2003年09月19日-001
株券不発行制度導入で不要となる印紙税
法制審議会は10日に開催した総会において、株券不発行制度導入に関する要綱を電子公告制度の要綱とともに決定した。これを受けて法務省は、立法作業に着手し、今秋の臨時国会に商法改正案として提出、法案成立後来年4月からの施行を目指している。株券不発行制度とは、文字通り株券の発行を不要とする制度。企業は定款で株券を発行しない旨の定めをすればいい。
企業にとっては、株式発行のコストが削減され、資金調達や組織再編などの低コスト化・迅速化が見込まれるが、コスト削減で見逃せないのが株券発行に伴う印紙税の納付が不要になることである。印紙税法は、課税文書の作成者を納税義務者として、課税文書に印紙を貼り付けて納付する。つまり、印紙税法は紙の文書を前提としているのだから、株券不発行制度が導入されると、印紙税の課税ができなくなることになる。
現行の印紙税法では、株券や出資証券・社債券などに対し、記載された券面金額が500万円以下の場合の200円から、同1億円を超える場合は2万円まで、券面金額に応じて5段階で印紙税を課している。出資額が巨額になればなるほど印紙税負担も大きくなるわけだから、この面からも株券不発行制度は企業にとって大歓迎となる。
一方で、税収といった面からは、大幅な減少が不可避なだけに、印紙税に代わる何らかの課税方法が検討される可能性がなくもない。インターネットの急速な進展によって、企業間取引での様々な契約がペーパレスで行われる例が増えている。紙を前提とした印紙税法は、IT化社会の到来によって大きな曲がり角を迎えたといえよう。
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