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明治末年まで創業の「老舗企業」、全国に2万5千社

経営関連情報 - 2011年08月12日

 100年に一度といわれるリーマンショック後の大不況、1000年に一度といわれる東日本大震災を経てなお、事業を続ける老舗企業が全国に存在する。多くの企業が未曾有の震災被害に直面した今、戦争や災害など幾多の困難を乗り越えてきた老舗企業に学ぶ点は多い。帝国データバンクが実施した「老舗企業実態調査」によると、明治末年(1912年)までに創業した「老舗企業」は、今年7月末時点で全国に2万4847社あることが判明した。

 創業が確認できたうち最古の企業は、寺社仏閣建築の「金剛組」(大阪市)で西暦578年(敏達天皇6年)。聖徳太子が四天王寺建立のため百済の国から招いた工匠が始祖とされ、業歴は1400年以上に及ぶ。2位は、生け花の振興・教授を手がける「池坊華道会」(京都市)で西暦587年(用明天皇2年)。3位は、世界最古のホテル・旅館として2011年2月にギネスに認定された「西山温泉慶雲舘」(山梨県)で同705年(慶雲2年)の創業だ。

 都道府県別の「老舗輩出率」(老舗企業数÷全企業数)をみると、「京都府」が3.93%でもっとも高い。これは、(1)第二次大戦の被害が少なかったこと、(2)寺社仏閣の支援があり、伝統工芸を守り育てる土壌があったこと、などが老舗存続にプラスに働いたとみられる。2位は「山形県」の3.75%、3位は「島根県」の3.63%。上位には、「北前船」の寄港地として江戸時代から商業や地場産業が発達していた県が名を連ねた。

 今回の震災で被災した岩手、宮城、福島の東北3県において、明治末年の1912年までに創業した「老舗企業」は1368社。「老舗輩出率」がもっとも高いのは、全国10位に入っている「福島県」の2.66%。「岩手県」の2.42%、「宮城県」の1.88%が続き、3県ともに全国平均の老舗輩出率(1.79%)を上回った。創業が確認できた企業のうち最古の企業は、岩手県北上市の秘湯にある「夏油温泉」で西暦1134年(長承3年)だ。

 老舗企業の創業時期をみると、「明治時代(1868~1912年)」が2万2069社(88.8%)を数え、老舗企業全体の約9割と大半を占めた。「江戸時代(1603年~1867年)」に創業した企業は2613社(10.5%)を数え、全体の1割となった。「江戸開府以前(1602年以前)」は165社と、全体の割合はわずか0.7%だが、100社を超える企業が創業から400年以上の業歴を誇っている。

 同調査の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110802.pdf