国税庁はこのほど、文書回答手続きを見直し、3月29日以後に受け付けた事前照会から、特定の納税者の個別事情に係るものについても、一定の要件に該当しない限り、文書回答手続きの対象とすることにした。文書回答は、個別の取引等に関する事前照会が多数の納税者にも関係するような場合は、納税者の予測可能性が高められることなどから、税務上の取扱いなどを国税庁が無料で回答するもの。
文書回答手続きの対象となるには、事前照会者が自ら実際に行う取引であって、1)取引に係る国税の申告期限前(源泉徴収等は納期限前)の事前照会であること、2)照会内容や回答内容などが公表されることに、照会者・関係者の同意が得られることなどの要件を満たす必要がある。
今回の文書回答手続きの見直しにあったては、自ら行わない取引であっても、国税当局が回答することに有用であるなどと認めた場合は、同一の業種・業態に共通する取引であって、事実認定を要しない同業者団体等からの照会を受け付け、一般的な回答を行う手続きも別途設けている。こちらも、3月29日以後に受け付けたものから適用している。
文書回答手続きの対象にならないものとしては、1)回答の結果次第で取引するかどうかを決めようとしているものを含め、取引の事実関係などに仮定や選択の余地があるもの、2)役員の過大報酬の判定や個々の相続財産の評価に関するものなど、個々の財産の評価や取引等価額の算定・妥当性の判断に関するもの、4)取引の主目的が国税の軽減であるものや通常の経済取引としては不合理と認められるもの、などがある。