商工中金がこのほど発表した「中小企業のIT活用に関する調査」結果(有効回答数2835社)によると、中小企業におけるIT活用の状況は着実に進展している一方、導入しているITによりその効果には違いがあることが分かった。ITの導入状況をみると、「インターネット」を導入・開設済みの企業は94.6%、「ホームページ」は71.8%、「社内LAN」は70.5%と、ITのうち、基礎的項目は相当普及した状況にある。
システム・ソフトウェア・データベースでは、「財務・会計」について85.4%の企業が導入・開設としており、以下、「受注、販売管理」(61.7%)、「顧客管理」(54.1%)、「在庫管理」(50.2%)が続く。導入・開設済みのITの効果では、「効果大」との回答比率の高い順に「財務会計」(63.3%)、「製商品・サービスの開発・設計・製造」(61.4%)、「社内LAN」(59.4%)、「受注販売管理」(58.4%)などとなっている。
IT活用の総合的な効果について前回2003年調査と比べると、「大いに効果がある」(16.0%)が2.0ポイント増、「ある程度効果がある」(52.3%)が3.3ポイント減と、総じて大きな変化はない。その背景として、中小企業はITにより様々な経営課題の改善・解決を図っているものの、ITの「効果大」とした企業と「効果中ないし小」とした企業では、導入・開設しているITに違いがみられた。
IT化の障害や制約では、「費用対効果」(39.2%)や「投資費用」(37.5%)、「人材の不足」(36.5%)を挙げる企業が多い。これらの解決策をみると、現状では、「ITシステム、製品を自社向けに特注」(32.1%)、「IT導入とともに業務の工程見直し」(31.4%)が上位となった。今後採用したい解決策では、「IT専門知識を有する人材の採用」(35.2%)、「IT専門知識の教育・研修」(34.5%)を選択する企業が多い。
商工中金は、「各種の解決策などにより改善を図り、中小企業がさらにITを有効活用していくことが期待されるが、その際、すでにIT活用に取り組んでいる企業の動向を参考とすることは有効だろう」とコメントしている。
同調査結果の詳細は↓
http://www.shokochukin.go.jp/material/pdf/special/cb08other05_02.pdf