国税庁はこのほど、移転価格税制に関する事前確認の申出や事前相談の取扱いをまとめ、同庁ホームページ上に公表した。事前確認とは、移転価格課税に関する納税者の予測可能性を確保するため、納税者が申し出た国外関連取引に係る独立企業間価格の算定方法やその具体的内容などについて、国税当局が事前に確認を行うことをいう。1987年にわが国が世界に先駆けて導入した施策だが、現在では30ヵ国以上で導入されている。
また、移転価格税制は、国外の関連企業(国外関連者)との取引を通じた海外への所得移転に対処し、適正な国際課税の実現を図るため、1986年度税制改正で導入された制度だ。その基本的仕組みは、法人と国外関連者との取引価格が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なることにより、わが国の課税所得が減少している場合に、その取引が独立企業間価格で行われたとみなして所得を計算するというものだ。
事前確認については、近年の国際取引の増加を反映し、その申出件数が増加してきていることから、国税庁では、担当者の増員など処理促進のための体制整備を進めてきている。また、これまでも、事前確認の申出の前に税務当局が相談を受ける事前相談を行っていたが、納税者がさらに積極的に活用できるように、このほど、事前相談の担当窓口を設けるなど、事前相談がより利用しやすい環境整備をしている。
そこで、今回ホームページ上で公表した手引書では、事前確認の申出や事前相談の手続きの流れ、実際に事前相談や事前確認を受け付ける国税当局の担当窓口の案内のほか、「外関連者」や「独立企業間価格」、「差異調整」といった12の用語についての解説を掲載。さらに、これまで税務当局に寄せられた問い合わせの中から、よくある質問とその回答を18項目掲載し、事前確認や事前相談を分かりやすく説明している。
同手引書の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/category/tutatu/apa/index.htm