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事業承継を契機とした経営革新~中小公庫レポート

経営関連情報 - 2008年05月12日

 多くの中小企業では、経営者の高齢化の進展に伴い事業承継が課題となっている。中小企業の事業承継では、後継者への株式移転や相続税対策など財産面の承継が取り上げられることが多いが、中小公庫が発表したレポート「事業承継を契機とした経営革新」は、「経営面の承継」に着目して、事業承継の多様なあり方を整理、後継者の経営力の形成・発揮のプロセスや、事業承継を契機に経営改革を遂行するためのポイントを示した。

 レポートは、まず、中小公庫総研が実施した「事業承継と経営革新に関する調査」結果を分析し、中小企業における事業承継の現状と課題を概観している。それによると、事業承継の課題については、「後継者の教育」を挙げる回答が72.7%ともっとも多い。また、創業者に比べて後継者のほうが、「新たな経営体制の構築」に取り組む割合が高く、そうした企業は、他の経営革新に取り組む割合も高いと分析している。

 次に、事業承継を契機に現経営者が経営革新に取り組む企業17社にインタビューした結果を企業事例として詳細に紹介。企業事例については、事業承継を契機とした経営革新の取組み内容や、承継時の問題点とその克服策などについて幅広く掲載している。これらの企業事例の分析を通して、後継者の経営力の形成・発揮のプロセスにみられる共通点から、「事業承継を契機とした経営革新」を遂行するための留意点を示している。

 レポートは、後継者の経営力の形成は、先代経営者から承継される経営力と、幅広い社内外の経験などを背景に後継者が独自に獲得する経営力とに大別。いずれの場合でも、先代経営者が後継者と日常的なコミュニケーションを図り、後継者に重要な経営判断を任せて育成するなど、先代経営者の後継者に対する配慮やサポートによって経営力の形成が促進されるとの特徴を指摘している。

 一方、後継者は、開かれた組織づくり、自立型社員の育成・活用といった「後継者特有のリーダーシップ」を発揮しており、特に社内外の説得、理解、合意形成や社内体制の整備において特徴的な取組みがみられると分析。これらの取組みによって、組織としての競争力が高まり、様々な経営革新が実行されていくとみている。

 同レポートの全文は↓
 http://www.jasme.go.jp/jpn/result/c2_0801.pdf