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経営関連情報 (2006/06/30)

「いざなぎ景気」を超えて戦後最長となる景気回復

 戦後もっとも長かった景気回復が「いざなぎ景気」。今回の景気回復は、その「いざなぎ景気」を超えて戦後最長となることが確実となってきた現在の景気回復を概観したのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングのレポート(「けいざい早わかり」)である。「いざなぎ景気」は、東京オリンピック後の1年ほどの景気後退が終わった1965年10月を底に始まり、大阪万博が開催されていた1970年7月まで57ヵ月続いた。

 今回の景気回復は、ITバブル崩壊の調整が終了した2002年1月を底にして始まった。足元の6月まで景気回復が続いているとすると、すでに53ヵ月が経過しており、80年代終わりのバブル景気の51ヵ月を超えて、戦後2番目の景気回復となっている。今年の11月まで景気の回復が続くと、回復期間は「いざなぎ景気」を超えて戦後最長となる。バランスの取れた回復を続けている日本経済にとって、その可能性は高い。

 ただ、戦後最長の景気回復と言われても実感がわかないという声が多いが、現在の日本は成熟社会に移行していることから、高度成長期のような二ケタ成長を期待することには無理がある。例えば、資本ストックが整ってくれば、公共投資や住宅投資の伸びは低くなる。レポートは、2~3%の成長を続けている現状は十分良好なものであり、これをさらに高めるよりも、いかに安定的に続けていくかということが重要だとみている。

 景気回復が永久的に続くことはないが、今のところ景気減速を示す明確なシグナルは出てきていない。在庫は電子部品など一部の品目で最近増えてきたが、製造業全体ではまだ低い水準だから、在庫調整が景気を減速させることはない。また、設備の過剰感がほぼ解消して一部に不足感が出てきている。さらに、ようやくデフレが解消してきた今の日本で、急激なインフレが景気を腰折れさせるというシナリオも現実的ではない。

 現在、原油価格や原材料価格の高騰などの不安材料があるが、世界経済の成長が続いて輸出が好調なことから、企業は高い利益水準を維持している。米国や中国など世界経済に何らかの変調が出てくれば、日本からの輸出が減少して、これまで隠れていた景気減速要因が表に出てくる。レポートは、景気回復に安定感が増しているといっても、先行きに楽観的になりすぎるのは危険なようだとの見方を示している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.murc.jp/report/research/hayawakari/2006/20060623.pdf