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税務関連情報 (2005/12/19)

損金算入可能となる定時・定額支給の役員賞与

 与党は15日、2006年度税制改正大綱を決定した。景気回復を背景に過去に導入した定率減税やIT投資促進税制などの時限措置を廃止し、平年度ベースで2兆円を超える実質増税となる。今後の税制は、減税中心の景気対策型から増税中心の財政再建型となる幕開けである。税制改正大綱の概要は新聞各紙にお譲りし、ここでは注目されていた役員賞与の見直しについて紹介したい。

 これまで役員賞与は一般に利益の処分と考えられることから損金不算入とされてきた。しかし、来年5月施行の新会社法では、役員報酬・役員賞与の区別なくともに職務執行の対価として一本化された。このため、来年度改正では、これまで損金算入が認められていなかった臨時給与(役員賞与)について、あらかじめの定めに基づいて確定時に確定額を支給する役員給与の損金算入を認めることにした。

 一方で、新会社法においては最低資本金要件の撤廃などにより個人事業者が法人形態を選択することが容易になったことから、節税目的の法人成りを抑制するため損金算入方法を適正化する。具体的には、実質一人会社のオーナー社長に支給する役員給与については、給与所得控除相当分を、法人段階で損金不算入とする。実質一人会社とは、同族関係者で株式の90%以上を保有し、かつ、常務に従事する役員の過半を占める会社である。

 これは、個人事業者が法人成りすれば、社長報酬が法人段階で損金算入でき、個人段階で給与所得控除が可能となるという経費の二重控除を防ぐためだ。ただし、その同族会社の所得(課税所得とオーナー社長報酬の合計額)が800万円以下の場合と、所得3000万円以下で、社長報酬の占める割合が50%以下の場合は適用されない。つまり、低所得の個人事業者であれば、合法的に節税目的の法人成りが可能ということになる。

 また、今回の改正では、現行の定期・定額要件の緩和とともに、算定手続き等の適正性・透明性が確保された業績連動型役員報酬・賞与が新たに損金算入が可能となる。この要件は、その会社が非同族会社であることや確定額を限度として客観的な計算方法によって算定されるものであることなどだ。これによって、上場企業を中心に、経営者の努力・挑戦を後押しするとともに、優秀な人材確保を円滑化する効果が期待されている。