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生産性の向上につながる企業のWLB推進

経営関連情報 - 2009年04月24日

 東大社会科学研究所は昨年12月、首都圏に居住する20~44歳の民間企業で働く男女正社員2800人を対象に「働き方とワーク・ライフ・バランス(WLB)に関する調査」を実施した。その結果から、企業のWLB推進は、(1)生産性や組織コミットメントの向上につながる、(2)人材活用のリスク低減に貢献する、(3)WLB推進には職場マネジメント改革が必要、(4)WLB支援に関わる施策はハードよりソフトが鍵、などの提言をした。

 社員のWLB満足度が高まると、業務裁量性や効率的な業務管理、生産性の向上に寄与し、組織へのコミットメント、勤続意向、職場満足など、企業の人材活用において有益な効果がもたらされる可能性が高いとしている。したがって、WLB推進は、社員の満足度や採用における魅力度向上にとどまらない効果が期待され、好不況に関わらず、企業が取り組むべき課題だと提言している。

 調査結果では、仕事の生活の調和が図れないことによる困難を6割超の社員が経験しており、こうした現状においてWLB推進に取り組むことは、長時間労働によって社員が健康を害するリスクや、社員が自己啓発に取り組めないことによって生じる企業資源の相対的劣化などのリスク回避につながり、企業の人材活用におけるリスク低減のために極めて重要であると指摘している。

 また、マネジメント改革によってWLBが実現できる職場風土を定着させるためには、働きぶりの評価基準など人事考課(仕事の量でなく、時間生産性や仕事の質、さらにコミュニケーションの改善への取組みの評価など)の見直しが不可欠。これらを人材活用としてだけでなく、重要な「経営課題」として全社的に取り組むことを求めている。そのほか、(4)に加え、「社会が一体となって取り組むことがWLB推進の近道」と提言している。

 これらの詳細は↓
 http://wlb.iss.u-tokyo.ac.jp/report.pdf