ゼイタックス

税務関連情報 (2004/05/12)

家屋付帯設備の改正は家主の負担軽減となるのか?

 2004年度地方税改正によって、家屋の所有者以外のものが取り付けた附帯設備に係る固定資産税は、取り付けた者を納税義務者とすることができるようになった(4月26日付既報)。この取扱いについて、一部の方から「私が毎年申告している償却資産税の手引きではテナントが工事した内装や設備はテナントが償却資産として申告せよとなっている」との疑問の声が寄せられた。

 そこで調べてみると、これまでは、家屋の付帯設備を取り付けたテナントを納税義務者とする根拠となる条文がなかったので、自治体によって取扱いが違っていたようだ。例えば、東京都などいくつかの自治体では以前から取り付けたテナントを納税義務者としている。そもそも、国税では、附帯設備の費用は取り付けたテナントが減価償却しており、地方税でもテナントに課税するほうが自然なのだ。

 ところが、本来民法上は家屋に附合したものは家屋の所有者に帰属することになっており、この規定に従えばテナントを納税義務者とすることはできないのである。そこで、法律を改正して「附帯設備を取り付けたものを所有者とみなして、その附帯設備を償却資産とみなすことができるものとする」とのみなし規定を設けて課税根拠を作ったわけである。

 となれば、これまでテナントに課税していた根拠はないのだが、納税者も、国税で費用計上したものを申告することに疑問は感じなかったと推測できる。ただし、償却資産税の対象として申告していたのはエアコンや照明器具などの取り外しができるもので、建物と一体となっていた天井や床、壁などの改装部分は申告していなかったようだ。このような改装部分が今後はテナントの償却資産税の対象になるが、一方で自治体は、この部分を家屋の所有者(家主)の固定資産税から軽減しなければならないことになる。

 ところが、これまで自治体側は、そのようなテナントの改装部分の固定資産税まで考慮していたとは思われないので、これまで課税していなかった自治体はその分が増収となるが、問題となるのは課税していた自治体の対応である。大家さんの固定資産税がいくぶん軽減されることになるのか、それとも、もともとテナントの附帯設備は考慮せずに課税していたと言い張るのか、見物である。