税 務 関 連 情 報

2003年11月17日-001
定率減税の廃止縮小や均等割引上げなどが浮上

 総選挙が終わって2004年度税制改正に向けた政府税制調査会の議論が再開された。焦点は住宅ローン減税の延長ぐらいで小粒な内容となるとみられていた検討項目のなかに、所得税の定率減税の廃止・縮小や個人住民税の均等割部分の引上げなどが浮上してきた。少子・高齢化社会に向けて国民が負担増を“広く薄く”受け入れるという基本路線が少しずつ現実化しそうだ。

 定率減税は1999年度に負担軽減措置法によって実施され、それ以降の各年分の所得税額の20%相当額(最高25万円)を控除しているが、法律では期限がなく永久に続く。廃止すれば国税で2兆5000億円の財源を確保できることから、衆院選で力を増した公明党が基礎年金の国庫負担割合引き上げの財源として主張しているほか、政府税調もかねてより所得税の基幹税としての機能回復に取り組む一環として定率減税は廃止すべきだとの方針を打ち出している。

 一方、個人住民税の均等割は、現在、都道府県民税分が一律1000円、市町村民税分が自治体の人口規模に応じて2000円・2500円・3000円の3段階となっている。96年度から負担額が据え置かれていることもあって、税率は低い水準にとどまっており、政府税調の今年6月の答申でも、人口段階に応じた税率区分の解消を含め、その水準の引上げを図る必要があると指摘されている。生計を一にする妻に対する非課税措置も廃止する方向で検討される。

 定率減税の廃止、均等割引上げともに個人のふところを直撃する負担増となり、景気への悪影響が懸念されるだけに、来年度税制改正での実現は難しいとの見方もある。しかし、任期中は消費税率を引き上げないとする小泉内閣が3年続くとなれば、財源探しの網からは早晩逃れられない運命の項目ではある。

ホームへ戻る