大阪信用金庫が3月上旬に実施した「中小企業の雇用への取組み姿勢に関する調査」結果(有効回答数1308社)によると、従業員過不足感は、「不足」が19.8%と「過剰」(15.6%)を4.2ポイント上回った。また、64.6%と6割以上が「適正」と回答しており、従業員過剰感がある企業が2割に満たないことから、景気悪化が深刻化するなかでも、中小企業においては、人材雇用ニーズは一定割合存在していることがうかがえる。
業種別にみると、従業員不足感が高いのは、「サービス業」(28.3%)、「小売業」(22.7%)、「飲食業」(22.6%)、「建設業」(22.6%)で、特にサービス業では3割近くが従業員不足と感じており、従業員の確保が経営課題となっている企業もある。反対に過剰感が高いのは、「製造業」(21.6%)、「卸売業」(19.9%)、「運輸業」(19.6%)などで、大手メーカーの原産措置の影響で受注減少に苦しむ製造業では、過剰感が特に高い割合となった。
従業員不足感のある企業の64.5%では「正社員」が不足しているが、実際に「正社員を増員」した企業は従業員不足企業の49.5%にとどまる。これらの企業の経営課題は、コストアップを懸念して思い切った採用ができないことだ。正社員を増員していない企業では、「派遣社員等の増員」(4.8%)や人員増加以外の「その他の方法」(15.1%)で対応、雇用ニーズがあっても正社員採用に踏み切る企業は少なくなっている。
一方、従業員過剰感のある企業では、6割以上(66.8%)が「正社員」が過剰と回答。対応として、「定年退職後の再雇用の中止・打切り」(20.1%)、「ワークシェアリングの実施」(17.6%)などに取り組んでいる。また、従業員が適正と回答した企業でも、「残業時間の削減」(33.4%)や「労働時間の短縮」(25.9%)などのコスト削減に取り組んでおり、コスト削減で人員余剰が生じないように工夫している企業があるようだ。
同調査結果の詳細は↓
http://www.osaka-shinkin.co.jp/news_21/report/tkbt_210407.pdf