税 務 関 連 情 報

2002年01月25日-002
地価の下落で譲渡所得の申告漏れも減少?

 国税庁は24日、平成13年6月までの1年間(平成12事務年度)の譲渡所得調査の状況を公表した。それによると、同年度の調査は2万2,054件(対前年度比13.0%減)に対して行われ、このうち1万4,342件(同13.2%減)から申告漏れ所得金額1,730億円(同6.6%減)を把握した。調査1件当たりの申告漏れ額は785万円(同7.4%増)。調査件数、申告漏れ件数、申告漏れ所得金額がいずれも減少しているが、調査件数は、ここ数年の傾向として調査事務量を相続税調査にシフトしているため。申告漏れ所得金額の減少は、申告の9割が土地・建物であることから、バブル崩壊後の地価の下落による土地取引の減少にまだ歯止めがかからないことが要因と推測されている。

 申告漏れ件数のうち、仮装・隠ぺいなど故意に不正を行ったとして重加算税を賦課されたものは889件(同33.6%減)で、その不正所得金額は79億円(同34.2%減)だった。件数・所得とも大幅減となっているが、これも地価の下落の影響が一因といえる。不正事例をみると、架空の譲渡損失や保証債務、経費の計上、各種特例の不正適用など典型的な手口は相変わらずだ。

 例えば、納税者A(無職)は、保証債務を履行するために土地を譲渡し保証債務の特例を適用して、所得金額「0」として申告していた。しかし、Aが保証債務を履行したとしている債権者Xが介在した保証債務の特例を適用した申告が、複数署で行われていたことから調査対象になった。調査したところ、AはXから「保証債務の履行をするために土地を譲渡したことにすれば、税金が免除される」という話を持ちかけられ、Xと共謀して、Xを債権者とした架空の保証契約書を作成したことが判明した。Aは各譲渡人の取りまとめ役になっていたもの。

 

 

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