不正続出で来年2月から「後見制度支援信託」
最高裁は、続発する「成年後見人の不正着服」を受けて、来年2月を目途に後見人が家庭裁判所の審査を経た上で必要額を信託銀行から引き出す「後見制度支援信託」を導入する。成年後見制度は、加齢や病気等が原因で判断力を十分に有しない人のために、本人や家族・親族などの申立てを受けて裁判所が後見人等を選任、財産管理などの業務を行わせる制度。(株)国土工営の「国土ニュース」が伝えている。
本来は判断力が不十分となった本人を助けるための制度だが、判断力がないことを悪用した後見人等の不正が後を絶たないことから、その対応策として導入される。最高裁によると、昨年6月から今年3月の10ヵ月間に確認された後見人や保佐人、補助人による不正な着服は182件で、被害総額は約18億3000万円にのぼっており、後見人等の援助者の「解任」も2006年の196人から2010年は286人と、大幅に増加している。
不正は、当然ながら後見人となった家族が盗むケースが多いが、弁護士や司法書士が着服するケースも増えている。こうした不正から被後見人を守るために、後見制度支援信託では、後見人は生活費など日常的に使う財産を口座で管理し、それ以外のまとまった財産を信託銀行に預ける。生活費などの口座の収支が赤字になると想定されるケースでは、信託契約に基づき信託銀行から定期的に一定額が補充分として振り込まれることになる。
さらに、入院などで急な支出が必要なときは、後見人が家裁に申請して家裁から許可に当たる「指示書」を得た上で、信託銀行から必要額の払戻しを受ける。払戻し前に家裁が支出目的と必要性をチェックすることで、被後見人の財産被害を防ぐ。また、この後見制度支援信託は「成年後見」だけでなく、未成年者の後見も対象となるが、信託を利用するか否かは、家庭裁判所が「被後見人等の財産状況」などを見て総合的に判断する。
この件の詳細は↓
http://www.kokudokouei.co.jp/news/pdf/kokudo_news_110.pdf