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「名ばかりの管理職」解決に具体的な判断基準明示

経営関連情報 - 2008年09月12日

 最近、日本マクドナルドに対し店長に対する残業代支払いを命じる判決が下されるなど、「名ばかりの管理職」問題が新聞紙上を賑わしたが、厚生労働省は9日、十分な権限や相応の待遇等が与えられていないにもかかわらず、残業代が支払われないなどの「名ばかりの管理職」問題解決のため、多店舗展開する小売業や飲食業の店舗の店長等の管理監督者の具体的な判断基準を明示し、都道府県労働局長あてに通達した。

 同通達においては、管理監督者性を否定する重要な要素として、職務内容、責任と権限について、(1)アルバイト・パート等の採用について責任と権限がない、(2)アルバイト・パート等の解雇について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず、(3)部下の人事考課について職務内容に含まれず、実質的にも関与せず、(4)勤務割表の作成、所定時間外労働の命令について責任と権限がない、などを明示している。

 また、長時間労働を余儀なくされるなど、実際には労働時間に関する裁量がほとんどないことなども管理監督者性を否定する補強材料としている。さらに、勤務態様について、遅刻、早退などにより減給され、人事考課でのマイナスの評価がされることや、賃金等の待遇について、時間単価換算した場合にアルバイト・パート等の賃金額に満たないなどを、管理監督者性を否定する重要な要素として挙げている。

 なお、全国の労働基準監督署が、今年4月~6月に管理監督者の範囲に問題があると考えられる店舗66店(企業数53社)を対象に実施した監督指導結果によると、すでに見直しが行われ管理監督者として取り扱われている者がいなかった店舗は11店で、管理監督者として取り扱われていた者がいた店舗は55店、うち店長(支店長・支配人等を含む)が55人、店長以外の者(副店長、部門長、主任等)が33人だった。

 その店長55人については、管理監督者と認められる店長は10人に過ぎず、管理監督者と認められない店長が45人にのぼった。また、店長以外の者33人については、全員が管理監督者と認められない者だった。