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税務関連情報 (2005/07/06)

留保金課税停止措置の「自己資本比率」にミス多発

 同族会社の留保金課税は、一定要件を満たす中小企業に対しては特別税率での課税が停止されている。2003年度税制改正において、自己資本比率(総資産に占める自己資本の割合)が50%以下の中小法人(資本金1億円以下)が停止措置の適用対象に加えられたが、最近、その自己資本比率に関するミスが多発しているようだ。申告後に停止措置の対象になると気づいても、更正請求しての還付は認められない。慎重な対応が求められる。

 留保金課税不適用の判定の基礎となる自己資本比率は、「自己資本/総資産×100」で計算するが、「経営指標としての自己資本比率」とは異なり、分子の「自己資本」のなかに、同族株主等からの負債(社長借入金・子会社借入金等)が含まれる。ただし、同族株主の判定の基礎となる株主等と特殊関係にある個人や法人であっても、その同族会社の株式(出資)を持たない場合は同族株主等に含まれないとされている。

 これをうっかり失念して、加算しなくてもいい借入金を加えたため自己資本比率が50%以上となって、留保金課税の停止措置を適用しなかった例も少なくない。そのほか、1)自己資本に加える同族株主等からの負債は原則として有利子負債に限定されるのに、すべての負債を加えて50%超となった、2)自己資本比率の算定は、前期末の貸借対照表を基にすべきところを、当期末のもので算定して50%超となったケースなどがある。

 また、留保金課税を回避する目的での借入金による自己資本比率調整は否認される可能性があるので注意したい。つまり、自己資本比率を低下させるために、同族株主等以外から借入れを行って期末の総資産額を増加させ、翌期に返済するなどといった行為については、その借入金自体がなかったものとみなされる可能性がある。留保所得に係る税務上の取扱いは、税理士など専門家への相談が不可欠である。