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インサイダー規制に自社株取得時の配慮を例示

経営関連情報 - 2008年11月21日

 金融庁は18日、上場企業が信託方式や投資一任方式によって自己株取得を行う場合において、インサイダー取引規制に違反しないためにはどうような配慮が必要かを公表した。企業が同規制に抵触することを懸念して自社株取得をしにくくなっていることから、信託方式や投資一任方式によって信託銀行などを通じて自社株を取得する際に同規制が適用されない場合を例示している。

 インサイダー取引規制は、金融商品取引法において、「会社関係者」であって、上場会社に係る業務等に関する「重要事実」を知った者は、その事実が公表された後でなければその会社の有価証券等の売買等をしてはならないとされている。上場会社が信託方式等によって自己株取得を行う場合、実際には第三者である信託銀行等が買付主体となるところ、会社関係者が重要事実を知って売買等を行う場合に該当するかどうかが問題となる。

 この点について、金融庁は、基本的にインサイダー取引規制に違反しないケースを例示。例えば、(1)信託契約または投資一任契約の締結・変更が、その上場会社により重要事実を知ることなく行われたものであって、(2)その上場会社が契約締結後に注文に係る指示を行わない契約である場合、においては、上記の会社関係者が重要事実を知って売買等を行う場合に該当しないとの考えを示した。

 (2)については、その上場会社が契約締結後に注文に係る指示を行う場合であっても、指示を行う部署が重要事実から遮断され、かつ、その部署が重要事実を知っている者から独立して指示を行っているなど、その時点において、重要事実に基づいて指示が行われていないと認められる場合、においては同様に、会社関係者が重要事実を知って売買等を行う場合に該当しないとことから、インサイダー取引規制に違反しないとしている。