厚生労働省では、雇用安定・創出の実現に向けた労使合意(2009年3月23日)を踏まえ、残業削減などワークシェアリングにより労働者の雇用の維持を図る事業主を支援する「残業削減雇用維持奨励金」を創設した。これは、景気の変動や産業構造の変化、その他の経済上の理由により事業活動の縮小を余儀なくされた場合において、その雇用する労働者や役務の提供を受けている派遣労働者の雇用の安定を図ることが目的。
この奨励金を受給するためには、労働組合等との間に残業削減に関する書面による協定を締結し、その書面の写しを添えた残業削減計画届を事前に提出する必要がある。奨励金の支給は、事業主の指定した対象期間(1年間)の初日から6ヵ月ごとに区分した判定期間ごとに2回に分けて行われ、支給申請期間はこの判定期間の末日の翌日から起算して1ヵ月となる。
支給額は、各判定期間の末日時点における有期契約労働者及び派遣労働者1人あたり、判定期間ごとに、(1)中小企業主は、有期契約労働者が15万円(年30万円)、派遣労働者が22.5万円(年45万円)、(2)それ以外の事業主は、有期契約労働者が10万円(年20万円)、派遣労働者が15万円(年30万円)。ただし、上限はそれぞれ100人とし、残業削減計画届の提出日の翌日以降に新たに雇い入れられた人等は対象とならない。
また、この奨励金は、売上高または生産量等の指標の最近3ヵ月間の平均値がその直前の3ヵ月または前年同期に比べ5%以上減少している事業所(中小企業の場合は直近の決算等の経常損益が赤字であれば5%未満でも可)の事業主に対して、それぞれの判定期間において、以下の支給要件を満たした場合に支給される。
(1)判定時期における事業所労働者(事業所の雇用保険被保険者及び派遣労働者)1人1ヵ月あたりの残業時間が、比較期間(計画届の提出月の前月または前々月から遡った6ヵ月間)の平均と比して1/2以上かつ5時間以上削減されていること
(2)判定期間の末日における事業所労働者数が、比較期間の月平均事業所労働者数と比して4/5以上であること
(3)計画届の提出日から判定期間の末日までの間に事業所労働者の解雇等(有期契約労働者の雇止め、派遣労働者の事業主都合による中途契約解除等を含む)をしていないこと