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税務関連情報 (2006/06/05)

6月は消費税の新規課税事業者への調査が本格化

 突然だが、税務職員の定期異動の時期をご存知だろうか。国税職員の定期異動は7月10日と法律で決められている。すると6月は定期異動前のノルマをこなす大切な時期であり、必然的に調査も本格化する。所得税部門の職員にとって今年は、消費税の免税点の引下げにより多くの新規課税事業者が初申告しただけに、申告義務がありながら無申告だった者はいないかなどの実態把握が最重要となっている。

 先日、国税庁が公表した2005年分消費税の個人事業者の確定申告状況では、新規課税事業者117万4千者が申告書を提出した。この数は、国税庁が昨年12月時点で2003年分の申告に基づき見込んでいた新規課税事業者122万者の約96%だった。課税事業者かどうかを判定する2年前の2003年分の課税売上高が1千万円を超えていたにもかかわらず、無申告だった残りの約4万社については実態把握が必要になる。

 個人事業者のなかには、2005年分から免税点が1千万円に引き下げられたことは承知しながら、課税事業者かどうかを判断するのは2年前の「基準期間」であることを分かっていないケースが少なくないとみられている。つまり、基準期間の2003年分に課税売上高が1千万円以上ありながら、2005年分は1千万円以下だったため、新規課税事業者にはあたらないと勘違いして申告しなかったケースだ。

 国税庁では現在、無申告だった約4万者に対して文書や電話などで接触して実態把握に努めている。また、それに応じない事業者に対しては実地調査に着手しているところもあり、今後調査が本格化することは間違いない。仮に、実地調査で無申告とされた場合は、本来の納税額に加えて15%の無申告加算税が上乗せされ、さらに、消費税の納期限の3月31日を過ぎると4月1日以降から完納日までは年14.6%の延滞税も課される。

 調査前であれば無申告加算税は5%に軽減される。ムダな税金を払わないためにも、また、上記のように勘違いしているケースもあるので、2003年分の申告内容を再チェックし、申告が必要であったことに気づいた場合は、早めに顧問税理士や税務署に相談することをお勧めしたい。今年は公示制度が廃止となって、調査などに投入する事務量が例年よりも余裕がありそうだ。調査される前に、早めに再チェックしてほしい。