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税務関連情報 (2004/08/27)

酒販免許自由化で厳しい環境を迎える酒類販売業

 酒類販売は、酒税の安定的確保を目的に国が免許制度により規制してきた。酒販業者はそれによって守られて安定した経営を続けてきたわけだが、規制緩和のなかで、2001年1月に新設店と既存店の間に一定距離をおく「距離規制」が撤廃され、2003年9月には地域の人口あたりの免許枠を定めた「人口基準」が廃止され、酒販免許の自由化は着々と進んでいる。

 しかし、零細業者が多い一般酒販小売店を、急激な自由化に伴う経営難から守るため、税務署が指定した緊急調整地域では1年間に限って、新しく免許を付与したり他の地域からの酒販店の移転を禁止する。緊急調整地域に指定されるためには、供給過剰要件や販売事業継続困難要件などをクリアーする必要があるが、国税庁のまとめでは全国3383市町村のうち27%前後の地域が指定されそうだ。

 最終的な地域指定の公告は今月27日に行われる。指定期間は2004年9月1日から2005年8月31日まで。つまり、酒販免許制度の実際上の自由化は来年9月からとなるわけだ。

 国税庁によると、酒類販売場数の業態別割合は、一般小売店が約70%、スーパー・コンビニの合計が25%弱となっており(2001年度)、規制緩和のなかで一般小売店が占める割合は縮小傾向にある。スーパー・コンビニでの酒販免許取得が急増し、大手チェーンいずれもが全店の酒販免許取得を当然目指すことから、今後さらなる競争激化が始まることは確実だ。

 一般小売店にとっては、酒販免許の規制以前に、大量量販店などを中心とした廉価販売競争の渦中にある。当面1年間は新規の競争相手が参入しない全国の4分の1の地域でも楽な経営環境にない。緊急措置法が切れる来年秋以降はさらに厳しい経営環境にさらされることになり、多くの一般酒販小売店は大きな曲がり角を迎えることになる。