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税務関連情報 (2006/05/01)

役員給与の見直しにより遡及増額は廃止の方向に

 2006年度税制改正によって、損金算入できる役員給与が、1)定期同額給与(これまでも損金扱いだった定時定額給与)、2)事前確定届出給与(事前届出に基づき、所定の時期に確定額を支給する給与)、3)利益連動給与(同族会社は除かれる)の3つに整理され、損金算入範囲が拡大された。これに伴い、これまで通達により認められていた増額改訂に伴う遡及分の一括支給の損金処理が廃止される方向にある。

 これまで役員報酬の損金処理を認めていた定時定額要件が定期同額給与となったが、その要件は「支給時期が1月以下の一定期間ごとで、その各支給時期における支給額が同額である給与その他これに準ずるものとして政令で定める給与」とされた。そこで政令は、事業年度開始から3月以内の改訂であれば、改訂前、改訂後のそれぞれの支給額が同額である定期給与を損金処理できる役員給与と定めている。

 また、その法人の経営状況が著しく悪化したことなどにより減額改訂した場合の減額後の支給額が同額のものと、継続的に供与される経済的利益の額がおおむね一定のものも定期同額給与要件の準ずる給与としている。3月以内の改訂とは株主総会や取締役会決議を想定したものだが、これらの規定からは、これまで中小会社が慣行としてきた増額改訂に伴う遡及分の一括支給がみえてこない。

 遡及増額分の一括支給は、例えば6月に決議した増額改定であれば、4月、5月分に遡及して6月に上乗せして一括支給するものだ。だが、今回の政令で定めた要件には該当しないことから、これを認めた通達も廃止される方向にあるとみられている。今後は、増額分を一括支給したい場合は事前確定届出給与で対応し、定期同額給与の場合は、例えば4月、5月の遡及増額分を6月以降の10ヵ月で均等に上乗せすることになろう。