ゼイタックス

経営関連情報 (2004/10/01)

世代間で異なる金融資産への投資姿勢

 「貯蓄から投資へ」を旗印に、税制優遇策などによって金融資産への投資環境が整えられつつあるが、金融資産への投資姿勢は世代間で異なるようだ。分析した内閣府のレポートによると、世帯主の年齢が60歳以上の高齢層のうち、4千万円以上の貯蓄を保有する世帯は17.3%と2割近くを占める。また、その平均貯蓄額は2424万円で、若年・中年層(1239万円)のほぼ2倍となっている(家計調査:総務省)。

 こうした貯蓄額の厚みを背景に、高齢層の積極的な金融資産への投資姿勢が目立つ。高齢層のほうが、若年・中年層よりも株式や株式答申などの価格変動(元本割れ)リスクのある商品の保有割合が高い。最近では、外貨預金や外債など外貨建て資産の保有に積極的な姿勢もみられる(同:総務省)。

 最近公表された「家計の金融資産に関する世論調査(2004年)」(金融広報中央委員会)によると、老後の生活について「心配」とする世帯が高齢層より若年・中年層のほうが多い。また、「年金で日常生活費程度もまかなうのが難しい」との回答が、高齢層では4割に満たなかったのに対し、若年・中年層は5割を超えている。こうした老後の生活への見方の違いが、世代間での投資姿勢の違いに反映しているとも考えられる。

 もっとも、先行きについては、同調査によると、1年前より貯蓄が減ったとする世帯は、高齢層、若年・中年層ともに半数近くを占めており、今後、投資姿勢が慎重になってゆく可能性のあるとの見方を示している。個人投資家を株式市場に呼び込むためには、税制の優遇措置の前に、将来への不安感の大元となっている社会保障制度の抜本的見直しや景気浮揚による所得環境の改善など一体的な政策が必要なようだ。