2003年04月18日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(45)
『所得税における水平的公平性について』(6)
★事業所得の給与所得化
前回は、現行の所得課税における給与所得者と事業所得者の相違点だが、これからはこれらの違いの歴史的変遷とその背景を見ていくことにする。
各所得者に対して適用される各種控除は一貫して拡充され、事業所得は分割されて給与所得化してきたことが特徴だ。事業所得の変遷にみられる傾向は、家族従業員や事業主にも勤労性所得があるという主張に基づき、事業所得が、事業主と生計を一にする親族や事業主自身の給与所得に分割・転嫁されてきた。
青色専従者控除は、法人成りする同族法人と個人事業主のバランスをとる形で拡充されてきたが、68年にはこれに代えて、妥当な範囲内の給与であれば必要経費とすることができる完全給与制が導入される。事業主本人の労働所得部分についても、72年には青色申告控除が創設され、翌73年には、個人事業を法人とみなしてその事業主報酬を給与所得とするみなし法人課税制度が創設され、事業所得の分割、完全給与化が進んだ。
このように、同族法人とのバランスから事業所得者への控除が拡充されるにつれ、事業所得者と給与所得者のバランスも図られる。事業所得者の配偶者に対する専従者控除の拡充に伴い、87年に配偶者特別控除が創設される。給与所得控除が拡充されてきた背景にも、事業所得者とのバランスへの配慮がある。
(続く)
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