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経営関連情報 (2004/10/25)

ベンチャー倒産は落ち着きつつも高止まりしたまま

 全体の倒産件数の減少傾向が鮮明となる一方で、ベンチャー企業の倒産が高水準で推移している。ネット関連企業の破綻が相次いだ2002年に比べ落ち着きつつあるものの、倒産全体に占める割合は高止まりしたまま。これは、帝国データバンクがこのほど発表した82年1月~2004年9月の間のベンチャー企業倒産動向調査で明らかになったもの。

 調査結果によると、ベンチャー企業の倒産は、98年末から2000年初頭にかけての“ネットバブル”期前後に多発し、過去最悪の117件を記録した2002年をピークに、その後は緩やかに減少傾向をたどっている。今年は9月までで65件発生した。一方で、全倒産に占めるベンチャー企業倒産の割合をみると、2004年の9月までの累計数字(0.61%)は2002年(0.60%)をわずかに上回り、過去最高を記録した。

 インターネット関連ビジネスを手がける“ネットベンチャー”の倒産は、2000年までは年間一ケタの発生だったが、2000年のネットバブル崩壊後に激増。ピーク時の2002年には41件に達し、ベンチャー企業倒産全体の35.0%を占めていた。しかし、2004年は9月までで9件にとどまり、2002年同期と比べ66.7%の大幅減少となった。これは、ネットバブル前後に生まれたネットベンチャーの淘汰が進んだためとみられている。

 2004年のベンチャー企業の倒産65件を倒産主因別にみると、「販売不振」が29件、構成比44.6%でもっとも多いものの、全倒産の数字(構成比66.8%)からみれば相対的に低い水準にある。特徴的なのは、「経営計画の失敗」(12件、構成比18.5%)や「設備投資の失敗」(3件、同4.6%)などを合わせた“内部環境の問題”を原因とする倒産が、全体の倒産(合計の構成比3.8%)よりも目立つ点だ。

 全体の倒産をみると、約75%が「販売不振」や「業界不振」などの“外部環境の問題”を原因とする『不況型』の倒産で占められている。これに対し、ベンチャー企業の倒産は、ビジネスモデルの崩壊もしくは資金計画の頓挫といった経営判断の誤りが倒産の引き金となるケースが際立ち、ベンチャー特有の倒産要因が浮き彫りとなっている。