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08年度物納申請件数は82%増で10年ぶりの増加

税務関連情報 - 2009年07月08日

 国税は金銭による納付が原則だが、相続税については、財産課税という性格上、延納によっても金銭納付が難しい理由がある場合は、一定の相続財産による物納が認められている。国税庁がこのほど公表した2008年度相続税の物納申請状況等によると、今年3月までの1年間の物納申請件数は698件、金額では564億円で、前年より件数で82.2%増、金額で139.8%増の大幅増加となり、件数は10年ぶり、金額は6年ぶりの増加となった。

 物納申請件数は、バブル崩壊後の1990年度以降、地価の下落や土地取引の停滞などを反映して著しく増加した。それまで年間500件前後に過ぎなかったものが、バブル期の地価急騰及びその後の地価急落で、路線価が地価を上回る逆転現象が起こり、土地取引の減少から土地を売ろうにも売れず、90年度に1238件、91年度に3871件、そして92年度には1万2千件台まで急増した。

 しかしその後は、事前に相続税額を試算して納税準備をするなど相続開始前から納税対策を行う納税者が増えたことなどから、99年度以降は年々減少している。2008年度は10年ぶりの増加となったが、ここ2年間は89年度(515件)以来の1千件割れが続いている。2008年度の申請件数はピーク時92年度(1万2778件)の約4%、金額でも同じくピーク時92年度(1兆5645億円)の約4%まで減少している。

 一方、処理状況をみると、前年度からの処理未済を含め880件、金額で825億円を処理した。件数は前年度比35.8%減、金額も同30.7%減の大幅減少だった。年度末での処理未済件数は、前年度より21.2%減の677件、金額では38.6%減の650 億円となった。処理の内訳は、全体の80%の704件が許可され、物納財産として不適格として27件が却下、残りの149件は納税者自らが物納申請を取り下げている。