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09年度税制改正は景気対策優先の1兆円規模減税

税務関連情報 - 2009年04月03日

 3月27日に衆院本会議で成立した2009年度税制改正法案は、景気対策を最優先し、国・地方合わせて1兆円規模の個人・法人減税となった。中小企業対策では、(1)中小企業に対する軽減税率の引下げ、(2)中小企業の欠損金の繰戻還付の拡大の影響が大きそうだ。(1)は、資本金1億円以下の中小企業について、2009年4月から2011年3月までの2年間に限って、年800万円以下の部分の法人税の軽減税率を4%引き下げ18%とする。

 例えば、所得が年700万円の企業の場合、法人税が「700万円×4%」で28万円少なくなる。さらに、法人住民税は法人税に17.3%の税率で課せられるので「28万円×17.3%」で4万8400円少なくなる。つまり、今回の改正で「28万円+4万8400円」の合計32万8400円の税金が軽減される。適用は今年4月から終了する各事業年度なので、もっとも早く適用できる法人は4月期決算法人となる。

 また、中小企業が赤字になったときに前年度に納めた法人税の一部を還付する欠損金の繰戻還付制度も拡充された。改正前は設立後5年以内の企業を除き2010年3月31日までの間に終了する事業年度において生じた欠損金額については適用されなかったが、2009年度改正では対象を設立5年超の中小企業にも拡大した。適用は、2009年2月1日以後に終了する各事業年度からと、減税効果を早めるため2月期決算法人からとなる。

 そのほかの中小企業対策では、(1)中小企業等基盤強化税制の適用期限を2年延長、(2)エネルギー需給構造改革推進設備等や資源生産性の向上に資する設備等について、即時償却を可能とする等の措置の導入、(3)非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の導入、(4)事業者が2009、2010年に土地を先行取得して、その後10年間に他の土地を売却した場合、その譲渡益を繰り延べる制度の創設、などがある。