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経営関連情報 (2006/11/24)

中堅・中小製造業による高付加価値経営の実現へ

 日本政策投資銀行が発表した「中堅・中小製造業による高付加価値経営の実現に向けて」と題したレポートによると、中堅・中小製造業を取り巻く事業環境は刻々と変化しつつあり、具体的には、1)近隣諸国とのコスト面のみならず技術面での競合、2)プロダクトサイクルの超短期化がもたらす投資回収の不確実性、3)少子高齢化がもたらす人材育成に係る諸問題等、の影響をもたらしているとみている。

 しかし、こうした状況に本質的な変化はみられないにもかかわらず、近時の景気回復とうにより問題意識が希薄化している嫌いが否めないと指摘。そこで同レポートは、取りまとめるに際し、中堅・中小製造業の集積が厚い日立地区及び諏訪地区に立地する企業約70社に対しヒアリングを実施し、同地区の経営実態を踏まえ、各企業が今日指向すべき高付加価値経営について重点的に検討した。

 その結果、高付加価値経営の実現には、経営基盤を強固にするための「複合的アプローチ」と、新分野進出等に際しユーザーからの信認・評価を飛躍的に高めるための「重点的アプローチ」を局面に応じた複合的採用の必要性を挙げた。複合的アプローチの概要は、1)コスト削減(海外との生産連携等)、2)技術・製品開発の工夫(技術の差別化・ブラックボックス化等)、3)販路の工夫(フルライン化による商機拡大等)である。

 重点的アプローチの概要は、1)品質に対する絶対的信頼性の確立(無欠品量産体制の確立等)、2)性能改善に資する設計提案(差別化された要素技術に基づく改善提案等)、3)技術革新(大学や素材メーカー等との連携による応用加工技術の確立等)である。さらに、こうした取組みの過程で培った経営資源を技術開発や人材育成に投入し、次なる事業展開につなげる経営環境を確立することが肝要であると結論している。

 同レポートの詳細は↓
 http://www.dbj.go.jp/tikai/report/report/pdf/r0611k.pdf