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懸念される企業倒産の増加~内閣府レポート

経営関連情報 - 2009年01月30日

 東京商工リサーチのまとめによると、2008年の倒産件数は、年初以降増勢を強めた結果、前年から11.0%増加の1万5646件となった。増加基調にある企業倒産の動向を分析したのは内閣府のレポートだ。それによると、業種別にみて倒産件数の増加がみられたのは、燃料価格の高騰による運輸業のほか、改正建築基準法やサブプライムローン問題等の影響を受けた不動産市況の低迷による建設・不動産業だった。

 資源高を原因とする倒産は、資源価格が9月以降下落に転じたことから、9月の107件をピークに減少傾向となっている。しかし最近は、世界的な景気の減速を背景に、売上の減少に直面する中小企業が急増していることが、倒産件数を押し上げる要因となっている。こうした状況下、昨年9月以降は製造業の倒産件数が大きく増加するなど、倒産件数の増加が幅広い業種でみられるようになった。

 今後は、セーフティネット貸付や信用保証の拡大など政府の経済対策の効果から、倒産件数の増勢は緩和すると期待される。しかし、中小企業を取り巻く環境は、売上の急速な減少にみられるように、刻一刻と厳しさを増している。さらに、中小企業向け貸出残高が前年から減少しており、資金繰りが悪化している中小企業の増加を踏まえると、経済対策の効果が一巡した後は、企業倒産は再び増加基調を辿る可能性が高いとみている。

 また、レポートは、倒産の増加が雇用情勢に与える影響にも注意を促している。2008年の上場企業倒産は戦後最悪の33件発生したこともあって、倒産企業の従業員数は前年から24.6%増加している。実際に、企業倒産による失業者数には増加の兆しがみられており、今後の動向が注目されるところだ。なお、失業者数は、倒産等による新規失業の発生のほか、求人の低迷による新規就業の減少からも増加することに注意が必要だ。