ゼイタックス

税務関連情報 (2005/04/15)

定期借地権の一時金は期間に応じて費用化・収益計上

 定期借地権に係る一時金を、一定の契約に基づき賃料の前払いとして一括授受する場合に、借地人、土地所有者それぞれについて、期間に応じた費用化、収益計上を可能とする取扱いの明確化が図られている。これは、2005年度税制改正における見直しではなく、国土交通省からの照会に対する国税庁の回答文書で明らかになったもの。借地人、土地所有者双方にとってメリットが大きく土地の有効活用が期待されている。

 これまで、定期借地権に係る権利金は、受け取る土地所有者(定期借地権設定者)は不動産所得として一時に収益計上する必要があった。一方、支払う借地人のほうは土地の取得の対価とされて支払い時は資産計上し、定期借地権終了時にはじめて全額が損金計上できる。また、保証金の場合は、支払った借地人は単に資産計上するだけだが、土地所有者は個人的に使ってしまったときは毎年の経済的利益に対し課税される。

 今回の取扱いの明確化で、賃料の前払いとしての一時金については、借地人は「前払費用」として計上し、その事業年度(年分)の賃料相当額を損金または必要経費に算入する。土地所有者は「前受収益」として計上し、その事業年度(年分)の賃料相当額を益金または収入金額に算入する。つまり、賃料を一括で授受しても、借地人は期間に応じた費用化、土地所有者は期間に応じた収益計上ができることになったわけだ。

 契約については、その一時金が前払賃料であり、それが契約期間にわたって均等に充当することを定めた定期借地権設定契約書により契約し、取引の実態もその契約に沿うものであることとされる。また、中途解約時には未経過分を返還する契約でなければならないわけで、このことから、これまで定期借地権における一時金は一時に課税される権利金よりも保証金方式がほとんどだったが、返還不要である権利金方式が増えることが予想されている。