地方自治の確立を目指す国と地方の税財政改革、三位一体改革がなかなか進まない。地方財政計画の2004年度見通しによると、地方歳入総額84.7兆円のうち、地方税や事業税などの収入は34.6兆円と約4割に過ぎず、地方財政は、国庫補助負担金(12.1兆円)、地方交付税等(21.1兆円)など、国からの援助で賄っている。三位一体改革のカギを握るのは、国庫補助負担金の削減とともに「地方交付税」の見直しなのだ。
国庫補助負担金は、地方が実施したい事業に対する国からの補助金だ。中央官庁や国会議員への要請を通じて補助が実現することから、非効率行政の原因だとして、廃止・縮減が議論されている。補助金を削減する代わりに、国税から地方税へ税源を委譲しようというわけだ。昨年11月の政府・与党間合意で3兆円の税源委譲が実現したが、削減する具体的な補助金の議論でこう着状態となっている。
一方、地方交付税は、地方自治体間の格差を解消するために、国の決める歳出額を財源保障するという考え方により交付されるもの。地方交付税は、国庫補助負担金とは異なり、使い道が指定されていない。個々の地方自治体の歳出額は、国(総務省)がモデル計算で決定するが、事実上、国の裁量でどのようにも決められる要素がある。財源は、所得税の32%など国税の一定割合が「法定率分」として確保されている。
ところが、税収とは独立のモデル計算で歳出額を決定し、これを満たすように算出される地方交付税額が、上記の「法定率分」の金額に一定することは当然ない。算出された交付税額が「法定率分」を超える場合には、交付税額のほうを減らし、両者を一致させるルールになっているが、現実には、国費からの特例加算によって、法定率を超える地方交付税を支給することが常態化している。
地方歳出規模は、歳入予定の地方税・地方交付税法定率分などをはるかに超えており、それを補てんする国も財政危機に直面している。また一方で、努力しないでも入ってくる地方交付税は、地方自治体の経営モラルを失わせたという批判が強い。民間企業と比べると、モラルの差異は明らかだ。国の財政危機を引き起こし、一方で地方行政の自律的効率化を妨げている実態からすれば、地方交付税の改革は重要課題となる。