中小企業に高まる海外事業拡大の機運~ジェトロ
ジェトロ(日本貿易振興機構)は、2010年11月から2010年12月にかけて、日本国内のジェトロメンバーズ企業3080社を対象に「2010年度日本企業の海外事業展開に関するアンケート調査」を実施した。経済情勢の変化などに対する日本企業の海外事業活動の動向に関し、貿易の取組みと課題、自由貿易協定(FTA)の活用、海外・国内事業展開への取組み、中国における事業展開、アジアのビジネス環境等を調査した。
調査結果(有効回答数1002社)によると、現在、海外に拠点を持つ企業は66.2%(663社)で、そのうち74.1%の491社が海外に販売拠点を保有。中国に販売拠点を有する企業は5.6ポイント上昇して54.8%に達するなど、販売拠点は多くの国で増加傾向にある。また、今後(3年程度)の海外での事業展開方針(新規投資、既存拠点の拡充)については、「事業規模の拡大を図る」企業は、前回の56.0%から69.0%に急伸している。
企業規模別では、大企業が前回の62.4%から73.2%へ10.8ポイント、中小企業は51.9%から66.0%へ14.1ポイント、海外で事業拡大を図る企業の比率が上昇している。長期比較が可能な製造業・卸・小売業種に限ってみると、海外事業拡大方針を採る企業の割合は、金融危機前の04~07年度の調査では65%前後を推移していたが、今回はそれを越えて74.3%に達し、海外事業の拡大を図る企業が急増していることが分かった。
また、日本企業の海外拠点戦略が多様化の傾向が見える。海外で事業展開を拡大する国・地域とその機能をみると、中国が全ての機能(販売機能、生産機能、研究開発機能、地域統括機能、物流機能)において3年連続で、事業拡大比率でトップ。しかし、中国での拡大比率は特に生産、研究開発機能で鈍化しており、タイ、インドネシアなどASEAN主要国やインド、ブラジルなどの事業拡大比率の増分が中国を上回っている。
日本から輸出している企業は82.6%(商社など第三者を通じた間接輸出を含む)。中小企業では、間接輸出を含めると大企業(80.0%)を上回る84.3%が日本から輸出している。今後の輸出の方針については、「輸出の拡大を図る」企業が中小企業で67.7%(大企業では63.3%)、「現在輸出を行っていないが、今後、輸出を行いたい」企業が中小企業で6.9%(大企業では2.2%)と、中小企業の74.6%が輸出への積極的な姿勢を示している。
同調査結果の概要は↓
http://www.jetro.go.jp/news/releases/20110308884-news/siryo-2.pdf