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経営関連情報 (2005/05/02)

春の栄転にも“昇進うつ病”の危機

 転勤や配置転換のシーズンである春は、実はうつ病にもかかりやすい季節。なかには、せっかく昇進したのに、過度の重責感などからうつ状態に落ち込んでしまう、いわゆる“昇進うつ病”が少なくないと警告するのは、日経PB社の健康サイト編集・田村嘉麿氏の記事である。特に注意が必要なのは中間管理職。昇進したものの、思うほど成績が上がらず、上司と部下の板ばさみとなってひとりで苦しむケースが多いという。

 昇進うつ病になると、気分が落ち込んだり、会社に行きたくなくなったりする。さらに体の不調を訴えることが多い。例えば出社前になると、どうしようもない全身の倦怠感に襲われてしまったり、頭痛や動悸に悩まされたりといった具合。しかし、治療のために医療機関を受診しても「異常なし」と診断されたり、薬をもらっても症状が改善しなかったりする。

 こういう場合は、うつに関するプロ「心療内科」への受診を田村氏は勧める。心療内科では、まず身体的な病気がないかをチェックし、加えて精神症状について問診を行う。この際に、悩みやトラブルについて話し出す患者も少なくない。一般に昇進うつ病の治療では、精神症状を治す薬と身体症状を取る薬が処方される。症状が軽い場合は短期間の抗うつ薬の服用で軽快することもあるが、多くの場合、半年程度の服用が必要とされる。

 昇進うつ病になりやすい人は、仕事一筋の会社人間であることが多い。特に、責任感の強い人ほど会社の期待に応えようと必至になり、思ったように成績が上がらないと自責の念にかられて、うつ状態に陥っていきやすいという。こういうタイプの人は、「職場は生活のために収入を得る場所」と割り切って、家族との団らんやスポーツ、趣味などを楽しむ生活に変えていくことが大切とアドバイスしている。

 仕事はあくまでも自分のためにするもの。昇進したからといって、力を入れすぎると後が続かない。田村氏は、新しい環境で人間関係を築き、仕事を進めていくうえで「自然体でいること」の重要性を強調している。