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経営関連情報 (2006/11/27)

期待される動産担保を活用した資金調達

 これまで、中小企業が金融機関から資金を借り入れる際に提供する担保は、不動産が一般的だったが、近年、在庫や売掛債権など、不動産以外の資産を担保とした資金調達が増えているという。こうした資金調達方法が定着すれば、不動産を持たない中小企業の資金調達がより容易になることも期待できる。不動産以外の資産を担保として利用した資金調達手法を概説するのは信金中金総研のレポートである。

 同レポートによると、在庫等を担保とした資金調達手法は、調達金額、業種、商品の性質などによって様々なバリエーションがあるが、中小企業の場合、在庫等を担保に借入する形式が多い。在庫等に担保を設定しても、企業は原則として設定前と同じように在庫の販売ができ、また、売掛債権についても、企業が企業の名義で回収し、売掛先に担保権を設定したことを通知する必要がない場合が多い。

 担保として利用できる資産の種類は様々だが、これまでの実施例では、製造業・卸売業の在庫や売掛債権を担保としたものが多い。これは、製造業・卸売業では在庫と売掛債権の両方が発生することが多く、かつ安定した販売先がある場合が多いためと考えられる。これまでの実施例をみると、在庫等を担保として資金調達をしたことが、その企業の信用不安につながる可能性は低いものとみられている。

 以前から、金融機関の融資は不動産担保に過度に依存しており、中小企業の事業内容や将来性を適切に評価していないとの批判があった。この批判に応える形で、現在、多くの金融機関が、不動産以外の資産を担保とした融資への取組みを強化している。レポートは、このような取組みが中小企業の資金調達手段の多様化につながるか否かは、金融機関と中小企業が協力して適切な実務慣行が構築できるかにかかっていると指摘している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.scbri.jp/PDFsangyoukigyou/scb79h18F12.pdf