中小企業庁が7月上旬から中旬にかけて実施した「原油・原材料価格上昇による中小企業への影響調査」結果(有効回答数1157社)によると、原油・石油製品の価格上昇によって「収益に影響がある」と回答した企業割合は、昨年9月の前回調査(76.7%)から拡大し、89.7%と約9割にまでのぼった。内訳は、「収益を大きく圧迫」が30.9%、「収益をやや圧迫」が58.8%となっている。
業種別にみると、「窯業・土石製品」、「クリーニング」、「化学」、「ゴム製品」、「食料品製造」、「プラスチック製品」、「運輸」、「建設」などは、9割以上の企業が収益を圧迫されている。また、原油・石油製品価格のコスト上昇分について、自社の製品・サービス等への価格転嫁の度合いをみると、「価格転嫁困難(20%以下)」な企業の割合は、前回調査よりも4.3ポイント減と低下傾向にあるものの、86.6%と依然として高水準にある。
一方、原材料の価格上昇が収益に与える影響については、35.9%の企業が「収益を大きく圧迫」、52.1%の企業が「収益をやや圧迫」と回答し、合わせると88.0%と収益面で影響が生じている企業は9割近くにのぼる。原材料のコスト上昇分について、自社の製品・サービス等への価格転嫁の度合いをみると、まったく転嫁できていない「0%転嫁」の企業が40.6%など、「価格転嫁困難(20%以下)」な企業が71.9%を占める。
特に収益への影響が大きい業種は、「パルプ・紙製品」、「食料品製造」、「ゴム製品」、「化学」、「出版・印刷」、「金属製品」、「木材・木製品」、「非鉄金属」などが挙げられる。なお、販売価格への転嫁の今後の見通しをみると、原油・石油製品のコスト上昇分については、9割以上(94.8%)の企業が、また、原材料価格の上昇分についても、9割以上(90.7%)の企業が今後とも転嫁が困難と感じている。