税 務 関 連 情 報

2002年10月09日-003
UFJ総研、15年度税制改正で法人部門は約1兆円の減税

 UFJ総研が4日に公表した「日本経済ウォッチ」のなかで平成15年度税制改正の景気への影響を考察している。それによると、法人部門で約1兆円の減税になる一方、家計部門は増税となる可能性が大きいが、マクロベースの税体系を大幅に変えるほどのインパクトはないだろうと予測している。

 税制改革項目の景気への影響をみてみると、まず配偶者特別控除と特定扶養控除の廃止については、平成15年度は段階的な廃止にとどまるだろうことから、増税額は合計で2,000億円程度と見込む。外形標準課税を導入すると現行の法人事業税より約5,000億円の増税となると試算。ただし、この試算は12年度の法人所得を対象としたため、企業収益が低迷した13年度を対象とする14年度は、増税額がさらに拡大する可能性がある。

 研究開発減税は、仮に研究開発費の10%の所得控除という形で実施した場合、15年度は研究開発投資減税で約500億円程度の設備投資増加を見込む。ちなみに、キャッシュフロー増加を通じた投資押し上げ効果は、顕在化するとみられる16年度で設備投資増加額1,400億円程度を見込む。法人税率引下げによる大幅減税の影響は、キャッシュフローが増加しても借入返済を優先する企業が多いことなどもあって、直近の限界投資性向(設備投資前年差÷キャッシュフロー-前年差)は0.5を下回る水準となっており、設備投資押し上げ効果は最大でも減税規模の半分以下となる可能性が大きいとみている。

 相続税と贈与税の一体化は、メリットが相続税の納税段階で現れてくるため、短期でみた減税効果はほぼゼロに近く、生前贈与による消費や住宅の押し上げ効果もあまり期待できないとみている。消費税の免税点引き下げについては、仮に免税点が全廃されると約2,500億円の増税となるとみる。現在売上高が3,000万円以下の事業者は368万社でその売上高が34兆円。この34兆円に、現在の課税売上高1,311兆円に占める消費税9.8兆円の割合0.7%を掛けると2,542億円になる。

 

 

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