税 務 関 連 情 報

2001年11月07日-002
注目される株式譲渡益課税での「取得価額80%特例」

 今臨時国会で審議される証券税制の見直しは、平成15年1月に3ヵ月前倒しで実現される申告分離課税への一本化が柱だが、注目されるもののひとつに「上場株式等に係る取得費の特例の創設」のメリットがある。この特例は、平成15年1月1日から平成22年12月31日までに間に譲渡した上場株式等で平成13年9月30日以前に取得したものの譲渡所得に係る取得の額は、選択により、平成13年10月1日における価額の80%とみなすもの。平成13年10月1日における価額は、同日における公表最終価格等である。

 これは、平成15年1月の申告分離課税一本化後は、譲渡所得を算定するためには取得価額を確定する必要が出てくるが、相続により取得した株式や取得時期が何十年も前の株式の中には取得価額が不明なことも少なくないことから手当されたものだ。現行でも、相続で取得したため取得価額が不明な場合や購入価額が売却額の5%に満たない場合は、売却額の5%を取得価額とみなす特例があるが、80%が取得価額となるとそのメリットは比べものにならない。しかも今回の特例は、取得価額が明らかな場合でも、有利な場合は選択適用できることも魅力的な点だ。

 ただし、特例の対象となる株式は、本年10月1日時点で上場等されていた株式に限られることが注意点だ。また、原則9月30日以前に取得していた上場株式等が適用対象だが、10月1日以降の取得でも、相続・贈与等や株式の分割または併合、法人の合併などによる取得は「その者が引き続き所有していたものとみなす」ことになるメリットも大きい。

 

 

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