経 営 関 連 情 報

2002年09月18日-003
ディーゼル排出ガス規制強化が直撃するトラック関連業界

 自動車排出ガスが原因とされる大気環境問題のひとつに窒素酸化物や粒子状物質の増加による都市部の「大気汚染問題」がある。この対応の方向として、「ディーゼル車の排出ガス低減技術の開発」や「燃費の改良」などが取り組まれている一方で、国の「NOx・PM法」や東京都など首都圏自治体による「PM削減条例」などの排出ガス規制が強化される。中小企業金融公庫はこのほど、これらの規制強化がトラック関連業界(トラックメーカー、トラック運送業者)に与える影響について考察した調査レポートを明らかにした。

 調査レポートによると、わが国におけるディーゼル車の生産は減少しているものの、依然保有トラックの4台に3台がディーゼル車であり、ディーゼル車に対する規制の強化はトラック業界に大きな影響を与えることになる。自動車業界の取組みの主なものとしては「エンジン改良」や「後処理装置の開発」が挙げられるが、このような新たな技術開発関連投資の負担は、普通トラックの国内販売の低迷とあいまって、部品産業を含め世界的規模での業界再編のきっかけになるとの考えを示している。

 また、トラック運送事業者をみると、規制緩和による新規参入事業者が増加する一方で、景気低迷の長期化を背景に荷主の物流経費削減への取組みから受注単価が低下傾向にあり、多くの企業が収益の悪化に苦しんでいる。このような収益の悪化を反映して、車両の平均使用年数が長期化傾向にあり、老朽車両の更新の遅れがみられる。こうした中で、国や首都圏自治体によるディーゼル排出ガス規制は、トラック運送業者に規制対象となるトラックの買い替えや後処理装置の装備を義務付けるものであることから、事業者にとって負担は極めて大きいと推察している。

 調査レポートでは、トラック運送事業者に対し、規制についての適切な理解や自社運行システムの抜本的見直し、同業者とのネットワークの強化を提案する一方、大気汚染問題が社会問題であることから、助成金や低利融資、税制といった事業者に対する公的支援の拡充などで、車両の代替などが円滑に進むような配慮の必要性を指摘している。

 

 

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