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ネット取引調査で1件平均1137万円の申告漏れ把握

税務関連情報 - 2009年10月30日

 オンラインショッピングやネット広告などインターネット取引が増えており、なかには年間1億円を超す売上があるネット業者も珍しくない。しかし、多額の利益をあげながら、ネット上の売上は国税当局には把握されまいと考えて無申告・過少申告する業者が後を絶たない。ネット取引者は、無店舗による事業形態となるため、その把握が困難だが、国税当局は、あらゆる資料情報を収集・分析して適正な課税に努めている。

 今年6月までの1年間(2008事務年度)では、インターネット取引を行っている個人事業者などを対象に前年度比11.2%減の2771件を実地調査した結果、同21%減の1件平均1137万円の申告漏れ額が把握された。この申告漏れ額は、同時期の実地調査における特別調査・一般調査全体での1件平均887万円を大幅に上回る。また、全体の15%程度が無申告であり、ネット取引業者の申告面でのずさんさを浮き彫りにしている。

 調査件数2771件を取引区分別にみると、ホームページを開設し、消費者から直接受注するオンラインショッピングを行っている「ネット通販」が654件(1件あたり申告漏れ884万円)、「ネットオークション」が652件(同1113万円)とともに24%を占める。また、「ネットトレード」が454件(同1591万円)、「ネット広告」が376件(同1211万円)、出会い系サイトなど「その他のネット取引」が591件(同1030万円)などだった。

 事例では、家族名義で行ったインターネット取引の利益が無申告だったケースが報告されている。会社員Aは、副業が禁止されていることから、家族名義で複数のホームページを開設し、データツールの販売、アフィリエイト収入、情報商材の販売、メールアドレス情報の販売などを行い、総額3500万円の所得を得ていたにもかかわらず、無申告だったことが調査で判明した。Aに対しては400万円の税額が追徴されている。