税 務 関 連 情 報

2002年06月17日-001
政府税調が税負担増一色の税制改革の基本方針を提示

 政府税制調査会は6月14日、「あるべき税制の構築に向けた基本方針」と題した中長期的な税制改革の基本方針をまとめ公表したが、その内容は、税収確保を優先した税負担増一色となって、デフレ脱却、経済活性化のための税制改革を優先すべきだとの与党や経済界の要望とは相反するものとなった。

 税負担増の中心となるのは個人所得課税だが、基本スタンスは、累次の減税の結果、税負担水準が極めて低いものとなっている「空洞化」の状況を是正し、基幹税としての機能を回復すること。そのためには、配偶者の特別控除の廃止など諸控除の見直しを通じて課税範囲を拡大し、税率の引下げは否定、定率減税を廃止するなど税を「広く公平に負担を分かち合う」ことを求めた。

 また、法人税においても、法人税率はすでに先進国並みの水準であり、これ以上の税率引下げは不適当としたうえで、法人事業税の外形標準課税の早期導入を求め、これによって法人課税の実効税率は下がることとなるとしている。消費税については、今後の税率の引上げの必要性を明記。その前に、現行制度に対する信頼性・透明性を向上させる必要から、事業者免税点制度や簡易課税制度の見直しを通した「益税」の解消への取組みを示している。

 このように、税負担増一色となった基本方針だが、これは政府税調の議論の視点が短期的なものになく、あくまで「あるべき税制の全体像」について中長期の時間軸の中での検討を行った結果導き出されたものといえる。となれば、約700兆円にのぼる財政赤字解消のための増税路線も避けられないのかも知れないが、当面の大きな課題であるデフレ解消、経済活性化に向けた税制からの強力な支援は棚上げにしてしまってもいいのかとの疑問が残る基本方針である。

詳細は、http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/140614a.htm

 

 

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