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経営関連情報 (2006/09/01)

新雇用システムの主流は「長期雇用+成果主義」

 高度経済成長から安定成長の時代を通じて、終身雇用(長期雇用)、年功主義、企業別労働組合が「日本的雇用慣行」の“三種の神器”と言われてきた。ところが、1990年代後半から日本企業の雇用システムは劇的な変貌を遂げようとしている。こうした日本企業のニュータイプの雇用システムを分析するのは、労働政策研究・研修機構の立原信吾氏のコラムである。

 コラムでは、同研修機構の2004年調査のデータに基づき、日本企業の雇用システムを、1)J型(長期雇用+非成果主義)、2)NewJ型(長期雇用+成果主義)、3)A型(非長期雇用+成果主義)、4)衰退型(非長期雇用+非成果主義)に4分類している。分布をみると、NewJ型38%、J型30%、A型18%、衰退型12%と、長期雇用に加えて成果主義という新しい仕組みを取り入れたNewJ型が主流となっている。

 NewJ型の内訳に注目すると、2000年以降に成果主義を導入したNewJ移行型の企業が全体の26%に相当し、1999年以前から成果主義を導入していたNewJ先進型(12%)の企業よりも割合が高い。ではNewJ移行型とJ型がなぜ分化したのか。J型と比べたときのNewJ移行型企業にみられる特徴として、正社員比率が相対的に低いこと、非正社員や外部人材(派遣・請負)を活用してきたことを挙げている。

 つまり、NewJ型移行企業はJ型に比べて対象者が少ない長期雇用という特徴を持っている。成果主義が適用されるのは正社員が中心であることを併せて考えると、少数の人材を長期雇用し、優秀な人材に対してはさらに成果主義的処遇を通じて動機付けを行うといった「正社員少数精鋭主義」を採っていることになる。この結果、差別化戦略を実現するために必要な優秀な人材の確保が可能になっているとみている。

 これをコスト削減面から補強するのが非正社員や外部人材の活用である。以上のような施策や戦略が密接に絡み合ったり、相乗効果を発揮することによって、システムを形成していると分析している。

 同コラムの全文は↓
 http://www.jil.go.jp/column/bn/colum060.htm