経 営 関 連 情 報

2001年12月12日-001
本格的な景気回復は2005年以降と国民経済研が予測

 国民経済研究協会が11日に公表した、2005年度までの中期経済予測によると、本格的な景気回復に向かうのは2005年度以降になると見込んでいる。予測の前提となる財政金融政策は、基本的には財政再建路線で、継続的な歳出削減に加え、2005年度には消費税率の10%への引上げを想定。金融政策については、テロ後の公定歩合0.1%引下げの状況が続き、継続的な引上げは物価上昇に転じる2005年度以降まで待つことになる。次に、景気展望だが、景気の中期的な循環要因として、設備投資の累積である資本ストックの周期変動をシミュレートすると、2000年代前半は資本ストックの下降局面にあり、景気の底は2002年7~9月期とみている。

 そこで中期的にみた景気シナリオだが、第一段階は不良債権処理とそれに伴うデフレ圧力で、これが下降局面にある景気のさらなる下押し圧力となる。実質GDPは2001年度マイナス0.6%、2002年度マイナス0.4%と2年連続のマイナス成長を予測。第二段階は米国景気の回復という外需依存の立ち直り、底からの脱出。短期的には2四半期連続のマイナス成長に陥る可能性が高いが、それにより家計の過剰債務の削減や企業の過剰生産能力の削減などが進み、不況に谷は深くなるものの、その後の景気回復時期の早まりが期待される。第三段階は、不良債権処理などの構造調整が山を越え、2005年度以降になると見込まれる本格的な景気回復に向かう局面である。ユーザー側のIT投資が活発化し、遅ればせながらITという民需主導の景気回復となると予測している。

 なお、中期的に景気に影響を与えそうな構造的要因について、まず、不良債権処理では、試算で最大32万人となる新たな失業者を発生するが、最終的な実質GDP成長率への影響はマイナス0.1%と軽微。しかし、消費者への心理的なマイナス効果による消費性向の低下も含めるとその影響は増幅される。次に、中国のWTO加盟の影響は、輸入関税引下げによる対中国輸出拡大効果と、投資規制緩和で中国への生産拠点シフトが加速し、輸出が抑制される効果との綱引きだが、総合すると時間の経過とともに輸出抑制効果の方が大きくなるとみる。最後にビッグバン会計は、中期的には大きな影響はないと想定している。

 

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