帝国データバンクがこのほど発表した全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、6月の倒産件数は794件で、2ヵ月連続の増加となる前月比29.3%の大幅増となり、倒産は底打ちの兆しとみている。同集計は5月から、任意整理を除外し法的整理のみを対象としているが、旧基準において例年6月は前月よりも減少する月である。6月の季節的要因を加味しても、前月比29.3%増の倒産件数は大幅増加だったとみている。
倒産の内訳をみると、「建設業」(258件)が前月比56.4%増、「小売業」(126件)が同77.5%増と50%を超える増加率を記録したほか、負債・資本金規模の小さな中小・零細企業の倒産が増えている。負債別の件数上位は、「5000万円未満」(301件)、「1億円以上5億円未満」(227件)の順。増加率では、「5000万円以上1億円未満」(153件)が前月比59.4%増でトップ、「5億円以上10億円未満」(59件)が同51.3%増で続く。
また、資本金別の件数上位は、「1000万円以上5000万円未満」(416件)、「100万円以上1000万円未満」(253件)の順。増加率では、「個人経営」(72件)が前月比89.5%増でトップ、「5000万円以上1億円未満」(31件)が同55%増で続く。このように、近年の倒産減少に寄与してきた中小・零細企業の反動は、トレンドの変化を示唆しており、倒産は底打ちの兆しと判断している。
6月は倒産件数が大幅増加となったが、中身は中小・零細企業の倒産増加であることから、負債総額は前月比▲24.8%減の4394億8200万円となった。平均負債額は5億5350億円で、前月を3億9833億円(41.8%)も下回った。負債「1000億円以上」の大型倒産は4ヵ月連続で発生しておらず、「100億円以上」(9件)、「50億円以上」(14件)、「10億円以上」(54件)の倒産件数はいずれも前月を下回っている。
個別企業では、居酒屋チェーン「ゼクー」が、相次ぐ社長交代、不可解な増資、株式100分割による株価の乱高下などの末、東証マザーズ上場企業としては初めての倒産となった。同じような不可解な動きを見せる破綻予備軍は少なくなく、帝国データバンクでは「IPO(新規株式公開)バブルに乗じてマネーゲームを繰り広げた新興企業の動向に、今後は一層の注意が必要」と指摘している。