世界的な不況がホテル・旅館業界を襲うなか、個人消費の抑制傾向が観光産業に影響を与えている。帝国データバンクがこのほど発表した「ホテル・旅館経営業者の倒産動向調査」結果によると、ホテル・旅館経営業者の倒産は、2008年まで3年連続で増加している。2009年1~8月は73件となり、前年同期の84件と比べて13.1%減少しているものの、2005年以降で過去最多を記録した2008年に次ぐ2番目のペースで推移している。
一方、負債総額は減少を続けており、2009年は807億9300万円(前年同期1131億6900万円)と、倒産の小型化が進んでいる。1件あたりの負債額をみると、2005年の20億900万円から、2006年の16億5700万円、2007年の15億1700万円、2008年の11億600万円と小型化しており、2008年と同様の水準で推移している。負債額別にみると、2009年1~8月は「1~5億円未満」が25件、「10~50億円未満」が17件などとなっている。
業歴別にみると、2009年1~8月は「30年以上」が37件と、「老舗倒産」が半数以上を占め、次いで「20~30年未満」が14件(構成比19.2%)、「15~20年未満」が7件(同9.6%)と続く。「老舗倒産」が高水準で推移している一方で、業歴10年未満の倒産は10件発生と増加している。地域別にみると、「関東」が18件でトップ、次いで「中部」が14件、「東北」が12件と続いた。
今後をみると、各種経済指標が軒並み改善を示すなど、国内景気は最悪期を脱しつつあるなか、高速道路のETC限定休日特別割引や、民主党が掲げる高速道路の無料化など、業界にとって好材料はある。しかし、新型インフルエンザの流行による旅行客減少の影響が懸念される上に、出張などのビジネス需要も大幅な回復は見込めないため、ホテル・旅館業界の倒産は、今後も高い水準で推移していく見通しという。
同倒産動向調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p090901.pdf