日本学術会議は4日、脱タバコ社会に向けた要望を公表し、職場・公共の場所での喫煙の禁止やタバコ自動販売機の設置の禁止などとともに、タバコ税を大幅に引き上げ、税収を確保したまま、タバコ消費量の減少を図ることを提言した。タバコ価格の引上げはタバコ規制にとって不可欠な施策とされているが、2006年に実施されたタバコ税・価格の引上げは1本1円の小幅なものにとどまったことから、さらなる引上げを求めた。
同提言は、 (1)タバコの価格引上げは、消費を単独で減らすことができるもっとも有効な方法であり、紙巻タバコの価格を10%引き上げると、高所得国では5%、低・中所得国では8%までの低下につながる、(2)全世界でタバコ税10%の増税による紙巻タバコ価格の引上げは、実際には税収を7%増加させ……世界中で喫煙者が推定4200万人減少し、1000万人の命が救われる、との世界保健機関(WHO)による指針を紹介している。
一方、日本政府はこれまでタバコ税の引上げについて、タバコ消費を減少させるための観点からその必要性を議論することには消極的だった。このため、現在でもわが国のタバコの負担(消費税を含め一箱につき約189円)の水準は、同じ喫煙率の高いドイツに比べても、その半分程度に過ぎず、英国の一箱につき付加価値税を含め約4.0ポンド(約944円)よりはるかに低いと指摘した。
その上で、日本政府に対し、現実的な第一段階として、現在のタバコ税を2倍に引き上げることを検討するよう要望。現在のタバコ税を一箱につき180円増税すると、税収は約2.1兆円増加し、タバコの消費量は4分の1減少し、喫煙者数は最低でも200万人以上減少するとの見込を示し、タバコ税の増税により、税収を確保したまま、喫煙量や喫煙者数を減らす効果が期待できることは世界共通の認識となっていることを強調した。
同要望の詳細は↓
http://www.scj.go.jp/ja/info/kohyo/pdf/kohyo-20-t51-4.pdf