今年4月1日開始事業年度から新耐用年数が適用されている。機械及び装置を中心に実態に即した使用年数を基に資産区分が整理され、耐用年数が短くなったものが多いが、なかには従来の年数よりも延長されたものもある。例えば、鶏卵処理加工施設は従来の8年から10年に延長されたが、こうしたケースでは、耐用年数の短縮制度の適用により、従来どおり8年の耐用年数を適用することが認められるのだろうか。
減価償却資産は法定の耐用年数が決まっているが、資産によっては、一定の特別な事由のために法定耐用年数で減価償却したのでは実態に合わない場合もある。そこで、企業が有する減価償却資産が、「法令で定められた短縮事由」によって、実際の使用可能期間が法定耐用年数よりおおむね10%以上短くなる場合に、あらかじめ所轄国税局長に申請し承認を受けることで、その資産の使用可能期間を耐用年数として、早期に償却できる。
そこで、今回の改正によって耐用年数が延びたことが、「法令に定められた短縮事由」に該当するかということだが、国税庁が先般公表した「耐用年数の見直しに関するQ&A」では、2008年度税制改正により耐用年数が従来の年数よりも延長されたことは短縮事由のいずれにも該当しないことから、他に短縮事由に該当する事実がない限り、耐用年数の短縮制度の対象にはならないことが明らかにされている。
法令では、(1)種類等を同じくする他の減価償却資産の通常の材質等と著しく異なる、(2)その資産の存する地盤が隆起又は沈下した、(3)その資産が陳腐化した、(4)その資産がその使用される場所の状況に基因して著しく腐しょくした、(5)その資産が通常の修理又は手入れをしなかったことに基因して著しく損耗した、(6)同一種類の他の減価償却資産の通常の構成と著しく異なること、など8つの短縮事由が定められている。