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税務関連情報 (2006/03/13)

倫理規程改正を「知らなかった」との回答が約6割

 2000年に施行された国家公務員倫理規程は、旧大蔵省の不祥事に端を発したもので、国家公務員と利害関係者の付き合いを厳しく制限している。利害関係者とは、例えば、税務調査を受ける納税者や税の追徴処分が行われた場合の相手方である。この倫理規程が2005年4月から、利害関係者との割り勘の飲食については、職員の費用が1万円以下の場合は自由にでき、1万円を超える場合は届出制とするように改正された。

 人事院がこのほど公表した「公務員倫理に関するアンケート調査」結果(有効回答数474人)によると、倫理規程の「存在を知らなかった」との回答が31.6%、「存在は知っていたが、昨年4月の改正は知らなかった」が58.6%となり、ほぼ9割が2005年4月の改正を知らない結果となった。同アンケートの対象は一般の応募者から選ばれた人だから、倫理規程の存在及び改正についての広く国民へのPRが足りなかったことになる。

 回答者は国家公務員に関するモニターに応募するほどだから、日ごろから公務員の動向には関心が高いと思われる。それでも、この結果だから、ほとんどの国民が倫理規程についての関心は低いと推測できる。もっとも、倫理規程そのものは、国家公務員の“自主規制”のようなもので、国民は知識がなくてもいいのだろうが、それでは、職務に必要な意見交換や情報収集がスムーズに行えまい。

 ましてや、税務行政は、税理士業界や関係民間団体などの協力が絶対不可欠である。これらの協力者たちは、倫理規程施行後、職員に迷惑がかからないように遠慮しながら接触している実態がある。そのような面からは、昨年4月の改正は大きな意味を持つが、改正を知らなければ何にもならない。倫理規程の過剰な解釈で萎縮してしまった官民双方の関係が少しでも改善されるためには、より積極的な広報が求められる。