国税庁は、今年6月までの1年間(2005事務年度)に資本金1億円以上の大企業(調査課所管法人)に対する調査を4509件(前年度比2.2%増)実施し、うち3675件(同3.4%増)から8977億円(同14.2%増)の申告漏れを見つけ、加算税234億円を含む2011億円(同9.2%増)を追徴した。特に海外取引に係る申告漏れ所得金額が前年度から24.7%増の5086億円となったのが目立つ。
調査した4509件のうちで故意に仮装・隠ぺいなどによる不正計算があった件数は、全体の14.7%(同0.7ポイント減)の664件(同2.1%減)で、その不正脱漏所得金額は635億円(同16.5%増)だった。1件あたりの申告漏れ所得金額は11.7%増の1億9909万円となった。また、不正1件あたりの不正脱漏所得金額も18.9%増の9568万円にのぼり、不正の大口化は相変わらず続いているようだ。
大企業の海外取引に係る調査では、前年度比30.3%増の885件から同24.7%増の5086億円にのぼる申告漏れ所得を把握した。このうち、移転価格税制を適用して追徴課税した件数が同45.1%増の119件と初めて100件を突破し、その申告漏れ所得は同30.8%増の2836億円と過去最高となった。なお、海外子会社との取引価格をあらかじめ国税当局に確認する事前確認を申し出たのは76件で、32件が承認され204件が繰り越されている。
移転価格税制に係る調査事例では、製造業を営む調査法人の海外子会社の営業利益率が高率なことから、実地調査の対象となったものがある。その結果、調査法人は、その海外子会社に半製品の製造部門を移管するとともに、製造技術やノウハウなどの無形資産を提供していたにもかかわらず、その対価を受け取っていなかった事実が判明した。その対価約13億円に対し、3億円が追徴課税されている。