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税務関連情報 (2007/06/18)

査察での告発件数は2000年度以降最多の166件

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。国税庁が14日に公表した今年3月までの1年間の2006年度査察白書によると、査察で摘発した脱税総額は前年度を30億円上回る304億円だった。検察庁に告発した件数も前年度を16件上回る166件と、2000年度以降最多となり、脱税額の小粒化は続いているものの、悪質度が増していることがうかがえる。

 2006年度1年間に全国の国税局が査察に着手した件数は231件(前年度217件)、継続事案を含む221件(同213件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち75.1%(同70.1%)にあたる166件を検察庁に告発した。告発分1件あたりの脱税額は前年度より1400万円多い1億6700万円。告発事件のうち、脱税額が3億円以上のものは同1件増の17件、5億円以上では同3件増の8件だった。

 近年は大口事案が減少しており、2006年度の脱税総額304億円は、ピークの1988年度(714億円)に比べ4割強にまで減少している。告発件数166件、その脱税総額278億円のうち、法人税は前年度より8件少ない78件だったが、脱税額は16%増の約118億円と、構成比はもっとも高い。所得税は12件増の59件、76%増の約108億円、消費税は13件増と大幅増加の23件となり、脱税額も86%増の約21億円に達した。

 告発件数の多かった業種(5件以上)は、「人材派遣業」(13件)、「キャバレー・飲食店」(12件)、「建設業」(12件)、「商品・株式取引」(9件)、「鉱物、金属材料卸」(8件)、「パチンコ」(6件)の順。トップの「人材派遣業」は前年度の6件からほぼ倍増しているが、人件費を外注費に科目仮装することによる消費税の脱税が目立ち、消費税に係る告発件数が大幅に増加した要因となっている。