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小規模宅地等の特例を見直し、非継続は廃止

税務関連情報 - 2009年12月07日

 政府税制調査会は、2010年度税制改正において、相続税における小規模宅地等の課税の特例を見直す方針であることが明らかになった。同特例は、相続等によって取得した宅地が被相続人や被相続人と生計を一にしていた親族の事業用や居住用の宅地であった場合には、一定面積までの部分は通常の方法で評価した価額からそれぞれの区分に応じ80%または50%の割合に相当する金額を減額するというもの。

 政府税調は、同特例は相続人による事業等の継続に配慮して設けられた租税特別措置であるが、現行では、相続後に事業等を継続しない場合など、制度の趣旨に照らして必ずしも的確とはいえない場合でも一定の減額を受けることが可能なことから、見直しを行う考えだ。まず、現行では、宅地や事業を継続しない場合でもその宅地等について200平方メートルを上限に50%を減額しているが、この非継続への軽減措置は廃止する。

 次に、居住や事業を継続する場合は、400平方メートルを上限に80%を減額するが、この要件を満たす者と満たさない者が、宅地を共同相続する場合は、取得者ごとに適用要件を判定する。例えば、被相続人の居住用宅地を配偶者と居住しない子どもが相続する場合、現行では、配偶者は80%減額、居住しない子どもは50%減額か共有の場合は居住しなくても80%減額となる。そこで、居住しない子どもに対する軽減措置は廃止する。

 また、宅地の上に存する一棟の建物のうちに、居住用と貸付用がある場合は、用途ごとに適用要件を判定する。現行では、居住用の宅地は240平方メートルまで80%減額、貸付用は200平方メートルまで50%減額だが、例えば、居住用部分が4分の1、貸付用部分が4分の3といった場合でも、建物の一部に居住用があれば、全体が80%減額となる。これを、用途ごとに居住用は80%減額、貸付用は50%減額へと見直す。

 そのほか、「被相続人等が居住の用に供していた宅地等」が複数存在する場合には、「被相続人等が主として居住の用に供していた一の宅地等」が同特例の適用対象であることを明確化する考えも明らかにしている。