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税務関連情報 (2007/12/05)

一部が未払いとなった事前確定届出給与の取扱い

 役員賞与は、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与(事前確定届出給与)として、その支給額の全額が損金算入できることになった。しかし、所轄税務署長に届け出た支給額と実際の支給額が異なる場合は、原則、損金不算入となる。それでは、支給額の一部が未払いとなった場合の取扱いはどうなるのか。こういった問合せが、国税当局に多く寄せられているようだ。

 この点については、その事前確定届出給与が債務として確定したものであれば、他の費用と取扱いを違える必要はなく、未払い計上であっても支給した金額に含まれるものとの考え方がある。しかしながら、事前確定届出給与の定義からすれば、その届出の時点で未払いとなることが見込まれるような場合には、そもそも「事前」に確定額を支給する「定め」があったのかどうかという疑問が生じることになる。

 それは、事前確定届出給与が、委任を受けた職務執行の対価であることからすれば、未払いとなることを前提にその対価の支給を決めておくことはあり得ないと考えられるからだ。こうした観点からすれば、事前確定届出給与の「確定額」には未払いが見込まれる金額が含まれることはなく、未払いが見込まれる金額が含まれている場合のその金額は、「確定額」とはいえないことになると思われる。

 したがって、事前確定届出給与の支給額の一部について未払い計上された場合には、給与としての実態が伴っているかどうか、その実質により判断されることになるとともに、所轄税務署長に届け出た金額が「確定額」であったかどうか、さらには、そもそも「その役員の職務について所定の時期に確定額を支給する定め」があったのかどうかなどについて、税務当局が個々に判断していくことになる。