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税務関連情報 (2005/08/22)

注意を要する役員退職金の損金算入時期

 法人が役員に支給する退職金で適正な額のものは、損金経理を条件として損金算入が認められている。損金算入の時期は、原則として、株主総会の決議によってその額が具体的に確定した日の属する事業年度とされている。ただし、法人が、退職金を支給した事業年度に損金経理をした場合には、仮に株主総会の決議を経る前であっても損金算入が認められることになっている。

 また、退職金が具体的に確定する事業年度より前の事業年度において、取締役会で内定した金額を損金経理により未払金に計上した場合は、その事業年度での損金算入は認められない。その後その退職金が確定した事業年度または退職金を支給した事業年度において、確定しまたは支給した額を確定申告書において損金算入したときは、その退職金を損金経理したものとして取り扱うとされている。

 一方、法人によっては、資金繰りなどの都合で退職金を年金で支払うところもあるが、退職年金は、その年金を支給すべきときに損金算入すべきものとされている。したがって、退職したときに年金の総額を計算して未払金に計上しても損金算入することはできない。この場合、退職年金を支給するつどその未払金を取り崩して退職年金にあてる経理をして、確定申告書において損金算入したときは損金経理が認められる。

 なお、退職金をその額が具体的に確定した事業年度以後の事業年度に支給して、仮払金として経理した場合は、その後の事業年度に、その仮払金を損金経理により消却したとしても、その消却した金額は損金に算入されないので十分留意する必要がある。