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「給付付き税額控除制度」提言~諮問会議の民間議員

税務関連情報 - 2009年05月22日

 政府の経済財政諮問会議の民間議員は19日の会合で、格差の固定化を防ぐために優先的に取り組むべき課題の一つとして、納税額が少なくて所得税の減税の効果が及ばない低所得者に給付金を支給する「給付付き税額控除制度」の導入を提言した。子育て・低所得就業者など、ターゲットを絞った負担軽減の仕組みの一環として検討し、必要な財源は、税制抜本改革に併せて確保することを求めた。

 給付付き税額控除の検討は、昨年12月に政府が閣議決定した「中期プログラム」や2009年度改正所得税法に盛り込まれ、さらには民主党が昨年末に独自にまとめた税制抜本改革アクションプログラムのなかでも提言されるなど、幅広く問題提起されている。民主党の提案では、各種控除が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を現金で給付するもので、税額控除を基本とするので相対的に低所得者に有利な制度となるとしている。

 今回の民間議員の提案では、就労などで所得が増えるにつれ給付金が減り、所得減税による支援に切り替えていく仕組みだ。一定の所得に達するまで同じ額の支援が受けられることから、就労によって給付が打ち切られる失業手当などに比べ就労促進などの効果が期待できる。諸外国ではすでに、給付付き税額控除を、勤労所得のある貧困世帯(米、英)、低所得者全般(加)など対象を限定するなどして、戦略的に活用している。

 一方、税と社会保障制度を一体的に設計し、給付付き税額控除を効果的に導入できるように「安心保障番号・カード」の導入も提言している。「安心保障番号・カード」は、医療・介護・年金などの負担・給付の状況を個人単位で管理する社会保障番号だ。2011年度までの「安心保障番号・カード」の導入、これを活用した「利用者負担総合キャップ制」導入の検討など利用者本位の取組みを進めることを求めている。

 「安心保障番号・カード」を活用すると、医療・介護など各制度を横断して利用者・世帯単位の利用者負担の上限を定め、超えた負担分を給付する仕組みの導入が可能となるとみている。現行でも、介護保険と医療保険との間で上限額の合算が一部できるようになったが、保険者には大きな事務作業が発生し普及が困難となっていると指摘している。