日本総研が発表した「世帯タイプ別にみた物価上昇の影響についての試算」によると、4人家族世帯では月4795円の負担増となることが分かった。日本総研によると、2008年2月の消費者物価指数(生鮮食品を除く総合)は、ガソリン、食品などの値上がりにより、前年比+1.0%となった。これは、消費税率引上げに伴い物価が上昇した1998年以来10年ぶりの高さだという。
4月以降も食品、日用品分野で値上げ実施を予定している製品が多く、牛乳は30年ぶり、ビールはバブル期以来の値上げとなる。4月に実施された輸入小麦の政府売り渡し価格の引上げ(30%)も、今後の小麦製品の再値上げにつながるとの見通しだ。日本総研は、こうした値上げによる月あたりの負担増加(2007年平均対比2008年4~6月期平均増加額)を世帯別に試算した結果を示している。
それによると、世帯主45~54歳(有業者1人)の4人家族世帯(平均年収約750万円)では4795円の負担増(総消費支出の1.2%)。負担増の中心は、食費、光熱・水道費、教育費だが、教育費負担が他世帯に比べ大きい点が特徴だ。高齢夫婦世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦世帯、年収約270万円)では3210円(同1.3%)の負担増。高齢世帯では、エンゲル係数が24.5%と相対的に高いため、食品の値上がりの影響が大きい。
また、世帯主34歳未満の単身世帯(年収約350万円)では1013円(同0.6%)の負担増。在宅時間の少なさを反映して光熱・水道費の負担増が他世帯に比べ低く、被服費、教養娯楽費など物価低下が続く費目への支出シェアが相対的に高く、こうした分野での負担減の効果も他世帯に比べ大きい。なお、ガソリンを中心とする自動車等関係費の負担増は、2007年の対比では、4月の暫定税率廃止の影響もあり、軽微なものにとどまる。
日本総研では、賃金の上昇が見込み難いなか、家計にとって0.6~1.3%の負担増が重石となっていくとの見通しを示しており、小売業のプライベートブランドなど、安価な商品を選択する動き、不要不急の支出抑制の動きも強まると予想している。