現在、わが国の経済は円高局面にあるなかで原油等資源価格の高騰が続くなど、企業収益の圧迫等から雇用面に影響が及ぶことが懸念される。厚生労働省が従業員数300人未満の中小企業を対象に4月に実施した「原油等資源価格の高騰や円高等が企業経営に与える影響についてのヒアリング調査」結果(有効回答数4424社)によると、現在、業況が「多少悪い」(34.7%)、「悪い」(14.6%)とする企業は49.3%となった。
また、現在、原油等資源価格高騰や円高等の影響が「収益をやや圧迫している」とする企業が48.0%、「収益を大きく圧迫している」が26.1%と、合計74.1%にのぼった。業種別では、運輸業の88.0%が収益への影響があるとしている。収益の影響があるとした企業のうち88.8%が、その理由を「製品原価や輸送費用の上昇(コストアップ)」としており、特に運輸業においては92.0%とその割合が高い。
資源価格の高騰や円高等への対応(複数回答)としては、「経費削減(人件費以外)」が59.4%、「商品・サービスへの価格転嫁」が31.2%で続き、「賃金調整または雇用調整」は14.4%にとどまった。「商品・サービスへの価格転嫁」は、卸売・小売業で41.2%と他業種を大きく上回る一方で、運輸業では21.3%と低く、他の業種に比べ価格転嫁が困難となっており、経営圧迫の大きな要因となっている。
「賃金調整または雇用調整」を行うとした企業(全体に占める割合10.6%)のうち、その方法をみると、「賃金調整(ボーナスの切下げ等)」が49.6%、「残業規制」が37.3%、「中途採用の削減・停止」が24.2%だが、「希望退職者の募集」(3.6%)」や「解雇」(3.6%)などの厳しい雇用調整を実施した企業は少ない。また、今後については、64.8%の企業が「賃金調整は考えていない」、75.7%が「雇用調整は考えていない」と回答している。
同ヒアリング調査結果の詳細は↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2008/04/dl/h0430-1a.pdf