これまで外食産業を中心に全国均一の価格設定が行われてきたが、今年に入り地域によって価格を変える地域別価格を導入する企業が増えている、として地域別価格を経済分析するのはニッセイ基礎研究所のレポートだ。それによると、今年6月、マクドナルドが一部の都道府県に地域別核を導入し、8月には全国拡大し、同月にはカレーチェーンの壱番屋も地域別価格の導入を発表したという。
そもそも、地域別に価格を設定するのは経済学の基本原則だが、レポートは、これまで全国均一の価格設定が行われてきた理由について、一つは、チェーン名からイメージされる代表的なメニューと価格の対応関係を挙げる。価格イメージの消滅は顧客の来店動機を弱め、マイナスとなる。もう一つは価格の固定性。頻繁に価格改定すると店舗と価格との関連付けが不確定となり、顧客の来店行動にマイナスの影響を与える。
それでも今年に入り地域別価格が導入された理由として、外食産業におけるメニューが多様化し、メニューのライフサイクルが短くなったことを挙げている。ライフサイクルの短縮化によって、チェーン名から連想される代表的な商品と価格との関連性が薄れてきた。また、別の理由として、一方で、主として人件費や賃料などの供給条件が大都市圏と地方圏では無視できないほどの大きさになっていることを挙げている。
レポートは、供給条件の格差は長期間持続し、メニューの多様化や商品の入れ替えサイクルの短縮は今後も続くとみており、今後も地域別価格の導入企業は増えると予測。ただし、地域別価格の導入は、メニューの種類が多く、販売価格が顧客誘引のそれほど強い要因となっていない企業が中心となり、吉野家のように、牛丼が売上の大半を占め、並盛が380円というイメージが強い印象の企業では導入が進まないと予想している。
同レポート「地域別価格の分析」の全文は↓
http://www.nli-research.co.jp/report/econo_eye/2007/nn071105.html