慶應義塾大学とgooリサーチ(NTTレゾナント)が共同で実施した「企業のCSR活動と消費者の購買意欲に関する調査」結果(有効回答数800人)によると、地球環境に配慮した商品や売上の一部が発展途上国への寄附に回される商品を「購入したことがある」との回答が45.5%と半数近くにのぼった。年齢別にみると、10代から30代までは約4割である一方、50代以上は52.5%と半数以上の消費者に購入経験がある。
購入経験者が実際に購入したことがある商品(複数回答)は、「食品・飲料」(66.7%)や「日用品(文房具・洗剤など)」(47.3%)など、1回あたりの支出額が小さい商品が中心。一方、「耐久消費財(家具・家屋・自動車など)」(10.0%)のように購入代金が高い商品の購入経験は少なく、40代で13.4%、50代以上で14.3%、10~20代、30代においてはそれぞれ4.9%、7.5%と10%以下の水準にとどまっている。
商品を購入した理由は、「店頭で見つけたから」が50.7%でもっとも多い。「普段から(企業の社会的貢献活動につながっていることを)意識して購入している」は16.9%にとどまったが、50代以上で購入経験のある消費者のうち24.8%が意識して商品を購入している。購買時における環境問題や途上国支援の問題意識は、年代が上がるにつれ意識が高まっていく傾向がうかがえるが、日常的に問題意識を持つ人の割合は少ないようだ。
一方、環境対応商品等の購入経験のない消費者に今後の購入意向を聞いたところ、74.1%が「買いたい」と回答。購入したい商品(複数回答)は、「食品・飲料」(76.9%)と「日用品」(75.5%)が7割以上で、購入しても良い価格帯については、「通常価格と同等なら」が60.7%、「1割増し程度まで」が36.4%となった。特に40代は、「通常価格と同等なら」が72.4%と、他の年代に比べ値段の高さについて厳しい見方をしている。
また、今後の購入意向で「買いたくない」と回答した25.9%の消費者のその理由(複数回答)については、54.0%が「本当に社会貢献につながっているかどうか分からないから」を挙げた。過半の消費者が、商品購入によって環境問題や途上国支援につながっている実感をもちづらいと感じている。また、46.9%が「一般の商品に比べて割高だから」と回答し、価格面でのハードルが依然として高い傾向にあることがうかがえる。