中小企業の事業承継がなかなかはかどらないが、政府が4月24日に閣議決定・公表した2007年版中小企業白書では、その円滑に進まない中小企業の事業承継の現状を分析している。白書では、全国約120万社のデータを持つ帝国データバンクのデータベースを用いて、社長交代がどの程度行われているかをみたところ、過去1年間における企業全体の社長交代率は、2006年で3.08%と過去最低となっている。
従業員規模別の社長交代率(2006年)をみると、従業員「300人以上」では19.8%、「101~300人」では13.9%の企業が社長交代したのに対し、「11~20人」は5.6%、「6~10人」は4.6%、「2~5人」は3.2%と、規模が小さいほど社長交代率が低下する傾向にあり、団塊の世代が引退時期に差し掛かる状況下、特に小規模企業において、事業承継がなかなか進んでいないことを示している。
また、5年前と社長が交代している企業について、現在の社長の就任経緯を従業員規模別に比較してみると、大企業の場合、親族以外への承継が85%以上を占めているのに対し、規模が小さくなるにつれてその割合は低下している。小規模企業では「創業メンバー」(18.7%)や「親族」(53.0%)への承継が約70%を占めており、中規模企業(中小企業のうち小規模企業を除いたもの)においても約50%を占めている。
さらに、規模別に後継者の有無についてみると、現時点で後継者を決めている企業の割合は、大企業が56.6%、中規模企業が43.3%、小規模企業が32.8%と、規模が小さくなるほど低い。中小企業においては、様々な要因から事業承継が円滑に進まないと指摘されているが、中小企業白書は、主要な要因の一つとして、事業を承継したいという後継者がいないことを挙げることができるとしている。