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税務関連情報 (2004/05/10)

産構審、金融所得課税一元化に向け報告書案を公表

 わが国の個人金融資産約1410兆円(2003年度末)の半分を超える745兆円は預貯金であって、株式などでの保有は80兆円と約5%に過ぎない。わが国経済の自立的な発展のためには、個人金融資産がリスクマネーとして供給されることが必要だ。このため、ここ数年、「貯蓄から投資へ」の発想の元に金融税制の見直しが進められてきたが、この流れを抜本的に強化する動きがあり、その中心が金融所得課税の一元化である。

 政府税制調査会が本格的な議論を開始したが、経済産業省の産業構造審議会産業金融部会でも昨年11月から今年4月まで7回にわたって検討した結果を、このほど「産業金融機能強化のための金融所得課税のあり方に関する検討小委員会報告書(案)」として取りまとめ公表した。そこでは、金融所得課税の一元化に向けて、一元化の対象となる範囲、税率、損益通算などについての検討結果を明らかにしている。

 一元化の対象となる金融商品は、株式、投資信託、預貯金、公社債、これらの複合商品や証券化商品、ファンド関連、デリバティブ組込み、貯蓄性を有する保険商品など、将来のキャッシュフローの取引という本質に着目して包括的に対象とすべきことを提案している。税率は定率で同一(投資家間・金融商品間)とする必要があり、勤労所得の実効税率が低い所得者層の負担感にも考慮し、極力低率とすべきことを求めている。

 リスクマネー供給の観点からはキャピタルゲイン・キャピタルロス課税の適正化が最も重要であり、金融商品に関する損益通算を基本的に認めることが不可欠であること、さらに、単年度で控除しきれない分についての損失控除も広く認めることも提案。また、広範な損益通算を実現可能とする納税者のメリットシステムとして、本人識別の方法、いわゆる納税者番号を選択的に導入することも提案している。

 報告書(案)の全文は↓
 http://www.meti.go.jp/feedback/downloadfiles/i40430bj1.pdf