経済同友会、法制審議会「会社法制部会」に意見
経済同友会は2月28日、法制審議会「会社法制部会」で検討されている諸項目について、「本当に今現在、法改正まですべき切迫した事情(いわゆる立法事実)があるのか、疑問に感じるものが多い。もし今回の会社法見直しの発端に、『会社法で規制緩和が行き過ぎ、企業の規律が失われ、不祥事や違法・脱法行為が増えた』といった認識があるのであれば、それは企業実務の実感とは明らかに異なるものである」とする意見書を提出した。
金融商品取引法や証券取引所規則はじめ、会社法以外で新たなルールが次々と設けられ、企業に対する規律が増え、一部の違法・脱法行為者の事例を一般化して規制を強化しても、確信犯的に法の間隙を縫ってくる者を完全に防ぐことは不可能で、規制強化の結果、非常に煩雑な手続きを企業全体に課せば、適正なガバナンスを構築し法令を遵守している大多数の企業の負担増を招き、むしろ日本経済が国際競争力を失う可能性が大、としている。
具体的には、取締役(会)関連では、「会社法で、監査役設置会社に社外取締役を義務付けるべきではない。もし何らかの公的ルールで社外取締役を義務付けるのであれば、上場規則で検討するのが妥当」、また、「監査・監査委員会設置会社制度」(仮称)の創設については、「多くの企業が採用する見込みがない限り、『中間的機関設計』を設ける必要はない」と、社外取締役を入れることを目的とした方便として提案していると指摘した。
「親子会社に関する規律」関係では、親会社株主保護に関する規律について、「多重代表訴訟」や「子会社の意思決定を、親会社株主総会に諮るよう義務付ける」などといった大規模な改正の必要はないが、対象を限定したシンプルな開示制度等の充実ならば検討に値する。また、親子会社関係の「形成・解消過程」に関する規律では、技術的な改善にとどめ、キャッシュアウトの株主総会決議要件引上げなど、大規模改正は必要ないとした。
同意見の全文は↓
http://www.doyukai.or.jp/policyproposals/articles/2010/pdf/110228a_02.pdf