近年、企業活動による社会や自然環境への影響が増大しているため、企業の社会的責任(CSR)に関心が高まっている。大阪市信用金庫が実施した「中小企業のCSRに関する意識調査」結果(有効回答数1226社)によると、CSRを意識した取組みが「ある」と回答した企業が86.7%にのぼった。「ある」とする企業は規模が大きくなるほど多く、10人未満の80.2%に対し、50人以上では100%となっている。
CSRを意識した取組みが「ある」と回答した企業のその具体的な内容(複数回答)は、「社会に役立つ製品・商品・サービス等の提供」が50.2%でもっとも多く、次いで「コンプライアンスや企業倫理の徹底」が49.6%、「廃棄物の適正処理等、自然環境保全への配慮」が42.6%で多くなっており、以下、「祭りやその他催し物など地域活動への協力」(22.4%)、「雇用の維持・創出や納税など」(15.6%)が挙げられた。
また、CSRを意識して取り組む理由(複数回答)は、「企業のイメージアップにつながり、業績面でメリットがあるから」との回答した企業が53.5%でもっとも多く、次いで「損得は抜きにして、社会貢献や環境保全等が重要だと思うから」が48.2%で続く。以下、「従業員の意識や士気の高揚につながるから」(23.8%)、「地域や役所など外部の要請があるから」(11.5%)などが挙げられている。
CSRの綱領・方針を打ち出すなど本格的なCSR経営への取組みについては、「可能な範囲で積極的に取り組みたい」と回答した企業は39.7%。これに対し、「取り組むべきだが、現実的には困難」とする企業が50.2%と過半を占めた。本格的なCSRに取り組む意欲を持つ企業は4割弱にとどまったが、新たな施策等に取り組むには人員や資金などの面で限りがある中小企業の場合、これはかなり高い割合といえる。