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法人と個人とでは異なる政治献金の取扱い

税務関連情報 - 2008年10月20日

 衆院解散・総選挙の日程をめぐって憶測が飛び交っているが、選挙となるとついてまわるのが政治献金だ。支援する政治家の後援会や政党等5つの特定団体に対して個人が支出した一定の政治献金は、寄附金控除の対象になる。さらに5つの特定団体のうち、政党または政治資金団体に対する一定の政治献金は、政党等寄付金特別控除の対象となり、所得控除か税額控除いずれか有利な方を選択適用できる。

 具体的には、「支出した特定寄附金」と「その年分の総所得金額等の40%(2006年分は30%)」のいずれか少ない額から5千円を差し引いた額を所得金額から控除するか、特定寄附金の合計額から5千円を差し引いた額の30%(所得税額の25%を限度)を所得税額から控除するかを選択できる。例えば、1000万円の給与所得者が200万円を献金した場合、199万5千円を所得から控除できる(税額控除は199万5千円×30%で所得税額の25%が限度)。

 一方、法人が支出した政治献金の場合は、個人のような優遇措置は何もない。法人の場合は通常の一般寄附金と同様の取扱いとなり、一定の範囲内でしか損金に算入できない。例えば、法人が個別に政治献金をするのではなく、所属する業種団体等を通じて、臨時会費等の名目で負担した場合であっても、使途が政治献金である限り、一般の寄付金として取り扱われることになる。

 このように、会社が支出する政治献金は寄附金に該当するわけだが、社長が個人的な立場で献金すべきものを会社が肩代わりして支出した場合は、社長への認定賞与となる可能性が高い。例えば、社長の個人的な友人や親族がその政党に所属しているという理由で、会社から献金すれば、認定賞与として損金不算入となり、個人的にも源泉税が課されることになるので注意したい。