企業経営を円滑に進めていくために、支払いの遅延はできるだけ避けたいもの。例えば、材料代金の支払いが滞ったら、新たに材料を仕入れることができなくなる可能性があるし、支払手形の決済ができなければ信用不安に陥り、最悪の場合、事業が継続できなくなるおそれもある。こうした事態を避けるために重要なのが、将来の現金の収入と支出を予測して収支のバランスを図ること、すなわち資金繰りである。
資金繰り表の作成方法や作成時の留意点を解説するのは、国民生活金融公庫の経営Q&A(回答者:藤間秋男公認会計士)である。資金繰りがうまくいかない原因の多くは、収益力の悪化にあると指摘。損益計算上、どんなに利益が上がっていたとしても、売上代金の多くが未回収であったり、売上代金の回収より仕入代金などの支払いのほうが早かったりしたら、現金収支はマイナスとなり、資金繰りに苦労してしまう。
資金繰りは、収益力に課題を抱える企業だけでなく、黒字企業にとっても安定した経営を行っていくうえで重要である。資金繰り表とは、将来の現金の収入と支出を予測した結果を取りまとめたものだが、これを作成しておけば、不足する資金の額や時期を事前に把握でき、突然の資金不足も未然に防ぐことができる。資金繰り表には決まったフォーマットはないので、自社の特徴に合わせて、使いやすいものを作ることになる。
Q&Aでは、資金繰り表を作成する手順や作成時の留意点を1、1)取引条件を洗い出す、2)資産(負債)の移動に関する情報を整理する、3)売上(売掛金の回収)を予測する、4)原価・経費を予測する、5)イレギュラーな収入・支出を予測する、との5つのステップを示して整理している。また、資金が不足する場合の対応策なども解説している。これを機に、資金繰り表の作成にチャレンジすることをお勧めしたい。
経営Q&A「資金繰り表の作り方」の詳細は↓
http://www.kokukin.go.jp/pfcj/pdf/kei_qa_0705.pdf