ゼイタックス

経営関連情報 (2004/05/31)

4割以上が素材価格上昇分を販売価格へ転嫁できず

 外需の盛り上がりや国内のデジタル景気により回復基調をたどっている日本経済だが、ここへきて中国などの需要増や原油価格の高騰を背景に素材価格の上昇がみられ、企業業績に対する懸念が増幅し始めている。帝国データバンクが実施した素材価格の上昇に伴う影響調査結果(有効回答数9074社)によると、資材価格が「上昇している」と回答したのは、全体の54.7%(4959社)と過半数を占めた。

 「上昇している」と回答した4959社のうち、42.5%にあたる2106社がその値上がり分の販売価格に「まったく転嫁できていない」と回答。業界別では、「運輸・倉庫」(74社、構成比81.3%)が高水準で、「製造」(1068社、同55.0%)も過半数を占めた。一方、「すべて転嫁している」企業は8.0%(395社)と1割にも満たない。「多少転嫁している」との回答企業は45.3%(2248社)だった。

 素材価格の上昇による企業経営への影響については、「危機的状況」(0.3%)、「かなり圧迫」(8.7%)、「多少圧迫」(52.3%)を合わせた61.3%(3039社)の企業が経営に悪影響を受けていると回答。「ほとんど影響なし」(31.4%)と回答した企業でも、「確実に粗利益は低下しておりボディーブローのように後からきいてくる」との声が聞かれた。収益圧迫への懸念が高まっている企業が潜在的にも多数あるものと推測している。

 2004年夏までの素材価格の推移については、素材価格が「上昇している」と回答した4959社のうち、59.1%(2932社)が「さらに値上がりする」との見通しを示している。また、「ほとんど変化なし」と高止まりを予測する企業も28.2%(1399社)と高水準だった。逆に、「値下がりする」と見込んでいる企業は4.3%(213社)とわずかに過ぎない。