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日商、親族外の事業承継円滑化など税制改革要望

税務関連情報 - 2009年06月24日

 日本商工会議所は18日の常議員会で「2010年度中小企業関係施策に関する要望」を決議し、公表した。重点項目の一つとして「企業活力増進のための税制改革」を求め、(1)中小法人税制等の拡充、(2)事業承継税制に係る税制措置の拡充、(3)地域の中小企業の活力増進を阻害する税制の是正、(4)簡素な税制による必要最小限の納税事務負担、(5)税制抜本改革への対応、の5項目を挙げた。

 事業承継税制については、2009年度税制改正は“大きな前進”と評価した上で、「親族以外の役員・従業員等を後継者とする事業承継にあたり、後継者へ自社株式を財産評価基本通達評価額より相当程度低い金額で譲渡すると、評価額と譲渡価額との差額に対し贈与税が課され、親族外の事業承継の妨げとなることがある」との問題点を指摘。親族外への円滑な事業承継を支援するための税制措置を求めている。

 また、中小法人税制等の拡充では、(1)ベンチャー・新規創業支援のため、創業者の親族から贈与された創業資金に係る贈与税の非課税枠の創設や創業後5年間に生じた欠損金の無期限の繰越控除の創設、(2)中小企業の交際費の全額損金算入、(3)役員給与の原則損金算入、特殊支配同族会社における役員給与の損金算入制限措置の廃止、(4)利子税・延滞税の引下げ、軽減期間(現行2ヵ月)の延長などを要望した。

 一方、2011年度までに消費税を含む税制抜本的を行うための法制上の措置を講じることが明記された2009年度税制改正の附則については、「経済をしっかり回復させることが最優先課題であり、消費税率引上げを強調しすぎると、消費の足を引っ張り、景気を低迷させる。将来にわたって国民が安心して暮らせる持続可能で信頼性の高い社会保障制度を早急に構築し、国民の理解を得ることが先決」としている。

 その財源として仮に消費税の検討を行う際には、景気の回復や無駄な歳出を削減すること、困難な価格転嫁や増大する事務負担などの中小企業への悪影響をなくすことなどを、国民や事業者に明示し十分な理解を得ることが必要不可欠と指摘。低所得者に対する逆進性緩和策として「給付付き税額控除」の導入など、歳出面を含めた総合的な取組みで対応し、消費税の複数税率は極力回避すべきとしている。

 同要望の全文は↓
 http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/090618_22chushoyobo.pdf