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税務関連情報 (2007/08/17)

課税しない年金時効特例法による遡及支給部分

 これまで、年金記録が訂正された結果、年金が増額した場合は、時効消滅により直近の5年間分の年金に限って支払われてきたが、年金時効特例法が7月6日から施行され、年金記録の訂正による年金の増額分は、時効により消滅した分も含めて、本人または遺族へ全額支払われることになった。そこで問題となるのは、5年間分を遡って支払われる時効消滅分の税務上の取扱いである。

 所得税法上、公的年金等について誤りがあって増額した場合には、雑所得として計算期間に対応する支給日が収入すべき時期とされてきた。したがって、年金記録が訂正された結果、年金が増額した場合でも、支給の計算期間に対応する支給日が直近の5年間分のものについては、これまでの取扱いと同様に、源泉徴収され、本来の支給日の属する年の雑所得として取り扱われることになる。

 一方、5年間分を遡って支払われる時効消滅分については、国税の徴収権の消滅時効が5年とされていることから、課税は行われない。また、この時効消滅分の年金は、年金時効特例法に基づき支払われるものであり、所得税法で規定する源泉徴収すべき公的年金等に該当しないことから、支払時の源泉徴収も行われない。つまり、年金記録の訂正による増額分は、直近5年間分のみが課税対象ということになる。

 また、年金時効特例法では、年金記録が訂正されて年金が増額されたときに、本人が亡くなっている場合にも、その遺族に未支給年金の時効消滅分も含めて支払われることになるが、この場合も時効消滅分に対しては、課税は行われない。一方、計算の対象期間の支給日が直近5年分のものについては、その遺族が支給を受けた年の一時所得として課税される。ただし、源泉徴収の対象とはされない。