商工中金では、中小企業の海外での事業展開に対して、独自の総合支援策として「オーバーシーズ21」の取扱いを1996年より開始し、融資のみならず各種情報提供を通じて中小企業の海外進出をサポートしているが、2005年度は299件、157億円の融資を行ったことを発表した。前年度に比べると、件数は10%増、融資額は20%増と海外展開事業サポートは順調に伸びている。
取引先の海外展開を目的とした事業資金の投資先は、中国向けが件数の62.2%、金額の50.3%をそれぞれ占めており、次に米国向け(件数の9.7%、金額の23.6%)が続いている。中国向けは製造業から流通業まで多様な業種にわたっている。米国では、日系自動車メーカーの好調を背景に、自動車部品関連の投資が目立つ。東南アジアでは、自動車部品関連のタイ向け案件が多く、次に二輪車関連等のインドネシア向け案件が続く。
中小企業の海外への事業展開は近年ますます活発化しているが、国際ビジネスは異なる文化・言語・商習慣などのもとで行われるため、様々なリスクを伴う。進出先国の税法等法制度の頻繁な改正や労働問題など、現地で事業を展開していく上で様々な状況に速やかに対応する必要がある。商工中金は、こうした中小企業のニーズに応じた情報等も提供し、情報・金融の両面からのサポートを図っている。
例えば、電子機器部品製造・組立業者のA社は受注先からタイへの進出要請を受け、現地情報を収集していたが、商工中金は、タイへの進出に関連した各種の現地情報を提供するとともに、国内においては、タイ政府の投資誘致機関であるタイ王国投資委員会(BOI)への投資手続きについてもサポート。さらに現地においても、BOIに出向している同金庫職員がバックアップを行った。
また、タイ現地法人B社設立に係る出資金としてA社に対して必要資金の融資を行った。 こうした一連の商工中金の総合的支援を受け、A社は円滑な海外進出を果たし、2005年6月に現地法人を設立し、2006年3月には工場開所に至ったという。商工中金では、こうした中小企業の持続的な成長を応援するための取組みをとりまとめ、「2005年度政策評価報告書」として公表する予定だ。