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経営関連情報 (2007/03/05)

時給1000円に引上げで国内総生産額2.6兆円拡大

 労働運動総合研究所が発表した「最低賃金引上げの経済波及効果の試算」は、最低賃金を全国一律で時給1000円にすれば、賃金の支払い総額は2兆1857億円増え、国内生産額も2兆6424億円拡大するとした。現在、地域別最低賃金は全国平均で673円、もっとも高い東京で719円だ。時給1000円は「最低限の生活を保障しうるギリギリの水準」(同総研)として、07年春闘では、連合、全労連ともに要求の柱に掲げている。

 同総研の試算によると、最低賃金が1000円に上がった場合、パート労働者(1日6時間労働で20日働くと仮定)の77.9%(374万人)が月額2万5000円弱、一般労働者(1日8時間労働で22日働くと仮定)の13.6%(309万人)が同2万9000円弱の賃金改善が見込める。この結果、賃金の支払い総額は2兆1857億円増え、このうち1兆3230億円が消費支出に回り、各産業に波及して国内生産額を2兆6424億円拡大させるという。

 また、試算では低所得者層と高所得者層(年収1500~2000万円層と2000万円以上層)の所得増の影響も推計。仮に高所得者層の収入を最低賃金の引上げと同額分増やしても、消費支出の増加は7545億円に過ぎず、低所得者層の賃上げのほうが5685億円多く消費へ波及するとしている。これは、高所得者層が収入の増加分を貯蓄などに回す傾向があるのに対して、低所得者層は消費に回す傾向が強いためだ。

 これを生産部門別にみると、低所得者層の賃金増は、教育や食料品、繊維、自動車などに回ることが予想されるという。同総研では、「最低賃金引上げで中小企業の生産コスト増を心配する声があるが、消費の成果を受けるのは主に中小企業。中小企業は、積極的経営の立場に立ち、当面の苦しさはあったとしても、最低賃金引上げに賛同し、労働者と力を合わせて取引単価の引上げなどを求めていくべきだ」とコメントしている。