国税庁が7日に発表した2007事務年度の相互協議を伴う事前確認の状況によると、今年6月までの1年間に発生した相互協議事案は、過去最高だった前年度から1件減の153件と引き続き高水準だったことが分かった。相互協議事案の発生件数は増加傾向にあるが、全体の9割以上を移転価格に関するものが占めており、ここ3~4年はそのなかでも事前確認に係る事案が全体の約7割を占める状態が続いている。
移転価格税制は、法人と関連企業(国外関連者)との取引が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なる場合、その取引価格を正常な価格に引きなおして課税する制度だが、相互協議は、移転価格課税における二重課税を防ぐため、国税庁が外国の税務当局と交渉するもの。また、事前確認とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合には、移転価格課税は行わないという制度だ。
07事務年度において発生した153件の相互協議事案のうち、移転価格に関するものは前年度から4件増の144件、このうち「事前確認」に係るものが同8件増の113件と過去最高に達した。10年前の1997事務年度と比べると、相互協議件数は約3倍、事前確認に係る相互協議件数は約5倍と大幅に増加している。一方、07事務年度に相互協議が終了したのは前年度より10件多い125件となり、過去最高の処理件数となった。
このうち、相互協議を伴う事前確認の合意件数は82件だった。業種別にみると、「製造業」が52件、「卸売・小売業」が23件で、相対的に卸売・小売業の割合が増加している。対象取引別にみると、「棚卸取引」が67件、「役務提供取引」が26件、無形資産取引が28件となっている。また、08年度に繰り越した件数も前年度より28件増の304件にのぼり、こちらも過去最高となった。なお、1件あたりの平均的な処理期間は2年程度。
「相互協議を伴う事前確認の状況」の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2008/sogo_kyogi/pdf/01.pdf