2004年の年金制度改正により、この4月1日から年金制度の一部が変わった。主な改正点は、1)70歳以上の勤務者に係る老齢厚生年金の給付調整の導入、2)65歳以降の老齢厚生年金の繰下げ制度の導入、3)遺族年金制度の見直し、4)離婚時の厚生年金の分割制度の導入、5)自らの申出による年金の支給停止の仕組みの導入だ。社会保険庁では、同庁のホームページ上にこれらに関するQ&Aを掲載して説明している。
老齢厚生年金の負担調整は、70歳以上の受給者についても、現行の60歳代後半の在職老齢年金の調整の仕組みを導入するものだ。具体的には、老齢厚生年金の基本月額+総報酬月額相当額の合計額が48万円以下であれば全額支給されるが、48万円を超えれば一部または全額が支給停止となる。事業主は、4月以降に1937(昭和12)年4月2日以降生まれの人を雇用した場合には、70歳以上被用者該当届出等の届出が必要になる。
また、老齢厚生年金の繰下げ支給の制度は、「65歳以後の老齢厚生年金」を受けることができる場合に、65歳からは受けずに、66歳の誕生日の前日以後に申出をすることにより、その申出をした翌月から、増額された老齢厚生年金を受けることができる制度だ。繰下げ加算額は、原則、65歳時点の老齢厚生年金額を基準として、繰下げの申出をした時期に応じて計算される。
3)の遺族年金制度の見直しは、まず65歳以上の人の遺族厚生年金については、自らの保険料納付を確実に年金給付に反映する仕組みとするという考え方から、自分自身の老齢厚生年金全額と、改正前の支給水準との差額を遺族年金として支給する仕組みとなる。一方、夫の死亡時に30歳未満で子を養育しない妻等に対する遺族厚生年金は、若年層の雇用条件の格差の縮小の動向を踏まえて、5年間の有期給付となった。
社保庁のQ&Aは↓
http://www.sia.go.jp/sodan/nenkin/kaisei.htm