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税務関連情報 (2004/08/30)

経産省、人材投資促進税制の創設など税制意見公表

 経済産業省は26日、1)新産業創造戦略を核とした産業競争力の強化、2)中小企業・ベンチャー企業等の活力向上、3)エネルギー・環境政策の推進の3視点を基本に経済活性化・競争力強化を目的とした、2005年度税制改正に関する意見を公表した。そのなかで同省は、人材投資促進税制の創設や未上場株式に係る所得と他の金融所得との損益通算を認めることなどを求めている。

 人材投資促進税制は、わが国産業競争力の基盤である産業人材を育成・強化する観点から、企業の人材投資を促進するため、競争力強化のための人材育成費用について税額控除する制度創設を要望するもの。この背景には、構造調整の進展や短期的利益の追求から企業の人材投資が減少しており、また、雇用定着率の低下で、企業の人材投資にかかるリスクが増大するなど、将来のわが国競争力に懸念が生じていることがある。

 そこで、企業が人材投資リスクを乗り越え、長期的効果を見据えて人材投資を行えるよう、税制上の促進措置の創設が不可欠という考えだ。同税制の対象は、例えば、社内人材育成に要する費用(通常業務とは別に行うものに限る)や人材育成外部委託費、人材育成に必要な人件費などがある。これらの費用について税額控除などで減税するが、中小企業はより手厚く対応することも要望している。

 一方、中小・ベンチャー企業の未上場株式への投資が他の金融商品と比べて不利な扱いとなり、これらの企業への資金供給が阻害されることがないように、未上場株式を金融所得課税の一元化の対象とすることを求めた。未上場株式の譲渡所得や配当所得についても、他の金融所得との損益通算や3年の損失繰越を認めろということだ。現在、未上場株式の譲渡損益は、上場株式等の譲渡損益との通算はできる。

 そのほかでは、中小企業総合支援新法の下での創業・経営革新支援策の統合・強化が注目される。これは、従来の経営革新法、中小創造法、新事業創出法を整理統合して中小企業経営革新等総合支援法(仮称)を創設する中小企業対策の下で、1)設備投資減税の対象要件等を拡充するほか、2)同族会社の留保金課税停止措置について、新法に規定される経営革新計画(仮称)承認事業者を追加、3)エンジェル税制を延長するというもの。

 経産省の改正意見の詳細は↓
 http://www.meti.go.jp/policy/sougou/yokessan/040826-4-2.pdf