税 務 関 連 情 報 |
2002年11月11日-002
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(8)
罰則を重くすれば脱税は減るのか。脱税は「犯罪」であり、割に合わないという納税者意識を育てるために、脱税者には相当の罰則を科そうということだ。例えば、1億円の所得をごまかしたら1億円の罰金を取る。後で不正がばれても、正しく申告しなかった分が全てなくなるわけではないから、ついつい「ごまかしてしまおうか」という気持ちを起こさせないぐらいの罰則にする。
いかがなものであろうか。確かに、罰則規程を重くして「脱税は割に合わない」ということを納税者に知らしめれば、少しは脱税が減るだろう。しかし、罰則規程を重くするためには国民の合意が必要だが、わが国はアメリカのように脱税は「社会的犯罪」だという風潮がないように思う。かのギャングの帝王アル・カポネは、殺人や密造酒の製造などで捕まったのではなくて、脱税で逮捕されたことが致命傷となったのだ。
つまり、税金をごまかしたことがばれても、わが国の一般的な感想は「運が悪かったね」といったところではなかろうか。申告納税制度導入後の50年間で納税強力団体の方々を中心に、「税金を正しく申告することが国民の義務である」との納税道義の高揚に向けた努力がなされてきたが、まだまだ国民の意識には十分に根付いていない。申告納税制度の仕組みは定着したが、多くの納税者の税金に対する意識は「税は取られるもの」ということなのだ。
(以下次号に続く)
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