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税務関連情報 (2006/06/09)

実際の支給額が異なる事前届出給与は全額損金不算入

 これまで損金不算入とされてきた年2回支給などの役員賞与が「事前確定届出給与」として損金算入が認められる。この事前届出給与の導入を検討する企業は多いだろうが、注意すべき点も少なくない。そのひとつに、税務署に事前に届け出た支給額と、実際に支給した金額とが異なった場合は、その差額だけが損金不算入となるのではなく、全額の損金算入が認められないことがある。

 事前届出確定給与の損金算入が認められるためには、その職務執行前にあらかじめ支給時期や支給額を定め、この定めに基づいて、事前に、その支給対象者の氏名や役職名、支給時期、支給時期ごとの支給金額、職務執行を開始する日などを記載した届出書を税務署に提出する必要がある。つまり、所定の時期に確定額を支給する旨を前もって届けておくことから「事前確定届出給与」となるわけだ。

 ところが、企業は、その時々の業況や資金繰りなどによって支給額を増減額したくなる。例えば、事前に7月と12月に300万円ずつ支給すると届け出たが、支給時期に業況が悪化したので100万円減額して支給したい、逆に売上が好調なので100万円上乗せして支給したいといった場合がある。ところが、このような減額・増額は、事前に届け出た確定給与とはいえなくなることから、全額が損金不算入となる。

 人情的には減額した残りの部分や、増額した部分はしかたがないとしても、届け出た部分の損金算入は認めてもよさそうだと思うが、税法は役員報酬の恣意的な支払調整を認めないわけだ。したがって、無理に事前確定届出給与を導入せずに、役員賞与支給相当分を毎月の給与に均等に上乗せして「定期同額給与」として支給する方法も検討に値しよう。こちらは、増額・減額も同額であれば認められるので融通がきく。