ゼイタックス

小企業は価格転嫁追いつかず7割が利益減少

経営関連情報 - 2008年07月30日

 仕入価格が上昇した小企業は8割を占めたのに対し、販売価格が上昇した企業は3割にとどまり、仕入価格が上昇した企業の7割が利益減少していることが、国民生活金融公庫が6月に実施した「小企業の価格動向調査」で明らかになった。調査結果(有効回答数7553社)によると、1年前と比べた仕入価格が「上昇した」とする企業が79.8%を占め、前回調査(2007年4~6月期)に比べ18.9ポイント増加した。

 一方、1年前と比べた販売価格が「上昇した」企業は、前回調査と比べ10.5ポイント増加したものの30.8%にとどまり、仕入価格の上昇を販売価格に転嫁しきれていないことが分かる。仕入価格が上昇した8割の企業だけでみると、販売価格が「上昇した」企業は36.9%だった。販売価格が上昇していない理由は、「他社との競合が激しい」が45.5%と最多。競合が厳しく、販売量が伸びないため、価格転嫁できない状況がうかがえる。

 販売額から仕入額を差し引いた利益の動向をみると、1年前に比べ「減少した」とする企業が68.3%と、前回調査よりも12.9ポイント増加。仕入価格が上昇した企業では利益が「減少した」割合が71.9%を占めた。この利益が「減少した」企業は、販売価格が上昇していない企業では79.0%、上昇した企業でも59.7%にのぼった。仕入価格が上昇した企業では、その上昇分を吸収しきれず、利益動向が厳しいことが浮き彫りになった。

 今後1年間の利益の見通しでは「減少する」とした企業が73.9%となったが、その対策としては「経費を削減する」が64.6%、「販売額を増加させる」が24.2%となった。しかし採算予想では、「採算割れは避けられない」が64.8%にのぼった。対策として経費削減に取り組もうとする企業は多いが、すでに削減の余地はなく採算を確保できるだけの効果は見込めないことから、赤字に陥るとの悲観的な見方が多いことがうかがわれる。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.kokukin.go.jp/pfcj/pdf/kakakudoko_080725.pdf