ご存知の緊縮財政のなかで税務行政にかかる必要経費を十分に確保することは難しいが、国税庁がこのほど公表した2007年度予算概算要求・要望額では、2006年度当初予算額に比べ2.5%(約183億円)増の約7418億円円を求めた。国全体の歳出削減が厳しく求められるなかで、税務行政の一層の適正な執行を確保し、適正・公平な課税の実現や歳入確保の要請に応えるためのギリギリの要求ということになる。
この約7400億円強のうちの約8割が人件費で占められているが、それ以外でもっとも多いのは「庁局署一般経費等」で8.2%増の約687億円だ。以下、「情報化経費」(約522億円)、「納税者利便向上経費」(約134億円)、「職場環境整備経費」(約105億円)などが主なものだ。情報化経費の7割以上が、KSK(国税総合管理)システムの全国運営経費などで占められている。
また、納税者利便性向上経費には、国税庁が当面の最重点課題とするe-Tax(電子申告・納税システム)の利用促進に向けた取組みに106億円を要求。システム運用経費のほか、2010年度のオンライン利用率50%を目標に、確定申告書等作成コーナーからe-Taxへ進めるシステム経費や、タッチパネルに代わる税務署でのe-Tax利用経費など、オフラインからオンラインへ切り替える経費が盛り込まれた。
なお、定員関係をみると、2007年度定員要求は、7月21日の閣議了解において従来にも増して厳選したものとすることとされ、2007年度の国税庁の合理化目標数は1015人となっている。国税庁は、こうした政府の方針を踏まえつつ、税制改正への対応、コンプライアンスの維持・向上、国際化・調査困難化への対応などにより1053人の増員要求を行った。この結果、2007年度の定員要求は38人の純増となる。