税 務 関 連 情 報 |
2002年09月30日-002
デフレ対策には法人税率引下げよりも「支出減税」が効果的
10月に先送りされた政府のデフレ対策の焦点は「不良債権処理の強化」と「先行減税の中身」だが、第一生命経済研究所が24日に公表したレポートの中で、デフレ対策には「支出減税」が最も効果的だと主張している。支出減税とは、設備投資・研究開発の支出を条件に、その一定額を課税所得から控除する形の法人税減税のこと。以前から財務省が提示していた先行減税1兆円論での研究開発・投資減税などの3年間の時限的減税がこれに当たる。
経済財政諮問会議の民間議員の提言では、法人税率の引下げを中心とした恒久減税の実現でのネット減税を主張しているが、レポートは、単なる法人税減税(法人税率の引下げ)では、それが設備投資を刺激する効果は薄いと考える。厳しい経済環境の中で、法人企業のキャッシュフローは、設備投資などの支出に回るよりも、債務返済の形で貯蓄される指向が強まっていると指摘。単なる法人税減税では、キャッシュフローは厚くなっても、総需要刺激にはつながりにくいとの考えだ。
しかし、支出減税であれば、法人税減税とともに、総需要が拡大し、他の経済活動から所得税・法人税・消費税が得られる副次的効果がある。財務省が提示していた時限的減税は、こうした支出減税を意図しているが、これを恒久減税にも拡張すべきだとの主張である。減税は、総需要拡大に寄与する形でなければ、単なる財政赤字の拡大で終わってしまうとの懸念を示している。
もっとも、諮問会議の民間議員は、「法人税率引下げで増加する利益をひたすら借金返済に回す企業は、生産拡大で得られる利益をフイにすることになり、合理的な企業はそのようなことはしない」と法人税率引下げの必要性を述べている。さて、どちらの主張が正しいのだろうか。
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