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税務関連情報 (2005/04/27)

三位一体改革では6兆円程度の税源委譲が必要

 国と地方の税財政改革(三位一体改革)は、国が使い道を決めて配る国庫補助負担金を4兆円削減することが当面の目標だが、地方自治の強化のためには少なくとも国税と地方税の税収が同額となる6兆円程度まで増やすことが必要だとの提言は、みずほ情報総研のレポートだ。同レポートは、税源委譲の試算を行ったうえで、政府などの地方税財政改革案を評価し、必要な施策を提言している。

 レポートによると、税源委譲は、1)国から地方へ確実に安定的な税源を移すことができる、2)地方分権が進んだ制度になる、3)地域間の税収偏在度が人口偏在度に近くなる、の3点を満たした方法で行われるべきだと指摘する。これらの観点からみると、税収規模が大きい消費税と所得税の委譲がふさわしく、なかでも税収の地域偏在度が低い消費税か、累進性を弱める措置を講じたうえでの所得税が望ましいとしている。

 そこで、三位一体改革による委譲(3兆円規模)と、国の税収と地方税収を同額にする委譲(6.3兆円規模)の2つのケースをシミュレーションしている。その結果、所得税から個人住民税への委譲を行うとともに、累進課税の個人住民税を定率課税にすると、税収の地域偏在度が縮小することを確認している。

 一方、6.3兆円規模の税源委譲では、所得税(3.15兆円)と消費税(3.15兆円)の委譲を組み合わせた方法で、地域偏在度を弱める効果がもっとも大きくなった。さらに、これに加えて、地方の法人課税と国の所得税や消費税とを取り替える税源委譲を行うと、税源委譲を上回る地域偏在度の縮減効果が認められたという。

 これらの結果から、税源委譲は、第一段階として、三位一体改革で所得税から個人住民税への3兆円規模の税源委譲を行い、第二段階として、消費税から地方消費税へ3.3兆円規模の税源委譲を行うとともに税源交換を行うという順での実施が適切と結論している。さらに、最終段階として、たばこ税など基幹税以外の税目を地方税へ委譲することも考えうるとしている。

 レポートの全文は↓
 http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/argument/mron0501-1.pdf