国・地方の三位一体改革の一環として、2006年度までに所得税から個人住民税への本格的な税源移譲が行われる。税源移譲にあたっては、個人所得課税体系における所得税と個人住民税の役割分担の明確化が課題となる。個人住民税は、応益性が原則であり、地方公共サービスについて最低限多くの住民が広く負担すべきとの観点から、課税ベースが大幅に拡大される。
個人住民税における65歳以上の高齢者に対する非課税限度額制度は、現役世代と高齢者間の税負担の公平を確保するため、障害者などに限定して適用する。また、税源移譲については、今年度に所得譲与税と税源移譲予定交付金としてすでに措置された分を含め、3兆円規模を目指す。税源は所得税から住民税への移譲によるものとし、所得割の税率のフラット化を基本として実施される。
具体的な数字は出ていないが、個人住民税の均等割の税率を、現在の5~13%の3段階から10%に一本化し、減税となる高所得者のバランスから所得税の最高税率37%を40%に引き上げるとみられている。逆に、増税となる低所得者層への配慮から、現行10%の最低税率を暫定的に5%とする案も出ているが、実現するかどうかは不透明だ。
個人住民税は、これまで所得税にある主要控除を全部くっつけて“ミニ所得税”といわれてきたが、今後は基幹税としての役割が大きくなることから、所得税から離れて独自の仕組みを確立する必要がある。極力基礎控除を拡大しつつ、諸控除は廃止される方向で検討される。このように、個人住民税の課税ベースは拡大される方向にあるが、同時に、税負担の公平や税収確保の観点から、徴収率の向上も検討課題となっている。