インターネットの急速な普及を背景に、オンラインショッピングやネット広告、出会い系サイトなどインターネット取引が増えている。なかには年間1億円を超す売上があるネット業者も珍しくない。しかし、このような利益をあげながら、ネット上の売上は国税当局には把握されまいと考えて無申告・過少申告する業者が少なくないことから、国税当局はこの数年、インターネット取引調査にも力を入れている。
国税庁は、今年6月までの1年間(2005事業年度)にインターネット取引を行っている個人事業者など1453件を税務調査した結果、1件平均986万円の申告漏れ額を把握したことを公表した。この申告漏れ額は、同時期の実地調査における特別調査・一般調査での1件平均835万円を大幅に上回る。ネット取引の盛況さがうかがえると同時に、ネット取引業者の申告面でのずさんさを浮き彫りにする結果となった。
調査件数1453件を取引区分別にみると、事業主が商品を販売するためのホームページを開設し、消費者から直接受注する販売方法(オンラインショッピング)を行っている「ネット通販」が816件(1件あたり申告漏れ915万円)と過半を占める。また、電子画像や電子データの販売を行っている「シェアウェア」が10件(同991万円)、ネット広告や出会い系サイトなど「その他のネット取引」が627件(同1076万円)だった。
具体的な調査事例をみると、会社員Aは、複数のアフィリエイトサービスプロバイダと取引し、多額なアフィリエイト報酬を得ているにもかかわらず、無申告だったものがある。Aは調査を受ける理由がない旨主張していたが、パソコン内のデータの調査を実施した結果、複数のアフィリエイトサービスプロバイダと契約して複数のホームページを運営し、約7千万円のアフィリエイト報酬を得ていることが判明している。