日本商工会議所は14日、2006年度税制改正に関する要望を公表し、特に事業承継円滑化のための税制措置を求めた。具体的には、1)事業用資産に対する包括的な事業承継税制の確立、2)物納基準の緩和による相続税の納税環境の整備、3)取引相場のない株式の評価方法の改善、4)種類株式の評価方法の明確化、5)相続時精算課税制度における贈与者の年齢要件(現行:原則65歳以上)の引下げの5点を掲げた。
事業用資産に対する課税については、累次の税制改正により徐々に改善されているものの、いまだ、欧州諸国のように、事業の継続性の観点から、事業用資産を一般の財産と区別して課税するような仕組みとなっていないと指摘。本来は非課税とすべきだが、まずは欧州諸国の例にみられるように、5年程度の事業継続を前提に課税対象額の5割を控除するといった制度を創設するなど、包括的な事業承継税制の確立を要望した。
取引相場のない株式については、2002年度改正でその物納要件や取扱いが明確化されたが、依然厳しい要件が課されている。非上場株式を財産として評価し、相続税を課税するのであれば、物納にあたっても、他の財産と同様に取り扱うべきであるにもかかわらず、不利な取扱いを受けているのは一貫性を欠くとして、物納基準の緩和措置を講じ、円滑な相続税の納税環境を実現することが必要だとしている。
また、取引相場のない株式の評価については、2000年度改正において、類似業種比準価額方式による評価方法について収益性が加味された結果、一部の収益性の高い企業において、かえって評価額が上昇してしまう結果となっている。収益が拡大するほど、換金性がないにもかかわらず、株価だけが高い評価を受け、そこに課税されることは、がんばっている企業や後継者の意欲を阻害するものだとして、評価のさらなる改善を求めている。
日商の「2006年度税制改正に関する要望」は↓
http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/050914zeisei.pdf