経 営 関 連 情 報 |
2003年07月11日-005
内閣府、不良債権処理で失業者数5~7万人増加と試算
不良債権処理は、金融機関自身の体力強化ともあいまって、貸出先企業の資源の最適配分を促すことになるため、わが国経済再生の最重要課題となっている。しかし一方で、倒産・雇用への大きな影響が懸念される。内閣府は9日、2002年度の主要銀行の不良債権処理による影響は、当初試算よりも少ない、離職者数約10~15万人、失業者数5~7万人程度の増加と試算したリポートを公表した。
昨年12月に公表したリポートでは、主要行が2002年度に破綻懸念先以下の債権10.1兆円をオフバランス化するケースにおいて、当初1年間で離職者数が42万人、最終的に失業者数が14万人発生すると試算されていた。オフバランス化とは、金融機関が抱える不良債権処理に関して、破綻懸念先以下の債権については、これまでの貸倒引当金を積むことによる間接償却ではなく、債権放棄などにより貸借対照表上の不良債権を直接償却するもの。
2002年度の主要行のオフバランス化額は、昨年12月の想定を上回る11.7兆円だったが、当初の試算に基づけば、倒産や失業が大幅に増加することが見込まれるが、実際の倒産企業負債額は減少し、非自発的失業者数も昨年度末対比で微減となっている。そこで、今回のリポートでは、2002年度の倒産企業や私的整理企業等の実績データなどを用い、不良債権処理の影響を改めて検証している。
その結果、離職者数や失業者数は当初試算よりも大幅に減少したが、これは、企業リストラや非効率企業の淘汰の進展がある程度みられた一方、倒産によらない企業再生の枠組みが充実するなかで、不良債権処理の形態は清算型よりも再建型が多くなっていることなどによるものとみられている。今後は要管理先企業の再建などが課題となるが、その動向には十分注視する必要があるとしている。
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