11年3月期決算上場企業、GC注記は2割減の47社
東京商工リサーチが8日に発表した「2011年3月期決算上場企業『継続企業の前提に関する注記』調査」結果によると、2011年3月期の全上場企業のうち、5月末までに決算短信を発表した企業で決算に監査法人から「継続企業の前提に関する注記」(ゴーイングコンサーン注記、GC注記)が付いた企業は47社だった。前年同期より15社と約2割(20.8%)減少、中間期(2010年9月)からは8社(14.5%)減少した。
中間期と比べ16社でGC注記が解消したが、GC注記の付いていた中小企業信用機構とセイクレストの2社は倒産した。また、2社が決算作業の遅延で3月期本決算が未発表となっている。一方、中間期ではGC注記が付いていなかったが、3月期本決算でGC注記が付いたのは東京電力など12社だった。このうち、7社は中間決算では「重要事象」の記載にとどまっていたが、3月期本決算でGC注記が付いた。
GC注記の具体的な理由として、東日本大震災の影響による業績悪化を一因とした企業は5社。このうち、東京電力は初めて「GC注記」が付いた。また、残りの4社は、震災前の中間期でもGC注記が付いており、震災で業績改善が遅れた格好だ。GC注記が付いた47社のうち、40社(85.1%)が「重要・継続的な売上減」、「損失計上」、「営業キャッシュ・フローのマイナス」など、本業での業績不振を理由としている。
次いで「資金繰りの悪化や資金調達難」が9社、「金融機関や取引先などに債務の返済条件の変更やその可能性がある」またはすでに「支払遅延が発生している」企業が9社。こうした企業は、「売上・収益の確保」と「資金繰り」という企業経営の両輪、あるいは片方が機能不全に陥っているともいえる。このほか、「債務超過」に転落している企業、金融機関からの借入時に締結する「財務制限条項」への抵触企業が各3社あった。
同調査結果の詳細は↓
http://www.tsr-net.co.jp/news/analysis/2011/1211541_1903.html