税 務 関 連 情 報

2003年10月22日-002
損益通算できるリゾート地に購入した土地の譲渡損

 バブル期に個人が投機目的でリゾート地に買った土地が、空き地のままで放置されているケースも少なくない。地価は下がる一方で、値上がりの見込みもないことから、そろそろ売ってしまおうかと考えている人もいると思われる。そこで気になるのは、その土地を売って生じた損失が税法で認められている損益通算の対象になるのかということである。

 所得税法では、不動産所得・事業所得・山林所得・譲渡所得の金額の計算上生じた損失については損益通算が認められている。ただし、これら各所得において生じた損失であっても、一定のものについては損益通算の対象から除かれることになっている。そのひとつが、「生活に通常必要でない資産」に係る所得の金額の計算上生じた損失の額である。

 ところが、「生活に通常必要でない資産」かどうかの判断は微妙なケースが多い。例えば、リゾート地などに購入した土地がそうである。リゾート地などに購入したこれらの土地の多くは、バブル期に投機目的で購入されたものである。したがって、一見すると“生活に通常必要”とは考えにくく、税務署で否認されるのではないかと危惧する向きも多い。

 しかし、所得税法では、「生活で必要でない資産」とされる不動産を、「通常自己及び自己と生計を一にする親族が居住の用に供しない家屋で主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有する不動産」と定義している。バブル期にリゾート地などに購入された土地の多くは現在、単なる「空き地」として放置されていることから、「主として趣味、娯楽、保養又は鑑賞の目的で所有している」とは言えず、結局、この土地に係る譲渡損失は損益通算の対象になり得ると考えるべきだろう。

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