ゼイタックス

税務関連情報 (2004/11/08)

赤字法人調査の結果、実は黒字だった6千件

 今年6月までの1年間(2003事務年度)における法人の黒字申告割合30.8%は3年ぶりの上昇だったが、約7割の法人が赤字という状況は変わりない。ところが、このような状況に便乗して実際は黒字なのに赤字を装う企業が後を絶たない。2003事務年度中に法人税の実地調査をした11万5千件のうち約3割強にあたる3万8千件は無所得申告法人の調査に充てられ、うち約16%の6千社が実際は黒字だったことが判明した。

 調査結果によると、実地調査した3万8千件のうち68%にあたる2万6千件から総額4853億円にのぼる申告漏れ所得金額を見つけ、加算税額77億円を含む387億円の税額を追徴した。調査1件あたりの申告漏れ所得金額は1264万円となる。何らかの非違があった2万6千件のうち9千件は仮装・隠ぺいなど故意に所得を不正計算しており、その不正脱漏所得金額は1229億円、1件あたり1361万円だった。

 また、調査した結果、黒字となった法人が6千社あったわけだ。このように、赤字申告や無申告だった法人でも調査してみると申告漏れなどがあることは少なくない。国税当局は、不況に便乗して赤字法人を装う企業に目を光らせており、毎年、同様の調査結果が報告されている。300万社近い法人数と定員減にある国税職員を考えれば、「うちには調査は来ない」と高をくくりがちだが、国税調査は急所は押さえているといえそうだ。