2003年10月31日-002
公益法人の申告漏れ230億円は前年度比84%減
今年6月までの1年間(2002事務年度)に寺社や学校などの公益法人1481件(対前年度比26.8%増)を実地調査したところ、1134件(同31.1%増)から総額229億8800万円の申告漏れを見つけ29億4400万円を追徴したことを国税庁が公表した。申告漏れは前年度に比べ84.1%減と大幅に減少しているが、これは前年度が帝京大関連財団への課税処分が要因で申告漏れが大きく膨らんでいたもので、公益法人の申告漏れが少なくなったわけではない。
実地調査のうち、仮装・隠ぺいなど悪質な不正計算があったのは7.2%にあたる106法人(対前年度比26.2%増)で、その不正脱漏所得金額25億9800万円は前年度に比べ64.5%減となった。これは上記のように帝京大関連財団の不正があった前年度が異常だったもので、やはり大幅に不正が減少したわけではない。
例えば、1件あたりの申告漏れ所得を前年度と比べてみると、28.0%減で1695万円の「財団・社団法人」は参考にならないが、「宗教法人」は71.0%増の912万円、「社会福祉法人」は61.8%増の585万円、「学校法人」は91.8%増の2813万円と軒並み大幅に増加している。
公益法人は、22%の軽減税率や寄附金の損金算入限度額、みなし寄附金の特例など税制面で優遇されているにもかかわらず、相変わらず申告漏れする法人が後を絶たない。税務当局の厳しい監視は今後とも続きそうだ。
不正計算事例では、収益事業に該当する物品販売売上をあらかじめ設定した割合で圧縮して申告していたA宗教法人のケースが報告されている。同法人は、参詣用品などの物品販売売上について収益事業として申告していたが、所得金額を圧縮するため、住職があらかじめ全体の収入に対する収益事業収入と公益事業収入の割合を根拠もなく設定し、その割合に合わせて物品販売売上を少なくして計上し申告していた。また、その事実を隠すため、帳簿書類等のほとんどを破棄していたという事例。
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