税 務 関 連 情 報

2003年10月01日-001
精算課税制度は「今活用すること」がメリット

 今年度税制改正で創設された相続時精算課税制度は、非課税枠が2500万円、住宅取得資金の贈与を受けた場合の特例は1000万円上乗せされた3500万円と大きく、生前贈与の促進策として期待されている。しかし、一部の実務者の間では、一般の贈与に比べ不利になるケースもあるという声もあり、戸惑う納税者も多い。

 例えば、土地などの不動産を生前贈与した場合は、相続時点で精算される価額は贈与時点の時価とされているので、生前贈与した財産の価額が値下がりしていれば不利になる。また、独身の一人っ子が父から生前贈与を受けたケースで、その子が先に亡くなりその後父がなくなると、同一の財産で2回の相続によって課税され相続の負担が増えるとの指摘がある。

 しかし、精算課税制度はあくまでも親の財産を相続まで待たずに今有効に活用しようということが最大の目的である。活用した結果が負担増になったとしても仕方がないのではないか。結果はあくまでも不確定であって、それに惑わされて、今活用するメリットが押しやられては主客転倒である。

 とはいえ、生前贈与したい財産の割合が小さい場合や何年間かけて贈与してもいい財産については、一般の贈与税の基礎控除110万円を利用して、計画的に贈与していけばトータルでの税負担は少なくて済むこともある。また、一旦精算課税を選択したらその後の贈与は全て精算課税に取り込まれ、基礎控除110万円は使えなくなる。

 一般的には、相続税が基礎控除内(5千万円+1千万円×法定相続人数)でおさまりそうなケースでは精算課税を活用したほうが有利となりそうだ。いずれにしても、所有する財産の種類や金額、親子の年齢などを考慮しながら、慎重に選択する必要があるが、最も重要なのは「今活用すること」にメリットがあるかどうかであろう。

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