倒産件数は全産業でみれば減少傾向が続いているが、酒やビールなどの卸売や小売を行う酒類販売業では、やや増加傾向がみられる。東京商工リサーチがこのほど発表した酒類販売業の倒産動向調査では、酒類販売業の倒産件数は10年間で1478件だが、構成比は2003年度に最高を記録した。同調査は、1994年4月から2004年3月までの10年度分の倒産統計データを分析したもの。
調査結果によると、酒類販売業の倒産件数は、2003年度までの10年間で卸売業269件、小売業1209件の合計1478件発生した。年度ごとでみると、ピークの185件に達した2000年度以降、2002年度までは減少をたどったが、2003年度で再び増加に転じている。また、全倒産に占める構成比でみると、やはり2000年をピークに減少したものの、2003年度に期間内最高の1.04%を記録した。
倒産した企業の規模をみると、資本金別では「1千万円未満」が79.1%、負債別では「1億円未満」が67.5%、年商別では「1億円未満」が63.7%、従業員数別では「10人未満」が91.8%となっている。全産業の平均値と比べても小さく偏っている数値となり、酒類販売業の倒産は小規模零細業容が多いことがうかがえる。
形態別にみると、銀行取引停止処分が77.8%を占め、全産業平均74.2%より高いのが特徴だ。決済が業界慣習的に依然として手形取引が多いことがその一因とみられている。
なお、2004年は上半期(1~6月)の倒産件数は92件と、これまで同期で過去最多だった2001年と同数発生しており、小規模零細店舗を中心に今後の倒産増加が懸念されている。