日本公認会計士協会はこのほど「2005年度税制改正意見・要望書」をとりまとめ公表したが、そのなかで税制改正を行う視点のなかに租税制度の効率性を考える必要があると強調した。租税制度の効率性とは、一つひとつの租税制度を実際に機能させてゆく場合の社会全体の経済性を重視することであると説明している。
例えば、公益法人制度の見直しが議論されているが、現行の収益事業課税制度は極めて効率的な制度として国民の間に広く定着し、大きな課税上の問題が生じているわけではないにもかかわらず、現行制度を完全に改変するような議論がなされている。この議論には効率性の視点からの検討も必要だと指摘している。
2005年度税制改正に向けては、「課税の公平」との基本スタンスから19項目、「税制の簡素化及び納税事務負担の軽減」から12項目、「会計基準との適合性」から11項目、「経済取引への中立性」から8項目、「国際的整合性」から3項目の合計53項目(うち10項目が新設項目)の要望事項を掲げている。
このなかで特に重要要望事項として10項目を挙げ、1)不良債権の貸倒処理における税の判断基準を会計に合わせること、2)減損会計導入にともない計上される減損損失については、法人税法上も損金としてこれを認めること、3)役員賞与等について、税務上損金算入を認めること、4)不動産の譲渡損失の他の所得との損益通算廃止・繰越控除を認めない措置を速やかに廃止すること、などを要望している。