会計検査院は20日、本来なら還付されない賃貸マンション等の建設費にかかった消費税を、敷地内に自動販売機などを設置するなどの方法で還付させる手法が横行しているとする意見を示して、財務省(国税庁)に適切な対応を求めた。会計検査院が調査したところ、自動販売機等を使った不適切とみられる消費税の還付が、全国46税務署において2008年度分で計約8億円にのぼったと指摘している。
賃貸住宅の家賃は非課税であるため、賃貸マンション等の建築費などに係る消費税額は、通常であれば仕入税額控除とならず、消費税は還付されない。そこで考案されたのが、仕入税額控除による還付を受けるため、清涼飲料水などの自動販売機を賃貸住宅の敷地内に設置し、少額の課税売上を作った上で、課税期間の課税売上割合が95%以上の場合は、課税仕入れに係る消費税額の全額が控除できる「95%ルール」を適用する手法だ。
95%ルールでは、課税仕入れに係る消費税額が課税売上に対応するものか非課税売上に対応するものかを区分しない。このため、例えば、課税期間を3ヵ月に短縮する特例を受けた上で、賃貸住宅を取得するとともに、非課税の家賃収入が発生する前に敷地内に自動販売機を設置するなどして少額の課税売上を作っておけば、仕入れにかかった消費税の全額が控除できるようになり、本来なら受けられない還付が実現する。
その後、家賃収入が発生すれば課税売上割合が著しく減少し、本来であれば消費税額の調整を行う必要が出てくるが、その前に免税事業者に戻ったり、簡易課税制度の適用を受けることで調整を免れているわけだ。これは、「合法的な消費税還付テクニック」として一部で横行している手法だが、会計検査院は「不適切に還付を受けている可能性がある」として、財務省(国税庁)に改善を求めている。