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中小企業景況見通し、円高関連の不安要素高まる

経営関連情報 - 2011年01月21日

 日本政策金融公庫が三大都市圏の同公庫取引先を対象に実施した「2011年の中小企業景況見通し調査」結果(有効回答数552社)によると、2011年に向けての不安要素は、「国内の消費低迷、販売不振」が82.8%と昨年(86.7%)に引き続きトップとなった。その次に「原材料価格、燃料コストの高騰」(27.4%)が昨年(24.7%)より少し割合を高め、3番目の「取引先の経営不安、経営破たん」(21.8%)は、景気回復に伴い順位を下げた。

 今回の特徴としては、為替動向が円高基調で推移していることを背景に、「為替相場の変動」(21.4%)そのものを挙げる企業割合が昨年から8.7ポイント増ともっとも高い上昇幅を示したほか、それに連動した動きである「取引先の海外生産進展」(21.8%、5.7ポイント増で2番目の上昇幅)や「アジア企業の台頭」(8.7%、3.4ポイント増で4番目の上昇幅)を挙げる企業割合も高まっている。

 一方で、過去の同調査において常に3割前後を占めていた「金融動向」(15.0%)が昨年から13.7ポイント減とほぼ半減したり、「取引先の経営不安、経営破たん」(21.8%)も同8.0ポイント減少している。このように、目先の企業業績に直結するような不安材料が後退しつつあるものの、より中長期的で、経営の根本を揺るがすような構造的な問題が台頭しつつあるといえる。

 需要分野別に詳しく動きをみると、「為替相場の変動」や「アジア企業の台頭」については、家電関連分野がすべての需要分野のなかでもっとも高い割合を示している。中国や韓国、台湾などの企業が急速に技術力を向上させていることに加え、このところの円高により日本企業の価格競争力が相対的に弱まっていることなどから、2011年は一段と厳しい事業環境を余儀なくさせることを不安視している。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jfc.go.jp/common/pdf/topics_no27_1101.pdf