日本酒の消費の減少に歯止めがかからない。国税庁の統計によると、2004年度(2005年3月までの1年間)の清酒の消費数量は74万5734キロリットルだが、10年前の1994年度の消費数量の約6割まで減少している。成人1人あたりで換算すると、1升ビン(1.8リットル)で7.3本飲んでいたものが、4.1本まで減っている。それに伴い清酒の製造場数も減少の一途をたどっている。
国税庁がこのほど発表した2005酒造年度における清酒の製造状況によると、今年6月までの1年間において清酒を製造した場数は1419場で、前年度から5場減少した。製造方法別では、特定名称清酒においては、「純米酒」1044場(前年度比同)、「純米吟醸酒」1175場(同6場増)、「吟醸酒」1136場(同40場減)、「本醸造酒」1072場(同38場減)であり、「普通酒」は1130場(同8場減)、「増醸酒等」は487場(同67場減)だ。
これらの全体の製造場に占める割合は、「純米酒」73.6%(前年度比0.3ポイント増)、「純米吟醸酒」82.8%(同0.7ポイント増)、「吟醸酒」80.1%(同1.5ポイント減)、「本醸造酒」75.5%(同2.4ポイント減)、「普通酒」79.6%(同0.3ポイント減)、「増醸酒等」34,3%(同4.6ポイント減)だ。特に増醸酒等の落込みが大きい。もっとも、いわゆる三倍増醸酒である増醸酒は、今年5月1日に酒税法改正により廃止された。
2005酒造年度における清酒の製造数量(アルコール分20度換算数量)は52万2281キロリットル(前年度比0.2%減)で、うち特定名称清酒は16万6486キロリットル(同2.1%減)だった。特定名称清酒の製造方法別の製造数量を前年度と比べると、「純米酒」の4.1%増を除き、「純米吟醸酒」2.2%減、「吟醸酒」8.0%減、「本醸造酒」4.1%減と軒並み減少している。普通酒は3.2%増とやや増加している。
こうしてみると、消費量・製造量の減少が続き苦戦する清酒のなかで、唯一健闘しているのは、醸造アルコールを添加せずに、米と米麹と水から作られる純米酒ということになろう。また、清酒の消費性向の二極化はますます進んでおり、高級酒と安酒の中間に位置する本醸造酒がもっともシェアを落としており、また、高級酒の中でも一時期健闘していた「吟醸酒」が減少傾向にある。