ゼイタックス

経営関連情報 (2007/02/23)

増加基調を強める診療所施設数~信金中金総研

 一般的な中小企業の開業率が廃業率を下回って推移するなか、医師による診療所開設の分野においては、これと逆行して“開設ラッシュ”ともいわれる状況が続いている。そこで、診療所の“開設ラッシュ”の実情を概観するとともに、診療所開設の局面や、その後の診療所経営において留意すべき点などについて概説し、医師の“企業家精神”や“コミュニケーション能力”を求めるのは、信金中金総研のレポートだ。

 それによると、診療所(入院用ベッド数19床以下の医療機関)の開設施設数は、90年代一貫して廃止施設数を上回って推移、直近(2005年)は前年比19%増の5752件にも及び、まさに“開設ラッシュ”といえる状況にある。厚生労働省の「医師の需給に関する検討会」によると、“病-診連携”という形で地域社会における診療所の役割が拡大していく流れも追い風となって、診療所数は今後も着実に増加していくと予想されている。

 近年の診療所施設数の推移を診療科目別にみると、少子高齢化の影響や訴訟リスクの増大などの要因から、小児科や産婦人科の相対的な減少傾向が鮮明化している。20年ほど前の1984年を100とすると、小児科が86.8、産婦人科にいたっては56.7と、著しい減少がみられる。全体として診療所勤務医の中長期的な増加基調が見込まれるなかで、こうした“歪み”が何らかの形で是正されていくことが望まれるとしている。

 一方、一般企業のケースと同様に、診療所開設の局面でも、ある種の“企業家精神”が当然求められる。また、診療所経営は中長期的に患者獲得競争の激化が必至とみられる。今後の診療所の医師には、これまで以上に地域の一員としての“コミュニケーション能力”が必要となってくる。診療所の医師が経営感覚も兼ね備えた“コミュニケーション能力”を発揮すべき場面は、今後ますます増えていくと予測している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.scbri.jp/PDFsangyoukigyou/scb79h18F15.pdf