帝国データバンクがこのほど発表した全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、2月の倒産件数1056件は、前月を1.6%上回ったものの、3ヵ月連続の1100件割れとなり、前年同月比では12.6%の減少となった。この結果、前年同月比では26ヵ月連続の減少となったが、連続記録としては、円高不況からバブル景気にかけての85年1月から90年9月の69ヵ月連続があり、これに次いで戦後2番目の記録となる。
負債総額は8082億9000万円で、11ヵ月連続の1兆円割れ、前年同月比25.8%減と3ヵ月ぶりの前年同月比減少となったが、前月比では35.1%増となった。これは、ゴルフ場経営のシンコー(負債2020億円、大阪府)の倒産で、負債1000億円以上の大型倒産が2ヵ月ぶりに発生したほか、負債100億円以上が18件と3ヵ月連続して二ケタ台を記録するなど、ゴルフ場経営業者を中心に大型倒産が相次いで発生したため。
倒産態様別では、清算型の法的処理(破産と特別清算の合計425件)の構成比が40.2%と過去2番目の高水準となった。事業を断念せざるを得ないケースが倒産全体の4割以上を占める。また、任意整理は577件、31ヵ月連続の前年同月比減少となる13.4%減で、3ヵ月連続で600件を下回る低水準となった。そのほか、不況型倒産(799件)の構成比は75.7%で、3ヵ月ぶりに75%を上回った。
最近の短月ベースの倒産件数は3ヵ月連続で1000~1100件の水準で推移しており、徐々に底打ち感が出てきている。しかし、地銀をメーンとする地方の過剰債務企業の処理がまだ途上にあることに加え、原材料価格の高騰やIT関連の生産調整など、下請け主体の中小企業経営への懸念材料も散見されることから、帝国データバンクでは「これまでのように前年比大幅減の倒産件数減少は考え難い」と予測している。