2008年度税制改正で焦点となっていた株式譲渡益と配当に対する軽減税率(10%、本則20%)については、限度額を設けて2年間延長するとともに、2009年1月から、上場株式等の譲渡損失と上場株式等の配当との間の損益通算も認める。また、検討事項として、金融商品間の課税方式の均衡化や譲渡所得・配当所得間の損益通算の範囲拡大を踏まえ、今後、預貯金利子なども損益通算できる金融所得課税の一体化が明記された。
上場株式等の軽減税率は2008年末に廃止した上で、新たに市場特例措置・少額配当の軽減措置が設けられる。2009年1月からは、上場株式の譲渡益は年間500万円以下の部分に限って市場特例措置として10%、また、上場株式等の配当は年間100万円以下の部分に限って少額配当の軽減措置として10%の税率を、ともに2010年末まで2年間適用する。“金持ち優遇”との批判から、限度額を設けて軽減措置を延長することになったようだ。
ただし、税率が2段階となったことから、投資家のなかには申告が必要なケースも出てくるので、税務負担が増す可能性もある。また、譲渡所得・配当所得間の損益通算においても、当面は申告が必要になる。証券会社の特定口座内で譲渡益と配当を一体で源泉徴収するのは、システム開発などの準備が整った段階で、早ければ2010年1月からとなる予定だ。なお、損益通算では限度額は設けない。