ゼイタックス

税務関連情報 (2007/02/26)

申告不要の株式配当、申告で得するケースも…

 株式による配当所得は原則総合課税だが、特例として、1)上場株式等の配当金(持株割合が5%未満場合に限る)、2)非上場株式などで1銘柄1回の配当金額が5万円(年1回の場合は10万円)以下の少額配当、3)支払の基準日が2006年5月1日以降の配当で、1回の支払額が「10万円×配当計算期間の月数(最高12ヵ月)÷12」で計算した金額以下のもの、は申告不要とされている。

 現在は1回の支払いが高額な上場株式の配当であっても税率10%で源泉徴収され、非上場株式も少額配当は20%で源泉徴収されて、ともに申告不要となる。多くの個人投資家にとっては面倒な申告が省略されて便利だが、確定申告をしたほうが得な場合もある。申告すると、必要経費として負債利子が差し引け、さらに算出税額から配当所得の10%(特定の場合は5%)を配当控除として差し引くことができる。

 申告して得するケースは、所得税率が10%で収まる課税所得金額330万円以下の場合が目安といわれている。平均年収でいえば約600万円以下の場合だ。これらの所得層が確定申告すれば、すでに源泉徴収されている10%分の税金が戻ってくる。ただし住民税は、課税所得が200万円超700万円以下の場合、税率は10%だが、配当控除が2.8%なので7.2%だけ税金が増える。結果、2.8%だけ税金が得することになる。

 ここで注意したいのは、還付申告者が配偶者控除や扶養控除などの対象となっている場合だ。例えば、妻が配当所得を申告して還付を受けたのはいいが、パート収入に配当収入を加算すると配偶者控除の対象から外れてしまい、夫のほうで税金が増えてしまって、トータルすると結果的に損するケースもある。具体的な計算は税理士など専門家にお任せして、申告したほうが有利かどうかを判断したい。