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税務関連情報 (2007/11/30)

消費税率引上げは2010年度の可能性が高い?

 政府税制調査会は11月20日に公表した答申において社会保障財源として消費税増税の必要性を明記したが、翌21日には自民党の財政改革研究会が、社会保障制度の構築と財政再建に向けて安定的な財源を確保するため、2010年代半ばに消費税率を10%程度に引き上げる必要性を示す提言を公表した。いよいよ消費税率引上げの議論が本格化することになるが、問題はいつ税率が引き上げられるかという実施時期だ。

 2009年度における基礎年金の国庫負担割合を現在の3分の1から2分の1に引き上げることが決まっていることから、政府は当初、2008年度税制改正において消費税率を7%に引き上げて、その財源に充てる目論見だった。しかし、今夏の参院選で自民党が大敗してしまったことから、その目論見は崩れ、福田首相はすでに来年度の消費税率引上げを見送る考えを表明している。

 消費税率引上げには、国民への周知や企業・商店などが準備するための期間が少なくとも1年は必要とみられていることから、来年度税制改正に向けての議論が封印されたとなれば、2009年度における消費税率引上げは不可能となった。そこで、2009年度からの国庫負担割合の引上げ分は国債の発行などで当面賄うとしても、財政赤字が拡大するその場しのぎを続けるわけにはいかない。

 一方、公的年金の財政再計算・財政検証が2009年に行われることから、ここでは長期的な財源問題の解決に迫られる。参院で与野党が逆転する“ねじれ国会”ではあるが、民主党が主張する消費税の社会保障目的税化などの議論も行われ、何らかの形で消費税率引上げの合意が成立する可能性が高いとみられる。その結果、2009年度税制改正で税率引上げが決まり、1年間の周知期間を経て翌2010年度から実施という公算が強いが…。