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経営関連情報 (2004/04/23)

サマータイム制度導入に伴う「長期間接効果」とは

 サマータイム(夏時間)は夏の間だけ1時間繰り上げること。わが国ではいまだに導入の見通しが立っていないサマータイム制度導入に関する調査結果を発表したのは社会経済生産本部の生活構造改革フォーラムである。過去の同制度をめぐる調査では、いずれも「短期直接効果」だけを試算していたが、ここでは、やや中長期的なライフスタイル変化を踏まえた「長期間接効果」も試算し、両面からの影響をとりまとめた。

 それによると、今回(2003年度)の試算結果では、まず短期直接効果として、省エネ効果93万キロリットル(CO2削減効果40万トン)、経済波及効果(生産誘発額)9700億円となった。身近な数値と比較すると、例えば「全国民が66日間テレビを見ない場合の電力消費量」や「全国民が使用する冷蔵庫の40日分の電力消費量」に相当するなど、決して小さな数値ではないとしている。

 一方、長期間接効果としては、サマータイムによる生活・ライフスタイルの変化が緑化の推進や日射の有効利用(昼光利用による照度制御)、軽装の励行、省エネ意識の浸透による省エネ世帯の増加など、想定されるライフスタイルモデルの変更の効果について試算している。その結果、省エネ世帯の増加や軽装の励行などによる効果が特に大きく、短期直接効果を上回る省エネ効果が期待できるとの考えを示した。

 ライフスタイル変化の地域社会インパクトは、1)地域活動の活発化で2億8千万人時間が地域に投資される(経済効果は8800億円に相当)、2)屋上緑化は省エネ効果と経済効果の一石二鳥で、今後6年間で2500億円の経済効果、3)サマータイムによる交通事故減少数は年間1万件相当(経済効果は年間約460億円)、4)サマータイムによる明るい夕刻で「ひったくり」被害が減少、などを例示している。

 また、サマータイムは、省エネや経済波及効果に加え、明るい自由時間を人々が地域に「投資」することによって、環境保全やまちづくり、家族とのふれあいや子育て、コミュニティビジネスの台頭など、地域が元気になるためのきっかけとなるという視点が特に重要だと指摘。サマータイムへの取組みは、新しい時代に向けた「生活構造改革」に向けた取組みでもあるとして、導入実現を強く要望している。