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堅調に推移する金の国際価格~内閣府

経営関連情報 - 2009年05月13日

 昨年秋以降、未曾有の金融危機の影響で世界景気が後退していることを背景に、株式や不動産、原油、穀物などの価格が軒並み大幅に下落しているなかで、金価格は堅調に推移している。こうした金の国際価格の動向を分析したのは内閣府のレポート。同レポートによると、金は戦争や金融危機など世界経済の不安が高まると買われやすいと言われる。こうした傾向を検証していく上で、過去の金価格の推移を振り返っている。

 1980年前後、第2次オイルショックによるインフレやソビエト連邦のアフガニスタン侵攻を背景に金価格は一時急騰した後、1980年代半ばにかけて、インフレの沈静化やドル高、金利高などを受けて金価格は下落基調で推移。1985年のプラザ合意以降は、ドル安の進展などで金が買われる局面もみられたが、1990年代に入り、冷戦の終結や、欧州各国の中央銀行による金の大量売却などを背景に、金価格は総じて下落基調で推移した。

 しかし、その後、1999年にワシントン協定で中央銀行の金売却に制限が設けられ、また、2001年には米同時多発テロが発生し、不安心理が高まるなど、金価格は上昇に転じた。さらに、2003年には金ETF(上場投資信託)が登場し、年金基金や富裕層などの資金が集まり、その需要が増加する中、経済成長の著しい新興国の需要や、投機資金の流入もあり、金価格は2007年に史上最高値を更新した。

 2008年9月のリーマン・ブラザーズの経営破綻時には、金価格は一時的に大きく下落したものの、その後、世界的な金融不安が広がる中で金価格は堅調に推移している。その背景としては、信用リスクのない金が資金の逃避先の一つとして選ばれたこと、各国の大規模な財政出動で財政悪化懸念が広がり、各国通貨に対する不信感が高まったこと、各国の政策金利の引き下げで金利が低下していることなどが指摘されている。

 金と他の投資対象資産の価格変動を比較すると、金は相対的に堅実な動きとなっている。また、金は他の投資対象資産の変動に対しても相関関係は一定していない。このことから、他の投資対象資産と長期的に値動きの傾向が異なる金は、リスク分散を図ろうとする投資家の運用の受け皿の一つにもなりうる。金融不安が終息しないなか、安全資産とされ、様々な投資家から活発に資金が流入する金の動きが今後も注目される。