経 営 関 連 情 報

2003年02月07日-003
「人は財産」という日本的経営が技能承継にプラス

 中小製造業における技能承継とは事業承継に他ならず、技能を高度化していくためには感性豊かな人材の育成が必要だ。中小企業金融公庫がまとめたレポート「中小企業における技能承継の現状と展望」によると、「人は財産」という日本的長期雇用慣行が、ノウハウの蓄積を必要とする技能承継にはプラスに働くと指摘している。

 レポートによると、「技能」とは属人的なものであり、一般的には熟練者でなくとも再現可能な「技術」とは区別される。しかし、現在のモノ作りにおいては、機能・材料・エレクトロニクスなどの相当な知識と応用が必要であり、「技能」と「技術」の領域が互いに重複してきている。現在のハイテク時代においては、最新の製造設備(=技術)を使いこなして生まれる創造性の高い「技能」が求められる。

 また、「技能」のデジタル化は、属人的な熟練技能を分析・数値化して、誰もが活用可能な形式知に置き換える試みだが、一方で、どうしてもデータベースに置き換えられない「技能」の領域もある。ただし、その時代に必要な「技能」は常に変化し高度化していくものだ。変化への対応には、ノウハウの社内共有とともに最新技術を使いこなし、刻々と「技能」をステップアップしていくことが重要となる。

 技能承継とは、新しい技能を生み出すことを目的としたものでなければならず、社内で知識を共有・蓄積し、設備の導入を伴ってこそ生かされる。そのためにも「人は財産」という日本的経営は技能承継にプラスに働く。ある程度、能力主義や成果主義を取り入れながら、日本的長期雇用慣行の長所を生かしつづけていくことが重要だというのが、レポートの結論である。

 

 

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