軽油価格は6月に入っても上昇が続いている。2006年6月の軽油価格は1リットルあたり97.5円(スタンド)、92.7円(ローリー)、96.3円(カード)となった。特にローリーでみれば2005年度平均では29.0円も上昇した。このため、全日本トラック協会では、運送事業者を対象に軽油価格の高騰に対するトラック荷主との運賃値上げ交渉の状況、運賃転嫁の実態などについて、7月上旬から8月始めにかけて調査を実施した。
調査結果(有効回答数606事業所)によると、軽油価格の高騰によるコスト増分について、主たる荷主に対し運賃値上げを「交渉した」が18.5%、「交渉している」が43.7%となり、6割超の回答者で交渉を実際に行っている状況がわかった。一方、「交渉していない」とする回答は前回6月調査の31.8%から29.2%へと減少し、調査時期が新しくなるほどに「交渉した」とする回答比率が高くなっている。
運賃値上げ交渉における軽油価格高騰分のコストの転嫁については、「まったく転嫁できない」が66.3%だった。一方、「ほぼ転嫁できている」は1.0%、「一部転嫁できている」が29.2%で、何らかの転嫁がなされた事業者は合計すると3割を超えた。1年前の同時期の運賃と比べた値上げ率は、「3~4%未満」が22.3%ともっとも多く、「5~6%未満」(18.1%)、「1%未満」(16.9%)が続き、平均では3.8%の値上げとなっている。
運賃転嫁(値上げ)交渉がうまくいった要因・秘訣(複数回答)としては、「軽油値上がりが社会的に認知されてきたから」(64.5%)、「何回も交渉して、理解を得たから」(51.9%)、「荷主がトラック業界の苦境を理解してくれたから」(50.8%)が多くなっている。そのほか、「荷主とのコミュニケーションが円滑だったから」(31.7%)、「元から運賃が低すぎたから」(25.7%)などの要因が挙げられている。