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経営関連情報 (2006/06/21)

中小企業の円滑な事業承継へガイドライン公表

 2006年版中小企業白書によると、中小企業経営者の平均年齢は2004年時点で58.5歳と高齢化が進む一方で、後継者がすでに決まっている企業は全体の約4割にとどまっている。このため、中小企業庁は、士業団体や中小企業関係団体と協力して、昨年10月、事業承継協議会を設立し、中小企業の事業承継について総合的な検討を行ってきたが、このほどその成果として「事業承継ガイドライン」を策定・公表した。

 同ガイドラインによると、事業承継問題は、経営者にとって遠い将来の話と思われがちなことや、周りの者が言い出しにくいこともあって、事前の取組みが十分に進んでいない。しかし、事業承継は、いつか訪れる問題であり、事前準備の取組みを行うほど成功する確率が高くなる。円滑な事業承継のためには、十分時間をかけた計画の立案と着実な対策の実行が重要とした上で、事業承継を円滑に進めるためのステップを提示している。

 具体的には、会社を取り巻く現状を把握し、関係者との意思疎通を行い、各承継方法のメリット・デメリットを把握した上で、承継方法と後継者を確定して、後継者と協力して事業承継計画を作成する。承継方法については、1)親族内承継、2)従業員等への承継・外部から後継者を雇い入れ、3)M&A、の3つを示し、それぞれの具体的な対策の実行方法・手順などをわかりやすく解説している。

 例えば、親族内で承継する場合、他の方法と比べて、所有と経営の分離を回避できる可能性が高いなどのメリットがある一方で、親族内に経営能力と意欲がある者がいるとは限らないことや、相続人が複数いる場合の、後継者の決定・経営権の集中の困難性などのデメリットを指摘。具体的な対策では、株式・財産等の分配や後継者への生前贈与、遺言の活用、会社法の活用など、法律を含めた総合的な対策を提案している。

 また、事業承継対策には様々な方策があり、各種専門知識が必要になることも多いことから、必要に応じて、弁護士や税理士、公認会計士などの実務家や専門機関に相談することも有効だとアドバイスしている。同ガイドラインは、巻末に、事業承継計画の作成と3つの承継方法を進めるためのチェックリストも掲載されており、中小企業経営者が早期に事業承継を検討・実現するための“実務書”となっている。

 同ガイドラインの要約版は↓
 http://www.meti.go.jp/press/20060614002/youyakuban.pdf