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税務関連情報 (2006/04/10)

役員給与規制で増税となるのは5万社or62万社?

 2006年度税制改正で特殊支配同族会社の役員給与の損金不算入措置、いわゆる一人会社のオーナー給与の給与所得控除分が損金不算入となる制度が導入されるが、これによって実質増税の影響を受ける企業数が官民で差があって話題となっている。財務省では、法人税が増加する法人数を5万~6万社程度と見込んでいるが、東京税理士会のアンケートに基づくデータでは、実質的に影響を受ける法人数が62万社だという。

 財務省の推計は、中小企業庁の「経営戦略に関する実態調査」(2002年11月)に基づき、持ち分比率や役員構成に係る要件によって今回の対象となる実質的な一人会社の数を、同族会社約241万社の2割強、50万社強と見込んでいる。そのうえで、国税庁の会社標本調査などに基づき、この実質的な一人会社のうち所得水準などによって約9割は適用対象外になると見込んだと説明している。

 今回の役員給与規制は、その同族会社の所得(課税所得とオーナー社長報酬の合計額)が800万円以下の場合と、所得3000万円以下で、社長報酬の占める割合が50%以下の場合は適用されない。この適用除外要件によって、一人会社50万社強の9割は適用除外となって、5万社程度が影響を受けると見込んでいるわけだ。

 一方、東京税理士会が提示した62万社に対して、谷垣財務相は、国会審議のなかで「信ぴょう性に乏しい」と否定している。その理由として、2005年における同族会社で課税所得がある法人は全体の約3割、約74万社に過ぎないのに、そのほとんどが適用対象となることを疑問視している。所得水準に応じた広範な適用除外措置を踏まえると、東京会の推計には疑問を持たざるを得ないと答弁している。