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経営関連情報 (2005/09/30)

首都圏マンション「2005年問題」はまだ顕在化せず

 首都圏マンション市場動向をみると、2004年の新規供給戸数は8万戸台で推移し、90年代前半に比べ高い水準がつづいている。このことから、一部では、供給過剰が起こり、在庫戸数が積みあがり、分譲価格の値崩れを起こすのではないかとの懸念が、首都圏マンションの「2005年問題」として指摘されている。しかし、内閣府がこのほど発表した分析レポートは、「2005年問題」は現在のところ顕在化していないとの見方を示した。

 レポートによると、これまでのところ、在庫戸数は低水準で減少をつづけ、分譲価格の値崩れもみられない。その背景として、デベロッパーが少戸数づつ多期間に分けて販売する「期分け販売」によって、新規供給戸数を調整し、在庫物件の販売に注力していることを挙げている。また、新規供給戸数をやや抑制するなか、初月販売率は高水準で維持され、売行きが好調であることも一因とみている。

 特に、20階建て以上の超高層物件のシェアが高まるなか、その初月販売率は90%程度と高水準であり、好調なマンション販売の下支えとなっている。超高層マンション居住者に対して、仮に住み替えるとした場合に希望する地域を尋ねたアンケート結果(国土交通省「2004年度首都圏整備に関する年次報告」)では、都心地域と回答する割合が65%程度を占めており、都心での居住志向の高さがうかがえると分析している。

 首都圏のマンション着工戸数をみると、2005年上半期は前年同期を上回り引き続き堅調だ(国土交通省「建築着工統計」)。このため、今後の新規供給戸数は当面、高水準の状態がつづくものとみる。今後もマンション販売が好調に推移するかどうかは、地価や金利などの動向にもよるが、依然として供給過剰問題の顕在化がマンション着工のリスク要因のひとつとして考えられるため、市場動向に留意が必要だと指摘している。