厚生労働省が7日に発表した労働経済動向調査(2005年5月)では、来年の新規学卒者の採用予定を増やす事業所割合が、すべての学歴で前年を上回ったことがわかった。この背景には、景気低迷期に人材採用を抑制してきた事業所が、2007年にはじまる団塊世代の大量定年退職に備えて採用を増やす動きがあるとみられている。同調査は、従業員30人規模の民間事業所を対象に5月に実施したもの。
調査結果(有効回答数2852事業所)によると、2006年の新規学卒者の採用予定者数を増やす事業所割合は、「大卒理科系」で前年同期に比べ1ポイント増の18%、「大卒文科系」で同1ポイント増の15%、「高卒」で同4ポイント増の16%となった。「高専・短大卒」(12%、前年同期比3ポイント増)、「専修学校卒」(8%、同2ポイント増)も前年に比べ増えており、すべての学歴で増加している。
新規学卒者を増やす理由(複数回答)としては、高卒、大卒文科系、高専・短大卒で「年齢等人員構成の適正化」、大卒理科系で「技術革新への対応・研究開発体制の充実」、専修学校卒で「経営状態の好転・既存事業の拡大」の割合がもっとも高い。特に高卒については、47%の企業が「人員構成の適正化」を挙げ、「前年は新規学卒者の確保が十分でなかった」(14%)との理由が前年より6ポイント増えている。
なお、労働者の過不足状況をみると、正社員など常用労働者の過不足判断DI(「不足」-「過剰」企業割合)は13で、前期から横ばいながら七4半期連続でプラスとなっており、企業の採用意欲の高まりがうかがえる。産業別にみると、「情報通信業」(過不足判断DI33)、「運輸業」(同34)、「金融・保険業」(同26)、「飲食店、宿泊業」(同24)などで前期同様に不足超過幅が大きく、前期よりも強まっている。
同調査の詳細は↓
http://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/keizai/0505/kdindex.html