ゼイタックス

食品産業全体で約65%の企業が価格転嫁を実施

経営関連情報 - 2008年08月29日

 農林漁業金融公庫が7月1日時点で実施した「食品産業動向調査」結果(有効回答数2424社)によると、食品産業全体で、今年1月の前回調査以降に原材料高騰等に伴い99.9%とほとんどの企業が「コストが増加した」と回答している。こうしたなか、「コスト増見合い程度に価格転嫁」が20.4%、「コスト増には満たないが転嫁」が44.1%と、約65%の企業がコスト増を販売価格に転嫁した(しようとしている)ことが分かった。

 「コスト増には満たないが転嫁」は前回調査から15.3ポイントも増加する一方で、「コスト増を価格転嫁できない」とする企業は10ポイント減少の33.3%となった。小売業では、販売価格に転嫁した(しようとしている)企業が23.5ポイント増の72.3%と、もっとも価格転嫁が進んだ業種だが、消費者に近く価格転嫁しづらい同業種においても、コスト増加が進み、価格転嫁しなければならない状況になったことが推察される。

 コスト増加分を満額、価格転嫁できなかった理由は、「取引先に価格決定権がある」が38.7%でトップ。一方で、前回調査と比べて「同業者と横並び」(24.1%)が12.4ポイント減少し、「自助努力でカバーできる」(16.1%)が5.0ポイント増加した。小売業では「同業者との横並び」(47.3%)がトップ、また、飲食店は「経営方針や戦略に値上げがそぐわない」(35.3%)がトップで、販売戦略としての値上げの難しさが浮き彫りにされた。

 7月時点での食品産業全体におけるコスト増(対前年度)は24.3%と、前回調査(10.1%)以降半年間で12.9%値上がりしており、コスト増加の圧力は高まっている。輸入原材料に依存している製造業は、コスト増加が27.9%と他業種(卸売業18.8%、小売業15.7%、飲食店13.2%)に比較して高くなっている。「油脂」(57.0%)、「精穀・製粉」(34.5%)に代表される食品素材部門は、特にその影響が強い。

 同動向調査結果の概要は↓
 http://www.afc.go.jp/information/investigate/pdf/sangyou-food-h20-08.pdf