雇用環境が悪化するなか、企業に雇用維持を求める声が高まっている。大阪市信用金庫が府下一円の取引先企業を対象に3月中旬に実施した「中小企業における雇用維持に関する意識調査」結果(有効回答数1327社)によると、従業員の過不足感については、「ほぼ適正の範囲内」と回答した企業が70.6%と7割強を占めたが、「過剰」とする企業は23.3%と「不足」(6.1%)を17.2ポイント上回った。
自社の経営環境が今後一層厳しさを増した場合の雇用の基本方針は、「事業存続のため必要となれば削減する」とした企業が43.2%に対し、「あくまで雇用は維持する」は56.8%と過半数を占めた。雇用維持とする企業の理由は、「従業員の生活を守るのが企業の責任」が41.1%に対し、「人材確保のための合理的得策だから」は15.7%だった。中小企業は大企業と比べ経営者と従業員の距離が近く、人間関係が密接なことがうかがえる。
人員削減実施企業の割合は、「すでに削減を実施済み」とした企業は11.4%、「まだ削減していないが、今後予定している」が8.5%と、これら「削減済み」、「削減予定」の企業の合計は19.9%とほぼ2割となった。これは、上記で「必要となれば削減する」とした企業割合(43.2%)の半分以下だった。このように、基本方針としては「人員削減」を是としても、実際に削減に踏み切る企業はその半分程度にとどまりそうだ。
削減済み・予定とした2割の企業の削減対象の従業員は、「正社員のみ」とした企業が43.9%でもっとも多く、「パートなど非正社員のみ」は38.3%、「正社員と非正社員の両方」が17.8%となっている。このように、削減対象となる実際の人数は正社員と非正社員でどちらが多いか分からないが、正社員削減に着手する企業の合計は61.7%(全体では12.2%)となり、非正社員削減の合計56.1%(同11.1%)より多くなっている。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.osaka-shishin.co.jp/houjin/keiei/pdf/2009/2009-05-13.pdf