信金中央金庫が5日に発表した中小企業の雇用動向についての特別調査結果(有効回答数1万4045社)によると、中小企業の人手の過不足状況については、「適正」が69.4%で最多だが、「不足」が21.6%であるのに対し、「過剰」は9.1%にとどまっており、総じてみれば、景気が回復基調をたどるなか、人手不足感のほうがやや優勢となっている。
将来的に人手不足(過剰)感が強まった場合の対応については、パート・アルバイトや派遣社員など非正規社員の人員確保(削減)から手がける事業者の割合が、不足の場合55.3%、過剰の場合58.7%と、いずれのケースを想定した場合でも5割を越えた。もっとも、繁閑に応じた労働力の調整を行わない方針の事業者の2割強(「不足」の場合23.3%、「過剰」の場合27.6%)存在する。
こうしたスタンスは小規模企業で顕著にみられ、従業員「1~4人」では、人手不足時に「雇用を増やさない・増やせない」、過剰時に「雇用を減らさない・減らせない」との回答割合が、それぞれ40.9%、41.4%に達している。この割合は企業規模が大きくなるにつれほぼ反比例して低下しており、従業員「200~300人」では、それぞれ4.1%、3.7%まで落ち込んでいる。
非正規社員を雇う事業者の割合は58.5%となっており、小規模企業を中心に全体の10.8%の事業者では、従業員に占める非正規社員のウエイトが半数以上に達している。また、この5年間で非正規社員のウエイトが「上昇した」事業者の割合は20.0%となり、雇用の非正規化が着実に進行している。
このように、景気回復を背景に、中小企業の雇用スタンスは前向きになりつつあると考えられる。ただ、人件費負担の軽減や雇用量の調整の容易化を目的に、多用な就業形態での採用を拡大するといった、いわゆる“雇用の非適正化”といった流れがやや優勢なのが実態で、正社員増加の動きは限定的なものにとどまると予想されている。
特別調査の詳細(全国中小企業景気動向調査から)↓
http://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/release/release119.pdf