2006年度税制改正において、従来損金不算入とされていた臨時的な役員賞与が「事前確定届出給与」として整理され、損金算入が認められることになった。これまで、役員の給与が、年額や半年額として支給時期・支給額を定めたものであっても、特定の月だけ増額して支給した場合は、通常月の支給額を超える部分は役員賞与として損金不算入とされていたわけだから、中小企業にとっては朗報である。
早速、税務署に事前届出をして7月に役員賞与を支給しようと考える企業もあるだろうが、注意したいのは、損金算入の要件は事前届出の前提に、「その役員の職務につき、所定の時期に確定額を支給する旨の定め」が必要なことである。その支給の定めの内容を事前に税務署長に届け出れば、特定月に増額支給される金額があっても、その増額分を含めて全額の損金算入が認められることになるのだ。
「事前届出」については、初年度の特例があって、職務の執行を開始する日とその事業年度開始の日から3月を経過する日とのいずれか早い日が、施行日から3月を経過する日以前となる場合におけるその届出期限は、今年の6月30日となる。しかし、6月30日までに届け出ても、上記の「その役員の職務につき、所定の時期に確定額を支給する旨の定め」が定められていなければ損金算入とはならないのだ。
例えば、3月決算法人が、1~6月の職務執行期間に対応する役員賞与を7月に支給しようとする場合、事前届出の期限は経過措置によって今年の6月30日となるが、1~6月の職務執行期間に対応する役員給与に関する「定め」は1月1日までに定められていることが必要なので、そうでなければ7月に支給する賞与は損金算入できないことになる。
こうしたケースでは、7月に支給しようとする役員賞与額相当分を7~3月の9ヵ月の給与に均等に上乗せして支給する方法が考えられよう。