政府が中小企業支援のために1998年から実施している信用保証制度は、売掛債権担保融資保証、セーフティネット保証、資金繰り円滑化借換保障制度と、支援策は拡充されている。東京商工リサーチが全国52の信用保証協会における2004年3月末時点での代位弁済額を調査した結果、全国的な代位弁済額は昨年より減少傾向にあることが分かった。
昨年より代位弁済率が「減少した」ところが40、「増加した」のが12だった。4%を超える代位弁済率を記録したのは、52信用保証協会のうち7にとどまった。代位弁済率の全国的な低下は、借換保証によって返済を猶予されていることが、短期的視点における大きな要因とみられている。
21ヵ月連続して全国企業倒産件数が減少している現状が示すとおり、企業の資金繰りは安定しているといえる。民間金融機関の貸出しが、約定金利の低下にもかかわらず減少しつづけてきた背景がある一方で、企業の資金繰りが安定しているということは、キャッシュフローの範囲内での経営を行っているか、または民間金融機関以外の融資制度を利用しているか、ということになる。
昨今、設備投資の抑制をはじめ、バランスシートのリストラを積極的に進め、キャッシュフローの範囲内で事業を継続する経営スタイルが定着してきたようだ。しかし一方では、新たな収益モデルを模索しつつ、経営再建を図る民間金融機関の貸出し余力が減少していたことは否定できず、それに代わる貸し手として政府系金融機関や信用保証協会が台頭していたとみている。
特に、昨年2月から実施中の資金繰り円滑化特別保証制度は、特別保障分だけでなく、一般保証についても借換えを認める制度のため、一連の制度融資を利用したケースでの返済は猶予されている。また、制度融資を利用できる対象は随時追加されており、信用保証制度は全業種、地域を包括的に支援する制度といえる。商工リサーチでは、「企業倒産を全国的に抑制している要因として、信用保証制度が寄与している」との考えを示している。