多くの企業が業績の向上に伴い社内研究開発費を増やす一方で、団塊世代の大量退職による技術・ノウハウの継承が重要課題となっている。文部科学省が今年の2~3月に社内で研究活動を行っている資本金10億円以上の民間企業を対象に実施した「民間企業の研究活動に関する調査」結果(有効回答数857社)によると、53.6%の民間企業が研究開発における技術・ノウハウ等の継承に危機意識を持っていることが分かった。
研究開発における技術等の継承に危機意識を持っている理由(2つまで選択可)は、「研究開発現場における、技術・ノウハウ等の継承に時間がかかり円滑に進まない」との回答企業が61.9%と圧倒的に多く、次いで「意欲ある若年・中堅層の確保が難しい」(33.0%)、「年代/レベルの差が開きすぎる」(27.6%)、「人材が流動化し、継承が難しい」(18.2%)などの理由が続いた。
研究開発における技術・ノウハウ等の問題に対する取組み(2つまで選択可)については、48.3%の企業が「教育の充実により、若手・中堅層に対する継承を実施」を挙げ、以下、「必要な人材を選抜して雇用延長や再雇用を行う」(42.4%)、「研究開発現場における、継承すべき技術・ノウハウ等の文書化」(35.7%)、「新規若年者の採用を増やす」(18.3%)、「中途採用を増やす」(18.0%)などの取組みを挙げた。
なお、2006年度末の研究開発者の増減見込みは、「増加の見込み」とする企業が36.1%と「減少の見込み」(5.7%)を大きく上回っている。その背景には研究開発者の高年齢化がある。2005年度末の研究開発者の年齢別構成比は、一番大きい層が「35~44歳」の29.3%で、「25~34歳」(28.2%)をわずかに上回ったが、3年前の2002年度末は「25~24歳」(32.3%)が「35~44歳」(28.6%)を上回っていた。
同調査結果の概要は↓
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/18/11/06112203.htm