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税務関連情報 (2005/06/20)

子育て・就労・教育をサポートする税制改革を提言

 政府税制調査会は個人所得課税の抜本改革のなかで、扶養控除や特定扶養控除を廃止・縮小し、税額控除を用いて「育児支援」を行う方向性にある。日本総研は15日、「個人所得課税改革の課題」と題したレポートを発表し、税額控除の既導入国である米・英を中心とした事例分析と、扶養控除等の廃止や税額控除導入などの所得課税改革に関する試算を行ったうえで、子育て・就労・教育をサポートする税制改革などを提言した。

 レポートは、政府税調の方向性を評価しつつも、1)税額控除の規模が小さく、また、非還付方式とする場合、「育児支援」という政策目的が十分に達成されない懸念がある、2)特定扶養控除を現行の扶養控除並みに圧縮あるいは廃止するにしても、「高等教育費控除」など代替制度の検討が不可欠、3)仮に配偶者控除を廃止する場合、子育てと就労の両立を税制面からサポートする措置が不可欠、との留意点を挙げた。

 また、税収増のための環境整備への十分な配慮を求めている。仮に、定率減税の全廃に加え、扶養控除・特定扶養控除を廃止し、給与所得控除を一律65万円に圧縮した場合、家計にとっては所得税と住民税を合わせて10兆円台前半規模の税負担となる見込みだ。このような負担増を国民が受け入れるためには、1)持続的経済成長による所得の増加とそれに歩調を合わせた税制改革の段階的実施、2)所得捕捉率の格差解消による水平的公平の確保、3)徹底的な歳出効率化などの環境整備が不可欠と提言した。

 さらに、税額控除は社会保障給付と似た機能を持ち、還元方式とする場合、それはより顕著であると指摘。税と社会保障を、縦割りではなく一体的に議論し、整合的な制度を構築していくことが不可欠だとして、例えば、育児支援に関していえば、児童手当のみならず、母子世帯に対する生活保護などにも目を配り、検討を深めることを求めた。そのほか、社会保険庁など執行機関のあり方に関する議論は、今後本格化する税制改革と併せて行われるべきとの考えを示している。

 同レポートの詳細は↓
 http://www.jri.co.jp/thinktank/research/bsr/tax/2005/jri_050615.pdf