景況感の悪化に歯止め、消費者心理は小幅な改善
日本リサーチ総合研究所が、6月上旬に実施した「消費者心理調査」では、6月の生活不安度指数は137となり、前回5月(140)から3ポイント低下、2010年12月調査(136)以来3調査ぶりに改善となった。生活不安度指数は、消費者の景気、雇用、収入、物価等に対する見通しの変化を反映した消費者心理の総合指標ともいうべきもの。同指数が低いほど、今後1年間の暮らし向きは「良くなる」とみられている。
調査結果(有効回答数:全国の18~79歳の男女1153人)によると、生活不安度指数は、08年12月(165)に過去最悪となって以降は改善に転じ、10年6月に直近の景気後退期以前の135まで回復した。以降は、先行き不透明感から一進一退となり、3月の東日本大震災を受け、5月は140へと悪化、6月は震災直前の2月(138)の水準を回復し、消費者心理は小幅な改善を示している。
消費者の先行き景況感は、6月は「良くなる」との回答割合が6.7%、「悪くなる」が62.4%となった。次に、6月の雇用(失業不安)の先行き見通しでは、「不安」が67.4%で、5月からわずかに増加した。他方「不安なし」は29.7%で、5月からわずかに減少、3調査ぶりに30%を下回る結果となっている。雇用見通しは、震災前後では小幅な変化にとどまっていたが、6月は不安見通しがやや強まっている。
また、収入の先行き見通しについては、「増える」との回答割合が11.5%、「変わらない」が43.0%、「減る」が36.3%だった。5月と比べ、「増える」は微増、これに対して、「減る」はほぼ横ばい、「変わらない」も5月とほぼ横ばいの水準を維持している。さらに、6月の物価の先行き見通しでは、「上昇」見通しの人が68.3%、「変わらない」が18.3%、「下がる」人は2.9%となった。
「上昇」見通しは5月から横ばいで、うち「大きく上がる」見通しも5月からほぼ横ばいと依然高水準で推移する一方、「下落」見通しは、08年10月の水準まで減少した。これらを背景に、6月の消費者心理は、震災前の水準を回復した。雇用や収入の先行きに不透明感は残るものの、前回大幅悪化となった景況感はひとまず底を打っており、先行きは震災からの復旧復興とともに改善への動きへつながることが期待されている。
同調査結果の概要は↓
http://www.research-soken.or.jp/reports/csi/196.html