商工中金は、独自のベンチャー企業支援策である「イノベーション21」が、今年9月末には1995年5月の制度創設以来の同貸出が8365件、4841億円と、8000件、4800億円を突破したことを明らかにした。「イノベーション21」は、新規性のある事業に取り組むベンチャーや中小企業に対して、融資・投資といった金融支援のほか、公的支援機関・補助金などの情報提供も合わせて行う総合的な支援策である。
近年の実績は、2003年度1209件、2004年度1369件、2005年度1558件と増加傾向にあり、多くのベンチャー企業や中小企業の新事業への取組みに貢献している。また、商工中金は、事業化7年以内で、かつ商工中金内に設置する新事業審査委員会により優れた新規制を認定された企業について、担保免除の特例や保証人免除の特例の適用も可能な「新事業育成資金」による貸付も行っている。
新事業審査委員会は、外部の専門家を含めて構成される委員会で、技術やサービスの新規制について審査を行う機関だ。新規事業育成資金の金額上限は長期資金6億円(うち運転資金2億5000万円)、短期資金は長期資金と別に2億5000万円で、8000万円を上限として担保免除が可能であり、保証人免除の特例もある。同制度の貸出実績も9月末で1000件を突破して、1007件、218億円の実績となっている。
そのほか、商工中金は、ベンチャー企業等への支援について、投資事業組合を通じて株式等の引受けを行っており、本年9月末時点までの投資実績は累計で100社を超え、104社、18億円となった。なお、投資事業組合は、日本商工経済研究所と共同で組成するベンチャー企業向けの投資ファンドで、2000年12月組成の商工第1号投資事業組合(10億円)と2005年2月組成の商工第2投資事業組合(20億円)の2つがある。