内閣府は10日、建設労働者は2005年半ば以降に不足が顕在化とのレポートを発表した。建設労働者の需給状況(国交省「建設労働需給調査」)をみると、2005年後半には不足率の上昇が顕著になった。その一方、建設業の新規求人数(厚労省「職業安定業務統計」)は2003年後半以降、前年を上回る状態が続き、2005年後半には特に増加率が高くなっており、レポートは、ミスマッチが引き起こされている可能性を指摘している。
建設投資の動向を国交省の「建設総合統計」(出来高)でみると、2005年後半は民間建設の回復が堅調であり、公共事業の減少幅の縮小から前年比で増加に転じている。しかし、2005年前半までは、民間建設が景気回復を受けて2003年後半に増加に転じているものの、公共事業の削減による影響が大きいため全体では減少が続いてきた。その間の建設就業者数の緩やかな減少は、建設投資が減少してきたことが主因とみている。
建設労働不足率は、職種別では建築に係る型わく工や鉄筋工、地域別では関東、中部、北海道での上昇が目立ち、この要因のひとつとして、都市部での大規模マンションの建設が多いことから、型わく工や鉄筋工の需要が増加している可能性が考えられるとしている。厚労省の「労働力調査」によると、建設業就労者の年齢構成は全産業と比べ、20歳代前半の比率が低く、50歳代の比率が高いなどやや高齢に偏っている様子がみられる。
今後、団塊世代の定年退職が見込まれるが、若年を中心として建設業労働者の増加による不足率の改善がみられないと、団塊世代の持つ建設技能を次世代に継承できるかどうかという問題が引き起こされるとの懸念を示している。レポートは、この観点からも、建設業の労働需給の問題を軽視できないものとの考えられると指摘する。