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経営関連情報 (2006/03/31)

過去最大の第3次ブーム到来で活性化する古着市場

 古着市場は、80年代前半、90年代半ばに次いで、昨年から第3次大ブームがきているという。活性化する古着市場を分析した三菱総研の原直樹氏のコラムによると、90年代末には一部古着店の撤退や縮小もみられたが、数年前から渋谷・原宿など東京都心付近はもちろん、東京郊外、地方の大都市においても新世代の古着店が数多く開業した。こうした古着店開業ラッシュの背景のひとつに、原氏は経済産業省の3R政策を挙げている。

 経産省では2001年に繊維製品3R推進会議を設置し、国内中古衣料市場の活性化に取り組んでいるという。かつて古着店を開業しようとしても、裏通りや場末のテナントに出店するしかない時代もあった。それが、今や表通りやファッションビルに進出できるのは、世間の古着と古着店に対する見方が大きく変わったからだ。古着店は少ない開業資金で始められる有望な新規ビジネスとしても注目されている。

 中古衣料の輸入量は年間約8千トン、輸出量は同約10万4千トンで、ゴミの資源化量全体916万トンからすると、国内の古着ブームの量的貢献度は少ない。しかし、製品のライフサイクル(ゴミとなるまでの年月)をより長くするという意識が、消費者に定着するきっかけとなるのではないかとコラムは期待している。

 10年前の古着ブームは、着るための実需だけではなく、希少価値の高い古着が“ヴィンテージ”と呼ばれ、高額で取引されるミニバブルを生んだ。しかし、今回のブームは、古着は毎日着るおしゃれな服として実用されている。コラムは、「古いものを見直しつづけることは、決してみすぼらしいことではない。時代を経たことで新しい“美しさ”を生むのだという価値観が、古着を通して若い世代へ浸透してほしい」と結んでいる。