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税務関連情報 (2004/06/14)

2003年度査察での脱税額は336億円

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものは強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。近年はバブル崩壊後の景気低迷の影響から脱税額は小粒化傾向が続いているが、国税庁がこのほど発表した今年3月までの1年間の2003年度査察白書によると、査察で摘発した脱税総額は前年度を20億円下回る336億円だったことが明らかになった。

 2003年度1年間に全国の国税局が査察に着手した件数は201件(前年度195件)、継続事案を含む202件(同196件)を処理し、うち72.8%(同74.0%)にあたる147件(同145件)を検察庁に告発した。つまり、査察の対象になると、約7割は実刑判決を含む刑事罰が科されるおそれがあるということになる。告発分1件あたりの脱税額は前年度より2100万円少なくなったものの2億800万円にのぼる。

 告発事件のうち、脱税額が3億円以上のものは前年度より5件少ない21件だったが、5億円以上は2件増えて15件と大型事案が増加している。もっとも、脱税総額336億円は、ピークの1988年度(714億円)約47億円まで減少している。

 告発事件の多かった業種(5件以上)は、「機械器具小売業」(10件)、「ソフトウェア業」(7件)、「建設業」(〃)、「貸金業」(〃)、「キャバレー・飲食店」(6件)など。脱税の手口は、架空原価の計上やつまみ申告などが多いが、複数の国税局にまたがる脱税や海外取引に関連した脱税などによる手口の複雑・巧妙化が目立つ。脱税で得た現金や割引債などの隠し場所は、居宅の庭の地中のなか、書斎本棚に並べられた書籍のケース内、親族名義で借りた貸金庫などが報告されている。