ゼイタックス

単年度の教育訓練費の総額から税額控除

税務関連情報 - 2008年05月12日

 人材投資促進税制は、2008年度税制改正において、これまでの教育訓練費の増加額に対する25%の税額控除制度から、対象を中小企業者に限定して、教育訓練費の増減に関わらず、適用事業年度の教育訓練費の総額から税額控除する簡素な制度(「総額型」)に改組され、中小企業等基盤強化税制のなかに位置づけられた。一方で、大企業分については、2008年3月31日の適用期限をもって廃止された。

 改正前の制度は、その年度の教育訓練費が、直前2年間に損金算入された教育訓練費の平均額を超えた場合には、その超過額の25%を税額控除するものだった。継続的な教育訓練費の増加や、3年分の帳簿から教育訓練費を洗い出す手間が必要であり、中小企業にとっては使いにくい制度との指摘があった。こうしたことから、中小企業の生産性向上のため、人材投資の底上げが必要との観点から今回改正されたものだ。

 具体的には、適用事業年度(単年度)の労働費用(給与、法定福利費、教育訓練費)に占める教育訓練費の割合が0.15%以上の場合は、その割合に応じて教育訓練費の総額の8~12%に相当する額を税額控除する仕組みに改められた。法定福利費について、改正政令では、事業主が負担する健康保険料、厚生年金保険料、労働保険料(雇用・労災)、児童手当拠出金に加え休業補償費のほか財務省令で定める費用としている。

 改正の結果、例えば、1人あたり労働費用を450万円とすると、その0.15%相当額は6750円だから、従業員数が10人の場合、総額6万7500円以上支出すれば減税対象となる。また、単年度計算により適用の有無が判断されるため、事務負担も軽減される。経済産業省では、制度改正によって、中小企業の教育訓練費の底上げが期待できるとして、減収額の約1.31倍~1.47倍の教育訓練投資の増大効果があるとの試算を示している。