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外食倒産、11月末時点で648件と年間最多を更新

経営関連情報 - 2011年12月16日

 不況や震災の影響で、外食産業の業績が低迷している。帝国データバンクがこのほど発表した「外食産業の倒産動向調査」結果によると、2011年1~11月の外食産業の倒産は648件発生し、前年同期比11.9%の増加となった。件数比較が可能な2000年以降で最多だった2009年(646件)を11月末時点ですでに上回り、年間最多件数を更新した。月ベースでみても、1月の66件以降60件前後で推移し、高水準が続いた。

 業態別にみると、震災後の自粛ムードのなか、宴会客などの減少が影響した「居酒屋」(182件、構成比28.1%)が最多、「一般飲食店、食堂」(125件、同19.3%)、「中華料理店」(87件、同13.4%)と続いた。また、「すし店」(38件、同5.9%)は回転寿司や宅配寿司といったチェーン店などと、「喫茶店」(66件、同10.2%)は大手コーヒーショップやファーストフード店などとの競合がそれぞれ影響し、11月末時点で年間最多を更新した。

 主因別にみると、売上不振、業界不振などを主因とする「不況型」が563件発生し、全体の86.9%を占めて、2010年に続き80%を超える高水準となった。店舗賃料や積極的な出店・改装などに伴う借入金のほか、広告宣伝費、人件費などが大きな負担となり倒産するケースが多い。また、東日本大震災の影響を直接・間接的に受けたことによる「震災関連倒産」は3~11月の9ヵ月間で14件判明した。

 負債規模別では、「5000万円未満」が500件でトップとなり、負債5000万円未満の小規模倒産が77.2%を占めた。以下、「5000万~1億円未満」が80件、「1~5億円未満」が53件で続いた。一方、負債50億円以上の大型倒産は11月末までに1件も発生せず、このままで推移すれば、年間で初の未発生となる。資本金別でも、「個人」が281件(構成比43.4%)、「1000万円未満」が252件(同38.9%)と、零細業者が全体の約8割を占めた。

 外食産業の倒産は、2008年以降4年連続で600件を超え、倒産が落ち着く様子は依然みられない。不況や震災による消費低迷が続くなか、震災後の原発事故による食材への放射性物質汚染の影響も尾を引く。また、2011年は小麦粉や食用油などの原材料価格も値上げされ、値上げをメニュー価格に転嫁できていない企業は多い。消費者の外食離れがこのまま続けば、外食産業の倒産は今後も増加基調で推移する可能性が高いとみられている。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p111204.pdf