中小公庫総合研究所は19日、中小情報サービス業者の事業の実態を明らかにした「中小情報サービス産業の実態と今後の方向性」と題したレポートを発表した。これは、取引構造や人材確保・育成の取組み等に着目して、インタビューによる事例調査を行うことで、実態把握を試みるとともに、それらの企業の強みをいくつかの戦略タイプとして整理し、中小情報サービス業者の今日的課題や発展するためのポイントを示したもの。
レポートによると、情報サービス業においては、企業数の多くを中小企業が占める一方、売上高をみると、中小企業のプレゼンスが中長期的に低下傾向にあるとの動向を示した。また、情報サービス業に総じてみられる特徴として、(1)人材不足とそのスキル向上が課題、(2)立地特性をみると、需要が集中する東京23区等の大都市に集積、(3)資金調達面をみると、他業種に比べ企業あたりの借入額が小さいこと、を挙げている。
事例調査は、事業展開や取引構造、人材確保・育成、立地特性などの観点から、先進的な事業展開を実践している中小情報サービス業者15社及び大企業1社に対しインタビューを行った。その結果、事例企業にみられる特徴を、(1)中小事業者による新事業進出の志向、(2)多層的な取引構造の変化、(3)安定継続的な取引がみられること、(4)人材確保・育成のための取組み、(5)立地場所の選定の要素、などに整理している。
さらに、事例企業にみられる「強み」に着目して、戦略タイプを、(1)先端技術力の発揮、(2)開発効率の追求、(3)専門的ソリューションの提供、(4)新市場の開拓の4つに分類し、その戦略の具体的内容を分析した。レポートは、これらの戦略の中核的な要素は人的資源の獲得と向上であり、その取組みには、多様な方法を採り得る一方、人材流出を避けるためには、事例企業共通の取組みがあることを示している。
中小公庫レポートの全文は↓
http://www.jasme.go.jp/jpn/result/c2_0802.pdf