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新築建物の不動産価格の過小評価で税収36億円減少

税務関連情報 - 2009年10月30日

 会計検査院は24日、新築建物の所有権保存の登記にかかる登録免許税を算定する上で基礎となる不動産価格について、各地の法務局の算出・認定が適切でないことから、過小評価となったことによって少なくなった登録免許税の税収が36億円にのぼるとの試算を示し、法務省に対し認定基準価格の改善を求めた。ちなみに、全国510登記所における建物の登記の申請に係る登録免許税は2007年度で287億円となっている。

 不動産登記の際の不動産の価額は、固定資産課税台帳に登録された価格が基礎となるが、新築建物のように登録価格のない不動産については、類似不動産の登録価格を基礎として登記官が認定した価額とされる。ただし、登記申請のつど選定するのは困難なことから、各地の法務局は、あらかじめ、建物の構造・種類の区分ごとに1平方メートルあたりの価格(認定基準単価)を定め、登記所に通知している。

 この法務局の認定基準単価と、検査院が固定資産課税台帳の価格などを基礎にして算出した新築建物の平均的な再建築費の価格を比較したところ、8法務局すべてにおいて開差が生じていた。例えば、「鉄骨・鉄筋コンクリート造の事務所・店舗」では、高知地方法務局の認定基準単価が検査院の試算より1平方メートルあたり2万3012円低く、比率は0.81倍である一方、大阪地方法務局では同5万9002円高く、比率は1.65倍だった。

 こうした結果、2006・2007年度に各法務局が過小評価したと推測される不動産の課税標準額は1兆7693億円にのぼり、登録免許税も36億円過小となっており、逆に過大評価と推測される不動産の課税標準額は624億円、登録免許税は2億円と指摘。検査院は、法務省に対して、新築建物の不動産価格の実態を十分に反映した適切な認定基準単価を算出するように各法務局に指示することを求めている。