サービス業を中心に増加が目立つ震災発生後の倒産
東京商工リサーチは、震災後の4月~6月の3ヵ月間に発生した企業倒産のうち、震災前の1月~3月に比べ、倒産件数が増勢に転じたり増加に拍車がかかった主な業種をピックアップして発表した。それによると、2011年4月~6月の「飲食業」倒産は前年同期比22%増、「宿泊業」倒産は同2倍増、「旅行業」倒産は同87.5%増、「衣料品・化粧品小売業」倒産は同2.7倍増と、増加が目立った。
2011年4月~6月の「飲食業」倒産は、前年同期比22.0%増(177→216件)だった。1月~3月が同9.8%減(223→201件)と減少基調だったことから倒産の増加ぶりが目立つ。店舗の直接被災による倒産は2件と少ないが、低価格化が進むなかで計画停電や自粛ムードの高まりで客足が減少したことが影響しているとみられている。次に、2011年4月~6月の「宿泊業」倒産は、同132.0%増(25→58件)と急増した。
「宿泊業」の1月~3月の倒産は前年同期比3.5%増(28→29件)とほぼ横ばいだったが、震災で倒産増加に拍車がかかった格好だ。自粛ムードで予約キャンセルが増加したほか、福島第一原発事故の影響から外国人観光客の大幅減少も加わり、各地の旅館、ホテルの経営は大きな打撃を受けたことがうかがえる。また、2011年4月~6月の「旅行業」倒産は、同87.5%増(8→15件)となった。
「旅行業」の1月~3月の倒産は前年同期比31.2%減(16→11件)と落ち着いていたが、震災直後の4月と大型連休明けの6月に急増している。宿泊業と同様に予約キャンセルが増加し、小規模な業者ほど苦境に陥っている。そのほか、2011年4月~6月の「医薬品・化粧品小売業」倒産は、同175.0%増(8→22件)と大幅に増えた。1月~3月は同25.0%減(12→9件)だったが、震災で状況は一変した。
「医薬品・化粧品小売業」は、元々、大手ドラッグストアの進出で価格競争は激化しているが、倒産企業のなかには顧客が被災して代金を回収できなくなった配置薬会社、仕入先が被災して兆品調達が困難になり事業継続を断念したドラッグストアなど、震災が深く関わっているケースも多い。以上のように、震災関連の倒産は、製造業より個人消費に関わるサービス業での増加が目立つ結果となっている。