大阪市信用金庫が大阪府下一円の取引先を対象に実施した「中小企業における2006年の賃上げ状況」(有効回答数1080社)によると、「賃上げを実施する」とした企業は30.8%で、昨年に比べ7.6ポイント増となり、3年連続の増加となった。一方、「賃下げ実施」企業は3.5%で、昨年に比べ0.5ポイント減少し、同データを取り始めた1998年以降もっとも少なくなった。「据え置き」企業は65.7%と3社に2社だった。
業種別にみると、「賃上げ実施」企業は、「卸売業」(36.5%)と「サービス業」(36.2%)が比較的多いのに対し、「運輸業」は19.7%と特に少なかった。また、従業者規模別にみると、「賃上げ実施」企業は規模が大きくなるほど多くなっており、「10人未満」(22.1%)では2割程度であるのに対し、「50人以上」(51.6%)は5割を超えており、規模間の格差が大きい結果となった。
1人あたりの平均賃上げ率(単純平均)は全企業ベースで0.79%と、昨年に比べ0.20ポイント増となり、4年連続の増加となった。「賃上げ実施」企業ベースの平均賃上げ率は3.06%で、昨年(3.15%)とほぼ同水準。このように、賃上げ実施企業割合と平均賃上げ率がともに対前年比で上昇しており、今年の中小企業の賃上げ実施状況は景気の回復を反映した改善といえるが、改善ペースはやや抑制気味といえよう。
「賃上げ実施」企業が賃上げをする主な理由については、全体としてみると、「実際に業績が向上したため、それに応じた」(61.3%)とする企業が6割強を占めた。これに対し、「業績はよくなったといえないが、人材の定着や士気高揚のため」(26.1%)が4社に1社、「業績見通しが明るくなったので、それを先取りして」(12.6%)も1割を超えた。業種別にみると、「業績向上」は「卸売業」(70.0%)が7割に及ぶ。