雇用情勢は足元で改善傾向が一層強まっているが、15~24歳といった若年層での完全失業率は、依然として高い水準にある。若年者の就業状況が比較的厳しい状況にある大きな要因として、雇用のミスマッチの存在があることを指摘し、具体的な企業事例の分析を通して、雇用のミスマッチ解消に果たす中小企業の役割と課題を明らかにするのは、中小企業金融公庫総研のレポートである。
レポートは、雇用のミスマッチを大まかに分類して、1)待遇面(賃金・給料及び勤務時間・休日などが希望と合わない)、2)年齢(求人の年齢と自分の年齢とが合わない)、3)技術・能力(自分の技術や技能が求人要件に満たない)、4)意識(希望する種類・内容の仕事がない)の4種類を提示している。若年層においては、特に意識のミスマッチによる失業が高く、それに対する明確かつ効果的な方策を課題として挙げている。
また、レポートは、実際に中小企業で働く従業員は「やりたい仕事ができる」という理由で勤務先を決定している割合が高いことから、中小企業は多様化しつつある若年者の就業意欲を受け止め、ミスマッチ軽減を実現しうる存在であるとの考えを示している。さらに、事例企業のヒアリングを通じ、雇用のミスマッチを防ぎ、若年労働力を確保するとともに、その定着率の向上を図るためのポイントを挙げている。
それは、1)自社の特徴の具体的把握と必要とする人材の明確なターゲッティング、2)若年者の関心を集める方策、3)地域コミュニティと一体となった採用活動である。例えば1)は、自社の特徴をできるだけ具体化・明確化し、採用戦略のベースとして、オリジナルな人材像をしっかりと把握する。3)は、企業体力が比較的弱い中小企業の場合、公共の施策機関や地域密着型の連携組織との協力体制があることは有用というもの。
ただ、事例企業の規模別の分析から、それぞれの成長段階に応じて、注力するポイントが異なっていると指摘。例えば、従業員数0~20人の小規模企業の場合は、採用ルートの多角化を図ると同時に、採用のターゲットをできるだけ絞り込み、集中的に企業PRを実施するといった効率化の視点が重要。また、21~100人の中規模企業では、人材へのプロモーション方法で様々な工夫が求められるとみている。
同レポートの詳細は↓
http://www.jasme.go.jp/jpn/result/c2_0605.pdf