帝国データバンクが発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、5月の倒産件数は731件で、前月からは▲8.1%減少したものの、前年同月に比べ19.1%増加となった。ここ数ヵ月は前月比で増加と減少を繰り返しているが、5月も前年同月を大きく上回るなど倒産件数のベースラインは上昇しており、倒産は引き続き増加基調が続いていることがうかがえる。
5月の負債総額は6838億9800万円で、前月比62.1%増、前年同月比17.0%増となり、今年最高を記録した。負債総額が大きく膨らんだのは、東京テレポートセンター(負債1170億円)など、東京都が出資する臨海三セク3社がそれぞれ1000億円以上の負債を抱えて倒産したため。一方で、負債10億円以上の倒産は49件(前月54件)にとどまり、2005年4月以降で最低を記録するなど、総じて大型倒産は低水準で推移している。
反面、負債10億円未満のすべての規模での倒産件数は前年同月に比べ増加している。負債5000万円未満(272件、前年同月比24.8%増)と同5000万円以上1億円未満(122件、同27.1%増)を合わせた負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は394件、構成比は53.9%となり、全体の過半を占めた。資本金別にみると、資本金1億円未満のすべての規模で前年同月に比べ増加している。
今後の倒産動向について、帝国データバンクでは、原油・素材価格の高騰や円高などの懸念材料はあるものの、当面は一進一退を繰り返しながらも現在のゆるやかな増加基調が維持されると予想。しかし、地域金融機関の不良債権処理の動向が地場産業に与える影響や、新興市場を中心とした株価下落や信用不安の表面化といった社会リスクを内包した上場企業の動向にも注目が集まるなど、楽観を許さない状況が続いているとみている。