夏の電力不足、企業の7割が「節電を実施予定」
電力需要期における電力供給の不足が見込まれるなか、今夏、政府は電力使用量の15%削減、経団連は同25%削減を掲げている。帝国データバンクが5月下旬に実施した「夏季の企業活動に関する意識調査」結果(有効回答数1万1111社)によると、今夏の電力不足に対応するために「節電を実施する予定」と回答した企業は71.4%と7割超にのぼった。一方、「節電は実施しない予定」は9.6%だった。
「節電を実施する予定」と回答した企業を規模別にみると、「大企業」が79.4%と8割近くになり、「中小企業」(69.0%)を10.4ポイント上回っている。地域別では、「南関東」(87.7%)や「北関東」(82.5%)が8割を超えているほか、「東北」(72.9%)などが7割超となり、消費電力の使用制限が発令される予定の東京電力及び東北電力管内で、多くの企業が節電を実施する見込みとなっている。
電力不足への対応を目的での企業活動地域の移行・分散については、「予定も検討の可能性もない」とした企業が78.8%。他方、「移行する可能性がある(対応済みを含む)」企業は5.4%にとどまる。移行する地域(複数回答)は、「近畿」が23.4%で最多、「南関東」が15.2%のほか、「海外」が14.0%と、夏の電力不足を契機に「海外」への移行を視野に入れる企業が1割超あり、国内産業の空洞化に拍車がかかる懸念があるとしている。
また、今夏の電力不足による日本経済全体の需要と供給の見通しについては、「需要が縮小する」とした企業が65.7%で、3社に2社が電力不足で需要が減少するとみている。他方、「拡大する」は5.9%に過ぎず、拡大と縮小の差は-59.8%となった。供給面では、「縮小する」とした企業が72.9%に達し、4社に3社が供給が縮小するとみている。他方、「拡大する」は2.3%にとどまり、拡大と縮小の差は-70.6ポイントとなった。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/keiki_w1105.pdf