野村総研が、小学校3年生以下の子どもを持つ企業で働く親を対象に実施した「企業における育児支援制度に関する調査」結果(有効回答数:男506人、女494人)によると、小さい子どもを持つ30~40歳代の働く女性は「子育てを優先して仕事をしたい」と考える人の割合が多い一方で、仕事を継続したいという意欲が極めて高く、また、男女とも企業の育児支援制度に対する期待と不満がいずれも高いことがわかった。
次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、育成される環境整備を進める目的で2003年7月に成立した「次世代育成支援対策推進法」については、「知らない」との回答が77%を占めた。自身が勤務する会社で次世代法の施行に伴って新たな育児支援策が導入されたかについては、「気がつかなかった」との回答が40%となった。法制度や施策の“当事者”でありながら政府や企業の取組みに無関心という傾向が浮かび上がっている。
一方で、自身が勤務する企業が実施している育児制度については、「満足」と感じている人は9%と1割にも満たず、「不満」(38%)を大きく下回った。満足していない理由は、「効果はあると思うが、実際に利用するのは難しいから」との回答が67%でもっとも多い。企業の子育て支援に対するニーズに関しては、「子どもの看護休暇(有給)」を求める声が、共働き女性で91%、同男性で79%などと高くなっている。
仕事と育児のバランスについては、男性は「子育てと仕事を両立」(55%)がもっとも高く、女性については、20歳代は男性と同様に「両立」(55%)がもっとも多いが、30歳代、40歳代になると「子育てを優先して仕事をしたい」との思いのほうが強く出てきている。また、仕事の継続に関しては87%の女性が「今後も仕事を続ける」と回答。その理由は、「生活していけない」(66%)がもっとも多くなっている。
この調査結果から、野村総研は、まず、小さい子どもを持つ企業で働く人が政府や企業の育児支援制度の動向に関心が低いことを指摘し、積極的な関与(意見を出すなど)を求めている。また、企業側の取組みについても、社員の育児支援に対するニーズは高いのに満足度が低いことから、今後の目標を“制度の整備”から“制度の活用度合いの向上”、言い換えると「対象者である従業員満足度向上」に切り替えることが急務としている。
同調査の詳細は↓
http://www.nri.co.jp/publicity/nr/pdf/nr20060224.pdf