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税務関連情報 (2005/09/12)

「サラリーマン増税」なしの財政再建のお手並み拝見

 自民党が圧勝した。自民・公明両党で衆議院の3分の2以上を超える議席を獲得、まさに歴史的大勝利である。小泉内閣の郵政民営化をはじめとする構造改革路線が国民の信を得たことになる。圧倒的な支持を得たことで今後の構造改革に大きな弾みがつくことは間違いない。いままで暗闇にあった政官癒着の利権構造が正され、税金のムダ遣いが徹底的に排除されることを期待したい。

 さて、問題は財政再建である。少子高齢化が進むなかで財政再建を先送りすることが許されないのは衆目の一致するところ。そのために国民一人ひとりが負担増を受け入れる覚悟はあると思われる。“増税なき財政再建”などは絵空ごとであることを今回の選挙結果が証明したのだ。ところが、この点に関しては肝心の自民党の考えがいまひとつわからないのである。

 今回の総選挙のマニフェスト(政権公約)では、自民党は「政府税調の『サラリーマン増税』の考えは採らない」との考えを明らかにしている。これには首を傾げざるを得ない。財政再建や社会保障制度改革のために国民一人ひとりの負担増が避けられないことは自明の理であるはず。納税者の大多数を占める4000万人強のサラリーマンに負担増をお願いせずに、どこから増収を図るというのか。

 いくら選挙を有利に運ぼうとするためとはいえ、不正直な公約とはいえまいか。結果として大勝利となったが、マニフェストは絶対的に守るべきはずのもの。「サラリーマン増税」は国民一人ひとりに負担増をお願いすることの同工異曲である。浅はかな「サラリーマン増税」批判にうろたえた自民党の態度に、財政再建が本当に実現できるのか不安を覚える人も多いと思われる。

 もっとも、あの「サラリーマン増税」は今後の消費税率引上げの布石との見方をする人も少なくない。しかし、現行の個人所得課税のゆがみ、不公平を正すことも必要なことである。「サラリーマン増税」を否定した小泉内閣のお手並み拝見といきたい。ところで、あまりの大勝利に小泉続投論がでているが、そうなると「任期中は引き上げない」とした消費税率アップが不可能になる。つまりは、小泉続投はありえないということであろう。