来年2007年から税源移譲によって住民税が変わる。来年度から実施される所得税から住民税への3兆円の税源移譲によって、ほとんどの給与所得者は来年1月から所得税が減る一方、6月徴収分の住民税からはその減少相当分が負担増となる。住民税はボーナス徴収がないので、一般的には所得税より月々の負担感が強い。そこに負担増となっても、トータルでの負担額は変わらないので安心していただきたい。
住民税所得割の税率は従来3段階(5%・10%・13%)の超過累進構造となっていたが、これが所得の多い少ないにかかわらず一律10%(都道府県民税4%、市区町村民税6%)の比例税率構造に変わる。例えば、課税所得が300万円の場合、これまで20万円(200万円×5%+(300万円-200万円)×10%)だった住民税が、30万円となる(実際の税額は人的控除の差に応じて違ってくるが)。
一方で、住民税所得割の10%比例税率化に伴い、国の所得税の税率構造も見直される。住民税は最低税率が5%から10%に引上げ、最高税率が13%から10%に引下げとなるが、所得税は逆に、最低税率が10%から5%に引下げ、最高税率が37%から40%に引下げとなる。また、人的控除の差に対応した減額措置なども講じられ、これらの措置によって、税源移譲の前後でトータルでの納税者の負担は変わらないとされている。
総務省の試算では、給与収入500万円の夫婦子ども2人の世帯の場合、税源移譲前は所得税11万9000円と住民税7万6000円で計19万5000円の税負担だが、税源移譲後は所得税が5万9500円と減る一方、住民税が13万5500円と増えるものの、合計では19万5000円と変わらない。とはいえ、2007年分所得税、2007年度分住民税から定率減税が廃止されるので、税負担はこれまで以上に増えることには留意が必要だ。