4月に入ってから記録的な日照不足に見舞われており、すでに各方面で悪影響が確認されている。日照不足が景気に与える影響を懸念するのは第一生命経済研究所のマクロ経済分析レポートである。レポートは、今年4~6月期の日照時間(東京・大阪平均)は98年以来8年ぶりの短さとなったことから、「交通費」などの外出関連品目の出費減を通じて今年4~6月期の家計消費を▲4399億円も減少させたとみている。
7月以降も梅雨明けの遅れにより日照不足が続いている。日照時間を含んだ7~9月期の家計消費関数を推計して、今年7月が2003年並みの日照不足になれば、8月以降が平年並みに戻ったとしても、7~9月期の家計消費が前年に比べて▲0.16%(▲1086億円)押し下げられるとみている。この影響は、今年7月の1人あたり消費支出を約851円減少させることになるとの試算だ。
名目GDP全体の影響としては、4~6月期が対前年比で▲4045億円(▲0.32%)、7~9月期が同▲999億円(▲0.08%)程度押し下げることから、結局、今年4~7月期における日照不足は、今年度の名目GDPを前年比で▲5485億円(▲0.1%)程度押し下げるとの試算を示している。日照不足が経済成長に及ぼす影響は意外に大きいといえる。
影響を品目別にみると、マイナスの影響として目立つのはやはり外出に関連した「交通」、「娯楽・レジャー・文化」、「被服・履物」、「家具・家庭用機器・家事サービス」などといった品目で、こうした支出が減少する一方で、「住居・電気・ガス・水道」、「アルコール飲料・タバコ」、「通信」、「保険・医療」などへの支出が増加するとしている。
今年は夏のボーナス増による所得環境の改善や夏休みの増加などといった個人消費を押し上げる要因もあり、8月以降に日照不足が解消されれば、こうした悪影響が一部相殺される可能性も充分にある。しかし、93年の景気回復初期局面では、円高と天候不順の影響で政府が景気底入れ宣言を取り下げたことがあり、今後の天候次第では日照不足が日本経済に思わぬ冷や水を浴びせる可能性も否定できないとみている。
同レポートの詳細は↓
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban_index.html