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税務関連情報 (2006/06/30)

消費税の免税点・簡易課税の全廃を提言~同友会

 政府・与党は26日、財政再建に向けて2011年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス)を均衡させる歳出・歳入一体改革案をまとめた。黒字化に必要な金額を16兆5千億円程度とし、そのうち7割以上を歳出削減によって達成するとした。この改革案は、7月に閣議決定する「骨太方針2006」に盛り込まれるが、それに先立ち経済同友会は27日、さらなる改革推進のための検討項目を盛り込んだ提言を公表した。

 同提言では、財政再建への取組みが、増税よりも歳出削減を優先したことに対し評価したうえで、増税でまかなう残りの2~5兆円は幅があることから、増税幅を圧縮するため歳出削減の最大化を求めた。また、歳入面では、経済活性化・公平性に向けた税制を抜本改革するように要望した。注目されるのは、今後焦点となる消費税課税について、免税点・簡易課税制度の全廃を提言したことだ。

 国民が薄く広く負担しかつ安定的な財源である消費税は、公的年金と地方財政を支える基幹税と位置づけるべきであり、そのためには、インボイス制度の導入、免税点・簡易課税制度の全廃などにより、制度への信頼性を高める必要があるとしている。また、社会保障制度の改革において、公的年金として「新基礎年金制度」を創設し、一人一律7万円の給付を全額目的消費税でまかなうことも提案している。

 個人所得課税については、住民票コードを活用した納税者番号制度の導入や各種控除を整理・廃止し税制を簡素化すること、給与所得の源泉徴収制度を廃止し、原則どおり申告納税とすることを提言。一方、法人課税については、わが国の持続的な経済成長を維持するため、法人税の実効税率を国際水準に維持することが必要条件だとしたうえで、租税特別措置を白紙に戻し、真に必要な政策減税のみを改めて実施すべきだとしている。

 以上が税制に関する提言だが、個人所得課税・消費課税に比べ法人課税は極めて緩い印象がある。特に消費課税は免税点・簡易課税制度の全廃を求めたが、実現すると中小・零細事業者の経営に大きな負担がのしかかる。免税点の1千万円、簡易課税制度の5千万円の引下げが多くの事業者を直撃したばかりだ。財政再建のために仕方がないというのであれば、法人も何らかの“痛み”を受け入れるべきではないのか。