東京商工会議所が発表した「2006年度労働政策に関するアンケート調査」結果(有効回答数668社)によると、労働基準法改正の一案として提案されている「退職者の未消化分年次有給休暇の退職時の買取り」については、8割以上(82.4%)の企業が「対応できない・したくない」として反対していることがわかった。企業にとって、コスト増だけでなく、年次有給休暇の取得促進にはつながらないと考えるからだ。
同様に「一定時間外を超えた時間外労働の割増賃金の割増率に応じた代償休日の付与」についても、80.1%の企業が「対応できない・したくない」と回答。企業への一律の規制強化に強い抵抗感を示した。また、現在は労働時間とされている単に作業に従事していない拘束時間(手持時間)は、「すべて労働時間とすべきでない」が34.5%、「仮眠時間だけは除くべき」が33.4%で、「すべて労働時間にすべき」は14.0%にとどまった。
現在、厚生労働省で見直しが検討されている雇用保険3事業(雇用安定事業、能力開発事業、雇用福祉事業)については、51.5%と半数以上の企業が「廃止(または縮小)に賛成」と回答。その理由(複数回答)として、「グリーンピア等不必要な施設の建設など、無駄遣い・不祥事が多く、根本的な改革が不可欠だから」(76.9%)や「費用対効果がわからないから」(53.6%)が上位を占めた。
この4月より施行された改正高年齢者雇用安定法への対応については、「継続雇用制度(対象者の基準を労使協定で制定)」が36.6%、「同(同就業規則で制定)」が29.1%、「同(希望者全員)」が19.4%と、「継続雇用制度の導入」が85%と大多数で、「定年の引上げ」は4.8%、「定年の廃止」は1.1%に過ぎない。なお、継続雇用制度導入企業の定年前に比べた平均賃金の減少は、「3~4割」が36.3%、「5~6割」が29.4%を占めた。
同アンケート調査の詳細は↓
http://www.tokyo-cci.or.jp/kaito/chosa/2006/180605.html