ゼイタックス

経営関連情報 (2005/11/28)

「ダラーストア」「100円ショップ」成長の秘密

 1ドルや100円という均一価格で商品を販売する「ダラーショップ(dollar store)」や「100円ショップ」が、日米で急成長している。その成長の秘密を探ったのはニッセイ基礎研究所(小本恵照氏)のレポートである。日米でほぼ同時期に均一価格での廉価販売を行う業態が急成長しているのは、大変興味深い現象だが、レポートは、その成長要因のひとつとして、均一価格に伴う購買決定要因の絞込みを指摘している。

 均一価格を提示することによって、消費者が購買の際に考慮すべき要素を減らし、購買の意思決定過程における思考を簡略化したという。例えば、ボールペンを購入する場合、通常のスーパーでは、数種類のボールペンが陳列され、購買にあたっては、メーカー・品質・機能に加え、最重要要因である価格を考えたうえで購入するかどうかを決める。価格は製品ごとにまちまちであり、消費者は多くの要素を考慮して選択しなければならない。

 ところが、100円ショップやダラーストアでは、価格が均一なため、価格要因を考慮する必要がない。また、100円ショップやダラーストアでは、PB商品(プライベート・ブランド商品)が中心で、商品の酒類も少ない。この点も消費者の意思決定を簡略化する。

 一方で日本人の時間感覚が変化しており“せっかち度”が高まっていることが、購買行動においても、よりスムーズに買い物を済ませたいという欲求を高めているとみている。レポートは、電車が何分遅れたらイライラするかという調査で、10年前の1993年には「10分が限界」との回答が55.6%だったものが、2003年には「5分が限界」が55.6%を占めた、というシチズン時計の調査(2003年)を例示している。

 また、レポートは、100円ショップやダラーストアの今後の成長について、小売の業態の進化を説明する理論「小売の輪」(1957年にハーバード大学のマックネア教授が提唱)に基づいて検討・予測。ダラーストアや100円ショップという新業態の成長は、当分続くのではないかと結論付けている。

 同レポートの全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/stp/nnet/nn051121.html