2003年06月11日-003
65歳未満の親からの贈与でも精算課税を適用
生前贈与の促進策として2003年度税制改正で導入された相続時精算課税制度は、65歳以上の親から20歳以上の子供への贈与に限られるという年齢制限がある。65歳未満の親は、制度を活用して子供に生前贈与したいと考えても規定年齢まで待たなければいけないことになる。ところが、65歳未満の親からの贈与でも精算課税制度を適用できる方法があるのだ。
それも、正々堂々と―。相続時精算課税に係る住宅取得資金の特例を利用すればいいのである。同特例は、住宅取得資金の贈与を受ける場合、65歳未満の親からの贈与でも適用でき、通常の非課税枠2500万円に1000万円を上乗せした3500万円が特別控除される。この場合、贈与される子供の年齢は20歳以上という制限は同じだが、贈与する親の年齢制限はないのだ。
一方、改正相続税法によると、相続時精算課税制度の適用を一度受けた場合は、その適用を取りやめることができず、住宅取得資金の特例の場合もこの規定が準用される。つまり、一旦住宅取得資金の特例の適用を受けたら、贈与を受けた子供の意思に関係なく、その後の生前贈与はすべて精算課税の対象となるわけだ。
当初の贈与は住宅取得資金でなければいけないという条件があり、もし、子供がすでに家を持っていたら使えないのかというと、そうでもない。特例は、住居の取得資金だけでなく、一定の増改築のための資金でも構わない。増改築の工事費用が100万円以上などという要件があるが、65歳未満の親で精算課税が使えるとなれば安いものだ。すでに住居を持っていても、生前贈与を機会に増改築すれば済む。
このように、65歳未満の親からの贈与でも精算課税が受けられるわけだが、どうして一般の相続時精算課税制度に親は65歳以上などという制限を設けたのか疑問だ。住宅取得のために制度を利用した人は優遇することにほかならないから、政府は、住宅取得促進、ひいては経済活性化の一助になることを強く期待しているということだろう。それにしても、“金持ち優遇税制”と感じるのは庶民のひがみだろうか…。
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