経 営 関 連 情 報

2003年06月04日-001
デフレはメリットを上回るデメリットをもたらす!

 デフレによる経済への悪影響が深刻になっている。デフレでモノの値段が下がることは一見プラスにみえるが、それを上回るデメリットをもたらしている。物価が下がれば当然消費も増えるとか、地価が下がった今こそ住宅の買い時だといったイメージがあるが、実際はどうなのか。内閣府が5月30日に公表した2003年版国民生活白書はデフレに焦点を当てている。

 デフレは企業の売上や収益に悪影響を及ぼす。製品の値段が下がっているため売上の減少や収益の悪化から、企業はやむを得ずリストラや給与の引下げなどの人件費削減を行う。新卒採用を大幅に抑制し、若者の雇用機会を奪う。また、賃金コストの高い正社員をできるだけ減らし、パート・アルバイトなどを増やすことで人件費を抑えるなど、労働者の雇用や所得に悪影響を及ぼす。

 デフレが続いて給料が下がったりすると、モノの値段が下がっても消費は増えない。住宅ローンの債務も重荷だ。失業しないまでも、周囲の失業者を見ると「明日はわが身」と感じ、不安でモノを買うのをやめ、将来に備えて貯蓄にはしる。デフレ下では消費は低迷するのだ。

 一方、貯蓄で定年後の生活を考えている人にとっては、デフレで貯蓄の実質的な価値が高まっているが、この点をメリットとして認識している人は少ない。逆に、デフレ下で低金利が続いているため、手取りの金利収入が減少していることを痛手と思っている人が多い。また、景気の回復が遅れるなかで、人々は将来に不安を感じ、貯蓄に励んできたが、消費の抑制にも限界がみえ始め、貯蓄を取り崩す人も増えている。

 このように、デフレで、消費や投資が減少すると、景気が悪化し、物価のさらなる下落をもたらす。また景気の悪化は、不良債権問題を深刻化させ、それが金融仲介機能を弱め、さらに景気を冷え込ます。デフレはこのような悪循環をもたらすため、デフレを克服し、この悪循環を絶つことが最重要課題となっているわけだ。

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