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全国知事会が消費税率引上げを提言

税務関連情報 - 2008年07月28日

 全国知事会はこのほど「地方財政の展望を踏まえた地方消費税の充実に関する提言」をまとめ公表した。全国知事会として試算を行った結果、都道府県と市町村を合わせた地方の財源不足は、2011年度には7.8兆円から8.3兆円という巨額にのぼり、事実上破綻に追い込まれるとして、基幹税として「地方消費税」を充実すべきだと主張した。不足分を現行の地方消費税に換算すると約3.0%~3.2%に相当する。

 提言によると、三位一体の改革以降、地方一般財源総額は厳しく抑制され、5.1兆円にのぼる地方交付税等の削減により、地方交付税の財源保障、財源調整機能は大幅に弱体化し、地方財政の財源不足と地域間格差拡大の要因となったと指摘。この窮状は行革のみでは打開できず、サービス水準の切下げによる財源不足の解消は困難であり、持続可能なサービスの維持・充実のための財源確保が可能な税財政制度の再構築が必要と訴えた。

 その財源として、税源の偏在性が小さく、税収が安定的な地方消費税を充実すべきであると主張。その時期や拡充の幅などについては、景気の状況に配意しつつ、国・地方を通ずる消費税を含む税体系の抜本的改革のなかで検討し、実現を図るとしている。国政においても、真摯な議論を行うとともに、本質的な税財政構造の再建に責任ある対応と展望を示すべきだとして、本格的消費税議論を進めない政府・与党を批判している。

 また、一部に地方消費税を消費税と合わせて、全額を年金等国の社会保障財源として活用しようとする消費税の社会保障目的税化の議論があることに対して、地方が社会保障に対して果たしている重要な役割や、地方消費税が経緯上も地方の固有財源であること、消費税が地方交付税の原資となっていることを顧ないものであるとして、全国知事会は、到底容認できないとの考えを表明している。