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経営関連情報 (2005/09/16)

設備投資の増加でフリーキャッシュフローが減少

 フリーキャッシュフローとは、会社が稼いだお金から、会社が活動するのに必要なお金を差し引いた、余剰資金のことをいう。会社が自由に使えるお金であって、これを原資に、株主配当、借入金返済、事業の拡大などを行う。このフリーキャッシュフローが、設備投資の増加によって減少に転じる見込みだと分析するのは内閣府のレポートである。

 レポートによると、今回の景気回復局面において、企業部門の体質改善がつづいていることに比べ、設備投資は控えめである。設備投資はキャッシュフローの範囲内にとどまり、製造業・非製造業ともにフリーキャッシュフローはかつてないほど潤沢になっている。

 しかしながら、2005年度にはこのような状況からの変化が見込まれる。「日銀短観」(6月調査)の設備投資計画や堅調なすべりだしをみせた「法人企業統計季報」の4~6月期の設備投資(季節調整済前期比1.7%増、前年同期比6.7%増)からみると、製造業・非製造業ともに減価償却費を上回る投資が計画され、特に鉄鋼・化学などにおいて顕著となっている。

 さらに、製造業では、企業収益の改善が持続しキャッシュフローが4年連続の増加となるなかで、輸送機械を中心として設備投資がより積極化する結果、フリーキャッシュフローは4年ぶりに減少に転じることが見込まれている。

 なお、フリーキャッシュフローの使途としても、これまでの有利子負債削減の動きが一服しつつある一方で、配当等の株主還元が増加傾向にある。レポートは、「設備投資も一段と増加してきており、企業のスタンスが積極化しつつあることがうかがえる」との見方を示している。