ほぼ7年間続いたゼロ金利政策が7月14日に解除された。ゼロ金利政策が解除されると、長期金利が上昇し、株価が下落し、為替は円高が進んで、景気に水を差すとの観測もあった。ゼロ金利解除が企業経営や我々の生活にどのような影響を与えるのかは、非常に理解しづらいところがある。この「ゼロ金利政策の解除」について分かりやすく解説するのは、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの「けいざい早わかり」である。
それによると、景気への悪影響の懸念は、事前に金融市場が政策変更を充分に織り込んでいたこともあって、ゼロ金利政策の解除を受けて市場が大きく反応することはなかったとみている。株価はゼロ金利政策を解除する前から大幅な下落が続いていたが、これは中近東情勢の緊迫化や原油価格の上昇を受けた米国株価の下落が影響したものとの見方を示している。
もっとも、金融市場にまったく影響がないわけではない。ゼロ金利解除前から政策変更を見込んで長めの定期預金や住宅ローンなどの金利が少し上昇した。実際にゼロ金利政策が解除されると、普通預金の金利や短期の貸出金利も上昇している。こうした金利の上昇は、経済に何らかの影響を与えると予測する。まず、お金を借りる企業は、金利の上昇によって利払いコストが上昇する。
この結果、企業収益が下押しされれば、設備投資に慎重になるかもしれない。また、住宅ローン金利が上昇するときは、一時的に住宅購入者が増えるが、いずれは金利の上昇が住宅投資の抑制要因となる。これに対して、預金者は金利の上昇によって利息収入が増えるから、消費が増えるかもしれない。このように、金利の上昇は、損得両面あり、両方の効果を合わせて経済にとってプラスかマイナスかという判断は難しいという。
ただ、ゼロ金利政策が解除されたといっても、政策金利である無担保コールレート(金融機関同士でお金を融通しあうコール市場のレート)やその他のさまざまな金利は歴史的にみて極めて低い水準にあることに変わりはない。ゼロ金利政策解除による金利上昇によって、景気が減速してしまうというリスクは小さいのではないか、というのが「けいざい早わかり」の見方である。
「けいざい早わかり」の全文は↓
http://www.murc.jp/report/research/hayawakari/2006/20060724.pdf