東京商工会議所が昨年11月中旬に実施した「原油・素材価格の高騰が中小企業に与える影響に関する調査」結果(有効回答数873社)によると、原油・素材価格の上昇分を「価格転嫁できなかった」とする企業が47.3%と約半数を占めたことが分かった。「ほぼ転嫁できた」とする企業は5.5%、「不十分だができた」企業(23.6%)を合わせても、価格転嫁できたとする企業は約3割にとどまった。
価格転嫁できなかった最大の理由は、「同業他社との競争が厳しい」が52.1%ともっとも多く、次いで「販売先に販売価格の引上げを言い出せる状況ではなかった」が28.5%となっており、「コストダウンを図り、なんとか自社内で価格上昇分を吸収できた」とする企業は8.8%と少数にとどまり、厳しい経営環境がうかがわれる結果となった。「同業他社との競争が厳しい」は、「建設業」(62.9%)や「卸売業」(60.0%)に多い。
原油・素材価格の高騰が業績に与える影響については、「すでに深刻な影響が出ている」が19.2%、「ある程度影響が出ている」が43.1%と、合わせて6割を超える企業に影響が出ており、「今後影響があると思う」(22.8%)を含めると、85%の企業が影響があると回答している。「当面対応できる」と回答した企業は8.5%にとどまり、今後の業績に悪影響を及ぼす懸念が高まっている。
原油・素材価格の高騰による直接費・間接費の上昇の程度は、「5%以上10%未満」が40.1%を占めもっとも多く、次いで「0~5%未満」が37.7%だった。業種別にみると、「製造業」において「10%以上上昇する」と回答した企業の合計割合が34%と、他業種に比べ影響が高い。なお、価格転嫁以外にとっている対策(複数回答)は、「経費の削減」(67.5%)が、次位の「役員報酬の調整」(23.7%)を大きく引き離してダントツのトップだった。
同調査結果の詳細は↓
http://www.tokyo-cci.or.jp/kaito/tosho-keikyo/h19/200212-2.pdf