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震災の影響を受けた企業は62%、うち34%が売上増

経営関連情報 - 2011年11月25日

 電通と電通国際情報サービスは、大阪経済大学の江島由裕教授の協力を得て、震災の影響を受けた「中小企業の経営実態調査」を行った。日本全国の中小企業1000社を対象に、震災の影響を受けた中小企業の経営実態を把握し、経営課題、事業課題、資金課題を調べた。特に、地方経済の低迷を受け金融機関による企業向け貸出が鈍化する中、彼らの預貸率の悪化を食い止め、地域経済の資金循環を活性化させるヒントを探った。

 調査結果によると、全国の中小企業のうち、ビジネス面で震災の影響を受けた企業は62.2%(甚大な影響があった:10.7%、ある程度影響があった:51.5%)にのぼり、震災は多くの中小企業のビジネスに影響を与えていることが明らかになった。震災の影響を受けた中小企業の中でも、現在、売上増加傾向の企業は33.7%、黒字基調の企業は76.1%あり、業績が改善しつつある企業が多いことがうかがえる。

 企業の経営姿勢を表す3つの要素(革新性・先進性・積極性)の値が高い企業の売上の増加傾向が43.3%と著しく、値が低い企業の売上増加傾向10.6%と比べて4倍の開きがみられる。経営ビジョンを有し、行動としてそのビジョンが浸透している企業は、そうでない企業と比べ、売上増加傾向(41.8%)や黒字基調(87.0%)が強く、経営ビジョンの浸透も経営成果を大きく左右する重要な役割を担っていることが分かる。

 中小企業が自社の経営課題に関して、社外で最も頼りになる相談相手としているのは、「顧問税理士(23.3%)」、「関連会社(13.2%)」、「仕入・販売先(11.5%)」の順で、中小企業の事業支援を期待される「金融機関」は第4位(11%)に留まっている。金融機関と経営情報を共有することにより得られる付加的なメリットへの期待が低くなっていることがうかがえる。

 同調査結果は↓
 http://www.dentsu.co.jp/news/release/2011/pdf/2011135-1118.pdf