2003年11月19日-003
経済4団体、厚労省の年金改革案に反対表明
厚生労働省が17日に発表した年金制度改革案によると、厚生年金保険料は現行の13.58%(労使折半)から毎年段階的に引き上げ最終的に2022年度に20%に、国民年金は現行の月額1万3300円を毎年600円ずつ引き上げ2011年度に1万7300円でそれぞれ固定する。一方で社会全体の保険料負担能力の伸びに見合うよう給付水準を自動的に引き下げるが、現役世代の収入の50~50%台半ばの給付は確保する。
この厚労省案に対し真っ向から反対する意見書が18日、日本経団連や日商など経済4団体の連名で公表された。意見書では、厚労省は抜本改革を行わずに厚生年金保険料の将来の引上げを法定しようとしており、これは保険料を負担する現在及び将来の勤労者・企業の活力を殺ぐと懸念している。保険料の引上げは雇用コストの上昇を通じて、大企業のみならず、特に中小企業の収益を圧迫し、わが国企業の国際競争力の低下を招くとともに、新規雇用にも著しく悪影響を及ぼすと予想している。
また、万が一、保険料を引き上げられる場合には、コストを勘案して労働形態の転換(78%)や人件費調整(68%)、従業員数の調整(51%)などの労働条件や雇用調整を検討する、あるいは事業所の海外移転(31%)などを検討するといった企業が多いとの緊急調査結果を明らかにし、引上げが現実化すれば年金財政ばかりでなく、日本経済全体に一層深刻な影響を与えることになるとの危惧を示している。
そこで意見書では、1)年金給付抑制及び基礎年金の税方式化などの抜本改革の展望がないまま、保険料率の引上げを法定することには絶対反対、2)当面の改革として、基礎年金の国庫負担割合を2分の1にするための道筋を明確にすべき、3)税・財政・社会保障の一体的改革案を国民に示し、結論を得るべきである、との3点を産業界の総意として明らかにしている。
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