2009年度に予定される基礎年金の国庫負担割合引上げの期限が迫り、消費税を含めた抜本的な税制改正の必要性に対する認識が高まっている。帝国データバンクが7月後半に実施した「消費税及び税制に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万651社)によると、近い将来、消費税率が引き上げられることへの賛否は、「賛成」と回答した企業が29.5%、「反対」とした企業は50.1%となった。
半数の企業が消費税率の引上げに対して拒否感を持っている一方で、3割程度の企業は賛意を示していることがわかった。消費税率引上げに反対の理由(複数回答)は、「歳出削減が進んでいない」が80.2%ともっとも多く、次いで「さらに景気が悪くなる」(66.8%)、「政治不信」(50.3%)となった。景気が一層後退することへの懸念のほかに、歳出削減が進んでいないなかで政治や行政に対する不信感が反対理由の上位となった。
一方、消費税率引上げに賛成の理由(複数回答)は、「財源確保は喫緊の課題」が62.7%、次いで「歳出削減は不十分だが、やむを得ない」(59.4%)、「日本の消費税率が低すぎる」(23.0%)となった。賛成と回答しているが、今の財政状況ではやむを得ないという苦しい胸の内がうかがえる。引上げ時期については、「2010年度」が47.2%でもっとも多く、7割以上(70.8%)の企業が今後2年以内の引上げが必要と考えている。
消費税率を引き上げた場合、自社の業績に「悪影響がある」と回答した企業は54.8%、また、「影響はない」とする企業は25.8%と4社に1社にとどまった。悪影響があるとした企業を業界別にみると、「小売」が80.5%、次いで「不動産」が66.4%となり、消費税率引上げによる消費者行動の変化に影響を受けやすい業界で厳しい見方が多い。「金融」(34.2%)を除くすべての業界で半数以上の企業が「悪影響がある」と回答した。
なお、2009年度税制改正で期待する内容(複数回答)については、「個人所得税減税」が51.6%でもっとも多く、次いで「法人税減税」(43.8%)、「ガソリン税の暫定税率の廃止」(41.2%)となった。そのほか、「道路特定財源の一般財源化への具体案」(36.8%)、「子育て世代への優遇策」(36.0%)、「たばこ税増税」(33.8%)、「消費税の見直し(食料など生活必需品への軽減税率の導入)」(32.0%)で3割を超えている。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0807.pdf