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税務関連情報 (2006/08/30)

事業に至らない不動産貸付での回収不能の未収家賃

 納税者は、事業に至らない規模で不動産を貸し付けていたが、収入金額に計上していた未収家賃(50万円)が回収不能となった。その回収不能となった未収家賃の申告年分の不動産所得の金額は赤字だが、その回収不能となった未収家賃について、更正の請求の対象となるのかという事例である。当初申告の所得の内訳は、給与所得が2000万円、不動産所得が▲200万円で総所得金額は1800万円だ。

 また、不動産所得の内訳(当初金額)は、総収入金額300万円(未収家賃50万円を含む)、必要経費500万円で、不動産所得は▲200万円である。

 所得税法では、事業に至らない規模の不動産貸付において、未収家賃が回収不能となった場合、回収不能額のうち、1)総所得金額、退職所得金額及び山林所得金額の合計額、2)不動産所得の金額から、回収不能額に相当する総収入金額がなかったものとした場合に計算される不動産所得の金額を控除した残額、の金額のいずれか低い金額に達するまでの金額は、その不動産所得の金額の計算上、なかったものとみなされる。

 上記の2)の金額は「控除した残額」と規定されているので、「不動産所得の金額」及び「回収不能額に相当する総収入金額がなかったものとした場合に計算される不動産所得の金額」はそれぞれ黒字の場合が前提で、これらの金額が赤字の場合にはそれぞれゼロ円として計算される。したがって、「不動産所得の金額」が赤字の場合には、なかったとみなされる金額も生じないことから、回収不能額について更正の請求はできないことになる。