夫の仕事時間が長いと妻の満足度が低下
労働時間の問題を考える際には、働く人自身や使用者としての企業の視点が重要だが、「もう一つ」の視点として、ワークライフバランスの視点も同様に重要とばかりに、夫の労働時間をその健康面を含め妻がどのように考えているのか、また、夫の労働時間の長さが妻自身の就業面などの生活設計や満足度にどの程度影響しているのかを知るため、労働政策研究・研修機構が「労働時間に関するアンケート調査(妻調査)」を行った。
普段の日、夫が出勤する時刻はある程度決まっていることが多いが、帰宅する時刻は日によって違う。調査結果(有効回答数5060人)によると、夫が出勤のため家を出てから帰宅するまでの時間(仕事外出時間)は11~13時間台であるとする妻が4分の3を占めているが、14 時間以上も13.4%いる。夫の仕事時間を「もっと短くして欲しい」と考えている妻は33.0%で、夫が中間的な管理職にある場合に相対的に多くなっている。
結婚当時に妻が抱いていた家事分担イメージが実現できている妻は48.6%にとどまり、「ほとんど実現していない」が18.1%、「どちらともいえない」が24.9%となっている。「夫婦で協力・分担」など夫の家事参加を求める家事分担イメージでは相対的に実現度が低くなっている。また、夫の仕事外出時間が長い妻ほど、また夫が休日出勤など定常外の仕事行動をする頻度が高いほど実現度が低くなっている。
妻の満足度をみると、満足度は「まあまあ満足」域にあるが、「夫の夫自身の健康配慮度」への満足度のみは「満足」と「不満」の境界域にあり、夫に対して夫自身の健康にもっと気をつけて欲しいと思っている妻が多い。普段の日の夫の仕事外出時間別に満足度をみると、「夫自身の健康配慮度」や「家事参加度」、「家族関心度」といった夫の行動面に関する妻の満足度は、仕事外出時間が長くなるほど低下傾向がみられた。
同調査結果の詳細は↓
http://www.jil.go.jp/institute/reports/2011/documents/0127.pdf