ゼイタックス

経営関連情報 (2007/07/13)

ペーパレス化にセキュリティの壁

 ガートナージャパンが発表した「ビジネス・ワーカーの文書・書類利用時におけるペーパレス化の進展状況調査によると、文書・書類の利用については、2006年の調査結果と比べると、おおむねペーパレス化の方向に進んでいる傾向が見られたが、その一方で、企業、あるいはビジネス・ワーカーのセキュリティに対する意識が、そうした動きに「待った」をかけている状況も出てきていることが分かった。

 調査では、「顧客のプレゼン、売り込み、訴求のための資料」、「社内会議用の資料」、「精算、出張申請などの申請書」、「稟議書、企画書、提案書、報告書」の各文書・書類について、紙媒体と電子媒体のどちらを利用することが多いかを聞いている。その結果、種類によって多少の違いはあるが、企業内の文書・書類を利用する際に「電子データを利用することが多い」という人は4割程度という全体的な傾向が見られた。

 これらの結果を2006年の同様の調査結果と比較すると、ほとんどの文書・書類の利用において、紙媒体から電子媒体への移行が緩やかに広がっている。こうしたなかで、「顧客のプレゼン、売り込み、訴求のための資料」のみが若干紙の利用に逆戻りしている。その背景には、企業のセキュリティ対策の一環として、ノートPCの社外持ち出しが難しくなったことがあるとみられている。

 ガートナーの調査によると、個人情報保護法の全面施行後の変化として、「社内ルールでノートPCを社外に持ち出しにくくなった、禁止された」という声が少なくないという。企業内にある文書・書類が、すべてペーパレス化されればいいというものでなく、この社外文書の「紙媒体への回帰現象」についても、企業あるいはビジネス・ワーカー個人のセキュリティに対する意識、所有する情報などにより、見方が異なる。

 ガートナーでは、今回の結果についても、必ずしも否定的に取る必要はないが、企業のセキュリティ意識や対応がモバイル・ワークに及ぼす影響の一端を示すと捉えている。つまり、企業では今日、モバイル・ワーク、電子データ化が進められているが、情報セキュリティ対策がこの動きにブレーキをかけている面もあり、これらを両立するソリューションが求められているとの考えを示している。