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パチンコ産業に渦巻く淘汰の激流

経営関連情報 - 2009年08月24日

 矢野経済研究所が19日に発表した「パチンコ関連機器市場に関する調査」結果によると、2008年度の遊技機(パチンコ機・パチスロ機)分野の市場規模は1兆1428億円で、前年度に比べ15.8%減となった。ただし、今回はパチンコ機市場とパチスロ機市場で明暗が大きく分かれ、パチンコ機の市場規模は同5.2%増の9005億円となったが、パチスロ機市場は同51.6%も減少し、市場規模が2423億円にまで落ち込んだ。

 パチスロ機メーカーは、たった1年で2500億円以上もの市場が消滅するという、かつてない状況に見舞われた。パチスロ機は2004年の遊技機規則改正に伴い、ギャンブル性が大きく規制されるようになったが、その影響が2008年度に一気に現れた。一方のパチンコ機は、年々、各社から高品質で魅力の高い新機種が登場する代わりに、販売価格も上昇しているため、販売台数に変動がなくても金額ベースでの市場規模は増加する傾向にある。

 遊技場関連機器(周辺機器)分野の2008年度の市場規模は1552億円で、前年度に比べ6.3%減のマイナス成長だった。新規出店などの大型投資が主な販売契機となる分野であるため、遊技場の売上が伸びにくく新規出店も抑制される傾向があるなかで、もっとも投資抑制の影響を受けやすいとはいえ、2005年度あたりからの急激な規模縮小に歯止めが効かない状況にある。また、現状が底とは決して言えず、今後も縮小する可能性がある。

 だが、そうしたなかでも、パチンコ機を稼動させるのに必要な設備である「玉補給システム」は横ばいで推移し、「台間玉貸機」は前年度を上回り、この2分野が遊技場関連機器分野で唯一好調だった。これは、遊技機構成の変化が大きな原動力となっている。遊技場では、パチスロ機分野の不振を背景にパチンコ機の設置台数を増加させる傾向にあり、それに伴って、附帯設備となるパチンコ機関連の設備機器が導入された。

 ただし、遊技場関連機器(周辺機器)分野での“好材料”は、上記のパチンコ機特需ともいうべきもののみであり、その継続性には期待し難く、同研究所は、今後も遊技場関連機器分野の不調は続くものと予測している。