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民主党が提案する「給付付き税額控除」に注目!

税務関連情報 - 2009年02月13日

 政府・与党が決定した総額2兆円にのぼる定額給付金は、いつ実現するのかいまだ不透明であり、その経済対策効果に疑問を呈する声も多い。野党第一党の民主党は定額給付金反対の急先鋒だが、実は同党は、昨年末に独自にまとめた税制抜本改革アクションプログラムのなかで、似たような制度の導入を提言している。それは、所得再分配機能を高めていくための「給付付き税額控除」の導入だ。

 「給付付き税額控除」とは、各種の控除額が所得税額を上回る場合には、控除しきれない額を現金で給付するものだ。給付とほぼ同じ効果がある税額控除を基本とするので、相対的に低所得者に有利な制度となる。「給付付き税額控除」は多くの先進国ですでに導入されており、民主党は、わが国で導入する場合には、所得把握のための番号制度等を前提に、生活保護などの社会保障制度の見直しと合わせて、導入を検討するという。

 具体的には、基礎控除を「給付付き税額控除」に替えることで、現在の課税最低限以下ではあるが、生活保護レベルまでには至らない低所得者に対して生活支援を行う。これによって、現行年金制度で低年金・無年金かつ他に所得がないような高齢者を始め、全世代で低所得者に対する生活支援を行うことができるとの考えだ。ただし、現金での給付を行う前に、まず年金や医療等の社会保険料負担分と相殺することを検討する。

 また、消費税においても、逆進性緩和策として「給付付き消費税額控除」の導入を提案する。これは、家計調査などの客観的な統計に基づき、年間の基礎的な消費支出にかかる消費税相当額を一律に税額控除し、控除しきれない部分については、給付するものだ。これによって、消費税の公平性を維持し、かつ税率をできるだけ低く抑えながら、最低限の生活にかかる消費税については実質的に免除できると考えている。

 こうした税制抜本改革は政権をとることで実現の可能性が膨らむが、次の衆議院選で民主党が政権をとる可能性も高まっているだけに、「給付付き税額控除」導入の行方が注目されるところとなっている。