ゼイタックス

経営関連情報 (2005/06/06)

企業再生の課題と成功要因

 中小企業の再建型倒産手続きの基本法として広く浸透した民事再生法だが、再生が不調に終わるケースも少なくない。野村総研は、昨年12月に民事再生手続きを申し立てた中小企業を対象に「地域経済と中小企業の再生に係るアンケート調査」を実施し、民事再生手続き申立の経緯や企業再生の状況、企業再生の課題、企業再生の成功要因、活用した公的支援とその課題など中小企業の再生に関する実態を探った。

 調査結果(有効回答数439社)から企業再生の課題をみると、民事再生手続き申立時では、「信用低下に対する懸念」(60%)、「仕入(外注)先との取引継続」(44%)、「事業運転資金の確保」(40%)、「販売(受注)先との取引継続」(38%)、「再生手続きに関する資金不足」(36%)を挙げた企業が多い。

 再生計画案提出・認可時では、「信用低下に対する懸念」(41%)、「事業運転費用の資金繰り」(39%)が高い。再建途上段階では、「事業運転資金の確保」(50%)、「新規資金の借入」(48%)が高い。また、申立のタイミングとしては、51%の企業が「適切」としているものの、36%の企業が「より早い段階で申立するべきだった」と回答している。

 事業再生手法としては、60%の企業が「事業の絞込み」、49%が「従業員の解雇」を行っている。大企業にみられるような「事業部門の営業譲渡」(11%)や「子会社の統合」(6%)は多くない。財務再建手法としては、74%の企業が「債務免除」、43%が「経営者の資財提供」、40%が「企業資産の売却」を行っている。「既存株主の減資」(18%)、「借入金のリスケジュール」(10%)など他の手法はあまり多くない。

 企業再生の成功要因としては、「従業員の理解」(76%)、「仕入(外注)先の理解」(73%)、「販売(受注)先の理解」(70%)、「信頼できる弁護士の存在」(63%)、「現経営陣の努力」(56%)、「信頼できる税理士・公認会計士の存在」(52%)などが高い。「公的支援の存在」を挙げた企業は20%と高くなく、重要度でいうと、「円滑な資金確保」(40%)が比較的高くなっている。

 同調査の詳細は↓
 http://www.nri.co.jp/opinion/r_report/pdf/result_chusho.pdf