2003年10月17日-001
申告漏れ相続財産の37.8%が現金・預貯金
国税庁が15日に公表した今年6月までの1年間(平成14事務年度)の相続税調査事績によると、遺産の申告漏れ課税価格は3748億円で前年度より8.2%(285億円)増加した。また、申告漏れがあった相続財産では現金・預貯金が37.8%を占め6年連続でトップになったことが分かった。
調査は主に13年分の申告事案を中心に1万1405件に対して行われ、このうち89.2%にあたる1万171件から総額3748億円にのぼる申告漏れ課税価格を把握した。申告漏れ1件あたりの課税価格は3685億円、税額では840万円となる。
申告漏れ件数のうち1934件が意図的な仮装・隠ぺいを行ったとして重加算税を課され、その重課対象課税価格は731億円で前年度を19.3%(118億円)上回った。申告漏れ件数に占める重加算税賦課件数である重加算税賦課割合は19.0%となっている。
申告漏れ財産の内訳をみると、「現金・預貯金」が全体の37.8%を占めて6年連続のトップ、財産額で1415億円と前年度より約8%(109億円)増えている。バブル崩壊前は資産の含み益拡大から土地や株式などの取引自体を隠すケースが多かったが、バブル崩壊後の平成4年以降は、株価低迷・地価の下落・低金利の影響などから、現金を自宅に隠すケースが増えているようだ。
その他の財産では、「有価証券」が20.1%、751億円、「土地」が19.7%、735億円、「家屋」が1.2%、45億円などとなっている。なお、申告漏れの手口では、無記名の割引債や郵便貯金を申告除外するケースが多く、なかには相続開始する数年前から計画的に被相続人の預金を解約してその現金を隠していた事案なども報告されている。
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