NTTデータ経営研究所が実施した「中心市街地の必要性に関する意識調査」結果(有効回答数1100人)によると、10年程度以前と比較して衰退したと感じる中心市街地の施設(複数回答)として、回答者の67%が商店街などの「小規模商業施設」を挙げ、次いで映画館や劇場などの「娯楽施設」(32%)、デパートなどの「大規模商業施設」(24%)、レストランやカフェなどの「飲食施設」(20%)の順となった。
中心市街地における商業機能の衰退が強く認識されている状況だが、中心市街地の衰退原因(複数回答)としては、「商店街などの個人経営の店舗の魅力がないため」が45%でもっとも多かった。この傾向は、居住都市圏が地方であるほど、また、65歳以上の高齢者層ほど多い傾向がみられ、中心市街地の衰退、とりわけ商店街の衰退は、地方都市圏の高齢者にとって深刻な問題であると考えられる。
活性化に向けて充実すべき施設(複数回答)としては、衰退した施設と同様に「小規模商業施設」がトップに挙げられたが、衰退したと感じている人が67%だったのに対し、充実すべきと感じている人は43%に過ぎず、24ポイントの差があった。この乖離は、これまで中心市街地の商店街が担ってきた役割が郊外のショッピングセンターなどに代替され、住民はもはや商店街活性化の必要性を感じていない状況を懸念させるものといえる。
中心市街地活性化の必要性と費用負担については、「税金を投入してでも積極的な活性化を推進すべき」は20%に過ぎず、「税金を投入してまで活性化する必要はない」が25%、「中心市街地の当事者が費用を負担して活性化を推進すべき」が18%と厳しい意見が多かった。一方で、街なか居住意向については、「条件が合えば住みたい」が51%と過半を占め、「積極的に住みたい」の11%を合わせた積極派が62%に達している。
街なか居住意向は、中心市街地までの所要時間が短いほど、また、年齢層が低いほど大きい傾向がみられたが、いずれの場合でも「条件が合えば住みたい」が5割前後を占めており、条件に対応した方策次第で街なか居住が一気に進む可能性もある。また、中心市街地で充実すべき施設として、商業施設以外にも、「飲食施設」(35%)や「娯楽施設」(24%)、「文化施設」(21%)、「医療施設」(17%)など多様な都市機能の集積が期待されている。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.keieiken.co.jp/aboutus/newsrelease/080919/pdf/080919_result.pdf