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福島県の「被害甚大地域」の4社に3社が営業不能

経営関連情報 - 2011年07月25日

 東日本大震災による企業倒産は7月21日時点で241社判明し、95年の阪神・淡路大震災時の約2.5倍のペースで発生しているが、津波や原発事故で壊滅的な被害を受け、実質的に営業不能状態の企業はさらに多く、こうした倒産件数はあくまで“氷山の一角”に過ぎない。帝国データバンクが実施した「東北3県・沿岸部『被害甚大地域』5000社の現地確認調査」では、福島県の「被害甚大地域」の4社に3社が営業不能であることが分かった。

 調査結果によると、福島県内の「被害甚大地域」にある1205社について震災後の活動状況を確認したところ、「事業再開」を確認できた企業は285社(23.7%)にとどまった。他方、「実態判明せず」が755社(62.7%)にのぼり、「事業休止中」の企業(165社、13.7%)と合わせた全体の4社に3社が、実質的に営業不能状態に陥っている。原発警戒区域内の大熊町、富岡町、双葉町などでは約9割が実質営業不能状態にある。

 一方、岩手県内の「被害甚大地域」にある1224社については、「事業再開」を確認できた企業が687社(56.1%)で過半数を占めた。他方、「実態判明せず」が402社(32.8%)を数え、「事業休止中」(135社、11.0%)と合わせた537社、全体の4割超が、実質的に営業不能状態にある。なかでも津波被害が甚大だった陸前高田市、山田町、大槌町などでは、「事業再開」は4割前後にとどまり、6割前後が実質営業不能状態だった。

 また、宮城県内の「被害甚大地域」にある2575社については、「事業再開」を確認できた企業は1534社(59.6%)で約6割を占めた。他方、「実態判明せず」が778社(30.2%)を数え、「事業休止中」(263社、10.2%)と合わせた1041社、全体の4割が、実質的に営業不能状態にある。特に、津波被害が甚大だった南三陸町では「事業再開」は53社(27.0%)にとどまり、7割超の企業が実質営業不能状態だった。

 今回の調査結果では、「事業再開」とした企業の大部分は、震災後に移転を余儀なくされるなど津波や原発事故で企業基盤を失った企業が多い。すでに実質営業不能状態にある約2500社に、こうした破綻の危機に瀕する予備軍も加えると、すでに立ち行かなくなっている企業数はさらに増える見通しだ。今後、先行きを悲観し、事業継続をあきらめて倒産手続き入りする企業が相次ぎ、全体の件数を押し上げる可能性が日に日に高まっている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110704.pdf