税 務 関 連 情 報

2002年09月13日-001
先行減税は一時的減税か恒久減税か?

 先行減税が2兆5千億円超に拡大するようだが、問題なのは減税が一時的なものなのか、それとも恒久的なものなのかである。9日の経済財政諮問会議では、「多年度税収中立」の定義の明確化を示し、一時的減税と恒久的な増税の組合せは中長期的にみると必ず増税になるとして、恒久減税を主張。経済活性化を最重要課題とする今回の税制改革においては、一時的減税の実施も必要だが、中核はあくまでも恒久的な減税でなければならないとの考えだ。投資税額控除などの一時的減税と恒久的な増税という組合せは、当面の景気を改善するが、恒久的な増税に切り替える際に成長率を低下させるなどの懸念を示している。

 このような考え方に真っ向から反対するのは経済活性化のみならず財政再建を視野におかなければならない財務省・政府税制調査会である。同日の諮問会議でも塩川財務相が、税制の抜本改革とは必ずしも恒久的な減税額と恒久的な増収額を一致させなければならないものではないとの従来からの考え方を示した。多年度税収中立は、一定期間内の減収額と増収額を一致させることであり、その期間後の税制については、そのときの経済・財政・税収の状況等を勘案して、改めて検討すればいいのではないかとの主張だ。

 確かに、経済活性化と財政再建のどちらを最優先するのかで立場は変わる。ポイントは、諮問会議が主張する恒久減税が経済活性化、ひいては財政再建に資するという説得力があるかどうかだ。国民が十分納得できるその辺の説明があれば受け入れられる。「儲けている会社は減税してやって、苦しんでいる中小企業は事業税等で増税になるのかという考えを持たせてはいけない」(塩川財務相:10日の記者会見)との指摘をクリアーする必要がある。

 

 

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