全日本病院協会が今年5月時点で実施した「病院経営調査」結果(有効回答数226病院)によると、医療行為に係る医業収支では、赤字病院が27%で、昨年より4ポイント増加した。特に東京では23病院のうち61%の病院が赤字であり、前年より14ポイントも増加。政令指定都市でも37病院のうち19%と前年より9ポイント増えたが、その他の地域では166病院のうち24%とほぼ前年と変わらない。
また、医業収支以外の収支を加えた総収支についてみると、全体では30%が赤字病院であり、昨年より6ポイント増加した。ここでも東京は65%(前年43%)が赤字で、指定都市が16%(同12%)、その他の地域が28%(同24%)となった。これらの結果は、診療報酬引下げや看護基準の変更などによる人員不足が要因となっているほか、好景気による相対的な人件費増などが経営を圧迫しているとみられている。
前年と今回調査に連続回答した170病院を比較すると、病床数はやや増加(3万59床→3万519床)しているが、病床利用率が低下(87.0%→85.6%)しており、1日あたり入院患者数は154人と変化していない。また、医療収支率は103.6%から104.1%と改善傾向が認められ、従業員1人あたりの医業収入(90.5万円→88.4万円)、給与費(47.0万円→45.9万円)はともに低下している。
これらの結果から、今回の診療報酬改定による影響は若干の収支悪化となっているが、2年連続回答病院の収支率はやや改善しているため、病院間での収支率格差が大きくなっていることが推察される。同調査は今年5月時点のものであり、7月からの診療報酬及び制度改定後は急速に悪化することが必至。さらに、10月以降の精神病床における看護基準経過措置終了後は、精神病床の収支率が悪化すると予測されている。
同調査結果の詳細は↓
http://www.ajha.or.jp/about_us/activity/zen/18_byoinkeiei01.pdf