社会経済生産性本部が発表した「レジャー白書2006」によると、2005年の余暇活動への参加状況は、“愛・地球博”の成功で「催し物・博覧会」への参加が大幅に伸びたほか、「海外旅行」参加者も続伸するなど、観光系で好調な種目がみられた。しかしながら、「外食」や「カラオケ」など参加人口の大きい代表的な余暇種目では、前年に比べ参加人口を落とした種目が目立った。
2004年まで順調に参加者を伸ばしていた「映画」も、洋画のヒット作に恵まれず一段落。「ビデオの鑑賞」、「パソコン」、「園芸、庭いじり」など自宅でのレジャーも伸び悩んだ。今回の調査では、人々の時間的・経済的なゆとり意識に若干回復の兆しも認められたものの、2004年に好転した家計消費や教養娯楽費の支出は再び減少しており、レジャー分野で景気回復の手ごたえが感じられるようになるのは、まだ少し先とみている。
2005年の余暇市場は、前年比1.5%減の80兆930億円だった。1996年のピーク時には90兆円を突破した余暇市場だが、この10年間で約10兆円減少した計算になる。経営体質改善や顧客ニーズを捉えた業界・企業は好調で、格差や二極化はますます進んできている。部門別にみると、「スポーツ部門」(前年比1.9%減)は、健康需要に応えたフィットネスクラブやテニススクールが好調で、ゴルフ練習場も久々に回復した。
「趣味・創作部門」は4.0%減とやや大きく減少したが、薄型テレビや音楽ソフトなどメディア関連が伸びており、DVDの普及も進んだ。「娯楽部門」(同1.5%減)では、ショッピングセンター立地のゲームセンターが好調。ゲームソフトでは“脳トレ”ブームが話題となった。唯一前年比で伸びたのが「観光・行楽部門」(同1.3%増)。旅行業、国内航空、ホテルなどは、シニア層をターゲットに堅調に推移し、海外旅行需要も戻ってきた。
また、大量退職が注目される団塊世代に焦点をあてると、すでに余暇の“シニア化”が進行している。団塊男性は「健康」、「自然」、「地域」への高い潜在需要を持っているが、余暇活動や旅行への参加経験・意欲は団塊女性がリードするなど、興味深い男女差がみられた。一方、人口減に伴って今後多くの余暇種目で縮小に向かうことが予想されるが、趣味・創作部門のように堅調な推移が予想される部門もある。同白書は、こうした分析結果を基に、来るべき「シニア型余暇社会」への展望を示している。
同白書の概要は↓
http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20060727-1.html