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税務関連情報 (2005/09/14)

耐用年数短縮の特例は物理的な使用可能期間が前提

 法定耐用年数は減価償却計算の基礎となるものであり、資産の平均的使用可能期間により算定されている。ところが、耐用年数全体の見直しは、1964年度に一律15%程度の短縮が行われて以来、個別の設備に着目した短縮以外は行われていない。近年の著しい技術革新のなかでは、実際の使用可能期間が法定耐用年数より短くなっている場合も少なくないことから、全面的な耐用年数の見直しを求める声が高まっている。

 税務当局は、このような状況を配慮して、実際の使用可能期間が法定耐用年数よりも10%以上短くなる場合には、申請によって耐用年数の短縮を認めている。この耐用年数の短縮の特例は、広く税理士などをはじめとする実務家に知られているが、いまだに短縮を申請する理由について誤解があるようだ。耐用年数短縮の特例が認められる要因は、あくまでも物理的な使用可能期間が短くなった場合に限られる。

 法人税法では、法定耐用年数の短縮の主な要因として、1)資産の材質・製作方法が同種の資産の通常の材質・製作方法と著しく異なる、2)資産の所在する地盤の隆起・降下、3)資産の著しい陳腐化、4)資産の著しい腐蝕、5)設備等の構成資産が同一種類の構成内容と著しく異なるなどを挙げている。例えば、ある設備がコンピュータなど陳腐化が早い設備で構成されているため、設備全体の耐用年数が短くなる場合などがある。

 これに対して、例えば5年後に撤去が決まっているといった期間限定の施設で使われる設備について、その耐用年数をあらかじめその限定期間に設定して短縮申請する例も散見されるが、このケースでは認められないので留意したい。この場合は、期間が満了してもその設備そのものの物理的な使用可能期間が短縮されるわけではないので、耐用年数の短縮申請の要因とは認められないことになる。