博報堂が実施した「2007年消費に関わる生活欲求調査」結果(有効回答数634人)によると、生活者が感じた2007年の消費に関わる生活欲求のトップは「“素”の感じ直し」(68.1%)だった。複雑化した時代以前の“シンプル・素朴さ”を感じられる、手作り感や素材感の味わい直しが支持を集めた。メガヒットにつながりにくいカテゴリーだが、レンタル菜園への申込みが殺到するなど、身近な関心が集積された結果といえそうだ。
次いで、男性の美容ブームに代表される「性別・年代別の自在化」(68.0%)が僅差で続いた。異性や異世代が享受しているのを知っていたが、手を出しにくかったモノやサービスを、垣根を越えて楽しむ傾向が多くの生活者に指示された。3位は「深め探し」(64.8%)。情報環境が拡張したことによって、手に入りにくかった情報にアクセス・挑戦しやすくなった。能力開発すら楽しんでしまう生活者の傾向が特徴的だ。
一方、2008年に強まりそうな消費欲求は、「深め探し」(53.3%)や「性別・年代別の自在化」(50.5%)への支持が高いことが分かった。進化する環境と多様化する商品サービスをテコに、さらに自分の知的・身体的レベルを上げる“ハードル上げ”の欲求が、来年も強く消費と結びつきそうだ。また、性別や年代の垣根にとらわれず趣味や嗜好をいいとこ取りする意識も高く、自在な商品企画に関心が強まりそうだ。
そのほか、「思い出の買い直し」(43.1%)への関心も堅調だ。消費のボリュームゾーンである40代以上を中心に、十分に楽しみきれなかった“心のお気に入り”を再体験する動きが強まりそうだ。併せて、素朴やシンプルさに関心を持つ「素の感じ直し」(39.3%)や、エコやマナー意識に代表される「善の学び直し」(37.1%)など、個人や社会の原景を基盤に、欲求を実現する傾向が08年も続きそうだ。