2005年度税制改正では、個人住民税における税負担の公平や税収確保の観点から、フリーターやアルバイトなど、1年未満の短期就労者に対する個人住民税の徴収が強化される。現在、企業は1月1日時点で働いている従業員しか給与支払額を市町村に報告する義務がないため、その時点では在職していないフリーターなどは課税漏れとなっているケースが多いとの指摘がある。
個人住民税の所得割は前年の所得に対して課税されるが、給与所得者の場合は、特別徴収義務者である企業が給料から天引きして納める。企業は1月1日時点で働いている従業員についての前年の給与支払額を市町村に報告する。それに基づいて市町村は1年間の納税額を計算し、企業が従業員から徴収して納付する仕組みだ。だから、1月1日時点で働いていない短期就労者の前年の給与支払額は報告する義務がない。
改正後は、給与の支払を受けている者が退職した場合は、退職した日の翌年の1月31日までに、その給与の支払を受けていた者に支払った給与やその他一定事項を給与支払報告書に記載し、市町村に提出することを義務付ける。ただし、給与の支払額が30万円以下の者の給与支払報告書は提出しなくてもいいこととされる。この改正は、2006年分の所得から適用される。
改正の背景には、所得が同じなのに、税を負担する人としない人がいるという不公平を是正するということがあるが、なによりもパート・アルバイトなど短期就労者の増加という雇用形態の変化に対応した税収確保の狙いがある。若者を中心とした短期就労者も応分の税負担をすることは当然だが、確定申告をすればバイト料支払時に天引きされていた税金が戻ることも少なくない。税金を知ることが求められる時代となっている。