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税務関連情報 (2004/07/12)

妥当なお中元は贈答先不記載も使途秘匿金にあらず

 お中元やお歳暮はたとえ少額であっても交際費処理となるが、贈答先を明らかにできない場合は使途秘匿金として支出額の40%が加算される可能性もある。A社はお中元やお歳暮用品とともに商品券やビール券を贈っていたが、その贈り先の氏名や住所などを帳簿書類に記載していなかったことから、税務署は、A社が3事業年度で支出したビール券等の合計額約100万円は使途秘匿金にあたるとの更正処分をした。

 税務署の処分に不満のA社が国税不服審判所に審査請求したところ、同審判所は、1)ビール券は、購入先を通じて通常の中元・歳暮時期に配送されたと認められる、2)ビール券の配送先は、A社が審判所に提出した購入先保管のもっとも古い配送申込票の写しや、A社保管の最新の配送申込票の控えに記載されたビール券の送付先から、A社の取引先の関係者であったと推認している。

 さらに、3)ビール券は、配送先1件あたり5、6枚(3000~4000円程度)との配送枚数からみて、中元・歳暮用品として金額的に相当であると認められることに照らしてみれば、ビール券の配送先を帳簿書類に記載しないのが通例であるとの判断を示した。したがって、A社がビール券の贈答先の氏名等を帳簿書類に記載していなくても、その贈答は使途秘匿金の支出にはあたらないとして、税務署の処分を取り消している。

 使途秘匿金の支出とは、「相当の理由」がなく、その相手方の氏名等が帳簿書類に記載されていないものとされているが、「相当の理由」があるかどうかは法令上明らかにされてないので、社会通念上に照らして判断。例えば、支出の時期や金額の多寡などからみて相当の支出と認められる金品の贈答については、相手方の住所・氏名までいちいち帳簿書類に記載しないのが普通だから、「相当の理由」があったとの判断である。