国民所得に対する税金の負担割合が「租税負担率」である。税制改正の議論のたびにわが国の租税負担率は欧米諸国に比べ低いといわれ、個人・法人を問わず増税の理由とされるものだ。2002年度のわが国の国税と地方税を合わせた租税負担率は20.9%となっている。当然、税収が多ければ割合は高くなる。バブル期の90年度は27.4%だった。
過去を振り返ると、戦前の34~36年度は13%程度だったが、戦後は昭和20(1945)年代前半の混乱期を除いて20%前後で推移してきた。しかし、76年度以降、租税負担率は次第に上昇し始め、90年度の27.4%をピークに、その後はおおむね20%代前半で推移している。累次の法人税率の引下げや所得税減税、低成長による税収減などの影響といえる。
諸外国と比べた場合、スウェーデンの54.4%(2000年)は論外としても、比較的低いアメリカの26.2%(97年)やドイツの31.2%(2000年)よりもさらに低いことは確かだ。国を支える費用負担という意味では、税金だけでなく社会保障費用も加味したところでの「国民負担率」の比較、さらには財政赤字も加味した「潜在的な国民負担率」での比較が必要だ。
国民負担率では、わが国は租税負担率20.9%に社会保障負担率11.0%を合計すると36.1%で、アメリカ(35.9%)よりはかろうじて高いが、イギリス(51.2%)やドイツ(56.5%)よりはかなり低い。国民負担率と財政赤字対国民所得比を合計した潜在的な国民負担率は、わが国の場合、多額の財政赤字を抱えていることから、47.1%に跳ね上がる。それでも財政赤字がゼロのイギリスやドイツよりは低い結果となっている。