不動産の賃貸借において権利金等が発生するケースとしては、建物等を所有する目的で土地の賃貸借を行う(借地権の設定をする)場合が一般的である。このような場合、建物の所有者は借地借家法による強い権利(借地権)を認められ、逆に土地を貸している者は建物所有者の権利のために制限を受けるといった関係が発生する。そのため、その対価として、借地人は権利金を支払うが、その権利金等の額は地域の慣行による。
役員が会社の所有する土地を借りた場合も同様である。会社が役員から権利金等を受け取った場合、(1)受け取った権利金等の額はすべて益金に算入される、(2)賃貸したことによってその土地の時価が50%以上下がった場合は、土地の帳簿価額の一部が損金算入される。低下割合は、「(賃貸直前の土地の時価-賃貸直後の土地の時価)/(賃貸直前の土地の時価)」で計算する。
損金算入される額は「賃貸直前の土地の帳簿価額×借地権に相当する額/賃貸直前の土地の時価」で計算する。例えば、賃貸直前の土地の時価が5000万円、賃貸直後の土地の時価が2400万円、賃貸直前の土地の帳簿価額が4000万円、受け取った権利金が3500万円のケースでは、「(5000万円-2400万円)/5000万円=0.52」となり、低下割合は50%以上になり、土地の帳簿価額の一部が損金算入される。
この場合に損金算入される額は、「4000万円×3500万円/5000万円=2800万円」となる。また、借地権の設定による時価の下落が50%未満の場合においても、その土地が長期の使用の制約を受ける場合で、賃貸借の時価がその土地の帳簿価額を下回る場合には、下回った部分の金額について、土地評価損の損金算入が認められることとされている(法人税法基本通達9-1-18)。