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経営関連情報 (2006/03/20)

仕事基準の賃金(役割・職務給)導入進む

 社会経済生産性本部が上場企業の人事労務担当者を対象に実施した「日本的人事制度の変容に関する調査」結果(有効回答数254社)によると、仕事基準の賃金である役割・職務給の導入が進んでいることがわかった。管理職層では1999年調査時点での導入率21.1%に対し、2005年では61.0%と、この5年間で3倍近い増加。非管理職層も同じく17.7%から40.9%へと2倍強の増加となっている。

 また、管理職層の役割・仕事給は、約4割(40.6%)が「査定による洗い替えで昇降給がある制度」となっており、非管理職では「査定による積み上げ昇給」が41.3%ともっとも多いものの、「査定による洗い替えの昇降給」も2割強(23.1%)を占めている。しかし、運用上の課題として53.8%の企業が「役割の見直しに伴う降格や降給がやりにくい」を挙げており、実際には成果主義的な運用はむずかしいようだ。

 成果主義の導入については、「業績や成績により、賃金・賞与で相当の格差がつく」という企業は86.2%と9割近くを占めた。こうした企業では、客観性・納得性の高い業績評価やプロセス評価の整備が進められているものの、約5割(49.8%)は「現場での評価能力にバラツキがあり、適正な評価ができていない」、また、5割強(52.5%)は「評価結果に対する苦情や異議申立てがしにくい組織風土」と感じている。

 職種別賃金(事務・営業・製造など職種に応じた、異なる賃金体系を設定する制度)の導入は19.7%で、2004年調査時点の12.3%よりやや増加した。産業別では、特に第三次産業が25.6%と高く、なかでも「卸・小売業」が28.2%という高い導入率となっている。職種別賃金制度の運用上の課題としては、「職種ごとの賃金水準の設定が困難」(41.3%)や「賃金水準の低い職種の従業員のモラール低下」(32.6%)などが挙げられた。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20060316-1.html