郵政民営化法案の参議院否決にともなう小泉内閣の信を国民に問う総選挙が9月11日に行われるが、焦点は郵政民営化に対する国民の選択だけでなく、構造改革、財政再建が可能な政党を支持することにあるだろう。そのような意味で、各党のマニフェスト(政権公約)をのぞいてみるのも興味ぶかい。自民党の「サラリーマン増税」や消費税率引上げ路線は周知であるから、ここでは民主党、社民党をみてみよう。
まず民主党は「財政再建を目的とした増税は行わない」と明記している。その代わり、プライマリーバランス(借金収入・利払い費を除く財政収支)を8年間で黒字化するための歳出削減策を示す。最初の3年間で、国の直轄公共事業半減(1.3兆円)や国家公務員人件費総額2割減(1兆円)など17兆円の既存経費カットを実現。マニフェスト政策実施のために約7兆円を充当することから、3年間で10兆円の歳出カットとなる。
その結果、2008年度予算においては国債発行額30兆円未満、プライマリーバランスの赤字半減を実現する。次の5年間ではさらに歳出改革を進めることを前提に、歳入改革も並行的に行い、8年目にプライマリーバランスの黒字化を達成する。そのための増税はしないが、一方で年金改革では、年金目的消費税などを財源に老後の最低限の年金(月額7万円)を保障することや、すべての年金を所得比例年金に一元化するに際し、所得の正確な把握が必要なことから納税者番号制度の導入を提案している。
社民党は、政府税調がうちだした総額17兆円の個人所得増税や消費税率アップに反対する。ただ、これまで大幅に引き下げられてきた高額所得者の所得税の最高税率を引き上げ、緩和されてきた累進制の強化や、法人税の最高税率も引き上げ、各種租税特別措置の見直しを実現するという。個人より法人課税の強化が先だと主張する。
年金制度は一元化し、「基礎的暮らし年金」(一階建て部分/全額税方式、だれでも必ず月額8万円)と、「所得比例年金」(二階建て部分)を組み合わせた新制度にする。財源は、特別会計を含めた歳出の大幅な見直しと法人課税強化などによって確保する。「国民を見ずして、改革なし」としているように、個人に配慮した政策が示されているが、財政再建への道筋は少しもふれられていない。
民主党のマニフェストは↓
http://www1.dpj.or.jp/manifest/index.html
社民党のマニフェストは↓
http://www5.sdp.or.jp/central/topics/44syuin/seisaku/seisaku2005.html