税 務 関 連 情 報 |
2002年11月18日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(11)
クロヨンと称される所得捕捉率の不公平があることは確かである。その一因として国税職員の定員増が確保できないことによる実調率の低下がある。また、わが国では、納税は国民の義務であるという納税意識が育まれてこなかったことも、申告納税制度の下では致命的なことである。つまり、納める側の意識と徴収し管理する側の体制の不備が所得捕捉率の不公平を生み出している要因ということになる。
いまや解決策のない袋小路に入り込んだ感がある。そもそも、所得捕捉率の格差があることは仕方がないことではないのか。自ら申告することによって、お上から一方的に税金をむしりとられる制度ではなく、申告納税制度という民主的なシステムのプラス面を考えれば、所得捕捉率の格差など些細なことではないのかという疑問も湧いてくる。
この連載を読まれた国税OBの某大学教授が興味深い指摘をしてくれた。それは、
「クロヨンというのは、バブル崩壊以前の事業者が左ウチワで稼いでいた景気のいい頃の話。いまや青息吐息の事業者ばかりなのだからあまり意味がないのでは」
というものだ。企業も7割が赤字の不況の中で、事業を継続することさえ難しい事業者がほとんどだ。
それに比べれば、冬のボーナスも最低の伸び率とはいえ安定的な収入があるサラリーマンのほうが幸せだということなのか。クロヨンを議論する前提条件が違ってきてしまったということではある。確かに、10数年前のバブルの頃のクロヨンの不公平感と今のそれでは大きな違いがあろうが、それは景気動向などからくる結果であって、不公平は敢然としてあって、どうすれば解決できるのかという問題なのである。
(以下次号に続く)
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