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企業収益の規模間格差はリーマンショック後拡大

経営関連情報 - 2011年02月28日

 りそな総合研究所の関西景気レポートは、企業収益の規模間格差がリーマンショック後さらに拡大 、企業収益を資本金規模別の内訳でみた場合、リーマンショック以降、中小企業の割合が低下していると指摘した。企業数に大きな変化がないとすれば、これは企業規模間の収益格差が拡大していることを意味し、金額ベースでみても、収益の回復度合には大きな差がみられる、としている。

 この背景には、リーマンショックの発生とその後の長引く不況に際し、経費の削減などで収益力を高めてきた大企業と、逆に、その余波で受注金額が低下し、収益力がさらに低下した中小企業という構図があるとする。足元の円高による影響についても、輸出産業で玉突き式に価格転嫁が進むなかで、結果的に中小企業へ負担が偏った可能性も小さくないとみている。

 今後、新興国の成長やリスクマネーの増加を背景に、資源・原材料相場が上昇傾向をたどるとみられる。企業にとってはコストの上昇につながるが、デフレの続いている日本では販売価格への転嫁が簡単ではない。結局は、取引の力関係で価格転嫁の可否が決まる場面も多いとみられることから、資源高の悪影響がいきおい中小企業に集中することも想像に難くないとの見方を示している。

 先行きについて考えると、この「大企業による海外シフトの加速」や、「中小企業の収益回復の遅れ」により、やはり内需の回復には予想以上に時間が掛かるものとみられる。特に関西は、輸出依存度が高く、大企業による海外シフトへの誘因がはたらきやすいほか、域内に多くの中小企業を抱えていることから、この傾向が顕著となることに注意が必要としている。