地球温暖化防止対策として環境省が導入を目論む環境税は、経済界が強固に反対している。その理由は、真の地球温暖化防止の解決につながらないだけでなく、わが国におけるエネルギーコストの増大を招き、経済に大きな打撃を与えるというもの。環境省案では、一定の削減効果が期待できる炭素1トンあたり約3600円を課税した場合の一世帯あたりの年間負担額は4950円(月額410円)と試算している。
環境税を負担するのは、事業者がコスト添加できるかどうかは別にして、最終的には消費者となる。環境省が10月中旬に20歳以上の個人を対象に実施した「地球温暖化問題に関する世論調査」結果(有効回答数1213人)によると、環境税の導入について61%が「賛成」という結果になった。昨年の調査に比べ「賛成」は27.4ポイントも増えたことから、地球温暖化防止への消費者の意識の高まりがうかがわれる。
地球温暖化防止のために取り組むべき方法については、「法律により国民生活や事業活動を規制する」(44.8%)や「税金や財政支援などで国民や企業の取組みを促す」(38.2%)などの意見が多い。また、電気やガソリンの値段が上がった場合は「節約する気持ちが強くなる」(87.0%)や、家電製品や車が買い換えの時期にきたときは「多少高くても省エネ型製品や燃費のいい車を選ぶ」(83.2%)としている。
環境省では、来年度税制改正での環境税導入を目指しているが、具体案のとりまとめが遅れており、政府税制調査会でも本格的な集中審議のための時間はとれない可能性が高い。今月12日の基礎問題小委で取り上げられる予定だが、そこでは温暖化対策の重要性や今後の取組み方など大まかな議論となりそうだ。それがそのまま来年度税制改正の答申に盛り込まれるとなると、来年度での導入はほぼあり得ないことになろう。