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税務関連情報 (2007/07/02)

非上場株式の80%減額など事業承継税制を拡充

 来年度税制改正の焦点の一つとして非上場株式の80%減額措置など事業承継税制の抜本的拡充が浮上している。中小企業の事業承継の円滑化は、昨年の税制改正大綱において検討事項とされ、自民党の事業承継問題検討小委員会が計21回の会議を開催し検討を重ね、6月19日に「中間とりまとめ」を決定した。その骨子は、非上場株式等の事業承継税制の拡充、後継者問題等への対応、遺留分等相続法上の問題への対応を図ることなどだ。

 非上場株式等に係る事業承継税制の抜本的拡充については、1)非上場株式等の事業用資産に係る相続税の減免措置を中心に、2)非上場株式の評価、3)納税の円滑化も併せ、適切な制度の拡充や見直しを実施することを提言している。事業承継者の相続税負担の軽減は、事業の継続・発展を通じた雇用の確保や経済の活性化を図るとともに、国際競争力の確保といった観点からも重要との考えがある。

 具体的には、一定の事業継続などを要件に、非上場株式に係る相続税の減免措置(現在10%)を中心に事業用資産全体について、すでに80%の減額措置が導入されている特定事業用宅地並みに軽減する。事業継続要件は、欧州主要国の例を踏まえ5年程度や、法人の欠損金の繰越期間である7年が目安となる。また、事業継続要件の担保として、事業承継計画の承認や、要件を証する書類の税務署等への毎年提出の義務付け等を検討する。

 ほかでは、相続法上の遺留分が事業の後継者への事業用資産の集中を制限し、事業承継の阻害の一因となっていることから、当事者間の合意に基づき、後継者以外の相続人が遺留分放棄を行う際の手続きの簡素化を図る「事業承継契約(仮称)スキーム」の創設も提言している。これらの「中間とりまとめ」の提言を踏まえ、自民党は、中小企業政策の柱として、年末の税制改正大綱や次期通常国会における実現を目指す方針だ。