日本商工会議所は16日、パソコンの会計ソフトを活用した「電子会計実務検定試験」を新たに創設し、今年9月から実施することを明らかにした。新検定は、「初級」、「中級」、「上級」に分かれ、試験の実施から採点、合否判定まですべてインターネット上で行う「ネット試験」に対応している。まずは9月に初級クラスの試験を実施し、来年度以降に中級、上級クラスへと順次拡大させていく予定だ。
本格的なネット社会を迎え、企業の会計実務でも、パソコンによる会計ソフトなどを活用した電子会計が業種・業態、企業規模を問わず普及している。一方で、企業経営の観点からは、単に会計ソフトを導入し、経理・会計事務の省力化・効率化を図るだけでは十分といえず、簿記の理論・知識をもとに、そこから得られる会計データをいかに分析・活用できるかが重要であり、これを実践できる人材の育成が急務となっている。
さらにこれからは、電子申告・電子納税、帳簿・証ひょう書類の電子保存など、ネット社会に対応した会計実務・知識のスキルが必要になってくるが、まだまだ学習・指導ツールやコンテンツが十分とはいえない現状にある。そこで、中小企業における電子会計の実践と、これに対応した人材の育成・能力開発に資するとともに、中小企業の会計指針の普及・定着などを目的に、新検定試験を創設することにしたという。
日商は、「企業会計の基礎となる簿記の理論・知識はあらかじめ『簿記検定』で修得しておき、会計ソフトなどIT活用能力や企業会計を実践する能力を『電子会計』で習得してもらう」考えだ。なお、検定試験は、実際の会計実務と同様に会計ソフトを起動して行う。試験で使われる会計ソフトは選定中(協力してもらえる会計ソフトを募集中)で、7月には公表する予定となっている。