落し物(拾得物)に関する取扱いを定めた遺失物法の全面改正を目指す改正案が国会で審議されている。遺失物法は1889(明治32)年に制定され、実質的な最終改正は1958(昭和33)年だから成立すれば48年ぶりの改正となる。法案には、拾得物の保管期間(所有移転期間)を現在の6ヵ月から3ヵ月に短縮するほか、拾得物の情報のデータベースを作りホームページ上で公開し、検索を可能にすることが盛り込まれている。
現在、拾得物は警察署単位で取り扱われていることから、遺失場所がわからない場合や遺失と拾得の届出先が違う場合には発見が難しかった。そこで、拾得物を都道府県内で集約化し、拾得物の取得日・取得場所などの情報をインターネットなどにより住民に公表する。貴重・高額な拾得物については全国手配を実施する。こうして、遺失場所がどこでも拾得物を見つけることができる仕組みを構築する。
一方、2004年の1年間に警察で取り扱われた拾得物は約1070万点にのぼり、多額の保管費用がかかっているという。そこで、保管期間を短縮するほか、傘・衣類・自転車など大量・安価な物件や保管に不相当な費用がかかる物件については、2週間以内に返還できないときは売却などの処分ができるようにする。犬と猫については、遺失物の対象とせず、改正後は保健所や動物センターなど自治体の施設に引き渡す。
また、情報化社会の進展に伴い、個人情報が記録された携帯電話や各種カードなどの拾得物が増えていることから、個人の一身に専属する権利や個人の秘密が記録された文書等については、拾得者が所有権を得られないことにする。そのほか、拾得物の差出件数の約8割を占める鉄道事業者など施設占有者については、高額な物件を除き、警察署長への提出を免除し、届出のみで足りることにする。