三菱総合研究所がこのほど発表した「首都圏における都心回帰についての分析」結果によると、東京都都心3区(千代田区・中央区・港区)では、2000年以降、年4%を超える伸び率で人口増が続いており、この傾向は、昨年7月発表の前回分析(「2005年国勢調査速報値の分析」)以降も続いていることが分かった。特別区全体での人口増は年1%程度であり、特別区のなかでも特に都心3区へ人口が集中する「都心回帰」が継続している。
都心3区の人口の伸び率を比較すると、2006年までは、中央区における人口増加が年6%程度と目立って高い伸び率を維持してきたが、2006年以降は伸び率が低下。一方で、港区は、2006年~2008年にかけての伸び率では中央区を上回っており、都心回帰の重心は中央区から港区にシフトしている。都心3区では2004年以降、毎年1万4千人以上人口が増加し続けているが、昨年は、このうち1万人以上が港区での人口増加となっている。
港区での人口増減を年齢階級別にみると、増加が目立つのは、30歳代、40歳代及び5歳未満の層だ。2005年までの傾向に続き、住宅取得期のファミリー層の転入による人口増が都心回帰の要因であることが分かる。東京都が実施した「都民生活に関する世論調査」によると、東京都全体に比べ、都心に住みたい理由は、通勤・通学の利便性、仕事や商売に都合がいいこと、文化・教育面での環境の良さなどが高い評価が得られたという。
三菱総研は、2008年以降は都心部でのマンション供給が減少するなど、都心3区での人口増加は落ち着くものと予測。しかし、都心3区では今後、安全・快適に「都心ライフ」がおくれるような生活環境の質的向上が課題となる。一方で、子育てサービスや幼児教育など、忙しい毎日のなかでゆとりと豊かさを感じられるようなサービスでは、利便性が高い駅近隣、駅中を中心に、新たなビジネスチャンスが期待できるとみている。
同分析結果の詳細は↓
http://www.mri.co.jp/PRESS/2008/pr080630_rmu02.pdf