内閣府の男女共同参画会議専門調査会が9日に発表した「企業が仕事と生活の調和に取り組むメリット」に関する報告書は、女性従業員が出産後も働き続ければ、出産で退職する場合などより、大企業で22万円、中規模企業で16万円のコスト削減となるとの試算を示した。報告書は、企業が仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)に取り組むメリットについて整理し、17社の取組み事例や定量的なコスト情報を提供するもの。
両立支援や柔軟な働き方に関する企業の取組みでは、例えば、育児や介護、病気、受験、家事都合など、取得理由を限定しない勤務時間選択制度(短時間勤務制度)を導入している従業員300人以下の製造業を紹介。この取組みによって、従業員の定着や満足度、仕事への意欲の向上などにつながり、また、従業員の多様な経験の蓄積による創造性の高まり等が業務に活かされるなどの効果がみられるとしている。
コスト情報では、女性従業員が出産を機に退職し人員を補充するケース(A)と、育児休業を取得し短時間勤務を行う就業継続のケース(B)のコスト比較を示した。ケースAでは、中規模の企業(従業員100~999人)で、女性従業員が出産で退職し、3ヵ月後に中途採用者を補充する場合、中途採用者の給与や欠員補充までの業務代替費等の費用がかかり、退職者に支払うはずだった給与を差し引くと、1人あたり88万円のコストとなる。
一方、ケースAでは、同じ女性従業員が就業を継続した場合、休業期間中(短時間勤務)の有期雇用者給与や業務を代替する有期雇用者給与等の費用がかかり、女性従業員への支払いを節約できる給与を差し引くと、1人あたり72万円のコストとなる。この結果、ケースBのほうが16万円のコスト削減となる。それに加え、それまで培われた従業員の知識や経験の損失を防ぐことができる、とのメリットを挙げている。
同報告書の詳細は↓
http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/wlb/index-wlb200409.html