新潟・福島県や福井県での集中豪雨によって床下・床上浸水、家屋が倒壊したりして住宅や家財などに甚大な損害を被った人が相当数にのぼる。このような風水害・地震・火災などの災害によって損害を受けた場合は、確定申告で、1)所得税法に定める雑損控除、2)災害減免法に定める軽減免除のどちらか有利な方法を選ぶことによって、所得税を軽減することができる。
雑損控除は、災害だけでなく盗難や横領による損失も対象となる。ただし、対象となる資産は、生活に通常必要な資産に限られる。生活に通常必要でない資産とは、別荘や競走馬、1個30万円を超える貴金属、書画、骨とうなどをいう。控除額の計算は、1)差引損失額-所得額の10分の1、2)差引損失額のうち災害関連支出の金額-5万円、のうちいずれか多いほうの金額だ。
一方、災害減免法は、災害による損失に限られ、住宅や家財が対象となるが、損害額が住宅や家財の価額の2分の1以上であることが必要だ。所得税の軽減額は、その年の所得金額が「500万円以下」は全額免除、「500万円超~750万円以下」は2分の1の軽減、「750万円~1000万円以下」は4分の1の軽減となる。なお、損害を受けた年分の所得金額が1000万円以上の人は適用外となる。
これらの所得税の軽減免除は、最終的には翌年の確定申告で精算されるが、災害などが発生した後に納期限がくる予定納税や給与所得者の源泉所得税などについては、確定申告の前にその減額や徴収猶予などを受けることができる。今回のように災害による被害が広い地域に及ぶ場合は、国税庁長官名で納期限などを延長する期日と地域を定めて告示することになっている。