税 務 関 連 情 報 |
2002年09月09日-001
倫理規定上、利害関係が潜在的な者は利害関係者にあらず
旧大蔵省の不祥事に端を発した2000年の国家公務員倫理規定施行以来、官民双方に戸惑いがあって、社会通念上の一般的な付き合いもままならぬ堅苦しさを感じている人も多い。例えば、税理士は顧問先の代理人となることから税務調査等で利害関係が生じるおそれがあり、国税OBの税理士などは特に職員との接触に必要以上に気を使うようだ。それは、国税職員のほうも同じで、痛くない腹を探られないために、“君子は危うきに近寄らず”との態度をとるのも自然ではあった。倫理規定は厳しすぎるとの声が四方八方から起こるのも無理からぬことである。
このような批判の声に応えたのか、国税庁職員の職務に係る倫理に関する訓令が倫理規定施行以来初めて改正され、利害関係者の範囲がより明確にされた。改正された訓令では、税理士については、調査先などの顧問であることが客観的に明らかな場合は利害関係者とみなされる場合があるとしている。客観的に明らかな場合とは、税務署に委任状が提出されている場合や申告書に署名押印がある場合、調査に立ち会っている場合などをいう。つまり、これ以外は、潜在的に利害関係が生ずるおそれがあるからといっても一概に利害関係者とはみなされないわけだ。この改正訓令は9月1日から施行されている。
今回の訓令の改正によって、官民のギクシャクした関係が少しでも改善されるに越したことはないが、どうしても国民の疑惑や不信を招かないような行動を求められることから、関係改善のカギは国税職員の判断いかんにかかっているともいえる。利害関係者でなければ、堂々とお付き合い願いたいものだが、いかがだろうか。もっとも、相手が倫理規定上の利害関係者でなくても、税理士や管内納税義務者との関係においては、「割り勘による付き合い」が原則であることを改めて強調している。
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