約7割の一般消費者が住宅の長寿命化に関心あり
2009年6月に長期優良住宅認定制度がスタートして2年が経過したが、その認定実績の内訳をみると、一戸建て住宅が圧倒的に多く、共同住宅での普及が進んでいない。こうした状況を踏まえ、長谷工総合研究所は、東京・大阪・愛知・埼玉・福岡の各都府県に居住する30~50歳代の分譲マンション居住者を対象に2月24日から3月5日にかけて「住宅の長寿命化に対する意識調査」を実施した。
調査結果(有効回答数1900人)によると、住宅の長寿命化に対する関心度については、「とても関心がある」との回答が14.6%、「少し関心がある」との回答が55.3%と、合わせて約7割を占めており、住宅の長寿命化に対する一般消費者の関心は高くなっている。また、年齢階層別にみても、すべての年齢階層で関心は高いといえるが、特に50歳代の関心がより高くなっている。
次に、長寿命化の特性として7つの項目を提示して、それぞれの項目に対する関心度を尋ねると、「維持管理(長期的にみた維持・管理コストの効率の良さ)」、「耐震性(建物の高い耐震性による安心感)」、「税制面(購入者に対する税制面の優遇)」に対する関心度が高く、3項目ともに「とても関心がある」との回答が40%を上回った。特に「耐震性」については「とても関心がある」との回答が52.7%を占めた。
また、マンションに長く住むために期待するサービスとして5つのサービスを提示し、その優先順位を尋ねると、「マンションの建物等の点検・修繕などのサービス」(29.5%)、次いで「高齢者が住みやすくするためのサービス」(22.9%)、「楽しく・安心して生活できるコミュニティにするためのサービス」(20.9%)の順。トップの「マンションの建物等の点検・修繕など」は、年収別、居住年数別、年齢階層別でみても大きな違いはない。
今回のアンケート調査は3月11日の東日本大震災の発生以前に実施したが、震災後、「安全・安心に住まうこと」に対する意識がさらに高まっていることを考えると、今回の調査結果以上に、建物の耐震性などに対する関心は高まっているとみられている。また、住宅の長寿化を進めるために、より高い耐久性を持つための建設技術の開発、長く住み続けるための維持・管理手法の開発に対する期待が高いことも明らかになっている。