三菱総研が実施した「食品の製品回収告知に関する調査」では、製品回収に関する告知の現状は、消費者の望むものと大きなギャップがあることが分かった。調査結果(有効回答数1065人)によると、企業が掲載料を支払って新聞の広告欄に出す、謝罪や製品回収のお知らせ(新聞社告)を「見たことがある」人は84.5%と、新聞社告に関する認知度は高い。しかし、新聞社告を「自分から探して読んでいる」人は3.0%に過ぎなかった。
さらに、新聞社告を「毎日見ている」人は11.4%、「2~3日に1回見ている」人は18.2%である一方、「1週間に1回見ている」人が33.2%、「ほとんど見ない」人が37.1%と計7割を超えている。昨年末の同社の調査では、昨年は新聞社告が平均で2日に1件は掲載されている状況だった。この結果と照らし合わせると、多くの人が新聞社告を見逃している可能性があることがうかがえる。
製品回収の告知について望む手段(複数回答)については、「テレビのニュース」が67.2%、「テレビCM」が62.3%と、テレビが圧倒的に多い。また、製品回収の告知に記載してほしい内容(複数回答)としては、「回収している製品の写真と対象品の見分け方」が90.5%、次いで「回収している製品を食べた場合の健康被害の有無」が78.4%だった。「謝罪のメッセージ」を望む回答は25.2%に過ぎなかった。
現状では、食品の回収告知においてテレビの活用は一部に限られているため、テレビの活用をより具体的に検討する必要がある。また、現在の食品告知の内容では、回収製品の写真の掲載はまれだが、逆に謝罪のメッセージはほぼ全件についてみられる。このように、消費者が望んでいる告知手段・告知内容と告知広告との間にはギャップがある。消費者視点の欠如している現状を踏まえ、大幅な改善が望まれるようだ。
同調査結果の概要は↓
http://www.mri.co.jp/PRESS/2008/pr080619_abc02.pdf