税 務 関 連 情 報 |
2002年11月08日-003
経済財政白書、国際的にみて高いわが国の法人実効税率
2002年度の年次経済財政報告(経済財政白書)が5日、公表された。「改革なくして成長なし」との副題がついたが、税制改革ではわが国の法人所得課税の実効税率が国際的にみて高いことを強調し、景気回復のためにはその引下げが必要との考えを示唆している。80年代から、各国とも課税ベースの拡大とともに実効税率の引下げを行い、わが国でも98・99年度の2度にわたり大幅な引下げを行った。
その結果、わが国の実効税率40.87%はアメリカ並み(40.75%)となったが、30%台前半のイギリスやフランスなどに比べて高い。近年はアジア地域でも税率引下げが行われており、30%台を下回る国も少なくない。同一の税率を課せられていても、当期利益が負担する税コストを示す「税効果会計適用後法人税等負担率」には、企業によって、相当程度のバラツキがある。
さらに、マクロデータでみたわが国の法人所得課税に係る税負担率45%程度は、40%以下の欧米主要国に比べ高い水準にとどまっている。また、5業種の売上高上位5社の財務諸表等を単純平均したモデル企業が、同じ事業内容、同じ財務諸表で、諸外国で事業活動した場合の税負担を試算。その結果、全ての業種において、このモデル企業のわが国における税負担(率・額)が高くなっている。
結局、わが国の法人所得課税の負担が重いことを強調し、法人税率の引下げが経済活性化に資することを言いたかったということか。今回の先行減税では、法人税率の引下げは見送られる公算が強い。それにもかかわらず法人税率の引下げを示唆することが、この時期にふさわしいのかどうか疑問が残る白書の内容である。
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