建設業を取り巻く経営環境は、建設投資の急速な減少や入札制度の見直しなどから厳しさを増している。こうした状況下、建設業の生き残り策の一つとして注目を集めているのが新分野への進出である。国民生活金融公庫が、小規模建設業を対象に昨年10月から今年3月にかけて実施した新分野進出実態調査では、小規模建設業の新分野進出には高いハードルがあることが明らかになった。
調査結果(有効回答数5156社)によると、最近10年間に新分野に進出したことがある企業の割合は14.7%にとどまった。従業者規模別にみると、「20人以上」が25.6%であるのに対し、「10~19人」が18.3%、「5~9人」が14.5%、「1~4人」では7.4%と、規模が小さいほど進出した企業の割合は低くなっている。小規模な建設業の新分野進出企業割合は明らかに低いといえる。
新分野に進出しなかった理由をみると、「本業強化の取組みを行っているから」が38.7%でもっとも高いものの、「資金が不足」(18.7%)、「何をしたらよいかわからない」(9.6%)、「専門知識・ノウハウの不足」(9.3%)など、「新分野に進出したくてもできない企業」の割合が47.5%と約半分を占めた。従業員規模別にみると、規模が小さいほど高く、「1~4人」では55.4%と、「20人以上」(34.3%)に比べて20ポイント以上も高い。
進出分野をみると、建設業以外の分野(非建設分野)が55.8%%と、本業以外の建設分野(建設分野)をやや上回る。建設分野の内訳は、「建設リフォーム工事業」が約4割を占めている。非建設分野の内訳を業種別にみると、「サービス業」(31.1%)がもっとも多く、次いで「不動産業」(14.2%)、「小売業」(11.6%)、「製造業」(11.0%)などの順。サービス業の約4割は「廃棄物処理業」となっている。
新分野進出の成否をみると、「成功」28.1%、「まだわからない」52.6%、「失敗・撤退」10.3%。進出に際して苦労したこと(2つまで回答)は、「資金の調達」(34.6%)、「販売ルート・顧客の開拓」(31.8%)、「専門知識・ノウハウの習得」(25.8%)の順。「販売ルート・顧客の開拓」については、「成功」企業(27.2%)と「失敗・撤退」企業(40.3%)の間に有意な差が存在する。販売先の確保が新分野進出の成否を左右しているといえる。
同実態調査の詳細は↓
http://www.kokukin.go.jp/pfcj/pdf/kensetsu051101.pdf