ゼイタックス

税務関連情報 (2007/06/06)

諮問会議からみる今後の税制改正の方向性

 2008年度税制改正の方向性として、「経済活性化」、「経済構造が変化するなかでの安定的な財源の確保」、「地方分権の推進」の3点が特に重要なポイントとなると指摘するのは、ニッセイ基礎研究所(篠原哲氏)が発表したレポートだ。経済活性化は「法人税率の引下げ」が、安定的な財源の確保は「消費税の引上げ」が、地方分権の推進は「地域間の格差是正」がそれぞれ議論の焦点となる。

 レポートは、4月に開かれた経済財政諮問会議において提示された税制改正に向けた論点に基づくものだが、法人税率の引下げは、経済成長を重視する安倍政権の方針や、諸外国に比べ重い税負担がわが国企業の国際競争力の低下、内外資本の流出を招くなど日本経済の活力が損なわれるという産業界の強い懸念から浮上したものだ。ただし、財政再建に向けた動きに逆行するという批判も強く、財政再建との兼ね合いが論点となる。

 安定的な財源の確保においては、いよいよ消費税率の引上げの本格的な議論が始まる。引上げの時期や規模については、経済状況や歳出削減の進捗状況なども含め判断していくことになると考えられるが、それとは別にレポートは、従来は別個に議論されてきた少子高齢化時代における税・社会制度を一体的に捉えて、そのなかで、消費税の位置づけを明確にすることが必要だとの考えを示している。

 地方分権の推進で焦点となる地域間の税収格差是正については、地方法人二税(法人事業税、法人住民税)と地方消費税を中心に、国から地方への税源移譲や、交付税制度、消費税の引上げ問題なども一体となって議論されることになる。納税者の意思で住民税の一部を出身地等に移す「ふるさと納税」や、納税者が「ふるさと」へ寄附した場合に住民税から控除できる寄附金控除の拡大案なども浮上しており、今後の議論が注目される。

 同レポートの全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/report/econo_report/2007/ke0702.pdf