ゼイタックス

経営関連情報 (2008/01/16)

原油等価格上昇、8割弱の企業が価格転嫁率5割以下

 帝国データバンクが実施した「原油・素材価格の上昇に伴う企業への影響調査」結果(有効回答数8761社)によると、原油・素材価格の上昇を起因として仕入価格が「上昇している」と回答した企業が全体の81.2%を占めた。中国などの需要増や原油価格の高騰を背景に素材価格が急上昇し企業業績への影響が大きく懸念され始めた3年前(2004年4月調査)と比べると、「上昇している」との回答企業は26.5ポイントの大幅増加となった。

 一方、「上昇していない」という回答は、3年前から18.3ポイント減少の10.9%となり、大半の企業で仕入価格の上昇が認識される状況で、2007年に生じた原油・素材価格の高騰ぶりがうかがえる結果となった。業界別では、特に「運輸・倉庫」(91.6%)で9割を超える企業が仕入価格の高騰に見舞われていることが判明。次いで「農・林・水産」(88.0%)、「製造」(86.6%)と続き、直接的に資源エネルギーを消費する業界で影響が大きい。

 仕入価格が上昇していると回答した企業の仕入価格上昇分の販売価格への転嫁状況は、55.1%の企業が「ほとんど転嫁できていない(転嫁率0~20%)」と回答。「多少転嫁できている(同21~50%)」(21.8%)と合わせて計76.9%は、販売価格への転嫁が上昇分の5割以下となった。一方、「ほぼ転嫁できている」(同81~100%)」は6.3%にとどまる。業界別では「農・林・水産」(95.5%)で販売価格への転嫁が5割以下となった企業が多い。

 仕入価格上昇への対応策(複数回答)は、「経費の節減」が77.1%で最多、次いで「販売価格への転嫁」(50.7%)、「販路の拡大」(34.4%)が続く。今後も原油・素材価格が上昇した場合の対応策(複数回答)は、「販売価格への転嫁」が74.9%ともっとも多く、次いで「経費の節減」(64.4%)、「仕入先の変更」(38.1%)が続き、企業のコスト削減努力は限界に近づき、価格アップへ移行せざるを得ない、厳しい胸の内がうかがえる。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0712.pdf