経 営 関 連 情 報

2001年11月21日-001
中小企業の景況は急激な悪化と税理士の経済診断

 全国の税理士の目を通して見た中堅・中小企業の景気実感は、消費税率アップなど国民負担増によって景気が腰折れした1997年後半を再現するかのような急激な悪化を見せている。これは、日税連が1994年秋から開始した「税理士からみた経済実態診断」の第14回本年10月調査結果で明らかになったもの。

 それによると、景況判断DI(「よい」の回答比率から「悪い」を引いた指数)は、製造業がIT(情報技術)不況や輸出不振のためにマイナス86.4と、前回の昨年10月調査から44.4ポイントも急激に悪化。卸・小売業も引き続き悪化しており、景況判断DIはマイナス91.5で、前回より14.0ポイントも低下し、深刻な消費不況を裏付ける結果となった。製造業と卸・小売業はアンケート開始以来最低の水準を記録している。また、比較的景気変動の影響を受けにくいサービス業もマイナス64.4で11.8ポイント低下と大きく減少している。建設・不動産業は、前回から13.4ポイント悪化してマイナス91.6となり、4業種で最低だった。多くのゼネコンの受注難や人員過剰などの構造的問題の解決にはまだ時間がかかりそうで、この業界が景況感全体の足を引っ張る状態は当分続きそう。

 税制問題では、法人税改革について、「租税特別措置は廃止し、法人税率を下げるべき」が57.4%と過半数を占めてトップ。「税制の簡素化」という観点からすると、増減税同額か減税なら理解できるという結果となった。ただ、租特は中小企業向け減税額が年間ベースで数千億円規模もある上、中堅・中小企業には法人税を納めていない企業も多い。回答どおりなら、事実上、増税容認ともみられる側面があることに留意が必要である。「地方への税源移譲」の設問では、59.6%とほぼ6割が「自治体の対応力を見ながら徐々に進めるべき」と回答。国と地方間で、行政サービスの負担と税収のアンバランスが存在することを認めたものと解釈できる。「高齢者の税負担」では、高齢者の税制優遇について、「社会的弱者なので現状を維持すべき」はわずか12.4%。「所得の多寡によって細かく対応すべき」が40.6%でトップということは、高額所得の高齢者に対する税制優遇については疑問を持っている人が多そうである。

 

 

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