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税務関連情報 (2007/11/21)

地方自治体間の税収格差是正は地方消費税の拡充で

 総務省の地方財政審議会は16日、「地方公共団体間の財政力格差是正についての意見」と題した意見書を公表し、「地方自治体間の税収格差の是正は地方消費税の拡充を基軸に行うべき」との考えを明らかにした。財務省が是正策として主張している地方法人二税の税収を地方自治体間で水平的に配分するとの考え方は、「受益と負担の関係を完全に分断するなど、税理論上成立し得ない」との否定的な見方を示した。

 意見書は、地方歳出の抑制、特に財政力の弱い団体における地方交付税の抑制と、地方法人二税(法人事業税、法人住民税)の急速な回復に伴う地域間の税収差の拡大を背景として、地方自治体間の財政力格差の是正が喫緊の課題と指摘。2005年度までの7年間に財政力指数0.3未満の県においては▲24.3%の一般歳出削減額がなされるなど、懸命の努力にもかかわらず、厳しい財政運営を強いられている自治体が多いことを示した。

 地方税収の偏在是正にあたっては、あるべき地方税体系に向けた改革との整合性を十分に考慮するべき、また、安定的で偏在度の小さい地方税体系の構築は、地方消費税の充実を基軸に行うべきだとした。他方、法人二税については、税収の偏在性・安定性という観点から、国・地方を通ずる税体系全体のなかで、国・地方の税源配分のあり方を検討するべきであるとして、財務省の考えに異を唱えている。

 さらに、早急に地方税収の偏在是正を行う場合には、国の消費税の一部を地方消費税にする一方で、地方法人二税の一部を同額国税化する、いわゆる税源交換を基本に検討することを主張している。今後、2008年度税制改正に向けて税収偏在の是正策が検討されるが、財務省の法人二税の配分見直し案と総務省の税源交換案が対立した形となっており、どのような形で決着がつくのか、その行方が注目されるところだ。

 地方財政審議会の意見書の全文は↓
 http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/pdf/071115_5.pdf