ゼイタックス

経営関連情報 (2005/04/22)

自社に適した「就業規則」作成の勧め

 4月から育児・介護休業法が改正され、個人情報保護法も全面施行されたことに伴い、多くの企業が就業規則を改定していると思われる。就業規則は、社員の労働条件や職場の規律を定めたものだが、大半の企業では厚生労働省などが作成した「モデル就業規則」をほとんどそのまま取り入れて作成しており、特に中小・零細企業にその傾向が強い、との指摘は、ちばぎん総研の松土正光氏のコラムである。

 松土氏は、就業規則が本来持つ2つの目的を示したうえで、モデル就業規則を単に真似るだけでなく、自分の会社にあった「就業規則」を作成することを勧めている。一つは「会社が社員にルールを明確に示し、規律ある・働きやすい職場をつくること」。会社が、会社の基本的な考え方や社内の制度・仕組みなどについて、社員に明確に示し、社員が納得して仕事に打ち込める環境をつくることが大事だという。

 もう一つの目的は、「会社が社員との無用なトラブルを未然に防ぐこと」。例えば、就業規則のなかの「退職金規定」に、「懲戒解雇の場合は退職金を支給しない」とするか、「懲戒解雇に相当する自由がある場合には退職金を支給しない」とするかによって、社員が退職後に懲戒解雇の事由が発覚した場合に、支給済みの退職金についてその返還が認められるかどうかに大きな違いが出てくる、との事例を示している。

 前者の場合には、退職金の返還が認められないという判例(アイ・ケイ・ビー事件)があり、また、後者の場合には、会社が支払った退職金の返還が認められた判例(阪神高速道路公団事件)があるという。このように、就業規則を作成する場合には、言葉の使い方などその記述方法に十分注意する必要がある。そこで、社会保険労務士やコンサルタントなどの専門家に相談することも一案だとしている。

 せっかく、就業規則を作るのであれば、自社に適した就業規則を作成し、社員が見やすいように工夫し、会社と社員の双方にとって効率的な会社経営が行えるようにしたいものだ。そうすれば、社員も納得して仕事に打ち込め、社員のモチベーションも高く維持され、会社の業績も向上するだろう、というのが松土氏のコラムの結論である。