今年も年末調整を行う時期が近づいてきた。1年間の給与収入が2000万円以下の給与所得者は、通常、年末調整が行われる。年末調整の基本的な仕組みは昨年と変わらないが、平成11年以降の各年分の所得税については定率減税が実施されている。来年度の税制改正では定率減税の縮小・廃止案が浮上しているが、今年の年末調整時は年税額の20%相当額(25万円が限度)を控除することになっているのでお忘れなく。
年末調整を行うためには、12月分給与の支払日の前日までに従業員に色々な書類を提出してもらう必要がある。まず、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」や「配偶者特別控除申告書」がある。配偶者特別控除については、昨年度の税制改正で、配偶者控除と重複して控除される部分については平成16年分以降の所得税から廃止されることになった。つまり、今回の年末調整から適用されるので注意が必要だ。
また、16年中に支払った生命保険料や損害保険料を申告する「給与所得者の保険料控除申告書」では、生損保会社が発行する保険料を支払ったことを証明する書類の添付が必要になるので申告書とあわせて提出してもらうことになる。なお、税務署が配付している保険料控除申告書は、配偶者特別控除申告書との兼用用紙となっている。
さらに、住宅ローン控除の適用が2年目以降の従業員は、その税額控除を年末調整で行うことができるが、必要書類が3点ある。それは、「住宅借入金等特別控除申告書」と金融機関が発行する「年末残高等証明書」、従業員が住む所轄税務署長が発行する「住宅借入金等特別控除証明書」だ。最後の書類は、前年以前の年末調整ですでに住宅ローン控除の適用を受けている従業員は申告書への記載で省略することができる。
このように、年末調整のために従業員から提出してもらう書類は色々あるので、従業員に早めに知らせ、スムーズな年末調整の事務が行えるように心がけたいものである。