金融庁は2005年度税制改正要望のなかで、現行の株式投資優遇税制の適用期間の延長と対象範囲の拡大を求めた。具体的には、現行の上場株式等の譲渡による所得や配当所得に関する軽減税率10%は2007年度末までが適用期間だが、それを5年間延長し2012年度末までとすること、また、株式投資優遇税制の適用範囲に、株式先物・オプションなどから生じる収益や大口個人株主が受ける上場株式等の配当金を含めることを掲げた。
これらは、「貯蓄から投資へ」の転換を促すための税制措置だが、ほかでは、個人投資家の裾野を広げつつ、世代間の資産移転を促進するために、1)株式・株式投資信託について、相続・受贈人1人あたり一定額の非課税枠の創設、2)株式・株式投資信託の相続等に係る評価方式の見直しを要望している。
金融商品課税の一体化については、各種金融商品からの収益と損失について幅広く損益通算を可能にすることを挙げた。ただ、幅広い損益通算を行うためには、異なる税率(10%と20%)が適用される金融商品間での損益通算が必要だが、その方法として、同一税率の範囲内で損益を合計したうえで、両方の損益を通算し、算出された利益がどちらの税率対象の金融商品に起因するのかで適用税率を決めるなどの方法を例示している。
さらに、1)損益通算にあたっては特定口座の利用を可能にする、2)上場株式等に係る譲渡損失の繰越控除制度の対象範囲を、損益通算可能な金融商品に拡大するとともに、控除期間を3年から5年に延長する、3)株式等が無価値化した場合の損失を、みなし譲渡損として取り扱うことなども要望した。現行では、会社が倒産して株式が無価値化した場合は、所得の処分にあたるとされ、損失として認められていない。
金融庁の2005年度税制改正要望の詳細は↓
http://www.fsa.go.jp/news/newsj/16/sonota/f-20040826-3.pdf