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消費税の事業者免税点制度や簡易課税制度を見直し

税務関連情報 - 2012年01月13日

 政府は6日、消費税率を2014年4月に8%、2015年10月に10%と2段階で引き上げる社会保障・税一体改革の素案を正式決定したが、これに伴い、消費税制度の信頼性を確保するための一層の課税の適正化を進める方針だ。具体的には、(1)かねてより租税回避行為に悪用されているとの指摘がある資本金1000万円未満の新設法人に係る事業者免税点制度、(2)簡易課税制度におけるみなし仕入れ率の見直しだ。

 事業者免税点制度では、資本金1000万円未満の新設法人については設立から2年間免税事業者となる。ところが、会計検査院から、2年間免税となっている新設法人のなかには、設立当初から相当の売上高がある法人や、1000万円未満の資本金で法人を設立し、第2期の期中に資本金を1000万円に増資することで2年間免税となっている法人、設立後2年間免税の適用を受け、設立3期目以降に解散等している法人がある、などの指摘があった。

 こうしたことから、素案では、新設法人を利用した租税回避行為を防止する観点と、中小事業者の事務負担への配慮という制度本来の趣旨とのバランスを考慮して、5億円超の課税売上高を有する事業者が直接または間接に支配する法人を設立した場合については、その設立した法人の設立当初2年間については、課税事業者とする見直しを行う。この改正は、2014年4月1日以後に設立される法人について適用される。

 一方、簡易課税制度のみなし仕入率については、1月6日に正式決定された社会保障・税一体改革の素案では、「今般、同制度に関する実態調査を行ったところ、業種によっては、みなし仕入率の水準が実際の仕入率を大幅に上回っている状況にあることが確認された。今後、更なる実態調査を行い、その結果も踏まえた上で、みなし仕入率の水準について必要な見直しを行うものとする」と記載された。

 この実態調査は、2008年度分の申告事績を基にしたもので、簡易課税適用者の場合、みなし仕入税額により申告しているので、申告事績からは実際の仕入税額を把握できないため、決算書等を基に課税仕入額を試算している。その結果、実際の課税仕入率が、みなし仕入率と大幅にかけ離れていたのは、第4種(みなし仕入率60%)のうち金融保険業の33.8%と、第5種(同50%)のうち不動産業の32%やサービス業の38.9%などだった。

 今後の実態調査結果にもよるが、現行の90%~50%の5区分のみなし仕入率に加え、新たに40%の区分を設けることが想定される。