大手監査法人に対し金融庁が業務の一時停止命令を出すなど不祥事が相次いでいる監査法人だが、一部で信用低下が避けられないなか、企業側の対応が注目されている。帝国データバンクが実施した「第2回監査法人実態調査」では、共同監査を含めると、4大監査法人(トーマツ、新日本、中央青山、あずさ)の監査シェアは82.8%と8割を超え、寡占化が顕著となっていることが明らかになった。
調査結果によると、上場企業3820社(2006年3月末現在)のうち、単独の監査法人により監査されている会社は3683社、複数の監査法人または個人の会計事務所などによる共同監査が64社、法人化していない個人事務所による監査が71社、監査人不在が2社あった。4大監査法人のうち、トップは、単独監査856社・共同監査14社でシェア22.6%の「トーマツ」だった。
次に、「新日本」が単独監査806社・共同監査21社、シェア21.4%で続き、3位は単独監査808社・共同監査15社でシェア21.3%の「中央青山」、4位は単独監査661社・共同監査16社でシェア17.5%の「あずさ」だった。以下、5位は単独監査43社・共同監査4社の「東陽」、6位は単独監査44社・共同監査1社の「三優」、7位は単独監査39社の「太陽ASG」などとなっている。
2006年3月31日までの1年間で、監査法人の異動があった会社は122社。契約期間満了やM&Aなどに伴いグループ内の関連企業で監査法人を統一化する動きが中心だが、企業と監査法人の意見が合わないことが理由と思われる例も散見された。また、上場企業の監査を担当している監査法人全体では社員数が増加した。昨今相次いだ会計不信への対応や、本格化している四半期ベースでの決算開示などへの対応が理由とみられている。