社会経済生産性本部が、上場企業を対象に実施した「メンタルヘルスに関する企業アンケート調査」結果(有効回答数269社)によると、最近3年間における「心の病」は56.1%の企業が「増加傾向にある」と回答した。前回2006年調査に比べ5.4ポイント低下したものの、依然として半数を超える高い水準にとどまっている。年齢別にみると、約6割(59.9%)の企業が「30代」に心の病が多いと回答している。
健康づくりで力を入れている施策(3つまで回答)は、「定期健康診断の完全実施」(71.7%)、「メンタルヘルスに関する対策」(63.9%)、「定期健康診断の事後措置」(58.4%)の順に多く、メンタルヘルスに関する施策に力を入れている企業割合は、2002年(33.3%)の2倍近い値となっている。メンタルヘルスの今後の取組みについては、9割近く(86.9%)の企業がさらに充実させる方向で考えている。
メンタルヘルス施策を通じて期待していること(複数回答)は、「不調者の早期発見」(78.4%)や「不調者への適切な対応」(71.0%)など、組織全体として、不調者の存在を見過ごすことなく、適切な対応ができるような体制構築が目的。また、現在取り組んでいるメンタルヘルス施策については、「まずまず効果が出ている」が38.7%、「どちらともいえない」も40.1%とほぼ同水準で多かった。「あまり効果がない」は16.0%。
なお、「心の病」が増加する割合は、(1)「人を育てる余裕が職場になくなっている」企業では60.2%であるのに対し、そうでない企業は35.3%、(2)「組織・職場とのつながりを感じにくくなってきている」企業では63.5%に対し、そうでない企業では43.8%、(3)「仕事の全体像や意味を考える余裕が職場になくなってきている」企業では61.6%に対し、そうでない企業では42.9%と、職場の状況で増加傾向に差がみられた。
同アンケート調査結果の詳細は↓
http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/mhr/activity000873/attached.pdf