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経営関連情報 (2007/05/09)

個人保証・担保提供資産の引継ぎが課題~中小白書

 2007年版中小企業白書における中小企業の事業承継の分析によると、中小企業の事業承継が円滑に進まない原因の一つとして、個人保証・担保提供している個人資産の引継ぎの問題を指摘している。多くの中小企業においては、借入の際に代表者の個人保証を求められる。事業承継を行う場合は、後継者がこれらの借入に係る個人保証を引き継ぐように金融機関から求められるのが通常だ。

 しかし、後継者はこうした個人保証を不満に感じる場合が多い。特に、親族以外のものから承継を行った代表者が不満を感じている割合が高くなっている。親族以外の者が事業を承継する場合、先代の資産を譲り受けることができるケースはそれほど多くないため、株式などの裏づけとなる資産がないままで、継続して個人保証を提供することに対して、抵抗感が生じると考えられる。

 また、個人保証に加え、経営者自身が個人資産を担保提供するケースも多い。社長個人資産の担保提供の有無と社長交代率の関係をみると、担保提供を行っている企業では、社長交代率が低い。問題となるのは、従来提供されていた担保資産が、経営者の引退に伴い経営と関係のない者に譲受されるケース。後継者の個人資産など代替の担保物件を用意する、金融機関に担保を外してもらうなどの対応があるが、ハードルはかなり高い。

 こうしたことから、中小企業白書では、事業承継を円滑に進めるためにも、1)承継前に債務を圧縮する、2)後継者の個人保証等の負担を軽減できるように、金融機関と粘り強く交渉する、3)後継者に対して、個人保証などの負担に応じた報酬を用意するなど、少しでも後継者の負担を軽減するための準備が必要となるだろうとしている。