地方圏における経済の疲弊が指摘されるなか、先の衆院総選挙では各党ともマニフェストで地方分権の推進を掲げていたが、帝国データバンクが8月下旬に実施した「地方分権に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万963社)によると、21世紀に日本の中心的役割を果たすべき社会体制について、「地方分権(地方自治)」と回答した企業割合が61.0%となり、6割以上の企業が地方自治による統治が中心となるべきとした。
一方、「中央集権(これまで通り中央政府)」は14.7%にとどまり、「地方分権」と考えている企業より46.3ポイント下回っている。企業は、21世紀の社会体制として、現在の中央集権体制から脱却し、地方自治が中心となるべきだと認識している様子がうかがえる。また、地方分権の進展が地方の活性化に「つながる」とした企業は59.6%と約6割を占め、「つながると思わない」(12.5%)を大きく上回った。
地方分権の進展に期待すること(複数回答)では、「中央政府のコスト削減」が68.7%と最多、次いで「地方特性に合わせた行政政策」(57.8%)、「中央政府の役割特化」(44.8%)、「東京一極集中の是正」(43.0%)が上位に挙げられた。逆に、地方分権での懸念(複数回答)は、「地方間における格差拡大」が66.5%、次いで「地方間の政策の相違による混乱」(42.8%)、「地方内における格差拡大」(38.2%)が続いた。
地方分権としてもっとも効果が期待できる枠組みについては、「道州制の導入」が41.7%で最多だが、「現行の都道府県が中心」も32.0%と3割を超えており、現行の都道府県体制で地方分権を期待する企業も多い。「道州制の導入」を地域別にみると、「九州」(47.4%)、「近畿」(46.4%)、「北海道」(45.2%)が多く、一方、最低の「北陸」(31.1%)は「九州」と比べ16.3ポイント差と、地域により道州制導入に対する温度差がみられた。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0908.pdf