税 務 関 連 情 報

2003年09月17日-001
試験研究費となるか「研究兼務者」の人件費

 2003年度税制改正で中小企業技術基盤強化税制が拡充され、中小企業者等に対して認められていた試験研究費の税額控除割合が15%(2006年4月以降は12%)と大幅に引き上げられた。しかし、中小企業にとっては使い勝手が悪いとの声が多い。それは、試験研究費として認められる人件費の範囲が限定されているからだ。

 試験研究費は、原材料費や人件費、経費(試験研究に使用する機械等の減価償却費を含む)、外部への委託試験研究費等、繰延資産としている試験研究費の償却費等が対象となる。問題は、人件費について「専門的知識をもって試験研究の業務に専ら従事する者」という要件があることだ。実務上は、“専ら”とは8割程度の従事が必要とみられている。

 ところが中小企業は、大企業と違って、試験研究に専任させる資金的・人的余力がない。何らかの兼務をしながら試験研究に従事している者がほとんど。人件費は通常、試験研究費に占める割合が相当高いが、その人件費が認められなければ名ばかりの優遇措置となってしまう。このような中小企業の不満に応え、中小企業庁が2003年度税制改正で兼務者も認めるよう要件緩和を求めたが、実現しなかった。

 そこで中小企業庁は、2004年度税制改正へ向けた意見の中に「専門的知識をもって試験研究の事務に専ら従事する者の人件費とされている試験研究費に、研究兼務者の人件費を追加する」との要望事項を再び掲げた。この「研究兼務者」の問題は、中小企業に限らず、厳しいコスト削減で人的余裕が低下している大企業にとっても関心が高く、今後の検討の行方が注目されているところだ。

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