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税務関連情報 (2004/02/04)

公的年金等控除の見直しなど年金課税を強化

 2004年度税制改正の大きな焦点は、65歳以上の高齢富裕層を対象とした年金課税の強化である。所得税の公的年金等控除を見直し、老年者控除は廃止する。老年者控除は、納税者本人が65歳以上で、合計所得金額が1000万円以下であれば50万円を控除するが、これが2005年分以後の所得税、2006年分以後の個人住民税から廃止される。

 公的年金等控除について、現行は、65歳以上で年100万円(65歳未満は50万円)の定額控除部分と年金などの収入金額に応じた定率控除部分の合計額を所得から差し引き、残額が雑所得として課税される。この場合、控除合計には65歳以上で140万円(65歳未満は70万円)の最低保証控除額がある。

 今回の見直しでは、65歳以上の者に対する上乗せ措置を廃止する。ただし、年間200万円程度の年金収入で生活する標準的な高齢者は課税対象にならないように配慮し、老年者特別加算として65歳以上の者の最低保証額を50万円加算して120万円とする特例措置が講じられる。2005年分以後の所得税及び2006年分以後の個人住民税から適用される。

 改正の背景には、高齢者と現役世代との世代間の税負担のバランスの確保、所得に格差のある高齢者間の世代内の税負担の公平を図るということがあるが、一方で年金制度抜本改革の財源確保という面も強い。年金課税強化で見込まれる2000億円強の財源は、2004年度以降の基礎年金拠出金に対する国庫負担割合の引上げに充てられる。