2007年度税制改正における減価償却制度の抜本的な見直しは、法人税だけでなく所得税においても行われている。新減価償却制度の基本的な仕組みは法人税と変わらない。個人事業者等が2007年4月1日以後に取得する減価償却資産については、償却可能限度額(取得価額の95%相当額)及び残存価額が廃止され、新定額法・新定率法によって耐用年数経過時点において1円まで償却できるようになった。
また、2007年3月31日以前に取得した減価償却資産について、各年分において事業所得や不動産所得などの金額の計算上、必要経費に算入された金額の累積額が償却可能限度額まで達している場合には、その達した年分の翌年以後5年間で1円まで均等償却することとされた。注意が必要なのはその適用時期である。この5年間均等償却は、2008年分以後の所得税から適用される。
すでに償却可能限度額まで償却した資産があっても、5年均等償却は2008年分から、つまり2009年の確定申告から適用される。例えば、2006年中に償却可能限度額まで達したものでも、2008年分の所得税から5年均等償却を始めることになる。また、2007年中に取得した減価償却資産は、4月1日以後取得のものと3月31日以前に取得したものとで償却方法が異なることにも留意する必要がある。
なお、資本的支出については、1)その支出の対象となった減価償却資産と種類及び耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとする、2)改正後の新定率法を採用している減価償却資産について資本的支出を行った場合には、その支出をした年の翌年1月1日において、その減価償却資産の取得価額とその資本的支出により取得した減価償却資産の取得価額等との合計額をその取得価額とする一の減価償却資産を取得したことができる、との措置が講じられている。