経 営 関 連 情 報

2003年06月06日-002
地域のネットワーク活用企業は業績好調

 厳しい経済環境の中で中小企業が生き残るためには新製品開拓等への取組みが不可欠だが、人材・技術・資金などに乏しいことから自社単独では困難な企業が少なくない。このような中小企業を支援するため、経済産業省では、地域において新事業が次々に展開される産業集積(産業クラスター)の形成を、全国19の地域・技術分野でプロジェクトとして進めている。

 同省が3日に公表した地域のネットワーク形成が中小企業に及ぼす影響等の調査(有効回答606社)結果によると、地域内の同業他社・異業種他社・大学・支援機関などとのネットワークを活用している企業は、対売上高研究開発投資比率が5.1%とそれ以外の企業(2.9%)に比べ高く、売上高の伸び率も2.3%でそれ以外の企業(0.1%)に比べ高いことが分かった。

 連携・活用先を「常に開拓している」と回答した企業は、売上高の伸び率も8.0%とそれ以外の企業(0.0%)よりかなり高くなっている。ネットワークの活用は、研究開発・技術開発といった企業のイノベーションと密接に関連し、企業業績の向上に寄与しているといえる。

 自社にない技術やノウハウを持つ他社・大学・支援機関などを開拓し、新たな技術のシーズ(種)や新たな需要を掘り起こそうとする積極的な姿勢が、企業業績にとって極めて重要だと考えられる。

 また、連携・活用が「よくある」企業では、連携・活用先との時間距離が平均で51分と1時間弱となっており、95%以上の連携・活用先との時間的距離が2時間以内となっている。こうした企業では、連携・活用先とは、「電子メール等のIT」(30.8%)、「電話・FAX」(9.8%)よりも「直接会う」(59.4%)ことで接触するケースが多い。

 中小企業の意思決定や高度な製品開発スピードの速さに対応するため、時間的距離の近い一定の地域内における企業や機関とのフェース・トウ・フェースのコミュニケーションによるネットワークが形成されているようだ。

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