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税務関連情報 (2006/06/21)

2005年度査察では消費税事案の告発件数が倍増

 消費税は“預り金”的な性格であることや税収全体に占める割合が23%(2005年度予算)と高いこともあって、国税当局は重点的・集中的に調査や滞納整理に取り組んでいる。それは査察事案でも同様である。査察における大口・悪質事案は検察へ告発されて刑罰が科されるが、先日公表された2005年度査察白書では、消費税事案が2004年度の6件から10件とほぼ倍増した。2003年度はわずか3件だった。

 その脱税の手段・方法は、架空仕入税額控除の計上や架空免税売上の計上がみられた。消費税額の計算は、売上に係る消費税から仕入に係る消費税を差し引いて算出するから、仕入税額控除が大きくなれば、消費税額が少なくなる。また、消費税は国内において消費される物品やサービスについて負担を求めるものだから、輸出取引などは消費税が免除される。告発された事案は、そのような制度を悪用したものである。

 例えば、工場などに外国人労働者を派遣しているA社は、課税仕入に該当しない同社の労働者に係る給与を、事業実体のない関係法人に対する外注費であるかのように仮装し、課税仕入に係る消費税を過大に計上して多額の消費税を脱税していた。関係法人は資本金1千万円未満の非課税事業者だが、A社代表者は、関係法人が課税事業者にならないように、2、3年ごとに設立・解散を繰り返していたという。

 また、鋼材などの輸出を行っているB社は、デビットノート(請求書)を偽造することにより、鋼材仕入取引を仮装して国内課税仕入に係る消費税額を過大に計上。それとともに、実体のない海外法人に対するインボイス(送り状)や輸出許可通知書などを偽造し、同社への鋼材輸出取引を仮装して免税売上を計上する方法により、多額の消費税の還付を受けていたという事案だ。