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原則売買とみなされる4月以降のリース取引

税務関連情報 - 2008年04月02日

 これまで賃貸借として処理されてきた所有権移転外ファイナンス・リース取引が、今月4月1日以降は一部のリース取引を除いてすべて売買処理として取り扱われる。企業が利用しているリース取引のほとんどが所有権移転外ファイナンス・リースといわれているが、企業がリース取引を行った場合、そのリース資産の引渡し時にその資産の売買があったものとして、各事業年度の所得の金額を計算することとされる。

 借り手側企業のリース資産の償却方法は、リース期間定額法(リース期間を償却期間とする定額法)となり、支払利息は利息法または定額法で処理する。また、重要性が乏しいリース取引でリース契約の1件あたりのリース料総額が300万円以下のリース取引については、例外的に賃貸処理を認めるが、企業が賃借料(リース料)として処理した場合においても、これを償却費として取り扱う。

 これらの税制上の取扱いは、賃貸借処理を原則禁止した新会計基準に沿ったものだ。消費税については、これまでは支払ったリース料についてのみ税額の控除が認められていたが、リース取引が売買取引として扱われることから、リース契約をしてリース資産の引渡しを受けた事業年度において、そのリース取引に係る消費税の全額が控除できることになる。これは、企業にとって消費税の節税に利用できるメリットとなる。

 一方で注意したいのは、リース取引に係るリース料を「リース債務」として貸借対照表に計上する必要があることだ。これまでは表面的には判断できなかった債務が計上されることになり、多額のリース債務を抱える企業にとっては自己資本を減少させることになる。また、リース債務の計上に合わせて「リース資産」も計上することになるが、これによって総資本が増加することから、ROA(総資本利益率)が減少することになる。

 このように、リース取引が売買とみなされることによって、これまでと何も変わらないのに会計処理が変わることによって経営指標が下がってしまうというデメリットもある。そもそもリース取引は、事業運営に活用している資産・負債でありながら、貸借対照表には計上されないオフバランス取引だった。しかし、今後は表面化することで企業の財政状態の透明性が増す効果も期待されている。