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課税関係は生じない社内預金引当信託での社内預金者

税務関連情報 - 2008年03月05日

 社内預金引当信託は、社内預金制度を行う際に義務づけられている保全措置の一つで、事業主と信託銀行の信託に基づくもの。企業を委託者兼収益受益者、社内預金者を元本受益者として、社内預金の社外積立により、会社が倒産した場合など万が一のときの保全を図るものだ。国税庁はこのほど、社団法人信託協会の照会に答える形で、この社内預金引当信託において社内預金者には課税関係が生じないことを認めた。

 社内預金引当信託は受益者等課税信託に該当し、信託財産から生じる所得については、発生時に受益者等に課税される。税法上、受益者等には「受益者」と「みなし受益者」があるが、社内預金引当信託の設定時において、元本受益者(社内預金者)は会社が倒産等するまでは受益権を有しないこととされているので「受益者」に該当せず、また信託契約を変更する権限もないこととから「みなし受益者」にも該当しない。

 このため、社内預金引当信託が設定されたとしても、元本受益者が信託財産に属する資産及び負債を有するものとみなされることはない。そこで信託協会は、税務上、会社が倒産等するまでは、その社内預金者に課税関係は生じないと解釈している。つまり、会社が倒産等するまでは、収益受益者である会社だけが受益者となり、信託財産を会社が所有し、収益も費用も会社に帰属するものとして、法人税法の規定を適用する。

 また、企業が倒産等した場合、元本受益者である社内預金者は信託財産から支払いを受けることになるが、この信託財産からの支払いは、新たな利益ではなく、社内預金者の有している社内預金請求権の弁済として支払われるものだから、社内預金者の課税所得にはならないとの解釈を示した。これらの信託協会の考えを国税庁が認めたことから、社内預金引当信託において社内預金者には課税関係は生じないことが確認されたわけだ。