税 務 関 連 情 報 |
2002年07月01日-003
日証協、二元的所得課税論をベースとした税制改革を提言
現在進められている税制抜本改革の中で「二元的所得課税」が議論のひとつとなっている。金融・不動産などの資本所得を給与などの勤労所得と分離して、低税率の分離課税として優遇することによって、複雑化した金融課税を簡素化・公平にするとともに、個人の投資リスクを軽減して個人の株式投資を促し、資本市場の活性化を図ろうというものだ。
このような「二元的所得課税」をベースとした税制の抜本改革を提言したのは、「今後の金融・証券税制にあり方について」と題した日本証券業協会のレポートである。
レポートによると、あらゆる種類の所得を区分なく合算したうえで総合的に課税する包括的所得課税はひとつの理想的な税制だが、金融所得を含めた包括的所得課税へ直ちに移行することを前提とした議論は現実的ではなく、二元的所得課税等を経てから実施することが望ましいとしている。具体的には、損益通算の対象範囲の拡大、リスクマネーに資金シフトを促すためのインセンティブ税制の適用、金融所得に対する申告納税への原則一本化の3点が主張のポイントとなる。
二元的所得課税を導入する場合、資本所得はすべて通算の対象とすべきだが、現行のわが国の複雑な所得区分や課税制度等の存在を考慮すると、当面は不動産所得などを除いた金融商品から生ずる所得に限定して対象とすることが現実的なアプローチだとしている。また、納税方法については、捕捉体制を整備のうえ、基本的には申告納税とすべきだが、制度の適正な執行など運用面を重視し、事務負担・費用等も勘案し、当分の間、現行の源泉徴収制度を生かすことも必要とする。基本税率については、資本所得の国外流出や租税回避を防ぐ観点から、基本的には可能な限り勤労所得の最低税率に併せる必要があるとしたうえで、最高でも現行の利子・配当に係る源泉徴収税率や上場株式等譲渡益課税に係る税率と同様、国・地方税を合わせ20%とすることが望ましいと提言している。
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