戦後最長の景気拡大を背景に、企業業績は総じて好調を維持しているが、中小製造業の中には、親企業等から納入価格を厳しく抑制され、売上が伸びても収益確保が困難になっている企業があるようだ。加えて、近年は原材料価格の上昇が顕著であり、それを自社製品の価格に転嫁できるかどうかが重要なポイントとなっている。中小製造業における原材料価格高騰問題についてアンケート調査を実施したのは大阪市信用金庫だ。
調査結果(有効回答数569社)によると、親企業など取引先から自社製品の納入価格引下げ要請など「価格引下げ圧力を受けている」とする企業が71.8%を占めた。過去の調査と比べると、5年前に比べ14.2ポイント、2年前に比べても3.5ポイント減少しているが、依然7割強と高水準となっている。このうち、圧力が「最近1年で強くなった」とする企業が6.0%で、2年前に比べ1.3ポイント増加するなど、厳しい状況が続いている。
また、自社が使用する原材料や部材等がここ1年間に「値上がりした」とする企業は82.1%に及び、その平均値上がり幅は11.6%と1割を超える。ここ1年間の自社製品価格については、「変更なし」とする企業が74.7%と4社に3社の割合にのぼる。「引き上げた」とする企業は13.9%にとどまり、その平均引上げ幅も7.9%と平均値上がり幅を下回った。逆に、自社製品価格を「引き下げた」企業が11.4%あった。
原材料が値上がりしたと答えた企業だけでみると、自社製品価格を「引き上げた」とする、価格転嫁ができた企業は16.3%にとどまり、「変更なし」が71.5%と圧倒的に多い。さらに価格転嫁どころか、逆に「引き下げた」とする企業が12.2%ある。「引き上げた」とする企業でも、「完全に価格転嫁できた」とする企業は25.0%にとどまり、中小製造業では原材料値上がり分の価格転嫁は極めて困難なことがうかがえる。
同調査結果の詳細は↓
http://www.osaka-shishin.co.jp/houjin/keiei/pdf/2007/2007-10-24.pdf