国民生活金融公庫が15日に発表した生活衛生関係営業の景気動向等調査結果(有効回答数3220社)によると、4~6月期の売上DI(前年同期比、「増加」-「減少」企業割合)、業況DI(前期比、「好転」-「悪化」企業割合)ともに7年ぶりに▲20ポイント台まで上昇し、景気改善の動きが急速に広がっていることが分かった。調査対象は、飲食業、理容・美容業、映画館、ホテル・旅館業など9業種。
今期の売上DIは▲27.0で、前期に比べ19.6ポイント、前年同期に比べ22.3ポイントと大幅に上昇している。極めて明るい話題だが、一方で経営上の問題点があると回答した企業数は全体の92.2%を占める2968社にのぼった。その問題点(複数回答)は、「顧客数の減少」(62.8%)がトップ、以下、「客単価の低下」(37.2%)、「仕入価格・人件費等の上昇を価格に転嫁困難」(20.0%)などが続いた。
トップの「顧客数の減少」はすべての業種が問題点の1位に挙げている。特に、「公衆浴場」(81.3%)、「理容業」(71.3%)、「すし店」(67.6%)などで構成比が高い。「客単価の低下」では、「ホテル・旅館業」(49.4%)、「すし店」(47.7%)、「クリーニング業」(46.9%)の順で高い。3位の「仕入価格・人件費等の…」では、「食肉・食鳥肉販売業」(46.5%)、「氷雪販売業」(34.5%)、「喫茶店」(23.2%)と続く。
これらの経営上の問題点がある企業のなかで、「対策は講じており、期待した効果も上がりつつある」企業の回答割合は10.5%と1割にとどまっており、「対策は講じているが、効果が出るまでには至っていない」が36.1%、「対策について計画はあるが、実施に至っていない、または具体的な計画を策定中」が31.2%となっている。景況の改善の動きが急速に広がっているが、各社ともに手放しで喜んではいない状況にある。