団塊世代の大量退職を目前に控え、次世代を担う人づくりが企業の大きな課題となっている。大阪府立産業開発研究所が実施した「成長産業における若年労働者の就労意識、能力開発と人材活用に関する調査」結果(有効回答数357社)によると、回答企業の7割強が過去3年間に30歳未満の若年労働者を採用しており、若年層に対する採用意欲は旺盛だった。採用した部門・職種は「生産」(40.2%)や「販売・営業」(35.8%)が多い。
企業が採用時に重視する能力・姿勢・属性(複数回答)は、「仕事への熱意」(76.4%)を始めとして、「責任感」(64.0%)、「誠実性」(57.5%)など、仕事に対する姿勢であり、人材の「伸びしろ」に期待していることがうかがえる。そのほか、「健康状態」(54.9%)、「協調性」(53.4%)、「コミュニケーション能力」(48.1%)、「向上心」(46.0%)などの重視項目が並んだ。
また、回答企業の82.4%と8割以上が育成重点期間を「1年以内」とし、83.8%が「3年以内」に戦力化することを想定しており、回答企業の“即戦力”を求める傾向が顕著だ。ただし、企業の求める即戦力とは、入社時に業界特有の知識や能力を持っていることを意味するのではなく、1年以内の育成期間を経て、3年以内に問題解決能力などを身につけ戦力化できる「適合力」を指している。
企業業績と人事戦略の重視・実践の関係をみると、「経常利益増加グループ」では、優秀な人材確保と育成を94.0%が重視しているのに対し、「経常利益横ばい・減少グループ」では83.7%と重視度合がやや劣る。利益を上げている企業では、人材育成を含めた人事戦略を経営戦略策定時により重視し、その戦略に基づき人材育成を実践している様子がわかる。育成というプロセスが何よりも重要であり、それが経常利益という結果に結びついていることがうかがえる。
同調査結果の要旨は↓
http://www.pref.osaka.jp/aid/chosa/05-102/05-102-gaiyou.pdf