税 務 関 連 情 報 |
2002年02月04日-001
波紋を呼ぶ東京・豊島区の放置自転車税
東京・豊島区(高野之夫区長)がこのほど、同区の駅周辺に放置された自転車の撤去費用の一部を鉄道事業者に求める「放置自転車等対策税」との名称の法定外目的税を創設する方針を表明したことで波紋を呼んでいる。同区は、平成12年5月に区政策経営部長ら職員10名を委員とする「豊島区区税調査研究会」を設置し、「行政サービスに関わる受益と負担の実情を踏まえ、区が抱える地域固有の政策課題を解決するために課税自主権を活用する」ことを目的に調査・研究を重ね、昨年12月に最終報告を受けていた。
同区における放置自転車等の撤去台数は、平成12年度で2万4千台あまり。しかし、鉄道事業者は、撤去を必要とする駅周辺の放置自転車等の誘因となりながらも、自転車等駐車場の設置への積極的な協力の程度が著しく不足している。そこで、鉄道事業者にも応分の負担を求める「放置自転車等対策税」を導入するというのが豊島区の主張だ。
同税は、駅前等の放置自転車で撤去を必要としたものに対し、1台につき3,000円程度を、また、自転車等駐車場の定期利用者数をもとに月額1人分3,000円程度の負担を鉄道事業者に求めるというもの。税収見込額は年間計2億1,300万円程度。この税収は、放置自転車等の撤去・保管費用の一部や放置抑制の啓発活動に要する費用に充てられる。
豊島区では、この「放置自転車等対策税」導入に向け、今後、4月に有識者等による会議体を設置するとともに、区民アンケート調査、納税義務者への説明などを踏まえ、11~12月には区議会へ条例案を提出、総務大臣との協議を経た上で、平成15年度からの実施を目指す。しかし、この構想に対して、早くもJR、西武、東武、営団地下鉄などの鉄道事業者が強く反発。また、総務大臣の同意を得る上で必要な「課税の合理性」を疑問視する向きも多く、今後の成行きが注目されている。特に、都市部を中心とした放置自転車に悩む地方自治体は少なくないことから、この豊島区構想の成行き次第では各地方自治体に大きな波紋を呼びそうだ。
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