情報処理推進機構(IPA)がまとめたコンピュータウイルスの届出状況によると、6月の届出件数は5422件で5月の5439件に続き高水準での推移となった。6月の届出件数は、寄せられたウイルス検出数約333万4千個を集計した結果だ。ウイルスの届出は高水準だが、実際にパソコンに感染した割合はわずか1%(56件)にすぎず、ワクチンソフトが普及しているものとみられる。
W32/Netskyウイルスは1875件の届出が寄せられ、5月の1984件に引き続き1千件を超えている。続いて、W32/Bagle502件、W32/Klez362件となった。IPAに寄せられた届出の検出データをみると、W32/Netskyウイルスが全検出数の約90%を占め、依然として蔓延している状況がうかがえる。
感染しているパソコンは少数でも、大量のウイルスメールが発信される。ウイルスメールの発信元になっていることに気づかずにいるケースも珍しいことではない。パソコンの動作が遅いなど、いつもと違うことがあれば、ウイルスチェックを行って感染の有無を確認することをお勧めする。
6月は、メールの添付ファイルを介して感染する新種のW32/Zafiウイルスが出現した。このウイルスは、従来から存在するメール機能を悪用するもので、添付ファイルを開くことで感染する。感染すると、パソコン内のメールアドレスを収集し、そのアドレス宛にウイルスファイルを添付したメールを送信してしまう。
また、ワクチンソフトのプログラムを上書きして実行できないようにしてしまうので、感染してからでは、ワクチンソフトで検査することができなくなってしまう。普段からワクチンソフトを最新の状態に更新して利用していれば、感染前にウイルスを発見できるので、被害を未然に防げる。英語の件名の不審なメールが届いたら、添付ファイルを開けずに、ワクチンソフトで検査するなどの予防策を実施することが重要だ。