国税庁がこのほど公表した「2003年分法人企業の実態調査」結果によると、今年1月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などで使った交際費が、3年連続で4兆円台を割り込む前年比▲7.4%(2781億円)減の3兆4645億円だった。これで7年連続の減少。また、営業収入1000円を得るための交際費は2円47銭で、1951年分の調査開始以来過去最低の数字となった。
2003年分の法人数は255万3135社で、前年より3048社(0.1%)増加した。このうち、連結親法人は206社、連結子法人は2569社となっている。連結子法人を除いた255万566社のうち、黒字法人は81万3184社で全体の31.9%を占め、赤字法人は173万7382社で68.1%を占めた。黒字法人割合は前年に比べ0.8ポイント増と上昇に転じた。なお、連結法人の赤字法人割合は81.6%と高く、連結効果が反映した。
過去を振り返れば、91年分では50.3%と黒字法人のほうが上回っていたのだから、現在の約7割が赤字法人という状況は異常事態である。2003年分の営業収入金額は、前年に比べ▲2.5%(36兆2871億円)減少の1402兆3469億円となる一方で、交際費支出額が7年連続の減少となった。黒字法人の営業収入金額は865兆9649億円で前年に比べ▲3.5%(31兆7254億円)減という状況にある。
また、黒字法人の益金処分総額は▲0.1%減の35兆8710億円だが、役員賞与5132億円(構成比1.4%)、支払配当4兆4183億円(同12.3%)、法人税額9兆817億円(同25.3%)、その他の社外流出5兆1322億円(同14.3%)で、これらを差し引いた社内留保16兆7256億円は過去最高となる46.6%を占めた。反対に役員賞与が占める割合1.4%は過去最低。
交際費の支出額3兆4645億円のうち、税法上の限度額を超えたため損金算入されなかった金額は前年に比べ▲10.5%減の1兆9450億円と大幅に減少した。損金不算入割合は56.1%で前年より2.0ポイント減った。周知のように資本金5千万円以上の企業の支出交際費は全額損金不算入だ。2003年度改正で損金不算入割合が10%引下げられたが、中堅・大企業は交際費の支出抑制に引き続き努めたことが数字に表れている。