ゼイタックス

経営関連情報 (2005/12/02)

非労働力人口の労働市場への流入の要因

 雇用情勢は改善に広がりをみせている。総務省の「労働力調査」結果によると、9月の失業率は前月比0.1%低下し4.2%となった。その中身をみると、失業者数は前月差で5万人減少する一方、就業者数は同53万人増と大幅に増加している。そこで、就業者数の増加の背景について分析し、非労働力化していた者の労働市場への流入を背景とした雇用情勢の回復がうかがえるとみるのは、内閣府のレポートである。

 まず、就業・失業・非労働力といった各労働状態間の移行者数の動きを分析して、2005年に入ってから、非労働力から就業への移行者数が増加していることを示す。次に、2期間の移行者数の変動分を、非労働力から就業へと移行する確率が変化することによる要因と、非労働力人口の規模が変動することによる要因に分解し、非労働力から就業への移行者数の増加は、主として移行する確率が高まったために増加したことを示している。

 この非労働力から就業へと移行する確率の高まりは、就業を希望するものの適当な仕事がありそうにないなどといった理由のために非労働力人口とされていた者のうち、15~34歳層を中心とした者たちが労働市場へ流入した結果、就業したことがその要因と、レポートは分析している。

 このように、今回の景気回復局面における企業収益の改善や団塊世代の退職をにらんだ企業側の採用意欲の増大とともに、非労働力化していた者の労働市場への流入を背景とした雇用情勢の回復がうかがえる、というのが本レポートの分析結果である。