ゼイタックス

税務関連情報 (2003/12/08)
総額表示に伴う納入業者への値下げ強要は違反行為

 来年4月からの消費税の総額表示の義務化に伴い、公正取引委員会は3日、小売業者がその優越的な地位を利用して納入業者に仕入価格の引下げを強要するなどの行為は独占禁止法に違反することなどを、事例を公表して、不当な行為が行われないように監視するとともに、違反行為には厳正に対処することを明らかにした。

 税込の価格である総額表示が実施されると消費者に値上げしたかのような印象を与えることから、今までの税抜き価格をそのまま税込の販売価格として、実質的に消費税分だけ販売価格を値下げすることは違法ではない。しかし、小売業者が納入業者に対して取引上優越的な地位にある場合に、その値下げのために、納入業者からの仕入価格を一方的に引き下げることは、独禁法上問題となると警告している。

 小売業者が優越的な地位にあたるかどうかの判断は、納入業者の小売業者に対する取引依存度やその小売業者の市場における地位、販売先の変更可能性、商品の需給関係などを総合的に考慮するとしている。例えば、納入業者にとって、その小売業者と取引できなくなると経営上大きなダメージとなることから、値下げ要求を受け入れざるを得なくなる場合などは違反対象となる。

 このほか、納入伝票を税込価格とするためには、納入業者側にシステム変更などの費用負担が必要となるにもかかわらず、小売業者側は費用をまったく負担せずに、十分協議せず一方的に変更を求めることも違反となる。また、店舗内の値札の税込価格への付け替え作業のために、納入業者と十分協議せずに一方的に従業員の派遣を要請することにも問題があるとしている。