税 務 関 連 情 報

2003年06月04日-003
納税者番号制度とメリット

 なにも当局側のメリットだけではない。納税者側の利便性である。政府税調が納税者番号制度の導入を検討するという。金融所得課税一元化の検討に伴い、優遇税制を望む人には納税者番号を付けるという選択性である。使う側、納税者のほうのメリットを重視した議論をした上で導入を考えていこうということである。

 諸外国をみてみると、結構、そのような納税者側にも利便性があるシステムになっているのだ。政府税調の奥野金融小委員長の視察報告の紹介である。典型的なのは北欧方式である。例えば、わが国のサラリーマンの場合、源泉徴収されて年末調整という所得計算を雇用主が代行している。雇用主がコストを負担するわけだが、北欧方式は、そのような部分を全て当局側がやるそうである。

 つまり、所得の計算、それに伴う税額の計算を全部当局側がやって、それを納税者本人に通知する。そういう意味では、納税費用を国の側が負担していることになる。また、金融所得にしても、わが国なら個人や証券会社が負担するところを当局が負担している。その前提に納税者番号制度があるわけで、年度末にある人の勤め先の雇用主がいくら賃金を払ったかというデータを個人登録番号とともに当局に送る。

 わが国であれば、そのようなデータを個人も持っているわけだから、個人が納税申告をするが、北欧の場合は、そのデータを受けて当局側が申告書を作成して、所得や税金を記した書類を送る。本人が納得すれば、それで申告は終了するが、いやだったら修正するという仕組みである。

 わが国の納税者番号制度の導入も、当面は、このような納税者のメリットを考えた限定的な範囲での制度を先行することになる。もっとも、制度を全面的に導入すれば、納税者にとっては課税の公平確保という大きなメリットがあると個人的には考えるが、いかがなものだろうか。

ホームへ戻る

 

 

 

Copyright(C) 2001-2003 TAXCOM Co.,Ltd. All rights reserved.