2006年度の法人税法関係法令の改正によって、同族会社であるかどうかを判定する際の「特殊の関係にある法人」については、判定しようとする会社の株主である個人または法人が「他の会社を支配しているかどうか」により判定することとされ、発行済株式総数の50%超保有基準のほかに、議決権の数による判定が加えられた。
具体的には、役員の選任・解任に関する決議に係る議決権や剰余金の配当または利益の配当に関する決議に係る議決権など、一定の議決権のいずれかにつき、その総数の100分の50を超える数の議決権を有する場合には、「他の会社を支配している場合」に該当することとなる。この改正は2006年4月1日以後に開始する事業年度から適用されることとなる。
一方、評価通達188(同族株主以外の株主等が取得した株式)の(1)に定める「同族株主」に該当するかどうかは、課税時期における株主の1人及びその同族関係者(法人税法施行令第4条《同族会社の範囲》に規定する特殊の関係にある個人または法人をいう)の有する議決権割合によって判定することとしている。
しかし、法人税法関係法令の改正によって、特殊の関係にある法人については、改正前の発行済株式数の50%超保有の基準のほかに、議決権の数による判定が加えられたため、課税時期が2006年4月1日以後の場合に、取引相場のない株式を取得した株主が「同族株主」に該当するかどうかを判定する際の同族関係者の範囲をどうするかという疑問が生じる。
そこで、国税庁はこのほど、2006年中に相続や遺贈、贈与によって取得した取引相場のない株式の評価にあたって、「同族株主」の判定をする場合においては、2006年度の法人税法関係法令を改正する前の法人税法施行令第4条に基づき判定をする、という経過的な判定方法を示している。