「絆」の大切さ確認を~メンタルヘルス白書
日本生産性本部「メンタル・ヘルス研究所」はこのほど、2011 年版『産業人メンタルヘルス白書』を発表した。この白書はメンタルヘルスへの関心が高まるなかで、産業界におけるメンタルヘルスへの取組みの促進を図るため、2001 年から毎年発表している。今年の調査研究では、「絆」がテーマ。白書は特別寄稿、調査研究、論文、メンタルヘルス研究所の動向、資料、年報で構成されている。
特別寄稿では、日本精神衛生学会理事長で明星大学教授の高塚雄介氏が「大震災とメンタルヘルス」と題し、東日本大震災とその後の出来事により、どのような問題が懸念されるか、企業はどのように対応する必要があるかを、阪神淡路大震災の経験、また、現在の電話相談の経験を踏まえ紹介。次いで、調査研究-第1章「JMI健康調査の結果から、第2章「東日本大震災とメンタルヘルスへの影響」に関する緊急アンケート結果を紹介。
それによると、対人関係を築き、関係の良し悪しを左右する個人の特性として「社交性」をあげることができる。産業人のJMI健康調査から「社交性」に関する項目をとりだして調査結果をみると、日常的に顔を合わせている「上司や家族との関係」が良いことよりも、「社交性」があるほど、メンタルヘルスの良さに寄与する。ただし、多くの人は「社交性」が低いほうに分布しており、「社交性」の高い人は多くない。
「社交性」の有無よりメンタルヘルスの良否に影響を与えているのが「同僚と企業・組織体との関係」。「同僚」には、同じ企業・組織体の一員だが、面識のない「仲間」も含まれる。「社交性」が低い日本人に「絆」の形成は重要な要素で、アンケート結果でも「トップのメッセージ発信」、「グループでの一体的取組み」などがみられる。今回の震災復興を機に、職場の仲間に対する「絆」の大切さについて改めて確認したい、としている。
同白書の詳細は↓
http://activity.jpc-net.jp/detail/mhr/activity001047/attached.pdf