2010年度の返済猶予後倒産148件、2.5倍に急増
中小企業金融円滑化法は2012年3月31日までの延長が決まったが、東日本大震災の影響も加わり中小企業の資金繰り悪化が懸念されるなか、返済猶予を受けながらも業績を回復できずに行き詰まる企業が、ここにきて相次いでいる。帝国データバンクが実施した「金融円滑化法などによる返済猶予後の倒産動向調査」結果によると、2010年度の「返済猶予後倒産」は148件判明、前年度に比べて150.8%増と2.5倍に急増した。
多くの企業が2009年12月施行の中小企業金融円滑化法を利用して返済猶予を受けていたが、倒産前に金融機関から借入金の返済条件変更等を受けながら、猶予期間中に業績回復できないまま行き詰まる企業が相次ぎ、政策効果の息切れが顕著となってきた。負債総額は3029億3600万円にのぼった。2009年度(565億2600万円)に比べて435.9%の大幅増加となり、負債総額は5倍超にまで膨らんだ。
業種別にみると、「製造業」が43件(構成比29.1%)でトップとなり、前年度(21社)の2倍に増加した。2009年度に比べ構成比は下がったものの、依然として全体の約3割を占めた。次いで「建設業」が36件(同24.3%)、「卸売業」が27件(同18.2%)で続いた。増減率では、「サービス業」(433.3%増)がトップ、以下、「不動産業」(300.0%増)、「卸売業」(285.7%増)の順となった。
負債規模別にみると、「1億円以上5億円未満」が64件(構成比43.2%)でトップ、次いで「10億円以上50億円未満」が28件(同18.9%)、「5億円以上10億円未満」が24件(同16.2%)で続いており、中小・中堅企業の発生が中心となっている。他方、「5000万円未満」が2009年度の1件から8件(同5.4%)に増加したほか、2009年度に発生のなかった「100億円以上」も5件(同3.4%)判明している。
同倒産動向調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110402.pdf