政府の経済財政諮問会議が15日に開かれ、歳出・歳入の一体改革について、民間議員から、増税を行わないで2011年度までに国と地方を合わせたプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字化させるためには20兆円の歳出削減が必要との試算が示された。与謝野馨経済財政担当相は「改めて事の難しさのマグニチュードを示した試算」だと言うが、結局のところ、財政再建には消費税率引上げなど増税が不可避ということになろうか。
民間議員の試算は、20兆円程度の削減を、1)裁量的支出のみで行う場合は、公共投資で8兆円、防衛や教育などその他の経費で12兆円、2)そこに人件費を加えた場合は、裁量的支出で12兆円、人件費で8兆円、3)さらに社会保障費まで加えた場合は、裁量的支出で9兆円、人件費で5兆円、社会保障費で6兆円、それぞれ削減する必要があるというものだ。
2006年度の基礎的財政収支の赤字14兆円が2011年度に20兆円に広がることについては、科学技術費や中期防衛計画の数字が自然増することや、歳出削減に伴う有効需要の減少から経済にマイナスに働き税収減となることなどを全般的に計算したという。与謝野経財相は「『改革と展望』で使った数字を使用し、現時点では合理的な前提」と語るが、竹中総務相は「いくらでも変わり得る数字」と批判している。
このように、政府内で温度差のある試算だが、そもそも20兆円の歳出削減が可能なのだろうかという疑問がある。20兆円の赤字を解消するために可能な歳出・歳入の一体改革の具体的な道筋を示すことが重要だ。本当のところ可能な歳出削減の数字を提示し、足りない部分は増税をお願いするというのが本筋ではないのか。“マグニチュード”を示したというが、庶民感覚から遠い数字を示されても戸惑うばかりだ。