特殊支配同族会社の業務主催役員給与の損金不算入制度、いわゆる一人オーナー会社課税制度は、民主党のマニフェストで廃止する方針が明示されているが、10月27日に開かれた政府税制調査会に提出された参考資料によって、その適用状況の詳細が明らかになった。資料では、適用除外基準所得額が800万円から1600万円に引き上げられた2007年度分の適用会社は約12万社で、税収額は672億円と推計している。
制度導入時の2006年度の財務省の試算では課税対象社数を5~6万社、税収額290億円程度と見込んでいたが、フタを開けると対象会社数は約11.7万社に膨らんだことから、2007年度税制改正において適用除外基準所得額を1600万円に引き上げた経緯がある。昨年暮の国会答弁書によると、2008年3月決算法人のサンプル法人調査の結果、対象法人数は約5.6万社と半減するとされていたが、今回の資料では約12万社となる。
今回公表された資料は、制度適用2年目(2007年度分)の会社標本調査の標本法人(5万1942社)のデータを基に、適用対象法人(3011社)に係る損金不算入額やオーナー給与支給額、基準所得金額を調査し、全国ベースに引き直して集計したもの。その結果、制度の適用により損金不算入となった法人数は、黒字法人9.3万社で納税額672億円が生じたほか、納税額が生じなかった赤字法人が2.8万社の計12万153社となった。
黒字法人のオーナー給与の平均額は2048万円、最高額は3億8200万円。黒字法人の損金不算入額は合計で2400億4000万円にのぼり、もっとも計上している法人は「資本金1000万円以上2000万円未満」の4万3793社だった。赤字法人のオーナー給与の平均額は1926万円、最高額は3億6000万円。損金不算入額は合計713億円で、こちらも「資本金1000万円以上2000万円未満」の1万2199社の損金不算入額がもっとも多い。