人口減少時代を迎え社会が一段と成熟するなか、わが国経済は低成長や産業構造の変化などに直面している。加えて、米国発の世界不況に見舞われ、企業金融も荒波にさらされている。商工総合研究所は、このような状況を踏まえ、「中小企業の金融取引に関するアンケート調査」を実施した。調査結果(有効回答数770社)によると、中小企業の取引金融機関数は、「2~4行」との回答が75.9%と8割弱を占め圧倒的に多かった。
次いで「1行」が13.1%、「5~9行」が10.0%となった。一方、「10行以上」は0.4%、「特にない」は0.7%と、いずれもごくわずかだった。また、メイン銀行は、「地方銀行」が47.7%と半数近くを占め、次いで「都銀・信託」が24.4%、「信金・信組」が23.6%とほぼ拮抗。「政府系」は2.4%と一ケタ台前半だった。一方、「特にない」は1.7%にとどまり、中小企業の大多数は何らかの金融機関をメイン銀行にしている。
このようななか、メイン銀行に期待すること(複数回答)は、「低利融資」が52.8%ともっとも多く、次いで「万一のときの支援」が45.1%、「安定的な資金供給」が42.3%となった。一方、「情報の提供」は14.7%、「高利回りの資金運用」は1.9%となり、資金調達関係以外への期待は低い水準にとどまった。また、資金調達におけるABLなどの金融商品を「利用している」企業割合は8.9%と、いまだ少数派にとどまっている。
最近の借入残高の1年前と比べた変化については、「当社の理由で減少」が35.2%でもっとも多く、いわゆる貸し渋りとみられる「金融機関の要請で減少」(6.5%)を合わせると、「減少」は41.7%となった。一方、「当社の理由で増加」が19.1%、「金融機関の要請で増加」が3.0%となった。両者を合わせても22.1%に過ぎず、借入残高の増加基調は弱い。なお、「ほぼ横ばい」は36.2%となった。
直接金融市場からの資金調達については、94.7%の企業が「していない」と回答。その理由は、「金融機関の借入で満足」が56.6%で最多、次いで「発行基準を満たさず」が25.9%などとなった。このように、金融機関からの借入に満足している企業が多いことや直接金融を「今後検討したい」企業は3.0%に過ぎないことなどを考えると、従来同様、今後とも中小企業の資金調達は間接金融優位に変化はないものとみられている。
同アンケート調査結果の詳細は↓
http://www.shokosoken.or.jp/chousa/img/20-4.pdf