昨今、企業経営者が関与した不祥事が頻発しているが、経済同友会が上場企業の経営者を対象に実施した「企業の社会的責任(CSR)に関する経営者意識調査」結果(有効回答数521人)によると、企業不祥事の主因(複数回答)については、「経営者」にあるとの認識が約7割(69%)に達した。続いて、「社内体質」(56%)や「社内体制」(44%)が上位に挙げられ、全体的傾向は2002年の3年前の調査と変わらない。
一方、不祥事に直接関与していない場合でも、63%の経営者が「不正行為はないと確信しているが、正直なところ不安」と回答。こうした不安感を受け、何らかの予防策に取り組む経営者が増加。自社で取り組んだこと(複数回答)は、「従業員の周知徹底」(84%)が前回調査から29ポイント増、「コンプライアンスや会計制度等の体制構築・見直し」(62%)が同31ポイント増などで、「特になし」との回答は23%から4%と大幅に減少した。
企業の社会的責任(CSR)については、「CSR」という言葉が一般的でなかった3年前に比べ、企業の社会的責任として経済面(収益確保、配当、納税等)のみならず、「人権」(68%)、「環境保護」(81%)などを挙げる経営者が増えた。また、69%が「CSRは経営の中核課題」とし、「利益の還元」(9%)、「払うべきコスト」(55%)との意識はやや薄れるなど、CSRについての理解が浸透しつつあることがうかがわれた。
社会的責任投資(SRI)については、3年前は「知らない」(14%)、「聞いたことはあるが、内容は詳しく知らない」(38%)の両者を合わせると過半数を超えていたが、今回は17%に減少し、認知度が向上した。「よく知っている」との回答は47%だったが、そのなかで日常の経営において「重視している」が24%、「重視していない」が23%とほぼ半分に分かれた。
同調査の詳細は↓
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2005/pdf/060307.pdf