多くの企業が進めてきた正社員の抑制策の影響で労働組合の組合員数が減少している。厚生労働省がこのほど公表した2003年労働組合実態調査結果(有効回答数約4000労組、2003年6月時点)によると、3年前(2000年6月)と比べた組合員数が「減少した」と回答した労組が68.8%と約7割を占めた。98年の前回調査と比較すると10.2ポイントも増加している。
組合員数が減少した理由(複数回答)は、「正社員採用の手控え」が73.1%でもっとも多く、次いで組合員の「定年退職」(65.5%)、「自己都合退職」(60.1%)などの割合が高い。「早期優遇退職を含む会社都合退職」(31.3%)などリストラによる脱退も目立った。3年前と比べた組織率の変化の状況は、「変わらない」が59.1%だったものの、「低下した」労組が31.5%あった。「上昇した」は8.4%。
組合員数の減少は財政状況に響く。3年前と比べた財政状況の変化は、「苦しくなった」が前回調査から11.0ポイント増の53.7%と5割を超えた。苦しくなった理由は、「組合員の減少」を挙げる労組が90.0%と圧倒的に高く、次いで「組合費の引下げ・据置き・減少」が28.1%などとなっている。
一方、一般組合員の組合活動への参加は、「積極的」が2.0ポイント減少して46.6%となり、逆に「積極的でない」が1.7ポイント増えて52.5%を占めた。組合の重点事項(複数回答)をみると、これまでのものは「賃金・一時金」(84.6%)、「労働時間(サービス残業を含む)・休日」(59.5%)など、労働条件に関する事項が高く、今後の重点事項としては、「賃金・一時金」(67.0%)のほか「組合員の雇用維持」(57.4%)などが高い。