食品偽装事件が後を絶たないようだが、今年上半期(1~6月)に全国の警察が食品の産地や品質の偽装で検挙した事件が9件、29人となり、過去最悪だった2003年(11件、45人)を上回るペースで増加していることが、警察庁がこのほど発表した2008年上半期における主な生活経済事犯の検挙状況のなかで明らかになった。それによると、食の安全に係る事犯の検挙事件数は29事件、検挙人員は61人だった。
内訳は、食品の産地等偽装事件が9件のほか、飲食店の無許可営業等の食品衛生関係事犯が20事件、32人だった。食品の産地等偽装事件9件のうち、8件が不正競争防止法違反、1件が日本農林規格(JAS)法違反だった。不正競争防止法違反では、秋田県の食肉加工製造業者が、比内地鶏でない鶏肉で製造した加工品を「比内地鶏」等と偽装表示して業者に販売し、今年5月、同社社長ら6人が同法違反及び詐欺事件で逮捕されている。
また、大阪府の日本料理店が、ロース肉の原材料として、鹿児島県産牛肉を使用しているのに、「但馬牛」、「三田牛」などと偽装表示し、消費者に販売していたことから、今年6月、日本料理店元社長ら2人が不正競争防止法違反で検挙された。JAS法違反では、京都府の食品加工会社が、たけのこ水煮に不正に有機JASマークを貼付・販売していたことから、今年2月、同社社長ら2人が同法違反で逮捕された。
食品衛生法違反事件では、千葉県の貿易会社による中国産むき身カキの虚偽申告輸入に係る事件がある。同社は、2007年11月、中国産のむき身カキを輸入するにあたり、食品として輸入する際の貝毒検査に係る費用を免れる目的で、釣りえさと虚偽の申告をして輸入し、食料品店等に食用として販売していたことから、今年2月、貿易会社1法人及び同社役員1人が同法違反で検挙されている。