消費税は主要な税目の一つであり、預かり金的な性格を有するため、国民の関心が極めて高く、税収等の面でもその位置づけが高まっている。このような状況下、消費税について虚偽の申告により不正に還付金を得るケースが見受けられることから、企業に対する消費税調査はほとんどが法人税との同時調査だが、最近は、輸出企業を中心とした消費税単独の不正還付調査が増えている。
これは、消費税法では商品の輸出や国際輸送、国際電話、国際郵便などの輸出取引に該当する場合、内国消費税である消費税は外国で消費されるものには課税しないという考えに基づき、消費税を免除していることを悪用し、虚偽の申告により不正に還付金を得るケースが見受けられるためだ。今年6月までの1年間(2008事務年度)においては、1万1202件の消費税還付法人に対する調査が実施された。
その結果、167億700万円にのぼる消費税額を追徴した。また、そのうちの1165件は虚偽の申告により不正に還付を受けていたことも判明している。前事務年度と比べると、大口事案が少なかったことから追徴税額は28.0%減少しているものの、調査件数は30.2%増加し、不正件数も20.0%増加していることから、国税当局が消費税不正還付に積極的に取り組んでいることがうかがえる。
消費税不正還付の事例をみると、海外で人気の高い自動車などを輸出したなどと装い税務署に虚偽の還付申告書を提出した「中古車輸出業者」や、国内で仕入れた電子部品を中国に輸出したとして、架空の輸出免税売上及び架空の仕入を計上した虚偽の申告書を税務署に提出し、消費税の不正還付を受けていた「電子部品輸出販売会社」などが明らかにされている。