厚生労働省が公表した監督指導による賃金不払残業の是正結果によると、今年3月までの1年間(2007年度)にサービス残業で割増賃金を支払った企業が、前年度に比べ2.9%増の1728社となり、過去最多となったことが明らかになった。これは、全国の労働基準監督署が割増賃金の支払いについて労働基準法違反として是正を指導した事案のうち、割増賃金の支払額が1企業あたり100万円以上となったものを集計したもの。
それによると、2007年度1年間における是正企業数は1728社、残業代が未払いだった労働者数は前年度に比べ1.7%減の17万9543人だったものの、支払われた割増賃金の合計額は同45億円多い272億4261万円と過去最多となった。企業平均では1577万円、労働者平均では15万円。1企業あたり1000万円以上の割増賃金が支払われたのは全体の15.9%の275社で、その支払総額は全体の78.0%を占める212億4016万円だった。
業種別の状況をみると、企業数では「製造業」が437社(構成比25.3%)でもっとも多く、次いで「商業」が432社(同25.0%)、「接客娯楽業」が134社(同7.8%)で続く。対象労働者数及び支払われた割増賃金額では、「商業」が5万3850人、119億730万円でもっとも多い。1企業での最高支払額は、30億2279万円(商業)、次いで18億5602万円(〃)、16億4949万円(〃)と、上位3社はすべて商業だった。
なお、同集計を開始した2001年4月から2008年3月までの7年間における状況は、是正企業数が8568社、対象労働者数が102万9021人、支払われた割増賃金の合計額が1351億1743万円。企業平均では1577万円、労働者平均では13万円。そのうち、1企業あたり1000万円以上の割増賃金が支払われた企業数は全体の19.0%の1627社で、支払われた割増賃金の合計額は全体の82.2%を占める1110億6861万円だった。