交際費とは、法人の得意先や仕入先など事業に関係のある人たちを接待、きょう応、物品の贈与などをするために支出する費用をいう。わが国では、資本金1億円以下の法人であれば400万円以下の部分の90%相当額について損金算入できるが、資本金1億円を超える法人は全額損金不算入となっている。海外に目を向けると、事業の遂行にとって直接必要とされる部分は損金算入というおおらかな国と、一切認めない厳しい国がある。
交際費が原則一切損金に算入できない国はイギリスである。イギリスでは、費用が損金に算入されるためには、主たる事業目的に直結したものでなければならず、交際費は一般的にこの要件を満たさないため、損金不算入とされている。ただし、広告宣伝用の少額贈答品(飲食物、たばこ、商品券を除く)については、年間50ポンド(9900円)まで損金算入ができる。
一方、フランスでは、一般に事業の遂行上直接必要な経費で過大でない交際費は原則全額損金に算入できる。ただし、狩猟や釣りのための支出、ヨット・モーターボート・別荘の保持・使用のための支出などで、事業の目的上必要であることが証明されないものは損金に算入されない。贈答費用については、1人あたり年間3000ユーロ(41.4万円)を超えた場合には、申告時に明細書の提出が義務付けられている。
また、ドイツでは、原則、交際費の70%を損金算入できる。損金算入にあたっては、1)取引通念に照らし相当であり、かつ、2)金額、日時、場所、目的及び参加者について、書面により届け出ることなどが要件となっている。贈答費用については、1人あたり年間35ユーロ(4830円)を超えない場合は全額を損金算入できる(35ユーロを超えた場合は全額損金不算入となる)。
アメリカでは、原則、交際費の50%を損金算入できる。損金算入にあたっては、1)事業の遂行にあたって、通常かつ必要なものであり、かつ、2)直接事業に関連することなどが要件。ただし、クラブ(業界・娯楽・スポーツなどに関係するすべてのクラブ)の入会金・会費、及び接待・レクリエーション施設に係る費用は、損金に算入できない。贈答費用については、受贈者1人あたり年間25ドル(2625円)まで損金算入できる。
※邦貨換算レートは、1ドル=105円、1ポンド=198円、1ユーロ=138円(2004年12月から2005年5月までの間における実勢為替相場の平均値)。