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経営関連情報 (2006/09/08)

電気機械や情報通信を中心に中小企業向け貸出増加

 7月の貸出・資金吸収動向(日本銀行)によると、金融機関(全国銀行)の貸出は、前年同期比2.2%増と6ヵ月連続の増加となった。特殊要因調整後は2.9%増と12ヵ月連続の増加となり、貸出は着実に増加していることが確認される。特殊要因調整後とは、1)貸出債権流動化要因、2)為替変動要因、3)貸出債権償却要因を調整した残高のこと。こうした金融機関の貸出動向を分析するのは内閣府のレポートである。

 それによると、国内銀行貸出を貸出先別にみると、2006年4~6月期は、1~3月期と比較して中小企業向けの貸出が大幅に増加し、住宅ローンは引き続き増加した。企業向け貸出動向をみると、2006年第2四半期には、非製造業の運転資金が貸出の伸びを大きくけん引し、製造業の運転資金もプラスに転じた。業種別には、製造業では電気機械、輸送、非製造業では情報・通信、金融・保険業、不動産業向けの貸出が伸びている。

 国内銀行貸出を金利別にみると、2000年以降、貸出金利は低下傾向にあり、今年に入り第2四半期時点では貸出残高の金利別構成には大きな変化はみられない。ただし、最近、市場金利は変動してきており、市場金利の変動を受けて住宅ローン金利設定を変更する銀行もあり、今後の動向が注目される。なお、金利別貸出の構成比は、「1.0~2.0%」が36.1%と最多、次いで「2.0~3.0%」(27.6%)、「1.0%未満」(27.2%)の順。

 日本銀行による主要銀行貸出動向アンケート調査によると、主要銀行の利ざやの設定は、2002年以降、低下傾向をたどったが、2006年第2四半期には、上位、下位、中位格付け先(貸出先)のいずれに対しても利ざや設定を「拡大」とした銀行は増加した。レポートは、今後、企業の資金需要と金融機関の貸出姿勢を受けて、貸出の需給環境が本格的に回復に向かうか、その動向を注目している。