1998年に成立した電子帳簿保存法では、税法で民間に7年間の保存が義務付けられている帳簿種類の電子保存が認められている。ただし、それは自己が一貫してコンピュータを使って作成する場合であって、契約書や領収書など取引の相手方から紙で受け取る書類や手書きの帳簿などについては認められていない。
その結果、企業ではいまだに紙による保存のために多大な費用を余儀なくされている。 そこで、かねてより規制改革要望において税務書類の電子保存範囲の拡大を求めてきた日本経団連は1日、その具体的な提案を行うべく昨年5月から検討を行ってきた結果を報告書としてとりまとめ公表した。改めて要望した主な内容が次のとおり。
1)紙で受け取る契約書などの書類や手書きの帳簿などについても、できる限り早く電子保存を認めるべきこと
2)その際、真実性・可視性などの確保が必要なことから、紙と同程度の表現力の確保、改ざんの防止、閲覧性・検索性の確保などのために一定の条件を設けることが重要だが、その具体的水準については、企業の保存コストの削減等につながるべきこと
3)電子化後の保存・管理のあり方については、現行法が定める真実性・可視性の要件を基本的に踏襲するのが妥当
また、電子保存範囲の拡大のための方策を実施した場合のコストについては、7年間でコストは純減し、初期コストがかかる初年度を除けば、単年度ベースで60数%~70%のコスト削減効果があると試算している。