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経営関連情報 (2005/11/21)

10月の企業倒産825件は前月比23%の大幅増加

 帝国データバンクが発表した全国企業の法的倒産(負債1千万円超)状況によると、10月の倒産件数825件は、前月を23.0%(154件)上回る大幅増加となった。10月における倒産件数の前月比平均値は13.3%増で、平均値を大きく上回る増加率となった。また、集計対象を法的倒産に限定した4月以降では初の800件超えで最高を記録、倒産は底打ちの段階にあり、ここ数ヵ月は増加基調をみせている。

 倒産の内訳をみると、負債が小規模の小売業者を中心に、卸売業や運輸・通信業で倒産が増えており、なかでも中小・零細のスーパーマーケットや運送業者が目立つという。この背景には消費不振や原油価格の高騰があるとみており、帝国データバンクでは「景気全体の回復基調と、そこに消費不振が内在するような“まだら模様”の回復が、それぞれ複合して現在の倒産動向を演出している」と分析している。

 10月の負債総額は前月比19.9%増の6605億7600万円と2ヵ月連続の5000億円超えとなった。月中、負債50億円以上の大型倒産は20件発生し、5月(19件)を上回り4月以降では最高となった。また、同10億円以上の倒産は80件発生し、前月を16件上回り、これも4月以降でもっとも高い水準となった。なお、資本金別の件数では、「1000万円以上5000万円未満」が439件と全体の53.2%を占め、もっとも多い。

 金融環境をみると、地域金融機関に対するペイオフ発動の関心が高まっているほか、政府系金融機関の統廃合が取り沙汰されている。確かに貸出残高は増加しているものの、住宅ローンやノンリコースローン(非遡及型融資)によるところが大きく、中小企業融資については保証協会への依存も目立ち、民間銀行のリスクテイクは向上していない。中小企業の金融環境は決して好転していないことから、今後の動向に注意が必要としている。