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経営関連情報 (2004/12/27)

苦戦を強いられる中小零細の書店業者

 “活字離れ”が叫ばれるなか、ネット書店や大型店の進出などで街中の中小零細書店は苦戦を強いられている。その動向を探ったのは東京商工リサーチ。同社の倒産集計データベースによると、2003年までの14年間で、書店の倒産は447件となった。資本金別では全体の約70%(316件)が「1千万円未満」、年商別では「1億円未満」が約64%、従業員別では「10人未満」が約85%と、やはり小規模零細業容が多い。

 今までの書店は、値引きなどの価格競争から遠ざけられ、在庫負担リスクも少ないことによって、零細業者でも一定の棲み分けが可能となっていた。しかし、先の“活字離れ”だけでなく、コンビニやネット書店など書店以外の販売ルートが増加したことに加え、マンガ喫茶や新古書店の台頭が一般書店に足を運ぶ顧客を減少させている。また、図書館数の漸増や、転売目的に悪質化している万引きの増加なども経営に影響している。

 一方で、商品に違いがないのなら、ニーズはおのずと、品揃えや店の雰囲気、購入の簡便さなどに求められる。特に書籍・雑誌の点数が増加していくなかで、品揃えを充実させるためには売り場面積の広さが必要だ。体力のある上位大手は続々と店舗の大型化を進めている。しかし、書店の利益率は一般的に小売業平均よりも低いため、中小零細業者にとって大きな負担となる設備投資をする体力がない。

 その結果、顧客を大型店やコンビニ、ネット書店に奪われていることから、損益分岐点を下回る売上に至り、経営維持が難しくなっている書店が多い。大手書店の多くは増収を果たしているものの、設備投資から増益に至っていない。ましてや、設備投資がままならない中小零細業者は、経営が立ち行かず、廃業ないし倒産に至っているのが現状だと分析している。