ゼイタックス

源泉所得税の税額は4年ぶりに減少

税務関連情報 - 2008年11月17日

 国税庁がまとめた源泉所得税の課税事績によると、今年6月までの1年間(2007事務年度)における源泉所得税の税額は15兆93億円で、前年度に比べ6.5%(1兆407億円)減と、4年ぶりに減少したことが分かった。源泉所得税が減少したのは、2007年から国税から地方税への3兆円の税源移譲が行われたことが主な要因。主な所得では、給与所得が8.3%減、配当所得が11.1%減とそれぞれ減少している。

 源泉所得税全体の約66%を占める給与所得は前年度に比べ8.3%減少し9兆8891億円となったほか、「配当所得」が同11.1%減の2兆2932億円、「報酬料金等所得」は同7.6%減の1兆1886億円と減少した。「利子所得」は同45.3%増の7577億円、「非居住者等所得」は同6.4%増の3855億円と伸びた。なお、今年6月末現在の給与所得の源泉徴収義務者数は前年度に比べ0.9%減の381万件だった。

 一方、源泉所得税の調査は、原則として法人税・消費税や所得税・消費税との同時調査として行われるが、2007年度中に源泉所得税に関して行った調査・指導件数は前年度比1.1%減の19万9千件だった。うち5万7千件(前年度比0.3%増)から何らかの非違を見つけ、加算税を含め575億円(同9.4%減)の税額を追徴した。追徴税額(本税のみ)の約69%は認定賞与や現物給与といった「給与所得」(291億円)が占める。

 調査事例では、墓石等の製造販売等を営む法人に対し実地調査を実施したところ、役員報酬及び従業員給与に係る源泉所得税の課税を免れるため、給与台帳を改ざんして給与等の一部を非課税となる通勤手当に仮装する方法により源泉所得税の圧縮を図っていたことから、役員及び従業員の給与として追徴課税した事例がある。