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経営関連情報 (2006/12/20)

11月は小口倒産増から緩やかな増加基調を持続

 帝国データバンクが発表した法的整理による全国企業倒産(負債1千万円以上)状況によると、11月の倒産件数は754件で、法的整理のみに集計対象を変更した昨年4月以降では最高だった前月比で15.2%の減少となったものの、前年同月比では6.5%の増加となった。負債1億円未満の中小・零細企業の倒産(460件)が前年同月比15.9%増となるなど、小口倒産が増加しており、倒産全体の緩やかな増加基調が持続している。

 また、11月の負債総額は3823億4800万円で、前月比▲32.5%、前年同月比▲49.7%とともに大幅減少となった。前年同月比で減少したのは3ヵ月連続。規模別にみると、負債1億円未満の倒産が前年同月比15.9%増、資本金1000万円未満の倒産が同23.2%増となっており、中小・零細企業が倒産件数を押し上げている。前年同月比での件数増加、負債総額減少という現象が続くのは、中小・零細の小口倒産の増加が起因している。

 半面、負債100億円以上の大型倒産は、前月の10件から4件へ大幅に減少した。内訳は、旧・住専の大口融資先だった大手パチンコチェーンの高山物産(負債718億4800万円、京都府)と不動産業者3社で、引き続きバブル案件が中心だった。しかし、公共工事の減少や資源価格の高騰による倒産など、中堅以下では実体のある企業の倒産が目立ち始めており、倒産の中身には変化も表れてきている。

 今後をみると、談合事件の相次ぐ発覚による「脱・談合」の加速によって、公共工事の落札価格が急落するケースが目立ち始めており、依然として公共工事が基盤の地方経済は一層厳しさを増す可能性が高い。また、地域金融機関の再編や追加利上げなど、資金繰り面でも中小・零細企業の倒産リスクが高まってくる。今回の景気回復期間が「いざなぎ景気」を超すなかでも、厳しい環境に追い込まれる企業は後を絶たないと予測される。