中小企業庁が11月上旬から中旬にかけて実施した「原油価格上昇による中小企業への影響調査」結果(有効回答数1133社)によると、原油・石油製品の価格上昇によって「収益に影響がある」と回答した企業割合は、今年7月の前回調査(89.7%)から2.8ポイント拡大し、92.5%と9割を超えた。内訳は、「収益を大きく圧迫」が37.5%、「収益をやや圧迫」が55.0%となっており、「大きく圧迫」との回答が6.6ポイントも増えた。
業種別にみると、「窯業・土石製品」、「石油製品」、「パルプ・紙製品」、「出版・印刷」、「クリーニング」、「運輸」、「繊維工業」などは、9割以上の企業が「収益が圧迫されている」と回答。また、原油・石油製品価格のコスト上昇分について、自社の製品・サービス等への価格転嫁の度合いをみると、「価格転嫁困難(20%以下)」な企業の割合は、低下傾向から反転し、前回調査よりも2.3ポイント増えて88.9%と高水準にある。
自社の製品・サービス等への価格転嫁の度合いの内訳は、まったく転嫁できていない「0%転嫁」の企業が前回調査から2.1ポイント増の61.1%、「1~20%転嫁」の企業が同0.3ポイント増の27.9%となっている。販売価格への転嫁の今後の見通しは、「転嫁は困難」とする企業が56.1%、「やや困難」とする企業が39.1%となっており、合わせると95.2%にのぼる企業が今後とも転嫁が困難と感じている。
中企庁は、今回の調査結果を踏まえ、関連中小企業者への金融対応策として、1)政府系金融機関からの借入金に係る既往債務に対し、個々の中小企業者の実情に応じて返済条件緩和を実施、2)政府系金融機関・民間金融機関に対し、原油等の価格上昇に伴う影響に配慮するよう要請する。また、関係事業者団体に対し、原油等の価格上昇に伴う下請事業者への配慮を行うよう要請するなど、新たな対策を講じている。