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経営関連情報 (2005/11/09)

人口減少時代に対応した雇用システム改革を提言

 2005年に入って、マクロ的に「余剰人員の時代」は終焉し、わが国雇用の現状は、必要な人材が不足する半面、一部では余剰人員が残るという「雇用のミスマッチ」が拡大する状況にある。この要因について、「人口減少時代への雇用システム改革」と題した日本総研のレポートでは、これまでの人材育成システムが機能不全に陥っていると指摘。このままでは、2005年までに520万人の人材不足が発生すると試算している。

 同レポートは、人口減少が労働市場に及ぼすインパクトとしては、労働力の供給量を減らすこと自体よりも、産業構造の変化を促して労働需要構造の質的変化をもたらすことの影響が大きいとみている。労働需要構造の変化に対応した新しい人材育成システムが構築されなければ、今後企業が中期的に期待している1%半ばの成長の達成に必要な人材(スキル)が、2015年までに520万人不足するとの試算を示している。

 新しい時代に適した雇用システムの構築ができなければ、潜在経済成長率は先行き10年以内に1%を下回り、労働生産性のスピードも低下し、一人あたり実質所得の低迷を余儀なくされることになる。このとき、女性・高齢者・外国人の活用により労働力供給を増やしていれば、ミスマッチの一層の深刻化により、「人口減少下の高失業」という皮肉な結果をもたらしかねないと警告している。

 人口減少下で労働生産性の向上を実現していくには、人口減少時代到来が要請する「労働力の多様化」、「労働需要の高度化・柔軟化・流動化」に対応した必要な人材が十分に供給される必要がある。そのためには、これまでの「人基準の正社員重視システム」から「仕事基準の多元的雇用システム」への転換が不可欠な条件であり、多元的雇用システムが十分機能するには、企業外の社会的人材育成インフラの整備が必要と提言している。

 同レポートの詳細は↓
 http://www.jri.co.jp/press/2005/jri_050930.pdf