事業所内で義務づけられた健康診断の結果や、任意に事業者が従業員について得た健康に関する情報は、これまで特に大切に取り扱われてきたとはいい難い面があるが、来年4月から施行される個人情報保護法の一環として、保護強化の観点から見直される。労働省では、今年4月から4回にわたって、学識経験者による「労働者の健康情報の保護に関する検討会」を開催し検討を重ねてきたが、このほど報告書をまとめ公表した。
報告書は、健康情報は個人情報のなかでも特に機微な情報であり、特に厳格に保護されるべきだとしたうえで、健康情報を取り扱うに際しての事業者の責任などを定めている。例えば、事業者は、従業員の健康情報を利用する際はその目的をできる限り特定して、法令に基づく場合を除き、本人の同意なく、その目的を超えて取り扱わないことが必要だとしている。
また、健康情報を収集する際は、利用目的を明らかにしたうえで、本人の同意が必要なことや、健康情報に関する秘密の保持については、事業場内の産業保険スタッフはもとより、健康情報を記録して人事・労務上の権限などを行使する者や、事業場から委託されて健康診断を行う外部の健診機関にも適正に秘密を保持させることが必要なことなども示している。
さらに、特に配慮が必要な健康情報の取扱いとして、1)HIV感染やB型肝炎などの慢性的経過をたどる感染症の感染状況に関する情報や、色覚検査などの遺伝情報については、原則として収集すべきでないこと、2)結核など職場に蔓延する可能性が高い感染症については、本人のプライバシーに配慮しつつ、必要な範囲の対象者に必要な情報を提供すべきだとしている。