国民所得に対する税金の負担割合が「租税負担率」である。多額な公債残高を抱え財政再建を目指すなかで、税制改正の議論のたびにわが国の租税負担率は欧米諸国に比べ低いといわれ、個人・法人を問わず増税の理由とされるものだ。財務省の資料によると、2007年度のわが国の国税と地方税を合わせた租税負担率は25.1%となる。当然、税収が多ければ割合は高くなる。バブル期の90年度は27.4%だった。
過去を振り返ると、戦前の34~36年度は13%程度だったが、戦後は昭和20(1945)年代前半の混乱期を除いて20%前後で推移してきた。しかし、76年度以降、租税負担率は次第に上昇し始め、90年度の27.4%をピークに、その後はおおむね20%代前半で推移している。累次の法人税率の引下げや所得税減税、低成長による税収減などの影響といえる。定率減税が廃止されて、租税負担率も上昇傾向にある。
OECD諸国の租税負担率をみると、デンマークの69.4%(2004年)は論外としても、日本より低い国は、メキシコ(18.7%、2002年)とアメリカ(23.2%、2004年)の2ヵ国のみだ。ただし、国を支える費用負担という意味では、税金だけでなく社会保障費用も加味したところでの「国民負担率」の比較、さらには財政赤字も加味した「潜在的な国民負担率」での比較が必要だ。
わが国の2007年度の国民負担率は、租税負担率25.1%に社会保障負担率14.6%を合計すると39.7%と、4年連続で上昇して過去最高を更新した。それでもイギリス(47.5%、2004年)やドイツ(51.3%、同)よりはかなり低い。一方、潜在的な国民負担率は、わが国の場合、多額の財政赤字を抱えていることから、43.2%に跳ね上がるが、イギリス(51.7%)やドイツ(56.2%)よりは低い結果となっている。