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経営関連情報 (2004/03/22)

海外事業成功のポイントは

 いまや海外進出する中小企業も相当数にのぼるが、進出国の法制度や国民性の違いなどからうまくいかず、やむなく撤退する企業も少なくない。信金中央金庫総合研究所が海外投融資情報財団の協力を得てこのほど発表した分析レポートでは、撤退企業を含む海外進出した企業の実態を調査し、海外事業成功のポイントを探っている。

 それによると、まず海外事業から撤退した企業の事例を調査した結果、撤退した内部要因として、進出前段階における不明確な進出目的(例えば、本業と異なる事業分野での進出など)、実行可能性に対する読みの甘さ、事業環境調査・市場調査の不足などをあげている。これらの要因は、慎重な判断と事前準備の徹底により、回避可能な場合もあるとしている。

 また、外部要因としては、最近のSARS騒動のように、事業開始後の外部環境の変化が需要減少・販売不振をもたらし、進出企業に大きな打撃を与えることがある。また、合併パートナーの販売戦略変更、日本本社のその事業の縮小など、事業者がコントロールできない要因が発生することもある。ほかにも、投資先国における突然の法制度の変更やインセンティブの法的効力欠如などは、事業者にとって予測不可能である場合が多い。

 一方、海外で事業を継続している企業が取り組んでいる事業戦略の共通点として、1)各社とも原料・部品調達コストや在庫コストの低減に取り組んでいる、2)優秀な人材の流出を防ぐため、処遇改善や低金利の貸付けを行っている、3)代金回収の厳格化・早期化にはキャッシュ・オン・デリバリーを導入することが多い、などをあげている。何よりも、合弁パートナーとの良好な関係が、事業成功のカギと強調している。

 直接投資先として人気の高い中国だが、同国における事業の難しさを痛感している日系企業は多い。朝令暮改の法制度の変更や当局への対応では、信頼にたる弁護士やコンサルタントの支援を仰ぐことも得策。代金回収の不安はなかなか払拭されず、各社で対策を講じる必要があるほか、製造業では地場産業による製品コピーの問題が顕在化し、日系企業の脅威となっている。中国の改善への対応は遅れており、進出企業としては引き続き注意しなければならないと警告している。

 レポートの詳細は↓
 http://www.scbri.jp/PDFasiagyou/scb79h15q027.pdf