資本金1円でも株式・有限会社が設立できる最低資本金規制緩和による会社設立制度は2003年2月1日から施行され1年が経過した。東京商工リサーチが経済産業省発表のデータをとりまとめたところによれば、施行開始後1年目にあたる今年1月30日時点での成立届出件数は、株式会社3469社、有限会社5076社を合わせ合計8545社と、まもなく1万社に達する状況だ。
資本金1円で設立された企業は、有限会社102社、株式会社265社の計367社だった。 資本金の状況をみると、「1万円以上100万円未満」の資本金で設立した企業が全体の56.5%(4358社)と半数以上を占めて最も多く、次いで「100万円以上300万円未満」での設立が24.5%(1891社)となっている。また、資本金「1円」と「1円未満」の企業は合わせて483社あり、全体の6.3%だった。
制度開始から1年間で8545社ということは、1ヵ月あたり約712社設立されたことになる。最低資本金特例制度は2008年3月末までの時限立法だが、会社設立ペースが今後も変わらないと仮定すると、制度終了までの50ヵ月で3万5600社増えて、トータルでは4万4000社以上の特例企業が誕生することになる。
なお、特例企業は、設立5年以内に株式会社は1000万円、有限会社は300万円という最低資本金のハードルをクリアーしないと解散となる。今後、いかに増資資金を確保するかが大きな課題となる。もっとも、昨年5月には、中小企業政策審議会が、最低資本金廃止論を提示しており、中小会社法制のさらなる規制緩和の行方には目が離せない状況にある。