本格的な冬を迎えるなかで、灯油価格の記録的な上昇が各地でみられている。こうした灯油価格の上昇など近年のエネルギー環境の変化に伴う家計への新しい動きを、やや長期的な視点から検証したのは内閣府のレポートだ。それによると、気象統計情報に基づいた各都市の冬(前年12月~2月)の平均気温を比較すると、地球温暖化の影響などもあって、04~06年の平均気温が、10年前の94~96年よりも上昇している都市が多い。
このため、家計の灯油使用量は、04~06年の3年間平均と94~96年の3年間平均を比べると、東北地方を除いた全地域で減少している。しかし、石油情報センターの資料等によると、灯油価格の上昇によって、全消費支出に占める灯油の割合は、全地域において04~06年の3年間平均のほうが高く、灯油支出の増加が家計を圧迫していることがうかがえる。
また、省エネルギーセンターの実験では、灯油と電気の暖房を比較した場合、部屋の設定温度を1度下げる場合のCO2削減量は、灯油のほうが多いという結果があり、灯油が電気よりもCO2を多く排出していることを示している。このような状況を背景に、家庭内のエネルギー源見直しの取組みが行われており、例えば、暖房・給湯・調理など家庭内のエネルギーをすべて電気で賄う「オール電化住宅」が、近年普及してきている。
家庭の暖房用としての灯油は、機器代が安いが、原油価格高騰の影響を強く受けることや炎によるリスク、燃料購入に手間がかかる、燃料ガスやにおいが発生するといったデメリットがある。一方、電気は、導入コスト(機器代)が高く、機器の設置スペースが必要だが、炎によるリスクはなく、CO2排出量も少ない、ランニングコストが安い、燃焼ガスやにおいが発生しない、といったメリットがある。
今後の家庭内のエネルギー源は、石油価格の高止まりによるランニングコストの変化や、二酸化炭素削減の要請、エネルギー効率を改善する新しい技術を利用した商品の発売など、上記のような要因を考慮した上で選択する動きがみられる、とレポートは予想している。