3月の国内企業物価は前年比3.9%の上昇となり、1981年2月以来27年1ヵ月ぶりの上昇幅となった(「企業物価指数」日本銀行)。こうした国内企業物価の上昇を分析したのは、内閣府のレポートである。それによると、3月の国内企業物価の上昇は、原油や穀物価格の高騰によって、石油・石炭製品や加工食品、鉄鋼などがプラスに寄与していることが要因とみている。
また、国内企業物価を需要段階別にみると、2007年以降、川上の素原材料や中間財が大幅な上昇傾向にあるなかで、川下の最終財は低位安定している。原油高などのコスト増が、最終財の価格に十分転嫁されておらず、中間財までの段階で吸収されている。もっとも、最終財について業種別にみると、石油・石炭製品や加工食品等がプラスに寄与しており、これら製品では最終財への価格転嫁がなされているとみている。
これに対して、情報通信機器や電気機器等は、半導体の下落や技術革新等によりマイナスに寄与している。こうした業種別の動向について、コスト面からの価格上昇圧力をみるために、生産物の投入構造を比較してみると、石油・石炭製品や加工食品では、素材原料を多く使用する素材業種からの投入割合が比較的高い。このため、素原材料コストの上昇に伴う製品価格の上昇圧力が高いとの考えを示している。
一方、情報通信機器や電気機器では素材業種からの投入割合が相対的に低いため、製品価格の上昇圧力も低いとみている。以上により、石油・石炭製品や加工食品等では原油高等のコスト増により最終財価格が上昇しやすいものの、情報通信機器や電気機器等では下落が続いており、最終財合計としては、わずかな上昇にとどまっている。レポートは、今後とも国内企業物価の動向について注視していく必要があるとしている。