団塊世代(1947~49年生まれ)が60歳定年を迎え始める2007年がいよいよ来年に迫り、企業ではベテラン従業員の持つ技術や技能をいかにして確実に伝承するかという問題が切実さを増している。大阪市信用金庫が実施した「中小企業における2007年問題への対応等に関するアンケート調査」結果(有効回答数1173社)によると、自社に団塊世代の従業員が「いる」とする企業は55.2%だった。
これらの企業のうち、自社の基幹的な技術や技能などが団塊世代の従業員に「かなり偏在している」と回答した企業は40.2%であり、これに「やや偏在している」(46.8%)を合わせると87.0%に及ぶ。また、「偏在している」と回答した企業の現在の基幹的技術等伝承の進み具合については、「順調」とする企業は27.9%で3割に満たない。これに対し「思うように進んでいない」企業が72.1%と圧倒的に多くなっている。
技術等伝承が思うように進まない理由は、「伝承すべき若手従業員がいない」とする企業が42.8%ともっとも多く、従業員の高齢化という中小企業の構造的な問題が浮き彫りとなっている。次に、「目先の業務に追われ伝承にベテラン従業員の手が回らない」と、伝承する側の状況に問題があるとする企業が37.2%と多い。これに対し、「若手従業員の意欲や積極性が足らない」と、継承する側の問題を指摘する企業は16.7%だった。
技術等伝承が思うように進まないことへの対応(複数回答)は、「必要な人材は定年後も雇用を延長」とする企業が65.9%、次いで「即戦力となる経験者を中途採用」が46.3%、「合理化・機械化・外注等でしのぐ」が17.8%、「技術を有する派遣等・非正社員で穴埋めする」が12.9%だった。なお、人材確保のため大企業を退職した高度な技術・技能をもつ高齢労働者の採用予定は、「積極的にする」は18.7%に過ぎなかった。
同調査結果の詳細は↓
http://www.osaka-shishin.co.jp/houjin/keiei/pdf/2006/2006-08-09.pdf