税 務 関 連 情 報 |
2002年10月21日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(1)
源泉徴収で所得がガラス張りのサラリーマンは怒り心頭…、は通り過ぎていまや諦めの境地か。ひところ、「9・6・4」(クロヨン)と称する言葉をよく耳にしたが、最近はとんと聞かないようだ。所得の捕捉率がサラリーマンの9に対し、事業所得者が6、農業所得者が4というわけだ。
そのような不公平感がなくなったから聞かなくなったのか。とんでもない。いつまでも改善されない不公平に、多くの人は、いっても無駄、いうだけ虚しいという心境なのだ。税務当局も不公平感解消に努力はしているが、何しろ納税者は年々増加しており、限られた職員数ではなかなか効果があがらない現状にあるのだ。
国税職員約4万人で構成する国税労働組合総連合(国税労組)という組織があるが、このほど公表した「税制に関する提言」のなかで、所得捕捉率の問題を取り上げ、「税法の適正・公平な執行を行うためには、職員の定員増が喫緊の課題」との税務執行現場の見方を示している。
提言によると、捕捉率が不均衡になる原因のひとつとして「実調率」の低下を挙げている。納税者数に対する実地調査件数の割合である。税務の職場は、高度情報化に伴う電子商取引の拡大、取引規模の大型化、取引内容の複雑・多様化、国際取引の増大などによって事務量が急激に増大しているのだ。
加えて、1)政策税制の拡大により連年改正され複雑難解になっていく税法、2)不況による滞納の高止まり、3)国際会計基準導入に伴う会計制度の変更、4)申告者数の増加が事務量をさらに増やす。他方、不正申告は後を絶たず、年々巧妙・複雑・大規模化する悪質な脱税が数多く潜在する。
税務の職場も時代の変遷とともに対応しなければならない仕事の量も増大する一方なのである。そのようななかで、果たして所得捕捉率の是正、不公平感を感じさせない税務執行が可能なのだろうか。それとも、このような税務の職場の現実を知って、また、諦めの境地に浸らなければならないのだろうか。
(続く)
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