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大企業の黒字申告割合は5年連続上昇の53.8%

税務関連情報 - 2008年11月07日

 国税庁が発表した今年6月までの1年間(2007事務年度)における法人税の課税事績によると、黒字申告割合が前年度に比べ0.1ポイント減の32.3%と5年ぶりに減少したが、そのうち資本金1億円以上の大企業(調査課所管法人)の集計では53.8%となり、同0.1ポイント増の微増ながら5年連続の上昇となった。昨年末から景気後退局面に入ったとみられているが、大企業はかろうじて前年度の実績を維持した格好だ。

 今年6月末現在の調査課所管法人数は前年度に比べ1.1%増の3万4314法人だが、2007事務年度中に申告期限がきた法人数は前年度比9.4%(3156件)減の3万271件だった。これは、所管法人数が2006事務年度末に税務署移管などで約4500法人減少したことが影響したもの。申告所得金額は5.5%減の38兆1564億円。法人全体では55兆2871億円だから、約7割を大企業が占める。黒字申告1件あたりでは4.3%増の23億3045万円。

 申告税額総額は前年度比8.1%減の9兆1396億円と減少した。赤字法人の申告欠損金額は8874億円(14.5%)減の5兆2123億円にとどまった。5兆2872億円も減少した前年度に比べると物足りないが、つい5年前の2002事務年度は統計を開始した76年以降過去最大の19兆8190億円の申告欠損金額だったことを考えると、大企業の業績回復は順調に進んだといえる。赤字申告1件あたりでは5.4%減の3億6647万円。

 申告欠損金額を法人全体でみると、2007事務年度は前年度から3071億円(1.9%)減の16兆1878億円にとどまったが、過去最高だった2002事務年度の33兆116億円以降5年連続で減少した。ただし、大法人の申告欠損金額の減少分は法人全体分を大きく上回っている。民間シンクタンクの景況分析では、中小企業の景況感の厳しさを伝える声が多いが、そうした分析を税務申告面から裏付ける結果となっている。