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税務関連情報 (2006/12/06)

2005事務年度の告発事件の関税ほ脱総額は10億円

 財務省関税局の発表では、今年6月までの1年間(2005事務年度)において全国の税関が輸入業者を対象に事後調査をした結果、過去最高の申告漏れ課税価格1616億円を把握したが、一方で、同期間中に不正な手段により故意に関税等を免れていた疑いがあるとして関税ほ脱事犯の犯則調査に新たに126件着手している。ほ脱犯とは、偽りその他不正の行為により税を免れる罪である。

 犯則調査は、事後調査とは別に、不正な手段により故意に関税を免れた輸入者の犯罪行為に対して刑事責任を追及するため、犯罪捜査に準ずる方法でその事実の解明を行う、いわば国税の査察である。調査の結果、故意に関税を免れたもの(犯則)との心証を得たときには、税関長による通告処分や検察官への告発を行うが、2005事務年度に犯則調査を終了して処理した127件のうち、7件を告発し、120件を通告処分とした。

 処理した127件に係るほ脱額は総額で10億6946万円だが、このうち95%の10億1839万円が告発した7件のものだ。通告処分は、その情状が罰金刑に相当するようなものであるときに、税関長がその罰金相当額の納付を求める行政処分である。これまでは、告発する場合も通告処分を経ていたが、2005年10月からは、申告納税方式が適用される貨物に係る犯則事件については、通告処分をせずに、直ちに検察官に告発することになった。

 犯則事例をみると、豚肉の差額関税制度を悪用した関税ほ脱事犯がある。犯則嫌疑者Aは、デンマークにある親会社の食肉加工業者から冷凍豚肉を輸入するに際し、通関業者Bと共謀して、豚肉の差額関税制度を悪用して実際の取引価格より高価に偽り、関税8億6700万円を不正に免れていた。そのほか、高関税率のこんにゃく粉の密輸入により関税・消費税2400万円を免れていたほ脱事犯などが報告されている。