経 営 関 連 情 報 |
2003年07月04日-001
職場でのインターネットの私的利用は仕事にプラス?
仕事中に彼女にEメールを出したり個人的な趣味のサイトを閲覧したりする社員に対して、経営幹部はいい顔はしないだろう。職場におけるインターネットの私的利用に対する企業の問題関心は高まっており、社内では仕事目的に制限される方向にある。しかし、私的利用が社内外のコミュニケーションを活性化させている面もあり、一概にマイナスとはいえない、という指摘は第一生命経済研究所の松田茂樹氏である。
日本労働研究機構の調査によると、企業が私的利用により今後起こり得る問題(複数回答)として挙げるのは、「ウイルス感染」(66.8%)、「企業の持つ情報の流出・漏えい」(59.5%)、「仕事の効率の低下」(35.1%)など主としてセキュリティ面と仕事面である。利用を制限する規則・ルールを定めている企業は40.7%であり、今後定める予定の企業も37.9%ある。
だが一方で、社内での私的利用はそれほど問題にならないという結果も出されている。マルチメディア振興センターの調査では、私的利用が職場の士気や人間関係にマイナスの影響を及ぼすことはないという回答が、企業(インターネット管理者)の70%、個人の65%を占めた。さらに、社員の25%、企業のインターネット管理者の15%は、むしろ職場のコミュニケーションは高まる効果があったと答えている。
また、インターネット超先進国の米国の調査では、職場で私的利用に費やす時間が週3.7時間なのに対し、自宅で仕事のためにインターネットを利用する時間はその分を上回る週5.9時間という結果だった。職場で私的利用をしている人も、それ以上の時間を自宅で仕事目的にインターネットを利用しているというのだ。このような背景には、「仕事は会社でやるもの」というワークスタイル自体が変容してきていることがあるかもしれない。
職場でのインターネットの私的利用は、確かにセキュリティ面の問題を発生させるが、一方で社内外のコミュニケーションを活性化させている面や、自宅で仕事目的でインターネットを利用するほど、私的利用が結局はトータルな仕事量を増大させている面がある。インターネットの私的利用の問題は、「自社の何を大切にするかによって、企業ごとに異なる対応が求められる課題」というのが松田氏の結論である。
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