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赤字法人調査で約14%の約7千件が黒字に転換

税務関連情報 - 2009年11月09日

 今年6月までの1年間(2008事務年度)における法人の黒字申告割合は29.1%と初めて30%を割り込み、7割強の法人が赤字となった。ところが、このような状況に便乗して実際は黒字なのに赤字を装う企業が後を絶たない。2008事務年度中に法人税の実地調査をした14万6千件のうち約34%にあたる4万9千件は無所得申告法人の調査に充てられ、うち14.1%の6956社が実際は黒字だったことが、国税庁のまとめで判明した。

 調査結果によると、実地調査した4万9千件のうち約70%にあたる3万4千件から総額5006億円にのぼる申告漏れ所得金額を見つけ、加算税額を含む396億円の税額を追徴した(消費税の追徴税額は207億円)。調査1件あたりの申告漏れ所得金額は1458万円となる。また、実施調査したうちの4件に1件(約25%)の1万2千件は仮装・隠ぺいなど故意に所得をごまかしており、その不正脱漏所得金額は1581億円にのぼった。

 2008事務年度の無所得申告法人調査は、前年度に比べ6.6%増の実地調査を行い、申告漏れ件数が5.3%増、不正計算のあった件数6.2%増とともに増えている。この結果、黒字となった法人が約7千社あったわけだが、調査で把握された1件あたりの申告漏れ所得1458万円は、前年度より13.6%増加しており、法人全体の平均991万円を大幅に上回る。不正申告1件あたりの不正脱漏所得金額は1310万円となっている。

 なお、2008事務年度においては、稼動していると見込まれる無申告法人3094件に対して調査を実施したところ、その50.2%が本来黒字申告すべき法人だった。その申告すべき所得金額の合計額は212億円にのぼり、法人税について59億円、消費税についても40億円を追徴課税している。また、実質的な事業所は変えないまま、本店登記を変更することで調査を忌避し、調査を逃れようとする法人に対しても調査を強化している。