税 務 関 連 情 報 |
2003年05月26日-003
納税者番号制度、選択制で導入する方針
政府税制調査会は、納税者に番号を付けて所得などを正確に管理する納税者番号制度を、選択制ながら導入する方針を明らかにした。株式の譲渡損益との損益通算を配当や利子にまで拡大する金融所得の一元化の検討に伴い、拡大された範囲の損益通算を認める納税者には納税者番号の付与を義務付ける考えだ。
政府税調では以前から、すべての納税者を対象に制度の導入する考えを示してきたが、プライバシーの保護などの観点からの反対が根強く、当面、優遇税制を受ける納税者に限って選択制での導入を先行する。6月下旬にまとめる中期答申に明記する予定だ。
2003年度税制改正では、来年1月から株式と公募株式投資信託の償還・中途解約による損失の損益通算が認められたが、今後は、株式譲渡損益等と損益通算できる金融商品の範囲は拡大される方向での検討が本格化する。例えば、配当収入や預貯金の利子などを対象に加えるかが検討されるが、給与所得のみの納税者との公平性を確保するためにも、金融所得の正確な把握が税務当局に求められることになる。
そのため、株式譲渡益等と他の金融商品との損益通算を望む納税者に対しては、納税番号で金融取引の内容を確認する考えだ。納税者は、金融機関に自分の番号を知らせ、納税申告書に番号を記載すれば、税務当局は金融機関から提出される同番号が記載された資料とつき合わせることで、取引内容が簡単に確認できる仕組みだ。
今回の納税者番号制度の導入構想は、対象が自ら希望する者に限られ、また、個人情報保護法案が5月23日に成立したこともあって、国民にも理解が得られやすいものとみられている。もっとも、制度導入の前提となる損益通算の対象範囲の拡大については、税収に大きな影響を及ぼす預貯金利子の取扱いが含まれることから、早急に結論が出る可能性は低く、納税者番号制度の導入が具体化するのも2、3年程度先のことになりそうだ。
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