ゼイタックス

税務関連情報 (2007/06/29)

手形のペーパーレス化で進む印紙税の減収

 電子記録債権法が6月20日、今国会で成立した。2008年末までに施行される予定だが、同法が施行されれば、企業が保有する手形や売掛債権が電子化され、インターネット上で取引できるようなる。債権に関する情報がデジタル化され、債券取引が従来よりも容易になるため、紙の手形に代わる企業間の支払・資金調達の手段として普及する可能性が高い。一方、紙の手形がなくなれば、印紙税はいらなくなる。

 電子記録債権が普及すると、債権の発生や譲渡、返済による債権の消滅に至るまで電子債権のやり取りを管理する「電子債権記録機関」にネット上で記録するだけで、手続きが可能となる。手形や売掛債権、貸付債権など金額が確定した金銭債権のやり取りがネット上ですべて完結するわけだから、手形の作成・交付コストや手形の保管コストが削減でき、手形の紛失・盗難のリスクもなくなるなど、メリットは多い。

 こうしたメリットの一つに印紙税がかからなくなることがある。印紙税は紙を前提としており、ネット上の取引には課税しようがない。現行の手形に対する印紙税額は、印紙税法別表第一の3号文書に規定されており、記載金額が10万円未満は非課税だが、10万円超100万円以下の200円から10億円超の20万円まで記載金額に応じて14段階で課税している。だが、電子記録債権が実現すれば印紙税は課税できない。

 他方、すでに上場株券の電子化法が2004年6月に公布されており、関係機関は2009年6月を株券電子化制度への移行時期として準備を進めている。株券の電子化は、紙に印刷された株券によらずに株主の権利を金融機関の口座で電子的に管理する。こうして、株券に続き手形もペーパーレス化され、印紙税収に影響が出てくる。インターネット社会が普及するにつれ、紙を前提とした印紙税の課税対象は少なくなっていく。