国税当局が税金を納めてもらうために税務の執行に要する人件費や旅費、物件費などの一切の費用である徴税費は、すべて一般会計の歳出予算に計上される。2003年度の徴税費当初予算総額は7219億円で、その内訳は、人件費が5686億円と大部分を占め、そのほかでは物件費1286億円、旅費が142億円などとなっている。
また、国税庁が扱っている租税や印紙収入に対する徴税費の割合を税収100円あたりでみた金額(徴税コスト)は、1950(昭和25)年度に2.79円だったものが、2003(平成15)年度には1.78円となっている。
このように徴税コストが低下したのは、国民経済の伸張にともなって租税収入が大きく増加したのに対し、税務執行を担当する国税職員数はほぼ一定で、かつ、年々増加する事務量に対処するためIT活用など効率的運営に努力してきた結果、徴税費がそれほど増えなかったためと考えられる。
徴税コストの低下は、一定金額の税収をあげるためのコストを低下させるという意味で、税収確保の効率化という面では好ましいことだが、徴税費は公平確保のための原価でもあり、単に税収額との比較だけでは評価し得ない面もある。つまり、脱税などを見逃さないために必要なコストは、少々徴税コストがあがろうと十分かけるべきだということになろうか。