4月、中国各地で日本製品の不買運動やデモ・ストライキなどが繰り広げられ、反日感情が表面化した。生産拠点や輸出先として中国への依存度が高まるなか、日本経済への悪影響が懸念されている。そこで、帝国データバンクが、4月下旬に「中国のカントリーリスクに対する影響調査」を実施した結果(有効回答数1万535社)、今後の日本経済への悪影響を懸念する回答が約8割に達した。
中国のカントリーリスクの高まりによる今後の日本経済への悪影響について、「懸念している」と回答した企業は、「わからない/不回答」(3629社)を除く6906社のうち、79.5%と約8割を占める5490社だった。内訳は、「大いに懸念している」との回答企業が13.5%(932社)、「多少懸念している」との回答企業が66.0%(4558社)となっている。
業種別にみると、「懸念している」と回答した企業割合がもっとも多かったのは「運輸・倉庫」で65.8%、次いで「卸売」(64.8%)、「製造」(60.0%)と、物流や生産拠点、原料や一次製品の仕入に関わる業界で、特に先行きの悪影響を懸念している状況が浮き彫りとなっている。一方で、「農林・水産」(25.0%)、「不動産」(32.6%)、「金融」(33.3%)などは懸念する割合が低い。
4月の中国のカントリーリスクの表面化を契機とする中国への進出計画の見直しについては、「進出計画がある(検討中を含む)」企業848社のうち、「中止する」と回答した企業は「わからない/不回答」(54社)を除く794社中7社とわずか0.9%にとどまった。しかし、「様子をみる(延期する)」との回答企業は34.6%(275社)となり、「中止する」企業と合わせて計35.5%、3社に1社が計画の見直しを迫られている状況がわかった。
これまでにも、中国のカントリーリスクはたびたび指摘されていたが、帝国データバンクでは、「実際にリスクの一部が表面化したことによる影響は予想以上に大きかった」とみている。