パワハラとは、職権などのパワー(権力)を背景にして、本来の業務の範ちゅうを超えて、継続的に人格と尊厳を侵害する行動を行い、就業者の働く環境を悪化させ、あるいは雇用不安を与えることをいう。日経BP(nikkeibp.jp)が実施したパワーハラスメントに関するアンケート調査結果(有効回答数2618人)によると、「あなたの周囲にパワハラはあるか」(複数回答可)との問いに43.9%が「ある」と回答している。
内訳は、「自分がパワハラを受けた」との回答が23.3%、「自分以外の上司、同僚、他部署の人、友人・知人が受けた」との回答が26.7%だった。また、全体の1.3%と少ないながらも、自分が上司の立場で「パワハラを行った」との回答もあった。「自分がパワハラを受けた」との回答者を年代別にみると、29歳以下では18.7%なのに対して、年齢が上がるにつれ回答者割合が増え、50代では27.2%に達している。
職場上の立場(権力)を利用した嫌がらせだけに、年齢が上がるほど減るものと予想していたが、50代がもっともパワハラを受ける人の割合が多い世代だという結果が出た。ただし、60代に限っては、「自分が受けた」人は15.4%と、50代に比べ大幅に減少した。60代以上の回答者には、経営者や役員など“権力”を手にした人が多いためとみられている。一方で、「自分で行った」との回答割合が最高の5.1%だった。
パワハラを受けた理由(複数回答)については、パワハラを受けた回答者本人の場合、「上司の感情や人格による」が84.1%でもっとも多く、次いで「上司の無知」(58.5%)、「会社組織・人事の不備」(53.2%)、「上司と部下の感情的対立」(46.5%)と続く。一方、自分以外の周囲の人が受けた場合の理由では、トップこそ「上司の感情や人格による」が81.1%で同じだが、2位に「上司と部下の感情的対立」(54.6%)が挙げられた。
さらに、「部下のパフォーマンスが上がらなかった」が29.9%、「上司に対する部下の振る舞い」が26.3%と、部下にも原因があるとみる人の割合が、回答者本人がパワハラを受けた場合よりも高くなった。自分が受けた場合は上司や組織に原因を見出しがちだが、周囲の人が受けた場合には第三者的な見方が強くなっている。