国家公務員の天下りに対する国民の関心が高まるなか、退職税務職員(OB税理士)に対する顧問先のあっ旋・予約は解消傾向にあることが、東京税理士会が同会会員を対象に昨年11月に実施した「税務職員の退職時における業務侵害行為に関するアンケート」で分かった。調査結果(有効回答数1975会員)によると、OB税理士の受入れについて「なし」との回答が前回2006年調査から1.7ポイント増加して95.7%を占めた。
これは、最近2年間(2006年10月1日~2008年9月30日)において自分の顧問先が税務顧問等としてOB税理士を受け入れたかどうかを調べたもの。今回の実態調査では、「受け入れたことがない」との回答が微増ながら増加する一方で、「受け入れたことがある」との回答は81件(顧問先数109件)、全体の4.1%だった。前回調査と比べ件数で13件、顧問先数で47件、割合で1.4ポイント、それぞれ減少した。
OB税理士に係る顧問先のあっ旋・予約の方法は、前回調査同様に「国税局職員が担当した」が56.9%でもっとも多く、退職税務職員の顧問先のあっ旋についての国税当局の一元管理が浸透していることがうかがえる。「税務職員が担当」は8.3%、「退職者の部下等があっ旋」は1.8%と少数だった。また、税務職員等によるあっ旋とされているものについて、さらに調査した結果、一元管理の範囲を逸脱する事例はなかったという。
あっ旋・予約の申入れがあったときの状況については、「その他、不明、無回答等」(44.9%)以外では、「顧問先が優良法人だったことから申入れ等があった」(29.4%)がもっとも多く、次いで「あっ旋等について、顧問先から税務当局に依頼した」(9.2%)、「税務調査をきっかけに、その前後に申入れ等が顧問先にあった」(8.3%)などが続いた。なお、申入れ等があったときは、77.1%が「顧問先の判断に任せた」としている。