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税務関連情報 (2004/11/24)

弁護士である妻に支払った報酬は経費として認めず

 弁護士の妻に支払った報酬を経費として認めないのは違憲だとして訴えていた上告審判決において、最高裁は課税処分を適法だとした一・二審判決を支持、上告を棄却した。この裁判は、夫である弁護士が、別の事務所を開設している弁護士である妻に仕事を依頼した報酬として1997~99年に毎年595万円を支払い経費として申告したが、税務署は経費扱いを認めず、追徴課税したことから、その課税処分の取消しを求めたいたもの。

 所得税法56条では、事業者と生計を一にする妻や子などの親族が、その事業に関して報酬を受ける場合に、これを事業者の必要経費にそのまま算入することは、税負担の不均衡をもたらすおそれがあることから、認めていない。その代わりに、青色申告制度のなかで、妻などの親族が事業に専従し、かつ、一定の要件を満たしていれば、その給与を経費とする特例(57条)を設けている。

 そこで、弁護士側は、今回の裁判において、家族経営の事業に妻などが専従している場合には特例で給与を経費扱いする例外を認めているのに、妻が別の事業を営んでいる場合にその報酬を経費として認めないのは、憲法が保障した法の下の平等に反すると主張したわけだ。しかし、最高裁は、「親族が別に事業を営む場合であっても、報酬の経費算入は認められず、それを定めた規定(56条)を適用した処分も違憲ではない」と退けている。