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税務関連情報 (2004/06/21)

抜本的な事業承継税制の確立を要望~日商

 日本商工会議所は17日、中小企業対策予算の拡充など2005年度中小企業関係施策に関する要望を公表したが、重点要望項目のひとつとして中小企業の活力増進のための税制改革を盛り込んだ。柱として、1)抜本的な事業承継税制の確立、2)中小法人税制等の拡充、3)「環境税」の導入反対、の3点を掲げた。

 事業承継税制は、2004年度税制改正で自社株に対する相続税の軽減措置の拡充や非上場株の税率を軽減するなど、近年、改善の方向にあるが、引き続き制度の見直しを求めている。具体的には、中小企業の事業用資産の承継については、本来、非課税とすべきだが、当面少なくとも欧州諸国の例にみられるように、例えば5年程度の事業の継続を前提に課税対象額の5割を控除する制度を創設するなど抜本的な見直しを要望している。

 中小法人税制等の拡充については、まず、留保金課税制度の廃止を挙げている。同族会社の留保金課税は、中小企業の経営基盤の強化、新規事業展開などに必要な内部留保の拡充を阻害する。法人税率と所得税最高税率との格差が大幅に縮小され留保金課税の存在意義は失われており、同制度は直ちに全面的に廃止すべきだとしている。

 そのほか、ベンチャー・新規創業企業の支援のため、繰越控除期間の延長などエンジェル税制の拡充、また、非上場株式を含め金融所得課税の一体化を図り、税制面から「貯蓄から投資」への流れを促進し、ベンチャー企業や中小企業に対し、税制面から多様な資金を円滑に供給を後押しする措置を講じることを求めている。

 環境税については、真の地球温暖化防止の解決につながらないだけではなく、わが国におけるエネルギーコストの増大を招き、経済に致命的な打撃を与える。特に中小企業は、コスト転嫁が困難なため、大きな負担のしわ寄せによって、地域経済や雇用に多大な影響を与えることが懸念されるので、その導入には断固反対であることを表明している。