地域によって、家計の貯蓄や負債の残高はどのように異なるのか。三井トラスト・ホールディングスが総務省の「家計調査年報2003年」をもとに調べたレポートによると、1世帯あたりの貯蓄残高は、「京都府」(2191万円)、「三重県」(2128万円)、「栃木県」(2060万円)などが上位に並んだ。一方、1世帯あたりの負債額は、「山梨県」(909万円)、「神奈川県」(809万円)などが多くなっている。
レポートは、都道府県を1世帯あたりの純貯蓄残高によって3つのグループに分けている。純貯蓄残高は、金融資産(貯蓄額)から負債を引いた差額で、家計のバランスシートからみた豊かさを示す指標である。上位グループは15県で残高が「1260~1860万円」、中位グループは16県で残高が「900~1259万円」、低位グループも16県で残高が「330~899万円」である。
全体としてみると、純貯蓄残高は関東以西で高く、上位グループには「三重県」(1858万円)や「香川県」(1648万円)など地方の県が多く入っている。大都市圏にある県としては「京都府」(1738万円)が入っているが、東京や大阪はでてこない。中位グループには16位の「東京都」(1251万円)、29位の「神奈川県」(956万円)、31位の「大阪府」(902万円)など、大都市圏の県が、低位グループには北海道や東北・九州の各県が入っている。
レポートは、1)1世帯あたり純貯蓄額の高い都道府県のなかでも、富山・石川・福井の北陸3県、徳島・香川の四国2県の豊かさは、実収入、つまり所得水準の高さや貯蓄率の高さである程度説明できる(三重県や茨城県も同様)、2)一方、京都府のストックベースの豊かさは、この10年間の所得や貯蓄率では説明できず、おそらく、10年以上過去の蓄積が効いていると推測している。
さらに、3)全般的に、埼玉、千葉、東京、神奈川、大阪、兵庫といった、地価の高い県で負債額が大きい傾向がみられ、こうした地域では、住宅コストの高さが貯蓄率を下げ、金融資産の蓄積を妨げている可能性が高いと指摘している。