2003年08月20日-002
法的整理と私的整理の税務上の取扱いをなくせ!
事業再生研究機構の税務問題委員会はこのほど、法的整理(会社更正法等)と私的整理(私的整理ガイドライン)の税務上の取扱いの違いをなくすことなど、事業再生の迅速化に資するための税制改正要望を取りまとめ公表した。同機構は、倒産や事業再生の研究、実務家相互の意見・情報交換などを目的に、行政・司法当局、弁護士、公認会計士、税理士、不動産鑑定士などが参加して昨年3月に設立された事業再生の専門家集団。
今回の主な要望事項としては、1)資産評価損の適用範囲の拡大、2)繰越欠損金の損金算入順序の変更及び損金算入欠損金額の拡大、3)青色欠損金の損金算入期間及び繰戻還付請求期間の延長、4)仮装経理の場合の更正期間等の延長、5)担保物等がある場合の貸倒損失の計上、6)合理的再建計画に基づく債権放棄等の取扱い、などを掲げている。
例えば、資産評価損の損金算入は現在、会社更生法の規定による更正手続き開始の決定などの法的手続きの場合に限って認められているが、私的整理の場合には原則として認められていない。私的整理であっても「恣意性がなく合理性が担保されるもの」については、法的整理の場合と同様、資産評価損の損金算入ができるように、その損金算入要件の緩和を求めている。
また6)は、子会社などが窮境に陥る形態は、単なる不良資産の処分などによる資金繰りの悪化のみならず、投資家への財務内容公開のための会計処理による損失の顕在化など多様化してきている。そこで、このような状況から、合理的な再建計画の判断基準について、環境変化に対応する必要があることから、新たに先例となる事例の公開を要望したもの。
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