商工中金は15日、2004年12月末において、「新事業育成資金」(1995年10月創設)が218件、「起業挑戦支援無担保無保証貸出」(2002年11月創設)が813件と、これらの融資の実行件数が累計で1031件となり、1000件を突破したことを明らかにした。累計実行金額はそれぞれ68億円、91億円で計159億円にのぼる。
創業を含めた新事業進出支援については、事業実績が乏しいものの新しい技術の活用や特色ある財・サービスの提供により市場を創出・開拓する中小企業の資金調達円滑化を目的として、国の融資制度「新事業育成資金」を推進している。特に創業段階の企業に対する支援については、同金庫独自の無担保融資制度「起業挑戦支援無担保無保証貸出」を推進している。
「新事業育成貸付」では、高付加価値製品の開発に取り組む自転車部品製造企業を支援した事例が紹介されている。自転車用ハブ専業メーカーであるA社は、中国製低価格部品の攻勢を受け、いかに製品の高付加価値化を実現するかが経営の大きな課題となっていた。そこで、同社は、パンクの発生を抑制する部品の開発に取り組み、自転車の走行時に生じる自らの回転力をピストン運動に変え、タイヤに抜けた空気を補充する機能を持つハブを考案した。
この考案は計画段階だったが、商工中金では、開発資金を「新事業振興貸付」により無担保で融資し、その後事業の進捗に合わせて「新事業育成貸付」による融資を行った。あわせて、自転車メーカーへのプレゼンテーションや車椅子への応用、宣伝手法などの提案も行った。その結果、A社は、世界初となる新製品の開発に成功し、大手自転車メーカーの採用も決定。現在、同社は、この高付加価値製品の販売促進、技術の応用拡大に取り組んでいる。