今年も17日、“長者番付”が全国の524税務署で一斉に公表された。2003年分の確定申告で所得税額が1千万円を超えた高額納税者の公示だ。今回の公示対象者は7万3959人。公示基準がそれまでの所得金額1千万円超から現行基準に改正された83年分以降では3番目に少なく、平成に入ってからでは最も少ない公示人数となった。デフレの影響で「土地長者」が少なくなったことが大きく影響している。
詳細は新聞にお譲りするが、全国一の長者は東京で健康食品販売業を営む斎藤一人氏。その納税額は11億4849万円で、推定課税所得が31億1143万円にのぼる。93年以降、11年連続でトップ100位にランクインしており、その間の納税額は160億円を超えるという。この税収不足の折、国に対する貢献は計り知れない。つめの垢を煎じて飲みたいものだ。
ところで、税務署の公示は、高額納税者の氏名・所在都道府県名・納税額しか掲載していない。推定課税所得は納税額を基に野次馬が勝手に計算した額で、あくまでも推測に過ぎない。推定課税価格を算出する一般的な算式は次のようになる。
{(納税額+249万円+25万円)÷0.37}=推定課税所得
納税額が1千万円を超える課税所得3千万円に対する所得税は、税率が37%、控除額が249万円、定率減税が上限額の25万円となることから上記の算式となる。税額控除は人によって差が大きいので考慮していない。当然、実際の課税所得はもっと大きくなる。特別控除額を加えた利益金額は、所得の種類によってさらに差が出てくる可能性がある。
利益金額に経費を加えたものが収入となるが、実際には住民税や各種社会保険料、年金などがあるから、本当の年間収入がいくらあったかを推測するのは不可能である。とはいえ、長者番付を野次馬的に眺めるのであれば、大雑把な推定課税価格を算出してみるのも一興である。ちょっとした税金通にみられるよ。虚しい気分になることは確実だが……。