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北京五輪の日本経済への影響、4割強が期待せず

経営関連情報 - 2008年06月06日

 今年8月8日に、アジアで3番目となる夏季五輪が中国・北京で開催され、低迷が続いている国内消費の活性化など五輪特需への関心が高まっている。しかし、日本経済全体でみた北京五輪特需への期待は、44.4%と4割強の企業が「ない」と回答し、「ある」(21.2%)を大きく上回ったことが、帝国データバンクが5月下旬に実施した「北京五輪に対する企業の意識調査」で明らかになった。

 調査結果(有効回答数1万322社)によると、期待があるとした企業を規模別にみると、大企業は24.2%で中小企業(20.3%)を3.9ポイント上回り、大企業のほうが五輪特需への期待は高い。業種別では、「農・林・水産」(28.1%)、「サービス」(25.0%)、「金融」(24.0%)での期待が高く、「建設」(17.5%)や「その他」(11.5%)で低く、期待の最高と最低では16.6ポイント差と業界間で期待度のギャップが大きくなっている。

 また、北京五輪関連で見込まれる2008年度の売上の例年と比べた増減は、「0%(変わらない)」とする企業が81.9%を占めた。「プラス見込み(増加)」は4.7%と「マイナス見込み(減少)」(4.1%)をわずかに上回った。「プラス」とした企業を業界別にみると、「運輸・倉庫」(8.1%)や「製造」(5.7%)が高く、特に、電気機械製造や機械製造など五輪関連業種で特需効果が見込まれている様子がうかがえる。

 日本経済全体でみて、北京五輪特需が押し上げられると考えられる要因(複数回答)については、「中国における食品安全問題の進展」とする企業が42.0%でもっとも多く、次位の「デジタル家電等の新製品の投入」が41.3%と、ともに4割を超えた。以下、「中国の環境問題の進展」(39.8%)、「中国の治安の改善」(22.0%)、「チベット問題の進展」(19.7%)が続いた。

 一方、「日本のメダル獲得数の増加」(14.9%)や「日本の金メダル獲得数の増加」(13.4%)は1割を超える程度となっており、企業はメダル獲得数と特需を必ずしも結びつけず、冷静に判断していることが示唆される。なお、全体の約2割の北京五輪特需の期待がある企業では「デジタル家電等の新製品の投入」が64.2%となり、3社に2社がデジタル家電の投入がさらに特需の押上げ効果を持つと認識しているようだ。

 同意識調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0805.pdf