労災保険率の引下げやメリット制適用対象を拡大
小宮山洋子厚生労働相は5日、労働政策審議会(会長:諏訪康雄法政大学教授)に、労災保険率を現行より平均で0.6/1000引き下げることなどを盛り込んだ「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則の一部を改正する省令案要綱」を諮問した。過去3年間の災害発生率などを基に、原則3年ごとに改定している労災保険料を算出するための労災保険率の改正などを行う。改正案が了承されれば、2012年4月1日から施行予定。
まず、労災保険率の改正案としては、労災保険率を、2012年4月1日から平均で5.4/1000 から4.8/1000へ、0.6/1000引き下げる。労災保険料を算出するための労災保険率は、厚労相が55の業種ごとに定め、過去3年間の災害発生率などを基に、原則3年ごとに改定しているが、今回引下げ35業種、据置き12業種、引上げ8業種を実施する。ちなみに、最低(金融業・保険業など)2.5/1000~最高(トンネル新設事業など)89/1000。
一方、労災保険には、個々の事業場の災害発生率に応じて労災保険料を-40%~+40%の幅で増減する「メリット制」がある。これは、同一の業種でも事業主の災害防止努力などによって災害発生率に差があるため。建設業と林業で、メリット制の適用要件である確定保険料の額を、現行の「100万円以上」から「40万円以上」に緩和し、適用対象を拡大。これにより、事業主の災害防止努力により労災保険料が割引となる事業場が増える。
確定保険料とは、使用した労働者に実際に支払った賃金総額に、労災保険率を乗じて算定する労災保険料のこと。メリット制が改正されると、一括有期事業の場合、年間の確定保険料が40万円台で、現在はメリット制の対象でない事業場でも、2012年度以降、メリット制の対象となる。例えば、「建築業」で保険料が年間41万円、過去3年間無事故の場合、メリット制により、確定保険料が29.3万円(11.7万円の減)となる。
この件の詳細は↓
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001x055-att/2r9852000001x09m.pdf