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税務関連情報 (2007/06/08)

外資優遇政策を見直す動きを強める中国政府

 中国政府は3月、2免3減制度の廃止や内外資企業に適用する企業所得税(法人税)税率統一などを盛り込んだ「中国企業所得税法」を公布し、外資優遇政策見直しの動きを強めている。こうした状況下、日本貿易振興機構(ジェトロ)は、「中国における外資優遇政策に関する調査」を実施した。ここでは、1)2免3減制度廃止、2)輸出品に関する増値税の還付、3)中国産設備購入に係る増値税全額還付を取り上げている。

 2免3減制度は、生産性外国投資企業のうち、会社登記時に経営期間を10年以上に設定している企業について、企業所得税を利益獲得開始年度(直近5年以内の繰越損失控除後初めて税務上の利益が生じた年度)から、2年間免除、その後、3年間は半減する制度。調査結果(有効回答数104社)によると、同制度を「利用している企業」は全体の39.4%だった。利用企業の利益に占める割合は、半数が「10%超」と回答している。

 2免3減制度の対象となる企業所得税に関しては、2008年1月1日から内外企業の税率統一(原則25%)が施行される予定で、多くの企業で税負担が増すことになる。施行後5年間は移行措置が設けられるが、2013年1月以降、原則2免3減制度は撤廃され、企業業績に相当な影響を与えると思われる。ただ、外資一律の優遇税を撤廃する一方で、小規模企業やハイテク企業に対しては20%や15%の優遇税を適用するとしている。

 付加価値税である増値税は、輸出品については免税、その物品の中国国内での仕入段階で課税された増値税については中国国内売上増値税から控除ないし還付の対象となる。輸出品に関する増値税還付制度を利用している企業は37.5%だが、利用している製品と還付率が変更・撤廃された場合の影響度合いは、「事業が成り立たなくなる」や「コストアップで利益が減少する」といった回答が多く寄せられ、影響を懸念する企業が多い。

 中国産設備購入の増値税還付制度は、中国産設備購入に支払った増値税(17%)が全額還付されるもので、対象企業は外資25%以上の外資企業かつ外資奨励業種のみ。同制度の利用企業は23.1%と利用企業数では先の2制度より少ないが、利益に占める割合が50%以上との回答企業数3社は今回調査でもっとも多い。設備購入は金額が大きいことから還付メリットも大きく、廃止となれば中国産設備の購入意欲が衰える可能性もある。

 中国における外資優遇政策に関するアンケート調査については↓
 http://www.jetro.go.jp/biz/world/asia/reports/05001425