信金中央金庫総研が全国中小企業景気動向調査のなかで実施した「中小企業における災害等への取組状況についての特別調査」結果(有効回答数1万3756社)によると、災害を「あまり意識していない」との回答は10.8%にとどまり、全体の約9割は何らかの災害を意識していることが分かった。普段もっとも意識している災害は、「地震」が65.7%、「火災」が55.9%、「新型インフルエンザなどの伝染病」が40.3%となった。
このように、何らかの災害を意識している企業は多いが、事業継続計画(BCP)を「作成(予定を含む)している」とする企業は9.7%にとどまった。作成のきっかけとしては、「業界団体からの薦め」(3.7%)の割合が比較的高く、逆に作成していない理由としては「よく分からない」(36.7%)がもっとも高く、今後、周知が進めば、BCP作成に向けた動きが広がる可能性もあるが、「当社にはBCPが必要ない」との回答も17.7%あった。
不測の事態により経営者が不在となった場合は、「代理の者がいる」が75.7%と、「代理の者はいない」(18.4%)を大きく上回った。緊急時における従業員との連絡についても、「連絡が取れる」が89.4%と大勢を占めた。大規模地震に備えた対策については、「特に対策をしていない」との回答が全体の40.0%を占め、従業員4人以下の企業ではほぼ半数が、従業員200人以上の比較的大きな企業でも14.2%が何の対策も立てていない。
なお、中小企業庁が2008年3月に策定した「BCPガイド」では、売上1ヵ月分程度の現金を常に確保しておくことが推奨されているが、調査では、売上の「3ヵ月以上」現預金を保有している企業が13.9%、「1ヵ月以上3ヵ月未満」が28.9%となり、合計で42.8%の企業で売上1ヵ月以上の現預金を保有していると回答。対して、「ほとんど保有していない」が16.8%あるなど、過半の企業では災害時の資金繰りに不安が残る結果となった。