団塊の世代(1947年~1949年生まれ)が60歳で定年を迎えることから、これまで培ってきた技術やノウハウなどが継承されず、基幹系システムの維持が困難になる現象を「2007年問題」という。厚生労働省が公表した「2004年度能力開発基本調査」では、「2007年問題」に対する危機意識を持っている企業は22.4%であり、製造業では30.5%と高いことがわかった。
調査結果(有効回答数1405社)によると、全従業員に対する団塊世代の労働者の占める割合は平均で9.2%となっており、「運輸・通信業」(12.6%)、「電気、ガス、水道、熱供給業」(10.9%)、「建設業」(10.5%)では1割を超えている。製造業のうち、「出版・印刷・同関連企業」では11.6%と高い。逆に、団塊世代の占める割合が低いのは、「サービス業」(7.7%)や「卸売・小売業、飲食店」(7.8%)。
「2007年問題」に対する危機意識を持つ企業は22.4%、「持っていない企業」は61.6%、「わからない」企業は13.2%。製造業では危機意識を「持っている」企業が30.5%と高くなっている。製造業のうち、「化学工業」(47.8%)、「一般機械器具製造業」(40.5%)、「金属製品製造業」(35.1%)で危機意識が特に高い。正社員規模別にみると、「300人以上」の企業では危機意識が高い傾向にある。
危機意識を持つ要因としては、「意欲のある若年・中堅層の確保が難しい」(63.2%)がもっとも多く、以下、「技能・ノウハウ等伝承に時間がかかり、円滑に進まない」(51.1%)、「教えるほうと教わるほうの年代・レベルの差が開きすぎていて、コミュニケーションが厳しい」(35.9%)などが挙げられた。製造業では「技能・ノウハウ等伝承に時間がかかり……」が68.5%でもっとも多くなっている。
「2007年問題」に対する取組み状況では、「必要な者を選抜して雇用延長、嘱託による再雇用を行い、指導者として活用予定」(40.7%)がもっとも多く、以下、「中途採用を増やす」(21.2%)、「新規若年者の雇用を増やす」(19.3%)などが続く。製造業、建設業では、これらに続いて「外注の活用」(15.0%、18.1%)を挙げている企業が多い。製造業は、全業種と比べ「2007年問題」に対するすべての取組みが高くなっている。
2004年度能力開発基本調査結果の概要は↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/04/h0428-3.html