国民生活金融公庫が今年8月に実施した「新規開業実態調査」結果(有効回答数1972社)によると、経営者の14.5%は開業した事業がベンチャービジネスやニュービジネスに「該当すると思う」と考えていることが分かった。以下では、該当すると思うと回答した企業を「ニュービジネス型」、思わないと回答した企業(72.5%)を「従来型」に分類し、「ニュービジネス型」の経営者や企業の特徴について分析している。
それによると、ニュービジネス型の開業業種は、事業者向け業種の割合が50.2%と従来型(32.4%)よりも高い。特に成長業種である「情報通信業」(8.8%)、「事業所向けサービス業」(17.3%)は従来型(各1.4%、7.7%)を大幅に上回る。ニュービジネス型は、日本標準産業分類ではまだ分類されていない業種の割合が29.6%にのぼり、従来型(13.2%)を上回り、特定業種に分類されていない新分野に参入していることが分かる。
ニュービジネス型の企業の開業動機は男女で大きな違いがみられる。男性は「自分の技術やアイデアを事業化したかった」ために開業した経営者が32.1%ともっとも多く、女性(10.8%)を大きく上回っている。女性は、「社会の役に立つ仕事がしたかった」(16.2%)、「趣味や特技を生かしたかった」(10.8%)という開業動機が相対的に多いなど、身近なところから事業機会を見つけている様子がうかがえる。
創業支援組織の利用状況をみると、ニュービジネス型は複数の組織(2ヵ所以上)を利用する割合が48.2%と従来型(33.5%)よりも高い。また、創業塾や起業セミナーに参加する割合も29.1%と従来型(18.2%)より高い。さらに、地方自治体の制度融資は、ニュービジネス型は31.7%が利用しており、従来型(18.2%)を大きく上回る。ニュービジネス型は、様々な創業支援策を積極的に活用していることが分かる。
平均従業者数をみると、ニュービジネス型は開業時の4.6人から調査時点の7.7人へと3.1人増加している。従来型も同様に4.3人から5.6人へと増加させているが、増加数はニュービジネス型が上回る。また、今後、事業規模を拡大したいと考えている割合は、ニュービジネス型は86.5%と従来型(68.7%)を大きく上回っており、ニュービジネス型の企業は雇用創出力が強く、今後の事業拡大に対しても意欲的なところが多い。
同実態調査結果の詳細は↓
http://www.kokukin.go.jp/pfcj/pdf/2006sinkj.pdf