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経営関連情報 (2005/08/22)

日本人の主食コメにも押し寄せる規制緩和の波

 農林水産省の「食料需給表」によると、コメの1人あたりの年間消費量は、1996年度の67.3キログラムから年々減少をつづけ2003年度は61.9キログラムまで落ち込んでいる。第二次世界大戦後の規制に守られていた日本のコメだが、昨今では食糧事情や日本人の消費動向を踏まえて、規制緩和の波が押し寄せている、と日本のコメ事情を分析するのは東京商工リサーチのデータ解析特別記事である。

 それによると、元来、コメは天候によって収穫量や出来具合が左右されるリスクのある市況商品だが、長らくコメは日本人の主食として安定供給が欠かせないとの考えから、さまざまな規制があった。しかし、2004年4月に施行された改正食糧法によって、これまでの減反面積の割当制が、販売実績におうじて産地ごとにコメをつくる量を配分する仕組みに改められた。

 この規制緩和は、コメの産地間競争を促進させ、需要に対応したコメ、割安で販売できるコメの生産が強化されることになった。その結果、消費者の望む商品がよりやすく供給されるという恩恵がもたらされた。昨年は猛暑と好天によりコメが豊作で、主要銘柄の卸価格が最安値を記録するなど、余剰米および値崩れが懸念された。この値崩れ傾向がコメ卸売業者の経営不振に拍車をかけている。

 コメの低価格傾向に対して、かつてはコメの代替食品であったトウモロコシやこうりゃんなどの雑穀が、健康効果やアレルギー対策に有効な食品として注目されている。雑穀の価格は10キロあたり1万円以上、なかには2万円以上する高価な商品もあり、コメに比べ収益性が高い。現在は国内雑穀市場の9割が輸入品と推測されるが、今後、日本人の食生活に雑穀が定着すれば、国内生産量も増加、コメから雑穀への転作が予想される。

 農業やそこから派生する食品ビジネスは天候リスクをかかえているがゆえに、収益の変動はつき物。だが、農業従事者を保護してきた国内の規制は、株式会社形態をはじめ参入の自由化と海外からの輸入の自由化によって緩和される方向にある。いまのところ毎年、減反政策や生産量調整が実施されているが、生産者のみならず卸売や小売業者サイドにも、聖域なき規制緩和による変化の波が押し寄せている、と同特別記事は指摘する。