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経営関連情報 (2006/01/30)

名目取締役や取締役会、監査役の廃止が可能に

 今年5月施行予定の会社法においては、中小の株式会社に関する制度が大幅に改正されている。現行法は大企業を対象としたもので、中小企業の実態とはそぐわなかったが、会社法においては、実態を踏まえ、中小企業が株式会社制度を利用することを認めたうえで、中小企業に見合った柔軟な運営ができるようにしている。会社法の活用ポイントは多いが、ここでは小規模会社における機関構成の柔軟化を紹介したい。

 会社の機関とは、株主総会、取締役会、(代表)取締役、監査役等、会社の意思決定や業務執行、監査等を行う合議体や人をいう。現行法では、株式会社は3人以上の取締役を選任して取締役会を構成し、加えて1人以上の監査役を置くことが必要だった。このため、実質的に社長一人で経営しているような小規模会社においては、経営に関与していない社長の親族や友人などを名目的な取締役等にしている場合も多かった。

 名目的とはいえ、取締役等に就任すると、会社債権者から責任追及を受ける可能性があるため、就任してくれる人を確保することが難しい場合も少なくなかった。そこで、会社法では、取締役は1人でもよく、取締役会や監査役を置かないこともできるようになる。名目的な取締役、取締役会、監査役を廃止し、株主総会と社長(取締役)1人という簡易な機関構成にすることも可能になる。

 会社法施行後は、このような名目的な取締役や監査役を置いている企業はその廃止を検討することも必要と思われる。これまでは、名目的な取締役等が社会的に認知されていたので責任追及も緩いものとなっていたが、今後は、本来置かなくてもいい取締役等であるのだから、名目的だろうが就任していれば、責任追及も厳しくなることが予想される。無用な迷惑を与えないためにも名目的な取締役等は廃止すべきだろう。

 なお、現行法上、2年を超えることができないとされてきた取締役の任期が、会社法においては、中小企業は10年まで伸張することができるようになる。そうなると、現在2年ごとに行っている取締役再任手続きにかかる手間やコストを削減できる。ただし、取締役を任期の途中で解任した場合は、その取締役から損害賠償を請求される可能性がある。残存期間が長いほど損害賠償は高くなると考えられるので、注意が必要になる。