緊縮財政のなかで税務行政といえども必要経費を十分に確保することは難しいが、国税庁がこのほど公表した2008年度予算概算要求・要望額では、2007年度当初予算額に比べ1.7%(約124億円)増の約7369億円を求めた。国全体の歳出削減が厳しく求められるなかで、税務行政の一層の適正な執行を確保し、適正・公平な課税の実現や歳入確保の要請に応えるためのギリギリの要求ということになる。
この約7369億円のうちの約8割が人件費で占められているが、それ以外でもっとも多いのは、非常勤職員(アルバイト)の雇用や税理士等に委託するアウトソーシングの謝金などが含まれている「庁局署一般経費等」で4.2%増の約677億円だ。次に、KSK(国税総合管理)システムやIT関連、少額滞納事案を処理する電話催告センターの運用経費等といった「情報化経費」が2.3%増の約491億円で続く。
以下、e-Tax運用・システム開発経費や同年度中に全国税務署へ拡大する電話相談センター費用等を含めた「納税者利便向上経費」が16.6%増の約144億円、税務署の耐震改修費用などが中心の「職場環境整備経費」が53.2%増の約108億円のほか、移転価格税制など国際課税事案等の円滑な処理促進を図る観点からの海外調査旅費や海外調査資料費用といった「国際化対策経費」に9.1%増の約10億円が要求されている。
また、定員関係をみると、2008年度定員要求は、8月10日の閣議了解において従来にも増して厳選した要求を行うこととされた。一方、2008年度の国税庁の合理化目標数は1014人となっている。国税庁は、こうした政府の方針を踏まえつつ、税制改正への対応、コンプライアンスの維持・向上、国際化・調査困難化への対応などにより1053人の増員要求を行った。この結果、2008年度の定員要求は39人の純増となる。