ハードウェアの低価格化に伴い、企業のパソコン投資金額に占めるOS(オペレーティング・システム)の比率が相対的に向上しており、OSのバージョンアップに批判的あるいは積極的でない企業がみられる。しかし、ガートナージャパン社の調査では、企業内のパソコン利用者の6割が、OSのバージョンアップが自分の業務効率の向上に「効果があった」としている。
調査結果(有効回答数698人)によると、バージョンアップして「効果があった」との回答が60.2%、「効果がなかった」が15.8%となった。間接部門の事務職など定型業務従事者でOSのバージョンアップに業務効率向上の効果を認める利用者は42.1%と比較的低いものの、「企画・クリエイティブ・調査」といった、企業の中核的な役割を果たす非定型業務従事者では65.2%とその効果が高くなっている。
具体的な効果(複数回答)では、「操作しやすくなった」(46.3%)、「セキュリティが強化された」(42.6%)が上位に挙げられた。また、「安定感が増した」、「フリーズが少なくなった」とのコメントも目立つ。逆に、「どこが改善されたかわからない」(18.0%)、「操作に慣れるまで時間がかかった」(13.6%)、「動作に不具合が生じたアプリケーションがあった」(13.2%)などの批判的な意見もみられた。
今回の調査では、ワープロや表計算ソフトなど、いわゆる「オフィス・ソフトウェア製品」のバージョンアップに関する調査も同時に行った。こちらは、「効果があった」との回答が49.7%と微妙な値を示しており、OSほど効果を認めることができなかった。ただし、これも非定型業務従事者では54.2%が効果を認めていることから、OS同様、重要なIT投資項目といえそうだ。