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経団連、社保制度確立へ消費税率12%引上げを提言

税務関連情報 - 2009年02月23日

 日本経団連はこのほど「国民全体で支えあう持続可能な社会保障制度を目指して」と題した提言をまとめ公表した。国民が安心し信頼できる社会保障制度の将来像を提示した上で、基礎年金の財源構成について、2025年度を目途に全額税方式へ移行する方針を明確に打ち出し、段階的に国庫負担を引き上げていくことを提案。その財源確保のため、2025年度までに消費税率を段階的に12%引き上げる必要性を示した。

 提言では、「中福祉・中負担」型の社会保障制度が望ましいとして、わが国の税と社会保険負担を合わせた国民負担率は2008年度で40.1%だが、将来はドイツ(51.7%)などと同じ50%台を目標に引き上げる。その場合、EUでは、付加価値税率15%以上をその加盟条件としているが、わが国においても、ドイツ(19%)やイギリス(17.5%)のように、消費税率が10%台後半となることは不可避とした。

 社会保障制度の安定財源確保の面では、少子高齢化が急速に進むなか、社会保険料や直接税といった、現役世代へ過度に依存する現行の財源方式はすでに限界と指摘。税体系の抜本改革を通じて、直接税に過度に依存しない、景気変動に対しても安定した税収が得られる、経済活力に対する影響力がより小さい消費税を主たる財源として、社会保障費用を賄うという対応関係を明確にすべきことを提言している。

 具体的には、2025年度を目途に基礎年金を全額税方式へ移行することを明確に打ち出し、段階的に国庫負担割合を引き上げていく。公費負担が増加するが、保険料負担が軽減され、最終的には不要になることから、総体としての国民負担は変わらないとみている。厚生年金保険料が引き下げられる際には、引下げ分すべてを従業員負担分から控除するなど、従前の企業負担分は従業員に還元することを提案している。

 財源確保に向けてのスケジュールは、2015年度までを第一段階として、基礎年金国庫負担割合の2分の1~3分の2までの安定財源の確保のため、消費税率5%分の財源確保を目指す。第二段階としては、2025年度までに国庫負担割合を3分の2からさらに段階的に引き上げていき、完全移行を目指す。最終的に2025年度までに追加的に必要となる公費は、現状に比して消費税率換算で12%程度必要との試算を提示している。

 日本経団連の提言の全文は↓
 http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2009/011/honbun.html