ゼイタックス

経営関連情報 (2006/12/15)

多様化が進みつつある中堅・中小企業の資金調達

 緩やかな景気拡大が持続するなか、伝統的な銀行貸出(リレーションシップ貸出)以外の新たな金融仲介手法の拡充に向けた動きが広がりつつある。そこで、みずほ総研では、中堅・中小企業向けの新しい企業金融手法として、「クレジットスコアリング貸出」、「ABL(動産担保貸出)」、「シンジケートローン」、「CLO・CBO(ローン担保証券・社債担保証券)」の4つをとりあげ、アンケート調査を実施、レポートをまとめた。

 調査結果(有効回答数1004社)によると、4つの資金調達の利用率は、高い順から、「CLO・CBO」(14.3%)、「シンジケートローン」(11.9%)、「ABL」(7.4%)、「クレジットスコアリング貸出」(5.5%)となった。また、利用経験はないが関心はある企業の割合は10~20%程度だが、いずれも徐々に普及し始めており、関心度も相応に高いことから、今後も市場の拡大が見込まれる段階にあるとみている。

 他方で、各資金調達手段の利用率・関心度は、企業規模(希望調達額)や企業の信用力に応じて異なる。財務データが重視される「シンジケートローン」の場合、信頼性の高い財務諸表を備え、かつ比較的信用力が高い企業ほど利用に前向きである。対象となる企業規模や資金需要額は概して大きく、主として中堅・大企業向きといえる。

 また、「ABL」は、良質な動産担保(在庫・売掛債権など)を有する企業が、自社の信用力だけに頼ることなく資金調達できるスキームだが、貸し手の金融機関にとっては動産担保の管理・モニタリングに相応の手間隙がかかるだけに、シンジケートローンほどではないにせよ、一定額以上の資金調達を希望する企業の比率が高くなっている。

 これに対して、金融機関が多数の債権を束ねて審査・与信管理する「クレジットスコアリング貸出」や「CLO・CBO」の場合、個々の企業の信用力よりも、債権ポートフォリオ(組合せ)全体のパフォーマンスがより重要となる。このため、信用力があまり高くなく、数千万円程度の小口の資金需要を持つ中小企業の利用率・関心度が相対的に高くなっている。

 同レポートの詳細は↓
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/report/report06-1208.pdf