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税務関連情報 (2007/12/07)

2008年度税制改正と来年度の家計の負担

 与党の2008年度税制改正大綱は今月13日に公表予定となっているが、焦点の消費税率引上げは、福田首相が先送りを明言したこともあって、小粒な改正内容となる公算が強い。ニッセイ基礎研究所(篠原哲研究員)が発表した「2008年度税制改正と来年度の家計の負担」と題したレポートは、「証券税制優遇」の存続や地方法人二税の分配方法を中心に、小規模な増減税を伴う改正が検討されるにとどまりそうだと予測している。

 同レポートによると、家計への影響が大きい証券税制の10%軽減税率は、上場株式等の譲渡益は来年3月末、配当課税に係る税率は09年3月末で期限切れとなるが、サブプライムローン問題により金融市場の混乱が懸念されている現在の状況下で、制度の廃止を決定するのはやや難しい。株価の下落傾向が続くだけでなく、来年には総選挙が実施される可能性が高まる中では、何らかの軽減措置自体は延長されるとみている。

 今回の改正では、大規模な負担の増減を伴う改正が決定される可能性は低いと予測するが、2007年度・2008年度に実施が決定している制度改正に限っただけでも、家計への負担増は軽視できない規模だと指摘する。レポートの試算では、税源移譲や定率減税の廃止、年金保険料の引上げなど社会保障を合わせたマクロベースの家計の負担増は、2007年度で約1.5兆円、2008年度は約1.3兆円(いずれも労使合計)と試算している。

 一方、2008年1月以降は税源移譲による所得税の減税効果がなくなることから、制度改正による所得の押下げ効果がさらに大きくなる。今後も、家計の負担は2008年前半にかけて重くなっていくため、消費を大きく低迷させる原因となる可能性も出てくる。レポートは、このような、制度改正による負担増の影響も、今後の景気や消費を停滞させるリスク要因として、注視しておく必要性があるとの見解を示している。

 同レポートの全文は↓
 http://www.nli-research.co.jp/report/econo_letter/2007/we071130.pdf