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経営関連情報 (2006/10/13)

好調な推移示す人材関連ビジネス

 矢野経済研究所がこのほど発表した「人材ビジネスの動向調査」結果(有効回答数131社)によると、人材関連ビジネスは、企業の求人意欲の高まりを背景に全体的に好調な推移を示している。人材ビジネスは、顧客側の求人需要に大きな影響を受ける。企業の求人需要は急速に高まり、2005年12月に有効求人倍率が、バブル崩壊直後の1993年以来実に13年ぶりに1.0の水準を突破した。

 また、企業の労働者の過不足状況を示す雇用DIも上昇を続けている。労働者が過剰と感じている企業と労働者が不足している企業の割合が、常用雇用者においては2003年11月にプラス(不足企業が上回る)に転じ、以降、一貫して上昇を続け、直近の2006年8月には常用雇用者で21ポイントの水準である。まさに「人手不足」の状況であり、製造業を中心にリストラの嵐が吹き荒れた2002年当時とは様変わりの感がある。

 人材関連ビジネスを分野別にみると、「人材派遣業」の2005年度の市場規模は、前年度比9.5%増の2兆5500億円と推定され、規制緩和で派遣職種が原則自由化された1999年以降高い成長率を維持している。近年の成長は、主力のオフィスワーク派遣需要が活発だったこともあるが、規制緩和により派遣職種の幅が広がったことも大きい。需要拡大の一方で、派遣スタッフの不足が今後の懸念材料となっている。

 「人材紹介業」の2005年度の市場規模は、前年対比25%増の900億円と推定される。人材紹介業の市場規模は、2004年、2005年と非常に高い伸びを示した。人材紹介業を通じての転職や採用が、転職者、求人企業双方に認知され、浸透したとみている。また、「再就職支援業」の2005年度の市場規模は、前年対比27%減の175億円と推定。再就職支援業の市場規模は、ピーク時の2002年度(350億円)以降縮小が続いている。

 今後、少子高齢化を背景にわが国の雇用構造の変化や人材の流動化がますます進むものとみられている。加えて、人材関連ビジネスでさらに規制緩和が進む可能性があることから、これらを背景に人材関連ビジネスは、長期的に成長が続くものと予想されている。

 同調査結果の要旨は↓
 http://www.yano.co.jp/press/pdf/187.pdf