国税庁は13日、昨年6月までの1年間に、チラシなどの情報から取引に問題があると考えられた酒類販売業者等1373場を対象に一般調査を実施した結果、93.7%にあたる1286場において、「不合理な価格設定」をした取引が認められたことを明らかにした。不合理な価格設定は、「総販売価格を下回る価格で販売するなど合理的な価格設定がなされていない」もの。このうち約1割の139場は「仕入等価格割れ販売」が認められた。
同庁が定めた「指針」(1998年4月)によると、一般的には酒類の販売価格は、仕入価格(製造原価)、販売費及び一般管理費等の費用に利潤を加えたものとなるはずとしている。ところが、小売業者A社では、総販売原価(販売管理費比率12.5%)をビール350ミリリットル缶1ケース406円を下回る価格で販売していた。A社は、競合店に客を取り込まれないように価格を設定し、ビールで利益を得ることは考えていなかった。
また、スーパー・マーケットを営むB社では、年末の約10日間の特売時に、顧客誘引のためのおとり商品として、ビール350ミリリットル缶約120ケースについて、1ケースあたり仕入単価を294円下回る価格で販売していた。こうした合理的でない価格設定がなされていないものは、ほとんどが「小売業者」(1135場)だが、「卸売業者」(133場)や「製造業者」(18場)においても認められた。
そのほか、「特定の取引先に対して不透明なリベート類を支払うなど取引先等の公正な取扱いが行われていない」ものが卸売業者49場など計62場、「不合理な取引を行うなど公正な取引条件の設定がなされていない」ものが11場において認められた。国税庁では、これら「指針」のルールに即していない取引を行っていた者に対しては、「指針」を示してその趣旨を説明し、「指針」のルールに即した取引を行うよう改善指導している。
国税庁の「指針」のルールに即していない事例は↓
http://www.nta.go.jp/category/sake/07/070313/02.pdf