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経営関連情報 (2007/05/28)

民事上の個別労働紛争相談が過去最高の18万件超

 個別労働紛争処理制度は、個々の労働者と事業主の紛争を、裁判に持ち込まず紛争当事者間で自主的かつ迅速な解決を図る制度。厚生労働省が25日に発表した2006年度における同制度の施行状況によると、民事上の個別労働紛争に係る相談件数が18万件を超え、過去最高となった。同制度は2001年10月発足以降依然として増加を続けているが、この背景には、個人での紛争解決を迫られるパートや派遣労働者の増加などがある。

 全国約300ヵ所に設けられた総合労働相談コーナーに寄せられた労働相談は、2006年度1年間で前年度比4.2%増の94万6012件だった。このうち、労働関係法上の違反を伴わない解雇、労働条件の引下げなどのいわゆる民事上の個別労働紛争に関するものは同6.2%増の18万7387件と過去最高となった。内容は、「解雇」が23.8%でもっとも多く、「労働条件の引下げ」が12.8%、「いじめ・嫌がらせ」が10.3%と続く。

 また、自主的な紛争解決が難しい場合は、弁護士などの有識者で構成された紛争調整委員会にあっせんを申請できるが、2006年度のあっせん申請受理件数は前年度比0.5%増の6924件だった。一方、処理状況をみると、手続きを終了した6793件のうち、「合意が成立」したものが39.5%、申請者の都合による「申請取下げ」が7.5%、紛争当事者の一方が手続きに参加しないなどの理由による「あっせんの打ち切り」が52.5%だった。

 処理期間は、「1ヵ月以内」が63.7%、「1ヵ月超2ヵ月以内」が30.5%とおおむね迅速に処理されている。申請者は、労働者が98.3%(6809件)と大半を占めるが、事業主からの申請も1.6%(110件)、労使双方からの申請も5件あった。労働者のうち58.5%は正社員だが、パート・アルバイトや派遣労働者も35.8%を占める。事業所の規模は、「10~49人」が31.2%、「10人未満」が22.4%、「300人以上」が10.8%の順。

 あっせん例では、普通解雇に係るものがある。申請者は、管理職として中途採用され勤務していたが、突然、会社から「業務能力が著しく劣り、期待どおりの仕事がなされない」として解雇を通告された。このため、解雇理由に納得できないとして、解雇による経済的損害及び精神的苦痛として保証金の支払を求め、あっせん申請を行った。その結果、早期解決を双方が望んだため、解決金を支払うことで双方の合意が成立している。

 2006年度個別労働紛争解決制度施行状況の詳細は↓
 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2007/05/h0525-1.html