労働時間は、賃金と並んで労働条件の根幹をなすものだが、長時間労働による過労死や不払残業など労働時間をめぐる問題状況も依然として存在する。東京都産業労働局が都内の従業者規模30人以上の事業所及び従業員を対象に実施した「2008年度労働時間管理等に関する実態調査」では、事業所調査によって、4割近くの事業所が「サービス残業がある」と考えていることが明らかになった。
調査結果(有効回答数992事業所、従業員979人)によると、サービス残業については、「まったくない」が50.9%と半数を占めたものの、「一部の職場にあると思われる」が33.2%、「多くの職場にあると思われる」が4.4%と、サービス残業があると考えている回答が計37.6%あった。持ち帰り残業に関しても、23.3%の事業所が「ある」と考え、従業員調査でも21.2%が、「自宅に持ち帰って仕事をすることがある」と回答している。
従業員調査から、2008年9月における時間外手当が支給されない残業時間を推計すると、「実施した残業時間数」と「手当が支給された残業時間数」のいずれにも数値があった回答を集計した結果、実施した残業時間数の平均は23.6時間で、手当が支給された残業時間の平均は15.6時間だった。手当が支給されなかった残業時間の平均は8.0時間で、まったく手当が支給されなかった140人の残業時間の平均は28.8時間となっている。
回答事業所における1日の所定労働時間は「8時間」が41.3%であり、事業所の規模が大きくなるにつれ所定労働時間数は少なくなる傾向がみられた。また、従業員調査の結果から年次有給休暇の取得率を推計すると29.9%となった。年次有給休暇の未消化の理由(2つまで回答)は、事業所調査・従業員調査のいずれにおいても「病気などのために確保しておく」がもっとも多く、これに「仕事が多い」、「要員・人員が不足」などが続く。
同実態調査結果の概要は↓
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2009/05/DATA/60j5q200.pdf