国税庁が4日に公表した今年6月までの1年間(2008事務年度)における法人税調査事績によると、不正計算が想定されるなど調査必要度の高い14万6千法人(前年度比0.9%減)を実地調査した結果、うち72.6%にあたる10万6千件(同2.2%減)から前年度に比べ18.5%減の総額1兆3255億円の申告漏れを見つけた。加算税額516億円を含む3272億円(同16.5%減)を追徴。1件あたりの申告漏れは911万円となる。
申告漏れ総額は2年連続の減少となり、景気悪化で法人所得が落ち込んだことなどから、1986事務年度(1兆2256億円)以来22年ぶりの低水準。減少率も1999事務年度(34.2%)に次ぐ過去2番目の大きさ。また、調査した21.5%にあたる3万1千件が故意に所得を仮装・隠ぺいするなどの不正を行っており、その不正脱漏所得は4195億円だった。1件あたりの不正脱漏所得は前年度比0.1%増の1338万円と6年ぶりに増加した。
不正を業種別(調査件数350件以上)にみると、不正発見割合の高い10業種では、「バー・クラブ」が56.1%で7年連続のワースト1位となった。「バー・クラブ」は2000年度まで14年連続1位という不名誉な記録を続けていたワースト業種の常連(唯一2001年度がワースト2位)。次いでこれも常連の「パチンコ」(46.4%)が続き、この2業種は6年連続でワースト1、2位となっている。3位は「廃棄物処理」(37.0%)。
一方、1件あたりの不正脱漏所得金額が大きい10業種では、トップが前年4位の「パチンコ」(5364万円)、次いで前年1位の「建売、土地売買」(3063万円)、3、4、5位はすべて前年ランク外の「貿易」(2798万円)、「電気・通信機械器具卸売」(2701万円)、「鉄鋼卸売」(2432万円)。不正発見割合でワースト1位の「バー・クラブ」は高額10業種に入っておらず、1件あたりの不正脱漏所得金額は1102万円と相対的に少ない。