中小企業の事業再生を支援する「改正産業活力再生特別措置法」の施行期日を定める政令が6月12日に公布され、施行日は6月22日となった。改正産業活力再生法では、新たに「中小企業承継事業再生計画」を創設し、「第二会社方式」によって事業の再生・継続を図ろうとする中小企業の計画を主務大臣が認定。認定を受けた計画に基づいて実施される事業譲渡や会社分割について、登録免許税や不動産取得税を軽減する。
「第二会社方式」とは、経営困難に陥っている会社から、事業譲渡や会社分割によって採算見込みのある事業を分離し、その事業の再生・継続を図る手法。同方式による事業再生は、不良債権のリスクを負わず税務上の損金算入手続きが容易なことから金融機関の協力が得やすく、また、想定外債務のリスクを遮断することが可能なのでスポンサーの協力が得やすいこともあって、近年、中小企業における活用件数が増加傾向にある。
反面、「第二会社方式」では、事業譲渡や会社分割によって旧会社から事業を分離させることに伴い、(1)第二会社において事業譲受けの対価や事業継続に必要な運転資金を確保するために多額の資金調達を要する、(2)事業継続に必要な資産の移転に際して、税負担が発生する、(3)第二会社で継続を図る事業が行政庁の許認可等の対象となっている場合、改めて許認可等の取得申請を要するケースが多い、といった課題も存在する。
そこで、「第二会社方式」によって再生を図る計画(中小企業承継事業再生計画)の認定を受けた受け皿企業には、(1)許認可承継の特例、(2)税負担の軽減、(3)金融支援といった上記課題に対応した総合的な支援を行う。税負担の軽減では、会社分割による不動産の所有権移転登記の登録免許税を4分の1(0.20%)にするほか、不動産取得税は、事業譲渡に伴う土地の取得は2.50%(原則3.00%)、建物の取得は3.33%(同4.00%)に軽減する。
事業に関係する許認可継承の特例は、(1)中小企業承継事業再生計画の策定を検討する段階から、地方経済産業局が許認可行政庁の都道府県等と事前調整し、(2)計画申請後改めて協議し、同意を得ておく仕組み。会社側は計画通りに事業や許認可等の地位を承継し、この旨の報告を受けた経産局が都道府県等に通知することで許認可の空白期間を極力なくす。(1)の期間は3~6ヵ月、(2)は1ヵ月程度を予定している。