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経営関連情報 (2003/12/05)
サービス残業で72億円を是正支払

 残業をしてもその分の割増賃金などを支払わない、いわゆるサービス残業が顕在化しており、厚生労働省は賃金不払残業の解消に努めているところだ。同省がこのほどまとめたところによると、2002年10月から2003年3月までの6ヵ月間に、定期監督などによりその是正を指導した結果、不払になっていた割増賃金が支払われた是正企業数は403企業、対象労働者数は6万3873人、支払われた割増賃金の合計は72億3899万円にのぼった。

 この集計は、1企業あたり合計100万円以上の割増賃金の支払額となったものが対象。企業平均では1796万円、労働者平均では11万円である。そのうち、1企業あたり1000万円以上の割増賃金が支払われた事案をみると、是正企業数は全体の22.1%にあたる89企業だが、対象労働者数では全体の73.6%を占める4万7022人、支払われた割増賃金の合計額では同85.6%を占める61億9757万円となっている。

 これをみると、一部の労働者数が多い企業の組織的な賃金不払残業が目立つようだ。例えば、労働者数約200人のスーパーでは、月20時間分を上限にそれ以上の残業に対する割増賃金を支払っていなかった。また、労働者数約900人の保険業では、残業の自己申告について30分あるいは60分単位での端末入力しかできないために労働時間が適正に管理されていなかった例も報告されている。

 さらに、使用者が労働者に残業時間の報告をさせなかった労働者数約1000人の銀行や、割増賃金の支払をしていないにもかかわらず、支払った旨の虚偽報告があったため、重大悪質事案と判断、労基法違反被疑事件として刑事訴訟法に基づく捜査が開始された労働者数約60人の社会福祉施設の例もあった。社会福祉施設のケースでは、理事長などを逮捕し取調べを行ったうえで、検察庁へ送致している。