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経営関連情報 (2007/08/22)

東京都区部におけるマンション契約率低下の背景

 首都圏のマンションの契約率は、2005年第3四半期の84.2%をピークに、07年第2四半期は72.8%と低下している。地域別にみると、安定的な東京都下を除き、すべての地域で契約率が低下。特に東京都区部では、旺盛なマンション需要を前提に、供給側が一部で先行きの値上がりを期待して発売を先送りするといった行動をとっているようだが、契約率の推移からは、その前提となる需要の強さは感じにくい状況である。

 都区部のマンション契約率低下の背景を探ったのは内閣府のレポートだ。都区部の契約率を価格帯別にみると、06年は3千万円以下の低価格帯で低下がみられたが、07年上半期は6千万円超の高価格帯で低下がみられる。07年以降の都区部の契約率低下は、高価格帯での契約率低下が大きく影響している。都区部の発売戸数を価格帯別にみると、07年上半期は3千~5千万円が大きく減少する一方で、8千万円超では増加がみられる。

 特に、都区部全体として供給抑制傾向が続くなかで、供給量の増加がみられる価格帯が存在することは注目すべき点だ。その他、3千~5千万円の価格帯は、これまで発売戸数の分布において大きなウエイトを占めた価格帯であり、そこで供給が大きく絞られている事実は、同価格帯でマンション取得を考える購入者にとって、物件選択の幅が狭くなっていることをうかがわせる。

 都区部の高価格帯における契約率の低下の背景として、高価格帯での供給量の増加に需要側がついてきていない可能性が考えられる。また、供給側には、潜在的なマンション需要は強いと捉え、相場価格の上昇を見込んであらかじめ高い値をつけ、発売初月で売れ残ったとしても竣工までに売り切ればよいとする戦略をとっているところも一部にあるとみられ、売り急がないことが契約率低下に影響している可能性も考えられる。

 このように、高価格帯での契約率低下は、必ずしも需要の減少を反映したものであるとは限らない。レポートは、現在高価格帯でみられる需要と供給のミスマッチが、中期的にみて、どのように解消されていくか注視する必要があるとしている。