政府は、政府系金融機関を1機関化することで合意、2008年度には統廃合が実施される見込みだ。商工中金の民営化や中小公庫・国民公庫など5機関の一本化が提案されており、企業の資金調達にも少なからぬ影響を及ぼすと思われる。しかし、帝国データバンクが実施した「政府系金融機関の統廃合による企業への影響調査」結果(有効回答数9955社)では、資金調達への影響に「懸念はない」との企業が73.9%を占めた。
「主要行ではないので大きな影響はない」、「親方日の丸体質は変わっていない。一部の利権の温床であり統合して無駄な税金を抑えるべき」といった声があったという。一方、「懸念がある」と回答した企業は11.7%だったが、その対応策については、「民間金融機関との取引拡大を検討」が最多で全体の40.8%を占めた。政府系金融機関の改革は、収益機会の拡大を狙う民間金融機関のビジネスチャンスにつながる可能性もある。
商工中金の民営化による資金調達への影響については、「懸念はない」との回答が77.8%、「懸念がある」は7.5%だった。「民間機関で十分に対応可能」との声が企業の代表的な意見だろうか。また、中小公庫、国民公庫、農林公庫等の統合による資金調達への影響も、「懸念はない」が76.0%、「懸念がある」が9.8%だった。「国民公庫の融資機能は、統合後も維持されることを信じている」との期待の声があった。
統廃合における優先課題では、「構造改革の推進」が41.3%と「セーフティネットとしての機能」(22.3%)を上回った。総じてみれば、セーフティネットとしての機能に必要な面はあるが、それ以上に小さな政府に向けた構造改革推進を望む声が大きかった。帝国データバンクでは、これまで痛みに耐えつづけてきた企業が、官の改革の動向を注視している様子がうかがえるとともに、その実現に強い期待を寄せているとみている。