日本企業の5割超が中国の知財侵害を認識~経産省
経済産業省が、製造業を中心に昨年12月から今年2月にかけて実施した2009年度の「中国における知的財産権侵害実態調査」結果(有効回答数158社によると、55.1%と5割超の日本企業が中国で知的財産権侵害を受けたと回答しており、依然として日本企業の被害は深刻な状況にあることが分かった。同調査は、日本企業の知的財産権侵害による中国での被害状況及びその救済手段の利用状況を把握することを目的に実施している。
日本企業の救済手段の利用状況をみると、被害を受けている企業のうち、69.0%とほぼ7割の企業が救済手段を利用している。日本企業がもっとも多く利用した救済手段は、行政手続きによる措置であり、「行政摘発総件数」は、3034件で、前年度(3153件)とほぼ同じ件数だった。ただし、中国当局の対応が不適切と感じている日本企業も依然多く、経産省では、中国政府に対して、さらなる取組みの強化を求めている。
知的財産権侵害の内容としては、「商標権侵害」が4722件と突出して多く、全体の60.7%を占めた。その次に、「意匠専利権(意匠権)侵害」が1558件、「反不当競争防止法違反」が1204件と多く、そのほか、「著作権侵害」が184件、「製品品質法違反」が71件などで続いた。知的財産権侵害件数のうち、インターネット上での侵害は、「意匠専利権侵害」(1483件)、「商標権侵害」(1272件)、「反不当競争防止法違反」(1179件)が多くみられた。
また、模倣業者の手口の巧妙化の事例としては、「ラベル等の商標権侵害部分と、商品の本体部分を別々の工場で製造して、後で組み立てる」という巧妙な事例(34件)や、「日中は適法な製造業者として適法な製品を製造しているが、夜間などに模倣品・海賊版を製造する」事例(17件)、「インターネット上のウェブサイトを通じて、全世界に模倣品・海賊版を販売している」事例(46件)などが多くの企業から報告されている。
経産省では、中国における知的財産権保護を強化するため、中国商務部及び中国国家工商行政管理総局と覚書を交換し、模倣品事務ワーキング・グループなどの政府間対話を実施しているが、今回の調査結果はこうした政府間対話の場において活用するなど、引き続き、知的財産権侵害問題の改善に取り組んでいく方針だ。
同調査結果の詳細は↓
http://www.meti.go.jp/press/2011/05/20110510003/20110510003-2.pdf