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知っておきたい交際費の基礎知識

税務関連情報 - 2009年06月18日

 不況のなか、各企業は交際費支出を厳しく管理している。社内の目が厳しいことから、取引先から接待された社員が、その接待場所が最寄り駅から結構遠くにある場合に、タクシーか徒歩かで迷っても不思議ではない。ところが、交際費について知識がある社員であれば迷わずタクシーを使うだろう。接待費用を相手が払う場合は、自社から店、店から自宅までの費用は業務上の経費であり「交通費」の扱いとなるからだ。

 企業にとって、どのような支出が交際費となるかといった基礎知識は重要になる。例えば、法人税法上、交際費にあたらない支出としては、(1)1人あたり5000円以下の社外飲食費、(2)会議に関連して茶菓、弁当などの飲食物を出すために通常かかる費用、(3)社会事業団体、政治団体に対する拠出金、神社の祭礼などの寄贈金、(4)新製品説明会や販売技術研修会などのための費用、などなど色々ある。

 特に知っておきたいのは、「1人あたり5000円以下の飲食費」が交際費の範囲から除かれ損金算入が認められていることだ。この場合の飲食費とは、得意先など社外の事業関係者の接待に際してかかる費用だから、取引先などの従業員が最低でも1人含まれている必要がある。また、その飲食費の内容が分かる領収書などを受け取り、飲食をした得意先等の氏名や人数などの必要事項を記載した書類を保管しておくことも必要となる。

 この「5000円基準」は、接待の相手が親会社の役員でも社外の者であるから対象となる。1件目に和食料理店に行き、二次会にカラオケスナックで接待するといった場合でも、それぞれで5000円基準が適用されるので覚えておきたい。ところで、この5000円基準は税抜き金額である。税込みの経理方式を採用している場合は、税抜き経理方式への変更を検討したほうがいいかもしれない。

 現在、参院で審議中の経済危機対策関連法案では、中小企業の交際費の損金算入限度額を400万円から600万円に引き上げる軽減措置が盛り込まれている。参院で否決されても、60日ルールによって7月中には衆院で再可決され成立する見通しだ。不況のなかでも接待を減らせない企業は少なくない。そうした企業にとって、交際費課税の軽減はありがたいが、一方で交際費の基礎知識を知った上で活用することが求められよう。