日本経団連は18日、「歳出入一体改革に関する中間とりまとめ」と題した意見書を公表し、税制抜本改革のなかで「できるだけ早期に消費税率を段階的に10%に引き上げるべき」との考えを示した。政府の財政再建へ向けた議論が本格化しており、6月には経済財政諮問会議が歳出入一体改革の選択肢と工程表を示す予定だが、意見書はそれを前にあらためて経団連の考えを表明したものだ。
意見書は、経済のグローバル化、生産年齢人口が急激に減少していくなかで、スリムで強靭な政府の構築を求め、歳出の徹底的な見直しと歳入の安定確保のため、行政、財政、社会保障、税制の一体的な改革を提言した。税制抜本改革においては、1)国際競争力強化に資する法人課税の見直し、2)地方における課税のあり方、3)個人所得課税の見直し、4)消費税の位置づけ、の4点を主要課題として掲げた。
法人課税の見直しについては、法人実効税率の引下げ、償却可能限度額の取得価額の100%への引上げや耐用年数の短縮化・柔軟化など減価償却制度の抜本的見直し、償却資産に係る固定資産税の廃止、技術革新を促す税制措置の拡充、国際課税の見直しを求めた。また、地方課税においては、地方における法人所得課税の段階的な廃止や企業に対する超過課税、法定外税の見直しなどを検討項目として挙げた。
個人所得課税においては、負担の公平性への配慮から社会保障と税を通じた共通番号による一元的なシステム構築を提言。注目される消費税については、高齢化に伴う社会保障関係費の増大が避けられない一方、直接税に頼ることは経済活力や国際競争の観点から限界があると指摘。今後は、歳出削減を徹底して進めるなかで、幅広い世代が応分に負担できる消費税を重視していかざるを得ないとの考えを明らかにした。
「歳出入一体改革に関する中間とりまとめ」の全文は↓
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2006/016.html