電子申告・納税(e-TAX)システムの利用促進に向けて、2007年度税制改正では、地方自治体から電子署名に係る電子証明書(住民基本台帳カード)を取得した個人事業者などが確定申告をe-TAXで行う場合、所得税額から5000円を控除する特別控除制度が創設された。2007年分または2008年分の確定申告において、それぞれの年分の申告期限までに自己の電子署名を添付して電子申告した納税者が対象となる。
5000円(その年の所得税額を限度)を控除できるのは、2007年分か2008年分かどちらか1回に係る電子申告での適用となる。具体的には、2007年分であれば、2008年1月4日から3月15日までの間、2008年分であれば2009年1月5日から3月15日までの間に電子申告した場合に適用となる。5000円という金額は、住基カードやICカードリーダの取得費用相当分といわれている。
また、今年の1月から税理士が代理で税務書類を作成し、納税者に代わって電子申告する場合は、納税者本人の電子署名は省略可能となったが、こうしたケースでも、納税者が住基カードを取得していれば電子申告控除が受けられる。この電子申告特別控除は、低迷する電子申告利用の大きなインセンティブとして期待したいが、個人の申告に限られ、税額控除する適用年も1年分だけとなれば、その効果は未知数といえる。
財務省が3日に公表したオンライン利用促進のための行動計画によると、所得税や法人税などの国税申告手続きの利用率は、2005年度の0.41%から2006年度は今年2月末までで1.30%に上昇した。今後は2007年度が3%、2008年度は8%が目標利用率である。また、国税庁によると、e-TAXの開始届出書の提出が3月9日現在の累計が106万7368件と初めて100万件を超えた。今後の利用率の動向が注目される。