経 営 関 連 情 報

2002年10月07日-001
中企庁研究会、中小企業に対するリスクマネー供給の報告書公表

 中小企業に対する金融は、不動産等の物的担保や経営者個人保証に過度に依存した間接金融が中心になっているため、最近の金融情勢の激変の中、新事業に挑戦する中小企業への十分な資金供給をなしえない状況になっている。そこで、中小企業庁では、「中小企業金融の新たな手法に関する研究会」を5月から開催、リスクマネー供給の新たな手法を検討してきたが、10月4日、検討の結果を「新事業に挑戦する中小企業への資金供給 報告書(案)」としてとりまとめ公表した。

 報告書では、中小企業の資金調達の現状などを分析し、ミドルリスクマネーの供給が不十分であると指摘。対応の方向として、1)個々の中小企業の信用力に応じたリスク・プレミアム設定のための客観的データであるCRD(クレジット・リスク・データベース)の整備を進め、今後の公的信用保証や金融機関の融資への活用を図っていく、2)CLO(ローン債権の証券化)の促進によりリスク分散を図り、銀行の中小企業への貸出余力を増大させる、3)新技術の商品化・事業化といった新事業から生ずる収益性に着目したプロジェクト金融の促進の3点を挙げている。

 報告書の後半では、プロジェクト金融と中小企業等投資事業有限責任組合制度の見直しを中心とした公的支援のあり方に焦点を当てた検討結果を示した。プロジェクト金融促進のためには、ファンド組成によるリスク分散、共同事業者等へのリスク移転を容易にすることが重要とした上で、中小企業等投資事業有限責任組合等を拡充できれば、広い意味での「事業」に着目した投資ファンドの組成が促進されるとしている。そこで、同組合制度について、投資対象の範囲を有限会社等広く中小企業全般に拡大することや、事業収益の分配により回収する成功報酬型の投資ができるような見直しを求めている。

 

 

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