中小企業庁は、下請代金法に基づき、親事業者及び下請事業者を対象に定期的な書面調査や立入検査を行い、警告文書の発出や改善指導を行っている。2008年度は、前年度に比べ52.1%増の親事業者2万7743社に同54.8%増の下請事業者17万4410社を加えた計20万2153社に対して書面調査を実施し、下請代金の不当な減額や支払遅延などの下請法違反のおそれがある8329社の親事業者に対し警告文書を発出した。
また、違反容疑の高い親事業者1117社に立入検査を実施し、1004社に対し2472件の違反事項について書面による改善指導を行った。そのうち親事業者270社に対し、減額した下請代金や支払遅延に係る遅延利息の合計額約12億4500万円の返還を命令した。この返還額は前年度(2億3100万円)の約5.4倍にのぼる。法違反の禁止行為の内訳は、「支払遅延」が48.7%、「減額」が33.5%と、この2項目で全体の8割強を占める。
親事業者に対する立入検査によって明らかになった違反行為の中で、特に重大な違反行為があった4社については、公正取引委員会へ措置請求を行った。例えば、A社は、エアゾール製品の製造委託に関し、「販売奨励金」等と称して、下請代金の額に一定率を乗じた額や販売数量に一定率を乗じた額を差し引くことによって、下請事業者5社に対し、総額7626万円の下請代金を減額していた。
なお、中企庁では、昨年4月に全国48ヵ所に「下請かけこみ寺」を開設し、中小企業の取引に関する様々な相談に対応してきたが、2008年度の相談実績は3836件(例年は年間200~300件)だった。その内容は、「下請代金法」関連が23.3%、「建設業法」が23.8%、「貨物自動車運送事業法」が5.6%など。相談件数は、昨年秋口の景気の急速な悪化等を反映し、1月388件、2月441件、3月619件と、年明け以降急激に増加している。
下請代金法に基づく取締状況等の詳細は↓
http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2009/download/090603Shousai.pdf