「被害甚大地域」の4割、2070社が営業不能状態
東日本大震災による企業倒産は、7月7日現在で218社判明、うち岩手、宮城、福島の東北3県は31社と、16.9兆円(政府推計)という直接的被害額に比べ倒産判明は少数にとどまる。しかし、壊滅的な被害を受け実質的に営業不能状態の企業は多く、今後さらなる増加が見込まれる。帝国データバンクが実施した「東北3県・沿岸部『被害甚大地域』5000社の現地確認調査」では、同地域の4割、2070社が営業不能状態にあることが分かった。
同調査結果によると、同社が保有する企業概要ファイル(139万社収録)によれば、岩手、宮城、福島の東北3県に本社を構える企業数は5万9156社で、このうち、太平洋沿岸部の市区町村には3割超にあたる1万9855社が存在する。同市区町村のなかでも、津波の被害が特に大きかった地域や原発事故による立入禁止区域・計画的避難区域を合計した「被害甚大区域」には5004社存在することが判明した。
「被害甚大区域」の5004社を市区町村別にみると、宮城県の「石巻市」が989社でもっとも多く、構成比は19.8%を占めた。以下、宮城県「仙台市宮城野区」(381社、7.6%)、岩手県「大船渡市」(321社、6.4%)が続いた。また、業種別にみると、「建設業」が1742社(34.8%)でもっとも多く、全体の3割超を占めた。次いで「サービス業」(807社、16.1%)、「小売業」(770社、15.4%)が続いた。
「被害甚大区域」の5004社のうち集計可能な4280社について震災後の活動状況を確認したところ、「事業再開」した企業が2210社(51.6%)で過半数を占めた。他方、「事業休止中」の企業は438社(10.2%)を数えた。また、震災前の本社所在地に建物が存在しないなどを集計した「実態判明せず」が1632社(38.1%)あり、これらを合わせた2070社、「被害甚大地域」全体の4割が、実質的に営業不能状態であることが判明している。
さらに、上記の4280社について今後の事業継続方針を確認した結果、すでに事業を再開している企業を含め「事業継続意向」のある企業が2360社(55.1%)を数えた。他方、今後の事業継続について全く見通しが立たず「未定・検討中」が226社(5.3%)、「廃業予定」が62社(1.4%)あり、「調査不能」の企業1632社(38.1%)を加えると、全体の45%の1920社が、今後の事業継続に見通しが立っていない現状が浮き彫りとなっている。
同調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110702.pdf