2003年06月18日-001
所得捕捉率の是正に“怒れ全国のサラリーマン”(60)
『納税者番号制度』(1)
★税務行政の公平性の確保は至上命令
さて、これまで見てきた内閣府の報告書(「所得税における水平的公平性について」2003年3月公表)は、所得捕捉率の格差が縮小した背景のひとつとして税務執行体制の強化を挙げているが、経済取引の複雑化・国際化・高度情報化のなかでは調査事務等をIT化しようとも、国税の捕捉の網を逃れる脱税をはじめとした不公平の存在は否定できないようだ。
これだけ経済取引が複雑に広い範囲にわたって行われ、さらにコンピュータが介在してくるとすべての取引を把握することは不可能である。納税者の正直で自主的な申告を期待することには無理がある。それは、地下経済の7割超を占める約14兆円前後と推計される脱税が証明している。このような不公平を見過ごしておいて、一方で国民に“広く薄く”負担をお願いするという政府の方針は誰も理解しまい。
もはや税務行政における不公平感の解消は至上命令になってきている。現在の税務執行体制や納税者の確定申告に期待できないとすれば、残る道はただひとつ、逃れられない所得捕捉のシステムを構築することである。驚異的な進化を遂げたIT(情報技術)分野がそのシステム構築を可能にしているのだ。所得捕捉のシステムは「納税者番号制度」である。
早急の財政構造改革がわが国の緊急課題であるとともに、その一環として税務行政における公平性の確保のため、我々は「納税者番号制度」の導入を本格的に考えていかなければいけない時代に足を踏み入れているのである。そこで、本連載はこれから「納税者番号制度」の導入について考えていくことで最後にしたい。
(続く)
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