信用保証料は、企業が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会に信用保証を委託するために支払うものだが、支払った時点でその全額を一時に損金算入できると主張した納税者に対し、信用保証料には各事業年度において未経過の保証期間に係るものがあるから、未経過期間に対応する額は前払費用として経理処理することが妥当として、納税者の主張を退けた国税不服審判所の審査請求事案がある。
この事案は、納税者が銀行から融資を受ける際に信用保証協会へ支払った信用保証料の全額をその支払った日の属する事業年度の損金に算入して法人税の申告をしたことに対して、税務署がその支出した信用保証料のうち、その事業年度末において未経過の保証期間に係るものは損金の額に算入できないとして否認してきたことから、その取消しを求めて国税不服審判所にその可否判断を仰いだものだ。
審判所は、信用保証料の額は保証金額・保証期間(日数)・保証料率などを基に算定されていると事実認定。これらの事実関係を総合考慮すれば、信用保証料は信用保証の保証期間の始期から満了時までの費用であることは明らかであることから、一定の契約に従って継続して役務の提供を受けるために支出した費用に当たる。また、銀行からの融資実行後も、その融資が継続している全期間にわたって信用保証していると指摘した。
したがって、「信用保証料は、保証を承諾したことに対する対価で一時に損金算入すべき」との納税者の主張は採用できないとした。以上のことから、信用保証料には、各事業年度末において未経過の保証期間に係るものがあるので、未経過期間に対応する額は前払費用として経理処理することが相当であると判断した上で、税務署が行った損金の額に算入すべき費用の額の算定方法は合理的であると指摘、納税者の主張を退けている。