帝国データバンクが発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、7月の倒産件数は746件で、前月に比べ0.3%の微増だったが、前年同月比では10.5%の増加となった。ここ数ヵ月、倒産は増減を繰り返しているが、依然として倒産推移の上ぶくれを招く種々のリスク要因の存在もあり、当面は一進一退を繰り返しながらも現在の緩やかな増加基調が続くものと推測している。
また、7月の負債総額は3548億4000万円で、今年2番目の低水準となった。前月比▲7.4%、前年同月比▲15.0%とともに減少となった。負債10億円以上の倒産は56件(前年同月52件)、同50億円以上の倒産が9件(同13件)にとどまるなど、引き続き大型倒産は低水準で推移している。一方で、負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は410件と、全体の過半数(55.0%)を占めた。
また、倒産の主因別の内訳をみると、「不況型倒産」の合計が566件となり、前月を2.9%、前年同月を18.4%ともに上回った。その構成比も75.9%と、前月を2.0ポイント、前年同月を5.1ポイントともに上回っている。「不況型倒産」は、販売不振、輸出不振、売掛金回収難、不良債権の累積、業界不振を集計したもの。一方、放漫経営(52件)やその他の経営計画の失敗(22件)などの「好況型倒産」が依然として散発している。
今後の倒産動向については、原油・素材価格の高騰などの懸念材料が、どこまで倒産推移を上ぶれさせるのか不安視されるものの、当面は一進一退を繰り返しながらも現在の緩やかな増加基調が維持されると予想。このほか、金利上昇による財務悪化、談合などに対する公正取引委員会の取締り強化、金融庁による相次ぐ処分の影響なども、倒産増加を誘発する要因として十分に警戒する必要があると、帝国データバンクではみている。