公共工事の縮小、脱談合、さらには改正建築基準法による影響も加わって、建設業界の経営環境の厳しさが増している。帝国データバンクが発表した「建設業者の倒産動向調査」結果によると、2007年1年間の建設業者の倒産は前年比12.8%増の2939件となった。改正建築基準法の影響を要因とした倒産は全業種で14件発生、このうち建設業者が9件を占める。今年に入っても同様の倒産が発生しており、しばらく余波が続きそうだ。
倒産主因別にみると、2007年に倒産した2939件のうち、「不況型」倒産が前年比16.2%増の2509件と圧倒的多数を占めた。「不況型」倒産は年々増加傾向にあり、また構成比は85.4%と前年に比べて2.5ポイント増となるなど、業界の厳しい経営環境を反映する結果となっている。一方、「不況型」に次いで多かった「放漫経営」は129件で、前年比23.2%減、構成比も4.4%で前年比2.1ポイント減となっている。
地域別の前年比増加率をみると、「北陸」が43.9%増(件数118件)でトップとなった。以下、「近畿」が34.7%増(同780件)、「九州」が19.6%増(同329件)と続いている。また2005年以降、すべての地域で倒産件数が増加していることが分かった。構成比では「関東」が783件、26.6%でトップとなっているが、年々占める割合は低下しており、地方での倒産増加が顕著であることが浮き彫りとなっている。
負債規模別にみると、負債額「1000万円以上5000万円未満」が1077件(構成比36.6%)でもっとも多く、「5000万円以上1億円未満」は637件(同21.7%)となり、負債1億円未満の倒産が全体の58.3%と6割弱を占める結果となった。ただし2007年は、「10億円以上50億円未満」が前年比17.6%増、また、50億円以上の大型倒産も12件(前年6件)発生しており、このことも厳しい業界環境の一端を表しているといえる。