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7割超の企業が円高での業績悪化を懸念~ジェトロ

経営関連情報 - 2010年09月24日

 日本貿易振興機構(ジェトロ)が実施した「円高の影響に関するジェトロ・メンバーズ緊急アンケート」結果(有効回答数329社、うち中小企業192社)によると、現在の円高が今後(半年から1年程度)続くことによる、海外部門(輸出含む)の業績の影響については、41.9%の企業が「大いに悪化する」、35.0%が「やや悪化する」との回答し、計4分の3の企業が業績の悪化を懸念していることが分かった。

 業種別では、製造業の約85%、非製造業は6割程度が業績悪化を見込んでおり、非製造業では27.1%と3割近くが「特に影響なし」、10.2%が「改善」との回答だった。企業規模別では、大企業、中小企業ともに4割超が「大いに悪化する」、35%程度が「やや悪化する」との回答で、今回の円高による海外部門の業績への影響は、大企業、中小企業を問わず広範に及ぶことが見込まれている。

 円高は、価格競争力の低下に伴う「自社製品・サービスへの需要の減少」(55.6%)に加え、「コストの上昇」(33.9%)を通じて海外部門の業績に悪影響をもたらすとの見方が多くみられた。加えて、「為替差損の発生(会計上の換算ルートの変動に伴う、現地法人の業績悪化)」(58.9%)や、「取引先からの価格引下げ圧力の強まり」(52.2%)などの要因も指摘されたが、特に中小企業に対する「価格引下げ圧力」(63.0%)が強まっている。

 円高への対応策としては、輸出先や輸入先の変更といったサプライチェーンの再構築を図るといった動きに加え、国内事業(設備投資・人員)の規模を縮小するといった回答もみられた。企業規模別にみると、「海外の稼働率を引き上げる」や「海外事業の規模(設備投資・人員)を拡大する」、「為替予約枠もしくは期間を拡大する」といった回答項目で、大企業の回答率が中小企業を大きく上回る結果となった。

 海外部門の業績に影響があると回答した企業の採算為替円レートは、平均で93.4円/ドル、121.5円/ユーロ。これは、現在の為替相場の水準より10%程度の円安水準だ(昨年年12月~今年1月実施の「企業行動に関するアンケート調査」[内閣府、2月公表]による採算円レートは製造業で93.2円/ドル、輸出企業で92.9円/ドル)。中小企業の採算円レートは、大企業と比べ円安レンジに位置しており、業績への悪化が懸念されている。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.jetro.go.jp/news/announcement/20100917975-news/siryo.pdf