裁判員制度は来年年5月21日からスタートする予定だが、同制度において刑事裁判に参加する裁判員や補充裁判員、裁判員等選任手続きの期日に出頭した裁判員候補者や選任予定裁判員に対しては、旅費や日当、宿泊費が支給される。国税庁はこのほど、最高裁判所からの照会に答える形で、その裁判員等に支給される旅費等については、税務上、雑所得として取り扱うことを明らかにした。その理由は次の通り。
裁判員等に支給される旅費等の性質は、裁判員等がその義務や職務を遂行することに伴って生ずる損失に対する実費弁償的なものであって、労務の対価(報酬)としての性質は有していない。他方、裁判員や補充裁判員がその職務を遂行することは一種の義務であって、雇用契約等に基づき行うものではなく、また、独立してその職権を行うとされていることから、使用者からの指揮命令に服して行うものでもない。
こうしたことから、裁判員等に対して支給される旅費等は、労務提供の対価として使用者から受ける給与とはいえないから給与所得には該当せず、また、実費弁償的な対価としての性質を有していることから一時所得にも該当しない。したがって国税庁は、裁判員等に対して支給される旅費等は、給与所得及び一時所得のいずれにも該当しないから、雑所得として取り扱われるものとの考えを示している。
旅費等に係る雑所得の金額の計算方法については、雑所得の金額は、その年中の雑所得に係る総収入金額から必要経費を控除した金額とされていることから、その年中に支給を受けた旅費等の合計額を総収入金額に算入し、実際に負担した旅費や宿泊費、その他裁判員等が出頭するのに直接要した費用の合計額については、旅費等に係る雑所得の金額の計算上必要経費に算入することになる。