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40歳代の持ち家世帯率の低下~内閣府

経営関連情報 - 2009年09月04日

 標題の内閣府レポートによると、住宅投資の基礎統計である「建築着工統計」の新設住宅着工戸数は、07年以降は、改正建築基準法施行や景気後退に伴う雇用・所得環境の悪化などの影響を受けたことから一段と減少し、09年(1~6月の年率換算値)は100万戸を割り込んでいる。こうした中で、住宅のうち、持ち家及び分譲住宅の着工戸数も、96年をピークに減少傾向で推移、新設住宅着工戸数が減少を続ける一因となっている。

  減少が続く持ち家及び分譲住宅の着工戸数について、7月28日公表の総務省「平成20年住宅・土地統計調査速報集計結果」により、持ち家世帯率(建築着工統計と異なり、分譲住宅も持ち家に含まれる)をみると、60.9%と、前回03年調査と同水準であり、持ち家及び分譲住宅の着工の減少は、世帯数の増加ペースが鈍っていることが主因と推測できる。しかし、変化していないように見える持ち家世帯率も詳細にみると変化が生じている。

 家計を主に支える者の年齢層別に持ち家世帯率の変化をみると、持ち家世帯率が高まる40歳代において、前回調査対比では持ち家世帯率の低下がみられる。そこでレポートは、全体の持ち家世帯率の変化を、各年齢層の世帯数変動による要因(年齢層別構成比寄与)と、各年齢層の持ち家世帯率の変動による要因(年齢層別持ち家率寄与)への分解を行っている。

 まず、年齢層別の構成比寄与をみると、持ち家世帯率の高い50~54歳の層において、団塊の世代の層が抜けたことによる低下要因がある一方で、持ち家世帯率の低い35歳未満の年齢層の減少及び持ち家世帯率の高い60歳以上の年齢層の増加が上昇要因となり、構成比寄与全体としては持ち家世帯率を上昇させる要因となっている。対して、年齢層別の持ち家率寄与は、40歳代を中心に持ち家世帯率を低下させる要因となっている。

 結果として、全体の持ち家世帯率は横ばいとなっている。政府が08年から09年にかけて打ち出した一連の経済対策には、住宅ローン減税の拡充、贈与税の軽減、住宅ローンの借入支援などの、住宅取得の支援策も盛り込まれている。レポートは、今後、これらの政策の効果が40歳代を中心とする持ち家世帯率にどう影響するかに注目している。