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7月の業況DIは改善の勢いに陰り~日商調査

経営関連情報 - 2010年08月02日

 日本商工会議所が7月30日に発表した早期景気観測調査結果によると、7月の全産業合計の業況DI(前年同月比、「好転」-「悪化」)は▲39.7(前月比+0.8ポイント)と、前月からほぼ横ばいで推移した。業況は、持直しの動きが続いているものの、改善の動きに陰りが出ている。景気回復の自律性は依然乏しく、競争激化に伴う低価格での受注や、消費者の低価格志向を意識した値下げ競争により、収益確保は難しい状況が続いている。

 業況DIを業種別にみると、公共工事を中心に受注の大幅な減少等が影響した「建設業」(▲58.0)は低水準で推移し、「小売業」(▲46.9)はマイナス幅が拡大した。一方、輸出関連企業を中心に受注が回復傾向にある「製造業」(▲20.6)のほか、「卸売業」(▲33.3)、「サービス業」(▲41.6)はマイナス幅が縮小した。ただし、すべての業種において、原材料や仕入価格の上昇・高止まりが採算面に悪影響を及ぼしている。

 項目別では、原材料価格の上昇・高止まりを背景に、仕入単価DI(前年同月比、「下落」-「上昇」、▲19.7)は、2ヵ月ぶりにマイナス幅が拡大した。売上DI(同、「増加」-「減少」、▲33.9)、採算DI(同、「好転」-「悪化」、▲35.8)、資金繰りDI(同、同、▲24.6)、従業員DI(同、「不足」-「過剰」、▲11.5)は、マイナス幅の縮小傾向が続いているものの、業種間でバラツキがあるうえに、縮小ペースが鈍化している。

 向こう3ヵ月(8~10月)の先行き見通しについては、全産業合計の業況DI(今月比ベース)が▲34.7と前月に比べ+0.6ポイントとなり、7ヵ月連続でマイナス幅が縮小した。産業別にみると、前月と比べ、「サービス業」(▲31.7)などは、盛夏による業況の持直しを期待する声があり、マイナス幅が縮小したものの、「卸売業」(▲30.9)や「製造業」(▲27.2)はマイナス幅が拡大しており、改善の動きが弱まっている。

 7月は、依然として、仕入価格の上昇・高止まりによる収益への悪影響を訴える声が根強いほか、公共工事の削減に伴う採算を度外視した受注競争や、小売業などにおける消費者の低価格志向を意識した販売価格の大幅な値下げなど、価格競争の激化による収益の減少を訴える声が多い。加えて、これまで個人消費を下支えしていた経済対策(エコカー補助金)の期限切れを懸念する声が出ており、先行きへの不透明感が強まっている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jcci.or.jp/lobo/LOBO201007.pdf