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経営関連情報 (2005/04/29)

給与や労働時間の動きをみる「毎月勤労統計調査」

 当ニュースでも毎月1回必ず掲載する厚生労働省の「毎月勤労統計調査」、通称「毎勤統計」(マイキントウケイ)を解説するのは農林中金総研の『気になる指標』である。同調査は、常時5人以上の常用労働者を雇用する約190万事業所から抽出した約3万3000事業所について調査を行っており、雇用の情勢や給与水準、労働時間などの労働市場の変化を捉えることのできる代表的な指標として広く利用されている。

 公表される現金給与総額とは、労働の対価として支払われた賃金の総額であり、所得税・社会保険料・組合費などを差し引く前の金額だ。ただし退職金は含まれない。現金給与総額は、定期給与(きまって支給する給与)と特別給与(特別に支払われた給与)との合計額。定期給与は、基本給や家族手当などの所定内給与と、超過勤務手当や休日出勤手当などの所定外給与との合計額である。

 給与の動向をみる場合には、所定内給与や所定外給与などについて、前年比増減や産業間比較などを行う。ただし、産業ごとに労働者構成(平均年齢など)の相違があるため注意が必要である。例えば、情報通信業などの成長産業では、若年層の割合が高くなることから、見かけ上の平均給与額が低くなるということがみられる。

 景気動向との関係でみると、所定外労働時間や所定外給与は、景気判断の材料として活用される。一般に企業は、景気回復局面において、「所定外労働時間の増加」→「臨時工・パートの増加」→「常用雇用者の増加」というパターンで労働需要量の増加に対応する。逆に景気後退局面では、「所定外労働時間の減少」→「臨時工・パートの減少」→「常用雇用者の減少」と対応する。いずれの場合でも、まずは所定外労働時間で調整する。

 内閣府の「景気基準日付」によると、前回の景気の谷は2002年1月だが、所定外給与の前年比の動きをみるとほぼ一致している。ちなみに、内閣府の「景気動向指数」には、一致系列に毎勤統計の「所定外労働時間指数(製造業)」が、また遅行系列には同「常用雇用指数(製造業)」が採用されている。このように、毎勤統計は、単に労働市場の動向把握だけでなく、広く景気判断の材料としても活用されている。