帝国データバンクがこのほど発表した全国企業倒産(負債1千万円以上)によると、2月の倒産件数1208件は、前月を0.2%増とわずかに上回り3ヵ月連続の前月比増加となったものの、前年同月比では23.8%減の大幅減少となり、14ヵ月連続の前年同月比減少を記録した。負債総額1兆893億円は3ヵ月ぶりの1兆円超え。不動産やゴルフ場関連の大型倒産が目立つ。
依然として倒産の減少傾向は続いているものの、前月比の推移をみると、わずかながら底打ちの兆しも表れており、帝国データバンクでは、「変化を見極めるにはしばらく推移を見守る必要がある」との見方を示している。また、倒産が抑制されているのは、「中小企業金融セーフティネット」が資金繰りを大幅に支援し、「企業間信用の縮小」「事業リスクの回避」が倒産を発生しにくくさせていると分析している。
不況型倒産は構成比72.7%といまだ高水準にあるものの、2ヵ月連続で75%を下回り、3年1ヵ月ぶりの73%割れとなるなど、80%に迫る勢いで多発していた不況型倒産は、2003年をピークに沈静化していく可能性もある。業歴30年以上の「老舗倒産」は336件で、その構成比27.8%は相変わらずの高水準だった。
負債総額が高水準だったのは、月中、大洋緑化(負債1204億4100万円、東京都)をはじめ、新陽環境開発(負債724億円、東京都)など、負債100億円以上の大型倒産が23件発生したため。今後も「塩漬け案件」がタイミングを図って法的整理に至るなど、大型倒産が定期的に発生する状況が続くと予測している。
また、巨額の円売り介入による景気下支えの危うさや米国の景気後退懸念、地域金融機関の再編・淘汰による取引企業への影響など、不安要因は確実に膨れ上がっているものの、超金融緩和による不振企業の延命策が繰り返されるなか、倒産は抑制された推移をたどっていくものとみられている。