大阪府立産業開発研究所が発表した「企業の能力開発と人材活用に関する調査」結果(有効回答数433社)によると、多くの企業が組織のスリム化など人件費負担の軽減に取り組む一方で、既存事業の体制強化や新分野進出、事業革新にも取り組んでおり、このため、事業展開に必要となる人材を求めて、若年者を中心に人材の不足感を持つ企業が多くなっていることがわかった。
現在の人員の状況については、「若年者が不足」との企業が42.9%、「ベテランが不足」との企業が16.6%をそれぞれ占め、「過剰」(若年者0.2%、ベテラン9.9%)を大きく上回る。不足が生じている年齢層は、「30歳未満」では46.5%(余剰は8.8%)、「30歳代」では40.6%(同8.8%)であるのに対し、「40歳代」では8.9%(余剰は17.6%)、「50歳代」では4.0%に過ぎず、余剰が44.1%と不足を大きく上回る。
若手の育成や能力形成の考え方については、「基礎的・基本的な能力は事前に習得しておいてほしい」(30.4%)との回答があるものの、「必要な能力は社内で育成すべき」(35.8%)との回答がもっとも多い。一方、ベテランに対しては、「ベテランの能力は若い世代に伝えるべき重要な企業の資産」(47.1%)、「事業の変化に対応していくための重要な要素」(16.5%)との回答が上位を占め、ベテランの能力を重視している。
以上のことから、企業内で独自の能力開発や人材育成を行い、既存の人材を有効に活用するには、若い人材とベテランをうまく組み合わせることが求められる。ベテランの活用については、中・高年齢者が持つ様々な制約条件をクリアするため、短時間雇用や退職後の再雇用、嘱託での採用など、条件に応じた多様な就労形態を採用すべきだとしている。
同調査の要旨は↓
http://www.pref.osaka.jp/aid/chosa/siryo/04-93.pdf