滞納に伴う差押さえ財産の処分のためのインターネットを活用した公売は、2004年に東京都が全国に先駆けて初めて実施した後、国税庁も2007年に貴金属や絵画などの動産を対象に実施・参入した。東京都・国税庁とも、ポータルサイト最大手のヤフー社の官公庁オークションサイトを利用したことで、従来の閉鎖的な公売との大きな差別化が図れたことから、それぞれ一定の成果を上げている。
国税庁がこのほどまとめた今年3月までの1年間(2008年度)におけるネット公売実施状況によると、同年度は4回(08年6月、10月、11月、09年2月)のネット公売を実施し、公売物件の7割近くが落札され、その落札総額は1億9517万円と約2億円にのぼったことが分かった。第3回目の11月は不動産のみを対象に、第4回目の今年2月も不動産を含めて実施しており、不動産を対象としたネット公売もすっかり定着した感がある。
2008年度4回の公売物件数は2075物件(742区分)で、その見積価額は8億4075万円。公売の参加を希望した者は延べ1万637人を数え、各回5~7日間程度の入札期間中に実際に入札した者は延べ2521人におよび、68.7%(区分67.4%)にあたる1425物件(500区分)が落札された。この結果、落札総額は1億9517万円と、落札された物件の総見積価額(1億5859万円)より23.1%も上昇している。
一方、公売物件を不動産と動産に分けてみると、落札率は不動産の28.5%(386物件のうち110物件)に対して動産は77.9%(1689物件のうち1315物件)となっており、動産は5物件を公売にかけて4物件が落札されたことになる。国税当局では、今後もインターネット公売を積極的に実施するとしており、09年度も4回程度予定されているが、今後は落札率が30%を下回っている不動産物件の処理促進がカギとなりそうだ。