落花生やピーナッツといえば手ごろなお酒のつまみだが、国内需要の9割近くが輸入品で賄われているのはご存知だったろうか。農林中金総研がまとめた「日本における落花生の生産と輸入の動向」と題したレポートによると、2004年における日本の落花生消費量は11万2千トンだが、国内生産量は大きく減少し(過去30年間で7分の1に減少)、04年では国産品は需要量全体の11.9%を占めるに過ぎない。
輸入品は需要量の9割近くを占めているが、需要量の減少により輸入量も頭打ちであり、また、近年では生の落花生の輸入量(36.6%)より煎った落花生や揚げた落花生などの加工品のほうが多くなっている。日本での落花生の消費形態は、バターピーナッツ(からをとって油で揚げたもの)としての消費が4割であり、からつきでの流通量は全体の2割だが、すべて大粒タイプの国産品については、からつきが5割を占める。
国内生産の動向をみると、かつては千葉・茨城・栃木・熊本・宮崎など多くの県で生産していたが、その後、全国の生産量が大きく減少するなかで、04年では千葉県の生産量が全国の74.6%を占めており(2位の茨城県が14.0%)、現在では、国産の落花生といえば千葉県というような状況になっている。千葉県の主要生産地域は、八街市、千葉市、佐倉市、富里市などだ。
一方、落花生の輸入先をみると、かつては米国からも多く輸入していたが、米国の落花生は小粒が主であり、また中国産のほうが価格が低いため、現在では、輸入量の8割は中国からのもので、特に加工品のほとんどが中国産となっている。なお、中国は世界の落花生生産量の4割を占めており(次いで、インド、ナイジェリア、米国、インドネシア、スーダンなど)、輸出量も世界最大である。
日本では、輸入品はからをとった「ピーナッツ」、国産品はからつきの「落花生」と、市場が棲み分けられている。また、国内生産量が減少した結果、逆に国産品は希少価値が増し、現在では贈答品用などに多く使われ、輸入品より高い価格で取引されている。しかし、国産品が生き残っていくためには、輸入品との一層の差別化、消費拡大のためのマーケッティング化、コスト・労働時間削減のための作業機械化などが求められている。
同レポートの詳細は↓
http://www.nochuri.co.jp/report/pdf/r0601wto1.pdf