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2010年度の法的整理115社、トップは粉飾の40社

経営関連情報 - 2011年05月27日

 「コンプライアンスは企業の社会的使命」という考えは確実に定着してきているが、過剰な利益追求姿勢の新興企業は多く、親会社が上場企業などの一般的には信用度が高いとされる企業ですら、循環取引などの粉飾決算に手を染め、それが露見して破綻する例は後を絶たない。帝国データバンクは、2010年度の間に、倒産理由にコンプライアンス違反が認められる負債額1億円以上の法的整理となった115社を抽出して、調査分析した。

 その「コンプライアンス違反企業の倒産動向調査」結果によると、2010年度にコンプライアンス違反を倒産理由の一因として法的整理となった企業は115社と、2009年度の94社に比べ22.3%の増加となった。負債総額は、2兆6267億4300万円と、前年度の4316億8000万円に比べ約6倍の大幅増加となり、2006年5月の調査以来、最大となった。負債額トップは武富士の1兆4949億円で、一企業として過去最大の負債額となった。

 違反累計別にみると、1位は40社の「粉飾」で全体の34.8%を占め、5年連続のトップ。売上高や利益を水増しして実態よりも良く見せかけ、取引先や金融機関からの信用を維持しようとするものの、支払い遅延の発生や支払延期要請の際に粉飾決算が露見し、信用を失い破綻に追い込まれている。2位は15社の「業法違反」、3位は14社の「談合」で、うち13件が建設業者。以下、「資金使途不正」(8社)、「脱税」と「雇用」(各7社)など。

 また、2010年度の特色として、法人税法の改正により清算所得課税制度が廃止されたことで、例年なら1件程度の特別清算が9件にもなったことがある。過去の架空資産や実質不良債権などの実在性の乏しい資産は、従来の「財産方式」であれば残余財産とは認められず、課税逃れが可能だったが、改正後の「損益方式」では、架空資産や不良債権でも債務免除益として認識され、課税されてしまうので、2010年度は大幅に増加した。

 同倒産動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p110506.pdf