若年社員の育成・能力開発は企業責任で進めるべき
労働政策研究・研修機構が実施した「若年技能系社員の育成・能力開発に関する調査」結果(有効回答数3229社)によると、今後の若年技能系社員の育成・能力開発の責任の所在については、「会社の責任」(「企業の責任で進める」と「企業の責任で進めるに近い」の合計)と考える企業割合が72.8%と高く、「個人の責任」(「個人の責任で進める」と「個人の責任で進めるに近い」の合計)の24.7%を大きく上回っている。
若年技能系社員の育成・能力開発の現状については、「ある程度うまくいっている」が61.8%、「うまくいっている」(4.4%)を合わせると、7割弱の企業が「良好」と評価。規模別では、規模が大きいほど「良好」の割合が高い一方で、「300人未満」規模の中小企業では3分の1強が「うまくいっていない」としており、多くの企業が「育成を担う中堅層の不足」、「効果的に教育訓練を行うためのノウハウ不足」を原因として挙げている。
優秀な非正社員への仕事の割り振りについては、「当面の業務の必要に応じて様々な仕事」が47.1%ともっとも高く、「育成のため積極的に高度な仕事」(27.1%)が2番目に続いている。これを従業員規模別にみると、規模が小さいほど「高度な仕事」を与える割合が高く、人材確保に苦労している中小企業が、若年技能系非正社員の育成・能力開発について、期待をかけ、意欲的に行っている様子がうかがわれる。
若年者に限らず、非正社員の正社員登用制度の有無については、「ある」とする企業は17.4%にとどまっているものの、「制度はないが、慣行として正社員に登用されることはある」(35.9%)を合わせると、過半数の企業が何らかの正社員転換ルートを持っていることが分かる。しかし、登用実績をみると、制度・慣行があるところでも、4割で実績がない結果となっている。また、まったく正社員転換を考えていない企業は31.3%だった。
同調査結果の詳細は↓
http://www.jil.go.jp/press/documents/20110726.pdf