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税務関連情報 (2004/10/29)

金融所得課税の一体化では「金融番号」制度を導入

 来年度税制改正の焦点だった金融所得課税の一体化は、銀行や証券会社がコンピュータシステム導入の整備などで時間がかかることから、政府税制調査会が11月末に公表予定の答申での導入時期の明記が難しくなっている。このことから、金融一体課税の導入は2006年度以降となる公算が強くなった。また、損益通算の利用者に義務づけられる番号制度は「金融番号」とされ、損益通算に上限額を設けることも検討課題となった。

 金融一体課税では、現行で課税方法や税率が異なる金融商品を税率20%の分離課税に統一し、損益通算を幅広く認めることになる。最終的には預貯金の利子まで損益通算の対象に含めるため、損益通算の利用者には公正さを担保するための何らかの番号制度の適用が義務づけられる。いわゆる納税者番号制度のようなもので、住基番号や年金番号の活用も考えられたが、結局、独自の番号制度となるようだ。

 名称も「金融番号」となることが有力だ。目下のところは住基番号などとの接続は考えていない。納税者が自分の番号を申請して、税務当局が二重に使われていないかをチェックして付番をする。金融取引時には、この番号を納税者が金融機関に告知して本人確認する。税務当局では、金融機関から提出された番号記載の情報資料と、納税者が提出した番号記載の申告書の内容を突き合せて確認する流れだ。

 金融番号との命名について、石弘光政府税調会長は「内容をよく表し、短くてわかりやすい。まさに金融所得一体化のための番号だからいいんじゃないか」と自賛。また、損益通算の限度額については、「諸外国の例を参考にしつつ、年間の上限を設定する。上限額を超えた場合は、まだ何年かは決めていないが、翌年以降に繰り越すことも議論に入ってくる」と限度額の導入を示唆している。