税 務 関 連 情 報

2002年09月20日-001
経済活性化のために法人税は全廃すべきだ!

 企業が新しい高付加価値の財やサービス、魅力的な商品を開発することにチャレンジできる経済体制を構築するため「法人税を全廃し利益を個人資産に還元すべきだ」とは、21世紀政策研究所の大胆な提言である。現行の法人税課税システムは政策的配慮から様々な特例措置が入り込み巨大化・複雑化しており、企業の意思決定に対し中立を保つことが極めて困難になっている。例えば、法人税課税後の利益の分配である配当に個人所得課税が課される二重課税は、リスクテイクした投資家に冷たい。家計部門から市場を通じて直接リスクマネーを調達し、それを自己資本として新たなチャレンジをしようとする企業の意欲を妨げている。そこで、法人税を全廃し、利益の帰属する個人に対し総合所得課税すべきだとの主張だ。

 同研究所によれば、法人税の全廃は企業が獲得した利益を非課税扱いするわけではなく、利益が投資家に配当されるまで課税が繰り延べられるに過ぎない。その目的は、法人所得課税がもたらす資源配分の歪みを取り除き、リスクをとった投資家に直接その利益を帰属させるシステムを構築するという制度設計を行うことにある。投資家に対して新たな税制上のメリットを与える目的ではなく、配当利益は、公平性の観点から他の所得と同様、個人の所得に算入される。そこで、個人所得課税における配当控除や配当所得における源泉分離課税制度を廃止し、総合所得課税に一本化する必要がある。納税者番号制度を導入し、すべての金融取引について透明性を確保することが前提条件となる。

 なお、法人税を課税標準とする法人住民税についても廃止するが、自治体へ納付される法人事業税については、応益税を導入し、企業が行政から受ける便益費用を負担する。赤字法人の課税負担は重くなるが、制度導入後一定期間の軽減措置を儲けるなど配慮する。それ以降も恒常的に赤字を垂れ流しつづける企業については、市場からの退出を余儀なくされることになるとしている。

 

 

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