経 営 関 連 情 報

2003年10月17日-003
公務員の実像に迫る

 「公務員の給料は民間企業に比べ高過ぎる」という声は以前からあるが、最近は一部週刊誌などに改めて採り上げられ批判の波にさらされている。リクールートワークス研究所が実施したワーキングパーソン調査の対象には900人を超える公務員が含まれていることから、労働時間や収入などその実像を明らかにしている。

 まず収入は、公務員の678万5千円という平均年収は、1000人以上規模の民間企業の平均636万7千円を上回る調査結果で、水準はかなり高い。金額はガラス張りだが、安定している上、かなり高い給与水準のようだ。一方、労働時間は、民間企業に比べ週3時間ほど短くなっている。実際は多忙で、労働時間の長い部署も一部あるが、完全に定時で仕事が終わる職場・部署も相当数あるため、平均すれば民間企業よりかなり短い結果になるようだ。

 民間企業では、競争の激化で仕事は減らず、採用抑制やリストラで人手は減る。労働時間はむしろ増えているのに、賃金は抑制気味というところが多い。やはり、公務員は民間企業と比べると別世界の感はぬぐえない。公務員自身の勤務先の現状評価では、「雇用が安定している」と評価する声が82.3%と8割を超す。まだまだ厳しい環境が続く民間企業からみれば羨ましい限りだ。特に、18~24歳の90%が安定しているとの回答が高くなっている。

 しかし、「公務員の数が多すぎるという声は、いま非常に高まっている。基本的には採用を控えることで数を減らせるのだが、それでも我々のような事務職は、今後はうかうかしていられないという不安はある。実際私から見ても、こんなに人数はいらないのではと思うこともあるから」と国会関連施設勤務のF氏。

 構造改革の行方によっては、公務員といえども不安はゼロではないかもしれない。このところ不景気の影響で公務員志望者は増えているようだが、若い世代ほど「仕事内容は問わない。クビにさえならなければ」という“寄らば大樹”志向の人が増えていないだろうか。そんな若手ばかりで、山積する行政課題に立ち向かっていけるのかとの心配が公務員の実像調査の結論である。

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