ゼイタックス

税務関連情報 (2004/10/06)

役員社宅はフリンジベネフィット課税などに注意

 バブル崩壊後、企業は効率的な土地利用を迫られ、社宅や従業員宿舎を縮小するケースが目立っている。国土交通省が1日に公表した法人土地基本調査(昨年1月1日時点)によると、社宅などの福利厚生用地は5年間で2割近くも減少していることが分かった。しかし、こうした状況にあっても、役員社宅は健在のようだ。だが、役員社宅は常にフリンジベネフィット課税と隣り合わせにあることを忘れてはいけない。

 所得税法上、企業が役員に貸与している住宅が社会通念からみて豪華な場合の賃貸料は、固定資産税課税標準額ではなく、時価によって評価することとされる。また、賃貸料が、土地家屋の固定資産税課税標準額を基に計算した「通常の賃貸料」より低い場合は、その差額が役員に対する報酬とされる。

 豪華かどうかの判定は、原則、床面積が240平方メートルを超える社宅のうち、内外装の状況など各種の要素を総合的に判断することとされている。240平方メートル以下でも、茶室や庭園、プール付きといった個人的な趣味・嗜好を反映したものは、時価によって評価されるおそれがある。

 所得税法が定める役員社宅の賃貸料は、世間相場と比べれば相当低い額となる一方で、会社にとっても、社宅の建物金額が減価償却を通じて経費となるほか、借入金の利息や土地建物の固定資産税なども経費となるなど、メリットは大きい。

 ただし、会社の社宅では住宅ローン控除を受けられないことや、名目上は社宅としながら、実質的には社長個人の所有とみなされる場合は、社宅の建築費用などが会社から社長への貸付とされ、その貸付額の利息相当額も役員報酬課税の対象となるおそれもある。同族会社の社長が、自分の所有する土地に社宅を建てて住むケースは珍しくないが、フリンジベネフィット課税をはじめ注意点が多いことにも留意したい。