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税務関連情報 (2005/08/19)

酒販免許の「緊急調整地域」を1年延長

 国税庁はこのほど、規制緩和によるスーパー・コンビニ等の新たな酒類販売参入などの脅威から小売酒販店を保護する「緊急調整地域」指定の有効期間を2006年8月31日まで1年間延長することを明らかにした。これによって、昨年8月に「緊急調整地域」として指定された全国市区町村の4割弱にあたる1274地域では、酒類小売業免許の新規付与や他の地域からの酒販店の移転は来年8月まで禁止される。

 酒販免許の付与要件については、規制緩和のなかで2003年9月に人口基準による規制が撤廃され、原則的には自由化された。しかし、急激な経営環境の変化から零細業者が多い小売酒販店を守るため、議員立法による緊急措置法によって、一定要件を満たす「緊急調整地域」を指定し1年間に限り同地域内での酒類販売参入を規制していた。

 その指定要件は、1)新規に免許の付与が行われており、前年度のその地域における一酒類小売販売場あたりの平均小売販売数量が、その前3年間の平均値に比べ10%以上減少していること、2)前年度の小売販売数量が、上記割合で減少している酒類小売販売場の占める割合が2分の1を超えていることなど。つまり、酒の供給過剰地域で過当競争にさらされ売上が減少している小売酒販店が多い地域といえる。

 この「緊急調整地域」は、規制緩和という時代の流れに逆行することから“逆特区”と呼ばれているが、小売酒販業界は、規制緩和以前に、量販店を中心とした廉価販売による価格競争などで厳しい経営環境にある。今回の「緊急調整地域」指定の1年延長によって、新たな競争相手の脅威はないものの、もともとが供給過剰地域であることに変わりはない。小売酒販業界には売上向上に向けた新たな施策が望まれている。