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経営関連情報 (2004/10/29)

中小企業の景況感は回復傾向も二極化鮮明~中企庁

 中小企業庁が26日に公表した地域中小企業金融ヒアリング調査結果によると、中小企業の景況は、全体としては回復傾向にあるが、地域によっては依然として景気回復の実感に乏しいとする声もあったとしている。調査は、9月上旬から下旬にかけて、同庁幹部が道府県に出張し、地域の中小企業金融情勢について、地銀・信金・信組などの地域金融機関や中小企業団体などから聞き取り調査したもの。

 それによると、業種間の景況感の格差や企業間の二極化が引き続き鮮明になっており、これが、地域間格差にも反映しているとの見方を示している。中小企業の景況感は、業種間でも格差がみられ、「自動車」「デジタル家電」「携帯電話等IT関連」「鉄鋼」「造船」などの業種については、生産や設備投資の増加により、関連下請中小企業にも好影響が波及している。

 一方で、「小売・卸売」は競争の激化などにより、「建設業」は公共投資の減少傾向などもあり、総じて厳しい状況にあるとの声が多い。「繊維」や「地場産業」も海外製品との競合から厳しい状況だ。「観光業」については比較的堅調との声が多かったが、温泉偽装問題の影響を懸念する声もあった。また、引き続き、同一業種にあっても、企業間で好不調の差がはっきりしてきているとの声が多いという。

 資金繰りの動向は、金融機関は総じて中小企業向け貸出を強化する意欲を示しており、全体としては改善傾向にあるが、小規模企業・個人事業主では引き続き厳しい状況。中小企業の資金需要は、好調業種を中心に設備投資向けの資金需要もあるが、基本的には運転資金向けの資金需要が多く、投資意欲は依然慎重だ。政府系金融機関や信用保証協会による貸付・保証は、中小企業の資金繰りの安定化に寄与しているとの声が多かった。