パートタイム労働法が改正され、2008年4月1日から、短時間労働者に対する労働条件を明示した文書の交付等が、これまでの努力義務から義務化される。具体的には、労働基準法の義務に加え、昇給、退職手当、賞与の有無につき文書の交付等による明示が義務化される。違反の場合は過料(10万円)が課される。その他安全衛生、職業訓練等に関する事項は引き続き努力義務とされている。
加えて、待遇の決定にあたって考慮した事項の説明も義務化される。こうした労働条件の文書交付・説明の義務化の背景には、多様な働き方であるゆえに労働条件が不明確となり、相談事例が多いほか、待遇の決定理由が不明であるため、その待遇について不満を持つ者が多いことがあった。改正法は、労働条件の明示、待遇の説明をすることによって、パートなど短時間労働者の納得性を向上させることが目的だ。
また、改正法では、「均衡のとれた待遇の確保の促進」が図られる。すべてのパート労働者を対象に、通常の労働者との均衡のとれた待遇の確保措置を義務化等する。特に、通常の労働者と同視すべき短時間労働者に対しては、差別的取扱いを禁止する。短時間労働者が通常の労働者と同じ仕事を行っているにもかかわらず、その働きに見合った待遇がなされていないなどの不満が高まっていたことが改正の背景にある。
そのほか、事業主は、通常の労働者への転換を推進するための措置を講じなければならないこととされた。例えば、社内公募として、短時間労働者に対し通常の労働者のポストに応募する機会を与えることなどが考えられる。また、「公正な待遇の決定ルール」の担保として、事業所内で苦情を自主的に解決するよう努めることとするほか、均衡待遇等に関する紛争の解決手段として、行政型ADR(裁判外紛争処理手続き)が整備される。
改正パート労働法の概要は↓
http://www.mhlw.go.jp/topics/2007/06/tp0605-1.html