国税庁はこのほど、2006年度税制改正により法人の役員給与に関する規定が改正され、2006年4月1日以後に開始する事業年度から適用されていることに伴い、これまでに国税当局に寄せられた主な質問に対する回答を質疑応答形式に取りまとめ公表した。そのなかで、各月の支給額が異なることになる役員に対する歩合給や能率給などは、一定の利益連動給与に該当するものを除き、原則損金不算入となることを明らかにした。
従来、役員に対する営業の歩合給や能率給の支給は、使用人に対する支給基準と同一の基準によっているときは、臨時的な給与としないで定期の給与と解される法人税基本通達(9-2-15)があった。これは、そもそも役員に対し残業などの超過勤務手当を支給している場合、使用人兼務役員に対するものは定期の給与とすることを主に定めたものだが、同通達に基づき、役員に対する歩合給を損金に算入していた法人もある。
しかし今後は、役員に対する歩合給等の支給は、損金算入の対象となる定期同額給与の要件にはそぐわないことから、損金算入することはできなくなる。ただし、給与支給規定の改定時期は一般的には定時株主総会のときであると考えられることなどを考慮し、役員給与の改定までの間、やむを得ず、歩合給を支給している法人については、その改定までの間に支給した歩合給を定期同額給与として損金に算入することを認める。
具体的には、2006年4月1日以後最初に開始する事業年度において支給した歩合給及びその最初に開始する翌事業年度に係る会計期間3月経過日までに行われる役員給与の改定までの間に支給した歩合給は、それぞれ定期同額給与として取り扱える。なお、使用人兼務役員に対する歩合給や能率給の支給は、不相当に高額なものに該当しない限り、他の使用人と同じ支給基準であればこれまで通り損金算入できる。