国税庁が発表した今年6月までの1年間(2005事務年度)における法人税の課税事績によると、黒字申告割合が前年度に比べ0.4ポイント増の31.9%と3年連続で上昇したが、そのうち資本金1億円以上の大企業(調査課所管法人)の集計でも同0.6ポイント増の52.9%となった。景気回復が大企業を中心としたものであることが、税務申告面からも裏付けられた結果となっている。
今年6月末現在の調査課所管法人数は前年度に比べ1.4%増の3万8437法人だった。2005事務年度中に申告期限がきたもののうち、申告があったのは同3.7%減の3万5870件で、黒字申告割合は52.9%と上昇した。申告所得金額は同20.2%増と大幅増の35兆5280億円にのぼる。法人全体では50兆3974億円だから、約7割を大企業が占める。黒字申告1件あたりでは同23.1%増の18億6391万円となる。
申告税額総額も同16.2%増の8兆6345億円と、黒字法人の申告内容は大幅に伸びているが、赤字法人の申告欠損金額は前年度に比べ0.1%増の11兆3869億円とわずかに増えた。赤字申告1件あたりでは同5.1%増の6億6477万円となる。しかし、つい3年前の2002事務年度は統計を開始した76年以降過去最大の19兆8190億円の申告欠損金額だったことを考えると、企業業績の回復が順調に進んでいることがうかがえる。
申告欠損金額を法人全体でみると、2005事務年度は前年度から2.7%減の22兆7154億円と、過去最高だった2002事務年度の33兆116億円以降3年連続で減少している。ところが、大企業の申告欠損金額は微増ながら増えている。こうしてみると、法人全体の約7割を占める赤字法人のほとんどが中小企業と思われるが、欠損金額の減少も中小企業のものであり、景気回復の波が中小企業にも及びつつあることがうかがえる。