札幌商工会議所は、今年7月1~31日の1ヵ月間にわたり、札幌市内・道内企業・団体・官公庁などを対象とした導入社会実験「サマータイム月間」を実施する。サマータイム制度は、夏の間だけ時計を進め、明るい時間帯を有効に活用しようとするもの。現在では、日本・韓国などわずかな国を除き世界中の中高緯度地帯で導入されている。
北海道は、日本標準時を定めた明石より緯度で約6度東に位置し、かつ、わが国で最も高緯度に位置することから夏季における日中時間が札幌で東京や大阪などに比べ約1時間長く、日本で最も夏季時間導入に適した自然環境にあるという。導入実験参加企業は、7月中の1ヵ月間(1週間以上であれば一定期間でも可)、日本標準時よりも1時間早めたスケジュールで仕事を行う。1時間早く出社して1時間早く退社することになる。
札幌商工会が昨年9月に「北海道サマータイム」導入による経済効果を試算したところ、観光・レジャー・趣味娯楽などに対する直接効果で約900億円(1日2時間で半年間実施した場合で換算)、さらに波及効果を含めると1100億円を超える新たな消費行動が誘発されるとの結果が出た。一方、これに伴うコンピュータ関連及び様々なシステム変更の費用が約41億円と試算され、差引で約1100億円以上の導入効果が期待できるという。
サマータイム制を現在のような不況下で導入すれば、中小企業などで労働時間の延長につながるとの危惧や、飛行機や鉄道などの北海道・本州間のダイヤのズレ、本支店間の連絡や代金決済問題など多くの問題点が指摘されている。しかし、これらを上回る経済効果が見込め、何よりも労働者の余暇時間が増えることでよりゆとりのある生活が実現できれば、それに越したことはない。実験結果が注目される。