2003年07月09日-002
改めて注意したい修繕費の処理
このところ、修繕費の処理で税務当局から否認されている例が増えている。JR西日本が橋脚やトンネルの補修費用を否認されたのに続き、トヨタ車体は工場内の配管の変更や作業員休憩所の移動費用に関して否認され、こちらは意図的に所得を隠したとして重加算税の対象にもなった。明日10日の税務署の定期人事異動が終わると、新体制での税務調査が本格化する。改めて、修繕費の処理に注意したい。
事業に使用している固定資産の修繕費は必要経費または損金になるが、手を加えたことによって「資産の価額が増加したり、その耐用年数が延長した場合」は『資本的支出』に該当する。そのために支出した費用は、その資産の取得価額に加算して、減価償却によってその耐用年数に係る各事業年度で費用化することになる。修繕費と資本的支出の区分は、支出金額の多寡ではなく、実質によって判断する。
資本的支出の例としては、1)避難階段の取り付けなど物理的に付加した部分の費用、2)用途変更のための模様替えなど改装に直接要した費用、3)通常の維持管理を超える部品の交換で品質・性能の高いものへの取替え費用などがある。一方、修理・改良のために支出した金額のうち、その固定資産の通常の維持管理のための費用や、き損した固定資産の原状回復に要した費用は修繕費に該当する。
また、費用の額が20万円未満の場合やひとつの修理・改良が3年程度の周期で行われることが明らかな場合は修繕費とすることができる。さらに、支出した金額が資本的支出か修繕費か明らかでないときで、その金額が60万円未満の場合やその固定資産の前期末の取得価額のおおむね10%相当額以下である場合も修繕費として処理して構わない。
以上が修繕費と資本的支出の税務処理の概要だが、その区分に関しては微妙な部分も多いので専門家の判断を仰ぐことをお勧めしたい。そのためにも、固定資産の修繕・改良等がある(予定される)場合には、その内容を整理しておく必要があるだろう。
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