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破産会社の関係会社への求償権行使は不可能と裁決

税務関連情報 - 2008年08月27日

 破産会社が関係会社の負債の弁済義務を負うとした確定判決に基づいて、破産会社が関係会社の負債を支払った弁済額の損金算入の可否が争われた事案で、国税不服審判所は、確定判決に基づく弁済額の支払いであっても、破産会社が関係会社に求償権を行使できない状況にあるから、弁済した額を支払った事業年度において損金算入が認められると判断して、税務署の処分を全部取り消したことが分かった。

 この事案は、収入金額の漏れを理由に税務署が破産会社に対して更正処分を行ったことが発端になったもの。つまり、取引のある会社が法人格否認の法理に基づいて、破産会社の関係会社に有していた貸金債権の履行を破産会社に求めた訴訟で、その請求が全部認容された確定判決に従って破産会社が支払った遅延損害金の損金算入の可否が争点になっていたというものだ。

 税務署は、破産会社が遅延損害金の支払義務を負うことを確定したとしても、仮に破産会社が遅延損害金を弁済すると、関係会社に対する求償権を取得するから、最終的な負担額が確定していないとした。また、求償権が回収不能だとしても、貸倒損失の損金算入には損金経理が前提になるとも指摘。破産会社はその損金経理をしていないから、貸倒損失を計上できないと主張していた。

 これに対して裁決は、破産会社が貸金債権の弁済義務を負うに至った経過や関係会社の財産状況等を考えれば、破産会社が配当金相当額の最終的な負担者になることは明らかであったと認められるから、そうした状況にある求償債権を形式上、資産計上しなればならないとすることは相当ではないと指摘。破産会社は、配当金相当額を損失として損金算入できるとして、税務署の処分を全部取り消す裁決を下している。