6月は衣替えの季節。企業によっては制服や作業衣、事務服などを夏服に替えて貸与・支給するところもあろう。有名デザイナーにデザインを依頼して高額な制服を従業員に着用させる企業も少なくない。そこで気になるのは、制服などを従業員に無償で支給した場合は、現物給与として給与課税の対象としなければならないかということである。
この場合、制服等が仕事上で着用するものであれば、有名デザイナーによる高額なものであっても給与課税の問題は生じない。ただし、スーツなどのように勤務外で私服としても着られるものは、現物給与として源泉課税の対象となるおそれがある。安易に出来合いのスーツなどを購入して支給しないように事前に気をつける必要がある。
問題点はもう一点。それは、制服等を購入する場合、予備分も含め余分に購入するケースが多いが、その税務処理の問題である。企業が購入する物品は、原則、使用した時点で損金算入が認められることから、予備分の制服等は購入時点では損金処理できないことになる。しかし、制服等は、通達で消耗品処理が認められており、異常に多量な予備分でない限り、購入時の一括損金処理が認められる。
なお、有名デザイナーに依頼した制服のデザイン料は、繰延資産として3年で償却することになる。繰延資産とは、開業準備のために特別に支出した開業費や試験研究費、建物を賃借するための権利金、広告宣伝のための看板などを贈与したときの費用などで、その支出の効果が1年以上に及ぶものをいう。個人事業者と法人とでは償却方法に違いがある。