国民総生産(GDP)は、各企業の生産金額から原材料費を差し引いた付加価値を国内にある全企業について合計したもの。内閣府がこのほど公表した「2003年度国民経済計算」によると、同年度の名目GDPの対前年度比は、+0.8%と3年ぶりにプラスに転じ、2年ぶりに500兆円台(501.3兆円)を回復した。また、実質GDPの対前年度比は、+1.9%と2年連続のプラスとなった。
2003年度の実質GDP成長率に対する寄与度を需要項目別にみると、国内需要のうち「民間需要(民需)」が+1.5%と3年ぶりの大幅なプラスとなった一方、「公的需要(公需)」は-0.4%と6年ぶりのマイナスとなった。民需の寄与の内訳は、「民間企業設備」が+1.2%と3年ぶりのプラス、「家計最終消費支出」が+0.2%と6年連続のプラス。公需については、「政府最終消費支出」は+0.2%と引き続きプラスとなったが、「公的固定資本形成」は-0.6%と5年連続のマイナスとなった。
2003年度の国民所得についてみると、「雇用者報酬」は前年度比-1.0%と3年連続で減少したものの、「企業所得」が同10.2%と大幅に増加したため、国民所得(367.8兆円)は同+1.8%と3年ぶりの増加となった。家計貯蓄率についてみると、「家計可処分所得」が同+0.3%と増加した一方、「家計貯蓄」が同+7.6%となったことから、家計貯蓄率は前年度から0.5ポイント上昇して7.7%となった。国民所得に占める雇用者報酬の比率である労働分配率は、前年度から2.0ポイント低下して71.6%となっている。
GDPの国際比較では、わが国の名目GDPの規模は2003暦年には4兆3026億ドルとなり、OECD加盟国のなかではアメリカ(11兆41億ドル)に次ぎ、引き続き第2位となっている。また、1人あたり名目GDPは同年には3万3727ドルとなり、OECD加盟国のなかで第9位となった(第1位はルクセンブルクで5万8440ドル)。これは、円レートが欧州通貨に対して円安傾向にあったことなどの影響とみられている。わが国は、2000年2位、2001年5位、2002年6位と下がりつづけている。