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初の「減税自治体構想」実現を目指す東京・杉並区

税務関連情報 - 2009年07月31日

 東京都杉並区は、2010年度から予算の一定割合を毎年積み立て、強固な「財政のダム」(基金)を築き、その利子収入を原資に区民税を減税する「減税自治体構想」実現に向けて動いている。将来の減税を目的とした基金の設置は全国初の試み。杉並区は過去10年間、平均して予算の1割以上を債務の返済と基金の積立に充ててきた。2008年度決算見込みで、年度間の収支の過不足を調整する財政調整基金残高は223億円にのぼる。

 一方、区は2007年7月に学識経験者5名からなる「杉並区減税自治体構想研究会」を設置し、減税自治体構想の具体化を進めてきた。研究会のシミュレーションでは、1.5%以上の利回りで積立金の運用を行った場合、積立開始から10年後には区民税の10%、20年後には15%の減税が可能になるという。この報告を受けた区は、2010年度予算から減税自治体に向けた新たな積立を開始したい考えだ。

 こうした「減税自治体構想」実現に向けて区民に理解を求めるため、区は、「島耕作シリーズ」などでおなじみの漫画家・弘兼憲史氏が監修した漫画パンフレットを作成。タイトルは『杉並太郎・花子の議 めざせ!減税自治体』。区内に住むサラリーマン夫婦が区財政を家計として理解することで、行革を進めて基金を積み立てた利子収入で住民税を減らし、将来の子どもたち世代の負担を軽減することに目覚めていくプロセスなどを描く。

 区は、来年度からの減税基金設置のため、来年2月の区議会に条例案を提出する予定。ただ、減税自治体構想には、「現在の区民は行政サービス向上を望めない」とか「現在の区民と将来の区民は一致しない」ことから、負担とサービスの関係に問題と指摘する声、また「予算が余っているならすぐ減税すべき」といった声もあるため、漫画で理解を深めたい考えだ。漫画は区内各所などで無料配布するほか、区HPでも見ることができる。

 漫画パンフレットは↓
 http://www2.city.suginami.tokyo.jp/guide/detail/5934/genzeizititai_manga.pdf