税 務 関 連 情 報 |
2002年09月13日-002
どうなる法人事業税への外形標準課税導入
9月3日に公表された政府税制調査会の中間整理において「外形標準課税の早期導入」が明記され、いよいよ税制改革の本格的な議論の俎上に上ってきた。政府税調は、外形基準の部分について付加価値額を基準としつつ、資本等の金額を補完的に併用する総務省案は「担税力に配慮しつつ、課税の仕組みが簡素化されている」と評価している。しかし、経済産業省や中小企業団体は、結局のところ赤字法人を始めとする中小企業の担税力を超えた過重な負担となることなどから強硬に反対している。
政府税調は、総務省案のポイントとして、1)中小法人・大法人全体の税負担は変わらないように制度設計し、資本金1千万円未満の小規模法人は簡易外形税額(年4.8万円)を選択可能、2)利潤と給与総額は代替関係にあるため、給与を減らしても税額は変わらない仕組みであり、資本割の併用で法人事業税額に占める給与分の割合は低下しており、雇用に対して悪影響を与えることはない、3)本格的導入は制度化後7年目からと景気動向に配慮していることなどを掲げている。
一方、経済産業省は、総務省案の問題点として、1)総務省が主張する「税収中立」はバブル期を含む10年間の税収との比較だが、税収はあくまでも直近年度で比較すべきで、2002年度税収見込みとの比較では約5,000億円の増税となる、2)「付加価値割」の約7割を「賃金」部分が占めており、実質的に賃金課税となり、雇用や約半分が人件費の研究開発投資を直撃し、競争力強化に悪影響がある、3)赤字企業はすべて増税となり、簡易外形課税は適用が限られている上、簡易外形課税自体、厳しい経営状況にある小規模零細企業にとっては重い負担となることなどを掲げ、導入に反対している。
このような対立意見が本格的な導入議論の場で再検討されることになるのだが、今回の税制改革論議では法人課税減税を中心とした先行減税が対極にあることから、どうしてもその財源の捻出のためと受け取られがちだ。その上、経済活性化といいながら、7割の赤字法人を直撃する矛盾もある。しかし、外形課税導入は地方自治体の永年の悲願でもあり、議論の歴史は古い。改めて、導入の必要性をマクロ的な観点から考えることも必要ではなかろうか。
【ホームへ戻る】