東京税理士会が発表した2007年度税務調査アンケート集計結果によると、回答した694会員が2007年6月までの1年間に受けた調査件数は計2484件で、1人平均3.6件と前年度から0.1件減少した。また、調査日数は短縮傾向にあり、「1日」は20.3%で前年度比0.9%増だが、「2日」が54.0%、同4.3%増となった。一方、「3~4日」が17.1%、同1.6%減、「5日以上」が8.6%、同1.8%減と、3日以上にわたる調査は減少傾向だ。
調査日数が短縮傾向にあるのは、国税当局が数年前から導入した着眼調査が増えているためとみられている。着眼調査は、資料情報や事業実態の解明を通じて申告漏れ所得の把握を短期間で行うもので、実地調査ではあるが、特別調査・一般調査と簡易な接触の中間に位置づけられる。実地調査の対象としては不正度が少ないが、簡易な接触で済ますことはできない程度のものが対象となるため、必然的に調査日数は短くなる。
調査にあたって事前に通知があったものは93.4%で前年度より2.1%減少し、ここ数年では初めて事前通知の割合が減少した。また、調査内容については、「帳簿・証ひょう」の調査を基本とする傾向が94.1%と、ますます顕著になっている。税理士の調査立会い件数は全体の95.5%を占めた。立ち会わなかった主な理由は、例年同様、調査が重なったことや事前に通知がなかったなどのほか、電話での説明で解決したとの回答がみられた。
一方、調査結果をみると、「申告是認」が23.3%で、前年度から1.0%減少し、「更正」も1.8%で同2.1%減少した反面、「修正申告」は同3.1%増の74.9%と7割を超えている。修正申告及び更正のうち重加算税処分となったものは、同2.1%増の23.6%となっている。また、申告是認のうち、書面で通知があったものは9.4%と前年度より2.2%減少し、今後より一層、書面での通知が励行されることが期待されるとしている。
なお、調査総件数における調査官の態度は、「よい」が43.8%(前年度比2.6%増)、「悪い」が6.5%(同0.1%増)。よい例としては、法令に則った指摘で納得できた、効率がよかったなどであり、悪い例では逆に、法令解釈に無理がある、知識不足、納税者(税理士)の説明を聞かない、効率が悪く長期間の調査となった、ビジネスマナー(高圧的態度、言葉づかい、挨拶、喫煙など)に欠けるなどが目立った。