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会社と役員間での金銭貸借は「適正利率」に注意!

税務関連情報 - 2009年03月23日

 企業業績が悪化するなか、会社が役員から金銭を借りるケースもよくある。しかし、会社が役員と取引を行う場合はその手続きがおろそかになりがちなので、第三者と取引する場合と同様に、きちんと「金銭消費貸借契約書」を取り交わし、取締役会の承認を受けることが必要だ。取締役会を設置していない会社は、株主総会の承認を得なければならない。またその際、税務上留意すべき点は、支払う利息が適正な利率かどうかだ。

 適正な利率とされる率は、(1)会社が他からも借り入れている場合で、他から平均調達金利での借入が可能な場合は、「適正利率=平均調達金利=前事業年度中の支払利息/前事業年度中の借入金平均残高×100%」、または (2)(1)以外の場合は、貸付を行った年の前年11月30日の日本銀行が定める基準割引率に年4%の利率を加算した利率(その利率に0.1%未満の端数があるときは切り捨て)により計算された率となる。

 会社が支払った利息が適正な利率の場合は、会社はその支払った利息を損金算入できる一方、役員が受け取った利息は雑所得とされ、所得税の確定申告をしなければならない。給与所得以外の所得が20万円以下のときは、原則、確定申告は不要とされているが、同族会社の役員がその同族会社から受け取る貸付金の利息や地代、家賃などは、その金額の多寡にかかわらず、確定申告が必要とされているので留意したい。

 会社が支払った利息が適正利率よりも高い場合は、会社が支払った利息のうち、適正利率を上回る部分は、その役員に対する給与を支給したものとされ、その部分は通常の給与に含めた上で源泉徴収、年末調整を行うことになる。また、無利息または適正な利率より低い場合は、原則として適正な利率と同様となる。無利息の場合は支払う利息がないので、法人税の計算上、損金算入される金額もない。