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経産省、既存税制の延長を中心に税制改正要望

税務関連情報 - 2009年09月04日

 8月30日に行われた衆院選挙の結果、民主党が大勝し政権交代が実現した。民主党政権となったことで財政再建や税制抜本改革の行方が気になるところだが、今回の衆院選で打ち出した民主党のマニフェスト(政権公約)によると、消費税を含む税制の抜本改革については、2009年度税制改正法附則による道筋に沿って、2011年度までに必要な法制上の措置を講じ、経済状況の好転後遅滞なく実施すると表明している。

 ただし、消費税については、現行の税率5%を維持し、税収全額相当分を年金財源に充当すると明記し、鳩山由紀夫代表も「4年間は上げない」と明言。消費税率の引上げは、社会保障目的税化やその使途である基礎的社会保障制度の抜本改革を前提に、「引上げ幅や使途を明らかにして国民の審判を受け具体化する」。財政再建については、今後10年以内に国・地方のプライマリー・バランス黒字化の確実な達成を目指す。

 税制面では、(1)自動車関連諸税の整理、道路特定財源の一般財源化、(2)給付付き税額控除制度の導入、(3)中小企業に係る法人税の軽減税率を18%から11%に引下げ、(4)「一人オーナー会社(特殊支配同族会社)」の役員給与に対する損金不算入措置の廃止などを掲げている。また、税制改正の議論・決定過程を透明化するため、 与党内の税制調査会は廃止し、財務相のもとに政治家をメンバーとする新たな政府税制調査会を設置する。

 そのほか、注目されるのは、マニフェストに、社会保険庁を廃止し、国税庁と機能を統合した「歳入庁」の創設が盛り込まれていたことだ。社保庁は、すでにその解体が始まっており、昨年10月からは政府管掌健康保険業務が協会けんぽに移され、来年1月からは公的年金業務を日本年金機構が引き継ぎ、社保庁を完全廃止することが予定されている。しかし民社党は、それでは年金記録問題がうやむやになると考えている。

 社保庁の体質をそのまま受け継いだ組織では年金記録問題は解決できないことから、歳入庁を創設することにより、税と保険料を一体的に徴収し未納をなくす、国税庁の持つ所得情報やノウハウを活用して適正な徴収と記録管理を実現する、などの改革を進める方針だ。国税庁と社保庁の統合は、過去の国会でも議論されていたが、民主党政権となったことでにわかに実現性が強まっており、今後の動きに目が離せない状況となった。