2008年度税制改正では、人材投資促進税制(「教育訓練費の額が増加した場合の特別控除制度」)が拡充される。厳しい経営状況のため、人材投資を継続的に増加させることが困難な中小企業について、教育訓練費の増減に関わらず、適用事業年度の教育訓練費の総額から税額控除する簡素な制度(「総額型」)に拡充する。一方で、大企業分については、2008年3月31日の適用期限をもって廃止する。
現行制度は、その年度の教育訓練費が、直前2年間に損金算入された教育訓練費の平均額を超えた場合には、その超過額の25%を税額控除(法人税額の10%が上限)するというもので、継続的な教育訓練費の増加が要件となる。また、3年分の帳簿から教育訓練費を洗い出す手間が必要であり、中小企業にとっては使いにくい制度との指摘があることを受け、教育訓練費の増減に関わらず適用できる制度とする。
具体的には、中小企業について、適用事業年度(単年度)の労働費用(給与、法定福利費、教育訓練費)に占める教育訓練費の割合が0.15%以上の場合は、その割合に応じて教育訓練費の総額の8~12%に相当する額を税額控除する仕組みに改められる。例えば、1人あたり労働費用を450万円とすると、その0.15%相当額は6750円だから、従業員数が10人の場合、総額6万7500円以上支出すれば減税対象となる。
労働費用に占める教育訓練費の割合は、2006年で全企業平均0.33%のところ、中小企業は0.18%であり、90年代に落ち込んだまま横ばいとなっており、中小企業の生産性向上のため、人材投資の底上げを図る。経済産業省では、人材投資促進税制の拡充によって、中小企業の教育訓練費を上昇軌道に乗せることができると期待しており、減収額の約1.31倍~1.47倍の教育訓練投資の増大効果があるとの試算を示している。