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税務関連情報 (2005/04/13)

社会保障制度の確立には納税者番号制度が必要

 社会保障制度の抜本改革はわが国の行く末を左右する最重要課題であることはいうまでもない。年金、医療、介護と社会保障全体を通じた一体改革には、財政再建も視野に入れたものが必然的に求められるだけに税制の役割も大きくなる。また、国民の一人ひとりの負担増が避けられないだけに、公平・公正といった制度設計も重要になる。そのような意味で、納税者番号制度の早期導入を求めたのは経済同友会だ。

 同友会は6日、「本格的な少子高齢化時代にふさわしい社会保障制度の確立」と題した提言を公表した。そのなかで、持続可能な社会保障制度を確立するためのポイントのひとつとして、納税者番号制度の早期導入を求めたわけだが、実は同会は、すでに個人所得課税における公平性の確保に向けた一環として「住民票コード」を活用した納税者番号制度の確立を、2003年ごろから何度か提言している。

 だから何も目新しいものではないが、今回改めて提言したのは、納税者番号制度が税制面での公平性を確保する手段だけでなく、社会保障制度の抜本改革のなかで、所得に応じて公平・公正に保険料を負担し、社会を支えていく仕組みを整備するために必要不可欠な制度との考えといえる。広範な所得を正確に捕捉してこそ、稼得能力に応じた公平な保険料の負担や社会保障の給付の設定が可能になるとの認識だ。

 具体的には、情報セキュリティの確保を前提に、住民基本台帳ネットワークの「住民票コード」を使うことで、所得・資産・社会保障を一元的に捉えるための基幹的な仕組みとして整備する。すでに導入済みのシステムの活用で、コスト面からも時間的な面からも早期の実現が可能になる。プライバシー問題という“聖域”が議論をも拒む感がある納税者番号制度だが、もはや避けては通れない状況になりつつあるようだ。

 提言の全文は↓
 http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2004/pdf/050406_01.pdf