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株式の評価損、法人は損金算入、個人は…?

税務関連情報 - 2008年03月24日

 サブプライム問題に端を発した米金融市場の信用不安の拡大や円高などが要因となって、株式市場の下落が続いている。株式市場の下落に伴い、法人、個人ともに含み損を抱えているケースは多いと思われる。法人税法では、法人が保有する株式等の有価証券について、一定の事実が生じた場合には評価損の損金算入が認められる。これは、市場価格のある上場株式等だけでなく、市場価格のない非上場株式についても同様である。

 しかし、税法では株式など資産に係る評価損の計上を厳しく制限している。具体的には、(1)上場株式等については、その価額が著しく下落している場合、(2)非上場株式については、法人の資産状態が著しく悪化したため、実質価額が著しく低下した場合、(3)更正手続き開始の決定等の法的手続きによる評価替えが生じたこと等の事実がある場合、といった状況においてのみ評価損の損金算入が認められる。

 上場株式等の価額が著しく下落したという判断基準は、その上場株式等の期末評価額がそのときの帳簿価額のおおむね50%相当額を下回ることとなり、かつ、近い将来その価額の回復が見込まれない場合をいうものとされる。一方、非上場株式の実質価額が著しく低下したという判断基準は、期末における発行法人の1株あたりの純資産価額が取得時に比べて50%以下に低下した場合をいうものとされている。

 これに対し、個人の場合は、いかに株価が下落しても評価損の計上は認められておらず、売却した場合において譲渡損失が生じるのみとなっている。しかも、株式の譲渡に係る損失は他の株式の譲渡所得からしか控除できず、控除しきれない損失は「なかった」ものとされ、翌年に繰り越すことも認められていない。個人にとって、株式投資は税の観点からも“ハイリスク”と言えるかもしれない。