株価は、景気動向指数の先行系列にも含まれることからも分かるように、概ね景気に先行して動くという特徴がある。これは、投資家が目先の企業業績を予測しつつ売買するためと考えられる。そこで、内閣府のレポートは、短期的な企業業績が株価に与える影響を調べるため、1990年度以降の日経平均株価の前年比と大企業の経常利益伸び率との関係を見た。97年度以前については、両者の間に相関は見られない。
この要因として、バブル期に過度に上昇した株価の調整局面が長引いたことや、経常利益が法人企業統計のものであるため金融業が含まれていないことなどが考えられる。反面、98年度以降については、明確な相関が見られるようになっている。法人企業統計に含まれない銀行や証券といった業種は、金融危機後は相対的に低迷しており、日経平均におけるウェイトも低下したと見られる。
なお、企業決算の詳細が明らかになるのは決算期末を約1ヵ月経過した後であるため、株価は早い段階から目先の企業業績を織り込みつつ推移するということが示唆される。昨年秋の株価急落に関しても、企業業績の急激な悪化を織り込んでいったものと解釈することが可能であろう。
最後に、最近の動きについて見てみると、日経平均株価のリーマンショック直前の値からバブル崩壊後の最安値までの下落、ならびにバブル崩壊後最安値から直近2009年6月の戻り高値までの上昇、それぞれにおける業種別の寄与は、電気機器や自動車を含む「加工型製造業」が大きくなっている。これらの業種は下落局面では国内外の需要急減の影響を最も大きく受けたことに加え、為替相場の影響も相対的に受けやすい。
ドル円相場と日経平均株価の相関は常に強かったわけではないが、2006年度以降は高い相関が見られるようになっており、円高・株安、円安・株高の構図が長期間継続して観察されるようになっている。