ストックオプション訴訟は、1月21日の横浜地裁に続き同月30日の東京地裁でも「労務の対価として給与所得にあたる」との判断が示された。2002年11月と2003年8月の同じ東京地裁の「一時所得」とした判断とは分かれたわけだが、風向きは給与所得に流れているのだろうか。
ところで、1月30日の東京地裁では過少申告加算税についての言及があったかどうか定かではないが、横浜地裁の何人かの原告のように、確定申告に際してストックオプションに係る利益はまったく申告しなかった(一時所得としても)ケースに対して、過少申告加算税を取り消した判決には疑問が残る。
過少申告加算税そのものは、2001年5月に国税当局そのものが「一部の納税者の申告漏れは税務署の誤った指導が原因」として国税当局自身が取り消しており、横浜地裁が取り消したことにも問題はない。しかし、それはあくまでストックオプションの利益をいったんは給与所得や一時所得として申告したうえで争った場合であろう。
ストックオプションに係る利益をまったく申告しなかったのは、当局の給与所得という判断に承服できなかったからという、いわば確信犯的な行為だ。給与所得や一時所得としていったん申告したうえで争っているケースと同列にして、過少申告加算税を取り消した判断は疑問といわざるをえない。
ここからは余談であるが、ストックオプションの訴訟費用は、着手金300万円、四半期ごとに300万円という。1年間で1500万円の費用がかかる。いまのところ確実に利益を上げているのは弁護士さんだけということになろうか…。いまのところ2勝2敗のストックオプション訴訟だが、次は2月19日、同月25日といずれも次の舞台は東京高裁となる。どのような判断が下されるのか注目されるところだ。