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経営関連情報 (2006/02/06)

労災保険の事業区分に通信・小売・金融等を新設

 厚生労働省はこのほど、「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」を労働政策審議会が審議した結果、妥当との答申が出されたことを明らかにした。これを受けて同省は、今後省令の制定に向けて作業を進める。省令案では、労災保険率の事業の種類に、「通信業、放送業、新聞または出版業」、「卸売業・小売業、飲食店または宿泊業」及び「金融業、保険業または不動産業」を新設する。

 これは、労災保険適用事業場数の約5割、133万事業場にのぼる「その他の各種事業」から上記3区分を分離独立させ、新たな事業の種類として設定することで、他事業とのバランスを図る考えだ。サービス業を中心とした第三次産業の拡大に対応した見直しだが、労災保険料率の改定を行う2006年4月1日から実施する予定となっている。

 労災保険制度では、事業ごとの作業態様に応じて災害発生率が異なるとの考え方に基づき、労災保険適用263万事業場(労働者数4855万人)を51事業に区分して、事業別に労災保険率を設定している。各事業は、おおむね数万人から数十万人程度の保険集団として構成しているが、近年のサービス産業の拡大による産業構造の変化で、大きくバランスが崩れ始めつつある。

 その結果、細かく区分している製造業や建設業などでは産業規模の縮小などにより適用数が1000事業場程度の事業が散見される一方で、第三次産業を中心とする「その他の各種事業」は全体の半数を占める133万事業場(労働者数2993万人)まで膨れ上がっている。ところが、同各種事業の労災保険料は一律1000分の5であることから、同各種事業内の労災防止インセンティブが働きにくくなっていると指摘されていた。

 また、3年ごとに実施している労災保険率の改定では、従来の51事業のうち半数近くの23事業で料率が引き下げられる予定であり、労災保険率の平均は1000分の7.3から1000分の7.0に下がる見込み。なお、新設の「通信業等」と「金融業等」は1000分の4.5、「卸売業等」は1000分の5に設定され、「その他の各種事業」は0.5引き下げられ1000分の4.5に改訂される案が示されている。