税 務 関 連 情 報

2002年07月31日-001
平成15年度税制改正は1兆円の法人税減税をめぐる攻防に

 小泉首相が7月26日に開かれた経済財政諮問会議で、法人の税負担軽減を中心とした総額1兆円を上回る先行減税を15年度にも実施するよう指示したことで、今後の税制改革論議がより熱を帯びてくる。先行減税の財源は将来の増税で一定期間内に補う税収中立を目指すことから、将来の増税策も大きな焦点となる。しかも、「税制改革に当たっては、仮に減税を先行させるならば、増減税の具体的内容・実施時期等を含め、一つの法律案にこれを盛り込むものとする」との塩川財務相の三原則の資料(4月16日公表)が当日の諮問会議に改めて提出され、15年度税制改正での増減税一体路線が確実となった。

 また、当日の諮問会議では、本間正明大阪大教授ら民間4議員が15年度予算編成についての「予算の全体像」の提案書を提出し、徹底的な歳出削減の成果を財源として、1)法人の税負担の軽減、2)相続・贈与税の一体化に向けた贈与税の減税、3)金融所得課税の一元化に向けた簡素化、4)土地の有効利用に向けた土地関連流通税の見直しなど、民間需要創出効果の高い減税の実施を提言。ネット減税は1兆円程度で、主に法人の税負担軽減に活用することを提言している。

 減税ついては、これまでの税制改革論議の中で浮上してきた法人実行税率の引下げや研究開発投資・IT投資等促進税制、贈与税減税などの具体的な内容が検討されることになるが、問題なのは増税項目である。「広く、薄く、簡素な税制の構築」が税制改革の基本方針。25日に閣議決定された諮問会議の「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」によると、1)法人課税ベースの拡大、2)配偶者特別控除など諸控除の見直し、3)法人事業税の外形標準課税導入の検討、4)年金課税の見直し、5)消費税の免税点制度等の見直しなどが検討項目として浮上する。ほとんどが給与所得者など個人や中小企業に負担は押し寄せる。法人の税負担軽減のために、所得税増税や赤字法人に新たな税負担を求める構図には中小企業団体などから強硬な反発が出ることは必至だ。

 

 

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