帝国データバンクが12日に発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、5月の倒産件数は1016件となり、法的整理のみに集計対象を変更した2005年4月以降で初の1千件台となり、今年最多を記録した。前月より24.4%増、前年同月比では39.0%増と、8ヵ月連続の前年同月比増加。倒産件数の推移は一進一退を繰り返しながら、確実にベースラインが上昇してきており、増加基調が持続している。
一方、負債総額は3443億8700万円となり、前月比41.8%減、前年同月比49.6%減とそれぞれ大幅に下回り、2ヵ月ぶりの前年同月比減少となった。負債額トップは熊谷組関連の不動産会社、土地興業(負債320億円、東京都)。負債10億円以上50億円未満の倒産は49件(前月64件)、負債100億円以上1000億円未満の大型倒産も4件(同8件)にとどまった。一方で、中小・零細企業の倒産が増加傾向にある。
負債5000万円未満の倒産は412件(前月347件)発生し、前月比で18.7%の増加、前年同月比も51.5%の大幅増加となった。負債1億円未満の中小・零細企業の倒産は609件と全体の59.9%を占めて増加傾向にあり、全体の倒産件数を押し上げる要因となっている。また、資本金別にみると、個人経営の倒産が、前月比29.7%増、前年同月比146.8%増の153件と、引き続き高水準で推移している。
帝国データバンクでは、国内景気を牽引してきた企業業績や設備投資の伸びに勢いがなくなりつつあるなか、「脱談合」の加速によって地場建設会社や下請け業者は一層窮地に追い込まれるのは避けられないとみている。また、資源価格の高騰や個人消費の回復遅れ、金利引上げや貸金業法の改正による融資引揚げ圧力なども中小・零細の企業体力を蝕んでおり、今後も倒産件数は増加基調をたどる公算が大きいと予測している。