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主要人材派遣会社の5割が減収に転じる

経営関連情報 - 2009年11月27日

 急成長を遂げてきた人材派遣業界だが、昨年秋に発生した世界的な金融危機に加え規制強化に向けた動きや議論が活発化してきたことから、業界の勢いに陰りが見え始めている。帝国データバンクが、2008年度決算において年収入高(単体)が100億円以上の人材派遣業務(一般・特定)を主業とする52社を対象に実施した「主要人材派遣会社の動向調査」結果によると、主要企業の5割が減収に転じたことが分かった。

 主要52社の業績(年収入高、当期純利益)を2006年度、2007年度、2008年度で比較すると、年収入高では、2007年度に前年度(2006年度)比で減収になったのは7社(構成比13.5%)だったのに対し、2008年度では前年度(2007年度)比で減収となったのは26社(同50.0%)と約3.7倍に増加した。また、当期純損益は、2007年度決算では1社のみが赤字だったのに対し、2008年度では9社に急増している。

 今般の世界的な金融危機の影響が現れ始めたのは一般的に2008年10月ごろ以降とされており、52社の大半が“2009年3月期”となっている2008年度決算の数値には、その影響の一部しか反映されていないことになる。つまり、その影響(収入高減少、赤字計上)が完全に反映され始めるのは2009年度決算以降と考えられ、今後、メーカー関連からの引き合いの減少でさらに業界不振が顕著になる可能性もあるとみられている。

 2005年以降の人材派遣会社の倒産件数(法的整理のみ)の推移をみると、毎年増加傾向にあり、2008年には49件発生したが、2009年は10月までにすでに66件が発生し、2008年を大きく上回る過去最悪のペースで推移している。倒産した66件を業歴別にみると、「10年未満」が43社と全体の65.2%、負債別では、「1億円未満」が51社と同77.3%を占め、業歴の浅い小規模の倒産が大半を占めた。

 同動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p091103.pdf