農業6次産業化で経営者の7割強が所得向上を実感
農業の新ビジネスモデル、6次産業化をどうみるか――日本政策金融公庫(日本公庫)が選定した農業者を対象としたアンケート及び面談調査で、回答者の7割強は、所得の向上につながったことを実感し事業規模の拡大につなげていく考えでいることが明らかになった。今後の課題については、商品の差別化・ブランド化、優秀な人材の確保、資金調達、マーケティング力を重視しているのが特徴だった。回答数は165(うち面談23)。
農産物を市場流通に委ねるだけでなく、産直など直接販売を行うと同時に、農産物加工、さらに流通も手掛ける6次産業化のメリットとして「所得の向上」を挙げた回答者は74.5%と突出した。続いて「生産の拡大」(50.3%)、「企業経営の確立」(34.5%)、「社員のやりがい向上」(28.5%)などが目立った。面談調査では、直接販売に伴い価格決定も主導的に行えることで利益率が向上したとの声が多かった。
今後の経営展開についても、76.2%が規模を「拡大」すると回答。現状維持は17.7%、「縮小」、「廃止」を合わせても1.2%で、6次産業化への取組みが定着したことがうかがえる。6次産業化に踏み切った農業者の営農類型別回答数は野菜が最多、続いて果樹、酪農、養豚、稲作などだった。販売の形態は、自社店舗での直売、スーパーなどとの産直、インターネット販売や通信販売、そして「道の駅」などの直売所への委託販売が目立った。
今後の取組み課題で重要と考えるものは、67.3%が「商品の差別化・ブランド化」を挙げ、次いで「必要な人材の確保」が55.8%、「品質の高さ」(54.5%)、「円滑な資金調達」(52.7%)、「マーケティングに基づく商品開発」(39.4%)、「販路拡大に向けた営業活動」(33.9%)と続く。1次産業の農業生産技術以外に、6次化のカギを握る農産物加工や接客・営業・会計などの知識、さらに経営人材の確保を重視していることが分かった。
同調査結果は↓
http://www.jfc.go.jp/a/topics/pdf/topics_111202_1.pdf