鉄鋼原料や輸入小麦の国内売り渡し価格などの値上がりを受けて、鉄鋼メーカーや食品メーカー各社が次々と値上げを表明している。しかし、こうした価格転嫁の動きは一部の大手企業にとどまり、中小・零細業者を中心として、原料高の影響で収益環境は一段と悪化している。帝国データバンクが発表した「原料高関連の倒産動向調査」では、2007年度の原料高関連の倒産は前年度の2倍に急増する見通しとなった。
調査結果によると、2007年4月~2008年2月の原料高関連の倒産は254件発生し、すでに2006年度の142件を大幅に上回っている。2007年度は、前年度比2倍となる280件前後に急増するとみられている。原料・素材別にみると、「原油」関連が152件で全体の約6割を占め、以下、「食品」(23件)、「金属」(22件)、「木材」(16件)などが続く。「食品」や「木材」関連は2006年度と比べ約5倍と大幅な増加となった。
業種別にみると、「運輸業」と「製造業」が75件でトップ、続いて「卸売業」が36件となっている。全業種を通じて、「運輸業」の道路貨物運送業者が原油価格高騰の影響をもっとも強く受け、69件発生した。「製造業」では鉄鋼・金属・機械関連業者が、鉄やアルミなどの価格高騰により20件発生。「卸売業」は、メーカーと小売の狭間で、取引先との力関係から値上げに踏み切れず、収益確保に苦しむ企業が多い。
なお、2007年度の負債総額は、今年2月までですでに前年度比65%増の1902億300万円と大きく増加。負債規模別にみると、「1億円以上10億円未満」が138件(構成比54.8%)でトップ、次いで「1億円未満」が62件(同24.4%)となり、負債数千万~数億円台の小規模クラスの倒産が多い。厳しい価格競争が続くなか、コスト削減努力が限界に達し、原料高により経営が行き詰まる中小企業が増えている状況がうかがえる。