ゼイタックス

経営関連情報 (2004/04/28)

1年後の迫ったペイオフ全面解禁

 来年4月から、いよいよペイオフ凍結が全面解除となるが、意外に話題にのぼらない。ペイオフとは、銀行が破綻しても、預金のうち元本1千万円とその利息は保証しようという制度。まだ1年あるからなのか、一時の騒ぎが嘘のようである。しかし、この辺で基本的な状況を眺めてみるのも有意義である。ニッセイ基礎研究所の矢嶋康次氏のレポートを紹介する。

 2002年4月には定期性預金などのペイオフが解禁されたが、その際に特例措置として当座預金・普通預金・別段預金は全額保護された。今度はこのうち、決済用預金を除き、すべての預金がペイオフの対象となる。決済用預金とは、1)決済サービスを提供できること、2)預金者が払戻をいつでも請求できること、3)利息がつかないこと、という3つの条件を満たす預金のことである。

 2004年4月の前には、ペイオフ解禁の対象となった定期性預金から全額保護が継続する要求払預金(当座・普通預金など)へのシフトと、比較的規模の大きな金融機関へのシフトという2つの大きな資金シフトが起こった。来年のペイオフ解禁に向けては、決済用預金に該当しない「普通預金」からの資金シフトが引き起こされる可能性がある。

 普通預金は2003年9月末で約240兆円である。個人が約150兆円と法人(約80兆円)の倍近い。法人の預金の大半が1000万円以上であるのに対し、個人の7割が1000万円以下で預金保護の対象となっている。つまり、普通預金で預金保護の対象とならない1000万円以上の預金は約100兆円程度(個人の3割と法人預金)ということになる。

 前回のペイオフ解禁の際に、大手行へのシフトがかなり行われており、今回はそれほど多くの金額はシフトしないと考えられる。ただ、予想以上に資金シフトや混乱が生じてしまうリスクも存在する。それは、預金者へのペイオフ理解が十分にされていない場合、金融の健全化に問題がある場合、さらに破綻処理などに対して預金者が信頼していない場合などだという。