国税庁が25日に公表した「2005年分法人企業の実態調査」結果(速報)によると、2006年1月までの1年間に全国の企業が取引先の接待などで使った交際費は、前年に比べ2.7%(945億円)増の3兆5338億円となり、1996年以来9年ぶりに増加に転じた。また、営業収入10万円を得るための交際費は243円で、前年に比べ2.5%増加したが、1951年分の調査開始以来過去最低だった前年に次ぐ低水準。
2005年分の法人数は258万5033社で、前年より1万2945社(0.5%)増加した。このうち、連結親法人は422社、連結子法人は4522社。連結子法人を除いた258万89社のうち、赤字法人は173万981社で全体の67.1%を占めた。この赤字法人割合は前年に比べ0.1ポイント増加したものの、この5年間では前年に次ぐ低い数字。なお、連結法人の赤字法人割合は前年より11.5ポイント低下も、なお63.0%と高く、連結効果を裏付ける。
過去を振り返れば、91年分では50.3%が黒字法人となっていたのだから、現在の7割弱が赤字法人という状況は異常である。しかし、2005年分の営業収入金額は、前年に比べ0.4%増の1455兆4968億円と2年連続で増加し、景気回復傾向を反映した。所得金額は9.1%増の42兆4793億円。営業収入に対する所得金額の割合(所得率)は4.3%となる。黒字法人の営業収入金額は981兆4573億円で前年に比べ3.2%増となった。
また、黒字法人の益金処分総額は11.8%増の47兆8330億円だった。内訳をみると、役員賞与6220億円(構成比1.3%)、支払配当7兆7227億円(同16.1%)、法人税額11兆1275億円(同23.3%)、その他の社外流出5兆7925億円(同12.1%)で、これらを差し引いた社内留保22兆5682億円は47.2%を占めた。役員賞与が占める割合1.3%は過去最低、また支払配当は昨年に比べ34.3%の大幅増となった。
交際費の支出額3兆5338億円のうち、税法上損金に算入されなかった金額は前年に比べ7.3%増の1兆8085億円と5年ぶりに増加に転じ、損金不算入割合も前年より2.2ポイント増の51.2%と5割台を回復した。周知のように資本金1億円以上の企業の支出交際費は全額損金不算入。バブル崩壊以降の景気低迷を背景に交際費の支出抑制に努めてきた中堅・大企業だが、企業業績の改善が数字に表れてきたようだ。
同実態調査結果の概要は↓
http://www.nta.go.jp/category/toukei/tokei/menu/kaisya/h17/pdf/03.pdf