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業況DI、大震災の影響で過去最大の悪化幅~日商

経営関連情報 - 2011年05月09日

 日本商工会議所がこのほど発表した早期景気観測調査結果によると、4月の全産業合計の業況DI(前年同月比、「好転」-「悪化」)は、東日本大震災の影響で、前月比▲11.8ポイントの▲57.7と、1989年4月調査開始以来、過去最大の悪化幅を記録した(過去は1997年4月時の▲10.5ポイント)。震災により、消費控えに加え、サプライチェーン(供給体制)の寸断、部品・資材等の調達難や価格上昇など、その影響が全国各地に及んでいる。

 消費控えによる地元経済への影響をみると、「地元経済に影響が出ている」との回答は65.3%と6割を超え、「東北」(81.9%)を始め「北海道」(75.0%)、「北陸信越」(76.5%)、「関東」(72.4%)では、7割以上が影響が出ていると回答。業種別では、「サービス業」(68.1%)、「小売業」(66.9%)で割合が高い。具体的には、農産物の出荷制限や観光客の落込み、外国人従業員の不足、日本製品の輸出規制などの影響を訴える声が多い。

 サプライチェーンの回復見通しについては、「すでに回復の目途が立っている」との回答が14.3%、「夏ごろには回復できそう」が27.9%ある一方で、「回復の見通しは全く立っていない」が31.5%、「回復は秋以降になる見通し」が26.3%と、中小企業は極めて厳しい見方をしている。また、素材・資材等の価格上昇への対応では、96.2%と大多数の企業が「販売価格への転嫁」ができておらず、対応策は「経費節減に努める」が61.9%に達した。

 4月の業況DIを業種別にみると、「製造業」は、サプライチェーンの寸断や東京電力管内の電力不足により生産活動が著しく制約されたことから、前月比▲14.5ポイントの▲50.2と大幅な悪化となった。また、「小売業」(▲12.1ポイントの▲58.1)・「サービス業」(▲14.9ポイントの▲66.4)は、宿泊・宴会のキャンセルや観光客の減少など、各地で風評被害等に伴う消費の冷え込みが顕著だったことから、マイナス幅が大きく拡大した。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jcci.or.jp/lobo/LOBO201104.pdf