雪害などの災害は、雑損控除や災害減免法によって所得税が軽減されるが、これらは翌年の確定申告によって精算される。一方、災害などが発生した後に納期限がくる予定納税や給与所得者の源泉所得税などについては、確定申告の前にその減額や徴収猶予などを受けることができる。また、災害などの理由によって申告、納付などをその期限までにできないときは、その理由がやんだ日から2ヵ月以内の範囲内でその期限が延長される。
予定納税の減額は、所得税法では災害等を受けた日の区分によって、「1月1日~6月30日」の場合は6月30日の現況によって、その年の所得金額と税額を見積もり、原則として7月15日までに第1期分及び第2期分の減額を、また、「7月1日~10月31日」の場合は10月31日の現況によってその年の所得金額と税額を見積もり、原則として11月15日までに第2期分の減額をそれぞれ申請する。
一方、災害減免法は、7月1日から12月31日までの間に災害を受けた場合で、1)住宅や家財に受けた損害額がその価額の2分の1以上であること、2)その年の所得金額の見積額が1000万円以下であること、のいずれにも該当するときは、その年の所得金額と「所得税の軽減額の計算」による税額とを見積もり、災害のあった日から2ヵ月以内に予定納税の減額を申請する。
また、上記の要件のいずれにも該当するときは、所得金額の見積額に応じて源泉所得税の徴収猶予や還付が受けられる。該当しない場合であっても、損害額がその年の所得金額の10分の1を超えるなど雑損控除の適用があると見込まれるときは、その雑損失の金額に対応する源泉所得税額が徴収猶予される。徴収猶予の手続きは、災害を受けた日以後、最初に給与の支払を受ける前日までに勤務先を経由して、申請書を所轄税務署長に提出する。
なお、災害などにより財産に相当の損失を受けた場合、税務署長に申請することによって納税の猶予が受けられる。損失を受けた日に納期限がきていない国税で、損失を受けた日以後1年以内に納付すべき国税は納期限から1年以内、所得税の予定納税や法人税・消費税の中間申告分は確定申告書の提出期限まで、また、すでに納期限がきている国税で一時に納付できないと認められる国税は1年以内で、それぞれ納税猶予が受けられる。