税 務 関 連 情 報

2003年07月14日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(62)

『納税者番号制度』(3)

★納税者番号の検討の必要性

 適正・公平な課税を実現するためには、税務当局が個人や企業の所得を的確に捉えることが必要だが、申告納税制度の下では、まずは納税者自身の申告によって税務当局に明らかにされることが原則となる。さらに、申告内容が正しいかどうかを担保するためには、税務当局が調査・確認を行うことが不可欠である。こうした調査・確認を行っていく上で、アメリカなどの諸外国において導入されている納税者番号制度が役に立つ。

 現在、税務当局は、納税者の取引の相手方となった第三者から課税資料を収集し、それを手がかりに納税者の申告内容を審査している。この課税資料のなかには、利子・配当等の支払調書や給与の源泉徴収票など情報申告書・法定資料と呼ばれる提出を義務付けられたものがある。これらが有効に利用されるためには、資料に記載された納税者の名義が真正であることが確保された上で、資料が納税者ごとに的確に整理(名寄せ)されることが必要になる。

 そのためには、納税者番号制度が導入されて、取引の場における真正な名義の使用が担保されるとともに、各種資料の名寄せが効率化されることによって、課税資料が有効に活用され、納税者の所得の把握などに役立てられることが重要となる。つまり、大量の資料情報を機械的・電子的に整理し活用する上で、納税者番号制度のような統一番号は、税務行政の効率化・高度化に資するものと考えられるわけだ。

 また、納税者番号制度は、所得を的確に把握することに役立つことから、適正な納税を促すけん制効果が申告水準の向上をもたらし、各種資産の移動等の把握を通して間接的に事業所得の把握に役立ち、情報の機械処理による効率化が図れるといった効果があると思われる。さらに、納税者番号制度は、各種の資産から生じる所得に対する課税方式のあり方を検討する際に、総合課税の採用を含め、制度の選択の幅が拡大することになる。

(続く)

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