ゼイタックス

税務関連情報 (2007/10/26)

海外取引調査で1件平均1697万円の申告漏れ把握

 経済社会のボーダレス化の進展に伴い、国際的な課税問題は企業のみならず個人の富裕層にも広がりを見せている。2006事務年度における所得税調査においては、今年6月までの1年間に海外取引を行っている者を対象に前年度比19.2%増の2594件の調査が行われ、総額440億円、1件平均1697万円にのぼる申告漏れ所得が把握された。この金額は、同期間における所得税の特別・一般調査での1件平均846万円をはるかに上回る。

 海外取引調査2594件を取引区分別にみると、「海外投資」(預貯金等の蓄財を含む海外の不動産や証券などに対する投資)が全体の29%を占める754件、「輸出入」(事業での売上や原価に係る取引で、海外の輸出(入)業者との契約による取引)が同26%の677件、「役務提供」(工事請負やプログラム設計など海外において行う、労力・技術等の第三者に対するサービスの提供)が同13%の334件となっている。

 そのほか、上記の取引に該当しない、金銭授受や贈与(親族に対する海外送金等)など海外取引に係る取引の「その他」が全体の32%を占める829件となっている。これらの海外取引調査の結果、1件あたりの申告漏れ所得が1697万円見つかったわけだが、取引区分別では、「海外投資」で2162万円、「輸出入」で1041万円、「役務提供」で1655万円、「その他」で1826万円が、それぞれ把握されている。

 調査事例をみると、漁業を営むAのケースでは、Aと取引先外国法人との関係について十分な説明が得られなかったため、金融機関に対する反面調査等を実施した結果、その外国法人は、Aが外国の船舶登記を行うために設立されたもので実体がないことが判明。また、Aは複数の外国船籍の漁船を操業しており、これらから生じる利益を外国法人名義の非居住者向け預金口座に送金させ申告から除外していたことが分かった。