外国人留学生は専門的な知識や技術を有する労働者として、わが国の経済活性化の観点から、国内での就職促進が必要とされているが、現状をみると、留学生の国内就職はなかなか進んでいないのが実情のようだ。労働政策研究・研修機構が実施した「外国人留学生の採用に関する調査」(中間とりまとめ)では、過去3年間で外国人留学生を採用した企業はほぼ1割にとどまったことが分かった。
調査結果(有効回答数3244社)によると、過去3年間で外国人留学生を正社員または契約社員として「採用した」とする企業は9.6%、「採用しなかった」が89.5%となった。業種別にみると、「情報通信業」(26.5%)と「一般機械の製造業」(22.5%)で20%を超える企業が「採用した」と回答。また、正社員規模別にみると、300人以上の企業では3社に1社(36.3%)が「採用した」と回答している。
外国人留学生を「採用しなかった」企業の理由(複数回答)は、「社内の受入態勢が整っていないから」(44.9%)、「外国人の採用自体に消極的だから」(43.8%)の割合が高かった。一方、留学生を採用した理由(複数回答)は、「国籍に関係なく優秀な人材を確保するため」(52.2%)、「職務上、外国語の使用が必要なため」(38.8%)などが多く、「日本では高度な人材が集まらないため」と回答した企業は5.4%にとどまっている。
留学生を採用したことで生じた効果(複数回答)は、「特に変化はない」が45.8%ともっとも多かったが、以下、「職場が活性化した」(26.6%)、「社員が国際的視野を持つようになった」(24.7%)などが挙げられた。また、今後の留学生の採用見通しについては、採用経験のある企業では「あると思う」が79.5%と8割近くに達したが、採用しなかった企業では「ないと思う」が77.7%を占めている。
同調査結果の概要は↓
http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/bn/2007-08/6-7.pdf