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経営関連情報 (2007/02/19)

ついに始まった団塊退職の労働市場への影響は?

 2007年に入り、団塊世代の大量退職が本格的に始まった。およそ680万人いる団塊世代のうち、300万人あまりが常用労働者として働いていると推計される(2005年国勢調査)。その団塊世代の大量退職が労働市場に与える影響について、新卒採用状況は好調を維持する一方、就職氷河期世代は恩恵を受けにくく取り残される、と分析したのは、第一生命経済研究所(橋本択摩氏)のレポートである。

 それによると、団塊世代を産業別にみると、就職当時の環境を反映して重厚長大型・素材型産業に多いが、サービス業における団塊世代の割合は相対的に少ない(「2004年雇用動向調査」厚生労働省)。また、職種別にみると、55~59歳は他世代と比べて「生産工程・労務作業者」の多さが目立つ。こうした職種にある団塊世代は、改正高年齢者雇用安定法を背景に、定年後も継続して同一・同業種企業に残る可能性が高い。

 一方、団塊世代ホワイトカラーは、専門的・技術的職業従事者よりも事務従事者の割合が相対的に多い。しかし、技能職に代表される生産労働者に比べ、ホワイトカラー職種では多数の後継者が在職しており、こうした職種の定年退職予定者を定年延長などにより継続雇用していくことは容易ではない。団塊世代ホワイトカラーを労働力人口として確保することが、今後の日本経済を考える上で重要なポイントといえる。

 このような団塊退職及び景気回復の影響から企業の労働需要が高まっており、足元で新卒就職率の上昇がみられ、新卒採用状況の好調は続くとみている。一方で、バブル崩壊後の未曾有の不況の煽りを受けた就職氷河期世代にとっては、労働需要の高まりの恩恵は届けにくくなっている。レポートは、労働需要が高まるなかで、新卒一括採用に偏らず、若年層の多様な入職経路を用意できるよう、企業を支援する政策を求めている。

 同レポートの全文は↓
 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et06_264.pdf