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定着しつつある「第二会社方式」による再生支援

経営関連情報 - 2008年09月29日

 中小企業再生支援協議会は、各都道府県に1ヵ所づつ設置され、企業再生に関する知識と経験を持つ税理士等の専門家が常駐し、経営不振に陥った中小企業の経営再建を支援している。経済産業省が26日に発表した同協議会の活動状況によると、2003年2月の発足以来、2008年6月末までに1万4942社からの相談に応じ、1828社の再生計画の策定支援を完了した結果、11万4976名の雇用が確保された。

 2008年度第1四半期(4~6月)の相談企業数は768社と、前年同期に比べ約1割増となった。業種別にみると、「製造業」(30.3%)、「卸売・小売業」(21.1%)、「建設業」(16.7%)の順で割合が高く、この3業種が上位を占める傾向は変わらないが、昨年度1年間と比べると、特に「製造業」と「運輸業」(7.4%)の割合が約2割増となっており、昨今の原材料費・燃料費の高騰の影響を強く受けたことが背景にあると考えられる。

 一方、同第1四半期に再生計画の策定を完了した案件は55件と、前年同期に比べ約半数となった。売上高別にみると、「5億円以下」の企業が全体の約3分の2を占めたが、前年同期が4割程度、昨年度1年間が5割程度だったことから比べると、比較的売上高の小さい企業の占める割合が増加しつつある。また、従業員数別では、「21~100名」が約5割を占めるが、「11~20名」が同約6割増の27.3%となった。

 完了案件の相談持込者では、「地方銀行」が27.3%で最多となっているが、次いで「信金・信組」が23.6%、「第二地銀」が14.5%を占めた。昨年度1年間と比べると、「地方銀行」が約2割減となっている一方、「第二地銀」が約1割増、「信金・信組」が約2割増となっている。特に、「信金・信組」の割合が増加傾向にあることは、上記の比較的小規模な企業の割合が増加していることが背景の一つとなっていると考えられる。

 金融支援の手法では、金融機関から債権放棄を受ける案件が全体の約3分の1を占める。特に、再生計画の策定にあたり、金融機関と事前に合意の上、事業譲渡または会社分割を用いて新会社に事業を承継し、旧会社について特別清算方式を用いて実質的に債権放棄を受ける「第二会社方式」が、債権放棄案件の3分の2を占めており、再生支援協議会の主要な再生手法として定着しつつあるものといえる。

 中小企業再生支援協議会の活動状況分析の詳細は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20080926002/20080926002.pdf