経済産業省が、資本金3000万円以上及び総従業者50人以上の民間事業者9500社を対象に2008年3月末までの1年間(2007年度)を対象期間に実施した「2008年情報処理実態調査」報告書によると、2007年度の一社平均の情報処理関係諸経費は、前年度比6.7%増(7.5億円→8.0億円)と3年ぶりに増加したが、IT投資の収益改善効果の後退などから減少傾向を辿り、2005年度(9.6億円)を下回った。
資本金別にみると、「10億円超100億円以下」企業は前年度比52.4%の高い伸びを示したが、「1億円以下」企業(▲30.9%)及び「5億円超10億円以下」企業(▲27.0%)など規模の小さい企業では20%以上の減少率を示した。また、2007年度のEDI(電子データ交換)利用率は前年度比5.2ポイント減の68.4%へ、収益改善効果やコスト削減効果の後退などから、規模の小さい企業を中心に低下に転じた。
情報セキュリティトラブルが発生した企業の割合は、前年度比3.9ポイント増の28.7%と上昇に転じた。内訳をみると、「システムのトラブル」の発生率が大きく増加。また、2007年度に稼動した情報システムの「重要度が重大な不具合」の主な原因(複数回答)は、「テストミス及び不足」(56.0%)や「ハードウェアの障害」(55.3%)などが多く、充実したテストの実施やハードウェアの障害対策の拡充の必要性が示唆される。
情報セキュリティ対策全般の実施率(いずれかの情報セキュリティ対策を実施している企業の割合)は、前年度比1.3ポイント増の86.9%と、2年連続で上昇した。しかし、年間事業収入規模別にみると、年間事業収入「1億円以下」企業と同「1億円超10億円以下」企業において、情報セキュリティ対策全般の実施率が低下し、規模の小さい企業における対策の遅れがうかがえる。
なお、2006年度に創設され、2008年度に2年間延長・拡充等された情報基盤強化税制の利用状況をみると、2007年度に同税制を利用した企業における一社平均利用実績額(税額控除額、繰越額及び特別償却額の合計)は6590万円だった。業種別にみると、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「情報通信機械器具製造業」など、一社平均情報処理関係諸経費の金額が大きい業種において一社平均利用実績額が高かった。
同報告書の概要は↓
http://www.meti.go.jp/press/20090629006/20090629006-2.pdf