企業誘致をめぐり自治体が火花を散らし始めた。日経産業消費研究所が47都道府県を対象に調査したところ、過去3年間に企業誘致を新設・拡充したのは東京都を除く46道府県。今後さらに拡充・強化すると回答したのは37道府県にのぼった。一方、主要製造業を対象に調査したところ、回答を得た157社の7割、115社が自治体への要望として「税金の軽減・優遇」を求めた。
46道府県の企業誘致策の具体的な内容(複数回答)は、「用地・建物取得への補助金・助成金の新設または上積みなど」(71.7%、33府県)がもっとも多く、次いで「工業団地のリース制度、割賦分譲、定期借地権制度の新設・拡充など」(65.2%、30府県)、「設備購入への補助金・助成金の新設または上積み」(56.5%、26府県)が続く。「知事などによる自治体のトップセールスの展開」は47.8%、22府県で4番目に回答が多かった。
また、今後も誘致策を拡充・強化すると回答した37道府県のその具体策(複数回答)は、もっとも多かったのが「知事などによる自治体のトップセールスの展開」で13道県が挙げた。以下、「用地・建物の取得に対する補助金・助成金の新設または上積みなど」(12県)、「設備購入に対する補助金・助成金の新設または上積みなど」(10県)、「建築確認申請など各種手続きの迅速化や簡略化など」(7県)の順で続く。
一方、企業側は、工場を新設・増設する場合に行政に対し何らかの支援を求めている企業が、回答157社のうちの98%を占める154社にのぼった。自治体の誘致策が用地を選定する際のポイントのひとつになることを裏付けた。行政に求める項目(複数回答)のトップは「固定資産税など税金の軽減・優遇」で全体の73.2%、115社が挙げた。次に多かったのが「行政の各種手続きの迅速化・簡略化など」(52.2%、82社)。