米国を発信源とした世界的な金融危機が拡大しているなか、国内景気は一段と後退し、金融機関の貸出姿勢が慎重化するなど、信用収縮に対する懸念が高まっている。帝国データバンクが10月下旬に実施した「資金繰りに関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万954社)によると、現在の資金繰り状況について「厳しくなっていない」と回答した企業が59.4%を占める一方、「厳しくなっている」とした企業が26.3%となった。
厳しくなっているとした企業を規模別にみると、「中小企業」は29.1%で「大企業」(16.1%)を13ポイント上回っており、大企業と中小企業とで資金繰りに関する格差は大きい。資金繰りが悪化した時期については、「9月」との回答が14.4%で最多、次いで「8月」が13.6%、「10月」が10.2%となり、8月以降の直近3ヵ月で30.3%と4割近くに達するなど、資金繰り悪化に直面する企業が年初から次第に増加している。
2008年末にかけての資金繰り見込みは、現在資金繰りが厳しくなっていると回答した企業のうち51.0%が「さらに厳しくなる」と回答、5割以上の企業が一層の悪化を懸念している。また、24.8%の企業が「変わらない」と回答。一方、現在は厳しくなっていないと回答した企業も、18.2%が年末にかけて「厳しさが見込まれる」と回答した。その結果、全体の30.7%の企業が、2008年末も資金繰りが厳しくなると見込んでいる。
資金繰りが年末にかけても厳しくなると見込んでいる企業を業界別にみると、「建設」(38.9%)、「不動産」(35.5%)、「小売」(32.9%)などの順に多い。また、規模別では、「中小企業」が33.2%と「大企業」(21.6%)を11.6ポイント上回っている。特に、現在資金繰りが厳しい業界ほど年末にかけて厳しくなると見込む傾向があり、今後、企業間での資金繰りが二極化していく可能性があるとみられている。
なお、現在資金繰りが厳しくなっている企業のその悪化要因(3つまで回答)については、「売上の低迷」が73.8%ともっとも多く、次いで「仕入コストの増大」(43.0%)、「金融機関の貸し渋り」(28.5%)、「売掛金の回収難」(17.5%)、「取引先の倒産」(13.0%)の順となっている。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0810.pdf