税 務 関 連 情 報

2003年10月31日-001
55%の企業が現行の法人税制に不満

 法人税制は企業行動を左右させる重要な要素のひとつ。景気にはやや回復の兆しがみられるが、その回復を確実にするためにも税制見直しによる経済活性化を期待する企業は多い。ニッセイ基礎研究所はこのほど法人税制に対する企業の意見の調査結果(回答企業数2308社:うち中小企業が62%)を公表したが、それによると55%の企業が現行の法人税制に不満を持っていることが分かった。

 現行の法人税制に対する評価をみると、「満足できない」企業が11.4%、「あまり満足できない」企業が43.9%で、あわせて55.3%の企業が不満を持っている。満足していない理由(複数回答)としては、「法人所得税率が高い」が62.2%と圧倒的に多く、以下、「複雑な納税制度」(40.6%)、「外形標準課税の導入決定」(24.0%)、「中小企業への配慮が不足」(21.8%)などが続く。

 法人所得税率の水準については、「直ちに引下げが必要」が23.0%、「将来的には引下げが必要」が49.9%で、7割を超える企業が現行の税率が高いと感じている。税率の引下げが必要な理由(複数回答)では、80.9%の企業が「経済活性化のため」と回答し、減税が企業活動の活発化につながると考えている。ほかでは、「国際競争力を高めるため」(32.4%)や「海外に比べ税率が高い」(27.1%)などが挙げられている。

 一方、今年度から実施された研究開発・設備投資減税によって、研究開発費や設備投資を増額するかどうかについては、「増額しない」との企業が52.7%にのぼり、「増額した(する)」(5.0%)や「増額を検討している」(14.6%)という企業は全体の約2割にとどまった。増額を実施・検討していない理由としては、「適当な案件がない」が64.4%を占め圧倒的に多く、「赤字である」との理由は6.9%に過ぎない。

 また、来年度から導入される外形標準課税については、「導入に反対」が28.7%で最も多く、「課税対象法人や額を縮小すべき」が12.5%で、縮小・廃止すべきとの意見は合計で41.2%となる。「特に問題なし」は19.6%、「課税対象法人や額を拡大すべき」は12.0%だった。なお、拡大すべき理由は、「課税対象法人の限定は好ましくない」が45.3%で最も多く、「赤字法人の課税負担が依然軽い」(34.5%)、「財政収入の安定化が望ましい」(18.7%)が続く。

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