身に覚えのない出会い系サイトの利用料などの支払を求める架空請求が巧妙化している。最近は、督促手続や少額訴訟手続を仮装したり悪用するケースがあるとの相談・情報が、法務省や国民生活センターなどに寄せられているという。単なる架空請求であれば、身に覚えがない以上、請求に応じる必要はないが、裁判所の手続を悪用する形で請求してきた場合には、注意を要する。
裁判所から書類が届いた場合には、身に覚えがなくても放置しないで、本当の裁判所からのものであるかを確認することが必要だ。本当の裁判所からの支払督促や少額訴訟の呼出状などであるにもかかわらず、放置して何も対応しなかった場合には、不利益を受けるおそれがある。ただし、悪質な業者が裁判所からの通知と装って、偽りの連絡先を記載している場合もあり得るので、その連絡先にすぐ連絡してはいけない。
まず、書類の発送元・連絡先が本当の裁判所かどうかを、電話帳や消費生活センターなどで確認しよう。裁判所の管轄地域・連絡先については、最高裁判所のホームページでも確認できる。そのうえで、本当の裁判所の連絡先に連絡して、自分に対して裁判所の手続が進められているのか、裁判所から通知が出されたのかを確認する必要がある。
例えば、本当の支払督促であった場合にそのまま放置しておくと、強制執行などの不利益を被るおそれがある。身に覚えがない請求であれば、支払督促を受け取った日から2週間以内に、裁判所に対して「督促異議の申立て」を行う必要がある。また、裁判所からの通知ではないと確認できたら、こちらから連絡する必要はまったくない。不安であれば、消費生活センターなどに相談することをお勧めする。
なお、督促手続は、簡単な手続で、債務者に金銭の支払を命じ、判決の代わりに強制執行を可能とする処分をする手続で、簡易裁判所の裁判所書記官が取り扱う。また、少額訴訟手続とは、60万円以下の金銭の支払を求める場合に限って利用できる、簡易裁判所における特別の訴訟手続で、原則として、1回の期日で審理を終え、即日判決を言い渡す民事訴訟のこと。