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税務関連情報 (2006/02/01)

耐震偽装マンション被害を「災害」と認定

 社会に衝撃を与えた耐震強度偽装事件では、退去を余儀なくされた住民にとって、心身ともに甚大な被害となった。公的な支援や損失補てんはまだ確定していないが、国税庁は、これらの一連の被害を税法上の「災害」と認定し、所得税法の雑損控除などの適用を認めることを決めた。また、住宅ローン控除についても、「12月末日まで引き続き居住していること」という適用要件を満たさないことになるが、引き続き認めることとした。

 雑損控除は、住宅や家財など生活に通常必要な資産(別荘やぜいたく品は対象外)が被害を受けた場合に一定金額を所得控除できる軽減措置。今回の耐震強度偽装事件では、住めなくなったマンションの時価から保険金などによって補てんされる金額を差し引いた金額などが控除額として考えられる。分譲マンションに限らず、賃貸の場合でも、退去する際の引っ越し費用などが対象となる。

 税法上の軽減措置としては、災害による損失額が住宅や家財の価額の2分の1以上の場合に適用できる災害減免法も考えられるが、こちらは雑損控除で認められる損失額の繰越しができないので、雑損控除のほうが有利となろう。雑損控除では、損失額が大きくて、その年の所得金額から控除しきれない金額がある場合は、翌年以後3年間にわたり繰り越して各年の所得金額から控除できることになっている。

 一方、ローン控除の適用については、耐震偽装マンションの住人は「住宅を購入または新築してから6ヵ月以内に居住の用に供し、その年の12月31日まで引き続き居住していること」との要件が満たせなくなった。しかし、国税庁は、今回の被害を「災害」と認定したことによって、「災害によって居住できなくなった日まで居住」していれば、引き続き住宅ローン控除を認めることとしたわけである。