税 務 関 連 情 報

2001年12月28日-003
株式譲渡益の申告不要制度の創設

 平成14年度税制改正では、平成15年1月からの株式譲渡益課税の申告分離課税一本化に伴い、個人投資家の申告事務の負担軽減に配慮する観点から、株式譲渡に係る所得計算及び申告不要可能の制度が創設される。具体的には、1)特定口座(1証券会社1口座)内の上場株式の譲渡による所得金額については、その特定口座内で譲渡された株式のみで計算することができる、2)納税者の選択により、特定口座内の譲渡につき、証券会社が15%の税率で所得税の源泉徴収(実額源泉徴収)を行うことにより、確定申告をしない(申告不要)、または確定申告で還付等を受けることができる、3)証券会社は特定口座内の譲渡については、年間取引報告書(仮称)を作成し、所轄税務署長に提出する。

 さて、この申告不要制度の創設によって、個人投資家の申告行為に対する事務的・心理的負担が軽減されたかというと、ことはそう簡単ではない。というのも、先般の改正で適用期限が平成17年12月31日まで延長された100万円特別控除の特例や、11月30日から来年12月末までに取得した上場株式の購入額1,000万円までの売却益を非課税とする緊急投資優遇措置を受けるためには、確定申告が必要になってくるからだ。これらの優遇措置で大半の個人投資家の株取引は非課税となることが予想されているが、これら大半の投資家は申告が必要ということだ。特例適用以外にも、複数の特定口座間の損益通算や、年の後半に譲渡損が出た場合に年の前半で源泉徴収された分の還付を受けるケースでも確定申告を要する。これらの申告では、証券会社が発行する年間取引報告書の添付を条件に「簡易な申告」が考慮される予定だそうだが、申告に行くには変わりない。

 

 

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