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研究開発促進税制は法人税額の最大30%まで控除

税務関連情報 - 2008年05月16日

 研究開発投資促進税制については、2008年度税制改正において、従来の試験研究費の増加分に対する税額控除率の上乗せ措置を改組し、恒久措置である「総額型」に加え、増額型と高水準型のいずれかを加算できる制度となった。また、税額控除上限が法人税額の最大30%(改正前20%)まで拡充された。同制度は、2008年4月1日から2010年3月31日までの間に開始する事業年度について適用される。

 今回の改正では、研究開発費を増加させる企業や研究開発比率の高い企業を優遇し、恒久措置の総額型と別枠で、 (1)試験研究費の増加額の5%を税額控除、(2)売上高の10%を超える試験研究費に係る税額控除(高水準型)のどちらかを選択適用できることになった。高水準型は、「(試験研究費-売上高×10%)×税額控除割合」を税額控除する。税額控除割合は、「(試験研究費割合-10%)×0.2」で計算する。

 恒久措置の総額型は、試験研究費総額の8%~10%(中小企業は12%)を法人税額の20%を上限に税額控除する。総額型と別枠で選択適用できる2つの措置の税額控除上限は、ともに法人税額の10%。この結果、税額控除上限は、合計で法人税額の最大30%まで拡充される。民間研究開発投資額は、米国には遠く及ばず、中国の猛追を受けている状況だが、同税制の抜本拡充によりわが国民間研究開発のさらなる加速が期待される。

 経済産業省では、研究開発促進税制の拡充による減収額は3年間(2008~2010年)の累計で約1.9兆円だが、同税制の拡充により押し上げられる研究開発投資は、減収額の約1.2倍の約2.3兆円と推計され、10年間累計では約9.1兆円(減収額の約4.8倍)の実質GDP押上げ効果が見込まれるとの試算を示している。また、税収弾性値を用いた推計では、3年分の減収額が6年で回収されるとみている。