2月の「貸出・資金吸収動向」(日銀)によると、金融機関(全国銀行)の貸出は、前年同月比1.4%増と13ヵ月連続プラス圏で推移している。こうした銀行貸出増加の背景を分析したのは、内閣府のレポートである。それによると、貸出先別にみた法人向け貸出(「貸出先別貸出金」日銀)においては、大中堅企業向け貸出がおおむね横ばいで推移する一方、中小企業向け貸出が堅調に推移していることを示した。
さらに「貸出金先別貸出金」によって法人向け貸出の内訳を資金使途別にみると、運転資金の増加が全体を押し上げていることが分かるとしている。また、設備投資資金の内訳をみると、期中返済額が減少しつつあるものの、依然として設備投資はキャッシュフロー(経常利益×0.5+減価償却費)の範囲内で実施されており、借入超過には至っていないことを指摘している。
他方、資金需要側の統計である「法人企業統計季報」(財務省)でみると、同様に、企業間信用差額(受取手形・売掛金-支払手形・買掛金)と在庫投資の合計である運転資金需要の増加がみられる。企業規模別にみると、中小企業では、企業間信用差額(企業間信用の与信額の大きさ)の増加がみられる。
企業間信用は、手形取引縮小といった決済方法の変更のみならず、売上(仕入)から代金回収(決済)までの期間(サイト)の短縮などによって、これまで縮小されてきた。しかし、資金調達の方法が限られる中小企業にとって、企業間信用の役割は依然として大きく、その差額は運転資金需要の拡大という形で、中小企業向け貸出増加の背景となっている、との考えをレポートは示している。