野村證券が13日に発表した「2005年の日本企業に関連するM&Aの動向」によると、同年のM&A総件数(公表ベース)は、前年比8.1%増の2308件と2年連続の増加で、2002年の2374件に次ぐ高水準となった。中心であるIN-IN(日本企業間のM&A)は同6.8%増の1874件と3年ぶりの増加となった。事業強化のためのM&Aが増加している。
また、IN-OUT(日本企業による海外企業のM&A)は前年比16.4%増の333件となり、2000年の298件を上回り、90年以来の高水準となった。2004年に増加したアジア・オセアニア企業に対するM&Aは減少したが、北米企業、そして特に欧州企業に対するM&Aが大幅に増加した。OUT-IN(海外企業による日本企業へのM&A)は同6.3%増の101件と5年ぶりの増加となった。
IN-INの目的別では、「既存事業強化」(既存事業強化のためのグループ外M&A)が前年比11.9%増の1176件となり、企業がM&Aによる事業強化を積極的に行っているとみることができる。他方、「グループ内再編」は同0.7%減の561件と小幅ながら3年連続の減少となり、グループ内の事業再編のためのM&Aがピークアウトしていることが確認できる。
IN-INの形態別では、「合併」(344件、前年比1.4%減)、「資産買収」(392件、同17.5%減)が減少する一方で、「株式買収」(690件、同16.6%増)、「資本参加」(448件、同32.5%増)が増加した。事業強化のための株式取得や増資を伴う資本参加などが目立った。
2005年の日本企業のM&Aの動向は、日本企業が事業の再構築を一巡させ、既存事業を中心とした事業強化に注力していることを反映したといえる。また、株式買収においてTOB(株式公開買付)、MBO(経営陣による企業買収)などが増大、買収ファンドが関与する件数が高水準を維持するなど、M&Aの形態や参加者の多様化が進んでいる。野村證券では、経営施策としてのM&Aが定着しつつあるため、今後も高水準でM&A活動が続くとみている。
「2005年の日本企業に関連するM&Aの動向」の詳細は↓
http://www.nomuraholdings.com/jp/news/press/nsc/20060113/20060113.pdf