所得税・個人住民税の社会保険料控除については、自己または自己と生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料控除を支払った場合には、その支払った者に適用される。ところで、今年4月から長寿医療制度が実施されているが、同制度においては、原則としてその保険料が年金から特別徴収されており、その保険料を支払った者は年金の受給者本人であるため、その年金の受給者に社会保険料控除が適用される。
一方、このほど長寿医療制度が見直され、政令の改正によって、今年10月以降の保険料については、市区町村等へ一定の手続きを行うことにより、年金からの特別徴収に代えて、被保険者の世帯主または配偶者が口座振替により保険料を支払うことを選択することができることとされた。この場合には、口座振替によりその保険料を支払った世帯主または配偶者に社会保険料控除が適用される。
こうした取扱いは、国税庁がこのほど明らかにしたものだが、例えば、生計を一にする妻の長寿医療制度の保険料を夫が口座振替により支払った場合は、夫に社会保険料控除が適用されることになる。したがって、年金から特別徴収される場合と、世帯主または配偶者が口座振替によって支払う場合では、社会保険料控除の適用者が変わるため、世帯全体でみたときの所得税・個人住民税の負担額が変化する場合があるので注意したい。
なお、長寿医療制度(後期高齢者医療制度)の見直しにおいては、保険料の軽減対策として、(1)低所得者への配慮として、7割軽減世帯のうち、長寿医療制度の被保険者全員が年金収入80万円以下の世帯について、9割軽減する、(2)所得割の負担者のうち、所得の低い人(具体的には年金収入210万円程度まで)について、所得割を50%程度軽減する、などの措置を2009年度から実施(今年度は経過的な軽減措置)することが決まっている。