デフレが長期化するなかで、多くの中小製造業は取引先などから「価格引下げ圧力」を受けてきたが、景気に明るさが増してきた現在、これに変化はみられないだろうか。大阪市信用金庫が9月に実施した「長期デフレ下の価格問題に関する調査」結果(有効回答数600社)によると、「価格引下げ圧力を受けている」との回答企業は74.2%と4社に3社の割合にのぼった。
しかし、今年に入って「圧力が強くなった」とする企業はわずか3.7%で、「変わらない」(40.2%)や「弱くなった」(30.3%)が多くなっている。また、「価格引下げ圧力を受けている」とする企業割合を昨年9月調査と比べると6.4ポイント減少、一昨年7月調査と比べると11.8ポイント減少しており、中小製造業では依然として多くの企業が取引先などから価格引下げ圧力を受けているが、年々緩和に向かっているようだ。
次に、今年に入ってから自社製品の価格変更を実施したかどうかについては、「変更なし」とする企業が86.2%と圧倒的に多い。一方、「引下げ実施」とする企業は6.0%で、「引上げ実施」企業(7.8%)よりも少ない。「引下げ実施」企業は、一昨年(38.5%)から昨年(19.2%)にかけて半減したが、今年はさらにその3分の1まで減少している。
なお、中国特需や石油価格高騰などによる「素材インフレ」が問題化しているが、今年に入って原材料や部材などが「値上がりがあった」とする企業は51.0%と、素材インフレの影響は過半の企業に及んでいる。値上がり幅については、「3~5%」の値上がりがあったとする企業(37.2%)が4割近くでもっとも多く、次いで「10~19%」(23.5%)が続き、平均値上がり幅は9.0%と1割近い。