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税務関連情報 (2005/01/31)

最高裁、ストックオプションの利益は「給与所得」

 ストックオプション(自社株購入権)で得た利益が「給与所得」なのか、税額がほぼ半分で済む「一時所得」にあたるのかが争われていた、一連のストックオプション訴訟は「給与所得」ということで決着がついた。25日の最高裁第三小法廷(藤田宙靖裁判長)において、「給与所得にあたる」との初判断が示され、納税者側の主張は認められず、国側勝訴の二審・東京高裁判決が確定した。

 第三小法廷は、「外国法人は、職務を遂行しているからこそ、ストックオプションを付与したものであって、その権利行使益が職務を遂行した対価としての性質がある経済的利益であることは明らか」と指摘。「その権利行使益が、雇用契約またはこれに類する原因に基づき提供された非独立的な労務の対価として給付されたものとして、給与所得にあたるというべき」との判断を示している。

 約100件近くにのぼる同種の訴訟では、2002年11月の東京地裁では「株価の推移や権利の行使時期という偶発的要因に左右される利益は労務の対価にあたらない」として、初の司法判断は「一時所得」としたが、その後、「労務の対価として支給されたもの」として「給与所得」との判断も出され、地裁レベルの判断は分かれていた。最高裁の判断が注目されていたが、「給与所得」ということで最終決着となったわけだ。

 ストックオプションは、あらかじめ決められた価格で自社株を購入できる権利で、権利行使時に株価が上昇していれば大きな利益が得られる。1997年以前は、外国企業の日本法人の役員などに付与されるケースがほとんどだったが、当時は「一時所得」として認める税務署もあって混乱していた。しかし、日本企業にも導入が可能になった97年の商法改正を受け、国税当局は98年、「給与所得」として見解を統一している。