日本産業カウンセラー協会が、企業・団体の人事労務部門などでカウンセリング業務を行っている産業カウンセラーを対象に実施した「職場のいじめに関する調査」結果(有効回答数440人)によると、「職場のいじめ」の事例経験があるという回答が81%と8割にのぼった。同協会では、昨年度も産業カウンセラー100人を対象に実施した結果、80%が「職場のいじめ」の事例経験があったことから、今回より詳細な調査を行ったもの。
職場のいじめの内容(複数回答)としては、「パワハラ」が78%ともっとも多く、次いで「人間関係の対立・悪化に起因したいじめ」(59%)、「仕事のミスに対するいじめ」(44%)、「セクハラ」(36%)と続いた。いじめの形態(複数回答)は、「無視・仲間はずれ」(54%)や「嫌がらせ」(50%)よりも、「罵る・怒鳴る・威嚇する」が68%と多く、いじめが生じた関係は「上司から部下に対して」が85%となっている。
職場のいじめと関連があると考えられるもの(複数回答)は、「個人のコミュニケーション能力の低下・欠如」が80%と圧倒的に多く、次いで「人を育てる意識の希薄化」(62%)、「人権感覚・モラル感覚の低下」(54%)、「成果主義・能力主義」(50%)など。多様な要因が複合的に関連しているものの、職場での人のつながりの希薄化や余裕のなさが、職場のいじめが蔓延する大きな原因となっていることがうかがえる。
同協会では、今回の調査は企業の現場で産業カウンセラー業務に携わっている人を対象に限定したことから、実態をほぼ正確に反映しているとみている。社会的に大きな役割と責任を果たすべき企業においてこそ、人格を無視するようなハラスメントを根絶し、働く人が本当に大切にされる企業社会を作り上げていくことが、いま、企業の責任者に求められているのではないか、とコメントしている。
同調査結果の詳細は↓
http://www.jil.go.jp/kokunai/mm/kigyo/20071214.htm