日本能率協会がこのほど発表した「新任取締役の素顔に関する調査」では、急速な景気回復基調の高まりとともに、経営陣としての自信を取り戻しつつあるようだ。さらには、新任取締役として、企業の社会的責任への取組みなど新たな可能性へ挑戦する前向きな姿勢がうかがえる。調査対象は、今年1~6月に選任された上場企業の新任取締役で、平均年齢は54.4歳、最年少は35歳、最年長は63歳。
調査結果(有効回答数279人)によると、今後の国内の景気動向については、前回の昨年調査では「厳しいと思う」との回答が94.3%と9割以上を占めていたが、今回は「順調だと思う」との回答が実に10倍以上の54.1%にまで大きく伸びている。
企業における不祥事の問題(3つまで選択)については、前回トップだった「不祥事を生じさせるような企業の風土に問題あり」(76.7%)を抜いて、今回は「経営トップの認識の甘さが問題」が79.9%で1位となった。3位は「直接問題となった事業・部門責任者の判断能力に責任あり」(40.1%)だが、前回からは10.4ポイント減少している。
また、CSR(企業の社会的責任)は、約9割の企業が何らかの形で取り組んでおり、その関心(複数回答)は、「法令・社会的規範の遵守」(83.1%)を挙げる人がもっとも多く、次いで「自然・環境への配慮」(67.1%)、「コーポレート・ガバナンスの強化」(48.6%)、「従業員満足度の向上」(43.8%)、「積極的な情報開示」(43.0%)などが続くが、「投資機会の拡大(SRI)」はわずか5.2%に過ぎない。