東京商工会議所が26日に発表した「中小製造業におけるイノベーション活動の実態調査」報告書は、日々の積み重ねが絶え間ないイノベーションを生み出すとして、 (1)社長のリーダーシップと風通しの良い職場環境の確立、(2)社長を支える営業・企画担当者、技術者、現場管理者、工場長の内部育成、(3)ニーズ密着型のR&D、きめ細かな生産・品質・在庫管理による利益率の向上、をイノベーションの3つの基本原則として掲げた。
調査結果(有効回答数299社)によると、革新的な都内中小製造業が力を入れているイノベーション活動は、「新製品・新素材の開発」(39.5%)に取り組む企業が多く、次いで「顧客・市場の選択と集中」(18.7%)、「新しい生産設備の導入や新しい生産方式の導入」(18.1%)などとなった。このように、プロダクト・イノベーションに軸足を置く企業が多いが、同時にプロセスイノベーションに取り組む企業も多い。
開発のプロジェクト・リーダーの入職経路は、「新卒採用となった技術者(社内で育成)」が30.8%、「技術系以外の出身の従業員だが、社内で技術者として育成」(14.5%)、「同業・中小企業からの転職者を中途採用」(9.9%)の順となった。技術者の内部育成に力を入れている企業が多く、社長に続いてプロジェクトの核となるのは技術者、リーダーを担える技術者が社内にどの程度育っているかがポイントとなる。
技術開発を担う最重要人物は、「社長自らが対応」(29.8%)、「社内で育成した新規学卒出身の技術者」(25.8%)、「外部から採用した経験者(技術者)」(17.4%)が挙げられた。新卒者、中途採用者を含めて内部での人材育成がカギを握る。基幹的人物の育成状況は、製造・営業販売の責任者、ベテラン技能者は比較的育っているが、右腕となる経営幹部、R&D技術者、企画提案のできる営業担当者、若手後継者の育成に遅れがみられる。
また、イノベーション活動を社内的に活発化するために日常的に力を入れていることは、「従業員のチームワークを大事にしている」が71.8%、「経営トップとの風通しをよくしている」が70.1%と突出して多く、「仕事の縄張りにこだわらない仕事の進め方」(40.1%)も含め、この3項目がイノベーションを促進するようだ。
同実態調査結果の概要は↓
http://www.tokyo-cci.or.jp/kaito/chosa/2008/210326.pdf