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2008年に抑制傾向強まる企業の人件費

経営関連情報 - 2009年08月31日

 帝国データバンクが27日に発表した「企業の人件費動向調査」結果(分析対象3208社)によると、人件費全体の金額合計では2007年(前年比10.5%増)、2008年(同2.1%増)と2年連続前年比増加となったが、従業員1人あたりでは2008年(同0.6%減)に前年を下回った。また、退職や役員関連費用を除いた雇用人件費は、金額合計と従業員1人あたり金額の両方で、2007年の前年比増加から、2008年には同減少に転じている。

 2008年に退職関連も含めた人件費全体が増加したにもかかわらず、雇用人件費が減少したのは、(1)業績低迷の影響から賞与などが減少、(2)団塊世代の定年退職に伴い賃金負担が減少し、退職関連費用が増加、(3)早期退職制度などのリストラの進展により、賃金が高い高年齢層を中心として退職が進み退職関連費用が増加したほか、従業員層が賃金の低い低年齢層にシフトしたこと、などを理由として推測している。

 2006年から3年間でみると、人件費全体及び雇用人件費ともに、人件費を増加させた企業が、減少させた企業の数を上回った。一方、人件費を減少させた企業の数は、人件費全体では2007年から2008年に373社、雇用人件費でも424社増えている。この結果、依然として人件費増加企業のほうが過半数を占めているものの、人件費を減少させている企業が2008年に拡大しており、人件費の抑制傾向が強まりつつあると推測している。

 人件費全体を業種別にみると、2008年の「1社あたり人件費」は「建設業」(前年比6.6%減)、「製造業」(同0.6%減)、「不動産業」(同0.9%減)の3業種で前年比減少となった。この3業種は「従業員1人あたり人件費」でも2008年に前年を下回っている。一方、「小売業」と「運輸業」は、「1社あたり人件費」(各4.9%増、10.5%増)と「従業員1人あたり人件費」(各0.03%増、7.8%増)の両方で2008年に前年を上回った。

 雇用人件費では、「建設業」、「製造業」、「卸売業」、「不動産業」の4業種で、「1社あたり人件費」と「従業員1人あたり人件費」の両方において2008年に前年比減少となったが、両方の人件費において2008年に前年を上回ったのは「運輸業」のみとなった。この結果、総体的には「運輸業」で人件費が増加している一方で、「建設業」、「製造業」、「不動産業」の3業種では人件費の減少傾向が強く、業種間での差異が鮮明となっている。

 同動向調査結果の詳細は↓
 http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p090805.pdf