ゼイタックス

経営関連情報 (2004/01/26)
負担が増している若年正社員の仕事量

 近年の新規採用の抑制によって、職場の若年正社員は仕事量の増加と長時間労働を余儀なくされている。企業にとっても、中核となる人材の不足が課題となっており、技能伝承や職場活力面での懸念が拡がっている。労働政策研究・研修機構が23日に公表した調査結果(有効回答数104社)によると、53.9%の企業が若年正社員の仕事量が増加したと回答した。

 若年正社員が担当する仕事量は、「増えた」(12.5%)と「やや増えた」(41.4%)を合計すると53.9%と過半数の企業で増加傾向を示した。仕事量が「減少した」との回答は皆無。仕事の範囲についても60.5%が「拡大した」と回答、程度(質)に関しては56.8%が「高度化した」としている。また、若年層の精神的な負担については、「やや高まった」(53.9%)、「高まった」(2.9%)を合わせ56.8%と6割近くが負担の増加を指摘している。

 一方、ここ5年間での企業の正社員の新規採用状況をみると、「減らした」(24.0%)、「やや減らした」(14.4%)、「中止している」(1.0%)を合わせると、採用を抑制している企業が39.4%と、採用を「増やした」企業の27.0%を大きく上回る結果となった。新規採用を減らした企業の理由(複数回答)は、「総額人件費比率の抑制」が70.7%で最も多く、次いで「経営状態の悪化・事業の縮小」(56.1%)、「臨時・パート労働者等で代替」(36.6%)、「中途採用者の実施・拡大」(22.0%)などを挙げた。

 新規採用を抑制したことで生じた問題(記述式)については、回答企業のほとんどが「年齢構成がいびつになった」ことを指摘。そのため、「近い将来に中堅層の幹部が不足する」ことの懸念や、「技能を伝承すべき人材の不足」「先輩から後輩へのノウハウ伝達の分断」など技能伝承問題を課題に挙げる声が多くみられた。これらへの対策に関しては、「中途採用の活用」などによる労務構成のひずみ解消などが挙げられている。