百年に一度という金融危機のなか、多くの企業は急速に業績が悪化しており、企業倒産の増加が懸念される。企業が倒産すると多くの従業員が職を失う。帝国データバンクがこのほど発表した「倒産企業の従業員数調査」結果によると、2008年の倒産企業の従業員数は12万3477人だった。前年比では35.1%の大幅増加で、4年ぶりに10万人を超えた。これまでのピークは2001年の19万4507人。
1社あたりの従業員数は9.7人(前年8.3人)で、不動産業を中心とした大型倒産が続発した7月以降、6ヵ月連続で1万人を超える高水準で推移し、年後半にかけて増加基調が強まった。業種別にみると、「建設業」が3万700人(前年比58.0%増)で全体の約25%を占めるが、「運輸・通信業」(1万852人、前年比98.8%増)や「不動産業」(6436人、同413.6%増)での増加も目立つ。
件数では、「10人未満」(9801件)が構成比77.3%を占め、「10人以上50人未満」(2412件、構成比19.0%)が続く。一方、従業員数でみると、「10人以上50人未満」(4万7297人、同38.3%)がもっとも多く、次いで「100人以上300人未満」(2万1823人、同17.7%)。「10人未満」の件数が圧倒的に多く、小規模倒産が中心であることに変わりはないが、「300人以上」、「100人以上300人未満」が急増し、全体の従業員数を押し上げた。
態様別にみると、破産や特別清算の「清算型」が7万9106人で構成比64.1%(前年69.8%)を占めた一方、民事再生法や会社更生法の「再建型」が4万4371人で構成比35.9%(同30.2%)まで増加した。建設業やサービス業を中心に、会社更生法を申請する、従業員を多く抱える企業が増加したことに加え、「早期申請、早期再生」の考え方が浸透したことにより、民事再生法の申請が増加したことが影響している。