話題の定額給付金は、政府が昨年10月末に決定した「生活対策」において実施することとされ、その給付額は、1人につき1万2千円、2009年2月1日の基準日において65歳以上の者や18歳以下の者は8千円が上乗せされ2万円となる。この基準日時点で、(1)住民基本台帳に記録等されていれば1万2千円が、(2)上乗せに該当する年齢ならば2万円が給付される。受給権者は世帯主となっている。
ところで、定額給付金の税務上の取扱いは、2009年度税制改正関連法案のなかで「『生活対策』において実施することとされた定額給付金については、所得税、個人住民税を課さないこととする」とされている。地域の経済対策に資することを目的とする給付金の趣旨からすれば当然のようだが、同様に緊急経済対策の一環として1999年に実施された「地域振興券」では、一時所得扱いだった。
当時の自治省の説明では、地域振興券の交付対象者は、若い層の親や所得の低い高齢者層など可処分所得の比較的低い層であるため、50万円の特別控除額により課税されることはほとんどないというのが、一時所得扱いとした理由だった。この考えでいけば定額給付金の場合は、所得階層に関係なく全国民に給付するため、一時所得扱いにすると課税されるケースが出てくることから、非課税扱いにしたということになる。
一方、総務省には、給付の実務を担う市区町村から、対象者の収入限度額の問題など事前に多くの照会が寄せられているが、そのひとつに「地方税の滞納者に支給される給付金を、銀行口座に振り込まれたところを差し押さえていいか」というものがある。これに対して同省は、「給付金事業は景気後退下で生活者の不安に対処するために実施するものであり、その趣旨にそぐわない」と回答。定額給付金の差押さえは不可となった。