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経済統計の「季節調整」とは季節変動を除くこと

経営関連情報 - 2009年06月29日

 月次や四半期の経済統計には、季節ごとに変化する特徴が反映されている。例えば、(1)暑い夏場には清涼飲料水の消費が増えるなどの「天候」、(2)ボーナスのある6、7月や12月には家計の実収入の水準が高くなるなどの「制度」、(3)年末や5連休、お盆などにより休日が続くその月は、工場の稼働日が少なくなるなどの「暦」、(4)お歳暮がある12月は百貨店の売上が高くなるなどの「社会的習慣」、などが季節要素として挙げられる。

 こうした季節要素は、景気変動等を把握する上では不要とみなされることが多いため、しばしば「季節調整」という作業によって取り除かれる。経済統計の変動を、(1)趨勢変動(長期的な上昇・下落の傾向を示す変化)、(2)循環変動(在庫変動や設備・建設投資などによる周期的な変動)、(3)季節変動、(4)不規則変動(上記3要素以外の変動要素)の4つに分解するとすれば、そのうちの「季節変動」を取り除くのが「季節調整」である。

 季節変動を考慮しなくて済むもっとも簡単な方法は、「前年比」をみることだ。気候や営業日数などがだいたい同じである前年の同月(四半期などの場合は同期)と比較すれば、景気等が1年でどう変化したかを明らかにすることができる。ただし、ベースとなる比較時に平年とは異なる変動(例えば、比較時は震災によって経済活動が極端に縮小していたなど)があった場合、前年比では経済の実勢を把握するのが遅れることがある。

 そこで、官公庁や日本銀行などの統計でよく利用されている季節調整値算出の方法に、米商務省が開発した「X-12-ARIMA」というものがある。これは、12ヵ月分のデータを平均化することで季節性を取り除く「移動平均」を応用するものだ。「X-12-ARIMA」は、複雑な数式であるため、コンピュータ上で計算されるが、こうした季節調整法にも様々な課題が残され、絶対的ではないことに留意しなければならない。