1980年代以降、わが国の開業率は長らく低下傾向にあり、ここ10年以上、廃業率が開業率を上回るなど、経済成長の原動力となる起業の促進が緊急課題となっている。総合規制改革会議がまとめた「規制改革・民間開放推進3ヵ年計画」は19日に閣議決定されたが、そのなかで、起業段階での最低資本金制度は撤廃する方向で見直すことが明記された。2004年度中に検討し結論を出すこととされている。
その背景には、新たなビジネスとしてネットビジネスや高い技術を持つベンチャーなど低資本で創業できる業態や、サラリーマンや主婦・学生・外国人など起業の担い手の多様化が進みつつあるなかで、最低資本金制度が起業の障害となっているとの指摘が多いことがある。昨年2月から実施している最低資本金規制特例制度によって、新規設立企業が大きく伸びたとの集計もある。
経済産業省が22日に公表したところによると、最低資本金規制特例制度を利用して設立された会社が、3月19日現在で1万社を突破した。特例制度が導入された昨年2月から今年3月19日までの間に、確認申請件数が1万3299件(うち資本金1円会社582社)、成立届出件数が1万133社(同437社)と1万社を突破したもの。
法務省の法務統計月報によれば、2002年1年間の新規登記数8万4612社が、2003年には9万3012社と、8400社、約1割増えており、最低資本金規制緩和が新規創業に大きく影響しているのは明らかだ。このようなことからも、最低資本金制度撤廃は実現する可能性が強い。現在、特例制度を利用して設立された企業は5年以内に最低資本金を満たす必要があるため、最低資本金制度撤廃の動きは大いに注目される。