ゼイタックス

経営関連情報 (2006/02/03)

4月分から0.3%下がる公的年金の支給額

 厚生労働省はこのほど、国民年金や厚生年金などの公的年金の支給額を4月から0.3%引き下げることを明らかにした。1月27日に総務省が発表した2005年平均の全国消費者物価指数(生鮮食品を含む総合指数)の対前年比変動率がマイナス0.3%となったことを受けたもの。年金は後払い方式で偶数月に前月と前々月分が払われるので、実際に年金額が減るのは6月支給分からとなる。年金額が減るのは04年度以来2年ぶり。

 年金額は、現役世代の負担とのバランスの観点から、前年の消費者物価が下落した場合には、それに合わせて引き下げるように法律で定められており、2006年度の年金額についても、2005年平均の全国消費者物価指数の下落に合わせて引き下げられた。1月27日に昨年12月の消費者物価指数が前年同月比で上昇したという報道があったばかりで疑問もでようが、月単位で上昇しても、その動きは反映しない仕組みとなっている。

 今回の引下げで2006年度の年金額の見込みは、自営業者などの国民年金の老齢基礎年金1人分が2005年度より月額200円少ないの6万6008円、同夫婦2人分で400円減の13万2016円となる。また、会社員の厚生年金は、夫婦2人分の基礎年金を含む標準的な年金額が月額708円少ない23万2592円となる。厚生年金は、夫が平均的収入(平均標準報酬36万円)で40年就業し、妻はその期間専業主婦だった世帯の給付水準。

 税金面では2005年分から公的年金等控除が縮小されるなど高齢者にとっては負担が増しているが、この年金支給額の物価指数の変動率に応じた改訂については、実は2000~2002年度のデフレ時においては年金額が据え置かれており1.7%の過払い状態のまま。1.7%を超える物価上昇がないと解消されないのだ。つまり、デフレが続くと年金受給者はトクをし続け、年金財政にとっては重荷が続くということになる。