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経営関連情報 (2003/12/26)
企業から元気になる景気回復~野村総研の経済予測

 デフレ不況下にある日本だが、経済状況を表す各種指標の数値は上向きにある。2004年のわが国は「復活」の第一歩を踏み出せるのか。野村総研エコノミストが発表した短・中期経済予測では「企業から元気になる景気回復、『豊かさ』の常識が変わる」との展望を示している。

 以前から、日本の景気は回復ムードに入ったといわれてきた。GDPや企業の景況感など、経済状況を示す諸指標の数値は、最近明らかに好転している。2003年度の実質GDP成長率は3%近くと予想され、景気は確実に回復に向かっている。

 人件費削減や不良債権の処理、輸出の伸びなどにより、大企業の製造業を中心に企業収益が改善しており、これが景気回復の支えとなっている。しかし、中小企業の景況感は依然厳しく、今後数年間は雇用拡大を期待できそうにない。

 景気回復は非常に緩やかなペースで進んでいる。デフレからの早急な脱却は難しいが、年金や税制の改革など、痛みを伴う政府の構造改革が機能するようになれば、2008年ごろに、その成果が現れてくると思われる。

 企業主導の回復のため、来年中に個人が景気好転を強く実感することはなさそうだ。感じられるとしたら4、5年先。ただし、「収入アップ」や「雇用増」といったことからではなく、「現状の生活レベルのまま便利に暮らせる」という実感になりそうだ。

 日本の景気回復は競争原理を利用して進んでいくため、所得格差はより一層拡大する。従来のように、だれもが恩恵を受けられる“平等な”景気回復とはならないだろう。全員が中産階級の時代ではなくなる。

 また、輸出の伸びが景気回復の一因となっているように、世界各国の貿易・産業構造の変化によって日本の景気は左右される。特に、中国の人民元切上げ問題や米国の景気動向は、日本の今後を予測するうえで重要なファクターとなる。