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2011年公示地価は3年連続下落の▲3.0%~国交省

経営関連情報 - 2011年03月25日

 国土交通省が18日に発表した2011年1月1日時点の公示地価は、全国平均(全用途)で前年比▲3.0%と、3年連続で下落した。前年と比較できる全国約2万6千ヵ所の調査地点のうち、地価が上昇したのは193地点だが、前年の上昇地点数は1970年の同調査開始以来最少の7地点だった。下落率は前年の▲4.6%から縮小したが、11日に発生した東日本巨大地震が、今後の地価の動きに悪影響を与えそうだ。

 2010年の公示地価は、全国の住宅地が前年比▲2.7%(前年▲4.2%)、商業地が同▲3.8%(同▲6.1%)ととなり、住宅地、商業地ともにバブル前の1980年代前半の水準にとどまり、地価の下落が継続していることが浮き彫りとなった。ただ、2008年秋のリーマンショック以降では初めて東京圏(全用途▲1.9%)、大阪圏(▲2.7%)、名古屋圏(▲0.8%)、地方圏(▲3.9%)の下落率がそろって縮小し、下落基調からの転換の動きがみられた。

 この動きは、地方圏よりも大都市圏において顕著で、上記の上昇した193地点中、9割近い171地点は三大都市圏が占めた。また、商業地よりも住宅地において顕著だが、商業地においても地価の下落率が縮小し、住宅地の下落率と大差のない状況に近づいている。住宅地は、住宅ローン減税・低金利・贈与税非課税枠拡大などの政策効果や住宅の値頃感の醸成により、住宅地への需要が高まっている。

 商業地は、都市部を中心にオフィス賃貸市場の賃料調整、企業収益の回復、資金調達環境の好転、リート株の回復などを背景に、国内外からの投資もみられたことなどから、地価の下落幅が大幅に縮小した地域もみられるようになった。経済状況の不透明感も残り、オフィスエリア全般では依然空室率が高止まりの傾向だが、大型・築浅ビルへの集約移転などにより、優良物件が競争力を向上させ、需要が顕在化するケースもみられる。

 地方圏においては、選好性の高い住宅地等における需要の顕在化や、交通インフラや基盤整備の効果などにより、地価下落に歯止めがかかった地域も散見されるが、人口減少などの構造的な要因により、波及の程度は弱い。商業地も下落率の縮小傾向がみられるが、依然低調な賃貸市場、人口減少等に伴う需要減、地域のキーテナントの撤退、郊外の大型店による中心市街地の衰退などにより、下落幅の縮小度合いは小さい。

 2011年地価公示の詳細は↓
 http://tochi.mlit.go.jp/chika/kouji/2011/index.html