2003年03月05日-002
より積極的な活用が図られる新書面添付制度
国税庁はこのほど、新書面添付制度の事務運営指針を改正し、意見聴取の積極的な活用を図ることを明らかにした。昨年4月から実施されている新書面添付制度は、税理士が申告書に計算事項等を記載した書面を添付した場合には税務調査の通知前に添付書類の記載事項について意見を述べる機会を与えるというもの。
しかし、制度が有効活用されていないとの声が税理士サイドから挙がっていた。それは、改正前の運営指針が「質問検査権の行使と解される具体的な非違事項の指摘や書面に記載のない質問は行わない」とか、「一般的な意見の聴取にとどまる限り、過少申告加算税は賦課しない」と定めていたことによる。
これでは調査官は分かっていても無駄な質問はしないことになり、意見聴取は税理士の意見を聞くだけで疑問点解明にはほど遠い形式だけの場となろう。新しい指針では、「例えば顕著な増減事項・増減理由や会計処理方法に変更があった事項・変更の理由などについて個別・具体的に質疑を行うなど、意見聴取の機会の積極的な活用に努めること」とされた。
また、意見聴取後の修正申告書の提出についても、修正申告書が意見聴取の際の個別・具体的な非違事項の指摘に基づくもので、「更正の予知」があったと認められる場合は、加算税を賦課することに留意する、とされた。今回の改正で、意見聴取の内容が一般的な意見の聴取だけでなく「具体的な非違事項の指摘」もあり得ることが明確になったわけであるから、意見聴取がより実質的に踏み込めることになる。
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