経 営 関 連 情 報

2003年03月17日-004
底の見えない価格下落

 物価の下落が止まらない。2月の東京都区部の消費者物価指数は前年比で0.7%の下落となり、99年9月以降3年6ヵ月連続のマイナスとなった。三菱総合研究所は13日、分析レポートを公表し、需要サイドに加え供給サイドからも価格押し下げ圧力が強く働き続けているため、先行きについては依然楽観視できないと指摘している。

 レポートは10大費目別指数の動向を分析しており、例えば、下落が続く「教養娯楽」は特にパソコンの影響を挙げている。パソコンは、家電量販店等の特売セールスの目玉商品とされやすく、総じて販売側は、セールスの前倒しや値引率の拡大で、在庫積み上がりリスクの軽減に努めている。長い目でみれば、セールスの乱発は消費者の価格慣れをもたらし、来期以降の収益悪化をもたらすと警告している。

 「家具・家事用品」でも、需要喚起のための供給サイドの努力が価格に大きな影響を与えている。昨年話題になった洗剤を使わない洗濯機は、消費者に購買意欲を刺激し、値引きをせずに販売数量を増やしたが、一方で、価格面で優位にある中国などの外資メーカーと組み、低価格路線を歩んでいるメーカーもある。他方、最近市場で名を売りつつある韓国LGやサムスンなどのアジア系メーカーの登場によって、価格競争は一段と激しさを増すと予想されている。

 このように価格下落は底が見えない状況にあることから、「デフレ脱却のためにはマネーサプライの伸びを高めるべき」との声が高まっている。しかし、マネーサプライを増加させる手段や、マネーサプライの増加がどのように物価上昇につながるのか、メカニズムが十分に解明されていない。日銀はETF(株価指数連動型投信)など今後買入れ資産を多様化させる可能性があるが、それらの市況が下落すれば結局国民に負担が及ぶ。「魔法の杖」のようなデフレ対策はあまり期待しないほうがいい、というのがレポートの結論だ。

 

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