連合総研と連合が、従業員300人以下の企業を対象に実施した「中小企業における取引関係に関する調査」結果(有効回答数3270社)によると、過去5年間に取引先から価格や単価の「引下げ要請があった」とする企業が73.1%に達した。このうち、「応じた」企業は58.5%にのぼる一方、「断った」企業は13.1%に過ぎなかった。引下げ要請に応じた企業のうち、「要請に近い数字で応じた」とする企業が3分の1(31.7%)だった。
このように、取引関係のゆがみが中小企業の経営を圧迫している状況がうかがえる結果となった。価格引下げの際にとった対応策をみると、「作業工程の工夫・改善」(63.2%)、「賃上げの見送りや一時金の見直し」(36.8%)などが多い。単価の下落幅や相違による営業利益の増減については、単価が「20%以上下落した」企業の7割で利益減となり、うち20.7%で、賃上げや一時金を見送っていた。
また、「休日前発注・休日後納期」、「就業後発注・翌朝納品」といった「無理な納期がある」とした企業は68.5%を占めた。これに対して何らかの「残業で対処」している企業が80.6%にのぼるなど、取引関係上の問題が労働時間にも大きく影響を及ぼしている。なお、引下げ要請があったとの回答比率が高い産業は、「輸送用機械」(85.8%)や「電気機械」(83.9%)など。また、「運輸業」では49.8%が「要請に近い数字」で応じている。
こうしたなか、企業が現在、取引において直面している課題(3つまで回答)は、「原材料など仕入価格の上昇によるコストアップ」が64.0%、次いで「製品やサービス単価の減少」(51.1%)、「主な取引先からの受注の減少や取引の打ち切り」(34.6%)が続いた。
その原材料価格の高騰が取引に「影響がある」と回答した企業は83.9%にのぼる。影響への対応については、「価格に転嫁できない」が43.9%でトップ、以下、「今後価格に転嫁したい」(24.2%)、「価格に転嫁したい」(16.1%)、「企業努力で吸収」(15.8%)の順となるなど、価格に反映しにくい事情が浮かび上がっている。