法人が支出する1人あたり5千円以下の飲食費が交際費の範囲から除外され損金算入できる租税特別措置の適用は、2006年4月1日以後開始する事業年度からである。つまり、各企業の決算期の違いによって適用開始日が異なることになる。どうもこの点を誤解しているように見受けられる経営者が多いので注意したい。すべての企業が4月以降横並びで5千円以下の飲食費を損金算入できるわけではないのだ。
4月1日以後開始する事業年度からの適用であるから、もっとも早いのは3月期決算の企業である。6月期決算であれば適用を7月まで待たねばならない。2月決算の企業は、来年の3月まで適用できないことになる。4月から来年の2月までの間に支出した1人あたり5千円以下の飲食費を損金算入とするために、法律が要求する規定に則った書類を作成・保存したとしても、この間の飲食費は従来どおり交際費である。
ところで、5千円以下の飲食費を損金算入するためには一定事項を記載した書類の保存が必要だが、その内容は省令に明示された。それは、1)その飲食費等があった年月日、2)その飲食費等に参加した得意先、仕入先その他事業に関係ある者等の氏名または名称及びその関係、3)その飲食費等に参加した者の数、4)その費用の金額とその飲食店や料理店などの名称及び所在地、5)その他参考となるべき事項である。
4)に関して、店舗がないことその他の理由により飲食店等の名称・所在地がわからないときは、領収書等に記載された支払先の氏名・名称、住所・居所・本店(主な事務所)の所在地を記載しておく。1)や4)については、領収書や請求書などに記載されているだろうが、2)や3)の参加者の人数や名前、事業との関連性などを含め記載した書類を、飲食費支出後なるべく早めに作成することが重要だ。