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税務関連情報 (2005/05/25)

出訴期間6ヵ月、被告は「国」に統一~改正行訴法

 42年ぶりに本格的な改正がなされた行政事件訴訟法が4月から施行された。税務訴訟もその範囲に含まれており、1)取消訴訟の出訴期間が3ヵ月から6ヵ月に延長、2)抗告訴訟の被告を「国・公共団体」に統一、3)被告の管轄する裁判所にも提訴できる、4)税務署等の行政庁が処分・裁決をする場合、その納税者に対し、取消訴訟等の被告や出訴期間などの情報を書面で提示しなければならない制度の創設、などが主な改正点だ。

 取消訴訟の出訴期間については、従来の処分・裁決があったことを知った日から3ヵ月間が6ヵ月間に延長され、正当な理由があれば延長も可能になった。また、抗告訴訟の被告については、これまで処分・裁決を行った行政庁(○○税務署長など)とされていたが、その行政庁の所属する「国・公共団体」に改められた。今後は、「××国税局」や「国税庁」など被告を使い分ける必要がなくなり、使い勝手がよくなりそうだ。

 被告が「国・公共団体」に変更されたことに伴い、提訴できる地方裁判所が拡大されている。これまでの処分・裁決を行った行政庁の所在地を管轄する裁判所に加えて、被告の所在地を管轄する裁判所にも提訴できるようになった。例えば、これまで茨城県の納税者は水戸地裁に提訴するしかなかったが、今後は、茨城県を管轄する裁判所、つまり東京高裁の所在地を管轄する東京地裁にも提訴できるようになった。

 また、新設された出訴期間等の教示制度は、税務署等の行政庁が処分・裁決をする場合に、納税者に対し、取消訴訟等の被告(「国」となること)や出訴期間、不服申立前置などの情報を書面で提供しなければならない制度だ。国税庁が公表したひな型によれば、例えば出訴期間については、「裁決があったことを知った日の翌日から起算して6月を経過したとき」は取消訴訟を提起できないことが明示されている。