ゼイタックス

税務関連情報 (2004/05/19)

経営不振企業の役員賞与の税務上の取扱いは?

 景気に明るい兆しがみえてきたというが、生活実感としてはいまひとつ頼りない。大企業の業績改善が報じられているものの、中小企業の多くはなかなか上向いてきたといわれる景況の恩恵にはあずかれないようだ。もうすぐ夏季賞与、ボーナスの支給時期だが、経営不振企業の役員に対するボーナスは税務上どうなるのだろうか。税務処理を考える前に「利益がないのにどうして払えるのだ」とのお叱りを受けそうだ。

 その通り。商法上、役員へのボーナスは「利益処分」とされているため、利益が出ない赤字企業が利益処分としてボーナスを支給することは不可能なのである。ボーナスの原資が手当てできるかどうかは別にして、仮に赤字企業が役員にボーナスとして支給しても損金算入することは認められない、利益のない会社は役員にボーナスを支給できないのだ。役員は経営上の責任を取らされるわけである。

 ところで、企業によっては積み残してあった報酬を役員にボーナスとして支給しようと考えるところもあろう。商法上、役員報酬の額は株主総会や定款によって支給額を定めることが必要だが、これを役員にどのように分配するかは、取締役会で決めることができる。だから、赤字企業といえども、これまで積み残してある報酬を役員に対しボーナスとして支給することは可能だ。

 ただし、このケースでも、法人税法上、役員報酬が損金算入されるためには、定期的に一定額を支給することが求められることから、このような形での支給は役員賞与とみなされて、損金不算入となる可能性が高い。つまり、経営不振企業の役員に対するボーナスを損金算入する道は基本的に限りなくゼロに近いのである。早く業績を改善して気持ちよくボーナスをいただきたいものだが……。