ゼイタックス

経営関連情報 (2005/07/08)

少子化のなかでも教育支出はそれほど減少しない?

 家計調査の世帯あたり教育支出(実質)は、2001年度までは少子化の流れもあって減少傾向となっていたが、2002年度以降は反転して上昇傾向で推移している。ここでは消費者物価を用いて実質化した結果をみているため、この増加は単なる授業料の引上げ以外の要因によるものだ。少子化が継続するなかで、教育費が増加している背景を調べたのは、内閣府がまとめた分析レポートである。

 レポートでは、2001年度から2004年度への世帯あたり教育支出(実質)の変化を要因分解して、授業料等支出がもっとも大きく増加に寄与しており、補習教育支出はそれに次ぐことがわかった。このそれぞれについて、さらに要因分解を試みている。まず、授業料等支出については、私立大学への支出がもっとも大きくプラスに寄与し、私立中・高校。その他(幼稚園や小学校など)への支出が次いで寄与している。

 私大への支出増については、近年の短大数の減少を受け、その分4年生の大学の生徒が増えていることが要因。特に私大における2年生から4年生への移行が教育費の増加につながっている。また、専修学校も生徒数を増やしている。高校以下については、国立の生徒が減少するなかで、私立の小・中学の生徒数は若干ながら増加。全体の生徒数が減少するなかで、これらの私立比率の上昇も教育支出増加への寄与要因とみている。

 次に、補習教育支出(名目)については、高校生の塾や予備校の支出はそれほど増えていないが、幼児教育や小・中学生の塾への支出が増加している。ここでは、データの制約から「塾の授業料の増加」と「塾に通う生徒数の増加」の要因に分解することはできないが、有名校への進学熱が依然高いことを背景に、塾に通う生徒数が相当増加しているとみている。

 ここまでみてきたように、02年度以降の教育支出の増加は、1)短大数の減少などによる4年制大学進学率の上昇、2)小・中・高の生徒数における私立比率の上昇、3)補習教育支出の増加、が主な要因と分析している。レポートは、「今後とも上記のような動きが続けば、少子化のなかでも教育支出はそれほど減少することはない」との見込みを示している。