2003年06月23日-001
個人課税強化のなかで高まる所得把握の重要性!
少子・高齢化の進展のなかで膨らむ社会保障費用や国家財政再建のための税制改革が消費税と所得税に求められる。つまり、間接的・直接的に“広く薄く”税負担増となる個人課税強化となるわけだが、このような基本方向に異論は少ない。しかし、一方でこれまで以上に課税の公平性の確保に対する要請が強まるのは確かだ。誰もが公平に負担を分かち合って、初めて今後の負担増を受け入れることができる。
消費税率の引上げは中長期的な課題となるが、個人所得課税の強化、なかでも高齢富裕層の公的年金受給者への課税強化は来年度税制改正での焦点のひとつとなる。高齢の高額所得者には公的年金等控除の縮小などで応分の負担をしてもらう。といえば、簡単そうだが、問題は所得の線引きである。もちろん、これまでも所得を基準に色々な税制上の優遇措置を認めてきている。年間所得が1千万円以下という老年者控除も一例だ。
そこで改めて求められるのは所得把握の重要性である。よくいわれるように、保育所に高級車で子供を送り迎えする自営業者の保育料が、共稼ぎの給与所得者のそれより安いという不公平は、所得把握の格差が原因であることを多くの納税者が感じている。このような所得基準がカギとなるのは、ほかにも公営住宅への入居条件や福祉の対象など数多くある。
長い間是正されない諦めから受け入れていた不公平感を改めて真剣に議論すべきときがきている。職員増が期待できない国税当局は、可能な限りのIT化を図るが、それでも限界があるのは周知の事実である。政府税制調査会の中期答申が、金融所得の一元化のためにという条件付ながら納税者番号制度の導入を明記した。これを契機に、同制度の本格的な導入を検討すべきだと思うが、いかがなものであろうか。
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