国土交通省がこのほど発表した「2004年度土地に関する動向」では、土地市場は、社会経済の変化に対応して構造変化が進展しつつあるとみている。具体的には、1)「土地神話」の崩壊、2)土地の所有と分離の進展、3)不動産証券化市場が拡大し、不動産投資における資金調達手法が多様化、4)収益性や利便性が重視され「利用価値に応じて価格形成がなされる」という市場へと変化しつつある、と指摘している。
国民の土地に対する意識の変化をみると、1997年ごろまでは5~6割を占めていた「土地を他の資産と比べて有利」と考える国民の割合が、近年は3割台前半まで大きく減少したまま横ばいで推移(2004年度は33.2%)し、国民意識の変化が定着してきている。企業についても、所有の有利性についての意識が変化しているが、資本金規模による意識の差がみられる。これは、資金調達手法等の違いによるものとみている。
資金調達における土地の重要性についての企業の意識をみると、資本金「1億円以上」の企業では「非常に重要」(8.9%)と「ある程度重要」(24.2%)を合わせた33.1%が重要と考えているのに対し、「2000万円未満」の企業では「非常に重要」(15.1%)と「ある程度重要」(33.8%)の合計が48.9%と大きな差がみられた。全体では、「非常に重要」が14.1%、「ある程度重要」が32.6となっている。
また、企業の土地等の所有・利用状況についても、社会経済の構造変化に対応した動きがみられる。「土地基本調査」では、1)所有する試算の見直し(所有と利用の分離)の進展、2)特に、収益性の低い寮・社宅、グラウンドなどの処分の進展、3)土地所有面積が、製造業で減少、サービス業等で増加など、産業構造の変化に対応した動き、4)バブル期に取得した土地の処分が進む一方、景気回復や企業の財務体質の改善などを背景として、近年、土地取得面積の増加がみられること、などを挙げている。
「2004年度土地に関する動向」の詳細は↓
http://www.mlit.go.jp/hakusyo/tochi/h17/h17tochi_.html