中小企業再生支援協議会は、経営不振に陥った中小企業の経営再建を支援している。中小企業庁がこのほど発表した同協議会の活動状況によると、2003年2月以降、2006年1月末現在で、8338社の企業からの相談に応じ、うち796社の再生計画策定が完了し、その結果、5万4179名の雇用が確保されたとしている。さらに464社は計画策定支援中となっており、再生計画策定が完了・支援中の企業は合計で1260社となった。
2005年12月から2006年1月までの実績を前年同期と比べると、新規相談企業数は前年同期の377件から472件へと25.2%増、再生計画策定完了件数は同48件から85件へと77.1%増、再生計画策定支援中の件数は同365件から464件へと27.1%の増加となった。すべての件数が増えているが、特に完了件数の伸び率の高さが目立った。
再生計画策定が完了した796社の特徴をみると、業種では「製造業」がもっとも多く全体の41%を占める324社、次いで「卸売・小売業」(167社:構成比21%)、「飲食店・宿泊業」(104社:同13%)と続き、この3業種で全体の75%を占めるが、業種は多様だ。従業員数をみると、小規模企業から比較的大きな中小企業まで幅広く対応しているが、全体の約24%は従業員20名以下の小規模な企業となっている。
また、金融機関からの持込案件が598社と全体の75%を占めている。協議会による複数金融機関や経営者との調整機能、事業再生における具体策の提案機能が高い評価を受けていることがうかがえる。債務者区分では、「要管理先」(296社)、「破綻懸念先」(249社)、「実質破綻先」(21社)といういわゆる不良債権として位置付けられている企業が約7割を占めており、これらの企業の再生が主体となっている。
協議会への相談があった8338社の半分近く(3764社)の企業が、経営改善や資金繰り改善についてのアドバイス、適切な関係機関への紹介を受け、さらに金融機関との調整によって新規運転資金が確保されるなど、相談段階で課題が解決している。約12%(1012社)の企業は現在相談を継続中のほか、約8%(644社)の企業は、企業再生の可能性がきわめて低く、協議会の対応が困難なため、地元弁護士会への紹介などを行っている。