大阪市信用金庫が3月中旬に実施した「各業界内企業の業績格差に関する調査」結果(有効回答数1154社)によると、自社が属する業界内を見渡し、ここ5年程度の間に企業間の業績が「拡大した」とする経営者は、80.7%と圧倒的に多い。これに対し、「特に変わらない」が17.4%で、「縮小した」(1.9%)は皆無に近い。業種別にみると、「拡大した」とする経営者は運輸業が86.0%でもっとも多くなっている。
自社が属する業界において、ここ5年程度の間に突出した好業績を上げた企業が「みられた」とする経営者が70.1%いた。景気回復により、中小企業の業績は全体としてよくなってきたが、そのなかで突出した好業績企業も出現した。一方で、業績が大幅に悪化した企業が「比較的多かった」とする経営者も61.1%に及び、経営が行き詰まる企業も少なからずあった。このように企業間の業績格差が鮮明にみられた。
企業間の業績格差が拡大した要因(複数回答)は、「デフレ経済下で生じた熾烈な価格引下げ競争」が80.3%で圧倒的に多く、次いで「発注企業やエンド・ユーザーなど顧客ニーズの高度化」が44.2%で多い。長期化したデフレ経済の下で、各企業の提供する製(商)品・サービスなどが「価格」と「品質」の両面で厳しい競争を強いられたことが格差要因の原因だと多くの経営者が考えている。
そのほかの要因では、「ITやハイテクなどによる急激な技術革新」(23.7%)、「政府の規制緩和等の政策による競争激化」(20.0%)、「少子化・高齢化の進展によるニーズの変化や需要の縮小」(15.0%)などとなっている。「デフレ下の価格競争」を業種別にみると、「運輸業」(83.7%)や「建設業」(83.6%)の経営者に多く、「サービス業」(65.5%)の経営者では少ない。