4月1日以降取得する減価償却資産については残存簿価1円まで償却できることになったが、留意すべき点が多いのは修理や改良などの資本的支出の取扱いである。改正法では、既存の減価償却資産に対して2007年4月1日以後に資本的支出を行った場合は、原則、その支出金額を固有の取得価額として、既存の減価償却資産と種類・耐用年数を同じくする減価償却資産を新たに取得したものとされた。
ただし、取得価額の特例として、3月31日以前に取得された既存の減価償却資産に資本的支出を行った場合は、資本的支出を行った事業年度において、従来どおり、その支出の対象となった減価償却資産の取得価額に、この資本的支出を加算することができる。ただし、この場合は、改正前に取得された資産の種類や耐用年数、償却方法に基づいて、加算を行った資本的支出部分も含めた減価償却資産全体の償却を行っていく。
また、資本的支出の対象資産である既存の減価償却資産(旧減価償却資産)と資本的支出(追加償却資産)について新定率法を採用しているときは、資本的支出を行った事業年度の翌事業年度開始のときにおいて、旧減価償却資産の帳簿価額と追加償却資産の帳簿価額との合計額を取得価額とする一の減価償却資産を、新たに取得したものとすることができる。この場合は、旧減価償却資産の種類・耐用年数に基づいて償却を行う。
さらに、事業年度内に複数回支出した資本的支出について新定率法を採用し、かつ、個々の資本的支出について上記の適用を受けないときは、その資本的支出を行った事業年度の翌事業年度開始のときにおいて、その資本的支出のうち種類・耐用年数を同じくするものの帳簿価額の合計額を取得価額とする一の減価償却資産を新たに取得したものとすることができる。この場合も、旧減価償却資産の種類・耐用年数に基づいて償却を行う。