地球温暖化や原油価格高騰などを背景に環境税導入の必要性を指摘する声が強まっているが、国税としての議論は遅々として進まない。そんななか、東京都知事の諮問機関である都税制調査会は11月29日、都独自の環境税導入を提案する中間報告をまとめ公表した。ガソリンや軽油など化石燃料の消費に課税するなど4案を提示し、税収は二酸化炭素(CO2)排出量の削減や都の緑化施策などに充てる考えを示した。
提示された都独自の環境税は、1)ガソリン、電気、ガスなど化石燃料の消費へ課税、2)電気、都市ガスの使用量に応じた課税、3)自動車からのCO2排出量に着目した自動車税の超過課税、4)緑や森林による広範な受益に着目した都民税均等割りの超過課税、の4案。財源確保のための課税には施策のグランドデザインが重要であり、施策の具体化の状況を踏まえつつ、税収の使途などを含め、引き続き検討していく考えだ。
都は昨年12月、「10年後の東京」として新たな都市戦略を示し、これを実現するための目標として、「世界でもっとも環境負荷の少ない都市を実現する」、「水と緑の回廊で囲まれた、美しいまち東京を復活させる」などを掲げた。今回の都独自の環境税の提案は、こうした都における環境施策の新たな展開を踏まえ、都独自の省エネ促進税制のあり方について、改めて幅広く検討を行ったものだ。
都税調は、4案について検討したが、現時点で結論を出すには至らなかったとして、今後は、道路特定財源との整合性や課税の公平性などの課題を含めて引き続き検討を深め、来年度を目途に最終報告を取りまとめる予定だ。中間報告は、環境問題は国を挙げて取り組むべき問題だが、大量のエネルギーを消費している東京が、税を含め、国に先駆けた取組みを進めていく意義は大きいと指摘している。
都税調の中間報告の全文は↓
http://www.tax.metro.tokyo.jp/oshirase/2007/20071129.pdf