税 務 関 連 情 報

2003年05月14日-001
2002年度の徴税コストは1.62円

 徴税コストという言葉をご存知だろうか。一般的には100円の税金を徴収するためにかかる費用で表す。国税庁がまとめた「日本における税務行政(2002年)」によると、2002年度の徴税コストは1.62円である。ちなみに、前年の2001年度は1.54円、2000年度は1.42円、1999年度は1.50円であるから、2年連続で徴税コストが上昇している。

 過去を振り返ると、申告納税制度が導入されたばかりの1950年の2.79円が最も高く、それ以降はおおよそ1円台で推移し、バブル絶頂期の90年に0.90円と1円を割り込んでいる。徴税コストはその年度における税収に占める徴税費の割合であるから、近年の税収減によって徴税コストは上昇することになる。

 2002年度の徴税費は予算ベースで7316億円、税収は44兆2760億円である。この税収に占める徴税費の割合が約1.62%ということになる。徴税費とは税務執行にかかるすべての費用であって一般会計の歳出予算に計上される。2002年度の徴税費の内訳は、約8割の5754億円が人件費で、そのほか物件費が1276億円、旅費が160億円などとなっている。

 さて、この税金100円を徴収するためのコストは高いのだろうか、安いのだろうか。民間企業の経営コストから比べればべらぼうに安いのだろうが、考えていただきたいのは徴税システムでは民間の協力・寄与の度合いが大きいことである。源泉徴収義務者による源泉所得税の徴収代行をはじめ所得税・法人税の申告納付など、税収のほとんどの部分は納税者の協力によって入ってくる仕組みだといえる。

 その仕組みを維持するための税務行政の費用が例えば2002年度でいえば7316億円なのであって、民間の協力・寄与する部分をコストに含めれば、徴税コストは大幅にアップするに違いない。だから、国税当局の努力があまり必要としない徴税は除いて、脱税の把握や滞納された税金を納付させるためにかかるコストが100円あたりどれぐらいかかるのか、といったことを公表して欲しいと思うのだが、いかがなものか。

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