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税務関連情報 (2004/10/15)

NPO法人の消費税課税事業者の届出には注意!

 ご存知のように今年4月から消費税が改正され、課税事業者の免税点が1千万円に引き下げられた。NPO法人にも改正が適用されるが、非課税対象の福祉事業の委託を受けたNPO法人が、委託契約書の委託金額に「消費税込み」と記載されていたため、消費税課税事業者の選択届出をしてしまい、課税されるケースがあるとして、NPO法人の会計・税務を支援するNPO会計税務専門家ネットワークが注意を呼びかけている。

 NPO法人の場合、収入のうち対価性がない会費・寄附金・補助金などの収入は、原則として課税対象とならない。しかし、事業成果を要求される委託事業などは課税対象となる。一方、同じ委託事業でも福祉関係では非課税になるものが多い。このことを踏まえて、課税事業者となるのか、免税事業者となるのか、課税事業者であれば簡易課税の選択が有利かどうかを判断する必要が出てくる。

 今年の春、東京・西東京市のNPO法人が、一昨年の市からの委託事業について、契約書の委託金額に「消費税込み」と記載されていたため課税事業者の届出をしてしまった。内容が福祉事業だったことから疑問に思ったNPO会計専門ネット会員の税理士が、8月に東村山税務署と交渉したところ、契約内容は非課税事業で、結果的に免税事業者であることが判明し、届出は取り下げられた。

 元はといえば、自治体の職員に消費税の知識がまったくなく、何も考えずに一般の契約書モデルどおりに「消費税込み」と記載した契約書を作成したことが原因だが、他の自治体でも同様のことは十分に考えられる。一方、税理士やNPO法人の当事者は、まさか契約書の記載が間違っているとは思わない。また、税務署は、書類を受け付けるだけで、そこまでの点検はしない。単純な話だが、うっかり間違えてしまいがちな問題でもある。