2003年07月30日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(64)
『納税者番号制度』(5)
★納税者番号制度のメリット
納税者番号制度の導入によって課税の公平・適正化が図られることになれば、税制全体に対する国民の信頼性の向上につながる。税制への信頼と納税過程における法令遵守(タックス・コンプライアンス)の向上に寄与することが、制度の導入によって期待される最も重要なメリットとなる。
これは、全く当たり前のことだが、所得がガラス張りで把握されているサラリーマンにとって、恣意的に申告しているのではないかとの疑いを持つ事業所得者などの所得内容が十分に捕捉できる体制になれば、税務執行に対する信頼は大きく向上する。不正申告や無申告などへのブレーキとなり、脱税が大幅に減少することが期待される。
約19~21兆円といわれるわが国の地下経済(アングラマネー)の7割強が脱税という推計がある(第一生命経済研究所の門倉貴史氏)。しかし、こんなものではないという指摘もある。例えば、バブル期の土地転がしでは、登記をしないまま沢山の業者間を転がされて、わけの分からない法人名を使われると課税もままならない。税務署に売却が分かるのは登記時だから、中間の業者の儲けはアングラマネーとして闇に流れてしまう。
このような大規模なアングラマネーの存在を明るみに出すことができれば、税収面だけでなく犯罪面などの社会的な効果も大きい。納税者番号制度の導入によって闇資金を捕捉する体制ががんじがらめに出来上がると、アングラマネーは海外流出してしまい日本経済にとっては同じこと、それどころかマイナスとの意見もあるが、それらの事態への対策は別問題だろう。
ともあれ、課税の公平といった観点からは、納税者番号制度の導入が大きなメリットであることを誰もが認めるところなのは間違いない。
(続く)
【ホームへ戻る】
|