景気が芳しくないなかでお歳暮を手控える会社もみられるが、なかなかお歳暮の慣行は根強いものがあるようだ。お得意先や取引先などへの日頃のお礼の意味を持つお歳暮には、常に交際費課税がつきまとうので要注意だ。お歳暮の費用が「交際費」となるかどうかは、金額の多寡は問われない。たとえ少額であっても、「お歳暮」という名目である限り、交際費課税は免れないと考えるべきだ。
他方、年末に取引先に配られる社名の入ったカレンダーや手帳、1000円程度のクオカードなどの少額なものが交際費の範囲から除かれ、広告宣伝費とされている。このことからすれば、お歳暮でも1000円、2000円といった少額なものは交際費から除かれるべきではないかという考え方もあるが、特定者を対象とした広告宣伝的な要素のないお歳暮費用については、例外なく交際費と考えるべきだろう。
ところで、周知のように、一定の要件を満たす1人5000円以下の接待にかかる飲食費については交際費の範囲から除かれている。このことから、5000円以下のお歳暮であれば、5000円基準が適用されて損金算入とならないかとの疑問もあろう。しかし、5000円基準は「飲食その他これに類する行為のために要する費用」に限定されており、会社がお得意先へ贈るお歳暮はすべて交際費となるので注意したい。
5000円基準の対象は、あくまでも取引先等を接待して飲食するための費用であり、「その他これに類する行為」は、得意先等の運動会などの行事に差し入れる「弁当代」などが対象になり、その際、差入れ後相応の時間内に飲食が想定されるものが前提となる。したがって、単なる飲食物の詰め合わせなどを贈答することは、中元やお歳暮と変わらないことから対象外となるとされている。