財務省がこのほど発表した知的財産侵害物品の差止状況によると、偽ブランド品など特許権や著作権を侵害しているために2008年に全国の税関が輸入を差し止めた件数は2万6415件にのぼり、前年と比較すると16.6%増と、8年連続で過去最高を更新した。この背景には、ニセモノ業者がインターネットを通じて注文を受け、国際郵便を悪用して少量の偽ブランド品を発送するなどの手法が多く用いられていることがある。
輸入差止点数は、1件あたりの平均輸入差止件数が前年の46点、前々年の50点を下回る36点と、輸入の小口化が一層進んだことから、約94万点と、前年に比べ9.2%の減少となった。輸送形態別の輸入差止実績をみると、郵便物による輸入が増加し、2008年は件数ベースで全体の97.1%(2万5638件)、点数ベースで全体の52.7%(49万7114点)を占めた。郵便物による輸入の増加が、小口化の傾向を進めた大きな要因となっている。
輸入差止件数は、中国から輸出されたものが全体の81.5%を占める2万1529件で、前年比33.6%増と過去最高を更新し、5年前の2004年から約6倍の増加となった。次いで韓国から輸出されたものが3287件だが、前年からは27.4%減と引き続き減少傾向が続いており、もっとも差止件数が多かった2006年からは約62%の減少となった。徐々に韓国来のものが減少し、中国来のものへの一極化が進んでいる。
差し止めた商品の点数でみると、“偽ブランド”の代表例ともいえる「バッグ類」が前年の約26万点から約14万点へと約46%の急減となった一方、「煙草及び喫煙用具」が約9.9万点、前年比約27倍、「CD、レコード類」が、約3.5万点、同約24倍へと大幅に増加した。なお、2008年に税関において輸入が差し止められた知的財産侵害物品の総価額(正規品だった場合の推計価格)は約206億円で、前年の約385億円から大幅に減少した。
同差止状況の詳細は↓
http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/chizai/ka210306a.htm