税 務 関 連 情 報

2003年07月11日-002
ITベンチャー創出に投資側への税制支援を要望

 わが国の経済活力の再生のためには、新規事業の創出による経済の活性化が不可欠であり、特にIT分野がけん引力となるものとして期待されている。総務省政策統括官の懇談会である「ITベンチャー研究会」はこのほど、ITベンチャー創出のための総合的な支援策の検討結果を中間報告書として公表。税制面では、エンジェル(個人)やベンチャーキャピタルなどの投資側をターゲットとした税制支援措置を提案した。

 報告書では、創業後間もないITベンチャーに対するリスクマネーの供給不足を解決するためには税制支援措置が必要だが、これらの企業は損益面で赤字になる場合が大多数であり、法人税など所得に対する特例は効果が期待できない。そこで、エンジェルなどの投資側をターゲットとして、その投資インセンティブの向上や投資リスクの軽減を図る税制支援措置を講じるように要望している。

 まず、個人によるベンチャー投資を促進するためのエンジェル税制について、投資利益に対する課税の軽減や投資損失の有効活用によって、個人の投資行為自体により直接的にインセンティブを与える措置を提案する。投資利益に対する課税の軽減は、1)総合課税となっている株式等の受取配当金、投資事業組合分配益について、分離課税とする、2)現行26%の未公開株に対する株式譲渡益課税を、上場株式並みに軽減する。

 投資損失の有効活用では、1)株式譲渡損と他所得との通算を認める、2)投資事業組合分配損と他所得との通算を認める、3)投資事業組合の業務執行組合員に対して支払う組合管理費と他所得との通算を認める。なお、個人では投資先の評価損の判断が難しいため、投資先の損失計上に関しての明確な判断基準の整備とともに、制度の利用促進の観点から、早めの損失計上を容認する仕組みの検討を求めている。

 また、ベンチャーキャピタルに対する税制支援措置としては、1)内部留保の充実のため、欠損金の繰越期間を通常の5年からさらに延長する、2)実質的に倒産状況にある投資先については、投資損失引当金(投資の早期無税償却)を幅広く認める、3)投資時点で、その投資額の一定割合の投資損失引当金を認める、4)一定要件を満たした特定ベンチャーキャピタルが行う増資については受贈益としないなどの措置を提案している。

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