食品景況感持ち直しから小幅悪化へ~日本公庫
日本政策金融公庫農林水産事業が実施した「2011年上半期の食品産業動向調査」結果(有効回答数2666社)によると、食品産業(製造業、卸売業、小売業、飲食店)の景況動向指数(DI:「増加」-「減少」)は2半期続いた持ち直し傾向から小幅な悪化に転じる結果となった。要因は、売上高DI、経常利益DIが低下したことが大きく、東日本大震災による全国的な自粛ムードなどが影響したとみられている。
調査結果のうち、景況DI(売上高、経常利益、資金繰りの各DIの平均)は、前回まで2半期連続で上昇となり景気回復の流れがみえてきたが、今回の調査では売上高DIが6.4ポイントの低下、経常利益DIが5.5ポイントの低下、資金繰りDIが1.2ポイントの低下となり、全体としての景況DIが4.4ポイント低下のマイナス20.2となり、小幅ながら悪化に転じる結果となった。
販売数量DI、販売価格DIは、大きく落ち込んだ2009年下半期からようやく販売数量・価格DIともに2半期連続で上昇に転じていた。前回(2010年下半期)調査での先行き見通しでも販売数量・価格DIともに上昇見込みとなっていたが、今回、販売数量DIは0.6ポイントのやや低下、販売価格DIは6.8ポイントの上昇となった。消費者の自粛ムードなどによる買い控えや原材料価格の高止まり傾向などが影響しているとみられる。
また、仕入価格は、下半期は改善の見通しとなっているものの、改善幅が小幅にとどまっており、原材料価格の高止まりによると思われる価格上昇への先行き懸念がうかがえる。消費者の生活防衛意識の高まりによる低価格志向の影響を受けてきた食品産業にも、ようやく景況感が上昇方向に変わり、景気回復の流れがみえてきていたが、そんなところに未曾有の東日本大震災により食品産業の景気回復も足踏み状態と言えそうだ。
同調査結果の詳細は↓
http://www.jfc.go.jp/common/pdf/topics_110826_1.pdf