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税務関連情報 (2004/04/26)

家屋の附帯設備は取り付けた者に固資税の納税義務

 なぜ、テナントが改装した壁や床部分などの固定資産税を負担しなければならないのか、と疑問に思っていた大家さんは多い。これまで、家屋にかかる固定資産税は、例えば、テナントが飲食店として部屋を改装した場合であっても、その附帯設備は建物の所有者(大家)に帰属し、納税義務者は大家さんとされていた。附帯設備の費用はテナントが経費計上できるにもかかわらず、である。

 それが、2004年度地方税改正によって、「家屋の所有者以外の者がその事業の用に供するために取り付けた附帯設備については、それを取り付けた者を所有者とみなし、その附帯設備を償却資産とみなすことができるものとする」とされた。つまり、附帯設備を取り付けたテナントに固定資産税を課すことができるようになったのだ。2004年4月1日以降に取り付けた附帯設備に係る2005年度分の課税から適用される。

 大家さんにとっては、附帯設備分の固定資産税が軽減されることになるから朗報であるが、ことは簡単ではない。というのも、法律は「できるものとする」と規定しており、法律を適用するかどうかの判断は各市町村に任され、条例を改正する必要があるからだ。市町村によっては対応が違ってくる可能性もあり、地域によって取扱いが異なるという新たな不公平が生まれかねないおそれもある。

 市町村にとっては、これまで「一棟いくら」と大雑把に決めていた固定資産税を、今度は各テナントの附帯設備の課税標準額を算定して課税し、その分を大家さんの負担する固定資産税から軽減しなければならないことになる。このような面倒な作業に二の足を踏む市町村があっても不思議ではない。いまのところ、東京都や大阪府などの一部の地域では4月1日付で条例を改正したようだが、ほかの市町村も追従するのか注目される。