東京商工リサーチが14日に発表した業歴暦別倒産状況によると、2004年に倒産した企業のうち業歴30年以上は、全体の26.5%、4社に1社にあたる3634件だった。構成比は前年より0.4ポイント低下。負債額は4兆3786億円にのぼり、全体の約6割(56.0%)を占めた。これに対して業歴10年以下の企業倒産は2855件で、その構成比20.8%はほぼ前年と同水準となっている。
2004年倒産企業の平均業歴年数は、前年より1.2年縮小して23.7年となった。最近は、1999年が19.3年、2000年20.2年、2001年21.1年、2002年21.9年、2003年24.9年と年々増加傾向で推移してきた。2004年は倒産の沈静化が目立ったこともあってやや低下したが、それでも業歴のある企業の倒産割合は高水準を維持したといえる。
業歴30年以上の「老舗企業」倒産の構成比を産業別にみると、もっとも高かったのは「農・林・漁・鉱業」の35.9%、次に「製造業」(35.6%)、「不動産業」(30.5%)、「卸売業」(30.2%)、「小売業」(28.7%)、「運輸業」(26.5%)、「建設業」(24.0%)、「金融・保険業」(19.6%)、「サービス業」(18.4%)などが続く。もっとも低かった「情報通信業」(7.7%)は、業歴10年以下の「新興企業」倒産の構成比では、43.6%を占めてトップだ。
老舗倒産が高水準であることは、最近の企業開業率の低下によって、業歴の長い企業が相対的に増加していることを勘案しなければならないが、これまで培われてきた信用だけでは経営を維持できないことが浮き彫りになった。一般に業歴の長い企業は、新興企業に比べて豊富な資産を保有しているが、それに依存した経営を行う傾向が強いとされる。
このため、資産価値の下落が進み、売上が伸び悩むなかで含み損を抱えて経営に苦慮する企業が少なくない。特に法規制や補助金などの環境下にあって、ビジネスマインドが働きづらかった第一次産業分野には早急な対応が迫られている。さらに、従来のビジネスモデルでは対応しにくい経営環境の変化が老舗企業の淘汰を促しており、商工リサーチでは「今後も業歴のある企業の倒産が増勢する」と予測している。