ゼイタックス

経営関連情報 (2005/11/25)

中小企業の9割強が原油価格上昇分の価格転嫁困難

 持続する緩やかな景気上昇への懸念材料は原油価格上昇である。特に大企業に比べ相対的に価格転嫁が難しい中小企業への影響が懸念される。中小企業庁が10月中旬から下旬にかけて実施した「原油価格上昇による中小企業への影響調査」結果(有効回答数1673社)によると、原油・石油製品価格のコスト上昇分について、自社の製品・サービスなどへの価格転嫁が困難な企業が9割を超えたことがわかった。

 価格転嫁の度合いをみると、「全く転嫁できていない」企業が72.4%、「コスト上昇分の20%以下しか転嫁できていない」企業が20.4%と、9割以上(92.8%)の企業で転嫁が困難な状況となっており、その割合は前回調査(9月下旬)の比べ3.1ポイント増加している。今後の転嫁見通しについても、「転嫁は困難」(68.8%)、「やや困難」(24.3%)を合わせ93.1%の企業が転嫁に困難性を感じている。

 自社の費用全体に占める原油・石油製品関連費用の割合は、全企業平均で、2ヵ月前の12.9%から現時点では14.7%に上昇。業種別にみると、「石油製品(潤滑油・グリース等)製造業」(約52%)、「プラスチック製品製造業」(約36%)、「ゴム製品製造業」(約36%)などの割合が高い。自社で使用する原油・石油製品の仕入価格が2ヵ月前と比べ「上昇している」と回答した企業割合は80.8%で、前回調査より3.9ポイント増えた。

 こうした状況下、収益が「大きく圧迫」されている企業は18.6%、「やや圧迫」されている企業51.7%にのぼり、収益面で影響を受けている企業は前回調査の62.4%から70.3%へと増加した。収益に影響が現れている具体面(複数回答)は、「原材料費・資材費」が69.9%でもっとも多く、以下、「資材調達・納入時等の輸送コスト」(39.9%)、「製造工程や自家発電等の燃料費」(37.8%)、「その他の管理費用」(13.4%)が続いた。