日本税理士会連合会(日税連)は今年も、税務のプロ集団として、2005年度税制改正に向けた建議書を公表した。そのなかで、消費税における課税事業者・免税事業者の判定や簡易課税制度の選択について、現行の基準期間を基に行う制度を廃止し、当該課税期間に係る申告時に判定及び選択を行う制度とすることを提言している。それも、早急に改正すべき項目として掲げている。
今年の4月から、消費税の事業者免税点が1千万円以下に、また簡易課税制度の適用上限が5千万円以下にそれぞれ引き下げられた。この結果、課税事業者が約136万者増えると試算されている。このなかには個人の零細事業者がかなり含まれていることから、2005年分の確定申告時期には相当の混乱が予想されている。その要因に、課税事業者等の判定の基となる基準期間や届出期間にあると指摘している。
現行法では、免税事業者かどうかや簡易課税制度が適用できるかどうかを、前々年度とする基準期間の課税売上高によって判定している。また、課税事業者の選択や簡易課税の選択の届出期間は、課税期間開始の日の前日までとなっている。つまり、基準期間判定で事前届出制なのだが、これをその課税期間で課税事業者の判定等を行い、事後に簡易課税を選択できるように改正することを求めているわけだ。
そのほかの建議項目では、1)廃止された、不動産の譲渡損と他の所得との損益通算及び繰越控除制度の復活、2)雇用環境の改善のため、新たに従業員を雇用した場合、その増加人件費の一定割合の税額控除を認めるなどの雇用促進税制の創出、3)相続税の課税方式を、「法定相続分課税方式による遺産取得税方式」から、本来の遺産取得税方式への変更などがある。この建議書は、7月中に財務省や国税庁、総務省などに提出される予定だ。