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税務関連情報 (2006/04/28)

複数の一人会社オーナーの場合の損金不算入額算定

 実質一人会社(特殊支配同族会社)のオーナー(業務主宰役員)の役員給与の損金算入規制措置は、過去3事業年度から基準所得金額を計算して、一定要件以上であれば、その事業年度に支給された給与に係る給与所得控除相当額が損金不算入となる。ところで、オーナーのなかには複数の実質一人会社のオーナーを兼ねている場合もあるが、その場合に1社の給与にかかる損金不算入額を求める特例計算も規定されている。

 それは、1)実質一人会社すべてのオーナーの給与額を合計し、2)その合計額にかかる給与所得控除相当額(損金不算入額)を求め、3)その給与所得控除相当額を1)の合計給与額で除し、4)その額にその実質一人会社が支払ったオーナー給与額を乗ずるというもの。つまり、複数の実質一人会社のオーナー給与の合計額に対する全体の給与所得控除額相当分をそれぞれ按分する計算になる。

 これが、実質一人会社(特殊支配同族会社)の役員給与の損金不算入額の特例計算である。例えば、オーナーの給与として実質一人会社A社で2000万円、同B社で1500万円受け取っていたケースでA社の損金不算入額は、「345万円(A社とB社の給与総額の給与所得控除額相当分)÷3500万円(A社とB社の給与総額)×2000万円(A社の給与)」で計算した197万円となる。

 B社は、A社の事業年度終了時の現況により実質一人会社に該当することになる。また、この規定の適用をA社が受けるためには、申告書の提出期限までに、実質一人会社の合算対象給与額とそれを支給する法人(B社)の名称や納税地、発行済株式総数、株主等の氏名など省令で定められた事項を記載した書類を所轄税務署に提出する必要がある。