税 務 関 連 情 報

2003年11月17日-002
所有権の帰属で係争中の不動産は延納担保に不適格

 相続財産のなかにはすぐに現金化できないものがあって相続税を納められないときは、延納税額に相当する担保を提出するなど一定の要件をすべて満たせば延納できることとされている。国税不服審判所がこのほど公表した今年3月までの1年間に処理した納税者からの審査請求のなかに、相続税の延納を担保した不動産の適否を争う事例があった。

 納税者Aは、延納申請に際しその担保として所有権の帰属について係争中の不動産を提供したが、税務署は担保として不適当だとして延納申請を認めなかった。そこでAは、税務署の処分を違法だとして、国税不服審判所に審査請求したわけだが、審判所では税務署の処分は適法だとしてAの訴えを斥けている。

 審判所は、延納の担保として提供される財産は、その担保に係る相続税額を確実に徴収できる金銭的価値があるものでなければならず、延納許可が取り消された場合に換価し、その代金を国税に充てることが難しいと考えられる財産は、延納の担保としては不適当だと解するのが相当だと指摘した。

 そこで、この事案での担保物件は、その所有権の帰属について訴訟において係争中のものであって、仮に、税務署がこの担保物権を担保として受け入れ、抵当権を設定したとしても、訴訟の結果によっては、その抵当権によって担保物件を公売などで換価して国税に充てることができないおそれがあるため、延納担保物権としては不適格だとの判断を示している。

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