2009年度税制改正で創設された 「特定の土地等の長期譲渡所得の1000万円特別控除」、「土地等を先行取得した場合の譲渡所得の課税の特例」の2つの譲渡所得の特例には「取得」の範囲に制限がある。具体的には、土地等の「取得」の範囲から、(1)配偶者その他の特別の関係がある者からの取得、(2)相続、遺贈、贈与及び交換による取得、(3)代物弁済としての取得及び所有権移転外リース取引による取得、が除かれる。
そのなかで「特別の関係にある者」について、政令は、(1)個人の配偶者及び直系親族、(2)個人の(1)に掲げる者を除く親族でその個人と生計を一にしている者、(3)その個人と婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者及びその者の親族でその者と生計を一にしている者、など5つに分けて例示しており、これらの者からの土地等の取得は対象外となることを明らかにしている。
そこで、土地等を取得した者と(1)と(2)の関係にある者が親族等の関係にある者となるのだが、まず、(1)の場合は配偶者や直系親族だから、配偶者や両親・祖父母などからの取得が対象外となる。次に(2)については、それ以外の親族でもその個人と「生計を一にしている者」と限定しているわけだから、兄弟姉妹からの取得でも“生計を一にしない”場合であれば、譲渡所得の特例が適用されることになる。
なお、「特別の関係にある者」についてのそれ以外の規定は、(4)(1)から(3)に掲げる者及びその個人の使用人以外の者でその個人から受け取る金銭その他財産によって生計を維持している者及びその者の親族でその者と生計を一にしている者、(5)その個人、その個人の(1)及び(2)に掲げる親族やその個人の使用人などを株主等とする同族会社において特殊の関係その他これに準ずる会社その他の法人からの取得、とされている。