盛り場で気づかされるが、居酒屋やスナックなどの開廃業は結構目立つ。開業しやすい反面、味やサービスなどでお客の支持を失うと簡単に廃業に追い込まれてしまう。全体の倒産件数が減少しているなかで、飲食業倒産は年度ベースで2年連続前年を上回った。東京商工リサーチは、1994年から2004年3月までの年度10年分の倒産統計データから、増加が目立つ飲食業の倒産動向を探った。
その結果、飲食業の倒産件数は10年間で総計4406件発生し、倒産に占める構成比は2.6%となった。2003年度は2年連続前年度比増加となる14.5%増の560件に達し、初めて500件を上回った。全倒産に占める構成比(3.62%)も初めて3%を上回った。
過去10年間の累計をみると、資本金別では「1千万円未満」が72.4%(全産業51.7%)、負債額別では「1億円未満」が76.9%(同56.6%)、年商別では「1億円未満」が79.1%(同52.5%)、従業員数では「10人未満」が85.4%(同77.4%)を占め、いずれも全産業の数値と比べて小規模企業に偏った数値が表れた。
低迷するテーマパークだが、フードテーマパークは相変わらず人気があるように、国内外食率はやや鈍化しているものの、食に対する関心は総じて高い。しかし、飲食関連業界はBSEや鳥インフルエンザなどの突発事象、風評に大きく影響を受けやすく、繁盛していた店が半年も経たないうちに閑古鳥が鳴くということも珍しくない。
味や価格、立地により、その売上は何倍もの差がつく業界である。また、日本全国に営業展開する有名企業もあるとはいえ、絶対数では個人企業を含む零細企業がほとんど。開業しやすい反面、倒産件数以上に、はるかに廃業の多い業界でもある。東京商工リサーチでは「基本的に飽和気味に競争過多が常態化しているなか、栄枯盛衰は激しく、さらにその傾向は強まっている」とみている。