桜の花が咲き乱れるこの時期、3月期決算の企業は法人税申告に向けた準備に忙しく、ゆっくりと“お花見”とはいかないようだ。法人税申告で常に問題となることのひとつが役員に対する報酬の処理である。周知のように、法人税法上、役員に対する不相当に高額な報酬や、賞与の全額は損金に算入することはできない。また、役員であっても使用人としての職務を兼ねている場合は異なった取扱いとなる。
つまり、取締役営業部長や取締役工場長などといった「使用人兼務役員」に対する使用人分賞与が損金算入できることも周知の事実だ。ところが、あまり知られていないのは「監査役」に対する取扱いだ。特に中小企業の場合は、監査役といっても名目上の役職で、社長の親や奥さんなどを選任しているケースが多く、なかには一般の使用人を監査役にする「使用人監査役」といったケースも少なくない。
しかし、税務上、法人が正規の手続きを経て監査役に選任した者については、仮に実質的には使用人に過ぎないとしても、監査役でないとすることはできない。監査役については、その性質に顧み使用人兼務役員としても認められないことになっているので、その賞与の損金算入は認められない。ほとんど会社に顔を見せない社長の奥さんが「役員」とは思えないだろうが、出勤の有無に関係なく監査役は「役員」に該当するので注意が必要だ。