連結納税制度は、企業グループ内の個々の法人の所得と欠損を通算して所得が計算できる。そのメリットを裏付けたのは黒字申告割合の低さである。国税庁がまとめた連結納税に係る課税事績によると、今年6月までの1年間(2007事務年度)における連結法人の黒字申告割合は44.9%だった。連結グループの親法人はほぼ半分が大法人だが、大法人の黒字申告割合は53.8%、そのメリットは歴然としている。
今年6月末現在の連結法人数は、親法人795(前年度比9.8%増)、子法人6546(同1.3%増)の計7341法人(同2.1%増)だった。このうち、2007事務年度中に申告期限がきた671件(同15.5%増)の黒字申告割合は、前年度に比べ3.4ポイント上昇の44.9%だった。申告所得金額は同21.3%増の4兆986億円と大幅に伸びた。申告欠損金額は同79.1%減と大幅に減少の2819億円だった。
黒字申告割合は連結法人のほうが大企業より10ポイント近く低い。ところが、連結納税での申告書に添付された個々の親法人・子法人の決算内容の届出書をみると、届出件数6760件のうち黒字分は65.6%にあたる4434件だった。連結納税でなければ、黒字申告割合は6割を超えることになる。総個別所得金額も5兆5046億円にのぼる。このように、連結納税の効果は大きいが、それでも申告漏れはある。
2007事務年度は連結親法人96件が実地調査され、うち92件から約1527億円の申告漏れを把握、約318億円が追徴された。前年度に比べ調査件数は20.0%増加し、申告漏れ所得は200.8%増加、追徴税額は132.5%増加した。また、調査件数の36.5%の35件は、仮装・隠蔽などによる不正計算があり、その不正脱漏所得金額は約74億円。申告漏れ所得、不正脱漏所得ともに過去最高だった。せめて申告だけは適正にしてほしいものだ。