ゼイタックス

経営関連情報 (2007/06/25)

夏の猛暑が個人消費に与える影響

 今夏は猛暑との予報を気象庁が発表した。夏の猛暑はマクロの個人消費にとってプラスとの評価が定着しつつあるが、改めてその規模・内容の変化に注目して効果を試算したのは日本総研だ。それによると、夏の気温と個人消費の関係の分析では、猛暑は個人消費にプラスの効果があるが、近年ではその度合いが強まる傾向があるとして、1980年から2006年までと2001年から2006年までのデータを提示している。

 1980年から2006年までのデータから試算すると、7~9月期の平均気温が1度上昇すると、マクロの個人消費を0.21%ポイント(年率0.82%ポイント)押し上げたが、2001~2006年のデータで試算すると、0.30%ポイント(年率1.21%ポイント)押し上げている。2001~2006年のデータはサンプル数が少なく、猛暑以外の要因による異常値を含む可能性は考慮する必要があるが、近年は、猛暑が消費に与える影響が強まっている。

 また、個人消費の内容をみると、一貫してプラス効果がみられるものは、「家庭用耐久財(エアコン等)」、「電気代(クーラー使用等)」、「被服・履物」、「飲料」、「酒類」、「果物」。逆に一貫してマイナスなのは、「ガス代」、「寝具類」、「穀類(米、パン、麺など)」がある。近年では、「教養娯楽用耐久財」のプラスが大きいが、これは、計測上、気温の効果だけでなく、薄型TVブームによる押し上げ効果が出ているためとみている。

 こうした気温の上昇が個人消費に与える影響(寄与度)では、従来はマイナス効果が認められたが、近年はプラス効果に転じてきた点で注目されるものに「健康保持用摂取品」がある。医療費抑制の反動ともみられるが、摂取のしやすさの向上や効能の多様化が促したサプリ・ブームが続くなか、猛暑が疲労回復ニーズを高めることになるためと、日本総研では推察している。