経済産業省の「2005年工場立地動向調査」結果(速報)によると、工場立地件数、立地面積はともに3年連続の二ケタ増加となり、立地の国内回帰が鮮明となった。だが、立地は地方圏から都市圏へ移行しつつあるとともに、各県における立地件数の格差が拡大傾向にある実態もみられる。企業は、重視するポイントをもって自治体の取組みを精査し、これまで以上に厳しく立地戦略を進めていることがうかがえる。
帝国データバンクが実施した「企業立地に関するアンケート調査」結果(有効回答数324社)によると、1)7割の企業が検討開始から2年のうちに立地先を決定、2)半数は数ヵ所の自治体(都府県)を比較、3)立地先の決定要因は35%が「地価」を選択、重要度では「市場への近接性」がトップ、4)立地先決定にあたり最重視した自治体の誘致施策は「交通インフラの整備」、5)66%が立地先に満足、などとなった。
こうした調査結果を総合的にみると、企業は立地決定に際し、相応の時間とコスト、先見の判断など、綿密な取組みを実施している。その結果、立地後の状況について企業の満足度はおおむね高い。ただ、経年とともに交通量や労働人口など地域の状況は変化を避けられず、交通の利便性や労働力の確保が当初見込みと異なっていく可能性は少なくないことから、将来にわたって当初の満足度が維持されるという保証はない。
立地の満足度を維持するため、企業は自治体の取組みが頼りとなる交通インフラの整備について大きな期待を寄せている。現状、税優遇や補助金交付などの助成制度は、誘致競争の結果として各自治体とも高水準にある。だが、企業が立地決定に際し重視するのは交通や通信などの地域インフラ、立地後のアフターフォローである。帝国データバンクは、「カネ」から「モノ」・「ヒト」へ、自治体は立地施策の見直しが必要と指摘している。
同アンケート調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/k061002.pdf