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経営関連情報 (2005/05/25)

技術の伝承を必要とする企業が高卒者を採用

 労働政策研究・研修機構が19日に発表した「若年者の採用・雇用管理の現状に関する調査」では、高卒労働市場が縮小傾向にあるなかで、高卒者を20歳前から自社内で育成し、将来的に企業固有の技術や業務の担い手なることを期待している企業が、現在も新規高卒者を積極的に採用していることがわかった。また、現在高卒者を採用している企業の6割以上は、高卒採用を将来にわたって継続するとの強い意向を示している。

 調査結果(有効回答数2332社)によると、2004年度に高卒者を新卒採用した企業(1148社)に、その理由(複数回答)を尋ねたところ、「高卒者で十分こなせる業務だから」(61.7%)「より若いうちから育成する必要がある業務だから」(40.8%)が上位となった。しかし、この2つを重複して選択している企業割合は低く、十分にこなせる業務のための採用と、技術伝承の担い手としての期待からの採用とに、大きく二分されている。

 一方、2004年度に大学・大学院卒の採用だけで高卒求人をしなかった企業(326社)に、その理由(複数回答)を尋ねたところ、「大卒者の採用で必要な人員を十分に充足できるから」(61.3%)との回答が最も多い。以下、「高卒者の育成に時間をかけられない」(29.4%)、「パート・アルバイト、派遣、請負などを活用しているから」(27.3%)、「高卒者では遂行できない業務だから」(21.2%)が続いた。

 このことから、高卒者よりも訓練期間が短くてすむ可能性の高い大卒者を求めていたり、業務の高度化への対応のために大卒者の配置や活用が必要になった企業が高卒求人をしなくなったと考えられる。また、業務のコア部分を担わせる人材として大卒者を採用する一方で、それ以外の業務では高卒正社員からパートや派遣など非典型労働者への置換えが起きてきる可能性がうかがえる。

 なお、現在高卒を採用している企業(1795社)に対し、1)必要要員が大卒者で補えれば、2)パート・アルバイトの戦略化を進められれば、3)派遣・請負の活用が進められれば、4)中途採用者の活用が進められれば、という条件下で、高卒採用数を減少・休止させるかを尋ねたところ、いずれの条件下でも否定的な回答が6割を超えた。長期雇用を前提とした高卒正社員に期待する役割が企業内に存在しつづける可能性がうかがえる。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.jil.go.jp/press/documents/2005_05_19.pdf