中小企業庁がこのほど公表した2008年度上半期における下請代金法に基づく取締状況によると、今年9月までの6ヵ月間に親事業者2万7686社、下請事業者7万4704社の合計10万2390社に対し書面調査を実施し、違反容疑の高い433社を立入調査した。その結果、395社に対して956件にのぼる改善指導を行い、親事業者115社に対して、総額約9.7億円の下請代金の減額分や支払遅延分の返還を行わせたことが分かった。
法違反の禁止行為の内訳は、下請代金の「遅延支払」が全体の36.0%、同「減額」が38.8%と、この2つで全体の約75%を占めている。書面調査は、2007年度1年間では約13万件だったが、2008年度は上半期だけで約10万件と大幅に増え、返還額も2007年度(約2.3億円)から約4倍に増加した。中企庁は、違反行為の取締を強化するため、書面調査数を今年度は約20万件に増加させる方針を明らかにしている。
また、下請取引に係る各種相談に対応するため、今年4月に全国48ヵ所に「下請かけこみ寺」を開設したが、11月14日までの相談実績は1940件だった。従来の相談件数は年間200~300件だったことを考えると、「下請かけこみ寺」開設によって相談件数は約10倍に増えたことになる。相談の内訳は、「下請代金法」が501件、「建設業法」が433件、「貨物自動車運送事業法」が118件などとなっている。
なお、2008年度補正予算により、全国の「下請かけこみ寺」において、約160名の登録弁護士を活用した無料相談を今月17日から開始している。また、労働基準監督機関において、賃金不払事案等の背景に親事業者による下請代金法違反のおそれのある事案が把握された場合、経済産業省・公正取引委員会が取り次ぎないし通報を受ける仕組み(「下請保護情報ネットワーク」の一つ)を新設し、来月中に実施する予定という。
同取締状況の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/20081126002/20081126002-3.pdf