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過払金返還請求権の消滅時効は取引終了時が起算点

経営関連情報 - 2009年02月23日

 金融庁は19日、過払い金の返還をめぐる訴訟において「借り手側の返還請求権の消滅時効(10年)について、起算点は取引の終了時とする」との初判断を示した今年1月22日の最高裁判決の概要を公表した。この裁判は、利息制限法の上限(年15~20%)を超える金利を23年間支払わされた消費者が、信販会社に過払い金全額の返還を求めていたもので、一、二審では過払い金全額を支払うよう信販会社に命じていた。

 争点は、基本契約に基づき長期間、借入と返済を繰り返していた継続的な金銭消費貸借取引(いわゆるリボルビング契約)において、過払い金返還請求権の消滅時効の起算点は、取引で過払い金が発生するたびか、返済が完了して取引が終了した時点かだった。過払い金全額の返還を求めた消費者に対し、信販会社は、過払い金返還請求権の一部については、過払い金の発生時から10年が経過し、消滅時効が完成していると主張していた。

 最高裁判決は、基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引においては、新たな借入金債務の発生が見込まれる限り、過払い金をその債務に充当することとし、過払い金が発生してもその都度借り主が返還請求することは通常想定されていないと指摘。したがって、一般的に取引終了時点で過払い金があれば借り主は請求権を行使することから、取引終了時が時効の起算点となるとの判断を示した。

 結論は、「基本契約に基づく継続的な金銭消費貸借取引が一定の要件を満たす場合には、過払金返還請求権の消滅時効は、その取引が終了した時点から進行する(過払い金発生時から進行するものではない)」ということだ。一定の要件とは、基本契約に基づく借入金債務につき過払い金が発生した場合には、その過払い金をその後に発生する新たな借入金債務に充当する旨の合意が基本契約に含まれること、である。

 最高裁判決の全文は↓
 http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/20090122140649.pdf