ゼイタックス

経営関連情報 (2007/08/31)

原油価格の高騰が中小企業の収益面を圧迫

 中小企業金融公庫総研では「原油価格上昇による中小企業への影響調査」を継続的に実施しているが、これまでの調査結果をもとに分析したレポートによると、原油価格等の上昇が収益面を圧迫している企業割合は、調査開始以来、おおむね50%超の水準で推移している。2006年9月に61.7%の最高値を記録後は一服感が続いたものの、2007年には再び60%台に迫りつつあり、今年7月の直近値は57.1%となった。

 原油・石油製品価格に係るコスト上昇分について、製品等の販売価格に転嫁できている割合をみると、「0%(まったく転嫁できていない)」の企業割合は緩やかな低下基調にあるものの、依然として4割超と高いウエイトを占めている。販売価格に転嫁できている企業についても、その大半は「1~20%」の価格転嫁にとどまっており、価格転嫁が依然として進んでいない状況がうかがわれる。

 また、2007年7月時点における販売価格への転嫁割合を下請比率別(最近半年間の生産に占める下請受注仕事の割合)にみると、下請比率が高いほど価格転嫁ができていない傾向がみられる。一般的に、下請依存度が高い中小企業は価格交渉の面で劣位に立たされやすいことから、下請型の中小企業は、足元の原油・石油製品価格の上昇に伴い、より厳しい影響を受けているとみられている。

 今後の価格転嫁の可能性についても、90%を超える企業が「転嫁は(やや)困難」と回答。また、主要調査機関等の経済見通しにおける原油価格想定値をみても、当面は06年度並の水準で高止まりすると見込んでいる。こうした原油価格の高止まりが中小企業の収益をさらに圧迫する状況になることも懸念され、中小公庫総研では、原油価格の動向については引き続き注視していく必要があるとの考えを示している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.jasme.go.jp/jpn/result/report/c3_0790.pdf