帝国データバンクがこのほど発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、8月の倒産件数は985件となり、前月比は7.7%増と3ヵ月ぶりの増加、前年同月比も27.3%の大幅増加となり、11ヵ月連続での前年同月比増加となった。全体的な倒産件数の推移は一進一退を繰り返しながら、確実にベースラインが上昇してきており、増加基調が持続している。
一方、負債総額は8351億2200万円に急増。前月比は172.7%、前年同月比は131.4%の大幅増加となり、集計対象を法的整理のみに変更した2005年4月以降では最高となった。これは、旧・住専の大口融資先で賃貸ビル経営の麻布建物(東京都、負債5648億円)が、今年最大の負債を抱え、会社更生手続き開始決定を受けたため。負債10億円以上の倒産は56件(前月56件、前年同月65件)にとどまっている。
倒産件数を負債額別にみると、負債5000万円未満の倒産は427件発生し、前月比では13.9%の増加、前年同月比も35.1%の大幅増加となった。負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は585件で、全体の59.4%を占め、前年同月比30.0%増と増加傾向にあり、全体の倒産件数を押し上げる要因となっている。資本金別にみると、個人経営が176件と引き続き高水準で推移、小規模倒産の増加が顕著となっている。
こうした状況下、政府は地域間格差の是正に努めているが、「脱談合」や資源高が進行し、個人消費の回復にも期待がかけられないなかでは、地方圏が厳しい環境から抜け出すのは容易ではない。また、金利の引上げや10月にスタートする信用保証協会と金融機関との「責任共有制」も小規模企業の資金繰りの悪化要因となることから、帝国データバンクは、倒産は地方圏の中小・零細企業を中心にしばらく増加基調をたどると予測している。