相続財産のなかには、土地や建物などをはじめ直ちに現金化できないものがあって、納税に支障をきたす場合も少なくない。そのようなケースでは、一定要件を満たせば年払いでの延納の許可が受けられる。国税庁がこのほどまとめた2004年度相続税の延納申請状況によると、今年3月までの1年間における延納の申請件数は7026件、金額では2020億円だった。
前年度に比べ件数は15.7%(307件)減、金額は16.0%(384億円)減となって、ともに4年連続の減少となった。延納申請件数は、ピーク時の1991年度は4万7360件、2兆4214億円にのぼったが、バブル崩壊後の地価の下落とともに減少傾向をたどり、2004年度には、申請件数ではピーク時の約15%、金額では同約8%にまで減少している。
一方、2004年度の延納処理状況は、前年度からの繰越2232件と新たに申請された7026件の計9258件が処理対象だったが、うち7457件、2225億円を処理し、1801件、462億円が処理未済として翌年度に繰り越された。処理された7457件のうち、約92%にあたる6851件が延納を許可されており、要件を満たさずに却下されたのが64件、納税者自ら申請を取り下げたのが542件となっている。
なお、延納の許可を受けるためには、1)相続税額が10万円を超えていること、2)金銭納付を困難とする事由があり、その金額の範囲内であること、3)申請書を期限内に提出すること、4)延納税額に相当する担保を提出すること、のすべての要件を満たす必要がある。また、延納によっても金銭納付を困難とする事由があるなどの一定要件を満たせば、物納の許可を受けることができる。