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金融危機下、6割が研究開発の凍結・見直しを実施

経営関連情報 - 2009年02月23日

 三菱総研が、研究開発や新規事業担当者を対象に1月に実施した「金融危機下の研究開発の方向性に関する調査」結果(有効回答数276人)によると、研究開発投資の予算は、「すでに一部凍結が発生」との回答が32.6%、「全面的に予算の見直しを実施」が27.9%となった。日本では聖域といわれていた研究開発投資だが、昨年来の金融危機の影響を受けた企業環境の厳しさから、60.5%の企業が研究開発投資の凍結や見直しを行っている。

 また、中核でない研究テーマ・機能の他社への売却や移管について、35.9%が「関心がある」と回答しており、今後、研究開発機能の売却・移管の傾向もみられる。売却・移管の推進理由については、「研究開発のコスト削減が必要」(31.7%)との視点がある一方で、「他社や他研究機関との連携によるオープンイノベーションが必要」(53.7%)との回答が過半となり、研究開発の高度化への前向きな回答が示されている。

 来期以降の研究開発投資予算では、「一部削減を進め、優先順位を明確化して投資」が70.7%ともっとも多く、次いで「投資全般を削減方向」が17.0%、「今後も積極的に投資していく」が12.3%の順となった。厳しい経営環境のもと、優先順位の明確化、選択と集中を一層進めた研究開発戦略の方向性がうかがえる。ただし、実際のポートフォリオ取組み状況をみると、優先順位の明確化に対して手が打てていないギャップがみられる。

 自社の研究開発について、ポートフォリオを活用した管理や優先順位付けを進めている企業・研究機関が増えているが、「ポートフォリオを策定済み」との回答は23.6%にとどまり、「ポートフォリオの策定予定はない」が59.4%、「ポートフォリオを策定予定」は17.0%となった。三菱総研は、今後、研究開発の選択と集中が適切に行われないと、これまで日本企業が強いとされてきた研究開発について、国際競争力の低下を懸念している。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.mri.co.jp/PRESS/2009/pr090219_sta02.pdf