2007年5月からの三角合併の解禁に伴い、2007年度税制改正において、合併等の対価として100%親会社の株式が交付される三角合併については、現行の組織再編税制の枠組みに沿って、資産の移転に伴う譲渡損益の課税の繰延べ、被合併法人等の株主における旧株の譲渡損益の課税の繰延べが可能となった。三角合併は、会社を合併する際、消滅会社の株主に対し、対価として、存続会社の株式でなく親会社の株式を交付して行う合併をいう。
三角合併では、外国企業が日本現地法人(合併法人)と日本企業(被合併法人)を合併することにより、日本法人を傘下に収めることが可能になる。ただ、三角合併では、被合併法人(日本企業)の株主に対して外国企業の株式が交付されることになり、資産の移転により譲渡損益に対する課税が発生するが、対価が合併法人株式でないため、改正前は課税の繰延べは認められなかった。
しかし、2007年度税制改正において、合併時に親会社の株式のみを交付する三角合併について課税の繰延べが可能とされた。ところが、新たに外国人株主に対する課税問題が生じる。外国人株主に対して外国企業の株式が交付された場合には、海外で流通する株式を外国法人や非居住者が取得することになり、将来株式の売却が行われたとしても、課税する機会はなくなってしまうことになる。
そこで、三角合併などの組織再編において、わが国に課税権のある株式を有する非居住者等が外国親会社の株式の交付を受ける場合には、組織再編のときに旧株の譲渡益に対して課税することとされた。また、外国法人等株主が日本支店で保有する株式については、内国法人と同様に課税繰延べとし、その株式を日本支店から外国に移管した場合には親会社株式を譲渡したものとして課税することとされた。