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税務関連情報 (2006/11/10)

連結納税の効果、黒字申告割合は37.9%の低水準

 連結納税制度は、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる。そのメリットを裏付けたのは黒字申告割合の低さである。国税庁がまとめた連結納税に係る課税事績によると、今年6月までの1年間(2005事務年度)における連結法人の黒字申告割合は37.9%だった。連結グループの親法人はほとんどが大法人だが、大法人の黒字申告割合は52.9%、そのメリットは歴然としている。

 今年6月末現在の連結法人数は、親法人629(前年度比17.1%増)、子法人6047(同9.7%増)の計6676法人(同10.4%増)だった。このうち、2005事務年度中に申告期限がきた467件(同41.1%増)の黒字申告割合は37.9%と低調だったが、それでも前年度に比べれば12.8ポイントも上昇している。申告所得金額は前年度に比べ548.9%増の1兆8481億円と大幅に伸びた。申告欠損金額は同28.9%増の9193億円だった。

 大企業を中心とした業績の回復によって申告所得は6倍以上に増加しているのだが、それでも黒字申告割合は約38%にすぎない。ところが、連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数5396件のうち黒字分は66.1%にあたる3564件だった。連結納税でなければ、黒字申告割合は7割近くになる。総個別所得金額も3兆774億円にのぼる。

 連結納税の効果は大きい。それでも申告漏れはある。2005事務年度は連結親法人64件が実地調査され、うち58件から923億円の申告漏れを把握、約49億円が追徴された。前年度に比べ調査件数は26.4%減少しながら、申告漏れ所得は179.7%増加した。また、調査件数の約4割の27件は、仮装・隠蔽などによる不正計算があり、その不正脱漏所得金額は57億円だった。メリットの大きい連結納税、せめて申告だけは適正にしてほしいが…。