固定資産のなかに、稼働率が下がったため使用を停止している製造用機械や閉鎖した店舗跡地など、遊休状態のものがないだろうか。特に現在の厳しい経済状況下、設備の一部を稼動休止にせざるを得ないなど事業規模の縮小を迫られる企業は少なくない。遊休固定資産は、会社に収益をもたらすものではないので、早期に売却等の処分を検討することが望まれる。一方で、稼動休止した遊休固定資産の税務上の取扱いも問題となる。
法人税法では、減価償却資産が1年以上にわたり遊休状態にあることにより、その固定資産の価額が帳簿価額を下回ることとなった場合や、法人の有する資産が、やむを得ない事情によりその取得のときから1年以上事業の用に供されないため、その固定資産の価額が低下した場合には、評価損の計上を認めている。つまり、1年以上遊休状態にある減価償却資産については、償却不足額を評価損として損金算入できることになる。
このように、遊休固定資産の税務上の取扱いは、一定の前提条件の下で損金経理が認められる。決算対策を考える際、手元に遊休資産がある場合には、節税方法として一考する価値がある。そのためには、本当に遊休状態にあったことを証する資料を準備しておく必要がある。ただ実際は遊休固定資産であっても、継続して償却を行っているものも多いため、評価損を計上できるケースは意外と少ないかもしれない。
法人税法では、事業の用に供しているもの以外は減価償却をすることはできないが、稼動を休止している遊休固定資産であっても、その休止期間中に必要な維持補修が行われており、いつでも稼動し得る状態にあるものについては、減価償却資産に該当するものとされる。また、今年4月1日以降に締結されたリース取引の対象物件は、減価償却資産となるので、稼動休止したリース資産についても同様の取扱いとなる。
なお、今後通常の方法により事業の用に供する可能性がないと認められる固定資産については、期末までに廃棄等をしていない場合でも、除却損を計上することができる。こうした遊休固定資産の有姿除却も検討の必要があろう。除却損の金額は、帳簿価額より処分見込額を控除した金額となり、取壊し費用の見込額を計上することはできない。