フリーターが急増、2001年時点で417万人に達し(内閣府「国民生活白書」)、若者の5人に1人がフリーターといわれている。平均的に賃金水準が低いフリーターの増加が社会に及ぼす影響は無視できないものがある。その経済的影響を試算したUFJ総研の調査レポートによれば、15~34歳のフリーターの平均年収約105.8万円に対し、同年齢層の正社員の平均年収は約387.4万円と、その賃金格差は約281.6万円、約3.7倍となる(厚生労働省「賃金構造基本統計調査」)。
このような賃金格差は、個々人の所得に応じて徴収される納税額の格差につながる。まず、住民税の試算では、20~34歳のフリーターの平均年間収入約118.5万円に課税される住民税は年間約1万1800円。対して、20~34歳の正社員の平均年間収入392.0万円の住民税は年間約6万4600万円とほぼ6倍。15~19歳のフリーターの平均年収は約63.9万円で所得税・住民税が非課税となるため対象から外している。
次に、所得税を試算すると(平均年収は上記と同じ)、20~34歳のフリーターが年間約1万2400円、同年齢層の正社員が年間約13万4700円と格差はさらに広がる。また、消費税を可処分所得や消費性向に基づき試算したところ、15~34歳のフリーターの平均可処分所得約103.9万円のうち消費税は年間約4万9000円、対して、同年齢層の正社員は同約367.8万円のうち消費税は年間約13万5000円となった。
これらの試算結果から住民税・所得税・消費税を合わせて納税額を算出すると、15~34歳のフリーター1人あたりの平均納税額が年間約6万8000円となり、同年齢層の正社員では年間約33万円と約5倍の格差がある。この結果、フリーターが正社員になれないことによって生じる税収の損失額(2001年価格)は、住民税約2400億円、所得税約5300億円、消費税約4400億円、合計約1兆2100億円との試算だ。
この税収減は、2001年度の国・地方の税収の約1.9%に相当するそうだ。消費税率では約0.5%分。若者のフリーター化は、税金だけでもこれだけの損失、社会全体ではさらに大きな経済的損失を与えているようだ。