企業の売上が上がらない一要因に販売価格の低下があるが、最近の小企業の販売価格動向を調査したのは国民生活金融公庫である。調査結果(有効回答数7274社)によると、1年前に比べ販売価格が「上昇」した企業割合は8.9%、「不変」が52.9%、「低下」が38.2%となった。2002年6月の前回調査と比べ、「上昇」企業割合が6.2ポイント増加する一方で、「低下」企業割合は14.2ポイント減少した。
価格低下の要因(2つまで回答)をみると、「消費者の低価格志向」をあげる企業割合が50.6%ともっとも高い。以下、「売上不振による価格の引下げ」(40.4%)、「販売先・取引先からの値下げ要請」(38.5%)の順となっており、前回調査の傾向に変化はみられない。
業種別では、「消費者の低価格志向」については「飲食店・宿泊業」(82.5%)で、その割合が他の業種に比べ高い。また、「売上不振による価格の引下げ」については「建設業」(66.2%)で、「販売先・取引先からの値下げ要請」については「運輸業」(100.0%)で、それぞれの割合が他の業種に比べ高くなっている。
価格低下についての対策を「講じている」企業の割合は63.1%だった。具体的な対策(2つまで回答)については、「人件費など固定費を削減」する企業の割合が52.2%ともっとも高く、以下、「仕入先・外注先に値下げを要請」(38.3%)、「価格に左右されない製品(商品)・サービスの導入」(33.4%)の順となっている。
今後1年間の販売価格の見通しについては、「上昇」すると回答した企業割合は9.3%、「不変」が60.0%、「低下」が30.7%となった。ここ1年間での販売価格が「上昇」した企業のうち45.6%が、今後1年間にさらに「上昇」すると回答。一方、「低下」した企業のうち59.3%が今後1年間にさらに「低下」すると回答しており、販売価格には二極化の動きがみられる。