税 務 関 連 情 報

2003年06月06日-002
国民負担率が導く消費税率引上げと個人課税強化

 いま社会保障制度改革をめぐる議論のなかで、経済活力を維持するためには潜在的な国民負担率を50%程度に抑える必要があるとの意見がある。国民負担率とは国民所得に占める税金や社会保険料負担の割合である。これに、将来の税負担となる財政赤字分を含めた割合が潜在的な国民負担率となる。わが国の現在の潜在的な国民負担率は2003年度予算ベースで47.1%。50%という数字まで、すでに余裕はないのだ。

 その内訳は、租税負担率が20.9%、社会保障負担が15.2%、財政赤字分が11.0%で、計47.1%となる。国際比較(数字の順序は租税負担率、社会保障負担、財政赤字分、潜在的な国民負担率)では、アメリカ(1997年)が、26.2%、9.8%、1.1%で、計37.0%、イギリス(2000年)が、41.4%、9.8%、2.2%(黒字)で、計51.2%、ドイツ(2000年)が、31.2%、25.3%、1.6%(黒字)で、56.5%などとなっている。

 わが国の租税負担率20.9%は主要先進国中、最も低い水準にあり、特に個人所得課税と消費課税の負担率が低いことが特徴だ。わが国の租税負担率の内訳は、資産課税等3.6%、消費課税7.0%、法人所得課税4.2%、個人所得課税6.1%だ。消費課税は、アメリカの5.6%(小売売上税)を除けば、イギリス16.2%(税率17.5%)やドイツ14.6%(同16%)、フランス16.2%(同19.6%)などとなっており、わが国の負担率は低い。

 さて、すでに47.1%に達している潜在的な国民所得率を50%程度に抑えて、わが国が財政再建・社会保障制度改革を進めるとしたら、選択肢は限られている。あくまでも先進諸国との比較の上だけの話だが、財政赤字や社会保障負担を減らして、消費課税と個人所得課税に負担を求めることになる。そこで、わが国の今後の税制改革の基本方向は消費税率の引上げと個人課税の強化となるわけだ。

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