企業倒産の沈静化が目立つ2005年だったが、一方で、業歴30年以上の企業倒産、いわゆる“老舗倒産”の構成比が前年度比0.4ポイント上昇の26.3%を占め、最近10年間でもっとも高い比率となったことが、東京商工リサーチが実施した「2005年都道府県別業歴30年以上の企業倒産構成比調査」でわかった。1996年は12.6%に過ぎなかった老舗倒産の構成比は、年々上昇し、2005年には倍増したことになる。
都道府県別に老舗倒産の構成比をみると、トップは「新潟県」の46.7%、次に「長野県」(42.8%)、「香川県」(41.3%)、「富山県」(40.9%)の順。構成比が30%を超えたのは24道県で、前年より4県増えた。一方、構成比が低かったのは、「沖縄県」(13.7%)、「京都府」(14.5%)、「大阪府」(18.3%)、「埼玉県」(20.6%)、「神奈川県」(21.0%)と続く。前年より構成比が上昇したのは、13.3ポイント増の「熊本県」をはじめ29道県だった。
調査結果からみると、業歴の長い「老舗企業の倒産」は地方の問題であることがわかる。一般的には、創業からビジネスモデルが確立し、“死の谷”を超え、収益が安定的に見込まれるようになり、業歴が長くなるほど倒産確率は低下する。しかし、昨今では、地方銀行が、販売不振が続く取引歴が長い老舗企業に対して不良債権処理を進めている。このことが、地方の老舗企業の倒産を招いている。
東京商工リサーチは、不良債権処理のヤマ場は大手銀行から地方銀行にシフトしており、そのターゲットとなる取引先は首都圏ではなく地方なのだと分析している。なお、会社設立(または創業)から半世紀を経た、業歴50年以上の老舗企業倒産は、2005年には686件(構成比5.2%)発生している。