ナレッジ・マネジメント(KM)導入による社内コスト削減効果に関心が高まっているが、ビジネスに十分に活用しきれていない面もあるようだ。ナレッジ・マネジメントとは、組織内や社外にあるナレッジ(過去の経験から得られた知識)を経営管理し、新しい価値を創造する力(資産)に変えていく経営管理・手法である。
ガートナージャパンがこのほど発表した企業におけるナレッジ・マネジメントに関する意識調査結果(有効回答数632人)によると、ナレッジ・マネジメントを実現するシステムの利用者が実感している効果(複数回答)としては、「必要な情報やドキュメントが入手しやすい」(71.1%)、「業務の効率化、生産性の向上」(55.4%)、「他部門・支社間などとの情報交換、コラボレーションの活発化」(51.1%)などが上位を占めた。
一方で、「企画力・開発力・技術力の向上」(22.5%)、「営業力の向上」(15.7%)、「顧客満足度の向上」(9.9%)などは対照的に低い結果となった。ナレッジ・マネジメントの実現によって入手しやすくなった情報や業務の効率化を、自社のビジネスに反映させるという点に対する評価はまだまだ低いといえる。
ただし、これらの効果については期待する声が多く、「企画力・開発力・技術力の向上」は51.9%、「営業力の向上」は35.7%、「顧客満足度の向上」は46.4%の人がナレッジ・マネジメントの効果として、これらの点を期待していると回答している。ナレッジ・マネジメントの効果は足踏み状態にあるとはいえ、これらの点に対する解決策がいま、利用者側から求められているといえる。