経 営 関 連 情 報

2003年10月10日-003
中小企業の救世主となるか「企業OB人材活用」

 新事業展開や新商品開発などを企てる中小企業にとって、個別分野のスペシャリストを内部で確保することは難しい。そこで、すでに企業や大学等研究機関を退職したOBなど外部の人材を中小企業のニーズとマッチングさせようというのが、中小企業庁が日本商工会議所や各地商工会議所との連携で進める「企業OB人材活用推進事業」である。

 中小企業庁が実施した「人材活用に関する意向調査」結果では、約8割の企業が「大企業OBなどの専門分野の知識や技術は必要」と回答。具体的にOB人材を活用する場合に解決したい経営課題としては、「技術研究・製品開発」「販売・マーケティング」「生産管理」などが上位を占めている。

 一方、OB人材側としては、アンケート調査を実施したところ、知識や技術などを活かし、中小企業を応援したいとの意志を持っている人材のうち、8割が「週2~3日程度」の働く意志があるという結果となっている。

 このようなことから「企業OB人材活用推進事業」が進められるわけだ。中小企業と企業OB人材をマッチングさせるのは、各都道府県に1つずつ設置される「企業等OBマッチング地域協議会」で、2003年度は21ヵ所に設置する予定という。これらの協議会が、OB人材の発掘・収集、OB人材データベースへの登録、企業とOB人材のマッチングの支援などを行う。

 厳しい経営環境のなかで、新分野進出等の経営革新に意欲的な中小企業は少なくない。このような中小企業の人材不足を外部からの人材の活用によって補おうという試み。この「企業OB人材活用推進事業」が果たして中小企業の救世主となるか、同事業の今後の展開が大いに期待されるところだ。

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