東京商工リサーチが19日に発表した飲食業の倒産状況によると、2005年1月から11月までの飲食業の倒産は、前年同期比10.4%増の559件となり、倒産が沈静化するなかでの増加ぶりが目立った。これに対し負債額は同50.7%減の625億4400万円となった。これは、負債1億円未満が同12.7%増の479件と全体の8割を占めるなど、小規模倒産が多かったため。平均負債額は同55.7%減の1億1100万円にとどまった。
倒産件数を従業員数別にみると、「5人未満」が前年同期比5.6%増の448件と全体の80.1%を占め、「5人以上10人未満」が同20.9%増の52件となった。また、年商別でも、「1億円未満」が同10.1%増の479件(構成比85.6%)と9割近くを占めた。原因別では、「販売不振」が同4.5%増の369件(同66.0%)でもっとも多く、このほか「事業上の失敗」が74件、「運転資金の欠乏」が29件などだった。
飲食業の倒産をさらに分類すると、食堂やレストランなどの「一般飲食店」は前年同期比1.2%減の403件だったのに対し、主にショーや接待サービスなどの遊興飲食及びアルコール飲料を提供する「遊興飲食店」は、バー・キャバレー・ナイトクラブが同123.6%増の85件、酒場・ビヤホールが同12.5%増の63件となり、このほか料亭などを含めた「遊興飲食店」全体では同59.1%増の156件となって、増加が目立った。
景気が緩やかに回復するなかでの飲食業の倒産増加について、東京商工リサーチは、食堂・レストランなどでは安価な宅配弁当や相次ぐコンビニの出店による昼食利用客の減少、さらに常連客の高齢化による利用回数の減少が影響したと指摘。また、料亭・居酒屋・バーなどでは、会社関係の宴会や接待利用の減少、クーポン券付広告雑誌などの続出が同業者間の値引きやサービス競争に拍車をかけたと分析している。
このように客数が低迷し客単価が低下するなかで、特に小規模企業においては、景気回復の恩恵の享受が遅れ、当分厳しい環境が続くとみられている。