税 務 業 界 関 連 情 報

2002年07月01日-001
社労士にも認められる年末調整の賃金計算事務?

 税理士及び税理士法人の付随業務に関する日税連と全国社会保険労務士会連合会(全社連)の協議は、去る6月6日に両会長が覚書に調印し、これによって社労士法制定以来34年にわたって全く解釈基準のなかった税理士の付随業務についての解釈の基準となる合意が成立した。この合意によって、税理士等が付随業務として行えるのは「租税債務の確定に必要な事務」とされたわけだが、覚書調印前に問題となったのは、協議の決着がついた第5回目4月11日の協議会における確認書に「年末調整事務を社労士が行うことは税理士法違反である」とする一文が追加されたことだった。

 日税連からのこの一文の追加申し出に対し全社連は、付随業務に関係ないことから反対するも、日税連の強硬な主張に、確認書作成を優先しやむを得ず認めたという。しかしその後、「年末調整事務ができなくなるのは死活問題」との社労士会会員の声が高まり、全社連では、年末調整事務の全てが税理士の独占業務とは考えられないとの解釈から、日税連に確認書の修正を要求。覚書調印前に数度の交渉を行った結果、確認書の修正はできなかったものの、「賃金計算事務(年末調整の結果行われる法定調書の作成・提出を除く)は社労士が行える業務であり、全社連がこれを会員に周知する」ことを日税連との間で口頭確認したという。

 ところが、日税連側は「そのような口頭確認をした事実はない」(関係者)という。そこで日税連は全社連に対し抗議しているが、その決着は今のところ付いていない。いずれにせよ、このような経過を踏まえて、全社連の理事会で確認書の調印が承認されたわけだが、同理事会において大槻全社連会長は「もし会員が年末調整事務を行ったことで税理士法違反であるとして告訴された場合は、単に個人的問題ではなく、業際の問題として毅然たる態度で対処する」との決意を表明している。このような強硬な姿勢を見るにつけ、事実関係がどうなっているのか興味深いところだが、付随業務が片付いたら今度は「年末調整」を巡っての新たな“火種”が生じた様子だ。

 なお、全社連は、税理士等が付随業務として行える「租税債務の確定に必要な事務」の範囲についても、「付随業務検討委員会(仮称)」を設置して、早急に検討を行い、具体的な見解を発表することを明らかにしている。

 

 

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