景気の回復に伴い企業の景況感は改善が続いている。一方で、景況感の回復は大企業製造業など一部に限られており、大企業と中小企業の格差が拡大している、という指摘もある。そこで、企業規模による景況感の格差の現状とその要因について分析を行ったのは内閣府が23日に公表した今週の指標(No.500)である。
それによると、製造業では大企業と中小企業の景況感の格差の拡大はバブル期を除いて、景気回復期にみられる現象であって、中小企業の改善は、大企業を常に下回っていると指摘している。そこで、このような業況判断DI(「よい」-「悪い」企業割合)の振幅の差を調整することで標準化したDIを比較している。
その結果、製造業については、大企業と中小企業でDIの変動の分布に特に違いはみられない。一方、非製造業については、中小企業の分布に長期的にみた下方トレンドがみられる。非製造業におけるこのような違いは、例えば中小企業のほうが大企業に比べ過剰債務の削減が遅れていることなどが考えられると推測している。
また、中小企業の景況感の「絶対水準」が低いことも、景況感の格差の背景にある要因と考えられる。中小企業の景況感も改善の動きがみられるが、これは主として現状を「悪い」と答えた企業の割合が減少してきたことによるものである。現状を「よい」と答えた企業の割合は、大企業を下回り中小企業では1割弱に過ぎない。中小企業の景況感は回復途上ということになるのか…。