今年の新入社員は上司や先輩との人間関係づくりに飲み会や社員旅行、運動会への参加が有効と考えていることが、日本能率協会が実施した「2008年度新入社員・会社や社会に対する意識調査」で明らかになった。同協会では、「将来不安の高まりを反映してか、新入社員は安定化志向が進んでおり、それ故に上司や先輩と友好な関係を持ちたいと考えているのではないか」と分析している。
調査結果(有効回答数1334人)によると、就職活動に望む気持ちとして「気に入った会社や仕事に就けるかどうかよりも、就職することを最優先」との回答が年々高まり、76.3%と8割近くを占めた。実際の就職活動での会社を選ぶ基準は「自分のやりたい仕事ができる業種」(31.2%)がトップだが、入社を選択した理由では、「雰囲気が良い会社」(25.1%)を選ぶ傾向が強まっており、会社へのこだわりよりも就職第一の安定志向がうかがえる。
上司・先輩との人間関係構築に有効だと考えること(複数回答)は、「飲み会への参加」が約9割でダントツとなったほか、「社員旅行」、「昼食を共にする」、「運動会」が過半数を超え、就職した会社の雰囲気に早く溶け込みたいといった意識が感じられる。その背景として、10年後の日本社会は「より良い社会になっていないと思う」(55.0%)との回答が年々増加して今年は過半となり、将来への不安が高まっていることが読み取れる。
一方、転職・独立志向の5ヵ年推移をみると、「定年まで勤めたい」が徐々に増加しており、今年は33.4%と、就職氷河期の2004年と比べ9.4ポイント増加。また、転職・独立を志向する目的では「やりがいのある仕事をしたい」との回答が49.5%だが、4年前と比べると約10ポイント低下した。他方、会社の魅力を「実力主義の会社」とする回答は、ここ数年減少傾向にあったが、今年は昨年比5.3ポイント増の56.8%と増加に転じた。
企業内の実力主義を容認するものの、独立志向はやや減少傾向にあり、「実力主義=独立」とはならないようだ。就職した会社内で自らのキャリアを築いていきたい傾向がうかがえる。
同意識調査結果の詳細は↓
http://www.jma.or.jp/news_cms/upload/release/release20080423_f00020.pdf