厚生省はこのほど「中小企業退職金共済制度(中退法)の加入対象者の範囲に関する検討会」を開き、同居親族のみを使用する場合でも、使用従属関係にある場合であれば、「従業員」として中退法の適用対象とすることが適当ではないか、との考えを示した。これまで、同居親族のみを使用する事業については、使用従属関係の存在可能性やその確認方法が整理されていなかったため、制度への加入を認めてこなかった。
検討会開催に先立ち同省が実施した調査結果(有効回答数730社)によると、同居親族のみを使用する事業においても、(1)同居親族の約8割が、仕事の内容・方法について事業主に具体的な指示を受けていること、(2)同居親族の9割弱が、事業主の指揮監督の下で行う労働に対して報酬が支払われていること、(3)同居親族の6割以上が事業主自身や他の従業員と同じくらいか、それ以上の労働時間就労していること、が分かった。
このように、同居の親族のみを使用する事業でも、事業主の指揮監督下で労務を提供している者や労働に対して報酬が支払われている者が少なからず存在する可能性が明らかになったことから、中退法上の「従業員」として取り扱うことを検討すべきだとしている。ちなみに、現行の中退法における「従業員」については、同居の親族のみを使用する場合には労働者に含まれないとする労基法等の解釈と同様に取り扱っている。
なお、取扱いの変更の検討にあたっての実務上の課題として、(1)使用従属関係の具体的な認定要件、(2)同居の親族のみを使用する事業については、一般的に就業規則、雇用契約、賃金台帳等の作成義務がないため、加入に際し、使用従属関係を満たすことを、適切に確認するための手段や手続きの検討、(3)同居する従業員の退職の観念・認定する方法の検討を挙げたほか、共済契約者、被共済者等の負担にも留意が必要としている。
同検討会での「調査結果の報告」や「論点と考え方の整理等」は↓
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/s0527-11.html