ゼイタックス

税務関連情報 (2007/08/08)

少額減価償却資産の会計処理には注意が必要

 少額減価償却資産の会計処理で留意すべきことの一つに、地方税の固定資産税との関係がある。税法上、取得価額10万円未満の減価償却資産は、少額減価償却資産として法人がその資産を事業に使用した事業年度において一時に損金算入することを認めている。また、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産については、通常の減価償却のほかに、3年で均等償却(1/3の年償却)する一括償却制度がある。

 10万円未満の資産の損金算入と3年均等償却は、すべての事業者が対象となるが、青色申告書を提出する中小企業者等は、さらに、2008年3月31日までの間に、取得価額30万円未満の減価償却資産を取得した場合、その取得価額の全額を損金算入(即時償却)することができる少額減価償却資産の特例がある。つまり、中小企業者等が取得価額30万円未満の資産を取得した場合、通常の減価償却以外に選択肢が3つあることになる。

 特に取得価額10万円以上20万円未満の資産を取得したケースでは、特例を適用して即時償却するか3年均等償却するか迷うところだ。もちろん、その事業年度の課税所得が大きな判断材料となろうが、それ以外に考慮したいのは地方税の固定資産税との関係だ。というのも、少額減価償却資産が固定資産税の課税客体となるかどうかは、選択した会計処理によって異なるからだ。

 固定資産税は、通常の減価償却では当然課税客体だが、一時に損金算入された10万円未満の資産や3年均等償却を選択した10万円以上20万円未満の資産にはかからない。ところが、中小企業者等のみに適用される30万円未満の資産の即時償却を選択した場合は、10万円未満の資産を除き固定資産税がかかる。こうしたことから、少額減価償却資産の会計処理は、固定資産税も考慮に入れた判断が必要になってくるわけだ。