近年の労働時間は、パートなどの大幅増加によって全体としては減少傾向にあるが、20歳代後半から40歳代前半の働き盛りの年齢層、特に正社員では、「週に60時間以上働いている」と回答している者が増加している(総務省「労働力調査」)。そこで、労働政策研究・研修機構は、わが国における長時間労働・不払い労働時間(サービス残業)の昨年6月における状況について実態調査し、このほど発表した。
調査結果(有効回答数2577人)によると、月間の総労働時間では、「30代」(204.3時間)、「20代」(202.5時間)など若い層の長さが目立つ。超過労働時間でも、「30代」(37.7)時間、「20代」(35.6時間)の若い層が目立つが、「40代」(30.9時間)もかなり長い。役職別では、「一般社員」(29.1時間)が相対的に短いが、これは女性の割合が高いことの影響とみられる。なお、月間50時間以上の超過労働を行う人の割合は全体で21.3%。
サービス残業については、年代別には「30代」(20.0時間)を中心に若い層で、職種別では「営業・販売、接客」(25.1時間)、「専門職」(20.3時間)、産業別では「卸・小売、飲食店」(22.4時間)、「公務」(20.7時間)、「サービス業」(19.9時間)、「金融・保険、不動産業」(18.7時間)でそれぞれ長い。また、従業員規模別では「30~99人」(20.5時間)、「100~299人」(19.6%)が長いが、「29人以下」(15.0時間)では比較的短い。
持ち帰り残業を行う人の割合は、年代別では「30代」(34.1%)、「40代」(31.8%)の中堅層、職種別では「専門職」(41.6%)、役職では「課長クラス」(41.1%)をはじめとする管理職層、産業別には「公務」(38.6%)や「卸・小売、飲食店」(34.2%)、「サービス業」(31.1%)で、それぞれ相対的に高くなっている。持ち帰り残業の理由は、「自宅のほうが効率がいい」(35.3%)、「自分が納得する成果を出したい」(31.5%)など。
同調査を含む「日本の長時間労働・不払い労働時間の実態と実証分析」(概要)は↓
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2005/documents/022_summary.pdf