2008年度税制改正の本格的審議の開始を前に各省庁・民間団体から改正要望が一斉に出されているが、総じてみると包括的な事業承継税制の確立を求める声が多い。日本商工会議所がこのほど公表した「2008年度税制改正に関する要望」においても、特に、日商が長年の課題としている「事業承継税制」については、「2008年度事業承継円滑化のための税制措置等に関する要望」として取りまとめ、その実現を強く求めた。
まず、企業が事業用資産を円滑に後継者に引き継いでいくためには、中小企業経営者が相続により資産を承継する際、事業用資産に係る相続税は、本来非課税とすべきだとの考えを示した上で、まずは、わが国においても欧州諸国と同様に、後継者が相続後一定期間、事業を継続することなどを条件に、非上場株式等に対する相続税負担を8割以上減免する包括的な事業承継税制の確立を求めた。
こうした包括的な事業承継税制の確立に併せ、取引相場のない株式の評価方法についても見直しを要望事項に盛り込んだ。具体的には、類似業種比準価額方式については、斟酌率の引下げや利益額がゼロ前後で大きく評価が異なる点の改善などを、また、純資産価額方式については、将来その費用が生ずることが確実な引当金・準備金の負債計上、営業権における基準年利率等の見直しなどの改善を要望した。
また、現行民法の遺留分の規定により、事業を継がない相続人が遺留分減殺請求権を行使した場合、円滑な事業承継が阻害されることが起こり得ると指摘。これを避けるために、当事者間の合意に基づき、相続発生後の遺留分に係る紛争を防止するための手当てを包含する「事業承継契約(仮称)スキーム」を創設し、現行の遺留分放棄手続きに比べ簡素な手続きにより円滑な事業承継が実現できる措置を講じるよう求めている。
日商の「2008年度税制改正に関する要望」の詳細は↓
http://www.jcci.or.jp/nissyo/iken/070919zeisei.pdf