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経営関連情報 (2007/02/26)

次第に強まる賃金の上昇圧力

 企業業績が堅調に推移するなか、企業の雇用不足感は、バブル景気以来の高まりを見せている。しかし、バブル期とは異なり、人口減少という構造的な変化も、企業の雇用不足感が高まる要因となっている。先行きの労働力が限られるなか、雇用の不足感が解消されることは見込みがたく、賃金への上昇圧力は次第に強まっていく、との見込みを示すのは、富国生命のレポートである。

 同レポートによると、企業の雇用不足感は、有効求人倍率が06年平均で1.06倍と14年ぶりに1倍台を回復するなど、バブル期以来の高まりを確認できる。その背景には、生産年齢人口(15~64歳)が将来的に減少していくという人口構成の変化もある。循環的な景気拡大に加え、団塊世代の退職や人口減少という構造的な変化に直面し、企業は安定した労働力の確保が重要課題となっている。

 企業はバブル崩壊後、正社員の雇用を抑制し、その代替として相対的に賃金水準の低い非正社員の雇用で人件費を削減してきた。しかし、06年に入ると、これまで採用を抑制していた会社の核となる新卒を含めた正社員雇用の拡大や女性労働力の活用、また、非正社員をパート・アルバイトから契約社員・嘱託、派遣社員といった比較的正社員に近い形態で雇用することにより、安定した労働力の確保を図っている。

 一方、1人あたりの賃金を引き上げる企業が前年比2.0ポイント上昇の77.5%となる(厚生労働省「賃金引上げ等の実態調査」)など、雇用の安定確保を重視する姿勢が高まっている。また、06年の新卒初任給は大卒男女とも3年ぶりに増加するなど全学歴で前年を上回り、パートの定期給与も4年連続で増加し、今後も賃金の上昇傾向は継続するとみている。レポートは、07年度の個人消費は予想外にその存在感を示すと予測している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.fukoku-life.co.jp/download/report52_11.pdf