経済危機対策関連法案は、すでに衆院で可決され現在参院で審議中だが、参院で否決されても憲法の規定による「60日ルール」により7月中には再可決される見込みだ。追加減税法案には、500万円までの住宅取得資金は非課税となる贈与の特例が盛り込まれている。この特例は、暦年課税(非課税枠:年110万円)または相続時精算課税(同:住宅の場合は3500万円)の非課税枠に上乗せできるが、誤解も少なくない。
贈与税の非課税枠500万円は今年と来年の2年間を通じて上乗せできるが、例えば、2年間に暦年課税に上乗せした場合、実父母と実祖父母の4人から500万円ずつ贈与を受ければ2220万円まで非課税となると考える向きもある。しかし、非課税枠はあくまでも500万円までなので注意したい。また、相続時精算課税制度は父母からの贈与に限られるため、祖父母からの贈与の場合は暦年課税に上乗せしての適用に限られる。
一方、相続時精算課税を適用した場合、従来の非課税枠と合わせて4000万円まで非課税となるが、相続時点で4000万円まるまるが課税価格となると考え、暦年課税を適用したほうが有利とみる向きもある。しかし、「贈与によって取得した住宅取得等資金のうち500万円までの金額については、贈与税の課税価格に算入しない」と規定されていることから、精算課税で課税価格に取り込まれるのは3500万円だけとなる。
同様に、この贈与の特例を適用して、贈与後3年以内に贈与者に相続が発生した場合の取扱いにおいても、相続財産には課税されない。なお、特例の対象となる住宅については、自己の居住用家屋の新築もしくは取得か、自己の居住用家屋に対する一定の増改築とされており、床面積要件のほか、中古住宅の場合には築年数要件が設けられる見込みだ。一定の増改築については、従来の特例と同様の要件が設けられるようだ。