国税庁がこのほど発表した2006事務年度の相互協議を伴う事前確認の状況によると、今年6月までの1年間に発生した相互協議事案は、前年度から25件増の154件となって過去最多となったことが分かった。相互協議事案の発生件数は増加傾向にあるが、全体の9割以上を移転価格に関するものが占めており、ここ3~4年はそのなかでも事前確認に係る事案が全体の約7割を占める状態が続いている。
移転価格税制は、法人と関連企業(国外関連者)との取引が第三者間の取引価格(独立企業間価格)と異なる場合、その取引価格を正常な価格に引きなおして課税する制度だが、相互協議は、移転価格課税における二重課税を防ぐため、国税庁が外国の税務当局と交渉するもの。また、事前確認とは、納税者が税務当局に事前に申し出た独立企業間価格の算定方法を税務当局が確認した場合には、移転価格課税は行わないという制度だ。
06事務年度において発生した154件の相互協議事案のうち、移転価格に関するものは140件、さらに、「事前確認」に係るものは105件、追徴課税後に海外子会社の法人税還付などを求めたものが35件のほか、残りの14件は個人の所得などをめぐる相互協議の申立てだった。10年前の1996事務年度と比べると、相互協議件数は約4倍、事前確認に係る相互協議件数は約6倍と大幅に増加している。
一方、06事務年度に相互協議が終了したのは前年度より22件多い115件だったが、07年度に繰り越した件数も同39件増の276件にのぼり、ともに過去最高となった。1件あたりの平均的な処理期間は2年程度だが、繰越件数のうち61件は2年以上協議が続いており、相互協議において合意に要する期間は長期化傾向にある。なお、2007年度税制改正において、相互協議が終了するまでの間は納税を猶予する制度が創設されている。
「相互協議を伴う事前確認の状況」の詳細は↓
http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2007/6240/pdf/01.pdf