ゼイタックス

経営関連情報 (2004/03/29)

インターネット世界の裏に潜む恐さ

 インターネットの普及で私たちの生活は多くの面で考えられないほど利便性が向上している。税務の世界でも、わざわざ税務署に足を運ばなくても家にいながら申告書が作れ、ネットを通して申告書を提出することができる。このような利便性は今後もますます向上していき、機械ができることは機械に任せ、人間の手でしかできないものは何かを模索する時代がやってきた。

 しかし、このインターネットによる利便性は、裏側に大きなブラックホールを持っていることも事実。コンピュータ関連の専門家はともかく、素人の私たちは恩恵を享受しているだけでその裏に潜む恐さには無頓着だ。「ウイルス」や「ハッカー」などの言葉は知っているだろうが、専門家がどうにかしてくれると考えてあまり気にもとめないのが実情だろう。

 確かにウイルスなどは市販のファイアーウォールソフトで防げるが、問題なのは本人が気づかないうちに個人情報を根こそぎ盗まれてしまう「スパイウェア」なる犯罪が水面下では頻発していることだ。例えば、送られてきたグリーティングカードの裏に個人情報を抜き取るソフトが潜んでいたりするのだ。

 また、他人の名前を送り主にした誹謗中傷も防ぎようがない。インターネットカフェやマンガ喫茶などから送られたら、犯人を追及することはほぼ不可能だそうだ。つまり、名前をかたられた本人が知らない間に、ある人を誹謗中傷する悪い人にされてしまうことになるのである。

 セキュリティ商品を研究・開発するあるベンチャー企業の幹部は「インターネットの世界は“善意”で成り立っているのです」と、そのもろさを表現している。世の中に犯罪が絶えることはないが、それはインターネットの世界も同じこと。むしろ、時間・空間的な障害を簡単に乗り越えることができて、追及が難しい犯罪が可能であることから、インターネットを犯罪に利用しようと企む者はますます増えるだろう。

 このようなインターネットの裏に潜む恐さを認識することが大切な時代となってきた。電子申告が始まり会計事務所でもネット上で顧問先の税務書類などをやり取りすることも珍しくない。もっとセキュリティ面に意識を持つことが必要なようだ。