景気は緩やかな拡張局面にある。今回の景気拡張期間は戦後最長の「いざなぎ景気」(57ヵ月)を越えると予想されるなかで、2006年度の経済見通しを示したのはUFJ総研のレポートである。そこでは、在庫調整は年内にも一巡となり、IT関連需要や海外景気の再加速のなか、2006年度に向け景気の拡大が続く可能性が大きいと予測している。
レポートは、在庫循環による景気の若返りが見込まれるなか、06年度上期にかけては、拡大の勢いが増し、力強い成長となる素地が整ってきていると分析。設備投資循環がすでに上向いているほか、設備ストック調整が一巡し、投資採算が過去最高の水準まで改善しており、設備投資が対GDPで継続的に比率を高める「本格拡大」の局面に入ってきているものとみている。
出遅れ感のある個人消費にも、企業部門の回復のもとで、株価上昇や雇用・所得環境の改善を通じ、堅調な推移が期待できるとみている。06年1月以降は、定率減税縮減の影響が表れるが、所得の増大がこれを相殺し、消費の大崩れはないとみている。住宅地価・ローン金利の先高感から住宅投資の拡大も見込まれ、家計部門は比較的堅調に推移すると予想している。
また、これまでの景気拡大に加え、今後もやや高い成長が持続するなかで、足元にかけての円安・ドル高や原油価格上昇の影響もあり、消費者物価は前年比プラスの定着が確認されるとみる。こうした状況下、日銀は06年4~6月期以降、日銀当座預金残高目標を引き下げ、7~9月期には量的金融目標の設定を解除して、ゼロ金利政策に移行し、10~12月期にはゼロ金利政策の解除に踏み切ると予想する。
今後は、断続的な金融引締めに加え、定率減税廃止が予想されるなか、06年末にかけ景気は弱含みはじめる可能性が大きく、海外景気の勢いも秋口からは衰え、今回の景気拡張期間は「いざなぎ景気」を越えるものの、直後に後退局面入りと予測。そのため、日銀当座預金の緩慢なペースでの引下げや政府による早急な増税路線の回避、民間ビジネス・チャンスを広げるような、慎重かつ前向きな政策運営を求めている。
同レポートの全文は↓
http://www.ufji.co.jp/shimanaka/report_q/2005/0511.pdf