11年の円高倒産、多発した昨年を上回る発生ペース
帝国データバンクがこのほど発表した「円高関連倒産の動向調査」によると、2011年の円高関連倒産は、8月7日時点で28社に達した。関連倒産が多発した昨年(58件)の同時点の26社を2社上回るなど、高水準が続いている。同社では、7月の円高局面は数ヵ月後には倒産動向に影響を及ぼすことが予想され、過去の円高局面と震災で疲弊している中小企業を中心に、関連倒産が再び増加基調に転じるおそれは十分にあるとみている。
2011年の円高関連倒産28社を倒産原因別にみると、「デリバティブ損失」が13社(46.4%)と、依然として約半数を占めた。次いで「受注減少」(7社)、「その他為替差損」(5社)、「輸出不振」(2社)、「観光客減少」(1社)が続いた。また、業種別にみると、28社のうち57.1%と6割近くの16社が「卸売業」で占め、次いで「製造業」(7社)、「小売業」(4社)、「運輸・通信業」(1社)となっている。
2001年の主な円高関連倒産をみると、婦人服卸、ライセンス管理の(株)アイ・ピー・ジー・アイ(東京都、負債75億9700万円、民事再生法、7月)、建設機械製造の長野工業(株)(長野県、負債58億1900万円、民事再生法、5月)、印刷業の(株)アサヒグラフィックス(愛知県、負債48億3700万円、民事再生法、7月)、婦人服製造の(株)レーベインターナショナル(東京都、負債39億2000万円、破産、5月)などがある。
円高関連倒産は昨年12月の12件をピークに、足元では小康状態が続いている。しかし、「デリバティブ損失」による倒産を中心に、その後も毎月発生している。ここうしたなかでの今回の急激な円高は、東日本大震災から立ち直りつつあった多くの企業にとって、大きな足かせとなる。今後は、収束に向かいつつある「デリバティブ損失」に代わって、「受注減少」や「輸出不振」による倒産が増える見通しという。
同動向調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110804.pdf