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経営関連情報 (2006/07/07)

「貿易立国」から「投資立国」に変化しつつある日本

 わが国では2005年、所得収支が貿易収支を上回り、足元でもその傾向は続いており、「貿易立国」から「投資立国」に変化しつつあるのではないかという指摘がある。そこで、わが国と諸外国との国際収支の状況や対外資産の構成を比較し、今後、わが国が「投資立国」を目指していくためには、いかに対外資産を有効に活用していくかということが重要になると分析するのは内閣府のレポートである。

 まず、諸外国の国際収支の状況をみると、アメリカや英国はサービス収支や所得収支が黒字であるものの、貿易収支が大きな赤字であり、経常収支は赤字となっている。スイスは貿易収支、サービス収支も黒字だが、所得収支がそれを上回る黒字となっており、海外からの所得が経常収支において大きな役割を占めている。ドイツはもっともわが国と似ており、サービス収支は赤字だが、貿易収支が黒字で、足元では所得収支も黒字である。

 次に各国の対外純資産をみると、わが国の対外純資産は順調に増加傾向を続けており、対外純資産残高(対名目GDP比)は、130%のスイスは別格としても、40%近い日本はドイツ、アメリカ、米国を上回っている。一方で、海外の資産からどれだけのリターンがあったかという投資収益率をみると、わが国は比較対象国のなかでもっとも収益効率が悪くなっている。

 その原因の一つとしてレポートが考えるのは、わが国の対外資産の構成である。わが国の海外資産は他国と比較すると、「証券投資」(構成比48.2%)、特に「債権」(同39.5%)が他国より高く、また、他国が4%未満の構成比である「外貨準備」は20.2%と極めて高い一方、他国が16%から30%超の「直接投資」の割合が8.9%と圧倒的に低い。また、わが国の地域別対外資産構成は北米やECの証券投資が中心となっている。

 こうしたことから、レポートは、わが国が「投資立国」を目指していくためには、いかに対外資産を有効に活用していくのか、ということも重要になると指摘し、効率的な海外資産の活用が求められているとの結論を示している。