税 務 関 連 情 報

2002年08月19日-002
取引相場のない株式の物納の取扱いを明確化

 国税庁は8月9日、財務省理財局と協議の上7月8日付で相続税基本通達の一部改正を行い、取引相場のない株式の物納の取扱いを明確化したことを明らかにした。2002年度連立与党の税制改正大綱において「取引相場のない株式の物納について、要件及びその取扱いの明確化を図る」こととされたことを受けたもの。取引相場のない株式については、従来、管理・処分が困難で物納に適さない財産に当たるが、「金銭納付が困難で、他に物納に充てるべき財産がなく、譲渡制限が付されておらず、買受希望者がいる場合」など売却できる要件を満たせば、物納として受け入れてきた。

 今回の相基通の改正は、物納後その株式を買い受ける希望者がいることが確認できる場合は物納を認めることになるが、買受希望者がいない場合でも、株式発行会社について、1)直近2期における総資本計上利益率、売上高経常利益率及び総資本回転率のいずれか2つの指標が「法人企業統計調査」(指定統計110号)における同業種の直近2ヵ年度の平均比率を超えていること、2)発行会社の直近2期における当期利益(税引き後)がマイナスになっていないこと、3)発行会社の直近2期において配当可能利益(当期未処分利益及びその他資本剰余金)があること、のいずれの条件も満たし、売払いが確実に見込まれるなど、経営内容等から収納を適当と認める場合は、物納財産として認めることを明記している。

 つまり、今回の改正は、取引相場のない株式の物納要件を緩和したものではなく、あくまでも通達上で具体的に要件を明記したものといえる。したがって、今後、取引相場のない株式の物納の許可件数が増加するどうかは疑問が大きいところだ。ちなみに、最近の取引相場のない株式の物納許可の実績は、1998年度36件、199億円、99年度30件、50億円、2000年度23件、103億円と非常に少ない。

 

 

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