国税庁が10月28日に公表した今年6月までの1年間(2003事務年度)における法人税調査事績によると、不正計算が想定されるなど調査必要度が高い11万5千法人(前年度比5.6%減)を調査した結果、うち74.8%にあたる8万6千件(同3.8%減)から総額1兆3373億円(同14.0%減)の申告漏れを見つけた。加算税額516億円を含む3201億円(同23.3%減)の税額を追徴した。1件あたりの申告漏れ所得は1165万円となる。
また、調査した20.8%にあたる2万4千件(前年度比4.9%減)が故意に所得を仮装・隠ぺいするなどの不正を行っており、その不正脱漏所得は3748億円(同6.4%減)にのぼった。前年度に比べ不正件数、不正脱漏所得ともに減少しているが、1件あたりの不正脱漏所得は、過去最高だった前年度の1591万円に比べわずか1.5%(25万円)減の1566万円だった。不正の大口化は依然続いているとみられる。
不正を業種別(調査件数350件以上)にみると、不正発見割合の高い業種では、「バー・クラブ」が53.9%で2年連続のワースト1位となった。「バー・クラブ」は2000年度まで14年連続1位という不名誉な記録を続けていたワースト業種の常連。次いで、これも常連の「パチンコ」(47.5%)が続き、「廃棄物処理」(33.1%)、「農業・畜産」(30.4%)、「書籍、雑誌販売」(29.8%)と、ここまでがワースト上位5業種だ。
一方、1件あたりの不正脱漏所得金額が大きい業種では、「貿易」が6707万円で前年の4位から一躍ワースト1位に踊り出た。以下、「自動車・同付属品製造」(6210万円)、「パチンコ」(5219万円)、「物品賃貸」(4027万円)、「情報サービス・興信所」(2897万円)までがワースト上位5業種となっている。不正発見割合で1位の「バー・クラブ」は1423万円で1件あたりの不正脱漏所得は少ない。