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架空人件費に係る源泉所得税は還付される?!

税務関連情報 - 2008年04月18日

 所得税の確定申告も終わり税務調査が本格化する時期だが、なんらやましい点がなければ気にする必要はない。ところが、所得が増えてくると納める法人税を減らしたくなる経営者が少なくないようだ。脱税の手口でポピュラーなのは経費の架空計上だが、特に中小企業にみられる手法に架空人件費の計上がある。架空人件費の計上は、人件費の水増しによって課税所得を圧縮するもの。

 まったく架空の従業員を捏造して架空人件費を計上する強引な手口もあるが、多いのは勤務実態のない家族などを社員にして人件費を過大計上する手口だ。さらには、架空計上がばれないように、この架空人件費に対する源泉所得税を納税しているケースもみられる。きちんと源泉徴収しておけば、架空計上は調査されないと考えるのだろう。しかし、税務調査はそんなに甘くはない。

 このような所得の圧縮が税務調査などで判明した場合は、例えば架空人経費の計上で手に入れた簿外資金を役員が得ていれば、架空人件費が認定賞与とされて損金算入が否認され、増えた所得に対して法人税が追徴されるだけでなく、認定賞与として追徴課税される。法人税と所得税でダブル追徴課税されることになる。ただし、架空人件費に係る源泉徴収税額は、不正によるものであっても、過納税額だから還付される。

 納税の意図はともかく、間違って納めたものは返してくれるわけだ。もっとも、認定賞与となれば、その源泉徴収税額は架空人件費のそれよりも高いだろうから、その差額を徴収される。架空人件費が認定賞与とならない場合は還付されることになるが、還付請求をするまでもなく、税務署長の職権で過誤納金として還付することになっている。合法的な節税は結構だが、行き過ぎた節税(脱税)は踏みとどまってほしいものだ。