経 営 関 連 情 報 |
2002年09月11日-001
資産デフレの歯止めが不良債権問題解決への最良政策対応
不良債権残高が増加の一途を辿っている。先日発表された今年3月末時点での全国銀行のリスク管理債権額は42兆円となり、92年末以降の最高水準を更新した。第一生命研究所の分析レポートによれば、法人企業統計から資産デフレにより新規発生した不良債権額を求めると、3月末時点で、地価下落によるものが21.6兆円、株価下落によるものが11.5兆円で合計33.1兆円になる。足元の不良債権のうち8割近くが資産デフレによって新規発生したことになる。
レポートは、新規発生した不良債権を規模・業種別に分析しているが、それによると、株価下落による新規発生の95%は総資産に占める株式の比率が高い大企業、株価下落による新規発生の85%は総資産に占める土地の比率が高い非製造業で発生している。また、物価下落により新規発生した不良債権額を求めると、3月末時点で6.1兆円となり、その75%が非製造業で発生している。これは、非製造業のほうが労働集約的なため、下方硬直的な人件費等による収益の圧迫度合いが大きいためと分析している。
資産デフレと物価下落により新規発生した不良債権額は合計39.2兆円となり、足元の不良債権のうち9割以上がストックとフローのデフレによって発生したことになる。うち4分の3が非製造業から発生しており、不良債権問題は主に非製造業の問題であることを指摘。不良債権処理が短期的にデフレ圧力を強めることを勘案すれば、資産デフレに歯止めをかけることが不良債権問題解決のために最も必要な政策対応であると指摘。資産デフレを阻止するためには、政府による円安誘導、公共事業の拡大、設備投資減税、土地・証券税制の改革などの実需面からのサポートといった大胆なポリシーミックスの必要性を提案している。
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