ゼイタックス

税務関連情報 (2006/11/17)

原則交際費となる物品による売上割戻しに注意

 11月に入り、冬のボーナス支給を視野に入れたボーナス商戦がスタートしているが、家電製品などの量販店の値下げ競争の原資となるのが、メーカーが得意先に支給する売上割戻しである。これは、一定期間において多額の取引をした得意先に対して金銭などを支払う、わが国独特の商習慣である。売上割戻しは、一般的には金銭で行われるが、物品で行われることも少なくない。しかし、物品の場合は税務上注意が必要だ。

 というのも、金銭による売上割戻しは、税務上、メーカーから得意先に対する単なる「売上代金の返戻」に過ぎないが、金銭に代えて物品を交付した場合は、原則交際費課税の対象となるからだ。それは、物品の交付が、多額の取引に対する謝礼としての贈答と判断されるためだ。たとえ、物品の価格が、金銭による売上割戻しの基準に従った同程度のものだとしても、交際費課税は免れないことになる。

 ただし、売上割戻しとして交付した物品が「おおむね3000円以下」の少額物品である場合は、交際費課税の対象とはされないことになっている。つまり、売上割戻しを物品で行う場合は、1)物品の価格が3000円以下の少額物品で、2)物品の支給基準が金銭による売上割戻しと同一基準、という2要件を満たした場合に、初めて交際費課税の対象から外れることになる。

 結局のところ、売上割戻しを行う場合は金銭による支給が最善ということになる。どうしても金銭に代えて物品で交付したい場合は、その価格を3000円以下に押さえるという配慮が必要になる。