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役員給与の減額改定事由に関する取扱いを明確化

税務関連情報 - 2008年12月26日

 国税庁はこのほど同庁ホームページに「役員給与に関するQ&A」を公表し、かねてより実務上疑問の少なくなかった「役員給与の減額改定事由に関する取扱い」などの明確化を図った。役員給与の額について、「法人の経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由」により減額改定した場合、改定前後の期間中の各支給時期における支給額が同額であれば、それぞれが定期同額給与に該当し損金算入の対象となるとされている。

 しかし、具体的にどのような場合が業績悪化改定事由に該当するのかが必ずしも明確ではなかった。通達では、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情としているが、法人の一時的な資金繰りの都合や単に業績目標値に達しなかったことなどはこれに含まれないとしているため、経営状況が相当程度の悪化でなければ該当せず、対象となる事例も限定されるのではないかといった疑問があった。

 Q&Aでは、経営の状況が著しく悪化したことその他これに類する理由とは、経営状況が著しく悪化したことなどやむを得ず役員給与を減額せざるを得ない事情があることをいうので、財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけでなく、経営状況の悪化に伴い、第三者である利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係上、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、これも含まれるとしている。

 そして具体例として、(1)株主との関係上、業績や財務状況の悪化についての役員としての経営上の責任から役員給与の額を減額せざるを得ない場合、(2)業績や財務状況または資金繰りが悪化したため、取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合、などを例示している。

 また、「業績や財務状況、資金繰りの悪化といった事実が生じていたとしても、利益調整のみを目的として減額改定を行う場合には、やむを得ず役員給与の額を減額したとはいえないことから、業績悪化改定事由に該当しないことはいうまでもない」との断り書きを示している。

 「役員給与に関するQ&A」の全文は↓
 http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/qa.pdf