経 営 関 連 情 報

2003年02月19日-001
鹿児島黒豚の品質保証の仕組み

 銘柄豚として人気を誇る鹿児島県の黒豚の品質保証の仕組みを分析するのは、農林中金総合研究所のレポートである。関係者の努力による「かごしま黒豚証明制度」と「販売店指定制度」とのリンクの徹底など、ユニークな制度が導入されている。偽物に悩まされてきたこれまでの反省から生まれた工夫である。

 鹿児島黒豚にも苦難の歴史がある。1965年には出荷頭数21万頭を数えた黒豚だが、68年に豚の枝肉格付けが行われると、脂肪が厚くなりやすい黒豚の評価は下がり、生産頭数も次第に減少し、75年には出荷頭数は1万頭程度まで減少した。その後、関係者の努力とグルメブームによって、生産頭数も2000年には28万頭弱にまで増えた。

 このような生産回復の背景には品質保証への取組みがある。92年には「かごしま黒豚証明制度」を実施し、証明証を発行し始めた。証明書は県内で生産・肥育・出荷したバークシャー純粋種の肉豚のみに交付される。また、「ブランド産地指定基準」を定めて肥育するなどの努力が実を結び、2000年4月には鹿児島県が推進している「かごしまブランド」の指定を受けた。

 さらに、ブランド維持のために確実に品質を保証するための仕組みとして、2000年11月に「販売指定店制度」を導入。指定店の条件として、証明書の回収と一定数量の販売が義務付けられている。これらは、ブームによって生産が回復した以降に生産・流通体系が構築されたものだ。生産拡大に従って、信頼関係維持のためのコスト負担は重くなるが、関係者の努力とユニークな制度導入がそれを可能にしているのだ。

 

 

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