税関は、麻薬等の密輸取締りなどの水際取締りを行うほか、輸入貨物に対して課される関税や消費税などの徴税機関としても重要な役割を担っている。財務省関税局が11月27日に公表した「2005事務年度における関税等の適正課税に関する調査実績」によると、全国の関税が、今年6月までの1年間に、申告内容に疑問がある輸入者などを対象に事後調査を実施した結果、過去最高の約1616億円の申告漏れ課税価格を把握した。
この申告漏れ課税価格は前年度に比べ39.1%増と大幅に増加しており、これに対する関税・消費税の追徴税額は、過去最高を記録した前年度とほぼ同額の約108億円だった。実地調査を行った輸入者は5401者(対前年比3.4%増)で、うち7割弱の3640者(同9.1%増)から何らかの非違を見つけた。追徴税額の税目別の内訳は、関税が対前年度比50.7%減の約22億円、消費税が同32.9%増の約86億円だった。
納付不足額が多い上位5品目は、「電気機械」(23.1億円)、「機械類」(21.2億円)、「織物衣類」(7.3億円)、「光学機器等」(6.4億円)、「編物衣類」(6.2億円)で、これらの5品目で納付不足額総額の63.0%を占める。主な申告漏れの内容は、海外生産のために輸入者が輸出者に無償で提供した原材料費用の申告漏れや、インボイス上の決済金額以外の貨物代金の申告漏れ、ロイヤルティの申告漏れなどだった。
例えば、中国から墓石を輸入していたAは、輸入貨物の製造に必要な原石を輸出者に無償で提供していたが、輸入の際には、課税価格に含めるべきその費用を含めずに申告していたことが判明し、申告漏れ課税価格は10億1400万円、消費税の追徴税額は5100万円にのぼった。ちなみに、課税価格の原則的な決定方法は、「CIF価格(貨物代金+輸入港までの運賃+保険料)+(仲介料、無償提供した物品等の費用等)」である。