宗教法人が行うペット葬祭業が収益事業に当たるかどうかが争われた事件で、最高裁第2小法廷(津野修裁判長)は12日、原告である慈妙院(愛知県春日井市)の上告を棄却する決定を行い、収益事業として法人税を課した税務署の処分を認めた。ペット供養に対する課税について最高裁が判断を示したのは初めてだが、今年7月に寺院が行うペット等の遺骨の保管施設は宗教施設に当たるとの最高裁判決もあり、議論を呼びそうだ。
判決によると、慈妙院は、1983年ころからペット葬祭業を始め、死亡したペットの引き取り、葬儀、火葬、埋蔵、納骨、法要などを行い、飼い主から動物の重さや火葬方法との組合せにより8000円~5万円の供養料を受け取るなどしてきた。これに対し、税務署は、慈妙院のペット葬祭業は収益事業に当たるとして、2001年3月期までの過去5年間の法人税など約670万円の課税処分を行った。
そこで慈妙院は、ペット葬祭業は利益を追求しない宗教行為なのに、収益事業とみなして課税するのは不当だとして、課税処分の取消しを求めたわけだ。判決は、民間業者との課税の公平性の確保などの観点から、「サービスに対する対価性や喜捨等の性格の有無、宗教法人以外の一般業者との競合関係などから社会通念に照らして総合的に検討して判断するのが相当」との考えを示した。
その上で、「慈妙院が受け取る供養料等はサービスの対価性があり、お布施などの喜捨等の性格はなく、また、内容や料金等の定め方なども一般事業者と基本的に同じで、競合関係にある」と指摘。「依頼者の要望に応じてペットの供養をするために、宗教上の儀式の形式により葬祭を執り行っていることを考慮しても、このペット葬祭業は、収益事業に当たると解するのが相当」との判断を示している。