2011年の新規開業費用平均は過去最低の1172万円
日本政策金融公庫総合研究所が発表した「2011年度新規開業実態調査」では、2011年の新規開業費用平均は1172万円となり、1991年の同調査開始以来最も少ない金額だったことが分かった。ちなみに、これまで最低金額だったのは2008年の1238万円。調査は、同公庫が2010年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業1年以内の企業を対象に、今年8月時点で実施したもの。
調査結果(有効回答数1443社)によると、開業時の経営形態は、「個人経営」の割合が前年より3.7ポイント上回る64.1%となり、「法人経営」(35.9%)を大きく上回る。開業費用は、「500万円未満」が39.8%を占めて最も多く、次いで「500万円~1000万円未満」が26.6%、「1000万円~2000万円未満」が19.2%、「2000万円以上」が14.5%となっており、1000万円以上の割合が減り、「500万円未満」の割合が増えている。
調査時点の月商は、前年より116万円も少ない333万円となり、阪神・淡路大震災が発生した1995年(335万円)以来の低水準となった。東日本大震災の影響については、「影響があり、今も続いている」とする企業割合が24.4%、「一時的に影響はあったが、現在はない」が37.1%と、計61.5%の企業が何らかの影響があったと回答。具体的には、「自粛ムードの影響で顧客・注文が減った」(63.3%)との回答が突出して多い。
開業前の売上予想との相違については、「特にない」とする企業割合は18.2%に過ぎず、81.1%の企業は何らかの相違があったとしている。最も多かったのは「思ったより客単価が低かった」の20.7%、「製品・商品・サービスに対する需要が思ったほどなかった」の17.0%が続き、次いで「製品・商品・サービスに対する需要が予想以上に多かった」とのうれしい相違も15.6%あり、売上の予想をすることの難しさがうかがわれる。
なお、経営者の開業時の年齢は、「30歳代」が39.2%で最多、次いで「40歳代」が28.4%、「50歳代」が17.7%、「29歳以下」が8.2%、「60歳以上」が6.6%となっており、全体の平均は前年を0.6歳下回る42.0歳と、4年ぶりに減少した。また、開業業種は、「サービス業」が24.8%で最多、次いで「医療、福祉」(17.5%)、「飲食店、宿泊業」(13.6%)、「小売業」(12.9%)、「卸売業」(7.9%)などの順となっている。
同調査結果の概要は↓
http://www.jfc.go.jp/common/pdf/topics_111222_1b.pdf