新会社法が5月1日から施行された。最低資本金規制の撤廃などで起業がしやすくなったことや、取締役数や取締役会の設置などの機関設計が柔軟化されたことで企業規模や経営実態に応じた会社運営が可能になるなど、中小企業への影響も大きい。しかし、帝国データバンクが実施した「会社法に関する企業の意識調査」では、会社法について対応を検討している中小企業は約4割と少なめだった。
調査結果(有効回答数9445社)によると、会社法施行を「知っていた」との回答は全体の89.2%とほぼ9割を占めた。このうち、会社法について対応を「検討している(検討済み、検討予定を含む)」との回答は46.5%、また、「検討していない」との回答も44.4%と、両者は二分される形となった。規模別にみると、対応を「検討している」企業は「大企業」が67.9%に対して「中小企業」は39.4%と、28.5ポイントも差があった。
企業からは、「セミナーで情報を集めている程度」といった声のほか、「定款の変更」や「会計参与の設置」、「内部統制システムの構築」、「グループ企業の再編」など具体的な検討内容が挙げられる一方で、「当社には関係ないと思う」との理由で検討を行っていない企業が多数あり、「具体的な影響が詳しくわからない」といった声もあった。こうしたことから、会社法についての取組み姿勢には、かなり温度差があることがうかがえる。
会社法の施行により日本経済に期待される効果(複数回答)については、「起業の増加」(44.5%)がもっとも多く、次いで「経営判断のスピード化」(44.1%)、「企業統治の厳格化」(40.9%)などが続き、これらはいずれも4割を超えており期待の高さを示した。さらに、「M&Aの活発化」(30.2%)が挙げられ、「新規事業への展開」を期待する企業がある一方で、起業の増加による競争激化の「懸念は大きい」(7.1%)との声もある。
同調査の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/watching/press/keiki_w0604.pdf