国税当局は、これまで国税局(所)内の税務相談室や税務署の税務相談室分室及び所轄部門でそれぞれ個別に対応していた電話による税務相談について、国税局(所)ごとに設置する「電話相談センター」で集中的に受け付ける取組みを進めている。これは、原則として税目別の相談体制をとることにより、均一で質の高い、迅速な回答ができることから、回答までの待ち時間の短縮など、納税者の利便性の向上を図るためのもの。
電話相談センターは、2007年までに全国税局(所)に設置されている。2007年において、電話相談の集中受理は、全国524署のうち284署を対象としており、2008年には全税務署に拡大する予定だ。すでに、札幌、仙台、金沢、名古屋、高松、福岡、沖縄の7国税局(所)は集中化が完了し、税務署の税務相談室分室は閉鎖されている。大阪局は7月9日に分室を全て閉鎖し、翌10日にセンターに統合する。
広島、熊本局も定期異動日である7月10日に分室をセンターに統合する。もっとも、分室へかけた場合でも、大阪、広島局では10月末まではセンターへ自動転送する。また、熊本局では電話による相談についてはこれまでどおり大分、別府、宮崎、鹿児島各分室の直通電話が利用できる。また、東京局は、10月24日に分室を全て閉鎖し11月4日からセンターへ完全に移行する。
残る関東信越局も、現在、埼玉県以外は分室で対応しているが、来年3月までにはセンターに完全移行する。完全移行すると、税務署にかかってきた電話は自動音声の案内により、一般的な税務相談とそれ以外に区別され、一般的な税務相談の場合はセンターに自動転送される。なお、電話では対応が難しい複雑で個別の事実確認が必要な税務相談については、税務署で予約を受けた上で面接する「事前予約制」を導入している。
事前予約制は一般納税者だけでなく税理士も対象とし、税理士が予約する場合には、顧問先の氏名・名称、住所、相談内容などが求められる。ただし、税理士からの相談は、基本的には税理士会内部で対応してもらう方針。一般的な税務相談は税理士自ら解決するよう協力を要請しており、税理士会内部に設置している会員相談室の利用や、国税庁のホームページに掲載されている法令解釈通達・質疑応答事例・タックスアンサーなどの利用を呼びかけている。