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税務関連情報 (2007/10/29)

建物を賃借するための権利金は繰延資産

 開業準備のために特別に支出した開業費、新技術や新たな経営組織の採用などのための開発費、広告宣伝用の看板を贈与したときなどの費用で、その支出の効果が1年に及ぶものを繰延資産という。その一つに、法人が建物を賃借するために支払った権利金や立退き料などがある。繰延資産は、その支出の効果の及ぶ期間にわたって償却するが、不動産業者などに支払った仲介手数料については、その支払時に損金算入できる。

 繰延資産として各事業年度の損金に算入できる金額は、法人がその事業年度において償却費として損金経理した金額のうち、償却限度額に達するまでの金額となる。ここで償却限度額とは、繰延資産の額をその支出の効果の及ぶ期間、すなわち償却期間の月数で割ったものに、その事業年度の月数をかけて計算した金額をいう。事業年度の中途での支出は、支出の日から事業年度末までの月数となる。

 この償却期間は、1)建物の新築に際して支払った権利金などで、その金額が建物の賃借部分の建設費の大部分に相当し、かつ、その建物が存続する間は賃借できる場合…その建物の耐用年数の10分の7に相当する年数、2)建物の賃借に際して支払った1)以外の権利金などで、契約などによって、明渡し時に借家権として転売できる場合…その建物の賃借後の見積残存耐用年数の10分の7に相当する年数、と定められている。

 また、3)1)及び2)以外の権利金などの場合…5年とされているが、契約による賃借期間が5年未満の場合で、契約を更新するときには再び権利金などの支払をすることが明らかなときは、その賃借期間となる。なお、これらの償却期間に端数があるときには、その端数を切り捨てる。繰延資産の償却費を損金算入する場合には、確定申告書に繰延資産の償却限度額その他償却費の計算に関する明細書を添付する必要がある。