経 営 関 連 情 報

2002年11月22日-001
注目を集める新たな退職金制度(4=終)~制度設計の留意点

 中小企業の新たな退職金制度として注目される、別テーブル方式、定額方式、ポイント制方式の3つを、あさひ銀総研のレポートから紹介してきた。いずれも基本金と連動しないので、企業にとって退職金支給総額の増加を抑えることが可能だ。特に、ポイント制方式は職能資格制度が前提となることから、年功序列型の人事制度を能力重視型のものに転換する契機となる。

 しかし、中小企業にとって望ましい退職金制度は、雇用形態の違いにより一様ではない。退職金設定にあたっては、企業の支払能力が大きな問題となる。退職金制度を見直すときに、従業員の既得権や期待権をどの程度考慮するかはなかなかの難問だ。一般的には、可能な限り十分な経過措置を設ける必要があるが、各企業の様々な事業に応じて対応策も自ずと異なる。

 定年までの長期勤続を前提とする企業では、モデル退職金額表の一部(勤続年数の長い者)について、例えば50%を勤続年数による定額表とし、定額方式とポイント制方式との併用が考えられる。一方、中途採用・中途退社が常態化している企業では、退職制度の廃止も選択肢となる。制度を存続する場合も、1)在籍期間中の貢献度をポイント化して勤続年数と無関係な制度に切り替える、2)ストック型人材とフロー型人材に対して二本立ての制度にする、などの方法が考えられる。

 各企業が新制度設計に向けて、いろいろな方法を検討してみることが重要である。

 

 

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