税 務 関 連 情 報 |
2003年05月12日-001
発泡酒増税など税制改正の影響は
2003年度税制改正で、食品業界では増税となる発泡酒の影響が懸念される一方で、住宅関連業界のように、生前贈与を促す相続時精算課税制度の住宅取得資金の場合の非課税枠が3500万円となったことで、その効果に大きな期待を抱く業界もある。明暗が分かれそうな税制改正の影響だが、第一生命経済研究所のセクター分析では、両業界ともにあまり影響はないようだ。食品業界は一安心だが、住宅業界は…。
5月からの発泡酒増税を受けて、ビール4社は300ミリリットル缶で10円、500ミリリットル缶で16円を値上げした。増税分をそのまま価格転嫁したため、メーカーの1缶当たりの限界利益(売上高-変動費)は変わらないが、値上げによる需要数量の減少が懸念される。しかし、日経産業消費研究所の調査によると、「増税後もこれまで通りのペースで飲む」との回答が59%を占めた。
また、過去の値上げ局面においては、値上げ率が10%以下であれば数量へのマイナスインパクトは▲2~3%程度。増税前の駆け込み需要も考慮すれば、年間でならせば▲1~2%の販売数量減にとどまる可能性が高いと推測する。ビールなど低アルコール飲料への需要シフトが起きた場合でも、発泡酒の限界利益は昨年6月の値下げですでにビールを下回る水準となっていることから、利益面への影響は小さいとみている。
一方、住宅関連業界が期待する相続時精算課税制度、親からの生前贈与による資金援助を受けての住宅取得への効果はあるのだろうか。国土交通省の試算ではその住宅投資促進効果を5万戸と見込んでいるが、第一生命研究所では、投資マインドが一段と冷え込んでいることから、税制改正も持ち家需要の回復には限定的な影響しか与えないだろうとみている。あまり過大な期待は抱かないほうがよさそうだ。
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