店頭金融デリバティブ取引等も繰越控除可能に
現在、店頭金融デリバティブ取引に係る所得については、総合課税とされているが、金融商品間の課税の中立性を高めるため、市場金融デリバティブ取引に係る所得と同様に、20%(所得税15%、住民税5%)の申告分離課税とした上で、店頭金融デリバティブ取引と市場金融デリバティブ取引の通算及び損失額3年間の繰越控除を可能とする改正が2011年度税制改正に盛り込まれ、現在審議が進められている。
居住者または国内に恒久的施設を有する非居住者が、「商品先物取引」、「有価証券先物取引等」、「金融先物取引」または「金融証券取引所に上場されている一定の有価証券」を取得し、かつ、その取引に係る決済や行使、放棄、譲渡(以下「差金等決済」という)した場合、差金等決済に係る先物取引に係る雑所得等の金額に対し20%の申告分離課税が行われ、雑所得等の金額の計算上生じた損失は生じなかったものとみなされていた。
しかし、その年の前年以前3年内の各年において生じた先物取引の差金等決済に係る損失の金額(前年以前において控除されたものを除く)を有する場合には、上記の規定にかかわらず、その先物取引の差金等決済に係る損失の金額に相当する金額は、確定申告書に係る年分の先物取引に係る雑所得等の金額を限度として、その年分の先物取引に係る雑所得等の金額の計算上控除することができる。
改正により、先物取引に係る雑所得等の課税の特例及び先物取引の差金決済等に係る損失の繰越控除の適用対象に、(1)商品先物取引法に規定する店頭商品デリバティブ取引の差金等決済、(2)金融商品取引法に規定する店頭デリバティブ取引の差金等決済、(3)店頭カバードワラントの差金等決済または譲渡、に係る雑所得等を加えることとされた。2014年1月1日以後に行われる取引の差金等決済又は譲渡から適用される予定だ。