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大幅に見直される農地に係る相続税の納税猶予制度

税務関連情報 - 2009年02月04日

 2009年度税制改正の目玉は非上場株式に係る相続税・贈与税の納税猶予制度の創設だが、一方で農地に係る相続税の納税猶予制度も大幅に見直される。所有者が自ら耕作をしない農地が増加していることから、農地の永続的な確保と有効利用の徹底を主眼とする農業経営基板強化促進法の改正を踏まえ、農地の有効利用を促進する貸付も納税猶予制度の適用対象とするなどの拡充を行うとともに、農地の保全に資するための見直しを行う。

 具体的には、市街化区域外の農地に係る相続税の納税猶予について、(1)農業経営基盤強化促進法の規定に基づき貸し付けられた農地を適用対象とする、(2)市街化区域外の農地について特例の適用を受ける者については、20年間の営農継続により猶予税額が免除される措置を廃止する、(3)猶予期間中に身体障害等のやむを得ない事情により営農継続が困難となった場合には、農地の貸付(営農の廃止)をしたときも、納税猶予の継続を認める。

 さらに、(4)災害・疾病等のやむを得ない事情のため一時的に営農できない場合について、営農継続しているものとする取扱いを明確化する、(5)納税猶予適用者(20年間の営農継続により猶予税額が免除される者を除く)が、特例適用農地を譲渡等した場合に納付する猶予税額に係る利子税については、税率を現行の年6.6%から年3.6%に引き下げる(年3.6%の税率は、特例により年2.2%となる:日本銀行の基準割引率0.5%の場合)。

 また、(6)農用地区域内の特例適用農地を譲渡した場合については、総面積の20%を超える場合でも、納税猶予の取消し事由とはしない、などの見直しが行われる。その他、市街化区域内の農地に係る納税猶予制度についても、上記の(3)から(5)までの措置を講ずるほか、納税猶予の取消し事由となる「耕作の放棄」について、その要件が見直される。これらの改正は、農地法等の一部改正法(仮称)の施行日以後の相続・贈与等に適用される。