中小企業の業況感、5四半期ぶりにマイナス幅拡大
金融庁が発表した中小企業の業況等に関するアンケート調査(2012年5月調査)(各都道府県の商工会議所47先を対象)によると、中小企業の業況感は、東日本大震災の影響もあり、厳しさを増していることが分かった。現状D.I(「良い」-「悪い」と回答した構成比)は、2010年2月調査以来、5四半期ぶりにマイナス幅が拡大した。悪化の要因は、「売上の低迷」の割合がもっとも大きく、次いで「震災等の影響」が挙げられる。
業況では、各業種平均で現状D.Iが▲83、先行きD.Iが▲84で、2月調査からそれぞれ2ポイント、8ポイント悪化。悪化の要因として、「需要の低迷による売上の低迷」が39.3%、「東日本大震災や福島原発事故等の影響によるもの」が31.7%、「競争力過多による販売価格の下落」が15.8%、「原油・原材料価格等、仕入原価の上昇、及び販売先との関係による販売価格転嫁の遅れ」が12.2%となっている。
資金繰りでは、現状D.Iが▲67、先行きD.Iが▲65で、2月調査比でそれぞれ7ポイント、2ポイント悪化。こちらも、昨年2月調査以来5四半期ぶりにマイナス幅が拡大した。悪化の要因としては、「販売不振・在庫の長期化等、中小企業の営業要因」が59.1%、「東日本大震災や福島原発事故等の影響によるもの」が36.7%、「セーフティネット貸付・保証等、信用保証協会や政府系金融機関等の対応」が2.2となっている。
5月調査では、東日本大震災に関連したコメントも集約した。「店舗や工場等の建物が損壊したことにより、営業が継続できない、または困難となっている」(福島:製造業、茨城:小売業)、「夏場の電力不足や節電が生産活動に影響を及ぼす懸念があり、消費減退が予想される」(山形:製造業、福岡:製造業ほか)、「過度の自粛ムードは、消費の低迷を招き、復興の妨げになることを危惧している」(香川:小売業)などがあった。
同調査結果は↓
http://www.fsa.go.jp/news/22/ginkou/20110622-1/01.pdf