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震災の影響で発刊が大幅遅延する「中小企業白書」

経営関連情報 - 2011年06月03日

 東日本大震災発生による環境激変の影響から各省庁が発刊する白書の類の作成が軒並み遅れている。なかでも経済環境が深刻な打撃を受けたことから、経済産業省が作成する「中小企業白書」、「通商白書」、「エネルギー白書」、「ものづくり白書」の閣議決定(了解)時期については、例年より大幅に遅れることが見込まれている。例年であれば、これらの白書は4月か6月中に閣議決定されているが、今年度は現時点では未定という。

 白書は、政府が政治経済社会の実態及び政府の施策の現状について国民に周知させることを主眼とする報告書だから、今般の大震災の影響から内容の見直しを行うことは、必須となっている。発刊の有無も含め閣議決定に至るまでには、しばらくは不透明な状況が続くと考えられる。しかし中小企業庁では、今回の震災を踏まえて改定作業を行っており、例年より発刊の遅延が見込まれるが、7月までには閣議決定に持ち込みたい意向だ。

 「中小企業白書」は、中小企業基本法第11条に基づく年次報告書(法定白書)だ。毎年中小企業政策審議会の意見を盛り込んだ上で、中小企業の動向に関する報告を国会に提出することが義務付けられている。中小企業基本法が制定された1963年を初回として、2011年版で48回目の年次報告となる。作成は、中小企業の育成、発展に関する事務などを所掌し、経済産業省の外局として設置されている中小企業庁が行う。

 内容は、主に中小企業の動向、国の関連方策などについての概況だ。構成は、主に2部~3部構成となっており、例年第1部のテーマは「中小企業の動向」、2部及び3部は毎年異なるテーマを扱っているが、今年度は内容に大震災の影響が追記して盛り込まれる見通しだ。閣議決定時期は、例年であれば4月下旬ごろだが、今回は7月までを目処に改定作業を進めている最中という。