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3月1日から施行される労働契約法

経営関連情報 - 2008年02月25日

 就業形態が多様化し、労働者の労働条件が個別に決定・変更されるようになり、個別労働紛争が増えている。このような状況下、労働契約についての基本的なルールが分かりやすい形で明らかにされた「労働契約法」が昨年12月に制定され、3月1日から施行される。同法は、労働契約の締結、変更、継続・終了など、労働契約について全般的に民事的なルールをまとめたものだ。

 同法によると、労働者と使用者が「労働すること」、「賃金を払うこと」について合意すると労働契約が成立する。労働契約を結ぶ場合に、使用者が、合理的な内容の就業規則を、労働者に周知させていた場合には、就業規則で定める労働条件が、労働者の労働条件になる。しかし、使用者が就業規則を机の中にしまっていて、労働者が見たくても見られない場合などは、周知されていないので、その就業規則は労働者の労働条件にはならない。

 また、労働契約を変える場合、特に就業規則の不利益変更に関しては、自由に労働条件を変えられるとする「使用者の誤解」などが個別労働紛争につながっていることを重視し、同法においてルールを定めている。労働者と使用者が合意すれば、労働契約を変更できるが、使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできないことを明記している。

 使用者が、就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、(1)その変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、労働組合等との交渉の状況などに照らして合理的、(2)労働者に変更後の就業規則を周知させる、ことが必要となる。これらの要件を整えれば不利益変更が可能だが、その判断にあたっては、個別具体的事案に応じて合理性が総合的に考慮されることになる。

 労働契約法のポイント(厚生労働省)は↓
 http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/roudoukeiyaku01/dl/07.pdf