政府は中小企業向け融資の返済猶予などを柱とする「中小企業金融円滑化法案(仮称)」を10月30日に閣議決定し、臨時国会での成立を目指している。帝国データバンクが10月下旬に実施した「返済猶予法案に対する企業の意識調査」結果(有効回答数1万742社)によると、政府が目指している返済猶予法案成立の賛否については、「賛成」と回答した企業は25.5%である一方、「反対」は38.3%と「賛成」を12.8ポイント上回った。
返済猶予法案が成立した場合、返済猶予の申請を「検討する」と回答した企業は11.1%、全体の65.3%と3社に2社が「検討しない」と回答した。ただし、「分からない」との回答が23.6%あり、経済状態や業績次第で今後「検討する」に移行する可能性も否定できない。規模別にみると、「検討する」と答えたのは「大企業」では5.4%だが、「中小企業」では13.0%と大企業を7.6ポイント上回った。特に「小規模企業」では17.0%と最多となった。
2009年度(2009年4月決算~2010年3月決算)の売上見通し(実績含む)については、57.9%の企業が「下方修正(見込み)」である一方、「上方修正(見込み)」は8.2%にとどまっている。期初の2009年度売上計画を約6割の企業が下方に見直すなど、同期間中の経済環境の悪化を如実に表す結果となった。売上下方修正の主因(複数回答)では、「販売数量の減少」(85.2%)、「販売単価の低価」(45.5%)などが挙げられている。
2009年末にかけての資金繰りの懸念については、19.3%の企業が「ある」と回答。規模別にみると、「大企業」が12.8%と1割程度であるのに対し、「中小企業」は21.5%と2割を超えている。なかでも「小規模企業」は27.9%と、3割近くの企業が資金繰りへの懸念を抱いている。資金繰り懸念の要因(3つまで回答)は、「売上の低迷」が84.0%でトップだが、次いで「金融機関の貸し渋り」を33.9%の企業が挙げている。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w0910.pdf