2003年07月07日-001
非課税とすべき競馬の払戻金への一時所得課税
宝塚記念で約2億円を稼いだ男がいて話題となった(4日既報)。競馬の払戻金は、懸賞賞金品や生命保険の一時金などとともに一時所得の対象となる。一時所得の金額は、「総収入金額-収入を得るために支出した金額-特別控除50万円」で計算し、その2分の1が課税される。サラリーマンであれば、その合計が年間20万円を超えれば申告する義務がある。だが、このような一時所得の仕組みを知っている人は少ないようだ。
また、一時所得の計算方法を詳しく知った人の多くが不満に思うのは、損益通算できないことである。負けたレースでの損失は考慮されず、勝ったレースでの儲けだけを積み上げていく。必要経費は、一レースで1万円を投資して千円が当り馬券だったとするとその千円しか認めてくれない。特別控除の50万円も、個別ごとではなく年間の一時所得の合計額から1回引けるだけである。
これでは、誰も申告する気分にはなれまい。例えば、年間200万円を競馬に使って、合計100万円程度の儲けがあって一時所得が20万円を超えたとしても、まだ100万円も負けているのだから、当人は申告する気持ちなど起こらないだろう。それ以前に、申告を前提として、儲けた場合の個々の記録を残すことを考えている人はいるのだろうか。
一方、競馬や競輪などの払戻金については、税務署では把握する術がない。払戻金については、懸賞などの商品や賞金の場合と違って、金銭を払いだす側に支払調書の提出義務がなく、源泉徴収もされない。宝くじの高額当選金を受け取る際に必要な身分証明書の提示も求められないから、誰が高額の払戻金を受けたか分からない。つまり、税金を納めてもらうためには、本人の自主申告を待つしかないことになる。
競馬で大儲けしても、どうせ税務署は分からないのである。また、株式投資で損失を認めないとしたら、誰も株を買おうとは思うまい。競馬でも同じことである。もし税務署が申告の必要な人を把握できて課税できるとしたら、競馬をする人は激減するに違いない。払戻金の受取者が分からないから問題が起こらないだけなのだ。こんな“建て前”だけの課税は止めて、競馬などの払戻金は非課税にしたほうがよほどすっきりすると思うが、いかがだろうか…。
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