「緊急保証制度」は、中小企業金融支援策として2008年10月31日からスタートし今年11月で1年が経過したが、ここにきて9月、10月の倒産件数が前年同月比で減少に転じるなど、一定の効果が徐々に出始めている。帝国データバンクがこのほど発表した「緊急保証制度導入後1年間の倒産動向調査」結果によると、制度利用後の倒産件数は、今年10月までの1年間で70件に止まったことが判明した。
1998年10月開始の「特別保証」時には1年間で1330件も発生しており、単純比較ではあるが、今回は当時の19分の1の発生に止まるなど、状況は大きく異なる。これは、「特別保証」時には事実上無審査で保証が下りたため、すでに破産状態の企業が多く含まれていたが、今回はより厳格な審査が行われたため、資金導入後数ヵ月で倒産するような計数管理能力に乏しい企業はそもそも利用が難しかったこと、などが要因とみられている。
「緊急保証」利用後に倒産した70件について業種別にみると、同制度の利用がもっとも多いとみられる「建設業」が26件でトップ、次いで「製造業」が18件、「卸売業」が15件で続いた。6月の前回調査時点と比べても、5ヵ月間で「建設業」は21件増、「製造業」、「卸売業」ともに10件増と、3業種の増加が目立った。負債規模別では、「1億円以上5億円未満」が39件と全体の55.7%、過半数を占めた。
緊急保証制度や返済猶予法案などの中小企業金融支援策は、企業の資金繰り緩和につながる政策ではあるものの、これによって企業の収益状況が好転するわけではない。ここにきて「緊急保証」の倒産抑制効果が表れ始めているが、この間に本業の収益回復を果たせなければ、現在の厳しい経済情勢を考えると、その効果は前回の「特別保証」(12ヵ月連続の前年同月比減少)よりもさらに短期間に終わる可能性が高いとみられている。
同倒産動向調査結果の詳細は↓
http://www.tdb.co.jp/report/watching/press/pdf/p091101.pdf