ようやく普及の兆しが見られるようになった電子マネーの現状と今後の動向を分析したのは、三井トラスト・ホールディングスのレポートである。ここでの電子マネーは、金銭的な価値をICカードなどに蓄積し、それを用いて決済を行う小額決済用のツールを意味する。クレジットカードや振替・振込み等の金融機関を経由した決済などの広義の電子マネーではなく、狭義のものを取りあげている。
レポートでは、電子決済のうち主要なものとして、クレジットカード、デビットカード、電子マネーの特徴を整理し、前2者は比較的高額な決済に利用される一方、決済用秘密情報を送信しない電子マネーは、これまで難しかった個別小額決済を可能にするものとなっていると指摘している。
利用額の推移をみると、クレジットカードの信用供与額は堅調に増加、2003年は34.1兆円まで拡大、また、2000年3月から本格的なサービスが開始されたデビットカードの取扱金額も、2004年度7087億円と、大幅に増加してきている。電子マネーについては、「Edy(エディ)」、「Suica(スイカ)」、「BitCash(ビットキャッシュ)」など多種多彩であり、利用総額は、2004年度には前年度の約3倍の700億円に急増した。
電子的決済の拡大の背景として、1)インターネットの普及とそれに伴う電子商取引(ネットショッピングなど)の決済手段としてクレジットカードや電子マネーが不可欠なものとなっている、2)クレジットカードや電子マネーをめぐる利便性の向上、3)競争激化によるポイント積立や年会費免除など多様な付加サービス、などを挙げている。
BCN総研の調査によると、電子マネーの利用経験者は全体の3割程度、現在利用しているのは全体の2割弱に過ぎず、実際の利用に関しては未だ限定的だ。しかし、利用経験者の評価は、「(非常に)便利」が45.5%とおおむね好評だ。今後についても、利用経験者では70%以上が利用意向を示している。レポートは、今後、電子マネーの認知度や利便性が高まるにつれ、電子マネーの利用が急拡大していく可能性を秘めているとみている。
同レポートの全文は↓
http://www.mitsuitrust-fg.co.jp/invest/pdf/repo0507_2.pdf