企業業績が大企業から中小企業へと広がりをみせるなかで、民間企業の冬季ボーナスも前年に比べ増加する見通しだ。みずほ総研がこのほど公表した2004年冬季ボーナスを予測したレポートによると、冬季の一人あたり賞与額は前年に比べ1.2%増の43万3532円と、前年実績を8年ぶりに上回る見込みとなった。所定内給与が大幅には改善しないなかで、企業は業績の回復を支給月数の増加という形で社員に還元するようだ。
ボーナスを決める要因としては、1)算定の基準となる所定内給与、2)平均支給月数、3)ボーナス対象支給者数が挙げられる。毎月勤労統計(厚生労働省)によると、8月の所定内給与の伸びは▲6.6%と引き続き前年実績を下回った。企業は、業績の回復を、毎月の給料の増加ではなく、ボーナスなどの特別給与の増加で応えようとしているうえ、パート化の進展が所定内給与を押し下げている。
一方、企業が所定内賃金の恒久的な増加には慎重な姿勢を示しているなかでは、ボーナスを業績に反映させるには、必然的に支給月数が増加する。また、企業は一人あたりボーナスを増加させる一方で、労働力のパート化を進めた結果、支給対象者は減少している。このため、賞与総額では前年実績を1.2%増とかろうじて上回るものの、伸びは限定的なものにとどまるとみている。
なお、業種によるボーナス格差は引き続き残る見込みで、鉄鋼・機械などの製造業では引き続き業績が好調なことから、全体のボーナスの伸びをけん引するが、非製造業での伸びは限定的なものになると予測している。しかし、全体的には企業業績の回復や雇用者の増加が賞与を押し上げ、年末でのクリスマス商戦でも一定の押上げ効果が期待できるとの見通しを示している。