資源エネルギー庁では、原油価格高騰の実態をより詳細に把握するため、石油精製業におけるコストアップ分の石油販売業者・最終需要者に対する卸価格への価格転嫁、石油販売業におけるコストアップ分の小売価格への価格転嫁などについての4月時点の状況について、5月に調査を行った。その結果について21日、「原油価格上昇の影響に関する調査」結果として公表した。
それによると、石油精製業(大手元売6グループ)における原油、輸入製品などの価格上昇分の卸価格への転嫁状況については、ほぼ全油種において、60~100%の範囲であり、コストのすべてを転嫁できない事業者がいる状況だ。原油・石油製品の調達については、全社が現時点で大きな支障・影響はないと回答しているものの、ほとんどの社が収益を圧迫していると回答。引き続き価格については注視が必要としている。
全国約100石油販売事業者(ガソリンスタンド業者)における全油種平均のコストアップ(4.95円/リットル)の小売価格への転嫁は4.51円/リットルであり、転嫁率は前月(44.3%)から91.1%と大幅に上昇した。油種別にみると、消費者向けガソリンは98.1%とほぼ転嫁されており、灯油(95.8%)、事業者向けガソリン(92.7%)も90%を超える転嫁率だが、軽油は81.0%の転嫁率にとどまっている。
また、全国約360石油販売事業者から、4月時点のバス・トラックなど大口需要家向け軽油納入価格を調査した結果、4月は82.9円/リットルで前月に比べ5.0円/リットル上昇した。以上の結果をみると、原油価格上昇分は、石油精製業、石油販売業、最終需要家がそれぞれ負担していることになる。なお、4月のガソリンスタンドでの店頭給油価格は全国平均で98円/リットル(前月比+5円)となっている。