商品券・ギフト券市場は、景気低迷による企業の販管費の削減や個人消費の低迷などにより発行額が減少傾向にある。2003年度の発行額は前年度比1.8%減の1兆800億円になる見込み。矢野経済研究所が27日に発表した市場の実態と展望では、今後の市場の活性化を担うのは新型ギフトカードだと予測している。それは、米国で急速に普及しているキャッシュカードなどと同じプラスティックカードを使用したギフトカードだ。
市場の動向をみると、主に収益事業として発行され、多数の第三者企業(小売業者など)を加盟店とする「汎用商品券・ギフト券」のシェアが高まっている。一方、小売業者などの企業が販売促進のために発行する「独自商品券・ギフト券」や、業界団体が販売促進を目的に、多数の傘下企業を加盟店として発行する「業界共通商品券・ギフト券」のシェアは低下しており、より現金に近い商品券・ギフト券に対するニーズが強まっている。
全体の発行額が減少傾向にあるのは、現在の商品券・ギフト券は紙が主流(発行額の90%以上)であることから、手作業や厳重な管理が必要なためにオペレーションコストが高く、偽造被害の増加問題などから発行意欲が失われていることが一因である。さらに、券自体に価値を持つことから販売方法も制限されるなど、紙式の商品券・ギフト券では新たな発展は望めない状況にある。
今後、従来の商品券・ギフト券と比べ多くのメリットがある新型ギフト券が2005年度から本格的に普及していくと予想される。ただし、フォーマルなギフトシーンでは今後も紙式が利用され、新型ギフト券は、個人のカジュアルなギフトシーンを中心とした需要拡大により、発行額は増加に転じると予想されている。
なお、新型ギフトカードは、利用可能額の情報をカード媒体ではなくホストシステムで管理していることから、1)店頭で陳列販売が可能、2)オンラインショップでも使用可能、3)カード自体に価値を持たないため、偽造等に対するセキュリティが高い、4)販売及び使用時にすべてデータ処理されるため、オペレーションコストが安い、5)再入金や盗難・紛失時の再発行など追加サービスが提供可能、など多くのメリットがある。