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経営関連情報 (2003/12/05)
外部の経営資源の活用による経営革新

 資金面や人材面に制約のある中小企業が必要な経営資源を外部に求めることで、新製品開発や新分野進出などを果たし、経営革新に成功した企業は少なくない。中小公庫がその成功事例を紹介している。外部の経営資源の活用方法としては、「企業間での事業連携活動」による共同研究開発や「産学官連携」などがあるが、ここで紹介するのは前者の「企業間での事業連携活動」による成功事例である。

 「企業間での事業連携活動」には、共同研究開発・共同販売・共同生産・共同仕入・共同物流などの形態があるが、このうち特に、共同研究開発は、自社に不足する技術・ノウハウなどを相互に補完し合うことで、市場の細分化や技術の進歩により、中小企業が単独では困難な製品開発や新分野進出などを図っていく方法として、近年、注目を浴びている。

 成功事例は、パンフレットやカタログなどの商業印刷物を手がけるオフセット印刷業A社。同社では、長引く不況で受注が減少する一方、競争力を強めるためには、価格面だけでなく小ロット・短納期化に対応できる効率的な生産体制を築くことが課題となっていた。そこで、社長は、旧型機でも、そのシステムにパソコンと改良ソフトを追加することで、デジタル化が可能ではないかと考えて、メーカー側に共同開発の話を持ちかけた。

 機械メーカー側では、システム改良可否の検証と開発作業を1年かけて行い、旧型機でもデジタル対応が可能なシステムを開発した。A社では、そのシステムの一部となる管理フォーマットを開発するとともに、試験機として自社機械を提供し、必要なデータの提供も行った。この結果、旧型機に同システムを搭載することで、印刷工程のインキ量や印刷枚数など、製本工程の折り位置などと進捗が一元管理できるシステム開発に成功した。

 今回共同開発したシステムの導入によって、印刷工程から折り工程までの、各段取り時間の大幅な短縮が可能となり、短納期化・小ロットに対応した生産体制を築くことができた。共同開発した新システムの機能をデジタル対応の最新機種の導入によって行うとすれば、約1億5千万円程度(1ライン)はかかるが、今次開発システムの場合は、システムの追加だけで済むため極めて安価な投資でこれを実現することが可能となった。