2009年度税制改正において、経済産業相の認定を受けた非上場中小企業株式にかかる課税価格の80%相当の相続税を納税猶予とする制度の創設が予定されている。同制度の適用要件は、今年10月1日から施行される中小企業経営承継円滑化法の省令において規定する事項が引用されることになっているが、その省令案がこのほど中小企業庁から自民党に提出され、明らかになった。
事業承継税制の適用を受けるためには、5年間の事業継続が要件となる。省令案は、(1)代表者の継続、(2) 雇用の8割以上を維持、(3)相続した対象株式の継続保有といった要件を満たすことについて、毎年1回、経済産業相に報告することを求めている。この雇用の8割以上を算定する際の「常時使用する従業員の数」については、厚生年金保険及び健康保険の加入者ベースに算定し、加入資格がないパートなどの非正規社員は含まれない。
また、事業承継税制の適用対象となる会社の範囲は、中小企業基本法の中小企業、非上場会社、資産管理会社に該当しないことが認定要件だが、加えて、事業承継の計画的な取組みが行われたことについて、相続前に経済産業相の確認を受けていることが規定される。主な確認事項は、後継者が確定していることや、現経営者が有する自社株式や事業用資産について、後継者が支障なく取得するための具体的な計画があることなどだ。
ただし、救済措置として、(1)2008年10月1日から2010年3月31日までの間の相続については、事前に大臣確認を受けることが困難なため、後継者が相続前に役員に就任しているなど計画的な取組みが行われていたと確認時に認められる場合には、事前に大臣確認を受けていたものとみなす、(2)被相続人が60歳未満で死亡した場合は、一般的に、計画的な取組みを行う年齢にいまだ達していないと考えられるため、大臣確認を不要とする。