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税務関連情報 (2004/07/16)

ご存知ですか、温泉に入ると課税される「入湯税」

 暑い夏は疲れを癒しに温泉旅行に出かける方々も多いが、温泉に入ると課税されるのが市町村税の「入湯税」である。温泉の経営者が、入湯客1人につき150円程度を市町村に代わって徴収し、自治体に納めるのだが、実際には面倒くさいので、ほとんどの温泉施設が入浴料のなかに含めてとっている。だから、ほとんどのお客さんは、入湯税とはどのような税金なのかを意外に知らないようだ。

 入湯税は、特定の費用に充てるために課される目的税で、地方税法により税目が法定されている法定目的税だ。温泉の管理や保護、公衆トイレやゴミ対策などの環境整備、温泉街に必要なハシゴ消防車の購入、温泉観光地としての整備などに使われる。例えば、神奈川県箱根町は年間1940万人の観光客が訪れ、その日本一の入湯税収7億円強(2001年度)の半分近くを観光振興に充てているという。

 入湯税は、温泉を利用すれば、宿泊・日帰りを問わず課税される。税額は、地方税法では1人1日150円を標準としているが、自治体の判断で自由に決められるため、温泉によって違ってくる。一般的には、宿泊利用で150円~300円、日帰り利用で70~150円といったところだが、自治体の90%が150円に設定しているようだ。また、12歳未満や共同浴場・一般公衆浴場、修学旅行などの学校行事での入湯では課税を減免しているところが多い。

 総務省によると、入湯税は全市町村の4割近い1286市町村で徴収されており、その税収総額は240億円にのぼる(2001年度調査)。昨年3月に東京・お台場にオープンした「大江戸温泉物語」の入館料のなかには150円の入湯税が含まれている。徴収された入湯税は江東区に納められるが、年間150万人の集客を見込んでおり、12歳未満は非課税としても、年間2億円に近い税収となる。江東区にとっては“温泉サマサマ”といったところか。