日本政策金融公庫総研が13日に発表した「2008年度新規開業実態調査(特別調査)」では、近年、開業費用は減少傾向にあり、500万円未満で開業した企業(少額開業)の割合は、1995年度の20.3%から2008年度は35.4%に高まっていることが分かった。同特別調査は、国民生活金融公庫が2007年4月から同年7月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後5年以内の企業(不動産賃貸業を除く)を対象に実施したもの。
500万円未満の少額開業の実態を探った同特別調査結果(有効回答数3007社)によると、開業費用の平均は、少額開業が242万円、非少額開業が1816万円となった。少額開業は金融機関から資金を調達する企業割合が42.1%と、非少額開業の72.7%に比べ30.5ポイントも低い。その理由は、「自己資金で十分だった」(43.5%)のほかに、「利用できる融資制度を知らなかった」(23.5%)、「借りられないと考えた」(19.3%)という理由も多い。
開業準備についてみると、少額開業は開業準備期間が短い企業が多く、「3ヵ月以下」が52.7%と過半を占める。他方、開業計画書を「作成していない」とする割合が40.3%(非少額開業は15.3%)と高い。さらに、開業時に「販売先の数」、「仕入先の数」、「金融機関からの資金調達額」の準備状況が十分だったという割合も非少額企業よりも低く、少額開業は準備が不十分なまま開業してしまうケースが多いことがうかがえる。
また、目標月商達成率をみると、少額開業は100%以上の企業(目標月商を達成している企業)の割合が39.7%と、非少額開業の44.8%よりも低い。採算状況をみても、「黒字基調」の企業割合は非少額開業の71.8%に対し、少額開業は65.4%と6.4ポイント低い。しかし、黒字企業について従業員一人あたりの月利益額や開業費用に対する利益額の比率をみると、少額開業(平均17.1万円、同24.3%)のほうが総じて効率性が高い。
同特別調査結果の詳細は↓
http://www.jfc.go.jp/common/pdf/syougakukaigyou.pdf