個人事業者に対する消費税の調査は、原則として所得税の調査等と同時に実施されるが、国税当局は、消費税のみ無申告とする納税者に対しては着眼調査(申告漏れ所得等の把握を実地により短期間に行う)や簡易な接触(文書や来署依頼による面接等で計算誤り等を是正するなどの接触)により適正な課税に努めている。国税庁が今年6月までの1年間(2008事務年度)に実施した消費税調査では、追徴税額は275億円にのぼった。
調査等の件数は、特別調査・一般調査(高額・悪質な不正計算が見込まれるものを対象とした深度ある調査)は3万6千件(前事務年度比横ばい)、着眼調査は2万8千件(同7.7%増)、簡易な接触は3万2千件(同10.3%増)。また、これらの調査等の合計件数は9万5千件(同4.4%増)であり、そのうち申告漏れ等の非違があった件数は約7割にあたる6万7千件(同1.5%増)となっている。
追徴税額(調査等の対象となった全ての年分の合計で加算税を含む)は、全体で275億円(前事務年度比6.2%増)あり、このうち特別調査・一般調査によるものが203億円(同9.1%増)、着眼調査によるものが54億円(同3.8%増)、簡易な接触によるものが18億円(同14.3%減)だった。1件あたりの追徴税額は、特別調査・一般調査が56万円、着眼調査が19万円、簡易な接触が6万円、調査等全体では平均29万円だった。
また、消費税の高額還付申告者のうち、還付原因が不明な納税者全てに対し798件の調査を実施した結果、25.4%にあたる203件に非違が見つかり、加算税を含め6億円を追徴した。1件あたりの追徴税額は75万円。調査件数に占める非違件数の割合は、実地調査(特別・一般)の80%に比べかなり低いが、追徴税額はかなり高い。なお、2008事務年度の消費税の還付申告者に対する調査等全体では、1件あたりの追徴税額は60万円だった。