来年度税制改正では、これまで損金不算入とされてきた役員賞与の取扱いの見直しが注目されているが、会社法の制定に伴う企業会計の見直しを進めていた企業会計基準委員会は11月29日、役員賞与は発生した期間の費用として処理することとする「役員賞与に関する会計基準」を明らかにした。この会計基準は、会社法施行日(来年5月予定)以後終了する事業年度の中間会計期間から適用する。
企業会計基準委は、役員賞与の費用計上について、役員賞与と役員報酬の類似性を挙げている。役員報酬は、確定報酬として支給される場合と業績連動型報酬として支給される場合があるが、職務執行の対価として支給されることに変わりはなく、会計上は、いずれも費用として処理される。役員賞与は、経済実態としては費用処理される業績連動型報酬と同様の性格と考えられるため、費用として処理することが適当だとしている。
この点に関して、役員賞与は、利益をあげた功労に報いるために支給されるものであって、利益の有無にかかわらず職務執行の対価として支給される役員報酬とは性格が異なるとの見解もあるが、会社の利益は職務執行の成果であり、この功労に報いるために支給される役員賞与もやはり業績連動型の役員報酬と同様に職務執行の対価と考えられるとの見解を示している。
また、役員賞与と役員報酬は職務執行の対価として支給されるが、職務執行の対価としての性格は、本来、支給手続きの相違(役員賞与は利益処分案の株主総会決議を通じて支給されてきた)により影響を受けるものではないと考えられるため、その性格に従い、費用として処理することが適当だとしている。なお、会社法では、役員賞与と役員報酬の支給手続きは同じ条文で示されており、同一の手続きにより支給されることになる。
「役員賞与に関する会計基準」は↓
http://www.asb.or.jp/j_technical_topics_reports/yakuin/yakuin.pdf