2006年度税制改正で創設された耐震改修促進税制は、住宅の耐震化率を今後10年間で90%まで引き上げることを目標とするものだが、同税制の適用が受けられるのは、自治体が耐震改修についての補助制度を設けた一定の計画区域に限定される。ところが、市区町村レベル(1831自治体)での耐震改修に対する補助制度の実施状況は、戸建住宅が30%弱、マンションに至ってはわずか4%に過ぎないことが分かった。
国土交通省のまとめによると、今年4月1日現在で、耐震改修促進計画を策定し、耐震改修に対する補助制度を設けている市区町村は、戸建住宅が全体の29.2%(535自治体)、マンションはわずか4.1%(75自治体)だった。昨年7月1日の実施状況は、戸建24.3%、マンション3.7%だったから、この9ヵ月間でわずか4.9ポイント(戸建)、0.4ポイント(マンション)しか伸びていないことになる。
耐震改修促進税制は2006年4月から2008年12月までの時限措置。耐震改修促進計画の策定状況をみると、2007年度中に策定予定の市区町村が38.8%(711自治体)、2008年度以降が6.1%(112自治体)となっているが、それでも累計では全国市町村の47.1%と半数に満たない。策定後でなければ耐震改修しても税制の優遇措置は受けられないわけだから、多くの納税者にとって優遇税制は“絵に描いた餅”となりそうだ。
ちなみに、耐震改修促進税制は、住宅(1981年5月31日以前に建築された家屋)を耐震改修した場合、改修費用の10%相当額(最高20万円)を所得税額から控除するもの。耐震改修予定がある納税者は、現在居住している市区町村が、耐震改修促進計画を策定し、耐震改修に対する補助制度を設けているかを、住宅所在地の都道府県・市区町村の建築部局や住宅部局に個別に事前確認する必要がある。