ゼイタックス

日本・オーストリアの新租税条約に両国が署名

税務関連情報 - 2008年02月06日

 財務省は1月31日、わが国とオーストラリアとの間で「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のための日本国とオーストラリアとの間の条約」の署名が同日行われたと発表した。現行の租税条約は、1970年発効後、およそ40年が経過し、現在の両国の経済関係の現状にそぐわなくなってきたことから、新条約を締結するための交渉を2007年1月に開始し、基本合意、詳細な条文確定作業等を経て署名に至ったもの。

 新条約は、現行条約の内容を全面的に新しくするもので、日豪両国間の積極的な投資交流の促進を図るため、(1)配当に対する源泉地国の限度税率(現行15%)を、持株割合80%以上は免税、持株割合10%以上は5%、その他の場合は10%に引下げ、(2)利子に対する源泉地国の限度税率(現行10%)を、原則10%、特定の政府機関または金融機関が受け取る利子は免税、(3)使用料に対する源泉地国の限度税率(現行10%)を5%に引き下げる。

 これらの投資所得に対する源泉地国課税の軽減に伴い、租税回避防止のため、(1)源泉地国免税の特典を受けられる者を一定の適格者等に限定、(2)投資所得に関して取引形態や取引目的に照らして条約特典の濫用と認められる場合には、特典の不適用を明記、(3)匿名組合を利用した租税回避防止のため、匿名組合契約に関連して取得される所得・収益に対しては、源泉地国の国内法に従って課税、などの措置が設けられる。

 新条約は、両国においてそれぞれの承認手続き(日本は国会の承認)を経た後、両国間で外交上の公文の交換を行い、その交換日の翌日から30日目に効力が生じる。従って、新条約が今年12月末以前に発効した場合は、源泉徴収される租税は2009年1月以後に租税を課される額、源泉徴収されない所得に対する租税は2009年1月以後に開始する各課税年度の所得、その他の租税は2009年1月以後に開始する各課税年度の租税から、適用される。