一般更生債権の平均弁済率は11.5%と低水準
2004年1月以降に会社更生法を申請した159件のうち、10月21日時点で裁判所より更生計画の認可決定を受け、通常の商取引再建に当たる一般更生債権の弁済率が判明した138件を調べたところ、平均弁済率は11.5%と、民事再生法の弁済率(12.4%)をやや下回る低水準だったことが、帝国データバンクがこのほど発表した「会社更生法の弁済率調査」結果で明らかになった。
一般更生債権の弁済率が判明した138件のうち、日本航空、ウィルコム、宮古島砂山リゾートの3件が弁済率100%となったが、50%を超える高弁済率の企業は138件中7件(5.1%)にとどまる。弁済率分布をみると、「10%未満」が98件で最も多く、全体の71.0%を占めた。過去の調査では「10~30%未満」に全体の6割の企業が集中していたが、一括弁済の定着とともに弁済率は低下傾向にある。
また、138件を負債額別にみると、「50億円未満」の14.1%をはじめ、「100~200億円未満」8.8%など、総じて負債総額が小さくなるにつれて、弁済率が高くなる傾向にある。例外は「1000億円以上」の超大型案件で、平均弁済率は37.3%と負債額別で突出して高い。これは、日本航空、ウィルコムの2社の弁済率が100%となったため、平均弁済率が高まったことによる。
以上のように、2010年に会社更生法を申請した日本航空、ウィルコムの2社による「100%弁済」という異例の措置が際立つ結果となった。今後は、通常の更正事件では一括弁済の定着により平均弁済率は低水準が続く一方、多数の取引先への影響が大きい大型案件については、商取引債権の全額保護(100%弁済)の措置がとられるなど、企業規模の違いによる二極化傾向がさらに進んでいくものとみられている。
同調査結果は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p111006.pdf