政府税制調査会の2006年度税制改正に向けた答申が25日に公表された。答申の分量はA4判でわずか5ページという薄さだが、その中身は増税基調一色の濃い内容となった。財政再建が待ったなしの最重要課題のなか、政府が目標とする2010年代初頭におけるプライマリーバランス(基礎的財政収支)黒字化のためには、国民一人ひとりの負担増が不可避という考えが色濃く表れている。
具体的項目には、1)定率減税の2007年での全廃、2)個人住民税の所得割の税率を(10%に)フラット化、均等割税率の引上げ、3)来年3月末で適用期限が切れる研究開発税制(上乗せ分)やIT投資促進税制、不動産登記に係る登録免許税や不動産取得税の軽減措置の廃止、4)酒類間の税負担格差の縮小(「第三のビール」に対する増税)、5)道路特定財源等の暫定税率を維持したままの一般財源化などがある。
そのほか、納税環境の整備として、1)公示制度の廃止、2)物納の許可基準や手続きの明確化・迅速化など相続税物納制度の見直し、3)加算税の税率引上げ、4)個人住民税についても公的年金等からの特別徴収を実施などが盛り込まれた。加算税制度については、近年のインターネット取引の急増等を背景に無申告事例が急増していることから、加算税率を引き上げてペナルティを重くする。
今後、2006年度税制改正に向けた本格的審議は与党税制調査会に移るが、この政府税調答申が打ち出した基本路線は大きく変わらない模様だ。ただ、経済界などから反発の強いIT投資促進税制の廃止には、縮小しての存続や対象を限定しての新たな軽減措置の導入案などが浮上、また、登録免許税等の軽減打切りにも慎重論があることから、どのように決着がつくのか12月に公表される税制改正大綱の中身が注目される。
政府税調の「2006年度の税制改正に関する答申」は↓
http://www.mof.go.jp/singikai/zeicho/tosin/171125a.pdf