現在の円高水準が半年続けば中小企業の8割超が減益
経済産業省が中小企業を対象に8月22日から26日にかけて実施した「現下の円高が産業に与える影響に関する調査」結果(有効回答数:製造業83社、非製造業10社)によると、外国為替市場で1ドル=76円前後の現在の円高水準では、減益となる企業が73%にのぼり、半年継続した場合は、減益を予想する企業が84%と8割を超えることが分かった。ちなみに、調査期間中の為替レートは、最高値が8月24日の1ドル=76.63円だった。
企業からは、「コストダウン要請が厳しくなっている」(プレス加工業)や「大手は部品の現地調達に急速に動いている」(精密部品製造業)などの声が挙がった。主な減益の要因(複数回答)では、「取引先からの値下げ要請」が65%(半年続いた場合64%)、「海外で他国企業との競争激化」が65%(同61%)、「取引先の業績悪化による需要減」が28%(同39%)、「取引先の海外移転による需要減」が22%(同23%)などとなっている。
現在の円高水準での対応策(複数回答)では、「経営努力、製品設計変更等によるコスト削減」(38%)や「取引の円建て化」(23%)を考える企業が多いが、為替水準が継続した場合は、「コスト削減」(36%)のほか、「海外生産比率の増加」(28%)や「生産工場や開発拠点の海外移転」(17%)を検討する企業が増える。為替予約については、回答企業の約1割が実施しているが、円建てで取引を行うため、為替予約を必要としない企業もある。
一方、外国から直接海外進出の誘致を受けている中小企業が13%あった。国別では、「中国」(7社)や「韓国」(3社)、「その他アジア(マレーシア、ベトナム、インド)」(5社)など、アジア諸国から誘致を受けた企業が多い。取引先企業からの誘いもあるが、政府系からの誘致では、税制の優遇や電力料金免除、中小企業補助金の支給、政府機関との合弁等が提示されているという。
同調査結果の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/2011/09/20110901003/20110901003-3.pdf