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経営関連情報 (2007/02/09)

2007年度は44.0%の企業が賃金改善の見込み

 大企業を中心とする企業業績の回復傾向によって、ベースアップや賞与(一時金)の引上げなど賃金改善を求める声が強まっている。帝国データバンクが1月下旬に実施した「賃金動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数9529社)によると、2007年度の企業の賃金動向は、ベースアップなどの賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業は44.0%と、前年度から10.6ポイント増加した。

 地域別にみると、これまで景気回復をけん引してきた「南関東」(47.4%)や「近畿」(45.0%)などで賃金改善の割合が高かった一方、景気低迷が目立っている「東北」(38.3%)や「四国」(37.8%)、「北海道」(34.7%)では4割を下回った。業界別では、「製造」(46.8%)や「サービス」(46.3%)などが高水準だったのに対して、「運輸・倉庫」(36.1%)や「建設」(34.8%)などで低かった。

 2007年度の賃金改善の具体的な内容は、回答企業全体の36.5%(賃金改善を実施する見込みの企業のうち82.9%)が「ベースアップの実施」と回答、「賞与(一時金)」は25.2%(同57.3%)となった。ベースアップは2006年度調査から9.5ポイント増加し、3社に1社で実施される見込みとなっており、景気回復によって賃金改善の傾向は2006年度以上に高まっているとみられている。

 賃金改善実施のその理由(複数回答)は、「労働力の定着・確保」(50.7%)と「自社の業績拡大」(46.4%)が多く、次いで「同業他社の賃上げ動向」(15.4%)が続いた。景気が緩やかなながらも回復過程をたどるなか、2006年12月の有効求人倍率は1.08倍、完全失業率は4.1%と雇用環境は改善傾向にある。そのようななか、今後、企業が労働力の定着・確保を図るためには、賃金改善が必要との見方が広がっている。

 なお、2007年度のパート・アルバイトなど非正社員の賃金動向については、賃金改善が「ある(見込み)」と回答した企業は非正社員を雇用している企業の18.2%にとどまった。一方、「ない(見込み)」と回答した企業が40.1%と多数を占めており、正社員では4割を超える企業が改善の見込みを示したのに対して、非正社員は厳しい状況にあることが浮き彫りとなっている。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0701.pdf