この連載の始めにも記したが、決算書は、「経営力を強化するため、自社の経営の現状や課題を分析したい」「資金調達を容易にするため、金融機関からの信用を勝ちとりたい」「受注を拡大するため、取引先からの信用を勝ちとりたい」といった経営者の思いを実現するための武器となる。そのためにも、決算書を正しい会計ルールに基づいて作成することが大前提となる。
ここまで、中小企業庁が作成した「中小企業の会計35問35答」に基づき、決算書の作り方や経営への役立て方について分かりやすく解説してきた。もちろん、中小企業会計の「入門の入門」といったほんのさわりの内容だが、これを機に、会計は難しいからと敬遠せずに、会計を経営の武器にするために、さらに勉強していただければ幸いである。
最後に、簡単なクイズでここまでの理解度をチェックしていただく。正しいものには○、誤っているものには×をつける。
[ ] 1)真実の決算書こそが、自社の経営を見極めることができ、金融機関や取引先の信用を勝ちとるために有効な武器となる。
[ ] 2)本業で獲得した利益が、内部留保として自己資本の充実につながり、それが経営活動に還元される。
[ ] 3)金銭債権について、取立不能のおそれがある場合でも、取立不能見込額を貸倒引当金として控除しなくてもよい。
[ ] 4)固定資産の減価償却は、定率法、定額法その他の方法に従い、毎期継続して、規則的な償却を行う。
[ ] 5)引当金の計上要件を満たしていても、法的債務性のないものは計上しなくてもよい。
[ ] 6)商品の注文を受ければ、収益を計上できる。
[ ] 7)キャッシュフロー計算書は、経営判断の基礎として作成することが望ましい。
[ ] 8)資金繰り表には、過去の資金繰りだけを記載すればよい。
[ ] 9)重要な会計方針は、債務者・取引先の便宜の観点から、注記を行うことが望ましい。
[ ] 10)記帳は、四半期に1回行えばよい。
(終わり)
※ 解答は、この下に記載してあります。
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【回答】: 1)○ 2)○ 3)× 4)○ 5)× 6)× 7)○ 8)× 9)○ 10)×