2003年11月12日-001
地価下落を活用した新たなビジネスの創出を!
地価の下落が止まらない。国土交通省が9月に公表した7月1日時点の基準地価は全国平均で前年比マイナス5.6%と12年連続の下落となった。今後も地価上昇に転じる可能性は低いが、そう悲観せずに地価下落を活用した新たなビジネスの創出と都市再生を考えていくべきだ、とは三菱総研・主席研究員の鎌形太郎氏の提案である。
高度成長期に一貫して地価が上昇したのは、人口が大きく増加して都市部に流入するとともに、重厚長大型の製造業が急成長し土地需要が増大したからだ。一方、わが国の人口は2006年には減少局面に突入し、工場はアジアに相次いで移転し工場用地の放出が続くことが見込まれるため、物価上昇に転じる可能性は低いと指摘する。
しかし、地価下落を悲観ばかりしている必要はない。地価が安いからこそ可能な土地利用やサービスが実現するからだ。これまで住めなかった東京都心に一般庶民もマンションを購入することができるようになり、郊外にしか出店できなかったファミレスやコンビニ、専門量販店などが都心部に出店攻勢をかけることなどが可能になった。
また、これまで高い地価がネックとなり実現できなかった市街地の道路や公園・緑地の整備、密集市街地の解消などの公共事業が、地価下落により実施しやすくなる。ゆとりのある魅力的な都市再生が可能になる。
最近、東京で、土地の高度利用による大規模開発が話題を集めているが、地価が下落すると、必ずしも土地を高度利用しなくても事業が成立するようになる。市街地において、無理に高度利用を図らず、個性的な個店が街と一体に低層に連なる「ヒューマンスケールな賑わいのある街づくり」を考えていくべきだ、というのが鎌形氏の提案である。
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