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ペット供養施設課税を巡る訴訟は寺院側勝訴の判決

税務関連情報 - 2008年08月29日

 寺院が行うペット等の遺骨の保管施設は宗教施設か否か、さらに固定資産税の賦課が妥当か否かが争われてきた事件で、最高裁はこのほど、東京都の上告を棄却する決定を行い、寺院側勝訴の判決が下された。この訴訟では、寺院側が一審敗訴の後、今年1月の東京高裁では、宗教施設に当たるから固定資産税の賦課は違法と判示して寺院側の主張を認めたため、東京都が上告、最高裁での再逆転判決を狙っていた。

 この事件は、江戸時代から動物供養の寺として知られる東京都内の寺院・回向院に対して、東京都が、ペットの遺骨等を収蔵保管している建物とその敷地は民間業者が行う収益活動類似の性格を有する行為の用に供する資産であると認定し、固定資産税等を賦課してきたため、寺院側がその取消しを求めて提訴していたもの。

 一審は東京都側の主張を認めて固定資産税等の賦課決定処分を適法と判断したものの、二審の東京高裁における控訴審は、江戸時代から動物供養が行われ、地域住民からも信仰の対象とされてきたとして、その歴史的背景を踏まえて宗教施設にあたると判示、寺院側の主張を全面的に認める逆転判決を下した。そこで、控訴審の判決を不服とした東京都側が上告して再度、その妥当性を主張していた。

 この訴訟においては、宗教法人が専らその本来の用に供するために行う行為であるか否かをめぐる事実認定によるところが主になっていた事案だけに、憲法判断や法律解釈等の上告が認められる場合の民事訴訟法312条の要件を満たしていないという判断から、上告受理申立てを棄却するという判断が働いたようだ。今回、最高裁で訴訟が確定したことから、類似事案に影響を与える判例といえそうだ。