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経営関連情報 (2006/10/13)

技能等承継の課題は「若手従業者・指導者の不足」

 団塊世代の大量退職を翌年に控えて、企業は技能や知識の承継が大きな課題となっている。信金中金総研が実施した「中高年従業者の技能・知識の承継に関する経営者の意識調査」結果(有効回答数1万4425社)によると、中高年従業者の退職に伴う技能や知識を承継する際の問題点(3つ以内選択)は、「承継すべき若手従業者の不足」(27.2%)と「指導できる人材の不足」(25.1%)をともに4分の1強が指摘した。

 技能・知識という“バトン”の、受け手・渡し手となる人材の不足を問題視する企業が少なくないことがわかる。これを業種別にみると、「製造業」(若手従業者33.1%、指導者30.4%)、「建設業」(同30.5%、31.3%)で高くなっている。また、「人材の採用が困難」といった声も17.1%ある。その一方で、3割強(32.2%)の企業が「特に問題はない」と判断。回答割合は小規模企業ほど高く、従業員「1~4人」では49.3%に達する。

 技能・知識の円滑な承継のために行政部門に望む対応(3つ以内選択)については、「人材育成への資金面でのサポート」が34.3%ともっとも多く、また、「シニア人材を斡旋するマッチング事業の拡充」(20.0%)、「技能・知識を有する指導員の派遣」(19.1%)も2割前後が望んでいる。もっとも「対応の必要はない」も23.9%と高い。規模別にみると、ここでも従業員「1~4人」が35.5%と突出している。

 中高年従業者の退職に備えた対応(3つ以内選択)については、「定年延長・再雇用」が42.8%と最多で、「若年者の採用拡大」(27.2%)、「技能・知識を有する人材の中途採用」(23.5%)、「若手への技能・知識の承継」(13.6%)を大きく上回った。それと同時に、「特に対応を図る必要はない」も27.6%に達する。これを規模別にみると、従業員「1~4人」で圧倒的に高く、51.2%にのぼった。

 小規模企業における中高年役職員のウエイトは高い(「1~4人」では39.3%)が、経営者とその家族の生活基盤の維持をもっぱらの目的とする“生業的経営”を実践している企業も少なくないと考えられる。このことが、技能・知識の承継に係る行政サポートへの関心の低さのみならず、自ら対応を図ることへの意欲の乏しさや、承継時の問題点を挙げる声の少なさなどに現れている可能性もある。

 同調査結果の詳細は(「全国中小企業景気動向調査」の特別調査として実施)↓
 http://www.scbri.jp/PDFtyuusyoukigyou/release/release125.pdf