会社経営に関する規制緩和の集大成とも言われる会社法案が6月29日、参院本会議で可決・成立した。新会社法では、株式会社法制と有限会社法制を新しい「株式会社」法制に統合し、最低資本金規制を撤廃するなど、中小企業にメリットのある見直し点も多い。会社法の施行は、公布の日から1年6ヵ月を超えない範囲内において政令で定める日とされているが、一部を除いて2006年4月1日からの施行が予定されている。
新しい「株式会社」では、譲渡制限株式会社について、最低限の機関設計のみを定め、企業の成長段階に合わせた柔軟な機関設計の選択を認めている。具体的には、1)取締役会(取締役3人以上で構成)の設置規制をはずし、取締役1名でもよいこととする、2)取締役・監査役の任期(現行:取締役2年、監査役4年)は、定款で定めれば最大10年までとすることができる。
最低資本金制度は見直し、会社設立に必要な出資額の下限額(現行:株式1千万円、有限300万円)の制限を撤廃する。2008年3月までの時限立法で特例的に認められた資本金1円での起業が恒久的に可能となる。また、新たな会社類型として合同会社が創設される。米国のLLC(有限責任会社)の日本版で、有限責任の出資者が話し合いで役員の権限や利益配分などを自由に決められる。
そのほか、1)組織再編を促すため、吸収合併等の対価の支払いに自社株以外に現金や親会社の株式などを認める、2)略式組織再編行為制度を設け、合併等の組織再編を行う会社における株主総会の承認決議を要しない範囲を拡大する、3)剰余金の分配について、いつでも、株主総会の決議で決定できる、4)税理士などが取締役と共同で計算書類の作成に携わる会計参与制度の創設、などが盛り込まれている。
【参考資料】「中小企業の観点からの会社法制の現代化のあり方について」(2005年年6月29日:中小企業庁)↓
http://www.chusho.meti.go.jp/shingikai/download/050629kaishahou.pdf