大阪府立産業開発研究所が府内の中小企業を対象に実施した「新事業活動促進法(旧経営革新支援法)における計画承認および支援策と企業経営との関連実態調査」結果(有効回答数536社)によると、経営革新計画の承認を受けていない一般の中小企業においても、何らかの新たな取組みを行っている企業が約5割を占めた。その背景には、既存事業の将来への不安や競合企業の取組みへの対応などがあるとみられている。
回答をみると、何らかの新たな取組みに「具体的に取り組んでいる」とする企業が45.6%、「構想があるまたは検討している」が22.5%で、「まったく取り組んでいない」企業は31.8%だった。また、経営革新計画承認企業は、一般企業と比較すると、業歴や事業規模、資本蓄積などにおいて劣っている部分があるが、新たな革新的取組みに挑戦することなどで、近年の売上高や経常利益はより好調に推移している。
最近3年間の売上高の推移をみると、「増加傾向」にある企業割合は、一般企業の29.6%に対し、経営革新企業は52.1%と大きく上回っている。反対に「減少傾向」にある企業割合は、経営革新企業の17.0%に対し、一般企業は31.3%となっている。また、最近3年間の経常利益の推移をみても、「利益増加・黒字転換・損失減少」とする企業割合は、経営革新企業が44.8%と一般企業(27.2%)を上回る。
なお、経営革新計画承認企業においては、支援施策を利用している企業のほうが、売上高、営業利益という業績面で優れた傾向がみられる。ただし、利用の多い支援策は、計画申請時に利用希望の多い「政府系金融機関による低利融資制度」(57.7%)と「保証協会による信用保証の特例」(36.3%)の資金支援策が中心となっており、他の施策とは利用程度の差が大きく、また利用時期も計画承認時に集中し、その後の利用は多くない。