年金制度改革関連法案が5日に参院で可決・成立したことによって、厚生年金の保険料(現行13.58%)は今年10月から毎年0.354ポイントずつ引き上げられ、2017年度には18.30%に上昇する。企業負担は、年収560万円の社員1人あたりで年間約1万円の増加となり、企業への影響は決して少なくない。そこで、帝国データバンクでは、既存正社員の削減など雇用への影響を調査した。
調査の結果(有効回答数7895社)、「既存正社員を削減する」「削減する方向で検討する」と回答したのは全体の32.5%(2563社)となり、約3社に1社が厚生年金保険料の負担増を契機とした既存正社員を削減する意向があることが分かった。内訳は、「今後1年間で既存正社員を削減する」企業が1.8%(139社)、「今後1年間に削減を検討する」企業が12.7%(1001社)、「いずれは検討する」企業が18.0%(1423社)だった。
一方、「削減しない」と回答した67.5%(5332社)の企業に対し、既存正社員の削減以外にどのような施策を行うか聞いたところ、33.2%(1769社)の企業が「正社員の新規採用抑制」や「諸手当のカット」などの人件費削減を検討すると回答。既存正社員を削減しない企業でも、約3社に1社が新規採用の見送りなど人件費の削減によって負担増の吸収を検討する方向にある。
この結果、人件費の削減によって負担増を吸収しようとする企業は、既存正社員を削減する意向がある企業2563社と合わせて4332社、全体の54.9%と過半数を占めている。