国税庁が8月31日に発表した2010年度定員・機構要求によると、2010年度の定員要求については、今年7月1日の閣議了解において「『行革推進法』を踏まえ、行政組織の減量・効率化の一層の推進を図るため、従来にも増して厳選した要求を行う」こととされているなか、「税制改正等への対応」や「コンプライアンスの維持・向上等」、「審理体制の充実」の観点から1089人の増員要求を行った。
ただし、7月1日に閣議決定された「2010年度以降の定員管理について」の下、2010年度の国税庁の合理化目標数は1058人となっていることから、要望が認められれば、同庁の2010年度の定員数は31人の純増となる。一方、機構要求についても、既存機構の合理的再編により対処し、行政組織の肥大化を来たさないよう強く求められるなか、「経済の国際化への対応」等を主眼として、真に必要な機構の要求を行ったとしている。
具体的には、(1)経済の国際化への対応として、大阪国税局に国際監理官や関東信越国税局に統括国税実査官など、(2)コンプライアンスの維持・向上として、東京国税局に課税第一部次長の増員や調査第四部次長及び査察情報分析管理官(仮称)の新設など、(3) 審理体制の充実を図るため、関東信越・名古屋の両局に特別整理総括第二課や東京及び大阪国税局に審理官のポストなどを要求している。
また、国税庁が同日に公表した2010年度予算概算要求・要望額によると、緊縮財政のなかで税務行政といえども必要経費を十分に確保することは難しいが、2010年度は、2009年度当初予算額に比べ3.2%(約228億円)増の約7433億円を求めた。国全体の歳出削減が厳しく求められるなかで、税務行政の一層の適正な執行を確保し、適正・公平な課税の実現や歳入確保の要請に応えるためのギリギリの要求ということになる。