税 務 関 連 情 報

2003年05月09日-002
非課税とはならない年俸制に含まれる通勤手当

 会社が従業員に支給する通勤手当は通常は非課税である。ところが、最近採用する企業が増えている年俸制の場合、通勤交通費も含めた額で年俸を決めてしまうと、その通勤手当は非課税とはならずに従業員の税負担が増えてしまうことになる。

 所得税では、給与所得者が支給を受ける通勤手当のうち一定額以下の部分を非課税所得としているが、この非課税となる通勤手当とは「通常の給与に加算して受ける通勤手当」をいう。ここで注意しなければならないのは「加算して」という文言である。

 例えば、会社が、「年俸400万円・通勤手当込み」という条件で従業員と年俸制の雇用契約を結んだ場合は、通常の給与に「加算して」受け取る通勤手当はないことになる。税務署は、具体的に支給した通勤手当しか非課税として認めてくれない。

 数年前、交通費込みで契約していた派遣社員の通勤費用が認められず話題となったことがあったが、同じことである。会社側としては、給与に含めようと経費となることは一緒だが、従業員にとっては交通費相当分に係る余分な税負担が強いられる。

 長引くデフレと不況による売上高減少で人件費などの削減を迫られる企業は、ますます従来型の賃金・雇用制度の見直しを進めていく。年俸制度も、これまでの年功序列型から能力・成果重視型への賃金制度移行の一環だが、従業員がいたずらに税負担増とならないこまやかな配慮が求められるようだ。

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