日本税理士会連合会と国税庁は、2007年8月に「書面添付制度の普及・定着に関する協議会」を設置し、書面添付制度の具体的な改善策について検討を重ねてきたが、このほど合意に達し、公表した。改善策は、(1)添付書面の様式に税務署の収受印欄を設けるなどの様式関係、(2)調査省略を行った場合には文書による調査省略通知を行うなどの調査省略通知関係、(3)職員及び税理士会会員に対する広報などがある。
様式関係では、書面添付様式の「3 計算し、整理した主な事項」または「3 審査した主な事項」欄の記載要領を改正する、できるだけ多くの内容が記載できるようにする。また、記載省略通知関係では、調査省略通知は、調査省略通知実施要領の作成や調査省略通知を円滑に実施するため、税理士会内に相談窓口等を設置、職員及び税理士に対する書面添付制度等の実施に関する考え方等の周知などの準備が整い次第実施する。
職員及び税理士会会員に対する広報では、日税連においては、マルチメディアを利用した研修等による制度の周知及び「一税理士一税目の書面添付運動」の推進、国税当局においては、会議・研修等を活用した制度の周知などの取組みを行い、制度及び調査省略通知の普及・定着に努める。そのほか、国税局と税理士、税務署と税理士支部との間における書面添付制度に関する協議会の実施が決まっている。
書面添付制度は、2002年4月施行の税理士法改正で導入されたものだが、税理士の関与があった法人数のうち書面添付がある割合(書面添付割合)は、法人税申告の税理士関与割合は86.6%(同)にのぼるなかで、わずか5.4%(06事務年度)に過ぎない。書面添付制度では、意見聴取の結果、疑問点が解消されれば調査は省略されることになっているが、一部の実務家からは活用に向けたさらなるインセンティブを求める声もある。