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09年度に賃金改善を実施する企業は08年度比半減へ

経営関連情報 - 2009年02月09日

 帝国データバンクが1月下旬に実施した「2009年度の賃金動向に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万822社)によると、2009年度の賃金動向について、正社員の賃金改善(ベースアップや賞与、一時金の引上げ)が「ある(見込み)」と回答した企業は27.9%と、2008年度見込みを17.1ポイント下回った。一方、「ない(見込み)」は42.0%と、同14.2ポイント上回り、2008年度まで続いていた賃金上昇圧力は急激に弱まっている。

 2008年度実績では、賃金改善が「あった」企業は55.1%と2007年度実績(59.5%)からは若干の減少にとどまった。しかし、2009年度に賃金改善の実施を見込む企業(27.9%)は2008年度実績からほぼ半減していることから、2009年度は景気後退が賃金に本格的な悪影響を及ぼすことが示されている。非正社員の雇用調整が進行するなかで、正社員の賃金・雇用動向も深刻度を増していくとみられている。

 賃金改善を実施する理由(複数回答)は、「労働力の定着・確保」が58.5%でもっとも多かったが、08年1月の前回調査からは10.5ポイント低下した。労働市場の需給がひっ迫していた1年前と比較すると、需給が大幅に緩和している流れが反映される結果となった。次いで、「自社の業績拡大」(34.5%)、「同業他社の賃金動向」(12.8%)、「物価動向」(11.4%)などが続くが、いずれも前回調査を下回る水準となった。

 一方、賃金改善を実施しない理由(複数回答)については、「自社の業績低迷」が76.8%と8割近くに達し、前回調査から8.5ポイント増加。次いで「同業他社の賃金動向」が18.3%となり、2割の企業が様子見の状況にある。さらに、「物価動向」(10.7%)と「内部留保の増強」(10.7%)がほぼ同率となったほか、「人的投資の増強」(7.4%)など賃金水準を抑制して他の目的に振り分ける姿勢がみられた。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0901.pdf