税 務 関 連 情 報

2002年05月31日-001
レーガン税制を踏まえれば減税は財政収支の悪化をもたらす

 現在展開されてる税制抜本改革の議論の中では、経済活性化のために先行減税を求める意見が多いが、レーガン税制の経験を踏まえれば、大規模減税を先行すれば財政収支の悪化を招くとのレポートを日本総合研究所が公表した。このレポートは、わが国の税制改革論議の中でしばしば引き合いに出される80年代にアメリカで実施された税制改革、いわゆる「レーガン税制」を再考し、日本の税制改革で学ぶことができる点を探ろうというもの。

 レポートによると、レーガン税制については、アメリカ国内でも錯綜して評価が分かれているが、比較的ニュートラルなアカデミズムの実証研究では、効果は限定的との評価が大勢を占めているとする。同税制の最大の副作用は、財政収支赤字の膨張だったと指摘。景気浮揚のための大胆な減税を盛り込んだ81年改革による税収減は、それによる景気押し上げ効果によって賄えるとの期待も、実際には景気悪化もあって歳入が大幅に縮小し、歳出抑制の不十分さと相まって、財政収支赤字が拡大した。アメリカ経済の活性化は、税制改革だけでなく、規制緩和や各種の構造改革との複合作用によって可能になったとみるのが妥当と分析している。

 このアメリカの経験を踏まえると、大型減税を先行実施すれば経済活性化と財政健全化が同時に達成されるとの意見の実現性は小さく、減税は財政収支の悪化をもたらす、ということが、わが国の税制改革がレーガン税制から学ぶことのできる点のひとつとして挙げている。

 

 

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