2005年6月に成立した会社法において導入された会計参与制度は、取締役・執行役と共同して計算書類を作成することを義務とするものだが、中小企業庁が今年2~3月に実施した「会計処理・財務情報開示に関する中小企業経営者の意識アンケート調査」結果(有効回答数4272社)によると、「すでに導入」している企業は3.5%に過ぎない。「今後導入する予定」が2.0%、「周囲の状況をみて考える」が18.7%だった。
会計参与を設置した(予定含む)理由(複数回答)としては、「金融機関等に対する全般的な信用力を高めたい」との回答が46.7%、「取引先企業の信用を得たい」が34.5%だが、「顧問公認会計士・税理士からの要望」との回答も31.7%あった。また、導入を考えていない理由(複数回答)としては、「現状に問題がない」が62.7%ともっとも多く、次いで「設置による効果が予想しにくい」が38.6%となっている。
一方、「税理士意識アンケート」結果(有効回答数176人)によると、会計参与への就任状況は、「すでに就任」が5.7%、「今後就任予定」が6.3%だが、「相談・依頼はないが、あれば就任」とする回答が30.1%あった。反面、「相談・依頼はあるが、就任しない」が6.8%、「相談・依頼はないが、あっても就任しない」が23.1%あった。会計参与に就任しない理由(複数回答)は、「リスクが大きすぎる」との回答が71.7%と圧倒的に多い。
会計参与制度定着のために必要と思う取組み(複数回答)については、「責任範囲の明確化」を挙げる回答が61.4%ともっとも多く、「リスクが大きすぎる」という就任しない理由を裏付ける。次いで「業務内容、職権の明確化」(48.9%)、「会計処理の際に拠るべき指針の明確化」(36.9%)、「金融機関による、会計参与設置会社向けの融資プログラムの整備」(29.5%)などの順に理由が挙げられた。