2003年09月22日-001
空洞化進む地方を中心に基準地価12年連続下落
株価は上昇・回復基調にあるものの、土地資産デフレは一向に歯止めがかからないようだ。国土交通省が18日に公表した基準地価(都道府県地価)は全国平均で前年比5.6%下がって、12年連続の下落となった。基準地価は、各都道府県の基準地(2003年は全国2万7725地点)の地価を調査し、7月1日時点の正常価格を公表するもの。国が毎年1月1日時点で公表する公示地価とあわせて一般の土地取引の指標となる。
今年の基準地価を用途別にみると、住宅地は▲4.8%、商業地は▲7.4%下落し、昨年と比べると住宅地は0.5ポイント、商業地は0.2ポイントそれぞれ下げ幅を拡大している。しかし、東京・大阪・名古屋の三大都市圏においては、住宅地(▲6.6%)・商業地(▲7.3%)ともに下落幅は縮小した。住宅地に関しては、東京都区部で上昇・横ばい地点の広がりなどがあり、東京圏(▲5.8%)の下落幅が縮小したことから、三大都市圏全体として下落幅が縮小した。
商業地に関しては、東京圏(▲5.8%)、大阪圏(▲10.3%)、名古屋圏(▲7.6%)ともに下落幅が縮小した。海外ブランド店の進出が相次ぐ東京都区部都心部の銀座や表参道などでは比較的高い上昇率を示す地点もみられた。全国の商業地の地価上昇率トップは「東京・中央区銀座2丁目」の5.3%、次いで「東京・港区南青山5丁目」の4.9%だった。
一方、基準地点数の大半を占める地方圏では、住宅地(▲4.3%)・商業地(▲7.4%)とも全体として下落幅が拡大した。全国平均の住宅地・商業地の下落幅が拡大したのは地方圏の下落に歯止めがかからなかったことが影響している。地方都市の主力産業の工場の海外移転や中心商店街からの大規模商業施設の撤退など産業の空洞化が地価の低下を招いている。人口10万人以上の地方都市の商業地では▲10.5%の下落となった。
交通基盤整備や都市再生などの取組みを背景に、同じ都市内でも地域ごとに、同じ地域内でも地点ごとに地価が異なる傾向が強まっている。利便性・収益性の差や個別の地点の置かれた状況による「地価の個別化」が進行している。また、歯止めがかからない土地資産デフレは金融機関の不良債権処理に悪影響を及ぼす。政府の本格的な土地デフレ対策が注目されるところだ。
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