牛肉BSEを発端に、食品のトレーサビリティが注目されている。トレーサビリティシステムは、食品の生産、加工、流通、小売段階が連携して、食品履歴を把握して消費者に安心・安全を提供するとともに、事故時の回収を迅速化することによって、食品の安全性を確保するもの。農林中金総研はこのほど「食品のトレーサビリティ導入状況と課題」と題した調査研究レポートを発表した。
レポートによると、2004年で「食品製造業」の34%、「食品卸売業」の36%、「食品小売業」の29%がトレーサビリティを導入しており、増加傾向にある。農協系統も2002年度から生産履歴記帳運動に取り組んでおり、農協での栽培管理情報の記録・保管率は93%に達している。生産者から小売まで連携して対応するシステムである「全農安心システム」は169生産地に及んでいる。
トレーサビリティ導入の効果については、川下の小売段階では「関心を得ており売上拡大につながった」は6%、「関心を得ており売上拡大に見込みがある」が22%と低位にあり、拡販という経済的効果については萌芽的な状態にとどまっている。品目別には、「売上拡大の見込み」の割合が「水産物」(50%)、「コメ」(38%)で高いのと、「青果物」(9%)で低いのが特徴的である。
レポートは、消費者に対して農産物のほとんどを提供する農協系統にとって、自らが生産・販売する食品の安全・安心は積極的に確保していく必要のある命題であると指摘。それと同時に農協系統は、全国規模で生産履歴記帳運動を的確に継続実施するとともに、生産物の販売力強化の視点からもトレーサビリティシステムに的確に対応していく必要があると結んでいる。
同レポートの詳細は↓
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/r0601in2.pdf