東京商工リサーチが発表した2008年上半期(1~6月)の第三セクターの倒産状況によると、同期間に判明した第三セクターの倒産件数は、前年同期比4件減の8件だった。しかし、解散を決議した第三セクターは39件にのぼり、経営不振から業務停止する第三セクターの数は、引き続き高水準で推移している。これは、一般企業と同様に経済環境悪化のほかに、支援を続けてきた地方自治体の財政悪化が大きく影響している。
2006年6月には国会で財政健全化法が成立したが、同法では地方公共団体の財政破綻を早い段階で是正することを目的として、財政健全化をチェックするための4つの健全化判断比率(実質赤字比率、連結実質赤字比率、実質公債費比率、将来負担比率)を設けた。そして4つの指標のうちいずれかの基準を超えた自治体は、「早期健全化計画」や「再生計画」を策定し、取組み状況を毎年議会に報告、公表しなければならない。
健全化判断比率の一つである将来負担比率には、地方公社や第三セクターの負債・債務のうち一定部分が一般会計等負担見込額として算入される。今年の秋には、自治体は財政健全化法に基づき、第三セクターも含めて将来負担する可能性がある債務を公表しなければならず、経営不振の第三セクターについては、今まで以上に厳しい目が向けられることになるとみられている。
政府は「経済財政改革の基本方針2008」において「第三セクターの改革に関するガイドライン等に基づき、経営が著しく悪化したことが明らかになった第三セクター等の経営改革を進める」との方針を示した。経営不振の第三セクターについては、地域経済活性化や地方公共団体の財政健全化の動きと絡んで解決が急がれている。このため、存廃について厳しい選択を迫られる第三セクターが今後も相当数出てくると予測されている。