国民生活金融公庫が22日に発表した「新規開業企業を対象とするパネル調査」では、公庫融資が呼び水となって、民間金融機関の融資を引き出していることがわかった。同調査は、同公庫融資先のうち2001年に開業した2181社(不動産賃貸業を除く)を継続調査先として、今回の調査時点の2004年12月に1319社から回答を得た。新規開業企業を対象とするパネル調査は日本では初めて。
一般に、新規開業企業に対する融資はリスクが高いとされているが、2001年に同公庫の融資を受けて開業した企業の存続・廃業状況を追跡したところ、2004年末時点で存続企業は84.2%だった。一方、廃業企業は12.6%となっており、あらためて新規開業企業向けの融資が相対的に高い分野であることを裏付ける結果となった。廃業した企業も含めた従業者数は、開業時の平均3.9人から2004年末の5.4人と1.5人増加している。
また、開業4年目を迎え、新規開業企業の業績の格差が拡大している。2001年から2004年にかけての売上高増減率がもっとも高い81.83%以上の「好調企業グループ」では、黒字割合が開業時の42.2%から81.8%まで高まり、従業者数も平均10.7人と6.3人増と大幅に増加しているのに対して、売上増減率が最も低い▲7.69%以下の「不振企業グループ」では収支は悪化傾向にあり、従業者数も3.9人から3.8人へ減少している。
1企業あたりの金融機関からの借入残高の推移をみると、開業時には同公庫への依存度が高いが、2004年末には公庫が598.7万円、民間金融機関が659.3万円と残高が逆転している。特に「好調企業グループ」では民間金融機関からの借入残高が開業時の230.1万円から1323.3万円へと著しく増加しており、好調企業への融資に関しては、公庫が民間金融機関に対して新たな市場を提供しているとみている。
同調査の詳細は↓
http://www.kokukin.go.jp/pfcj/pdf/s_kaigyo171122.pdf