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税務関連情報 (2006/07/12)

税務上、損金経理要件がなくなった役員の退職金

 役員の退職金についての税務上の取扱いは、これまで損金経理が要求され、その損金算入時期は通達等で詳細に規定されていたが、会社法の施行に伴う改正によって、損金経理要件が廃止された。ただし、これまで通り「不相当に高額」と認められる部分は損金不算入であり、その算定方法として、「功績倍率法」と「1年あたり平均額法」が用いられることに変わりはない。

 会社法では、役員退職金の支給について明確な規定はないが、在職中における職務執行の対価として支給されるものであれば、役員の退任時に支給される慰労金である役員退職金は、役員報酬に含まれる。会社法では、役員報酬も役員賞与も職務執行の対価として発生した期間の費用として会計処理することになったので、役員退職金についても同様の会計処理を行うことになる。

 役員退職金は役員報酬の後払いとしての性格があるので、あらかじめ定められた規定によって合理的に見積もることができる。そこで、具体的な役員退職金の会計処理は、金額的に重要性があれば役員退職金引当金を計上する。引当金処理は、1)当期の処理が「役員退職金引当金繰入×××/役員退職金引当金×××」、2)支給時の処理が「役員退職金引当金×××/現金預金×××」となる。

 一方、業績や過去の支給状況などから退職金が支給される可能性が低い場合や、金額的に重要性が低い場合には、その支給確定時かまたは支給時に費用処理(「役員退職金×××/現金預金」)する。いずれにしても、損金経理要件が廃止されたことによって、改正後は、別表四で減算処理をすれば、損金経理をしなくても別表四により損金算入することができることになった。