税 務 関 連 情 報

2002年07月05日-001
13年査察の脱税総額309億円、景気の低迷で続く脱税の小粒化

 国税庁が7月3日に公表した今年3月までの1年間の平成13年査察白書によると、バブル崩壊後の景気低迷の影響から脱税額の小粒化が続いていることが明らかになった。平成13年度1年間に全国の国税局が査察調査に着手した件数は202件、処理したのは212件で、うち71.2%にあたる151件を検察庁に告発した。

 処理した212件の脱税総額は309億円で、20年ぶりに300億円を下回った前年度よりは38億円増加しているが、ピークの昭和63年度(714億円)の約43%まで減少している。1件当たりの脱税額は、前年より1,400万円増えたものの、1億4,600万円で、ここ数年の小粒化傾向が続いている。この額は、過去最高だった平成4年(2億9,500万円)の約50%と半分まで減少している。

 脱税総額309億円のうち、告発分は272億円で、1件当たり1億8,000万円だった。告発事件のうち、脱税額が3億円以上のものは前年度の22件から26件、5億円以上は同5件から8件へと、やや大口事案が増加した。起訴された中で脱税規模が最も大きかったのは、法人では東京地検に告発された芸能プロダクション「ライジングプロダクション」の犯則税額約11億円、個人では山形地裁に告発された建設業者の同約4億円だった。

 告発事件の多かった業種をみると、「パチンコ」が13件で最も多く、以下、「建設業」12件、「飲食料品小売」、「性風俗業(特殊浴場を除く)」が各6件、「キャバレー・飲食店」、「不動産業」、「医療業」が各5件。脱税の手口としては、グループ法人間の決算期の違いを利用して利益を移し替えたり、海外取引に関連して海外法人に架空の請求書を発行させたケース、決算後に会計用コンピュータを改ざんしたケースなどが目立ったという。高度情報化や国際化・広域化の影響で脱税の手口も年々複雑・巧妙化していることがうかがえる。

 

 

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