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経営関連情報 (2005/08/12)

不安と胸弾む思いが半々の新任取締役

 日本能率協会が、この7月に新たに就任した上場企業の取締役・執行役員を対象に実施した「新任役員の素顔に関する調査」結果(有効回答数433人)によると、新任取締役の現在の心境は、「新たな可能性への挑戦に胸弾む思い」が43.5%、「相当の苦難を覚悟」が41.1%をそれぞれ占めた。ここ数年、前者の回答が増加傾向にあり、反対に後者の回答は減少傾向にあり、今回初めて前者が後者を上回った。

 新任取締役に求められる能力では、「決断力」(51.4%)、「先見性」(50.5%)、「判断力」(43.5%)、「統率力」(26.6%)、「リスク察知力」(22.4%)が上位に並んだ。しかし、新任取締役が自身のある能力では、「判断力」(55.0%)がトップになり、「決断力」(37.4%)がかろうじて3位となったほかは、「先見性」(19.0%)は17位、「統率力」(25.1%)は12位、「リスク察知力」(20.9%)は16位と大きく順位を落としている。

 このことから、新任取締役は求められる能力の先見性やリスク察知力には自信がないが、自信のある能力で順位が上がっている「体力」(求められる能力では11位→自信がある能力では5位)、「気力」(同13位→7位)でもって、「調整力」(同13位→4位)や「コミュニケーション」(同15位→6位)を駆使ながら、「判断力」と「行動力」(同7位→2位)を発揮することには自信を持っていることがうかがえる。

 新任取締役が選んだ理想の経営者では、日産自動車の「カルロス・ゴーン」が2003年以来3年連続でトップ。以下、2位「本田宗一郎(本田技研工業)」、3位「稲盛和夫(京セラ)」、4位「御手洗冨士夫(キャノン)」、5位に「永守重信(日本電産)」と「松下幸之助(松下電器産業)」が並んだ。過去5年間で、ベスト5に常連として顔を出しているのは「カルロス・ゴーン」、「松下幸之助」、「本田宗一郎」の3氏である。

 同調査の概要は↓
 http://www.jma.or.jp/release/data/pdf/20050803.pdf