2003年10月10日-002
年金保険料20%なら「賃下げ検討」企業が53%
経済財政諮問会議において年金制度改革の本格的な検討が開始され、中川経済産業相から「年金保険料を20%まで引き上げると企業の負担増は約10兆円増加し、約100万人の雇用が削減され失業率が最大で1.3%上昇するなど経済・産業への悪影響が大きい」との試算資料が提出された。このような保険料20%引上げの影響への懸念を裏付けるアンケート調査結果が日本商工会議所から7日、公表された。
調査は日商会員中小企業212社・162個人事業者の計374社から回答を得たが、厚生年金保険料率を現行の年収の13.58%から20%(いずれも労使折半)に引き上げる厚生労働省試案について、中小企業経営者の50%が「引き上げるべきではない(現状維持)」と回答した。「ある程度の引上げはやむを得ない」との回答は35%だが、うち52%が「上限は15%まで」と条件を付けている。
料率が20%に引き上げられた場合の対応(複数回答)では、賃下げなど「賃金調整を検討」(53%)、派遣社員・請負・業務委託など「厚生年金保険の適用を受けない形態に転換」(52%)、「従業員数の調整を検討」(43%)などが上位を占めた。「そもそも経営が成り立たなくなる」との回答も16%あり、保険料率の引上げによる雇用環境の悪化が懸念される結果となっている。
一方、個人事業者向けの調査結果では、厚労省案の「国民年金保険料1万8100円への引上げ」について、57%の事業者が「保険料の引上げは行うべきではない」と回答している。日商では、今回の調査結果を踏まえ、今月16日にも「公的年金改革に関する提言」をとりまとめることとしている。
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