日本経済の不良債権問題の象徴的存在だったゼネコン問題だが、近年は淘汰・再編の動きが激しくなっている。倒産・再建を問わず、ゼネコンが共通して抱えていたのが、巨額な有利子負債の問題だ。帝国データバンクがこのほど公表した主要建設会社93社の連結有利子負債調査結果によると、93社合計の2003年度の有利子負債は5兆2183億円で、前年度に比べ1兆7081億円、24.7%の大幅な減少となった。
過去の推移をみると、99年度には93社合計で10兆6706億円と高水準だった有利子負債は、近年、債権放棄を中心とした金融支援が相次いだことで、4年間でほぼ半減された。特に2003年度は熊谷組・間組・東急建設などの準大手ゼネコンが、会社分割や債権放棄といった再建スキームを実行し、債務を大幅に削減したことで、前年減少率は大きくなっている。
2003年度の有利子負債の内訳をみると、長短借入金合計が4兆5162億円(前年比26.3%減)、社債・転換社債が5259億円(同1.3%減)、CP(コマーシャルペーパー)が1100億円(同32.3%減)、割引手形が661億円(同36.9%減)とそれぞれ減少した。多くのゼネコンで有利子負債は削減されたが、比較的社債の残高については減少率が少ないなど、従前に比べて有利子負債の内訳には変化が生じている。
このように、バブル崩壊以後、懸案だったゼネコンの過剰債務問題は、有利子負債総額がピーク時に比べ半減し、また法的整理も相次いだため、この数年間で大きなヤマ場を越したものとみられる。しかし、中堅ゼネコンのなかには引き続き過剰債務が課題の企業も散見されるなど、再建策策定に向けた動向の注視される企業は少なくない。
一方、景気回復の機運とともに、長期金利上昇の金融リスクが高まっている。これまでに金融支援を受けた先も含め、ゼネコンの再建計画には将来の金利上昇が織り込まれていないところが多いだけに、金利動向とともにゼネコンの有利子負債問題については、今後も目を離すことはできない、と帝国データバンクでは予測している。