先行した名古屋国税局管内に続き6月から全国での利用が可能になった電子申告・納税(e-Tax)システムだが、利用に必要な開始届出書の提出件数が伸び悩んでいる。先行した名古屋でプログラムソフトに不具合が生じたことなどが影響して様子見をしている納税者が多いといわれるが、「利用時間が限られ受付終了時間が早い」ことや「添付書類を別送しなければならず二度手間」といった理由も聞こえてくる。
現在、e-Taxへの申告や申請・届出などの送信可能時間、電子納税の利用可能時間は、祝祭日を除く平日の午前6時から午後6時に限られている。これでは、インターネットを利用したメリットはなく、平日の昼間は時間が取れないサラリーマンなどには敬遠されても仕方がない面がある。また、申告書に添付しなければならない各種書類を郵送などで別送しなければならないのであれば、最初から郵送してしまっても一緒だ。
このような不満に応えて、電子政府構築を進めている各府省情報化責任者連絡会議はこのほど、電子政府構築計画(2005年末までの3ヵ年計画)を改定したなかで、e-Taxシステムの安定的な稼動に留意しつつ、その運用状況や利用者のニーズを十分に踏まえ、365日24時間受付について検討することを明らかにしている。
添付書類についても、引き続き省略・廃止の検討を行ったうえで、できる限りオンラインによる提出を可能とするように検討すること、また、源泉徴収義務者が交付する源泉徴収票の電子化について引き続き検討することを明記している。より利便性が高まれば、もう少し利用者も増えてくるものと思われるが、なにしろ電子申告は産声をあげたばかり。実際の運用のなかでいろいろ改善しながら一歩一歩進むことになろう。