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経営関連情報 (2004/02/02)

鳥インフルエンザが日本経済に及ぼす影響

 鳥インフルエンザの感染により、日本政府はタイ産と中国産の鶏肉の輸入停止措置をとった。米国産牛肉輸入禁止とあいまって、日本経済へ及ぼす影響が懸念される。

 第一生命経済研究所が1月28日に発表したレポートによると、米狂牛病により牛肉輸入量の約45%(約24万トン)を占める米牛肉の約半分が豪州産や国産牛肉で代替可能になるとすれば、輸入停止に伴う肉類価格の上昇が長期化しても、2004年度の名目GDPを▲2401億円(▲0.05ポイント)程度押し下げるにとどまる。

 しかし、鳥インフルエンザにより鶏肉輸入量の約58%(約37.9万トン)を占めるタイ産・中国産鶏肉も輸入停止となれば、肉類のほかに魚介類などへも代替消費が進み、肉類や魚介類などの価格のさらなる上昇を促し、経済への悪影響がさらに拡大する可能性がある。

 米国産牛肉とタイ・中国産鶏肉の輸入停止が続き、牛肉と鶏肉の供給不足が起こったままの場合、個人消費と輸入の合計で2004年度の名目GDPを▲5414億円(▲0.11ポイント)押し下げると試算している。牛肉と鶏肉の輸入停止が半年で解消する場合は、同▲2707億円(▲0.05ポイント)程度押し下げる試算だ。

 牛肉の輸入停止に比べると、鶏肉輸入停止が日本経済へ与える影響は輸入量が多い分若干大きい。両者の影響が重なれば、前回の狂牛病とほぼ匹敵する影響(2001年度のGDPを▲5778億円押し下げ)に拡大する。さらに、アジア諸国の鳥インフルエンザ被害が拡大すれば、アジア向け輸出や海外旅行の減少を通じて、影響がさらに拡大するものとみている。