経済産業省は、国税庁が5月12日まで1ヵ月間行った移転価格事務運営要領改定案についての意見公募に対して、無形資産の扱いや適正な取引価格(企業間独立価格)の算定方法の選択、事前確認制度の整備の3点を中心に意見を提出したことを明らかにした。同省は、近年の移転価格税制に基づく更正処分が急増するなか、昨年11月に研究会を設置し、移転価格税制をめぐる問題点の把握・改善策の検討を行っていた。
無形資産の扱いについては、適正な取引価格の算定をする際のノウハウや販売網など無形資産の扱い・評価をめぐって、納税者と課税当局との間で見解の相違が頻発していることから、無形資産の扱いを明確化する観点から、「算定において検討が必要となる無形資産の範囲が広範かつ不明瞭なため、具体的な無形資産の種類を明記し、納税者の予見可能性の向上を図るべき」との意見を提出している。
算定方法の選択は、特に第三者間の適正な取引価格を参照できない場合に使用する手法の使用をめぐって、納税者と課税当局との間で見解の相違が頻発しているため、「納税者が当初選択した方法と異なる方法を課税当局が使用する場合は、十分な説明を行うべき」、「過去の国税不服審判所の裁決内容に従って、基本三法に準ずる方法(第三者間の適正な取引価格を参照する手法の一つ)の使用を容易にする運用とする」との意見を提出した。
事前確認制度の整備では、1)納税者の負担軽減の観点から、事前確認手続きの申請にあたって要求される資料はこれまで通りの過去3年分を原則とする、2)事前確認手続きにより申告額を課税当局に確認している間は、原則、税務調査、更正処分を行わない旨を明確化する、3)過少申告に対するペナルティを課す基準について、納税者が認識できる基準にするなど、制度全般にわたって意見を提出している。
経産省の意見提出についての詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/20070516004/itenkakaku-p.r.pdf