先行き不透明な小規模企業景況~全商連
全国300商工会の経営指導員による全国商工会連合会の「小規模企業景気動向調査(2012年5月期調査)」によると、産業全体の業況DI(景気動向指数・前年同月比)は▲29.2pt と前月比3.2ptの悪化に転じた。建設業は、売上額が前月の▲6.4ptに引き続き、▲9.7pt下降と大幅に悪化、公共事業の減少の影響が一段と顕著になりつつある。消費税の増税や夏期の電力需給の問題等、先行きに対する不安から消費マインドは低迷している。
製造業DIは▲20.7ptで、前月から0.3pt改善。自動車関連の部品製造は、エコカー補助金の効果で全体的には好調だが、一部では採算が悪化したり、今後の見通しに危機感を募らせている企業もある。機械・金属関連の部品製造は、受注は増加も、製品単価が低く、原油価格の高騰の影響もあり採算割れになっている。ヨーロッパの金融情勢を不安視する声や円高、電力不足による元請け企業の海外移転の加速を懸念する声も聞かれた。
建設業DIは、▲34.4pt と前月と比べ6.4pt低下し、3ヵ月連続の悪化となった。依然として、民間、公共事業共に減少傾向にあり、そのため売上は減少し、また、燃料費の高騰や請負単価低下の影響で採算も悪化している。昨冬の大雪による雪害被害や、4月の強風による被害を受けた地域で、住宅を修復する工事が今月も好調だが、従業員を解雇し始めたり、休業に踏み切った事業者があるという声もあり、先行きは厳しい。
小売業DIは▲35.9ptで、前月と比べ4.0pt悪化。食料品関連は、新規スーパーの開店や、コンビニエンスストアの相次ぐ出店で過当競争が激化している。家電関連は、昨年の地デジ化への移行による需要の反動で、テレビ関連の売上が減少。衣料品関連では、クールビズの先行実施で好調だったところもあった。所得の減少により、全般に買い物を最小限に控える傾向があり、客一人当たりの購買価格は低下している。
サービス業DIは、▲25.8pt と前月と比べ2.6pt悪化。宿泊関連はGWがあり活況で、外国人観光客が増加した地域もあった。しかし、連休後は予約が激減した。飲食業は、自粛ムードで需要が停滞した昨年と比較して、賑やかさを取り戻したところがある一方、客単価の低下や材料費の値上がりにより採算がとれないケースがみられた。理美容業は、チェーン店との競合で依然として苦しい。長引く景気の低迷で、全般的に業況は苦しい。
調査結果は↓
http://www.shokokai.or.jp/