求職者支援法、改正雇用保険法が成立
「職業訓練の実施等による特定求職者の就職の支援に関する法律」(求職者支援法)と「雇用保険法及び労働保険の保険料の徴収等に関する法律の一部を改正する法律」(改正雇用保険法)が5月13日の参院で可決、成立した。求職者支援法は、特定求職者の訓練受講のための給付金の支給などを柱とし、改正雇用保険法は失業給付の算定基礎となる賃金日額の下限額引上げなどを主な内容としている。
求職者支援法は、特定求職者(雇用保険の失業等給付を受給できない求職者であって、職業訓練その他の就職支援を行う必要があると認める者)に対し、職業訓練の実施、職業訓練を受けることを容易にするための給付金の支給その他の就職に関する支援措置を講じることにより、特定求職者の就職を促進し、その職業及び生活の安定に資することを目的としている。
一方、改正雇用保険法は、最近の雇用失業情勢等を踏まえ、労働者の生活の安定、再就職の促進等を図るため、失業給付の充実を図るとともに、失業等給付に係る保険料率を引き下げるもの。具体的には、失業者に対する「基本手当」の算定基礎となる「賃金日額」について、直近の賃金分布等をもとに、法定の下限額等(賃金日額の下限額:「2000円」→「2320円」、基本手当日額:「1600円」→「1856円」)を引き上げる。
また、安定した再就職へのインセンティブ強化策として、早期再就職者への「再就職手当」を、(1)給付日数を1/3以上残して就職した場合:給付率30%→40%(現在の暫定措置)を50%(恒久化)に引上げ、(2)給付日数を2/3以上残して就職した場合:給付率30%→50%(同)を60%(同)に引上げ、また、就職困難者(障害者等)が職業に就いた場合の「常用就職支度手当」の給付率の暫定的な引上げ(30%→40%)を恒久化する。
そのほか、失業給付に係る保険料率を、「1.6%」から「1.4%」に引き下げる労働保険徴収法の改定や、雇用保険の国庫負担について、引き続き検討を行い、できるだけ速やかに、安定した財源を確保した上で国庫負担に関する暫定措置を廃止する。なお、施行期日は、求職者支援法が2011年10月1日(一部の規定については、公布の日から施行)、改正雇用保険法は2011年8月1日(労働保険徴収法は2012年4月1日)。