耐震偽装の再発防止を目的に今年6月、建築確認審査を厳格化した「改正建築基準法」が施行されたが、それ以降、ビル、マンション、一般住宅の新規建設が激減している。大阪市信用金庫が大阪府下一円の中小企業を対象に実施した「改正建築基準法施行の影響に関する調査」結果(有効回答数1297社)によると、全体では「悪影響が出ている」とする企業は28.4%と約3割あった。
このうち、「多大な影響が出ている」とする企業が19.6%(全体比)。これに対し、71.6%の企業は「特に悪影響は出ていない」とするが、「これ以上長引けば何らかの悪影響が出る」とする企業が17.7%(全体比)ある。業種別にみると、建設業では「悪影響が出ている」とする企業が63.2%にのぼり、このうち、「多大な影響が出ている」とする企業が43.6%となっている。同業種における直接的な悪影響はかなり大きいようだ。
悪影響が出ていると回答した企業の具体的な内容(複数回答)は、「受注や売上の低下」が72.8%と圧倒的に多く、次いで「回収の遅延」(23.6%)、「設備投資など事業計画の狂い」(18.7%)、「契約変更やクレームの発生」(10.6%)と続く。業種別にみると、「回収遅延」は建設業が39.4%でもっとも多いほか、サービス業のうち、不動産業が31.3%と多くなっており、受注後遅延している工事の多いことがうかがえる。
今後の見通しは、悪影響は「長期化する」と見通す企業が83.4%と圧倒的に多く、このうち、29.1%(全体比)の企業は「今後悪影響はさらに拡大する」と予想、改正建築基準法施行に起因する悪影響は簡単に解消しそうにないようだ。なお、改正法施行への意見は、「耐震偽装の再発防止は重要だから、仕方がない」とする企業は29.1%あるが、「改正法施行は必要だが、十分な配慮をしてほしかった」がやはり62.9%と最多となった。
同調査結果の詳細は↓
http://www.osaka-shishin.co.jp/houjin/keiei/pdf/2007/2007-11-21.pdf