帝国データバンクがこのほど発表した全国企業倒産状況(負債1千万円以上)によると、8月の倒産件数1080件は、5年6ヵ月ぶりの1100件割れで、前年同月比では18.2%減となり、20ヵ月連続して前年同月を下回った。個人消費や設備投資が増加傾向を示しているうえ、企業業績も大幅な改善をみせており、これらが倒産減少に影響を与えていると推測している。
一方、負債総額は5991億6700万円で、前年同月を48.9%も下回り、5ヵ月連続の1兆円割れとなった。負債総額が1兆円に満たなかったのは、月中、負債1000億円以上の倒産が2ヵ月ぶりに発生しなかったうえ、負債100億円以上は8件と4ヵ月連続の1ケタ台にとどまるなど、大型倒産が少なかったため。大型倒産は、湘南観光開発(負債600億円)や旭国際開発(同560億円)など、相変わらずゴルフ場の倒産が目立つ。
現在、倒産件数は減少傾向にあるが、それは、政府が中小企業の資金繰りを一時的に援助しているうえ、企業間信用の縮小が手形不渡りによる倒産を抑制していることから、現状は、倒産の危機が先送りされている色合いも強いとみられている。事業継続断念を強いられるケースも増加傾向にあり、破産と特別精算による「清算型の法的処理」の合計は396件で、倒産全体に対する構成比は36.7%と高水準だった。
対前年比での倒産件数の減少はしばらく続く可能性が高いが、件数そのものは底打ち感も出始めていることに加え、過剰債務企業の処理は道半ばの状況が続いているだけに、帝国データバンクでは、「倒産件数は増勢に転ずる要素を内包していると言わざるを得ない」との見方を示している。