経 営 関 連 情 報

2002年05月10日-001
大企業と中小企業の景況感格差広がるも明るい兆し

 日銀短観の業況判断DIでは大企業と中小企業との景況感格差が広がっているが、景気回復の動きが広がってくると中小企業の業況判断DIも早晩下げ止まってくるとの明るい兆しを予測するのは、UFJ総合研究所が5月8日に公表した「日本経済ウォッチ:2002年5月」である。

 日銀短観によると、3月調査の大企業の業況判断DIは▲31で前回12月調査に比べ横ばいだったのに対し、中小企業は前回に比べ2ポイント悪化の▲46で悪化に歯止めがかかっていない。6月までの先行きも、大企業は▲24で改善見込だが、中小企業は、▲49とさらなる悪化を見込むなど、大企業と中小企業の景況感の格差は広がっている。

 UFJ総研が分析するこの景況感格差の要因は、1)中小企業の生産回復の遅れ、2)中小企業の雇用過剰感の急速な高まり、3)販売価格におけるデフレ感の強まり、4)厳しい資金調達環境を挙げている。これらの要因が重なり合って、大企業との景況感格差が広がっているとの分析だ。

 しかし、大企業の生産回復には遅れているとはいえ、中小企業の生産も回復に転じており、雇用過剰感も縮小すると予測。人件費や固定費負担が薄れてくれば、販売価格判断におけるデフレ感も弱まってくる。金融機関の貸出態度の厳しさはしばらく続くかもしれないが、それでも景気回復の動きが広がることは、その動きを多少やわらげる要因となる。この結果、大企業と中小企業の景況感格差の解消には時間がかかるかもしれないが、中小企業の業況判断には早晩下げ止まりの動きが出てくるとの予測だ。

 

 

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