静岡県と県内市町村が共同で設置する静岡地方税滞納整理機構は、今年度、市町・県から移管された事案について、今年6月から7月末までの2ヵ月間で、約2.1億円の徴収実績(約束納付を含む)を上げ、市町・県による移管予告の効果も含め、約21.5億円の成果を上げたことを公表した。同機構は2008年4月に発足し、単独の市町村では解決が困難な地方税の滞納事案を専門的な能力を持つ機構に移管して徴収率を上げることが目的。
初年度(2009年5月末までの1年2ヵ月)は897人(社)・34.5億円分の案件が移管されたが、目標額35億円を大きく上回る18.0%増の41.3億円の実績を上げた。直接徴収分(8.3億円)と納付約束の取り付け額(2.0億円)が合計で10.3億円だったのに加え、市町・県の移管予告による自主納付等が、目標額20億円を55.0%も上回る31億円にのぼるというアナウンス効果が顕著だった。
今回の数字は2009年度も同様の効果が継続中であることを示している。7月末現在で875人(社)・24.8億円分が機構に移管されているが、直接徴収等で2.1億円、移管予告による自主納付効果で19.4億円の合計21.5億円という数字だ。市町村別では、沼津市が1億7400万円分の移管額に対し2億8200万円、焼津市では6200万円の移管額に対して2億2900万円の効果を上げていることが目を引く。
県税の滞納額については、市町が賦課徴収権限を持つ個人県民税の割合が全体の55%を占めており、これらの滞納額は、税源移譲に伴う課税額の増加によって、さらに増加することが予想される。このような状況下、地方税の滞納額を効果的に縮減するためには、市町と県が連携して滞納整理に当たっていくことがもっとも効果的との考えから、徴収困難事案の滞納整理業務を行う組織として、静岡地方滞納整理機構が設立された。
同機構は、弁護士などとの連携のもと、滞納者に対する財産調査と差押さえ、公売による換価などに取り組んでいる。近年、こうした全県ぐるみの滞納整理機関の設立が増えているが、先行事例の好結果が拍車をかけている。