国勢調査は、人口や世帯の基本的な姿を明らかにする国のもっとも基本的な統計調査だが、最近は国民の個人情報に係る意識の変化や居住形態・生活様式の多様化などを背景に、世帯の協力が得られないケースや調査員が世帯を訪問しても接触できないケースが増大している。そこで、総務省が設置した「国勢調査に関する有識者懇談会」は、国勢調査方法などの対応策を7回にわたり検討し、このほど報告をとりまとめた。
報告では、国勢調査が困難化している背景・要因について、1)プライバシー意識等の高まり、2)共働きや単身世帯など不在がちな世帯の増加、若者の生活の夜型化等の生活様式の多様化、3)地域コミュニティの弱体化、調査員確保の困難化、4)オートロックマンションの増加など居住形態の多様化、5)調査に対する理解や調査方法の周知が充分浸透していないこと、などを挙げている。
こうした背景・要因を踏まえ、改善の方向として、まず調査票の配布・回収方法の見直しを提案している。具体的には、国民のプライバシー意識等に配慮し、なるべく調査員が世帯と面会しなくてもいいように、郵送回収を原則とする。また、世帯の希望に応じ、インターネット申告や役所への持参も可能とする。回収方法の多様化に応じ、回収方法を一元的に把握・管理する仕組みを構築する。
調査員の確保については、調査方法の見直しや業務の効率化などにより、調査員の総数を縮小し重点配置するとともに研修の充実などの対策を実施する。行政情報やITの積極的活用、民間活力の導入により業務を効率化し、調査実施体制を整備する。オートロックマンション対策では、マンション管理会社への協力依頼や連携などの対策を強化し、同マンションが多い地域への経験豊富な調査員の配置など重点的な対策を実施する。
今後、総務省は、同懇談会の報告に沿って、2007年度からインターネット申告などを導入した試験調査による実地の検証や、地方公共団体をはじめ関係機関との協議を通じて改善方策の具体的な検討を進める考えだ。
同懇談会の報告の詳細は↓
http://www.stat.go.jp/info/kenkyu/kokusei/pdf/report.pdf