2003年10月15日-003
資産デフレが企業経営に与えるマイナスの影響
1990年代初めより続く資産デフレがわが国経済にマイナスの影響を及ぼしていることは間違いない。経済産業省がこのほど公表した「資産デフレが企業・家計に及ぼす影響」についての調査は、実際の企業の資産デフレに関する意識・態度について調査したものはあまり類がないだけに興味深い。調査結果では、地価下落よりも株価下落のほうが企業経営にマイナスの影響があるとの回答が多かった。
同調査は、今年1月時点で実施し、大企業567社、中小企業280社の計847社の回答を得た。調査企業の資産所有状況は、土地については「大企業・所有」が全体の64.3%を占め、「同・非所有」が3.4%、「中小企業・所有」が16.5%、「同非所有」が15.8%。株式については、「大企業・所有」が65.9%、「同・非所有」が2.2%、「中小企業・所有」が11.4%、「同・非所有」が20.6%となっている。
調査結果によると、地価下落が企業経営に「マイナスの影響」との回答が54.4%だったが、地価下落では「マイナスの影響」が69.9%を占め、地価下落よりも株価下落のほうが企業経営にマイナスの影響があった。特に、地価下落で「マイナスの影響」との回答は、中小企業の45.7%に対し、大企業は81.1%にのぼった。背景としては時価会計の導入が考えられる。
地価下落が企業経営に及ぼした影響は、「財務体質」(50.1%)、「企業収益」(45.4%)、「土地売却による合理化」(37.6%)、「土地担保による資金調達」(33.4%)の順にマイナスの影響が大きい。一方、株価下落のマイナスの影響は、「企業収益」(68.9%)、「財務体質」(68.7%)とする回答が非常に多かった。地価・株価の下落は、財務体質・企業収益の両面でマイナスの影響が大きいことが明らかだ。
地価・株価が上昇した場合の企業経営に及ぼす影響については、株価が上昇した場合「プラスの影響」との回答が68.7%で、地価上昇の場合の42.5%を上回った。特に、大企業の78.2%が株価上昇は「プラスの影響」と回答。中小企業は48.5%で、地価上昇の場合の44.3%とあまり差はない。
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