米国発金融危機の影響から、日本経済をけん引してきた自動車産業の生産や出荷販売が急減している。裾野の広い自動車産業の減産は経済波及効果が大きくなることから、幅広い業界に悪影響をもたらしている。第一生命経済研究所が発表した「自動車減産のマクロ経済的影響」と題した分析レポートでは、2年連続▲15%程度の減産となり、今・来年度の名目GDPを▲0.7%以上押し下げると予測する。
同分析レポートによると、昨年10~12月期時点で、日本国内では前年同期比で約▲17%の自動車減産が進んでいる。年明け以降も世界的に自動車の需要減が続いており、今後はさらなる減産が予想される。わが国の稼ぎ頭となってきた自動車産業は、他の産業に比べてもっとも裾野が広いことから、減産の加速により関連産業にも影響が波及すれば、経済成長の下押しを通じて国内雇用の減少にも結びつく。
産業連関表を用いた試算によると、わが国の自動車10%減産によって▲2.3兆円の名目GDPと▲12.2万人の雇用が消滅する。影響が大きい産業としては、直接効果が及ぶ「自動車部品」、「内燃機関電装品」や、その川上産業である「鉄鋼」、「プラスチック製品」、「窯業・土石製品」、「非鉄金属」といった産業に加え、「労働者派遣サービス」や「商業」などにも影響が及び、負の生産誘発額は累計で約▲6.9兆円となるとしている。
また、今後の見通しに基づけば、国内自動車生産は今・来年度とも前年比▲15%程度の減産になるものと予測。これは、今年度と来年度の名目GDP成長率を約▲0.7%ずつ押し下げ、累計で雇用者数が▲36.3万人失われる規模となるとみている。同分析レポートは、国内自動車の大幅減産が、今後の日本経済にとって大きな足かせとなり、幅広い産業に悪影響を及ぼすことを懸念している。
同分析レポートの全文は↓
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et08_254.pdf