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税務関連情報 (2005/11/04)

日商が消費税の引上げ論議に注文

 自民党の財政改革研究会が消費税のすべてを社会保障目的税化する提言を行い、2015年度には税率が12~15%になる可能性を示すなど、消費税の引上げ議論が活発化している。だが、日本商工会議所は10月31日、「当面の諸課題に対するポジション・ペーパー」を発表したなかで、税率の引上げを当然のこととして具体的に何パーセントにするかといった議論が先行することに疑問を呈した。

 まず、財政再建は重要な政策課題だが、経済成長の芽を摘んでは元も子もないとの懸念を示す。仮に税率を上げた場合、消費税が有する逆進性から特に低所得者層に打撃を与えるという問題がある。一方、流通関係の中小・零細業者にとっては、厳しい競争環境のもとで価格への転嫁は困難であり、納税・申告のための事務負担も非常に大きい。加えて、税率引き上げは、個人消費に大きな影響を及ぼし景気回復に水を差すと指摘した。

 税率引き上げの前に、増大が予想される医療費の給付抑制をはじめ、社会保障制度の抜本改革による国民負担の軽減や、国・地方公務員の総人件費の大幅削減をはじめ徹底した行財政改革による聖域なき歳出削減の断行など、将来に向けた歳出削減のスキームを示すことを優先すべきだとの考えだ。そうしたことをせずに、たとえ福祉目的のために消費税を引き上げるといわれても、国民は納得しないと注文をつけた。

 また、中小企業の活力を強化する観点からの税制措置による支援が不可欠だとしたうえで、事業承継税制の拡充や中小同族会社に対する留保金課税の完全撤廃、今年度末で適用期限の到来するIT投資促進税制をはじめとする投資促進税制や研究開発促進税制について、その延長がぜひ必要であると訴えている。

 「当面の諸課題に対するポジション・ペーパー」の全文は↓
 http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/051031iken.pdf