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税務関連情報 (2005/07/27)

税収増による財政赤字の縮小

 税収増により財政赤字が縮小し、プライマリーバランス(基礎的財政収支:国債の元利利払を除いた歳出と国債発行を除いた歳入との差)は15.9兆円から13兆円台まで改善するとの見通しを明らかにしたのは、第一生命経済研究所(熊野英生氏)のレポート。2004年度決算によると、税収は当初予算41.7兆円に対して、決算ベースでは45.5兆円と、当初計画比3.8兆円の上方修正となり、2年連続で1兆円以上の剰余金が発生した。

 レポートによると、法人税収が企業収益の大幅増益(前年度比24.6%、財務省「法人企業統計」)になったこと背景に増え、3割弱の黒字企業の増益が税収を引っ張った。一方、所得税(年間7558億円上方修正)は、2004年度時点では賃金の基調的な回復の影響は表れておらず、2004年1月からの配偶者特別控除の廃止、2005年1月からの公的年金等縮小・老年者控除の廃止の一部が2004年度の税収増に影響している。

 さらに財政収支の改善に見逃せないのは、歳出面でも国債等の利払費が減っている効果である。利払費の当初予算額は8.7兆円だったが、決算段階では長期金利が年度中は低位で推移したため、7.3兆円と▲1.3兆円も節減された。利払費は毎年、7000億円~1兆円の下方修正が続いているが、2004年度は、過去のパターンと比べことのほか金利節減効果が大きかったとみている。

 2005年度の税収については、雇用所得者の回復が次第に鮮明となってきており、所得税収の増加が期待できる。年度の特殊要因として定率減税の半減により約5300億円程度の税収増が見込まれる効果があるが、税源移譲6910億円がその効果をほぼ相殺してしまう。しかし、所得環境の改善の効果がフルに効いて、税源移譲を勘案しても1.7兆円の増加が見込まれる。法人税収も、企業の増益基調が続き、当初予算比2.1兆円増と予測している。

 こうした税収増がプライマリーバランスに与える効果が大きく表れる2004年度は、年度内の剰余金の発生に加え、前年度の剰余金が償還費に回る効果があったため、プライマリーバランスが1.73兆円も上方修正されている。2005年度には、先の税収上振れに、償還費の上積みがあって、2.7兆円前後の上方修正が見込まれる。結果、2005年度のプライマリーバランスは、13兆円台と2000年以来の水準まで改善が進むと期待されている。

 同レポートの全文は↓
 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/kuma/pdf/k_0507d.pdf