10億分の1を意味する「ナノ」。100万分の1ミリレベルで加工・計測する技術をナノテクノロジーという。中小公庫はこのほど、ナノテクに取り組んでいる中小企業の事業内容、参入した動機や経緯、抱えている課題や求められている役割を分析し、中小企業がナノテクを事業化する際に必要と思われる方策や示唆についてまとめたレポートを発表した。
レポートでは、支援機関や大学・商社などをヒアリングした結果、ものづくりに関して中小企業が持っている豊富な経験、コア技術は、多くの可能性のなかからナノテクの事業化の途を探り当てるのに有用であると評価されているとしている。また、中小企業のものづくり現場の悩み事を改めて見直すことが、ナノテクの技術開発・製品開発ニーズの明確化につながり、そこからナノテクへの挑戦が始まることもあると指摘している。
中小企業がナノテクに参入した動機や経緯などを事例調査した結果、ナノテクに参入している中小企業は、外部環境の変化に伴い、自社の先行きに危機感を感じ、いち早く新事業の芽を求める決断と行動を起こしていることが分かった。今後の課題として、市場開拓、知的財産権に関する戦略、収益と開発負担のバランス、自社技術の再評価などをあげている。
さらに、中小企業がナノテクを事業化するための課題を整理して、1)ユーザーニーズや悩み事を正確に把握し対応する、2)自社のコア技術を今一度見直し、新技術導入も含めた技術の高度化を目指す、3)研究機関等とのネットワークを持ち、外部の知恵を活用する、4)ナノテクに手の届く人材を増やす、5)喜ばれるものづくりを提案するなどしてナノテクの市場を開拓する、6)経営者が現状や将来の経営に危機感を抱き、第二の創業を目指すこと、の6点をあげている。
以上を踏まえてレポートは、ナノテクは中小企業にとって必ずしも敷居が高いものではないこと、支援機関等の活動が積極化してきているなかで中小企業がナノテクを企業発展の梃子として活用していくことが期待できることを結論としている。
レポートの詳細は↓
http://www.jfs.go.jp/jpn/result/c2_0306.pdf