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経営関連情報 (2007/12/21)

初めて過半となった役員退職慰労金を持たない企業

 野村総研が東証上場企業を対象に実施した「日本企業の役員処遇・人材開発に関する調査」結果(有効回答数190社)によると、役員退職慰労金制度について、「制度がない」(4.7%)、「最近廃止した」(47.9%)と回答した企業が合わせて52.6%にのぼり、2004年度の調査開始以来、初めて回答企業の半数を超えた。さらに、制度を維持している企業でも、約半数が「制度改定を予定」(6.7%)、「検討している」(41.1%)ことが分かった。

 役員を対象とした業績連動型報酬制度については、49.5%の企業が「仕組みがある」と回答したが、2006年度(59.0%)と比較すると、10ポイント近い減少となった。これは、会社法の改正に関連して、利益処分による役員賞与形態が廃止されたことに伴い、毎月の役員報酬に従来の賞与の一部を繰り入れた企業があることが原因とみられている。役員層に対する成果主義の導入は、企業によって対応が異なってきている傾向にある。

 一方、将来の取締役に期待する能力(複数回答)については、「戦略的意思決定能力/決断力」(58.9%)、「ビジョン構築力」(54.7%)、「革新性/先見性」(50.5%)が上位に挙げられた。また、取締役の能力開発のために今後整備したい仕組み(複数回答)としては、「コンピテンシー(取締役会メンバーに求める能力・行動規範)に基づく個人評価」が、現在仕組みがある企業は10.6%ながら、37.6%ともっとも多い。

 次いで、自社の経営課題をテーマに課題解決方法をチーム単位で検討する「アクションラーニング」(33.5%)、「自社の社内研修・社内大学の講師役を務める仕組み」(21.8%)などが続いた。これらの結果から、役員の早期登用や外部からの登用が進んでいるなかで、特定事業や特定機能の専門家の延長ではなく、経営者として適切な経営判断をするための能力を開発する必要があると、多くの企業が新たに認識してきていることがうかがえる。

 同調査結果の概要は↓
 http://www.nri.co.jp/news/2007/071218_1.html