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非上場株式等の相続税の納税猶予特例に経過措置

税務関連情報 - 2009年04月24日

 過去に贈与により取得した非上場株式等について、その贈与税の申告に際して自社株式に係る10%減額措置や相続時精算課税制度(非課税枠3000万円)の特例を適用している場合には、将来、贈与者の死亡に係る相続税の計算において、他の相続財産に加算して計算することになる。しかし、2009年度税制改正においては、経過措置として、非上場株式等に係る相続税の納税猶予の特例の適用が受けること可能となった。

 経過措置の適用を受けるための要件の一つとして、2010年3月31日までに「非上場株式等に係る相続税の納税猶予に関する届出書」に所定事項を記入し、税務署に提出する必要がある。届出書の提出期限を過ぎると、贈与者の死亡に係る相続税の申告にあたり、過去に贈与により取得した株式等だけでなく、相続等により取得した同一会社の株式等についても納税猶予の特例の適用ができなくなるので注意が必要だ。

 加えて、同特例の適用を受けるためには、届出書の提出以外にも一定の要件を満たす必要がある。それは、贈与を受けた人が、非上場株式等の贈与を受けたときから贈与者の死亡に係る相続税の申告書の提出期限までの一定期間に、その非上場株式等に係る会社の役員等であったこと、また、過去に贈与された非上場株式等のうち、同特例を受ける選択をしたもののすべてを、上記の期間、引き続き保有していることだ。

 過去に贈与により取得した非上場株式等について、非上場株式等に係る相続時精算課税の特例の適用を受けている場合には、受贈者が、確認日の翌日から2月を経過する日までに、一定の確認書を提出していることが要件となる。確認日とは、同相続時清算課税の特例の適用をした年の翌年3月15日から4年を経過する日(その前に受贈者や贈与者が死亡した場合は、その死亡の日)をいう。

 なお、納税猶予の届出書を提出した場合であっても、贈与者の死亡に係る相続税の計算において、同納税猶予の特例の適用を受けないことも選択できる。ただし、過去に贈与により取得した株式等の全部について同納税猶予の特例の適用を受けない場合には、贈与者の死亡に係る相続税の申告にあたり、過去に贈与された株式等だけでなく、相続等により取得した同一会社の株式等についてもこの特例の適用は受けられないので要注意だ。