人材開発担当者に聞いた現場の人材育成の状況
産能大総研が企業等の人事・人材開発担当者を対象に実施した「現場の人材育成の状況調査」結果(有効回答数622人)によると、現場の人材育成環境の認識について「あてはまる」が最多だったのは「マネージャーのメンバーを指導する時間が不足」、「メンバー・新人を指導する人材が不足」の2項目で72.2%、次いで「マネージャーがプレイヤーとしての仕事に追われ、マネージメント業が疎かになっている」(65.9%)だった。
一方、「新入社員を育成する期間が短くなっている」(41.6%)、「マネージャーを育成する時間が短くなっている」(42.0%)、「若手・中堅社員を育成する期間が短くなっている」(44.1%)といった、育成時間の短期化に関する項目はいずれも半数を下回っている。育成期間の短期化よりも、特にプレイングマネージャー化による弊害や指導時間の不足といった、現場の育成体制についての問題意識が強く認識されているようだ。
3年前と比較した現場の人材育成の取組み状況に関する認識について「あてはまる」が最多だったのは「メンバー同士で仕事を教えあっている」(64.1%)、次いで「マネージャーがメンバーに必要な能力やスキルを把握している」(51.3%)が5割を超えた。人材育成の取組みを尋ねた質問でも、肯定的な回答割合が4割前後にとどまる項目がほとんどで、現場で育成の取組みがあまり行われていないと認識しているように見受けられる。
3年前と比較した現場社員の変化について「あてはまる」が最多だったのは「管理職が組織から期待される役割を認識している」で62.2%、次いで0.1ポイント差の62.1%で「現在の仕事で必要な知識が向上している」が続いた。一方、5割を下回る項目が4項目あり、うち3項目は、「メンバー主体の自主的な勉強会が増えた」(40.9%)など、自主的な勉強会の開催など学習に関する取組み姿勢や風土の醸成に関する項目だった。
従業員が学習する風土を醸成する上での課題について「あてはまる」が最多だったのは「メンバーが学習や能力開発の必要性を理解する」で60.9%、次いで「人事・人材開発部門が現場の人材開発の状況を把握する」が55.9%。一方、5割を下回っているのは「現場に人材育成の担当者を設置」(40.7%)などで、現場に深く入り込んで仕組みづくりまでに関わっていこうとする人材開発担当者は必ずしも多くないようだ。
同調査結果の詳細は↓
http://www.sanno.ac.jp/research/pdf/jinzai2011.pdf