2003年06月20日-002
消費税率引上げに経済界は明暗のコメント
将来の消費税率二ケタ台の引上げの必要性を明記した政府税制調査会の中期答申に対し経済界は、明暗のコメントを示した。日本経団連(奥田碩会長)は「社会保障費など財政需要の増大が不可避であることを考えれば、責任ある姿勢」、経済同友会(北城恪太郎代表幹事)も「消費税を税体系の基幹税のひとつと位置付け、その役割を高めるべく、税率の10%台の引上げを明記したことは妥当」とともに評価した。
しかし、日本商工会議所(山口信夫会頭)は「国・地方を通じた行財政改革や社会保障制度改革についてほとんど議論がなされないまま、大幅な消費税率の引上げに軽軽しく言及していることは納得いかない」と批判的なコメントを明らかにした。このように、消費税率の引上げについては明暗が分かれた各団体だが、財政事情を最優先して国民負担増を強調する増税路線には批判的なコメントで一致している。
「増税の実施には、まずは景気の回復、経済の活力の強化が必要だが、十分な配慮がされているとはいえない」(経団連)や「民間を主体とした中長期的な経済活力の回復という視点が薄れており、経済運営全体の視点が欠如していることに危機感を禁じ得ない」(同友会)、「最優先課題はデフレからの早期脱却だが、(中期答申は)景気抑制的なもので到底賛成できない」(日商)との否定的コメントが並ぶ。
「国民の負担を抑え、直間比率の是正を軸にした税体系全体の見直しを実現すべき。また、欧米先進国と比べ高水準の法人税率の5%引下げを求める」(同友会)、「景気にマイナスの影響を及ぼすような増税論議ではなく、法人基本税率の引下げや住宅税制の拡充など需要創出につながる税制改革を行うべき」(日商)など、デフレ脱却・経済活性化のための要望が目立つ。
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