一時期、企業は収益確保等のためリストラなど人件費削減にまい進したが、2003年はその傾向にやや歯止めがかかったようだ。厚生労働省が3日に公表した2003年雇用動向調査結果によると、会社を辞めた離職者の離職理由別割合で「経営上の都合」が前年に比べ2.5ポイント減少し9.8%となって3年ぶりに低下した。もっとも多い理由は「個人的理由」で69.3%だが、前年比4.3ポイント増と3年ぶりに上昇している。
2003年の1年間に労働移動を行った者は、入職者が605万人(前年597万人)、離職者が662万人(同682万人)で、延べ労働移動者は1267万人(同1279万人)となった。また、延べ労働移動率は30.9%(同31.0%)、入職率は14.7%(同14.5%)、離職率は16.1%(同16.6%)と、7年連続で離職超過となったが、超過幅は縮小している。
就業形態別に入職・離職率をみると、正社員など一般労働者は入職率が11.5%(前年11.5%)、離職率が13.3%(同14.2%)、パートタイム労働者は入職率が27.6%(同26.9%)、離職率が27.8%(同26.4%)となった。前年と比べ、一般労働者は離職率が0.9ポイント低下、パートは入職率が0.7ポイント、離職率が1.4ポイントそれぞれ上昇した。
入職者・離職者に占めるパートの割合をみると、入職者は37.2%、離職者は34.2%と、いずれも1991年以降もっとも多くなった。産業別にみると、「卸売・小売業、飲食店」は入職者が54.4%、離職者が54.4%と、主な産業のなかでパートの割合がもっとも多くなった。企業規模別にみると、「1000人以上」規模は入職者が46.8%、離職者が44.5%と企業規模のなかで割合がもっとも多くなっている。