厚生労働省が1日に公表した毎月勤労統計調査4月分結果速報によると、パート労働者数が前年同月比1.1%減と9年10ヵ月ぶりに減少に転じる一方、一般労働者数は同1.1%増と4ヵ月連続で増加、合計での常用労働者数は同0.5%増で16ヵ月連続の増加となった。また、パートよりも相対的に賃金水準が高い一般労働者が増えたことで、所定内給与が同0.3%増と4年5ヵ月ぶりに増加した。
このような改善傾向が続く雇用・所得環境を分析したのは第一生命経済研究所のレポート(長谷山則昭氏)である。レポートは、4月の所定内給与がプラスに転じたことを要因分解してみると、1)パート比率の低下が一人あたり賃金の押上げに寄与、2)一般労働者賃金が下げ止まっていることがプラス転嫁の主因であることがわかった、としている。
特に4月は新入社員の入社時期であるため、新卒採用が増加した分、一般労働者数がより強く押し上げられたこともパート比率の低下につながったとみている。これまで所定内給与は、パート比率の上昇が大きな押し下げ要因となってきたが、パート比率の低下に歯止めがかかることによって、所定内給与も下げ止まる公算が強いと予測している。
先行きをみると、雇用者数の大幅な増加は見込みにくいが、企業の採用意欲が増していることなどもあり、緩やかな増加傾向が続く。また、相対的に賃金水準が低いパートへの代替に歯止めがかかり、正規雇用が拡大することは、雇用報酬の増加につながるため、個人消費に対してプラスの効果が期待できる。雇用・所得環境の緩やかな改善傾向が続くことから、所得面からは個人消費を下支えする、との考えを示している。