今年6月からの老年者控除の廃止や公的年金等控除の見直しなどにより、個人住民税額が変わっている。定率減税が半減されたことも重なって、収入額が同じなのに税負担が大幅に増えたことで驚いた住民からの問い合わせや苦情が各市町村に殺到した。こうした事態に総務省は、先月末に急遽ホームページ上に「平成18年6月からの住民税についてのお知らせ」を掲載、改正の経緯や理由を解説して、住民の理解を求めている。
今回の改正は、特に年金などで暮らす低所得の高齢者への影響が大きい。個人住民税の老年者控除は、地方税では48万円を所得から控除する制度で、所得が1000万円以下の65歳以上の高齢者に適用されていた。また、公的年金等控除は年金収入から一定額を控除する制度で、特に65歳以上の高齢者についてはより高い控除額となっていた。住民税の負担増は、これらの制度の廃止・見直しが6月徴収分から適用されたため。
これらの改正は2004年3月の地方税改正で行われたもので、周知期間は充分にあったとはいえ、よく認識していなかった住民も少なくなかったと思われる。そうした住民にとっては、いわば“寝耳に水”の出来事であり、今回送られてきた納税通知書を見て、収入が増えていないのに税金が大きく増えた驚きは想像に難くない。各地の報道は、税額の大幅アップに驚く住民の声や自治体の対応を伝えていた。
例えば、京都新聞(6月25日付)によると、京都市では納税額が最大7.4倍になるケースもあるとしていたが、実際に納税通知書送付後の1週間で6400人が区の窓口に詰めかけたという。総務省や各市町村では、6月からの改正実施を前にその内容を充分広報・周知してきたとの思いはあろうが、現実には多くの住民が承知していなかった結果となった。特に負担増となる改正の広報への工夫が問われる出来事だったといえよう。
総務省の「平成18年6月からの住民税についてのお知らせ」は↓
http://www.soumu.go.jp/czaisei/topic/060623_1.html