日本政策金融公庫総研が、国民生活金融公庫が2007年11月に融資した企業を対象に昨年7月時点で実施した「小企業と大学の連携に関する実態調査」結果(有効回答数2357社)によると、小企業における大学との連携実績は、大学の活用では全体で3.2%に過ぎず、また、大学への協力についても、大学の活用より割合はやや高いものの4.4%にとどまっており、大学に協力している小企業もそれほど多くないことが分かった。
大学の活用の内訳は、「開発企画」が2.3%、「評価委託」が0.7%、「経営相談」が0.9%。大学への協力の内訳は、「講師引受け」が1.6%、「研究協力」が2.0%、「インターン」が1.8%だった。また、大学の活用について従業者規模別にみると、「20人以上」の7.6%に対し、「1~4人」では2.7%と、規模が小さい企業ほど実績が少ない。大学への協力も状況は同じであり、経営資源の乏しい小企業では、大学との連携があまり進んでいない。
大学への協力を行ったことがある小企業が協力した理由(3つまで回答)は、「講師引受け」、「研究協力」、「インターン」のすべての項目で「社会貢献になると思ったから」を挙げる企業がそれぞれ64.3%、73.5%、57.6%と半数を超えている。「講師引受け」と「研究協力」では「人脈づくりになると思ったから」がともに50%、「インターン」では「従業員採用につながると思ったから」が42.4%で、それに続いている。
大学との連携を行った企業は、商品・サービスの開発や売上の増加といった直接的な効果にとどまらず、情報収集、自社のPR、従業員の教育など間接的な効果も認めており、連携に対する満足度も高い。現在は実施していなくても、今後の大学との連携に興味を持っている小企業も少なくない。また、連携の推進にあたっては、大学からの情報発信だけでなく、企業側の積極的な行動も求められる。
同実態調査結果の詳細は↓
http://www.jfc.go.jp/common/pdf/sme_findings3.pdf