野村総研が1997年以降3年おきに実施している「生活者1万人アンケート」の2006年調査結果(有効回答数1万71人)によると、今年から来年にかけて「景気が良くなる」と考えている人は18.3%で、1997年以降で最多となっている。しかし、過去にはいったん好転した生活者の景況感が2003年には悪化した。この繰り返しを防ぐには、生活者が手ごたえを感じ始めている“好景気”を継続させることが重要だとしている。
今回の調査では、長期的な生活設計にも明るい兆しが見えてきた。今後の生活設計をする上での収入の増減の見通しは、「今以上の収入を前提としている」との回答が20.6%だった。この数字は1997年から2003年にかけて減少傾向にあった。2003年時点では、「今以上の収入を前提」との回答が「今よりも少ない収入を前提」との回答を下回り、“右肩下がりの生活設計の時代”だった。
今回の回答を年齢別にみると、「今以上の収入を前提」との回答の増加は20代が41.1%、30代が30.0%と顕著だ。1997年から2003年にかけては、この年齢層が将来設計に悲観的になったことで、全体的に“右肩下がり”で将来設計をする人の割合が増えたが、これまで将来に備えて消費を控えていた若齢層が将来に対して明るい希望を持つようになったことで、今後の消費が活発化する可能性が大きくなったとみている。
一方で、今後の増税や社会保障制度に不安を抱いている人も多くいる。税金・社会保険料の増加については、「不安を感じている」との回答が33.0%あり、2000年以降増加傾向にある。生活者の景気や収入に対する考え方は、2006年にやっと前向きになったばかり。本格的な景気回復のためには、景気回復の実感を確実に消費につなげることが重要になる。将来に対する漠然とした不安を取り除くことが求められるようだ。