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再び地価下落基調となる可能性と警鐘

経営関連情報 - 2011年09月28日

 7月1日時点の平成23年地価調査が国土交通省から発表され、全国平均では住宅地が▲3.2%(前年▲3.4%)、商業地が▲4.0%(同▲4.6%)などとなり、下落幅は2年連続で縮小したものの、依然低下傾向が続いている。この要因について、不動産鑑定士の梶山彰氏が、「2011年地価調査の結果から」とする寄稿の中で、「依然として落ち着かないリーマンショック以降の金融不安にある」と分析している

 圏域別では、東京圏が住宅地▲1.9%、商業地▲2.3%、大阪圏が住宅地▲1.8%、商業地▲2.6%などとなったが、大震災の影響を直接受けなかった大阪圏や従来から変動幅が小さかった地方圏を除いて、全国はもとより、東京圏、名古屋圏で前半(2010年7月~12月)よりも後半(2011年1月~6月)に下落幅が拡大しており、東日本では再び下落基調を示している、という。

 地価動向の要因分析では、住宅地は年間を通して低金利やローン減税などが浸透したのに対し、商業地はオフィスの空室率の高止まり、賃料下落、店舗売上の減少などで住宅地よりも弱い傾向を示した。大震災の影響については、地震と津波、福島第一原発事故により、被災した岩手、宮城、福島県では地価調査ができない地点が続出したが、放射能汚染の影響が長引く福島県が最も深い傷跡を残している。

 しかし、こうした震災の影響に目を奪われがちであるが、今後の地価動向のポイントは、依然として落ち着かないリーマンショック以降の金融不安にあると思われる、と分析。最高水準で推移する円高、収益環境の悪化に伴う株安、財政再建を至上命題とする政府予算など、資産デフレを誘発する要因が立ちはだかっており、一旦、回復しかけた地価動向は、東日本、西日本を問わず、再び下落基調に戻る可能性がある、と警鐘を鳴らしている。