記録的な豪雨に見舞われた九州地方や長野県では多くの被害が生じたが、国税庁では、大雨などの災害によって被害を受けた場合は、納税の猶予や申告などの期限の延長、確定申告において所得税を軽減することなどができることを案内している。例えば、大雨などの災害により申告・納付などをその期限までにできないときは、その理由がやんだ日から2ヵ月以内の範囲でその期限が延長される。
これには、個別指定による場合と地域指定による場合があり、個別指定の場合は、所轄税務署長に申告・納付などの期限の延長を申請し、その承認を受けることになる。災害による被害が広い地域に及ぶ場合は、地域指定として、国税庁長官が延長する地域と期日を定めて告示するので、その告示の期日までに申告・納付などをすればよいことになる。
また、災害などにより財産に相当の損失を受けたときは、所轄税務署長に申請し、納税の猶予を受けることができる。損失を受けた日に納期限がきていない国税で、損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税は納期限から1年以内まで、所得税の予定納税や法人税・消費税の中間申告分は確定申告書の提出期限までそれぞれ納税が猶予される。一方、すでに納期限がきている国税は、納期限から1年以内まで納税が猶予される。
なお、大雨などの災害によって、住宅や家財などに損害を受けたときは、確定申告で1)所得税法に定める雑損控除、2)災害減免法に定める税金の軽減免除のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税を軽減することができる。これらの所得税の軽減免除は、最終的には翌年の確定申告で精算されるが、予定納税や給与所得者の源泉所得税徴収の段階でも、その減額や徴収猶予を受けることができる。
詳しい内容は、税理士などの専門家や最寄りの税務署へ相談することをお勧めする。