財務省が10日に公表した2009年6月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は860兆2557億円となり、前回発表の今年3月末時点から13兆7587億円増加し、過去最高を記録していた2008年3月末時点(849兆2396億円)を上回る過去最大の額となった。地方が抱える長期債務残高は2009年度末で約197兆円程度と見込まれており、国と地方を合わせた借金は、大台の1000兆円を突破する状況にある。
3月末に比べ、短期的な資金繰りのために発行する政府短期証券は、景気悪化に伴う大幅な税収減に対応するため、約10.6兆円増の119兆1062億円と増加が目立った。国債は約3.9兆円増の684.4兆円で全体の約80%を占め、うち普通国債は、経済対策の財源確保のため増発した影響で約8.5兆円増の554.4兆円と過去最高となった。ただ、財政投融資は償還が増加し、約4兆円減の127兆円、借入金は約0.9兆円減の56兆7087億円だった。
この「国の借金」860兆2557億円は、2009年度一般会計予算の歳出総額88兆5480億円の約9.7倍、同年度税収見込み額46兆1030億円の18.7倍である。年収500万円のサラリーマンが9350万円の借金を抱えている勘定だ。また、わが国の7月1日時点での推計人口1億2761万人(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人あたり約674万円の借金となる。これは、赤ちゃんや子ども、ご老人など未就業者を含めての数字である。
今回は、5月29日に成立した2009年度補正予算における経済危機対策のため追加額13兆9256億円の財源のほとんどを公債の増発で賄っている。この結果、公債依存度は、当初予算における37.6%から43.0%へと跳ね上がり、実績ベースの過去最高値だった2003年度の42.9%を上回る公債依存度となっている。加えて、景気悪化に伴う税収減も大きく、財政再建の道はさらに遠のきつつあるようだ。