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税務関連情報 (2004/11/26)

裁判等で納税者の主張が認められた割合が高水準に

 わが国も近年、欧米のように訴訟型社会になりつつあるようだが、税務の世界でも同じような傾向がみられる。国税の処分に不服があるときには、税務署など処分庁に対する「異議申立て」や国税不服審判所長に対する「審査請求」があり、それでも納得できないときは裁判所に「税務訴訟」を起こす一連の納税者に対する救済制度がある。国税不服審判所はこのほど今年3月までの1年間(2003年度)におけるこれらの概要を公表した。

 それによると、税務署などの処分庁に対する異議申立ての発生件数は前年度より8.9%増の5573件となった。処理件数は同16.8%増の5615件で、内訳は、「取下げ等」が1072件、「却下」455件、「棄却」3271件、また、「一部取消」662件、「全部取消」155件だった。つまり、納税者の主張が何らかの形で認められた「一部取消または全部取消」の割合は14.6%となる。昨年度は16.1%だったが、近年では平均的な数字といえる。

 審査請求の発生件数についても前年度より22.1%増加し3447件となった。処理件数は9.3%増の3721件で、内訳は、「取下げ等」491件、「却下」293件、「棄却」2119件、「一部取消」505件、「全部取消」313件となっている。一部取消または全部取消の合計が処理件数全体に占める割合は22.0%で、ここ10年間では最高の割合。約5人に1人の納税者の主張が一部であれ認められたことになる。

 税務訴訟については、前年度より29.5%と大幅増の492件の発生件数となった。発生件数は1970年度(518件)以来の高水準。2003年度に終結したのは同36.7%増の473件で、内訳は、「取下げ等」59件、「却下」12件、「棄却」349件、また、納税者側が勝訴した国税側の「一部敗訴」が25件、「全部敗訴」が28件で合計53件の終結件数全体に占める割合11.2%は、1980年度以来の高水準となっている。