ゼイタックス

経営関連情報 (2007/01/29)

今年の春闘賃上げは1.89%と予測~第一生命経済研

 第一生命経済研究所が24日に発表した「緩やかな賃上げ、決定要因に変化が」と題したレポートによると、今年の春闘における主要企業の賃上げ率は1.89%になるとの予測結果を明らかにした。昨年の実績1.79%(厚生労働省調査)からは0.1%程度の改善にとどまる。また、生活水準(実質購買力)維持の観点から物価上昇分に見合った賃上げが実施されるのは2009年度以降になるとの見通しを示した。

 2007年の春闘を展望すると、組合側は景気拡大が戦後最長を更新したことを背景に企業利益の労働者への配分増、賃金改善を求めているが、経営側は横並びの賃上げを否定している。企業は資本効率を高めて収益率をより向上し、最終的には株主への配当還元を強く意識せざるを得なくなったことから、同じ業種でも企業によって業績に大きな差がつく場合には、かつてのような横並びの一律賃金引上げはありえなくなる。

 もっとも、今回の春闘は、企業収益の回復や景気見通しの改善などの外部環境を背景に、昨年よりも賃金改善の要求に応じる企業割合が増加する可能性はある。足元の賃上げ率の主な決定要因をみると、企業収益は底堅く推移し、団塊世代の退職等を背景に労働需給も改善している。こうした状況を踏まえ、2007年の春闘賃上げ率は1.89%、これによって2007年度の個人消費は0.4%程度押し上げられると予測している。

 また、失業率は2008年度中に完全雇用水準である3.5%程度にまで低下する見込だが、わが国の労働需給と定期給与の安定した関係からすれば、労働需給が完全雇用水準までひっ迫しても定期給与の伸び率は+1.3%程度までしか加速しない。したがって、生活水準維持の観点から物価上昇分に見合った2.0%を超える本格的な賃上げが実施されるのは、2009年度以降の春闘になるとの見通しだ。

 同レポートの全文は↓
 http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/news/pdf/nr2006_20.pdf