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税務関連情報 (2005/08/29)

役員退職金の「適正な額」の算定

 長年にわたって会社の発展に貢献してきた役員が退職する際は、できる限り多くの退職金を支給してあげたいが、税務上、「適正な額」を超える部分は過大な役員退職金として損金算入が認められない。ところが、税法では「適正な額」を具体的な数字で示してはいないから、支給した役員退職金が適正かどうかをめぐって、企業と税務当局間でトラブルになることは珍しくない。

 実務上、役員退職金の「適正な額」は、類似法人の一般的な役員退職金の支給状況との比較によって算定される。通常は「平均功績倍率法」や「1年あたり平均額法」が用いられる。「1年あたり平均額法」は、退職役員の報酬月額がその職務内容などからみて低額と認められる場合に、適正額を「類似法人の退職給与の額/類似法人の役員勤続年数×勤続年数」で算出する方法である。

 一般に採用されるのは「平均功績倍率法」のほうで、適正額がわからないときに用いられ、「退職時の最終報酬月額×勤続年数×類似法人の功績倍率」で算出する。ただ、一般の企業が類似法人の功績倍率を知ることは難しいものがあり、これが税務当局とのトラブルの要因となっているようだ。類似法人とは、業種、事業規模、退職役員の地位、退職の事情などが類似する法人である。

 類似法人と比較するということは、社会通念上役員の退職金として相当かどうかが判断されることである。役員退職金は、従業員に対する退職金とは異なり、利益処分としての性格を有する支出が含まれている場合が少なくないことから、租税負担公平の観点からも、客観的で合理性のある金額に限り損金算入を認めようというものだ。いずれにせよ、役員退職金の算定にあたっては専門家のアドバイスが必要となろう。