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ものづくり基盤強化のための技能承継のポイント

経営関連情報 - 2008年04月02日

 中小公庫総合研究所はこのほど、ものづくり基盤強化のための技能承継のポイントをまとめた「ものづくり基盤の強化と技能承継」と題したレポートを発表した。同レポートは、中小企業の今日的課題ともいえる技能承継に積極的に取り組んでいる中小製造業者のケーススタディを通して、ものづくり基盤の強化を図る上で技能承継をどのように行っていけばよいのかについて、そのポイントをまとめたものだ。

 同総研が実施したアンケート調査によると、ベテラン従業員の退職等に伴う技能喪失について、「影響がある」または「いずれ問題となる」と回答した企業が59.7%にのぼった。これらの企業のなかで、技能承継に「取り組んでおり、うまくいっている」とする企業割合は29.4%と低く、多くの企業が技能承継に取り組んでいるもののうまくいっていない、または取り組んでいない状況となっている。

 技能承継がうまくいっていない、または取り組んでいない理由をみると、「ベテラン従業員の指導スキル・ノウハウの不足」、「若手従業員の能力の不足」、「若手従業員等の不足・採用難」などが上位を占めており、教える側のベテラン従業員と、教えられる側の若手従業員の双方に課題がある。そこで、レポートは、技能承継に積極的に取り組む機械金属関連の中小製造業者12社の具体的事例を分析して、技能承継の共通の取組みを示している。

 それは、(1)経営理念やビジョンを共有し、技能承継を企業戦略と一体のものとして位置づける、(2)技能承継を人材マネジメントとして位置づける、(3)技能承継の仕組みを、生産現場を起点とした全社的な経営システムとして構築する、というもの。さらに、これらの技能承継の取組みにおいては、人と人とのコミュニケーションが重要であり、そのためには、組織設計上の工夫や経営者のリーダーシップの発揮も重要だと指摘している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.jasme.go.jp/jpn/result/c2_0708.pdf