経済産業省・中小企業庁は2007年度税制改正の向けて、中小企業の事業承継の円滑化を図る観点から、相続時精算課税制度において、自社株式の後継者への贈与など事業承継に限っては親の年齢制限(現行65歳以上)の撤廃などを盛り込んだ税制改正要望を公表した。そのほか、1)非上場株式に係る事業承継税制の見直し、2)種類株式の評価方法の明確化を求め、中小企業の事業承継を税制面から支援する考えだ。
相続時精算課税制度は、65歳以上の親から20歳以上の子への生前贈与については2500万円の非課税枠を設け、これを超える部分は一律税率20%課税と税負担を軽減している。そこで、中小オーナー経営者が自社株を後継者である子ども(経営に従事する役員に限る)に対して自社株式の贈与を行う場合には、贈与者の年齢要件を撤廃し、非課税枠を3500万円に引き上げる案を示している。
また、中小企業の事業承継に際して特に重要な非上場株式の相続税負担について、後継者が非上場の自社株式を保有している間は、相続税の課税を猶予するなどの方法で、後継者の相続税負担を軽減することを要望した。現行制度では、市場性のなさなどを理由に、上場会社との比較で算出した株価から3~5割の減額をし、後継者が相続で取得する株式は、この評価に対してさらに10%の評価減が行われている。
一方、事業承継に際して後継者以外の相続人がいる場合、相続人間での経営権をめぐる争いを防ぐため、議決権のない株式の相続税の評価を、議決権のある普通株式に比べ一定の評価減をすることを要望。現行の非上場株式の評価方法は、普通株式を前提としており、新会社法で多様な類型が認められた種類株式については個別評価とされていることから、予測可能性を高めるべく、評価法の明確化を求めたものだ。