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税務関連情報 (2006/10/25)

相互協議に伴う事前確認が過去最高の92件発生

 企業が国際的な経済取引を行っている場合には、各国の税制の違いにより、二重課税が生じる場合がある。これを防止するため、国税庁では、租税条約に基づく相互協議制度を活用している。この相互協議事案が最近増加傾向にあり、国税庁のまとめでは、今年6月までの1年間(2005事務年度)に129件発生し、うち移転価格に関するものが119件、さらに事前確認に係るものが92件だった。事前確認の件数は過去最高。

 移転価格税制は、企業が海外子会社との取引価格を操作することで国内の法人所得を意図的に海外移転することを防ぐためのもの。例えば、海外子会社との取引価格が、資本関係等のない独立した企業間で通常行われる価格より低い場合には、その価格を通常の取引価格(独立企業間価格)に引き直して課税所得を計算し、移転価格課税を行う。ポイントは、その取引価格が独立企業間価格かどうかということになる。

 また、事前確認とは、企業が税務当局に申し出た独立企業間価格の算定方法について、税務当局がその合理性を検証しお墨付きを与えた場合には、企業がその価格に基づき申告している限り、移転価格課税は行わないという制度。相互協議に伴う事前確認とは、その取引の当事者を所轄する両国の税務当局間で独立企業間価格の算定方法等について相互協議するもので、ここで双方が納得・承認すれば二重課税を回避できる。

 2005事務年度の相互協議を伴う事前確認の発生件数92件は、10年前の1995年度の15件から6倍の伸びとなっている。また、事前確認の相手国は、これまで米国、オーストラリア、カナダなどが大半を占めていたが、昨今は、アジア諸国など、これまで事前確認の経験がなかった国との事前確認も増加してきている。なお、相互協議の相手国は、1995年度の11ヵ国から2005事務年度は23ヵ国に増加している。