財務省はこのほど、去る5月13日に松山市で開かれた財政制度審議会地方公聴会で実施したアンケート結果を公表した。集計結果によると、2005年度末で国・地方の長期債務残高は774兆円程度、国の公債残高は538兆円程度になると見込まれるわが国の財政の現状に対して、「不安に感じるが特に何もしていない」(61.7%)、「不安を感じて消費を減らしている」(37.5%)と、99%の回答者が不安を感じている。
また、わが国の財政赤字は年々拡大傾向にあり、2005年度予算では、国(一般会計)の歳出の53.5%しか税収で賄われておらず、41.3%が公債発行(借金)に頼っている。財政赤字を減らすための財源捻出方法は、「増税と歳出削減の両方」との回答が63.0%でもっとも多く、「歳出削減」は34.6%だった。今後の税制改正は個人負担増が主流となるが、その前提に徹底した歳出削減を望む国民の叫びがうかがえる。
今後高齢化が進むなかで、年金・医療・福祉などの社会保障給付の現在水準を維持していくためには、社会保険料や公費負担(税負担)が増加していくことが見込まれる。今後の社会保障のあり方についての方向は、「現在の給付水準を維持すべき。そのための負担増はやむを得ない」との回答が48.0%とほぼ半数を占めた。次いで「現在の負担水準を維持すべき。そのための給付水準の引下げはやむを得ない」が35.8%だった。
地方財政に目を向けると、地方の歳出は近年まで国の歳出を大幅に上回って増加しており、2005年度のおいては、国の歳出が82.2兆円であるのに対して、地方の歳出は83.8兆円となっている。現在、三位一体改革が進められているが、地方の歳出規模については、「国の歳出と併せて抑制すべき」との回答が73.6%と7割を超えた。「地方の歳出をもっと増やすべき」との意見も2割弱(19.2%)ある。
回答者の自由意見では、「とにかく早く改革を行うべき。総論賛成、各論反対では困る」、「歳入増加のための税負担の増加はやむを得ない。歳出の削減は、各省庁の官僚・政治家、そして国民の強い意識改革が必要」、「税負担増はやむを得ないが、不公平感がある。正しい課税、徴税が必要」などが見られた。税負担増を容認する意見が多いが、やはりその前提として歳出削減、負担の公平が不可欠ということになろう。