日本経営協会が実施した「第1回日本の中間管理職意識調査」結果(有効回答数793社)によると、管理者の求められる役割は、「部下・後輩の育成」(84.9%)が「部門目標の達成」(78.9%)を上回ってトップとなった。中間管理職の役割としては、組織目標や部門目標の達成が第一に挙げられそうな気がするが、彼らは能力開発という手間暇のかかる課題の達成こそ、企業内における管理職の第一義のテーマと考えていることがわかった。
仕事全般に対する取り組み姿勢は、「組織方針にしたがって」が50.2でトップ、次いで「担当業務に限らず時代を先取りする気持ちで」(41.2%)が続いた。前者は小規模企業に多く、後者は大企業に多いという結果になった。また、管理職が抱えている問題・悩みとしては、「業務量が過大」(38.3%)、「業務目標のハードルが高い」(21.6%)、「他部署との連携が不調」(20.9%)が上位に並んだ。
管理職に求められる能力・資質は、「判断力」(57.5%)、「指導力」(42.2%)、「行動力」(40.4%)の順。「判断力」がトップは、コンプライアンス問題や情報セキュリティ、消費者対応など、管理職を囲む時代的、社会的環境の厳しさの表れといえそうだ。部署管理上の問題・悩みは、「とくにない」が38.7%を占めたものの、「業務能力の低い部下がいる」が29.4%で続き、部下の能力は管理者にとって頭の痛い問題のようだ。
成果主義については、「欠点もあるので修正して実施すべき」(58.9%)がトップ、「年功序列などの日本的経営と折衷すべき」(23.1%)が2位、「時代の要請なので当然実施すべき」は16.9%にとどまった。部下の考課方法も、「成果と姿勢の両面から」が84.2%を占め、「成果中心に」、「普通の勤務態度中心に」など、ほかの項目は5%を切っている。成果主義時代といっても、成果だけの考課は極めて少ない結果となった。