ここ数年、福祉・教育・環境保護など社会需要を満たす分野で、多様で柔軟なサービスを提供する地域密着型のスモールビジネスであるコミュニティ・ビジネスが注目を浴びている。厚生労働省はこのほど、このコミュニティ・ビジネスについての調査研究報告書を公表し、従事者の働き方や求められる能力などの実態を明らかにした。調査の有効回答数は、1480事業所、従事者2718人。
調査結果によると、コミュニティ・ビジネス事業所の組織形態は、「NPO(特定非営利活動法人)」が69%と約7割を、次に「有限会社」(14%)、「ワーカーズコレクティブ(WCO)」(12%)が1割強を占めている。活動目的は、「高齢者介護・生活支援」(26%)、「障害者自立生活支援」(10%)など福祉分野が中心。WCOとは、地域に貢献する事業を、自分たちで出資し平等に運営するという協同組合方式で行っている団体をいう。
従事者の年齢構成は、「50~59歳」が29%で最も多く、次いで「40~49歳」が22%と、「40歳以上」の者が約8割を占めている。性別では、「女性」が58%を占める。また、回答事業所における報酬形態別の人員構成割合では、「無償」が28.3%で最も多く、「パート」(27.6%)、「常勤正社員」(20.9%)などとなっている。
事業所が、従事者にとって重要であるものの不足していると考えている能力・知識(複数回答)は、「マーケティング戦略立案」(65%)や「市場調査・商圏・立地調査」(62%)、「消費行動」(〃)、「資金調達」(57%)などに関する知識で、通常の企業でも重視される企業関連の知識・能力が中心だが、従事者個人では、「事業に直接関連する知識、技能・技術または業務経験」が66%と他に比べて多く、そのほかはおおむね事業所に比べ低い割合にとどまっている。
調査の詳細は↓
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2004/06/dl/h0618-5a.pdf