に関する調査を2011年7~8月に実施し、その結果をまとめた。今回の調査では、7ヵ国(メキシコ、コロンビア、ベネズエラ、ペルー、チリ、アルゼンチン、ブラジル)に進出した日系企業の業績を含めた経営実態の把握に努めるとともに、東日本大震災の影響などについても,アンケート項目に採り上げた。
調査結果(有効回答数263社)によると、中南米地域の景況感を示すDI値(調査年の営業利益が前年比で「改善」した割合から「悪化」した割合を引いた数値)でみると、2011年は24.2と前年比16.6ポイント減となった。2010年の景況感が高かったことの反動とみられ、2012年は49.8と大幅な改善を見込んでいる。インド・中国で実施した同調査と比較しても、2011年はブラジル、メキシコについてはインド、中国を上回っている。
2011年の営業利益見込みに関して、「黒字」と回答した企業は68.0%、「均衡」が18.2%、「赤字」が13.8%。一方、2010年の営業利益に関してみると「黒字」が70.6%、「均衡」が7.5%、「赤字」が22.0%だった。2010年実績に比べ、「黒字」が微減、「赤字」が8.2ポイント減り、「均衡」が10.7ポイント増となった。「黒字」回答の上位国は、アルゼンチン(82.6%)、チリ(71.9%)、ペルー(71.4%)などだった。
国別の営業利益見込みの変化をみると、「改善」との回答率はブラジルが51.9%と最も高く、チリ(50.0%)、メキシコ(48.2%)、アルゼンチン(41.7%)、ベネズエラ(40.0%)と続く。コロンビア(31.6%)とペルー(14.3%)はやや割合が低い。ペルーは、「悪化」との回答は0%で、「横ばい」が増えた。急回復した2010年の反動のほか、過去1年間の競合状況の変化が「激化した」との回答率が7割弱となっていることなどが背景とみられる。
東日本大震災の影響について、「深刻な影響」を受けたのは12.2%、「軽微な影響」は50.0%で、合わせて62.2%が何らかの影響を受けている。国別にみると、(深刻な、あるいは軽微な)影響があった、と回答した企業は、チリ(78.8%)、メキシコ(73.5%)だった。影響を受けた内容は、「日本からの仕入・調達」を挙げる企業が最も多く(97社)、そのうち「減少した」と回答した企業は96.9%(94社)にのぼった。