矢野経済研究所が実施した「訪問販売に関する調査」結果(有効回答数592人)によると、訪問販売での商品購入経験は、38.9%と約4割の人が「あり」と回答した。購入した理由は、「買いたいものがあったときにちょうど来た」(35.7%)、「買いたいものがあったから呼んだ」(28.7%)など好意的な意見がある一方、「買わざるを得ない状況だった」(25.2%)、「友人・知人に誘われた(仕方なく)」(13.5%)など悪い印象も少なくない。
こうしたことから、訪問販売で購入した商品を返品・解約したことが「ある」との回答は25.7%と4人に1人いた。契約解除の理由(自由回答)として「セールストークに乗せられて買ったが、冷静に考えると高かった」というものが複数見受けられた。また、訪問販売業者への要望としては、「訪問時間やこちらの都合を考えてほしい」(31.9%)、「うそをついて買わせようとしないでほしい」(19.4%)などが上位に挙げられた。
一方、訪問販売を行う主要企業約30社を対象とした市場調査結果では、2006年度の訪問販売の全体市場は約2兆6000億円と推計。大小さまざまな企業が林立している訪問販売業界だが、いずれの商材においても“有力企業”が市場を占める割合が非常に高い。参入企業数の多い「化粧品」(全体における売上高比率30.1%)と「栄養補助食品」(同23.4%)に関しては、有力企業売上高比率は約74%と算出している。
売上高比率23.0%で3位の「掃除用具・衛生サービス等」での有力企業比率も約79%と高く、訪問販売市場全体に占める有力企業売上高比率は約77%に達している。矢野経済研究所は、女性の社会進出による在宅率の低下、核家族化、地域活動への参加率の低下などにより、顧客の獲得が難しい状況となっているため、訪問販売形態での商品拡販は非常に難しくなっているとみている。そのため、「市場は今後も縮小する」と予想している。
同調査結果の概要は↓
http://www.yano.co.jp/press/pdf/283.pdf