会社法において会社の新たな機関として会計参与制度が創設された。日本税理士会連合会と日本公認会計士協会は、会社法が施行された5月1日に先立つ4月25日、公開草案としていた「会計参与の行動指針」を確定し公表した。会計参与制度は、取締役と共同で計算書類を作成し、取締役や執行役とは別に計算書類を保存し株主・会社債権者に開示することで、計算書類の記載の正確さに対する信頼性を高める機能を持つ。
会計参与は税理士(税理士法人)、公認会計士(監査法人)でなければならず、株主総会で選任される。確定版においては、会計参与が、取締役と共同で計算書類を作成する過程において、会社の取締役の執行に関し、不正行為や法令・定款に違反する重大な事実があることを発見した場合は、会社の株主に報告しなければならないとの規定が新設された。
また、行動指針には、会計参与契約書のヒナ型が掲載されているが、確定版では、契約の履行に伴い生じた会社の損害について、会計参与に故意または重大な過失があった場合を除き、一定額をもって会社に対する損害賠償責任の限度とする規定の記載例も新設された。この責任の限定は、定款に定めがない場合には定款変更が必要になることから、定款モデルも新設されている。
一方、会計参与は、計算関係書類および会計参与報告を開示するとともに、閲覧・交付請求に応じるが、請求者が株主・債権者でなければ応じる必要がない。そこで、会社に対して、請求者が株主・債権者であることの確認をし、請求資格者である場合は資格証明書を発行するように依頼する書面(「閲覧・交付請求者資格証明書発行以来」)の記載例も新設されている。
「会計参与の行動指針」の確定版は↓
http://www.nichizeiren.or.jp/taxpayer/pdf/koudoushishin060425.pdf