経済産業省が22日に公表した「男女共同参画に関する調査」結果によると、女性の雇用環境は、能力も意欲もある女性にとってチャンスが広がっているが、同時に、高賃金の正社員女性が増えるとともに、非正規女性も増加という女性労働者のなかでの二極化が進んでいることがわかった。同調査は、企業の人材戦略・経営戦略の変化が女性人材活用に与える影響などを探ったもの。
それによると、企業にとって女性正規雇用は、予想勤続年数の不確実性が大きいなどの理由で、雇用での潜在的コストの負担感が大きいため、女性正規社員の採用を抑制し、採用する場合にも、こうした負担感に見合うだけの能力と努力を女性に要求せざるを得なくなっているとみる。男女共同参画と少子化対策を同時に進めるにあたり、出産・育児を行う労働者を雇用するコストを下げる仕組みが必要だと提言している。
調査結果からは、事業所内賃金格差が大きい職場は大卒女性比率も女性管理職比率も高くなっていることがわかった。このような職場は、個々人の業績や能力に応じて処遇するため、女性の活躍の場が与えられやすいとみている。また、年功度の大きい職場は女性雇用比率が高くなっている。長期勤続意欲のある女性を選び出して育成コースにおき、高密度な技能蓄積を行える貴重な職場環境であるとみている。
一方、正規雇用を増やす場合は男性が増え、減らす場合は女性が減る傾向がある。女性雇用の場は、既存事業所の女性比率の上昇よりも、事業所新設によってもたらされる部分が大きくなっている。また、女性では非正規雇用が増加、男性では就業希望無業者が増加している。正規雇用者内、雇用者内、雇用者に就業希望者を加えた「潜在的労働力人口」内のいずれでみても、男女間賃金格差は縮小しているとみている。
非正規雇用の雇用形態の多様化が進むなか、正規雇用の雇用形態の多様化が進まないことが女性の正規雇用減少につながっていると分析。女性労働者の勤続年数やキャリア志向の多様性に対応できるよう、個別管理や、職種・処遇形態の多様化・柔軟化を進めることが必要だと提言している。