書面添付制度とは、税理士が申告書の作成に関し、計算・整理・相談に応じた事項を記載した書面を申告書に添付して提出したときは、税務当局がこの申告書を提出した納税者の税務調査をする場合、その通知前に、税務代理を行う税理士に対して、添付書面の記載事項について意見を述べる機会を与えなければいけないという制度。2001年5月の税理士法改正により、税理士からの意見聴取制度が拡充されたもの。
以後、2008年6月には、国税庁と日本税理士会連合会との間で書面の添付割合の向上等のための具体的な取組み事項で合意し、これを受けて、日税連では2009年4月に「添付書面作成基準(指針)」を定め、それを踏まえ、国税庁では、記載内容の充実した添付書面について意見聴取した結果、実地調査の必要がないと認められた場合には、その旨を原則として文書により税理士に通知することとするなど、制度の積極的活用を推進している。
しかし、財務省が公表した「2008事務年度国税庁が達成すべき目標に対する実績の評価書」によると、今年6月までの1年間(2008事務年度)の新書面添付制度の添付割合は前年度より0.3ポイント増のわずか6.0%、申告件数では14万8000件の約9000件増にとどまっている。意見聴取割合では、逆に3.4%から3.3%に0.1ポイント減少しており、書面添付制度の認知度はまだまだ低いことがうかがえる。
添付割合は税理士の関与があった法人数のうち書面添付がある割合。ちなみに、2008事務年度の法人税申告の税理士関与割合は87.1%となっている。これまでの書面の添付割合の推移をみると、2001事務年度の2.9%以降、2004事務年度が4.6%、2005事務年度が4.9%、2006事務年度が5.4%、2007事務年度が5.7%、そして2008事務年度が6.0%と、少しずつ上昇はしているものの、その歩みは遅い。