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税務関連情報 (2007/06/20)

税務訴訟での国側の敗訴割合は高水準の17.9%

 納税者が国税当局の処分に不満がある場合は、税務署等に対する異議申立てや国税不服審判所に対する審査請求という行政上の救済制度と、さらには訴訟を起こして裁判所に処分の是正を求める司法上の制度がある。国税庁・国税不服審判所が15日に公表した不服の申立て及び訴訟の概要によると、今年3月までの1年間(2006年度)にける税務訴訟での国側の敗訴割合は過去2番目に高水準の17.9%だったことがわかった。

 異議申立ての発生件数は、源泉所得税事案がほぼ倍増したものの、申告所得税や法人税などが1割以上減少したため、全体では前年度から4.4%減の4301件だった。処理件数は、「取下げ」870件、「却下」369件、「棄却」2377件、「一部取消」342件、「全部取消」69件の合計4027件だった。納税者の主張が一部でも認められたのは411件となり、処理件数全体に占める割合(救済割合)は前年度を3.4ポイント下回る10.2%だった。

 税務署の処分を不服とする国税不服審判所への審査請求の発生件数は、徴収関係以外の課税関係事案がすべて減少したことから、前年度から15.5%減少の2504件だった。処理件数は、「取下げ」373件、「却下」329件、「棄却」1882件、「一部取消」270件、「全部取消」91件の合計2945件だった。納税者の主張が何らかの形で認められた救済割合は12.3%で、前年度より2.5ポイント減少している。

 また、訴訟となったのは、前年度を1.8%上回る401件だった。終結した447件は、「取下げ」53件、「却下」16件、「棄却」298件、「国の一部敗訴」29件、「同全部敗訴」51件。国側の敗訴割合は17.9%と、前年度に比べ8.6ポイントも増加し、ここ10年間ではもっとも高く、過去2番目の高水準となった。これは、ここ数年のストックオプションの加算税賦課附加関係事件の敗訴判決が多く含まれていることによるもの。

 これらの結果、2006年度中に異議申立て・審査請求・訴訟を通して納税者の主張が一部でも認められたのは、処理・訴訟の終結件数の合計7419件のうち852件で、その割合は11.5%と、前年度に比べ2.3ポイント減少した。