情報処理推進機構(IPA)が10日に発表したコンピュータウイルス届出状況によると、12月のウイルスの届出件数は4293件となり、21ヵ月ぶりに4千件の大台を下回った前月に比べ12.5%増と一転して増加となった。種別では、W32/Netskyが1028件で、22ヵ月連続のトップ。つづいてW32/Mytobが570件、W32/Soberが509件、W32/Bagleが304件、W32Mydoomが289件、W32/Lovgateが203件となっている。
また、ウイルスの検出数も、約1344万個と、11月の前月比60.1%増の約510万個からさらに約2.6倍もの大幅な増加となった。検出数は、届出者から寄せられたウイルスの発見数(個数)だが、届出件数は同一発見日で同一種類のウイルスの検出が複数ある場合は、1日何個検出されても届出1件でカウントしている。つまり、12月は、寄せられたウイルス検出数約1344万個を集約した結果、4293件の届出件数となったわけだ。
検出数が大幅増となったのは、大量メール送信型のW32/Soberが前月の約5倍の約1075万個寄せられたため。このウイルスは、メールの添付ファイルとしてユーザーに届き、そのファイルを開くと感染する。感染すると、パソコン内からアドレスを収集し、取得できたアドレス宛にウイルスを送信する。
従来の送信型ウイルスは、パソコン起動時に1回から数回ウイルスメールを送るタイプだったが、このウイルスは、パソコンが動作している限り大量のウイルスメールを繰り返し送信しつづけるように仕組まれており、その結果、メールを受信する数が桁外れに多くなっているケースが見受けられた。大量のメールを送信するため、感染したパソコンではパフォーマンスが低下するなどの症状が起こる可能性がある。
IPAでは、W32/Soberウイルスを含め、2006年もウイルスによる被害に遭わないように、1)ワクチンソフトは最新版を活用すべし、2)メールの添付ファイルはまずウイルス検査すべし、3)ダウンロードしたファイルはまずウイルス検査すべしなどのウイルス対策7ヵ条の実践を勧めている。IPAでは、同7ヵ条を詳細に開設した「ウイルス対策のしおり」の改訂版を昨年12月に公開している。
「ウイルス対策のしおり」は↓
http://www.ipa.go.jp/security/antivirus/documents/virus_guide_2.pdf