相続税は、遺産の総額から葬式費用や受け継いだ債務などを差し引き、さらに基礎控除額を超えた部分に課税される。基礎控除額は「5000万円+1000万円×法定相続人の数」で算出する。例えば、法定相続人が3人の場合は8000万円となるから、ほとんどの相続では相続税がかかることはないと思われる。
国税庁が18日に公表した相続税の申告事績によると、2002年中に亡くなった被相続人は約98万人で、このうち相続税の申告対象となったのは約4万4千人だった。この結果、課税割合は4.5%となる。つまり、相続税を納めなければならなかったのは100人に4.5人と極めて少数なのだ。この割合は、基礎控除について改正があった1994年(5.2%)以降でもっとも低い数字となっている。
この申告事績は、2002年中に相続などで財産を取得した人について、2003年10月末までに提出された申告書に基づき集計したものだ。相続財産額の構成比は、「土地」が58.7%と約6割を占め、「現金・預貯金」が16.7%、「有価証券」が8.4%などとなっている。地価の下落や株価の低迷を反映して、土地は92年分の75.9%から一貫して減少する一方、現金・預貯金が同時期より増加傾向を示している。
課税価格は10兆6192億円(対前年分比9.2%減)、これを被相続人1人あたりでみると2億3933万円(同5.8%減)。また、税額は1兆2829億円(同13.0%減)、被相続人1人あたり2891万円(同9.8%減)といずれも減少している。これは、相続財産の約6割を占める土地価格の下落が影響しており、相続税を納める人の割合が年々低下しているのも、資産デフレが要因ということになる。