信託とは、委託者が受託者に財産を移転した上で、受託者に信託目的に従ってその財産を管理・処分させ、その収益を受益者に取得させるものをいう。2006年12月に新信託法が制定され、多様な類型の信託が可能となる。これを受けて、2007年度税制改正において、新信託法制定に伴う信託税制の見直しが行われたことから、国税庁はこのほど、信託税制の改正の概要を解説したパンフレットを公表した。
それによると、新信託法において新たに規定が設けられた信託の類型の主なものとして、1)自己信託~委託者が自ら受託者となる信託、2)受益者の定めのない信託~目的信託、3)受益証券発行信託~受益権の証券化が一般的に認められた信託、4)受益者指定権等を有する定めのある信託等~信託行為に一定の場合に受益権が順次移転する定めのある信託、などを挙げている。
これらの新信託法の信託の類型を踏まえ、2007年度税制改正において、受益者段階課税においては、信託財産に属する資産や負債、信託財産に帰せられる収益や費用の帰属すべき者の範囲について、発生時課税の対象となる受益者を明確化するなどの規定が整備された。また、信託収益を受益者が現実に受領したときにその受益者に対して課税される信託の範囲に、特定受益証券発行信託が追加された。
一方、信託段階法人課税においては、信託段階において受託者を納税義務者として法人税及び消費税が課税される信託の範囲に、1)特定受益証券発行信託以外の受益証券発行信託、2)受益者等が存在しない信託、3)法人が委託者となる信託のうち一定要件に該当するもの、が追加された。また、受益者等が存在しない信託、受益者連続型信託等においては、相続税・贈与税の課税の規定が整備されている。
これらの改正は、新信託法の施行日以降に効力が生じる信託について適用されるが、新信託法は、原則として、一部の規定を除いて、公布の日(2006年12月15日)から起算して1年6ヵ月を超えない範囲内において、政令で定める日から施行されることになる。
パンフレット「信託税制改正のあらまし」は↓
http://www.nta.go.jp/category/pamph/sonota/pdf/shintaku.pdf