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税務関連情報 (2004/01/07)
住宅買換えの譲渡損失繰越控除はローン要件を除外

 2003年12月末で期限切れとなった特定の居住用財産の買換え等の場合の譲渡損失の繰越控除制度については、「譲渡資産の取得に係る一定の住宅借入金等の残高を有すること」という要件を除外したうえ、適用期限が2006年12月末まで3年間延長される。これまでは、住宅の売却時に住宅ローンが残っており、買い替える住宅もローンを組んで購入することが条件だったが、この譲渡資産の取得に係るローン要件がなくなる。

 つまり、2004年からは、住宅ローンを繰上げ返済してローンを完済した住宅を売却した場合や、住宅ローンを組まないで購入した住宅を売却した場合などでも、買い換える住宅をローンを組んで購入した場合は、売却損について、売却した年を含め4年間、損益通算・繰越控除ができることになった。売却時の所有期間が5年超という要件は変わらない。

★特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除等の創設

 一方、2004年1月1日から2006年12月31日までの時限措置として、特定の居住用財産の譲渡損失の繰越控除等が創設される。これは、住宅ローンが残っている所有期間5年超の住宅を売却した場合は、買換えを前提にしないでも、その売却損の損益通算を認め、翌年以降3年間に限り繰越控除できる制度である。

 リストラや収入減などで住居を手放さざるを得ない人が増えているが、資産デフレの影響で住宅を売却しても住宅ローンが残ってしまうケースが少なくない。そこで、住宅の譲渡契約日の前日に住宅ローンが残っていれば、その残高と譲渡価額との差額を限度に譲渡した年の他の所得との損益通算を認めたうえで、翌年以降3年間の繰越控除(合計所得金額が3000万円以下の年に限られる)を認めることにしたもの。

 その他の住宅関連税制では、1)特定の居住用財産の買換え等及び交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用期限を3年延長、2)給与所得者等が住宅資金の貸付等を受けた場合の課税の特例の適用期限を2年延長、3)優良賃貸住宅等の割増償却制度について、特定優良賃貸住宅の割増償却率を30%(耐用年数35年以上のものは40%)から21%(同28%)に引き下げたうえ、その適用期限を2年延長するなどの改正がある。