税 務 関 連 情 報 |
2001年12月21日-002
黒字申告割合が10年ぶりに上昇
長引く不況を反映して7年連続過去最低記録を更新していた企業の黒字申告割合が10年ぶりに上昇に転じたことが、国税庁が20日に公表した「平成12年分法人企業の実態調査」結果で分かった。同年分の法人253万6,878社のうち、黒字法人は80万2,434社で、全体の31.6%を占め、前年の30.1%を1.5ポイント上回った。黒字申告割合が前年を上回ったのは平成2年以来10年ぶりだが、それでも前年11年分の30.1%に次ぐ過去2番目に低い数字。6割弱が赤字法人である状況に変わりはない。
交際費の支出額については、4兆3,908億円で、前年より10億円(▲0.0%)減少し、4年連続の減少となった。減少幅は小さいものの、過去最高の下げ幅だった11年分の▲13.3%からほぼ横ばいで推移しており、各企業の交際費支出抑制が続いていることがうかがえる。営業支出1,000円当たりの交際費は2円81銭で前年を7銭下回り、過去最低だった昭和36年分(2円32銭)に次ぐ2番目に低い数字だ。これを業種別にみると、建設業6円42銭、出版印刷業5円17銭、不動産業4円65銭が高い一方、機械工業1円47銭、卸売業1円66銭、金融保険業1円85銭が低い業種。
交際費の支出額は4年連続の減少となったが、興味深いのは、このうち、税法上の限度額を超えたため損金算入されなかった金額が2兆6,789億円で、交際費支出額に占める割合(損金不算入割合)が前年を3.6ポイント上回る61.0%となったことだ。これは、交際費が全額課税となる資本金5,000万円超の企業の交際費が増えていると推測できる。ちなみに、損金不算入額全体の68.8%に当たる1兆8,430億円を資本金5,000万円超の企業で占めている。
大企業の交際費が増えた背景には、景気が底を打ったといわれた平成11年3月以降やや好調に推移した各企業の所得の順調な伸びがある。黒字法人について、所得金額に対する伸び率を業種別にみると、昨年は6業種しかなかったプラスの伸び率が16業種に広がり、マイナスの伸び率は建設業(▲25.8%)と料理飲食旅館業(▲29.8%)の2業種に過ぎなかった。このように、12年分は大企業を中心に比較的順調に推移したといえるが、13年分は同時多発テロや狂牛病を始め信金・信組など地域金融機関の相次ぐ破綻の影響等でより厳しい数字となる公算が大きい。
【ホームへ戻る】