経 営 関 連 情 報

2003年06月18日-003
5月の企業倒産は4ヵ月ぶりの1500件割れだが…

 帝国データバンクがこのほど公表した全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、5月の倒産件数は1482件で4ヵ月ぶりの1500件割れとなり、5ヵ月連続の前年同月比減少となった。昨年5月ごろから前年同月比減少の傾向が続いている。負債総額も8008億4800万円で、前月比11.3%減、前年同月比26.2%減の大幅減少、2ヵ月連続の1兆円割れとなった。

 デフレ不況が強まったことから、消費不振や設備投資意欲の減退が続き、減収や資金難などの倒産増加要因と、手形取引敬遠や取引枠縮小で自己保身を図る企業が増えているなど倒産抑制要因が並存しているため、倒産件数は深刻な実態経済と比べ落ち着いている。倒産増加要因を山積しつつも依然として抑制が続いている状況にある。

 大手の問題企業は度重なる金融支援でとりあえずの猶予期間を与えられ、中小零細企業も公的支援や捨て身の自己防衛で延命が続いている。しかし、公的資金の投入をはじめ大手企業の会社分割・統合策や中小企業救済策、さらには生保の予定利率引下げなどによって目先の危機を回避する手法は限界に近付きつつある。

 それにもかかわらず、政府・金融当局は、危機の負の連鎖を断ち切る抜本策を講じようとはしない。9月中間決算に向けて“りそなショック”の影響は着実に忍び寄り、繰延べ税金資産問題が今後一般事業法人にまで波及するのは間違いなく、波乱要因はますます膨らんでいる。これまでの危機封じや倒産先送りの構図は、いつ崩れ去っても不思議ではないとみられている。

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