ゼイタックス

税務関連情報 (2004/03/29)

外形標準課税導入で変わる法人税負担

 法人事業税への外形標準課税が、資本金1億円超の法人に限ってだが、この4月1日から開始する事業年度から適用される。これまでの課税標準は所得だけだったが、改正後は人件費などの付加価値額や資本等などの外形部分も課税対象となる。UFJ総研はこのほど、現行方式と新方式による法人事業税について上場企業3284社を対象に試算した。

 試算結果によると、全企業の税負担は、新方式導入で現行方式に比べ約284億円増加する。1社あたり平均約900万円の負担増だ。業種別にみると、輸送用機器・医薬品で100億円以上負担が軽減するのに対し、建設・電気機器・陸運・小売業などで負担が増加する。

 新方式と現行方式の税負担の差額を個社別にみると、税負担が大きく軽減する輸送用機器・医薬品・情報通信では、ある特定企業の税負担が大きく軽減している。こうした業種では、特定企業での税負担軽減効果が業種全体の負担軽減につながっており、個別にみると税負担が増加する企業が少なくない。

 資本等の金額がほぼ同水準の電気機器と輸送用機器を比べると、電気機器は人件費などの付加価値額が小さいものの、利益水準が低く、結果として新方式導入で税負担が増加している。一方、輸送用機器では、付加価値額が大きいものの利益水準も高く、新方式導入によって税負担が減少している。

 97年度以降の現行方式と新方式の税負担をみると、利益が増加(減少)した年は格差が縮小(拡大)する傾向にあり、新方式による税負担の変化は、利益動向に大きく左右される。2004年度の利益が、前年比プラス10.9%程度(UFJ総研見通し)まで拡大すると、新方式による税負担は現行方式と同程度、増益率がプラス20%まで拡大すると税負担は約260億円減少する。

 だから、外形標準課税による税負担を軽減するためには、人件費を中心とした外形標準部分を圧縮するよりも、外形標準部分を活用して利益拡大を指向したほうが有効といえる、との見方を示している。