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税務関連情報 (2004/05/10)

居住用財産繰越控除は適用外の親族等への譲渡に注意

 2004年度税制改正で創設された「特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除制度」は、個人が居住用財産を譲渡した場合、住宅ローン残高が売却価額を上回るときは、その残額分を限度に、その年の翌年以後3年内の各年分の総所得金額からの繰越控除を認める制度だ。一定要件を満たせば、買い換えをせずに賃貸住宅などに住み替える場合にも適用されることから、住宅ローン返済で困っている人たちには大きな支援となる。

 適用要件は、1)2004年1月1日から2006年12月31日までの譲渡であること、2)居住用の土地・家屋等の譲渡であること、3)保有期間が5年超であること、4)親族等への譲渡でないこと、5)譲渡契約をした日の前日において、その譲渡資産に係る住宅借入金等があること、6)控除期間の年間所得金額が3000万円以下であること、などとなっている。

 特に注意が必要なのは親族等の範囲である。配偶者や直系血族、生計を一にする親族はもちろん認められないが、生計を一にしていなくても、住宅等が譲渡された後に適用者とその家屋に居住する者も含まれる。また、婚姻関係のない事実婚の関係にある内縁の妻やその親族で生計を一にしている者、適用者の使用人以外の者でその者から受ける金銭などによって生計を維持している者及びその者と生計を一にしている親族などへの譲渡は適用対象外となる。

 なお、借入金については、賦払期間が10年以上の割賦払いによる返済であることに加え、住宅金融公庫や銀行などの金融機関等からの借入金以外に、勤務している会社からの借入金についても特定居住用財産の繰越控除制度を認めることが政令に明記されている。