さて、恒例の「国の借金」確認シリーズである。幸せは心からかみしめたいが、いやなことは顔をそむけたくなるのが人情だ。だが、しっかりと危機に瀕したわが国の財政事情を認識しよう。財務省が25日に公表した2004年3月末時点での国債や借入金などを合計した「国の借金」は初めて700兆円の大台を超え、過去最悪の703兆1478億円にのぼった。
3ヵ月前の昨年12月末時点からは33兆266億円(4.9%)、1年前の2003年3月末からは34兆3873億円(5.1%)増えた。昨年3月末と12月末での差が少ないのは、昨年4月の郵政公社発足に伴い、郵政事業特別会計等からの借入金約47兆円がすっぽりと抜け落ちているからであって、実質はもっと差があるのである。
1年前と比べ、借入金は46兆4149億円減少して60兆6057億円となったが、国債は52兆1627億円増えて556兆4163億円となった。これらに、円売り・ドル買い介入のための資金調達で発行が28兆6395億円増えて86兆1259億円となった政府短期証券を合計したものが「国の借金」703兆円の内訳である。
2004年度予算案の一般会計総額82兆1109億円の8.6倍、2004年度税収見込み額約41兆7000億円の17倍近い額となる。年収500万円のサラリーマンが8500万円近い借金を抱えていることになる。わが国の6月1日時点での総人口1億2776万円(総務省統計、概算値)で割ると、国民1人あたり約550万円の借金となる勘定だ。ご老人、赤ちゃん、子どもを含めてである。
ところが、これは国の借金だけであって、地方財政も逼迫している。地方の借入金残高も今年3月末で204兆円ある。つまり、国・地方を合わせた借金は900兆円を超えているのだ。わが国の台所は破綻寸前といわれて久しいが、一向に改善される様子は見えてこない。今年度も国債を36兆6000億円新規発行する予定だ。他所事ではない我々の台所である。せめて税金やその使途に関心を持つことが必要なのではないだろうか。