ゼイタックス

経営関連情報 (2006/08/07)

6割の企業でこの3年間に「心の病」が増加

 社会経済生産性本部が上場企業を対象に実施した「メンタルヘルスの取組みに関するアンケート調査」結果(有効回答数218社)によると、最近3年間における「心の病」は61.5%と6割以上の企業が「増加傾向」と回答した。この割合は、過去2回の調査と比べると、2002年48.9%、2004年58.2%と一貫して増加している。年齢別にみると、心の病がもっとも多い年齢層は「30代」の回答率が61.0%と圧倒的に高い。

 心の病による1ヵ月以上の休業者が「いる」との回答企業は74.8%にのぼる。この割合も、2002年58.5%、2004年66.8%と一貫して増加している。こうしたことから、従業員の健康づくり施策全体のなかで、「定期健康診断の完全実施」(82.6%)の次に「メンタルヘルスに関する対策」が挙げられており、力を入れる企業が多い。2002年33.3%、2004年46.3%、そして今回が59.2%と急増している。

 心の病の増加の背景には職場の変化がある。67.0%の企業において「個人で仕事をする機会が増えた」と回答するなかで、60.1%の企業で「職場のコミュニケーションの機会」が減り、49.0%の企業で「職場の助け合い」が少なくなったと感じている。各従業員の責任と裁量のバランスが「とれている」という企業は60.1%あるものの、「とれていない」企業も約4割みられ、責任と権限がアンバランスになりがちな現状もあることが示唆された。

 職場でのコミュニケーションの機会が減少した企業では、心の病が増加した割合が71.8%にのぼり、減少していない企業の46.0%と比べると、その差は25.8ポイントある。また、職場での助け合いが減少した企業でも、心の病が増加した割合が72.0%で、減少していない企業との差は20.6ポイント、個人で仕事する機会が増えた企業では67.1%で、増加していない企業との差は17.8ポイントある。

 社会経済生産性本部では、「心の病」の増加傾向を抑えていくためには、職場における横のつながりの回復と、責任と裁量のバランスがとれるような仕事の仕方の改革、そしてそれらを含めた意味での一人ひとりの働きがいに焦点を当てた活力ある企業風土づくりが喫緊の課題、との考えを示している。

 同調査結果の詳細は↓
 http://www.jpc-sed.or.jp/contents/whatsnew-20060728-1.html