自民・公明両党は12日、2009年度税制改正大綱を決定したが、大きな増税項目はなく、「3年間のうちに景気回復を最優先で実現する」ことに重点を置いた減税項目が並んだ。消費税については、税制抜本改革の全体像を示したなかで、社会保障財源化を明記したものの、「税制抜本改革を経済状況好転後に速やかに実施し、2010年代半ばまでに持続可能な財政構造を確立する」との言及にとどまり、税率引上げ幅等は明示しなかった。
景気刺激策の中心となる住宅・土地税制については、(1)住宅ローン減税の適用期限を5年延長するとともに、制度を大幅に拡充し、特に長期優良住宅については最大控除可能額を過去最高水準を上回る600万円に引上げ、(2)省エネ・バリアフリー・耐震改修促進税制の適用期限を5年間延長、(3)2009年、2010年に取得する土地を5年超所有して譲渡する際の譲渡益について1000万円の特別控除制度を創設する。
中小企業対策としては、中小法人等の軽減税率を現行の22%から18%に2年間時限的に引き下げるとともに、現在適用が停止されている欠損金の繰戻還付制度を復活することにより、赤字に陥った中小企業の資金繰りを支える。また、中小企業の経営承継を円滑化するため新たな事業承継税制を導入し、その際、株式等の生前贈与による事業承継を促進する観点から、贈与税の納税猶予制度をあわせて創設する。
金融・証券税制については、上場株式等の配当等について、現行税制の3年間の延長を行う一方、その後の金融所得課税の一体化の枠組みのなかで、少額投資のための簡素な優遇措置を創設する。具体的には、10%軽減税率が廃止され20%本則税率が実現する際に、5年間毎年100万円までの上場株式等への投資に係る配当・譲渡益を非課税とする措置の検討を進め、2010年度改正において法制上の措置を講じる。
ほかでは、(1)自動車重量税・自動車取得税について、環境性能に優れた自動車の取得・継続保有に係る負担を3年間免除・軽減、(2)企業による省エネ・新エネ設備等や省エネ性能の高い家電製品等の生産設備等への投資促進のため、2年間即時償却等が可能な投資減税、また、海外子会社からの受取配当の益金不算入制度を導入、(3)電子証明書を有する個人の電子申告に係る所得税額特別控除制度の適用期限を2年延長、などが盛り込まれた。