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景況は震災前水準へ到達、下期は回復力鈍化

経営関連情報 - 2011年10月12日

 中小企業家同友会はこのほど、7~9月期の「同友会景況調査報告(DOR)」(有効回答数956社。有効回答率39.8%))をまとめた。東日本大震災の発生から6ヵ月時点での影響を尋ねたが、全体として前回と比べると震災による影響は薄れ震災前の状況に戻りつつある。「影響がある」企業は57.5%から36.6%に減り、今回から設置した「一時あった影響が消えた」は21.5%となった。

 また、震災発生直後(1ヵ月以内)と比べた売上高が「減った」企業は40.3%から26.3%へと14ポイント減少、売上高が「増えた」企業は15.7%から28.5%へと増加するなど復興需要の発生もうかがえる。自粛ムードが解消され、消費や物が動き出した実感がもたれている。ただし、原発事故による経済活動の阻害、事業再開の目途が立たない多くの企業の存在も見逃せず、さらに円高の進行、世界景気の減速のなかで今後の回復見込みは鈍い。

 業況判断DI(「好転」―「悪化」割合)は4~6月期の▲21から12ポイント改善して▲9。業種別では、建設業が▲17→1と18ポイント改善して水面を超えたことが注目される。2005年10~12月期以来のプラス値。地域別では北海道・東北が▲18→▲5で6地域ではもっともプラス側に近い位置を占め、被災地を中心とした復興需要の発生を反映した。業況水準DI(「良い」-「悪い」割合)は▲30→▲15と15ポイント改善した。

 売上高DI(「増加」-「減少」割合)は▲15→▲6と9ポイント改善。業種別では、建設業が▲14→0と4業種中で唯一水面に達した。サービス業は▲21→▲14と7ポイント回復したが、他の業種と比べてなお深い水面下にある。地域別では北海道・東北(▲7→1)と北陸・中部(▲8→2)がプラス側に出た。売上面でも復興需要の影響が見て取れるが、これら地域では復興需要の収縮で次期に再びマイナス側に潜ることが予想される。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.doyu.jp/research/dor/2011/newsflash97.pdf