農地等を相続した相続人が農業を継続する場合には、農地等の価格のうち農業投資価格を超える部分に対応する相続税について、一定の要件のもとに、納税猶予期限まで納税が猶予されるとともに、納税猶予期限まで納税が猶予された相続税は原則として免除される。農業投資価格とは、農地等が恒久的に農業に使われるとした場合に通常成立すると認められる取引価格として、国税当局が決定した価格をいう。
また、納税猶予期限は、(1)その農業相続人が死亡した場合には、その死亡の日、(2)その農業相続人が、その農地等について贈与税の納税猶予が認められる生前一括贈与をした場合には、原則としてその贈与があった日、(3)その相続税の申告期限後20年間農業を継続した場合には、その20年目の日(農地等に都市営農農地等が含まれている場合を除く)のうち、いずれか早い日となる。
納税猶予の適用を受けることができる人は、(1)被相続人は、死亡の日まで農業経営を行っていた人または農地等の生前一括贈与をした人、(2)農業相続人は、被相続人から相続・遺贈により取得した農地等について、相続税の申告期限までに農業経営を開始し、その後引き続き農業経営を行うと認められた人や生前一括贈与を受けた人、という要件に該当することについて、農業委員会が証明した被相続人の相続人に限られる。
なお、納税猶予期限が来る前に、相続税の納税猶予の適用を受けた農地等を他人に譲渡・転用した場合やその他の一定の事由が生じた場合には、その時点で納税猶予に係る期限が確定する。期限が確定することによって、納税猶予を受けていた相続税の全部または一部を納付しなければならないが、さらに、この場合、年6.6%(当分の間の措置として軽減特例がある)の利子税も合わせて納付することになる。