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税務関連情報 (2004/06/30)

銀行123行、税効果会計で7兆円の資本増強

 繰延税金資産は、将来黒字ならば、そのときに納めるべき税金を先に納めた分で相殺することができるので資産とみなしているわけで、“絵に描いた餅”という面があることは否めない。業績が見込めなければ、こつ然と消えてしまう性質のものといえる。昨今、銀行の自己資本比率の査定で問題となるのは、資本の部合計に対する繰延税金資産の比率である資本依存度が高いからだ。

 帝国データバンクがこのほどまとめた銀行123行の税効果会計の実態調査によると、123行の2004年3月期の繰延税金資産合計額は7兆3347億9500万円で、資本依存度は26.4%となった。2003年3月期(対象126行)の繰延税金資産合計額は10兆7397億7100万円、資本依存度47.0%だったから、ともに大幅に減少したことになる。

 業態別では、大手11行の2004年3月期の繰延税金資産合計額は5兆4861億7900万円で、資本依存度は36.5%となった。繰延税金資産が最も大きかったのは「三井住友銀行」(1兆5905億1800万円)、次に「UFJ銀行」(1兆2119億4600万円)の順。資本依存度が最も高かったのは「UFJ銀行」(92.9%)、次に「三井住友銀行」(55.4%)、「UFJ信託銀行」(54.0%)の順となっている。

 また、地銀63行の繰延税金資産合計額は1兆2965億7500万円で、資本依存度は12.6%。繰延税金資産が最も大きかったのは「北陸銀行」(959億1700万円)、資本依存度が最も高かったのも「北陸銀行」(50.6%)だった。第二地銀49行の繰延税金資産合計額は5520億4100万円で、資本依存度は22.2%。繰延税金資産が最も大きかったのは「福岡シティ銀行」(308億1000万円)、資本依存度が最も高かったのは「びわこ銀行」(67.8%)だった。