阪神タイガースが2003年以来2年ぶりの優勝に向け快進撃を続けている。阪神が優勝した場合の生産誘発効果を全国で1455億円、関西で709億円と試算したのはUFJ総研の分析レポートである。前回2003年は18年ぶりの優勝であるのに対し、今回は2年振りでありマインドの高揚感が限定的なことなどから、2003年時点の生産誘発効果、全国3423億円、関西1281億円からは約45~55%となると見込んでいる。
レポートは、阪神優勝の経済波及効果について、2003年に使用した優勝効果試算モデルで、関西および全国に及ぼす効果を産業関連表により試算した。阪神ファンの規模は、2003年に球団から公表された数値を参考に、その後の動向を加味して全国で1100万人(2003年は1500万人)、近畿2府4県で531万人(同723万人)とみている。
2003年の優勝時と比較して、1)今回は2年ぶりでありマインドの高揚は限定的、2)ファン数は、前回の優勝フィーバー時にファンとなった「無球団派層」の一部が、球団合併・新球団の参入によりパリーグへの関心を高めたこともあり減少。また、ペナントレース終盤に、郵政解散から衆院選挙があったことは注目度の低下要因のひとつ、3)マジック点灯から優勝までの期間が短く、消費機会が減少などと分析している。
これらの要因を産業関連表を用いて定量的に分析した結果、2003年時点の生産波及効果からは大幅に減少する見込みだ。しかし、8月30日に共立総研が発表した「中日ドラゴンズ優勝による中部地区への経済波及効果」では、総合効果は203億円と試算していた。日本経済にとっては、中日ドラゴンズよりも阪神タイガースが優勝するほうが歓迎すべき事態といえなくもない。