地方分権推進の一環として地域間の税収格差の是正を目的に、個人住民税の一定割合を生まれ故郷などの自治体に納税することを納税者が選べる「ふるさと納税」制度の大枠が明らかになった。総務省は5日、「ふるさと納税研究会」を開き、10月上旬にもとりまとめる報告書の骨子案を公表し、1)寄附金税制を活用、2)税額控除方式とする、3)納税者の選択を尊重し、「ふるさと」を限定しないことなどを示した。
ふるさと納税は、菅前総務相の提唱で検討が始まったもの。同相の構想では個人住人税の1割程度をふるさとへ分割するものだったが、受益と負担の関係や住所地以外の自治体の課税権を認めることの困難性、納税者が納付先の選択を可能とする仕組みと租税の強制性との関係などを検討した結果を踏まえ、「税」の分割は行わず、寄附金控除方式を採用する方向性を示した。
つまり、納税者が地方自治体へ寄附する金額を個人住民税から税額控除する制度となるが、ふるさと納税をする納税者も居住地では他の住民と同様の行政サービスを受けることから、不公平感を招かないために控除できる上限額を設定し、税額の1割程度が妥当との考えを明記した。また、現行の寄附金優遇制度では10万円を超えた場合に所得控除するが、その下限額を大幅に引き下げる方向で検討する。
そのほか、貢献・応援したいと思う「ふるさと」のイメージは人によって様々であることから、「ふるさと」となる地方自治体は限定せずに、納税者の意思に任せることや、寄付者(納税者)の意思を尊重し、都道府県・市区町村双方を寄附先対象とすること、都道府県民税、市町村民税の両方から税比率で控除すること、これまで確定申告が必要だったが、住民税のみの簡易な手続きとすること、などの方向性を示している。