生命保険料控除は生命保険料を支払った場合に最高5万円を限度として控除するものだが、この制度も個人所得課税における諸控除見直しの流れのなかでターゲットのひとつとなっている。それは、同制度とは別枠で最高5万円まで控除される個人年金保険料控除制度も同様だが、公的保障が確実に縮小されることを考えれば、生命保険や個人年金は重要度がさらに増すことから、税制上の優遇措置の存続を求める声は強い。
生命保険協会がこのほど公表した「生命保険料控除制度に関するインターネットアンケート」結果(有効回答数3万1666人)によると、将来の生活保障を充実させるための考え方としては、生命保険への加入や預貯金を増やすなどの自助努力によって充実したいとする「自助努力志向派」が83.9%を占めた。今より高い社会保険料を支払ってでも公的保障の充実を望む「公的保障充実派」は16.1%にとどまった。
こうした考え方を反映して、生命保険料控除制度については、「拡充してほしい」が81.3%、「現状のままで存続してほしい」が16.1%、合わせて97.4%の人が維持・拡充を望んでいることが明らかになった。同様に個人年金保険料控除制度についても、「拡充してほしい」(79.6%)と「現状のままで維持してほしい」(17.0%)を合わせ96.6%の人が維持・拡充を望んでいる。
また、両制度が拡充された場合、「より充実した保険への見直しを考える」が41.0%でもっとも多く、「将来の保険加入への励みになる」(29.0%)、「新たな保険への加入を考える」(23.2%)などを合計すると93.2%を占める。両制度の拡充は、私的保障の充実による自助努力の促進に大きな支援になるとほとんどの人が考えていることがわかる。
反対に廃止・縮小となった場合は「解約・減額を考える」との回答が28.1%となった。解約・減額を考えるまでには至らないまでも「現在の保険を続けていけるかどうか不安になる」との回答が49.5%とほぼ半数を占めた。このことから、同協会では「制度の廃止・縮小は自助努力に対して大きなマイナスのインパクトを与える」との考えを示し、生命保険料控除制度などの見直しの流れをけん制している。