不良債権問題の象徴的存在といわれた多くのゼネコンにとって、過剰債務の削減は共通の経営課題である。各社の策定する経営改善計画の多くには、“有利子負債削減”の目標が盛り込まれており、その進捗状況が注目される。そこで、帝国データバンクは、全国主要建設会社のなかから88社を抽出し、連結ベースの有利子負債(長短借入金、社債、割引手形、コマーシャルペーパーの合計)の実態について調査した。
調査結果によると、88社合計の2004年度の有利子負債は、前年度から11.3%減の4兆5165億円と5兆円の大台を下回った。99年度に88社合計で10兆円を超える高水準だった有利子負債は、近年の債権放棄を中心とした金融支援が相次いだことで、5年間で半減以下にまで削減された。ただし、2004年度は前年度に比べると大型の金融支援が少なかったため、前年比の減少率は少なくなっている(前年度は25.0%減)。
有利子負債の内訳は、「長短借入金」合計が3兆7793億円(前年度比13.9%減)、「社債・転換社債」が5934億円(同13.3%増)、「CP(コマーシャルペーパー)」が840億円(同23.6%減)、「割引手形」が596億円(同9.0%減)となっており、社債だけが増加した。有利子負債削減は借入金の減少が中心となっており、一方で大手ゼネコンを中心に社債発行による新規の資金調達が増えている。
以上のように、有利子負債総額はピーク時に比べ半減以下にまで低下し、大きなヤマ場は越えたものとみられるが、一方で、中堅ゼネコン、地方の地場ゼネコンのなかには引き続き過剰債務が経営課題の企業が散見される。また、再建中の多くのゼネコンは、将来の金利上昇のリスクを計画に織り込んでおらず、他方、建設市場の縮小という厳しい業界環境が続くなか、有利子負債問題については今後も注視していく必要があるとしている。