経済産業省が5月29日に発表した「2006年度ものづくり基盤技術の振興施策」(ものづくり白書)では、ものづくり人材育成環境の再構築のなかで、特に団塊世代の大量退職に備えた人材育成への取組みを提唱している。白書は、40歳代を中心に団塊世代の次世代が大幅に減少していることから、団塊世代の大量退職によって揺るぐことのない現場力の維持・向上のため、高齢層・中堅層・若年層における取組みを求めている。
高齢層においては、60歳以降の雇用延長などの取組みが進み、多くの企業が高齢者を指導者として、技能承継のための取組みに成果を上げているが、雇用延長等の取組みを“一時しのぎ”とせず、雇用延長等の期間を活用して高齢者の持つ熟練技能をいかに継承するかが重要。その際、「若い世代とOBとの間の人間関係」に配慮するとともに、目標の明確化や計画的なOJTの実施体制づくりなどの方法を採ることが有効だとみている。
若年層においては、製造業における新規高卒者の求人充足率は依然として高水準にあるものの、低下傾向がみられ、業種間にもばらつきがある。若年者の確保に向け、工業高校以外の高校との関係構築など新規学卒者の採用への努力が必要。また、新規採用と並び中途採用がすでに大きな比重を占めるが、即戦力だけでなく、年長フリーター等、より幅広い年齢層から未熟練者を受け入れ、育成する姿勢を強めることが必要としている。
中堅層労働者は、高齢者とともに若年者育成において重要な役割を担うが、一方で、業務が多忙なことなどから、若手の教育面への不安や問題を抱えている。中堅層の能力向上への取組みとともに、統一的な指導方法の確立や高齢者との組合せによるチームでの若手の指導体制の整備などによって、中堅層の負担の軽減、業務を円滑化することによって、企業全体の人材育成力の高まりが期待できるとみている。
ものづくり白書の概要は↓
http://www.meti.go.jp/press/20070529001/monodzukuri-honbungaiyou.pdf