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11年度業績見通し、3社に1社が「減収減益」

経営関連情報 - 2011年05月13日

 国内景気は、東日本大震災による被害の全容がいまだ把握できていないなかで未曾有の困難に直面している。直接・間接的に甚大な人的・物的被害を被る企業が多い一方で、今後の復旧・復興に向けた動きも始まっており、企業の業績動向が注目される。帝国データバンクが4月後半に実施した「2011年度の業績見通しに関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万769社)によると、企業の3社に1社が「減収減益」を見込んでいる。

 2011年度の業績見通し(売上及び経常利益ベース)は、「増収増益(見込み含む)」と回答した企業は20.7%となり、2010年度から7.3ポイント減少した。一方、「減収減益(見込み含む)」は33.2%と同4.6ポイント増加した。「増収増益」と「減収減益」が概ね拮抗していた前年度と比べ、2011年度は「減収減益」が「増収増益」を12.5ポイントも上回った。東日本大震災の影響もあり企業業績が改善すると見込む企業は大幅に減少した。

 また、2010年度の業績を「減収減益」と回答した企業3046社のうち、2011年度も「減収減益」を見込む企業は48.5%と半数近くに及ぶ。他方、「増収増益」だった企業2973社のうち、2011年度も「増収増益」を見込む企業は31.5%と約3割だったが、同時に「減収減益」に転じると見込む企業も30.1%となっており、全体として業績の悪化が拡大するなかで、前年度に増収増益だった企業での業績が二極化している。

 2011年度の業績を下振れさせる悪材料(複数回答)では、「東日本大震災による間接被害」が54.1%と5割を超え、仕入先・得意先の機能低下や風評被害といった震災の間接的な影響を挙げる企業が最多となった。また、自社拠点機能の低下など「東日本大震災による直接被害」(8.8%)も、「東北」(15.2%)を中心に全国で1割近くが挙げており、直接・間接にかかわらず東日本大震災による被害を下振れと考える企業は55.9%にのぼった。

 一方、2011年度の業績を上振れさせる好材料(複数回答)については、「東日本大震災に伴う需要の増加」が41.6%で最多となり、復旧・復興に伴う需要の拡大を挙げる企業が4割を超えた。また、「原油・素材価格の動向」(23.4%)とともに2位の「外需の好調の維持」(23.4%)は前年度から23.0ポイントも減少した。海外における日本の一次産品や工業製品に対する風評被害の拡大などもあり、外需への期待感は大幅に後退している。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1104.pdf