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税務関連情報 (2007/12/28)

非上場株式等に係る相続税軽減を80%納税猶予に

 2008年度税制改正では中小企業の事業承継税制が抜本拡充される。事業承継の際の障害の一つである相続税負担の問題を抜本的に解決するため、非上場株式等に係る相続税の軽減措置について、現行の10%軽減から80%納税猶予に大幅拡充するとともに、対象を中小企業全般に拡大する。同制度は、2009年度改正で創設し、事業承継円滑化法(仮称)の施行日(2008年10月予定)以降の相続に遡って適用する。

 創設される「取引相場のない株式等に係る相続税の納税猶予制度」は、後継者が相続・遺贈によって取得した自社株式の80%に対応する相続税の納税を猶予する制度。要件は、被相続人、後継者である相続人ともに、会社の代表者であった(ある)こと、被相続人と同族関係者で発行済株式総数の50%超の株式を保有し、かつ同族内で筆頭株主であった(ある)場合に適用対象となる。

 相続人には5年間の事業継続が求められ、(1)代表者であること、(2)雇用の8割以上を維持、(3)相続した対象株式の継続保有などの要件が満たされなくなった場合は、猶予税額の全額を納付しなければならない。5年経過後でも、株式を第三者に譲渡した場合は、その時点で譲渡株式総数に応じた猶予税額を納付する必要がある。後継者が死亡時まで保有し続けた場合など一定の場合に、猶予税額の納付が免除される。

 また、現行は、発行済株式総額20億円未満の会社が対象だが、改正後は、中小企業基本法上の中小企業すべてが対象となる。製造業であれば、資本金3億円以下または従業員数300人以下、サービス業や小売業であれば、資本金5000万円以下または従業員数100人以下(小売業は50人以下)などの中小企業が対象となる。軽減対象となる株式の限度額は撤廃されるが、発行済株式総数の3分の2以下という限度が設けられる。

 中小企業庁は、この事業承継税制の抜本拡充が実現すれば、中小企業の事業の継続・発展に際しての障害を取り除くことが可能となり、単に事業承継の円滑化を実現するのみならず、事業要件の設定によって、真の意味での地域の雇用確保、さらには経済活力の維持に向けた特効薬となる、と期待している。