信金中央金庫総合研究所が実施した「中小企業の正規社員の採用状況等に関する特別調査」結果(有効回答数1万4072社)によると、ここ3年間に「新卒採用」を実施した企業割合は28.9%だが、「中途採用」は50.7%だった。新卒採用の実施企業を従業員規模別にみると、「1~4人」は7.7%、「5~9人」は18.6%だが、「30~39人」は51.1%、50人以上では7割以上と、規模が大きくなるほど新卒採用の実施割合は高くなっている。
同様に中途採用の状況をみると、従業員「1~4人」の企業では17.9%、「5~9人」では44.8%、40人以上では8割以上と、新卒採用同様、規模が大きくなるほど実施割合も高くなっている。一方、ここ3年間の採用環境をみると、「希望した人材を採用できた」とする企業は、新卒採用、中途採用ともに4割弱にとどまった。2割前後の企業が「希望した人材が集まらず採用できていない」と回答、厳しい採用環境がうかがえる。
採用についての課題(複数回答)は、「人材不足」との回答が34.1%でもっとも多く、次いで「業務の魅力向上」(25.5%)、「職場環境の改善」(22.9%)、「給与面の待遇改善」(20.1%)が2割を超えて続いた。従業員規模が30人以上の企業では、5割以上が「人材育成」を課題としており、比較的規模が大きい中小企業では、多くの企業が新卒・中途採用を実施している一方で、採用後の人材育成が課題となっていることがみてとれる。
人材面における今後の対応方針(複数回答)は、項目別では「省力化・機械化を進める」とする企業が16.0%でもっとも多い。「新卒採用を増やす」(11.2%)、「中途採用を増やす」(15.6%)、「非正規社員を増やす」(15.7%)などの人員を増加するという回答も多い。人員増加の対応方針を従業員規模別にみると、規模の小さい企業ほど、新卒採用よりも中途採用や非正社員で対応する企業が多くなっている。
同特別調査結果(全国中小企業景気動向調査のなかで実施)は↓
http://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/scb79h20M132.pdf