国民生活金融公庫はこのほど、2007年度の中心市街地関連の融資実績が1万520件となり、初めて年間1万件を超えたことを明らかにした。前年に比べると、件数は5.8%増、金額ベースでは3.5%増の862億円となった。この融資は、いわゆる“シャッター通り化・空洞化”が進む中心市街地・商店街等において設備投資を行う企業等を主に対象としており、中心市街地・商店街の活性化を支援するものだ。
中心市街地関連の融資制度は、小売業・卸売業・飲食サービス業・サービス業向けの「企業活力強化資金」(企業活力強化貸付)と、食品小売業や食品製造小売業等向けの「食品貸付」がある。融資額はともに7200万円以内(運転資金は4800万円以内)、返済期間は、企業活力強化貸付が設備資金20年以内、運転資金5年以内、食品貸付が原則13年以内、利率はともに1.6%となっている。
融資事例では、食器・雑貨小売店を営む企業へのものがある。同社は、経営多角化の一環として、アクセサリー小売店の出店を以前から計画し、出店場所を探していた。そうした折、同社が経営する小売店がある商店街の好立地の場所に、たまたま空き店舗が出たことから、国民公庫がその出店資金に対して融資を行い、その企業の新分野進出を支援するとともに、空き店舗への入店による商店街の活性化を支援している。
また、独立開業し約10年の人気店を営むパン・洋菓子製造小売業は、主力商品のシュークリークの販売が好調なため、収益を向上させるべく2店目の出店を計画し始めた。そうした折、駅前のメインストリートに面した商店街に、条件が合う物件が出たことから出店を決意。国民公庫がその出店資金に対して融資を行うことにより、その企業の経営向上と大型店出店の影響を受ける商店街の活性化を支援している。