ゼイタックス

11年度査察は約56億円減の192億円の脱税を把握

税務関連情報 - 2012年07月09日

 いわゆるマルサと呼ばれる査察は、脱税でも特に大口・悪質なものが強制調査され検察当局に告発されて刑事罰の対象となる。国税庁が6日に公表した今年3月までの1年間の2011年度査察白書によると、査察で摘発した脱税事件は前年度より1件少ない195件、脱税総額は前年度を約56億円下回る約192億円だった。1件当たりでは同1300万円少ない1億200万円。検察庁に告発した件数は前年度より39件少ない117件となった。

 2011年度1年間に全国の国税局が査察に着手した件数は195件、継続事案を含む189件(前年度216件)を処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断)し、うち61.9%(同72.2%)にあたる117件(同156件)を検察庁に告発した。この告発率61.9%は、前年度を10.3ポイント下回り、38年ぶりの低水準となった。リーマン・ショック以降の経済状況の悪化により、大型の脱税事件が減少したことが要因とみられている。

 告発事件のうち、脱税額(加算税を含む)が3億円以上のものは前年度を5件下回る10件、脱税額が5億円以上のものは同3件下回る3件だった。近年、脱税額3億円以上の大型事案が減少傾向にあり、2011年度の脱税総額192億円は、ピークの1988年度(714億円)の約27%にまで減少している。告発分の脱税総額は前年度を約56億円下回る157億円、1件あたり平均の脱税額は同300万円減の1億3400万円となった。

 告発分を税目別にみると、「法人税」が64件で前年度から36件減ながら全体の55%を、脱税総額でも同21.8%減ながら約79億円で51%を占めた。所得税は同1件減の35件で、脱税総額は同13.0%増の約41億円、相続税は同3件減の3件、同52.7%減の約26億円、消費税は同11件減の8件、同53.2%減の約7億円となった。消費税の脱税額のうち約5億円は消費税受還付事案(ほ脱犯との併合事案を含む)のものである。

 告発件数の多かった業種・取引(5件以上)は、「建設業」が9件で最多のほか、「商品・株式取引」と「人材派遣業」がともに7件、「食料卸」と「情報提供サービス」がともに6件、「運送業」と「クラブ・バー」がともに5件で続いた。経済社会情勢を反映し、2009年度15件、2010年度13件とこの数年間多かった不動産業が減少する一方、「食料卸」や「情報提供サービス」での告発が目立った。

 同査察白書の概要は↓
 http://www.nta.go.jp/kohyo/press/press/2012/sasatsu_h23/index.htm