名古屋国税局管内で先行実施された電子申告・納税システム(e-Tax)の確定申告期限である3月末までの利用状況は、所得税申告が2482件、個人の消費税申告が488件の合計2970件だったことが国税庁のまとめで明らかになった。6月からは名古屋局以外の全国での運用が始まるが、名古屋局管内でのe-Taxではソフト使用などでトラブルが多発し、国税庁では同庁ホームページで注意事項を掲載して、注意を喚起している。
e-Taxソフトは数字を入力すれば関連数値を自動計算してくれる機能が入っているが、この機能が不十分なことでのトラブルが生じた。所得税の確定申告書では、定率減税での最高25万円という限度額判定を行わず、自動計算で25万円を超えたまま「作成完了」すると、作成完了ができない状態となった。
減価償却費の計算では、償却可能限度額の判定を行わないことや、「退職給与引当金に関する明細書」の退職年金制度へ移行した場合の累積限度額の計算内訳では自動計算の結果が正しく表示されないこと、「特別共同試験研究費に係る特別控除額の計算」の共同研究税額控除限度額の計算でも自動計算の結果が正しく表示されないことなどのエラーが確認された。
所得税だけでなく、譲渡所得での申告書作成では、「譲渡所得の内訳書」の譲渡所得の計算で、入力が不要な欄も「0」を入れないと、当初入力した金額が異なる欄に表示されることがあったり、「株式等に係る譲渡所得等の金額の明細書」の差引金額の欄には赤字の金額が入力されないなどの不具合があった。
さらに、3月22日から始まった法人の確定申告でも、申告書別表の自動計算や財務諸表の印刷、法人税(勘定科目内訳明細書)の自動計算でもトラブルがでている。国税庁では、これらの不具合と対処方法などを、ホームページ上の「e-Taxソフト使用にあたっての注意事項」に掲載し、注意を喚起しているが、6月の全国展開が始まるまでに、これらの不具合が改善されないと、e-Taxの普及に大きな障害となりかねない状況にある。
「e-Taxソフト使用にあたっての注意事項」は↓
http://www.e-tax.nta.go.jp/e-taxsoft/e-taxsoft2.html