使われなくなった車の再資源化・適正処理を促進する「自動車リサイクル法」が来年1月1日から本格的にスタートする。同法は、車の不法投棄を防ぎ、リサイクルを促進することを目的に2000年に法律が成立したもの。車の所有者は、新車の購入時か、最初の車検時、あるいは廃車時にリサイクル料を支払うことになる。
リサイクル料は、メーカーや車種によって異なり、小型車で1万円前後、ミニバンや高級車では1万~1万8000円程度だ。車の所有者に再資源化費用の負担を求める一方で、自動車メーカーや輸入業者にはリサイクルが不十分だった破砕くず(シュレッダーダスト)、フロン類、エアバッグ類の回収・処理を義務づける。
破砕くずとは、廃車から有用資源を回収した後に残る、プラスチック・繊維などが混ざった難処理物で、現在は大半が埋立処分されている。フロン類はカーエアコンに使われており、大気に放出されるとオゾン層破壊や地球温暖化を引き起こす原因となる。また、爆発性があるエアバッグ類の処理には専門技術が必要だ。
環境省の発表によると、昨年3月には不法投棄された廃車が16万9000台に達し、特に処分場まで輸送費用がかかる離島では深刻だったという。「リサイクル法施行前に撤去するよう」という環境省の指導強化や鉄くずの価格の高騰などから、現在では5分の1に減少している。自動車リサイクル法のスタートによって、さらなる不法投棄の抑制が期待される。
従来の「大量生産、大量消費・廃棄」のライフスタイルを見直し、資源を循環させることで環境を保護していく「循環型社会」構築への取組みが積極的に進められていく。これまではリサイクル(再資源化)促進を中心とした対応だったが、これからは、1)リデュース(廃棄物の発生抑制)、2)リユース(再利用)、3)リサイクルの三本柱を総合的に促進する対策への転換が求められている。