税 務 関 連 情 報

2002年01月21日-002
税制抜本改革に向けて政府税調スタート

 小泉首相が「構造改革の柱」とする税制の抜本改革に向けて、17日、政府税制調査会が首相官邸で総会を開催した。小泉首相主導での異例の1月スタートとなった税制改正議論だが、総会に先立ち小泉首相は「21世紀に対応する、あるべき税制」の構築に向け、税制全般にわたって幅広く検討するよう指示したという。

 今後の主要な論点としては、1)所得税での各種控除見直しによる課税最低限の引下げ、2)法人課税での租税特別措置の見直しや外形標準課税の見直し、3)中長期的な課題としての消費税率の引上げ、4)道路特定財源の見直しなどが挙げられている。特に、過去10年間で減税や優遇措置を積み重ねた結果、「税を負担しない個人、法人が多すぎる」ことから、個人・法人所得の課税ベースの拡大に向けた改正が焦点となりそうだ。

 わが国の現在の課税最低限は、夫婦子2人の標準的な給与所得者で384.2万円だが、アメリカ(299.8万円)、イギリス(137.0万円)、フランス(279.5万円)などの先進諸国と比較してもかなり高い。課税最低限を引き下げるためには、配偶者控除など各種控除の整理・縮小が検討課題となる。同時に、最高税率の引下げや現在4段階の累進税率を平準化して中所得者層の税負担を緩和することも検討される。また、法人事業税への外形標準課税の導入は、全法人の約7割を占める赤字法人にも税負担を求めることになる。

 政府税調は、6月に主要な改革の論点を公表し、地方公聴会を経た上で今秋に抜本改革の方向性を示す方針だ。ただ、今回の税制抜本改革は、小泉首相が議長を務める経済財政諮問会議や自民党税制調査会でも早急に審議が開始されることから、今後、この税制抜本改革の方向性の集約に紆余曲折が予想される。また一方で、抜本改革の主眼が、財政再建のためなのか、景気浮揚のための経済活性化を目指すためのものなのか、はっきりしない面もある。議論の行方は、諮問会議における税制改革の審議結果のとりまとめも6月に予定されていることから、同月が税制抜本改革の方向性を見るひとつのポイントとなりそうだ。

 

 

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