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税務関連情報 (2007/07/27)

自社株贈与の特例での修正申告は暦年課税で計算

 2007年度税制改正において創設された自社株(特定同族株式等)贈与の相続時精算課税制度の特例は、60歳以上の親からの贈与についても適用されることから、中小企業の事業承継の一助に期待される。しかし、4年後に確認する一定要件を満たさない場合、特例が取り消されて修正申告する必要があり、その際の贈与税は、暦年課税により計算することとなるので、特例選択にあたっては慎重な計画が求められるようだ。

 自社株贈与の特例では、特例選択年の翌年3月15日から4年経過時点(確認日)で、贈与を受けた子ども(特定受贈者)が「その会社の代表者かつ株式等50%超保有、50%超の議決権を有すること」のすべての要件を満たすことについて、経済産業局長が発行する確認書を提出する必要がある。確認書は、確認日の翌月から2ヵ月以内に所轄税務署長に提出することになっている。

 その提出期限までに確認書の提出がなかった場合は、修正申告書を提出し、同時に修正申告に基づく税額を納付しなければならない。国税庁が24日に公表した改正通達によると、「その修正申告書に係る贈与税額は、その特定受贈者が選択年中にその特定贈与者から贈与により取得した住宅取得等資金について精算課税の特例の適用を受けている場合を除き、暦年課税により計算すること」を留意的に明らかにしている。

 自社株贈与の特例では、選択年中に親から贈与された自社株と住宅取得等資金がある場合は両方の特例適用を認めているので、自社株贈与の特例がだめになっても、住宅取得等資金に係る特例は認めているわけだ。それにしても、修正申告に係る贈与税は、本来非課税枠が3000万円だったものが、非課税枠年間110万円の暦年課税となってしまい、当初の思惑から大きく外れる。特例選択は、将来を見通した計画的なスキームが必要となる。