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不利益規定は公布日以降適用と明言~加藤主税局長

税務関連情報 - 2008年04月21日

 2008年度税制改正法案は年度末の3月31日に成立せず、期限切れとなった租税特別措置の取扱いが気になるところだ。期限切れとなると国民生活が混乱する怖れがある租税特別措置7項目及び自動車取得税の免税措置等の期限は5月末まで2ヵ月延長されたが、それ以外に実務的に影響が大きいものも少なくない。例えば、研究開発促進税制や交際費等の損金不算入制度などが期限切れとなっている。

 こうした期限切れとなっている租税特別措置の取扱いについて、財務省の加藤治彦主税局長は4月15日の参院財政金融委員会において、民主党の水戸将史議員の質問に答え、税制改正法案が施行日である4月1日を過ぎて成立した場合は、「原則として法律は遡って適用されると考えている。ただし、不利益不遡及の原則があるので不利益な規定は、公布日以降に適用される」と明言した。

 また、加藤局長は、ガソリン税などの暫定税率が復活した場合について、「揮発油税は蔵出し税なので製造場からの移出段階で納税義務が発生する。その発生日がたとえ4月1日以後であっても、法律の成立が遅れている場合は、その間はもはや遡及できない。納税義務がすでに確定しているので増税になるような規定は適用できない。あくまでも納税義務の発生時点がいつかということで判断していく」と答弁している。

 そうなると、遡及すると増税となるが、交際費の損金不算入制度は「開始する各事業年度」ベースで適用するものなので、従来の措置法で会計処理できる。ただし、「終了する各事業年度」ベースで適用する欠損金の繰戻しによる還付の不適用や、支出ベースで適用する使途秘匿金の支出がある場合の課税の特例などは、遡及できないことになる。加藤局長は、法案が成立したら各措置の具体的な適用関係を明確化するとしている。