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税務関連情報 (2007/10/03)

繰延資産の範囲から除かれた試験研究費

 国税庁はこのほど、2007年度税制改正を踏まえて個人事業者等を対象に「2007年分決算にあたり留意すべき事項」を発表した。そのなかで、繰延資産の範囲について、1)試験研究費が除外された、2)開発費から「新たな事業の開始のために特別に支出する費用」が除外されたの2点を留意事項として挙げている。この改正は、個人が2007年4月1日以後に支出する費用から適用される。

 所得税法上、繰延資産とは、個人が支出した費用のうち支出の効果が1年以上に及ぶもので一定のものをいう。改正後、具体的には、1)開業費、2)開発費(新たな技術や新たな経営組織の採用、資源の開発、市場の開拓のために支出する費用)のほか、3)借家権利金、役務の提供を受けるために支出する権利金その他の費用、広告宣伝用資産の贈与費用などで支出の効果が1年以上に及ぶものとされている。

 繰延資産については、「(繰延資産の支出額÷償却期間の年数)×本年中の償却期間の月数/12」の算式で計算した本年分の期間に対応する償却費が必要経費となる。2007年度改正によって繰延資産の範囲から除外された試験研究費や開発費のうちの「新たな事業の開始のために特別に支出する費用」を今年4月以降に支出した場合は、その全額を支出した年分の各種所得の計算上必要経費に算入できる。

 もっとも、開業費や開発費については、上記の算式で計算した金額によらずに、その支出した金額のうち任意の金額を本年分の必要経費とすることもできる。また、それ以外の費用でも、20万円未満のものや、国・地方公共団体・商店街などが行う街路の簡易舗装、街灯などの簡易な施設で主として一般公衆の便益に供するもののために支出した負担金は、その全額が必要経費となる。