50ヵ国の潜在競争力ランキング、日本は14位と低迷
潜在競争力とは、「今後約10年間にどれだけ1人あたり国内総生産(GDP)を増加させるか」を測ったもので、経済成長の結果ではなく、各地域がどの程度成長できるかという将来の成長の可能性を表している。日本経済研究センターが作成した「50ヵ国の潜在競争力ランキング」によると、2010年調査では、1位は香港、2位はシンガポール、3位が米国となり、日本は総合で14位と、2009年調査と変らず低迷している。
ランキングの作成にあたり、競争力の総合的な指標として、1人あたり国内総生産(GDP)増加額を取り上げた。その競争力(1人あたりGDP増加額)を大きくする要因として、(1)国際化、(2)企業、(3)教育、(4)金融、(5)政府、(6)科学技術、(7)インフラストラクチャー(社会資本)、(8)IT(情報技術)の8項目を選定し、これらをもとに、主成分分析を使って総合潜在競争力指数(偏差値)を作成している。
1位の香港は、「国際化」と「金融」が1位、「企業」と「インフラ」が2位のほか、全般的に順位が高い。一方、日本は、「科学技術」(2位)と「企業」(5位)以外は10位以下で、「国際化」の順位が前年の16位から18位に下がった一方、「政府」が30位から26位に上がった。計算対象年の2008年の財政赤字のGDP比が他国と比べて相対的に低かったためだ。2009年は赤字が膨らむため、先行きの競争力を押し下げる要因となる。
日本は、1980年6位、1990年9位の後、2000年には15位まで後退した。その後2008年には12位まで戻したが、80年の6位、90年の9位に比べれば依然低い。トップの香港は2006年調査以来6年連続首位となった。総合ランク4位以降は欧州勢が上位を占める。中国は、2009年調査の35位から1位上昇して34位となった。GDP規模では日本を抜いて世界第2位となったが、1人あたりGDPの水準は低い。
潜在競争力では、経済発展が遅れている内陸部も含めた国の経済力を測っていることも、中国の順位が低い理由となっている。ちなみに、人口要因を考慮したランキングを作成すると、中国が圧倒的に強い。2位が米国、3位がインド。日本の順位は意外と高く4位だ。日本の人口は50ヵ国中8位で、欧州諸国や香港、シンガポールなどの都市国家よりは人口が多く、人口を加味した指数では高くなる。
同ランキングの詳細は↓
http://www.jcer.or.jp/research/world/index.html