企業の節電の実施、全地域で6割を超え全国に拡大
帝国データバンクが6月下旬に実施した「夏季の電力使用量削減に関する企業の意識調査」結果(有効回答数1万589社)によると、今夏の節電実施状況について尋ねたところ、「実施する(予定・検討を含む)」と回答した企業が70.9%を占めた。一方、「実施しない(同)」は13.2%だった。「実施する」企業を地域別にみると、「南関東」78.4%、「北関東」75.3%、「近畿」72.3%を始め全ての地域で6割を超え、全国的に拡大している。
節電の実施による電力使用の削減量の内訳は、猛暑だった2010年と比較して「10%未満」が40.3%で最多、「10%以上15%未満」が14.9%、「15%以上20%未満」が3.7%、「25%以上」が0.8%と、計19.5%の企業が10%以上の削減を考えている。しかし、政府が目標数値としている10%を掲げている関西電力と九州電力の要請地域となる「近畿」は10%以上の削減が20.6%、「九州」は16.2%と、いずれも2割前後にとどまっている。
節電の内容(複数回答)については、「空調などの温度設定の見直し」が92.5%で最多、「消費電力の少ない製品・設備の導入(LEDなど)」(38.0%)、「稼働・営業時間の短縮」(11.0%)などが続いた。空調などの温度設定に加えて、LEDなど省エネ製品・設備を導入する企業が増えており、また、企業からは「自販機の撤去などで待機電力を削減」(木製家具製造、愛知県)などの声もあり、様々な方法で節電を続けている様子がうかがえる。
一方、今夏、節電を実施しない理由(複数回答)は、「節電が不可能な設備・業態だから」が28.7%で最多、次いで「自社の属する地域では電力不足が生じない」(28.1%)、「節電のメリットがない」(23.5%)が続いた。2011年5月の同調査と比べると、「自社の属する地域では電力不足が生じない」が27.6ポイント低下する一方、「節電のメリットがない」が7.0ポイント、「努力目標で強制力はないから」が6.1ポイント上昇している。
クールビズの取組み状況については、すでに「開始している」と回答した企業が75.1%と4社に3社が開始している。これは、前年同時期(2011年6月調査)より4.9ポイント増えており、8年目を迎えたクールビズが震災や電力不足などを背景としてさらに拡大していることがうかがえる。また、現在「検討中」とした企業が9.2%あり、これをすでに「開始している」企業と合わせると計84.3%にのぼり、8割を大きく上回る。
同調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1206.pdf