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経営関連情報 (2006/07/14)

固定化する開業率の地域間格差の解消が重要課題

 企業の開業率を高めることが、わが国経済の活性化にとって重要であることは言うまでもない。ところが、開業率には固定化した地域間格差があることから、国が実施する全国一律の創業支援だけに期待するのではなく、それぞれの地域が知恵を絞った、その地域的特性を反映させた創業支援策を講じることが必要なのではないか、と指摘するのは、ニッセイ基礎研究所の小本恵照主任研究員のレポートである。

 総務省の「2004年事業所・企業統計調査」結果によると、開業率トップの「沖縄県」は6.1%であるのに対し、最下位の「福井県」では2.8%と2倍以上の開きがある。また、5年前の開業率の上位と下位の10都道府県をみると、2004年時点の上位10県のうち9県がトップ10入りし、下位10県についても7県がランクインしており、開業率の「地域格差の固定化」がみられる。

 さらに注目されるのは、開業率の高い(低い)都道府県は高い(低い)廃業率を示していることだ。したがって、開業率の地域間格差が固定化することは、一方の都道府県では企業活動の新陳代謝が活発化し経済の活性化が続くのに対し、もう一方の都道府県では経済活動の停滞が長期化することを意味する。そうであるならば、開業率の地域間格差是正に向けた取組みが必要となる。

 また、開業率の上位と下位の県のリストをみると、一部の例外はあるものの、開業率の上位10県には大都市圏に位置する都道府県が多いのに対し、下位10県には地方県が並んでいる。過去の開業率の地域格差に関する研究では、地域の需要動向、市場規模、人口構成比、事業所の集積、失業率などが影響を与えていることが明らかとなっている。こうした要因が大都市圏では開業率にプラスに強く働いていることを意味する。

 日本経済をできるだけ地域格差なく拡大させるには、開業率の格差を縮小させることが重要な課題となる。地域間には人口構成や産業構成など短期的には変化させることが難しい社会経済的な格差が存在するが、そうした格差を前提とした上で、それぞれの地域の特性に応じた創業支援策が存在するとして、地域レベルでの創業活性化を求めているのが本レポートである。

 同レポートの全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/stp/nnet/nn060710.html