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宮崎で全国初の地域コミュニティ税が4月スタート

税務関連情報 - 2009年03月11日

 少子高齢化、核家族化が急速に進むなか、地域の連帯感が希薄になるとともに、地域が抱える課題は多様化し、個々の団体だけで課題を解決することが難しくなってきている。そこで、宮崎市は、住民主体のまちづくりを進めるために、地域自治区・合併特例区を設置した上で、地域住民自らが課題解決に取り組む活動費を賄うため、4月1日から全国初の「地域コミュニティ税」を個人市民税の超過課税方式で導入する。

 同市の自治会加入率はこの10年で11ポイント低下して約64%になるなど、地域の自治機能は低下傾向にある。そこで、2006年の合併時に、住民主体のまちづくりを推進するため、合併特例法で認められた地域自治区15地区と合併特例区3地区を設置したが、これらのコミュニティ組織が防災・環境・福祉などの地域課題に自主的に取り組む活動に対し、その財源を地域コミュニティ税で賄おうというのが今回の趣旨だ。

 新税は、市民税均等割の納税義務がある市民に年額500円で上乗せ課税。37万市民のうち約16万人が対象者で、税収規模は約8000万円を見込む。これを均等割と人口割を組み合わせた方法で試算し、各地区に配分する。広く負担を求めることから市民理解が欠かせないとして、市では地域協議会会長の代表やNPOの代表、学識経験者など15委員で組織する「地域コミュニティ税使途研究会」を設置し、基本的な使途のルールを作成した。

 また、税が適正に使われたかどうかを検証し財務監査する「評価委員会」を設置するなどして、新税の使途の適正化・明確化を図る。だが課題もある。新たな負担増には行革が前提との声もあり、さらに市民は自治会費を払った上に地域コミュニティ税を払わねばならず、自治会加入率の低下を加速させかねない一面もある。宮崎市の全国初の試みに、自治体関係者の注目が集まっている。