日本経済の急減速を背景に企業業績は急激に悪化、企業の広告宣伝費は削減を余儀なくされ、これに伴い、広告関連業者の倒産も増加の一途を辿っている。帝国データバンクが発表した「広告業者の倒産動向調査」結果によると、2008年の広告業者の倒産は前年比24.1%増の206件となった。2001年(74件)と比較すると178.4%増と、この7年間で3倍近い倒産件数となり、広告業界の経営環境の厳しさを物語っている。
2008年の負債総額は223億300万円で前年比16.3%増となり、3年連続の前年比増加、2002年(241億3200万円)以降、6年ぶりに200億円を超えた。倒産した広告業者206社を負債額別にみると、「1億円未満」が153件で全体の74.3%を占め、小規模業者の倒産が圧倒的に多いことが特徴。以下、「1億円~5億円未満」が43件、「5億円~10億円未満」が8件と続き、「10億円以上」は2件にとどまっている。
206件を倒産態様別にみると、「破産」が198件で96.1%と大半を占めた。破産以外では、「民事再生」がすべて広告制作業者の5件、「特別清算」が3件。広告代理業者は大手広告代理店への寡占・集中が顕著で、特にテレビや新聞を始めとするマスコミ媒体の広告スペース確保にはそれなりの経営体力が必要なため、大手と小規模企業者の間での二極化が進み、「破産」を選択せざるを得ない小規模企業者の倒産が増えているとみられる。
また、206社の内訳を業種別にみると、もっとも多かったのは「広告代理業」で91件、構成比44.2%、以下、「広告制作業」が77件、同37.4%、「ディスプレイ業」が18件、同8.7%などとなっている。今後の見通しは、企業業績の悪化が深刻化し回復が見込めないなか、企業の広告宣伝費の削減はさらに進む一方、不動産業者など広告主となり得る業種の倒産増加も見込まれ、広告業者へのさらなる影響の拡大が懸念されている。