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税務関連情報 (2007/05/23)

被合併法人が有する退職給与引当金の取崩し

 2002年7月の法人税法の改正により退職給与引当金制度が廃止され、改正事業年度(2003年3月31日以後最初に終了する事業年度)開始のときにおいて退職給与引当金を有する法人は、その取崩しを段階的に行っているところだ。また、組織再編成においては、一定の場合、被合併法人等がその組織再編成の直前に有する退職給与引当金勘定の金額の一定の金額を合併法人等に引き継ぐこととされている。

 一定の場合とは、その法人が改正事業年度以後の各事業年度(各連結事業年度)において、合併や分割、現物出資、事後設立などの組織再編成を行ったことに伴い、被合併法人(分割法人、現物出資法人、事後設立法人)の使用人が、合併法人(分割承継法人、被現物出資法人、被事後設立法人)の業務に従事することとなった場合で、その使用人の全部または一部に退職給与を支給していないことなどの要件を満たすときである。

 ただし、2006年度税制改正により、2006年4月1日以後に組織再編成に係る合併法人等が改正事業年度終了のときにおける資本金額が1億円超の法人または相互会社等に該当する場合には、被合併法人等が有する退職給与引当金勘定の金額を合併法人に引き継げないこととされた。例えば、資本金8000万円・2月決算のA社が2007年3月1日に同社を被合併法人とする適格合併を資本金3億円・2月決算のB社との間で行った場合である。

 A社が仮に2007年2月期の期首現在、残額7000万円の退職給与引当金を有していたとしても、資本金額が1億円を超える法人との間で合併が行われたものであり、合併法人にその退職給与引当金勘定の金額を引き継ぐことはできないことから、被合併法人A社の2007年2月期(最後事業年度)において、退職給与引当金勘定の金額の残額7000万円を取り崩して、益金の額に算入することになる。