2003年10月10日-001
来年度税制改正の焦点は住宅ローン減税のみ?
政府税制調査会は6日、本委員20名、特別委員16人の新メンバーによる初の総会を開催し、税制改革に向けた議論を再開した。当面、2004年度税制改正の審議が注目されるが、総会後の記者会見で石弘光会長が「住宅ローン減税以外に大きな問題はなさそう」と明言するように来年度改正は小粒なものになりそうだ。
消費税問題は、在任中は税率を引き上げないという小泉首相の任期と新税調の任期がちょうど重なることから、動きずらいものがある。石会長は、任期3年間での議論すべき課題として、1)年金税制のあり方、2)国と地方の税制改革(三位一体改革)における地方への税源移譲、3)納税者番号制度の検討を含めた金融所得の一元化、4)環境税問題の4つを掲げ、消費税は入っていない。
消費税について、石会長は「消費税の中身については随分議論してきた。残るは(税率引上げの)タイミングの問題と税率アップ(上げ幅)の問題」として、「すでに対応してきたという自負がある」と語る。後は政治の判断であって、消費税率の引上げの時期が決まり、景気も上向けば、この3年の間に消費税引上げの関連法案の準備作業に入り得る可能性はあるということだろう。
一方で石会長は、基礎年金の国庫負担引上げの財源問題に関して「公的年金等控除など諸控除の見直しや定率減税(を廃止した分)などで小刻みに充てるのではなく、まとまった財源が望ましい」との考えを示した。消費税が封印されているなかでは難しいが、年金財源と絡めて福祉目的税という形で消費税率引上げを議論することへの期待があるようだ。
来年度税制改正に向けた議論では、年金改革全体の方向が定まらないなかでは当初最大の焦点とみられていた公的年金等控除や老年者控除などの年金課税強化にどこまで踏み込めるのか注目される。唯一、官民一体で要望の強い現行の住宅ローン減税制度が目玉となりそうだ。10年間で最大500万円控除という現行制度は今年12月末で期限切れとなり、来年からは6年間で最大150万円控除と大幅に縮小され、2005年からは制度そのものがなくなる。焦点は、延長する場合の減税規模となる。
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