IT化の進展がみられるなか、中小企業におけるインターネットや電子メールの利用状況について全国中小企業景気動向調査(4~6月期実績)において特別調査したのは、信金中央金庫総研である。調査結果(有効回答数1万4530社)によると、インターネットを利用して自社ホームページを「開設している」との回答割合は32.2%となった。業種別では「不動産業」(45.9%)がもっとも高く、4割を超えている。
この自社HP開設割合に「自社HPは未開設だが、インターネットは利用している」(35.1%)を合わせた普及率は67.3%で、2004年4~6月期調査から8ポイント上昇した。また、電子メールについては「利用している」が50.9%にとどまり、インターネットに比べ活用が遅れていることが分かった。小規模企業ほど導入に消極的な傾向がみられ、従業員「1~4人」では「利用を考えていない」が48.4%に達する。
インターネット、電子メールを活用する目的(3つまで選択)については、「自社経営に必要な情報収集」が47.8%でもっとも多く、次いで「取引先企業との連絡、情報交換」が43.8%。中小企業のIT導入の主な狙いは情報収集にあるとみられる。また、「自社の宣伝・広告」も32.2%と相応のウエイトを占め、個人を顧客とする企業を多く含む「不動産業」(51.4%)、「サービス業」(44.3%)、「小売業」(36.1%)で回答割合が高い。
インターネット、電子メールの活用による事業活動への効果(3つまで選択)については、「業務の効率化」が54.6%ともっとも高く、次いで「取引先企業との交流の活発化、連携強化」が26.8%だった。また、「取引範囲(仕入網・販売網)の広域化」、「新規顧客の獲得」など、ビジネスチャンスの拡大を効果に挙げた企業は、それぞれ22.6%、18.3%だったが、小規模企業ほど高い回答割合の傾向がみられる。
IT化を勧めるに際しての問題点・課題(3つまで選択)については、「セキュリティ確保への不安」(40.5%)がもっとも高く、ウイルス感染や情報漏えいなどをキーワードとする昨今の事件・不祥事に対する経営者の不安感を色濃く反映する結果となった。これに「情報分野に長けた社員の不足」(26.8%)、「活用方法に関する知識の不足」(25.4%)が続き、中小企業においてITに関連した社内の人材が不足している様子がうかがえる。
同特別調査結果の詳細は↓
http://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/release/release124.pdf