2003年08月04日-002
新しい小売価格設定が新たな消費を生み出す!
「安くすれば売れる」時代は過ぎ去り、企業は今、消費を生み出す新たな価格戦略の必要に迫られている。廉価多売では消費を促せなくなった店頭商品を、いつの時点でいくらにすれば購買に結びつくのか。商品に対する顧客のニーズや価値観を反映した値付けが必要として、新しい小売価格の設定、プライスマネジメントを提言するのは野村総合研究所のレポートである。
適切なタイミングで適切な価格を決められないことで大きな損失が出ている。米国の公開値をもとにした野村総研の推計では、2002年度の日本のチェーンストア・百貨店市場において、消費者の期待に添った的確な価格設定をしないことによる全体の損失は年間3兆円を超え、逆に、適切な価格戦略をすることで年間5000億円の売上増が見込めることが分かったという。
これまでの小売現場での価格設定は、例えば「シーズンが終わったら低下の5割引きで全てを売り切る」というものだったが、これからは、利益を最大化していくためにも、商品Aは値下げするが、商品Bはそのまま、商品Cは1ヵ月以内に2回に分けて▲%まで値下げして売るといった、価格戦略に基づく売り方の必要性を指摘する。
価格設定には、どの商品を、どのような消費者が、何に価値を見いだし、どう購入したのかを分析する必要がある。これまではこれが容易ではなかったが、最近はITツールの活用によって購買履歴の把握が可能になったため、ある程度の見極めができるようになった。消費者の購買行動を含むさまざまな蓄積情報の分析と需要予測、誰がいつ価格を決めるかという業務設計に基づく社内ルール。この2つが価格戦略上欠かせない要素である。
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