景気回復期待のなかで金利は上昇傾向にあるが、依然としてデフレ経済下で景気の本格回復には至らず、金利の上昇は企業への負担増となって、景気を再び減速させる懸念もある。帝国データバンクが12日に発表した金利上昇に伴う企業経営への影響調査では、今後の金利上昇が借入れに悪影響を受けることを懸念する企業が7割を超えていることが分かった。
調査結果によると、回答企業1万394社のうち、借入れのある企業は全体の68.5%の7121社だったが、金利上昇の影響については、現在、多少なりとも「すでに悪影響を受けている」企業は8.6%と1割にとどまったものの、「今後の悪影響を懸念している」との回答企業が73.8%と7割以上を占めた。金利の上昇とともに影響が拡大していくことが懸念される結果となっている。
企業からは「国債価格の下落により地域金融機関の不安が再燃する」といった意見や、「業績回復前に金利負担が増すのは耐えられない」といった声が出ている。景気は本格回復に至っておらず、いまだ地域間、業界間、規模間の格差は大きく、回復が実感できない企業にとっては、金利の上昇が新たな経営リスクとなって、利益の圧迫だけでなく、企業の存続にも大きな影響を落としていくものとみられている。
また、設備投資の計画がある企業は回答企業全体の36.2%にあたる3758社だったが、金利上昇による設備投資計画への影響については、「規模を縮小する」(11.2%)、「中断・延期する」(3.1%)など、設備投資計画に変更を余儀なくされる企業は22.5%と、全体の約2割だった。一方、「計画どおり実施する」との回答企業は77.5%で、5社に4社は計画を変更する予定はないことが明らかになった。