民間企業に義務づけられていた紙での文書保存を、原則、電子データでの保存も認めるという「e-文書法」が19日の臨時国会で成立し、来年4月から施行されることになった。従来の電子帳簿保存法では、最初からパソコンなどで電子的に作成された帳簿書類はそのまま電子保存できたが、これまでは認められなかった契約書や領収書などの電子保存ができるようになる。ビジネスでの電子化の流れが一挙に加速しそうだ。
電子データでの保存対象は、医療でのカルテやレセプト(処方せん)などもあるが、企業が保存コストの大幅な削減を期待できるのは税務関係書類だ。もっとも、すべてがOKとなるわけではなく、決算関係書類・帳簿と取引金額3万円以上の契約書・領収書は対象外となる。それでも税務関係書類の50~90%近くを電子保存できると見込まれ、これまで7年間も紙で保存していたことを考えれば、そのメリットは容易にわかる。
軽減されるのは保存コストだけではない。発注書・見積書・領収書などの印刷コストや郵送コストなどを軽減することもできる。紙で保存する必要がない、電子データでの保存が認められるのであれば、Web上での電子データ交換(EDI)や電子伝票でいいわけだから、ビジネス(商習慣)の電子化が一挙に加速する。これは、大企業に限らず、中小企業にも求められる。なにしろコスト削減効果は大きいのだから…。
電子データでの保存要件は、税務署長への事前承認を前提に、紙と同程度の小さな文字、色を再現するスキャナーの一定水準の解像度・カラー画像、イメージ化した時刻を第三者が証明するデジタルタイムスタンプの付与、改ざんなどの内容を事後確認できるヴァージョン管理、改ざん可能期間を制限するため文書の作成・取得から一定期間内のイメージ化などがある。これらを念頭においた電子化の準備が早急に求められよう。