税 務 関 連 情 報

2003年04月28日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(48)

『所得税における水平的公平性について』(9)

 前回は、事業所得者は所得分割をいくらでも行え節税できる、という批判の根拠は、マクロ的な姿をみる限り、否定はできないものの、限定的ではないだろうか、という報告書の推察を紹介した。

★給与所得者のほうが高い課税最低限

 次に、業種・世帯業態による税負担への影響をみていく。まず、モデルケースにおける税負担等の業種間比較を行う。夫婦子二人の標準世帯の片稼ぎのケースをみると、給与所得者で393万円、事業所得者では326万円(白色申告の場合は266万円)と、給与所得者のほうが課税最低限は高い。両者の最大の相違点は、給与所得控除と青色申告特別控除の適用の差で、その額は77万円である。また、社会保障制度の違いによっても差異は生じている。

 それに対して、共稼ぎ世帯で、本人が配偶者とともに課税最低限以下になるケースでの比較では、給与所得者世帯で437万円、事業所得者世帯で353万円と、その差は84万円に拡大する。ここで税制上留意を要するのは、事業所得者の配偶者控除の適用はその所得額にかかわらずなくなるが、給与所得者は配偶者の収入が103万円に達するまでは配偶者控除の適用があることである。したがって、課税最低限、すなわち低所得者に対する制度上の比較では、給与所得者のほうがより有利だとしている。

 また、同じだけの税引き前所得を世帯で稼得した場合に、片稼ぎと共稼ぎ、給与所得者・青色事業者・白色事業者世帯それぞれにおいて、世帯で支払う税負担の差異をみると、税負担額は給与所得者、青色事業者、白色事業者の順に高くなる。また、基本的には共稼ぎのほうが税負担は少なくなるが、白色事業者世帯ではその限りではない。これは、配偶者への給与が原則損金として認められず、白色専従者給与として86万円のみが認められる一方、配偶者が得た給与は全額課税されるからだ。

(続き)

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