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経営関連情報 (2007/12/14)

地域経済に貢献する地方圏の新規開業

 地方における新規開業の促進は、厳しい地方経済を活性化するための重要な手段となる。国民生活金融公庫が実施した2007年度「新規開業実態調査(特別調査)」では、地方圏の新規開業が地域の経済に果たす役割が相対的に大きいと推測している。同調査は、同公庫が2006年4月から同年9月にかけて融資した企業のうち、融資時点で開業後5年以内の企業を対象に、「地方」における新規開業に着目した特別調査を実施したもの。

 調査結果(有効回答数1426社)によると、現在の事業を選んだ理由(3つまで回答)で大都市圏に比べ地方圏のほうが回答が多いのは、「地域で必要とされている」(26.1%)、「地域にない業種だから」(12.5%)、「もともとあった企業が撤退した」(9.8%)など。これら、「地域」に関連した理由を1つ以上選んだ企業は39.7%と、大都市圏の25.8%と比べかなり多く、地方圏の開業が地域経済に貢献する役割が相対的に大きいと推測している。

 また、事業所の所在地を決める際に、「主な生育地である」や「家庭の事情」など、出身地や家族との関係を重視する傾向にある。地方圏におけるUターン開業者は14.8%と、全体に占める割合は高くないものの、大都市の8.9%に比べると多い。事業所の立地をみると、地方圏では「自宅の敷地内」に事業所を構える職住一致の企業も43.6%と、大都市の31.1%に比べかなり高い割合となっている。

 開業費用をみると、地方圏では「1000万円未満」で開業した割合が、不動産を購入した場合でも40.6%、不動産を購入しなかった企業では74.0%と7割を超えており、大都市圏と比べて少ない費用で開業している。しかし、自己資金の準備については「苦労した」企業が67.2%と、大都市圏(58.0%)より多い。金融機関への借入依存度も大都市圏より高くなる傾向にあるため、資金調達を政策的に支援する意義は大きいとみられている。

 同特別調査結果の詳細は↓
 http://www.kokukin.go.jp/pfcj/pdf/s_kaigyo171211.pdf