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中小企業の適格年金の上手な移行の仕方

経営関連情報 - 2008年05月12日

 適格年金制度は、2012年3月に廃止されることが決まっているが、中小企業ではその緊急性を認識していない企業が多い。適格年金の上手な移行の仕方を提案するのは、りそな総研のレポートである。移行しない場合は、積み立てた退職金が従業員に強制的に分配されるなどの事態も予想される。また、適格年金の移行手続きには最低半年が必要で、制度の見直し等をいれれば1年を超えてしまうという。

 移行について本腰を入れるべき時期が来ていると指摘。適格年金から移行できる選択肢はいくつかあるが、レポートは、中小企業の場合、現実的には(1)中小企業退職金共済制度(中退共)、(2)確定拠出年金(401k)のどちらか2つを選択するか、または組み合わせるのがベストだとしている。移行にあたっては、専門的な制度設計が必要となるケースが多いので、コンサルタント会社などに相談することを勧めている。

 そのほか、退職金の積立手段として、中退共と同様な制度で地方自治体が独自の制度を持っている場合があることを紹介している。例えば、埼玉県川口市や兵庫県姫路市、札幌市、名古屋市などだ。これらの制度は適格年金の移行の受け皿にはならないが、中退共と並行して積み立てることは可能だ。中退共を上回る運用レートの設定を行っているケースもあるので、該当する場合は検討の余地がありそうだ。

 レポートは最後に、適格年金の移行にあたって制度面と税制面での確認の必要性を挙げている。適格年金の移行を機会に、例えば退職金の水準を改善したり、ポイント制の導入を検討する場合などには、退職金制度自体及び退職金規程の見直しが必要となる。また、退職給付会計を導入している企業にとっては、退職金の移行や制度見直しに伴う税制上の対応について、顧問税理士等に確認することを勧めている。