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税務関連情報 (2007/07/30)

30万円未満でも即時償却できない資本的支出

 青色申告書を提出する中小企業者等が30万円未満の減価償却資産を取得した場合は、減価償却費として損金経理せずに、その取得価額の全額を損金算入(即時償却)することが認められている少額減価償却資産の特例がある。一方で、減価償却制度の抜本改正では、2007年4月1日以後に行われる資本的支出については、原則、減価償却資産本体と種類や耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされた。

 こうしたことから、資本的支出を行い、その資本的支出を行った既存の減価償却資産とは別個の新たな減価償却資産として取り扱う場合は、中小企業者等に適用される30万円未満の即時償却制度が適用されると考える向きもあろう。しかし、国税庁が7月初めに公表した改正通達では、既存の減価償却資産について改良、改造等のために行った支出であるから、原則、少額減価償却資産の特例は適用できないことを明記している。

 改正通達では、資本的支出の取得価額の特例の規定の適用を受けて新たに取得したとされるものであっても、法人がすでに所有する資産に対する改良等のための支出であることから、原則として、中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例に規定する「取得し、または製作し、もしくは建設し、その中小企業者等の事業の用に供した減価償却資産」には当たらないことを明示している。

 ただし、その資本的支出の内容によっては、例えば、改良や改造などによって、その有する資産の規模が拡張される場合や単独資産として別の機能を附加することとなるなど、実質的に新たな資産を取得したと認められる場合には、中小企業者等に対する少額減価償却資産の特例(租税特別措置法第67条の5第1項の規定)を適用することができることを明らかにしている。