2004年年金制度改正により導入することとされた「離婚時の厚生年金の分割制度」は、いよいよ来年2007年4月から実施される。同制度に係る手続き等については、厚生労働省令で定めることとされているが、同省は、「厚生年金保険法施行規則等の一部改正省令(案)」について、今月12日付けでパブリックコメントを開始した。意見受付の締切日は8月11日(必着)となっている。
離婚時の厚生年金の分割制度が導入された背景には、近年、中高齢者などの離婚件数が増加していることがあるが、現役時代の男女の雇用格差・給与格差などを背景に、離婚後の夫婦双方の年金受給額には大きな開きがあるという問題が指摘されていた。そこで法改正により、離婚時の厚生年金の分割制度が2007年4月から、離婚時の第3号被保険者期間についての厚生年金の分割制度が2008年4月から、それぞれ導入される。
離婚時の厚生年金の分割制度により、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録(夫婦の合計)を、離婚した場合に当事者間で分割することが認められる。事実上の婚姻関係にある人も対象となるが、その場合、分割の対象となるのは、当事者の一方が被扶養配偶者として国民年金法上の第3号被保険者と認定されていた期間に限られる。
また、分割ができるのは、施行日以降に成立した離婚だが、施行日前の婚姻期間に係る厚生年金の保険料納付記録も対象とすることができる。離婚当事者は協議により按分割合について合意した上で、社会保険事務所に厚生年金の分割請求を行う。当事者間での合意がまとまらない場合は、離婚当事者の一方の求めにより、裁判手続きにより按分割合を決めることができる。
なお、あらかじめ分割のための按分割合を決めるために必要な情報を把握しておきたい当事者については、今年10月から、社会保険庁に対して必要な情報を請求することができる。