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税務関連情報 (2006/09/11)

初めて見送られた政府税調の中期答申

 政府税制調査会は5日に開いた総会で、その時々の税調が3年ごとの任期前に取りまとめる中期答申を今回は見送ることを決めた。中期答申を出さないのは、今の税調が発足した1962年以降初めてのこと。中期答申を出さない代わりに、次期税調に対するメッセージとして、過去3年間議論してきた税制改革の主要論点を盛り込んだ「会長談話」を、明日12日の総会終了後に公表する予定という。

 石弘光会長は総会後の記者会見で、中期答申を出さなかった理由について、「今無理して意に満たないものを出すよりは、いろいろ批判はあるが、将来きちんとしたものを出すべきだという選択をした」と語った。自民党総裁選を直前に控えているという政治的な意味合いで見送ったという理由もあるが、あくまでも「きちんとした税制改革の全体像を示すため」という積極的な答申延期の理由を強調した。

 また石会長は、来るべき税制改革について、「バブル崩壊後に税制がかなり傷ついてきたから、それを修復して今後の少子高齢化や財政再建をにらんだ公平で中立的な税制を作ることが大きな狙い」と語り、「時間的な問題と世に問うタイミングの問題で、将来のあるべき時期に延ばすのはやむを得ない」との考えを述べた。

 政府・与党が7月に示した骨太方針(歳出・歳入一体改革)では、歳出面ではかなり細かい方針が示されたが、歳入改革では増税の幅が大まかに示されただけで、消費税率引上げの幅や時期は具体的に示されなかった。歳入改革のための税制の再構築の議論が今後本格化する時期に併せて「まだ欠けている税制全体としての議論」(石会長)を重ねる必要があるということになる。

 次の中期答申のベストタイミングは、現税調の任期が切れる10月5日後の次期税調の任期の後半以降とみられている。