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2003年01月29日-003
エンゲルス係数の上昇は家計の厳しい姿を反映
第一生命経済研究所のマクロ分析レポートによると、このところのエンゲルス係数の上昇は、夫の収入減を妻の労働増で補わざるを得ない家計の厳しい状況を反映していると指摘している。エンゲルス係数は一世帯当たりの消費支出全体に占める食料の割合である。一般的にエンゲル係数が低いほど生活レベルが高いといわれている。
エンゲル係数が上昇する一方で食料費支出は相対的に堅調だ。それは、穀類や魚介類、肉類といった主食、副菜類の支出を抑制する動きが見受けられるものの、調理食品などの中食や外食支出が堅調に推移してるためだ。家計収入が増加する中で、その増えた分を使ってサービス消費的に中食や外食を楽しんでいるのであれば、エンゲル係数の上昇を一概に生活水準の低下とは言えない。
しかし、このところの家計収入は、世帯主の収入減を主因にむしろ減少幅が拡大している。こうした中、配偶者の収入に限っては大きく増加しており、このところ堅調な家計の中食や外食支出と正の相関関係がみられる。また、企業が人件費削減のため、正社員を減らし、パート・アルバイトの採用を積極的に進めていることから、女性の雇用者は増加傾向にある。
このようなことから、このところのエンゲル係数の上昇は、夫の厳しい収入環境を支援すべく妻が働きに出ざるを得ないために、配偶者の家事の時間が制約されて、食事を中食や外食に頼らざるを得ないという家計の厳しい姿を反映したものと推測している。今後も、企業のリストラや不良債権処理の加速に伴う賃金カットや失業増、社会保障や間接税負担の増加等に伴う家計の可処分所得の低下等から、さらなる生活水準の低下を示す形でエンゲル係数は上昇を続ける、と同研究所ではみている。
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