国税局や税務署の職員を装い「所得税の払い過ぎのため、還付金があります」などと偽って納税者にATM(現金自動預払機)を操作させ現金を振り込ませる詐欺被害が急増している。警察庁のまとめでは、2007年は11月末までに被害件数は2158件、被害総額は約24億5000万円にのぼり、2006年の同時期に比べ件数が約6.6倍、被害総額が約7倍に急増している。
還付金詐欺は、2006年6月に埼玉県で初めて被害が認知され、以後、件数は月を追うごとに増加し、同年11月末までで328件、被害総額は約3億4000万円だった。昨年は、1月は79件だったが、2月から6月までは100件台で推移し、7月に200件、10月に300件を突破し、11月は過去最悪の387件、被害総額も約4億9000万円に達している。
最近では、税務署等を装うケースだけでなく、社会保険事務所や社会保険庁、都道府県や市町村などを装うケースも増えている。2007年の被害件数2158件のうち、「税務署等」を装ったものが824件ともっとも多いが、「社会保険事務所等」も599件、「自治体等」も532件と相当数ある。特に11月は、税務署等が42件に対し、社会保険事務所等が188件、自治体等が123件と大きく上回っている。
還付金詐欺の手口は、税務署など公的機関の職員を名乗って被害者に電話をかけ、「金融機関やコンビニエンスストアのATMに行き、『0120-○○○○』などに連絡して、担当者の言うとおりにATMのボタンを押して欲しい」などと指示するもの。指示どおりにすると、還付金を振り込んでもらうつもりが、言葉巧みにATMの振込み操作をさせられ、逆に現金を振り込まされてしまう。
被害者は、全体の66%が60歳以上の高齢者で、7割強を女性が占めている。国税庁では、国税局や税務署では、還付金の受取手続きのためにATMの操作を求めることや、また、国税の納税のために金融機関の個人名口座を指定して振込みを求めることはない、として注意を喚起している。