経 営 関 連 情 報

2003年09月19日-001
8月の倒産件数1321件は今年最低を記録も…

 倒産は減少傾向を示しているが、それは企業が前向きな行動を控えてリスクを軽減し、制度融資や保証などの公的支援の拡充も一時的な延命策として奏効しているためで、予断を許さない状況にあるようだ。帝国データバンクがこのほど公表した企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、8月の倒産件数1321件は今年最低を記録し、3ヵ月連続の1400件割れとなった。

 8月は前月を63件(▲4.6%)、前年同月を241件(▲15.4%)それぞれ下回り、8ヵ月連続の前年同月比減少で、倒産件数の減少傾向が鮮明となっている。しかし、負債総額は1兆1733億円で、5ヵ月ぶりの1兆円超えとなり、前年同月を10.8%上回り、8月としては戦後2番目の高水準となった。負債が増加したのは、負債1000億円以上の大型倒産が2件と3ヵ月ぶりに発生したほか、負債100億円以上が23件発生したため。

 倒産件数は今年に入って減少傾向を示しているが、負債規模別で前年同月と比較すると、負債10億円以上は6月・8月で増加したほか、減少した月でも小幅のマイナスにとどまっている一方で、負債10億円未満は大幅に減少している。つまり、負債10億円以上の中堅・大型クラスは依然として高水準なのに対し、零細規模の企業で倒産が減り、地域別では近畿と関東、業種別では製造業の倒産減少が目立ち、それが全体の件数を押し下げている。

 これは、政府系金融機関や自治体、信用保証協会、地域金融機関などの支援のほか、デフレによる売上減少が続く中、企業自身が、前向きな行動を控えて固定費を抑え、リスクを軽減しながら生き延びているためとみられている。帝国データバンクでは「倒産は依然として増勢へ反転する要因をはらんでおり、予断を許さない状況であることに変わりはない」との見方を示している。

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