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非上場株式等の相続税の納税猶予は担保提供が必要

税務関連情報 - 2009年08月10日

 2009年度税制改正において事業承継税制の抜本拡充策として創設された非上場株式等に係る相続税の納税猶予制度は、後継者が相続・遺贈によって取得した自社の株式の80%に対応する相続税の納税を猶予するもの。事業承継円滑化法が施行された2008年10月以降の相続に遡って適用されているが、同制度を利用するにあたっては、相続税の申告期限までに、納税猶予に係る相続税額に相当する担保を提供する必要がある。

 担保として提供できる財産としては、(1)納税猶予の対象となる認定承継会社(経済産業相の承認を受けた会社)の特例非上場株式等、(2) 不動産、国債・地方債、税務署長が確実と認める有価証券、税務署長が確実と認める保証人の保証などがある。特例非上場株式等は、その全部を提供する場合に限り、担保として提供できる財産として取り扱われ、譲渡制限が付されているものであっても認められる。

 特例非上場株式等の全部を担保提供した場合には、必要担保額に見合う担保提供があったものとみなされる(「みなす充足」)。このため、担保提供した特例非上場株式等の価額が将来下落しても、追加で担保提供を求められることはない。ただし、認定承継会社が合併で消滅するなどで、担保提供した特定非上場株式等に変更があった場合には「みなす充足」の取扱いが適用されなくなるので、この場合には税務署長から増担保要求される。

 また、上記(2)の不動産、国債・地方債など特例非上場株式以外の財産を担保として提供した場合には、「みなす充足」の適用がないので、担保として提供する財産の価額は、納税猶予の相続税額及び猶予期間中の利子税額の合計額に見合うことが必要となる。必要担保額を算定するに当たっての猶予期間中の利子税額は、相続税の申告期限における相続人の平均余命年数を納税猶予期間として計算した額による。