米国でのビジネス方法に関する特許を巡る判決や訴訟を契機として、日本においても2000年ごろにビジネス関連発明の出願ブームともいえる状況が生じた。特許庁がこのほど発表したビジネス発明の最近の動向によると、ビジネス関連発明の出願件数は、1999年が4100件程度だったものが、2000年には対前年比4.8倍の約1万9600件となった。その後、出願件数は減少傾向に転じ、2008年(暫定値)には約5000件まで減少している。
また、ビジネス分野の審査請求件数は、1999年が1700件程度だったが、2000年は約4500件まで増加。この増加傾向は2007年まで続いているが、これは全技術分野と同様の傾向であり、2001年10月以降に審査請求期間が7年から3年に短縮した影響を反映したものとみられる。この影響が少なくなった2008年は暫定値ながら審査請求件数が減少しており、影響がなくなる2009年以降は2008年よりさらに減少するものとみられる。
ビジネス関連発明自体を主要な特徴とする出願の特許査定率は、2003年~2006年では8%程度(全分野の平均値は約50%)だったが、2007年に15%、2008年には19%となり、近年は上昇傾向となっている。また、拒絶査定不服審判請求率は、全分野の審査結果と比べて拒絶査定となる割合が高いにもかかわらず、2002年以降減少傾向であり、2008年には15%まで減少した(全分野の平均値は約20%)。
これは、この分野の審査が進むにつれ、コンピュータ・ソフトウェア関連発明に関する審査基準、特にビジネスモデル分野における審査基準が出願人に浸透し、出願人側で出願や審査請求、審判請求の厳選、適切な補正等の対応が進んできたことが要因とみている。なお、2000年以降に出願されたビジネス関連発明のうち、「ビジネス関連発明自体を主要な特徴とする出願」の技術分野の出願件数をみると、いずれの分野も減少傾向である。
「ビジネス関連発明の動向」の詳細は↓
http://www.jpo.go.jp/cgi/link.cgi?url=/rireki/what.htm