上場株式等の売買益・配当金等に係る10%の軽減税率は今年末で期限切れとなるが、来年から2年間は一定金額までの売買益・配当金等について10%の軽減税率が適用される「特例措置」がある。しかし、日本証券業協会が全国20歳以上の証券保有者を対象に実施した「個人投資家の証券投資に関する意識調査」では、2008年度税制改正で大幅に見直された証券税制の内容の認知度が全般的に低いことが明らかになった。
調査結果(有効回答数1051人)によると、新証券税制に対する意識では、10%の軽減税率が本年末で廃止されることを「知っている」との回答は33.2%にとどまり、「知らない」が62.2%と約3分の2を占めた。さらに、来年から2年間、一定金額までの売買益・配当金等については軽減税率が適用される「特例措置」も、「制度の内容を知っている」のは、軽減税率廃止を知っている者のうちの30.4%に過ぎなかった。
また、2009年1月から上場株式等の売買損益と配当金との損益通算が可能になるが、これを「知っている」は14.7%に過ぎず、「知らない」(83.9%)が大きく上回る。損益通算が必要と感じる金融商品(複数回答)については、「公社債の利子や取引から生じる損益」(62.4%)と「公社債投(資)信(託)の分配金や取引から生じる損益」(61.6%)が多く、「預貯金の利子」(35.7%)、「デリバティブ取引の損益」(29.3%)などが続く。
幅広く損益通算をするために確定申告が必要になった場合の対応としては、「確定申告を行う」(38.4%)がもっとも多く、次いで「事務負担が小さければ行う」(30.8%)、「通算できる金額が大きければ行う」(25.5%)と続いている。一方、「確定申告を行わない」はわずか1.9%にとどまる。以上の調査結果を見る限りでは、大幅な制度改正を行う以上にその後の周知徹底が今後の証券市場の発展につながりそうといえる。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.jsda.or.jp/html/chousa/kojn_isiki/h20-2.pdf