中小企業庁が発表した「会社法施行の中小企業に与える影響に係る実態調査」結果(有効回答数3997社)によると、施行前に有限会社だった企業は全体の38.3%だったが、そのうち、施行後に株式会社へ移行した比率は11.1%と1割強にとどまった。もっとも同調査の実施時期は、会社法施行後間もない2006年8月後半だから、この後、株式会社に移行した有限会社はさらに増えている可能性がある。
会社法の認知度については、会社法施行後間もないことも影響して、「内容について一定程度まで認知している」とする企業割合は41.1%にとどまった。その約4割の企業の情報源(複数回答)は、「新聞・雑誌・書籍」(46.1%)と「税理士から」(41.7%)の比率が高かった。「税理士から」と回答した企業比率は、規模が小さくなるほど高くなる傾向があり、20人以下の企業では情報源の中で最大の比率となっている。
各制度の導入状況をみると、導入もしくは導入予定の比率が高いのは、「取締役会の書面決議」(30.9%)、「取締役の任期延長」(28.1%)だった。一方で、導入もしくは導入比率が低いのは、「種類株式等の発行」(3.0%)、「会計参与の設置」(3.1%)だった。また、「会計監査人の設置」については、「設置予定はない」と回答した比率が60.8%と他の制度に比べもっとも高かった。
会社法の施行によって株式譲渡制限会社では取締役の任期を10年まで延長できることになったが、「延長済み」(7.6%)・「今後延長予定」(20.5%)の企業は合計28.1%、対して「延長は考えていない」と回答した企業は同程度の29.0%だった。ただ、「周囲の状況を見て考える」とする企業が18.7%あり、その後延長した企業が増えていることも想定できる。「制度を知らなかったので検討していない」企業も16.4%あった。
取締役の人数については、「3人」の企業が52.1%と約半数を占める。取締役の人数を、「1~2人」と「3人以上」に区分し、資本金規模別にみると、取締役が「1~2人」の会社は資本金規模が小さくなるにつれ比率が高くなる。規模の小さい会社では、会社法施行前の株式会社に要求されていた3人の取締役を必要としていない企業が比較的多いことがうかがえる。
同実態調査結果の概要は↓
http://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/kaisya/download/070501katuyoujoukyou.pdf