厚生労働省が実施した「中小企業における退職給付制度に関する調査」結果(有効回答数1063社)によると、現在採用している退職給付制度の支払準備形態は、「社内準備の退職金・企業年金」(42.2%)、「適格退職年金」(37.6%)、「中小企業退職金共済」(27.6%)、「厚生年金基金」(25.7%)などだった。多くの中小企業は、社内に独自の退職給付資産を積み立てると同時に、社外にも一定割合を分散して運用していることが分かる。
また、過去5年間に制度を変更したことがある企業は24.3%(258社)だったが、変更前に採用していた制度及び現在採用している制度をみると、「適格退職年金」が50.8%から8.9%と41.9ポイントも減少しているのが目立つ。一方、「中小企業退職金共済」が31.8ポイント増の41.1%、「社内準備の退職金・企業年金」が14.8ポイント増の41.5%、「企業型確定拠出年金」が17.8ポイント増の21.7%などとなっている。
退職給付制度の支払準備形態別に社外準備をしていることに関する問題点をみると、運用機関に対する不安が高いのは「適格退職年金」(60.0%)、「厚生年金基金」(54.9%)、能力・業績が反映しにくく年功運用になりがちなのは「適格退職年金」(31.3%)、「中小企業退職金共済」(26.6%)をそれぞれ採用している企業に多かった。また、制度の対する理解不足は「企業型確定拠出年金」(38.6%)を採用している企業に多い。
なお、今後、課税されずに自由に移行が可能になった場合に移行したい制度は、「適格退職年金」を採用している企業の場合は、「中小企業退職金共済」(35.8%)や「確定給付企業年金」(32.9%)、「企業型確定拠出年金」(32.4%)などへの移行希望が多かったが、それ以外の支払準備形態を採用している企業では、無回答が半数以上を占め、他の支給形態への移行希望は多くても10%台にとどまった。
同調査結果の詳細は↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/2006/05/dl/tp0531-1a.pdf