2003年09月22日-002
職務発明の「適切な対価の算出難しい」企業65%
民間企業の研究者が職務上発明したものの対価をめぐって、企業と社員間でのトラブルが目立つが、文部科学省がこのほど公表した民間企業の研究活動に関する調査報告(2002年度)によると、企業の研究開発活動に関する問題点(3つまで選択)として、「適切な対価の算出が難しい」と考える企業が65.2%にのぼった。調査対象は、資本金10億円以上の民間企業2007社(有効回答数1061社)。
職務上の発明等の取扱いに関する問題点としては、対価算出の困難性のほか、「チーム・グループでなされた発明に対する個人の寄与度評価と公平性の確保が困難」との回答が44.9%、「知的財産だけを重視すると、あえて出願しない技術的ノウハウ等を生み出している研究者等の業績評価バランスが崩れ、不公平感を生ずるおそれがある」が26.3%で上位に挙げられた。
職務発明の取扱いについては各社が苦慮しているようだが、普段の研究者に対する評価・処遇はどうなっているのか。同年齢の研究者間の昇進・昇格や賃金の差は、「業績や能力を反映した人事考課」「経験年数」「役職・等級等」や「昇進試験」が重視され、資格や学位によるとする企業は少ない。博士号や修士号の有無は給料にはほとんど反映しない企業が多い。
また、研究者とその他の職種の従業者を比べても、「職種による平均賃金に差がない」と回答した企業が67.3%と3分の2にのぼり、賃金のバラツキ(高低差)についても「職種による差はない」と半数の52.1%が回答している。結局、企業においては、研究者をその他の職種の従業者と賃金面でほとんど区別していないことが分かる。それだけに、職務上で莫大な利益を生み出す発明をしたときの研究者の不満も大きくなるようだ。
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