日本経済団体連合会や日本商工会議所など130経済団体は19日、2005年度税制改正において企業年金積立金にかかる特別法人税の撤廃を求める共同決議を発表した。企業年金の積立金に課税する特別法人税は、1999年度以降課税停止中だが、その期限は来年3月末まで。そこで、経済団体は、同税はサラリーマンの老後保障を損ない、また年金課税の原則にも反するとして撤廃を求めたもの。
各企業は現在、確定拠出年金や確定給付企業年金への移行など企業年金制度の改革を進めている。公的年金給付の減額が決まるなかで、企業年金の維持・拡充はサラリーマンにとって極めて重要な課題となっている。ところが、確定拠出年金や確定給付企業年金は特別法人税の課税対象とされていることから、老後のための大事な資産に課税することになり、企業・個人の自助努力を阻害するとの撤廃すべき理由を挙げている。
また、もともと年金税制の原則は、掛け金の拠出時・運用時は非課税、課税は受給時に行うものだが、年金の運用資産に課税する特別法人税は、これに反することを挙げている。これまで特別法人税を撤廃できない一因として、公的年金等控除の範囲が大きく、受給時課税が実質的に行われていないこととされてきたが、2004年度税制改正で、公的年金等控除が縮小され、企業年金の受給時課税は実現していると反論している。
このような理由から、2005年度税制改正において、確定給付企業年金や適格退職年金、確定拠出年金などの私的年金制度及び厚生年金基金のすべてにわたり、特別法人税を確実に廃止すべきことを求めたわけだ。現在課税を停止しているのは、年金の運用収益が悪化したことが要因だが、課税を再開すれば約3000億円の増税になる。企業年金制度を再編中の企業にとってその負担は大きく、特別法人税の行く末が気がかりなところだ。