税 務 関 連 情 報 |
2002年11月20日-002
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(12)
前号に登場した某教授は言う。
「サラリーマンと違って個人事業者の収入は安定していない。特に、農業は後継ぎが少なくて年々減っている。このような状況のなかでは、捕捉率以前に収入がなかなか確保できない個人事業者の実態も考慮する必要があるのでは」
さらに続けて
「とはいえ、所得捕捉率に格差があるのはいいことではない。問題なのは、納税は国民の義務であるという納税道義の希薄さではないか。その要因は国に対する帰属意識が欠如していることにある」との問題点を指摘してくれた。
確かに、我々が日本国民の一員であるという意識を持つことは極めてまれだ。オリンピックをはじめ国際競技などで「ニッポン、チャチャチャ」ではないが、自然と湧き起こる日本チームを応援しようという気持ちは、普段の生活の中ではほとんど感じられない。小さな趣味のサークルの中では一員であるという確信が、そのサークルの維持に必要な会費を喜んで出す気持ちにつながるが、一員という自覚がない日本という国のための会費である税金を自主的に正しく収めろということが無理なのだろう。
それでは、国に対する帰属意識を高めることが最も重要なテーマとなるが、それは本稿の手に負えるテーマではない。所得捕捉率の問題の根底に「国への帰属意識の欠如」があるということを踏まえて連載を進めていきたい。「納税道義の希薄さ」も同様である。これらを育むことは、教育や政治、経済、社会保障をはじめ歴史、風土など社会全般にかかわる問題であろう。ではどうする、所得捕捉率の不公平は…。
(以下次号に続く)
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