税 務 関 連 情 報 |
2002年07月10日-001
消費税増税は財政再建の切り札となるか?
経済財政諮問会議が今年1月に示した「中期展望」では、2006年度までのわが国経済の姿として、投資的経費の削減や年金・医療の社会保障制度改革の実施、人件費の抑制などを前提条件に、国と地方の一般歳出が抑制され、一方で、マクロ経済が回復することから、財政指標の改善が徐々に進むという試算結果が示されている。ここでは、かなり厳しい歳出抑制によって、やっとプライマリー・バランスの改善と政府債務の増大を防ぐシナリオとなっている。つまり、歳出面ではこれ以上の改善シナリオを探し出すのは困難であって、財政赤字を縮小するには歳入面の改革、すなわち増税シナリオを考える必要がある。
三菱総合研究所がこのほど公表した「2003年度予算のあり方」を考察したレポートの中で、消費税増税のシミュレーションを示している。それは、2003年度から消費税率を5%から7%に引き上げ、これを全て国税収入とするシナリオで、景気へのマイナスインパクトは考慮されていない。消費税率の2%引上げで約5兆円の歳入増が図れる。シミュレーション結果によると、財政赤字の対GDP比率は2005年度▲4.8%から2010年度▲4.4%まで縮小し、プライマリー・バランスは2005年度▲2.4%、2010年度▲1.2%となり、収支均衡までもう一歩のところまでくる。これによって、国債発行額が大きく減少するので、国債残高は2005年度+89.7%、2010年度+93.2%と債務比率が抑制される。
赤字幅が一挙に縮小させることが見てとれる。財政破綻がいよいよ現実化した場合には、消費税の増税が最後の切り札として浮上するだろう。しかし、2%程度の増税では財政赤字を解消させるには至らない点に注意が必要である。三菱総研では「消費税率アップは財政再建のための有効な選択肢だが、まず増税なき財政再建を目指すべきであり、増税論議はそのあと」とコメントしている。
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