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税務関連情報 (2007/11/09)

公益法人の申告漏れ所得は67%増の372億円

 国税庁が発表した2006事務年度における公益法人等の課税事績によると、公益法人等に対する実地調査は、今年6月までの1年間に調査必要度が高い1352件(前年度比2.7%減)に対して行われ、うち948件(同5.6%減)から前年度に比べ67.1%増の総額371億8000万円の申告漏れ所得が把握され、本税額63億4300万円(同229.3%増)が追徴された。調査1件あたりの申告漏れ所得は2750万円(同71.8%増)となる。

 仮装、隠ぺいによる不正計算があったものは70件で、不正発見割合は5.2%、不正脱漏所得金額は19億1400万円、1件あたりの不正脱漏所得は2735万円だった。調査状況を組織区分別にみると、不正発見割合は「財団・社団法人」(5.9%)、「宗教法人」(5.6%)が高く、また、調査1件あたりの申告漏れ所得は「財団・社団法人」(5451万円)、不正申告1件あたりの不正脱漏所得でも「財団・社団法人」(4009万円)が多い。

 調査事例をみると、収益事業を行っている公益法人に対して実地調査を実施したところ、収益事業会計において保有する含み益の期待できる資産と、公益事業会計において保有する含み損があると見込まれる資産とを帳簿上で入れ替え、含み損が見込まれる資産を譲渡した際の損失を収益事業会計に計上して所得を圧縮している事実が判明した事案がある。申告漏れ所得7000万円に対し2000万円が追徴されている。

 なお、2006事務年度における公益法人等の法人税の処理件数は、前年度に比べ2.9%増の3万2432件だった。内訳は、「宗教法人」が1万2835件(前年度比1.1%増)、「財団・社団法人」が1万1115件(同0.8%増)、「社会福祉法人」が1137件(同10.0%増)、「学校法人」が1951件(同3.7%増)など。また、給与所得の源泉徴収義務者は、「宗教法人」5万504件など、前年度比0.9%増の15万8557件だった。