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税務関連情報 (2005/02/18)

受贈等資産の譲渡所得の取得費の取扱いを変更

 国税庁は14日、贈与や相続の際に支払われる不動産登記費用・名義書換手数料などについても、取得者が不動産・ゴルフ会員権を譲渡した場合の取得費に含めて計算するように取扱いを改めることを明らかにした。これは、2月1日の最高裁において「親から贈与されたゴルフ会員権の譲渡に伴い子が支払った名義書換手数料が取得費にあたる」とのこれまでの取扱いを全面的に否定する判決が下されたことを受けたもの。

 土地・建物やゴルフ会員権を譲渡した場合の譲渡所得の計算は、これらの資産の譲渡価額から取得費と譲渡費用を差し引いて行う。その資産を贈与や相続によって取得している場合のこれまでの取扱いは、譲渡価額から差し引くことができる取得費は、贈与者や被相続人から取得者に引き継ぐこととされており、また、その取得時期も贈与者や被相続人の取得時期を引き継ぐこととされている。

 このため、この場合の取得費は、贈与者等の購入代金や購入手数料などを基に計算することになる。ところで、贈与や相続の際には、通常、贈与者等の名義を取得者に変更するため、不動産の場合は登記費用を、ゴルフ会員権の場合は名義書換手数料を支払うことになるが、取得者が支払ったこれらの費用については、上記のことから、譲渡所得の取得費には算入できないこととして取り扱われてきた。

 今回取扱いを改める代表的な費用は、ゴルフ会員権の名義書換手数料や不動産登記費用だが、このほか、贈与・相続等の際に通常支払われる名義変更のための費用は、取得費の対象となる。例えば、不動産取得税、株式の名義書換手数料や特許権などの権利についての登録費用がある。なお、取得費に算入できるのは譲渡資産に対応するものに限られるので、特に不動産登記費用については、他の資産とともに名義変更する場合が多いことから注意が必要だ。

 これらの費用を過去に支払ったことがあれば、所得税が還付されるケースがある。例えば、贈与で取得した土地を譲渡して申告している場合、名義を変更する際に登記費用を支払っていれば、これを取得費に加えて再計算し、税務署に更正の請求などの手続きをすれば所得税が還付される。ただし、申告期限からすでに5年を経過している年分の所得税については還付できないこととされている。