4月1日から2004年度税制改正が施行されたが、当面影響を受けるのは、批判が強かった土地・建物等の譲渡所得と他の所得との損益通算や繰越控除の廃止がある。今年の1月からの譲渡にさかのぼって適用されることになった。4月1日から適用される改正法では、なんといっても影響が大なのは消費税法だろう。
総額表示の義務づけについては、テレビ・新聞等でも何度も取り上げられ話題となったが、企業や個人事業者にとっては事業者免税点や簡易課税制度の適用上限の引下げがいよいよ適用され、新たに課税事業者になる場合は消費税を念頭に置いた経理が求められる。
免税点の適用上限が3千万円から1千万円に引き下げられたことで、88万2千の個人事業者と48万1千社の合計136万3千社(者)が新たに課税事業者となると試算されている。簡易課税の適用上限が2億円から5千万円に引き下げられたことでは、56万5千社(者)が納める消費税を実額計算しなければならなくなる(政府税調の資料)。
個人事業者は2005年1月からだが、5%分の消費税を商品に上乗せするかコスト削減等でこれまでの値段を維持するかを決めなければならない。課税売上高1千万円といえば、普通の居酒屋・八百屋・ラーメン屋さんなど街の商店のほとんどが該当してくるだろう。
総額表示にしろ、課税事業者だから義務づけられるのであって、新たに課税事業者となる街の商店などに対する改正消費税法での負担増は大きなものがある。社会保障費の増大や危機的な国家財政を考えると仕方がないのだろうが、その負担増を消費者や中小零細事業者ばかりに押し付けず、徹底的な経費削減を断行してほしいと改めて求めたい。