世界の気温データを研究するNASA(米航空宇宙局)の研究者らによると、2005年の地球表面の年間平均温度が過去1世紀以上で最高を記録し、2005年は過去1世紀でもっとも暖かい年になったとのことである。NEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)海外レポートが明らかにしたもの。地球が温暖化あるいは寒冷化のいずれかの傾向にあるのかを明らかにするために用いられるのは、地上気象観測所のデータ、衛星観測による1982年以降の海表面温度のデータ、また、それ以前については船舶観測によるデータである。
気象変動を調査する研究グループのなかには11月までの温度比較に基づき2005年を2番目に暖かい年であるとするものもあるが、NASAによると、2つの分析の主な相違点は、NASAの研究が北極を含めている点にあるとのこと。北極の気象観測所の数は非常に少ないが、そこから得られたデータは、2005年は北極が例年になく暖かい年であったことを示している。
これまでは、過去1世紀でもっとも暖かい年は1998年とされてきた。1998年は東太平洋の海水温が上昇するエルニーニョ現象が大規模に観測された年であり、このことが世界の気温を上昇させる要因となった。しかし、2005年が何番目に暖かい年かということよりも、エルニーニョが発生していないにもかかわらず、地球の温度が1998年の水準に戻っていることこそ重要な点である。
研究結果は内在する強い温暖化傾向が続いていることを示している。1970年代半ば以降、地球はおよそ摂氏0.6度または華氏1度近く上昇しており、過去1世紀ではおよそ摂氏0.8度または華氏1.4度上昇している。過去100年では、摂氏0.8度あるいは華氏1.44度温暖になっている。
温暖化はあらゆる場所で同時に起きているとみられ、北半球の高緯度域がもっとも顕著な傾向にある。過去50年間及び季節ごとの温暖化がもっとも大きかったのはアラスカ、シベリア及び南極半島である。大部分の海洋で温度が上昇している。これらの場所は主要都市から遠く離れているため、温暖化が都市部における汚染の影響によるものでないことは明らかであると気象学者らは考えているという。
NEDO海外レポートの全文は↓
http://www.nedo.go.jp/kankobutsu/report/974/974-02.pdf