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米国発金融危機の影響で海外部門の7割超が業績悪化

経営関連情報 - 2009年02月23日

 ジェトロ(日本貿易振興機構)が、米国発金融危機による日本企業の海外ビジネスへの影響を調べた「2008年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査(速報)」結果(有効回答数928社)によると、米国発金融危機の影響により今後海外部門の業績(売上高・営業利益)が「大いに悪化する」とした企業は33.3%、「やや悪化する」は39.1%で、合わせて72.4%が業績悪化を見込んでいることが分かった。

 業種別には、「窯業・土石」、「精密機械」、「自動車/自動車部品/その他輸送機器」など、製造業を中心に幅広い業種でダメージが及んでおり、製造業全体では81.5%が悪化を見込んでいる。他方、「小売」、「金融・保険」、「専門サービス(コンサルティング・法務等)」など、非製造業への影響は相対的に限られるとみられており、非製造業全体(商社・卸売・小売含む)で悪化を見込む企業は59.4%だった。

 企業が拠点を設置している国・地域ごとに影響度をみると、特に中・東欧に拠点を設置している企業の業績悪化懸念が強まっており、「大いに悪化する」、「やや悪化する」を合わせると、ほぼ100%(98.2%)の企業が業績悪化を見込んでいる。これに対し、中国、香港、ベトナムなどアジアに拠点を置く企業の悪化懸念は相対的に低く、中国、ベトナムに進出している企業のうち、15%近くは「業績への影響はない」と回答している。

 米国発金融危機による具体的な影響の内容(複数回答)は、「自社製品・サービスへの需要が減少した」との回答が80.7%と圧倒的に多く、「コストが上昇した」(25.7%)がこれに続いた。さらに製造業、非製造業を問わず、円高による為替差損の発生、現地通貨安による輸出代金の減少など、為替による業績へのマイナスの影響を挙げる向きが多くみられた一方、輸入・仕入れの面で円高メリットを受けるとの回答もあった。

 影響がおよぶ期間については、「1年超~2年」とみる企業が47.7%でもっとも多く、「6ヵ月超~1年」(28.7%)、「2年超」(13.6%)が続き、短期で終息するとの見方(「~6ヵ月」)は3.3%にとどまった。業種によっては「建設」や「自動車/自動車部品/その他輸送機器」のように、「2年超」との回答比率がそれぞれ31.6%、23.1%に達するなど、長期化を見込む業種も散見される。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jetro.go.jp/news/releases/20090219807-news/sokuhou.pdf