法人が同業者団体へ加入することになれば当然入会金が必要になるが、通常はこの入会金は、一旦納めてしまえば、その後団体を脱退したとしても返還されることはない。そこで、返還されないものである以上、この入会金は支出時の損金として処理しても構わないと考える向きもあろう。しかし、入会金を支払うことで、その効果は翌期以降も継続されることになるから、繰延資産に該当し、償却期間は5年となる。
ただし、支出金額が20万円未満の少額な入会金の場合は、損金経理により全額損金算入できる。また、入会後、返還されない入会金ではなく、会員としての地位を他に譲渡することができるようになっているもの及び出資の性質を有するものは、譲渡または脱退するまで資産に計上する必要がある。一方、同業者団体へ入会した後で月単位や年単位で支払う会費については、会費の性質によって取扱いが異なる。
同業者団体が会員のために行う広報活動や研修指導、その他通常の業務運営などのための経常費用の分担金として支出する通常会費は、支出した事業年度に損金算入できる。ただし、同業者団体において、通常会費について不相当に多額な剰余金が生じていると認められるときには、その剰余金が生じたとき以後に支出する会費については、剰余金が適正な額になるまで、前払い費用として資産に計上しなければならない。
また、会費名目であっても、同業者団体が会館の取得や会員相互の懇親、政治献金などの目的のために支出するその他の会費については、前払い費用として資産に計上し、その後に同業者団体が現実に支出した段階で、その用途に応じて繰延資産、福利厚生費、交際費、寄附金などとして処理することになる。なお、通常会費の全部または一部をその他の会費の使途に支出しているときは、その部分はその他の会費として取り扱われる。