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中小企業の労働生産性に向けた課題を分析~白書

経営関連情報 - 2008年05月02日

 2008年版の「中小企業白書」が4月25日、閣議決定・公表された。同白書は、わが国の少子高齢化・労働力人口の減少が進展するなか、持続的な経済成長を図るためには、労働生産性の向上が不可欠と指摘。中小企業の労働生産性の向上に向けて、中小サービス業の取引環境の整備、人材育成等、中小企業によるITの有効活用やグローバル化への対応等に向けた課題について分析している。

 白書によると、労働生産性を上げていくためには、労働投入量の節約等の効率化も重要だが、付加価値額を増大させていくことが重要。付加価値向上のためには、まず、顧客のニーズや満足度を把握し、サービスに対する不満やトラブルを減らすことが重要だと指摘。現在のサービスに対する不満やトラブルは、品質のばらつきや、顧客からみて期待する水準に満たないことが原因だと分析している。

 一方、サービス産業の付加価値向上等を図る観点から、人材の確保・育成も課題となる。人材を重視するサービス事業者の割合は高いが、実際には、正規雇用者の離職率が高く、特に消費者向けサービスにおいて高い。付加価値の向上等にとって重要な人的資本の蓄積が進まない怖れがある。白書は、人材の育成や従業員のモチベーションの向上など、直接的に人材の意欲や能力を高める積極的な取組みを求めている。

 また、中小企業にとってITを有効活用する際の大きな課題は人材の確保と投資負担のコストだとみている。中小企業は、ITの活用による業務プロセスの合理化やコストの削減効果は認識しているが、製品・サービスの高付加価値化や売上増大の効果は相対的に低い傾向にあると分析。業務の合理化のみならず、電子商取引等による売上増大や製品・サービスの高付加価値化に向け、ITの戦略的な活用を期待している。

 2008年版「中小企業白書」の概要は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20080425003/080423_35_gaiyou.pdf