わが国は現在65歳雇用制度を迎えつつあるが、一方で、これまで雇用延長のネックとなっているのが、年功的な賃金制度や人事制度の存在である。産労総合研究所が実施した「中高年層の処遇に関する実態調査」結果(有効回答数337社)によると、「一定年齢で何らかの賃金減額を行う」企業が32.0%と、1997年調査の65.0%から半分に減少していることがわかった。1993年の同調査開始以来、賃金減額を行う企業は一貫して減少している。
賃金減額を行う企業の内容をみると、全社員を対象とする企業が79.6%と8割を占め、「一般職のみ」(7.4%)や「管理職のみ」(1.9%)を対象とする企業は少数派である。賃金減額を開始する年齢は「55歳」が51.2%ともっとも多い。減額の対象となる賃金項目は、「基本的賃金(本給や基本給など)」が89.8%ともっとも多く、次いで「賞与・一時金」が36.1%。平均的な減額率は、基本的賃金が13.9%、賞与・一時金が35.3%だ。
また、役職定年制度を導入している企業は40.4%であり、そのうち7割(69.9%)が「すべての役職について、同一年齢で一律に設定」している。役職は「主任以上」(41.1%)がともっとも多く、次いで「課長以上」(28.4%)、「係長以上」(11.6%)と続く。役職定年(解任)年齢は平均55.6歳である。役職定年後の基本賃金は「変わらない」(50.7%)が半数、役職手当は「支給しない」(39.7%)が4割となっている。
早期退職優遇制度を導入している企業は28.5%と3割弱でで、そのうち7割(69.2%)が「一定年齢以上を一律に対象」としており、対象年齢の平均は49.2歳である。退職金優遇の内容は「会社都合(定年扱い)の係数+特別加算金」が50.0%と半数を占める。早期退職優遇制度の運用状況は、「制度はあるが、選択者は少ない」企業が56.7%と過半を占めるものの、「毎年利用者がいる」企業も4割近い35.6%にのぼる。
同実態調査結果の詳細は↓
http://www.e-sanro.net/sri/ilibrary/pressrelease/press_files/srip_061003_2.pdf