税理士が相続税や所得税等の申告事務の依頼を受けた場合には、戸籍謄本や住民票の交付請求を納税者に代わって行うことがある。これまでは、誰でも戸籍謄本等の交付を請求することができたが、2007年の戸籍法及び住民基本台帳法改正において交付請求制度が見直され、今年5月1日から、交付請求することができる場合が制限されるとともに、交付請求する者の本人確認が厳格化されることになった。
5月から、第三者による戸籍謄本等の交付請求が制限されるわけだが、税理士等一定の事業者については、一定の手続きにより交付請求することができる。税理士が納税者から受任している事務について、その職務により戸籍謄本等を交付請求する場合は、依頼者の氏名を原則として明らかにする必要がある。ただし、紛争性のある業務(不服申立て等についての代理業務)の場合は、依頼者の氏名を明らかにする必要はない。
職務上請求書については、5月以降、現行の請求書は一切使用できず、改正法に基づく統一された新職務上請求書を使用することになる。また、交付請求時に請求者の本人確認のために提示する書類は、(1)税理士は税理士証票または運転免許証等、(2)使者(税理士事務所職員)は運転免許証等に加え税理士作成の委任状、(3)税理士法人は登記事項証明書または代表者事項証明書に加え請求者((1)または(2))の提示書類、とされている。
第三者が交付請求できる一定の事業者は、税理士を始め、弁護士、司法書士、土地家屋調査士、社会保険労務士、弁理士、海事代理士、行政書士(各士業の法人を含む)。なお、改正戸籍法は、他人の戸籍謄本等を不正に取得したり、消費者金融から借入れ等を行う目的で、第三者によって虚偽の婚姻届や養子縁組届が提出され、戸籍に真実でない記載がされるなどの事件が発生したため、本人確認等の厳格化措置を規定したもの。