民間調査機関の労務行政研究所が実施した「昇進・昇格、降格に関する実態調査」結果(有効回答数137社)によると、課長・部長へ昇進する時期を5年前(2000年)と比較すると、課長では「早くなっている」が55.2%で「変わらない」(35.2%)を大きく上回った。部長も同じ傾向(「早くなっている」46.5%、「変わらない」42.5%)を示している。「遅くなっている」は課長が9.6%、部長が11.0%と1割前後にとどまる。
昇進が早くなっている理由(複数回答)としては、課長・部長とも「成果主義・能力主義の浸透」(各68.1%、63.8%)、「若返りを図るため、若手を積極的に登用した」(同59.4%、65.5%)が6~7割を占めており、ほかの理由よりも割合が高くなっている。成果主義の浸透により優秀な人材を早期に登用する動きが進んでいるといえる。ちなみに、4月時点での平均年齢は、課長が44.8歳、部長が51.3歳となっている。
また、個人の能力や成果の落込みを処遇に反映する「降格制度」を導入している企業は59.7%に達しており、うち降格の実態があるのは37.3%だった。降格の対象は、「管理職」では96.2%にのぼり、「一般社員」でも76.9%となっている。導入年でみると2000~2004年に集中(63.8%)しており、成果主義による人事制度の改正に伴い、降格を制度として組み込んだ企業が多いことがわかる。
降格制度導入の狙い(複数回答)をみると、「資格・職務と成果のギャップの是正、公正な処遇の実現」が76.3%でもっとも多く、以下、「人事考課の公平性・納得性の向上」(59.2%)、「従業員の意識改革、職責の自覚の醸成」(51.3%)とつづく。一方、運用上の問題点(複数回答)としては、「降格者のモチベーションの低下」(35.5%)や「降格させた後の配置の難しさ」(30.6%)などが挙げられている。
同実態調査の詳細は↓
http://www.rosei.or.jp/press/pdf/200509.pdf