銀行法の一部改正によって、この4月から銀行代理店業務が一般事業者にも本格的に解禁された。銀行代理店とは、銀行の委託を受けて銀行の業務を行うもので、代理業務には一定の制限がある。従来の銀行代理店は代理業務に専念することとされ、例えば銀行の100%子会社に限定され、代理業務以外の業務の兼業が禁止されるなど、厳しく制限され、ほとんど銀行代理店制度は活用されていなかった。
今回の改正で、銀行の100%子会社の規制が撤廃され、他の業務との兼業が可能になり、新規参入の門戸が広く解放されたが、金融監督当局の許可が必要だ。許可の要件は、1)代理業務の遂行能力及び社会的信用、2)財産的基礎、3)他業兼業により代理店業務の遂行に支障をきたすおそれがない、などがある。また、委託元銀行の明示、商品・サービス内容の説明を義務付け、抱合せ販売の禁止などの規制が課される。
銀行代理店は、預金、為替、貸付といった幅広い商品・サービスを取り扱えるが、一般事業者による事業向け貸付の代理などは原則として認められない。代理店に委ねられる具体的な業務としては、1)ATMで対応できない預金口座の開設、2)大口の預金取引や送金、3)小口・定期的な消費者向けローンの媒介など、定型的な有人サービスが想定されている。
金融庁では、新しい銀行代理店制度の具体的な活用例として、1)地域の百貨店・量販店・生協などが代理店カウンターで口座開設を受け付ける、2)自動車販売店が自動車ローンの勧誘・取次ぎを行う、3)住宅展示場の宅建業者が住宅ローンの勧誘・取次ぎを行う、4)ホテルのフロントに代理店カウンターを設けて高額の預金・送金を行う、5)旅行代理店のカウンターで外貨預金や両替を行う、などを挙げている。