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支払者が源泉税を負担すると税額の再計算が必要

税務関連情報 - 2008年03月19日

 報酬・料金等の支払者は、支払いのときに定められた所得税を源泉徴収しなければならないが、うっかり忘れたりして徴収しなかったときは、税務署が源泉徴収義務者(支払者)から強制徴収することになっている。この場合、強制徴収された源泉所得税相当額を報酬等の支払先に請求するか、その後支払い先に支払うべき金額から控除できるわけだが、支払先から徴収せずに、支払者が負担することも多い。

 このように、強制徴収された源泉所得税相当額を支払者が負担した場合には、実質的に負担した源泉所得税相当額の給与の支給が行われたことになるので、これに対する税額を再計算する必要がある。源泉所得税を納付した支払者は、その強制徴収された税額を支払先から徴収しないこととしたときに、その納付税額相当額の給与等を支給したものとして、その税額を計算することとされている。

 この計算については、給与等その他の源泉徴収の対象となるものの支払額が税引手取額で定められている場合の計算と同じように、税引手取額を税込みの金額に逆算して、その逆算した金額を源泉徴収の対象となる支払額として源泉徴収税額を計算することになる。したがって、支払者は、報酬・料金等の追加支給をしたものとして、その支払額について計算される源泉所得税を追加納付しなければならない。

 なお、強制徴収を受けたことによる不納付加算税や重加算税については、これらのペナルティはもともと源泉徴収義務者の義務違反に対して課せられるものであることから、支払先に対して課すことはできない。また、この強制徴収された所得税は、配当や役員賞与といったものの追加支給ではない限り、法人税の所得の計算上は損金算入が認められることとされている。