量的金融緩和政策が3月に解除決定され、5年ぶりに金融政策が転換された。その後、徐々に長期金利が上昇するなど市場は年内のゼロ金利政策の解除を視野に入れ始めている。帝国データバンクが実施した「金融緩和政策の解除に対する企業の意識調査」結果(有効回答数9949社)によると、3月の解除決定については、「妥当」(42.6%)、「遅すぎる」(4.0%)を合わせ46.6%の企業が解除に対して容認の姿勢をみせた。
また、2006年内のゼロ金利政策の解除については、「早急に解除すべき」との回答は5.7%にとどまったが、「解除はやむを得ない」が36.6%あり、合計42.3%と4割強の企業がゼロ金利解除に容認の見方を示した。これに対し、「まだ解除すべきではない」との回答も39.6%と4割に迫り、容認派との差は僅少であり、一段の金融の引締め策には否定的な見方も根強いことがうかがわれた。
地域別にみると、「東海」(46.5%)、「南関東」(45.1%)、「近畿」(43.7%)など景気DIの高い三大都市圏において解除容認割合が高く、一方、「北海道」(33.2%)、「東北」(33.5%)、「四国」(37.9%)などの地方圏では容認割合が低い。また、「中小企業」(41.8%)は「大企業」(44.1%)よりも低く、景気回復がまだら模様で、その実感をもてない地方圏や中小企業では、ゼロ金利解除を容認できない経営環境にあることが浮き彫りとなった。
ゼロ金利解除による金利上昇後の日本経済について、金利上昇を克服して回復基調が「持続する」との回答は全体の27.8%で、回復基調が「腰折れする」が35.9%と、楽観的な見方よりも懸念する見方のほうが大きかった。帝国データバンクでは、景気DIの地域間格差が高水準のなかで、年金や社会保険料の負担増、定率減税の廃止や消費税率の引上げなどに金利上昇が加われば、景気回復のさらなる不安定要素となるとの懸念を示している。
同意識調査の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/watching/press/keiki_w0603.pdf