今年のスギ花粉は、大量飛散した昨年よりもかなり抑制されるようだ。花粉症は日本人の5人に1人が患者といわれ、いまや“国民病”ともいえる。花粉の減少で、花粉症の症状が軽くなれば外出が増え、日本経済への好影響が期待される。第一生命経済研究所が発表した花粉の影響に関する分析レポートは、花粉の飛散が抑制されて3~4月の外出増により実質GDPを前年比2294億円押し上げると試算した。
レポートによると、花粉の飛散量と経済活動の関係は現実のデータから裏付けられるという。前年7~8月の気温と花粉の飛散がピークを迎える3~4月の実質家計消費支出には明確な相関関係があるからだ。事実、花粉症患者が増えてきた過去10年間の夏の平均気温と翌年前半の実質家計消費支出の関係をみると、夏場の気温が前年を上回った翌春の消費はおおむね減少している。
そこで、昨夏の平均気温をみると、平年を0.5度上回ったので、今年3~4月期の実質家計消費は平年に比べ▲0.3%、金額にして▲1214億円押し下げられる。しかし、前年比でみれば▲0.9度下回ったので、今年3~4月期の実質消費家計消費は前年比で0.6%、金額にして2495億円程度押し上げ、最終的に今年3~4月期の実質GDPが前年比で2294億円程度押し上げられる可能性があると試算している。
レポートは、今春の花粉減少によって花粉症患者が昨年よりも外出しやすくなるため、個人消費の増加を通じて日本経済に好影響を及ぼすことを想定している。さらに、足元では冬のボーナスの増加や株価の上昇などプラスの材料が目立っており、今後の動向次第では、足元で回復感が明確になっている日本経済に、花粉の飛散量減少が短期的に思わぬ追い風をもたらす可能性もあるとみている。
同レポートの詳細は↓
http://group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/rashinban/pdf/et05_285.pdf