国民生活センターによると、全国の消費生活センターに寄せられた2005年度における消費生活相談のうち、マルチ取引に関する相談は、前年度を7.4%上回る2万1544件と3年ぶりに増加した。マルチ取引は連鎖販売取引として規制され、商品やサービスを購入すること(特定負担)が要件のひとつとして定められており、最近の相談では、商品等を購入する際、消費者金融の利用を勧められたケースが目立つという。
マルチ取引に関する相談は、2001年度以降、毎年2万件前後が寄せられているが、2005年度までの相談をまとめると、契約当事者の平均年齢は36.8歳で、20歳代が全体の43.6%を占めており、2001年度以降、約41%~約46%の割合で推移している。職業は「給与生活者」が51.2%と半数を占め、「家事従事者」が21.4%と続く。「学生」は、2001年度は全体の5.3%だったが、2005年度には8.4%と増加している。
性別は、「男性」が約41%、「女性」が約59%と女性の割合が高い。また、もっとも相談が多い商品は「健康食品」で、以下、「文具・事務用品」(パソコン等)、「化粧品」と続く。平均契約金額は、過去5年間の平均で約66万円だった。支払方法は、クレジット契約が相談の半数を占め、それ以外では、「消費者金融で借金して特定負担を払った」というケースが見受けられ、これらの事例の大半が20歳代の若者で、「学生」が目立つ。
マルチ取引は、個人の人間関係などを利用して、組織を拡大し利益を増やす仕組みであるため、ともすれば無理な勧誘が行われやすい。国民生活センターでは、社会的経験・知識が不十分な若者や学生がマルチ取引を行うことは問題が多く、ましてや消費者金融を利用してまでマルチ取引の契約をすることは大変危険だと注意を呼びかけている。そんなに簡単に儲かる方法は世の中にあり得ないことを肝に銘じてほしいものだ。
具体的な相談事例などマルチ取引に関する相談の資料は↓
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20061108_2.pdf