経 営 関 連 情 報 |
2002年11月15日-002
なぜ企業・人はルールを破るのか
このところ、大企業や有名なブランド企業から中小企業まで企業不祥事が続発している。企業人が一般人に比べ倫理観や順法精神が劣っているとは考えられない。どこに原因があるのかが分かれば、不祥事再発の役に立つ。中小企業金融公庫だよりのなかで、千葉商科大学の藤江俊彦教授がその原因を考察しているので紹介しよう。
藤江教授は、企業不祥事の続発の問題の本質は、倫理や法令を頭ではよく分かっていながら、それを破るところにあるという。そして、人がルールを破るケースとして、次の5つのパターンを示している。
1)ルールそのものを知らない場合
2)ルールは知っているが、その内容に納得がいかない場合
3)そのルールを破ったとき、処罰規程がないか、あっても軽い場合
4)ルールーを破ったときのハンディより得る利益のほうが極めて大きい場合
5)事実上ルールを守るものが少ない(みんながやっている)場合
この5つの問題をひとつずつ地道に解決する方法を具体的にとらなければ、不祥事防止への実効性はあがらないと指摘する。例えば、1)の場合は法令その他についての情報収集や学習不足が原因、2)では業界関係者とともに大いに議論し、専門家の意見も聞いてルールの理解や、あるいは見直しを求める活動をする必要がある。
また、処罰規程の軽さ等が問題であれば、改正や新たな規定作りが必要だ。ルール破りでのリターンが極大化してしまう場合は、それを上回る規制が必要かどうかの検討と、違法なリターンが得られない仕組み作りが求められる。最後の守るものが少ない状況は、上記の4つの理由のいずれか、あるいは複数の理由が重複していることが多いことから、効果的な解決策を探り、実行するしかないという。
精神的な道義性や遵法性を強調することは大切だが、その際には行動憲章や綱領の形でまとめ、トップが率先して社員に示さなければならない。また、経営理念の共有化や会社に浸透させるためのコミュニケーションは極めて重要だと指摘している。
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