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経営関連情報 (2007/05/21)

5年ぶりに前年度を上回った繊維業の倒産件数

 東京商工リサーチが発表した「2006年度繊維業の倒産動向」によると、今年3月末までの1年間の繊維業の倒産件数は、前年度比4.2%増の893件と、5年ぶりに前年度を上回った。負債総額は同9.7%増の1983億8900万円で2年連続前年度比増加。繊維業界は、安価な海外製品流入と国内需要の伸び悩みなどにより厳しい経営環境にさらされており、中小の繊維製造業者の廃業や倒産が後を絶たない。

 2006年度の繊維業倒産を製造と販売で大きく分けると、製造は、繊維工業が前年度比6.3%減の59件、衣服その他の繊維製品製造業が同1.3%減の218件だったのに対し、販売は、繊維・衣服等卸売業が同4.4%増の284件、織物・衣服・身の回り品小売業が同10.2%増の332件となり、卸小売業者の倒産増加が目立つ。総務省調べの家計調査報告では、被服関連の消費水準指数が低下を続けている。

 日本百貨店協会が発表した2006年度の全国百貨店売上高(既存店ベース)は、前年度比0.9%減となり2年ぶりに前年度比減少。また、日本チェーンストア協会が発表した2006年度のスーパー売上高(同)は、同2.6%減と10年連続で前年度を下回り、売上規模としては17年ぶりの低水準となった。1年を通じた天候の不安定さが影響、特に、記録的な暖冬による冬物衣料品の販売不振が卸小売業の倒産増加に拍車をかけている。

 前年度より倒産件数が増加した主な業種では、消費者の着物離れに加えて、一部呉服販売業者の強引な勧誘営業手法と過量販売がトラブルとなった呉服・服地・寝具小売が前年度比39.7%増の109件。原油高に伴う主材料の価格上昇の影響が大きかった染色整理業が同13.6%増の25件、同業者間競争が激化するカジュアルウェア販売店等を含む男子服小売が同36.6%増の41件などだった。