ゼイタックス |
||||||
経営関連情報 (2003/12/01) | ||||||
![]() |
||||||
■ どうなる年金改革の国庫負担割合引上げの財源問題
年金制度の抜本改革は、先月17日に公表された厚生労働省案をめぐって政財界から反対論が相次いでいる。特に保険料の負担割合は企業経営にも大きな影響があるだけに経営者にとって気がかりなところだ。厚労省案の焦点のひとつは基礎年金の国庫負担割合の2分の1への引上げだが、同案ではそれに必要な2兆7千億円の財源を明示せず、谷垣財務相が批判するなど、厚労省は四面楚歌状態にある。 そもそもこの財源については、2000年3月の年金改革法の附則で安定財源の確保を明記しているのだから、すぐに議論を始めれば十分時間があったはずだ。なかば公然と見込まれていた消費税率引上げによる財源が、小泉首相の鶴の一声で先送りされてしまったため、新規財源の議論は宙に浮いたままの状態で、改革の政府案が出されるタイムリミットまで1ヵ月足らずとなった今も税制論議は行われていない。 年金問題が解決しない限り年金改革は先に進まないのだが、増税もままならず、誰も議論の口火を切ろうとはしない。財源を明記しなかった厚労省は、坂口厚労相が所属する公明党が定率減税の廃止と公的年金等控除の見直しによる財源確保を選挙公約に謳っていたことから、それに乗る腹づもりはある。しかし、政府案決定まで1ヵ月足らずの短期間で国民に大きな負担増となる定率減税の廃止を決めることは不可能だ。 結局のところ、財源問題に決着がつかないまま来年度に突入するというこれまでの先送りパターンが繰り返され、年末の政府案も小幅なものにとどまり、気がかりな保険料負担の具体的な引上げ幅も見えてこない公算も強い。年金の財源問題に道筋がつかなければ、給付や保険料負担だけでなく、年金課税などの税制改正も定まらない。なによりも、年金制度にかかる国民の将来への不安の解消が先延ばしになるわけだ。 |
||||||