中小企業金融公庫がこのほど発表した中国進出中小企業の実態調査結果(03年8月実施、有効回答数391社)によると、現地法人が抱える経営課題(複数回答)は、「優秀な管理者の確保」が44%でトップ、次いで、「販売単価の下落」(36%)、「優秀なワーカーの確保」(21%)、「法律・事務・会計の知識不足」(18%)、「製品不良率が高い」(16%)などが続いた。
1・3・5位と上位に、人材の質や技能に関する課題が挙がった。品質要求の高度化などが進むなか、優秀な人材確保が主な経営課題になっているものとみられる。また、「販売単価の下落」が前回調査(02年8月)に引き続き上位の課題となっており、現地での価格競争が依然として厳しいことがうかがわれる。
企業の進出地域をみると、95%が沿海部、特に長江デルタ地域(上海市・江蘇省・浙江省)に過半(53%)が集中している。主な進出目的(複数回答)は、「低廉豊富な労働力」が73%で最も多く、次いで「現地市場の開拓・確保」(44%)、「販売先・親会社からの受注確保」(37%)など。一般ワーカーの賃金は、平均16.0千円/月(諸手当込み)だが、地域格差は大きく、上海市(22.0千円)と中西部(11.0千円)では倍の格差がある。
直近決算期の損益は、黒字企業割合が56%、収支トントン18%、赤字26%。売上を前期比でみると、増加企業割合は44%にとどまり、前回調査の77%に比べ大幅に減少している。一方で、利益の前期比較では、増加企業割合が50%と、現地での販売競争が激化するなかで、企業の利益確保に向けた合理化努力がうかがわれる。今後の見通しは、売上増加を見込む企業割合が73%、利益増加を見込むのは62%と高い割合を占めている。