ゼイタックス

税務関連情報 (2005/03/18)

所定の帳簿書類保管も提示拒否は青色取消しに該当

 最高裁(横尾和子裁判長)は10日、法人税調査において帳簿書類の提示を拒みつづけた納税者に対し、青色申告の承認取消し及び課税仕入に係る消費税額控除を否認して更正した税務署の処分を認める判決を下した。判決では、所定の帳簿書類を保管していたとしても、税務職員による帳簿書類の検査にあたって適時に提示できないような場合の青色取消処分に違法はないとして、納税者の上告を棄却している。

 この事案では、最初の事前通知なしの調査では税理士が調査に立ち会えないことを理由に納税者が調査の延期の申入れがあった。日程調整後の調査で案内された納税者の事務所の会議室には、帳簿種類がダンボールに入れられて積み重ねてあったものの、納税者側からはその提示はなく、税務職員が調査を開始すると、納税者側がビデオ撮影を始め、顧問税理士が調査理由の開示を求めてきた。

 これに対し、税務職員は、所得金額の確認のためとの調査理由を説明し、撮影の停止を要求したが、納税者が応じなかったため、納税者が調査を拒否したものと判断して調査を取りやめた。その後も税務職員は、何度も納税者のところへ訪れて、繰り返し調査に協力して帳簿書類を提示するように求めたが、納税者側が応じなかったため、青色申告承認の取消処分をするとともに、消費税における課税仕入に係る税額控除をしないで税額を算出して、更正処分及び過少申告加算税を課した。

 最高裁は、「青色申告の承認を受けた法人は、帳簿書類を備え付けて取引を記録することはもとより、税務職員が必要と判断したときはその帳簿等を検査して内容の真実性を確認できるような状態で帳簿等を保存すべきだ」と指摘。だが納税者は、「税務調査において適法に帳簿書類の提示を求められ、これに応じ難いとする理由が格別なかったにもかかわらず、その提示を拒み続けた」として、税務署の処分は適法だったと判断している。