国税の電子申告・納税システム(e-Tax)の利用がなかなか進まない。政府のIT戦略本部は国や地方公共団体に対する申請・届出等手続きのオンライン利用率を、2010年度までに50%以上とする目標を設定しているが、2004年度の国税申告手続き(所得税、法人税、消費税)は0.26%というさみしい数字だ。e-Tax利用件数の2004年2月運用開始以降の累計は、今年1月4日現在で17万6千件にとどまっている。
このような状況下、東京税理士会は、税務代理を行うことができる唯一の専門資格士業者団体として、電子申告の普及推進に協力していく立場から、実際に電子申告を行う税理士会員の意見を集約し、「電子申告10の提言」をとりまとめ、このほど発表した。主な提言は、1)電子申告税額控除の導入、2)添付書類は代理人税理士の保存とし、別途提出は不要とすべき、3)代理人税理士の電子署名のみで申告可能とするなどだ。
電子申告税額控除については、1950年の青色申告制度導入時には推計課税の原則禁止や青色申告控除などの一定のインセンティブを与えて効果を上げたことなどから、韓国が納税者及び代理人税務士に対し電子申告税額控除を設けている例を参考に導入すべきだと提言している。ちなみに、韓国では、所得税75%、法人税97%、付加価値税84%が電子申告で行われており(2005年4月現在)、非常に普及が進んでいるという。
また、添付書類の別途郵送等が必要なことが、電子申告普及の大きな阻害要因と考えられることから、税理士が電子申告を代理する場合、必要な書類は事前にチェックして申告書を調理するので、その保存と税務調査時の提示は代理人に委ね、添付書類の別途提出は不要とすることを要望。時間と費用のかかる納税者の電子署名についても、納税者と代理人双方の電子署名を求める国は主要国にはないとしている。