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税務関連情報 (2005/07/11)

人材投資促進税制の中小企業の特例措置

 今年4月から、教育訓練費の一定割合を法人税・所得税から税額控除する人材投資促進税制が導入された。教育訓練費用を、過去2事業年度より増加させた法人や個人事業者が対象となり、増加額の25%の税額控除が受けられる。控除額は税額の10%が上限で、上限を超えた額を翌年度に繰り越すことはできない。中小企業に対しては手厚い特例措置があるので、改めて同制度の活用を考えてみたい。

 中小企業者の場合、基本制度(増加額の25%の税額控除)に代えて、教育訓練費の総額の一定割合(最大20%)を税額控除する特例措置を選択することができる。その税額控除率は、1)増加割合が40%以上の場合は、一律20%となるが、2)増加割合が40%未満の場合は、増加率の2分の1の率となる。特例措置の具体的な適用例を中小企業A社のケースでみてみよう。

 A社では、教育訓練費を、前々期650万円、前期750万円、当期1000万円支出した。同社の当期法人税額は2500万円だった。この場合、1)適用年度の教育訓練費の額は「1000万円」、2)比較教育訓練費の額は「700万円」=(650万円+750万円)/2、3)教育訓練費増加割合は「42.8%」=(1000万円-700万円)/700万円、4)税額控除額は「200万円」=上記1)1000万円×20%(税額控除率)、となる。

 増加割合が40%以上なので、控除率は最大の20%が適用される。仮に、3)の教育訓練費増加割合が20%の場合は、増加割合が40%未満なので、控除率は、「20%×0.5=10%」となる。5)税額控除限度額は「250万円」=2500万円(法人税額)×10%だから、4)の200万円は、5)の限度額250万円を超えていないので、200万円が控除額となる。A社は、教育訓練費を300万円増加させたことで、200万円の法人税が減額される。

 一方、法人住民税法人税割の課税標準となる法人税額は、同制度において税額控除された後の額となるため、法人税の税額控除額の一定割合に相当する金額を納めなくてよいことになる。上記のケースでは、「200万円(税額控除額)×20.7%(税率は東京23区の場合)=41.2万円」が減額されることになる。ただし、中小企業者以外の法人については、この限りではない。