経 営 関 連 情 報 |
2003年04月30日-003
デフレへの影響度小さい中国製品急増
わが国では緩やかなデフレが続き、経済成長の阻害要因となっているが、中国からの安価な輸入品の流入がデフレの主因とする考え方がある。しかし、内閣府が28日に公表した「世界経済の潮流」では、アジアのデフレとその要因を分析し、中国製品の急増が物価引下げ圧力の一因となっている可能性は否定できないが、日本のデフレに与える影響度は小さいとの判断を示している。
アジアでは、日本以外にも中国・香港・台湾・シンガポールなどでデフレ傾向が生じている。このようなデフレがなぜ生じているのか。デフレは継続的な物価下落であり、いくつかの原因が考えられる。実物面を重視する立場には、中国からの安価な輸入品の流入によって国内の競合品の価格が下落し、企業収益が圧迫され、賃金や地価等が下落することがデフレの主因との考え方がある。
一方、金融面を重視する立場では、中国製品とは競合しない財やサービス部門ともに価格が下落していることから、貨幣供給量増加率の低下がデフレの主因と考える。そこで、消費者物価上昇率について国際比較を行うと、ほとんどの国・地域において物価の動きは需給要因と貨幣要因によって基本的に説明することが可能なことから、デフレを引き起こす要因としては、供給超過やマネー面の問題が主因との考えを示し、中国製品の急増の影響度の大きさを否定している。
90年代後半には、多くの国で利潤や賃金の伸びが鈍化し、コスト面から物価上昇力を低下させた。特に日本では、製造業で賃金上昇率が鈍化している一方、非製造業では賃金が下落している。これがサービス価格の上昇が抑制される背景となっている。これに対し、インフレ国アメリカでは、製造業と非製造業で同程度の賃金上昇が実現し、両者の生産性上昇率の格差を反映してサービス価格が上昇している。
政策課題としては、GDPギャップの縮小、デフレ克服の向けた金融政策の強力な推進、構造改革を断行して生産性上昇を高めると同時に、それに見合った所得増加が実現するような環境整備が必要との結論を明らかにしている。
【ホームへ戻る】