ゼイタックス

経営関連情報 (2004/05/19)

ICタグ普及にはプライバシー侵害懸念解消が必要

 ICタグは、情報を記録するためのゴマ粒ほどの小さいICチップとアンテナ配線からなる小型の装置で、「リーダー/ライター」と呼ぶ無線配線装置を使って、ICチップの情報を読んだり、情報を記録するもの。バーコードに代わる商品識別・管理システムとして注目されているが、最近では急速な技術の進歩に伴い様々な分野での活用が期待されている。

 例えば、生鮮食料品にICタグを付け、生産地や生産年月日などが分かるようにしたり、薬の成分や効能などの情報を消費者に知らせることもできる。ある図書館では、蔵書にICタグを付け、貸出業務をセルフサービス化するとともに、無断持ち出し防止にも役立てている。ペットにICチップを埋め込み、迷子になった場合の保険に利用する試みも行われている。

 一方で、消費者がICタグを利用することによるプライバシー侵害への懸念は根強いものがある。ICタグは欧米で、消費者の行動を追跡する「スパイ・チップ」と呼ばれることもある。ただ、専門家はその可能性は極めて低いと指摘する。ICタグに格納できる情報の容量は今のところかなり少なく、企業の商品情報のほかに消費者の個人情報をすべて記録するためには十分とはいえないとのこと。

 そもそも、ICタグに格納するのは基本的にバーコードと同じように「コード」化された情報であって、コードを第三者に見られたとしても、その意味が分かる人はほとんどいないのではないかという。一方で、ICタグの情報に対するセキュリティ技術の研究も相当進んでいる。

 このようなことから、ICタグの普及のためには、消費者が抱くプライバシー侵害への懸念を解消するための広報やICタグを活用することでの大きなメリットを積極的にPRすることがカギとなるようだ。IT技術のメリットを享受する場合に常に浮上するプライバシー問題だが、固定観念にとらわれない考え方が求められている。