源泉徴収義務を持つ事業主は、給与等から源泉徴収した所得税を翌月10日までに金融機関を通じて国に納付しなければならない。給与等の支給人員が常時10人未満の源泉徴収義務者は毎月の納付を年2回の納付で済ます納期の特例があるが、それ以外の事業主にとって毎月の納付は結構手間がかかる。そこでお勧めしたいのは、インターネットバンキングやATMを利用した源泉所得税の納付である。
インターネットにアクセスできるパソコンがあれば、国税電子申告・納税システム(e-Tax)を利用した電子納税ができるが、そのためには事前準備が必要だ。まず、取引金融機関とネットバンキングの契約をするが、その金融機関で「税金・各種料金払い込みサービス」(ペイジー)が提供されているかどうか確認する必要がある。ネットバンキングの契約をせずに、ページーマークのあるATMを利用して納税することもできる。
次に、所轄の税務署に「電子申告・納税等開始届出書」を提出して「利用者識別番号」を取得する。開始届出書は、e-Taxホームページからオンラインで提出できるほか、書面でも提出可能だ。開始届出書を提出すると、税務署から「電子申告・納税等に係る利用者識別番号」が送られてくる。また、e-Taxを利用する際には、申告等データに電子署名を行うことになるので、その電子署名に使用する電子証明書を取得する。
来年1月からは、源泉所得税などの電子納税のみの利用の場合には、e-Tax利用開始時の電子証明書の事前登録が不要になる予定だ。最後に、e-Taxソフトをインターネットに接続したパソコンにインストールして初期登録等を行い、電子納税の手続きを開始することになる。e-Taxソフトは、e-Taxホームページからのダウンロードによる取得となる。
こうしてe-Taxの事前準備をすることにより、電子納税だけでなく、申告所得税、法人税、消費税などの電子申告や、各種申請・届出の提出についても利用できる。事前準備は大変そうだが、一度手間をかければその後は税務上の手続きが社内にいながらできるようになる。一度検討してみてはいかがだろうか。