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税務関連情報 (2005/07/04)

裁判等で納税者の主張が認められたのは13.8%

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する異議申立てや国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、さらには訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所がこのほどまとめた不服の申立て及び訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2004年度)において納税者の主張が認められたのは全体の13.8%(1160件)だったことがわかった。

 税務署への異議申立ての発生件数は、申告所得税や消費税が大幅に減少したことから、前年度から23.3%減少の4272件だった。処理件数は、「取下げ」727件、「却下」292件、「棄却」2887件、「一部取消」529件、「全部取消」81件の合計4516件だった。納税者の主張が一部でも認められたのは610件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を1.1ポイント下回る13.5%だった。

 税務署の処分を不服とする国税不服審判所への審査請求の発生件数は、徴収関係以外の課税関係が軒並み減少したことから、前年度より10.4%少ない3087件だった。処理件数は、「取下げ」558件、「却下」245件、「棄却」2086件、「一部取消」363件、「全部取消」130件の合計3382件だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は14.6%で前年度より7.4ポイント減少している。

 訴訟となったのは、前年度を12.2%上回る552件と1969年度(617件)以来の高水準となった。このうち、ほぼ半数をストックオプション事案(66件)と航空機リース事案(72件)で占めた。終結した478件は、「取下げ」60件、「却下」12件、「棄却」349件、「国の一部敗訴」23件、「同全部敗訴」34件。納税者の救済割合は11.9%となり、ここ30年間でもっとも高い数字。もっとも、敗訴件数57件中22件がストックオプション訴訟で、これを1件とすると敗訴割合は7.9%となる。

 この結果、2004年度中に異議申立て・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計8376件のうち1160件で、その割合は13.8%となった。