近年、中小企業経営者の高齢化が進展するなか、特に親族内における後継者の確保が困難になっている。2006年度版中小企業白書によると、年間約29万社の廃業のうち、後継者不在を第一の理由とする廃業が約7万件、これによる雇用の喪失は毎年約20~35万人と推定され、日本を支える中小企業の雇用の確保や技術の喪失を防止する観点からも、事業承継の円滑化が喫緊の課題となっている。
このような状況下、2008年5月には、事業承継税制の抜本拡充を始めとした「中小企業の経営承継円滑化法」が成立し、同年10月から施行されるとともに、2008年5月末に「事業承継支援センター」が全国102ヵ所に開設された。事業承継センターは、「応援コーディネーター」を配しながら、中小・小規模企業の事業承継に関わる(1)相談窓口、(2)専門家派遣、(3)セミナー開催、(4)マッチング支援といった各種支援を行っている。
中小企業基盤整備機構は4日、上記の事業承継支援センターにおける多数の支援実績から他の支援機関の参考になると考えられる14事例を掲載した「事業承継支援センター~支援事例集~」を作成、公表した。同事例集は、中小機構の事業承継コーディネーターが、事業承継支援センターの応援コーディネーター等と協力して作成したもので、中小・小規模企業の事業承継に対する今後の支援活動の参考としての活用が期待される。
同事例集には、「親族内承継事例」として、「専門家との連携による株式等事業資産の集中を行った事例」(仙台商工会議所)や「積極的なニーズの掘り起こしと情報共有ツールを活用した支援事例」(水戸商工会議所)など4事例、また、「親族外承継事例」として、「創業塾出身者とのマッチングによる事業承継支援事例」(千葉県商工会連合会)や「県融資制度を活用した事業承継支援事例」(松本商工会議所)など10事例が掲載されている。