法人が取得した減価償却資産のうち、1)使用可能期間が1年未満のもの、2)取得価額が10万円未満のものは、少額減価償却資産として、その法人がこの減価償却資産を事業の用に供した事業年度において、その取得価額に相当する金額を損金経理した場合には、その全額を損金算入することが認められている。この場合、要件に該当すれば、どれくらいの数量を一時に取得しようとも、一時の損金処理ができる。
使用可能期間が1年未満のものは、法定耐用年数でみるのではなく、その法人の営む業種において一般的に消耗性のものと認識され、かつ、その法人の平均的な使用状況、補充状況などからみて判断する。例えば、テレビ放映用のコマーシャルフィルムは、通常、法定耐用年数2年で減価償却するが、テレビ放映期間は1年未満であることが一般的だ。したがって、テレビ放映期間が1年未満のものは、少額減価償却資産に該当する。
一方、「取得価額が10万円未満のもの」における取得価額は、通常一単位として取引されるその単位ごとに判定する。例えば、応接セットの場合は、通常、テーブルと椅子がワンセットで初めて“応接セット”として取引されるものだから、1組で10万円未満になるかどうかを判定する。また、カーテンの場合は、1枚で機能するものではなく、一つの部屋で数枚が組み合わされて機能するものだから、部屋ごとの合計額で判定する。
なお、少額の減価償却資産は、事業の用に供した事業年度において、その取得価額の全額を損金経理している場合に、損金算入できるものだから、いったん資産に計上したものを、その後の事業年度で一時に損金経理しても損金算入することはできない。また、法人が税抜経理をしている場合は、消費税等税抜きの価額が取得価額となり、税込経理をしている場合は、消費税等込みの価額が取得価額となることにも注意したい。