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経営関連情報 (2004/04/16)

ビジネスのヒントにもなる家計調査

 個人消費は、国内総支出(国内総生産)の6割近くを占めており、その動向の景気に及ぼす影響が大きいため、景気判断のための重要な指標となっている。家計調査は、毎月、全国の世帯を対象に実施しており、個人消費に関する統計のなかで最もカバー率が高いことから、景気動向を判断する主要指標として位置付けられている。

 また、日々家計簿に記入された内容が詳細に集計され、品目別消費の動きが明らかになるため、個々の商品の需要予測といったミクロ的な分析にも幅広く利用されている。家計調査の日別の数字が公表されるようになったのは2000年からだが、ビジネスに役立つ統計のひとつとして家計調査の活用を勧めるのは三井住友アセットマネジメント・チーフエコノミストの宅森昭吉氏のコラム(総務省掲載)である。

 氏は例として「切り花」の日別の消費データを挙げる。「花屋さんをはじめようか」と考えた人がいたとする。お盆とお正月が切り花の売れる時期だ。お正月用の切り花を仕入れるときに、大晦日に大量に仕入れたとする。お正月に一番近い大晦日が一番売れると考えるのが合理的だが、そうすると、この人は過剰な在庫を抱え込み、暗いお正月を迎えることになりかねない、と宅森氏は予測する。

 それは、2000年から2002年までの3年間の家計調査のデータによると、12月31日というのは、実は年末のなかではそれほど売れる日ではないことが分かるからだ。3年とも29日よりも購入金額は少なくなる。12月30日が一番売れている。「一夜飾りはしない」という風習が根強く残っているということが、この統計からもいえるという。

 日別の数字は、例えばバレンタインのチョコレートをいつ消費者が買うかということなど、興味深いことを教えてくれる。家計調査を眺めてみることで、思いがけないビジネスチャンスをつかむことがあるかもしれないということである。