税 務 関 連 情 報

2002年07月05日-002
日本総研、小泉構造改革に対する「民間版骨太方針」公表

 日本総合研究所はこのほど、同社が3月に発表した税制改革に関する提言の総仕上げとして、「税制抜本改革のグランド・デザイン~小泉改革に求められるもの~」と題したレポートを公表した。このレポートは、1)与党税調、政府税調、経済財政諮問会議の役割分担を短期・中長期の時間軸の観点を踏まえて示している、2)税制改革全体のグランド・デザインを、具体的な数字で中長期的な改革のタイムスケジュールも含めて示している、3)税制改革のみならず、財政構造改革、社会保障制度改革、国と地方の財源移転システム(補助金・交付金)と税制改革の姿を一体的に示している、などの意味で小泉構造改革に対する「民間版骨太方針」と位置付けている。

 その主な内容は以下の通り。

1)今後10年間でのプライマリー・バランス改善は極めて困難ないばらの道。財政赤字削減のための増税はすべきではなく、あくまで歳出削減を中心にすべきだが、社会保障の自然増や制度改革に伴う負担増についてはやむを得ない。

2)2025年度時点での社会保証のコスト負担増は想像を絶する大きさ。国民全体が広く負担を分担する必要があるが、所得税の大幅増税は非現実的であり、消費税率引上げを中心に財源不足を補う必要がある。将来の消費税率の引上げは不可避だが、現行の手厚い社会保障制度をスリム化・効率化する努力は欠かせない。

3)国と地方の税・歳出構造、補助金・交付金制度の抜本改革は緊急課題。日本総研では、国・地方の歳出を各々10兆円規模で削減、交付金・補助金を各々4兆円ずつ削減することが必要と提言。地方の自主財源拡充は、個人住民税、地方消費税等、地方行政サービスの主たる受益者である個人の負担増を中心に考えるべき。

4)日本経済の再生のためには、企業活力の向上、企業の国際競争力向上を目指した税制改革が不可欠。中長期的には、OECD諸国平均の半分以下にとどまっている家計負担(税+社会保険料/名目GDP)をOECD諸国並みまで引き上げ、現行OECD諸国並みの企業負担をこれ以上引き上げないトータルの改革が不可欠。これによって、初めて2025年時点の潜在的国民負担率(国民負担率+財政赤字)のレベルを50%以下に抑制することが可能だ。

 

 

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