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経営関連情報 (2007/02/23)

円滑な事業承継実現のためのポイント

 経営者の高齢化が進行するなか、親族内での後継者の確保がますます困難な状況となっており、後継者が決まっている中小企業は全体の約4割にとどまっている。また、中小企業庁からは「事業承継ガイドライン」が公表されるなど、事業承継に対する問題意識も非常に高まっている。そこで、円滑な事業承継を実現するためのポイントを紹介するのは、中小企業金融公庫の経営情報(No.345)である。

 中小企業の多くは同族会社であり、事業承継問題と相続対策は密接かつ不可分の関係にあり、多額の財産の譲渡に人間関係が複雑に絡み合い、調整は簡単ではない。また、近年、子どもや親族による承継の減少が顕著であり、親族内承継が難しい場合は、後継候補者を選定・育成し、親族・従業員に認知してもらう必要がある。このため、必要な対策は余裕を持って検討し、中長期の事業承継計画を策定し、その着実な実施が大切になる。

 事業承継には、後継者以外にも多くの利害関係人が関わるため、コミュニケーションを怠ると円滑な承継が困難になってしまう。息子に跡を継いでもらうためには、自社の事業に興味を持ってもらう必要があることから、小さいころから時間をかけて、経営や商売の魅力を伝え聞かせていった経営者もいる。利害関係者に伝えるべきことは早い段階から明確にし、地道にコミュニケーションを図っていくことが重要となる。

 また、中小企業における事業承継といえば「相続対策」と一般的に考えられているほど、株式や財産をいかに後継者に伝えていくかという問題は非常に重要なテーマだ。昨年5月に施行された新会社法では種類株式の活用の幅が大きく広がり、また、2007年度税制改正では事業承継円滑化を目的とした税制が盛り込まれる予定だ。こうした新たな制度の活用も視野に入れて、早いうちから税理士などの専門家に相談しておくことをお勧めしたい。

 中小公庫の「円滑な事業承継の留意点」の詳細は↓
 http://www.jasme.go.jp/jpn/publish/info/no345.html