経済産業省は、中小企業の経営活動の実態を計数的に把握し、中小企業の経営戦略の立案や中小企業の診断・助言等に資する目的で毎年「中小企業の財務指標」を作成しているが、このほど2005年1~12月決算期分の財務指標を公表した。この指標は、中小企業の信用データベースとして構築されたCRD(中小企業信用リスク情報データベース)のデータを活用して、中小企業法人約82万社の決算書をもとに作成したもの。
同財務指標には、昨年と同様、「同一企業の3年分の時系列データ」、「地域別(北海道・東北・関東・中部・近畿・中国・四国・九州・3大都市(東京・愛知・大阪)データ)、「創業年数別(創業期・中間期・老舗)データ」、「デフォルト企業データ」が収録されている。「同一企業の3年分の時系列データ」は、業界のなかから過去3年分の数値データを有する企業(約62万社)を業種ごとに集計したもの。
例えば、この3年分の時系列データをもとに中小企業の収益性をみると、資産と損益の関係から収益性を評価する指標である総資本経常利益率は、2005年に1.5%となっており、2004年と比べて0.3ポイント低下し、2003年と同じ水準となっている。ここで、総資本経常利益率は売上高経常利益率と総資本回転率の積と一致することから、この2つの指標に要因分解した検討結果を示している。
それによると、2005年の売上高経常利益率は1.0%となっており、2004年に比べ0.2ポイント低下している一方、総資本回転率は両年とも1.4回で変化がない。したがって、資産の効率性(資産の売上高獲得力)には変化がなく、2005年は2004年に比べ売上高経常利益率が悪化したことに伴って資産の収益性も悪化したといえる。2005年の売上高総利益率及び売上高営業利益率は、ほとんどの産業で低下している。
また、実数値の分析(約9万社のデータ)による2005年の売上高、経常利益、当期純利益は、2004年に比べそれぞれ4.4%、8.8%、5.6%増加しており、着実な成長が見受けられる。2005年の売上高の増加率は2004年の増加率(3.8%)と比較して大きくなっており、景気回復を受けて、増収増益といった状況が続いている。経常利益、当期純利益は、上昇は鈍化しているものの、実数は着実に増加しており、企業の安定的な成長がうかがえる。
同財務指標の概要は↓
http://www.meti.go.jp/press/20070928012/01_press.pdf