インターネットの急速な普及を背景に、オンラインショッピングやネット広告、出会い系サイトなどインターネット取引が増えている。なかには年間1億円を超す売上を上げるネット業者も珍しくないが、問題視されているのはこのような利益をあげながら、ネット上の売上は国税当局に把握されまいと考えてまったく申告しなかったり、過少申告する業者が少なくないことだ。
国税庁は、今年6月までの1年間(2004事業年度)にインターネット取引を行っている個人事業者など1031件を税務調査した結果、前年度より16.4%多い1件平均1112万円の申告漏れ額を把握したことを明らかにした。この申告漏れ額は、同時期の実地調査における特別調査・一般調査での1件平均899万円を大幅に上回る。ネット取引の盛況さがうかがえると同時に、ネット取引業者の申告面でのずさんさを浮き彫りにする結果となった。
調査件数1031件を取引区分別にみると、事業主が商品を販売するためのホームページを開設し、消費者から直接受注する販売方法(オンラインショッピング)を行っている「ネット通販」が561件と過半を占める。また、電子画像や電子データの販売を行っている「シェアウェア」が9件、ネット広告や出会い系サイトなど「その他のネット取引」が461件となっている。
それぞれの1件あたりの申告漏れ所得金額をみると、「シェアウェア」が1171万円でもっとも多く、「ネット通販」が1130万円、もっとも少ない「その他のネット取引」でも1089万円と、一般の個人事業者の申告漏れよりも高額だ。
具体的な調査事例をみると、インターネット上にホームページを開設して健康食品を販売していたAは、販売代金を家族名義の銀行口座に振り込ませていたが、調査で見つけたメモなどを丹念に調べた結果、Aが実質経営者であるにもかかわらず、まったく申告していないことが判明した。申告漏れ所得1億円は預金や不動産購入などに充てられており、Aに対しては4000万円の税額が追徴されている。