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金融庁、小口の継続的長期投資非課税の創設を要望

税務関連情報 - 2008年09月03日

 金融庁はこのほど、2009年度税制改正に向けて、「日本版ISA」(小口の継続的長期投資非課税制度)の創設と「高齢者投資非課税制度」の導入を柱とする要望を公表した。今回の要望では、「貯蓄から投資へ」の流れの促進の観点から、そのほか、(1)証券税制の特例措置における投資家利便への配慮、(2)確定拠出年金(401k)制度の充実、(8)金融商品間の損益通産の範囲の拡大などを盛り込んでいる。

 「日本版ISA」は、小口投資家向けに、毎年一定額まで(例えば100万円)の上場株式等への投資に対する配当を非課税とするもので、英国で導入されている「ISA(個人貯蓄口座)制度」の日本版。長期安定保有を促す観点から、当面10年間の時限措置とする。例えば、毎年の投資限度額を100万円とした場合、1000万円(100万円×10年間)まで非課税での累積投資が可能となる。

 また、「高齢者投資非課税制度」は、「第二の年金」としての性格を有する高齢者の金融資産からの収入について、税制上の優遇措置を行うもの。上場株式等について現行制度は、2010年までの時限措置として、100万円以下の配当及び500万円以下の譲渡益については10%の軽減税率を適用しているが、高齢者が受け取る同じ範囲の配当・譲渡益については、少なくとも2009年・2010年の2年間は非課税とする。

 1500兆円にのぼるわが国の個人金融資産の内訳は、預貯金の割合が52.0%と極めて高く、株式・投資信託の割合は9.3%と依然として低い。そこで、金融資産の約6割を保有する高齢者の投資に対する優遇措置を導入し、投資への流れを促進する。一方で、若年層による株式・投資信託の保有は少額で、金融資産に占める割合も低いことから、小口の継続的長期投資を通じた資産形成を促し、証券市場の裾野を広げたい考えだ。

 日本証券業協会の調査によると、個人投資家の約7割が年収500万円未満の中所得者であり、特に近年、投資を増やしているのも同じ階層となっている。こうしたことから、小口の継続的長期投資を優遇しても「金持ち優遇」には当たらないと主張。金融庁は、「貯蓄から投資へ」の流れを促進していくためには、「小口の継続的長期投資」と「高齢者の投資」に対する優遇措置が重要との考えを示している。

 金融庁の「2009年度税制改正要望項目」は↓
 http://www.fsa.go.jp/news/20/sonota/20080828-2/02.pdf