団塊世代の大量退職の影響を共同調査したのは、大阪商工会議所と関西経済連合会である(「第25回経営・経済動向調査」)。調査結果(有効回答数639社)によると、団塊世代の大量退職の影響(2つまで回答)については、「影響なし」(48.7%)が半数を占め、次いで「技術・技能伝承の断絶」(32.2%)、「人手不足による労働力確保」(29.4%)、「退職金の支払増」(15.6%)、「高所得層の退職による人件費圧縮」(12.8%)となった。
企業規模別にみると、大企業では、「技術・技能伝承の断絶」が43.8%で「影響なし」(36.1%)を上回りトップ、「人手不足による労働力確保」も36.1%となった。これに対し中小企業では、「影響なし」が55.9%を占め、「技術・技能伝承の断絶」と「人手不足による労働力確保」がともに25.6%で続いた。一方、「高所得者層の退職による人件費圧縮」は、大企業では2割弱(17.6%)だったが、中小企業では1割(10.1%)にとどまった。
技術・技能の伝承と人手不足に対する対応策(複数回答)は、定年退職者向けの対策としては「非正社員として継続雇用」をする企業が60.3%ともっとも多く、これに「正社員として継続雇用」(25.8%)、「定年の延長」(18.8%)が続き、「定年の廃止」(1.0%)は少なかった。また、人手不足を補うための対策としては、「中途採用」(50.2%)や「新卒採用」(38.3%)を積極的に行う企業が多くみられた。
団塊世代の実際の退職予想時期は、「2009年度」(16.7%)が最多、「2010年度」(13.6%)、「2008年度」(13.1%)の順。狭義の団塊世代(1947~49年生)が60歳定年の年は2007~2009年度だが、初年の「2007年度」(6.7%)より「2010年度」や「2012年度」(8.3%)のほうが多いという結果になった。大量退職は特定の年に集中的に発生するのではなく、企業における雇用延長の取組み等により、分散する傾向がみられた。
同調査結果の詳細は↓
http://www.osaka.cci.or.jp/Chousa_Kenkyuu_Iken/Bsi/bsi_25.pdf