ゼイタックス

経営関連情報 (2006/02/15)

大企業を上回る中小企業のベア実施企業割合

 個人消費は今後の景気回復基調に大きな影響を及ぼす要因となることから、2006年度の賃金動向に注目が集まっている。帝国データバンクが実施した「賃金に関する動向調査」結果(有効回答数9903社)によると、2006年度にベースアップが「ある」と回答した企業割合は全体の27.0%だったが、規模別にみると、大企業が全体の21.1%だったのに対し、中小企業は28.9%と大企業を7.8ポイント上回った。

 ベースアップを実施する理由(複数回答)は、「自社の業績拡大」が大企業57.6%、中小企業58.6%とともにもっとも高かったが、「労働力の定着・確保」を挙げた企業割合は中小企業が45.6%と大企業(38.7%)を6.9ポイント上回った。雇用環境が改善傾向にあるなか、中小企業に雇用確保への危機感が高まっていることが、ベースアップを後押しする大きな要因となっていることがうかがわれる。

 一方、ベースアップが「ない(ベアゼロの見込み)」と回答した企業割合は45.1%、また、「ない(下がる見込み)」と回答した企業も2.9%あり、合計48.0%と約半数の企業がベアゼロ・ダウンとなる。大企業中心の景気回復が続くなか、ベースアップを見込めない企業が約半数にのぼることは、記帳がベアゼロであることに変わりなく、いまだ景気回復がまだら模様で、全体的な所得の底上げには結びついていないことを示している。

 ベアゼロ・ダウンと回答した企業のうち、定期昇給も「ない」との回答企業が21.1%あった。日本経済は緩やかな回復基調をたどっているものの、5社に1社は厳しい所得環境にある。さらに、これらのベアも定昇もない企業のうち、賞与が「上がる」見込みの企業は全体の6.3%、「前年と同水準」が53.1%、「下がる」が18.8%、賞与が「ない」企業も16.2%あった。一方、ベアと定昇、またはどちらかを見込める企業は全体の56.9%だった。