年功的な人事から成果主義を取り入れた人事制度改革が時代の潮流となっているが、野村総研が実施した調査からは、改革に対する人事部と社員それぞれの認識のずれが浮き彫りとなっている。これは、同社が昨年11月に主要上場企業を対象に行った「人事制度改革のプロセス等に関する実態調査」と、同時期に実施した、過去2~5年以内に人事制度改革を行っている上場企業勤務者を対象とした調査の両方から結果をまとめたもの。
それによると、人事制度改革の目的では、「成果に応じた適正な原資配分を行うため」がもっとも多く、人事部(135社)が89.6%、社員(1000人)が75.8%となっているが、次いで「やる気のある社員のモラルアップを図るため」は人事部が75.6%であるのに対し、社員は47.0%と大きな認識の差がある。また、上位に挙げられた「自主的・自立的な人材育成のため」も人事部の54.1%に対し、社員は26.6%と開きがある。
また、人事制度改革による効果では、「成果・貢献と処遇が整合した」が人事部(91社)の75.9%に対し、社員(465人)が40.6%と大きな認識のずれを示している。そのほか、「上司と部下のコミュニケーションが円滑になった」(人事部34.5%、社員10.8%)、「人材育成意識が高まった」(同32.2%、14.4%)、「評価への納得感が向上した」(同37.9%、24.7%)など、多くの項目で認識の差が目立った。
新たな人事制度に対する評価では、人事部では66.4%と6割超が「満足している」との回答であるのに対し、社員のほうでは53.5%と過半数が「満足していない」と回答。野村総研は、「人事制度の目的を実現するためには、両者の認識ギャップを埋める努力も忘れてはならないようだ」と指摘している。