2005年度税制改正における国際課税関係では、外国子会社合算税制の見直しがある。わが国企業の海外子会社のうち、税負担が著しく低い軽課税国・地域に利益を留保すれば、わが国での法人課税を免れることができる。外国子会社合算税制は、このような海外子会社を利用した租税回避行為に対処するため、海外子会社の留保所得を、その持分に応じて、親会社の所得に合算して課税する制度だ。
ただし、海外子会社が実体のある事業を行っているなど、一定の除外要件(適用除外基準)を満たす場合は、合算課税は行われない。適用除外基準は、1)主たる事業が株式の保有等、一定の事業でないことという事業基準、2)本店所在地国に主たる事業に必要な事業所等を有することという実体基準、3)本店所在地国において主たる事業の管理、支配及び運営を自ら行っていることという管理支配基準がある。
さらに、4)主として本店所在地国で事業を行っていることという所在地国基準(原則)または非関連者取引割合が50%超であることという非関連者基準がある。今回の改正は、1)から3)の基準は満たしているが、4)の基準を満たしていない海外子会社については、所在地国における直接の人件費の10%相当額を合算される留保所得から控除し、残りの留保所得について合算課税するというものだ。
改正の背景には、経理・人事・法務・事務などを処理するため、業務上必要となる人員を相当数雇用している地域統括会社への対応がある。つまり、単なる租税回避目的の海外子会社ではなく、実際に経済活動を行うための実体がある会社に対しては、課税を軽減しようということにほかならない。この改正措置は、2005年4月1日以後に終了する事業年度から適用される。
外国子会社合算税制ではそのほか、1)特定外国子会社における合算課税の適用期間中の欠損金の繰越期間を5年から7年に延長、2)特定外国子会社から配当を受けた場合に、その配当に見合う合算課税済みの留保金額を損金算入できる期間が過去5年分から過去10年分を限度に延長される、3)軽課税の外国信託に留保した所得を合算課税の対象に含める、などの見直しが行われている。