税務上、交際費の範囲については、政令や通達等で定められているが、会議費等の隣接費用との区分が不明確であることから、隣接費用としての計上を税務署に否認されることも多い。与党の税制改正大綱では、交際費の課税範囲を明確化し、実務上、1人あたり3千円が交際費と会議費等の区分の目安とされていたところ、交際費とは別に1人あたり5千円以下の飲食費(役職員の間の飲食費を除く)について損金算入を認めることを決めた。
交際費は原則として損金不算入とされているが、販売促進の手段が限られている中小企業にとって、その事業活動に不可欠な交際費が損金として認められることは重要である。そこで、税法では、一定額以下の交際費支出の損金算入を認めており、現行は2003年度税制改正から、資本金1億円以下の中小企業については定額控除として「400万円×90%」までの金額の損金算入を認め、交際費支出総額は2003年分で3.5兆円にのぼる。
今回の改正は、交際費の課税上の範囲について、従来からその解釈や運用をめぐりさまざまな議論があったことから、課税の範囲の明確化を行うとともに、その損金算入の特例措置の適用期限を2年間延長したもの。増税色の強い来年度税制改正のなかでは役員賞与の見直しとともに中小企業の実務上、注目される改正といえる。経済産業省では、この改正によって中小企業の事業活動の円滑化が図られることを期待している。