税 務 関 連 情 報 |
2003年03月17日-001
総額表示義務付けで苦慮する出版業界
2003年度税制改正で来年4月から導入される消費税の総額表示の義務付けだが、事業者団体の反応は様々だ。しかし、最も深刻に受け止めているのは出版業界であることは間違いない。定期的に発行される雑誌はキオスクなどで即売されることから「定価1050円(本体1000円)」などの総額表示だが、問題なのは書籍である。
消費税導入当初は、公取委の指摘もあって店頭商品を含め総額表示に一律に変更せざるを得なかった。しかし、97年に消費税率が5%に引き上げられた際には、その後の税率変更に対応するため、「定価:本体1000円+税」などの本体価格表示に変更した経緯がある。消費税率が変わるたびに本に直接印刷してある定価を変える作業をしていたらとんでもない費用となってしまう。
「書籍は出版物そのものに価格を印刷して表示しており、全国の書店にある何十万点もの既刊書の価格表示を変更するためには、他業種とは比較にならない多くの経費が必要となる」(日本書籍協会)。消費税の将来的な税率引上げは不可避な状況だが、日本経団連の将来構想のように、消費税率を毎年1%ずつ引き上げる案などを実施されたら、出版業界は立ち行けない事態となる。
日本書籍協会は、日本雑誌協会など4団体の連名で、「書籍等の出版物は、消費税の総額表示義務付け規定の対象外とする」よう2月に塩川財務大臣宛ての要望書を提出しているが、出版業界だけに特例が認められる可能性は低い。「消費者に分かりやすくなる」との総額表示の義務付けだが、書籍業界には何ともうらめしい改正だ。
【ホームへ戻る】