経 営 関 連 情 報

2003年03月17日-002
個人消費のカギは高所得者層の消費性向

 農林中金総合研究所の分析レポート「個人消費伸び率鈍化の背景」によると、景気を支えてきた消費に腰折れ懸念が強まっている。所得が比較的低い層の消費が急速に悪化してきており、比較的所得の多い層の消費支出増加が継続するかどうかが、今後の個人消費や国内景気動向のカギを握っているようだ。

 2002年の景気回復を支えたのは予想外に堅調な個人消費だった。賃金の伸び悩みやボーナスの減少にもかかわらず、個人消費は2002年10~12月期まで5期連続で前期比実質増加を続けている。しかし、2002年10~12月期の実質伸び率は0.1%まで低下し、名目伸び率は▲0.4%と5期ぶりのマイナスに転落した。

 年収順に家計を20%ずつ5階層に分けて所得階層別に10~12月期の消費支出をみると、第4階層(約764~988万円)と第5階層(約988万円以上)は依然前年を上回って増加し堅調に推移しているが、第1階層(約460万円以下)と第2階層(約460~609万円)は前年を下回り、その下げ幅をますます拡大して消費が急速に悪化している。

 このように所得層によって差が出たのは、第1・第2階層では第4・第5階層と比較して、所得雇用環境が悪化して収入自体が減少している上、社会保険料や直接税の負担が重くのしかかって可処分所得が減少していることが要因と分析。今後の個人消費や国内景気動向のカギを握るのは、高所得者層の消費支出増加の継続いかんとなるわけだ。

 

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