ゼイタックス

税務関連情報 (2005/08/03)

環境税導入による生産者価格の上昇率を分析

 地球温暖化防止対策として環境省が導入を目論む環境税の本格的な議論が、政府税制調査会で始まる予定だ。経済界では、真の地球温暖化防止の解決につながらないだけでなく、わが国におけるエネルギーコストの増大を招き、経済に大きな打撃を与えるとして強固に反対している。7月22日に開催された中央環境審議会では、環境税導入による生産者価格の上昇率など業種別の影響についての分析が行われた。

 この分析は、昨年11月に環境省が提案した環境税(仮称)に基づくものだが、同案では、税率は2400円/炭素トン(例えば、電気の税率は0.25円/kWh、ガソリンの税率は1.5円/L)とし、税負担の軽減措置がある。軽減措置は、生産額に占めるエネルギーコストが全国平均を上回るような業種を指定し、2~5割程度軽減することや、中小企業に配慮し、小口事業所において消費する石炭、重油・天然ガスは非課税とするなどがある。

 このような環境税を導入した場合の各産業における生産者価格の上昇率を分析した結果、エネルギー多消費の素材産業(紙・パルプ、有機化学基礎製品、有機化学製品、セメント・セメント製品、鉄鋼)及び運輸で上昇率が大きかった。なかでも「鉄鋼」がもっとも大きく、上昇率は1.1%となっているが、軽減措置を行うことで0.11%と0.99ポイントも低下するとの分析結果を示している。

 「鉄鋼」の上昇率が大きく低下したことから、鉄鋼を多く使用する部門である「金属製品」、「一般機械」、「輸送機械」などにおいて上昇率が大きく低下している。また、製造業のなかでは、加工組立産業である「電気機械等機械製造業」が、素材産業と比較して上昇率が小さい。サービス業は、「運輸」を除けば、他産業と比べ総じて上昇率が小さい。

 とまれ、この分析は、環境税を導入しても軽減措置など配慮があれば企業負担はそれほど大きくないとのことだろう。これをもって産業界が納得するとは思えないが、世論を味方につける材料とはなろうか。今秋以降の環境税をめぐる本格的が議論の行方が注目される。

 同分析の詳細は↓
 http://www.env.go.jp/council/16pol-ear/y163-05/mat03.pdf