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税務関連情報 (2005/05/27)

不動産所得や一時所得など所得区分の整理・集約化

 今後の税制改革のなかで個人所得課税の抜本的見直しの一環として、所得区分が整理・集約化される方向にある。現行での個人の所得は、給与所得や事業所得、山林所得など10種類に区分され、それぞれ個別に所得金額を計算することになっているが、この種類と税負担のあり方が議論の対象となる。こうした方向のなかで、特に俎上に上がっているのが不動産所得と一時所得だ。

 不動産所得の沿革をみると、1940年に区分設定された不動産所得は47年に同居親族の所得の全面的な合算制度の導入があって区分が廃止されたが、50年に資産所得の合算課税制度が導入されて区分が再定義された。財産に関しては一家共有しているという意味で資産合算という制度が導入され、その対象として不動産所得が入ってきたわけだ。ところが、この資産所得の合算課税制度は89年に廃止される。

 そうなると、全部不動産所得であるプロの不動産屋さんの所得は事業所得であり、それ以外の個人の不動産所得は雑所得のなかに入れて十分対応できるという意見が出てきた。そもそも資産合算がなくなった以上は、そのとき作った不動産所得を残しておく理由がない。と同時に、「不動産所得は事業所得と雑所得の両要素を持っているのだから分解してもいい」(石政府税調会長)ということになる。

 また、一時所得については、競馬・競輪などの払戻金や懸賞金など労務・役務の対価がない所得だが、担税力があるのに非常に優遇されている。一方、雑所得は、所得区分のいずれにも該当しないもので、公的年金等以外に原稿料や講演料など、ある意味で見返りのものである。そうみると、一時所得の性格からみて、特別控除額50万円を引いた上で2分の1課税という優遇をせずに、雑所得と一体化して考えてもいいという意見がある。

 以上のように、現行10種類の所得区分のなかで、不動産所得、一時所得、雑所得の3つが存廃を含めて議論される。と同時に、雑所得のなかに入っている公的年金等の比重が非常に大きくなっていることから、年金所得として別に区分する案も浮上している。また、配当所得と利子所得についても、金融所得課税の一元化の議論とのからみで見直される余地があり、今後は所得区分の整理・集約化が進む公算が強い。