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税務関連情報 (2004/09/15)

東京・豊島区の放置自転車税に総務省が同意も…

 総務省は13日、昨年12月に東京・豊島区から協議のあった法定外目的税「放置自転車等対策推進税」の新設に正式同意したことを明らかにした。ただし、豊島区と納税者となるJR東日本など鉄道事業者5社とが全面的に対立したままであることから、麻生太郎総務相が異例の意見書を付けた同意だった。また、鉄道業界は、訴訟も視野に入れてあくまで新税に反発しており、実施まではなお紆余曲折が予想される。

 池袋駅を中心に乗降客数が全国屈指のターミナル駅を抱える豊島区は、駅周辺の放置自転車対策に年間12億円の財政負担がかかっている。そこで、同区は、原因者として鉄道事業者に費用の一部負担を求め、乗客千人につき740円を課税する新税の創設を決めた。年間2億1100万円を見込む税収は、放置自転車の撤去・保管、自転車等駐車場の整備など放置自転車対策に充てることにしている。

 総務省が同意にあたって付した麻生総務相の意見書では、納税者となる鉄道事業者との協議や相互理解が十分に進んでいるとはいえないことから、「納税者から提起されている種々の指摘や批判を真摯に受け止め、協議・調整を十分に行って、理解を得るよう、さらに格段の努力を行うこと」を豊島区に要請している。

 しかし、納税者となる鉄道事業者5社の新税導入に対する強硬な反対姿勢は変わっておらず、協議は難航が予想される。本来、総務省の同意があればすぐに新税の施行は可能だが、鉄道業者の理解を得ることの困難さを考えれば、早ければ2005年度から実施したいという豊島区の意向もかなえそうにない状況にある。放置自転車対策に悩む自治体は少なくないだけに、今後の協議の行方が注目される。