来春就職予定の大学生や高校生などで、企業から内定を取り消された者が、昨年度の3.5倍となる331人にのぼることを、厚生労働省が明らかにしているが、こうした雇用調整は正社員だけにとどまらない。同省がこのほど発表した非正規労働者の雇止め状況によると、今年10月から来年3月までに期間満了に伴う雇止めや契約を中途解除され、職を失う非正規労働者が全国で約3万人にのぼる見込であることがわかった。
これは、全国のハローワークが企業に対する聞き取り調査を通じて把握したものだが、派遣・請負など非正規労働者の雇用調整(契約の期間満了・中途解除、解雇)について、今年10月から6ヵ月間で実施予定または実施済みの数は、全国で47都道府県、477件、労働者数は3万67人となっている。雇用形態別に対象人数の割合をみると、「派遣」が65.8%、「契約(期間工等)」が19.2%、「請負」が10.6%などとなっている。
産業別にみると、製造業が全体の9割以上を占める。例えば、もっとも多い「派遣」(1万9775人)では、期間満了に伴う雇止め5991人のうち5985人が、中途解除などその他1万3784人のうち1万3471人がともに製造業となっている。都道府県別にみても、「愛知県」が4104人でもっとも多く、次いで「岐阜県」が1986人、「栃木県」が1680人となっており、自動車など製造業が盛んな地域が上位を占めている。
世界的な金融危機の影響等により雇用失業情勢は下降局面にあり、今後さらに、派遣や期間工などの非正規労働者を中心に大量離職の発生が懸念される。こうしたことから、厚労省は、非正規労働者等の支援等を実施するため、都道府県の労働局に「緊急雇用対策本部」を設置する。同対策本部では、(1)非正規労働者の雇用調整や新卒内定取消しに関する状況の把握、(2)事業主への指示・指導、(3)再就職支援、などを実施する。