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税務関連情報 (2007/02/07)

納税者が選択できる譲渡所得の課税年分

 所得税は、その年の1月1日から12月31日までを課税期間とするいわゆる暦年課税を建て前としているので、所得がいつ発生したかということは重要な問題となる。特に年をまたぐ取引であれば、その所得がどちらの年分に帰属するのかで、その年の所得に大きな影響を受ける。仮に譲渡損失がある年の所得にできれば、損益通算することができることになり、納税額を減らすことができる。

 例えば、納税者Aが、2006年12月に土地の売買契約を締結し、手付金も受領したが、残額は翌年の2007年の1月になってからもらい、同時に土地を買主に引き渡したというケースでは、どちらの所得にすべきか判断に迷うところだ。この場合、納税者Aの2006年分の所得に譲渡損失があれば、この譲渡所得が2006年分となるのか、それとも2007年分となるのかで税負担が大きく違ってくる。

 現行の所得税法上の取扱いでは、資産の譲渡による収入金額の計上時期については原則的に譲渡資産を「引き渡した日」としている。つまり、上記のケースでは、2007年1月に土地を引き渡しているので、「今年の所得」ということになる。ただし、例外的に納税者が譲渡に関する契約の効力発生日をもって収入金額を計上している場合には、これも認めることとされている。

 つまり、上記の例での譲渡所得は、原則では2007年分の所得となるが、売買契約の効力の発生の日が属する2006年分の所得として申告することも認められるのである。結論として、譲渡所得の課税年分は、納税者の意思一つで、今年の所得(資産の引渡しの日)にも去年の所得(売買契約の効力の発生日)にもできることになる。