日本経団連は2日、2010年度税制改正に関する提言を発表し、社会保障制度の安定財源の確保など税制抜本改革の諸課題を示した上で、危機的な状況にあるわが国経済を早急に立て直すとともに、中長期的な経済成長力の強化、社会保障制度の機能強化、財政の健全化を図るため、税制抜本改革の諸課題について、今後5年間程度のスケジュールを明確に示し、着実かつ段階的に実現を図ることを政府に求めた。
税制抜本改革の諸課題については、(1)持続可能な社会保障制度の安定財源の確保、(2)国際的な整合性を踏まえ、30%を目途とした法人実効税率の引下げ、(3)所得税の抜本改革、(4)社会保障番号等を活用し、納税にも利用できる納税者番号制度の導入、(5)実務面の課題に配慮し、金融所得課税の一元化の推進、(6)相続税の見直しに際しては、国民への説明、理解が必要、(7)環境関連税制のあり方、の7項目を掲げている。
社会保障制度の安定財源の確保では、社会保障費用の増加分は消費税率の引上げによって賄うことが適切であり、景気回復を前提に、国民の理解を得つつ、段階的に消費税率の引上げを進めていくべきとの考えを示した。日本経団連は、従来から、社会保障制度の建直し・機能強化等のため、2015年度までに消費税率5%分、望ましい社会保障制度の姿の完成のためにさらに7~8%分の安定財源の確保が必要との試算を提示している。
また、所得税の抜本改革においては、所得税の各種控除制度について、税制抜本改革において、扶養控除等の人的控除のあり方について総合的な見直しを進めるべきであるとしている。その際、少子化対策、消費税率引上げに伴う逆進性緩和等の観点からは、社会保障給付や納税に係る番号制度を確立する中で、課税最低限以下の世帯にも税額控除の効果が生じる「給付付き税額控除」の導入を図ることを提言している。
同提言の詳細は↓
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/079/honbun.pdf