ゼイタックス

看護学生に貸与した奨学金の債務免除益は非課税

税務関連情報 - 2009年12月21日

 国税庁はこのほど、独立行政法人国立病院機構からの事前照会に答え、看護学生等に貸与した奨学金に係る債務免除益等は非課税として取り扱うことを認めた。国立病院機構は、今年4月から奨学金制度を実施し、無利息で奨学金の貸与を受けた看護学生が、卒業後、奨学金の貸与を受けた病院で、看護師等として貸与期間相当の期間業務に従事したときは、奨学金の返還債務を免除することとしている。

 この奨学金制度は、病院に必要な看護師や助産師の確保を目的とするもの。現在、国立病院機構の看護師の離職率は平均で約11%と非常に高く、常に新規の採用が必要な状態にある。そこで、国立病院機構は、看護学校等に在籍する学生に対し、無利息で奨学金を貸与し、奨学生が卒業後、奨学金の貸与を受けた病院において、常勤職員として引き続き業務に従事したときは奨学金の返還債務を免除する制度を導入した。

 一方、所得税基本通達9-15では、「使用人が自己の業務遂行上の必要に基づき、役員又は使用人に当該役員又は使用人としての職務に直接必要な技術若しくは知識を習得させ、又は免許若しくは資格を取得させるための研修会、講習会等の出席費用又は大学等における聴講費用に充てるものとして支給する金品については、これらの費用として適正なものに限り、課税しなくて差し支えない」としている。

 国立病院機構は、(1)奨学金制度は、看護師等の確保を目的とするものであって、その業務遂行上の必要に基づいて実施しているものであって、看護師等の資格は、病院の使用人としての職務に直接必要なものといえる、(2)奨学金制度に基づく奨学金の貸与は、将来の病院勤務を前提とすることから、使用人等に対して支給するものと特段の差はないこと、などの見解を示している。

 さらに、奨学金の貸与やその返還債務の免除が恣意的に行われるものではないことや、奨学金の貸与額が、看護学生が負担すべき在学費用を超えないことからみても、適正なものであるとの考えを示した。こうした照会に対し、国税庁は、奨学金の無利息貸付け及びその返還債務を免除したことによる経済的利益については、上記の所得税基本通達に準じて課税しなくても差し支えないものとして取り扱うことを認めている。