ゼイタックス

税務関連情報 (2006/11/24)

実質一人会社規制における「基準所得金額」とは?

 今年度税制改正で導入された特殊支配同族会社の業務主宰役員給与の損金不算入措置は、いわゆる実質一人会社のオーナー給与の給与所得控除相当額を損金不算入とするもの。この実質一人会社規制は、今年4月1日以降開始される事業年度から適用されるため、多くの企業が適用事業年度に入ってきた。自社が該当するのかどうかを本格的に試算する必要が出てきた。そこで、ポイントとなる「基準所得金額」の計算を確認したい。

 制度の対象となる実質的な一人会社(特殊支配同族会社)とは、オーナー及びその同族関係者等が株式等の90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占めている会社である。ただし、基準所得金額が800万円以下の事業年度と、同800万円を超えても3000万円までは、基準期間(前3年以内に開始した事業年度)におけるオーナーの平均給与の占める割合が50%以下であれば、実質一人会社規制の対象外となる。

 そこで、基準所得金額は、「{基準期間内の(調整所得金額-調整欠損金額-過年度欠損金額の調整控除額)の合計額}÷3」で計算する。調整所得金額とは、「所得金額+業務主宰役員給与額+繰越欠損金額の適用金額」、調整欠損金額とは「欠損金額-業務主宰役員給与額」、過年度欠損金額の調整控除額とは「業務主宰役員給与額以外の繰越欠損金について、基準所得金額の計算から控除される金額」である。

 設立第1期目など基準期間がない会社の基準所得金額は、1)事業年度が1年の場合は、「当年度の所得金額+業務主宰役員給与額」または「業務主宰役員給与額-当期の欠損金額」、また、2)事業年度が1年未満の場合は、1)の金額÷当期の月数×12で計算する。なお、所得金額または欠損金額は、「寄附金の損金府算入」、「法人税額から控除する所得税額の損金府算入」などの規定を適用しないものとして計算した金額だ。