振替納税は、所得税や消費税などの税金を銀行口座等から引き落とすことで納付でき、税務署や銀行などの窓口に足を運ぶ手間が省ける便利な方法だが、残高不足で引き落とせない場合は延滞税が課される。これに関して国税不服審判所は、残高不足によって本税が振替納税できなかった場合に、納付すべき延滞税の額は、口座振替日の翌日からではなく、法定納期限の翌日から計算すべきだとの判断を示している。
この事案は、残高不足により口座振替日までに所得税が振替できなかった納税者が、後日、納付はしたものの、法定納期限に遡って計算した延滞税を納めるよう税務署から督促状が届いたことから、残高不足によって口座振替納付日に振替できなかったからといって、法定納期限に遡って延滞税が課されるのは納得できず違法であると主張して、督促処分の取消しを求めていたというものだ。
これに対して審判所は、まず、口座振替期日に口座振替納付がされた場合には口座振替期日が納期限後であっても特に期限内納付としている特例があるにしても、納税者の事情で預金不足等により振替不能となった時はこの特例の適用はなく、原則通り、期限内納付した者との権衡を図るため、本来の納期限から完納される日までの間、延滞税が課されることになると解するのが相当であるとの考えを示した。
その上で、この納税者のケースをみると、納税者が納付すべき税額は、口座振替の手続きが行われたものの、納税者が指定した預金残高がその税額に不足していたことから振替納税がされなかったため、後日、納税者が自ら納付したものであり、法定納期限に納付されたものとはみなされないと指摘。結局、法定納期限の翌日から自ら納付した期間に応じた延滞税を納付しなければならないとして、納税者の主張を斥けている。