経済産業省は、会計検査院が10月26日に意見表示した「中小企業者に対する法人税率の特例について」に対して、11月16日の民主党税制改正PTに資料を提出し、「会計検査院は、多額の所得や資産を有する中小企業者が中小企業者への特例を受けていることに対して問題提起を行っている。この指摘は、中小企業政策の基本的考え方に照らすに、極めて疑問である」との考えを示し、検査院の意見に反発した。
検査院は、「多額の所得がある中小企業者が、法人税率の特例の適用を受けている事態が見受けられたことから、財務省及び経済産業省において、地域経済の柱となり雇用の大半を担っている財務状況が脆弱で担税力の弱い中小企業者を支援するという中小企業者に対する法人税率の特例を定めている法人税法の趣旨に照らして有効かつ公平に機能しているかの検証を踏まえて税率の特例の適用範囲について措置を講ずるべき」意見表明した。
経産省は、「中小企業基本法に定める中小企業政策の目的は、多様性ある中小企業の成長発展であり、単なる弱者救済ではない。業績を上げ事業を拡大したものが、中堅企業から大企業に育っていくことが重要。ひるがえって、資本金1億円以下という中小企業の定義は、予見可能性が高い基準として40年以上にわたり安定的に運用されてきた。資本金以外の基準で適用範囲を限定すると、中小企業の成長発展に支障を来す」と反発。
また、検査院の調査は、検査対象税務署51のうち29ヵ所が23区内や政令指定都市内の税務署で、対象に偏りがある。例えば、検査院調査で所得10億円超企業の中小企業全体に占める割合は1.9%であるのに対し、会社標本調査(「国税庁」)では、0.03%と相違がある。経産省は「中小企業者に不測の損失を与えたり、経営意欲を削ぐことのないよう留意しつつ、今後、税務当局と協力して中小特例の在り方について検討を行う」とした。
経産省の意見の詳細は↓
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen10kai7.pdf
会計検査委員の意見の概要は↓
http://www.cao.go.jp/zei-cho/gijiroku/pdf/22zen5kai10.pdf