証券税制の軽減税率(10%)が来年期限切れとなることから、来年度税制改正での取扱いが注目されている。政府税調の答申では本則の20%に戻すことが明記されたが、自民党税調では結論に至っていない。そんな折、非営利活動法人の日本個人投資家協会は6日、現行の税率10%の継続や上場株式の年間譲渡益を50万円まで課税免除することなどを要望する提言をまとめ、自民党税調を始め関係者に提出した。
提言の内容は、1)上場株式の譲渡益課税については、他の金融商品果実との損益通算拡大などを盛り込んだ金融商品一体課税が実現するまでの間、現行の税率10%を継続し、合わせて、個人投資家拡大の見地から、年間譲渡益50万円を限度に課税免除とする、2)配当課税については、二重課税回避と企業の国際競争力強化の観点から、恒久税制としては、無税とすることが望ましい、というものである。
同投資家協会は、譲渡益課税について、長期的には金融資産一体課税を否定するものではないが、それが実現するまでの間は、損益通算の範囲が極めて限定的である現状においては軽減税率継続が必要であること、加えて、株式等の個人保有比率が欧米並みとなるまでは株式長期保有投資にインセンティブとなる優遇税制が、「投資から貯蓄へ」という政府の方針に不可欠などの提言の理由を挙げている。
また、配当課税については、法人段階と株主利益段階の課税を一体として捉えるべきだとして、法人税率の引下げよりも、配当企業・個人株主双方にプラスとなる配当課税をゼロとすることが望ましく、また、先進諸国では何らかの優遇措置が採られていることから、配当所得に預貯金利子など金融商品果実と同様の税率適用には問題があり、配当については無税化が筋だが、経過措置として最低10%の税率据置きが妥当だとしている。