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日中租税条約の「みなし外国税額控除」は継続適用

税務関連情報 - 2008年03月31日

 財務省はこのほど、日中租税条約に規定する経済開発奨励措置に関する「みなし外国税額控除」は、中国の国内法改正後も引き続き適用することができると発表した。日中両国間政府は、1991年の交換公文において、みなし外国税額控除の対象となる中国の租税優遇措置について合意しているが、今年1月1日から新しい中国人民共和国企業所得税法が施行されたことに伴い、改めてみなし外国税額控除の取扱いを明らかにしたもの。

 法人が納付した外国税額については、二重課税排除のために税額控除を認めているが、発展途上国などにおいて優遇税制等の適用を受けている場合、外国税額控除をそのまま適用すると、その国で減免された税金相当の金額については外国税額控除が利用できないため、企業はその国に進出するインセンティブがなくなってしまう。そのため、これらの国における優遇税制の効果を確保するための制度として「みなし外国税額控除」がある。

 つまり、みなし外国税額控除制度とは、その所得源泉地国で特別に減免された税金を本来の課税がなされたとみなして日本において外国税額控除を認めるものだ。同制度は、わが国と源泉地国との間に、みなし外国税額控除の規定を有する租税条約が結ばれている場合に適用されるが、その国の優遇税制が改正された場合、その新優遇税制が新たにみなし外国税額控除の対象として認められない限り、適用されないことになっている。

 今回の財務省の発表は、中国の国内法改正に伴い、新法では旧法が定めていた租税優遇措置は一定期間引き続き適用されることを規定していることから、その租税優遇措置の継続適用が認められる限り、これまで同様、1991年の交換公文で合意された租税優遇措置についてわが国においてみなし外国税額控除が適用されることが、日中両国の税務当局間で確認されたことを明らかにしたものだ。

 なお、中国の企業所得税(法人税)は、これまで内資企業の税率が原則33%のところ、特定地域に進出する外資企業については15~24%の優遇税率が適用され、また、当初設定した経営期間が10年以上の生産型外資企業については、利益獲得年度から、企業所得税を2年間減免、その後3年間半減する2免3減制度もあった。新法では、内外企業の税率を今年1月から5年かけて原則25%に統一し、2免3減制度も廃止する。