社会経済生産性本部が実施した「将来の経営幹部育成に向けた選抜人材教育に関する調査」結果(有効回答数260社)によると、選抜人材教育を「実施」している企業が57.6%と6割近くを占めた。「実施の方向で検討」(19.1%)を含めると76.7%となり、3年連続で75%以上となった。今後の方向性についても、実施企業の98.6%が「現状維持以上」としており、選抜人材教育が定着しつつあることがうかがえる。
また、選抜人材教育とは別な形で、中長期的視点に立ち、トップの後継者候補として人材を特定し、キャリアを積んでいく「サクセッションプラン」に関しては、「関心がある」とした企業は71.1%と高い割合だったものの、「実施している」と回答した企業は15.4%にとどまった。しかし、自社の経営を担う人材育成の取組みへの問題意識の高さはうかがえる結果となった。
選抜人材教育の形態(複数回答)については、「社内での集合研修」(72.1%)と「社外プログラムへの派遣」(63.3%)が多い。一方で、「国内外大学への派遣」は11.6%にとどまった。社内・社外プログラムの活用状況をみると、それぞれ単独で実施している企業よりも、社内外のプログラムを組み合わせて活用する企業が上回っており、多様な場を将来の経営幹部候補者に提供していることが示された。
将来の経営幹部として期待される能力は、「ビジョンを構想する力」(60.5%)、「経営に対する使命感・責任感」(59.7%)が抜きん出ており、以下、「あるべき姿に向けて現状を変えていく力」(36.0%)、「状況・情勢を見極めて判断する力」(30.8%)が続く。「社内外のネットワーク」(3.2%)や「カリスマ性」(5.5%)といったことよりも、経営幹部として、企業のあるべき姿を構想し、組織を引っ張っていく力を重視している。
なお、昨年度調査では12.5%にとどまっていた「非選抜者へのフォローをしている」との回答が、今回の調査では31.7%と大きく増え、限られた人材の育成だけではなく、多様なキャリアパスを用意して広く人材を活用していく方向性も出てきている。実際のフォローの仕方は、「最選抜の機会を与える」との回答が58.8%と多く、人材の選抜に「敗者復活戦」を設けている企業も少なくないことがわかる。
同調査結果の詳細は↓
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20061102-1.html