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「運転資金の欠乏」が原因の倒産が10年間で最多

経営関連情報 - 2008年11月28日

 東京商工リサーチがこのほど発表した「倒産原因別の調査」結果によると、2008年1月~10月の倒産原因別では、件数は「販売不振」が前年同期比10.4%増の8471件で最多だったが、前年同期比増加率では「運転資金の欠乏」が同31.3%増(623→818件)でもっとも高かった。さらに「運転資金の欠乏」の件数は、1999年からの最近10年間において今年10月までの累計がすでに最多件数を更新している。

 最近の「運転資金の欠乏」の年次推移は、2003年の435件を底にして5年連続で前年を上回り増加している。「運転資金の欠乏」の月次件数をみると、2007年は1年を通して60件前後で推移していたが、2008年に入ってからは特に増勢傾向が強まり、1月と2月がともに68件、3月以降は80件台が目白押しとなり、9月91件、10月99件と90件台に達し、年末にかけて100件を上回る可能性も出てきた。

 また、「運転資金の欠乏」の前年同月比増加率では、2008年は1月が9.6%増と一ケタ増から始まって、2月が19.2%増、3月が17.3%増、4月が20.0%増と20%前後、5月が34.3%増、6月が30.3%増と30%台となった後、7月は42.5%増、8月は40.6%増、9月は56.8%増、10月は45.5%増と40%を上回るなど、徐々に上昇を続けており、今後の動向を注視する必要がある。

 倒産原因別における「運転資金の欠乏」の増加は、必要な資金を得られずに資金繰りに窮する中小企業の厳しい現状を反映した。こうしたなか、政府が追加経済対策として立ち上げた総額20兆円にのぼる中小企業向け信用保証の拡充は、資金繰りに苦慮する中小企業には“干天の慈雨”となることが期待されているが、これから年末の資金需要期を控えて即効性が発揮されるかどうかは、予断を許さない状況とみられている。