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税務関連情報 (2006/11/20)

国外資産の贈与にも精算課税制度を適用可能

 相続時精算課税制度は、65歳以上の親から20歳以上の子への生前贈与については2500万円(住宅取得資金の場合は3500万円)の非課税枠を設け、これを超える部分は一律税率20%課税と税負担を軽減する制度である。贈与するものは現金、株式、土地、家屋など何でも構わない。それでは、海外にある土地や建物などの国外財産の贈与を受けた場合は同制度を適用できるのだろうか。

 国際化に伴い、海外にマンションやコンドミニアムなどの不動産を所有する人が増えているが、資産運用といった観点からは、国外の財産の贈与にも相続時精算課税制度が適用できるのかどうかは気がかりなところだ。結論をいうと、同制度において贈与するものには国内・国外の制限はなく、例えば、子どもが、親がハワイに所有する土地の贈与を受けた場合も、同制度の適用を受けることができる。

 また、この場合には、贈与税の計算上、その土地の贈与について課せられたハワイの贈与税額(外国税額)を控除することができる。さらに、贈与者である親に相続が発生した場合には、相続税の申告にあたり、今回の贈与税の課税価格を相続税の課税価格に加算し、相続税額から贈与税額を控除することになるが、その際の贈与税額は外国税額を控除する前の税額となる。

 ちなみに、2005年分贈与税確定申告における相続時精算課税制度の利用状況をみると、申告人員8万2千人、うち非課税枠を超えた納税人員は5千人で、その申告納税額は324億円となっている。また、来年度税制改正に向けては、経済産業省などを中心に、中小オーナー経営者が後継者である子どもに対して自社株式の贈与を行う場合には、贈与者の年齢要件を撤廃し、非課税枠を3500万円に引き上げることを要望している。